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1961-10-20 第39回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月二十日(金曜日)     午前十一時十分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 秋山 利恭君 理事 生田 宏一君    理事 永田 亮一君 理事 古川 丈吉君    理事 坊  秀男君 理事 岡本 隆一君    理事 角屋堅次郎君 理事 下平 正一君       大倉 三郎君    大野 市郎君       上林山榮吉君    岸本 義廣君       首藤 新八君    正示啓次郎君       谷垣 專一君    早川  崇君       原田  憲君    前田 義雄君       保岡 武久君    淡谷 悠藏君       五島 虎雄君    島本 虎三君       中島  巖君    肥田 次郎君       八木 一男君    玉置 一徳君  出席国務大臣         厚 生 大 臣 灘尾 弘吉君         建 設 大 臣 中村 梅吉君         自 治 大 臣 安井  謙君  出席政府委員         内閣官房長官  大平 正芳君         大蔵政務次官  天野 公義君         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (環境衛生局         長)      五十嵐義明君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         厚生事務官         (保険局長)  森本  潔君         農林政務次官  中馬 辰猪君         通商産業政務次         官       森   清君         労働事務官         (大臣官房長) 村上 茂利君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮委員外出席者         厚生事務官         (大臣官房会計         課長)     今村  譲君         厚生事務官         (医務局次長) 黒木 利克君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君     ――――――――――――― 十月二十日  委員高橋清一郎君辞任につき、その補欠として  保岡武久君が議長の指名で委員に選任された。     ――――――――――――― 十月二十日  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同  年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資  金の融通に関する特別措置法案内閣提出第五  二号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に  際し発生した火災、同年六月の水害又は同年九  月の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する  法律案内閣提出第五四号)  昭和三十六年六月の水害、同年七月、八月及び  九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美  濃地震による災害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第五  七号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地震による災  害を受けた地方公共団体起債特例等に関す  る法律案内閣提出第五九号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地震による災  害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に  関する特別措置法案内閣提出第六三号)  昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月  の天災についての天災による被害農林漁業者等  に対する資金融通に関する暫定措置法適用  の特例に関する法律案内閣提出第六四号) は議院の承諾を得て修正された。     ――――――――――――― 十月十九日  昭和三十六年八月の三条市における水害対策確  立に関する陳情書  (第一七〇号)  昭和三十六年八月の新潟県三島郡における水害  対策確立に関する陳情書  (第一七  一号)  昭和三十六年七月の北海道における水害対策確  立に関する陳情書  (第一七二号)  昭和三十六年七月の水害による北海道中小企業  者の復旧融資に関する陳情書  (第一七三号)  昭和三十六年六月の水害復旧対策確立に関する  陳情書  (第二二一号)  昭和三十六年六月の三重県における水害対策確  立に関する陳情書  (第二二二号)  昭和三十六年六月の岐阜県における水害対策確  立に関する陳情書  (第二二三号)  昭和三十六年六月の山梨県における水害対策確  立等に関する陳情書  (第二四三号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同  年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資  金の融通に関する特別措置法案内閣提出第五  二号)  昭和三十六年六月及び八月の豪雨による堆(た  い)積土砂並びに同年六月、七月及び八月の豪  雨による湛(たん)水の排除に関する特別措置  法案内閣提出第五三号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に  際し発生した火災、同年六月の水害、同年九月  の風水害又は同年十月二日鹿児島市に発生した  火災に伴う公営住宅法特例等に関する法律案  (内閣提出第五四号)  昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、  八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八  月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施  設等の災害復旧等に関する特別措置法案内閣  提出第五七号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の  水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震  による災害を受けた地方公共団体起債特例  等に関する法律案内閣提出第五九号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の  水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震  による災害を受けた農林水産業施設災害復旧  事業等に関する特別措置法案内閣提出第六三  号)  昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月  の天災についての天災による被害農林漁業者等  に対する資金融通に関する暫定措置法適用  の特例に関する法律案内閣提出第六四号)      ――――◇―――――
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案外六件を一括議題とし、主として厚生省及び自治省関係等について質疑を行ないます。  質疑の通告があります。順次これを許します。八木一男君。
  3. 八木一男

    八木(一)委員 官房長官に、今次の災害に関して、また起こらないことを希望いたしまするが、不可避的に将来起こるべき災害についての、個人災害に対する対処の問題を中心にしてお伺いをいたしたいと思います。  内閣総理大臣に御出席を要求いたしたわけでございますが、まだお見えになりません。官房長官は、災害の問題について、各省別の問題を取りまとめ、総理大臣のかわりにいろいろ御答弁になる立場におられると存じまするので、これから官房長官にお伺いをいたしまするが、内閣全体の意思としてお答えを願えるものと理解してやって参りたいと思いますが、それでよろしゅうございましょうか。
  4. 大平正芳

    大平政府委員 そのようなつもりでいたしたいと思います。
  5. 八木一男

    八木(一)委員 今次の第二室戸台風あるいは集中豪雨その他で、非常に国民方々に大きな被害が起こり、不幸にして生命を失った方や、負傷された方や、家財を失った方がたくさんあって、その点につきましては、国会与野党すべて、また、政府も心を痛めまして、何らかこの問題に対してできる限りの処置をとりたいということで、災害対策委員会の討議を展開されておるわけでございますが、政府とされて、あらん限りの、可能な限りの、こういうことに対して対処する御決心がなければならないと思いますが、それについての総括的な御返事をいただきたいと思います。
  6. 大平正芳

    大平政府委員 仰せ通りでございまして、可能な限りの措置をとるべくせっかく努力いたしております。先般、この臨時国会に提案いたしました法律のほかに、七件御提案申し上げることにいたしましたし、すでに提案いたしておりまする各法案につきましても、六件にわたりまして政府修正決意いたしまして、近くその手続を進めて参る所存でございます。仰せのような決意で、個々のケースにわたりまして、周到な配慮をいたしておるつもりでございます。
  7. 八木一男

    八木(一)委員 いろいろと政府としても御努力になって、幾つかの法律を出しておられるということは、私ども承知をいたしておりますし、これからも出される用意をしておられる法律のことも伺っております。しかしながら、その中で、個人災害、ことに家屋の倒壊とか、流失とか、埋没とか、焼失とか、そういう問題、それ以上に不幸にしてこの災害生命を失った方々の問題、また、負傷あるいは肺病してあと医療費で困っておられる方々の問題、あるいはそれで生活の根拠を失って、立ち上がりに非常に難渋をきわめておられる方々の問題について、直接にずばりと対処すべき方策が、政府から積極的に何ら示されておらないということは、非常に残念であります。私は、あらん限りの、できる限りの対処をしたいという政府意思がある以上は、おくればせでありますが、一両日中に、そのような個人被害対処する方策政府から出されてしかるべきだと思いますが、それについて政府が何らか考えておられるかどうか、この問題について伺いたいと思います。
  8. 大平正芳

    大平政府委員 その問題につきましては、本委員会におきましても、また、閉会中の協議会におきましても申し上げたわけでありますが、個人被害国家がどういう方法でどの程度御援助申し上げて復興に寄与するかということは、ただいまの災害復旧に対する制度のもとで可能なことをきめこまかく拾い上げて対処いたしておるわけでございますが、今八木委員の言われましたことは、そういう制度を越えて、災害による個人被害に対しまして対処する、政府の、国としての新しい仕組みについてどう考えておるか、こういうことであろうと思うのでございます。御承知のように、個人被害につきましては、原則として、ただいままでのところ、農地等以外は財政補助の対象になっておりません。従って、政府機関金融機関等による金融あるいは財政からの直接の金融、そういった特別金融措置でもって対処して参りまして、災害救助の場合は、これはまた別でございますけれども、そういう個人財産並びに生命に対しましては、財政制度として確立した補助制度がないわけであります。これをどうすべきかという問題は、今御発言がございましたように、相当重大な問題だと思うのでございますが、協議会におきましても、あるいは本委員会におきましても、私からも申し上げたつもりでございますが、それは財政政策の上からも、立法政策の上からも、非常に重大な問題でございまして、政府として考究する余裕を与えていただきたい。今八木委員がおっしゃったような御意見は、政府部内でもございます。これは検討に値するし、また、検討しなければならぬ問題点であることは、私どもも重々承知いたしておりますが、何さま問題が非常に重大な問題でございますので、ここ一両日中に成案を得て提案せよというお気持はわかりますけれども、そういう用意ができるということを私はまだ申し上げる自信がないのでございます。そういう問題は、財政的にも法制的にも、立法政策上非常に重要な問題でありますから、あらゆる角度から検討させてもらいたい、 また、検討してみようという意向はあるわけでございますので、そういう事情にありますことを御了承いただきたいと思います。
  9. 八木一男

    八木(一)委員 官房長官から、非常に率直であって、事実を曲げない御答弁であって、しかも、かなり熱意のこもっている御答弁があったことは、非常に印象としてよいのでありまするが、そのような印象とは別に、ほんとうに国の政治をあずかる政府としては、非常にその処置がおそいという怠慢のそしりは免れないと思うのです。集中豪雨があってから、すでに相当の日にちが経過をしておるわけです。そのときからかかっていれば、いかにむずかしい問題でも片づくわけであります。今からでもこれはできることであります。一向日中にはこれはむずかしいかもしれません。しかしながら、正しいことであって、国民の要望していることであって、与野党ともに要望していることであって、政府もそれをしたいということであれば、一両日は無理であっても、数日、一週間もあればできるわけであります。問題のない前進する法律であれば、その審議にもそれほどの時間を要しないでしょう。ですから、今国会中に必ず成立をするように、成案を四、五日の間に出されることが、国民負託にこたえる政府責任であろうかと思います。それについて、非常に問題がむずかしいので、準備に時間がかかる、あるいはいろいろなことが必要であるということであれば、審議の時間を省略するために、与党の方も積極的に御参加になると思いますし、野党のわれわれも参加するのにやぶさかではございません。政府とともに、法律的な問題財政的な問題を解決するために、即時協議に移って、その問題については事前に審議ができているので、スムーズにいけるような態勢を作って、今国会中にこの被災者の問題に対処できるような法律成立されるのが、非常に大事ではないかと思うわけです。今からでもすぐ、日ごろのたちおくれを、今までの怠慢を取り戻すために、政府対処される決意を固められてしかるべきだと思います。ただいま内閣全体にかわって御答弁をお願いしたわけでございまして、このような問題に異議のあろうはずがありません。閣議で異議があるとした場合は、その大臣は不適格者であります。それについての具体的、法律的、財政的な努力を怠る者があれば、財政的にも立法的にも不適格者であります。限度はあるでありましょう。しかしながら、この問題をどのような形でか実現するという努力をすれば、必ず実現はできる態勢にある。即時内閣も各政党もこの問題に努力して、今国会中に法律的にこの問題に対処できるというふうにすべきだと思うのであります。この問題について、官房長官責任のある御答弁伺いたい。
  10. 大平正芳

    大平政府委員 非常に御性急なお話でありますし、その熱意は十分私どもも了とするわけでございますけれども、先ほど申しましたように、この問題は、財政的にも法制的にも大へん奥の深い問題でございまして、これに関連した問題点を幅広く深く究明していかなければ、なかなかむずかしい問題であると私は判断いたしております。また、そういうように問題点を周到に究明していくことが、まず国民負託にこたえるゆえんではないかと思いますので、今国会中に成案を得て出せということにつきましては、御熱意のほどは十分わかりますけれども、この場でお約束申し上げることは、遺憾ながらお許しをいただきたいと思います。
  11. 八木一男

    八木(一)委員 非常にむずかしいと言われますけれども、やってみてどうしてもできない場合はとにかくとして、政府与野党が一緒になって、この問題を法律的に、財政的に解決をして、成案を得る努力を即刻開始してしかるべきだと思う。開始して、どうしてもできないという理由があれば、これはまた時日をかしまして、通常国会恒久法として提出する道もあるでありましょう。努力しないで、むずかしいからということでは困ると思う。即刻その態勢を作るために、政府与野党と一致して、その立法の問題を解決する協議会を作ることを、今直ちにその意思があることを発表していただければ、非常に幸いだと思います。もしお考えになる必要があれば、四、五分の間は私黙ってお待ちしてけっこうであります。
  12. 大平正芳

    大平政府委員 政府の部内にも検討しょうという意向がありますことは、先ほど申し上げました通りでございます。従いまして、私ども熱意を持って検討に入るということだけ申し上げさせていただきます。
  13. 八木一男

    八木(一)委員 その問題の成案が出たときに、審議をスムーズにするために、議会の与党のこの問題に熱心な方々野党の熱心に取り組んでいる人たち、そういう者を合わせて、成立を急ぐために、即刻協議会を作ることが必要でないかと思う。立法的な点で法律学者が観念的な法律論を言う、財政の方が国民のことを考えないで金の帳じりだけを合わせることを考える、それもある意味では必要であるかもしれませんが、そのことのために、ほんとう国民の要望が実現できないのではいけない。国民の代表である与野党の議員と、そのような立法技術者、あるいは財政のいろいろの計画を立てる人、そういう者も合わせてすぐ協議をすることが、この問題を早く実現する道であろうと思います。そのような集まりを持つように、政府が指導的に即時動いていただきたいと思いますが、これについてはいかがでございますか。
  14. 大平正芳

    大平政府委員 その仕組みをどうしていこうかということにつきましては、関係当局と相談しなければなりません。ただ、今八木委員が言われた与野党方々の御参加をいただくかどうか、そういう御熱意は私ども承っておきまして、仕組みを考える場合の参考にさせていただきます。
  15. 八木一男

    八木(一)委員 技術的なことにつきましては、その仕組みを考えて、即刻発足させていただきたいと思いますが、どういう方向でやろうという骨組みの議論について、意見を交換する場をさっそく持っていただきたいと思うのです。政府与党野党、これは技術者でなしに、政治家同士が集まっていいと思うのです。ですから、総理大臣なり官房長官なりあるいは厚生大臣なりと、それから災害対策委員会与党関係者野党関係者と、即時今明日中にでもこの問題について話し合う、どのような方向実現を促進するかという話し合いの場をぜひ持っていただきたいと思いますが、それを、政府の方から与野党に、持とうじゃないか、そういうふうに話しかけていただきたいと思いますが、それについての御意見伺います。
  16. 大平正芳

    大平政府委員 今当面の問題は、私が先ほど申し上げました追加した法案を整備いたしまして御提案申し上げる、それからすでに御提案申し上げております法律案につきまして、修正点を御提案申し上げるというようなことをできるだけ早く的確にやることが、私どもの当面の義務だと思っておるわけでございまして、今御提案の恒久的な制度としての個人災害に対する国家財政的な支援をどうするかという問題を、今明日中に政府の方で御提案するということは、今申しましたように、当面の仕事に全力を尽くしておりますので、今国会での成立を急いでいただきまして、罹災者の期待にこたえてい一ただくようにすることが望ましいことでございまして、今度の臨時国会が終わったあと、私どもの方でちょっと考慮させていただいて、御相談するときには御相談させていただきたいと思います。
  17. 八木一男

    八木(一)委員 ほかの点で何回も官房長官とお会いをして、率直であり、熱心であり、実にりっぱな官房長官と私は感心しておるのですが、きょうは、政府側のこの問題に対する非常に不熱心な状態を反映してか、官房長官の言葉は非常に歯切れが悪い。こんな話し合いくらいのことは、すぐやろうという御返事があってしかるべきだと思う。今までの大平さんの御態度であったら、きょうでもやろう、昼にでもやろうという話が出るはずだと思う。そのようなことでありますから、政府部内で、大平さんがこんな重ったい答弁をしなければならないように、この問題について不熱心な状態がある。その状態を打開するためにも、どうしてもそういうものを開かなければいけないと思う。ですから、政府側でそのようなことがなければ、与党野党の熱心な災害対策委員が、政府側にこの問題について話し合うという場合に、直ちにお受けになっていただく必要があると思う。われわれから申し出た場合に、直ちにその話し合いに応じて、この問題について腹蔵のない意見の交換をお互いにして、そして恒久法を今国会から出そう、それが非常に困難であるならば、来国会に必ず政府恒久法を出す、特例法として似たようなものを今国会に出すというようなことをきめていかなければならない。そういう問題についてわれわれから会見を申し込みますが、これについて相当の時間、腹蔵のない意見を交換する時間を、必ず総理大臣官房長官でとっていただきたい。少なくとも官房長官は、それについて即時われわれの会談に応じて、一生懸命お互い意見を交換しようということを言っていただけると思うわけでありますが、きょうか明日中にそのような会談をお約束願いたい。
  18. 大平正芳

    大平政府委員 与野党の方で御相談いただいて、国会として、こうしろ、国会最高機関でございますから、私ども国会命令至上命令だと思っております。国会の方でおまとまりがあれば、仰せのようなことをせざるを得ないと思っております。
  19. 五島虎雄

    五島委員 関連して。きょう、個人災害、特に私たちは言っておるのですが、被災者援護法ということについて、八木さんから官房長官質問しましたところ、ある点、官房長官には積極性があるということがはっきりわかりました。ところが、先日のこの委員会で、池田総理出席されたのに対して、辻原委員から、個人災害援護のことについてどう考えるかという質問に対しまして、池田総理は、公平の、原則を欠くから、今のところそういうことを考えてはおりませんと、こう言われたわけです。そうすると、大平長官が非常に積極性を持たれ、理解ある答弁をただいまされましたことと、池田総理が公平の原則を欠くからそういうことは考えておりませんと言われたことには、食い違いがあるようです。もちろん、池田総理は、辻原委員質問を取り違えられまして、たとえば商売をされる方については、店の品物が流れた場合はそれを援助するとか、あるいは農民の方が農地あるいは農作物に被害を受けた場合は、それぞれの形においてこれを救援しているから、従って、個人災害について、特別にその上にプラスして考えるということは、公平の原則を欠くというように判断された答弁だったろうと思うのです。そこで、今日、八木委員から長官に聞かれたことに対しては、長官は、積極的に考究するということを言われた。われわれは、災害がどこに起ころうとも、天災によって国民が悲惨な状態にある場合は、国民自身がそれを救援しなければならないと考えております。そしてまた、居住を中心とした生命財産に対して、そのお気の毒な面を何らか国民自身が表わし、それを救援してやらなければならぬのだと考えておる。これは長官も同感だろうと思う。それで、打ち重なる災害のために、たとえば休会中に災害対策協議会が開かれました。そうして当時から、自民党の各委員の方と、いろいろこの問題について、個人的にもあるいは小委員会でも相談をしてきました。ところが、個人的には、自由民主党の代議士諸君も、それは何らかの形で作らなければならぬだろうということで、賛成なんです。ところが、表面には出てこない。しかも、総理は、あの梅雨前線集中豪雨災害のときは、羽田空港で国民に対して、集中豪雨によって幾多の生命財産が失われたことは、ほんとうにお気の毒にたえません、それから、この臨時国会が始まっての施政演説の中にも、この災害に対するところの救援は万全を尽くしますと、総理は言われたわけです。そうすると、われわれが考えるように、何か一本くぎが抜けているんじゃないか、こういうことなんです。死亡された方たちには、何らの表現がありません。あるいは家を倒壊され、流失され、焼失された方たちには、ただ単にその住宅復旧のための融資はあるでしょうけれども、その他何にもない。こういうようなことでは、国民がぼう然自失して、立ち上がりに手をこまねくというような状態で、まず手を染めなければならないのは、今八木委員が言われたような救援の手から始めなければならないのじゃないか、こういうように考える。そこで、われわれは、長官に本日は特別に出席してもらって聞いたわけです。そこで、私判断するのに、すみやかにこの問題に手をつけると長官は思われて、答弁されたというように考えておりますけれども、そういうような判断で了解してよろしいでしょうか。
  20. 大平正芳

    大平政府委員 広く言って、災害復旧、救援措置を含めて、災害対策全般につきまして、皆様の御努力によりまして、戦後だんだん充実してきたと思いまするし、また、予報、観測、それのPR等も、中央、地方の努力によりまして相当前進してきたと私は思うのです。そうして、この臨時国会は、一面災害国会でございます。それで、私どもは、御提案申し上げた法律案につきましても、御審議の結果、いろいろの御注文が出て参りまして、先ほど申しましたように、法律案は追加しなければならぬ、あるいは修正しなければならぬというような状況になったことは、災害対策全体の相当飛躍的な前進だと思うのでございます。従って、政治家の愛情としてしなければならない措置として、私は、従来に見ない前進をしつつあるのじゃなかろうか、そう考えております。従って、私どもの当面の任務は、御要請によりまして、法律案、政令案等を早く整備しまして、国民の期待にこたえなければならぬと思っております。今両委員から御注文がありました問題は、しかしながら、これを集大成したような、非常に大きな一つの政策体系を作らなければならぬわけでございまして、そのことにつきましては、いろいろな観点から究明しなければならないのも、政府としての当然の責任だろうと思うのでございまして、そういう検討にかかりますということは、私お約束を申し上げて、できるだけ早急にやろう、こういうことだけは今の段階で言えると思うのでございまするけれども、その内容につきまして、また、程度、方法につきまして、あるいはまた、そういう検討を推進していく仕組みにつきまして、今にわかに思いつきを申し上げるということは、非常に非礼だと思うので、私どもはこれは検討に上せてみる、こう申し上げているわけでございますので、御信頼いただきまして、時間的な余裕を与えていただきたい、こう私は思います。
  21. 八木一男

    八木(一)委員 かなり誠実な、積極的な御発言で、非常にけっこうだと思うのです。今までの災害のこういう問題について、非常に怠慢であった歴代の政府の例から見れば、今の官房長官の御発言は、かなり進歩的な前進をした御意見だと思うのですが、災害被害を受けた国民の立場から見れば、まだまだその程度では非常に手ぬるい感じがいたします。また、ゆっくりし過ぎている感じがいたします。でございますから、その意味で、検討即時始められて、いつごろに成案を得て、そのような立法政府提案として出されるかということについてのお約束を、一つしていただきたいと思います。
  22. 大平正芳

    大平政府委員 今度本委員会の御審議を通じ、私どもは、政府の修正案なり、あるいは新しく立法申し上げる法律案が、御審議の結果通過成立した場合でも、総理が言われたように、公平の原則から申しますと、なお、さらに準備をしなければならぬ問題が残されておるわけでございます。従って、私は、今度の措置の中にも、個人災害は従来以上に考えられておるわけでございまして、そういう具体的な公平をはかる上からも、少なくとも通常国会までには、そういった地ならしをしておかないといけないのではないかという感じがするわけです。この問題は、非常に内包、外延ともに大きな問題でございますけれども、これに接近する方法といたしましては、現に国会でそれらを見ようとした法律を作っておりますが、その施行を通じまして、個々のケースに具体的に当たりますと、なお解決していかなければならない面があると思います。さしあたって、それから、進めて参らなければ相済まぬのじゃないかという感じでございまして、そういった、今までやられましたこととの具体的な公平をはかるためにいかなる措置が必要という点は、私は、少なくとも通常国会までには用意していかなければならないのではないかということを感じるわけです。それとあわせまして、恒久的な制度として考える場合は、これは財政当局その他関係方面の意向をくみまして、相当長期にわたって検討しないと、すぐバラック建てを国として建てるというわけにはいかないのではないか、これは腰を落ちつけて勉強さしてもらわなければならないのではないかと思います。
  23. 八木一男

    八木(一)委員 苦しい答弁ですけれども、もっと積極的に取り組んで、ずばりと自信を持っていただきたいと思うのです。どんなむずかしい法律でも、朝から晩までやれば——それは夜中寝ないでと言いませんが、朝の十時から夕方の五時まで、一週間も取り組めば大筋はできます。それに関連する財政的なこと、字句のことも二週間あればできます。どんなむずかしい法律でもできないことはない。二年、三年かけたからといって、その間一月に一ぺん二時間か三時間協議したとか、そういうことになっているからだ。それは大きな法律、大きな制度で二年、三年かかることはありますけれどもほんとうに取り組めば、半月ででき上がらない制度はない。それ以上で、それが工合が悪いということであれば、それはよほどやる気がないのです。ですから、通常国会までに被災者援護法のようなものを政府がやる気があれば、それを出すという約束をすることはできるわけです。私どもは、それでもおそいと思う。今国会中にやってもらわなければいけない。政府の今のペースを聞いたが、政府通常国会に必ず法案を出すということであれば、一応その点については了承して、今度の災害に対する特例法としての被災者援護法のようなものを今度の臨時国会に出すことはがまんしても仕方がないと考えております。しかしながら、恒久法は二、三年かかるというような含みのある御答弁では、政府を糾弾せざるを得ない。やってできないことはない。ほんとうにやれば一週間でできる。やり方を教えて下さいとおっしゃるならば、われわれは三日でやってみせる。政府にはたくさんの職員がいる。大平さん初め頭のいい方もおる。やろうと思ったらできる。それを、二、三年かかるようなことをにおわす、そんなだらしのない答弁では、被害を受けた国民、これから被害を受けるかもしれないと思って心配している国民に対応した政府とはいえないわけです、少なくとも、政府としては恒久的な被災者援護法を次の通常国会に出す、それまでまとまらないなら、特例法をこの臨時国会に至急に出す、それについて与野党のお知恵を拝借したいとおっしゃるならば、われわれはすぐお知恵をお貸し申し上げる、お渡し申し上げます。それだけではありません。われわれは、政府が手ぬるいので、われわれ自体でその法律を出します。それについて政府が積極的に、総理大臣官房長官も論議に参画していただきたい。議員提出法律案でありまするが、それについて、政府の考えはどうかという質問与党からも出されるのでありましょうし、われわれも出します。そこで、政府がわれわれの方の法律案がいいと思われたならば、それをやられることに協力されることが当然の任務だろうと思います。政府の方は、財政的とか、なんとかということで法律案にいろいろの意見をつけ、ブレーキをかけようとなさるでありましょう。かけられる方策は持っておられるけれども、それは国民のためにその権力を使っていることにはならないわけです。この災害特別委員会で、たとえ野党提出の議員提案であっても、与党の方に積極的な反論ができない、政府としても、それについての積極的な反論ができないものであれば、政府与党もこれに御賛成なさるのが当然であります。さらに、これ以上のものを与党から出されるならば、われわれは賛成するでありましょう。そういうことで、議会自体で作っていくのが至当だと私どもは思っております。しかし、残念ながら、今のところ、財政の見地から政府の圧力が与党に及んで、当然やるべきものも、政府からの、財政当局からの圧力で、与党の方の統制があって、いいと思いながら賛成ができないというような現状に各委員は置かれておる。だからこの問題が進まない。今度われわれの方で出す法律案の討議については、政府ほんとうに納得できるものならとにかく、そうできないという見地でブレーキをかけようとなさるならば、池田内閣国民のことを思わない、被災者のことを思わないというということを論議を通じてどんどんと明らかにして、国民世論の沸騰を待って政府を追及して、これを実現させる道を開いていかなければならないと思います。しかしながら、私どもは、そういうことを欲しているのじゃない。ほんとう被災者に手厚い援護がいく、また、将来の防災も一番大事でありますけれども、防災を一生懸命やっても、例外的に起こる災害によって、不幸にしてそういう被害を受けた場合にどうなるかということを心配している国民方々に安心していただくことが先決であります。政府と対決することが目的ではない。ですから、そのような今までの形式的な政府の運営を改められて、野党が提案をしている、与党もその気持でおられるというなら政府みずから一緒に話し合って、ざっくばらんにその問題を検討して、特例法でも今国会に出そうじゃないか、恒久法は、政府が主体になって各方面の意見をいれて、通常国会の壁頭に国民負託にこたえるために出そうじゃないか、そのような決意を披瀝されてこそ、国民政府ということになるわけであります。私どもは、自民党のいろいろな政策について非常に意見を異にし、自民党の政策の悪い点を追及するわけでございます。災害対策というような問題であれば、与党野党は同じ意見政府を督励し、または政府と一緒に話し合い政府がその政策を進められることに十分に協力できる場であると思います。ですから、さっき言った被災者援護法というような、名前はどうでもよろしい、そういう内容の恒久法を、おそくとも通常国会には必ず政府みずから出す、特例法については、今すぐ相談し合って今度出す、野党の出した恒久的な援護法がいいと思われたならば、政府も大乗的に財政問題を処理して、与党協議をして積極的に賛成をしようじゃないかというような態度をきめられる、そのように積極的に取り組まれる必要があろうと思う。大平官房長官はお気持でいえば、直ちに、その通りだとおっしゃりたいお気持でおられる心あたたかい政治家だと私どもは思っております。それにブレーキをかけるものは何か。今までのほんとう国民のことを思わない、財政の帳じりだけを合わせればいいというような、金というものをほんとう国民のために使おうという気のない近視眼的な財政政策、それから閣議におけるいろいろな面子で、片方が百の熱意を持って言っても、片方がそれに対する一つの消極的な意見を言えば、それが相殺されて、そのままきまらないというようなことになる、そういうことを直していかなければ、ほんとう国民政治は進まないわけであります。大平さんは、私が若造のくせに大きな声でなまいきなことを言っても、そういうことに対しては憤慨をせられない政治家であると思います。一生懸命言ったことは、まともに受け入れられて、その問題を進めようという考え方を持った政治家であるべきはずであるし、また、そういう政治家であると私どもは信じます。その意味において、今のようなあいまいな答弁ではなしに、積極的に取り組む、そして、われわれの提案について積極的に受け入れるというような、一応内閣を代表して、明確にお答えを願いたいと思います。
  24. 大平正芳

    大平政府委員 八木さんの御熱意には心打たれるものがございます。そういう新しい立法の問題につきましては、先ほど申しましたように、早急に検討させていただきたいと思います。それと同時に、与野党からの御鞭撻、積極的な御提案がございますれば、私ども、それを貴重なる資料といたしまして考究させていただきたいと思います。
  25. 八木一男

    八木(一)委員 委員長に御質問と要望を兼ねて申し上げたいと思います。  今までの論議の経過をお聞きになっておられたと思いますが、この問題について政府と議会の方と積極的に取り組む必要があると思います。議会の委員会の場で論議することが正当なことでございますが、いろいろの複雑なことについて往復意見をかわして、これはこうだからこうだということで進める場が非常に必要であろうと思います。ですから、本特別委員会がこの個人被害の問題についてどのように対処を進めるかという問題について、政府側と正式に懇談をする場を委員長責任において作っていただくことを要望したいと思います。委員長の御返答を一つ……。
  26. 濱地文平

    濱地委員長 八木さんの質問には私は全面的に賛成です。賛成でありますが、政府といたしましては、予算その他等の関係などで意見の食い違いはあるかもわかりません。なるべくこの意見の統一をして、そして、できることなら、あなたの御意見を尊重してやっていただきたいと思いますからして、委員長としてもできるだけの善処をさしてもらいます。
  27. 八木一男

    八木(一)委員 政府にいろいろの状況があることも、私ども政治の一端をになっておりますから知っておりますが、具体的に問題を進めるためには、やはり積極的な懇談が必要なので、政府の都合をお聞きになりまして、今明日あるいは月曜日、そのようなときに、災害対策委員長を始めとして、このような個人災害問題、民生の問題について、各党を代表される方と、できれば総理大臣も含めて官房長官厚生大臣あるいは大蔵大臣等と懇談の場を委員長が持っていただくようにお願いをいたしたいと思います。  次に、具体的な問題について、その背景の問題について、官房長官に続けて御質問を申し上げたいと思います。官房長官は、政治のことはぴたっとおわかりでございますから、内容を申し上げないで直ちにその推進の問題を申し上げましたけれども、しかし、内容の問題についてもやはり触れておく必要があろうかと思うわけでございます。  先ほど五島委員から言われましたけれども、昔から、災害があって隣人がなくなった、あるいは家が流失したというようなときには、隣近在がやはりこれを助け合ってその家が成り立つようにする、家が修復できるようにする、なくなった方が働き手であった場合には、残された遺族が何とか身の立つようにするというようなことが各地で伝統的に行われてきたと思います。ところが、明治以降中央政府が確立した後においては、そういうことは、片方でほんとうにそれを系統的にやるために、市町村なり府県なり、あるいは国というものがそういうようなことに対処する責任を負う形の政治形態に移行して参ったわけであります。移行をして参ったのに、そういう問題が完全でないために、先ほどのような論議を行なわなければならないことになったわけであります。市町村において、たとえば被災家庭に見舞金を出したという実例は前にもありますし、今度の災害にもございます。五千円のところも三千円のところもあったでありましょう。市町村がほんとうに困っている被災者のことを思って、そして、それに対処しなければならない、非常に不十分な金ではあるが、何かの足しにもなるということで、直ちにそういうような処置を市町村自体はしておったと思う。ところが、市町村も財政は豊かでない。そこで、被災者が多くなったときには、そういうことをしたいと思っても、そのものは薄くならざるを得ないということになる。そういうことを勘案しましたときに、大きな国全体の処置として、見舞金なり、弔慰金なり、あるいは立ち上がりの貸付金、あるいはまた、負傷したり病気にかかった人の医療費の問題、そういうものを国が対処しなければ十分にはいかないし、また公平にもいかないわけであります。その意味で、国がこれに取っ組まなければならないと思う。それについての官房長官の御意見伺いたいと思います。
  28. 大平正芳

    大平政府委員 今御意見のあったような事項は、検討すべき対象であると存じます。
  29. 八木一男

    八木(一)委員 ことに、先ほど官房長官が言われましたように、個人災害の問題について、ごく一部分が金融の補助の対象になっておるということを言われました。一つ一つの個々の例を申しませんけれども、大半はそうであります。金融ということになれば、条件は緩和されておりますが、建前として返済ということがついてくるわけであります。そうなりますと、ほんとうに返済能力のない貧しい人々にとっては、それはたなの上のぼたもちになって手が届かない。ことに罹災者の大部分は貧困な家庭であります。だれも高潮になったら水がつくようなところには住みたくない。そういうところに住まなければならないという人は、いろいろな点で貧困な人であります。山の上で、風が吹けばすぐ飛んでしまう、山の上で、雨が降ればすぐがけくずれがする、だれも住みたくないのだが、そういう家でなければ住めない、そういう場所でなければ働く場がない、そういう人は貧困な人であります。そういう人に対して、金融というような処置では、やったという名目をもって政治的にのがれるだけであって、ほんとう対処になりません。そういう人には、直ちに返済の必要のない見舞金、弔慰金というものを、出し切りで、その問題については後の顧慮なしに、それを立ち上がりのために使うというような金でなければいけないと思うわけです。そういう意味で、弔慰金、見舞金という制度がぜひとも必要であると思います。また、病気を発生した、負傷したという場合には、現在、たとえば国民健康保険の給付水準が全国的に平均五割、また、被用者保険でも、家族の場合は五割である、また、負傷した場合に、最初の応急の手当は災害救助法でやってくれるでありましょう。しかし、長い目で見ると、腰を打ったために病気になる、そういうことの対処は、やはりもっと完全なものとして対処しなければなりません。そういう問題をやるために、さっきのような問題を至急にやらなければならないと思いますが、それについて官房長官の御意見を承りたい。
  30. 大平正芳

    大平政府委員 先ほど申し上げましたように、そういうことは真剣に検討しなければならぬ問題だと思います。お話のように、個人災害を受けて——日本人はその災害によって精神も肉体も鍛えられて今日の民族を形成したわけでありますが、自力によって更生を期待できる限界と、それから、今御指摘のように、国または地方公共団体がどれほどの財政的な支援の手を差し伸べるかという限界は、われわれは慎重に考慮していくべき非常に重要な問題だと心得ます。
  31. 八木一男

    八木(一)委員 ただいま個人負担で解決し得るというふうな御発言がありました。そういうような部分とほかの部分とを比較して、まあそういうような考え方が普通ありがちでございますが、さっき申しましたように、災害を受ける人は大部分は貧困な人だ。貧困な人が受けるということになると、個人の負担で回復し得るという範囲が非常に少ない、普通のことと違って少ない。ですから、やっぱり公の負担、国の負担でそれに対処するという部分が非常に大きな部分を占めるべきものであるということを、考えていただいておると思いますが、なお考えていただきたい。  それかもらう一つ、こういう問題について、個人被害について法律的にどうとかこうとかいう問題があろうかと思います。やかましい形式論理を言う法律家は、いろいろなことでごちゃごちゃとブレーキをかけにくると思いますが、二、三それについての私どもの考えを申し上げてみますと、たとえば台風がきた、そこでふっ飛んで死ぬ、家がこわれて死ぬ、それから山くずれのときに埋まって死ぬ、水のつかったときに、そこで水につかって死ぬ、川の流れで流されてしまうというようなところに、だれも住もうとは思わない。しかし、今住んでいる人がありますけれども政府の方で、国民が死ぬ危険性のあるところにいることを、対処しないでほっておくというようなことはないはずだと思う。そういうことが国民の通念であろうと思います。そうしますと、そのような家が倒壊したり流失、埋没をするというところに不幸にして災害が起こった、そういうところに住んでおられて、生命財産の危険のあることについて政府対処しなかったことについて、政府の非常な責任があると思う。だから、個人被害だからどうということでなしに、政府のそういうような、何といいますか、災害に対する恒久的な、被害を受けない見通しが誤った、それに対する指導が誤ったというところに、政府の一つの重大な責任があるわけであります。個人災害だからできないというようなことは、それで大半解消するのではないかと思われます。  さらにもう一つは、国民は全部一応政府を信頼しておりますから、それで安心して生活をしております。しかしながら、災害の頻発するので、こういうところではあぶないんじゃないか、ひょっとしてあぶないといけないから、もっと安全なところに移りたいという考え方を持っている国民もあります。しかし、持っていても、それはかえられないという状況があるわけです。政府住宅政策の非常な貧困、その対策のおそいということで、家という問題は今生活の基盤の問題になっている。衣食住の中で、衣食は何とかなるけれども、住の問題は何ともならぬというような状態であります、貧しい人々にとっては。これは、お金持ちの人はそんなことはぴんとこないかもしれませんが、そういうことであります。ですから、ほかへ家が建てられない。もちろん建てられません。高い権利金のアパートにも入れないとしたら、あぶないと思っても、ほかに行かれないわけです。また、幾分建てる資金を持っていても、土地が高い、山の陰の宅地造成のところは安いというので入っていると、そこで不幸にして山くずれで埋まるということがある。そういうように災害を受けるところに住んでいることに対して、危険ですよ、お移りなさいということを言わない、移れるような具体的な条件を作らないという政府に、すべて責任があると言ってもいいと思う。そうなれば、そういうことに対しての対処は、すべて政府責任があると思う。災害の問題は、そういう災害は一切起こらないようにすることがもちろん大事であります。しかしながら、不幸にして起こったものに対しての個人的なそういう被害に対して、政府みずからが、できる限りの方策をとるということが道ではないか。この意味で、もちろん大平さんもお考えいただいておると思いますが、このことについて非常に急速な、十分な対処をしていただかなければ、政府としての責任が保てない。こういうような意味もあわせ考えていただいて——もちろん考えていらっしゃると思いますが、先ほどの政府みずからが恒久法は必ず通常国会に出す、特例法を今国会に出す、その問題について対策委員会と話し合うということを、積極的に、かんかんになって取り組んでいただきたい。それについての官房長官の御意見伺いたいと思います。
  32. 大平正芳

    大平政府委員 今指摘のような問題は、私が先ほど申しましたように、検討に載せまして、関係方面と御協議申し上げて、できることならば、早くこれを推進して参りたいという所存でございます。
  33. 五島虎雄

    五島委員 それでは、官房長官、時間がございませんから、私は簡単に二点について聞きます。  今回の特別立法がそれぞれ七件、あるいはこれからも特例法として政府から提案されるだろうと思いますけれども、それは六月から十月までの各災害を網羅したところの特例法になるわけです。ところが、集中豪雨によってこうむった被害に対して、すでに行政措置等々によって一応何らかの形で復旧をされている。ところが、それは融資によってその災害の対策が行なわれているという場合、たとえば私立学校の被害に対しては全然国の補助がございませんから——これは文教関係になりますけれども、一般的な問題として、たとえばの話として聞きます。全然災害の国庫補助がございません。それで、私学振興費の方から融資をして、そうして校舎あるいは校庭、設備の復旧をさせた。ところが、今回は、私学に対しましても二分の一の補助をつけようという特例が出てきたわけです。そうすると、もちろん特例として、六月から十月までに被害をこうむったところの私立学校に対する国庫補助は、全面的に、法律上では二分の一の国庫補助がつけられるはずであるとわれわれは考えておる。それはもちろんそうだと考えているわけです。ところが、すでに行政措置その他財政措置をした場合は、これを含まないというような考え方をしている担当省の考えも一部あるようでございます。しかし、そういうようなことは、法律によって国庫補助がつく場合には、それがもちろん適用されるというように私たちは考えるのですけれども長官にこの点を非常に小さいことですけれども特例法に関する一般的な問題として聞いておきます。  それから、第二点としましては、長官がおられたかおられないか、ちょっと気がつきませんでしたけれども、この間運輸省の気象庁長官に対しまして同僚委員からも質問がございましたが、とにかく災害に対しましては、災害対策の中央協議会あるいは地方協議会が常時組織して持たれておるわけですけれども、中央災害協議会は、総理大臣が長になられて、各省大臣がこの協議会のメンバーになっておられるわけです。ところが、災害に対しましては、これは気象の観測からPRから、防災、救助、そうしてあとの処理、こういうような問題も広い範囲にわたって行なわなければなりません。ところが、今回の二十四号台風の結果は、幸いにして、わが日本列島の南方をかすめて参りましたから非常に被害が僅少に済んだ、こういうことですけれども、これを観測するにあたって、飛行機の観測はわが国の飛行機で観測をしていない。従って、アメリカの観測機によって観測をしなければならぬ。ところが、すでにわが国に設備されたところのレーダーの観測は、風速よりもあと追いをした、こういうように新聞の記事にも表われております。そこで、国民は、くるかくるかと待っていたのだけれども、これは何ら災害をもたらさずして去っていった。これが最も喜ばしいことではございますけれども、何か台風の目が大島を通るときは、すでに方向が三転、四転をして、そうして最後のとらえ方が非常に困難であった、こういうようなことを見ますにつけて、われわれは、災害の報道、気象の観測というものは万全を期さなければならない、こういうように考える。そうすると、この間も私は申しましたけれども、自衛隊のジェット機は五億円も六億円もかかるような飛行機を購入して、国土防衛ということで拡充されるわけです。しかし、われわれ国民は、自然との争いの中に万全を期さなければならないと考えておるわけですけれども、こういうような方面に力を注がれる意思はないのかどうか。あるいはレーダーの据付にしましても、来年度から富士山の山頂に大きなレーダーを取りつけると、観測がまあまあ、完全ではないけれども、やれるのだというように気象庁長官は言っておられるわけです。天災ですから、どういうような災害国民がこうむるかわかりませんけれども、毎年々々襲いかかるところの台風シーズンにおける気象の観測あるいはそれの報道、それも非常に必要ではないか。しかし、PRとかあるいは住民の避難の指導が、今回は、大阪あたりでは非常に適切な措置が行なわれたから、被害の割に死亡、負傷、人命に対する被害が僅少に済んだのだというように報道もされますし、われわれもそう思っておるわけですけれども、これがひとたびまかり間違ったら大へんなことになるのじゃないか。二十四号がもしも東京湾に上陸した場合の惨害を想像するのに、これはりつ然たるものがあるわけです。従って、以上二点のことについてお尋ねをして、そして長官に帰っていただきたいと思います。
  34. 大平正芳

    大平政府委員 第一点の、すでに行政措置で、融資で私立を復旧された、今度法律が出まして、財政措置を受ける資格を持った場合どうするのだということでございますが、今度被害を受けた施設に対しましては、公平に措置すべきものと思います。  それから第二点の災害予防であります。そういう災害が起こった場合の救助並びに施設の復旧ということはもとよりでございますけれども、これからの災害対策の重点は災害予防に重点を置かなければならぬと思います。その意味で今の通信施設、観測施設に不備なものがあれば、当然、これは充実の方向に積極的に持って参るべきだと心得ております。
  35. 五島虎雄

    五島委員 気象長官を呼んで聞いてみると、集中豪雨のときの情報活動など、従来に見ないような連絡報道で、それについてわれわれは非常に感服もしておるわけです。しかし、幾ら気象庁が万全を期そうとしましても、やはり科学的に、あるいは機械力によって手の届かざるところがあろうと思う。ですから、今長官が言われましたように、政府としてこれら諸般の問題について万全を期せられるよう、長官を信頼して要望しておきたいと思います。長官には終わります。  厚生大臣も予算委員会で忙しいそうですから、あと八木さんからどういう質問があるかわかりませんが、私がかわって大臣に対して質問をいたしておきたいと思います。  われわれは、今回の一連の災害の問題につきまして、与野党申し合わせを大体いたしましたが、それは、伊勢湾台風並み、あるいはそれ以上の万全の措置を講じようということでございました。ところが、伊勢湾台風にあたりましては、厚生関係として七件の特例法が提案され、これが実施されております、ところが、今回は一件もまだ特例  として出ておりません。ただ、われわれが新聞で承知したところによれば、公衆衛生関係の特例法や社会福祉施設の特例法、あるいは母子福祉に関する貸付の補助の特例法、この三つくらいが用意されたということでありますが、これらの法律案についてはいつ提案されるわけですか。
  36. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 伊勢湾台風のときに準じた扱いをいたしたいと考えておるわけです。お話しの通りに、伊勢湾台風のときは、たしか七つの法案提出せられております。今回用意いたしておりますものは、伝染病関係のもの、それから社会事業関係の施設に関するもの、それから母子福祉資金に関するもの、この三つのものについて提案を用意いたしております。最近の機会において国会提出いたしたいと考えております。その他、前回において出しまして、今回提出の運びに至っておりませんものは、予算措置をもって同様の目的を達するつもりでございます。
  37. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、三つの法律案をもって十分である、その他の問題については予算措置ということですが、その予算措置で完全に伊勢湾台風並みの措置ができるのですか。
  38. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 伊勢湾台風並みの措置は、とれるものと存じております。
  39. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、伝染病予防の場合は、伝染病予防作業補助とかあるいは予防費補助とか、これの国庫補助の特例が行なわれて、水道とか、あるいは清掃施設とか、公衆便所とか、ごみ焼却所等に対しては、今回はこの特例の補助の対象にならないが、それらは予算措置では十分まかなえるというようになるわけでしょうか。そうですか。
  40. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 その通りであります。
  41. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、水道などはゼロなのですけれども、これを予算措置でやる場合は、伊勢湾台風並みの補助率が、予算上措置ができるわけでしょうか。
  42. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 水道につきましては、前回の特別立法措置と同じように、二分の一の高率補助を予算措置をもって行なうということでございます。
  43. 五島虎雄

    五島委員 予算措置で二分の一ということは、法律の根拠によってやられなくてもこれはいいのでしょうか。
  44. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 政府委員から御答弁いたさせてます。
  45. 今村譲

    ○今村説明員 法律の方にはっきり三分の一あるいは二分の一と明定してあるものにつきましては、立法措置をしなくてもできる。何も書いてないものにつきましては、省令補助ということで、たとえばいろいろな補助金が法律の根拠なしにやっておられます。従って、これは大蔵省と話し合いを遂げまして、法律と同じような効果で、二分の一という下話を今進めておりますので、これは法律がなくてもできるというふうに考えます。
  46. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、母子福祉資金の貸付の特例法という名前で出てくるのかどうかわかりませんけれども、三分の二を四分の三の補助にしたいというのが、法律の内容として出てくると聞いております。ところが、これの貸付倍率はそのままいじろうとされないのでしょうか。
  47. 今村譲

    ○今村説明員 現在の法律では、簡単に申し上げますと、国が二、県が一という格好になるように法律ではっきり書いてございます。従いまして、この際は、国が三、県が一という伊勢湾台風並みでやりたいということで、これは当然法律改正になりますが、その補助率の改正は盛り込むつもりでございます。
  48. 五島虎雄

    五島委員 細部にわたっては、あとで担当の方から聞きます。そこで、今回は、その災害救助法の三十六条ですか、災害救助に要した国の補助率は、千分の二以上千分の二十というような部分に対しては五〇%、それ以上は八〇%とか九〇%とかというように規定されておりますが、昭和三十四年の伊勢湾台風のときは、千分の二を千分の一らに切り下げて、そうして、千分の一か千分の二の場合は五〇%、それ以上はそれぞれ八〇%、九〇%というように、災害救助費の補助の特例が出たわけです。ところが、今回のたび重なる災害に各地方団体は相当の救助費を支出しておる。われわれも、今回の災害で兵庫あるいは徳島に調査に派遣されたわけですけれども、そのとき、災害救助費としては大体十分の一程度しかつきません、こういうようなことでした。それで、この率の切り下げという問題が必要になってくるのじゃないか、われわれはそういうように了知してきた。ところが、今回このパーセンテージの千分の二を少しもいじらなかったということは、これまた、いじらなくても、これを特例措置をしなくても十分間に合うんだという認識のもとに、この点については配慮がなされなかったのかどうかということです。
  49. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 不十分な点は政府委員からお答え申し上げたいと思いますが、伊勢湾台風並みの特例措置をただいまお話しになりました部分について講じましても一実質上各府県に財政上プラスになる額はきわめて少額でございます。従って、特に特例法を設けてまでやる必要はないのじゃなかろうか。もし財政上の点について援助をするとすれば、他の方法によってそれを補てんすることもできるのじゃないだろうかというようなことで、特別措置を講じなかったということは、それによって得るところは何も大きな額ではない、たとえば自治省あたりの話を聞きますれば、解決がつく問題じゃなかろうか、こういう考えのもとに出さなかったわけでございます。
  50. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 補足して答弁を申し上げます。  災害救助法三十六条の災害救助費におきます国庫負担の度合いをきめた条文でございますが、この度合いにつきましては、伊勢湾のときには、特例法で千分の二を千分の一というようにいたしました。それがどれほどの効果を持ったかにつきましては、ただいま大臣から答弁申し上げた通りであります。私ども、実はこの災害救助に関しましては、前々から地方と国との負担の均衡という点について問題がある、かように考えておりまして、ただいまこれを検討いたしております。これは次の通常国会に、災害対策基本法に関連いたします関係法案の整理に関して、御審議をわずらわしたいと考えております。これは単に一つの災害対策の特例というようなものよりも、恒久的に考えてしかるべき問題が、その中にあるのじゃないかと考えておりますので、その線で考えていくようにしたいと思っております。
  51. 五島虎雄

    五島委員 灘尾大臣あるいは太宰局長の考え方はわかったわけですけれども、その欠陥があるだろう、それで災害基本法の中で考えなければならないという考え方はわかりましたが、欠陥があるということは、国の災害費用の分担などについて、もう少し地方に負担をかけないように考慮するということですか。それから大臣が言われたように、千分の二を千分の一に切り下げても与える影響が少ないから、小部分に対する影響は、他の方法でいろいろ話し合って何らかの解決が見られるというのですが、その話し合って何らかの解決ということは、どういうようにわれわれは認識したらいいのでしょうか。
  52. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 前段はお話の通りであります。ただやみくもに地方の負担を少なくするというばかりではございません。国の負担と地方の負担とのバランスの問題がいま少し検討を要する。結論といたしましては、そういう方向においてこれを検討する。それは災害対策基本法ばかりではございません。新たに、基本法に基づきます関係法の整理に関する法案通常国会で御審議をわずらわす考えでございますので、その中に盛り込むことになろうかと存ずる次第であります。それからこの小さな額であります部分につきましては、どういうふうに具体的に処置するかというような点につきましては、御案内の通り、自治省の地方財政交付金、これには災害の場合には特別措置の問題がございます。それからさらに、各府県は災害のこういう費用に充てるための災害の基金というものを持っております。そのようなものにおいて処置できるものは処置をしていく、こういうことでございます。
  53. 五島虎雄

    五島委員 私たちは、千分の二を千分の一に引き下げても、その与える影響というものは、大臣と同じように、非常に少ないと思うのです。そこで、千分の二以上というその千分の二を取っ払ってしまおう、その方がよほどはっきりするのではないか。それで、一つの段階を千分の二に求めたり千分の一に求めたりするのではなくて、災害というのはいつやってくるかわからない、それに対して、災害救助費としていろいろ費用が必要なものに対しては、それぞれの合理的な率によって国がこれを援助していった方がいいのではないか、こういうように考えているものです。ですから、今後そういうことも合理的に考慮、検討してもらいたいと思うのです。  それから、災害救助法の二十三条によれば、救助の種類は、収容施設とか、たき出しその他による食品の給与とか、あるいは被服、寝具の給与または貸与とか、十項目ここにあります。ところが、その中の六号には、「災害にかかった住宅の応急修理」というのがあります。そうすると、その条文だけを読めば、災害にかかった住宅の応急修理も、この災害救助費の中から支弁されるのだ、こういうように考えられるわけです。ところが、今までに、家の屋根が飛んだ、あるいは住居をもう少し何とかすれば住めるようになるとかいうようなことについて、どのくらいの費用が地方では支出されておりますか。   〔委員、長退席、古川委員長代理着席〕
  54. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 災害にかかりました家の破損の程度が半壊とかいう程度でございますれば、これに対しまして、自分の力でもってそれの修理ができないという御家庭に対しては、御指摘の応急修理の経費を出しておるわけであります。これは実際に出ておりますが、その統計の資料は今ちょっと手元に持ち合わせがございません。
  55. 五島虎雄

    五島委員 そうすると、この条文から読めば、かわらが一枚飛んでも、これは被害の度合いによりますけれども、さっそくその生活に支障のないように、すみやかにこの措置を講じなければならないということになるだろうと思うのです。ところが、施行令の九条の二によれば、「救助の程度、方法及び期間は、応急救助に必要な範囲内において、予め厚生大臣の承認を受け、都道府県知事が、これを定める。」これはそれぞれ都道府県では定められていると思いますけれども、これはすべて厚生大臣の承認を受けてその方法が定められていると考えますが、その通りでしょうか。
  56. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お尋ねの通り、これは全国的に統一した基準を厚生省の方で流しまして、それに基づいて、各府県でもって規則を作って、それによってやっておるわけでございます。申すまでもなく、災害の実態というものは千態万様でございますから、その基準というものは、やはり一応の基準でございます。その実態に応じて特別の措置がとり得る場合があることは、当然あるわけでございます。そういう場合には厚生大臣の承認を受ける、こういう仕組みになっております。
  57. 五島虎雄

    五島委員 そうすれば、基準はあくまで基準であるから、都道府県知事がこれは必要であると考えた場合は、住宅その他の補修もやっていいわけでしょう。そうして、そのとき要した費用については、国の補助があるわけですね。ところが、そういうような要求が今回の累次の災害についてどのくらい上がってきましたか。災害救助費として全体的に、統計的に上がってくるだろうと思うのですけれども住宅の補修とかなんとか、六号に対してどのくらい費用が上がってきたわけでしょうか。
  58. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 今回の室戸台風では、応急修理の関係でどの程度かかったか、ただいままで地方から得ました報告では、約一億六千八百万円ほどになっております。これは御承知通り災害救助費の一部をなすものでございますから、それはその中に積算いたしまして、災害救助費全体を、その年度を締めたあとに、先ほど御指摘の三十六条の基準に照らして、国と地方がこれを分担し合う、こういう仕組みでございます。
  59. 五島虎雄

    五島委員 そうすると厚生省としては、使われた費用はその基準の通りに持つのだ。そうすると、都道府県では、これが必要であると思うのならば、その基準に従って、どんどんというと語弊がありますけれども、住民の家の修理等々については、これは生活に支障のないように十分できるわけですね。よくわからぬものですから、聞くのですが……。
  60. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 だいぶニュアンスが違うと思います。これは申し上げれば御了解いただけるように、災害救助法という法律の性格からいたしまして、災害にかかりました方の応急救助ということがねらいでございます。従いまして、御指摘のように、家屋の被害を受けた、受ける方は、金のある方も金のない方も受けるわけでございます。その意味において、これを修理する、これは自分でそういう力を持っておる方もおるわけです。そういう場合には、私どもの救助法では、それに手を差し伸べる必要がないわけで、ただ、自力をもってしてはそういう修理ができない、そうして明日からの生活に事欠くというような方に対して、災害救助法としてこれを手当をしてあげる、こういうことになります。従いまして、その度合いというものは、おのずから、その法律の建前から参りますと、限度があるわけであります。災害のついでに一つうまく建て直しをし、それからその程度も、完璧なものに直す、そういうようなものは、私どもの方では、この法律としては考えておらないわけであります。そのために雨露をしのげないというような度合いを直す、こういうおのずからなる限度というものがあるということはお含みおき願いたい、かように考えております。基準といたしましては、従来の経緯等も考えまして、一応そういう該当戸数の三〇%というもので、大体一戸当たり平均いたしまして二万四千円ということで、今日運営いたしております。
  61. 五島虎雄

    五島委員 二万四千円、そうすると、その都道府県知事の判断ということになるでしょうし、また、基準としては三〇%ということになると、地方財政が富裕なところ、貧しいところが、それぞれバランスが違うと思う。そうすると、富裕県についてはそれが比較的まんべんなく行なわれ、貧乏県と言ったら語弊があるでしょうが、貧乏県についてはそれが比較的まんべんなくいかないというような、ちぐはぐな面が出てくる現象はありませんか。
  62. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 災害の救助に関しましては、やはり全国できるだけ同じような基準でこれをやるべきものだということをお考えであろうかと思います。私もその通りかと考えておるわけであります。そこで、各府県の富裕の度合いが違うということのために、その差があまりあってはいかぬということで、三十六条の負担の割合が、その災害の度合い、それからその府県の普通税収入というものとの関連をつけておりまして、それの度合いが非常にひどくなれば、国の補助率が高率になる、千分の四十をこえれば九割まで国が持つ、こういうふうになっておるわけであります。いかなる災害といえども全部国が持つべきじゃないかという御意見は、御意見として私はあるかと存じますけれども、これは従来の経緯からいたしまして、やはり国の国民であると同時に、その県の県民であるわけでございますから、ほどほどの度合いにおいてはその県にも分担してもらうことは、何ら差しつかえない、こういうような見解のもとに、千分の二以下の分についてはその県で持ってもらいたい、こういうふうになっております。大体災害救助法の今の仕組みは、五島委員の御指摘のように、災害の度合いだけじゃなしに、当該府県の富裕の度合いというものも十分に盛り込んでやっている、こういうふうに考えております。
  63. 五島虎雄

    五島委員 そういうように富裕県と貧困県のバランスを厚生省が考えて、十分施策が行なわれるならば、それでいいと思うのです。そういうことの心配があるあまり、これをちょっと質問をしたわけです。  それから施行令の九条によれば、「災害によって住居又はその周辺に運ばれた土石、竹木等で、日常生活に著しい支障を及ぼしているものの除去」ということについては、これは災害救助法でやれるわけですね。ところが、今回、これは厚生省関係じゃないのですけれども、堆積土砂の排除の特例法が出ますね。そうすると、この点についてはどういうところまで補助ができるわけでしょうか。たとえば集中豪雨によって、私長野県に行きましたけれども、天竜社というところなどは二階の上まで砂が来た。その付近一帯の民衆の家も砂だらけになった。水でつかって、あとは砂詰めになっている。そこで、それをどういうようにその後実際的には処置されたかということを、私は一度聞きたいと思っておった。ところが、何か基準も三〇%程度だというように聞いておるわけです。しかし、これは三十四災のときも質問があったし、それから今回も参議院において質問が行なわれたと思いますけれども、全家庭について、土砂、竹木の排除に対するところの費用は全部支出できますか。
  64. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 政令のこの条文は、法律の方の二十三条の十号についてきめたものでございます。その趣旨は、家は幸いにして流されはしなかった、滅失もしなかった、しかしながら、そこに土砂あるいは土石というようなものがめり込んできた、そこで、とても住んでいけない、こういう場合があるわけであります。さような場合には、そこの家に住んでおる人たちは、その土砂、土石をどかさない限りは、もうそこで寝ることもできない、こういう場合でございます。そういう場合の応急の処置といたしまして、そういう土砂が運び込まれたために、日常生活が営み得ない、また、そういうものを排除することが自分の力でもってはできないという場合に、その人が日常寝ることもできないという分を排除するという程度において、これを除去することを認めておるわけでございます。従いまして、当然、それは人間の住んでいるところ、そしてまた、人間が日常使っておる部分に限られる。離れがあるとか、あるいは土蔵があるとか、そういうものはこの対象になっておらぬわけであります。ですから、そういう住家に関係のない分野は、この災害救助法の関係ではございません。御指摘の土石とかなんとかの除去というあれは、厚生省の関係とは別なものと思います。
  65. 五島虎雄

    五島委員 それはわかりました。ところが、私、厚生省の担当の方に一度電話で問い合わせをした。それらはさっそく生活に困る。ところが、三〇%の基準であるということです。その三〇%の基準がどこから出たのかわかりませんけれども、しからば、村全体の住居が土砂に埋まっていた、その場合は、全体にこれが及ぼされると解釈してもいいのでしょうか。
  66. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 係の者のお答えがおそらくまずかったと思いますが、三〇%ではございません。従来三%でございます。それを今回一五%に改善いたしましたから、それは一五%ということで御了承いただきます。その場合に、御指摘のように、災害の実態は千態万様でございますから、この基準でもってまかない切れない事態が起きないとは限らない。従いまして、先ほど申し上げましたように、厚生省から流しました基準というものは、一応の基準でございます。大体は、従来はこれでもってまかなっておれた。それを今度は災害の実態によってそれではだめだということでございますれば、厚生大臣特例の承認を求めて参ります。私どももそれは十分相談に乗ってやっておるわけであります。ただ、従来の例から申しますると、そうやみくもな基準ではございません。今般も相当改善いたしましたので、大体これでいけるとは存じますが、しかし、その点は災害の実態によって十分現実的に考えて参りたいと思います。
  67. 五島虎雄

    五島委員 さいぜん三〇%と言ったのは、私もちょっと間違いました。三%ですが、なお少ないのじゃないかというように考えるわけです。その三%の基準というのは、村の戸数の三%でしょう。砂詰めになった戸数の三%を基準として費用を支出するというようなことではないと思うのです。その三%を今回一五%にしたということはあれですが、一五%以上あった場合にも、現実に即して十分これを措置するというのならば、ほんとうに現実に困った人々、世帯については、全面的にこの排除の費用は措置されるということに了解していいのですか。
  68. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 その村の全戸数ではございません。半壊あるいは床上浸水ということでありまして、つまり、そのような障害物の除去に該当し得るような戸数の三%以内、かように考えております。それがもしこえる場合がありましもて、先ほど申しましたように、それは自力ではどうにもならない、当然補助費でそういう措置をしてやらなければならぬという事態がありますならば、それは見てやるべきであります。そういう場合に、地方から相談がありますれば、私ども、当然そういう面において相談に応じ、また、措置をいたしたいと考えております。
  69. 五島虎雄

    五島委員 それでは倒壊、全壊、流失、そういう家の被害について、住むところがない、従ってお寺や学校に収容されておる——まだ大阪では、住むに家ない人が、収容所に相住まいをしなければならない状況だということを、大阪の地方紙は大々的に取り上げておりました。これについては応急仮設住宅措置があるわけですけれども、坪当たり二万円、そうして五坪の応急仮設住宅を作るんだ、それも三〇%程度にきめるんだ、この点については、五坪の二万円、十万円では、仮設住宅も建てられないというようにいわれております。これは材木の値上がりあるいは労務賃金の値上がり、そういう関係で、応急仮設住宅は建設できない。しかも、三〇%程度では少ないのじゃないか。それから、幾ら瞬時の応急的な住宅としても、やはり家人の数によって、五坪程度ではとうてい住むにたえないのじゃないか。従って、人員の都合によれば、この五坪をもう少し広げて仮設住宅を建ててもらいたいという要望が非常に強いと思います。われわれは、その二万円、五坪の仮設住宅を建てて、一体どういう家が建つだろうというように心配をしておるわけですけれども、この件について厚生省の考え方を聞きたいと思います。
  70. 太宰博邦

    ○太宰政府委員 お答えいたします。  応急仮設住宅は、申し上げるまでもなく、災害にかかりました当座は、避難所なり何なりに避難するが、それは学校であり、お寺である。それが一応一段落いたしますれば、それぞれ家のある方は家に帰っていただく、あるいはまた、親戚なり何なりでもって一時生活することができる方はそうしていただく。そうでない方につきましては、やはり国が住宅を建てるということを考えている。それは建設省の方で災害住宅としてやっているわけでありますが、これにはやはり若干の時日が要る。その間は、いつまでも学校の講堂なり何なりにいるということは実際は許されぬことでございますので、さような間を応急仮設住宅というものでやっているわけであります。従いまして、応急仮設住宅は、二万円の五坪ということで何ができるかという考えを持たれる向きがあるわけでありますが、さような、まさに応急の仮設住宅であるというのがこの建前でございます。さような点から考えてみますると、従来私どもは、この二万円の五坪でもって大体いい、かように考えておったのでありますが、最近におきます物価の状況等にかんがみまして、これを少し引き上げる、それから内容も若干よくするというようなことをいろいろ考えまして、十万円でありましたものを十三万円ということにいたしたわけで、現在は十三万円でこれを建てることにしているわけであります。それにつきましては、こういう場合には国有林等の払い下げがあります。さような点からいたしまして、非常に低廉な値段で払い下げます。さような点も考慮に入れて、大体これでやっていけるものと考えているわけであります。五坪ということでございますから、多数の人があった場合には、正直なところ、困る場合もあり得るとは存じます。ただ、先ほど申し上げましたように、いわゆる応急の、昔は小屋がけとかいった時代もあったのでありますが、そういう性質のものでございますから、そこに長く日常生活を送っていただくという筋合いのものではないわけでありますので、これは人数が多くても、そこはこの五坪で大体しんぼうしていただくということにならざるを得ないわけであります。ただし、多数家庭でどうにもならぬという場合もあり得るかと思いますが、そういう場合におきましては、私の方も相談に乗って、全体としてこの五坪というもので処理できるならば、その中における若干のやりくりというものは、私どもも十分考慮してやっているような次第であります。
  71. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 ちょっと申し上げますが、厚生大臣が参議院の予算委員会質疑がありまして要求されておりますので、大臣に対する質疑をお願いいたします。なるべく簡潔にお願いいたしたいと思います。八木君。
  72. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣に、きょうだけでは終わりませんので、またきょうの午後とか、あしたとか、出てきていただきますけれども、非常に早く言わなければならない問題を先に申し上げたいと思います。  先ほど官房長官に御質問申し上げておりましたので、後半大臣はそばでお聞きいただいたと思いますが、私どもの考えておりますような被災者援護法というようなものを、即時この臨時国会政府みずからが提出をして、そうして議会の審議を経て、それを成立させたい。そうして、個人被害で非常に悩んでおられる方々にせめてもの国の援護の手を差し伸べることが、絶対に必要であろうと思うわけです。その点について、厚生省も含めて政府が、非常に今まで怠慢であった、手ぬるかった点は、まさに糾弾されてしかるべき問題だと思いますが、このような責任論を言っても問題は片づきません。ですから、糾弾の方は、これからの御努力があれば、私どもは取りやめてもけっこうであります。先ほど官房長官にも申し上げましたが、いかなる問題があっても、本腰で取り組めば、そういう問題は、五日なり一週間なりで、相当方向が出せるものです。ですから、政府とされましては、でき得べくんば恒久法を、かなわぬとも特例法を本国会に出されて、恒久法通常国会に必ず出されるということは、絶対必要であろうと思います。その点について、厚生省が主管官庁になられると思いますから、官房長官からは先ほど総理大臣のかわりとしてお伺いいたしましたけれども、閣議においては、厚生大臣ほんとうの推進メンバーになってもらわなければならぬのですから、こういう意味で、厚生大臣の、国民の立場に立った、積極的な、明快な御答弁をお願いしたいと思います。
  73. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまのお尋ねでございますが、私は、八木さんや皆さんの被災者に対する御同情、御熱意というものは、十分了解しておるつもりでおります。また、われわれも、その心持において変わりはないわけでありますが、具体的な、社会党の皆さんが主張しておられます躍災者援護法でございますか、これは従来のいわゆる罹災者救助法というようなものより一歩進んだと申しますか、あるいは考え方が若干ニュアンスの違うものではないかと思うのです。現在といたしましては、私どもは、少なくとも厚生省だけの問題ではこれはないと思いますが、罹災者救助ということを担当いたしております厚生省としましては、現行法をできるだけ活用して、とにかく間に合わしていきたいという考えのもとに立って対処いたしておるわけでございます。これと趣を異にする罹災者援護法というふうなものを一つの恒久的な制度として考え——また、恒久的制度として考えるべき性質のものだと私は思うのですが、それにつきましては、主管官庁といたしましては、よほどこれは検討していかなければならぬのじゃないかというふうなことで、八木さんの御熱意、また御希望の点はよく了解いたしておるつもりでございますけれども、ここで積極的に勇ましい御返事を申し上げるというところまで、実は私用意がないのでございます。この問題は一つ慎重に検討さしていただかなければならない制度上の大きな問題だ、かように考えておる次第でございます。
  74. 八木一男

    八木(一)委員 先ほどの官房長官の方の御答弁も、厚生大臣聞いておられたと思います。少なくとも通常国会に、被災者援護法罹災者援護法、名前はどちらでもけっこうですが、被災者に対して援護の手を差し伸べる、弔慰金、見舞金、また医療費をどうする、たとえばそういうような内容を含んだ恒久法を出すために、積極的に御検討になって、必ず出されるということの方針を立てられなければいけないと思うわけです。そういう方針で最大の努力をとられる、内閣の方はそのような方針で進みたい、これは正式には灘尾先生の方が上位の責任者でおありになりますけれども総理大臣のかわりとして、委託を受けて大平さんが御答弁になりましたので、相当に閣議の方向を示すものだと思います。主管官庁をあずかられる灘尾さんとされましては、そういうような内閣の全体の流れを、もっと主管官庁として強力に、急速に進める立場におありになるわけでございますから、そういう点で、ぜひ通常国会被災者援護法を出すために最大の努力をするというくらいの御返事は、直ちにしていただけると思いますし、それからこの臨時国会の中の特別委員会の間に、必ず出すという御返事は当然していただけてしかるべきだと思います。それからまた、臨時国会においてその意味の特例法を出すというようなことは、直ちに御返事いただいてしかるべきものだと思いますので、そういったような積極的な御答弁をさらにお伺いいたしたいと存じます。
  75. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今お答えを申し上げましたように、社会党の皆さんの御希望になっていらっしゃいます災害援護法については、その内容についても、私は検討を要するものがあると思うのでございます。また、ある部分は現行法を活用することによって、一〇〇%とは参りませんにいたしましても、相当措置をとれるのじゃなかろうか、こういふうにも考えておるわけでございます。問題全体を十分検討さしていただきたい。勇ましい返事をするのは、いと簡単でございますけれども責任ある者といたしましては、そう軽率な返事もできません。先ほど来の大平官房長官との問答も、一部お聞きいたしておりました。大平長官からもまたお話があると存じますが、閣内においてよく相談いたしたいと思います。
  76. 八木一男

    八木(一)委員 総体的に前向きの実現に向かって最大の努力をしていただける、さっき言ったことを全部含んで最大の努力をしていただけるということと理解いたしたいと思いますが、それで差しつかえありませんか。
  77. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 八木さんはどうも私に答弁を強要されておるように思いますが、事柄の性質上、いやだとか、よくないとかいったような言葉でもって解決すべき問題ではもちろんないと思います。御熱意のあるところはよくわかっておるのでありますが、今申しましたように、制度の基本に関する問題にもなって参りますので、私は検討いたしたいということを申し上げておるわけであります。決してお粗末な扱いはしないつもりであります。
  78. 八木一男

    八木(一)委員 それを進めるために、先ほども大平長官と、政府側との問題についていろいろお話し合いをいたしましたが、災害対策委員会意見の交換の場を持っていただくような話に進んでおるわけであります。その点で、主管官庁として、そういうことが非常に具体的に話ができるように、ほんとうのいい場ができるように、政府側の中の有力な指導者としてお取り計らいを願いたいと思います。
  79. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 今お答え申し上げました通り政府側の幹事役と申しますか、大平君とお話のあったことでございます。よく相談いたして進めて参りたいと思います。
  80. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣お忙しいようですから、一つ大蔵省側にお伺いをいたしたいと思います。  今灘尾厚生大臣や、先ほど官房長官といろいろ論議をかわした点をお聞きになっておられたと思いますが、大蔵省としては、ただ財政を、会計の帳じりを合わせるということで考えてはおられないと思います。金というものは、それが国民のために直接ほんとうに有効に役に立つよう、それが国民政治に対する信頼、社会への意欲をふるい立たせるのに直接に役に立つところ、それが大きく精神的にも影響するような一番大事なところに金を使うことが、ただ帳じりを合わせることよりも、ほんとうの意味の財政計画だろうと思います。そういう意味で、先ほど灘尾さんと大平さんと私どもがいろいろと協議をいたしましたことについて、大蔵省が大きな立場から、ただ帳じりを合わせるというような会計係的の立場ではなしに、国民の大事な血税を最も有効な方向で活用するという立場で、この問題をお考えになっていただけると思いますが、一つ大蔵省側として、このことについて御答弁をいただきたい。
  81. 天野公義

    ○天野政府委員 個人災害に関連した問題の考え方につきましては、先般当委員会におきまして、池田総理から詳細にわたってお答えがあったわけでありますが、ただいま厚生大臣からもお話のあった通りでございます。その間にはいささかも食い違いがないわけであります。財政当局といたしましても、その考え方の方針に従って進むことになっておる次第でございます。
  82. 八木一男

    八木(一)委員 財政当局としては、今大平さん、灘尾さんに対して私ども質問したことを聞かれたことと思いますが、先日の池田総理の御答弁は、非常に有能な政治家と伺っておるのでありますが、どんな有能な人でも、そんな一時間ぐらいの論議では、国民の声を代表した声を理解する能力はありません。ですから、政府側が一応こういうふうにやろうと認めたことであっても、それに対して国民の代表の府である国会で論議されたことを取り入れてやっていくことが政府の立場であって、この前の池田さんのは、今のところ政府はこれだけしか考えられないというような点をもととした御答弁だったわけでございます。池田さんは、国民を代表すると称しておられる自民党の総裁であり、この自民党内閣の池田内閣総理大臣でありまするから、国民の声が反映したことをやっていくという立場をとっておられるはずであります。ですから、まだ検討の足りない、政府の方でちょこちょこときめた案、それに対して十分討議のできていない立場において池田さんが言われた言葉と、ほんとうに論議が展開されて、ほんとう国民のための政治家であるべき池田さんが、じっくりとその論議を聞かれて考えられた立場とは、おのずから違うわけであります。そのような意味で、この特別委員会の論議は展開されておるわけでございます。池田さんのかわりに、大平さんが聞かれて答弁をされた。また、この問題の主管官庁である灘尾さんが、積極的に答弁をされた。これが内閣の立場でなければいけないわけであります。その立場で、内閣の一つの部局を持っておられる大蔵省としては、このような内閣全体の方向について、財政を生かすという立場で考えていただく必要があろうと思います。いろいろの局や課でかりに考えた原案のごときものでとどまっておっては、政治は発展はございません。議会の必要もございません。局部の大蔵省の役人だけが問題をきめてしまうという政治にとまってしまうわけであります。そうでないような意味で、きょう論議をされたような問題は、非常に重大である。この問題を生かすために金を使うことが、ほんとう財政の方針である。そして内閣自体は、被災者のために手厚い援護をできるだけ至急にやりたいというのが、大平君の言ったような方針であるという立場に従って、財政当局が対処されるのが当然であるし、賢明なる政務次官は、このような立場を当然とっておられると思うわけです。そういう意味において、今後いろいろ政府間の話し合いにおいて、大蔵省が積極的に協力をして、ほかの省がなまけておっても、大蔵省が財政の金を有効に使う立場から、そういうことをやってみせる、積極的にほかの省に、そういうことをやったらどうかという相談をかけるというような意気込みで、一生懸命御努力になるということが、おそらく水田大蔵大臣が正しい政治家であれば当然だろうと思いますし、水田さん以上に国民のことを考えておられる大蔵政務次官は、それ以上にそういう考え方を持っておられると思います。そういう意味で、池田さんのこの前の答弁というような、ごく末梢な時点的なものではなしに、池田さんも国民のために考えたいと申されておるわけでございますから、今展開された論議、国民のための立場で、有効な財政運用をやる立場で、内閣自体とかあるいはまた厚生省と協力をし、協議をして、問題を積極的に進めるという立場で、御答弁をいただけるものと確信をするわけでございます。国民にかわりましてお願いをするわけでございますが、どらか前向きの御答弁をもっとはっきりとお願いをいたしたいと思います。
  83. 天野公義

    ○天野政府委員 御趣旨の点はよくわかるのでございます。考え方といたしましては、先ほど厚生大臣がお話しになりましたように、よく研究をすると申されておるわけでございまして、私どもといたしましても、これは研究しなければならない問題だと思います。現在の考え方といたしましては、先ほど申し上げた通りでございます。
  84. 八木一男

    八木(一)委員 前段はいいのですが、現在の考えとしては、現在ここでいろいろ論議を聞かれたわけでございます。これについて与党の方もおられますけれども、そんなことについて反対的な不規則発言もなかったというわけでございまして、民主社会党の方は今おられないようでございますが、われわれの話し合ったところによると、全面的に同じような意見を持っておられるわけであります。でございますから、国民の代表の各党がそういう気持を持っておられる。それを実際に早く実現するというのが行政府の立場だろう。ですから、今までの答弁は変わりございませんということではなしに、一生懸命取り組むというお気持を十分に持っておられると思うので、別にそれに御遠慮をなさる必要は一つもございません。ですから、そういうような、質問者の言うような線に従って努力を一生懸命するという御答弁を、ぜひ国民の立場に立ってしていただきたいと思います。
  85. 天野公義

    ○天野政府委員 そこまではっきり申し上げることはできない段階でございます。先ほど御答弁申し上げた通りで御了承いただきたいと思います。
  86. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 八木君に申し上げますが、厚生大臣が急いでおられますので、簡単に厚生大臣にお願いいたします。
  87. 八木一男

    八木(一)委員 なお重ねて大蔵省関係に出ていただきまして、一番積極的な政務次官は、すぐ御答弁あと二、三分したらしていただけると思います。なお、水田さんにもおいでいただきまして、一生懸命申し上げまして、必ず大蔵省の方が厚生省以上に一生懸命取り組むという御返事をいただけるような論議をいたしたいと思いますが、厚生大臣も時間がないということでありますので、しばらく大蔵省の方を離れまして、厚生大臣に御質問いたしたいと思います。  もっと具体的の問題になりますが、生活保護法の問題であります。生活保護法第四条に、緊急なときには、緊急にこれを適用することができる道は開かれてございます。それは十分に御活用になっていただかなければならないと思いますけれども、しかし、その問題は、緊急とかそういうことの認定について限界があろうかと思います。たとえば災害を受けたその月、その一週間くらいだったら緊急に入るかもしれないけれども、二カ月、三カ月たったら緊急に入らないという認定が起こるおそれもございます。そういうことで、生活保護法の一つのブレーキになっております第四条の補足の原則というものを、少なくとも災害に関しては特例法でこれをはずして、六カ月間くらいは、そのような財産の処分を追及せずに、また、扶養義務者の義務を追及せずに、生活保護法の適用を、現在困った人があるならばできるというふうにしなければならないと思います。大臣の御答弁は、現行法の運用できる限りのことをやろうという御答弁がいただけると思います。これはぜひともしていただかなければなりませんけれども法律的に対処しなければ、どのようにあたたかい心が大臣にあろうとも、社会局長にあろうとも、法律というものについては一定のワクがある。それをこの災害について特例的にはずして、指定地域について、六カ月間はこのような第四条の追及をせずに、生活保護法の適用を受けるというようにすることが、非常に大事ではないかと思うわけでありますが、それについての厚生大臣の御意見伺いたいと思います。
  88. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 ただいまは法律を改正するというような用意はしておりません。ただ、生活保護法の適用については、具体的な実情に即しまして弾力的な運用をやって参りたいと思います。
  89. 八木一男

    八木(一)委員 厚生大臣は、政府の方で一応きまったワク以外だとお答えになることを渋られると思うので、今までの政治の運行では仕方がないことだと思うのですが、どうかわれわれの先輩である厚生大臣は、特に生活保護法を作られるときに非常に大きな役割を果たされたと、私若かったですからよく存じませんけれども、伺っております。厚生大臣が、こういうときに生活保護法をほんとうに有効に働くように行政的にやっていただくことはもちろんですけれども特例法を作るというようなことに積極的になっていただきたいと思うのです。今の制度ということであれば、ほかの制度で全部特例法ができているわけです。そして、農林関係や建設関係で特例法ができていることはいいことです。しかしながら、ほんとうに最低の生活の問題についての生活保護法に特例法ができないようでは困ると思う。今まで例がなかったのは、今までの厚生省が、今までの政府がなまけておったわけです。新しく機軸を開くことが国民の意図に合うことである。その点で、今まで用意をされておらなかったけれども、こんなものはほんとうにすぐできます。私どもも案を用意しておりますけれども政府みずからが対処していただいた方がいいですから、政府の方がお出しになるなら、私の方はお待ちしてもけっこうであります。われわれの方の準備の経過について御連絡をして参考にしていただいてけっこうであります。ほんとう厚生大臣が、今までの政治の貫禄を生かして、当然やらなければならないということを閣議で主張されれば、これは一ぺんにきまる問題だと思うのです。事務的の手続はわれわれもお手伝いいたします。二、三日でこんなものは完全にできます。この点について与野党で反対があるはずはございません。厚生大臣が決心をされれば、この法律が実際に運行されることになると思います。そういう意味で、第四条の規定を一定時限指定した地域についてはずすというような生活保護法の特例法を、ぜひ出していただきたい。それについての厚生大臣のお考えを伺いたいと思います。
  90. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 八木さんの御熱心な御要望でございます。御意見として十分承っておきたいと存じますが、私は、生活保護法のただいまお話しになりましたような問題は、これは、むしろ、法の運用によって解決すべきものではなかろうかと思っております。いかなる原因によるにせよ、一定の条件に該当すれば、災害であろうとなかろうとしなければならぬ。その条件に合うものについては、もちろん、平等に適用していくべき問題だと思うのでございます。ただ、立ち上がり資金が要るとかなんとかというような問題について、そこに行政の手かげんと申しますか、裁量の余地があるのじゃなかろうか、そういう意味において、むしろ、運用の面を発揮すべきものじゃなかろうか、かように私は考える次第でございます。今直ちに生活保護法を改正するということについては、用意がないということを申し上げざるを得ないのです。
  91. 八木一男

    八木(一)委員 容易じゃないということはないと思うのです。ただ今までの生活保護でそういうことをやったことがない、やってもし何か事が起こったら困るというような、その担当者の人たちの逡巡、そういうことがブレーキになっておるだけで、やってはいけないという声は世の中に一つもないと思う。それを立法する人がめんどうくさいからやらないということは、まあまあめったにないと思いますけれども、今までやらないことをやるということについての憶病さ、そういうことだけのブレーキだと思います。運用でやられることはもちろんかまいません。運用でやられて、法律的にもやられて、両方ダブってもかまわない。運用だけではでき切れない面がある、緊急のときにはやってよろしいと書いてあります。しかし、あとで扶養義務を追及しなければならないと思いますが……。その次にまた、それが緊急の場合というのを一カ月と認定するか、二カ月と認定するか、三カ月と認定するかというような法律のワクがありますから、しゃくし定木で形式的に法律を重んずる立場の人は、これを非常に過酷に、厳格に解釈するでありましょう。ほんとうに事態に対処すべきだと考える人は、これを甘く解釈してやるでありましょう。地方的にそういう差があることもあまりいいことでありませんし、またそういうワクのために、ほんとう対処しなければならないのが、法律のワクでできない、行政的に大臣初め一生懸命やられてもできないということであっては、ほんとう政治ではないと思う。生活保護法の建前は、財産のある人あるいは扶養義務のある人は追及しなければ、ほんとうの公平の原則から少しはずれるというような形式論理があると思います。しかしながら、非常な災害をこうむった、自分も負傷したし、あるいは家財も失ったという人の場合に、すぐ目の前で食べていかなければならない、すぐ目の前で子供の月謝を払っていかなければならない、すぐ着物を着なければならないといえば、たとえば一つの財産があっても、それを捨て売りしてやらなければならないことになるわけです。そうなると、その人が災害を受けた以上に、不当にまたそのほかに財政的な非常な苦痛を感ずるわけです。扶養義務の点もそうです。普通の状態でだんだん貧乏になった、そうしたら、よそにいる兄弟が弟のことを見なければならないというときに、もし準備があれば、そのときには、とにかく北海道の兄さんは、大阪の弟のために、あそこはだいぶ困っておる、自分も見てやらなければならないと思ったら、生活の計画があるわけです。事業に投資してもうけようということを考えなくて、もうけは少なくとも、その金を用意しておいて弟を助けてやろうという心の準備がある。ところが災害で一ぺんにだめになってしまったときは、そういう人は対処ができない、一日前であったら弟のために金を送ろうと思っておったけれども、これを事業拡張のために使ってしまって、それがしてやれないという人があるわけです。そういう状況に対処するためには、どうしても特例法が必要であります。公平の原則ということは、もちろん生活保護にはありますけれども、一方において、個人災害に対して国の法律がいろんな点で欠陥だらけだというときには、その最低の生活保護をここで大きく動かすというためには、どうしても特例法が必要であります。恒久法で直せということでは問題点が多いから、なかなか対処できないというお考えも、一つの理屈として通るでありましょう。恒久法じゃない、被災者援護法で申し上げたのは恒久法でありますが、この問題は生活保護法の特例法を作っていただきたい。特例法であれば全般的な法体系がどうということはございません。ほかに土木災害あるいは農業災害特例法を作っている。そういうことを考えれば、この最低基準の生活に適用するための特例法は、当然それ以上に重視されなければならないと思います。今まで出されなかったことについて追及する意図はありません。これから池田内閣は、灘尾厚政は、ほんとうに取り組んでいただけば、われわれは一緒にこの問題の業績をたたえるでありましょう。政党利己心は一切持っておりません。政府が出していただけば、われわれの提案を、準備は完了しておりますが、お待ち申し上げてもけっこうであります。しかしながら進行せられないのであれば、われわれはやはり出して、そして論議の過程で政府が進行していただくように、また与党でも進行していただくように、この問題を進めなければならぬ。そういうめんどうくさいことをしないで、政府ほんとうに決心をすれば、大ぜいの公務員の方々もおられるし、われわれが準備するより簡単であります。われわれでも二、三日で準備ができますから、政府が一日で準備できないはずはありません。問題は、閣議で先生が強力に主張されて、これを貫かれる、そして大蔵省の方も相当考えられると思いますけれども、もし大蔵省の方で観念的な、ただ帳じりだけを合わせるということがあれば、それを先生が国民の立場で断じてこれはいけない、直せということを御主張になるだけで片づく問題であります。それをやられる気持を持たれ、それをやられるだけの見識を持たれ、やられる能力を持たれる灘尾厚生大臣であろうと私どもは信じております。また厚生省をあずかっておる厚生大臣は、何人であろうと、そういうことに対処していただけるものであると、国民は概括的に信頼している問題だろうと思います。どうか、今までの先生のりっぱな業績がございますが、それに一つ国民の立場に立ってその業績をつけ加えていただく意味において、今からでも少しもおそくありません、先生の踏み切っていただくという決意を、ぜひこの場において披瀝していただきたいと思います。
  92. 灘尾弘吉

    灘尾国務大臣 私は、これはどうしてもやらなければならない必要性がある、こう考えますれば、あくまでも所信を貫くつもりでおります。また党と皆さんがどうおっしゃろうと、これが国民のためになることだということなら、政治家としてあくまでもそのために努力する、これは当然のことだと思うのでございます。もちろん足りないところだらけでございますので、いろいろ御注意も受け、御指摘にもあずかりたいと思います。ただ今お述べになりました問題は、いろいろの実情もあろうかと存じますけれども、実際問題として行政の運用によってやっていける、かように私は考えますので、今日まで特例措置を作るというふうな用意をいたしておらないのであります。せっかくのお話でございますから——もちろん、私は八木さんのおっしゃることを、決しておろそかに聞いているわけではありません。ただ私といたしましては、これはやっていけるのではないかという気持があるものですから、やらないだけの話でございます。なお検討はさせていただきたいと思いますが、現在の私の気持から申しますれば、しいて特例措置をする必要はないのではないかというふうな考え方でおりますことを、はなはだ恐縮でございますが、一応申し上げておきたいと思います。
  93. 八木一男

    八木(一)委員 一つ前向きで至急熱心に取り組んでいただきたいと思います。行政措置で一年間後に扶養義務を追及しない。たとえば補足性の原則の中の財産の処分を少なくとも一年間くらい行政措置で追及しないで、生活保護法が適用できるという見通しがつかれたならば、また問題は別でございます。見通しがつかれるかどうか、一両日検討されて、そのようにやってみせますから、特例法の必要はないという自信がおありになりましたら、そのようなことをはっきりとおっしゃっていただきたいと思います。またそれが法制的にやらなければ一年間無理だということになれば、法制的に出されることが、今のお気持では自然の成り行きじゃないかと思います。どうか厚生大臣は至急熱心に御検討になって、行政的に必ず一年間くらいは追及をせずに生活保護法を適用するという態度をきめられるか、それが行政的にはむずかしいときには必ず特例法を出すということについて、来週の月曜日くらいまでに一つ意思表示をしていただくように御努力願いたいと思います。  なお、至急に考究していただかないと時間切れになりますから、五分間くらいで問題点を言っておきます。御答弁は、今言った生活保護法の問題とともに、月曜日くらいまでに一つ御検討いただきたいということであります。  一、国民健康保険法では災害に対して減免をすることができるということがあるわけであります。しかしながら、保険料の減免ができるということでございますが、一部負担の方については、私ちょっと勉強不足でありますが、その方も必要だと思います。ことに、そのような国民健康保険の保険料並びに本人負担分、それについて減免措置をするというようなこと、それから、それに対して、国民健康保険財政に対して国が補てんをする措置、非常に大きな高率、少なくとも、九割五分くらいの補てんをするということを進めなければならないと思う。国民健康保険法の規定には、そういうことができると書いてございますが、実際的に国が補てんをしなければ、その財政のことを考えて減免規定は発動をしない、そういうことが一点。  それからもう一つ、国家公務員共済組合や公共企業体の共済組合の方では、災害に対して見舞金が出るというような規定があると伺っております。ところが、厚生年金やそういうような対象者には、そういうことを寡聞にして今まで伺っておらないわけです。比較的程度の高いそういうところには見舞金という制度がある、ところが、ほかの労働者にはないということでは、これは非常にバランスを失しますので、見舞金という制度がとれないならば、厚生年金の保険料、あるいは健康保険料、あるいは日雇労働者健康保険料、あるいはまた、労働省管轄でありますが、失業保険料、そういうものについて、一定期間災害を受けたと指定した人たちに対してこれを減免する。被保険者自体はもちろんでありまするが、もしか事業主の方も被害を受けたら、そちらの方も減免をする。減免をしても、法律によって体系が違います。たとえば、法律によっては、その保険料納入が給付を受ける要件を制約している部分があります。たとえば失業保険法、日雇労働者健康保険法がそうであります。その減免した部分を、国が一般会計からかわりに一定期間これを納めて、直接本人が払わなくてもそのような給付を受ける資格があり、保険料を実納したと同じように対処をしなければならないと思う。非常に程度の高い方の社会保険、共済組合法では見舞金の規定がある。程度の非常に低い、給付の貧しい労働者にはそういうことがない、あるいは貧しい国民にそういうことがないことに対処するために、国民健康保険、日雇労働者健康保険、失業保険、船員保険、あるいはまた厚生・年金保険、そういうものに対する一部負担の減免であるとか、保険料の減免であるとか、国庫の負担であるとか、あるいはまた、政府管掌であれば、一般会計から特別会計に金を移すというようなことをしなければバランスがとれないのではないかと思うわけであります。その問題について、厚生大臣は、直ちにその通りだとお答えいただける問題であろうと思いますけれども、五分間の制約がございますので、一両日慎重に前向きに御検討を願って、政府みずからそういう法律を出していただきたいと思います。私どもはそのことを用意しておりますので、時間をお急ぎでありましたら、衆議院の法制局に内閣の法制局から御連絡になれば、一分間で法律はできます。そういう点で、一つ考えておいていただきたいと思います。  まだございますけれども、お急ぎでございますから、これからは災害対策委員会のたびごとに厚生大臣の御出席を要求いたしておきます。これはほかの委員会災害対策委員会との話し合いになると思いますが、院外の形式的なメッセージのようなものは一切お断わりになって、災害対策委員会の論議に参加をする用意をしていただきたいと思います。  以上、この点を申し上げて、質問を終わらせていただきたいと思います。
  94. 五島虎雄

    五島委員 午後の時間の関係もありますから、労働省の官房長が来ておられますので、労働の問題で簡単に聞いておきたいと思います。  そこで、一年に関連する災害の中の労働の問題で、失業事業に関する特例法、それから失業保険の特例法、これは昭和三十四年災のとき特例法が作られたわけですけれども、労働省は、この二つの法律について、今回の関連した災害についての特例法を出される気持はないのかどうかということです。
  95. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 御質問の内容は二つの法律に関係しておるようでありますが、まず、第一の失業保険の特例の問題でございます。御指摘のように、伊勢湾台風のときに特例法を制定いたしたことがございます。災害によりまして事業場が休業せざるを得ない、あるいは事業場が休業はしないが、労働者が通勤不可能のために働けないという場合に、その間の休業に対してどのように対処するかという点につきましては、労働省としては、職業安定所のみならず、労働基準監督署もございますが、労働基準監督署の方としましては、最近の求人難の現況にかんがみまして、そういった場合におきましても、労働している場合の賃金を下回らないように、失業手当なり、しかるべく措置するように行政指導をして参っておるのであります。しかし、伊勢湾台風の場合においては、賃金の支払いを受けなかった期間が一月以上といったような状態の労働者が六千四百八十名もおったという状態でございまして、行政指導ではなかなか処置できないといったような、非常に大量かつ緊急の特殊状態でございますので、特別立法で御処置いただいたわけであります。しかし、最近の台風、ことに第二室戸台風災害状況を見てみますと、そのような状態であります労働者は、比較的数が少のうございまして、しかも、大阪周辺に集中しているようでございます。かねて、労働省としましては、最近の求人難の状況から見まして、特に大阪などは、労働の需給関係は、先生御承知のように逼迫しておる地域でございますので、そういった災害によって休業したような場合においても、事業主の配慮によりまして一定の措置ができますように指導してきておるわけであります。そのような事情を考えますと、伊勢湾台風の場合と今回の場合とでは、ややその実態におきましても差があるように私は認識いたしております。とりあえず、行政措置によりまして、特に問題になります労働者は、数で約百名というふうに把握いたしておりますので、しかも、それが個々の事業場に分けて考えますと、一事業所当たりの数も少のうございますので、行政指導によりまして効果が上がりますように、目下鋭意努力しているような次第でございます。そういった結果を待ちましてやりたい、かように考えておる次第でございます。  それから、第二の特例の問題は、緊急失業対策法に基づく失業対策事業の高率補助の問題だと思います。これも、伊勢湾台風の場合には特別立法において措置したわけでございますが、その後における災害の例としましては、チリ地震の場合におきましては、予算上の措置によりまして伊勢湾台風の場合の特別立法の場合におけると同様な措置をいたしたような次第であります。今回の場合におきましても、このような前例にならいまして、予算上の措置として高率補助の適用をするという線で、目下検討しておる次第でございます。なお、この配分については、まだ基礎的な資料が十分把握できておらないような状態でございますので、を把握いたしまして今後対処して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  96. 五島虎雄

    五島委員 その集中豪雨のときも、この二つの特例法を作る必要はあるまい、それで、予算上の措置として、行政措置で十分まかなうつもりだ、これは長野県の天竜社の問題等々がございましたが、第二室戸台風も、今村上さんから話されるところによると、非常に雇用の状況等々が伊勢湾台風とは違う、これは幾分わかりますけれども、どれだけの人々がこういうふうな法律に該当するのかというような、人員がいまだ出ていない。しかし、集中豪雨のときも比較的少なかった。幸い、今回も比較的少なかったということは非常に喜ぶべきことだと思うのですけれども、私が徳島に行ったとき、製塩場におけるところの湛水ですね、海水が入ってしまって、これを復旧するというようなことが、これまた、長野の天竜社と同様にずいぶん長くかかるだろう、これは一カ月以上かかるだろうというようなことです。そうすると、そこに雇用されている労働者諸君が常傭であるかあるいは日雇であるかということなのですが、これらの人々は、ほかの方に仕事をしに行っているというのです。そこで、先日専売の方の担当官に聞きましたら、賃金は失っていないということを聞いたんです。ところが、その製塩場の方では、日雇いに出ているんだというのです。そして、かねてなじまないところの仕事をやるものだから非常に困っているんだ、ということは、災害のための公共事業に出て仕事をしておられるのじゃないかと思う。その点などの把握が労働省としてまだ十分じゃないのじゃないかと思うのです。だから、賃金を失っておらないのだったら、これは何もわれわれがその面について心配する必要は毛頭ないわけです。しかし、これが賃金が失なわれ、ほかのところから賃金をとっておれば、生活に困窮ということはないと思うのですけれども、台風が来た、そして一日、二日、三日仕事ができない、それから需要が非常に多くなって、自分の職場では仕事はできないけれども、他の職場で仕事ができる、そうすると、その中で失業保険の問題等々も出てきやしないか、こういうように思うものですから、従って、四国出身の生田さんや阿部代議士などもこの問題に注目されているわけです。たとえば、製塩業の方にはいろいろの国庫補助がそれぞれの立法の中から援助される。ところが、労働者そのものに対しては、これらの問題の特例を作ってやらなければ非常に気の毒な面が出てくるんじゃないかと考えております。そこで、今、村上さんが言われるように、伊勢湾台風、チリ地震で従来措置をしたと同様な、あるいはそれ以上の行政上の措置、あるいは財政上の措置をやりたいと言われることはわかるのですけれども、これで労働省としては人の面、労働者の面については十分まかなえるという自信がございましたらそれを聞いておきたいと思うのですが、いかがでしょう。
  97. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 ただいま徳島の例をあげられまして御質問がございました。詳しい事情は十分把握しておりませんが、お話を承って私ども感じます点は、二つの問題があるやに理解されるのであります。一つは、失業保険の特例として扱う前提として、失業保険の適用事業であるかいなかという問題と、それからもう一つは、労働者が、特に製塩事業でございますと、日雇い形態で労働しておるという場合がありますので、そういうような場合には、今おっしゃいましたように、製塩の方がだめなんだ、それで日雇いで雇われておるから、ほかの仕事をするという場合もあり得るわけです。そういう場合には、伊勢湾台風の場合のような特例を行ないましても、もともと日雇いということで別な保険形態に所属しておる。こういうことになりますと、伊勢酒台風と同様な措置ではカバーできない、こういうような問題があろうかと存じます。しかし、それは、今お伺いしました点についての私どもの判断でございますので、それより、むしろ実態をつかんでおるかどうかという点の御指摘でございますが、たとえば、徳島の例で申しますと、災害を受けました適用事業の中で、解雇したというのが二件、解雇者数が十二名というふうに把握しておりますけれども相当長期にわたりまして休業をし、かつ賃金が支払われておらないという例は、徳島に関しましては、私どもの調査上ではゼロになっております。もっとも、若干ではありますけれども、休業をしたという事業の数はございますが、相当長期にわたって、現在なおかつ休業しておるというような例につきましては、調査上はゼロ、こういうようになっております。  このような資料はいずれにいたしましても、問題は、事業そのものに対してはいろいろな手当がなされておるが、労働者自体に対しては処置せぬでいいか、こういう点についても御質問がございましたが、私どもの基本的な考え方としましては、労働者の問題につきましては、まず第一に、労使間におきましてそういった問題についての話し合いがなされる余地がございますので、そういった労使間の話し合いによる結果をまず見たいということが一つ。それをもってしても、なおかつ処理できないという場合には特別の措置を考えたいと思いますが、ただ、失業保険法の特例につきましては、これは先生御承知のように、就職と関連しておる問題でございますので、労働市場の状況からも、他に職業紹介をすることが容易であるという場合については、何もしいて失業保険に依存しなければならない、こういう必要性も比較的薄いわけでございますので、そういった労働市場の状況とにらみ合わせまして、この失業保険の適切な運用をはかりたい、かように考える次第でございます。
  98. 五島虎雄

    五島委員 それでは、村上さん、今の説明で——今まで災害対策で労働面については初めてお伺いするわけです。それで、非常に該当人員が少ないということがわかりました。それから、もしも雇用の面、失業の面、あるいはその他に対するところの施策の面で、具体的にその困難な状況が出てくれば、それをとらえて十分行政措置あるいは財政措置で、従来と同様の措置を行なうというように了解していいですね。そして、私は、労働省は人の面についてできるだけ十分の対策を講じてもらいたいということを要望して、非常に簡単ですが、質問を終わりたいと思います。
  99. 村上茂利

    ○村上(茂)政府委員 非常に広い意味のお言葉でございますので、直ちに全面的に労働省で万全を期するというお答えを申し上げるのはちょっといかがかと思うのでありますが、ただ、従来やっておりましたことは、たとえば、長野県の場合におきましても、部落がほとんど壊滅して、転職せざるを得ないという場合の職業訓練期間中の手当をどうするかというような新たな問題が発生してきた場合には、私ども、現行制度の運用の妙によりまして、できるだけ処置して参りたい、かように考え、かつ努力しておるような次第でございまして、今後におきましてもそのような問題がございますれば、まず、ケース・バイ・ケースとして取り上げまして、労働基準監督署なり、あるいは職業安定所というような第一線機関を十分活用いたしまして善処して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  100. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十一分休憩      ————◇—————    午後三時四十一分開議
  101. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、申し上げます。本委員会において審査中の七法律案中、昭和三十六年六月及び八月の豪雨による堆積土砂並びに同年六月、七月及び八月の豪雨による湛(たん)水の排除に関する特別措置法案を除く六法律案につきまして、内閣より修正の申し出があり、先刻、本院におきましてこれに承諾を与えました。  この際、昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案昭和三十六年六月及び八月の豪雨による堆積土砂並びに同年六月、七月及び八月の豪雨による湛(たん)水の排除に関する特別措置法案昭和三十六年五月二十九日及び一千日の強風に際し発生した火災、同年六月の水害、同年九月の風水害又は同年十月二日鹿児島市に発生した火災に伴う公営住宅法特例等に関する法律案昭和三十六年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月及び十月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法案、及び、昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月の天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法適用特例に関する法律案、以上、七法律案一括議題とし、審査を進めます。  この際、本院の承諾を得た修正部分について、政府より順次説明を聴取することといたします。     —————————————
  102. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 森通商産業政務次官。
  103. 森清

    ○森(清)政府委員 昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案につきまして、修正理由及びその概要を御説明申し上げます。  本年六月の梅雨前線集中豪雨、七月及び八月の集中豪雨に引き続き、九月の第二室戸台風は、中小企業者に対して甚大な被害を与えており、その急速な立ち直りをはかるためには、その事業の再建資金融通の円滑化をはかることが急務と考えまして、先般本特別措置法案を提案した次第でありますが、その後において判明したところによりますと、本年九月の第二室戸台風により中小企業者が受けた被害は、広範かつ深刻にわたっておりまして、これらの中小企業者の再建を促進するためには、本特別措置法案で予定いたしておりますところの商工組合中央金庫に対する利子補給対象融資金額について、その大幅な拡大をはかる必要が生じてきた次第であります。  従いまして、利子補給融資金額の限度について、個々の中小企業者にあっては一人当たり五十万円とあるのを百万円に、中小企業者の団体にあっては一団体当たり百五十万円とあるのを三百万円にそれぞれ引き上げようとするものであります。  以上、本特別措置法案の修正理由及びその概要を申し述べました。
  104. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 中村建設大臣
  105. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいま議題となりました昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に際し発生した火災、同年六月の水害又は同年九月の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する法律案中修正につきまして、その要旨を御説明申し上げます。  この修正は、事業主体が、昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に際し発生した火災、同年六月の水害または同年九月の風水害であって政令で定める地域に発生したものにより滅失した住宅に当該災害の当時居住していた者に賃貸するため第二種公営住宅を建設するときのほか、同年十月二日鹿児島市に発生した火災により滅失した二住宅に当該災害の当時居住していた者に賃貸するため第二種公営住宅を建設するときも、国は、公営住宅法の規定にかかわらず、当該災害により滅失した住宅の戸数の五割以内について、予算の範囲内において、建設に要する費用の四分の三を補助することができることといたしまして、鹿児島市における公営住宅の建設を促進しようとするものであります。  以上がこの修正の要旨であります。   〔秋山委員長代理退席、委員長着席〕  次に、昭和三十六年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案中修正につきまして、その要旨を御説明申し上げます。  本年六月から九月にかけての梅雨前線豪雨、第二室戸台風等による災害につきましては、さきに国会提出いたしました昭和三十六年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受た公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案によりまして、公共土木施設の災害復旧事業費に対する国庫負担率の引き上げ等の措置を講ずることといたしましたが、その後、北海道等におきまして、本年十月上旬の水害により公共土木施設について激甚な被害を受けたのであります。政府といたしましては、かかる災害の状況にかんがみ、すでに国会提出いたしました昭和三十六年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた公共土木施設等災害復旧等に関する特別措置法案について本年十月上旬の水害を加え、十月上旬の水害を受けた公共土木施設等災害復旧等につきましても、本年六月から九月までの災害の場合と同様の措置をとり得るようにいたし、災害復旧等の促進をはかることといたしたのであります。  以上でございます。
  106. 濱地文平

    濱地委員長 安井自治大臣
  107. 安井謙

    ○安井国務大臣 ただいま議題となりました昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は、同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案中修正について御説明申し上げます。  さきに提出いたしました法律案におきましては、本年の災害を受けた地方公共団体に対し、地方債の発行の特例を慰め、さらに農地等の小災害復旧事業にかかる地方債について国が元利補給を行なうこととされておりますが、その後の災害の発生状況にかんがみまして、十月上旬の水害につきましても、これらの特例適用するとともに、本年の災害を受けた公共土木施設及び公立学校施設につきましても、国の特例措置の一環として、小災害復旧事業債について国が元利補給を行ない、もって被害を受けた地方公共団体財政運営と小災害復旧事業の円滑化をはかろうとするものであります。  以上が、この修正の理由であります。  次に、この修正の内容につきまして、御説明申し上げます。  第一は、地方税等の減免により生ずる財政収入の不足を補うため、または災害対策に通常要する費用の財源とするために、地方債をもってその財源とすることができる地方公共団体及び農地等の小災害復旧事業にかかる地方債について元利補給金を交付する地方公共団体に、十月上旬の水害を受けたものを追加しようとするものであります。  第二は、公共土木施設及び公立学校施設の小災害復旧事業債の元利補給であります。これは、公共土木施設については、一カ所の工事の費用が、都道府県及び五大市については十万円以上十五万円未満、その他の市町村については五万円以上十万円未満、公立学校施設については、一学校ごとの工事の費用が十万円をこえる災害復旧事業に対して発行が許可された地方債について、国がその元利償還金の百分の三十八・二に相当する額の元利補給を行なおうとするものであります。  なお、この種の地方債については、元利償還額の二八・五%ないし五七%が地方交付税の基準財政需要額に算入されますので、交付団体においては、国の行なう三八・二%の元利補給金とあわせ元利償還額の六六・七%から九五・二%に相当する部分の財源が関係地方公共団体に付与されることになるわけであります。また、対象となる団体の指定は政令にゆだねられておりますが、従来の例に準じ財政力に比し被害の著しいものを指定いたす予定であります。  第三は、以上申し上げました改正に伴い、地方債の引き受け、起債許可の協議及び政令への委任に関する規定について必要な整理を行なおうとするものであります。  以上が、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた地方公共団体起債特例等に関する法律案中修正の理由及びその要旨であります。
  108. 濱地文平

  109. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいま提案になりました昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に関する特別措置法案中修正の内容について御説明申し上げます。  この修正は、十月初旬北海道南部に発生した水害の状況にかんがみ、この水害を、この法律案に規定する農林水産業施設及び開拓地の入植施設の災害復旧事業並びに災害関連事業に関する特別の助成措置の対象となる災害に加えることとするものであります。  次に、昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月の天災についての天災による被害農林漁業者等に対する資金融通に関する暫定措置法適用特例に関する法律案の修正の内容を御説明申し上げます。  この修正は、昭和三十六年五月から九月までの天災による被害農業者に貸し付けられる経営資金について、次の二つの特例を追加するものであります。すなわち、タケノコの住産をおもな業務とする被害農業者に対して貸し付けられる場合で、その貸付資金のうちにタケノコの生産に必要な資金として貸し付けられるものが含まれる場合の貸付限度額を三十万円とし、償還期限を七年とすること、及びもっぱら果樹の栽培を業とする被害農業者に果樹の栽培に必要な資金として貸し付けられる場合の貸付限度額を五十万円とすることであります。
  110. 濱地文平

    濱地委員長 以上で修正部分についての政府の説明は終わりました。     —————————————
  111. 濱地文平

    濱地委員長 質疑の通告があります。これを許します。島本虎三君。
  112. 島本虎三

    ○島本委員 おもな部分二点に限って、大臣に、時間の関係もございますから要約して、念を押すために質問したいと思います。  今回のこの災害の問題については、すでに皆様が知っている通りですからすべて省略いたしますが、その被害が意外に多かった、その被害の多いことは、とりもなおさず罹災者の窮状が深刻であるということ、それは地方自治体自身の財政を圧迫するものであって、これは相当地方自治体には深刻な様相を呈しておる。その立ち直り、復旧が困難な事情にあるところの自治体も相当程度見受けられる。こういうような状態にあるわけでございます。そして早急な立ち直りと申しますか、この災害復旧対策、恒久対策の強化措置ということは、現在、地方自治体としては最も望んでいる重要な点なんです。こういうようなところに、ただいま提案されたような修正案の説明があったわけです。私もその点、今まで主張しておったことが、ある程度認められたことについては満腔の敬意を表します。それと同時に、財政的に対処する自治省の意向もはっきりくみ取られました。今後財政的には、こういうような窮乏した自治体あたりを救うのに、おそらくはこの修正だけでは、災害の部分だけはいいが、これから何年か立ち上がるのに、相当程度の援助もしなければならないと思います。これに対して基本的な考え方を伺いたいと思います。
  113. 安井謙

    ○安井国務大臣 お話の通りに、災害被害が、市町村によりましては相当甚大なものがございまして、財政的にも困窮しておることは御指摘の通りでございます。自治省といたしましても、これの立ち直りのためには最善の力を尽くさなければなるまいと思っております。とりあえずは交付税の繰り上げ支給等をいたして——これは総額百二十四億程度の繰り上げ支給をいたしております。さらに、今回の予算におきまして、九十億の起債ワクの拡張、さらに税の減免等による減税額の補てんというようなことも考えております。もう少し成り行きを見ました上で、今度は特別交付税等におきましても、できる限りの措置をいたす予定でございます。さらに、来年度の予算につきまして、この基準財政需要額において十分その被害程度を勘案いたしまして、交付税等においても措置をいたしたい、そう考えております。
  114. 島本虎三

    ○島本委員 大体考え方はわかりました。ぜひそれは自信を持ってやってもらわなければならない。やって下さい。  あと二つだけ念のために確認いたします。公共土木施設の小災害にかかる地方債、これは国が元利補給をするものであって、今回この措置がはっきり認められましたが、今後もやはりこの原則の上に立って災害適用するものであるかどうか。それと、国は公共土木施設の小災害復旧事業のための地方債の百分の三十八・二ですか、この元利補給を行なうというふうに、はっきり提案されました。これも同様にはっきり数字まで出ました以上、今回だけの措置だ、今後こういうことに対しては一切知らないというのでもないと思いますが、この際、この二つについてはっきり御意見伺います。
  115. 安井謙

    ○安井国務大臣 小災害に対する特例措置として、今度は特例法案を修正でお願いしておるわけでございまするが、これはお話の通り、でき得る限り恒久化すべきものである、また、国の補助率等につきましても、できる限りこれは固定させることがいいというふうに私どもは考えております。現在災害対策基本法案の御審議を願っておりますが、この法案の趣旨によりましても、これが通過いたしますれば、もろもろのこういった特別立法は恒久化するというふうな趣旨がうたってございますので、できるだけ御趣旨に沿うように今後も努力いたすつもりでおります。
  116. 島本虎三

    ○島本委員 恒久化をはかり、これが実現するという前提の上に立って、もう少し具体的な問題を一つだけ聞きたいと思う。  それは、単独災害の点については、公共災害は一定率を掛けて、この単独災害起債というふうに見合っておりますが、これは一〇〇%、これはいいんです。それと同時に、公共災害復旧事業のうちの、今度は地方負担分には地方債を認める、こういうことになりまして、これもなかなかいいと思います。ただ、この中で一つ問題があるのは、大臣は、他の各省との連絡をとらなければならないと思いますが、災害復旧については三・五・二の比率を変えることができないのかどうか。もしそうでなければ、はっきり具体的にいって、地方自治体はこの窮状を脱することができないのではなかろうか、こういうふうに考えております。この点についても、はっきりした見通しを聞かしていただきたい。
  117. 安井謙

    ○安井国務大臣 今の地方負担分の起債、単独災が一〇〇%起債であることは仰せ通りでございまして、これも今後できる限り恒久化したいという気持を強く持っておるわけであります。  なお、三・五・二の比率につきましは、これは災害の状況にもよりますし、時期にもよって使い得る金のめどというものを計算いたしまして、さらにこれがどうしても三・五・二の比率でいかないというような場合におきましては、私どもとらわれないで、今後この比率を動かすというようなことも、十分各省とも相談をいたし、考えたいと思うのであります。ただ、大体今までの実績によりますと、この下半期の使い方になるわけでございますので、金の所要額としては、何とかそれで間に合っておるのじゃないかと思います。しかし、今御指摘のような場合には十分考えたいと思います。
  118. 島本虎三

    ○島本委員 その場合には、実際上地方自治体にそういうようなしわ寄せがくるということも一つ考えておいてもらって、対策を練っていただかなければならないと思います。まず、今のように議案が修正されて出てきましたから、これはまことにけっこうです。そうしてこの災害復旧に全力を傾けて当たる、市町村を援助してやるという自治省の態度は、それでけっこうだと思っております。その中で、この災害復旧の三・五・二の割合を変更しない場合には、現行のままでいくと、結局は公共災害復旧事業の中の地方負担分に問題がありますから、地方負担分に地方債を認めても、今度は、初年度においてはこれはやはり一〇〇%ですから、この問題についてはまずいい。そうすると、国庫負担分が八〇%であるから、これは初年度は助かるが、次年度からはこれは七〇%になるでしょう。そのときにはその三の比率が五になる。三・五・三の割合が五になったときに補助のパーセンテージが下がってしまう場合には、今度自治体が、次年度目から三年度目にかけて重大なピンチに立つということも当然考えられるので、これをこのままにしておいたら、せっかくいい修正を出しても、大臣、仏を作っても魂を入れないような結果に運営されるおそれがありますが、この点の心配は全然ありませんか。
  119. 安井謙

    ○安井国務大臣 次年度からは、災害の実態等に対しまして、基準財政需要額等の計算にも考え方もいろいろ出てこようかと思いますが、しかし、今のような問題もあろうかと思いますので、この点、財政局長からもう少し詳しい答弁をさせます。私は参議院の方に参りますので、これで失礼いたします。
  120. 島本虎三

    ○島本委員 その大臣の立場はよくわかりますが、このあとで見舞金の問題と、それから比率の中でも、自治体の方に最も負担のいくような二、三の問題があるわけです。財政的な面は大臣にかわってやっていただきますが、どうしても必要な場合には来てもらうかもしれません。あらかじめそれを含んでおいて、参議院で有終の美をなしてきてもらいたいと思います。
  121. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今のお話は、国の災害復旧事業が三・五・二で進行した場合、地方債の充当をどうするかというような御趣旨ではなかろうかと思います。御指摘のように、初年度は一〇〇%充当するわけでありますけれども、次年度になりますと七〇%の充当に落とすわけであります。しかし、その場合でも、災害の規模が大きい団体につきましては八〇%、九〇%というように充当率を上げまして、当該団体が災害復旧事業を施行するのに支障がないように心配りをいたしているわけであります。次年度になりますと、やはり年度当初から、災害復旧事業を念頭に置いて予算編成に当たることができますので、ある程度一般財源をそれに充当して参りたい。また同時に、御指摘のような事業に要する財源は、基準財政需要額に総体的に算入しておりますので、その一部を充てることも、現状から考えれば公平ではなかろうかという考え方もとっているわけでございます。そういうことで、三・五・二がどう進行するかということとは別途に、裏の地方負担については地方債を充当し、あとの元利償還額については基準財政需要額の九五%まで算入して参りますので、当該団体としては、自後の財政計画の運営には支障がないようになるのではないか、かように考えているわけであります。
  122. 島本虎三

    ○島本委員 今度のような惨たんたる被害をこうむった地方自治体の中には、今のような措置だけでは、今度再び三・五・二の比率のままで内容的にいろいろと補助率だけやっても、今のように八〇%に上げても、五になったときの半分をやるときに八〇%になって、一〇〇%やったときには、国がもっとパーセンテージでは上がっておったときには、たった三しかやっていない。こういうことになって、これは今言ったことをその通り受け取って、まことにその通りですという場合には、少なくとも一回に一〇〇をやる場合か、または五〇対五〇というような比率になった場合には確かにこれは言えると思う。しかし、こういうような場合に、三・五・二の割合の場合には、財政的な負担にたえかねているような貧困な町村には、そういう若干のものをやっても、被害が大きい場合には、焼け石に水に近いような状態になるのじゃなかろうかと思って心配なのです。これはそうじゃなくて、三・五・二の割合でやっても次年後以降は一〇〇%以上の率になるというような確信があったら、それをはっきりおっしゃってもらいたい。
  123. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 事業の施行が三・五・二で進められる場合でありましても、国の負担率は初年度も次年度も三年度でも変わらないわけです。全体のなにを見まして国の補助率をきめるわけでありますから、初年度の災害に関しまする補助率がきまりますと、それを翌年度で施行しようと、またその次の年度で施行しようと、補助率は同じ補助率が適用されるわけでございます。従いまして、今回特例法で引き上げられました補助率は、工事が後年度におくれましても、その高い補助率で国が補助金を出すことになるわけであります。
  124. 島本虎三

    ○島本委員 大臣はただいま、交付税の支給を早めてやりましたと答弁されました。このいろいろな交付税の繰り上げ交付ということは、いつも問題になっておるわけです。今回あらかじめこういうような注文並びに質問を受けない前に、もうすでに大臣はこれをやりましたという答弁をただいまされましたが、こういうことについてはまことに機宜を得たものとは思うのです。しかし、いつやるのを何カ月繰り上げてやったのか、この際、専門でしょうからこの点はっきりおっしゃっていただきたいと思います。
  125. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 地方交付税を交付する時期は、普通交付税について年四回と法定されているわけであります。しかし災害が起こりました場合には、災害の状況を把握し得ることができ次第、次の期に交付すべきものを繰り上げて交付しているというのが実態でございます。たまたま交付時期に災害の状況がわかってきたという場合には、その次の交付時期の分を合わせて繰り上げて交付する、こういうような方法をとっております。今年度につきましては、六月六日、七月六日、九月二日、九月三十日、この四回にわたりまして百二十四億八千万円を繰り上げ交付したわけであります。
  126. 島本虎三

    ○島本委員 次に、今度の災害によりまして、だいぶ被災農家の収入皆無になったところ、または相当額の減収になることが予想される自治体、こういうところでは都道府県税または市町村民税などの徴収猶予というんですか、こういうような措置を、それぞれ適当にとった市町村、自治体もあるようです。ただし、自治体の場合は、市町村で条例によってきめておりますから、それらによってやるでしょうけれども、都道府県税の場合においてもその通りなんです。そういうような場合には、徴税についてそういうような措置があった場合には、減税分については元利付の地方債で穴埋めをする、こういうようなことになっているわけです。しかしながら、あらかじめ国税といわれるような——これはあなたに聞いてもちょっとわからないかもしれませんが、所得税とかこういうようなものについても、ある程度これを考慮しておかないと、地方住民にとっては、仏を作っても魂が半分しか入らないような結果にしかならぬのじゃないか、こういうように思われるわけです。それで、そういう減税分に対する穴埋めは、地方債で適当にやるように言っていますが、これは完全ですか。
  127. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 災害を受けた人たちに対します地方税の減免については、自治省の方で一つの基準を地方団体に示しておるわけであります。この基準に基づきまして地方団体が条例を制定し、それによって減免がなされ、その減免による減収額は、これを地方債で補てんできるような措置を講じたいということで、特別立法をお願いしておるわけであります。従来の例に顧みまして、本年度この種の地方債として五億円程度を予定しておるわけであります。まずこの程度の地方債があれば、地方団体の要望は十分満たせるのじゃないか、かように考えておるわけでございます。
  128. 島本虎三

    ○島本委員 これはやはり大臣に聞く問題だと思いますが、あなたかわってわかっておる限り答弁をしていただきたい、と申しますのは、市町村の職員で、やはり今回の台風の被害を受けた人が相当程度ある。その人たちは、家族弔慰金の支給や災害見舞金の支給を、それぞれの職員共済組合法の実施によって受けておる、こういうようなことになっておるのではないかと思います。それはそれとしていいのですが、職員だけがそれで、市町村民に対しては、市町村でそういうような見舞金や弔慰金を何らか交付した向きもあると聞いておりますが、こういうような者に対しては、あえて自治省の方ではいろいろなそれに見合うような財源を与えてやれないものか、地方債なんかもその中に入れてやれないものか。それともまたはっきりそれに対して補てんというものを明確に示しておけないものか。これは今後も大きい一つの問題になるのじゃないかと思いますが、これは単に厚生省の所管のみであるとして、国だけに押しつける問題ではない。自治省あたりも、現に地方の自治体がそれをやっておるのですから、そのやっておる現実の上に立ってお考えにならないと、とんでもないことになると思います。一方におきましては、職員の方には涙金ぐらいはもらえるが、同じような住民の方にはまだいかないところもあり、いっているところもある。自治体自身が負担しているところもあるし、都道府県から援助を受けているところもあるということで、それぞれまちまちである。こういうようなまちまちの状態が望ましいか望ましくないか、これに対してどういうようなはっきりした考え方があるのか、これは大臣でなければならないと思いますが、あえて財政的な見地から伺います。
  129. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 まさに御指摘の通りでございまして、私たちとしては、被害を受けた人の状況によりまして、身体的な被害の問題もありましょうし、財産的な被害の面もあろうと思いますが、国民全体として、そういう人たちに対してどの程度の援助の手を差し伸べるか、これはやはり制度的に考えたいという希望を持っております。しかし、市町村にいたしましても、都道府県にいたしましても、国としてそういう措置がとられないからこれをほっておくというわけには参りませんので、事実上いろいろな形で見舞金を支給いたしておるわけであります。こういうものは国としてのものさしがございませんので、どういうふうに財源措置をしていくか、これも非常にむずかしい問題であります。先がけてそういう問題からものさしを作ってしまうということも穏当でないように思います。そういうようなことから現在は、そういうような費用も含めて被害額の二%を特別交付税として交付する、こういうような方式をとっておるわけであります。その中には今お話にありましたような主要財源も含んでおる、こういう気持で算定いたしておるわけであります。
  130. 島本虎三

    ○島本委員 これも確認しておきますが、今まで私が申し上げましたことにつけ加えて、現在都道府県から出ておるのがあり、市町村からそれぞれ見舞金、弔慰金並びに家族見舞金というようなものを出しておるところもあり、それぞれまちまちだ、こういうふうな実態を皆さんの方でつかんでおりましたならば、この際はっきり発表してもらいたい。
  131. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 先ほどもお話があり、また私からも申し上げましたように、個々の府県、個々の市町村が、それぞれ自分の判断に基づいて実施しておるわけでありますので、その行なっておりますあり方というものは全く区々であります。死亡した者に対しては一万円程度の見舞金を支給しているところもあれば、五千円程度の見舞金を支給しておるところもある。あるいは市町村と府県において相当の開きがあるということでございまして、統一的な姿は現在のところはないわけであります。
  132. 島本虎三

    ○島本委員 それで、ないという現実はわかった。もうすでに支給しているというのも現実ですから、これをこのままにして特別交付税の額の中に入れてこれを払ってやっておる、こういうようなことのようです。そういたしますと、公共事業の査定額、これに対して都道府県の場合は二%です。それから市町村の場合でも二%です。それをかけた分が特別交付税になって支給されるものじゃないかというふうにわれわれは認識しておりますので、すべてこの中に必要なもののほかに弔慰金のものも含まれておるのである、こういうような考えであるとすると、その額はおそらく涙金程度のものにしかなっていかないのじゃないかと思われます。この点等については具体的にそれに当たるものはこれほどだということをお示し願えるならば、この際はっきり答弁願いたい。
  133. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 今お話がありましたように、府県についても二%、市町村についても二%でありますが、市町村によって多少事情が違いますので、二%分を府県に渡しまして、一%は機械的にそれぞれの市町村に渡す、あとの一%は、それぞれの市町村の状況を見て県がある程度額を按配してもよろしいということにしておるわけであります。従いまして、総体的には、各市町村の被災団体にも二%が特別公付税として交付されておる。被害額が千五百億円と仮定いたしまして、府県、市町村合わせまして、二%ずつですから、四%になります、そういたしますと、六十億円という金になるわけであります。見舞金程度じゃなしに、もっと大きな額がこの中に含まれておるわけであります。私たちは見舞金と見合って二%と算定しておるわけではございません。もっといろいろな諸対策費がかかるわけでございます。そういうものを合わせまして二%というような計算をして参っておるわけであります。
  134. 島本虎三

    ○島本委員 天災でなくて人災である。毎年同じような災害が繰り返されると、余裕のある人たちの場合には立ち直りが割合にできるかもしれないが、余裕のない人になってみますと、ただ一つのよりどころがこの見舞金になるような階層の人が意外に多いわけです。そういたしますと、今お話のように、共済組合法を持っておる組合にはちゃんとこれがいく。また、市町村民を指導する人の方にはちゃんといっているが、指導される方に対しては、ほとんどそれが法令化されたものもない。やろうとすると、おそらくは、今私が申しましたように、公共事業の査定額に二%を加えたもの、こういうようなものしかまずそれに該当する部分もないし、それが全部これに当たるものじゃない。他の用途に充てられるものの中に、これをやってもよろしいという程度の流用しかできない額なんです。そうだとすると、このまちまちなやり方は、やはり自治省としてもはっきり考えて対策を練らないといけないのじゃないか。こういうようなところから、おそらく災害が発生することによってだんだん自治体の方にしわ寄せがいくおそれがある。ことにまた、与えるものと与えられないものという考え方、これは表現がまずいかもしれませんが、やはりいろいろな点でギャップも生じてくるような結果になり、地方行政自体の実施に悪影響があるようなことがあってはいけないと思う。この見舞金というような問題は、自治省の方でも十分考えておく必要があると思います。これは、あなたはここでやりますということを言って、その通り大臣にも、逆に自治省の方から厚生省等と相談して、この弔慰金、見舞金、こういうような制度はどうしても地方自治体に必要なものである、こういうようなことを私の方としては進言してもらいたいと思います。この必要性について私は今るる申しましたが、財政当局の立場からしてどういうふうに考えますか。
  135. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 私は、国家のあり方ということも年々変わってきていると思います。いわゆる福祉国家の建設というようなことがいわれておりますけれども、そういうようなことで国民の気持もどんどん変わってきているし、国のあり方もどんどん変わってきている。やはり市町村なりあるいは府県にとって、政治団体はこうやらなければならないのだというようないろいろな気持に襲われているわけでありまして、そういうような点から、やはり先がけていろいろな仕事をここに工夫し始めていると思います。個人災害について府県や市町村がいろいろな援助の手を差し伸べてきておる、これはそういう発展の一つの段階における現われじゃなかろうか、私はこういう気持を持っておるわけであります。また、そういうようなことから、災害のつど地方団体が相当財政需要を持つようになってきておるわけでございますので、私たちといたしましては、ぜひ国としてもそういう段階に踏み切って参りたいという希望を持っておるわけでございます。そういう気持で今後も各省の間で話し合いをしたいと思っております。また、今のお話は大臣にもよくお伝えをいたしたいと思います。
  136. 島本虎三

    ○島本委員 すべて自治体の財政の方にしわ寄せをされるような、こういうような質問ばかりで何ですけれども、もう一つ具体的な例について、どういうようにしてこの問題の処理をしなければならないかという点で伺いたい。  中小炭鉱が、今回の災害の場合に、北海道ではだいぶいたんでおる。この災害を受けた中小炭鉱そのものは、いろいろ融資を受けたりして一生懸命労使ともにやっておりますけれども、ほとんど炭鉱そのものが村である、村そのものが炭鉱である。従って、炭鉱の施設を村民がそのまま利用しておる。水道においてもしかり、いろいろな問題がそこにあるわけです。今度の災害の場合等におきましても、鉱山の鉱業所がその所有であるがために、直接それに対して村自身が、村民に対して水道施設を利用さしてもらっておるにかかわらず、はっきりした援助もできないし、やる場合においては、鉱業所、鉱山自身の損害としてそのものを扱わなければならないということは矛盾もはなはだしいと思う。こういうような一つの例もあったわけです。また、そこの付近を流れておる川、こういうような川も、やはり道費負担になっておる川ではございますが、災害の起きるつい一カ月ほど前にこれは道費に転換したばかりです。もしそうでない場合には、惨たんたる被害だったのではないかと思われる。こういうようにして村そのものが鉱業所、鉱山であり、鉱山そのものが村である、こういうような一つの村落に対しまして、いろいろな補助ということは、おそらくはいろいろなことをやっても、対象にならない点がだいぶ出てくるのではないか。水道施設、こういうようなものが完全にそれに該当しますが、こういうようなものを特に見てやるような方法を講じますか、こういうようなこともあえて伺いたいと思います。
  137. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 お話のように、鉱山市町村のように、企業と自治体とが持ちつ持たれつの関係にあるところが相当あるわけでございます。そういうところにつきまして、もし、市町村が自分の災害復旧事業としてやって差しつかえないもので、市町村自身がそういう仕事をしたいという場合には、できる限り地方債の対象に考えていきたい、こう思います。企業自身の災害復旧事業でありますと、これは地方債の対象にするわけに参りませんけれども、今お話のような持ちつ持たれつの関係になって、市町村みずからの復旧事業として支障ないものでありますならば、これは当然地方債の対象として考えたらよろしいと思うのであります。ただ、地方財政の面で、企業そのものを救うというような格好に財源を地方団体に交付していくということは、なかなかむずかしいことだと思うのでございます。しかし、その結果起こります自体の財政にりきましては、あるいは鉱産税の減収のめんどうを見ていくとか、あるいは生活困難な人たちがふえたとか、起こってくる財政需要をまかなっていくとか、そういう点については、十分措置をしていきたいと考ます。
  138. 島本虎三

    ○島本委員 十分な措置は講じなければならない。ことに、今のような考え方が不徹底なままに指導されております結果、災害が起こって水道が破壊されて、その水道の器材を、これは保安庁の舟で——道路が欠壊して全然通れない、鉄道も欠壊して全然通れない場合、舟で運んで——自衛隊が出動して、そばにいながらも、これは鉱業所の個人企業だから援助できないといって、自衛隊がごろごろしていながら、その援助はしないままに、鉱山を休んで、そこの労働者の人が全部それを運んだりしてやっておる。こういうようなことは、これはちょっと許される問題ではないと思うのです。そういうふうなことになっておりまして、ふだんからそういうような場合について十分指導しておけばよかったのだけれども、自治省の怠慢とは申しませんが、十分これが徹底していないがために、復旧がおくれ、なお住民もそれがために困難を感じたような事態がないわけではなかった。今のような考え方ははっきりこれを是正しておいて、ここからここまではどうするということも、財政的な点ではやっておるでしょうけれども大臣に言ってそういうような指導の面でも明確にして、災害の場合なんかお互いに負担を明確な状態にしておかなければ、こういうような中小鉱山をかかえたいろいろな自治体においては、おそらく今後問題も起きると思います。そういうような点は、十分考えておいてもらわなければならない。ことに今回の災害は、そんなことを言う必要もないほどはっきりしていますが、町村費負担によるところの小河川のはんらんという点が、集中豪雨  の場合に意外に多かった。村の予算が年間八千万円あるのに対して、今度の損害額は五億をこえた。こういうような町村さえもあるわけであります。そういうような場合の財政の立て直しということは、まことにこれはもう惨たんたるものであって、困難なものだ。内容に入っていって、都道府県を通じてあたたかい手を差し伸べてやらないと、今度の災害の特徴としても、その中に個人災害はもちろんあるわけです。しかし、自治体自身が立ち上がれないほど相当痛めつけられている、こういうような自治体も、私の目に見てきたところ、五つくらいあるわけであります。こういうようなものは、いろいろと起債の点や、そのほかいろいろの補助の点なんかは、おそらく出ていって査定する場合に、あまり厳格にしないで指導してやらなければならないと思うのです。この点は手抜かりはないと思いますが、そういうような財政上の負担に耐えかねている町村の再建復興策というようなものを考えておられます場合には、これをはっきり申してもらいたいと思います。
  139. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 災害を受けたために、その団体が将来にわたって立ち行かなくなるというようなことのないように、災害を受けた年次におきまして、災害復旧事業費でありますとか、あるいは減収補てんでありますとか、そういうような関係の財源について十分措置をしていきたい、こういう考えでおるわけであります。大災害が起きたから数年間にっちもさっちもいかなくなる、こういうことのないようにいたしたいつもりでございます。
  140. 島本虎三

    ○島本委員 そんな念仏ばかり聞いて  いたってしょうがないですよ。あなたが、そんなことのないようにしたいと思うと言っても、どういうふうにやるのだ、財政上こういうふうにするのだ、そのために、財政責任者としてあなたの意向を聞くのです。ないようにしたいというのは、池田総理大臣が何回も言っておる。「私はうそを言いません」と言ったあと、次々と災害が起きて、こういうような状態であります。今度のこういうような法律案は割合に進歩したものだからいい、これをけなしておるわけではないが、あなたのような言葉だけでこういう急場は救われませんよ。これはもっと大臣と相談しておいて、そういう場合にはこういうようにするのだという一つのルールくらいは立てておかないと、今後はやはり相当問題の点も生ずるのではないかと思います。ただ、積極的に、具体的にこれは私の方から言ってみたいたいと思いますが、同じ隣の村であり、同じそのそばの町であっても、災害を受けたところと受けないところがあるわけです。ことに原始河川の場合には、その点がもう顕著に現われてきます。それはどういうように現われるか。ふだんからブルドーザーたった一台で、河床が高くなっているその村費河川、また町費負担による河川を常に取ったり上げたりして、むだなようですけれども、それをやっているところが、今度のはんらんによる被害というものが意外に少なかった。そこの町村に行って見たらおそらく簡単ですが、町長は、この危害を救ったのは、百の説法より、ブルドーザー一台ですよと言っている。その町長の持論は、貧困町村であればあるほど、中央の方から各省を通じてそれぞれ必要な機材、たとえばブルドーザーのようなものでも配置しておいてくれたならば、常に災害が起こるところ、または、起こったらどうにもできないようなところは、これが一台あったら、あらかじめ、起こることのないようにできますよ、こういうように言っておるわけです。こういうような下の方の町長、村長の体験談もよく聞いておいて、起こさないための一つの手段として十分これは重用してもらいたいと思います。これはおそらく建設省関係  かもしれません。ブルドーザーはあなたの方ではないかもしれませんが、総合的にこういうような場合も考えてお  いてやってもらわないと、困ると思います。今後こういうような点は大臣と相談して、ブルドーザーというものは、あなたやれるならばやってほしいのですが、今のような考え方はどうですか。
  141. 奥野誠亮

    ○奥野政府委員 最初に抽象的なお答えを申し上げて、御不満を買ったようでございますので、重ねてその点について申し上げたいと思います。  災害復旧事業で、公共災害といいますのものについては、御承知のように、高率の国庫負担が行なわれるのであります。その残りの地方債についても、初年度一〇〇%充当したいと思っております。元利償還額は、その九五%まで基準村政需要額に算入していくわけであります。それから単独災害復旧事業費、これにつきましても、今回三八・二%の元利補給をするという立法をお願いしておるわけであります、さらに、これにつきましては、元利償還額の二八・五%ないし五七%を基準財政需要額に算入するわけでございます。合わせますと、六七%ないし九五%の財源が付与されるわけでございます。財政状況の悪い団体であればあるほど、その算入率が多くなるわけでございますので、こういう面での地方負担は残らない、こういうことになってくるわけでございます。さらに特例法をお願いしまして、減収補てんについても地方債を起こせるようにいたします。この地方債の元利償還については、特別交付税で二八・五%ずつ見ていくというような措置をとっているわけであります。さらに、今年度の災害を含め、今後三年平均をとってみて被災額が標準税収入よりも多い団体につきましては、連年災害とみなしまして、特別交付税をさらに一%増額するというような措置もとっております。−先ほど申し上げましたように、そのほかに、一般的に被害額の二%特別交付税として交付するわけでありますので、災害の多い団体につきましては、いろいろな意味の対策のための財源だということで、相当額が算定されることになっております。そういうような方法を講じております。ということは、災害の起こった年にすぐに財源的な裏づけをして、将来に問題を残さないようにしたい、こういう趣旨を持っているからでございまして、そういう意味で先ほど申し上げたわけでございます。  なお、ブルドーザーの点などについてお話がございましたが、私も全く同感でございます。災害の起こりましたつど手当をするよりは、そういうことの起こらないような施設を講じ得るような準備を平素から十分にさせていくということだろうと思うのでございます。将来、地方債の問題につきましても、そういうような土木建設に必要な機具の購入についても地方債を認めていくとかというような措置もとっていかなければならないだろう、こう考えておるわけでございます。そういうような方向で地方財政を指導して参りたい、かように考えております。
  142. 島本虎三

    ○島本委員 これは質問ではありません。最後に要望しておきます。  いろいろと今質問した中で、答弁はいただきましたが、まだ納得できないのは、弔慰金の問題で、これはあなたが今申しましたように、大臣とよく相談されて、関係方面と相談された上で、一本にして——人災という意味も含まっているような今回の災害である以上、国の方でやっておかぬと、地方自治体の方へいくと、一方はもらう人がたくさんあり、一方は少なくなってくる、こういうような点でのでこぼこが不満になって現われますから、これは一木にして支給するように、大臣とよく相談の上善処してもらいたいということをくれぐれもお願いしまして、これで終わります。
  143. 濱地文平

    濱地委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十八分散会