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1961-10-19 第39回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十九日(木曜日)    午前十時四十三分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 古川 丈吉君 理事 岡本 隆一君    理事 角屋堅次郎君 理事 下平 正一君       大倉 三郎君    大野 市郎君       岡本  茂君    上林山榮吉君       仮谷 忠男君    岸本 義廣君       正示啓次郎君    谷垣 専一君       辻  寛一君    原田  憲君       宮澤 胤勇君    阿部 五郎君       淡谷 悠藏君    石田 宥全君       五島 虎雄君    島本 虎三君       辻原 弘市君    肥田 次郎君       玉置 一徳君  出席国務大臣         文 部 大 臣 荒木萬壽夫君         通商産業大臣  佐藤 榮作君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         文部政務次官  長谷川 峻君         文部事務官         (管理局長)  福田  繁君         通商産業政務         次官      森   清君         中小企業庁長         官       大堀  弘君  委員外出席者         文部事務官         (調査局長)  田中  彰君         中小企業庁振         興部長     川島 一郎君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同  年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資  金の融通に関する特別措置法案内閣提出第五  二号)  昭和三十六年六月及び八月の豪雨による堆積土  砂並びに同年六月、七月及び八月の豪雨による  湛水の排除に関する特別措置法案内閣提出第  五三号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に  際し発生した火災、同年六月の水害又は同年九  月の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する  法律案内閣提出第五四号)  昭和三十六年六月の水害、同年七月、八月及び  九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美  濃地震による災害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第五  七号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地震による災  害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関す  る法律案内閣提出第五九号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地震による災  害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に  関する特別措置法案内閣提出第六三号)  昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月  の天災についての天災による被害農林漁業者等  に対する資金融通に関する暫定措置法適用  の特例に関する法律案内閣提出第六四号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案外六件を一括議題とし、主として文部省及び通商産業省関係について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。なお、文部大臣には、参議院予算委員会等出席要求されておりますので、なるべく大臣に対する質疑を先にお願いいたしたいと存じます。辻原弘市君。
  3. 辻原弘市

    辻原委員 文部大臣、それから通産省に質問をいたしたいと思うのでありますが、時間の関係で、私は、大臣に対する質問はできるだけ要点だけにとどめておきたいと思います。  最初に、文部大臣から承りたいのでありますが、すでに当委員会が発足をいたしましてからかなり時間も経過いたして、ただいまそれぞれ各省別審議を進めておる段階でありますが、いまだに文部省関係特別措置法が今国会提出をされておりません。従って、その点について、当委員会審議の上にわれわれとしてもかなり難渋を続けておるわけでありまして、具体的に法案内容がさだかでもありませんし、また、どういうふうに従来のものと変わってきたかといったような点についてのポイントも、今日明らかにされておりません。従って、大臣から、ほぼいつごろ提案をされるのか、承るところによりますと、三つの法案を考えられておるようでありますが、それがいつごろ国会提出されるのか、承りたいと思います。
  4. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 提案がおくれまして恐縮しておりますが実は、実質的に申し上げますと、他の各省よりも一番早く関係省との折衝は済んでおったのでございますが、いやしくも国会に、同じ災害を原因としだ特別立法提案しますのに、一省だけということも、政府国会との関係におけば適当でないということで、足踏みしておったのであります。ようやくこの前の閣議の日に、大蔵省からも大よその発言があって、閣議の了解を得ておりまして、多分明日の閣議で決定をいたしまして、提案する運びになろうかと思います。大体の趣旨はすでに御案内と思いますが、伊勢湾台風並みのことをやろうというふうな考え方で立案されておると承知いたしております。
  5. 辻原弘市

    辻原委員 今大臣が申されました法案は、公立学校災害復旧に関する特例、それから私立学校に対する災害復旧特例、それから社会教育施設災害復旧に関する特例、この三法案だろうと思います。それに間違いございませんか。
  6. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 内容的にはおっしゃる通りでございますが、法案としましては多分二本になると思います。というのは、公立学校施設関係社会教育関係を一緒にいたしまして、それと私学関係、二本の予定でございます。
  7. 辻原弘市

    辻原委員 そこで、承りたいのは、これは、従来災害のたびに、私どもも強く文部省にも大蔵省にも申し上げておるのでありますが、現行三分の二の災害負担法が、公立学校の場合にはある。これは他の法案もそうでありますけれども、今までの経過を考えてみますと、大体少なくて二年に一回ぐらいは大災害が起きておる。去年からは伊勢湾、さらに今度の第二室戸、こういうふうに、そのつど、通例の災害負担法ではなくて、特例法を作らなければならぬ。そういった場合に、これは文部省においてもいろんな事務的な関係かなり支障を来たすでありましょうし、また、今日のように法案自体がまだはっきりしておらないといったようなことで、それに伴う災害復旧の具体的な進捗もやはりいわゆる立法がおくれるというようなことでの渋滞が、実質面災害復旧にこれまた一つ支障となる場合があるわけですから、従って、できれば災害復旧法案というのは一本にまとめて、そうして特別の場合というのもその中に加えて、これを恒久的な一つ法律とした方が、今後の災害復旧には実情に合うように私は考えるのですが、そういった点で、いわゆる公共学校の場合、これを恒久法に持っていくといったような考え方はないかどうか。これは全般的な問題でこの問われわれが総理に伺いますると、政府においてもそういうことを検討せられておるということでありますが、分けても各種の災害の中でいつもかなりのウエートを占めるのは、文教関係であります。そういう面からも、特に私は、文教関係の場合その必要を痛感するわけでありますが、そういった点で恒久化される考えがないかどうかを、あらためて一つ伺ってみたいと思います。
  8. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 毎年ともいっていいくらいに、災害のたびに悩みの種になりますことは、その意味で、おっしゃるお説は、私同感でございます。実は今度も、できればそういう一種の恒久立法的な立場で、そのときどきの災害度合い、その災害度合いに応じた被害度合いに応じて、行政的判断一定の幅を与えられるような恒久立法というものにしてほしかったのであります。そういう動きもある程度してきたのでございますけれども、急場の間に合いそうにございませんので、途中でやめたのでございます。それで、伊勢湾台風並みという前例に従って、申し上げたような内容提案ずるということになったわけであります。今のお説は、私は、私だけとしては賛成でございます。
  9. 辻原弘市

    辻原委員 次に、特例法ができましても、実際の災害復旧は、補助関係から見れば二本建になるわけです。そういたしますと、特例法の場合と、それから一般災害復旧の場合の扱い方というものは補助率においては相違はあっても、これはまあやむを得ないと思うけれども、しかし、その場合において非常に大きな取り扱い相違があるということでは、これはいわゆる激甚地指定を受けたところとそうでないところと、非常に不平等な取り扱いになるおそれがある。これは話せば長くなりまするけれども、いわゆる激甚地指定というものの指定の仕方にも、実際問題としてはかなり矛盾があるわけであって、たとえばこれは高率の場合ではありませんけれども、いわゆる被害額が、税収との見合いの関係において、あるいは一割とか、あるいは二割とか、こういった基準が間々設けられておるので、ありますけれども、ただ、学校というのは、何といいますか、地方公共団体の中にそう多くの数を持っているわけではない。たまたま五つなら五つ学校の中で、一つが極端に被害を受けたといったような場合が起こり得るわけでありますが、その一つが、たまたま今回の台風において海岸線にあった、他のものは山陰にあったとか町中にあったために、風を受ける、あるいは波を受ける、そういう被害を受ける程度が非常に違う。だから、実際の被害が大きく、他のものとはその程度において相違があった。ところが、いわゆる激甚地指定なるものは、合算の上において、その地域全体のいわゆる公立文教被害はどれだけかということが、一つの尺度になるわけでありますから、従って、一つが極端に被害を受けた場合でも、指定にならない場合もある。これは他の公共土木あるいは農林災害、いろいろな場合にも同様言えることであるけれども、そういった点において、今日の激甚地指定政令基準なるものについては、いろいろな疑問を持って、おるわけです。そういう指定の仕方がはたして妥当なりやいなや。もっと現実に、たとえば災害救助法というものを、ある基準をもって都道府県なり市町村が発動した、それは現実にこの地方では大きな災害を受けたのだ、しかも、国が定める住宅滅失戸数であるとか、あるいは死者その他の災害がどの程度にあったかという、いろいろな基準によって発動する、だから、そういうものをにらんで、その発動した地域は、被害が大きかったのだから、ここは指定する、こういけば、おおよそ私は実情に沿おうと思う。そうでなくて、一つの算術の計算の上で指定をするという場合には、今申し上げましたように、局部が非常に深い傷を負ったという場合よりは、比較的に傷は浅くても、平板に広範囲にわたった方が、被害が大きいとされるわけです。そういう矛盾があって、その指定によっては、くつの裏から足をかくという程度にしか、実際の災害復旧補助関係における恩恵というものは受けられておらぬというのが、今までの実情ではなかったかと思うのであります。  そこで、私の言いたいことは、従って、そういう基準によって片やは、激甚地高率適用を受ける、いわゆる特例法適用を受ける、それ以外のものは、在来の負担法によっての災害復旧をおやりなさい、補助率は三分の二ですよ、こっちは四分の三ですよ、こういうのだけれども、問題は補助率相違ではないのです。どこに非常に大きな制約があるかということは、これは大臣もお認めになっておられると思いますけれども、私は絶えずこのことを申し上げておるのです。前の伊勢湾のときにも、参議院からその声が強く起き上がりましたけれども伊勢湾の際にはそれを是正するに至らなかった。幸い、今大臣が私の質問に答えて、現行復旧費負担法を恒久化したいというお話が述べられましたので、それに合わしてぜひともその点を改めてもらいたいということを私は要求するわけでありますが、その改める点というのは、現行法の第五条の中に「経費算定基準」がありますが、その「経費算定基準」の中に、「前条に規定する工事費は、政令で定める基準により、当該公立学校施設原形復旧する」云々とある。この文字だけを見ますと、あたかも原形復旧を認めておるかのようにこれは見えるわけです。ところが、施行令の第五条によって、これは厳格なる制限が、加えられておる。それは要するに、生徒数基準坪数というものを、これは大蔵文部の話し合いによってきめておるのでありましょうけれども、その基準をオーバーする分については、これは認められないという趣旨のものが規定されておるわけであります。そういたしますと、大体学校というものは、かなり古い歴史を持っておる。今大蔵省文部省の間で主として財政上の理由から定めておる基準などというものは、これは何人が考えても現状に合っておらない。一例を百人の学校にとってみれば、こういう結果になります。百人の学校で、小学校の場合には、一人当たり〇、九坪あればよろしいという計算文部省政令はなっておる。ところが百人の学校ではたして九十坪の学校というものが現実に存在するかといえば、これはおそらく私はないだろうと思う。しかし、その百人の学校で、現在二百五十坪の校舎を持っておった。これががくんとやられた。ところが、たまたま先ほど申したように、その地方公立学校被害が他にほとんどなかった。遺憾ながら、高率適用が受けられなかったとした場合に、これは三分の二でやらなくちゃならぬが、補助率はしんぼうするとしても、今度いよいよ復旧の場合に、九十坪しか認められぬということになれば、一体これははたしてかゆいところに手が届く災害復旧なりやいなやというところに、重大な疑問があるわけであります。だから、こういう災害というものは、累年だんだんと大蔵省あたり考え方も改まって参っておりますが、やはり現実のものを復旧するということと、同時に、大事なことは、今後少々の災害にあっても、それに耐えられるものを作らなければならぬ。いわゆる、改良復旧、これが最近において強調されているところでもありまするし、われわれ国の政治に携わる者としても、その点を大きく留意するということが、災害復旧の場合の重要な任務なりと私は考えておるわけです。そうするならば、原形までも復旧できないような災害負担法というものは、今日の社会要求にマッチするものであるかどうか、いささか陳腐にすぎやしないか、こういうことを私は強く感ずるわけなんです。従って、この際、恒久法を作られるならば、当然これらの制限は撤廃をすべきだ、ないしは一段下がって——そこに大蔵政務次官もすわっておられるが、大蔵省等のいろいろな物入り等も考えて、かりに十歩下がるといたしましても、災害については——他のいろいろな補助法等関係は、基準を再検討にとどめるというようなことであってもやむを得ないと思うが、事災害については、やはり原形復旧するということの原則だけはきちっと守るべきではないか、原則はそこに置くべきではないか。従って、政令等による、こういうような現状にそぐわない基準を設けて、裏で縛ってしまうような——復旧する方からいえば、これはまことにとそく手段です。法律を表面から読めば、何もそういうことはありませんけれども、裏から読めば、そこできっちり首根っこを、押えられておる。こういうやり方は改めるべきである。、だから、私ども委員会なり国会で、原形復旧をやれ、改良復旧をやれと言うと、仰せの通りいたしますと、必ず各大臣とも答えられるわけです。ところが、仰せの通りできないように、ちゃんと裏ではなっておるのです。ですから、恒久法の場合、これははずすべきであると私は要求しておるわけです。同時に、今度のように、一方において特例法を作る、一方においてその他は災害負担一般法でいくという場合に、特例法の場合にはその制限がないのです。特例法の場合には、二百坪が倒れたならば二百坪まで、二百五十坪なら二百五十坪まで、その制限がないのです。だから、補助率の四分の三と三分の二の差だけではなくて、現実には非常に大きな差がここに出てくるのだから、特例法適用した場合においては、現行法においても、その点は私は特例として修正すべきであると思います。こういう点についてはどういうふうに考えられますか、一つお答えを願いたい。
  10. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 結論から先に言わしていただけば、研究さしていただきたいと思います。今おっしゃるようなことは、私ども立場で言えば、ほとんどことごとくといってもいいくらい、同感立場に立たざるを得ないわけであります。大蔵省は、納税者の側に立っていると申しましょうか、一定の財源をあらゆることを考慮して有効に使いたい。端的に言えば、ちっとでも少なく済ましたいという側ですから、いろいろと理屈をつけてでも守らんとする努力が払われるわけです。私どもの方は、少しでもよけいに、よりよくしたいという側で、予算折衝あるいは法案折衝等をいたします。これは制度上そういうものがあってしかるべきだし、けっこうなことだと思いますが、努力が足りないとでも申さなければ申し上げようがないわけですけれども、機会あるごとに前向きの努力をしたいと思っております。  それからなお、木造学校であるがゆえに、風が吹いた、雨が降った、高潮だで大騒ぎをしなければなりませんが、もしこれが全部鉄筋でできたとするならば、少なくとも大半の心配がなくなる。だから、長い目で見れば、国費をもっと有効に活用する手段でもあろうかと思うわけでございます。今まで児童生徒が年々歳々ふえていく傾向のときは、大蔵省としてもなかなか踏み切れないと想像されます。幸いというか、不幸かもしれませんけれども、ともかくピークが終わりますれば、中学校生徒が減ってくる。従って、義務教育課程だけをかりに考えるとしますれば、タイミングとしては非常にいい時期ではなかろうかという考え方から三十七年度の概算要求では、小中学校義務教育学校施設は、原則として鉄骨鉄筋に限る、例外のときだけを木造とするという建前概算要求をいたしております。大蔵大臣からまた押えつけられたらどうにもなりませんけれども、今申し上げたような趣旨を含めて、大蔵大臣の同意を得たいものだという基本的な考え方は、持っております。そのことは、同時に、おっしゃるように、恒久立法的にものを考えて、その場その場でなしに、長い目で見ればより効率的であり、国民経済的にも財政的にもより効率的であるというふうにならないものかということを考えておる次第であります。
  11. 辻原弘市

    辻原委員 そこで、ちょっと、大蔵省が見えておりますから、一つ政務次官に、あなたの方は押えつける側だそうですが、今私が申したような——私は、ほかの関係ではあまりこのような大きな矛盾は発見できないのです。私も、いろいろ災害の点についてのほかの問題も調べてみましたけれども、そんなに大きな矛盾はないのです。単価値上がり等によって補助率が、実質的には四分の三が実施のときには二分の一しかないとか、そういうことはありますけれども明らかに制度上こういうような不合理がいまだに温存されているところは少ないと思うのです。そういう意味一つ大蔵省としても、やはり災害復旧原則というのは、あくまで原形復旧にあるという建前ならばこういうような過酷な制限を設けないようにすべきが、当然だと私は思うので、その点一つ天野さんから聞いておきたい。
  12. 天野公義

    天野政府委員 先ほど、二百坪が減ってしまうという原形復旧の問題の話がございましたけれども特認という措置をとって、そのままやるということもやっておるわけであります。それから被害激甚地にありましては、大体木造だった建物は、鉄筋鉄骨作りに改良して復旧するということを、原形復旧としてみなすという建前をとっております。それから、被害激甚地でない場合におきましては、実情に即しまして考えていく、前向きで考えていく、こういう方針でおります。
  13. 辻原弘市

    辻原委員 そういう考え方が私はいけないと言っているのです。原則原形復旧として必要ならば特認などというやり方は、これは行政上のこそくやり方だと言っている。しかも、実情特認だといったところで、それが、私の今申し上げているように、原形復旧に達するような特認はほとんど認めておらない。もし、特認でもって、いわゆる原形復旧と同じように、言いかえてみれば、政令基準というものをなくしたと同じような形でやっていると大蔵省がここで言われるならば、具体的な資料をもって一つ私にお示しを願いたい。私の知る範囲においては、それは確かに、特認ということはあります。ありますけれども、それは制限の上に若干の実情を認めるということで最近とり出した方法なんです。しかし、そのことを認めるのならば、なぜ原則として原形復旧という建前を貫かぬかということを言っているのです。だから、特例法において前向きのことはわかっております。特例法内容補助率相違は、これは特例なんですから、一般も認めると思うのです。しかしながら、原形復旧ということにおいて、現行法原形復旧ではないのですから、災害復旧じゃないのです。それだから、この点については改定を要する。だから、こういう激甚地指定をして特例法適用する場合には、特認というやり方が、今ここで政会でなくても、同じ状態にまで特認を認めますということならば、現地の第二室戸台風取り扱いとしては、一応便法ではあるが、それはけっこうだと私は申し上げます。そこまでの決意がございますかどうか。
  14. 天野公義

    天野政府委員 ただいまの問題は、できるだけ実情に即しましてやっていくつもりでございます。
  15. 辻原弘市

    辻原委員 政務次官も心のうちでは、私の説に賛成されておると思うので、その点をあまり執拗に申し上げるのもいかがかと思いますけれども、ともかくその点が非常に大きなネックになっているわけですから、どうぞこれは大蔵文部とも、将来この種の一つ制限をなくすという方向で、御努力恒久法において願いたい。そうして初めて、十分な災害復旧だというふうにこれは改められるものだと、私は確信を持っておるわけです。その点を一つ何分願いたいと思う。  それから、先ほど大臣が述べられました鉄筋比率の問題ですが、お説私も全く同感であります。私は、八年前から、毎年口を開けば、学校建築については鉄筋を慫慂して参りました。おかげさまで、私ども地方において慫慂して、われわれの進言に従ってやりましたところは、屡次の被害については非常に軽微であります。ところが、遺憾ながら、こういう点は大臣一つ特に御留意を願いたい。それは大蔵省は押える側でよくごまかしますから、鉄筋比率を上げても、総トータルにおいて同じような形でやれば、これは何の意味もなさない。ということは、たとえば公立文教施設補助を百億とったところで、その中で従来鉄筋比率が三割であったものが、今度は大臣の説に従ってぎりぎりまで、認めましょう、七割認める。ところが、単価が高いものだから、全体の施行坪数が大幅に減ってきたということになりますと、これはせっかくの心組みが、かえって角をためて牛を殺す、要するに、十分なる改築が行なわれないという結果が出て、参りますので、そういう点は、やはり鉄筋比率を、上げると同時に、従来の施行坪数を落とさない、従来の実績坪数を落とさない、こういう点について、一つとくと御留意をされて努力を願いたいと思いますが、これは一つ大臣からもその決意と、それからあわせて、大蔵省にもそういう点については十分文部省等の意向を反映して、片方で認めれば、片方で押えるというような浮き袋の遊戯をやらないように、御注意を申し上げておきたいと思いますが、いかがでございますか。
  16. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先刻も申し上げましたように、木造でやっておりますと、木材が値上がりをしたといっても、鉄筋に比べれば単価が安い。だから、一見、その年度限りでは財政規模があまりふくれないで、非常に有効に税金が使われたように見えるかと思いますが数年なり十数年というものを通して見た場合には、これほどの浪費はないという結果が出てくる。これは必至だと思うのであります。そういう意味で、なろうことならば、来年度から義務教育学校は全部鉄筋木造は許さない、例外だけを認めるというぐらいの心がまえでやりたいというのであります。それに伴って、単価鉄筋なるがゆえに上がらざるを得ない、総経費がかさまざるを得ない、地元負担の絶対額がふえてこざるを得ない、地元の自治体の財政能力は依然として同じだとするならば、それだけ負担が大きいからやり切れぬということもあるいは出てくるかもしれない。大蔵省側にしましても、今まで通りの改築なり新築の坪数を確保するということならば、がぜん総額が上がってくるであろう、それに驚いてちと査定したいという気分も起こすかもしれない。それにいたしましても、そうならないことをもちろん欲しますが、そうなるであろうといたしましても、基準坪数それ自体も検討を要することはさっき御指摘の通りですが、現在の基準坪数をそのままかりによしとしましても、その線を下げるということはやるべきではないというふうに考えております。
  17. 天野公義

    天野政府委員 鉄筋の比率を上げていくという方向で進んでいることは、御承知の通りだと思います。  それから公立文教施設単価の問題につきましても、先般衆議院で御審議を願い、今参議院審議中の補正予算にも、単価の引き上げを組み入れているような次第であります。
  18. 辻原弘市

    辻原委員 単価じゃない、総施工坪数です。
  19. 天野公義

    天野政府委員 そういう単価も引き上げることによりまして、できるだけ総施工量もそのワクを確保するような方向で進んでおるわけでございます。
  20. 辻原弘市

    辻原委員 単価引き上げれば、総坪数は減ってくるんですよ。単価を上げれば、坪数を減らすという可能性が出てくる。問題は、大蔵省に望みたいことはそこなんです。だから、単価を上げていただいたことは、確かに非常にけっこうです。単価を上げ、鉄筋比率を上げると、要するに、総事業量というものが一金の面において大幅にふえる。ところが、大蔵省の在来のやり方というものは、一応全体の予算の中で大よそこのくらい一これは年々の統計を見ればわかります、年々、一体大蔵省が、公立文教についてどのぐらいのものを認めてきたかというような実積を見ればわかります。そうならば、事業量の方は、金が大幅にふくれたならば、かりに前年度が四十億で、それでは本年度何ぼやれるかといえば、これは前年度よりも減ってくるのです。だから、私の言うのは、単価を上げ、鉄筋比率を上げた場合に、少なくとも従来の実績を落とさない、施工率の実積は落とさない、要するに、坪数の実積を落とさない、その点を十分大蔵省においても、一つの壁であろうと思うけれども、その壁を、破ってもらいたい。
  21. 天野公義

    天野政府委員 学校の改築その他鉄筋を作っていく場合におきましては、必ずしもグラフの直線的に、筋書き通りにいくものではない。その実情々々に即して具体的にこれを決定していくというのが本来の筋だと思います。また、いろいろな年度計画もあろうと思いますから、それといろいろ見合いまして、よく研究しながらやっていきたいと思っております。
  22. 辻原弘市

    辻原委員 これは議論をするわけでありませんが、実情にそぐわぬの問題じゃないのです。ものの考え方の問題です。実情にそぐうとかそぐわるとかいうことじゃなくて、要するに、来年度は、今大臣の言われる方針によって大蔵省側に従来の実績を基礎として要求されたならば、必ず金は大幅にふえるこれは算術です。それでは困る。だから、金の面で去年よりは少しは増すけれども、そのくらいのところにとどめてくれというのが、大体今までのやり方から見れば、そこらあたりが落ちなんです。そうならば、鉄筋比率が上がりましたよと大臣がおっしゃっても、実際施工率が落ちたならば大へんな問題なんです。それを言っているわけですが、一つ十分その辺のところを考えておいていた、だきたいと思います。  次に、今単価の問題が出ましたが、来年からの公立文教単価は、平均二割方引き上げられたようであります。しかし、今度の災害にもそれが必ず適用されますか。この点はどうです。
  23. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 その通りでございます。
  24. 辻原弘市

    辻原委員 そういたしますと鉄筋でどのくらいになりますか、木造でどのくらいになりますか。
  25. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 鉄筋で一割九分五厘の値上げだと思います。なお、正確には必要ならば政府委員から申し上げます。
  26. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 大体木造で三万二千五百円、鉄筋で六万一千四百円、鉄骨で四万七千八百円、こういうような形になっております。
  27. 辻原弘市

    辻原委員 次に、伺いたいのでありますが、それは、前回の委員会のときにも私は申し上げておいたのでありますけれども災害復旧にいつでも障害になることは、応急復旧の工事をやったために、あとで査定の場合に、実際の本工事に非常に支障を来たす。言いかえてみれば、応急復旧の工事が、公共土木では法律ではっきり明記されておるのでありますが、遺憾ながら、公立学校施設災害復旧費国庫負担法にはそのことがないのですね。これも非常に片手落ちだと思うのでありますが、他の公共土木事業で、いわゆる応急復旧工事の事業費というものが補助の対象に加えられているならば、当然公立学校施設災害復旧費国庫負担法にもこれが加えられていなければならぬと私は思うのでありますが、そこも抜けておる。それだから、いつもこの点が問題になって、わけても、これは私が申し上げぬでも大臣よくおわかりだと思うのでありますが、やはり個人の家でも、家をやられて、明日から砂っ原で寝るわけにはいかぬので、ある程度少々無理してもいわゆる仮小屋を、建てる、仮小屋を建てられない人には、仮設住宅として市町村がめんどうを見るということになる。ところが、学校の場合には、これは公共施設です。個人の場合にはいろいろな方法があるでしょうが、公共施設ならば、やはり市町村なりあるいは国なりというものの、そういう援助を見越して復旧にかかるというのが人情なんです。そうしたときに、明日から教える場所がない。幸いその付近に、学校にかわる収容施設が、お寺とか公民館とかいろいろあればけっこうですけれども、往々災害の場合には、そういうところも大体やられておると考えなくちゃなりません。また、あるいは農山村の僻遠地に行きましたならば、大体公共施設というもものは、大きなものは学校ぐらいしかございません。お寺はありましても、それは必ずしも教育が行なわれるべき広場を持っていないといったような場合、何としても、やられたものについて、当座教えるための施設を作らなければならぬ、こういう問題がしばしば起こってくると思うのです。そこまでの極端な例でなくとも、今度の台風をごらんになればわかりますように、意外に学校災害が大きかった。しかも、小災害は軒並みなんですね。そういたしますと屋根かわらが吹っ飛んでしまったところは、雨が降ると授業が成り立たない。当座の間は二部授業、半日授業をやるけれども、そんなことをいつまでもやるわけにはいかぬ。何としても屋根かわらだけは直さなければならぬ。しかし、小学校の、ことですから、屋根かわらといいましても、なかなか少々の量ではありません。一万枚、三万枚、三万枚という相当の金を要するわけです。そういうような災害地の市町村としては、その程度のものでも、実際のお金の負担にはなかなか耐えがたいというのが、災害地の状況である。こういうふうに考えてみれば、当然、そういうものは、いわゆる良心的な意味における災害復旧なんですから、本工事に至らずとも、そういうような、もうあらかじめ、必要に応じて、必要に迫られて復旧をやった応急復旧工事というものは、私は、当然災害復旧補助費の中に加わるべきだということをかねがね思っておるのでありますけれども、これについて苦心をせられておるようでありますことは、私も承知しております。この間管理局長もお答えになっておりましたように、査定の際にそれは十分考慮するのだ、こういうことがあるのです。しかし、すべてこういうことは査定にゆだねるべき問題であるか、本来は、当然、必要があらば法律の中にこれを設けるのが筋だと私は思う。しかも、他の法律の場合にはこれが設けられておるのですから、だから、必要ならということで査定ですべて逃げてしまって、そこで間に合わすということも、先ほどの政令基準と同じように、いささか積極味が足りないのではないか。これは大蔵省の出方があるものですから、おそらく、文部省としても実情は認めつつも、実現がむずかしいような状況ではないか、私はそう推察をしておるのですけれども、今度のように特に軒並み小災害があって逐次応急をやっておるというような場合には、それに対して良心的にやったものが、あとで、お前のところはもう直っておるのだから、そこまでは見れませんよなどというような、正直者がばかを見るということにならないように、何とかこの点は一つ特に御配慮願いたいと思う。と同時に、これも恒久法制定の場合に当然一つの費目として加えるべきじゃないか。言いかえてみれば、災害負担法の柱というものは、一つは、補助率の問題、一つ改良復旧の問題、いま一つは、応急復旧についての工事費を見る、こういう三本の柱を明確に法律の中にうたわなければ、十分な災害復旧負担法とは言えないと私は申し上げるのであって、その点について一体恒久法の中でそこまで前進をさせるおつもりがあるか。また、どうしても今そういうことが不可能であれば、積極的に文部省としてはここまでの責任を持ちますといったようなことが言えるかどうか、一つお答えを願いたいと思います。
  28. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お話のよう応急復旧につきまして補助対象にするつもりでございます。管理局長から補足して申し上げます。
  29. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 ただいまお尋ねのございました応急復旧工事費の問題でございますが、これはわれわれとしても、恒久法の改正のような場合には当然研究問題になろうと思っております。ただ、従来からやっておりますのは御承知の通りでございますが、本工事費の一部に見積もられるような応急工事費については、従来も見ております。ところで、この応急工事費の範囲でございますが、これは非常に広範にとれば広範になるわけでございますので、むずかしいと思っております。たとえば建物自体の応急工事費でありますと、これは屋根をふきかえるとか、壁をやりかえるというふうに、一定のワクがございますが、学校という教育活動の場で考えますと、教育を継続するという範囲におきましてそれが可能な応急復旧工事というものを考えますと、今おっしゃるように、どこかに建物を借りて、たとえば民家を借りるとかあるいは他の施設を借りるというような場合そういう借用賃まで考える、あるいは仮設的な建築をするような場合もそれを考えるというように、いろいろな段階によってまた及ぶ範囲が広いと思います。今度の台風の場合に、和歌山県下でそういう事例が数校出ておりますが、私どもとしましては、具体的に調査した結果に待ちたいとい思っおりますけれども、分散授業もできない、あるいは他に教育を継続するような施設もないというような非常に困っ学校につきましては、実情に応じてこれも一つ考えなければならぬというように考えておるわけでございます。全般的にこれをやるというところまではいかないと思いますが、できるだけ実情に即した改良をいたしたいということで関係方面とも相談しておりますが実際は調査の結果を待ってこれをきめたいというふうに考えておる次第でございます。
  30. 辻原弘市

    辻原委員 この点はっきりしておいていただきたいのですが、当該施設がやられて、それに対しての応急復旧をすでにやっておるという場合に、当然その施行したということの実証はできるわけです。だから、この分は、いわゆる本工事の査定の際には、それをやったからというて削らすに、それをそのまま認めていく。これは調査に待たなければならないと思いますが、いわゆる実際問題としてその応急復旧事業費をそのまま認めたという結果になるように、それは今の法律でもその取り扱いができないことはないと私は思います。だから、その点だけははっきりしておいていただきたいと思います。  いま一つは、そういうものを認めた場合においても、私の県では相当ありますけれども、単に和歌山県だけではなくて、大阪等にもそういう事例が見られるわけであります。これはまことに現地の教育管理者を困らせる原因になっておるから、その分については十分実情に即した措置をとるようにということを強く要望いたしておきます。  次に、少し私立学校の問題について伺いたいと思います。私立学秒の一番の問題点は、今までたびたび言われましたし、前の伊勢湾のときにもわれわれ野党からその提案をしたのでありますが、恒久法がないということであります。公立の場合には、特例法一般法か、三分の二か四分の三かという、先ほど言った内容の差があるが、ともかく災害復旧というのは、私学の場合には、非常に古い時代の観念に基づいて、私学は直接国が何も責任を負うことはないというような当時のものの考え方から出発をして、そのことが今日でも改まっておらないという一つの証拠でもありますけれども、そのために一般法がない。だから特例法がもし間に合わなければ、作らなければ、その災害復旧は何も見られない、こういうことになるのです。これまた、恒久法の制定が今日私は急務であろうかと思いますが、大臣としては恒久法の制定ということにいかほどの努力をせられておるか、お聞きしておきたいと思います。
  31. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 実際のところ、私としては、今度の災害に関して、私一個のことだけを申し上げれば、そのつど作るのでは大へんだという実感を初めて得ましたので、今度の災害を通じまして、何とか恒久立法を考えなければいけないということを考えておるところであります。文部省としては、以前からそういう考えは、事務当局に聞いてみますと、あるにはあったようですが、なかなか文部省だけでもやりかねる問題でもありますから、停滞したままでおったということを承知しております。今後一つ検討を加えて実現をはかりたいものと思います。
  32. 辻原弘市

    辻原委員 次に、先ほど大臣が言われた伊勢湾並みということであるならば、法律の体裁というものは学校法人というものに規定をせられるのじゃないかというふうに考えておるわけでありますが、そうなれば、学校法人以外の私学というものが、存外、小さくとも数は多いので、そういう点については法律上対象にならぬという心配が生まれるのでありますが、その措置をどうされるか、その点は、伊勢湾のときと違って法律の中で改正をされるか、その辺のところを一つ、承っておきたい。
  33. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 おっしゃるように、学校法人で経営していない個人立の学校がございます。今回の災害におきましても、個人立の幼稚園等の被害がございますので、そういう個人立の学校につきましては、伊勢湾台風の場合におきましても、私立学校振興会から災害復旧に必要な融費を行ない得る道を特別措置によって開いたわけであります。従って、今回の場合においても大体同様に処置いたしたい、かように考えております。
  34. 辻原弘市

    辻原委員 私は、やはり私学という限りにおいて、学校法人であるとかないとかということの、区別は、もちろん、経営規模は違うけれども、私学に対して国が責任を持つという意味らかいきますれば、学校法人だから、そうでないからという厳密な限定を下すことは誤りではないかと思うのですそういう点で、片や補助を与え、片や融費でやるというようなことでは、非常に不十分である。従って、学校法人のみならす、一般の私学に対しても、事、災害の場合は少なくとも復旧の対象に入れる、こういう取り扱いをしてはどうか。もちろん、私学の場合には、千差万別、いろいろの形態がありますから、取り扱いはしにくいと、思いますが、しかしながら、少なくとも今の方法よりはもうちょっと広げる必要がある。この点を再検討して、いただきたい、私はそう強く思うんですが、いかがですか。
  35. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 検討さしていただくほかにないのですが、やはり学校として見ます場合には、学校法人であるかいないかで一応区切りをつける。各種学校、その他学校と銘を打たないで実は学校的なものがたくさんあると思うんですが、一体どこまでに至ってとどまるか、個人の家屋と格別選ばないようなところまで、分界としていってしまうのじゃないかというふうに常識的に想像されるわけなんですが、そういうものは都道府県で監督もしておると記憶いたしますけれども、そういう責任の分界点なんというものは別といたしまして、やはり学校として考えるならば、学校法人という形をとったものを国が責任をもって見る。それ以外のものを考えるとしても、一般国民の被害というものに対してどれだけどういう特色を与えて災害復旧等に援助の手を差し伸べるかということは、別個の問題として考えざるを得ないのじゃないかという気特がいたしますが、決定的なことを自信をもって申し上げる段階でもございませんので、要は検討させていただきます。
  36. 辻原弘市

    辻原委員 最後に一点伺っておきたいのは、社会教育施設の問題なんです。これも、私学の場合と同じように、一般法がない。特別立法を作られる場合には、これを公立災害特例法の中に含めていつもやられておるのが例はありますけれども、これは私は私学の場合といささか当たりが違うと思うんです。社会教育施設に対しては、不十分だが、国はその必要を認めて、これに対する援助を行なっている。とするならば、いわゆる国費によってそれぞれの社会教育施設のある部分が建てられておると理解してもよろしいのであるから、学校教育の重大なことと同じように、並び立ってやはり社会教育施設というものの重要性も国としては認めておるならば、やはりこれについての災害復旧ということは一般化すべきではないか。これに対して特例法を作らなければ、公民館の被害がいかに大きくても、それは手がつけられない、市町村は自力でこれをやらなければならない、これも私は実情にそぐわないと思うので、これもやはり一般法を恒久化されるという先ほどからのいろいろな問題等の中に含めて、社会教育施設についでも、同様にやはり一般法を設けてもらいたい、このことを希望いたしておきたいと思うんですが、大臣として、社会教育施設現状というものをどうお考えになりますか。
  37. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 私学と同じ意味ではないにしましても、恒久立法の対象として制度化されておるべき問題として検討すべきだというお説には、賛成でございます。
  38. 濱地文平

    濱地委員長 古川丈吉君。
  39. 古川丈吉

    ○古川委員 公立の学校に対しては、特に辻原委員から詳しい御質疑があったようですから、私は大臣に私学を中心として質疑をいたしたいと思います。  御承知のように、次の台風に対しましては、大体伊勢湾台風並み、こういうふうな基準政府与党が考えておることはただいま申し上げた通りでありますが、ただ、今回の被害というものは伊勢湾台風と違って風の被害が多くて、個人的な災害が非常に多い、こういうことで、一応伊勢湾台風基準でやるとは申しましたが、すでに各省で対策を練っていただいておりまする中にも、農業施設におきましては、果樹に対しては特に伊勢湾台風以上の対策を講ずることに大体なっておりまするし、文教施設にいたしましても、今度は、公立学校について、現在文部省でお考えになっておられることにも、ただいまお話がありました通りに、原則として、被害激甚地その他の場合でも改良復旧をやるとか、いろいろまた伊勢湾台風よりも進んだ考え方をしていただいております。ただ、これは文部省だけの、問題じゃありませんのですが、今度の場合、公立学校あるいは公立のいろいろな施設に対する国の援助というものは、各省標準が違いますけれども被害激甚地、ないしはそうでないところと、一応の基準をもってみな考えられておるようでございまするが、この考え方はわからぬわけではありません。公の場合には、公共団体の施設に関する限り、仕事に関する取り、ある程度被害があるけれども、それよりもはなはだしいところがあるから、このくらいの程度は国の援助がなくても公共団体がやるべきだ、この筋はわかりますけれども、個人的は被害に関する眠りにおきましては、被害激甚地被害激甚地でない場合と、一定基準で分けることがおかしい。いろいろ各省基準を異にしてきめておられまするが、被害激甚地政令で定められない場所に市町村において実際個人が被害を受けておる状態が、いわゆる被害激甚地として政令指定されたところよりもはなはだしい場合、そんな場合でも、個人の施設に対しては市町村は別にこれを一援助するわけではありませんので、伊勢湾台風のときにはそういうような関係があまり多くなかったので、あるいは政府においても、あるいは国会においても、とかくそういう問題は見のがされたのじゃないかと思いますが、大体今度の政令では伊勢湾台風基準ということになっておりまするので、そういう政令指定する地域ということはみな頭にかかっております。これはわれわれ政府・与党としても、正式にまだ政令内容をあまり見ておりませんし議論をいたしませんし、党の政策を決定いたしますときにも、そこまで深入りを——激甚地基準伊勢湾台風によるという、ばく然たる基準はきめておりましたけれども、具体的な問題になりますると、そういうような実情でありますので、これはわれわれといたしましても考え直さなくらやならぬ。だから、公立の学校はそれでよろしゅうございますけれども私立学校に関する眠りは、被害激甚地政令に定められた土地の中にある学校と、そうでない地域にある学校が同じような被害をこうむった場合には、被害激甚地政令で定められた地域の中の学校だけ救済して、それ以外の学校を救済しないというわけにもいくまいと私は思うのです。そういうことが、文部省だけのことではなくして、全体に通じた問題でありますがこの点につきましては大臣どういう工合にお考えになりますか、大胆の御所見をもし伺えれば一つ伺いたい。
  40. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 個人の被害と比較するような意味でのお話でございましたが、個人が被害を非常に受けたということに対しては、特別の立法でも格別考えないということになっておろうかと思いますが、それは、個人の場合は、一種の備荒貯蓄的なものの考え方で、万一の場合に備えなさいと期待しているとも言えないことはない。それと似たようなことは、私学についてもある程度の依存をしておるという気持が根本にはあろうかと思います。それが公立と私立の本質的な、違いからくる、ある程度やむを得ざることかと思うのであります。そこで、お話のような場合におきまして、しからば国としての関連において何をなすかということでございますが、これは私学振興会からの融資という形でそれに必要な資金を心配してやるという、こと以上には、制度上は困難かと思います。
  41. 古川丈吉

    ○古川委員 私は今の大臣の答弁では不満なんですが、これは一個人に関する限り、激甚地といういろいろな——今申し上げておりまする通りに、通産省の中小企業の融資は、災害救助法適用区域を原則としてやる、こういうふうなことになっておりますけれども、これは私はおかしいと思う。文部省としては最高の責任者がおいで願っておるわけでありまするが、文部省一存でおきめになることも、これは私は問題があろうかと思いまするから、この点は、大臣の御答弁に私は決して満足しておるわけではないのでありまして、これは個人的な問題は、どの地域に住まっても実際の被害があるなら、それは公平に救済すべきである。これは何よりも原則だと思っております。また、この委員会でも、すでに内々そういう話が出ておりまするから、あるいは党においても、この委員会においても、その点に関しましては、問題をまた再考を促さなければならぬことがあり得るということを、一つお考え願いたいと思います。〔委員長退席、永田委員長代理着席〕  それから私学の問題は伊勢湾台風並みで、従来、私学が法人である場合あるいは法人でない場合、辻原さんからお話がありましたが、法人である場合におきましては、小学校だけ経営しておるところもあれば、高等学校から大学まで経営しておるところもある。この前の政令では、幼稚園では二十万円以上、小学校では五十万円以上というふうにして助成をいたしておりました。これは中学校補助するのではなく、幼稚園に補助するのではなくして、その法人の経営について非常な経済的な打撃をこうむったのだから、これは補助するということでありまするから、各別々に補助するということはむしろおかしいので、ある法人が全体としてこれ以上の被害金額をこうむったときに補助するこういう考え方の方が私は正しいと思う。管理局長から、もしそういうことをすると、全体の金額が相当な金額で押えられた場合には、現行制度よりもあるいは補助ができなくなるようなことがあるかもしれぬというような御心配をいただいておるようでありまするが、しかし、それは全体の金額を幾らにきめるかの問題であって、中学校がやられても、中学校が、従来のなにから言いますと、五十万円以上となっておるとき四十九万円の被害があった、また、幼稚園では二十万円以上になっておるとき十九万円では、その両万経営しておるときに、ただ両者とも五千円ずつ足らぬために、適用を受けない。こういうようなことは、片一方の万の小学が五十一万円あったら適用を受ける。片一方の幼稚園が二十一万円だけで、中学校一つ被害がなくても受けられる。これは非常な不合理だと私は思う。それは今申し上げておる通りに、小学校や中学校そのものに援助するのではなくしてそれを経営しておる主体の法人に援助するのでありますから、やはり総合して考えるのが、補助建前からいって原則ではないか。この金額をどうきめるかということは別問題でありまするが、そういう考え方でなければ私はいかぬと思う。その点につきましては、私は、今政令でおそらくこのままお出しになると思うのですが、しかしこの点はわれわれもまだ突っ込んで相談をしたことがないのでありまするが、一つそういう問題があるということを頭におきながら、間に合えば早急に——間に合わぬようなことだったら困りますが、間に合えばそこらの点で、全体としては、これとこれを経営しておる者には何ぼ以上、もう一つそういうものを設けていただくと、非常に実情に沿ったことになろうと思います。大蔵省とも御相談しなくちゃなりませんから、そこまで今急にどうこうとは申し上げませんせが、その考え方について、一つ大臣のお考えを承っておきたい。
  42. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 幼稚園、小学校、中学校等を同じ学校法人が経営している場合の例をおっしゃっていると思いますが、おっしゃることはもっともだと思いますけれども、ちょっと今小耳にはさんだところによると、現実はなかなかむずかしいこともあるそうですが、お説ごもっともに承りました。
  43. 古川丈吉

    ○古川委員 今申し上げておる通り、私もその実情はわからぬでもないから、ああいう質問をしたのですが、どうぞ一つそういう考え方で間に合えば今度の政令の段階にいって交渉されて、話がまとまれば、ぜひとも今度に間に合うようにしてもらいたいし、将来恒久立法でお立てになる場合には、ぜひとも一つこれはお考え願いたい。御承知のように、ついでに申し上げるというと恐縮ですが、公立の学校では、今度でも、激甚地の非常な災害一般災害の方とありまするが、私立学校に関する限りにおいては、一般原則的な法律がございませんので、一般原則的な法律も私はぜひとも作ってもらわなければならぬと思います。そういう場合についても、そういうときに問題になると思いますが、こういう点を頭に置いてぜひとも恒久立法を作っていただきたい、この点も一つ大臣のお気持を伺っておきたい。
  44. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 先ほどの辻原さんの御質問にお答えしたのと同じでございますが、私立学校に関しましても、また、社会教育施設に関しましても、恒久立法がないということは、法の不備だと思います。研究さしていただきます。
  45. 永田亮一

    ○永田委員長代理 角屋君。
  46. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 荒木文部大臣に数点お伺いをいたしたいと思います。  先ほど来辻原委員、古川委員から、それぞれ本年度の災害復旧に関連をいたしまして、公立、私立を問わず、あるいは社会教育施設等も含めて、災害復旧問題についての基本的な大臣の御見解を承ったわけですが、大臣の御答弁を承っておりますと、従来以上に前進した気がまえで、しかも、なるべく早い機会に恒久立法化するという御方針で、災害対策の万金を期するようにしたいというそのお考えは、私どもも了とするところであります。ただ、私は、この際、教育の基本的な問題の立場から、今後の大臣の御抱負あるいは方針というようなものについて、まずお伺いしたいと思うのであります。言うまでもなく、小中学校等の教育というものは、これは義務教育に相なっておるわけであります。たとえば校舎等の建築にいたしましても、現在の関係では、小学校においては通常の場合三分の一国が負担をする、あるいは中学校の場合には二分の一負担をする。これが災害の場合には、現行立法においては三分の二に上がる。さらに、特例法においては四分の三に上がる。こういう形で、小中学校等の諸施設に対する補助を国がいたしておるわけですが、本来、小中学校等の義務教育については、私どもは、通常の場合あるいは災害の場合を問わず、なるべく早い機会に、国がやはりこういう義務教育の施設については全額国庫負担にしていく、そういうことを将来の展望として持たなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。与党の諸君の中でも寄り寄り、義務教育の施策の前進ということから、新聞報道等によりますると、教科書の無償配付問題を初め、各般の問題を御検討中のようでありまするけれども政府のいわゆる所得倍増計画、十カ年における諸計画の中でも、特に次代の青少年の教育問題あるいは教育の場としての教育環境、こういう問題は、非常に重要な問題だと私は思います。私ども外国に参ります場合には、その国が興隆するかあるいは衰退していくかは、次代の青少年の眼を見ればよくわかる、こういうことをよくいわれるのであまりすけれども、何と申しましても、将来のわが国を背負う次代の青少年の教育問題あるいは教育の場というものは、非常に重要だと思います。特に小中学校は、憲法上義務教育として考えられておる立場から申しましても、やはり校舎等教育環境の問題については、国が将来としては全額めんどうを見ていくのだ、こういう展望がなければならぬと思う。  〔永田委員長代理退席、古川委員長  代理着席〕 そうなれば、今の恒久立法あるいは特例法というふうな問題等は、少なくとも教育に関する舞台では、それはもう考えなくてよろしいということにも将来の問題としてはなろうかと思う。この際、文部大臣も、相当長期にわたって文部大臣として在籍中でありますが、特に義務教育の小中学校の舞台における教育は、国の債任——将来は義務教育については、PTA等の諸負担というものを削減をし、あるいはなくしていって、国の責任でやっていく、こういうことで考える場合に、所得倍増計画の中でそれが実現の可能性を持っておるのか、あるいはそれよりもまださらに遠い将来の問題として考えなければならぬのか、こういう問題についての文部大臣の基本的な御方針を、まずお聞きしておきたいと思います。
  47. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 少なくとも義務教育については、憲法がこれを無償とするといっておるのだから、PTA負担等に依存しないで、無償の方向にやるべきだというお説については、同感でございます。ただ、無償と申しましても、一挙にできませんので、さしより、憲法にいう無償というのは、授業料をとらないことなんだという最低線を、御承知の通り教育基本法でしいております。ということは、財政的余裕があった場合にも授業料をとらないのだという以上に一歩も前進してはいけないということでないことは、これまた明瞭でございますから、ここで、御指摘の通り、少しずつでも無償の方向へ前進していきたいということを、党の方でも考えてもらっておりますが、私どももそういう心がまえでおることは、申し上げるまでもございません。  そこで、今お説は、その無償の方向に行くといたしまして、すべて国庫で負担しなければならないという角度からのお話でございますが、無償にしますことは、国及び公共団体で一緒になって無償にするということも、無償であることに間違いございませんので、たとえば災害復旧にいたしましても、あるいは災害にあらざる学校施設、設備その他父兄負担を軽減するということにつきましても、国と公共団体とが一緒になって、その分担をどうするかは、そのときの話し合いなり立法措置によってきまろうかとは思いますが、そういう意味で前向きの姿勢でやっていくべきものだ、そういうお説には私も賛成でございます。そういう心がまえでやっていきたいと思っております。
  48. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 さっき、災害復旧の基本的な見解、あるいは今後の学校校舎の建築の基本的な見解としていわゆる鉄筋化というものを原則にして、特例として木造でいきたい、こういう御方針は、私は、そのままやはりそういう方向でいかなければならぬと思う。大臣も御承知の通り、今公立学校関係の総坪数二千八百二十万坪のうちで、現実鉄筋化しておる坪数は約一割の二百七十八万坪、木造の二千四百九十三万坪、ブロックその他を含めて、二千八百二十万坪の公立学校坪数になっておるわけであります。従って、鉄筋化の場合においても、大蔵省等の積極的な御認識を得て推進をしていかないと、道は相当に遠い、こういうことであろうかと思う。従って、特に危険校舎あるいは老朽校舎等の新築の場合には、鉄筋化はもちろんでありますけれども、こういう災害復旧の機会には、何といっても、全壊あるいは大破等で復旧をしなければならぬすべての校舎の復旧については、百パーセント鉄筋化していくのだ、こういうところまで踏み切ることが、なるべく短期間のうちに公立学校鉄筋化を達成する第一歩だと私は思う。  私どもは、伊勢湾の特別委員会が作られた際にも、被害県の関係もありまして、終始これに参加した一員でありますけれども、その際に、御承知の通り、当時、文部省災害復旧に対する予算が少ないじゃないか、あるいは査定等についても相当きびしいものがあるじゃないかということで、与野党の関係議員で、超党派的に文部大臣に会ったり、あるいは予算の増額問題について大蔵大臣折衝したりして、数億の予算増加をし、また、査定についてのある程度の手直し等もやった経緯がございます。今回の本年度の災害の場合においても、私どもは、集中豪雨の際においては静岡、愛知、三重を回り、さらに、第二室戸台風災害後においては京都、奈良、大阪、和歌山方面を回って参りましたが、文部省の報告を待つまでもなく、学校関係災害というのは、伊勢湾台風に劣らない深刻な被害が出ておることは、大臣も御承知の通りであります。また、私どもは和歌山、大阪方面の災害地に参りました際にも現実学校の現場に参りまして、こういうひどい状態になっておるのだが、文部省が査定に来た場合には、これを大破といっておる、あるいはこれは現状のままで手直しをして復旧するのだといっておるという学校等に参りましても、これはこの際その地域の地形その他から見ても、あるいは相当にいたんでおる程度から見ても、鉄筋に根本的に切りかえたらどうだというようなことを、お互いに言い合って帰ってきた経緯もございます。従いまして、大臣といたしましては、鉄筋化を前提としていくという御方針は、私どももその通りでなければならぬと思いますが、今日進行しておる学校災害復旧の査定状況、昨年伊勢湾の経験から申しましても、そういう状況について、現地側の強い要請等も十分尊重しながら、災害対策の万全を期するように、一つ関係文部省内の方でも十分実情調査し、万遺憾のないようにやってもらわなければならぬ。それがためには、もちろん、昭和三十六年度の一般会計予算補正第1号で組まれておる規定、いわゆる本号算の関係あるいは予備費の百二十億の関係の中で、特に文教関係の予算について、万遺憾のないような努力も並行しなければならぬと思いますが、その辺のところについて、具体的に、大臣としては、今回の災害復旧の問題については、そういう御方針で臨んでいかれるつもりであるか、お伺いしておきたいと思う。
  49. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今度の災害につきましても、もちろん、建てかえねばならないものは、鉄筋原則としていくという建前でございます。査定にあたりましても、大蔵省と一緒に査定に参ることと思いますが、大蔵省といえども、その基本的な考え方は一致しておると心得ております。極力努力をいたします。
  50. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 今のお考えで、御答弁だけではなしに、特に私ども伊勢湾台風でも経験したことでありますし、今回の災害地の視察の中でも、やはりその必要を痛感した問題でありますので、私どもは、与野党を問わず、教育環境という問題については、積極的に整備をしなければならぬ。ことに伊勢湾のときには、ゼロ地帯以下の鉄筋化の問題については相当強い要請があって、文部省も謙虚にこれを受けて、相当に努力された経緯もあるわけでありますけれども学校鉄筋化の問題は、単に教育関係の整備という問題ばかりでなしに、その地域の状況によっては、不幸な災害の事態が生じた場合の避難場所としても、非常に重要な意味を持っておる。事実、そういうことで相当大きな成果を上げておる事例等もあるわけでありますから、そういうこと等も考えて、それぞれの地域々々の実情に応じ、単に教育関係の整備のみならず、緊急避難の場所というふうな非常事態の場合のことも考えながら、十分な御配慮をお願いしたいというふうに思います。  さらに、第二点の問題として、これは数日前に特に池田総理の御出席を求めた際に、私からも質問の中で申し上げたのでありますけれども、文化財の災害復旧の問題であります。私ども京都、奈良、大阪、和歌山方面に参りました際には、特に大臣も御承知の通り、京都、奈良方面は昔からの文化財の相当貴重なものがたくさんあるところであります。東大寺に参りましたり、あるいは二月堂の現場に参りましたりして、各地重点的に文化財の災害の状況を見て参りました。申し上げるまでもなく、文化財は、これは民族の歴史的な遺産でありまして、そのまま保存をするというばかりでなくて、文化財を保存するためには、積極的な防災体制というものにも金を惜しんではならないし、また、災害復旧の場合においては、そういう災害復旧の機会に、再び災害を受けないような改良復旧の機会に、再び災害を受けないような改良復旧というような意味を含めて、この方面にも金を惜しんではならない、こういうふうに思うわけであります。緊急の問題としては、たとえば奈良の二月堂の場合には、来年の二月の奈良の水取りまでに間に合わさなければならぬところが相当やられておるというような問題等もありまするけれども、それは過般文化財保護委員会の方の事務局長から、時期に間に合うように善処したいということでありましたから、そういう具体的な問題には私は触れませんが、文化財の問題については、池田総理は、私ほど文化財の問題について熱心な者はないのだと言って大みえを切っておられましたが、これは各国の事例がら申しましても、こういうようなものを現状のままというのではなしに積極的に民族の歴史の遺産というものを保存し、また、将来にこれを伝えるということが必要であろうと思う。そういうところからいって、文化財関係の予算の問題、あるいはまた文化財関係災害復旧の場合の技術者の問題も、普通の大工ではもちろんいかぬわけでありまして、これらの技術者というのはなかなか得がたいということを私ども聞いております。そういうきめのこまかい問題も含めて、今回の災害の状況から申しまして、文化財の比較的多い京都、奈良方面がやられておるというふうな実態等も考え、今後の予算の関係においても、防災面あるいは文化財保護の積極的な面、あるいは災害を受けた文化財に対する積極的な災害復旧の面等については、文部省が直接の所管でありますので、よく実態を見ながら、積極的な予算的な措置等を伴う御努力を願いたいと思いますが、いかがでございますか。
  51. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 文化財保護につきましては、むろん、今までも応分の努力をして参っておりますが、特に明年度概算要求については、ただいまのお説のようなことも念頭に置きまして、今まで以上に文化財の保護、災害難というものが起こらないようにという角度からの概算要求をいたしておるわけであります。極力これを大蔵省から負かされませんように努力して、予算も獲得したいと思っております。
  52. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 それでは、今文部大臣に重点的にお伺いをしました点で、私の質問は終わります。
  53. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 島本委員
  54. 島本虎三

    ○島本委員 被害地の悲惨な状態にありました文教関係のことについて、被災児童生徒に対する何か特別な措置ということを考えられておるかどうか。ことに、この問題については、おそらく人災であるといわれたり、いろいろいわれておりますけれども、この要保護者またはそれに準ずるような階級の児童のいろいろな対策というものは、おろそかにできないと思う。外的ないろいろな復旧はよろしゅうございます。大体わかりました。内的な児童を中心にした、この種の自活できるそれ以下の人たちの対策ということは、これは重要だと思います。こういうような特例措置(または特に措置)として考えられておる点がありますか、大臣に伺っておきたいと思います。
  55. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 災害等の場合には、御案内の通り、要保護ないしは準要保護の児童そのものに対しまする考え方としては、教科書を初め学用品等の支給には遺憾なきを期しております。
  56. 島本虎三

    ○島本委員 大体わかりましたけれども、この実施主体が普通の場合は市町村で、そういうことになりました場合には、半分が国費であって、半分が市町村費によるものであって、当然その中間自治体は関係しないようになっている。そうなると、国がやっても、半分の費用の関係で、疲弊している市町村と、普通にやれる階級の市町村では相当その差があると思いますが、この際、思い切って国が全額これを持ってやって、そういうような場合には、準要保護児童生徒に対する教科書、図書または学用品、通学費、それから医療関係費、給食費の助成、こういうような特別の措置を国として単独で考える必要があるのではないか。この点、大臣いかがでしょうか。
  57. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 現在としましては、国が全額持つということでなしに、国と市町村が半々持ちでやらざるを得ないような状態でございます。  ところで、今御指摘のように、災害を受けました町村が、非常に財政状態が悪い、わずかであっても半分を持つことすらも困難である、こういうこともないとは言えないと思います。しかし、そのことのために特別のことは措置いたしておりませんが、これは自治省の分担の範囲としまして地方財政措置上、結果的には考える道は当然あると思います。災害が起こった際、そういう要保護、準要保護に対する特別措置を講じなければならぬ。半分は持てない、だから国が全部持つということは、道がないものでございますから、すぐにはやれない。結果的には、教材整備の一般的な措置の一端としてしかやれないということは、不便なようではございますが、結果的には見殺しにすることはない、かように考えております。
  58. 島本虎三

    ○島本委員 大臣、もう一歩だと思うのです。従って、その場合には、都道府県がかわってその半額を負担してやって、都道府県に対しては、また別に財政負担等も考えてやる、こういうふうにしていったならば、直接この場合には都道府県は関係いたしませんのでこちらの方からいく道が市町村に対して何らないわけですから、都道府県に対してもそういうような幅を持たせるような特別措置を考えたならば——全額国庫負担というところまでおそらく大臣は考えておられるのだから、災害の場合の児童に対する対策も、もう少し考えてやるべきではないかと思うわけです。もう一歩ですが、この点いかがですか。
  59. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 お気持はむろん十分わかりますが、市町村が半額持つと申しましても、特別に税金を増徴するという形でなしに、交付税で裏打ちするわけでありますから、実質負担というものにはならないという制度にはなっておるかと思います。ただ、急場の間に合わないということがありやなしやということは、私もよくわかりませんけれども、結果的に町村の負担の上にさらに被害を受けてひどい目にあうという結果にはならないということだけは、申し上げ得ようかと思います。
  60. 島本虎三

    ○島本委員 その点は、十分検討しておいていただきたいと思います。  次に、災害救助法適用地以外の被災児童に対する教科書その他の援助というか、無償給与というか、こういうような方法も当然考えておかなければならないと思います。これは特に被害を受けるような場所はもう限定されますが、しかし、子供の場合には、床上浸水といったようなことがたくさんあった際には、えてして教育資材あたりは被害を受けがちですから、そういうようなところに対しての無償給与も十分考えておいた方がいいのではなかろうかと思いますが、この点大臣考えておられますか。
  61. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 今のお話のような場合には、すなわち、災害救助法適用指定されなくて、災害があって、要保護、準要保護等が同じような事態に立ち至った場合も、むろん、さつき申し上げたことがなせる道が開かれておりますから、問題は同じような事柄と心得ております。
  62. 島本虎三

    ○島本委員 これで終わりますが、公立学校施設災害復旧費国庫負担法施行令第七条、これは適用除外金額の規定をしてあるところですが、この十万円以下の災害復旧に関する助成措置、こういうような点等についていろいろ答弁がありましたが、その考え方は私は賛成ですから、これを早く立法化してこれをあわせて恒久的な施策もやっていただきたい。とりあえず、今大臣はこの十万円以下のものに対してどのような方法を考えておられるのか、やり方について、一端をお知らせ願いたいと思います。
  63. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ただいまのところは起債を世話いたしまして、利子補給をするというやり万でございます。
  64. 島本虎三

    ○島本委員 これで終わります。
  65. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 玉置君。
  66. 玉置一徳

    ○玉置委員 文部大臣に簡単に二間御質疑をいたしたいと思います。  一つは、小中学校に関しては、今後コンクリートの永久構造物を主にやっていきたいという御答弁をいただいて、非常に喜んでいるわけです。そこで、今次の災害につきまして、そういう意味改良復旧のでき得る場合は、なるべくそれを取り入れていきたいということも御答弁をいただいたわけです。私のお尋ねいたしたいのは、相当大きな被害を受けた小中学校で、相当年数もたっておるので、多額な復旧費を入れること自体よりは、思い切ってこの際コンクリートに一切建てかえた方が、かえって経済的じゃないかというふうな破損度の非常に多い学校であります。一むねでありますと、片一方に永久構造物というわけにもいきませんので、そういう場合に、建設省なんかで行なっておりますように、関連費と申しますか、つまり建てかえます場合は統合でありますと二分の一、そうでなかったら三分の一の補助しかございません。今度の激甚地になりますと四分の三の補助をいただきます。そこで、その三分の一の補助のうちに、そういう被害を受けた四分の三の補助をもらえる面積分だけは、その四分の三の補助をいただいた分で思い切って建てかえることができないかどうか。建設省は大体そういうようにやっておるわけです。災害が起こった分だけは災害補助率でやりまして、そして思い切って直しましたまわりのものは、普通の関連費という形の補助率適用しているわけでありますが、文部省の小中学校の今次の被害の相当激甚なところで、今数百万の改良費を投ずるよりは、どうせ寿命の短い、古い建物ですから、この際思い切って建て直した方が好ましいと思われるような建物に対しては、やはり三分の一の補助しかないというのが現状です。そこに、その部分の面積だけは四分の三に該当する補助率を与えていただいて、この際思い切って建て直すというようなことができ得るかどうかまたでき得るようにお願いを申し上げたいのですがいかがでございましょうか。
  67. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 ちょっと具体的に明確にお答えできませんので、政府委員の方からお答え申し上げます。
  68. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 ただいま御質問の点でございますが、災害の場合に軽微な被害しかしなかったが、その校舎自体が相当老朽化しておるというような場合であろうかと思います。この場合は、従来の扱い方といたしては、災害の四分の三のいわゆる特例法適用でなくいわゆる公立学校の整備の一般予算でもって危険校舎に指定されておりますと、これを改築していくということでございます。従ってそういう措置をできるだけとっていきたいということで従来やっておりますけれども、おっしゃるように負担率は低うございます。しかしながらこれは、その裏は起債を全部見るわけでございますので負担率は低いけれども、やはり災害の場合にそういう事態が発生した場合には、特に危険校舎としての改築を改良復旧で認めていくという方針で、従来は処理しております。
  69. 玉置一徳

    ○玉置委員 今の御答弁ですが、それを何とか、災害補助率と普通の改良の補助率とを混合した形で将来いっていただくような方向にやっていただくことがほんとうの意味改良復旧だと私は思うのです。でないと、土木と違いまして、学校なんかは、改良復旧という言葉が、言葉だけで実体は存しないのじゃないかということを非常に心配するわけです。今後一つお考えいた、だきたいと思います。  第二点の文化財保護の問題は先ほど来大臣からも御答弁をいただきたいわけでありますが、京都や奈良におきましては、文化財保護の指定を受けなくても、非常に重要な神社仏閣がこの際非常に痛められたわけです。御承知の通り、風台風でございますので、一番でかくそびえておる神社仏閣がまともにやられておるというのが現状でございます。憲法の問題もありまして、町村もいらいにくい、府県もいらいにくい、ましていわんや国もあまりいらわないというのが現状でありまして、それをめちゃくちゃにやられた町村の人々が共同で何とかしなければいかぬ、しかもこれは住宅でもありませんので住宅資金にはひっかからない、どこにもひっかからない文化財指定に次ぐような大事なものがたくさんありながら、そのまま放置されておるというのが現状であります。これは文部大臣にお願いするしか方法がないわけですが、どういうようなお考えをしていただいておるか伺いたいと思います。
  70. 荒木萬壽夫

    荒木国務大臣 文化財に指定されないような神社仏閣等の施設被害をどうするか、文財ではないが、そのすぐ近所にあるボーダー・ラインのものであるというようなものについて非常に御心配な御質問かと思います。どうもすげないことを申しておそれ入りますが、国として文部省が担当してやるについては、やはり国会でお定め願った法律の規定そのままをやる。そのためボーダー・ラインはつい見過ごしになるということは必然の結果であってまことに恐縮ではございますがどうにもならぬと申し上げざるを得ないのではないかと思います。ただ実際問題としては、そういう場合には、その神社仏閣の信者なり檀家なり、そういう人々の浄財によっで従来もやっているだろうし、今後もやってもらうよりはかなかろう、またその所在する府県で観光的な面あるいは都市計画等の面からもし何らかの援助の手を差し伸べるこもあるかどうか、私もつまびらかにしますが、そういう国以外のところで善処していただくより手がないのではなかろうかと思うのでございます。神社仏閣にしましても、その住居の部分と神社仏閣本来のものとの差別はございましょうが、いずれはむね続きでやっておりましょうから、そういう住宅に相当するものは、一般に国民金融公庫その他からの資金の援助等もあるでありましようけれども、また学校施設等もやっている、同じ建物で学校活動をやっているところもあるようですから、それをもしも学校として考え得ますならば、その面からの援助というものは当然あり得るわけでございます。神社仏閣それ自体について重要文化財に指定されていないならば、それだけとしてはちょっとどうにもならないのじゃないかということをお答え申し上げます。
  71. 玉置一徳

    ○玉置委員 終わりました。
  72. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 文部大臣に対する質疑はこれにて終わります。  佐藤通産大臣出席されているようでありますが、参議院予算委員会等への出席要求されておられますので、大臣に対する質疑はなるべく簡単にお願いします。原田君。
  73. 原田憲

    ○原田委員 一言だけ御質問申し上げます。  〔古川委員長代理退席、秋山委員長   代理着席〕  一昨日、この委員会で総理大臣の御出席を得まして、その際にもお尋ねをしたのでありますが、日本の経済成長の最も大きなにない手であるところの港湾地帯、また日本が世界で最も経済の成長しやすい立地条件に恵まれているところはこの海岸に取り囲まれていて、よき港湾を持っている地帯でありますが、その四大工業地帯というものがこれからの経済成長の場合最も大きなにない手である、これをしっかり守っておかなければ、この経済成長というものは根本からゆらいでくる。従いまして、災害に対するところの防災的な見地にも立ってやっていかなければならぬのでありますが、たまたま今次襲った室戸台風によって大阪地方が非常に激甚な損害を受けました。その中で私は、今の高潮対策と関連する問題で、ちょっと一点お伺いいたしたいと思うのでありますが、今までの質疑を通じまして、大阪地方におけるところの港湾並びに市内河川については、これを今かさ上げ中であります、この工事をどんどん急いでやっていく、また補助率等についても考えなければならぬということを言われておるのでありますが、このかさ上げをなぜしなければならぬかという原因を尋ねると、一番大きな原因は——私はまだほかにも原因はあるとも思いますが、大きな原因は地下水のくみ上げである。御存じのように防潮堤の中には、川下では大きな工業地帯、川上に至りましては、もう御存じの通りビジネス・センター、これらの中心地がございます。これらでくみ上げるところの地下水のくみ上げが地盤沈下の一番大きな原因である。さすれば、これを防ぐ方法としては、工業用水を十分にすることによってこの地盤沈下を防ぐ。これをやらなくては、さいの川原に石を積んでおるようなもので、かさ上げかさ上げと幾らやっても追っつかないということになるのでございます。そこで、先般総理はここで、よく地元の大阪とも相談して対処したいという御発言を賜わりました。私は、こんなところで言うのもどうかと思いますけれども、佐藤通産大臣も池田総理大臣といずれが兄たりがたく弟たりがたい宰相としての器であると思います。一国の宰相として日本の経済をどう伸ばしていくかという見地に立っての御答弁を一つお願いいたしたいと思うのでありますが、現在所管をしておられます通産省の所管事項である工業用水について、地元ではこれに対するところの計画を出しまして、どうぞ御協力を賜わりたい、こう申しておるのでありますが、これに対して通産大臣はいかが考えられておられますか、承りたいと思います。
  74. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 ただいま、お話がございました通り、日本の経済発展、これは申すまでもなく周囲が環海であり、至るところに良港がある、これが非常に経済発展の基礎条件として備わっておるものだと思います。ところがこの港湾地帯において、しばしば見られますような地盤沈下というような望ましからざる現象を生じております。大阪あるいは尼崎地区、あるいはまた最近は東京港、あるいはまた新潟、いずれの都市におきましても、工業が発展すると同時に、その地域で地盤沈下が起きて、災害防除の点から見ましても、また将来の発展から見ましても、これは大へんな問題でございます。そこでこれらの原因を探求いたしました結果、全部とは申しませんが、地下水のくみ上げが一つの原因である。こういう意味から工業用水法というものが今できておりまして、指定地域においての地下水の新規くみ上げはこれを禁止するという処置をとっております。かような処置をとることによって沈下を一面防止いたしますが、これが徹底して参りますと、工業用水に事欠くという結果になりまして、せっかく伸びようとする各種工業の発展にも支障を来たすわけでございます。その工業用水法の運用によって一面沈下を防止すると同時に、積極的の面では、地下水にたよらないで工業用水道の開設をすべきであろう、かように考えます。今日まで大蔵省と非常に緊密な連携をとりまして、地方の負担等も考えてこの工業用水道の整備に助成する、こういう処置をとっておるわけでございます。それぞれの地域におきまして、自治体の財政状態等もございますから、一様ではございませんが、ただいま申し上げますように、消極的の面では地下水のくみ上げを制限していく、一面積極的な面で工業用水の確保しかもそれが低廉である、そういう意味の助成方策をとる、そうして経済の発展と、またその地域の秩序並びに安全確保に最善を尽して参る、かような考えでございます。
  75. 原田憲

    ○原田委員 これはもう答弁は要りません。今大臣の御答弁の中に、補助率等も考えてやっていくという御発言がございましたので、私はこれで答弁は要りませんが、大阪地方は、とかく富裕府県であるというようなことを言われて、自分たちの手でやれ、こういうことを往々にして言われがちでありますけれども、私の一番心配しておるのは、この大阪地方だけとってみましても、ほんとうに万全の措置をとろうとするならば、大阪がいかに金があったって、その財政をもってしてはとてもやっていけない。ほんとうならばこれは国家が直轄事業としてやるべき性格のものじゃなかろうかというように考えております。それはもう申し上げませんが十分その点について御留意下さいまして、万全の処置をとっていただくようにお願いいたしまして私の質問を終わります。
  76. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 肥田君。
  77. 肥田次郎

    ○肥田委員 私も、重複しないように、大阪の工業用水の問題について御質問したいと思います。  まずお聞きしておきたいことは、簡単に言いますと、大阪の今度の高潮の被害というものは、実は地盤沈下が主要な原因である、こういうことを特に大阪の地域では強調しています。それから、被害の点についても、被害が少なかったということは、これはもう最大限の努力をした結果が被害をこれだけの範囲に防ぎとめたのだ、こういうことも強く訴えております。ですから、被害が少なかったということが、将来の復旧対策についてもし響くようなら、これは非常な間違いだから、その点は特に強調してくれ、こういう意向が強いのであります。そこで、実は先般来この委員会を通じて建設大臣やその他の関係方面にこの点をるる、それぞれの委員も、質問あるいは意見を含めて言っておったと思うのですが、昨日総理大臣のおいでになったときに、実はよく話を聞いていないのだ、こういうお答えがありました。これじゃ、今日まで日にちをかけてここで質疑を繰り返して、それが何らかの形に現われてくるだろうというふうに期待をしておるところのわれわれとしては、まことにどうも不本意な話でありますので、いわゆる実力者大臣として、私はこの点についてはぜひ一つそういう意味で聞いていただきたいということもお願いするのであります。簡単に言いますと、今度の地盤沈下の対策というものは、大臣のお答えにもあったように、高潮というのは地盤沈下というものが主要な条件であるということについては、これは私もその通りに信じてよろしゅうございましょうね。
  78. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 いろいろの原因が競合すると思います。しこうして大阪地区は、過去におきましてもしばしば高潮の災害をこうむっておるわけであります。そういう経験から防潮堤が整備されまして、一時、そういうものの整備の結果、災害から免れることができた。しかし、一応できた防潮堤も、地盤沈下等の結果、用をなさないといっては言い過ぎでございますが、非常に危惧されるものが出てきておる。そこでさらにこの防潮堤のかさ上げその他整備、こういうことがただいま問題になっておると思います。私は大阪に勤務したことがございますので、大阪の前々回ですか、高潮の災害、これはみずから経験したのでございます。それらのことを考えますと、防潮堤がその後の災害から大阪を救ってくれておる。そういう点を考えますと、今後一そう整備されたものが必要である。そうして一面地盤沈下の速度をゆるめることはできた、かように考えますけれども、最近は、工業用水のみならず、冷房用の地下水のくみ上げなど非常に多いのでございますし、そういうことを考えますと、ちょっと想像のできないような場所で災害を受けておる。今回などは医科大学の構内も大へんひどい損害のようでありますし、私が経験した際は、大阪駅の小荷物室で大きなフナがとれた、そういう事態があったことを記憶いたしております。どうしても完全なものでこれを守る、これが望ましい、かように考えます。
  79. 肥田次郎

    ○肥田委員 おっしゃるように非常に理解が深く承りまして、われわれも話を進めやすいのですが、実は大阪では地盤沈下対策というのには非常な熱心さを持っています。実はこういうことがあったのであります。御承知だと思いますけれども、地盤沈下が一時やんだ時期がありました。それから再発した。そのときに、いわゆるその方面の権威者が寄って立てられた対策は、地盤沈下の原因は地下水のくみ上げではなしに、それもむろんあるだろうけれども、それよりも最も特異な条件としては、いわゆる地層が大阪湾に向けて流れ出したのではないか、だから防潮堤の少し深いものを作ればそれで足りるんだ、こういう計画がたしか二十八年ころに設計図として作られて、防潮堤作業にかかった。こういう時期があったということを聞きました。その後、依然として地盤沈下が激しくなってくるというので、最近になってやっと、これはえらいことだというので、かさ上げ工事に数年来取りかかっておる。こういうのが実情だということを大阪の直接関係者は訴えております。そういたしますと、最近の傾向からして、何としてもやはり工業用水あるいは冷房用水のくみ上げ制限以外に考える余地はないのではないか、こういうことを痛感いたします。尼崎においては早くから地盤沈下しておりましたし、いろいろ聞いてみましても、地下水の層が必ずしも一衣帯水の関係にあるのではないから、この辺はそんなことはないだろうという説があったとしても、われわれはどうも安心できないのであります。従って当面の対策としては、原田委員も言っておられたように、地下水のくみ上げ制限ということをすみやかにやってもらわなければならない。工業用水の規制法ができるということでありますので、それはすみやかにやってもらわなければならぬ。それから同時に工業用水の規制をやるということは切りかえの必要が生じて参ります。先般も河川局長のお話を聞いておりますと、大阪あたりで一日三十六万トン、東京地域で五十万トンのいわゆる給水計画というものは十カ年くらいかかるのだ、こういう話であります。十カ年もかかっておったのでは、実はこれは大へんなことでありまして、今問題になるのは、大臣もおっしゃったように、補助率を考慮していただくということは——補助率は採算がとれるというのではなしに、当面、今切りかえさす条件としては、工業用水を給水する設備と、それから現実に使用するところの用水の料金が安くなる、このことがなかったら、現実にそれぞれの条件を持っておるところの工場あるいはビルディングの冷房用水、これらを切りかえさすことは実は不可能だろうと思います。そういう点について、建設省の計画は十カ年計画だ、これでは実際には間に合いませんので、その点についてもっとすみやかにいけるような方法を講じてもらえるようなお考えはあるのかどうかを伺っておきたいと思います。
  80. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 誤解はないかと思いますが、ただいまあります法律が工業用水法、これはもうすでにあるのであります。今ちょっと、これから作るんじゃないかということですが、そうではなくて現実にあるのであります。これは一定の地盤沈下の激しい地域指定いたしまして、そこにおいての新しいくみ上げを禁止いたしておるわけでございます。この工業用水法はそういう意味で消極的な効果はあると思いますし、また建設大臣からお答えしたことだと思いますが、新しい冷房用の地下水のくみ上げを特に制限することを考えてみたいということを申しておられます。地下水ならば安い、そういう意味で今まで地下水のくみ上げが行なわれておるのでございますが、ただいまのような法律がございますので、この運用によって新しいもののくみ上げを禁止する、それで地盤の沈下を押える、こういうようにしたいと思います。  一面、そういうことをいたしますと工業用水が足りません。そうでなくても不足がちである。そこで工業の発達にいろいろ問題を生じますから、大阪ではそういうことを考えて、堺地区その他のために工業用水道を計画しておられる。これはすでにそれぞれの計画等についても政府も一応協力いたしておるわけでございます。最近は、国会で御審議いただいておりますように、水資源開発公団ができ上がれば、利根川水系、淀川水系を中心としていくということでございますから、そういう意味では、工業用水道の整備等にもこれは役立つと思います。現在計画されておる工業用水道、これは全国的な問題ですが、通産省はこれが助成方策を講じておるというのが現状であります。大阪の鉱工業の発達の現況等から見ますと、今の計画だけでは不足がちだと思いますので、さらに積極的に工業用水道の整備が必要だろうと思っております。また最近でき上がりました愛知用水の場合におきましても、これは名古屋を中心にしての工業用水道に今後非常に貢献する、かように考えます。名古屋自身も地盤沈下という問題を生じております。ところが今日までのところを見ますと、相当高価な水になっておるようであります。これなどは一つの例だと思います。今後水資源が開発される場合もやはり低廉にして豊富な工業用水を確保するという方向でなければならぬと思います。そういう意味政府は、自由民主党の中の各種の委員会等を通じまして、そういう意味の積極的な努力を今しているわけであります。ただいま御指摘になりました点の方向ですべての点が進んでいる、かように御了承願いたいと思います。
  81. 肥田次郎

    ○肥田委員 約束の時間がございますので、質問はこれで打ち切りたいと思いますが、繰り返して聞いておいていただきたいことは、切りかえる方策を講ずるとしても、現在の料金でも高いんだということがいわれておりますので、この料金の補助については相当大幅な考慮をしていただかないと、実際になかなか切りかえが困難だ、こういうことを訴えてきたのです。この点については特に御再考いただきたいと思います。  終わります。
  82. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 正示君。
  83. 正示啓次郎

    ○正示委員 通産大臣に、大へんお忙しいところを御迷惑ですが一言だけお尋ねいたします。  私の郷里の和歌山県に、通産省の関係の関西電力のダムがございます。日置川というところで殿山ダムと申します。このダムが従来たびたび、開門をを開いて水を流しますと下流に被害を生じまして、問題を起こしております。そこでただいま通産省にお願いいたしまして、大阪の通産局長が中心になりまして、関係者の間で協議会を開いていただくようにお話を進めております。実はただいまここに御出席の大堀君が公益事業局長のときもいろいろ御心配になっております。御承知のように今回の災害におきまして、ダムの問題が下流の人たちに大へん不安を与えております。私は思いますのに、関西電力のダムあるいはその他の電力会社あるいは電発のダム等につきまして、ダムの操作規程に関して十分にPRされていない部面がある、下流の人たちが周知していない面が相当ございまして、その誤解に基づく不安も相当あるのではないかと思うのであります。電力の開発ということは、エネルギー資源の重要な一環でございまして、各地において、ダムの問題はこれからさらに多くなると私は思います。と同時に、風水害に伴うダムの危険についての不安もまた生ずるわけでございます。どうか通産大臣におかれましてはこういう点に十分御留意いただきまして、今後ともダムの操作の問題、あるいはダムを作りました場合に、それが関係の住民に対して無用の不安を与えないようにするために、今申し上げたようなPRを徹底さすとか、あるいは協議会等によりまして官民の意思が十分疎通いたしますような方策につきまして、一段の御高配を願いたい、こう存じます。一言だけお願いします。
  84. 佐藤榮作

    ○佐藤国務大臣 本来ダムはひとり発電用のダムといわず、その他の多目的ダム——これは申すまでもなく治水上役立つというその効果は高く評価されておるわけでございます。ところで、発電用のダムにいたしましても操作規程がございます。この操作規程の中心をなすものは、ダムで収容する許容水量が一つの限度を越しますと、それを放水するということであります。それで実は調節をしているわけでございます。ところが一般に考えられますと、ダムができておる、そうしていたずらに水をためておる、その水がいよいよ持ちこたえられなくてそれを放水するから、下流地域に洪水を生ずるんだ、こういうようなお話をしばしば聞くのでございます。そうではなくて、ダムができると、そのダムの許容水量というものがございますから、それをオーバーした場合に放水するということで、それで調節の役をしておるのでございます。従いまして、過去において、この規程の建前から申せば、いろいろの問題を起こさなくて済むんだろうと思います。しかし人の運営していることであって、全部が全部、完全無欠にその通り行なわれておるとは私も断言しかねますし、また許容水量にいたしましても、あるいは少し大き過ぎるというようなことがあるかもわかりません。そういうような点も今後さらに検討を要する問題だと思いますし、一面、ダムの中に土砂が堆積して、建設当時と事情も変わっておることと思います。今後、今申されましたような点について十分注意をし、また関係方面ともよく協議するように注意して参るつもりでございます。
  85. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 暫時休憩いたします。    午後零時四十三分休憩      ————◇————— 〔休憩後は会議を開くに至らなかった〕