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1961-10-20 第39回国会 衆議院 商工委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十日(金曜日)     午前十時三十五分開議  出席委員    委員長 早稻田柳右エ門君    理事 内田 常雄君 理事 中村 幸八君    理事 板川 正吾君 理事 田中 武夫君    理事 松平 忠久君       浦野 幸男君    海部 俊樹君       神田  博君    首藤 新八君       白浜 仁吉君    田中 龍夫君       中垣 國男君    野田 武夫君       林   博君    加藤 清二君       久保田 豊君    小林 ちづ君       中嶋 英夫君    中村 重光君       西村 力弥君  出席国務大臣         通商産業大臣  佐藤 榮作君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         総理府事務官         (経済企画庁         調整局長)   中野 正一君         通商産業政務         次官      森   清君         通商産業事務         官         (通商局長)  今井 善衞君  委員外出席者         通商産業事務         官         (繊維局長)  松村 敬一君         専  門  員 越田 清七君     ――――――――――――― 十月十九日  中小企業金融公庫神戸出張所支店昇格に関す  る陳情書(第  一五七号)  大阪に西日本特許行政機関開設に関する陳情書  (第一五八号)  離島振興法恒久化に関する陳情書  (第一七六号)  中小企業振興基本法制定促進に関する陳情書  (第二三六号)  東北開発事業拡充強化等に関する陳情書  (第二三八号)  諸物価値上げ反対に関する陳情書  (第三〇七号)  地域工業開発総合推進に関する陳情書  (第三一二号)  地方都市産業開発促進に関する陳情書  (第三一三号)  街路灯維持費軽減に関する陳情書  (第三一七号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  輸出入取引法の一部を改正する法律案内閣提  出第二八号)      ――――◇―――――
  2. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 これより会議を開きます。  輸出入取引法の一部を改正する法律案を議題とし、審査を進めます。  質疑を続行いたします。久保田豊君。
  3. 久保田豊

    久保田(豊)委員 長官の方があまりお時間がないそうですから、私はごく大きな問題だけ最初にお聞きいたしたいと思います。私は輸出産業等の問題については全くのしろうとであります。同時に全く勉強もできておりません。従いましてこれからいろいろ御質問をすることは、ごく常識論であり、しろうと論でありますから、わからないところは笑わずに丁寧に教えていただきたい。こういうことを最初にお願いしておきます。常識論を卒直に申しますから、一つお答えをいただきたいと思います。  まず第一にお聞きをしたいのは、長官といたしましてはちょうど一番むずかしい年であります三十六年度の上期が終わって、下期に入るというところであります。この段階で、現段階考えられる政府の一応の景気調整策といいますか、引き締め政策は出尽くした格好だと思うのであります。まだ今後におきまして第二段、第三段の引き締め策がとられるかもしれません。情勢はなかなかむずかしいと思いますが、この段階政府の方としては具体的にどう見ておるのかということであります。その要点は、政府ないしはそれに近い筋でいろいろのこれに対する意見があるように、われわれの方には見えるのであります。あるいは新聞等を通じてそういう面がいろいろ伝えられる従いましてそれに即応しまして、政府が今後ないしは三十七年度のはっきりした見通しなり計画を発表しないということと連関いたしまして、今後の調整段階でいろいろの疑問があると思うのであります。そしてそれが一つ迷いになりさらにそれが大きな不安になっておることはいなめないと、思うのであります。私のしろうとの直観でありますがこれについては私どもは今の段階は第一段階といいますか、総合的な引き締め政策が、どうやらやっと緒についた程度であって、まだまだ本格の調整策というところには行っていない。しかもその現われ方が非常にアンバランスといいますか、でこぼこに出ておる。それがある面においては、非常にいろいろな摩擦を起こしておりますけれども、全体としてはまだまだ引き締め策をさらに調整するというような段階ではないように思うのであります。ところが政府ないしは与党筋の中からは、たとえば株価の非常な暴落に応じまして、あるいはその他いろいろな問題に照らしまして、この引き締め政策を、たとえば一部にいわれているように、来年の七月以前、つまり参議院の選挙なり総裁選挙以前に国際収支均衡を保つような方向へ、何らかの手を打っていかなければならぬだろうという考えもあるようです。また同時に池田さんの言われるように、少なくとも来年の暮れにならなければ、需給均衡ということにはならぬという、一応の意見もあるようです。さらに民間では、とても来年の下期ではまだ十分じゃないだろう、少なくとも、再来年の上半期にならなければ、国際収支均衡という段階まではこないだろう。また来さしてはいかぬだろうという見込みは、同時に政策の内容になると思うのです。こういういろいろな問題が外貨においてあるのです。もちろん次々に出てくるいろいろの摩擦面においては、政府として部分的な調整をしていくのは当然だろうと思う。この大筋については、総理の言うように、いやこれがデフレ政策でないとか、政策の変更でないとかいったって、現実はもう明確にデフレ政策です。従ってデフレ政策を今後少なくとも下期においてはどの程度まで徹底さしていくのか、あるいは来年度に対しましてもどの程度にまでこれを堅持していくのかという態度を、少なくとも何らかの形で、はっきりした見通しなり計画なりという形でないまでも、動揺をするような態度というものは、かえって国民を非常に混乱させ、この事態の合理的な終結を困難にさせるのではないかというふうに思うのです。私が見るところでは、今徹底をした段階というのは何かといいますと、はっきり言いまして池田さんに対する国民の不信というものが徹底したということが一つです。少なくとも池田さんのあの政策、特にいろいろな数字について池田さんの言うことは信用ができない。とにかく昨年度の下期の予算前提になりました経済見通しと今日とは、十億は違わないまでも八億幾ら、政府中央試算でもはっきり違うのですね。たった二十億くらいの外貨の手持ちの中で、約半額に近い外貨の狂いが出てきて、それでおれの見通しは、計画は間違ってなかったんだ、政策は間違っていないぞ、これは要するに財界協力がうまく十分に得られなかったといったって、こんなことを信用する人はありませんよ。そういう意味においては、池田さんが非常に高姿勢で、経済のことはおれにまかせろ、生命財産までおれにまかせろといった口の裏から、次々に事実と違ってきているという点は、あなたを前においては同じ閣僚で言いにくいと思うのですが、この点は少なくとも国民の間で徹底したと思うのです。従来心理面では、池田さんのラッパに踊らされて、倍増計画に乗っかった財界その他に非常な楽観的ないわゆる成長ムードというものがびまんしておったと思うのです。こういったものが非常に慎重になってきたという点は、確かに今日の段階でははっきり言えると思うのであります。それから引き締め政策が一応出尽くしたということは、これも一つの今の段階だと思います。しかし引き締め特に金詰まりという形におきますものは、まだ完全に徹底しているとは言えないと思うのです。一部におきましては、御承知通り日銀が非常に窓口規制を強くいたしました。それが市銀を通じてさらに主要な企業にいく、こういう程度はいっておりますけれども、たとえば都市銀行やあるいは中小企業向け銀行等については、どれだけ金融引き締め徹底をしているかというと、まだ相当疑問じゃないか徹底しない面が相当あるのじゃないか。こういう点もまだ部分的ではないかと思うのです。それから設備投資引き締めというようなことも、まだ絵にかいたもちの程度であって、実行段階にはいっていないというふうに思われるのです。その中で株とかあるいは繊維とかいうふうなものの不況は非常に強くなってくる。あるいは国際収支赤字もまだ改善の緒にはついていない。貿易もまだまだ十分に改善の緒についていないというふうな点であって、問題はこれから政府引き締め政策——私は必ずしも引き締め政策賛成じゃありませんけれども、政府立場に立っていえば、どうしてこれを部分的調整をしながら徹底をさせるかということが、今後のこの問題に対する山だと思うのです。にもかかわらず、早くも来年度の予算編成連関をいたし、あるいはその他いろいろの政治情勢連関をいたして、あたかも今日の段階引き締め政策なり、それから出てくる不況がきわめて簡単に解決のつくような考え方をしているということは、私は政府としても非常な責任問題でもあり、むしろこの調整段階を誤るものじゃないかと思うのです。この際に企画庁長官としては、全体の経済調整といいますか、大筋の指導をはかるべき立場として、今日の段階における情勢について、先々の見通しでなくても明確な内閣意思統一をし、同時にでき得ればこれに対する何らかの方針を発表して、今混乱をしつつあろうとするいろいろの状況についても、明確なあれをすべきではないかと思うのであります。これは全くのしろうと論であります。  そこで長官にお伺いしたいのは、今の調整段階長官は、内閣全体としてはともかく、企画庁長官経済政策調整者としての長官として、どうごらんになっておるのか。そして今私が申し上げたような何らかの統一をして発表する必要があると思うのですが、これをおやりになる意思があるのかないのか、この二点を明確に一つお答えをいただきたいと思います。
  4. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 しろうと論と言われますけれども、経済の実態の動きというものは、現実経済理論だけで動くものでないわけでありまして、個々の産業関係者あるいはそれをバックしている国民の精神的な動きによっても相当左右されます。そういう意味において、いろいろ御質問があり御意見があることはわれわれも非常に喜んでおるのでございます。同時に私自身も経済学者ではございませんから、あまり理論に沿っての議論になりますとあれになりますけれども、そういう意味において一つお聞きいただきたいと思います。私は現在の段階で今とりました方法は、抑制策としては総合的にある程度行き届いたものになったと思います。従ってこれが推移を見て参りますことが一番大事だと思っておりますが、現在においてこの抑制策を堅持して参ることが私は一番大事だと思います。そうして再び追加的な抑制策をしないでも、この全体の抑制策でもって押していってやることが、経済人心理からいいましても、民間迷いを起こさない意味からいいましても——いけなければまだあとに手を打つんだというよりも、この政策自体を堅持して進んで参りますことが非常に必要だと思います。ただ経済の過熱がある程度加速度になって参りましたときに、かなりこういう強力な手を打ちまして、従ってちょうど自動車に急ブレーキをかけたようなものでございまして、乗っていらっしゃる方の中で、頭をぶつけてけがをしたり、あるいは脳震蕩を起こしたりする方が起きないとは言えないわけでございます。あるいは現に中小企業の問題にしても、そういうことが言えるのでございまして、そういう面についてはやはり安定的な成長と同じように、安定的な抑制ということを考えて参らなければならぬ。でありますからそういうものに対する事こまかな手は、ある程度やって参らなければ、自動車全体が健康な状態で、けがをしないようにお客様を向こうに運ばなければならぬ。けがをして運んだのでは何にもなりませんから、最終的にバランスの合った、景気調整の終点までなるべくけががないように、そういう意味においていろいろな事こまかな手当をして参ることは必要だと思うけれども、その事自体景気抑制策をゆるめるという問題ではございません。堅持して参りながら、全体をできるだけ安全に安定的にお客さんを運んでいこう、こういうことなのでございます。でありますから、そういう意味において事こまかにやって参ります点については、時期方法等を選びつつやって参りますが、それが何か軌道をそれて、さらにその手がスピードを増すような手になってはいかぬかと思うのでございまして、そこらの今後の経済行政担当官庁動きというものが非常に重要になってくる。経済企画庁といたしましても十分な関心を持ってそういうことをながめながら、われわれ御注意申し上げていくものは注意し、あるいはお考えいただくものについてはお考えいただく、こういう態度でやって参りたいと思います。今これだけ打ちました手が、約一カ月しかまだたっておりませんので、何とも現状について十分な把握をいたすわけに参らないのは残念でございますが、私は少なくも企画庁長官としてこの手を打つように考えました。そして総合政策そのものについて賛成しました考え方というものは、来年の秋を目途としてこの外貨バランスの上において、ある基礎的な状況を現出したい。これである程度その時期においてはまだアンバランスであっても、これ以上そういうアンバランスが続いていかない諸般の設備投資増加とか、国内消費とかそういういろいろなものの関係、そういうことを考えて、私としてはこうした総合政策をその目途としてやって参りたいということで推進し、また賛成をしてきておるわけでございます。むろん日本がこれだけ手を打ちまして、特に積極面においては輸出貿易促進ということをやっております。輸出が伸びればその時期がある程度縮まることも考えられます。あるいは輸入抑制されればある程度時期が縮まることも考えられます。しかしはたして輸入がどの程度抑制されるのか、また輸出がどのくらいに伸びるか、特に輸出が伸びるかということは、今日以後のアメリカ景気状況なりあるいはアメリカばかりではございません、豪州の金融情勢とか、あるいはイギリスのポンドの回復いかん、あるいは共同市場問題等それぞれの問題が関連して参りますから、これらのものを十分見ながら考えて参らなければなりませんが、少なくもそういうものがよくならないまでも悪化しないでいってくれるならば、来年の秋ぐらいを目途としてやらなければならぬし、またやるにはこの程度の方策を総合的にやって、まずいけるのではないかという考え方を現在持っておるわけでございます。そういう意味において。今後この抑制策がどういうふうにきいて参りますか、まだ一カ月でございますからもう一カ月ぐらいたちますと、現実にもう少し見通しがついて参ると思うのでありまして、そういう時期には企画庁としての見通しを出して参りたい。これは相当慎重に考えながらやって参りたい。そうしてそれにのっとって予算編成等についても内閣全体として、お考えいただきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  5. 久保田豊

    久保田(豊)委員 そこで次の問題についてお伺いいたしますが、今長官お話の中にもありましたが、これからの国際収支均衝回復がいつになるかあるいはどの程度うまくいくかという問題が一番かかる点は、内需抑制によりまして、輸入をどれだけ削ることができるかということが一つであり、さらに国内内需抑制その他によって、これからの輸出ドライブをどれだけ実現することができるかということであって、しかもどちらに重点があるかといえばいろいろな条件から考えてみますと、輸出が今後、これから下期から来年にかけて、どれだけ現実に伸ばし得るかということがこの問題の一番現実の焦点になると思うのであります。輸出を伸ばし得る条件についてはいろいろあると思うのです。内需抑制によって輸出意欲よけいにするということもそうでしょうし、いろいろ政府が今まですでにとり、またこれから講ずる輸出奨励策によってどれだけ競争力がふえていくかという点も一つでありましょう。あるいは日本設備投資、つまり自由化に対する合理化投資というものが、現実にどれだけ実って外国との競争力を増してくるかという問題が、内輪に見れば一番大きな問題になろうと思います。これらのこまかい点については、あと政府委員の方にこまかくお聞きしたいと思いますが、しかし何といっても今お話のありましたように、海外の事情がどうなるかということであります。これによって左右されるところが一番多いと思うのであります。少なくとも下記の計算では、政府のあなたのところからもらった計画によると、二十億ドルの上期の実績を大体において二億六千万ドルふやして下期において二十二億六千万ドルにしようということです。おそらく来年の秋ないしは暮れに国際収支均衝を回復するということならば、来年はさらにこの率を上げていかなければならぬ、輸出をふやしていかなければならぬと思うのであります。ところが実際は、前期の実績はどうかというと、前年度の同期に比べて四・五%いかないんですね。それを今度は後期においては一〇何%にふやしていこう、来年度はさらにこれをふやしていこうこまかい数字あとで言いますけれども、こういうことがどうしても前堤になると思うのであります。そしてそれが具体的にできるかどうかということですが、一つアメリカ市場が一番大きな問題です。御承知通りアメリカ市場については百数種のものについていろいろの制限がある。これをどう撤廃するかという問題もありますしそれからバイ・アメリカン、シップ・アメリカン、こういうことをどう解決していくかという問題もあります。さらにこれらを含みましてアメリカ国内経済事情が今後この下期においてあるいは今後次の大体三十七年度においてどう変わるかということに対する長官のお考えをお聞きしたいと思うのであります。  それと関連いたしまして、第二の問題は欧州についても同じであります。大体今までの実績を見ればアメリカについて実際には少し輸出が好転をし出したという程度でしょう。そして欧州は伸びている。しかもその伸びている品目は大体機械製品その他重化学工業品が伸びている。また政府としてはこれを今後伸ばそうということでございましょう。これらについての大体の見通しその見通しを裏づける要因というものは何かということをはっきり見る必要があるのじゃないか。アメリカはなるほどたしかにことしの初めからいわゆる景気が回復してきておることは大体において事実です。特に生産関係や何かは非常に回復しているです。しかし御承知通り最近は再びこれがドルの危機までになるかどうかわかりませんけれども、金の流出がよけいになってきたということですね。片方において個人消費その他が案外伸びていないということ、それから世界情勢変化、少なくともベルリンの問題を含みます再軍備のため三十五億ドルふえたようです。そういうことに関連する再軍備気がまえというものも相当多いようです。従ってそういうところからくる、ある意味においてのインフレ化というか、こういうことですね。つまり輸入輸出の黒字の幅が、最初よりはずっと少なくなってきつつあるようであります。こういう中ではたして日本期待するような私はあとで聞こうと思いますが、この二億六千万ドル増加の少なくとも大半というものはアメリカで、しかも重化学工業品輸出ということに政府としては期待をしそれをはじいていらっしゃるあなたの方で出した数字、そういうことをはたしてうまくいくのかどうか、さらに来年度それを伸ばし得る条件があるのかどうかか。アメリカはこの下半期から来年にかけて、まかり間違えば一つの大きなインフレになりはせぬかと思います。インフレになった場合、あるいは今のような状態で経過した場合、いずれが日本として輸出を増進するにいい条件になるのか。もちろんインフレが増進すれば、アメリカとしてはこれに対するドル防衛なり何なりの政策をさらに具体的な政策として強化してくる。こういうものを踏まえて、これをどう評価していくかということ——私は、今すでに長官から結論が出ておればお聞きしたいし、そうでなければおそらく企画庁として今後検討すべき一番根本の問題ではないかというふうに思うのです。  欧州についても、御承知通りイギリスはもうすでにある程度下降段階に入っている。ドイツは進んではおりますけれども、ベルリン問題の進展いかんでは、私はどう変わるかわからぬというふうに思います。特にベルリン問題で、例の難民が行かなくなったということは、労働力に余裕のないドイツとして生産増強にどれだけ役立つか、またベルリン問題次第によってはは、ドイツ経済情勢というものはいい方へころぶかインフレ的になるか、あるいは逆な方へ進むか、いずれにしても相当大きな政治要因からして、大きな経済要因変化がことしの暮れから来年にかけて——何としても今度は平和解決になるか、あるいは武力解決ということはないでしょうけれども、いずれにしてもベルリン問題の解決はもう三十七年以降、八年にかかるというようなことは決してないと思うのであります。従って、ベルリン問題が解決するということになりますれば、この影響はドイツにも経済的に相当大きくなってくる、こういうものをどう踏まえておられるかということ。  それからもう一つ大きな問題としては、アジアに対する経済協力だなんといっても、未開発地域によっては、アメリカとしてはあまり望めないと思う。これにあまり大きな期待を持つということは日本としては困難じゃないか。従って、日本が独自に経済協力リプラント輸出なりをやれる用意というのをどう作るかということが一つの問題になる。特に共産圏貿易について、少くとも中国との貿易については、長官外務大臣をやられてよく御承知だから言う必要はないと思いますが、ことしの総会において、あるいは中国国連復帰といいますか、加盟といいますか、これが実現するかどうかはわかりません。しかし、まだこれは実現しないとは断言できない段階だろうと思います。少なくとも三十七年度の国連総会においては、国連加盟実現可能性が非常に多いと思うのであります。そうなってくれば、とにかく世界各国中国との経済関係というもの、貿易関係というものも相当大きく変化してくる。これは当然考えられることだと思います。その場合に、すぐお隣の日本が例の今までの政府のような方針でいれるものかどうか。世界全体の市場における競争の激化なり何なりというもの、日本国内における鉱工業生産力はぐんぐん増してくる。しかも売りどころがない。下手をするとまた再び国際収支赤字になってきゅうきゅうしなければならないという段階になるので、やはり今後基本的に伸ばし得る市場としての中国なりソビエトなり、こういうものに対し、今までのような消極的な態度でなくして——私は必ずそういう段階が来ると思うので、企画庁としてはこれを純経済的な見地から計算をし、研究をし準備をすべきだと思う。もちろんこの問題の決定は、今の自民党としては、特に池田さんの立場とすれば、政治的要固が強くなりますから、そう簡単には私は解決がつかないと思う。しかし、中国国連加盟ができたということになりますれば、アメリカ日本との経済関係はどうするのか、しかもその変わったことを前提にした日中の経済関係をどうするのか。主としてアメリカとの関係、単に貿易だけでなく、総合的な経済関係日本のこれから伸びていく関係から見て、これは今すぐ表明するしないは別として、少なくともその時期に対してはすぐ手の打てるような準備くらいあってしかるべきだと思う。それもまだアメリカまかせで、アメリカさんの動き次第でどうにでもなるという今までのような態度では私はいけないではないかと思う。藤山さんは外務大臣時代、中国に対してある意味で私どもは違った意味においての積極論者だったということを聞いておりました。少なくとも国全体の経済成長を企画し統制をする立場としては、現業官庁である通産省その他大蔵省とは違い、また非常にむずかしい政治的立場にある総理大臣とは違って、企画庁長官としてはすでにこれらに対する用意ができておれば別問題でありますが、できていないとすれば、間近に迫ったそういう問題について十分に用意をして、いつでも経済面については手が打てるという状況を作っておくべきだと思う。ソビエトについても東独についても同様であります。この三点について長官のお考えなり見通しなりをお伺いしたいと思います。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 アメリカがリセッションの域を脱して景気が上昇しつつあることは、五、六月以外の大きな趨勢と申して差しつかえないと思います。ケネディ大統領が就任した前後がいわゆるドル危機の一番激しいときでありまして、大統領としても、財政の問題とあわせて内政の問題を考えて参りますれば、少なくも就任後ある時期において国内景気相当に回復する、そうして、ドル防衛の仕事を全うすることはケネディ大統領の政治家として当然考えるべきことだと思います。そういう状況でございますから、ケネディ大統領のとっております経済諸問題に対する手も、景気を回復してリセッションからはい出していくという政策にあることはむろんでありまして、そういう面がだんだんきいてきているということは明らかに言えると思います。ただ、この状況が明年非常によくなるか、あるいはそういう状況が続いていっても、それほどにはいかないかという点についてはいろいろの見方がございます。先般も予算委員会で申し上げたのですが、加納久朗君のような方は私をつかまえて、アメリカは来年は史上空前の景気がくるお前は消極的でいかぬではないかというお小言を食ったことがあります。私は史上空前の景気がくるとまではちょっと見かねるわけであります。しかし、引き続きアメリカ景気が上昇していくことは間違いないだろうと思います。日本貿易アメリカ景気相当左右されておりますことは、過去の事例から見ても当然でございまして、これで伸びていくということも考えられます。ただ一方では、今国際政治が非常にむずかしい状態でございますし、アメリカにいたしましても、ヨーロッパ共同市場との関係というものは、相当複雑な関係を持っておるわけでありまして、従って、この問題につきましては、いわゆる大西洋を中心にした一つ経済の扱い方という問題について、かねてからいろいろ心配もしているわけでございます。そういう意味において、ドルの最近の事情も必ずしも思った通り防衛されていないという状況にもあるわけでありますから、国内景気が若干上昇いたしましてもドル防衛というような立場を、いわゆるシップ・アメリカン、バイ・アメリカンという問題は、アメリカの議会方面においてもあるいは一般民間においてもゆるめていくというようなふうに簡単には考えられないではないか。でありますから、そういう意味において、対米貿易につきましては、いたずらに楽観をしておったんではいかぬのじゃないか。しかし、悲観をする必要はない。ただ、今申し上げたようなことでありますから、アメリカ景気が上昇してきて、日本輸出ドライブのかかりました各商社が、過去のような異常な過当競争をいたして参りますと、またいわゆる関税問題であるとか、あるいは数量規制であるとか、そういう意味において自主規制を要請されるというようなことも起こって参らないとは限りません。過去の品目ばかりではなく、将来伸びるというような品目についても、そういうことが起こらないとは断言できないわけであります。そういう点については早期にアメリカ側と十分話し合いをしまして進めて参らなければいかぬのでありまして、過去の事例を見ましても、アメリカが国会等において論議され、あるいは通過した制限案もしくは関税案等について、ことごとくそれが成立しておるわけではありません。大統領のヴイトーによって制約された品物もたくさんございます。でありますから、そういう意味においては日米両政府間の十分な理解と協力によりまして、そういう問題が起こりましても、その問題を早期に解決する外交上の方法考えて参らなければならぬと思います。そういう意味におきまして対米貿易というものが伸びることは伸びますけれども、それでは無条件に非常に大きな数字になるとも言えないと思います。でありますから、一方から申せばそのバランスを合わせるためには、アメリカから輸入するもの、特に今回の事態におきましては機械類でありますとか、あるいは将来の合理化に備え、あるいは将来の日本の産業構造の変革に備えますパテント類というようなものの買い入れというものが多いのでありますから、そういうようなものについても相当な考慮をして参らなければなりませんし、特に今日まででは民間がいわゆる自分の分野を拡大するというような意味で、競争的に工場建設を急いでおりまして、そのために日本のメーカーに注文したのでは機械が間に合わない、従ってアメリカに注文すればすぐ間に合うというようなものもございますから、そういうものもできるだけここで設備投資を繰り延べていくならば、あるいはその時期を延ばしていくならば、日本品で間に合うから日本の機械を使うというような通産省における行政指導によりましてやって参るということによって、やはりある程度輸入に関しても担保率の引き上げ等で機械的にやります以外に、そういう意味でできるだけの抑制をして参らなければならぬと思います。そうして一方では輸出をできるだけ伸ばしながら、一方ではそういうような行政措置によって輸入もできるだけ縮めて、そのバランスを合わせていくという努力をして参らなければならぬのでありまして、景気がいいから、輸出が伸びるからもう輸入抑制はそう必要ない。一切伸ばせばいいのだというまでにアメリカ市場と申しますか、また景気といいますか、そういうものを過大に見るのは、私はまだ早いのじゃないかと考えるのであります。  それから東南アジア方面に対します貿易は、むろん伸ばして参らなければなりませんけれども、また過去の数字を見ておりましても、東南アジア方面その他には現に若干ずつ輸出が伸びておるわけでありまして、決しろ減っておるわけではありません。しかしこれをもっと伸ばして、参ることのためには、やはり東南アジアの低開発国というものは、金融的にも財政的にも弱体でございます。従ってそれらをカバーしながら考えて参らなければならぬのでありまして、従ってドイツ等が長期の延べ払い方式を採用しておるというような問題については、日本もやはりそういう問題を解決していかなければならぬのであります。今回八月以降とりました一連の措置の中におきましても、通産省の非常な努力に、よりまして、大蔵省といろいろ問題のありました延べ払いの問題等金融的に解決しまして、国別に相当な金額が延べ払いで出るような方向にも進んでおります。でありますから、そういう面も考えて参らなければならぬと思います。同時に今申し上げたような状況でありますから、東南アジア方面は片貿易になっておるところが多いのでありまして、これはやはり若干ずつ何か向こうの物を買って参らなければならぬ。中近東方面でも、私、外務大臣をしておりましたときも、イランやイラクのようなところではデーツをぜひ買ってくれ、そうでなければ日本品は買えないぞというのですが、デーツなんというものはなかなか買えないもので困ったこともありますが、そういう意味で向こうの鉱産資源なり農林産品等についてもいま少しく日本が何らかの形で買えるような道が開けて参らなければならぬと思いますし、またそういうことが必要であろうとも思います。そういう手を打ちながらやはり伸ばして参る。これは一方では長期の経済協力という立場を進めながら、貿易をそれに伴って振興させて参らなければならぬと思うのであります。そういう意味においてはそういう面から改善を加えて参りたいと思います。ことにそういう面で若干長期的な観点に立ってこれを伸ばして参るといえば、技術協力ということが非常な大きな問題になって参ると思うのでありまして、これは既成の技術家の研修をやりますこと、あるいは将来当該国において産業経済の官民の中心になるような人を、日本で技術的な教育をするというような問題が非常に重要な問題でございまして、日本で教育された人は自然日本の機械を買い、日本の部品を買うということになって参ります。そういう面についてはやはり文部行政なり何なりで十分画期的な方途を立てていただくことが、やはり国際親善の上からいいましても、あるいは世界平和という上から、見ましても、あるいは経済上の面からも必要なことだと思います。  第三に御質問の中共との、あるいは共産圏との貿易関係でございますが、原則から申しますと、これは相手方が国営貿易の国でありますので、やりづらい点は普通の状況でもございます。しかしちょうど私外務大臣をしておりましたときに、日ソの通商協定を作ったのでありまして、初め一年の約束で作りましたが、その後向こう側の要請によりまして、三カ年間の長期契約をいたして、大体三億ドルということでございましたが実績ははるかに上回ってきております。でありますからそういう意味におきまして日本とソ連との間の貿易というものは今の状態でも拡大し得る可能性があるわけでございまして、おそらく今後の日ソの貿易についてはそう悲観をする必要はないのではないか。ただ中共の問題でございますが、これは私から申すよりも通産大臣から申し上げることでありますが、最近中共と日本との間の貿易関係について、技術的な障害がある程度池田内閣のもとにおいて取り除かれておりまして、その方向においては日本としても相当積極的に出ておるわけであります。ただまことに遺憾なことには中共側がいわゆる友好商社の問題を持ち出しております。貿易関係を友好商社に限りますということ自体、向こう側にもし拡大の意図があるならば、若干認識不足ではないかと考えるのでありまして、こういうような態度が変更されますればおそらく池田内閣の成立以来の通産省の方針を進めて参って、中共との貿易は拡大しているのじゃないかと思いますが、向こう側がいろいろ友好商社の問題を持ち出すものですから、先般の広州の見本市の実情等から見ましても、必ずしもその任にないような人が競争で向こうから若干の物を買い、それが国内であまり売れなかったということで、その人自体も非常な見込み違いをいたしたような問題もございます。そういうような問題につきましては、向こう側にも反省をしてもらわなければ貿易というものは円滑にはいかないのじゃないかと思います。ただ政治問題を別として貿易を拡大して参りますことは、日本のためにも必要なことでございまして、そういう意味において池田内閣としても十分前向きの姿勢で進めておられると思いますが、われわれといたしましても将来の問題を考えて参ります場合に一輸出貿易の拡大のたに、政治的問題を離れて共産圏との貿易を十分に円滑に多量にやって参りますことは必要なことでございまして、現にドイツ等が中共と商売をしております現状から見まして、政治問題を離れてやれば地理的な近さもございますから、まだまだ拡大するものじゃないか。そういうことに対しての準備はしなければならぬと思っております。
  7. 久保田豊

    久保田(豊)委員 この問題についてはもう少しいろいろの点について長官意見をただしたいわけですが、特に中共の問題は、厳格なバーターを少し緩和したとか、友好商社の問題とかいう段階でお考えになっていたのではとてもしょうがないと思うのであります。中共の国連加盟という政治的な新しい条件の中で日本がどう考えているかという点をお聞きしたいのですが、これは今の段階でなかなか長官として御答弁がむずかしいのじゃないかと思います。しかし答弁のあるなしにかかわらず、これは企画庁としては重要な問題として検討をし、万端の用意を外務省その他とも整えておく必要がどうしても間近に迫ってきておるように思うのであります。特に来年度の問題を考える場合においては当然この問題が出てくると思いますのでこの点を要望いたします。  その次の大きな問題として長官にお伺いしたいのは、池田さん、長官、その他皆さんの国会における答弁は、来年度の経済見通しなり経済計画は、総合的な引き締め政策が実施段階になってまだ一カ月で見通しがつかないからまだ発表する段階ではないということであります。池田さんにすると十一月末ないしは十二月の予算編成までには何とかやるというお話であります。これは一面からいえばもっともであります。しかし少なくともこの下期については、あの総合攻策である程度見通しを立てられたからこそここへ出されるような試算が出てきたわけであります。ですから全然見通しのないということではないのであります。総理自体も来年度に連関する見通しなり何なりの一部については、すでに大体の意見を述べられておるわけです。たとえば成長率は五%くらいに見ておってもいいがそれではデフレになるから五%以内にする、ではどうするかというと、それはまた経過を見てからというお話であります。それからまた外貨の収支についても、少なくとも下期までは全体として赤字なんだ、しかし十一月ないし十二月には収支とんとんになるのだというような程度のことは言われておるわけです。私は少なくとも政府、特に企画庁がこの経済の中間暫定見通しというか、試算を発表された中には、こまかい点は別として、この下期における大筋見通しを立てられており、従って当然それの延長として次年度についてのいろいろな作業もある程度進められなければ、この試算というものは簡単に出てこないのではないかと思うのであります。ですからある程度準備がなくちゃならぬ。また準備ができておってしかるべきだ。それがなければ本年度の下期の発表はできないはずだというふうにしろうと考え考えるわけです。同時に御承知通り、今一般の財界なり日本経済界はこの見通しがはっきりしないために、実はどうやっていいか見当がつかない。ただ政府引き締め引き締めといつて、その中間々々にちょこちょことゆるめるぞというような声も出てくる。ですから政府が大体どの目標に向かってどういう政策をやるかがわからないという点がこれらの混乱なり不安を大きくするのじゃないか。これを今後半年なりあるいは一、二カ月続けられるということは、私は国民として非常に迷惑だと思う。しかもある見方によれば、今度の失敗は明確に池田さんなり池田内閣の失敗です。ああいう強気で今まで一生懸命太鼓ばかりたたいておって、行き過ぎたらこれはお前が悪い、おれは間違っていない、こんな無責任な言い方というものはあるものではない。そういう意味においても池田内閣の責任でもある。こういう不安なり混乱を少なくするという意味においても、実施一カ月とはいいながら、もう発表する段階じゃないか。特に来年度の予算は、今後の国内の少なくとも景気調整に非常に影響を持つ。しかもこれが国際収支に非常に決定的な影響を持ってくる。その予算編成の仕事は、もう前段の仕事が始まっておるのじゃないか。始まっておるということになれば、大蔵省なりあるいは政府としては、少なくとも次年度に対するある程度見通しを持たれなければたとえば来年度増徴分は四千五百億、五千億あるということも正確にはじき出せないと思う。そして来年それを景気調整のためのたな上げ資金とするのか、減税に回すのか、どこに重点を置くかということももうそろそろどこでも話を始めておる。正規の話でないにしても内輪のものをやっている。しかも自民党の万は来年度の参議院選挙なり総裁選挙というものを控えまして、へたすればそういう全体の今後の景気調整とははずれた予算編成方針を立てかねない危険が迫っておる。これはおそらく通常国会が終えて勝負は一カ月でしょう。その一番基礎の見通しがはっきりしないで、その上に立って、ただ財源があるからこれをどう使おうというようなことでは、せっかく今まで総合的に調整策を打ちおろしてきたのが、この一点でくずれてしまう。あるいは場合によれば行き過ぎということになる危険性が非常に多い。私は今この国会の中で発表しろとは申しません。少なくとも十一月の早々、予算編成の実際的な動きが始まる以前において、政府としては来年度の成長率をどのくらいにするのか、あるいはそれに対する施策なり、全体のあれをどうするのかということについての見通しなり計画なりを明確に立てられることがぜひ必要であり、またそれはできる。特に経済企画庁のように全体の見通しなり調整をやっている役所もあるのです。そういう役所の長官がそうのんびりとしていては——これは総理の御方針に沿われるという意味においては、政治的にやむを得ないところもあるかもしれませんけれども、私はできるだけ早くこれを発表すべきだと思うのです。そこで、これはむずかしい質問でしょうが、長官としてはおよそいつごろこれを発表されるのが適当であると思われますか。  もう一つは、発表するとなれば問題点はいろいろありますけれども、大きな問題点は私は二つであり、一つであると思います。それは、今後この下期から来年度にかけて、非常に引き締め政策を急にやって、早く国際収支バランスをとろうとする、いわゆる短期決戦型とでもいいますか、こういう考え方と、それから景気のいわゆる下降段階をなだらかにして、少なくとも来年の暮れもしくは再来年にわたってもいわゆるなだらかにして、なるべく摩擦を少なくしてやろう、これは長期戦略型と言ってもいいと思います。だから短期決戦型と長期戦闘型のこのいずれをとるのが、今の経済情勢なり、今後見通し得る経済情勢で、適当であるか。どっちをとりますかと聞けば、まだきまりませんと言われるでありましょうが、少なくとも経済企画庁長官としては、短期型をとるのがいいか、長期型をとるのがいいか、どちらが適当であるかという点の御判断についてお伺いをしたい。  この二つのいずれをとるかに連関をいたしまして、来年の成長率をどの程度に見るかということがきまって参ると思います。片方において短期型をとるとすれば、非常に成長率を小さく見て、たとえば総合経済研究会ですか、あれの発表している三・何%なり四・何%、こういう低い成長率でやられるか、あるいは今大蔵省等がいろいろの試算の基礎に便っておられると新聞等で伝えられておる大体七%前後のものをとられるのが適当かどうかということです。これがきまると思うのであります。このいずれか。低い方の成長率をとられるのが適当か、あるいは高い方の成長率をとられるのが全般の状況から見て適当か。これは長期型あるいは短期型によって決定をする問題だろうと思います。もちろん、その前提には、輸出の伸びや、輸入の削減や国内調整がどう具体的に進むかということに対する詳細な検討がなくちゃならぬと思います。これらは、企画庁として、もうすでに進められていることと思う。また今の段階で進めていないとすれば、はっきり言いまして怠慢だと思う。以上の点について、時期はいつが適当と思うか。長期型をとるか、あるいは短期型をとるか、どっちかという点と、来年度の国民生産の成長率をどのくらいにするのが適当かという点、あるいはそれを裏づけるための今の総合判断の重点はどこに置いて考えておられるのか。この四点についてお示しをいただきたいと思います。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 企画庁が来年度の見通しを、できるだけ早く立てますことは、お話のように私も必要だと思います。ことに民間でも相当心配しておりまして、どういう見通し政府が立てているかということは一つの指針になりますから、そういう意味に、おいて諸般の来年の計画変化その他をこういう目標に沿って調整して参らなければならぬと思います。ただ同時に急いでやらなければなりませんけれども、早急にやりまして、あまり間違ったことを申しますと、その数字自体がまた過熱を誘いあるいは停滞を呼ぶというような気分を起こして参りますので、そういう意味においては慎重にしなければならぬとは思っておりますが、われわれとして、今企画庁としては、明年の景気見通しますます基礎的な過去のいろいろな三十二年あるいは二十八年、その後の回復してきた事情、そのときにとりました政策の影響等について基本的にやって参っておるわけであります。そういう過去の実例等から見て、今後の推測に必要な林料の収集あるいは現状に対する民間の受け方等については、相当に注意した調査をやってもおりますし、基礎的にはそういうことをいたしております。その上に立ちまして、今度の総合政策の効果がどの程度に現われるかということをとらえて参らなければならぬのでありまして、実際を申しますと、輸出奨励と申しましても、日本輸出時期をはずしてしまったわけでありますから、ほんとうにきいて参りますのは来年にならざるを得ない。また輸入についてもある程度そうならざるを得ないと思います。しかし年末まで三カ月ございますから、できるだけその趨勢はつかんで参りたいと思います。ただしかしお話のように、こうした来年の問題は一方では現状におきます経済の実態から推測して参りますけれども、一方では政府方針というものは予算編成を通じて来年度の財政計画で現われるわけでありまして、その組み方いかんによって、それを受ける民間経済心理作用というものはあなどれないものでございます。でありますから、予算編成は前にして、ある程度予算の大網をきめるのには、政府としての来年度の見通し、また来年度の景気をどう持っていくかということを、確実に把握しなければ私は今度の予算編成はいけないのではないか。またそうすべきである。これは例年しかりであると思いますが、特に今回の場合はそういうふうに考えられます。でありますから、私が今考えておりますのは、少なくも十二月に入りまして予算編成に着手して参ることでございます。従って十一月二十日から月末ぐらいの間には少なくとも来年度の予算編成の前堤となります経済見通しというものは、ある程度中間的でも出さなければならぬ。中間的でもできるだけ正確なものを出して誤りないことを期していきたい、こういうふうに私たちは考えているのでございます。  それから明年の経済成長率をどう考えるかということでございますが実は私は経済成長率をまずある程度きめて、それにいろんなものを合わせて参ります。実態に即応して経済成長率をきめていくことが、原則としてはこの場合必要ではないか。他の場合は別でございますけれども、少なくもこの場合必要ではないか。ただ問題は、本年度と明年度との間に著しい断層ができることは望ましいことではございません。でありますから、その断層のないような状況考えて参らなければならぬのでありまして、明年は明年でもって勝手でいくのだ、今年は今年でやったところで終わりだ、こういうわけには経済の連続性から申してもいかぬと思います。従って今後の趨勢を見ながら、それにつながってどういうふうにいくかということを考えていかなけれならぬと思います。従ってそのつながり刀によっては、ずっと下降的な状態がその後も続いていく、あるいはつながり万によっては横ばいでいく、こういうことが考えられるわけなんでありまして、そこらの点を十分考えながら明年の経済成長率というものは、単純な理論での希望にとらわれないで策定して参るのが必要ではないかと思います。そういう意味から言って今短期決戦型か長期戦闘型かというお話がございましたが、私は何か非常になまぬるいのじゃないかというお話になるかもしれませんが、私は短期決戦ということは好ましいことでないと思います。従ってまた今申し上げましたような断層を考えて、短期決戦というものはそう簡単にできるものではない。それでは長期にかかっていいのかと申しますと、できるだけ早い時期に見通しのつくような、いわゆる不景気のどん底と申しますか、そういうものをいつまでも、だらだらと引っぱっていってはいけないの、だと思います。ですからあるところではやはり解決をしていかなければならぬ。それが再来年の二、三月になってもいいのではないかというのに対して、私としては少なくも来年の秋を目標にして何か施策を集めていかなければならぬということを今考えておるのでありまして、いわば中期妥協型とでも申しますか、そのような戦闘状態を続けていくようなつもりでおるわけでありまして、そこいらの十分の配慮をしながら明年度の見通し等も立てて参りたい。しかし経済事情というものはいろいろな政治的事情に左右されてはいかぬのでございましてそういう意味においては厳正な立場企画庁長官としては経済の実態に即した、しかも摩擦の少ない時期等を考えながらやって参りたい、こう考ております。
  9. 久保田豊

    久保田(豊)委員 今の点に対する長官のお答えは大体私が長官期待しておったのと同じでありまして、今後それはいろいろな政治的な条件が動くだろうと思いますから、それにどうぞ負けずに長官日本経済全体の調整者として、私は強い信念を貫いてもらいたいと思うのであります。  最後に一点、少しとっぴな話ですが、長官のお考えを聞いておきたいと思うのです。それは朝日ジャーナルの士屋さんの論文にも書いてありますけれども、日本の戦後におきまする経済成長国際収支という問題を考えてみますと、これにも指摘してある通り大体四回同じようなことを繰り返しているというわけです。大体において二十六、七年の非常な好況から、二十八年要するに政府の施策によって行き過ぎをして引き締めをせざるを得なかった、そしてそれから不況に落ちてきた。さらに三十二年になって同じような経過をとってきている。さらに今回の三十六年の今度の問題、これはどういうのか知りませんが、いつも少なくとも池田さんはこれに関係をなさっているわけです。同じようなことを大体繰り返している。もちろんその一回その一回については、これの背景となっておる経済情勢や、そのいろいろな引き締めの内容や、その被害の程度やあるいは回復の過程のいろいろな違いというものはいろいろあるわけですが、これらに共通して言えることは、何らか政府のいわゆる積極政策、鐘たたきということによって非常に好景気になって、それが国際収支のかべにぶつかって、そして急速に引き締め政策をとる、そして不況に陥る、そして四年目くらいになると、また政府かあるいは政治家が鐘たたき太鼓たたきをやって、またこう盛り上げる、そしてまた行き過ぎになって、今度国際収支のかべにぶつかって、また引き締め政策をやってスロー・ダウンするという過程を繰り返してきているのです。その点は大体共通していると思うのです。しかもそれが世界経済なり日本経済の客観的に見た景気循環と必ずしも一致はしていない。むしろ政策の失敗というか、そういうことによって日本はこの景気循環の波へ入っている。従ってその過程がある意味においては非常にドラスチックになって、被害なり混乱が多いというのは共通した現象、だろうと思うのです。これはどういうわけでそうなっているかということも一つの問題であります。またある意味におきましては資本主義、特にその中で自由経済を信条とする自民党の歴代内閣が、それは資本主義だから景気景気の循環は避けられないのじゃないかといえばそれまでであります。しかしながら戦後の資本主義は——私はマルキシズムの立場から言うわけじゃございませんが、少なくともそういう点で景気景気の客観的な循環の幅が、いろいろの条件の相違によりまして狭くなってきていることは事実であります。そういう中で日本でも戦前のような景気景気の大きな波はなくなっている、これも事実です。しかしそういう中ですから、何かこれに対しましてもっと調整をする方針はないか、やり方はないかということであります。おそらくこのままでいけば、また四年くらいたっておそらく佐藤さんや藤山さんあたりが総理大臣になる時分になると、またおれが総理になってやるかというので、ぼんぼんとたたいてずっと上げておいて、国際収支赤字になった、そして引き締めダウンをやらざるを得ないような条件になりはせんかというふうに心配する。佐藤さんなり藤山さんは近く総理大臣になられる方ですから、自民党政治家のこういう経済問題の扱いについての心がまえに、何か欠陥がありはしないか、何か自分の政権維持なり自分の政治的な立場をよくするために、客観的な情勢なりあるいはそういうものを無視した景気政策をとってみたりするというくせが、戦後の政治家にはありはしないか。そう言っちゃ失礼ですけれども、自民党の実力者の皆さんにも私はこういう点を反省をしてもらう必要があるのではないかと思うのです。  それからもう一つは、少なくとも経済見通しその他については、せっかく企画庁という役所があるのですから、もっと客観的な先の見通しなり分折なりを総合的にやって、目先のいわゆる経済人動き心理に惑わされずに、もっと客観的な基礎を作って、そして経済政策をその基礎の上に立てるということが、ぜひ必要ではないか。たとえば今度の問題にしましても、経済企画庁はいろいろ民間の人の協力を得て十カ年で七・二%という成長倍増計画を立てられた。ところが池田さんは下村さんその他の側近の積極論者というか、積極論の方が景気がいいですから、そういう連中の意見をとって、いわゆる企画庁を中心とする計画なり見通しを修正されて、しかも追っつけ修正をして、そして九%なり何なりというものを立てられたという経過もめったようであります。こういうばかなことをさせない、だけの準備なりというものを、企画庁は絶えず持たなければならぬのじゃないか。特にこの倍増計画というものはざっくばらんに言って、目標があるだけで中身はないわけです。その中間におけるいわゆる波等についての中身はほとんどないということであればこれを円滑にやっていくには経済企画庁のそういうことに対する研究なり見通し——もちろん現業官庁のいろいろの御協力を得なければならぬと思いますけれども、これを土台にして、総理であれだれであれ、それが間違っているならば問題ですが、そうでない限りこれを土台にしてやるいう政治的な慣習というかルールをはっきりつけられる、それだけに企画庁の責任は重いのです。腰かけ大臣では困るわけです。だからよほど実力を持った人がじっくり腰をかけてやるということが必要じゃないかと思う。  それからもう一つの点は、今は自由経済ですから統制ということはできないでしょう。しかし何らか経済動きに道をつけるというだけのことは措置をしなければならぬと思う。その前にやはり一番大事なものは、金の流れです。金の流れというものは保守党は保守党なりに、私は私なりに考えています。しかし保守党は保守党なりに金の流れについてもっと計画的なというか、統制的というといけないでしょうけれども、計画的なものをこの際打ち立てる必要があるのじゃないか。結局金の流れということが一番現実の力を持ってくると思う。  私はこの三点について、少なくとも次の四年目くらいには今度のようなばかなことを、また五回目を繰り返すなんていうことのないような何らかの施策を講ぜられる必要があるように、しろうと論考えるわけです。そこでこれについて、特に経済調整者としての企画庁長官に、以上の諸点についてのお考えをただしておきたいと思います。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御指摘のように、過去数回いろいろありましたわけでありますが、その中で朝鮮事変の分というものは、これは別個の問題と考えざるを得ないと思います。他の場合において問題が起こりました。一つは私はどうも日本人の活発な成長意欲というもの、戦後において一時日本人というのはしゆんとしてしまったわけでありますけれどもその後の状態を見ておりますと、日本人というのは非常な発展的なあるいは創造的な、そうして日本を立て直そうという国民全般、これは庶民の末に至るまでの一つの大きな意欲があるわけです。その意欲の上に立って、特に産業人の心理というものは、今日非常なお互いの間の競争意欲というものを、普通よりも持っているわけであります。それが過去においてたとえば貿易の過当競争にもなり、あるいは国内において石油化学に見るようないろいろな競争的な意識も出てきたわけであります。政府が施策をいたします場合に、そういう点の民間経済心理の問題というものを、私はもう少し把握していかなければならぬのではないかと思う。それが非常に大きな勢いで動いていくような状態でありますれば政府自体の施策というものはかなり消極的な、そのあとについてそれを間違わざるような方向に持っていくようにむしろ見守っていかなければならない。かりに何か非常な他の原因によって沈滞を起こしていく、国際需要その他によりまして、ある程度国際的な不景気に対応するというような状態で、非常に意欲が積極的であるような場合と同じような国民心理からいいまして、戦後の状態と同じようにしゆんとしてしまう場合がありますので、そういうときには政府はかなり積極的な面を打ち出して、そうして産業人のその活動意欲というものを刺激して参らなければならぬ、そういう点に若干われわれとして今後政府経済政策をとります場合に考えていかなければならぬ点があるのではないかと思うのであります。今日御承知通り自由主義経済においては、恐慌かある一定年次において繰り返すのが普通であるというような過去の事情というものは、ある程度解消されておるのでありまして、アメリカ景気もむろん一長一短はございますけれども、いわゆるマルクス主義経済学がいった恐慌が来て自由主義経済は破滅するのだという過程は、少なくともアメリカにおきましてもニユ・ーデイールの政策以来、ある程度変わってきていると思います。でありますから、ヴオルガの経済研究所が、アメリカ景気に対する、恐慌についての判断を誤ったとか誤らぬとか、ソ連内でも問題があるようでございまして、そういう意味におきまして、必ずしも過去の学説のように、自由主義経済の中において恐慌がある一定時に繰り返すのだということは避けていけると思うのです。そういう中において扱って参ります場合に、やはり私どもとしては、今申し上げたような点を政治指導の上で十分考えて、そうして政府経済施策の樹立という問題について反省して参らなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておるのでございます。そういう意味において、今後経済問題を扱います場合に、非常な慎重な態度をもって進んで参らなければならぬことは御説の通りでありまして、われわれもそういう点については十分な関心を持って進んで参りたいと思うのでございます。  なお、経済企画庁としてそういう面から見ますと、今後十分な将来の経済の総合的な判断をいたします立場として、経済企画庁自身の内容も充実して参らなければなりませんし、特に私はますます日本の産業というものが、いわゆる輸出産業にも依存して参るのでありまして、しかも高度の輸出産業になって参るわけでありますから、国際的な経済事情等も十分に知る必要がありますので、常駐的に海外に人を置く必要は、これは外務省でやっていただけばけっこうですが、特に年に数回となく各国の事情経済事情、そのときの動きつつある経済事情を調べ、あるいは外国の経済研究所等々とも連絡をいたしまして、そうしていろいろな材料を収集して、国際経済の判断等についても、万誤りなきを期していくことが必要であろうと考えておるのでありまして、そういう意味において十分企画庁の機能を発揮するよう努力して参りたいと思います。
  11. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 加藤清二君。
  12. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 佐藤通産大臣を待つこと久しでございます。時すでに十二時でございます。これでもってきょう輸取の質疑を打ち切れというのでございまするから、いかに国会正常化に協力しようとしている私どもでも、いささか虫の居どころが変になりそうな状況でございます。しかし私は、あくまで国会正常化は大事なことである、大物の通産大臣には協力するつもりでございますので、質問をごく短く短的にいたすつもりでございますので、大物らしく簡単に要を得て答えていただければけっこうであります。  第一番には、先般も申し上げましたが、日本の今の政府貿易自由化ということは、輸入自由化のスケジュールはあるけれども、輸出自由化のスケジュールがない。そこでぜひ一つ輸出自由化のスケジュールを作ってもらいたい。その第一点として、ます日本輸出を阻害しているものを除去してもらいたい。その内訳の一がバイ・アメリカン問題である。第二はガット問題である。第三はチンコム、ココムである。これについて質問を試みましたところ、通産大臣は武鉄事件とやらで出たり入ったりまた出たり、ほとんど答弁をいただいておりません。まことに遺憾です。私は、やがて総理を目ざすあなたが、武鉄事件のごときでかかわりのあるようなお方などとはつゆさら思っておりません。それよりももっと大事なのは、輸出振興をあなたの腕で処理することの方が一そう大切なことだと思います。あなたにまさか武鉄事件が関係するとはつゆさら思っておりません。従って落ちついて答えていただきたい。特にこの委員会はそう言っては失礼ですが、ほとんど新聞には九九%まで出ません。腹を打ち割って評していただけばいいです。  そこで第一番に、今度は相手方のことを言うても、今の政府ではとてもじゃないが阻害を除去することがどうもできそうもない。この間の答弁からもそうしか受け取れない。そこで今度はこの内輪でできることを申し上げます。  これからその要点をしぼって申し上げますが、その内輪でできることは、つまり自民党政府でもできるということであり、自由主義経済の中においてでき得るるという問題で、決してあなたに社会主義的な経済をやっていただこうなどとは思っておりません。あなたの現在の地所においてできる問題を申し上げますと、その第一点は、輸出難渋の範疇を調べてみますと、商社の過当競争ということがございます。過去においては、過当競争とは何でというたら、それは商社の数が多過ぎるからである、こういうことでございましたた。群少の商社が過当競争をしていたずらにダンピングをするの、だ、こういうことでございました。そこで私は政府当局にお願いをいたしまして、現在の商社の鳥瞰図を作っていただきました。それを見ますと、私はこれは驚いたことになったと思うのです。それはどういうことかというと、終戦直後からのいわゆる専門商社、群小商社はだんだん姿を消しつつあります。それは今日の政府の思うつぼかもしれませんん。しかし、数は減ったけれども、依然として過当競争は行なわれているのでございます。なぜそうなるのでございましょうか。この表によれば、それは数は減ったけれども、今まで生き残ったものが、単独商社であったものが総合へ総合へと伸びようとしておる。だんだん扱い品目をふやそうとしておるのでございます。しかも、またその順位が、かつては専門商社にして、中小企業の商社にして相当の地位におったものがだんだんと転落をいたしまして、ここに大企業、大商社が伸びつつあるわけでございます。これはお宅の方の表によって明らかなところでございます。さて、そうなりますと、はたして数が減ったから過当競争は少なくなるのでございましょうか。私は、過去の過当競争は数の上の競争であったけれども、今後資本にもを言わせ、生産部門まで握ったところの商社の深刻な競争が行なわれるではないかと思うのでございます。これについて一体大臣としては、この輸取法においてはたして正しい交通整理ができるとお考えでございましょうか。これに対する対策いかんということでございます。
  13. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 御指摘の点、これはもう行政の面におきましても一番私どもが苦心をしておる点でございます。ただいま表についてお示しでございましたが、今日大阪付近にある輸出専門商社の維持、育成、これまた私どもが力をいたすものでございます。また大商社が中小部門にまでどんどん入っていくとか、こういうことについての抑制、これはやはり自粛といいますか、そういう意味の行政的な指導が望ましい、かように思います。今日皆さんと私どもと立場が違いますが、私どもは、やはり競争の美点というか、長所というか、これは生かしたいと思いますが、これは同時に欠点でもあるわでございまして、行き過ぎると困る。そこで、今日御審議をいただいております輸出入取引法なども、そういう意味においての調整機能を発揮さしたい。これが私どものねらいでもございます。行政的指導並びに法制的な面と両面相待って過当競争抑制に十分の努力を尽くしていきたい。これがただいま私どもがとっておる立場でございます。
  14. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 過当競争の責任を、群小の、いわゆる中小商社の責任でもあるかのごとき感覚を持っていらっしゃいますと、私は、事を間違えるのではないか、指導を誤るのではないかと思うのでございます。すなわち、例をテープレコーダーあるいはトランジスターラジオにとってみると一番よくわかりますが、これなどのごときは戦後の商品でございます。群小が数多くこれに殺到したかといえば、そうではございません。にもかかわりませず、戦後日浅くしてなおアメリカ市場においては、数量が殺到し過ぎるから自粛制限をしてくれ、こういう要望が出ておる。これらの実態を見ましても、また先般行なわれましたアメリカ市場における日本毛製品のボイコツト問題、これにつきましても、ほんとうにいわゆるる出血輸出、レー・バー・ダンピングと相手にいわれるようなことをしたのは一体だれであるか。はたして中小商社にそんなことをやり得る経済的能力があり得るでございましょうか、ございません。あとから割り込んでいった大商社にして、その部門を新しく開拓しようとした関係の方々が、いたずらなる競争を激化させ、相手のひんしゅくを買っておる。これが具体的事実でございます。従って、私はこの際、ほんとうに通産大臣が大切であるならば、あなたこそこの交通整理をなさるにあたって最も適任者だと思うわけでございます。私はさきに椎名通産大臣にも申し上げました。しかし、失礼ながらぬるま湯に入ったような御答弁でございまして、さっぱり何ともならぬ、ますます激化しておる。切に通産大臣の英断を切望するゆえんでございます。  第二番目に申し上げたいことは、外国に参っておりまする商社、あるいは市場開拓に参っておりまする調査員、それらの報告によりますと、まことに言いづらいのでございますが、外交公館、特に経済担当の方々の活動、これとイギリスや西ドイツのそれらの担当官と比較された場合に、日本の外交公館の努力のしようと申しましょうか、商社ないしは市場開拓者の指導方法といいましょうか、あるいは日本の商品の宣伝のしようといいましょうか、これらにどうも見劣りのする点があるやに聞くのでございます。特に今後は各地において市場競争をしなければなりません。特に今まで外地においては仲よくいけたと思われまするアメリカとでも、海外市場においてはAPAあるいはICAの関係においてはすでに競争をしなければならぬような事態も発生してきておるわけです。こういうやさきにあたって、はたして日本の外交公館のあり方は輸出振興に最も適しているのでございましょうか、どうでございましょうか。
  15. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 外地で働いている貿易担当の機関そのものにつきましては大いに工夫を要するものがあります。ただいま御指摘になりますように、在外公館の人的強化の問題、これが一つありますし、また同時に在外公館に対する主務省といいますか、外務省だけでなくて、通産省なら通産省あるいは農林省、こういうものも直接在外公館に対して、調査報告をとるとか、こういうようなことが望ましいのではないか、やはり専門のところにそういうつながりを生ずるようにすべきではないか、かように思います。もちろん政府部内でございますから連携は十分いたしておるはずでございますが、最近のようになって参りますと、やはり専門的知識を必要とする、こういう意味から、ただいま申し上げたような点をまず考えます。また商社の出先機関にいたしましても、これは戦後の特殊事情であったと思いますが、非常に若い人たちが多数出ていく。商売にはやはり若い方の決断による面あるいはその活動力に待つものもございますが、相当経験者が出かけることも望ましいことじゃないかと思います。同時にまた輸出ということになりますと、商社だけでは商品のPR等におきましても、これはどうも十分でないように、思います。だからメーカー側から商品の紹介を積極的にやる必要があるのじゃないか、かように思います。一つの例をとって申しますならば、外国などではそこまで思い切ってやっておるようでございますが、ある国に肥料なら肥料を売り込みいいという場合、なかなか通産省の公務員でも十分の知識を持たない、こういうことがあるので、肥料協会の専門家を三カ月なり半年なりそういう事務を委嘱する、その間に商談をまとめる、一たん軌道に乗ればそれから先は自然に動いていく、こういうことをしておると伺うのであります。今日までしばしば民間人を商務官その他に登用したらどうかというようなお話を聞きますけれども、今の給与その他から見まして、なかなかそう簡単には適当な人を得るわけに参りません。しかしただいま私が披露するような短期駐在のような道を開きますならば、おそらくこの点は改善されるのではないかと思います。先ほど藤山長官からもお答えいたしましたように、輸出の品種もまたその精密さもよほど専門的知識を必要とするようになって参りましたから、こういう点にも工夫をこらさなければならない、かように思います。御指摘になりました点、またその他の点についてもさらに考えていきたいと思います。また今あります機関で、一そうの活動を望みたいものにジェトロがございます。このジェトロの機関も今後一そうそういう意味においての輸出増強に協力されるように一そうの指導をする、こういうふうな考え方をいたしております。
  16. 加藤清二

    ○加藤(清)委員 同じ外交公官の中でも私はその働き、その功績に対して非常に敬意を表している人もあります。それはどちらかというと主として通産省出身の人のようでございます。たとえば村上君のごとき、たとえば堀坂君のごとき、たとえば今うしろにいらっしゃるところの、今は繊維局長ですが、松村さんのごとき、ここらは大へん評判がよろしい、また功績を上げていらっしゃるようでございます。しかしながらこれは数が少ない。そこでぜひ、あなたが今おっしゃいましたように経済のわかる、貿易のよくわかる外交公官をその公館に配属させるということが、先決ではないかと思うのでございます。ただ外交交渉、だけをやっておればいい・英語がしゃべれてダンスができれば大体のことはできるという交歓会みたいに考えられておっては、この競争場裏には勝てないと思います。ぜひ一つ、通産官僚と申すと語弊がございましょうが経験のあるあるいは知識のある公官をより多く配属されるいうことが目下の急務ではないか、これはぜひ一つ御考慮に入れていただきたいことだと思います。  次いであとは技術的な問題をしぼって申し上げまするが、それは第一は輸出の難渋する中にコストの不安定という問題がございます。特に糸へんのごときはしかりでございます。これを安定させることが大切な急務であると思います。しかるに内地の糸へんの値段は、常に浮動しておるのでございます。その浮動の波がまた非常に大き過ぎるのでございます。池田総理が千三百円卸売価格だからこれでちょうどよろしいとおっしゃってみえた翌月に、その品物、四八双糸は二千円をはね上がっておるのであります。なぜそうなったかはよく御反省いただきたいことでございますが、要は施策の一つとして、輸出物資についてはコストを安定させるという施策をぜひとっていただきたいと思うのでございます。  第二番目にはレーバー・ダンピングという問題でございます。このコストの浮動がやがてレーバー・ダンピングに通ずる場合もございますけれども、これについてきのうの経団連の前田専務の報告のような考え方でございますと、これはなかなか規決のつかない問題でございます。しかしこれは事実でございます。経団連で何とおっしゃろうとかんとおっしゃろうと、ILOの方におきましては日本の賃金ベースがどれだけであって、他の国々と比較してどれだけであるかは、もう明らかな国際的な知識なんです。これをとやこう言ったってもう始まらない問題なんです。ぜひ一つこれも御考慮に入れていただきたい。でき得るならば、レーバーを売るのではなくて、技術を売るように御努力が願いたいのでございます。  その技術面の第三点として、原料高の製品高ということがございます。中小企業にいわせますと、原料高の製品安で困る、こういわれておる。しかし事貿易に関する限りは原料高の製品高でございます。これが輸出を難渋させるゆえんでございます。むしろレーバーよりも材料の方がはるかに大きいのでございます。この原料高を是正するために原料輸入の転換をはかる意思ありゃいなや。特に私は、おりあたかも経済緊急対策がとられたおりでございまするから、三十二年四月に例をとってみたいと思いまするが、このときの原料高、特に原料のコストに占めるところの運賃を例にとりたいと思いますす。しかさようすれば、市場転換をし、原料安の国から入れるべきであるということが理論でなくして具体的事実としてわかるからでございます。三十二年四月、このときの運賃は全体で大体基本物資だけで五億二千万ドルかかっておるのでございます。鉄鉱石のコストに占める運賃は三一・五%、粘結炭は五〇・四%、工業塩は何と五三・一%、燐鉱石にして四八・八%、分り塩三二・四%、原油は二七・八%穀物が一番安くて一一・六%、平均何と三七・七%こういうことに相なっております。きのうおとといでしたか、鉱山局長の言によりますれば、今申し上げましたようなものは、いかに内地の資源を尊重してもなお外地に仰がなければならぬ、ほとんど外地に仰ぐウエートのものが大きい、こういうお話でございました。所得倍増を遂行するためには、ますますその度合いが高まるというお答えでございました。さもあらんと思いまするが、そういうやさきにあたって、日本の原料高はやがて運賃をコストに組み入れなければならぬということになります。この五億二千万ドルの金額は、そこに従業する従業員の賃金と一度比較していただきたい。賃金の方がはるかに安いということがこれではっきりするわけでございます。時間がございませんから、その数字の比較はやめまするけれども、そういう意味において以上三点大臣の所見を承りたいのであります。
  17. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 板川正吾君。
  18. 板川正吾

    ○板川委員 じゃ簡単に二点ほど質問します。  第一点は、輸入担保率の引き上げが九月十八日から実行されました。その際九月の輸入承認高が前月に比較して一億ドルも多かった。締め切った九月の十六日付で普通の日より一億ドルよけいにあったそうであります。こういうように政府輸入担保率の引き上げを行なうに当たって銀行と商社が結託をして一まじめに法律を守る業者はそれだけ不利な扱いを受ける、それで法網をくぐってごまかした方が得、だ、こういう実績が出たと思うのです。新聞等によりますと通産省が、これはけしからぬから、不正の事実があれば確かめるために厳重に調査する、こういう報道もありましたが、その後この問題がどうなったか。もし不正の事実があればどういうような処罰を考えておられるか、罰金等のこと、あるいは禁固刑等もあるそうでありますが、どういうことをお考えになっておるか。こういうことは輸本主義、もうけ主義の一番の欠陥ですから、社会の秩序も政府方針も無視して、法網をくぐって、日付十六日の日付に書き直してやったということなら、この際私は断固たる処置をすべきじゃないか、こう思うので、この問題について一つ大臣の見解をお伺いしたい。  それからもう一つは、けさのニュースによりますと、昨日で締め切った外貨準備高が十五億二千万ドル、こう言われております。もちろんこれは担保率を引き上げたために、急速に買い込んだという点で減った点もあろうかと思います。しかしこの減っていく情勢がこのまま続くと、政府のついこの間発表しました昭和三十七年三月末における、三十六年度の期末における外貨手持ちが十四億四千万ドルという線に、もう八千万ドルしかないんですね。これは政府の方も見通しを変えざるを得ないんじゃないか。国会答弁用に数字を出すのではなくて、ほんとうに実態を国民の前に明らかにすべきじゃないか、こういう意味から三十七年三月、昭和三十六年度の期末には十二億くらいになってしまうんじゃないかと思う。それでこういうふうになりますと、私は、政府がIMFから借り入れを、早晩せざるを得ないと思うのです。こういう見通しが先々不安ということになるとさらに混乱が起こると思う。従ってその国際通貨基金から金を借りる場合なんかでも、ある程度借りるのならば金額も多くしてじゃなく、向こうが信用を持って日本政府に幾らでも貸すというなら、一つ早目にやるべきじゃないか。経済閣僚として大臣の見解を二点について伺います。
  19. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 まず最初のお尋ねにお答えしたいと思います。  加藤さんが御指摘になりましたように、貿易の面におきましては、価格が安定しておることがもちろん大事な要件でございます。一面において低廉にして良質である、こういうことは望ましいことでございますが、低廉だと申しましても絶えず動いているということは、貿易拡大の面から非常に不利なことでございます。だからこそ先ほど過当競争の交通整理というようなお話が出ておりました。すでに御承知のように繭あるいは生糸につきましては糸価安定法までできて、価格安定帯を設ける、こういうことで輸出に面する、こういう処置をとって、参っております。最近の経済動向等を考えてみますと、特殊な輸出品が最近の影響を受けて非常な変動を来たしておる、これはわが方でも非常に困るというばかりじゃなく、相手方も日本の品物の価格変動によって、思わない損失を受ける。同時にこのことは価格が安定しないために輸出を阻害する、こういう要因になるわけであります。だからこういう意味において価格安定対策、これは適当に考えなければならない問題だと思います。もちろん業界自身もそういう方針でございましょうし、また政府もこういう意味での業界の指導なりメーカーの指導とうこといもして参りたい、かように実は考えております。特に最近出で参りましたものに——おそらく加藤さんも御出身の地方に特に関係のある繊維関係なども話したいのではないかと思いますが、そういうものについて私どもも貿易伸長の面から十分国内価格の変動の推移を注視して、そうして要する対策はとって参りたい、こういう考え方でございます。  それから第二の問題、レーバー、ダンピング、こういうお話でございます。最近の経団連等におきまして賃金を引き上げることが貿易を阻害するとか、あるいは生産を阻害するとか、いろいろ議論が出ております。過日も参議院の本会議で公務員の人事院勧告に伴うベースアップ等についても、そういう意味質問をある会派から受けました。しかし私は今日まで政府が一貫してとってき、またその政策はあらゆる努力をしても続けていきたいと申しますものは、やはり個人の収入もふやしていき、同時に生産性を向上して企業の採算はより維持ができるような工夫を願うこれは基本の問題として堅持して参りたい、かように思っております。今日アメリカの労働者と日本の労働者を比べれば、もちろん賃金の面において日本が安い。しかしアメリカが同時に欧州の労働者と比べてみれば、欧州アメリカよりも安いに違いないと思います。また日本日本よりも後進国と比べれば、必ずそこらの賃金は安いと思います。やはり国民生活の水準あるいは生産性、そういう面から賃金がきまってくる。企業内の採算で労使間において適当にきまりつつある現状というもの、これは私どももより向上させるという方向で努力して参りまして、いやしくもレーバー、ダンピグだというような非難を受けないように、産業が国際的水準に育成される、これが望ましいものだと思います。今日繊維関係等で見まするならば、私は昨年の賃金の上げ方が非常にきびしくて、十大紡等もこれではとてもたえられない、かように申しておりますが、しかしあの引き上げによって、おそらく紡続業の賃金とすればだんだん国際水準に近づいているのではないか、かように私は思いますので、こういう点は来たるべき日米経済合同委員会等におきましても、十分その主張をしたいと思います。  ことに日本における特殊事情等あるいは盆暮れのボーナスであるとか、その他の厚生施設等、外国より進んだものもございますから、そういう点もあわせて見まして、そうして労働者に対する手厚い保護ができておることを十分私は自信を持って話をしたい、かように実は思っておるのであります。しかしいずれにいたしましても、一面に賃銀の高騰が生産コストに影響のあることは、これは申すまでもないのでありますから、企業内部におきまして十分採算性のあるように、賃金は上げるが、同時に生産性を向上する、こういうことでお互いにしあわせな生活ができるように、そういう方向に持っていくのが、私どもの経済行策でもあると御了承いただきたいと思います。  第三点運賃が占むる割合、これは御指摘のようになかなか大きいのであります。しかも運賃と申しますが、海洋における船舶運賃なり、あるいは着地における荷揚げ運賃なり、さらに小運送費など考えますと、運賃の構成はなかなか大事な部分を占めるのでありますす。でありますからこそ、たとえば能率のいい新しい船を作るとか、あるいはまた港湾の荷役設備をよくするとか、あるいはまた陸上の小運送費を軽減して、直接工場へ引き入れるようにするとか、あらゆる面で運賃の低減策を考えておるわけでございます。同時に、こういう点が、それでは国際価格を決定する場合のきめ手になっているかどうか。かように申しますると、第一次産品、それの泊地における経済情勢がいろいろ原料品の輸送の場合に価格決定上の大きな条件になるのであります。たとえば中共なら中共から買うといたしましても、なるほど海上の距離は非常に短い。しかしながら中共自身が同種のものについて日本がこの程度に高く買っている。だから距離が短くても、おれの方は売るのだから外国の品物よりも特に安く売らぬでもいいじゃないか。こういうような事情があるやに伺う節があります。だから、運賃が原料品の価格の面で大きなポジションを占めておる、これは御指摘の通りでございますが、国際価格そのものに直ちにそれを影響さすかどうか。ここらに商取引の妙味があるんじゃないか、かように実は思います。だからそういう点で商社などもいろいろ工夫し、いろいろ交渉の余地があるわけであります。あるいは今中共のお話一つ引き合いに出しましたが、シベリアの木林などに非常にその例があるやに聞きます。現に非常に近いところからシベリアの木林がくる。しかしながら輸入業者が現実には非常に高く小売では売れているじゃないか、原産地の輸出するソ連自身が、あれだけ高く売れるのに、こんなに安い値段で日本に出すまでもないじゃないか。こういうようなことで、一年ごとに原産地の価格も上がる。こういうようなこともあるやに伺いますから、なかなか価格形成は一筋なわでいかない。これを一つ御了承いただきたいと思います。しかしながら御指摘のようにこれは大事なこでございますから、能率のいい船、あるいは荷役施設を整備するとか、あるいは小運送費の低減にさらに努力をする、こういうことが望ましい、かように思います。  それから板川さんのお尋ねでございますが、輸入担保率を引き上げる、その結果ただいま言うような疑念を生ずる、どうも少しおかしいじゃないか、もしも不正があるならば、せっかくあれだけ極秘のうちに進めたもので、よもや事前に漏れたはずはないのだから、事後の処理で何らか不都合なことがあるのではないか、こういうことでいろいろ調査をいたしているわけで、十分確証をつかんだ程度にはなっておりません。ただいま一つ一応考えられますのは、当時が御承知のように台風圏に入ったときでございます。金曜日、土曜日等の受付の処理が予定通りに進んでいなかったという点もあるようでございます。だから受付自身が月曜日以後のものを土曜日に切り上げたということは必ずしも断定はできないようでございます。しかし私どもは実は非常に厳重に秘密を守ったつもりでございますので、よもやこれが外へ漏れるとは思わないのであります。通産省の内部でもおそらく原局自身も知らないうちに、特別な人に作業を命じてやらしたのでありますから、事前には絶対に漏れていない。また通産省の内部において原局等に相談がなかったから不都合だといって、いいかげんなことをしては絶対におりません。問題は、ただいまなお調査中にあるのでございますから、一がいに断定してしまうというわけにもいかないと思います。ことに商社の関係は私の方で指導し、取り締まることは可能でございますけれども、相手方が銀行ということになれば、これは大蔵省の意見も十分聞かなくてはならぬ、こういうことで、ただいま結論をどうしたとかいうところまで至っておらない。従いましてここでそこまでお話のできないことをお許しを得たいと思います。  次の問題は、外貨の保有高が非常に減ったのではないかということでありますが、これは今までを通じていろいろ御議論もあった点でございます。しかし国際収支、資本取引までいろいろ入れてみますと、最近資本取引の面で相当拡大しておるものがございますから、そういたしますと悲観する材料ばかりではないということだけ一点御指摘をいたしまして、今後の推移で一つ結論を出さしていただきたい、かように思います。
  20. 早稻田柳右エ門

    ○早稻田委員長 本日はこの程度にとどめ、次会は来たる二十四日火曜日午前十時理事会、十五分より委員会を開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十九分散会