○
八木(一)
議員 私は、ただいま
議題となりました、
昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の
強風に際し発生した
火災、同年六月、七月、八月及び十月の
水害、同年九月の
風水害又は同年五月から八月までの
かんばつにより
被害を受け
生計が困難である者の
生活の
保障に関する
特別措置案法について、
日本社会党を代表いたしまして、
提案の
趣旨、
理由並びに
内容の
大綱について、簡単に申し上げたいと存じます。
本年
日本を襲いましたいろいろの
災害によって、非常に多くの
国民の
方々があるいはとうとい
生命を失われました。あるいはそのうちに
生活が困難に陥られまして困っております。私
ども議会全体として、
ほんとうに弔意を表し、その問題に対処しなければならないと考えておるところであります。
こういう
生活困難を来たしたときの
最低の
保障の
法律といたしまして、
生活保護法という
法律があるわけでございますが、この
生活保護法自体が、その第四条の
補足性原則という、非常にきびしい
原則によりまして、実際に
生活困難の
方々に対する対処が十分にいかない
状態にあることは、識者の論議するところで、ございます。その
内容は、御
承知の
通り、
資産等はすべて
処理しなければ
生活保護法の
適用を受けられません。そこで、将来
支出に必要な
資産まで
処置しなければそのような法の
適用を受けられないので、そのような
状態を脱した場合にも、このような
支出に必要な
資産を失っておるために、
支出がなかなかできないという
状況があるのであります。また、この補足すべき
原則の第二項によりまして、
扶養の
義務の追及が現民法によって行なわれますので、その人の
親族が、普通の
状態でかつかつの
生活をしておるにかかわらず、その
人たちの
扶養義務を追及されるために、
親族が非常に困ることがある。また、その
親族が、そういう
状態によって
扶養の
義務を遂行することに積極的でない場合に、その
生活困難の人の
生活が成り立たない場合があるという
欠陥がございまして、そういうことにつきまして根本的に考え直さなければならないという
状態に達しておるわけでございます。このような
一般的状態がございますが、こうした
状況は、
災害を受けたときに、特に非常に
濃度にその
状態が起こってくるわけでございます。
財産の
処理、
財産の
処分をしなければ
生活保護法の
適用が受けられないということでございますが、たとえば小さな
山林を持っている。ところが、自宅が
災害を受けるとともに、そのような
山林自体の付近が、
災害が起こったために
交通途絶をして、ふだんなら非常に
価値ある
財産も、
価値が
激減をしている。しかも、それを売り払おうと考えましても、
交通途絶のために、それを売り払うことができないということで、このような
処分が至難である場合が多いわけであります。また、そのようなものを売るという場合に、たとえ、今のような
状況で何とかしてこれを売ることができましても、そういう
状態であせって売りましたときには、
財産の
価値が
激減をいたしまして、非常に損をするわけであります。また、
扶養義務の方にいたしますると、普通の
状態でございましたならば、
親族が
生活困難に陥りつつある、従って、
親族としていつかはそれに対して援助をしなければならないという覚悟を持って、その
親族が
生活計画を立てておる場合が多いわけでありますが、突如として
災害を受けて非常に
生活困窮に陥った
方々の
親族の人は、そういう
状態を予想しておりませんので、
自分の
生活を切りかえて、
自分の
生活を詰めて、その余裕をもって
親族の
扶養の
義務を果たすというようなことが、困難なわけでございます。そういう
意味で、
現行の
生活保護法について
欠陥とされていることが、
災害について特にその
濃度を強くするわけでございまして、こういう
災害の場合には、これに対処する
特別の立法をして、この
状態を解決するために努めなければならないと私
どもは考えるわけでございます。その
意味におきまして、
生活保護法と同じ
程度の
保護を、この
法律によって、
災害を受けた
地域の
災害を受けた人で
生活困窮を来たしている
方々に、こういう
保護を行なおうとするものであります。
保護の
程度は、
生活保護法に規定されている
保護の
程度を下回ってはいけない、それと同額以上でなければならないという
内容でございます。そうして、
条文といたしましては、
条文に書いてございますように、「その者の
資産で
水害等によりその
経済的価値が著しく減少していると認められるものは、参酌しないものとする。」という
条文をもちまして、この問題を解決をいたしたいと考えておる次第であります。
また、
扶養義務の方は、同一世帯に属する夫婦並びに一親等の
親族に対してのみは、後にそのような
保護、援護に要した費用の支払いを要求することができますけれ
ども、二親等以下にはそういうことはできないということにいたしまして、このような
処置をいたしたいと考えるわけであります。それを実行いたしました
都道府県、
市町村が、当然それだけの
財政負担が非常に苦しいことは予想されますので、それを実行いたしました
都道府県一
市町村に対して、百分の九十五までは
国庫でこれをカバーしようという
内容でございます。
ことに、このような
法律の特性上、
今本特別委員会で論議をされております対象としての
災害のほか、本年わが国を襲いました早魃により
被害を受けた
方々で、
生活の困難な
方々の場合も、この
法律を
適用したいと考えております。この
法律の
適用によって必要な国費は約四億八千万円でございます。
このような
法律の施行によって、
ほんとうに
災害によって
生活の
困窮を来たしておられる
方々の当面の
生活が、何とか成り立っていくような
状態を作る、この防災が完全でなくて、そうして人災、政策と言われるような
災害を起こした
政府並びに
議会といたしましては、こういうものでせめて
最低のものをカバーすることが絶対に必要でございますので、このことによって、
国民の非常な痛ましい
状態におこたえをしなければならないと考えておる次第でございます。
どうか慎重御
審議を下さいまして、
満場一致御
可決をいただきたいと存ずるものであります。
次に、引き続きまして、同じく
議題になっております、
昭和三十六年五月二十九日及び三十日並びに十月二日の
強風に際し発生した
火災、同年六月、七月、八月及び十月の
水害又は同年九月の
風水害に関し
災害救助法が
適用された
地域における
国民健康保険事業に対する
補助に関する
特別措置法案に関しまして、
日本社会党を代表いたしまして、その
提案の
理由、
趣旨並びに
内容の
大綱を簡単に申し上げたいと存じます。
国民健康保険の
適用を受けておられる
国民の
方々の大部分は、御
承知の
通り、農家の
方々や、あるいは
中小企業の
方々や、あるいは無職の
方々であって、比較的
国民の中で
生活が豊かでない
方々が非常に多いわけであります。そういう
方々がこういう
災害を受けた場合に、
病気を起こした、あるいは負傷した場合に、その
医療費の一部
負担によって、
生活状況がさらに困る
状態があるわけであります。また、そのことのために、
医療を受けなければならない
状態でも、
医療を受けないで、健康の回復がおくれるという
状況が起こることは、当然予想されるわけであります。そういう問題に対処するため、各
国民健康保健事業を行なう
保険者としては、そういう
方々に、一部
負担に対して
減免をしたいという考えを持っておると存じますけれ
ども、
国民健康保険財政の非常に貧弱なために、それが十分に行なわれない
状態にあるということがはっきりわかるわけであります。また、そのような被
保険者に対しまして、
病気をしなくても
国民健康保険料の徴収をすることは、
災害を受けて
生活が困難な
状態においては苛酷であります。ことに、
国家公務員の
共済組合、あるいはまた
公共企業体の
共済組合等では、その
組合の
財政が豊かでございますので、
災害を受けた
方々に対して、
見舞金を交付するというようなことが実際に行なわれておるのであります。ところが、このような
国民健康保険の被
保険者に対しては、
見舞金交付というようなことが行なわれていないので、それに対応するためにも、
保険料だけでもせめて
減免が実現されることが必要であろうかと思います。現在、
国民健康保険法の第七十七条で、
減免をすることができるという規定があるわけでございますけれ
ども、
国民健康保険財政の
窮迫のために、それが十分に発動されておらない
状況にあります。それを十分に発動をしてこの問題に対処するためには、国が、
財政困難な
保険者に対して、
国庫から
支出を行なってこの
財政をカバーして、この問題を進めて参らなければならないと思います。この
意味におきまして、この
法律によりまして
昭和三十六
年度までの分を
補てんをしよう、ほとんど完全に
補てんをしたいと考えるわけでありますが、ごく微細なものは
保険者自体で扱えると思いますが、その間における本
年度中の
医療額の千分の一がこの
災害によってふえたという場合、また、本
年度中の
保険料総
収入額の千分の一をこえる額を
減免した場合、そういう場合には
国庫でこれをカバーしようとするわけであります。その率は百分の九十五にしたいと考えております。
このようにして、
国民健康保険の
医療がよい運行をされまして、
災害地の被
保険者の健康を守るとともに、その
方々の
負担を軽減したいと考えております。どうか、
皆さん、慎重御
審議の上、
満場一致の御
可決をせられますることを心からお願いする次第でございます。(拍手)