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1961-11-10 第39回国会 衆議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月十日(金曜日)     午前十時五十三分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 岡本  茂君    理事 中村 幸八君 理事 長谷川四郎君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       遠藤 三郎君    海部 俊樹君       神田  博君    齋藤 憲三君       始関 伊平君    白浜 仁吉君       田中 榮一君    田中 龍夫君       中垣 國男君    野田 武夫君       林   博君    村上  勇君       小林 ちづ君    中嶋 英夫君       中村 重光君    山口シヅエ君       渡辺 惣蔵君    受田 新吉君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君  委員外出席者         法制局参事官         (第一部長)  山内 一夫君         大蔵事務官         (銀行局長)  大月  高君         通商産業事務官         (通商局長)  今井 善衛君         中小企業庁長官 大堀  弘君         国民金融公庫総         裁       石田  正君         中小企業金融公         庫総裁     森永貞一郎君         中小企業信用保         険公庫理事長  山本  茂君         参  考  人         (商工組合中央         金庫理事長)  北野 重雄君         専  門  員 越田 清七君     ————————————— 十一月一日  委員久保田豊辞任につき、その補欠として渡  辺惣蔵君が議長指名委員に選任された。  同月十日  委員中垣國男君及び伊藤卯四郎辞任につき、  その補欠として吉田茂君及び受田新吉君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員吉田茂君及び受田新吉辞任につき、その  補欠として中垣國男君及び伊藤卯四郎君が議長  の指名委員に選任された。     ————————————— 十月三十一日  一、商店街組合法案松平忠久君外二十八名提   出、衆法第一三号)  二、下請関係法案松平忠久君外二十八名提出、   衆法第二二号)  三、金属鉱産物価格安定臨時措置法案多賀谷   真稔君外二十四名提出衆法第三一号)  四、金属鉱物資源開発助成法案多賀谷眞稔君   外二十四名提出衆法第三二号)  五、通商産業基本施策に関する件  六、経済総合計画に関する件  七、公益事業に関する件  八、鉱工業に関する件  九、商業に関する件  一〇、通商に関する件  一一、中小企業に関する件  一二、特許に関する件  一三、私的独占の禁止及び公正取引に関する件  一四、鉱業と一般公益との調整等に関する件 の閉会中審査を本委員に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  中小企業の年末金融に関する件  中小企業金融に関する件  通商に関する件      ————◇—————
  2. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 これより会議を開きます。  中小企業の年末金融に関する件について調査を進めます。  本件に関し、参考人として商工中金理事長北野重雄君が御出席になっております。さらに説明員として国民金融公庫総裁中小企業金融公庫総裁中小企業信用保険公庫理事長出席になっております。それぞれ質疑の形式をもって意見を聴取することにいたしたいと思います。  質疑のお申し出がありますので、順次これを許可いたします。
  3. 田中武夫

    田中(武)委員 議事進行について一言申し上げたいと思います。  実は、前国会の、何日か忘れましたが、ときに、きょう見えておられると同じメンバーに来ていただいて、そしてあまりにも与党の出席も悪いし、十分に審議することができないので、日を改めて資料要求し、その資料を出していただいて、その資料に基づいて、参考人として来ていただいておるところ、あるいは説明員として来ていただいておるところ、こういう政府関係ないし商工中金等について、十分中小企業金融機関としての役割が果たせるかどうか、ことに年末を控えておる、こういうことで私要望したわけです。本日はその趣旨によって開かれたと理解いたしております。ところが、私が要求いたしました資料大蔵省から出ているだけで、ほかから出ていないのですが、これはどういうことなんですか。資料がなければ審査することができません。
  4. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 参考人説明員に申し上げますが、この前要望いたしました資料はどうなっておりますか。
  5. 大堀弘

    大堀説明員 前回の委員会におきまして政府公庫から今後追加を要する資金見通しについて出せという御要望があったことを私承っておりましたが、私どもといたしましても、実は三百五十億円の政府の金をつけ加えた後におきましてなお不足があると考えまして、現に関係機関に対して数字調査をお願いしておるわけでございますが、現在まだ調査中でございまして、私どもの手元にも出て参っておりませんので、そういう関係で本日までに資料調製ができなかったのではないかと考えております。
  6. 田中武夫

    田中(武)委員 議事録を読んでいただいたらいいと思うのです。中小企業庁長官、一体そこにすわって何を聞いておったんです。私が言ったのは、年末を控えて中小企業としては大きな金融難に陥るであろう、従って、その責めを十分果たすということについてはどのようなことをせねばならないか、遠慮なしに一つ資料として出してもらいたい。これが一つなんです。  もう一つは、商工中金その他が十分所期の目的を果たすためには今後どうあるべきか、そういうことについて忌憚なき意見を示してもらいたい。こういうように僕は言っておったはずなんです。それに対して、年末の問題についてまだなにが処理ができないとか調査ができないとは、一体何しておるのです。
  7. 大堀弘

    大堀説明員 私あるいは聞き違いがございましたかもしれませんが、当面の問題としては、数字を必要とすると考えまして、その数字については、私どももすでに要望いたしておるわけでありますけれども——窓口の方で今調査を進めて、近いうちには上がってくると思いますが、今のところ具体的数字についてはまだ私どももいただいていないわけでありまして、なお参考人の方からその間の事情についてはお聞き取りいただきたいと思います。
  8. 田中武夫

    田中(武)委員 何を言うておるのだ。年末を控えて中小企業は大きな金融難に、ことに公定歩合の引き上げ等々により金融引き締めしわ寄せ中小企業にくる。それに対して政府機関中小企業金融担当者である三公庫、あるいは商工中金——これはちょっと意味が違いますが、こういうのが一体どれだけあったらその需要に応じ得るか、遠慮ないところを出してもらいたいと言ったはずです。それをあなたは何をとぼけたことを言っておるのですか。そんならそれでよろしい。このままでいきましょう。それでは、年末を控えて、あなたが中心になって中小企業金融については心配をかけぬ、こういう腹があるものとみなして審議を進めましょう。
  9. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 審議を進めます。発言の通告がありますのでこれを許します。中村重光君。
  10. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣質問をする予定にいたしておりましたが、大臣がまだ見えていないようですので、中小企業庁長官に、主として現下の中小企業労働問題、金融問題について質問を進めて参ります。  池田内閣高度経済成長政策は、健全な方向へ進むのではなくして、むしろ大企業中小企業との格差が非常に広がっておるわけです。そういうことから、中小企業は当面労働力不足というものによって非常に困っておるというような現況です。三十五年に引き続いて三十六年もなお一そう強まっておるというような統計が出ておるわけであります。三十五年を見てみますと、十五人以上九十九人の規模企業にいたしますと、中学卒業者充足率はわずかに三五%、十四人以下の規模企業を見てみますとわずかに二九%、こういった状況であるようであります。三十六年はまだ年度半ばにも達しませんが、三十五年以上に労働力不足というものが生じておるのではないかというように思われます。職業安定所窓口を見てみますと、条件のいい賃金の高い大企業へと移動していくというような状況であります。そうした労働者の大企業への移動ということによって、資金力並び融資力の弱い中小企業というのは在籍者がどんどんと離脱していく、これを引きとめることができない。かといって資金力が弱いために設備近代化するということもなかなかできない、そういうことで倒産のうき目にあっておるというようなきわめて最悪な状態が生じておるというように考えるわけです。こうした中小企業の実態に対して、通産省としてはどのような対策を講じようとしておるのか、その点をまず伺ってみたいと思います。
  11. 大堀弘

    大堀説明員 ただいま中村先生指摘通りに、最近特に労働関係の問題について中小企業が非常に人手不足に悩んでおるという問題があることは、私どもも率直に認めておるわけでございます。この問題について、人の問題でございますので、実際問題としてはなかなかむずかしい問題ではございますけれども、私どもとしてはやはり基本的には中小企業近代化ということをこの際進めていかなければいかぬ。またこれが近代化を進めることが労働力が逃げていくことを押える意味にもなるわけでございます。そういう意味で今日人手不足の際にこそ、特に設備近代化について力を入れていかなければいかぬということは、われわれの立場からします第一の対策でございます。同時にやはり労働省の仕事になるのでございますが、労務配置なりあるいは新しい学校の卒業生のあっせんなり、あるいは職業訓練なりといった面について、中小企業向け労働力を確保します意味において、相当力を入れてやっていただくように要請をいたしておるわけでございます。なお私どもはさらに現在中小企業におります労働者あるいは技術者の質の向上という点に相当力を入れていかなければいかぬ、そういった面の施策を今後さらに強化をして参りたい、かように考えておるわけでございます。
  12. 中村重光

    中村(重)委員 零細企業というのは従来安い労働力、さらには零細資本によって経営を続けてきた。そういうことから需要の変動というものに適宜に対応してくることができたと思うのです。しかしながら技術革新下高度経済成長政策の中においては、今までのような低賃金と小資本というものに依存をして経営を続けていくということは不可能です。  そこでただいま長官は、当面としては中小企業近代化というものをやらなければならない、さらには職業訓練であるとかあるいは職場転換というようなもろもろの政策をもって臨まなければいかぬ、確かにそうだと思います。ともすると大企業しわ寄せがくる、これは金融の問題であるというので一時的な金融政策をやっていく、このことは時間的な関係上やむを得ない点はあると思います。しかしながらやはり零細企業を安定させ、中小企業強化していくということは、その重点はやはり近代化というものに置かなければならない。そういうことから当面の問題と最重点の問題というものが置き違えられてくるという傾向があるわけです。その点は十分留意されなければならぬと思うわけです。ただ私が答弁を聞いておると——そのような答弁は一応わかります。しかし月並みの答弁ということでは困るわけです。現在どうにもならぬという状態に陥っている、これをどうするかということは非常に急を要する問題でありますので、しかもそうした労働力不足という問題、中小企業近代化共同化というものは、もうすでに昨年度非常に最悪の状態に陥っていたので、そういう方向へと積極的に推し進めていかなければならなかったはずであります。それに対してはただいまのような答弁でなしに、具体的にこういう政策を推し進めておるんだ、そのことがこういう形で現われてきておる、そうした事実の上に立っての答弁を私は期待したのであります。しかしただいまの長官答弁では——私は答弁そのものが間違っておるとはいいませんが意欲的なものがない。意欲的なものがあるならば、中小企業政府を信頼していくことができる、それと業者自体もみずからの自発性をもって大いに積極的に前進をしていくんだというような形になりましょうが、今のような通産省考え方態度では、とうてい現在の置かれておる中小企業、なかんずく零細企業強化ということは考えられない。従いまして、ただいまのような答弁でなく、現実にどのようなことをやっているのか、やっていないとすればその通り答弁をしていただきたい。そこで具体的にこういうことをやろうとしておるならば、来年度予算においてはこういうことをやりたいと、もっと積極的な考え方、そうした事実を示していただきたいと思います。
  13. 大堀弘

    大堀説明員 労働対策の点につきましては、やはり人の問題でございますので環境作りが先になりますので、なかなか金融対策のように金をつければ解決するという問題でもございませんので、十分御期待に沿う対策ということにはならないかと存じますが、私どもとしましては、金融引き締めがありましても、中小企業に必要な近代化はこの際芽をつまないで伸ばしていくという考え方を強くいたしておるわけであります。同時に共同施設あるいは労務関係といたしましては、共同宿舎でございますとか、そういった面についての共同施設面助成あるいは金融面では共同施設に対する融資、そういった面で十分な配慮をしていくようにという方針で、われわれのやる範囲においては努力をいたしておるわけであります。  なお労働省関係におきまして先ほど申し上げましたように、労務者の職業訓練なり配置転換の問題なり、そういった面については特に中小企業重点を置いてやっていただくように折衝をいたしまして、その点について現在努力をして参っておるわけでございまして、はなはだ効果としては十分でないかと思いますけれども、そういう趣旨努力を続けておるわけでございます。
  14. 中村重光

    中村(重)委員 長官職業訓練職場転換といったようなことをお話しになったのでありますが、職業訓練というのは、中小企業向け職業訓練ということよりも、大企業向け職業訓練というものが一応対象として考えられておると思っております。また職場転換といいますが、この中小企業方向職場転換ということが、どういう具体的な措置として実現できるのかという点に対しても、私は今の答弁では十分理解することができません。今までは中小企業というのは賃金の、安い若年労働者中心であった。しかしこの賃金の安い若年労働者は大企業の方へとどんどん引っぱられていっておる。そして中高年層の比較的に賃金の高い、大企業からもあまり歓迎されないといったような人たちというものが、安い賃金でも甘んじて中小企業でも働く。そういう状況が現われてくると思うのです。そうした問題に当面をして、もっと何か中小企業対策労働力充足するための具体的な方策というものが考えられなければならぬ、こう思います。私ども職業紹介所であるとか、あるいは学校なんかに行ってみますと、賃金が高くて、宿舎設備がよくて、そしてその他労働時間にいたしましても、あるいは休日にいたしましても、労働条件が非常にいいというようなところでなければ中小企業の申し込みというものに対してはなかなか応じない。また学校紹介にいたしましても、先生はやはり条件のいいところに紹介をするという形になって参ります。だからして中小企業労働力充足強化ということは非常にむずかしい問題であるということはよくわかるわけです。そこで中小企業対策というのはやはりこの労働力強化ということだけじゃなしに、冒頭に御答弁がありましたいわゆる中小企業近代化中小企業組織化共同化というものを積極的に推し進めていくという対策でなければならない。そのためには当然予算措置というものが考えられなければならないし、各政府金融機関に対してのそうした面における意欲的な金融政策というものが当然行なわれなければならぬ、こう思います。しかし遺憾ながら昨年度中小企業対策予算にいたしましても、四十四億八千万円ということになりますが、この中で三十億程度近代化資金、こういうことになって参ります。実際に中小企業、特に零細企業に対するところの共同化を促進していくという面に対しては、予算の中からは期待できない。さらにまた現在の政府関係金融対策というものを伺ってみましても、いろいろ答弁としては零細企業に対しては担保もとらないように、あるいは連帯保証もさせないように努めているのだ、協同組合強化ということに対しても十分意欲的な金融というものを考えておるといったような御答弁はあるわけでありますけれども現場に行って参りますと、なかなかそうは行っていないようであります。各金融機関の方々が見えておられますので、あとでまた御質問して御答弁を伺ってみたいと思いますけれども、やはり何かもっと根本的な、抜本的な対策を考えられなければならぬ。そのためには来年度予算の中にどのような対策というものを考えておるのか。それに対する予算要求というものはどの程度要求しようと考えておられるのか。さらには政府関係金融機関の、そうした共同化強化していくというための金融対策をどう推し進めていこうと考えられるのか、まずその点に対して伺ってみたいと思います。
  15. 大堀弘

    大堀説明員 来年度予算及び財政投融資面におきまして私どもが期待いたしております方向努力いたしております方向は、第一に政府公庫及び保険公庫を通ずる信用保証制度、これを画期的に拡充していきたい、これが基本的な一つの線でございます。共同施設関係につきましては、やはり商工中金組合関係金融をいたしておりますので、これが中心になりますし、設備近代化の面につきましては、むろん商工中金もございますが、中小企業金融公庫設備融資もやっておりますので、この面につきましても相当大幅な資金の増額をして参りたい。それから保険制度につきましても、小口保証制度と同時に、設備近代化のための新しい保険制度も作って参りたいということで、現在検討いたしておるわけでございます。  これが金融面対策でございまして、金融と並びまして予算の上では、御承知のように設備近代化補助金団地計画及び組合共同施設に対する補助金、この面をやはり相当大幅に伸ばしていきたい。特に私どもとしましては、共同施設補助金が従来非常に額が少なかったものでございますから、これを大幅にふやしたいと考えております。こういった意味で、金融面及び予算の面からできるだけ設備近代化を促進する、なかんずく共同化を進めていくという方向努力をいたしたい、かように考えております。
  16. 中村重光

    中村(重)委員 明年度予算の中には、団地計画というものに対して大幅な予算要求されておる、また大蔵省との折衝が進められておるようでありますが、相当な見通しでありますか。
  17. 大堀弘

    大堀説明員 団地につきましては本年度ヵ地点について初めて着手をいたしたわけでございます。来年度はこの継続工事がもちろんございますが、新しくどの程度これを拡張していくか。現在かなり強い地方の要望がございまして、三十ヵ所ないし三十数ヵ所の候補地点があがっております。それに対して必要な予算を組みたいと考えて私どもとしては予算折衝をいたしております。結論的には、今後の折衝の問題でございますので、ただいまのところは私ども見通しを申し上げるまでの確信を得ておりませんけれども、われわれの要求としましては三十数ヵ地点計画に載せたいと思って努力をいたしておるわけでございます。金額からいいますと、予算規模で、本年度三億円でありますが、二十億円程度の来年度計画でございます。これはむろん要望でございますから、今後大蔵省との予算折衝の結果においてどうなりますか、現在のところはそういう状況であります。
  18. 中村重光

    中村(重)委員 この団地計画は非常にいい計画なんですが、予算的にも非常に貧弱であったということ、さらには、この団地に対して下請企業等は非常に意欲的なんですね。ところがいろんな障害にぶつかってなかなかうまく進まないでいるというような実情です。特に一番大きな隘路は、水の問題であるとか、さらにはただいま申し上げました資金の問題が一番中心になっておるようであります。このために現場の指導というものがあまり親切に行なわれていない。業者まかせだという、そこまではいかないのですけれども、あまり業者にこれをまかせ過ぎる。もっと積極的に通産省がこれを指導していくということでなければ、これはどうにもならぬというような状況であります。この点に対しては、ただいま単なる要望だときわめて遠慮深いような御答答でありましたが、中小企業というものは、今の池田内閣といたしましても最も重点を置いて政策を推し進めていかなければなりません。そのためには通産省がもっと意欲的な、もっと積極的な態度予算要求をやっていくということでなければ、私はどうにもならぬと思います。その点に対して長官としては十分留意をしていただきたい、このように強く要求しておきます。  私は通産大臣中小企業基本法の問題であるとか、あるいは百貨店法、さらには中小企業と大企業産業分野というものに対してどのような考え方を持っているか、こうした点を御質問いたしたいのでありますけれども事務当局には適当な質問ではないと思いますので、この点は質問を留保いたしまして、長官にさらにお尋ねいたしたいことは、さきの臨時国会におきまして三百五十億の年末関係を含んだ財投が決定いたしております。それに対しては商工中金百六十五億、中小企業金融公庫が九十億、国民金融公庫が九十五億、こういうことになっておるようであります。ところがこの中身を見ますと短期償還というのがあるわけです。商工中金は九十五億は六月までに返さなければならないし、国民金融公庫は二十五億程度はこれも短期で返さなければならない。中小企業金融公庫短期なのがあるわけです。これでは三百五十億出しましても、早く返さなければならぬということになって参りますと、中小企業強化というものに対しては非常に弱いという形になって参ります。この点に対して私ども非常に不満に思うわけですが、これに対してはどうお考えになっておられるのか、まずその点伺っておきたいと思います。
  19. 大堀弘

    大堀説明員 三百五十億の追加につきましては、金融引き締め対策災害対策を含めておりますが、年末対策ということで例年やって参っております。年末対策も入っておるわけでございまして、私どももやはりある程度は年末を越すための短期資金というものも使う余地がある、かように考えておるわけでございますが、御指摘のようにこれがあまり大きくなりますと、結局年末借りたが三月に返さなければならぬ。それを無理に押しつけますと、結局返済の方に困惑を来たして混乱を来たす、そういうことが昨年ございましたので、今回は特に、ここに銀行局長も見えておられますが、私はその点も非常に重視いたしまして、三百五十億のワクの中で短期資金も、先ほど御指摘のように、たとえば商工中金、これに九十五億ついてございますが、このうち四十五億だけは年度を越えて運用できる資金にする、準長期といいますか、三月前に返さなくてもよろしい、四月ないし六月に返せばよろしい、こういう扱いで、短期とはなっておりますが、実は準長期といいますか、年度を越えて運用できる金にいたしまして、昨年の暮れの場合は二百億年末資金をつけたのでございますが、そのうちたしか長期が九十五億、短期が百五億でございましたが、純粋の短期というものからいうと、ことしは相当額がふえて、内容といたしましては、相当努力をしてよくなった、私はそう思っております。これは相当大蔵省に無理を言ってやっていただいたわけでございます。理想から申しますれば、なお長期の方がいいというわけですが、ある程度は年末を越えるための短期資金も使えるのではないか、そういうことで内容を考えたわけでございます。
  20. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの御答弁は、今まではそういう形で通ったかもしれません。しかし高度経済成長政策の中で、技術革新というものがどんどん行なわれている。従って貸付は運転資金よりも設備資金というものが上昇の傾向にあることは御承知の通りであります。そうなって参りますと、短期ではどうにもならぬ。やはり長期という形でいかなければならぬと私は思う。その点どうお考えになりますか。
  21. 大堀弘

    大堀説明員 御指摘通り、私どももやはり本質的には長期でないといかぬと考えております。設備資金はもちろんのことでございますが、商工中金は相当運転資金を使っておりますけれども、運転資金といえどもやはり三カ月で返して、あとは返しきりでいいという金ではなくて、三カ月で借りておっても、これを回転して結局長期の運用になっておるわけであります。そういう意味で、私どもはやはり長期を今後は相当重点に考えていかなければならぬ。ただ短期も年末資金と金繰りの苦しいときに、一時これをしのぐために短期資金もある程度は利用できるのではないか。その範囲においてはやはり短期もある程度は組み合わせて差しつかえないのではないかと考えております。しかしこれも一定限度を越えますと結果においてはよろしくない、かように考えております。
  22. 中村重光

    中村(重)委員 中小企業対策というのはいつも大きな議論になるわけです。ところが議論になるだけで、ほんとうの中小企業強化という形に対しては見るべきものがない。こういうことが今までの実情だったと申し上げていいと私は思う。佐藤通産大臣が就任されて、佐藤さんが談話を発表されたのは、まず中小企業対策というものには意欲的に取り組んでいく、その後出されたのが三百五十億の財投であったわけです。ところが今御答弁を伺ってみると、今までも年末融資中小企業融資というものはずっと出されておる。特に今度の三百五十億というものが、例年にない大幅な融資だということには考えられない。しかもその中には技術革新の中において、設備資金が非常に増大しつつある、それを特に留意されておるということは考えられない。この点に対しましても通産当局の意欲的な態度が見えないということを私は遺憾に思うわけです。特にこの三百五十億の中から中小炭鉱に対して十五億の貸付を今度なされた。これは初めは計画の中に入っていなかった。さらには災害関係の貸付が入っておる。この金額も非常に大きい。おそらく金融機関としては石炭関係あるいは災害関係というものは、別ワクをもらわなければどうにもならぬ、こういう考え方であろうと思う。またそれが当然でなければなりません。その点に対してどのような措置をなさいますか。
  23. 大堀弘

    大堀説明員 災害対策といたしましては、一応五十億見当で組んでおるわけでございますが、私どももやはりこれは若干不足を生ずると考えております。さらに石災の問題につきましても、実は石炭対策がきまりましたときには、すでに三百五十億の金は末端まで配付済みでございまして、既定の計画にすぐ充当するというふうに組み入れられておったわけでございますので、石炭に行きます分はおそらく一億か一億数千万円程度になるのではないかと私は考えております。十五億石炭対策としてやりますについては、これは当然現実の金額としては追加の際にそれを組み入れていくという考え方を私は持っております。
  24. 中村重光

    中村(重)委員 この三百五十億は繰り上げ融資というもので前に使われておったという金額が相当あるわけですね。さらには今言ったような問題等がありますので、当然そうした支出というものは別ワクで出さなければならない。さらには私が熊本に参りました際に、自民党代表の川上さんが中小企業の九州大会でお話しになった。その際に年末まではあと五百億をいわゆる年末融資に出すのだということをはっきり言明された。私も聞いた、皆さんもお聞きになった。その際に、きょうは川上さんは一川上個人でおいでになったのじゃなしに、自民党を代表して御出席になった。当然そのことは与党であるからして、これを実現されるであろうことを期待すると私は申し上げた。あとで私は川上さんに申し上げたところが、いや、あのように言質をとってもらってけっこうだ、あれでよかった、こうお話しになった。そのことは政府に対しましても当然いろいろと反映しておるでありましょうし、また政府としては年末融資というものを、また大幅に出すのだということを新聞でたしか——日にちは記憶いたしませんが、そうした談話が出たことを私は承知いたしておる。そこで年末までにどの程度さらに新たな出資あるいは投資をしようとお考えになっておりますか、その点を伺っておきたい。
  25. 大堀弘

    大堀説明員 御指摘の川上先生のお話は、私も大会で御一緒に伺いまして、たしか三百五十億の政府三機関に対する融資は五百億にする。ですからあと百五十億追加するのだ、それから買いオペを二百億やっておるのに三百億追加して、全体で千億というふうな趣旨の御発言でなかったかと記憶しておるのでありますが、これは党として御決定になった方針に沿って、自民党としての御発言であったと思います。私どもはそのことを承っております。私どもとしましては、現実にどれくらいの不足を生ずるか、この際どれくらい金を追加しなければいかぬかということにつきましては、年末及びこの金詰まりになります一−三月のところをにらみまして、あわせて今後どれだけの追加を要するであろうかということについて検討いたしておるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、実はまだ私どもの手元に——これは私どもやります場合には相当業種別にも検討をつけまして、先ほど申しました石炭対策あるいは繊維の問題等いろいろございますので、かなり掘り下げたデータを集めて、案を大蔵省と話し合っていきたいと考えておりますので、はなはだ申しわけありませんが、今度のところはまだはっきりした数字がございませんが、かなり相当大きな額を必要とするのじゃないかと私どもは考えております。
  26. 中村重光

    中村(重)委員 きょうになってそのような答弁を伺おうとは思いませんでした。あなたは、今どのような金詰まりというものが起こっているか、大企業中小企業に対して大きなしわ寄せというのもをやっている、現金払いは手形に変わっておる、三カ月の手形は五カ月、八カ月に延びている、検収はわずか五百円の品物でも意識的に一ヵ月以上も引き延ばされるという実情にある、そういうことは御存じでしょう。どうですか。
  27. 大堀弘

    大堀説明員 最近御指摘のように多少手形の期限が延び、それから検収の手形の発行がおくれるといったふうなことが非常に出てきておることは私も承知しております。
  28. 中村重光

    中村(重)委員 通産大臣がわが党の多賀谷議員の質問に対して本会議中小企業金融はそう悪化しておるとは思わない、こういう御答弁をなさった。だから私はものすごいヤジをその当時通産大臣にあびせた。私はあまりにもその認識の不足に驚いた。あなたも今、多少手形の期日が延びていると思うと言うが、どうしてそのようななまぬるいことを言うのか。そういう現在の実情というものを認識されぬのか。机の上だけで問題を処理されるから、この前のような通産大臣答弁となり、ただいまのあなたのそういう答弁になった。今政府金融機関に借り入れが殺到しているということは、市中金融機関が相手にしない、佐藤通産大臣中小企業金融は大幅に伸びていくのだ、政府関係機関に三百五十億出した、さらには年末まで大幅に出すのだ、こういったようなことをお話しになるから、金に困っておる中小企業者はもう町の金融機関では相手にしてくれないから政府金融機関へと殺到しているということが現在の実情なんだ。そういうことはあなたは御存じないでしょう。どうですか。
  29. 大堀弘

    大堀説明員 政府公庫窓口に非常に強い借り入れの申し込みがある、非常にふえておるということは伺っております。
  30. 田中武夫

    田中(武)委員 関連質問。それを存じておったならば、各政府関係機関はその年末融資に応じるようなどのような手を打っておるのか、そのことについてこのようなことが必要であるということを十分ここで出してもらいたい、こう言った。ところが出ていない。そこでそれぞれの公庫にお尋ねします。この年末に、一体今までのあなた方の措置十分中小企業の申し入れに対して応じ得る用意があるかどうか、お伺いいたします。まず中小企業金融公庫国民金融公庫、順番にお答え願います。
  31. 森永貞一郎

    ○森永説明員 先般の政府中小企業対策で、私ども公庫には九十億円の追加財政投融資をいただいたわけでございます。そのうち千億は短期資金でございますので、年度を通じますと八十億の追加資金。それをもうすでに全部配分済みでございます。直接貸しの増加に二十五億円、残り五十五億円が代理貸し、ただその中に災害関係が第二室戸災害二十億を含めまして二十五億というような数字になっておるわけであります。それを配分いたしましてこの下期の資金計画をきめておるわけでございますが、それで今後足りるかどうかという問題でございます。私どもの方はこの十二月というよりもむしろ十二月から三月までの状態をひっくるめて考えた方がいいのじゃないかと思うのでありますが、率直に申しますとやはり足りないのじゃないか。その足りない要素を個々的に申し上げますと、まず第一にはこの三百五十億の追加決定をいただきました後に、石炭の緊急融資を十億やる。これはさしあたり私どもの手持ちの金でいたしますわけでございます。さしあたり第四・四半期から繰り上げるということにお願いしなくちゃならぬと思っておりますが、この分はやはりさらに何とか追加財政投融資をお願いしないと、資金繰り上困るという問題がございます。それから第二の要素は災害でございます。第二室戸災害として二十億の配分をいただきまして、それでもって各地の災害の需要にできるだけ応じておるわけでございますが、究極的にその需要が二十億で収まるかどうか、その辺には非常に問題がございまして、どうも少し足りないのじゃないか、代理店の要望をそのまま取り次ぎますともう三十億も足りないという数字が出て参りますが、これはもう少し落ちつくところを見きわめませんと、究極的にどれくらい足りないかという数字はまだ出て参りません。いずれにいたしましても、ここ一カ月くらいの間にははっきりどれくらい足りないという数字が固まってくると思います。さらに直接貸しの方は大体この程度でどうにかやり切れると思っておりますが、代理貸しにつきまして特にこういう金詰まりの対策ということになりますと運転資金需要が多い、その運転資金に手っ取り早く応じるには、どうしても代理貸しということになるわけですが、代理貸しの資金がどうも相当不足するのじゃないだろうか、しからばどの程度不足するかというお尋ねもあろうかと存じますが、それにつきましてはこの十二月から一−三月の政府の引き揚げ超過の様子なり、その他一般的な金詰まりの状況をもうちょっと見きわめまして、もちろん一月になってからというようなことではございません。もう少し早く結論を出したいと思っておりますが、もう少し事情を見きわめまして、最小限度の不足額につきまして政府にお願いを申し上げたいというふうに考えておるところでございます。結論と申しまして、全体として幾らという数字を、今ここで具体的に申し上げるのにはまだ少し時期が早いのじゃないだろうか。といって漫然と年を越すつもりはございません。できるだけ早く数字を固めまして政府にお願いを申し上げたい、かように考えておりますので、御了承いただきたいと思います。
  32. 石田正

    ○石田説明員 国民金融公庫の事情について申し上げます。  大体この前の資金追加をいただきませんと、われわれの方は既定計画で参りますと、第三・四半期におきまして、昨年並みの貸し出ししかできないのではないかということを憂慮いたしておったわけでございます。御承知の通り国民金融公庫は当初計画に比べまして九十五億の資金追加があったわけでございます。しかしながらそのうち二十億は、すでに第二・四半期の実情から申しまして、どうしても第三・四半期なり第四・四半期なりのものを繰り上げなければならないということをお願い申し上げておりましたので、実際問題として第三・四半期及び第四一四半期において使います金は七十五億ということに相なるわけでございます。この七十五億を、実はわれわれといたしましては全額第三・四半期において使わざるを得ないのではないかというふうに思っておったわけでございますが、しかしこれは年度内を通じての話であるということで、ございますので、いろいろ折衝いたしました結果、七十五億のうち五億だけを第四・四半期に残しまして、七十億円を第三・四半期に追加するということで貸し出し計画を立てたのであります。その貸し出し計画を実行いたしますと、三十五年度と比べまして、貸し出しの増は一七%という数字に相なるわけでございます。この一七%という増加をもちまして、だんだんと金融引き締め強化されて参りますところの年末を大体まかなうことができるかどうかという問題は、実は資金追加をいただきました当初から心配いたしておったのでございます。大体今年度に入りましての申し込みの増加状況を見ますと、第一・四半期におきましての資金の申し込みの増加率は一七%でございます。それから第二・四半期に入りましての需要の増加というものは、七月は十六%と、第一・四半期の平均を少し下回っております。また八月におきましては一一一%というふうに下がっておったわけでございます。従いまして一七%の増加におきましてあるいはできるのではないかという感じを実は持っておったわけでございます。しかるところ九月になりましてこれが一二一%という数字になりました。そこでもし九月の情勢が続きますならば、これが十月、十一月、十二月と続くならば一七%の増加ではまかなえないのではないかという心配を始めたわけでございます。なお十月になりまして、われわれの方は各支所からできるだけ早く数字をとるようにいたしておりまして、八十八ヵ所ございますが、十月の上旬の数字をまとめましたところが、これは基準が違います。実は直接扱いとそれから代理扱いとありまして、代理扱いと直接扱いは一緒にまとまりませんし、直接扱いの数字だけでまとめたのであります。その直接扱いの数字だけで申しますと、第四・四半期の——先ほど九月で申し上げました一二一%というものは一二六%に当たるわけでございます。この一二六%に対しまして、十月の上半分の数字は一〇八%という数字が出て参りました。そこでまたこれは愁眉を開き得るかと思ったのでございますが、下半分になりましてこれがまた申し込みが激増いたしました。結局十月全体といたしましては、直、代合わせましての数字から申しますると一二三%、それからまた直接扱いだけで申しますると一二六%、こういう数字が出て参りました。これではとても一七%の増加ではやっていけないのではないかというのが現在の心境でございます。なおもう一つの要素は、一七%の増加の中には災害を含んでおります。災害の数字がどのくらいになるかということはわかりませんが、かりに二十億というふうにわれわれ見当をつけますると、それを引きますと実はそれ以外は一二%の増加にしかならない。そうすると一二%で十月に上がりましたところの二三%という増加に対してはやっていけないのではないかということを痛切に感じておるわけでございます。  さて、一番最後に資料要求がありまして、出せませんで非常に申しわけないのでございますが、今申しましたような工合に各支所、各地区ごとに非常に変化しております。片一方におきましては、もう年末も差し迫っておる、そういうふうな数字ばかり追っておるわけにはいかぬということでございますので、われわれの方では実はある程度の手元融資金を持っておったのでありますが、つい最近全国各支所に配賦いたしました。そうして今副総裁初め各理事を全国に派遣いたしております。この中旬中にみな帰って参りました実情を見まして、そこで数字をまとめて政府追加をお願いいたしたい、かように思っておる次第でございます。
  33. 北野重雄

    北野参考人 商工中金状況を申し上げますと、先ほど中村先生から御指摘のありました政府追加財投の百六十五億、これが商工中金に投入されることになったわけでございます。そのうちの長期資金をできるだけ多くということを特に政府にお願いをいたしまして、何でも財源的に非常に困難があったようでございますが、結局七十億が長期資金、それから残る九十五億が短期資金、ただしそのうちの四十五億は年度を越してもよろしい、来年六月までにお返しすればよろしい、こういうことにしていただきました。従ってわれわれといたしましては、その四十五億は長期に準ずるものだ、実際の運用面では長期と同様に貸付をしていく、こういうことにいたしました。そういたしますと、長期資金としては七十億と四十五億、合わせて百十五億財源がふえたことになるわけであります。ところが御承知のように、年度初めから私の方の資金源の大きな部分を占めております割引商工債券の売れ行きが非常に不振でございまして、財源的に大きな穴があいておったわけでございます。それを政府の御配慮にもよりまして、あの手この手を講じて穴埋めをいたしました。それでもなお年度中に二十億ばかり足りない、こういうことになるわけであります。そこで百十五億のふえたもののうちで二十億は穴埋めに使わざるを得ないのではないか、残る九十五億が純粋に長期的に貸付のできる財源になったわけでございます。そこで当初計画年度間の貸し出し純増三百十億というのが、九十五億ふえまして四百五億になったわけです。ただしこの中には第二室戸台風の災害融資、大体十五億くらいの見当をつけておるわけでございますが、これも含んでおります。それから中小炭鉱関係資金貸付、一応五億といわれておりますが、これもとりあえずその中でまかなっていく。ただしこの五億につきましては、先ほど中小企業庁長官からもお話がありましたように、これは再度の追加投入のときに当然考えていただく、こういう前提にいっているわけであります。そこで年度間貸し出し純増四百十億ということで、これを各店舗に割り振ったわけでございます。ところがそれではなかなか足りません。実はもう連日、本部におりましても地方に出かけましても、業界から強い要求を受けております。ことに私どもの方の特徴といたしましては、御承知のように、短期運転資金が約六割近いのであります。しかし、短期と申しましても一年以内は短期なんであります。そして、ことに今度のしわ寄せ関係になって参りますと、金融の緩和が見られない限りは、たとい手形の割引きにいたしましても、三月ぐらいで決着のつくものではございません。どうしても、繰り返し繰り返し使用しなければならぬという金になるわけであります。大体、資金源として一年近く安定していなければ困る、こういうことになるのでありますので、追加財投の百六十五億のうちの純粋の短期が五十億ございます。これも幸いいただいたものでありますから、できるだけ有効に使うという方向でやっております。  そういうわけで進んできておりますが、率直に申しまして、とてもこれではやり切れない。何とか財政投融資追加をお願いしたい。これは、実はこの間、財投の追加がきまりましたあとから、さっそくお願いもしておるようなわけなんであります。ただ、前議会の最後に御要求のありました資料につきましては、大へんおくれておって申しわけございません。実は今、せっかく内部で各店舗とも連絡をとり、また特に繊維業界なんかの強い要求もございます。これなんかにつきましても、業界の団体とも連絡をとりまして、必要最小限がどの辺になるだろうということの見当をつけておるわけでありまして、できるだけ速急に資料をまとめまして政府にお願いしたい。そして、それはぜひ早くお願いしたい。もちろん来年の一月ないし三月という期間は、政府財政資金の揚超関係もございまして、一−三月も心配でございますけれども、その一−三月の貸付計画というものを含めて、早く計画が立ちますように、早く再度の追加投入をきめていただきたい、こういう希望を持ってお願いをしておる次第でございます。
  34. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣、途中で見えましたが、御承知の通り、きょうは緊迫しておる中小企業の年末融資、それを担当する政府機関、並びに商工中金から来ていただいていろいろ聞いているわけなんです。途中から話を聞かれたと思いますが、総じて言われましたことは、やはり資金不足である、これが第一なんです。それも年末もさることながら、第四・四半期において困るということ。従って本年度の第二次補正予算を必要とするのではないかと考えるわけなんです。たとえば国民金融公庫さんが言われたように、これでも足らぬ。それでも一般では国民金融公庫は申し込みの半分しかお貸ししてくれない。これが定説になっておる。これでは十分需要に応じられない。そこで問題は、この年末とその後に来たる第四・四半期だと思うのです。そこで本年度の第二次補正予算、こういうことも考えてもらわなければいけない、こういう段階だと思うのですが、大臣いかがですか。
  35. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 御承知のように各方面で金融引き締め効果が非常に出てきた。そういう意味資金不足を各部門とも訴えております。政府としてはすでに御承知のように、ただいまの景気に対する緊急調整措置をとっておりますが、そういう立場から金融引き締めをやらざるを得ないというので、金融機関とも連係して今日まで推移して参ったわけであります。しかしそういう際におきましても、自由化に備えたり、あるいは本来企業自身として弱い、それが大企業の犠牲になるというようなことがあってはならないということで、中小企業金融には年末におきましても、特にめんどうを見てきたつもりであります。言いかえますならば、他の部門においては、いわゆる金融の圧縮をしたにかかわらず、中小関係の部門においては三公庫並びに市中金融においても、すでに二千億の中小企業向け金融の手当をする。幸いにして、市中銀行もそれだけの協力をすることを賛成してくれていることは、もうすでに発表した通りでございます。ところでこれが計画通りに進んでおれば、中小企業の方々も、政府が今日とっておる施策についての御理解をいただき、またさらにそれを補うような、補完的な金融措置をとっておることの事情を、十分理解していただけるのではないかと実は思っております。なお最近の金融事情等を考えるとき、また年末も差し迫まっておることでございますから、ただいまいわゆる政府関係三機関の方々がお話になりましたように、それぞれの機関からの追加要求も出ております。この点について政府としては、通産省ばかりじゃございません。大蔵当局もいろいろな事情があるにもかかわらず、中小企業の特殊性にかんがみ、また時期的な問題も考えて、何らかの処置をとるべきじゃないだろうか。内々数字ども今まとめておる最中でございます。  ただいま仰せのように、年末はそれで越しても、一−三月の第四・四半期についての処置ができるかどうか、こういうお話のように伺いますが、先ほど御披露いたしました市中金融の二千億というものが動き出すならば、これはおそらく十分な効果が上がり得るのじゃないか、またそういう意味においての中小企業関係者の協力も得られるのじゃないか。ただいま直ちに第二補正を組むとか、第二補正についての処置をどう考えるかと言われましても、そこまではまだ私どもは検討は進めておりません。とりあえずの処置として、もう十二月も差し迫まっておりますし、今までの処置いたしましたものだけで不足がいわれております。おそらくお話があっただろうと思いますが、たとえば災害に対する五十億の融資等から見れば、どうも五十億では不足だ、これにさらに十五億程度はふやしてほしい、あるいは中小炭鉱向けの金融も一時措置をとりました。これもただいま動き始めておるばばかりでございますが、これなどももう少し金額をふやさなければならないのじゃないか。この年末を控えてそういう措置のものがあるわけであります。これは皆さん方社会党や民社党の方々からも、そういう意味通産省に御要望がございますが、同時に与党である自由民主党の内部におきましても、それについての措置をとれというお話がありますし、本日は閣議などでもそういう点についての発言もございました。従いまして私ども年末の差し迫っておるこの際でありますから、まずそれに対しては善処したい、こういうような気持でおりますので、関係各省でよく連絡をとりまして善処して参るつもりであります。大蔵当局といたしましては、中小金融向け二千億をきめたり、あるいは五百五十億の中小企業向け金融措置というものをすでに発表いたしておりますから、これで一応処理がつくのではないか、こういうような見通しがあるかとも思います。しかしなお三機関の方々がお話になるように、また私ども通産省から見まして、何らかの処置をとる必要があるのではないか、かように思っておる次第であります。
  36. 田中武夫

    田中(武)委員 大臣は比較的甘く見ておられる、こういう感じがするわけです。一方において設備投資等々で、こういう状態になったんだから金融引き締めるんだ、これが大原則である。それに一方においてワクを広げるということは矛盾するんじゃないか、こういう考え方も今お持ちのように思う。しかしそれは大企業あるいは独占企業、こういった大きなところが設備投資等で行き過ぎがあった。しかもそうやって締めつけられる結果、しわ寄せは小さなところにくる。そこに対しては特別の措置を講じてやらなければ大企業金融引き締めは、直ちに中小企業に及ぶわけなんです。それは先ほども下請に対する話が出ておりましたが、手形の期間が長くなってきたり、いろいろな法律を犯すような手形を切ったりする。そういうのはやはり中小企業向けの、しかも一般市中銀行では相手にしてもらえないようなところが政府機関へ殺倒するわけなんです。そこでいろいろ話を聞いておるわけですが、ここで第二次補正を作ります、こういう答弁をとるということは無理かもしれませんが、そういう状況にあって、ことに第四・四半期に対してしわ寄せがくる、こういうところから、私はぜひ第二補正をも考えてもらわなければならぬと考えておるので、もう一度、作りますと確約はできなくとも検討くらいはしてもらわなければならぬ、そういうことを一つお願いしておきます。
  37. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 誤解があっては困りますが、事態についての認識が甘いんじゃないかという御指摘でございます。しかし私は甘くは見ていないつもりであります。これはもう御指摘になるまでもなく、倒産なりあるいは黒字倒産なり、あるいは不渡りの枚数がふえたり、金額がふえたりいろいろしておりますから大へんな事態だと思います。しかし何といたしましても緊急経済調整をしたい、その大目的は達成したい、かように思いますが、この大目的を達成する場合において、中小企業が特に犠牲をこうむる、大企業のために搾取されるとか、中小企業に対しては政府は何もめんどうを見ない、いわゆる調整一筋で金融引き締めの線だけをやる、こういうものではないので、中小企業については私どもも特別に考慮を払っておる。これは別に恩に着せるわけでもございませんが、今出した程度の金額では不十分なことはわかります。わかりますが、今申すような調整の時期であるにもかかわらず、さらに金額をふやしてきておる。そうしてこの金額が十分だとは申しませんが、そういう意味でいろいろごしんぼうを願い、御協力を願ってきた。しかしどうも年末さらに足らないようだから私ども工夫しよう、こういうことを実は申しておるわけであります。そうして第四・四半期についてさらに不足ということがはっきりする、こういう事態になれば、もちろん政府は必要な処置は考えます。考えますが、先ほど来三機関の方が説明されるように、ただいま手当いたします資金そのものは、いわゆる純粋の短期資金じゃございません。準長期資金でございます。そういうことを考えあわせてみますと、おそらく年末金融としての短期処置、それが同時に事業そのものに対する半年や一年程度資金手当になる、こういうように実は思いますので、いわゆる年末金融という処置があわせて第四・四半期に対する措置をも、その目的を達しつつある、こういうことを実は指摘したいのでありまして、この点では私などどうもとかく官僚だから事情を知らぬのだろうとおしかりを受けますが、ことに主務省であります通産省としては大へん心配しておる事態でございますので、ただいま御指摘になりましたような点について、今後の推移についてさらに私どもも十分注意して善処して参るつもりでございます。
  38. 田中武夫

    田中(武)委員 金融引き締めは大原則である、こういうことで、にもかかわらず、中小企業にはこうこうだ、こうおっしゃる。その考え方を推し進めたら池田さんと同じことを言うことになるのですよ、中小企業の五つや十つぶれても。こういうことじゃ困るので、一方において締めるかわりに、一方においてはそれがものすごく圧力となって押しかかってきておる、この事態を直視していただいて——大臣の前では公庫の連中もよう言わぬのです。だからそういうこともよくくみとって、年末あるいは第四・四半期を含めて補正予算をも考えるという線において十分の措置をとってもらいたい、そういうことを要望しておきます。
  39. 板川正吾

    ○板川委員 関連して一言だけお伺いしたいのですが、通産大臣中小企業金融は緊急経済調整をしても最初は心配はない、非常に強気の答弁をしておった。今のお話を承ると、緊急経済調整は、これはぜひ必要である、しかしその引き締め政策中小企業のみにこの犠牲をしわ寄せするようなことはさせない、こういう趣旨のように変わっておるようであります。これはそれでいいとして、そのことでお伺いするのですが、前回の金融引き締めが昭和三十二年に行なわれました。このときは金融引き締めの結果、全国銀行の中小企業向け融資は三十一年度に比較いたしまして三〇%ふえております。ところが全国銀行の中小企業向け融資は三十一年度に比較して四、五%しかふえていない。その結果全国銀行が中小企業向け金融のパーセンテージが三十一年には三六・一%であったものが、三十二年には三一・五%、五%下がった。こういうように昭和三十二年の金融引き締めのときにも政府中小企業者のみに犠牲をしわ寄せするのではない、こういうしばしばの言明にもかかわらず、実際には金融機関は大企業に対しては引き締め政策にかかわらず三〇%もふえているのですが、中小企業者には四、五%しかふえていない。もちろんこの期間には約一二%くらい全体として資金のワクがふえているのですが、中小企業には四、五%しかふえていないで、大企業に三〇%もふえておる、こういう実績があるのです。これはきょう渡された資料の「商工金融」の四十四ページにあります。ですから私は大臣中小企業のみにしわ寄せをかぶせない、こういうことをおっしゃるならば、この金融引き締めの結果が、大企業中小企業と平均した金融割合を維持する、全体としてたとえば経済成長に見合って二割なら二割資金量が上がるのを一割くらいしか上がらない、その一割上がった中で、中小企業と大企業金融のワクは引き締め前と大差のない状態を堅持する、これが中小企業に特別のしわ寄せをしないという気持だろうと思う。そういうことを大臣は御存じであって中小企業者に特別のしわ寄せをさせないと思うのです。従ってそういうふうに理解していいんでしょうかということです。
  40. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今板川さんの御指摘になりますように、過去においてはいわゆる系列その他の関係等がはっきりした場合などは、非常にはっきりした結果が出ているのですが、中小企業が犠牲になっておる、大企業の方の金融はついたが、中小企業はすっかり参った、こういうことが起きたと思う。今回の調整段階に入りました場合に、そういう点を実は過去の経験を基礎にいたしまして、今回は中小企業に対する資金一つふやそうじゃないか、いわゆる中小企業から大企業が吸い上げるというような処置が出るか出ないか、そういうようなことがあってもこれは別として、とにかく中小企業に大企業が流さないで、中小企業が下積みになる、そういうことは避けよう、こういうので金融措置をとったにかかわらず、中小向けの金融はふやしたということを実は御指摘しておるわけなんです。この金融の数量から見まして、今の板川さんのお話にしても田中さんのお話にしても同じように関係してくるわけでございますが、総体としては減っておるが、その三公庫自身としては、これは金額は多少の議論はあると思いますし、また不足だということは先ほど来御指摘になっておると思いますし、またたよりになるのは三機関だからその方をふやせ、市中金融をふやしたといったってだめだ、こういう御議論だろうと思いますが、とにかく中小向けの金融について三十二年の苦い経験から今回は特別な工夫をし、配慮しておる。その事実を御理解いただきたい、こういうことを実は申し上げておるのでありまして、これで中小金融については万全というか、もう絶対安心だ、いわゆるたっぷり資金があるんだ、かようには実は申し上げるわけにいかない。だから先ほど申しますように政府自身もこの資金の使い方を十分勘案しまして、不足であるとただいま御指摘になる年末金融については重ねて配慮をしよう、あるいはまた第四・四半期について不足だとおっしゃるなら、その実情を見てまた考えましょう、こういうことを実は申しておるわけでございますが、とにかく三十二年の苦い経験から今回の処置は逆な方向をやっておる。それが非常に耳ざわりに聞こえて、わずかな金をふやして中小企業は大丈夫だとお前言っているのかとおしかりを受けては、私どもの気持が実は伝わらないのであります。私は中小企業の方々が苦しんでおられることもよくわかっておりますが、政府がこういうような特別な措置をしておるという点についての御理解をいただきますならば、金の使い方その他についても必らず御協力が得られるだろう、これを実は先ほど申したつもりでございます。どうも言葉が不十分で誤解を受けたりして、中小企業のうちに犠牲者が出ても差しつかえないというようなことをお前考えておるのかというおしかりを受けておりますが、犠牲者を出しては相済まぬと思うから、あらゆる手をとっておるというのが現状でございます。
  41. 板川正吾

    ○板川委員 中小企業金融については田中委員の発言のように、政府三機関の任務も重大であります。しかし政府三機関の融資状況は、全体の中小企業金融の一割に満たない状況である。ですからこの緊急経済調整の中小企業者に及ぼす影響、これを金融面から守ってやろうというならば、私はとにかく全体の金融というのを考えなければ——なるほど昭和三十二年のときにも政府機関は相当ふえております。しかし中小企業金融全体を見るとわずかしかふえてなくて、逆に大企業が三〇%もふえておるという状況なのです。ですから私はこの政府三機関ばかりではなくて全体の金融機関を把握して、中小企業者に今度の政府金融引き締め政策は公平な、とにかく中小企業者のみにより過大な犠牲を与えない、こういう約束が当然できるものと思うのですが、そう理解していいかということを一つ答弁願いたい。
  42. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その点は先ほど申し上げましたように、前臨時国会政府が三百五十億のお金を用意した、さらにオペレーションを行なって二百億追加して、五百五十億は中小企業関係三機関についての計画が立った。同時にそれだけでは足らないから、市中金融について二千億というものを、市中金融の協力を得ることをはっきりいたしました。これだけのことはすでに発表しておるわけでございます。この市中金融二千億というのは、おそらく過去においてなかったことだろうと思いますし、また三百五十億に対してさらに二百億のオペレーションというようなことも政府としては今までやらなかったことだろう。それらはそれらとしてもうすでに発表し、その一部をただいま実施している。しかしそれだけでは不足だということでございますから、三公庫に対しての手当を、年末あるいは第四・四半期をもあわせての資金手当をしましよう、そういうことをただいま関係機関で工夫しておりますということを、実は率直に申し上げたのであります。板川さんの言われる通り、三公庫資金は幾らふやしましても、全体の総額が非常にわずかでありまして、中小企業が受けておるものはやはり何といっても市中金融でありますから、そういう点の大蔵省の指導というものは非常に大事だ、これは御指摘通りであります。
  43. 板川正吾

    ○板川委員 結果を拝見いたします。
  44. 中村重光

    中村(重)委員 時間がないようですから、簡単に要点だけを御質問いたします。  ただいま板川委員指摘しましたように、二十九年以降の金融引き締めのときと、現在の緊急金融調整、そういった引き締めと、そのいずれを見ましても、大企業に対する融資は伸びて、中小企業融資は縮まっているといった現象が出ておるわけです。ただいま大臣は三公庫に対して特別の措置を講じてきたんだといったような答弁ですが、これは私どもはいい面はいい面として認めて参ります。しかし政策はやはり社会性の方向へと進んできている。これは大臣答弁されるまでもなく時代の要求なのです。ですから特にその点を強調されるということもどうか。私どもが期待したいことは、政府高度経済成長政策の失敗ということから、現在の緊急金融調整というものが生じてきた。にもかかわらず大企業に対するところの融資は伸びて、中小企業が非常に金融難に陥っておる。そのことに対しては現金払いが手形にかわり、手形の決済期間が非常に延びてくる。さらには検収というものが意識的に、五百円か千円といったようなわずかの金額のものですからこれが非常に引き延ばされている。こういった状況で全くの倒産のうき目にあいつつあるという現象が現われている。ましてや、私は先ほど指摘いたしましたが、中小企業労働力不足といった深刻な問題がここに加重して、大臣も御承知の通りの大きな社会問題という形に発展をしておるということであります。今大臣が、臨時国会で三百五十億財政投融資をやるようにしたんだと言われた。それは私ども承知しておりますが、この中身を見ると相当繰り上げて融資されているという面がある。その中には災害関係もある。さらに私どもがこの三百五十億の財投の中に期待いたしたものは、現在の技術革新下において設備資金というものが非常に大幅にふえてこなければならぬ。しかしその中身は質的には相当短期なものがあるということは、この実情に沿わない面があるのではないか、こういった点を指摘したいのです。このような点に対して大臣はどうお考えになっておられますか。
  45. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 問題は今の経済の成長政策の失敗であるとか、これは成功だとかという議論もさることですが、前国会でずいぶんやったことですから、その点は触れません。とにかく当面しておる実情は、中小企業といわず産業全体が調整段階に入って非常に苦しんでおる。これは政府もよくわかっておりますし、そこでそれに対する対策が必要である。それがただいま中村さんが御指摘になりますように、考え方によっては大きな社会問題にも発展する危険があるのじゃないか、こういうことだと思います。そういうところから私ども中小企業に対しての理解を持ち、その立場からの処置をただいまいたしておるわけでありまして、ことに御指摘になりますように労働力不足する、あるいは近代化は進めていかなければならない。そうして一面において商品に対する支払いは全部手形だ。これでは運転資金にも困るじゃないか。労働力不足を来たしておる中小企業は、支払いまで十分でなければ一そう労働力不足を来たし、一そう参るじゃないか、こういう御指摘、これは一々その通りだろうと思います。だからこそ金融が大事だということであり、いわゆる全般的なシェアの獲得というような意味設備拡張は一つ遠慮してもらうが、自由化に備えての近代化一つ進めていただきたいし、生産を継続していく意味の所要の労働力確保のための賃金支払いその他が現金でできるような意味の運転資金も必要だろう。先ほど来のお話でおわかりだと思いますが、この三機関に対する資金短期であり、長期である、まあそういう意味だと思います。長期のものは、あるいは設備近代化である、原材料等の仕入れとか、相当長期にわたってこれが消化される、こういうようなものだ。いわゆる短期のものと考えられますものは、月々の支払いというような意味のものもむろんあるだろうと思う。だからいわゆる短期長期でなしに、全部長期というわけにもいかないのです。短期資金でいいという場合もありますし、どうも長期資金不足だという場合もある。そういう意味で、三機関にもこの資金の内容等を十分勘案して、それで三百五十億の資金の割り振りをきめたのが、実は前回の処置であります。これは御指摘通り当面しておる事態についてこまかな注意をしなければならぬ。こういう意味から、また資金確保の観点の難易というか、やさしいかむずかしいかというようなことを考えますと、短期資金の方は比較的容易だというようなこともありますので、需要の実態に合わした資金の配分をしたということであります。ただいまは三十二年の際と比べれば、中小企業も非常な生産力を示しておる。それだけ中小企業を拡大しておるのでございますから、本来の三機関に対する基本的な資金量もふえておりますが、そういう意味においてさらに資金の増加が必要になるだろう。ことに最近のように一般の引き締めが非常に苦しくなってきますと、中小企業としてはみずからたよるところがないから非常に苦しくなるだろう。そういう点を先ほど御指摘になり、年末金融についてさらに考慮の余地があるということを御指摘になり、私どももその通りだ、このように実は思って対策を講じたい、こういうふうに思っておるわけであります。ただ誤解がないように願いたいのは、資金が全部長期資金であることは非常にけっこうでございます。しかしそう長期資金政府自身が世話することも困難性がございますから、一部ほんとうの運転資金等においては、これは短期でも差しつかえないのだ。こういう意味短期資金ができている、この点御理解をいただきたいと思います。
  46. 中村重光

    中村(重)委員 先ほど大臣が触れられた全銀協の二千億の中小企業向け融資、さらには二百億の買オペ、これはすべて中小企業融資対策、こういうことになる。確かに大臣の意欲的な取り組みというような点が、そうした各金融機関の協力という形に前進していきつつあるということは私は認めたいと思う。ところが市中金融機関に対してどの程度政府がひもをつけられるのかということです。全銀協が中小企業向け融資だといたしましても、それは大企業融資をして、その大企業中小企業に支払う、こういうためのいわゆる資金であるということになって参りますと、それは中小企業に直接融資されるのではない。大企業がこの資金融資のかぎは握っているということになる。そうするとやはり大企業の都合によって現実に行なわれている支払い期日は当社の都合によって定めます、こういったことが契約の中に入れられる。そういう形で運営される。これは非常に問題だ、こういう点に対してせっかく二千億の協力を求めさせるとするならば、内容的にほんとうに中小企業にこの金が融資され、中小企業金融が緩和される措置が考えられなければならない。そういう点に対してどのような配慮をされるか。
  47. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 その金額のワクは私ども大蔵省と相談しまして、その中身の使い方は大蔵省の大月局長が説明する方がいいと思います。  問題は、ただいま中村さんが御指摘になりますように、せっかくめんどうを見たが、うまいところは大企業に吸われるようじゃだめじゃないか、こういう御指摘でございますが、私どもが心配をして特に二千億というような金額を、大蔵省の了承を得てめんどうを見ようということを申しましたのは、いわゆる市中銀行というものは、ただいまみな資金的に枯渇しております。だから資金的に世話をしてやらなければならぬ。おそらく今ぐらい銀行といいながら金のないのが銀行だというような時期はないだろう、こういうように思います。そうしますと、市中銀行自身が貸そうにも金がないのだ、そういうものを大蔵省が指導し、また日銀が指導し、協力し、そういうものについてのめんどうを見てくれる、こういうのがただいまの二千億と思う。  それじゃその実態はどういうようになっておるかということになりますが、今第一段の処置としては銀行の資金をふやしてやる、そしてそれが大企業に行かない、大企業に使われる銀行の資金不足なら、これは日銀自身が非常にやかましく言っておりますが、中小企業に対する資金不足の場合ならば日銀がめんどうを見るというのが、ただいまの二千億の問題になる。だから実際にどういうようにやっているか、大月君から一つお聞き取り願いたいと思います。
  48. 大月高

    ○大月説明員 ただいまの通産大臣のお話の二千億と申しますのは、銀行協会におきましての本年度第三・四半期において中小企業に対して少なくとも二千億融資をする、こういう決定をしているという事実でございます。従いましてこの二千億は大企業を通じて中小企業に流れる分を含まないわけでございまして、実質的に大企業融資され、それがまた中小企業に回るものは外ワクとして、アルファとしてございまして、二千億は直接中小企業金融いたしましょうということを、全国の銀行で申し合わせをして実行いたしているわけでございます。過去数年にわたりまして年末におきまして銀行がそれぞれ申し合わせをいたしまして金額を定めまして年末融資をやっております。この二千億に相当いたしますものが、昨年は千七百億、その前が千五百億ぐらいであったと思いますが、そういうようにして毎年その金額を上げて最低の線として、それ以上中小企業に回そう、こういうことをやっておるわけでございます。
  49. 中村重光

    中村(重)委員 二百億の買オペ、これは銀行債を買い上げた、このことについては二千億以上の政府のこれに対するひもがつかなければならないと考える。この点に対してどのような措置をおとりになりますか。
  50. 大月高

    ○大月説明員 政府資金でございます資金運用部資金と簡保、この二つを使いましてただいまのところ十月の末に百三十億すでに金融債等買い上げております。それから十一月の中旬、多分十六日ごろになろうかと思いますが、残りの七十億を買い上げまして合計二百億買い上げる予定でございますが、この買い上げ代金二百億は、必ず信用保証協会の保証のついた中小企業に回すという条件づきでございます。実績を精査いたしまして、来年三月になりまして、報告をとった結果、その金額に満たない実績、そこまでいっていないというときには、四月にはその金額を調整してすぐに取り上げよう、こういう約束になっておりますので、少なくとも今の二百億については、信用保証協会の保証付の融資に回されるというように、相当強くひもがついておるとお考えになってけっこうだと思います。
  51. 中村重光

    中村(重)委員 二千億の問題並びに今の二百億の問題に対しても、もう少し突っ込んで質問をしたいのですが、時間の関係があるようですから、大臣に一言質問したいことは、零細企業金融対策であります。御承知の通り零細企業労働性というものが非常に強い、零細企業者の収入というのは直ちに生活に直結している、こういう形であります。この零細企業者というのはほとんど下請のまた下請という形であるわけです。そこで、この零細企業者が手形をもらいましても、その手形は即時に割引をしなければならぬ、現金にかえなければならぬという実情にあるわけです。これに対しては保証協会の保証を受けて融資を受けようとしても、あるいは国民金融公庫窓口をくぐりましても、相当時間がかかる、手続が非常にめんどうである、こういうことから、実は融資が非常に困難であるというような現状にあるわけです。このことに対しては、無担保、無保証という、ほんとうに社会性を十二分に加味した金融措置零細企業対策というものが行なわれなければならぬ。先日もいろいろと金融機関の方々には質問をしたのですが、その答弁は、何か特別に零細企業に対しては留意しているというような熱意のある答弁をされるのです。私は今度休会中に各地を回りましていろいろと実情を調査いたしましたが、窓口はこちらで答弁をされるようなこととはだいぶ違う、こういったような実情であります。そこで、政府といたしましても、特にこの零細企業金融対策、こういうことに対しては特段の配慮がなければならぬと思うのですが、その点に対してはどのような措置をお考えになっておられますか。
  52. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今どういうのを零細企業といわれますか、たとえば零細企業が手形を持っても、これは困るというお話ですが、おそらく手形を持つというような零細企業の場合は、多くの場合に下請あるいは協力だろうと思います。こういう点は零細企業規模いかんにもよると思いますが、これは手形支払いをとめて現金支払いをするように、やはり業界を指導していくことが必要だろうと思います。問題は、そういう下請関係ではなしに、零細な商店その他等、いわゆる零細といわれるものですね。その右にも左にもどこへくっつくやらわからないというようなものですね。そういうようなものに対する金融処置、これは一体何かといいますと、いわゆる運転資金が必要だろう、そういう意味のものとしての使い方ですね。また設備としても非常に金額の小さいもの、これはいわゆる国民金融公庫が相手方になっておると思います。その場合の保証制度あるいは保証人を立てる等の非常に簡易な方法をとっておりますが、金額によりましてはさらにもっと簡易な処置をとる方法が可能じゃないか。ことに台風その他の災害の後の金融等を考えてみると、そういう際には特別措置をとっておる。ああいう事柄をやはり敷衍していくことが必要じゃないか。これはただいま中小企業庁でいろいろ検討しております。あるいは小口保証のものについてのいわゆるそういう保証制度そのものも、何か特別に工夫する必要があるのではないか、こういうことでただいま研究しておると思います。これは、次の国会におきましては、そういう意味で、さらに小口の二十万とかあるいは三十万とかいうような零細な資金の獲得が容易になるように処置をとりたい、かように思います。私は、今中村さんの御指摘になりましたうちで、もし零細企業に対して手形で支払いをするというような実態が系列産業間で行なわれておるとすれば、これはさっそくやめさせて、零細企業に対しては現金支払いをしろ、こういうふうに強く私どもが業界を指導すべきだ、かように思います。おそらく手形をもらっても処置に困るようなところでしょう。零細企業ならば、おそらく金額も非常に少額でありましょうから、そういう意味で私どもこれは当然のことだ、かように思います。
  53. 中村重光

    中村(重)委員 ただいまの大臣答弁は、きわめて明快また当を得た答弁であります。私どもが先ほど二千億の問題あるいは二百億の問題等を質問いたしましたのも、やはりそうした手形支払いはいけないのだ、現金で支払いをしろ、手形の期間も二カ月でなければならぬとか三カ月でなければならぬ、そういうはっきりしたひもをつけなければならぬということです。また今の手形の問題は、もう現金で支払うことができても手形で支払え、こういったようなことで、大企業はまことに勝手気ままなやり方をやっておる。これは、事実なんです。零細企業者というのは、今とにかく金利ではないのです。金を貸してもらえるかどうかというきわめて切実な問題なんです。そこで保証がうるさい、時間がかかるというと、勢い町の金融機関、高利貸しの門をくぐらざるを得ぬ。そのために働いても働いても金利を支払い、高利貸しだけを育て肥えさしていくという実情にある。こうした点については、ただいまの大臣答弁は、私は、鼻についたような言い方ですが、実力大臣である以上は、今の答弁は事実をもって示されるであろうと期待をいたします。  そこで金融問題についての大臣に対する質問はこれで打ち切りますが、次の通常国会中小企業基本法をお出しになる御予定がありますか。
  54. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 臨時国会中にしばしば同様のお尋ねをいただきました。いろいろ準備はいたしておりますが、まだ通常国会に提案するという結論を得ておりませんということを、臨時国会中に繰り返しお答えして参りました。今日もなおいろいろ検討いたしておりますが、まだ通常国会に出し得る、それまでの確信ある案はまだ作り得ておりません。今のままで推移いたしますならば、通常国会に出すことは非常に困難だ、こう私は思いますが、ここにおります中小企業庁を中心にして成案を得べくあらゆる努力をしておるのが、今日の実情でございます。
  55. 中村重光

    中村(重)委員 それではあと一言、大企業中小企業産業分野の確保という問題、これに対しては憲法違反であるとか、いろいろ自民党の前尾幹事長も談話を発表されております。相当関心を呼んでおる問題ですが、こうした点についての大臣の見解を伺っておきたい。
  56. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 私どもは、この仕事は中小企業が担当するのだとか、これは大企業だとか、そういうことをきめるつもりは実はございません。私は、中小企業の方々でもそれはどんどん成功していただいて、大企業に発展していただきたい、かようにも考えます。ところが、全部が全部そういうわけにもいかないで、やはり中小企業にとどまらざるを得ない産業があると思います。たとえば竹細工をやっておられるものに、大きな工場を作って竹細工の専門職工ばかりを集めて大企業をやれといっても無理なことだ、こういうように思いますから、そういうような手工業部門になれば、やはり中小企業としての存続の形が続くのでありましょう。しかし、また逆なことを考えれば、地方によって、繊維の関係でいろいろ織機を持って織物を作っておられる。最初は五人だったが、だんだん同一のものを作るようになり、大きな消費から見て、それが五百人あるいは七百人となる。そうしていわゆる中あるいはさらに伸びていくというようなこともこれは可能だと思うのです。だから、織る方は今の実態から見て全部中小企業なんだ、糸を紡ぐ方は大企業でもいいのだ、これはちゃんと分野があるのだ、こういうわけにはなかなかいかぬと思います。そこらにむずかしさがあると思います。むしろ非常に危険なのは、中小企業でやっておられて非常に利益がある。そういう場合に大企業がそういう分野に進出していく。いわゆる経営の多様化という名目のもとにどんどん出てくる。これはできるだけ慎んでいただきたいということなんです。たとえば養鶏をやっておる。養鶏もただいまは万単位でなければだめだといっておる。いわゆる中小の農家の方々は養鶏もできない。また豚を飼うにしても五頭や十頭じゃだめだ。やはり百頭以上でなければいかぬ。そうするとだんだん資本が要る。だから今までの経営者はできるだけ組合を作ってやるとか、いわゆる大資本が入ってこないで自分たちがやるような仕組みをしておられるが、どうも会社の方から見て、十万羽鶏を飼えば非常にもうかるのだというようなことでどんどん入ってくると、地方産業に異変を来たす。そういうのはなるべく遠慮しろということを申しておりますし、またむしろそういうのは関連産業というか、関連事業としての連携をとることによって両者が存続していく方法もあるわけでございますから、そういう意味の指導が必要だ、かように思います。だから分野を分けるということでなしに、それぞれの特徴が生かされ、それが十分長所を発揮し、しかも中小企業に甘んずることなく将来の発展が期待できる、こういうように産業を指導することが私どもの仕事ではないか、実はかように思います。
  57. 中村重光

    中村(重)委員 大臣答弁は自由経済の中の公式論的なところが非常に多い。これは議論があるところですが、通常国会で十分この点に対しては議論をしたいと思います。大臣に対する質問はこれで終わります。      ————◇—————
  58. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 この際お諮りをいたします。先刻理事会において御協議願いました通り中小企業金融に関する件について自由民主党、日本社会党及び民主社会党三派の御賛同を得て、次の通りの決議をいたしたいと存じます。  まず決議の案文を朗読いたします。   政府は、さきに公定歩合の引上げを中心とする金融引締措置及び輸入担保率の引上げによる輸入抑制を含む総合的景気調整策を実施したが、これに伴い、金融基調は逼迫の度を加えるに至り、特に資本力、信用力の弱い中小企業に対する影響は著しく深刻化し、年末を控えて倒産、閉鎖の続出も免かれない実情にある。   よって政府は、今次の金融引締が中小企業に与える悪影響を最小限に止めるよう、年末金融対策及び今後の中小企業金融対策として次の措置を講ずべきである。    記  一、中小企業金融公庫国民金融公庫への融資の増額及び商工組合中央金庫への政府出資、金融債の引受の増額、国庫余裕金の活用等、中小企業向け財政投融資の大巾な増額を行なうこと。  二、中小企業信用保公庫への政府出資を大巾に増額するとともに、信用保証協会の保証機能の充実を図ること。  三、政府関係金融機関の貸付利率は今後も引続き引下げるよう努力するとともに、貸付手続を一段と簡素化、迅速化すること。  四、政府関係金融機関からの貸付総額のうち、相当割合を小規模事業向けとするよう配慮するとともに、民間の小口金融の円滑化について特段の措置を講ずること。  五、都市銀行及び地方銀行の融資総額の相当割合を中小企業向けとして確保せしめること並びに銀行の集中融資の排除について充分に指導すること。  六、現在特に危機に直面している中小炭鉱及び中小織布業に対しては、その運転資金及び設備近代化資金の確保について重点的に配慮すること。  右決議す。  以上であります。  念のため申し添えますが、ただいまの案文の中の「中小企業」とは、一般に言われております中小企業であって、現行の法律に基づく金融機関融資基準にとらわれない、資本額一千万円に限定しない小鉱工業に対して金融対策を立てるようにすること。また案文中第一項の「国庫余裕金の活用等、」とありますのは、国庫余裕金の預託等の意味であることを申し添えます。  ただいま朗読いたしました通り決議するに御異議はありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  59. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認めます。よってその通り決定いたしました。  なお、本決議の取り扱いに関しては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 御異議なしと認め、そのように決しました。  本決議に関しましては、議長に報告の上、総理大臣通商産業大臣、大蔵大臣、経済企画庁長官、自治大臣労働大臣及び厚生大臣に送付することといたします。
  61. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま決議を見ました件につきましては、御趣旨を十分尊重いたしまして、政府におきましても善処する考えでございます。      ————◇—————
  62. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 次に、通商に関する件について調査を進めます。  なお、通商に関する件についての御質疑が終わりましたあとで、さらに中小企業の年末金融に関する件についての質疑を続行する予定でありますので、委員及び答弁の方々においては、以上お含みを願いたいと存じます。  それでは質疑を順次許可いたします。松平忠久君。
  63. 松平忠久

    松平委員 大臣が時間がないようでありますから、簡単に金融問題を間にはさんで質問を申し上げるわけであります。  この前の委員会におきまして、輸入担保率の問題について私が質問しましたときに、大臣はこの輸入担保率は早急にやったわけであるから、実は少し画一的になったので、若干これを実情に合わせて手直しする、こういう答弁をされたわけであります。そこでどういう手直しをするか、お伺いしたいのでありますが、私がこの前申し上げたことは、大臣も御記憶があります通りに、輸出入がバランスがとれておるような国に対して、輸入の減小を来たすための措置として輸入担保率を引き上げるということはいけないのではないか。さらにまた、アフリカとかその他の国におきまして、圧倒的に輸出が多くて輸入がほとんどない、こういう国に対してすら輸入担保率を画一的にするということは困るのだ、こういうことを申し上げたわけであります。それについて考慮をしたい、そう言明しましたが、聞くところによると、そういう地域的なことはやりたくない、数量的な、品目的なことをやりたいのだ、こういうようなお話であったわけであります。そういうような気分に受け取れたのでありますが、その辺についての今日の大臣考え方をさらに念を押しておきたいと思います。
  64. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 今の問題を伺いまして、地域的に何か区別ができるか、これは建前上できません。御承知のように全部公平に扱わなければならない。しかしながら、地域的に見まして、その地方でなければできないような産物を指定することによって、いわゆる地域的効果を上げることはできるだろう、こういうことは指摘できるのです。しかしたとえばビルマから来るのはこうするということになりますと、最恵条項で全部均霑するわけですから。しかしたとえば特殊な地域でできる雑豆なら雑豆というのを安くすれば、これはその地方しかできないものですから、それで救われるということになると思います。御承知のように今回とりました輸入担保率、これはもう引き上げることはいたしません。必要があれば調整をいたしますということを申し上げ、事務当局でいろいろ調査しておるようでございます。そういう場合に今申し上げるような、日本からの輸出超過になっておる国だからということで、特別に考慮を払えというそのお気持ちもわかりますが、これはなかなかむずかしいことで、やはり日本とすれば貿易全体で収支が合うように考えなければならない。あるところではどんなに努力をいたしましても輸出は伸びないというところもあります。しかし相手国の特産品を特別に扱うことによって、幾分かでも相手国の感じをやわらげる方法もあると思います。そういう意味一つ工夫する。  それからもう一つは、先ほどの金融でいろいろ議論されております中小企業が特に使っております原材料等で、特別高い輸入担保率を課している、こういうところは実情等に合わして下げていく、これは地域に限るわけにはいかない。そういうものをいろいろ事務当局で検討いたしております。近くそういう運びにしょうかと実は思っております。
  65. 松平忠久

    松平委員 地域的にはどうしてもできないという政府側の意向なんですが、これを私、了承するわけにもいきませんけれども、今の後段の大臣答弁で、若干その点を救ってもらうような方法もあるらしいのでありますから、その点に関する限りは了承したいと思います。ただこの問題を実行するに当たって、大臣もきめのこまかいやり方はしなくちゃいかぬと言われたんですが、品目の決定に当たっては、私は相当きめをこまかくしてやってもらいたい、こういう要望をしたいわけであります。かりにたとえばアフリカならアフリカから来るところのいろいろの雑穀類、雑豆類というものに対しては、特産物であるからこれはいいでありましょう。ところがコーヒーというような問題になってくると、南米の方にもかかってくるからこれはできない。ところが何かそこに品目的な差別を設けてやるということは、できないことはなかろう、そういう知恵を一つ出してもらって、そして地域的にも実効が上がるような措置をとっていただきたい、私はこういうふうに思うわけです。  それからもう一つ考えたいのは三五%ですが、この三五%をいきなり今度はやっちゃったわけです。以前にはそうじゃなくて、順次上げていったんですが、今度はいきなりやっちゃった。つまり逆に今度は下げてこなくちゃならぬ、こういうことになるわけです。その下げてくるめどというものを、一体どういうふうにお考えになっておるか。どの程度輸入が押えられたり、担保率を下げる、こういうような腹案があるわけですか。
  66. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 これは大体の見当で申しますと、この前も説明いたしましたように、いわゆる三割五分の輸入担保率をかけておりますものは、総輸入物資のうちの約一割程度だということを申し上げてございます。従いましてこの三割五分を全部を、安くしましても、これは総量の一割のものにかかるということであります。従って金額的には小さいと思います。ところでこの下げ方なりが実際にうまくいかないと、なかなかむずかしい問題を起こすわけです。たとえば私たちが期待するのは、中近東からほしブドウが入ったらいいなと思った。ところがほしブドウが自由化されたら、アメリカのほしブドウばかりになっちゃった、こういうようなことになる。あるいはデーツについては特別な処置をとりました。今コーヒーについてのお話でございますが、コーヒーはやはりブラジル・コーヒーが世界市場を左右している。もちろんアフリカ産のものもございます。ところでそのアフリカ産のコーヒーだけを安くするというわけにはなかなかいかない。だがココアになると、これは全部アフリカ産なんです。他の地域からココアなど入っていない。だからやはり幾ら原産地といっても、 コーヒーではブラジルの方が先輩になり、それが本拠になっておりますから、アフリカ側も、ココアならアフリカが元祖であり、またその主輸出国だということになっておりますから、そういうような品物の育成に、その地方の産業も力を入れていただくこと、これが日本から申せば非常に望ましい形だと思います。ところが輸出が相当行っていて、そういう国からの日本への輸入が少ない。こういう場合だと、前国会で皆さん方の御賛成を得てできました輸出入取引法、これの運用によりまして関係業者間で輸出で利益をあげたもので今度は輸入の面を補っていく、こういうような処置をとって特産品の買付などをやっている。これはその地方地方でやれるわけであります。ところがこれなどもよく理解してもらわないと、あれだけもうけたのは、大体イランならイランに対して安い品物を高く売ったから、輸出業者がもうけたのじゃないか、だからその利益で今度はデーツの方の補助をしてくれたからといって、イランとしてはちっとも得をしたのではないのだ、こういうような話がしばしば出るのです。見方によりますといかにもそういうような理屈もあろうかと思いますが、やはり輸出品は国際価格できまる。それで利益がある。また向こうの特産品も国際価格でやられているのだと思いますので、デーツが安くなれば私どもも補助までしてデーツを入れる必要はない。ここらを双方の国が理解し合うことによって、ただいまのような難点が解決していくわけなんです。あるいはデーツ自身の日本国内における加工方式が進んでくればデーツの使用量はふえる、こういうものだと思います。向こう側の言い分も言い分ですが、やはり当方の言い分も十分一つ御理解いただいて、双方が納得のいくような方法で貿易を拡大していく、こういうことに努力をせざるを得ないというのが現状でございます。
  67. 松平忠久

    松平委員 大体近くそれをやられるようなぶうでありますけれども、その実績によってはさらにこれを緩和していく、こういうことをお考えですか。
  68. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 もともと輸入担保率などの制度を作ることは望ましい姿ではございません。貿易が正常化すれば必ずこれはやめるべきことだし、また全廃するまでもなく、順次実情に合うように担保率を絶えず適正化していく、これは私どもで気をつけなければならぬことでございますから、お尋ねの通りであります。
  69. 松平忠久

    松平委員 以上で、大臣は忙しいそうでありますから、大臣に対する質問は終わります。  局長に質問したい。きょう農林委員会で問題になりましたところの、沖縄の立法院から日本に対して、沖縄のパイナップルのジュースですか、これの輸入に関して自由化になった場合のことから、従来通り沖縄のパイン・ジュースについては国内並みに取り扱ってもらいたい、従って台湾やその他のものよりも優遇した措置によって輸入させていただきたい、こういう申し入れというか、そういう希望があったということを聞いております。このことはきょうの農林委員会で問題になっていることだと思うのだが、これは通産省の所管だろうと思う。パイナップルのジュースあるいはカン詰等については、現在沖縄から入れているものと台湾その他から入れているものとは、どういうふうな区別が行なわれて輸入がなされておりますか。それをまずお伺いしたいと思います。
  70. 今井善衛

    ○今井説明員 沖縄から入れておりますパイナップルカン詰につきましては、ほかの地域から入れますものよりも二つの点で保護をしておるわけでございます。一つは関税でございまして、パイナップル・カン詰の関税はたしか二五%だと思いますが、沖縄から入れる物資につきましては関税法の特例がございまして、これは全部関税はかけないということになっております。従いまして台湾から入れますものについては二五%の関税がかかるにかもかわらず、沖縄から入れますものについては関税がない、その点でまず保護されておるわけです。  それからもう一つは、御承知のように特定物資臨時措置法というのがございまして、その法律の適用物資につきましては差益をとるということになっておりまして、パイナップル・カン詰につきましては約三〇%程度の差益をとっております。この差益につきまして、もし自由化になり輸入が自由になりますと、差益をどうするかという問題がございます。御承知のように特定物資臨時措置法は、来年六月におきまして何らの措置をとりません場合においては失効するという関係になっております。実は沖縄でいろいろ問題が起きておりますのは、来年の六月に臨時措置法が失効になる場合におきまして、今までとられている保護というものがなくなるのじゃないか、それについて政府としてどういうふうに考えるかという点が問題になっておるのでございます。私どもといたしましてはこの臨時措置法が失効になりましても、その後は関税の引き上げによりまして保護したいということでございまして、先ほど申しましたように現行関税が二五%でございますが、それに今までとっております差益分、つまり三〇%程度のものを加算いたしまして、その程度パイナップル・カン詰につきましては関税を引き上げたいというふうに考えておるわけでございます。  実は問題はそれにとどまりませんので、関税を五〇%程度にした場合に、はたしてそれでもって保護が十分かどうかという問題があるのでございます。沖縄から来ますパイナップル・カン詰と台湾から来ますパイナップル・カン詰とでは、台湾から来る。パイナップル・カン詰はそれでもなおかつ有利だということがございまして、今まで割当の方式の際にまず沖縄の出回りの時期を見まして、沖縄のものがまず相当入ってきた後において初めて台湾の輸入を許可するというふうなことをやっておるわけでございます。従いまして来年の六月にその法律が失効になりましても、しばらくは割当制度を続けまして、その状態で沖縄のものは十分保護できるという見きわめをつけた上で、できれば自由化する、もし非常に影響があれば自由化の時期を延ばすというふうにわれわれとしては考えておる次第でございます。
  71. 松平忠久

    松平委員 そうすると五割五分の関税にした場合に、特恵関税というか、関税は沖縄の分にはかけない、こういうふうに了解していいですか。これがまず第一点。  それからそれが政府部内でうまくまとまらないときには現行法を来年の六月に失効するものをさらに延ばす、こういうふうに了解していいですか。
  72. 今井善衛

    ○今井説明員 第一点でございますが、これにつきましては関税を幾らに引き上げるか、私どもとしては五〇%程度に引き上げたい、かように考えておるのでございますが、もしさように決定することができますれば、これはガットの関係におきましても、沖縄だけは関税をかけないでいいということになっておりますし、関税の特別措置法というものは当然延長になると思いますので、その点は確保できると思います。  それから第二の特例法の延長の問題でございますが、私どもとしましては何としても延長は避けたい、かように考えておるわけでございます。と申しますのはIMFとの打ち合わせにおきましても、その法律はどうもおかしいじゃないかというふうな指摘を受けました経緯もございまして、今後自由化をますます進めていくという際に、その法律のあり方に対しましてはいろいろ批判が出ることと思います。従いまして私どもとしましては延長は避けたい、ただし関係につきましてはなんとかして沖縄の産業が立ち行くことができるように適当な関税を設けたい、かように考えております。
  73. 松平忠久

    松平委員 今の件はパイナップル・カン詰だけなのですが、パイナップルのジュースだとかあるいはパイナップルの実そのものはどういうふうになっておりますか。
  74. 今井善衛

    ○今井説明員 パイナップルのジュースにつきましては、あの特例法の適用はないわけでございます。今までは差益はとってないわけでございます。ただ関税につきましては、これは何%になっておりますか私もはっきりは知りませんが、とにかく関税はかかっておるわけであります。その場合に、沖縄から来ます場合には無税でございまして、従いましてその点は現在でも調整できておるわけでございまして、ジュースにつきまして、もし現行関税で保護が不十分であるということになりますれば、当然検討しなければならぬと思いますが、ジュースにつきましてどの程度検討が進んでおりますか私今ここでちょっとお答えできないのであります。  実につきましても同じでございまして、私実は詳細には承知しておりません。
  75. 受田新吉

    ○受田委員 関連して沖縄問題についてお尋ねしたいのですが、大体今のパイナップル以外で関税をかけている沖縄の生産品があるのでございますか。
  76. 今井善衛

    ○今井説明員 沖縄の特産品ということになりますれば、おそらく関税はかけるべきじゃないと思いますが、ほかの国から競争品が入ってくる場合におきましては、建前として関税はかかっておるわけでございまして、その場合に沖縄から入れるものだけは当然関税は無税ということになりまして内地並みということになりますので、沖縄から入ってくるものについては保護を受けておる、こういう形になっております。
  77. 受田新吉

    ○受田委員 沖縄の純粋な国産品で関税をかけておるものは、全然例がないと断言できるわけですね。
  78. 今井善衛

    ○今井説明員 沖縄の特産品と申し上げたわけでございます。たとえば、私よくわかりませんが、つむぎは大島ですか沖縄ですが、要するに沖縄だけの特産品であって、ほかの地域にそれに似た生産がないということになれば、当然無税であってもしかるべきでございますが、先ほど例がございましたように、沖縄の砂糖であるとかいうことになりますれば、台湾なりフィリピンに競争品がございます。それから先ほどのパイナップルのカン詰あるいはパイナップル・ジュース、それぞれみな競争品がございますので、従って関税定率法では基本税率として関税はきまっておるわけでございますが、別途例外措置によりまして、沖縄から入ってくるものだけは無税ということになっておるわけでございます。
  79. 受田新吉

    ○受田委員 われわれ施政権の返還を要求している建前もあるので、一つ一つ行政権の部分で、なしくずし的に施政権が日本に返還されて、沖縄住民の多年の念願である日本への完全復帰という形のものを強く主張しておるわけであります。従って競争品があるにしても沖縄で生産をしておるものについて、それを国内に入れる場合に差別的な待遇をするということがかりにあったとしたならば、その部分だけはもうアメリカの行政権がこちらに全然譲られないということになる。手っ取り早い施政権返還の一面だと思うのですが、砂糖のごとき、台湾が競争相手でありましても、沖縄を日本の国と見て施政権のその部分は返ってくるという立場から、関税は、沖縄産の砂糖についても全然考慮すべきものではない、こういうふうに断定していいのじゃないか。そういうところを一つ一つなしくずして、施政権が日本に返ってくるという努力政府はいろいろの角度から検討しておられると思うのですが、関税といえば大蔵省関係するわけでございますが、あなたの御所管で御答弁できるそうした通商行政面における施政権の変還の努力を、どうされているかをお答え願いたいのです。
  80. 今井善衛

    ○今井説明員 私の答弁が少し誤解を招いたようで恐縮でございますが、沖縄から入りますものは、私の理解しております限り、いかなる商品も無税でございます。それは砂糖にしろあるいはパイナップル・カン詰にいたしましても、基本の税率はございましても、それは沖縄には適用されないという意味で無税でございまして、関税の問題はそのように御理解を願いたいと思います。  それからその他の通商上の問題につきましては、私どもは沖縄は内地と一体であるというふうな考えで運用しておるわけでございまして、輸入につきましてはもちろん全部自動承認制で、手続だけはちょっとしてもらいますけれども、いかなるチェックもいたしておりません。それからさらにたとえば担保率の問題にいたしましても、ほかの地域は非常に担保をかけておりますけれども、沖縄だけは特例として何もかけていないわけでございます。これはガットでもって差別待遇をすることが認められておりますので、唯一の特例としてやっておるわけでございます。  それから輸出等につきましても、これはわれわれとしましてはでき得る限り制限をなくしたいという気持でやっておるわけでございまして、たとえばほかの地域に輸出する場合には、梱包等について厳重な規格を要求しておりますけれども、今度たしか一ヵ月か二ヵ月前にそういうことも改正いたしまして、梱包も非常に簡単な手続で、簡易梱包と申しますか、梱包で金がかかるようなことはしなくていいというふうなことにしておりますし、そのほかいろいろな輸出規制につきましても、沖縄については特段の配慮をしておる次第でございます。私どもとしてできるだけ沖縄との貿易が内地と同様の状態になるように、支障のない限りそういうふうな状態でやっておる次第でございます。      ————◇—————
  81. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 引き続き中小企業の年末金融に関する質疑を続行いたします。田中委員
  82. 田中武夫

    田中(武)委員 実は中村君の質問が終わってから、最後に私やるつもりであったのですが、大堀長官予算折衝のために急ぐということでありますので、参考人に対する質問ではございませんが、少し先にやらしてもらうことを御了解願います。  実は先日の委員会で私が取り上げました信用協同組合に対する配当の問題について、きょう大蔵省から文書による回答をいただいたわけなんです。ところがこれについて私は若干の疑問を持つ。といいますのは、まず第一点として、この回答は中小企業庁とも相談の上だと聞いておりますが、中小企業協同組合法第五条第四号では「出資額に応じて配当をするときは、その限度が定められていること。」となっております。それで五十九条第二項には、「剰余金の配当は、定款の定めるところにより、組合員が組合の事業を利用した分量に応じ、又は年一割をこえない範囲内において払込済出資額に応じてしなければならない。」こう規定がある。ところがこの回答は五条四号と五十九条二項、これを同列に置いておる。私はそうではなくて、五条四号において「その限度が定められていること。」、こうなっておる。その限度を五十九条二項の後段においてきめておるのだ。従って五十九条二項があることによって、出資率による配当、利用率の配当を同列に置いて選択ということにとったという基礎にはならない、こう考えておるわけですがその点いかがですか。この回答はいわゆる五十九条二項があることによって、「又は」とあるから、利用率配分、分量配分と、それから出資額配分とは同列に置いて、どちらか選択できるようなきめ方になっておる、こういう解釈なんです。ところが法律はそうじゃない、こう思うのですがどうですか。——わからないだろうから言ってやろう。中小企業庁から出しておる模範定款例というのがある。その五十五条、これは最近変えたそうですが、「総会の議決を経て、年一割の範囲内において、事業年度末ごとにおける組合員の出資額に応じてし、なお剰余があるときは」云々となっておる。この模範定款例によってはこの法律の精神を逆にしてしまっている。協同組合法を無視したことを模範定款例が書いておるわけです。いつ気がついたか知らぬけれども、最近直した、こういうことです。直したのはどこかというと、五十九条二項と同じことを書いておる。しかも利用率分量配当に対しては九条だったかによって無税となっておる。税金を取るためにこういうことをやっておる。これはだれが長官のときに出したのかしらぬけれども、模範定款例が法律無視のものを出しておる。中小企業庁に協同組合法というものがわかっておる人がおるのか、こう言いたい。答弁できまい。
  83. 大堀弘

    大堀説明員 大蔵省でお出ししました資料は、私どもも打ち合わせを受けまして、法律の解釈といたしましては、五条と五十九条との関係について、両方合わせまして五十九条にございますように、事業利用配当または出資配当も一定の限度内においてということで、「又は」ということでございます場合は、通常いずれかというのが法律の慣例になっておりますが、そういうことでいずれが優先という趣旨ではない。いずれの場合も定款の定めるところによってやり、実情に応じてきめてよろしいという建前になっておるわけでございます。私どもの事業組合関係の模範定款例に以前は出資配当優先で書いておったようであります。これは確かに行き過ぎだとわれわれも考えておりますが、二年前にこれを改めまして、五十九条と同じような趣旨に書き改めておるようなわけでございます。法律の解釈といたしましては、大蔵省でお出しになった資料考え方と私どもも同じような考え方をとっておるわけであります。
  84. 田中武夫

    田中(武)委員 そういうことじゃないのだ。まず模範定款例の五十五条ははっきりとした法律違反です。これはあとでやりましょう。まず協同組合法の五条四号と五十九条二項との関係だ。これを同列に見て、どちらを選ぼうと勝手だというようにあなた解釈するのですか。法律をよく見てごらんなさい。限度を越えないこととなっておる。その限度を一割ときめた規定です。法律の解釈はまずその法律の目的を頭に入れて考えなくちゃいけない。協同組合といったらどんなものですか。協同組合の本質がわからぬで、中小企業庁長官が勤まるのかね。
  85. 大堀弘

    大堀説明員 これは協同組合でございますから当然組合員が出資し、また組合員のために事業をやっておるわけでございますから、その点では御趣旨のようにやはり私ども組合の精神からいうと、精神的には五条が全体的な方向を示していると考えます。ただ五十九条にごらんのような規定がございますし、これをあわせ読みまして、やはり定款において実情に応じてきめ得る。しかし私どもとしては協同組合の制度の精神を考えて運用していかなければならぬ、かように考えております。
  86. 田中武夫

    田中(武)委員 それを並列して選択権として見るか、一方が優先するかということについては、またあとで法制局の部長が来ておるから法律的にやりましょう。あなたは今実情に応じて、定款において云々と言っておる。その模範定款がさっき言ったように五十五条を今変えたという。なぜ変えたかはっきりしない、いつ変えたかわからないが、ともかく変えた。その模範定款の五十五条は、いわゆる出資率配分をやって、なお残った場合は利用分量による配分をするのだというようなことを模範として出しておるわけです。これは明らかに中小企業協同組合法の五条四号の無視、違反である。しかもそのねらいとするところは、九条では事業の利用分量配分については免税なんだ。それに税金をかけるためにやった、こうとしか解釈できないのだ。まず第一番にこの間違った模範定款を出したことはどうなんだ。しかもそれを直したというのは、これは五十七条二項と同じことを書いておるわけなんだ。まずあなたが言う実情に応じて定款においてというのは、あなたが指導してきたというのは過去においてだろうが、中小企業庁が指導してきたのは五十五条においてやっておるのだ、これはどうなんだ。五十五条は何のために作ったんだ。
  87. 大堀弘

    大堀説明員 事業協同組合定款例五十七条では……
  88. 田中武夫

    田中(武)委員 五十五条はどうしたのだ、五十五条から言っているのだ。これを大きい声でずっと一ぺん読み上げて見い。
  89. 大堀弘

    大堀説明員 今田中先生資料は、ちょうど私どもの改正前の模範定款例のようでございます。
  90. 田中武夫

    田中(武)委員 改正というのは何の改正だ。
  91. 大堀弘

    大堀説明員 二年前の協同組合定款例を直しておるわけであります。その直す前の定款例に、五十五条におきましては、先生指摘のように解釈上疑問の点があるわけでありまして、これを二年前に訂正いたしまして、現在事業協同組合定款例第五十七条に書いております条項は「前条の配当は、総会の議決を経て、事業年度末における組合の出資額もしくは組合員がその事業年度において組合の事業を利用した分量に応じて、または事業年度末における組合員の出資額および組合員がその事業年度において組合の事業を利用した分量に応じてするものとする。」という書き方に改めたわけであります。
  92. 田中武夫

    田中(武)委員 その改めたことはわかっておる。そう言っておるのだ。それじゃその五十五条があった当時は、この中小企業協同組合法の五条四号はなかったのかどうか、五条四号は効力がなかったのですか。
  93. 大堀弘

    大堀説明員 五条の規定はその当時は確かにあったわけでございます。当時の実情を伺いますと、やはり組合の自己資本充実という趣旨の方が多少優先しておったので、行政指導上出資配当の方に重点を置いた考え方をとっておった。しかし最近は三十四年以来改めまして、先ほど申しましたような規定に直しておるわけでございます。
  94. 田中武夫

    田中(武)委員 あなたが長官のときでないので、あなただけを責めるのはこれはいけないかもわからぬけれども、事業協同組合は経済活動もするものだ、従って資金が必要だから出資金による配当も必要である、当時はそれを重点に置いた、こういうことならあなたたち行政官が勝手に法を曲げちゃ困る。それならなぜ中小企業協同組合法を改正しなかったのか。ここにちゃんと五条四号があるにかかわらず、行政指導であるところのこの模範定款例にこういうことをうたうことは、明らかなる法律違反である。しかもそれは同法九条によって利用分量配当に対しては税をかけないとなっておるのに、税がかかるように指導した、こういうことなんでしょう。いかに言いわけをしようとも、この五十五条が二年前まであったということ、このことは中小企業協同組合法五条四号を無視して出されておったということは明らかである。もしかりにあなたが言うように協同組合も事業をやるのだから資金が必要だということならば、法をまず変えるべきである。法を変えないで行政の点において法を無視しておるということは何事だ。そうでしょう。しかもそういう頭でおるから協同組合の指導ができない。いいですか、中小企業庁の諸君は協同組合の本質を御存じなのか。どうなんです。
  95. 大堀弘

    大堀説明員 以前の定款例におきましては、私も拝見して確かに適当でないと考えます。今日とっておりますところは訂正をいたしておりまして、これは現在の法律解釈から言いましても妥当ではないか、かように考えておるわけであります。今後十分注意をして参りたいと思います。
  96. 田中武夫

    田中(武)委員 前に私は銀行局長に三十四年三月十一日付蔵銀二百六十二号の通牒を尋ねた。あの当時は五十五条の方がまかり通っておったのだ。その上に立ってやられておった。そのことは、協同組合の精神を解せずしてしかも協同組合の法を踏みにじって、行政権によってそういう指導をしてきたということがはっきりしておる。そこでどういう指導であるか知らぬが、二年前に五十七条二項によって変えたというのだ。これは法律の五十九条二項と同じことを書いておるだけのことだ。そこに一つ誤りがあって、もう一つはこの法律なんです。五条の四号と五十九条二項、これを同列に見ているのかどうか。いわゆる利用分量配当と出資配当とを選択権としてこの法律は認めていますかね。どうです。「又は」という字があるから選択だというのは、そういうことじゃないでしょう。まず法律を解釈するときには法制局なら法制局の意見があると思う。「又は」ということはどうとかいって前例を引くだろうと思う。それはあとで聞きます。それはそれとして、担当の中小企業庁として中小企業共同化を進める、あるいは協同組合を育成指導するという立場から見て、そういう法解釈があるものなんですか。これを同列に見て選択をするのだ、そういうような解釈も出てきますかね。
  97. 大堀弘

    大堀説明員 剰余金の配当につきましては五十九条二項で定款の定めるところにより、利用分量配当あるいは出資配当、これは「又は」でつないでおりますが選択が可能だと私どもも考えております。
  98. 田中武夫

    田中(武)委員 これは法律論になると思うのですが、私の言っているのは、五十九条二項は五条四号の限度を定めることとなっておる、限度を一割と定めた規定なんです。しかもこの法律は、「又は」ということは結局この五条の四号が利用分量配当を優先せしめるのだ、そうしてそれに対しては九条によって税金をかけないのだ。それから第二に考えられるのが、出資額による配当なんです。それは一割をこえてはいけないという法律の趣旨なんです。五十九条二項がここにおいて選択を認めるというなら、五条四号との関係はどうなるのですか。この条文は死文ですか。
  99. 大堀弘

    大堀説明員 第五条の四号の規定から言いますと、「剰余金の配当は、主として組合事業の利用分量に応じてするものとし、出資額に応じて配当するときは、その限度が定められていること。」とございます。これは御承知のように、「主として」と書いて、ございますから、趣旨からいうとやはり利用配当を尊重するという趣旨が出ておると思います。ただしこれは出資配当を禁止している趣旨ではないと私は解釈しておるわけであります。
  100. 田中武夫

    田中(武)委員 だれが禁止しておると言った。否定はないのだ。ここにおいては限度を定めることと書いてある。五十九条二項は限度を一割と定めた規定なんですよ。そう読むべきではないですか。「主として」という言葉はどうなんです。あなたが言うように、配当については五十九条二項だというなら、五条四号はどうなるのですか。これは要らぬ条文ですか。それじゃ削除しましょうか。
  101. 大堀弘

    大堀説明員 五十九条は利用配当または出資配当と書いておりますが、定款で実情に応じてきめてもよろしいということだろうと思います。五条の方は、その趣旨としては、やはり「主として」という点に重点があるというふうに考えなければならぬ、私はさように解釈いたしております。
  102. 田中武夫

    田中(武)委員 それじゃここでいう、あなたの方と打ち合わせて銀行局で出してきたこの資料の中で、二枚目のところに、「利用配当と出資配当との選択を認めたものと解せざるを得ない。」という言葉がある。そうじゃないのだ。一方は優先だ、選択は二者同列じゃないのだ、一方は優先だ、五十九条二項によって選択権を持たした、こういう意味じゃないでしょう。法制局、どうです。
  103. 山内一夫

    ○山内説明員 おっしゃるように、五条というものがありますから、利用分量に応じて主としてやれ、これはやはり基本原則だと私も思うのでございます。それで利用分量に対する配当と、それから出資金に対する配当、この両方またはどちらかできるということは、それは五十九条も規定をしておりますけれども、それは実を申しますと、五条自体にも規定しておることだと思うのであります。ですからやはり基本的な考え方は、先ほどから田中先生おっしゃっていらっしゃるように、協同組合の精神からいって、事業利用分量に応じて配当することはやはり基本的な考え方だと思うのです。ただ実を申しますと、先生の御質問の背後にあるものは、一体剰余金が幾らあったときにまず額として出資金の方に多くいく場合に五条の違反の問題が起こるかという問題だろうというふうに、私は実は思っておるわけであります。今先生直接そのことをおっしゃっておるわけではありませんけれども、私はそう理解しております。その出資金に対する配当というものは、実は出資が協同組合において必要である限りにおきましては、どうしても配当せざるを得ないと私は思うのです。非常に低い、たとえば一分だとかあるいは二分あるいはゼロだというふうにいたしますれば、出資を引き揚げるという問題も生ずると思います。ですから剰余金が少ない場合には、協同組合の維持のためにどうしても普通の金利に対しては、市場の平均利潤率というものがありますから、その限度においては実際問題としては出資金に対する配当を優先するということは、協同組合の存立を守るためにやむを得ないのではないか、かように思っておるわけです。模範定款例の場合も、先ほど先生がおっしゃった、前に改正された長官の言っていらっしゃる模範定款も、文言上は、私は協同組合法をそのまま読むと、やはり長官も認めておられるように適当でない。あるいは文言通り読めば違法であるというふうに感ずるのですが、剰余金の額というものが非常に少ない場合には、やむを得ずそういうことになるということは、私は現、実問題としてはあり得るのではないか、かように思っております。
  104. 田中武夫

    田中(武)委員 法制局は法律の解釈だけでけっこうです。従って、私ら何も五条四号違反だとは言っていない。ただ問題は、五十九条二項があるために選択権としていわゆる同列に認めたものではないのだ、あくまで五条四号の方が優先しておるということを言っているのです。法律の解釈はそれでいい。あなたのおっしゃるように、問題はそこから離れて、そのもとにおける行政指導の問題なんです。行政指導にあたって先ほど言った五十五条のような模範定款を作り、それを途中で気がついて変えたのだと思う。そういうことでそういう精神でやっておるということ、そんな考えであるから、それを受け継いで大蔵省の銀行局がこの前に問題にしたような、三十四年の蔵銀二百六十二号だったか、通牒のようなものを出すのだ。それに対して出てきた。これが法律的にもあるいは中小企業庁との打ち合わせの結果だということについては、私はなおさら中小企業庁の態度に、そういう考え方を持っておるのかということで疑問を持つ。そこでこれを言っているわけなんです。しかもそれを裏を探せば、利用分量配当は九条によって税金をかけないのですから、税金のかかる分をなるべく押えて——もしくは五十五条模範定款のようなものであれば、一方でやってなお残った場合となっているのであります。そうしたら税金のかかるやつを先に取っておいて、税金のかからぬやつはあと回しだ、これは協同組合の精神、五条四号と違っておる。しかもそういうことをもってあなた方は指導しておる。その行政指導が誤りである、こう言うのです。だからそれが誤りであるかどうかはっきりして、もう一度相談をした結果、今後この種配当はどうするのか、ことに信用組合に対する配当はどう考えていくのか、もう一ぺん回答を出し直して下さい。
  105. 松平忠久

    松平委員 その通りなんだ。この協同組合というものは零細なものが集まって協同して事業を営み、信用組合だって同じですが、その利益が出たという場合には、なるべく税金をかけないようにやろうというのがこの法の精神なんです。それだから配当する場合に利用配当の方は税金をかけないのだ、こういうふうにしているわけです。それを優先的にきめているわけです。ところが今日までの指導の仕方というものは、利用分量による税金をかけない配当をやらせないようにして、出資配当をやらせる、こういう指導方針を今日までとってきた。定款の中にもそういうことが書いてある。それを二年前に改めたけれども、二年後今日まで利用分量についての配当というものはやらせましたか。二年前に定款例を改めたけれども、今日中小企業庁も銀行局も各信用組合に対して全部やはり出資配当をやらしている。税金のかかるようなやり方をやらしている。わざわざ法律でもって税金をかけないようなやり方を優先的に考えておるにもかかわらず、実際の指導は税金をかけるような配当を指導してきておる。それが間違っておる、こういうことを田中君が言っておるわけなんです。ですからこれは今田中君が言うように、即刻従来の指導方針を改めて、税金をかけないような配当をやらせるような工合に政府部内できめて、そしてここに回答しろ、こういうことです。
  106. 田中武夫

    田中(武)委員 私のなにを補足して松平さんが言われたと思うのです。従って委員長から確認していただきたい。この銀行局の回答は銀行局の回答として、このまま受け取っておきましょう。しかし、中小企業庁のやり方、及び大蔵省のやり方については、今松平さんが言ったように多くの疑問がある。従って、この法律に照らしてどういうような指導をするのか。それをもう一ぺんよく相談をして、はっきりと回答してもらいたい。これは委員長がら確認しておいて下さい。
  107. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 ただいまの田中委員の説に対しましては、中小企業庁においてそれぞれ関係方面と協議の上、適当な回答を出していただくようにお願いいたします。  中村さん、一つ結論をつけていただきましょうか。中村重光君。
  108. 中村重光

    中村(重)委員 予定の時間がだいぶ経過したようでありますから、本日の参考人及び説明員に対する私の質問は通常国会に譲りたいと思います。ここで各金融機関並びに通産省大蔵省と、それぞれの関係者に強く注意を喚起したいことは、いろいろと質疑が行なわれましたように、中小企業金融難というものは、全く深刻なものがあるわけです。その点に対しては、私が申し上げるよりも、第一線の各金融機関の方々が十分知っておられると思うのであります。先日も私は質問いたしましたが、保険公庫関係にいたしましても、保証をするならば、必ず銀行は貸すんだという答弁をされた。しかし、わずか三十万円の融資が、保証協会が保証をし、印鑑証明の準備をさせたのにもかかわらず、銀行がこれを拒否するという態度をとっておる。これは最も新しいことで申しますならば、十月の十日にそのようなことが行なわれておる。しかもまた、零細企業というものに十分配慮して金融をするんだという御答弁がありました。しかし、保証協会の資金が詰まって参りますと、信用力の弱い、担保力の弱い借り入れ申し込みに対しては、これを拒否するという態度が出ている。これが現実に行なわれておる。しかも、保証協会においては、一定の金額以上の貸付は審議会がこれを決定する。その審議会には、各金融機関の代表者が出て審議をするということなんです。そのようなことから、理事長が答弁されたこととは全く逆の現象というものが現われておるということを十分知ってもらいたいと思うのであります。また中小企業金融公庫の問題にいたしましても、先ほど森永総裁は、現在集約をしていないのではっきりどのくらい不足であるということはわからぬ、こういう御答弁であった。そういう面もありましょう。しかし十四の支店長会議において、中小企業金融難というものが非常に深刻であり、逼迫しておるということを、各支店長からるる報告が行なわれたはずであります。九州の福岡支店におきましては、すでに審査決定をしたものが五十二件、それが資金がないために貸付ができないでおるという現状であります。中小企業金融問題は、多くのスペースをとって各新聞とも深刻な状況を伝えていること、これまた御承知の通りであります。また私が申し上げるまでもなく、例の商工債で融資をする、この商工債の消化というものが非常に無理な割当が行われておる。この点に対して大蔵省は特に留意をしていただきたいと思います。各支店に商工債を割り当てる、それを消化しなければ貸付資金不足をする、そういうことから見ても従来のお得意さんにこれを押しつけるという形が出ております。この商工債の消化というものが、政府において出資するということにも関係をして参りましょう。この点に対しては、現在の商工中金融資というものが協同組合の組織の強化という上にとって、非常に重要性を帯びる融資であるということを考えるとき、しかもこの商工債が中心となってくる融資であるがために、金利が非常に高いということ、このことが中小企業の発展というものを非常に押えておるというこの現実を十分考えて、商工中金に対する預金の問題等も形式にとらわれることなく、現在の実態を十分把握して、預金等をするという配慮が必要であると考える。しかも商工中金は、先日北野理事長は預金は無理にさせない、金が余ったならばこれはよその銀行に預けないで、商工中金に預けてもらいたいということを希望しておると言われたが、現実はそうではありません。預金をしなければ貸さないのであります。市中銀行より無理に預金をとっておるというこの現実を十分北野理事長は知ってもらいたいと思います。その他いろいろと申し上げることがありますけれども、具体的な点は通常議会において申し上げることにいたします。どうか本日のこの決議の趣旨を十分体得されて、中小企業金融の円滑化のために、十分に努力していただきたいということを強く要望いたしまして、私の質問を打ち切ります。
  109. 早稻田柳右エ門

    早稻田委員長 それでは本日の質疑はこれで終わります。  参考人の方々にはおそくまで長時間にわたって熱心に御説明をいただきまして、まことにありがとうございました。厚く御礼を申し上げます。  次回は公報をもって御通知することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時四十七分散会