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1961-10-25 第39回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十五日(水曜日)     午前十時二十八分開議     —————————————  出席委員    委員長代理理事 古川 丈吉君    理事 秋山 利恭君 理事 生田 宏一君    理事 永田 亮一君 理事 坊  秀男君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君    理事 下平 正一君       大倉 三郎君    岡本  茂君       金子 一平君    薩摩 雄次君       首藤 新八君    正示啓次郎君       壽原 正一君    谷垣 專一君       辻  寛一君    原田  憲君       前田 義雄君    宮澤 胤勇君       保岡 武久君    阿部 五郎君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       五島 虎雄君    島本 虎三君       辻原 弘市君    楢崎弥之助君       肥田 次郎君    八木 一男君       大矢 省三君    玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         通商産業政務次         官       森   清君         中小企業庁長官 大堀  弘君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君  委員外出席者         議     員 五島 虎雄君         議     員 八木 一男君     ————————————— 十月二十五日  委員玉置一徳辞任につき、その補欠として大  矢省三君が議長指名委員に選任された。  同日  委員大矢省三辞任につき、その補欠として玉  置一徳君が議長指名委員に選任された。      ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に  際し発生した火災、同年六月の水害、同年九月  の風水害又は同年十月二日鹿児島市に発生した  火災に伴う公営住宅法特例等に関する法律案  (内閣提出第五四号)  昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、  八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八  月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施  設等の災害復旧等に関する特別措置法案内閣  提出第五七号)  昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を  受けた地域における伝染病予防費に関する特別  措置法案内閣提出第七二号)  昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を  受けた社会福祉事業施設災害復旧費に関する  特別措置法案内閣提出第七三号)  昭和三十六年六月及び八月の水害又は同年九月  の風水害を受けた都道府県に対する母子福祉資  金に関する国の貸付けの特例に関する法律案(  内閣提出第七四号)  昭和三十六年五月の風害、同年六月、七月及び  八月の水害又は同年九月の風水害に伴う中小企  業信用保険法特例に関する法律案内閣提出  第七五号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十  月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、  七月、八月及び十月の水害、同年九月の風水害  又は同年五月から八月までのかんばつにより被  害を受け生計が困難である者の生活保障に関  する特別措置法案八木一男君外十二名提出、  衆法第二四号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十  月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、  七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水  害を受けた都道府県災害救助費に関する特別  措置法案五島虎雄君外十二名提出衆法第二  五号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十  月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、  七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水  害に関し災害救助法適用された地域における  国民健康保険事業に対する補助に関する特別措  置法案八木一男君外十二名提出衆法第二六  号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十  月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、  七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水  害を受けた地域における公衆衛生保持に関す  る特別措置法案五島虎雄君外十二名提出、衆  法第二七号)      ————◇—————
  2. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより会議を開きます。  委員長が所用のため少しおくれてお見えになりますが、その間私が委員長の職務を行ないますので、御了承をお願いいたします。  昨二十四日付託になりました八木一男君外十二名提出昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害、同年九月の風水害又は同年五月から八月までのかんばつにより被害を受け生計が困難である者の生活保障に関する特別措置法案昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水害に関し災害救助法適用された地域における国民健康保険事業に対する補助に関する特別措置法案、及び五島虎雄君外十二名提出昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水害を受けた都道府県災害救助費に関する特別措置法案昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水害を受けた地域における公衆衛生保持に関する特別措置法案、以上四案を一括議題といたします。     —————————————
  3. 古川丈吉

    古川委員長代理 まず、各案の趣旨について、提出者説明を求めます。五島虎雄君。
  4. 五島虎雄

    五島議員 私は、日本社会党を代理いたしまして、ただいま議題となりました、昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水害を受けた地域における公衆衛生保持に関する特別措置法案につきまして、その提案理由を御説明申し上げます。  今回の災害に関し、政府伝染病予防費に関する特別措置法案提案いたしております。しかしながら、公衆衛生に関する災害の影響は、単に伝染病の問題にとどまらないのでありまして、水道事業その他の設備にも相当の被害を出しているのであります。この場合、たとえば簡易水道をとってみますと、地元民が多額の資金を出し合って設備したものが、災害によって破壊されたとき、これを自己負担で復旧するには、大きな困難が伴うのであります。このような意味で、水道汚物処理などの施設に対しても、国の負担を多くして、早急に復旧できるようにすることが、やはり国の国民に対する責任であると思います。  また、政府は、伝染病に限って、国庫補助の額を三分の二になるようにしておりますが、各都道府県災害でさまざまな支出をしてその財政窮迫しており、県、市町村がそれぞれ六分の一を支出せねばならないということでは、地方自治体本格的取り組みを阻害することにもなりかねないのでありまして、思い切った国庫補助率の引き上げが必要であります。  この意味で、伝染病予防簡易水道を含む水道施設汚物処理などの諸施設について、九〇%の国庫補助を行なおうというのが、本法案趣旨であります。  慎重御審議の上、すみやかに御可決あらんことをお願い申し上げます。  次に、ただいま議題となりました、昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水害を受けた都道府県災害救助費に関する特別措置法案に対する提案理由説明をいたします。  この法律案提出する理由は、案文に示す通り現行法災害救助費の額がその府県標準税収見込額の千分の二をこえた場合に国庫負担することとなっておりますが、打ち続いた災害のため、都道府県支出は増大の一路をたどり、地方財政はますます窮迫のきわみでありますので、この際、災害救助費高率補助を行なうことが、地方自治体負担を軽減し、迅速、適切な被災者救済に役立つものと信ずるものであります。  ゆえに、法律案に列挙した災害に限り、災害救助法第三十六条中、「千分の二を超え千分の二十」とあるのを、「千分の二十」と読みかえて、同条を適用することにいたしたいと存じます。言いかえるならば、都道府県支出した災害救助費の第三十六条中の標準税収見込額最低限のワクを取り払うことによって、これまで貧弱な地方財政ワクの中で措置でき得なかった被災者に対する、あたたかい救済処置が可能になるものと信ずるものであります。  右に述べました趣旨を十二分におくみ取りいただき、すみやかに可決されんことをお願い申し上げます。
  5. 古川丈吉

  6. 八木一男

    八木(一)議員 私は、ただいま議題となりました、昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害、同年九月の風水害又は同年五月から八月までのかんばつにより被害を受け生計が困難である者の生活保障に関する特別措置案法について、日本社会党を代表いたしまして、提案趣旨理由並びに内容大綱について、簡単に申し上げたいと存じます。  本年日本を襲いましたいろいろの災害によって、非常に多くの国民方々があるいはとうとい生命を失われました。あるいはそのうちに生活が困難に陥られまして困っております。私ども議会全体として、ほんとうに弔意を表し、その問題に対処しなければならないと考えておるところであります。  こういう生活困難を来たしたときの最低保障法律といたしまして、生活保護法という法律があるわけでございますが、この生活保護法自体が、その第四条の補足性原則という、非常にきびしい原則によりまして、実際に生活困難の方々に対する対処が十分にいかない状態にあることは、識者の論議するところで、ございます。その内容は、御承知通り資産等はすべて処理しなければ生活保護法適用を受けられません。そこで、将来支出に必要な資産まで処置しなければそのような法の適用を受けられないので、そのような状態を脱した場合にも、このような支出に必要な資産を失っておるために、支出がなかなかできないという状況があるのであります。また、この補足すべき原則の第二項によりまして、扶養義務の追及が現民法によって行なわれますので、その人の親族が、普通の状態でかつかつの生活をしておるにかかわらず、その人たち扶養義務を追及されるために、親族が非常に困ることがある。また、その親族が、そういう状態によって扶養義務を遂行することに積極的でない場合に、その生活困難の人の生活が成り立たない場合があるという欠陥がございまして、そういうことにつきまして根本的に考え直さなければならないという状態に達しておるわけでございます。このような一般的状態がございますが、こうした状況は、災害を受けたときに、特に非常に濃度にその状態が起こってくるわけでございます。財産処理財産処分をしなければ生活保護法適用が受けられないということでございますが、たとえば小さな山林を持っている。ところが、自宅が災害を受けるとともに、そのような山林自体の付近が、災害が起こったために交通途絶をして、ふだんなら非常に価値ある財産も、価値激減をしている。しかも、それを売り払おうと考えましても、交通途絶のために、それを売り払うことができないということで、このような処分が至難である場合が多いわけであります。また、そのようなものを売るという場合に、たとえ、今のような状況で何とかしてこれを売ることができましても、そういう状態であせって売りましたときには、財産価値激減をいたしまして、非常に損をするわけであります。また、扶養義務の方にいたしますると、普通の状態でございましたならば、親族生活困難に陥りつつある、従って、親族としていつかはそれに対して援助をしなければならないという覚悟を持って、その親族生活計画を立てておる場合が多いわけでありますが、突如として災害を受けて非常に生活困窮に陥った方々親族の人は、そういう状態を予想しておりませんので、自分生活を切りかえて、自分生活を詰めて、その余裕をもって親族扶養義務を果たすというようなことが、困難なわけでございます。そういう意味で、現行生活保護法について欠陥とされていることが、災害について特にその濃度を強くするわけでございまして、こういう災害の場合には、これに対処する特別の立法をして、この状態を解決するために努めなければならないと私どもは考えるわけでございます。その意味におきまして、生活保護法と同じ程度保護を、この法律によって、災害を受けた地域災害を受けた人で生活困窮を来たしている方々に、こういう保護を行なおうとするものであります。  保護程度は、生活保護法に規定されている保護程度を下回ってはいけない、それと同額以上でなければならないという内容でございます。そうして、条文といたしましては、条文に書いてございますように、「その者の資産水害等によりその経済的価値が著しく減少していると認められるものは、参酌しないものとする。」という条文をもちまして、この問題を解決をいたしたいと考えておる次第であります。  また、扶養義務の方は、同一世帯に属する夫婦並びに一親等の親族に対してのみは、後にそのような保護、援護に要した費用の支払いを要求することができますけれども、二親等以下にはそういうことはできないということにいたしまして、このような処置をいたしたいと考えるわけであります。それを実行いたしました都道府県市町村が、当然それだけの財政負担が非常に苦しいことは予想されますので、それを実行いたしました都道府県市町村に対して、百分の九十五までは国庫でこれをカバーしようという内容でございます。  ことに、このような法律の特性上、今本特別委員会で論議をされております対象としての災害のほか、本年わが国を襲いました早魃により被害を受けた方々で、生活の困難な方々の場合も、この法律適用したいと考えております。この法律適用によって必要な国費は約四億八千万円でございます。  このような法律の施行によって、ほんとう災害によって生活困窮を来たしておられる方々の当面の生活が、何とか成り立っていくような状態を作る、この防災が完全でなくて、そうして人災、政策と言われるような災害を起こした政府並びに議会といたしましては、こういうものでせめて最低のものをカバーすることが絶対に必要でございますので、このことによって、国民の非常な痛ましい状態におこたえをしなければならないと考えておる次第でございます。  どうか慎重御審議を下さいまして、満場一致可決をいただきたいと存ずるものであります。  次に、引き続きまして、同じく議題になっております、昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の強風に際し発生した火災、同年六月、七月、八月及び十月の水害又は同年九月の風水害に関し災害救助法適用された地域における国民健康保険事業に対する補助に関する特別措置法案に関しまして、日本社会党を代表いたしまして、その提案理由趣旨並びに内容大綱を簡単に申し上げたいと存じます。  国民健康保険適用を受けておられる国民方々の大部分は、御承知通り、農家の方々や、あるいは中小企業方々や、あるいは無職の方々であって、比較的国民の中で生活が豊かでない方々が非常に多いわけであります。そういう方々がこういう災害を受けた場合に、病気を起こした、あるいは負傷した場合に、その医療費の一部負担によって、生活状況がさらに困る状態があるわけであります。また、そのことのために、医療を受けなければならない状態でも、医療を受けないで、健康の回復がおくれるという状況が起こることは、当然予想されるわけであります。そういう問題に対処するため、各国民健康保健事業を行なう保険者としては、そういう方々に、一部負担に対して減免をしたいという考えを持っておると存じますけれども国民健康保険財政の非常に貧弱なために、それが十分に行なわれない状態にあるということがはっきりわかるわけであります。また、そのような被保険者に対しまして、病気をしなくても国民健康保険料の徴収をすることは、災害を受けて生活が困難な状態においては苛酷であります。ことに、国家公務員共済組合、あるいはまた公共企業体共済組合等では、その組合財政が豊かでございますので、災害を受けた方々に対して、見舞金を交付するというようなことが実際に行なわれておるのであります。ところが、このような国民健康保険の被保険者に対しては、見舞金交付というようなことが行なわれていないので、それに対応するためにも、保険料だけでもせめて減免が実現されることが必要であろうかと思います。現在、国民健康保険法の第七十七条で、減免をすることができるという規定があるわけでございますけれども国民健康保険財政窮迫のために、それが十分に発動されておらない状況にあります。それを十分に発動をしてこの問題に対処するためには、国が、財政困難な保険者に対して、国庫から支出を行なってこの財政をカバーして、この問題を進めて参らなければならないと思います。この意味におきまして、この法律によりまして昭和三十六年度までの分を補てんをしよう、ほとんど完全に補てんをしたいと考えるわけでありますが、ごく微細なものは保険者自体で扱えると思いますが、その間における本年度中の医療額の千分の一がこの災害によってふえたという場合、また、本年度中の保険料収入額の千分の一をこえる額を減免した場合、そういう場合には国庫でこれをカバーしようとするわけであります。その率は百分の九十五にしたいと考えております。  このようにして、国民健康保険医療がよい運行をされまして、災害地の被保険者の健康を守るとともに、その方々負担を軽減したいと考えております。どうか、皆さん、慎重御審議の上、満場一致の御可決をせられますることを心からお願いする次第でございます。(拍手)
  7. 古川丈吉

    古川委員長代理 以上にて趣旨説明は終わりました。      ————◇—————
  8. 古川丈吉

    古川委員長代理 次に、内閣提出厚生関係の三案について議題とするのでございますが、それまでに、内閣提出昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案議題として、質疑を行ないます。大矢省三君。
  9. 大矢省三

    大矢委員 本委員会は、各委員から、今日まで熱心に、今度の第二室戸台風災害について、いろいろ質疑をし、政府からの決意のほどが示されたと思うのでありますが、私は、数回の災害にあった経験、特に、大阪防潮堤、それに不可分であるところの地盤沈下について、大阪の特殊な事情を、重ねて、建設省方々あるいはまた大蔵省の方々にお聞きを願って、再度こういうととのないように、抜本的な一つの施策をお願いし、その決意のほどを私はお聞きしたいのです。きわめて短くしぼって、私は質問を申し上げたいと思うのであります。  御承知通りに、今年のこの災害は、前の台風から一メートル以上オーバーしているのでありまして、あの計画でいければ、また前の高潮でありますならば、防ぎ得たかもしれませんが、一メートル大きい四メートル六十五というような、われわれの想像もしなかった高潮のために、大きな災害を受けた。堤防が切れた場合には、干潮になりますと直ちにそれは引くのであります。ところが、御承知のように、大阪堤防をオーバーしたのでありますから、ちょうど盆地ですりばちのようなところに水がたまりましたからして、一週間あるいは十日間にわたり、たくさんの人たちが大きな被害を受けておるのでありまして、これはどういうことでこういうことになったかと申しますと、今申しました地盤沈下が著しい。なるほど、新潟、東京、各府県においては沈下がございますけれども大阪のような沈下のひどいところはないのであります。それは、大阪は名前が浪速でありまして、波が早いところであります。そこで、ずっと高津宮の下からアシがはえておったところであって、船の水路を知らすところのみおつくしが、大阪の市のシンボルであります。マークであります。従って、ずっとヨシの中であったのを、だんだん開いていったのでありまして、大阪の駅の梅田駅、大阪駅といっておりますが、あれは前は梅田というたんぼだった。従って、毎年々々下がりますから、梅田の駅をおりますと、四段またおりないと下におりられないというふうに、沈下がひどいのであります。これは皆さん承知通りであります。そういう特殊な泥沼であった。その泥沼が、だんだん工場が立ち、用水はくみ上げる、あるいはビル冷房用としての水をくみ上げる、あるいは各防潮堤は矢板を打って水を入らないようにする、あるいは河川はどんどん埋め立てる、道路は舗装されるからして、吸い込むことができない、ますます収縮して、ああいう大きな地盤沈下があるのであります。これは専門家でありますから、建設省はよく知っている。建設省はよく知っておって、これに対して、いや、大阪富裕都市だとか、あるいはこれは冗談だと思いますが、せんだって陳情にいったときに、役人方々が、そう完全にしたら役人は要らなくなる、そういうことを言っているくらい、ほんとうに真剣に考えていないんだ。大阪は御承知通りに、いわゆる経済都市でなりまして、日本経済から申すところのウエートというものは一きわめて重要性を持っていることは言うまでもないのです。従って、大阪を水から守るということは、日本経済を守るということでありまして、大阪を水から守るというととは、大阪のためではなくして、日本の国策として、国土防衛として私は最も重要視して考えなければならぬと思いますが、言葉の上では、抜本的な対策を講ずるとか、よくわかりましたとか言うけれども、年々歳々同じことを繰り返している。私は、今度は一つ思い切って、これらの施策を、もっと事業計画を早め、あるいは補助金を出すとか、あるいはまた公債の発行に対して十分な処置を講じてもらわなければ、どうすることもいかない。あれだけ密集した——これは人間の生命の問題であります。大きな堤防が切れたからたんぼがつかったということではないのです。工場がつかっておる。大阪の病院のごときは、阪大は何億という機械が塩水につかってしまった。これらのものは、幾ら金を出したって買うことはできない。これほどの大きな損害を受けているところに言いしれぬ大阪の苦悩があるのでありますが、これに対して、私は、政府方々がもっと抜本的な方策を考えて、これを具体的にこの機会にお聞かせ願いたいと思います。  それから、大阪はこういう地質でありますから、ほかの土地に比べて非常に多いのでありますが、よく大阪はくい倒れだと言われるのです。これはいわゆる食べる食い倒れではないのです。あの横梁なり、あるいは地下工事をやる場合に、ビルにいたしましても、地下鉄にいたしましても、幾らくいを打っても通らない。東京は、工事を見ておりましても、赤土が出てきますよ。大阪赤土の出るところはない。みんな貝がらのまじったべとべとの土をしていて、工事をやると、幾らくいを打ってもとまらない。かつて、戦時中に発電所を作ろうというので、いわゆる縦タービン火力発電所を作るときに、大阪の市内で火力発電所縦タービンでやろうとしても、完全にできるものではない、完全にするようにやってごらんなさい、決してできたものではない。いや、ちゃんと土地も確保したから、電力はほしいわ、発電所は建てるわ、いや、そういう勝手なことがあるか、こうことを言って、いよいよかかりましたが、工事をやろうとしてもだめなんです。とうとう岩盤である今の多奈川へ持っていった。今日それをやっている。従って、この大阪のくい倒れというのは、工事幾らくいを打ってもとまらない。そのくいがものすごく地下工事に要りますから、これをくい倒れというのです。これは決して冗談でも何でもない。われわれ経験しているのです。従って、このくい倒れの地盤の、こういう特殊な事情を十分に考慮されて、これに対して、よそより違った方法において、技術的にも、あるいはまたいろいろな物心両面において、これをやってもらいたい。抜本的な一つの方策なり、あるいはこれに対してどういう心がまえがあるか。依然として、よろしい、十分わかっていますということだけで安心して、この問題なり工事が進まないということになりますると、またしてもこういうことを繰り返すということになりますから、これでは日本の大きな損失でありますから、私は、この機会に、大臣及び大蔵省の人に聞いていただきたかったのですが、何か来ておらぬようでありますから、速記を見ていただくとしまして、一つぜひ関係の建設省の御決意のほどをお伺いいたしたいと思います。
  10. 山内一郎

    ○山内(一郎)政府委員 大阪の今回の異常に激甚な災害にかんがみまして、従来からも一応防潮堤工事はやっていたわけでございますが、さらに今回の災害にかんがみまして、急速にその進捗をはかりたい、こういうふうに考えております。ジェーン台風の直後、やはり非常に激甚な被害を受けまして、昭和二十五年から防潮堤工事を実施して参ったのでございます。これは三十三年になりまして、一応約百二十億の巨費を投じまして、防潮堤工事が完成をしたのでございますが、ただいまお話がございましたように、地下水の過度のくみ上げといいますか、主としてそういう原因で沈下を続けて参った関係上、せっかくできました堤防を、今回の高潮でオーバーをした、こういうことになって参っているわけでございます。一応三十三年に完成をしたのでございますが、その後の沈下状況にかんがみまして、昭和三十五年度から新しく現在の工事を起こしております。それは全体計画二百億で、三十五年度からやっておりますが、御指摘のように、その工事の進捗というのは、現在のところまだ微々たる状況でございます。しかし、今回の災害状況にかんがみまして、急速にといいますか、少なくとも今回高潮が越えた部分だけについてでも、ごく短期間にその個所は完成をしたい、全体計画もさることながら、ともかく緊急計画というものをこの際樹立をいたしまして、急速な進捗をはかりたい、こういうふうに考えております。その地盤沈下の原因でございます地下水のくみ上げにつきましては、新しく水資源というものが必要でございまして、それと切りかえるという措置をしなければ総合的な対策にはならないと思います。その点につきましては、現在も、建設省といたしましては、淀川水系の多目的ダム、なお、緊急に措置をしたいと思いまして、長柄ぜきのかさ上げ、こういうことを調査をやっておりますが、それをできるだけ早く調査を完成いたしまして、着工に持っていきたい、そのように水資源の手当、こういうものもあわせて考えているわけでございます。なお、これらは住宅局の関係でございますが、ピル用水のくみ上げの問題、これも総合対策の一環として、現在立案の準備中である、こういう状況でございます。
  11. 大矢省三

    大矢委員 今の答弁は、われわれは何回も同じことを聞いているのです。それが実際にできないから、こういう問題が起きたのでありまして、いかに冷淡であるかということは、今申されました答弁にもありました。工場用水のくみ上げの対策として、大阪はずっと工事を進めておりまするが、それに対して従来四分の一の補助金があった。それを今度五分の一に減らした。これは技術者であるから、あなたたちに聞いても、直接答弁がないかもしれません。これは大蔵省の関係であります。しかし、必ず建設省に相談があったはずです。それが一体どうして補助金を減らしたか。それから、今度高潮によってこうむった被害に対して、どうも伊勢湾台風と事情が違う、同一に扱えぬ、こういうことをしばしば言っている。それから、大阪は富裕府県の中に入るからしてよそ並みに扱えぬということは、何回となしに聞いている。地盤沈下と、それから防潮堤の完全な施工ができないためにこうむった損害、これは一体富裕府県とどういった関係があるか、何も関係がないではありませんか。ことに、大阪は毎年毎年二千数百億円の税金を直接間接に負担しているのです。これはもう膨大なものです。今度は所得倍増で伸びておりまするからして、税金はおそらく二千五百億円になんなんとするでありましょう。これだけの大きな負担をするところの大阪経済あるいはまた大阪府民を富裕府県だといって差別し、特殊扱いして、そして今日の損害をこうむっている。一体富裕府県とどういう関係がある。それを理由にして、しかも、補助金を減さなければならぬという。もっと増して、もっと早うやれ、そうしなければますます地盤沈下して、防潮堤は用をなさないから、やれと言って、補助金を増してくれることこそほんとうだ。それを、四分の一だったものを五分の一に減らしたのは、どういうわけですか。多分これは建設省に相談があったはずです。あったかなかったか、御存じかどうか、一つこの機会にお聞きしたい。
  12. 森清

    ○森(清)政府委員 通産省といたしましては、大阪の工業用水につきましては、従来から非常に関心を持って、何とかして一日も早くその完成を期したいと思っておりましたが、特に来年度の予算におきましては、十分なる配慮を私どもはするように心がけておるわけでございます。
  13. 大矢省三

    大矢委員 もうこれで終わります。政務次官は前のことは御存じないと思いますから、これ以上申しませんが、どうしても政府が従来通り大阪のこの高潮あるいは地盤沈下に対して冷淡でありまするならば、大阪の府民は、膨大な財政上国家の一翼をになっておるのでありますから、どうしてもそれをやらないならば、不納同盟といいますか、税金を繰り延べするとかいうことが、これはもうすでに建設省に意見が出ておる。こういうことになれば大へんなことになる。私はこういうことを言いたくないけれども、それほどの決意をしておるということを、これは大蔵省の役人なんか特に聞いてもらいたいのですが、もしこれを不納あるいは繰り延べしますならば、二百数十億円という金は直ちに浮くのですから、大阪は何でもない。だから、私は、府民にこういうふうな心持を持たすということは、国のためにもあるいはまた将来に大きな影響があることでありますから、これはぜひ一つ、そういう大阪府民の意向のあるということを、各省から大蔵省にもお伝え願って、そうして思い切った処置を急速に、しかも、具体的に講じていただきたいということを、大蔵省の直接の人は来ておりませんから、どうか皆さんからこのことをお伝え願って、今度は思い切って一つこれの対策を講じていただきたいことを特にお願いを申し上げて、非常に急ぐようでありますから、これをもつて私は打ち切ります。      ————◇—————
  14. 古川丈吉

    古川委員長代理 先ほど申し述べました議事の順序を変更いたしまして、次に、昭和三十六年五月の風害、同年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害に伴う中小企業信用保険法特例に関する法律案議題といたします。  質疑の通告がありますので、これを許します。島本虎三君。
  15. 島本虎三

    ○島本委員 ただいま上程されました法律案につきまして、当局に若干質問を申し上げておきたいと思います。  この法案の表題並びに内容の中には、九月までの風水害に伴うところのいろいろな特例に関する条件を載せてありますが、十月の災害は、この委員会等においても考慮することに決定されております。聞くところによりますと、北海道の十月災害、道南方面を襲った水害、集中豪雨等によって、億をこえる被害があった、こういうようなことなのでございますが、この関係被害に対して何らここにはうたっていないということは、まことにわれわれの方としては遺憾きわまりない。従いまして、ここでもし入れないで何ら措置しないと、これはせっかくこれを見るということになった内閣の方針に相反するのではないか、こういうふうに思うわけですが、この点等につきましては、まず資金ワクの十分なる確保ということが、最も条件として必要な点でございます。こういうようなことに対してはどういうように考えているのか、なぜここに入れて正式な措置ができなかったのであるか、この点について、一つ当局の責任ある御答弁を伺いたい、こういうように思うわけです。
  16. 森清

    ○森(清)政府委員 十の災害につきましては、島本さんの仰せの通り、私たちとしても十分配慮したのでございますけれども、特に行政面において指導したい、こう考えまして、実は融資につきましても、その災害復旧のための十分なるものをするように、あるいはまた信用保証の場合におきましても、北海道の信用保証協会並びに道庁等を招致いたしまして、他の災害地並みにするように強力に指導しておる次第でございます。
  17. 島本虎三

    ○島本委員 ただいまの答弁がございましたから、内容としては了解できます。ただ、言葉ですが、他の災害地並みというとちょっと困る。いろいろございますが、ここでは、今回いろいろな特例法を適用される地帯、災害地である、こういうように私は当然解釈いたします。他の災害地と言うといろいろな意味になりますので、少し神経質かもしれませんが、その点は、この特例に関する法律適用地域である、こういうふうに私は解釈したいと思いますが、それで差しつかえないと思う。ことに、今答弁がございましたが、この問題等につきましては、補てん率を通常七〇%を八〇%にしたり、それから保険料率を通常百分の三を百分の二以内にする、こういうような恩典がそれぞれ規定されてあるわけでして、この十月災害は、これと同じ条件で北海道の場合はやるのだ、こういうような意味だと思いますから、その意味をはっきりしていただけばそれでけっこうだと思います。
  18. 森清

    ○森(清)政府委員 保証料は、全く島本さんの仰せの通りに指導いたしております。
  19. 古川丈吉

    古川委員長代理 これにて質疑を終局するに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  20. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  21. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  昭和三十六年五月の風害、同年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害に伴う中小企業信用保険法特例に関する法律案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  22. 古川丈吉

    古川委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  ただいま議決いたしました法律案について、報告書の作成等については委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  23. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さように決しました。  暫時休憩いたします。    午前十一時十六分休憩      ————◇—————    午前十一時四十二分開議
  24. 古川丈吉

    古川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、内閣提出昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を受けた地域における伝染病予防費に関する特別措置法案昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を受けた社会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置法案及び昭和三十六年六月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた都道府県に対する母子福祉資金に関する国の貸付けの特例に関する法律案、以上三案を議題といたします。  御質疑はございませんか。——なければ、三案に対する質疑はこれを終了いたすことに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  25. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  26. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより三案を一括討論に付します。  別に討論の通告もありませんので、採決に入ります。  まず、昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を受けた地域における伝染病予防費に関する特別措置法案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  27. 古川丈吉

    古川委員長代理 起立多数。よって、本案は原案の通り可決いたしました。  次に、昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を受けた社会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置法案昭和三十六年六月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた都道府県に対する母子福祉資金に関する国の貸付けの特例に関する法律案、以上二件の法律案を一括採決いたします。  右各案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  28. 古川丈吉

    古川委員長代理 起立総員。よって、両案はいずれも原案の通り可決いたしました。     —————————————
  29. 古川丈吉

    古川委員長代理 この際、昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を受けた社会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置法案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる附帯決議が提出されております。趣旨説明を求めます。壽原正一君。
  30. 壽原正一

    壽原委員   昭和三十六年九月の第二室戸台風による災害を受けた社会福祉事業施設災害復旧費に関する特別措置法案に対する附帯決議案   今回の災害を受けた民間社会福祉事業施設災害復旧については、その自己負担分に対して長期低利の融資をするよう、政府において格段配慮を行なうこと。  右お願い申し上げます。
  31. 古川丈吉

    古川委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。  これより採決いたします。  ただいの壽原正一君の提案通り、附帯決議を付するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  32. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、字句の整理等の必要を生じました場合における措置等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  33. 古川丈吉

    古川委員長代理 ただいま議決いたしました法律案に関する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  34. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  暫時休憩をいたします。    午後零時二分休憩      ————◇—————    午後一時二十二分開議
  35. 古川丈吉

    古川委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  次に、内閣提出の、昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に際し発生した火災、同年六月の水害、同年九月の風水害又は同年十月二日鹿児島市に発生した火災に伴う公営住宅法特例等に関する法律案議題といたします。  本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  36. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  37. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もございませんので、直ちに採決に入ります。  昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に際し発生した火災、同年六月の水害、同年九月の風水害又は同年十月二日鹿児島市に発生した火災に伴う公営住宅法特例等に関する法律案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  38. 古川丈吉

    古川委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  39. 古川丈吉

    古川委員長代理 本法案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる附帯決議が提出されております。趣旨説明を求めます。岡本隆一君。
  40. 岡本隆一

    岡本(隆)委員 ただいま提案されましたところの附帯決議について、提案理由を申し上げたいと思います。  まず第一に、案文を朗読いたします。   昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に際し発生した火災、同年六月の水害、同年九月の風水害又は同年十月二日鹿児島市に発生した火災に伴う公営住宅法特例等に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は今次災害における住宅被害の極めて広範かつ激甚なる実情に鑑み、次の事項を充分配慮して住宅復旧に万遺憾なきを期すべきである。   一、今次災害についての本特例法の適用に当つては激甚地指定に洩れた地域に対する地元負担を緩和するため、特に起債充当率を引上げる等の措置を講ずるとともに公営住宅法特例適用基準の不合理を将来是正すること。   二、公営住宅建設単価について最近の経済、物価等の現情に即した所要の改訂を行なうこと。   三、本法の他応急仮設住宅並びに住宅金融公庫の貸付けによる住宅復旧の途を被災地の実情に即し総合的かつ迅速に処理すること。   四、十月二十三日発生の北海道森町の大火についても本特例法の趣旨にのつとり善処すること。   右決議する。  以上であります。  理由をごく簡単にかいつまんで申し上げます。  今度の災害は、風台風でありまして、特に小さな貧しい人たちの家を選択的に倒壊させております。それだけに、各自治体では、それらの住宅の復旧に相当な経費を要するのでありますが、今度の特例法の政令基準というものが相当きびしいものであり、かつ、非常に矛盾に満ちたものであるということを痛感させられておる次第であります。  たとえて申しますと、なるほど二百戸を越えておりますが、しかしながら、大阪市の家屋の滅失率というものは〇・〇五%であります。あるいは岸和田市であるとか、堺市であるとかいうふうなところにいたしましても、〇・数%というふうなきわめてわずかな滅失率でありながら、特例法におきましては、基準にのっとりまして被害激甚地ということになっております。ところが、他の小さな千戸、二千戸というふうなところでもって数十戸倒壊した、従いまして、七%、八%あるいは九%というような基準に達するに、わずかに一%、二%足りない、しかも、千戸のうち百戸に近い、一%に近いところの滅失率があるというようなところが、基準から漏れておる。しかも、倒壊した家は、なるほど数十戸です。しかしながら、倒壊に近いような半壊というところがずいぶんありますと、そういう地方は、これは激甚なる被害を受けたという印象はすべての住民に与えておる。しかも、その地方を激甚地に指定することができない。このように、顕微鏡的な存在であるところの被害率でもって激甚地指定が行なわれ、相当な被害を受けているところが激甚地指定が行なわれないというふうな、非常に不合理なことが今度の災害によって発見されたわけであります。  従いまして、政府は、すみやかにこのような間違ったところの指定基準というものを正しくして——政治というものは公平なものでなくてはなりません。こういうような数字の誤りをやはり本法において——公営住宅法の中に特例の基準が設けられておりますが、あの基準そのものが非常に間違っておるから、こういう事態が出たわけでありますから、政府の方では、早急にこれを是正していただきまして、すべての地方にひとしいような行政が行なわれるように善処してほしい、こういうように私は思う次第であります。  その他の点につきましては、本委員会においてたびたび討論されたことでございますから、省略させていただきます。どうぞ皆様方全員の御賛同をお願いいたしたいと思います。
  41. 古川丈吉

    古川委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。  これより採決いたします。  ただいまの岡本隆一君の提案通り附帯決議を付するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  42. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。  なお、字句の整理等の必要を生じました場合における措置等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じます。さよう御了承願います。     —————————————
  43. 古川丈吉

    古川委員長代理 ただいま議決いたしました法律案に関する報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  44. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。
  45. 古川丈吉

    古川委員長代理 この際、政府より発言を求められております。中村建設大臣。
  46. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいま御決議になりました附常決議につきましては、制度上許される限りわれわれは最善を尽くしまして、決議の趣旨を実現いたしまするように善処いたしたいと思います。      ————◇—————
  47. 古川丈吉

    古川委員長代理 次に、内閣提出昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案議題といたします。  本案に対する質疑を終局するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  48. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。     —————————————
  49. 古川丈吉

    古川委員長代理 これより討論に入るのでありますが、別に討論の通告もありませんので、直ちに採決いたします。  昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案を採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  50. 古川丈吉

    古川委員長代理 起立総員。よって、本案は原案の通り可決いたしました。     —————————————
  51. 古川丈吉

    古川委員長代理 本法案に対し、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の共同提案にかかる附帯決議が提出されております。趣旨説明を求めます。角屋堅次郎君。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 私は、自由民主党、日本社会党及び民主社会党の三派共同提案にかかる附帯決議を提案いたしたいと思います。  まず、案文を朗読いたします。    昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案に対する附帯決議案   政府は本年六月以降十月にわたる累次の風水害等による公共土木施設等災害の激甚なる実情に鑑み、再度災害防止のため積極的に改良復旧を以て早期完成を図ると共に、特に左の点に留意して公共土木施設等災害復旧に万遺憾なきを期すべきである。  一 高潮対策事業については伊勢湾台風に準ずる特例法を制定すべきであるという本特別委員会内の強い要請を充分考慮し、高潮対策事業に対する財政的配慮を可能な限り講ずる必要がある。   これがため、   (一) 大阪湾北部の今次災害は、主として地盤沈下に因るに鑑み、地下水の揚水規制、工業用水の拡充強化、防潮堤工事の完成と其の国庫負担率の引上等総合的な対策につき速かに所要の特別立法を講ずる必要がある。   (二) 和歌山県、徳島県、兵庫県及び大阪泉州海岸等の高潮対策事業については、    1 原型復旧工事につき、地盤沈下状況、今次災害の強度等を考慮して、防災に必要且つ充分な限度において施工すること。    2 改良及び関連工事につき、一対一の原則にこだわらず、伊勢湾等高潮対策事業の例により施工すること    により、事実上伊勢湾等高潮対策事業の場合と同様の成果を収めるよう関係各省一致協力万全の努力を払うと共に、地方公共団体の負担に対しては起債充当率の引上げ、特別交付税の配分増加等により万全の措置を講ずるものとする。  二、治山治水十ヶ年計画の繰上げ実施に努めると共に海岸保全の総合計画を速かに樹立すること    右決議する。  案文は以上の通りでありますが、提案理由内容につきましては、御承知通り、本年度災害の中では、特に公共土木関係については、高潮対策事業をどうするかということについて、池田総理、中村建設大臣の御出席を求めて、集中的にこの問題が論議されて参りまして、本特別委員会においても、伊勢湾に準じて必要な関係県については特例法を設定すべきじゃないか、こういう強い要請が出されて参ったことは、御承知通りであります。各般の状況からいたしまして、特例法の制定にまで踏み切る段階にまでは参りませんでしたけれども、しかし、それは高潮対策事業の重要性というものを何ら否定するものではありません。従って、本特別委員会の附帯決議としては、大阪湾北部の高潮対策事業の関係、あるいは和歌山、徳島、兵庫及び大阪の泉州海岸等の高潮対策事業の関係については、伊勢湾等高潮対策事業の特例法に準じて、格段の財政的、今後の法制的措置等について政府の善処を要望するという意味において、本附帯決議が提案されておるわけであります。  なおまた、かねての質疑の中でも出ましたように、今日実施をされております治山治水十カ年計画については、最近の災害の実態からいたしまして、積極的に繰り上げた施行が要請されておりますし、また、これと関連をいたしまして、海岸保全についても総合的な計画を立てて、治山治水、海岸保全の総合的な今後の積極的な施策が強く要請されておるわけでありますので、この要請を第二項にまとめたわけであります。  以上、提案理由説明を終わりますが、何とぞ皆様方の御賛同を得まして、すみやかに御可決あらんことを要請いたします。
  53. 古川丈吉

    古川委員長代理 これにて趣旨説明は終わりました。  これより採決いたします。  ただいまの角屋堅次郎君の提案通り附帯決議を付するに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  54. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  なお、字句の修正、整理等の必要を生じました場合における措置等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますので、さよう御了承願います。     —————————————
  55. 古川丈吉

    古川委員長代理 ただいま議決いたしました法律案に関する報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  56. 古川丈吉

    古川委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————
  57. 古川丈吉

    古川委員長代理 この際、政府の所見を求めます。中村建設大臣。
  58. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいま御決議のございました附帯決議につきましては、政府といたしまして、極力決議の御趣旨を尊重いたしまして、その実現を期して参りたいと考えております。
  59. 古川丈吉

    古川委員長代理 本日は、これにて散会いたします。    午後一時三十七分散会