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1961-10-31 第39回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月三十一日(火曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 古川 丈吉君 理事 坊  秀男君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君       大倉 三郎君    正示啓次郎君       谷垣 傳一君    辻  寛一君       早川  崇君    原田  憲君       前田 義雄君    松本 一郎君       宮澤 胤勇君    保岡 武久君       太田 一夫君    島本 虎三君       楢崎弥之助君    八木 一男君       玉置 一徳君  出席政府委員         内閣官房長官  大平 正芳君     ————————————— 十月三十一日  委員渡海元三郎君及び阿部五郎辞任につき、  その補欠として松本一郎及び太田一夫君が議長  の指名委員に選任された。 同日  委員松本一郎君及び太田一夫辞任につき、そ  の補欠として渡海元三郎君及び阿部五郎君が議  長の指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより会議を開きます。  災害対策に関する件について議事を進めます。  質疑の通告がありますので、これを許します。角屋堅次郎君。
  3. 角屋堅次郎

    角屋委員 官房長官出席機会に、一点だけにしぼってお尋ねをいたしたいと思います。  今次臨時国会も、いよいよ本日をもって終了するわけですが、私ども災害対策特別委員会は、臨時国会召集以来、本年度の累次にわたる災害の問題について、災害対策の万全を期するために、与野党一致して今日まで真剣な努力をしてきたことは、官房長官も御承知通りであります。ただ、本日臨時国会を終了するにあたって私どもの心残りになりますことは、すでに今次災害に対する特例法等は、それぞれ所要附帯決議等も付して参議院に送付したわけでありますけれども、その後におきまして、御承知通り、十月の下旬に低気圧による集中豪雨、さらに台風二十六号等災害発生をいたしまして、これが九州、四国、近畿から、さらに東海以東の方面にも非常に大きな損害を与えているわけでございます。昨日は、災害対策特別委員会にそれぞれ政府関係責任者を呼びまして、災害実態についての報告を徴したわけでありますが、その実態報告によりましても、非常に大きな災害でありまして、従って、これは当然、われわれが今次特別委員会審議をいたしました特例法の中に、十月下旬の集中豪雨ないし台風二十六号等も含めて、これに適用するように措置をしなければならぬと考えておるわけであります。従いまして、でき得べくんば、参議院に送付されておる特例法について、参議院自体で修正をいたしまして、そうして衆議院に回って参りますれば、私ども満場一致これを承認をするという形に相なるわけですが、会期その他の関係でそれが困難であるといたしましても、当然、これは次期通常国会において、政府責任において、所要特例法に対する適用のための法改正提案して、今次災害罹災県、罹災民に対する万全の措置を講じてもらわなければならない。これがまた本特別委員会責任でもあると考えておるわけであります。数日前、私は罹災県の三重県に帰りまして、重点的に被災状況等も視察して参りましたけれども海岸寄りの全面的な壊滅を初め、大きな被害を生じておる実態承知して参りました。この災害対策のメンバーになっておられる関係県の方々、それぞれ被害実態を現地になまなましく見て参りまして、本日は質問を用意しておられる方々もたくさんあったわけでありますが、会期末でありますので、私がこの問題については重点的に官房長官お尋ねをする、こういうことに相なっておるわけであります。従いまして、重ねて申し上げますけれども、今次臨時国会において処理するのが、本特別委員会の当然の責務でありまするけれども日程等の切迫した関係で処理し得ないという段階の場合においても、政府は、次期通常国会においては責任を持って、十月下旬の集中豪雨台風二十六号、さらに十月の上旬に発生をしております台風二十四号等の問題についても、よく災害実態を精査されまして、それぞれ所要法改正等立法措置を講じなければならない、かように考えておるわけでありますが、この問題に対しての政府としての所信をこの機会に明らかにしていただきたい、かように思うわけであります。
  4. 大平正芳

    大平政府委員 今回災害対策のもろもろの特別立法の対象になっていないもので、その後に発生した災害につきましては、目下鋭意実情を調査中でございまして、この調査を待ちまして、その実態に即して特別立法の必要があるものにつきましては、次期国会において所要措置をとる所存でございます。
  5. 古川丈吉

  6. 八木一男

    八木(一)委員 単刀直入に簡単に御質問を申し上げます。  災害については、これを防ぐ、防災をする、災害を受けないということが最も大切であることは申すまでもございません。しかしながら、台風常習地帯であり、集中豪雨というようなものが季節的に襲来する日本でありますから、これを根絶するということは非常に至難であろうと思います。ことに現在の状態においては、治山治水計画が非常に不完全である。それから気象観測が不完全である。また、災害復旧も、当然完全な改良復旧をしなければならないのに、そういうことが不徹底であるために、人為的に災害が増大しているという点があるわけです。ことに人為的のひどいのは、ダム管理が不徹底であって、そういうことが起こっている。あるいはまた、地下水をくみ上げ過ぎて地盤沈下が起こって、高潮のときに非常な災害が起こるというような、人為的な災害の要素も非常にあるわけであります。そういう点について政治責任は非常に重大であります。その問題について、公共土木災害等については不十分であるけれども、ある程度の対処がなされておりまするけれども個人的な災害についてはほとんどなされたということは言えない程度です。そのことについて、先般、私、大平官房長官に御質問をいたしました。それに対処できるように立法措置至急検討してがんばっていきたいというような御返事があったわけであります。私どもとしては、おくればせでもこの国会提案されることを期待いたしておったわけでありまするが、それが遅延いたしまして、今日まだその提案が見られないのは非常に遺憾であります。遺憾でありますが、そのおくれを取り返すために、政府はこれから緊急に真剣に前向きに検討されて、そのような立法措置を講ぜられる必要があると信ずるものでございまして、政府ほんとう国民政府であるならば、これに対処する政治家国民政治家であるならば、当然今までのおくれを反省し、これから至急にその問題を進めるという御返事があってしかるべきであると考えますが、大平長官の御意見を伺いたいと思います。
  7. 大平正芳

    大平政府委員 この前の本委員会におきまして、八木委員から御鞭撻を受けたわけでございまして、ただいままでの災害対策は、予防の面にいたしましても、復旧の面にいたしましても、漸次改善を見つつございますけれども、決して十分とはまだ申し上げられない状況でございます。特に御指摘をいただきました個人災害に対してどう対処するかという点は、まだ未解決の分野であろうと承知いたしておりまし  て、今次の第二次室戸台風は、特に従来の災害に比しまして、個人災害が非常に多いという特徴を持っております。で、この台風が起こりました直後、政府におきましても、今御指摘個人援護対策につきまして検討すべきだという論議も出て参りまして、私どもは、今、厚生大臣との間に、どういう政策の仕組みでこれにこたえるかという点について検討中でございまして、この前も、今申し上げましたように、立法措置というものは、立法政策上相当広範な中身を持っておりますので、どのような政策の組み合わせで対処するかという点につきましては、十分専門家意見も聞かなければいけませんし、私どもといたしましては、そういう課題につきまして、政府関係各省の間でいわゆる前向きの姿勢検討に入っているわけでございます。結論が出ましたら、また皆さんに御審議いただきたいと思います。
  8. 八木一男

    八木(一)委員 長官から、いろいろなことで今検討していると言われましたけれども、この災害が起こったときに、法律がない、行政的にいろいろやっていきたいということは、毎回災害ごと政府は言っておられる。今度も言っておられるわけです。ところが、法律がないために、行政措置では、百必要なことが一つにもならないことは自明の理であります。従って、その問題を解決するには、そのような立法をしなければできないことは明らかであります。そのような立法をされる意思があるはずでございます。そこのところをはっきり——立法内容はどうなるかは、これから適切に御検討になったらけっこうだと思いますが、そのような個人災害に対処するための、なくなった方に具体的に弔意を表し、あるいは災害を受けた方々の自立を助長する、あるいはそういうことがあるので、一般的に、災害が起こらないときにも、国民政府に対する信頼が高まるというような立法措置を講ぜられることが、当然の帰結であろうと思います。はっきり立法措置を推進するという御答弁をいただきたいと思います。
  9. 大平正芳

    大平政府委員 新しい立法の要否、もしそれが要するとすればどういう内容のものかという点につきましては、今検討中でございます。いずれにいたしましても、八木委員から御指摘されるように、個人災害について、政治信頼と愛情がどうすれば被災者に通ずるか、その点に焦点を置きまして考えるべきものであると思います。
  10. 八木一男

    八木(一)委員 非常にりっぱな政治家である大平長官の御答弁としては、不満足であります。要否など必要ございません。どういうものを作るかという答弁は当然必要であります。今法律がないために対処できない、これは大平さんはっきり一〇〇%認めておられると思う。否定はできないと思う。それに対処するにはそういうことをしなければならないことは、小学生でもわかることであります。大平さんみたいな大政治家、熱心な政治家が、そんな答弁ができないはずはありません。どういう法律を作るかについては検討する、これはけっこうであります。しかし、そういうものを出すということははっきりとしていただかなければ、これは大平さんのみならず、池田内閣自体が、そういう問題については全然考えていないという証拠になると思う。池田内閣大平官房長官考えておられると信じたいと思います。ですから、要否などということは抜かして、立法について積極的に、具体的に、前向きに検討する、そのような御答弁をぜひいただきたいと思います。
  11. 大平正芳

    大平政府委員 私どもは、問題は、今御指摘個人災害に対してどう対処するかという命題があるわけでございまして、これに対しまして当然相当の国費を費やさなければならぬ問題でございます。予算措置で間に合うか、あるいは八木委員が措摘されるように、立法措置でやる必要があるか、そういう点は、いろいろ考慮すべき問題がございますので、政府としては慎重に対処しなければいかぬと思うのであります。問題は、そういう個人災害についてどういう政策でもって対処するかという政策全体につきまして、真剣に検討していきたいというつもりであるわけでございます。従って、そういう問題について逃げ腰であるとか、ないがしろにするとかいう気持は毛頭ございません。
  12. 古川丈吉

    古川委員長代理 八木君、簡単に願います。
  13. 八木一男

    八木(一)委員 私、時間を制限されておりますから、簡単にしか申せませんけれどもほんとう国民の立場で申し上げますから、回りくどいことをおっしゃらず、ずばりおっしゃっていただきたいと思います。個人災害に対処するのでありますから、予算が要るのはあたりまえのことであります。また、予算的な見地でしんしゃくしなければならぬもの、これはわかります。ですから、それが額が非常に大きなものであるか、中くらいなものであるか、これは検討を要する問題であります。しかし、その問題は検討を要しても、そういうことをするために、国の金をただお見舞として持っていくことはできないわけです。それをやるためには立法措置をしなければできないわけです。ですから、予算内容検討されてしかるべきであります。そういうことで、立法を推進するという御答弁でなければつじつまが合いません。また、それでなければ国民政府信頼いたしません。また、それでなければ、池田内閣が今まで言っておられることと違うわけであります。ですから、そういう立法措置を推進すると完全に言わなくても、私ども政治に関与いたしておりますから、予算措置その他のことは言わなくてもわかります。立法措置を推進して、最大限度一生懸命に、前向きに急速に推進するという御答弁をぜひ承りたいと思います。
  14. 大平正芳

    大平政府委員 私がたびたび申し上げますように、そういう問題に対して有効な手段をどういうようにするかという問題でございます。八木委員は、それは必ず立法措置になるのだというお考えを持たれておるようでござまして、あるいはそうであるかもしれません。しかし、そこまでいく前に政府としてあらゆる手段考えてみまして、必要あれば立法措置を講ずる、このように考えて参るのが私どもの務めじゃないか、そう思うのであります。
  15. 八木一男

    八木(一)委員 非常に不満足であります。非常に不満足でありますが、大平さんは不満足なことはおわかりだと思う。国民も、これは政治の問題ですから、むずかしいからわからないけれども、それを伝える場合に、非常に不満足であることはおわかりだと思う。ですから、そういう不満足でないことのために努力されて、通常国会のできるだけ早い機会に、どういう方針であるかということをはっきりさせるというお約束が、ぜひ必要だと思う。このことについて御意見を伺いたい。
  16. 古川丈吉

    古川委員長代理 八木君、時間がありません。官房長官も簡単にお願いいたします。
  17. 大平正芳

    大平政府委員 私ども検討いたしました結果は、通常国会で御批判をいただきたいと思います。
  18. 古川丈吉

    古川委員長代理 岡本隆一君。予鈴が鳴っておりますから、一つ岡本君、簡単にお願いいたします。
  19. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 災害基本法政府から出してみえられましたが、災害基本法が強く要望されておった理由の一番大きなものは、災害のたびに特別立法をしなければならない、そしてまた、災害が起これば、起こった地方公共団体の首長であるとか、あるいはまた議会の人たちが、何をおいても、地元の救援対策よりも、まず第一に中央への陳情に走ってこなければならぬというような弊害をなくさなければいけないということが、一つの大きな理由だと思います。だから、早くその災害程度に応じた政府の援助の手が差し伸べられるように、そういうふうに自動的に法律が動くようにしなければいかぬということが、災害基本法を作れという要望の一番大きなものであったと思う。ところが、今度政府から出してみえましたところの災害基本法では、九十七条で、「著しく激甚である災害発生したときは、別に法律で定めるところにより、」というふうに、一番肝心なところをすらりと逃げておられるわけなんです。この問題につきましては、来国会で必ず恒久立法を作りますというふうなことを池田さんもおっしゃっていたのですが、もう一度、私は、この機会に念を押しておきたいと思うのであります。国庫負担の問題についての恒久立法を、激甚地政令基準と一緒に、もう一度はっきりしたものにして作り直される用意を持っておられるかどうかということを、念のためにお伺いしておきたいと思います。
  20. 大平正芳

    大平政府委員 岡本委員の御質問は、文字通り災害対策基本法で、現実の事態が起これば、それを発動すればすぐ措置ができるような基本法案であるべきだが、今政府が御提案申し上げておりますものは不十分だから、これを集大成するつもりがあるかどうか、こういうことでございます。私ども調べてみましたら、災害基本法案の、今岡本委員が言われるようなあるべき法源として、現にとられておる措置というのは、大へんにたくさんございまして、事項を拾ってみますと、各省を通じまして四十三件ほどあるわけでございます。それで、これはおっしゃるように整理いたしまして、そのつど立法をするということなく、一つ法案にまとめていく方が、立法政策としても私ども賢明であると思います。これにつきましては、ちょうど今御提案申し上げている基本法案を作るときに、トンネルを抜く場合に、まず素掘りで一ぺん抜いておこう、こういうわけで災害基本法という一つの看板を作って、それでとりあえずここでまとめるのだという姿勢をとったわけです。この集大成するとなりますと、大へん長い間かかりますので、ここでとりあえず、そのようにして各省の一致したところを一ぺんやっておこうということでございまして、御不満の点はよくわかります。今すでに取り込むべきものがたくさんあるけれども、先ほど八木さんから御指摘がございました、今後また開拓すべきであるという分野もあろうと思いますので、今これをいつごろまでに集大成して御審議をいただくかということにつきまして、正直のところ、私も確たるめどを持っておりません。ただ、今御指摘のような工合に、なるべく早くまとめるべきものであったらまとめるべきじゃないか、そう存じておりますので、しばらく検討の余裕を致えていただきたいと思います。
  21. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 この前、たしか角屋君だったと思うのでありますが、池田さんにそういう問題について質問したときには、来国会提案するために目下準備をしておるというふうなお話であったと思います。今度の災害基本法というものの一番大きな柱は、今言った、災害たびごと特例法を作らなければならない、だから、そういうことをしなくてもいいような、いろいろな国からの補助措置というものを作らなければいかぬ、そういう制度を作らなければいかぬということが、一番大きな柱だった。それと、もう一本の柱は、個人災害の問題が全然入っておらないから、そういう点について配慮のあるものを作らなければいかぬというふうな二点であったと思うのです。そういう点、九十七条、九十八条、九十九条の三つの項目でもって、それらの問題をすらりと逃げておるという点で、この災害基本法というものはいわば魂なき災害基本法だ、私はこう言ってもいいと思うのです。せっかくこれだけ分厚な法案なのです。しかも、災害が起こったら救援活動をどうするかとか、あるいは避難活動をどうさせるとか、そういうふうなことばかりです。なるほどそういうことも必要ですが、しかしながら、それにも増して必要なことは、その地方に再び災害を起こさないようにするということ、それから甚大な痛手を受けたところの被災者に対して十分な援護をしてやる、これらの問題が抜けておるという点で、この災害基本法というものは魂なき法と思うのです。だから、やっぱり魂を入れてもらわなければならない。仏作って魂入れずではいかぬです。もう時間がないので、問答している間もございませんので、来国会あとう限りの努力をしていただきまして、魂とまでいかなくても、少なくとも魂らしきものは入れる、あとはまたそれを作り直していくというふうな方向へ進まれるように、私はお願いしておきたいと思います。  そこで、個人災害の問題でございますが……。
  22. 古川丈吉

    古川委員長代理 岡本君、本会議が始まっておりますから、簡単にお願いします。
  23. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 個人災害の問題でございますけれども、これについては、今のところ、まだその段階に入っておらない、こういうふうな政府の御意向のようでございますが、個人災害にも二つあると思うのです。一つは、ほんとう意味天災だと思うのです。
  24. 古川丈吉

    古川委員長代理 岡本君、本会議が始まっており、まだ決議もありますから……。
  25. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 風が吹いたり、家が倒れた、それはほんとう天災です。あるいは集中豪雨のために水が出て浸水したというのも、あるいはほんとう意味天災かもしれぬ。しかしながら、政府施策が足らないために、自然的な条件において従来なら災害の起こらなかったところで、新たに起こるような条件が出てきて、そのために起こってくる災害というものがございます。一番適例は、泰阜ダムの問題だと思うのです。あの泰阜ダムができなければ、飯田の地方はああいう災害には見舞われなかった。それと同じようなことが、たとえば京都府なんかでも起こっております。巨椋池の干拓をやったから、その付近の遊水地帯がなくなって、押し寄せてくる水のために水害が起こるというふうなことが出て参っております。だから、そういうふうな諸種の条件のために、あとから災害が起こるような条件になったものについては、やはり政府は補償的な意味におけるところの援護というものをやらなければならない。だから、個人災害に対するところの援護というふうな問題も、二つに考え政府措置してもらわなければならぬと思う。だから、そういうふうな政府施策の足らざることのために起こった災害をどうするかという問題ですが、こういう点には、まず第一には、なるほど大きな予算が要るからできないとあれば、今の第二の場合のような災害について政府は何らかの手をまず第一に打ち、しかる後にまた第一の問題に及んでいくというような方針で、二段階に進まなければならぬと思いますが、政府の方ではそういうものすらかまわないのだというふうなお考えですか、それとも、そういうふうなものはあとう限り早くやっていきたいというお考えを持っているのか、その辺を承っておきます。
  26. 大平正芳

    大平政府委員 個人災害の点は、ただいままでも拾ってみますと、あの手この手とずいぶんやっているのでございますけれども、さらに、先ほど御指摘のように、不十分だという点をどう切り開いていくかという問題は、先ほど八木委員に私が申し上げた通り、内部で検討を進めております。  それから第二の問題で、たとえばダム調整の問題、これは本委員会でも御注意をいただきまして、これの調節にわれわれはエキスパートをお願いいたしましてかかっておったのでございますが、ダム調節の問題は、単なる技術だけでいかないという御注意もございまして、審議会というしっかりしたものを作ってやれということでございますので、今建設大臣との間で協議しておるわけでございます。こういった点につきましては、両々相待ちまして鋭意やって参らなければならぬと存じます。
  27. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 官房長官、それは…。
  28. 古川丈吉

    古川委員長代理 岡本君、本会議が始まっておりますし、京都府からの陳情もありますので、時間がありませんから、みんな五分間で制限したのですから、あなたも守ってもらわなくては困ります。
  29. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 それでは、時間がないそうですから、また建設委員会にでも出ていただいて、もう一度この問題についてよくお話し合いたいと思います。      ————◇—————
  30. 古川丈吉

    古川委員長代理 この際、災害対策に関し、各派共同をもって本委員会において決議をいたしたいとの動議が出されております。この際、この趣旨弁明を求めます。永田亮一君。
  31. 永田亮一

    永田委員 ただいま議題となりました本決議案は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党共同提案にかかるものでありますして、各派を代表して、その説明をいたします。  まずその案文を朗読いたします。    恒久的災害対策の確立と本年度災害復興促進に関する決議(案)   本年は六月の集中豪雨、九月の第二室戸台風をはじめ累次にわたり風水害等被害相次ぎ、わが国産業、経済、民生に大きな打撃を与えている。   政府は、わが国台風進路等関係から毎年災害を受くべき自然的、地理的条件にあることに深く思いをいたし、恒久的な防災対策を一層積極的に推進するとともに、本年度災害についても誠意をもって災害復興促進を図り、特に次の事項に留意して旧来の災害対策を大きく前進さすべきである。  一、災害対策基本法の成立とともに速やかに国、県、市町村を通ずる名実ともに充実した科学的、機動的な防災態勢の整備を図ること。  二、災害立法は現行法、特例法を整理統合して速やかに恒久立法化するよう法制を整備すること。  三、治山、治水十ケ年計画に再検討を加え、事業の促進を積極的に推進すること。  四、新たに海岸保全計画を策定し、治山、治水十ケ年計画と歩調を合せて実施出来るよう所要の法制的、財政的措置を講ずること。  五、高潮対策、地盤沈下対策等について速やかに所要立法措置並びに財政措置を講ずること。  六、ダム問題について、科学的な検討と紛争処理に資するため、内閣に審議会を設置すること。  七、被災者援護については、研究のうえ速やかに適切なる措置を講ずること。  八、今次災害復旧に当っては再度災害防止のため積極的に改良復旧をもって早期完成を図るとともに、激甚地指定の政令基準の運営については、地方財政、地元負担等の軽減を充分配慮して善処すること。   なお、関東、東北を襲った台風二十四号並びに十月下旬の集中豪雨及び台風第二十六号等が九州、四国、近畿、東海更にその以東に極めて大きな被害を与えている実情にかんがみ、今次災害特例法の趣旨にのっとり適切な措置を講ずるとともに、次期通常国会において所要法改正を行うこと。   右決議する。    昭和三十六年十月三十一日     衆議院災害対策特別委員会  以上の通りであります。  時間がありませんので、この決議案について、ごく簡単に一言御説明を申し上げます。  ことしは台風の当たり年といわれておるくらいで、次々に六月以後集中豪雨、第二室戸台風と、日本産業に大きな打撃を与えました。ことしが当たり年であったから、来年はもうこないかと、いうと、それはだれも保証ができないのでありまして、ことしと同じような台風がくるか、あるいはことし以上の台風がまた来年やってくるかもわからぬわけでありまして、われわれはすみやかに恒久的な防災対策を樹立していただきたい。この点を希望いたしておるのであります。特に先ほど読み上げました中でも、高潮対策、地盤沈下対策等についても、すみやかに所要立法措置を講じてもらいたい。また、先ほど八木委員岡本委員、皆様から御説明がありましたが、第二室戸台風災害を見てみましても、個人災害が非常に多かったのであります。政府はなるべくすみやかに適切な措置を講ずるように、官房長官においても御留意されたいと思うのであります。  また災害の防止のためには、改良復旧を原則として、早期にその根本的な復旧作業をやっていただきたい。  なお、集中豪雨、第二室戸台風以後にも、各地で災害発生いたしておりますが、この点も、次期通常国会において所要法改正を行なっていただきたい。  以上、簡単に御説明を申し上げたのでありますが、すみやかに御可決あらんことを切にお願い申し上げます。
  32. 古川丈吉

    古川委員長代理 これにて趣旨の説明は終わりました。  別に御発言がなければ、直ちに採決いたします。  本案を委員会決議とするに賛成の諸君の起立を求めます。    〔賛成者起立〕
  33. 古川丈吉

    古川委員長代理 起立総員よって動議は可決されました。(拍手)  なお、字句の整理等の必要を生じました場合における措置につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、さよう御了承願います。  なお、ただいまの決議関係政府当局に送付いたします手続等については、委員長に御一任願いたいと思いますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認め、さよう決しました。  この際、ただいまの決議に対し、政府の所見を求めます。大平内閣官房長官
  35. 大平正芳

    大平政府委員 御決議いただきましたことは、財政上の制約はもちろんございますけれども、可能な限り、迅速かつ適切なる措置を講ずる決意でございます。
  36. 古川丈吉

    古川委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後二時十四分散会