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1961-10-18 第39回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十八日(水曜日)    午前十時四十九分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 秋山 利恭君 理事 生田 宏一君    理事 永田 亮一君 理事 古川 丈吉君    理事 坊  秀男君 理事 岡本 隆一君    理事 角屋堅次郎君 理事 下平 正一君       大野 市郎君    岡本  茂君       金子 一平君    仮谷 忠男君       岸本 義廣君    正示啓次郎君       田澤 吉郎君    谷垣 専一君       原田  憲君    前田 義雄君       阿部 五郎君    淡谷 悠藏君       石田 宥全君    太田 一夫君       五島 虎雄君    島本 虎三君       辻原 弘市君    楢崎弥之助君       西村 力弥君    肥田 次郎君       八木 一男君    玉置 一徳君  出席国務大臣         農 林 大 臣 河野 一郎君  出席政府委員         大蔵政務次官  天野 公義君         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         農林事務官         (蚕糸局長)  立川 宗保君         林野庁長官   吉村 清英君  委員外出席者         農林事務官         (大臣官房総務         課長)     石田  朗君         農 林 技 官         (農地局参事         官)      堀  直治君         農 林 技 官         (食糧庁業務第         一部長)    田中  勉君         水産庁次長   村田 豊三君     ————————————— 十月十八日  委員渡海元三郎君、島本虎三君及び中島巖君辞  任につき、その補欠として田澤吉郎君、太田一  夫君及び西村力弥君が議長指名委員選任  された。 同日  委員田澤吉郎君、太田一夫君及び西村力弥君辞  任につき、その補欠として渡海元三郎君、島本  虎三君及び中島巖君が議長指名委員選任  された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同  年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資  金の融通に関する特別措置法案内閣提出第五  二号)  昭和三十六年六月及び八月の豪雨による堆(た  い)積土砂並びに同年六月、七月及び八月の豪  雨による湛(たん)水の排除に関する特別措置  法案内閣提出第五三号)  昭和三十六年五月二十九日及び三十日の強風に  際し発生した火災、同年六月の水害又は同年九  月の風水害に伴う公営住宅法特例等に関する  法律案内閣提出第五四号)  昭和三十六年六月の水害、同年七月、八月及び  九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美  濃地震による災害を受けた公共土木施設等の災  害復旧等に関する特別措置法案内閣提出第五  七号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地震による災  害を受けた地方公共団体の起債の特例等に関す  る法律案内閣提出第五九号)  昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六  月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若し  くは風水害又は同年八月の北美濃地震による災  害を受けた農林水産業施設災害復旧事業等に  関する特別措置法案内閣提出第六三号)  昭和三十六年五月、六月、七月、八月及び九月  の天災についての天災による被害農林漁業者等  に対する資金融通に関する暫定措置法の適用  の特例に関する法律案内閣提出第六四号)      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  昭和三十六年六月、七月及び八月の水害又は同年九月の風水害を受けた中小企業者に対する資金融通に関する特別措置法案外六件を一括して議題とし、主として農林省関係について質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。淡谷悠藏君。
  3. 淡谷悠藏

    淡谷委員 振興局長にお尋ねいたしますが、今度の第二室戸台風は、雨を伴わなかったために、果樹に対する被害がきわだって見えております。この果樹に対する災害対策が現在のところでどれぐらい立っておりますか、具体的に一つ御説明願いたいと思います。
  4. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お答えいたしたいと思います。今回の室戸台風に伴いまして果樹災害は非常な大きな損害を見ておることは御承知通りでございます。被害面積約十万町歩被害額約八十億というふうに相なっております。この結果、果樹につきましての非常な大きな被害は、落果による被害が大部分でございますが、なおこの間におきまして立木に亀裂を生ずるとか、あるいは折損を生ずるとか、あるいは葉が枯れるとかいうような、樹木自身に対する損害がこのほかにも見受けられるわけでございます。このような経緯にかんがみまして、従来の果樹に対します被害対策といたしましては、先般の伊勢湾のときにおきまして同様果樹が相当大きな被害を受けまして、それに対する特例措置を講じたわけでございます。今回におきましても伊勢湾台風の例に準じまして、特例融資措置を中心に講ずることにいたしておるわけでございます。  具体的に申し上げますと、第一は、天災資金につきましては限度額引き上げ償還期限延長等措置を講ずることにいたしまして、すでにこの国会におきましては、その改正案を提案いたしておる次第でございます。第二は、果樹の今の天災資金によりまして種苗の購入であるとか、あるいは樹勢回復用肥料農薬購入、その他の諸資材についての購入資金に充てるということになるわけでございます。  第二の措置といたしましては、果樹につきましての個人施設に対する融資措置でございます。果樹だなでありますとか、あるいは貯蔵庫でありますとか、そういった個人施設に対しましては農林漁業金融公庫から、特に災害に対しまして特定の個人施設に対し直接融資する措置を講ずることにいたしたい。その際、金利の引き下げと据置期間延長、さらに個人施設の一戸当たり融資限度額引き上げ等特例措置を今回も行ないたい、かように考えておるわけでございます。  なお、伊勢湾台風当時と現在におきまして趣を異にいたしております点は、その後におきまして果樹振興特別措置法が制定されまして、果樹につきましては相当長期低利資金融通する道を開くことにいたしておるわけでございます。それと相関連しまして、公庫から果樹関係災害資金に対しましても植栽資金融通するという道を開くことにいたしております。これは期間がきわめて長期でございまして、据置期間が十年、償還期間が十五年、二十五年にわたる長期資金でございますが、これを今回は農林漁業金融公庫から災害植栽資金として融通するような措置を講じて参りたい、かように考えておるわけでございます。  なお、そのほか、共同選果場であるとか、共同荷受場であるとか、こういった農協の共同利用施設につきましては、別途提案いたしておりまする農林水産業施設暫定措置法改正によりまして、特別の高率補助ができるということに相なっておるわけでございます。  以上のような措置によりまして、大体果樹農家に対する必要な資金については、十分供給できる体制ができておるのではないか、かように考えて鋭意これを進めることに努力をいたしておる次第でございます。
  5. 淡谷悠藏

    淡谷委員 重ねてお尋ね申し上げますが、天災融資法による限度額を上げたのは、どこまで上げましたか。
  6. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 果実の生産を主たる業としておる農業者につきましては、一般の融資限度は二十万円でございます。これは通常の場合は十五万円でございますが、今回は二十万円に上げまして、さらにそれに十万円プラスした三十万円まで引き上げるということにいたしております。
  7. 淡谷悠藏

    淡谷委員 償還期間は何年にしておりますか。
  8. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 法律上現在、五年以内となっておりますのを七年ということにいたしております。
  9. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次にお尋ね申し上げたいことは、果樹災害調査方法でございますが、御承知通り果樹は非常に種類も多うございますし、それから同じ果樹であっても、樹齢によりましてはさまざまに被害が違う。あるいはまた落果をいたしました時期等によりましても、落ちた実の売りさばきの方法等が違ってくると思う。大体伺いますと被害額は八十億と押えられておるようでありますが、実際の調査にあたりまして、正直に一つお話し願いたいのですが、そういう困難はなかったかどうか。またそういうふうな調査が確実にできておるかどうか。実は一昨日農林省の方にこの被害の実績についての調査をお願いして、資料も請求しているはずなのでございますが、まだ出てきませんので、この際局長からお話し願いたいと思います。
  10. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お答えいたします。今先生から資料の点が御要求がございましたが、何かの手違いか私の方は承知ていなかったので、大へんおくれまして恐縮でございます。今回の災害につきましての概況をすでに発表いたしたものがございますが、それによりますると、果実被害面積につきましては、先ほど申しました十万四千六百町歩被害量が二十八万四千七百トン被害額が、これは見込みでございますが約八十二億、こういうことに相なっております。  調査方法でございますが、これは九月二十五日現在で、各統計調査事務所を通じまして現地調査をいたしたわけでございます。被害の率三割以上と三割未満というようなことで調査いたしておりまして、大体落果に対する被害ということになるわけでございます。立木そのものに対する被害調査というものは、なかなか見積もりも困難でございますが、その被害額は今申し上げた中には入っていないのでございます。
  11. 淡谷悠藏

    淡谷委員 落果調査はされたでございましょうが、これは数量は出てきますね。ミカンはどれくらい落ちた、リンゴはどれくらい落ちたという数量は出て参ります。この数量と八十億円という金額との関係はどこで結びつけましたか。
  12. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今御指摘通り、各事務所現地におきまするそれぞれの果樹についての落果量というものは大よそ見込みがつくわけでございます。評価につきましても、現地の各地方における大よその評価額に基づきまして評価をする、こういう方法をとっておるわけでございます。
  13. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはあとで対策について非常に重大な因子になりますので、重ねてお尋ねいたしますけれども、その際に、落果をした実と、落果をしなかった場合の実との差というのはどれくらいの割合で引いておりますか。この被害額というのは、全部その当時の相場によって換算されたのか、その相場から落果加工の方に回した場合の差額で金を見積もったのか。これは大きいですよ。全部落ちたものを捨てるものとして換算した場合と、利用し得る方法に従って差し引いた場合と、これは大へん違うと思うのです。量が多いですからね。この点はどうなされましたか。
  14. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまの御質問でございますが、これは統計事務所の方はどういう評価現地にやらせておりますか、今詳細なことを私から申し上げる用意をいたしておりませんので、もしその間におきましての詳細が御必要でありますならば後刻申し上げたいと思います。ただ、申し上げておきたいと思います点は、もちろん御指摘通り落果の中におきましても、そのまま市中に販売できるものもあり、それから加工用に回し得るものもあり、それからほとんどもう用をなさないで、そのまま捨て去るようなものもありますので、その間大よその平均というような形でとっておりますか、ある程度仕分量によってやっているところもあろうと思います。たとえば、何割以上は市場に出得るものと見られるというようなものも現実にあり得るわけでありますので、当然そのような評価方法も入れた損害額ということで出ておるのではないかと思いますけれども、詳細は統計の方の専門家から聞きまして御報告を申し上げたいと思います。
  15. 淡谷悠藏

    淡谷委員 まだ十分の御答弁はできないようでございますが、さっきも話しました通り果樹というのは大へん種類が多いのでございますし、また地方地方によってはいろいろ栽培法あるいは処理方法の違いもあるようでございます。そこで、統計に関して果樹落果数量トンで調べることになっておりますか、あるいは箱数によって調べることになっておりますか。どっちで調べることになっておりますか。落果果実数量の単位、これは何トンというふうに勘定されますか、あるいは何グラムですか、あるいは幾箱ということになりますか。
  16. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 その点も後ほど統計の方から詳細に申し上げますが、私の聞いたのではキロで計算しておると思います。
  17. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ところが、この農林省統計果樹トンでしょう。そうすると、やっぱり一本にしないと、八十億というこの積算の基礎がわからない。ある統計事務所キロで換算し、あるところではトンで換算すると、大へんな苦労じゃないですか。  大臣一つお聞きしますけれども、これからやはり所得倍増計画に従いまして、果樹畜産というのは表面に出てくる農産物になって参りますが、お聞きの通り調査自体がまだ非常に整理されていない。この際大臣果樹とのみ限りませんけれども、特にきょう私は果樹の問題で質問しておりますので、一つ果樹に対する調査災害に限らず果樹に対する調査というものを非常に強化しまして、果樹を伸ばす基本的な御指示をされるような御意思はございませんか。つまり、統計事務の点に関し、やはり一本の線で災害被害などでも直ちに対処し得るような方策をお持ちかどうか、お聞きしたい。
  18. 河野一郎

    河野国務大臣 御承知通り農業基本法によりまして、農業統計、いわゆる白書を作ります上に当然あらゆるものを整備して参らなければならぬと思います。御指摘のように、果樹畜産というようなものにつきましては、特に急激にふえて参りますので、これらについては十分注意をいたしまして、将来にわたってりっぱなものを作るように心がけて参りたいと思います。
  19. 淡谷悠藏

    淡谷委員 統計の点では、農産物統計というものは非常に前からいいかげんなものと言われておりました。地方の役所などでも、大てい戸数が何戸あって、あそこのニワトリが三羽おったから大てい三羽くらいに見ればいいだろうというように端数を刻んでおったり、あるいは果樹なんかでも大体一、二カ所見ただけで被害額でも推算する場合がある。これはやはり本腰を入れて対策を立てられる場合に基礎資料がないわけです。そういう点で、いろいろ費用の点もございましょうけれども、グリーンレポートというようなものもやかましく言われておりますから、この際基本的な調査をじっくりやられるように御要望申し上げたいと思います。  そこで、振興局長にもう一点、この被害調査についてお聞きしたいのですけれども、ミカンリンゴブドウナシ、あるいはその他大体果樹振興法のワクの中に入っておりますくだものだけでも種類別被害総額というものが出ていると思いますが、その点を一つ御説明願いたい。
  20. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げました被害面積十万四千六百町歩の内訳を申し上げますと、ミカンが一万八千二百町歩、それからリンゴが四万一千四百町歩ブドウが三千百九十町歩ナシが七千七百五十町歩カキが二万二千八百町歩クリが四千八百七十町歩、その他を加えまして十万四千六百町歩となっております。  被害の量について申し上げますと、ミカンが四万一千トン、それからリンゴが十万五千トンブドウが一万一千トンナシが二万トンカキが七万二千トンクリが四千トン、その他を加えて、合計で二十八万四千七百トン、こういうふうになっているわけでございます。  それから先ほどキロトンというお話がありましたが、千キロが一トンでございますので、その点はトンでやっているわけであります。
  21. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それから損害額
  22. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 損害額は、これは見積もりでございますことを御了承願いたいと思いますが、ミカンが十六億、リンゴが二十七億、ブドウが四億、ナシが六億、カキが十三億、その他を加えまして八十二億となっております。
  23. 淡谷悠藏

    淡谷委員 さっきもお話はあったのですが、果樹災害というものは、大体落果災害調査されているだけで、樹体に対する、果樹そのものに対する被害程度というものは、これはちょっと無理でしょうが、ここにもいろいろ資料はございますけれども、同じ風に当たりましても、樹幹が割れたり、枝が落ちたり、さまざまに被害状況が違っておるようであります。これは大臣にもお目にかけていただきたいと思いますが、この被害状況委員長から一つお見せいただきたい。そういうふうに樹体損害というものは非常に複雑で、なかなか把握しづらいのでございますが、その点の被害は入っていないのでございますか。落果被害だけで、果樹そのもの被害というものは、ナシの場合、ブドウの場合、ミカンの場合入っておりますか、入っておりませんか、はっきりしてもらいたい。
  24. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほ申し上げましたように、果実についての被害額ということで農作物被害は、従来とも出しておる慣例になっております。樹木自身についてのいろいろの被害が出ておることは御指摘通りでございますが、これは先ほどの被害額には入っておりません。
  25. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣、今の問答でもおわかりの通り果樹災害というものは、そのとき落ちた果実に重点を置いて見られておるということなんですね。果樹自身災害というのは、非常に調査、査定がむずかしいので、従来とも災害の場合には見ておられなかったということははっきりしております。ただし、果樹園経営者にとっては実はむろん大へん困ります。その後数年に及んで回復のおくれます果樹園そのもの災害というのは、かなり手痛い災害なんです。こういう点などでも、一つ災害の場合は、抜本的に調査の仕方を変えられる御意思があるかどうか、お伺いしたいと思います。
  26. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 立木自身に対する損傷が大きい場合におきましては、そのものに対する新植、補植等対策、あるいはそれに必要な融資措置とか、あるいは樹勢回復その他の措置であるとかいうようなことを検討いたし、あるいはまた指導いたす場合におきまして必要であることは、御指摘通りでございます。今回におきましても、そういう面における被害が相当出ておりますので、さっそく台風災害の直後におきまして、特に立木損害評価自身を見積もることは、先ほど申し上げましたように困難でございますけれども、しかしどの程度損傷を受けたであろうかというようなことにつきましての面積なりあるいは状態なりは、一応統計事務所を通じて調査いたしておるわけでございます。今後といえども指導上必要なさような措置は講じて参りたい、かように考えております。
  27. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それではちょっと水産庁の方にお伺いしたいのですが、昨年の伊勢湾台風真珠並びにカキに対する措置がとられたようでございますが、その内容を一つお尋ねをしたいのです。
  28. 村田豊三

    村田説明員 伊勢湾台風のときに、真珠並びに真珠貝いかだ並びにカキ被害に対しましてとりました措置の概要を申し上げますと、まず第一に補助対策といたしましては、被害激甚地には、真珠並びに真珠貝いかだにつきましては、保有のいかだ数十台以下の漁業者対象といたしまして、滅失、大破しましたいかだ二台までの復旧費、これの十分の九の補助をいたしております。次にカキいかだは、一経営体当たり滅失、大破しましたいかだ六台までの復旧費、それの十分の九を補助いたしたのであります。次に、融資措置でございます。稚貝の購入資金その他の経営資金が要るわけでございますが、これに対しまして、天災融資法による融資限度真珠カキともに最高五十万円引き上げますとともに、施設復旧費に対しまする農林漁業金融公庫からの融資限度カキにつきましては百万円、真珠につきましては五百万円という措置をとったのであります。
  29. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その場合の真珠並びにカキ損害額はどれくらいになっておりますか。
  30. 村田豊三

    村田説明員 伊勢湾台風のときの真珠並びにカキ全国的被害総額でございますが、これには養殖施設も含まれておりまして、細分はただいま手元に持に持ち合わせておりませんが、伊勢湾のときには全体で二十億であります。
  31. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この二十億の損害に対して実際出しました補助はどれくらいか、融資額はどれくらいか。
  32. 村田豊三

    村田説明員 融資の方はただいま調査しておりますが、補助の方は二億六千九百万円であります。
  33. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一つお聞きしたいのですが、この真珠並びにカキ補助金は、真珠貝そのもの被害も見て補助を出されたのかどうか、あるいはいかだだけ見られたのかどうか、どっちですか。
  34. 村田豊三

    村田説明員 この補助並びに融資は、いかだ施設そのものだけでございます。
  35. 淡谷悠藏

    淡谷委員 そこで振興局長にお伺いしますが、さっきの御答弁では、災害調査は大体落果で見られた、果樹そのもの災害はなかなかつかまれないということですが、これは正直に言って実は統計事務所の方で持ってなかったのでしょう。各県の陳情やなんかが基本になっているのじゃないか。どうですか、その点ははっきりしてもらいましょう。
  36. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 九月三十日統計調査部長から各統計事務所に通知を出しまして、果樹立木自身損傷度合いに応ずる被害面積がどのようになっているか、こういう調査を各統計事務所にさしておるわけでございまして、決して各県の被害陳情だけで集計してどうこうということではないわけでございます。
  37. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この各県から来ております陳情書を見ますと、大体果樹損害も出してきているのです。倒れたのは何本、大きな枝が落ちたのはどれくらい、あるいは幹が裂けたのはどれくらいというような、とろうと思えばとれるような果樹損害も出ている。それで私はどうしても納得がいきませんのは、損害落果でとりながら、直接落果に対する補助あるいは救済措置はちっともとられていない。損害額が出てこない果樹園に対しては、肥料農薬はこの前やはり出してもらっておりますけれども、落果そのものに対する補償がなくて、ただその次の果樹園経営に対していろいろな措置がとられている。落ちた果実を直接補償されるお気持がないか、助成される気持がないか、この点をお聞きしておきたい。
  38. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま御質問になりましたのは、災害に伴う直接的な損失に対する何らかの救済措置を講ずる意思があるかどうか、こういう御質問だと思いますが、従来災害に対しまする直接的な復旧措置といたしましては、損失補償という概念を離れまして、今後新しく復旧し、農業を継続してやる、あるいは果樹園を造成し、復旧し、果樹経営を続けていく、これに必要ないわば復旧資金というものに対して助成なり融資の道を講じて参ったのでございまして、流れた米であるとか、あるいは木炭であるとか、あるいは立木であるとかいうものに対する損失補償的な措置というものは、実は災害復旧対策としてはとっていなかったわけでございます。ただ、おそらく御質問といたしましては、米はどうだ、こういうふうな御意見も出ようかと思いますが、米につきましては、共済制度というものが別途あるわけでございます。今申しましたような意味で、立木自身についての損失補償的な復旧措置というものは、災害復旧対策といたしては従来講じていなかったわけであります。
  39. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それじゃカキ真珠の場合はどうですか。これは明らかに損害補償対象になるんじゃないですか。カキ真珠を含ましてこれは出しているんでしょう。しかも二十億の損害に対して二億六千万円、そうしますと農林省の方針は別々じゃないですか。カキ真珠に対しては直接の損害に対して補助をする……。
  40. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私カキ真珠のことについて詳細は知りませんが、おそらくそれに対する復旧の予算ではないかと思います。詳しくは水産庁から……。
  41. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは水産庁から一つ……。
  42. 村田豊三

    村田説明員 カキ真珠等につきましての補助は復旧のための補助でございます。
  43. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは重ねて水産庁にお聞きしますが、その復旧の中には、カキ真珠損害額と見合って手かげんをされておる要素がございますか。損害が大きかった場合、損害が少なかった場合、特にさっきの御答弁では、カキ真珠そのもの損害も盛られているということを言っておりましたけれども、それは何か復旧の場合に考慮されますか。
  44. 村田豊三

    村田説明員 カキ真珠等の施設につきましては、先ほど申し上げましたような、一定の台数を限って、その台数の範囲内における施設の復旧の補助をいたしておるわけでございます。なお、別途、たとえば経営的な資金を必要とする場合、原料を仕入れるとか、そういったものにつきましては、天災融資法で、その範囲内において融資の道を開いております。
  45. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その場合に、カキ真珠あるいは真珠貝損失というものは、融資をし、助成をする場合の何か参考になるのですか。損害の大きかったものは融資をする、損害の少なかったものは融資しないというような基準になりますか。もしならなかったならば調べる必要はないんじゃないかと思いますが。
  46. 村田豊三

    村田説明員 天災融資法の方では、被害の限度というものも一定のワクを設けまして、その限度のワク内において融資をする、こういう措置をとっております。
  47. 淡谷悠藏

    淡谷委員 私の言うのは、そうじゃなくて、この施設に対する助成、融資をするならば、真珠あるいはカキそのものの実体よりも、施設損害の額によってなされた方が合理的だと思う。損害について出す場合は、そういうふうなカキ真珠真珠貝そのものに対して融資をし、その施策だけは設備に対してなされる方針はどこか割り切れないものがあります。それは正直言ってどうなんです。
  48. 村田豊三

    村田説明員 御指摘の点、ごもっともな点もあると思うのでありますが、御承知のように、施設の復旧に対します補助は、まま画一的なきらいはございますけれども、一定の地域を限定し、しかも一定の台数に限ってそれを補助対象にするというやり方を、従来、これは伊勢湾からもずっと踏襲してやってきておるわけであります。
  49. 淡谷悠藏

    淡谷委員 振興局長、私特にカキのことに重点を置きますのは、果樹の場合でも同じことがあると思うのです。さっきの御答弁通り災害の額というのは、落果によって見られている。今の場合、八十億には果樹そのもの損害がほとんど入っていない。この施策は、果樹園経営を続けていくための施策なんです。そうすると、極端な場合、落果はしたが木はいたまない、こういう場合でも果樹園の方の融資をする、こうなりますが、不合理を感じませんか。
  50. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 従来、災害程度を見ます場合に、その年の農作物の収入が災害によってどのようになるであろうか、稲につきましても同様、果実につきましても同様でございますが、そのできた果実によって一年間の収入を確保し、さらにまたその収入の中から次の年の経営資金を出していくわけでございます。従いまして、落果あるいは不稔実というような事態が生じますれば、当然その農家にとりましては収入の減になるばかりでなしに、翌年度の経営資金に事欠くというおそれもあるわけでございます。そういう見地に立ちまして、従来とも農作物についての翌年度の収入に影響する度合いを見まして経営資金融通をする、あるいは施設資金融通をする、こういう措置をとっておるわけでございます。ただその際、農作物の収入が非常に激減するということになりますれば、さらに、落果のみならず立木についてのいろいろの損傷という問題も出て参るわけでございます。そこで、そうなりますると、通常の年における経営資金ばかりでなしに、果樹に例をとってみますれば、あるいは新植、補植、改植を必要とするというような事態も生じてきますわけでございます。それに対しまするまた必要な資金融通措置を講ずるというようなことにいたしまして、引き続き果樹園経営ができるようにする、こういう措置を考えておるわけでございます。
  51. 淡谷悠藏

    淡谷委員 ややはっきりしましたが結局、そうしますと、果実災害というのは、その果実を売ることによって翌年の経営費を取るつもりであったのが、取れないから、直接に果実融資をする道もないし、かわって経営費を出してやるという観念にとってかまわないですね、いかがですか、その点はっきりさして下さい。
  52. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 天災融資法について例をとりますると、たとえばその農作物の損害が、災害によりまして平年の収入の一割をこえたような場合におきましては、これを被害農林漁業者として資金融通措置を講ずる、あるいはさらにその農作物の損害が平年収入の五割以上をこえたような場合におきましては、特別の被害農林漁業者といたしまして、その際の資金融通については金利を一段と下げて融通するとか、こういう観念でこの法案はできておるわけでございます。従いまして、今御指摘になりましたような思想でこの天災融資法というものは制定され、運営されておるわけでございます。
  53. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あなた方がそういう法律を十分にお守り下さればけっこうでございますが、われわれは、この法律そのものに不備があれば、それを直していきたい。特に今度の場合などは、成長財である果樹に対しては特別な措置法を作るべきだという観点に立ちますから、なおお伺いしておきたいのですけれども、そうなりますと、稲、麦のような一年の作物と果樹のような永年作物とでは、補償対象が相当変わって参ります。補償そのものも永年的でなければならない。そうしますと、稲や麦の作物は、作物の被害とともに田畑の被害についても若干ありますけれども、何としてもやはり果実災害果樹そのもの災害とをはっきり出されないと、災害の実態というものは把握はできないというふうに思います。果樹災害は八十億を上回るという見通しを本年の場合お立てになりませんか。果樹の場合は果実に数倍する損害が起こっていると思いますが、いかがですか。
  54. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘通り、一応の農作物被害として、従来出しておる例によりまして、果実落果に伴う被害額というものを出しておるわけでございますが、樹木自身に対する被害があることは当然でございます。そういう意味におきましてこそ、それに伴っての新値なり改植あるいは補植というような資金に対する措置を講じて復旧を促していこう、こういう考え方をとっておるわけでございます。
  55. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これは果樹振興法にも定めてありまするけれども、私はやっぱり、短いものでも二、三十年、長いものでは百年以上の樹齢を持っておる果樹に対して、新値、補植という形だけでは、十分な補償にはならないとも思うし、経営に対する適当な融資とも思えない。苗木というのはもともと安もです。苗木を植えることはかなり無理をしてもできますけれども、これは採算がとれるところまで育成する間の犠牲が大きいのです。今度の措置によりましてそこまで配慮されているかどうか。私はどうも今の天災融資法並びに果樹振興法だけでは、そこまで立ち入った世話をしておられないように思います。これは、米麦にかわるべき成長財と見られる果樹に対して、少し農林政策的にも立ちおくれじゃないかと思いますが、この点はいかがでございますか。これはあとで大臣に聞くのがほんとうでございますけれども、おりませんから、あなたのお考えを聞いておきたい。
  56. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど申し上げましたように、被害程度いかんによりまして、融資措置につきましても当然考慮すべきである。従いまして、通常の場合におきましては、果樹被害等につきましても、天災融資法の運用でまかなえるわけだと思うわけでございますが、今回のように被害が大きい場合におきましては、その経営資金等の状況等も考えまして、融資の限度の引き上げであるとか、あるいは実態に応ずるような償還期限延長ということをいたしたわけでございます。  それで、第二のお尋ねの、さればといって、現在の天災法の七カ年くらいの融資では、やはり果樹の実態において相当長期を要するのではないか、あるいはそれに伴っての苗木購入以外のいろいろの措置も必要ではないか、こういう御趣旨のように理解されるわけでございますが、御承知のように、果樹振興特別措置法におきまする融資といたしましては、従来になかった長期融資でございまして、据置期間が十年、償還期間が十五年。二十五年ということになりますれば、大体その間におきまする経済樹齢に達するだけの期間を置いて——いわば果実の性格から、年々上がってくるだけの収量と見合いながら長期に返していく、こういうことが一番必要なわけでございます。そういう意味で、果樹についての植栽資金は、長期低利資金融通するという道をとったわけでございます。しからばそれは苗木だけの資金であるかということでございますが、一番必要なのはもちろん苗木の購入資金でございますが、なお、この融資対象といたしましては、われわれは、直接的な苗木の購入のほかに、さらに復旧に伴います園地整備だとか、別の資金措置になりますけれども、個人の果樹に関する施設、たとえば果樹だなであるとか貯蔵庫であるとか、そういうものに対する融資措置も講じ、あれやこれやで、およそ復旧に必要な資金の手当といたしましては、今申し上げたような方法によって、十分カバーできるのではないかというように考えているわけでございます。
  57. 淡谷悠藏

    淡谷委員 なかなか永年作物の果樹に対しては、まだ十分な資金措置とは思えない。特に来年度、当面なし得る既成園新しく植える方は別といたしまして、木そのものは倒れなくても、大きな枝が折れたとか、あるいは葉が落ちたとかいうふうな果樹を残しながら損害を受けてい果樹に対しましては、どういうような復興方法をとられるか、こまかいことですが、お伺いしておきたい。
  58. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 私の申し上げたのは、あるいは言葉が不十分であったかと思いますが、農林漁業金融公庫から出します植栽資金につきましては、果樹振興特別措置法によって融資する部分と、それから公庫からいきなり災害に伴って融資する道と二つあるわけでございます。前者につきましては、先般の国会におきまして十分御審議願いまして、先生御承知通り、一定の集団地につきまして都道府県知事の認定を受けたものに対して融資をするということになっているわけであります。もちろん、今回の災害地におきましても、その計画に包含されるようなものもあろうと思うわけでございまして、それらにつきましては、振興措置法によって融通する面もあろうかと思います。しかし災害につきましては、この措置法によらなくても、植栽資金として別に融通する道が開かれているわけでございます。当然既成園等におきましても、その中の一部の立木損傷を受けて改植をしなければならない、あるいは補植をしなければならないといった場合におきましては、農林漁業金融公庫から、果樹振興特別措置法と同じような償還期限据置期間をもちまして融資する道を開いているわけでございます。これにつきましては、別に一件当たり融資限度もないわけでありますので、本年度はそれらの資金を組みまして十億と予定いたしております。それらの資金の中から十分災害資金に回り得るものがあろう、またそういうふうにわれわれは指導して参りたい、かように考えているわけであります。
  59. 淡谷悠藏

    淡谷委員 要するに、この災害に対しては助成はしないで、融資一本で立ち直らせたいというお考えのようでございますが、一体長期にわたり苦労しております果樹園経営に何が一番つらいかということを具体的にお調べ願いたいと思う。金融利子というのは相当高いのです。しかも、落果等によって目の前に大きな損害を受けてい果樹園経営者が、新しく借金をしてさらにその利子を積み重ねるということは、かなり低利といえども経営の上に大きな圧迫を加えると申しますか、経営費の一割以上が金融利子に流れているのが実態なんです。おそらく、これは肥料代に相当しあるいは肥料代を上回るものが、今すでにもう果樹園経営者にはかぶさってきている。やっぱりこういう不慮な災厄を受けた場合には、融資だけではとうていこの災厄から立ち直ることができないような形が見えてきております。大きな災害があったあとでリンゴ園を手放すあるいはミカン畑を手放す、こういう人が出てくるということは、単なる融資だけではもうこれは救えない現状であるというふうにお考えになりませんか。何とかこの辺で踏み切って、果実そのものに対する助成なり災害の助成なり、これを何とか立ち直らせていくような直接的な助成の方法をお考えになっておりませんか。これはもう果樹園芸に対しては重大な問題だと思うのです。果樹災害補償よりも、果実落果そのものに対する直接的な助成ということが、これはミカンリンゴブドウナシを問わず、熾烈な要求になっておりますが、この点はいかがでございますか。
  60. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 お尋ねの点は二点あろうかと思います。  第一点は、後段でお話しになりました落果した果樹そのもの被害に対する直接補てんの方法があるかどうかという御質問と存じますが、これは先ほど申し上げましたように、復旧対策といたしましては損失補てんを従来とも対象といたしておらない、こういう扱いをいたしておりますので、それはまた別の問題として研究すべき問題ではあろうかと存じまするけれども、今回の措置としては考えておらないわけでございます。  それから第二点の、果実でなしに果樹自身の復旧のために、単なる融資だけでなしに、直接的な助成の方法が必要ではないか、こういうお尋ねのように存ずるわけでございます。この点につきましては、いろいろ考え方もあろうかと存ずるわけでございまして、また現に被災地におきましては、そういう直接的な助成の要望もあることも十分承知いたしておるわけでございます。ただここ二、三年来ずいぶん果樹についての被害もあったわけでございますが、果樹の復興自身につきましては、やはり相当の資金量が必要であるというのが実態のようでございまして、同時にそれはまた即刻必要であるということの要望が強いわけでございます。そのようなことを考えてみました場合におきまして、やはり一番手っとり早く、また必要な資金量を充足するという方法をとりまするならば、やはり資金融通措置方法が合理的ではなかろうか。そうなりますると、問題は、それに対する償還方法ができるだけ果樹の実態に合うように、かつまた果樹農業者の負担にならないようにするということが必要でありまして、助成の点につきましても同じようなことから言われておるのだろうと存ずるのであります。そうしますると、資金の量をできるだけ早く出すということにしまするならば、果樹の今の収入状況から見まして、一番必要なのはやはり長期間にわたって収入に応ずるように変えていく、なおまたそれも、収入に合うようにできるだけ利子を下げて参る、こういうことが講じられますならば、かえって直接的な助成をいたすにいたしましても、金額は苗木購入というものに限定されて、わずかなものでしかも非常におくれて出るというようなことでありますならば、資金の直接的な融通措置の方が、はるかに実態に即応しておるし、また農家といたしましても、結果的にはその方が有利になるのではなかろうか、こういうようにわれわれは考えております。そこで果樹につきましては、一般の農作物とも若干違う点もございまするので、むしろあらゆる面から資金供給の方を通じて復旧を促進して参りたい、こう現在においては考えておるわけでございます。
  61. 淡谷悠藏

    淡谷委員 振興局長は、やっぱり現行法律の中でだけこの果樹対策を立てようとなさいますから、さぞこれは御苦労だろうと思いますが、ちょうど農林次官お見えのようでございますから、一つ政治的な御答弁をお願いしたいと思うのです。  今いろいろ果樹災害に対しての施策をお聞きしているわけなんですが、実はこのリンゴミカンナシブドウクリといったような果樹災害についての対策でございます。これは天災融資法によりあるいは果樹振興法によりまして融資の道は開かれておるけれども、目の前に落ちた果実そのものに対する助成あるいは補助はちっともなされていない。これは果樹園経営の面からしまして大へんな問題になると思います。結局私どもは、まあ果樹園そのもの回復、これも大事でございますが、農家が目の前に見ております損害に対しても、的確な措置をとるべきだという考えを持っておりますが、たとえば果樹の場合に新植、改植の資金が出たとしましても、大きな枝を折られたり葉っぱをちぎられたりした木に対しては、来年度からは徐々に回復しなければならない。しかし、もう本年度大きな痛手を受けた落果そのもの損害は、少しもこれは補償されておらない。これは借金などによって償わるべき損害ではないのです。これは若干助成しまして、この落果の処分その他のことに対して、農家に対する措置を考えてやるのが当然と思いまするが、現行法律ではできないのです。これに対して何らか特別な措置をとるようなお考えがあるかどうか、これを一つ現行法律に縛られないで、将来の果樹政策という面から次官にお答え願いたい。今事務的な御答弁は伺っておりまするから、政治的な御答弁一つお願いしたいと思います。
  62. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 最高度の政策につきましては大臣からお答えがあると思いますけれども、落果した果樹についての補償の問題は、第一に農業共済制度等を拡充すれば別でございますけれども、現在においてはそこまでのことは、私どもの方としては考えておりません。  さらに、助成の道でございますけれども、従来も果樹樹勢回復その他の名目をもちまして助成をいたしたことはございます。しかし、過去の実績によりますと、何分予算の幅が非常に狭くて、一戸当たり補助金額というものが、きわめて零細であったという過去の例にかんがみまして、ただいままではこれを打ち切っておりますし、むしろこの際思い切って融資の道を広げたらどうだろうかということの方が、考え方としては強いようでございますので、ただいまのところ、融資のワクを思い切って引き上げるという方向で進めたいと考えております。
  63. 淡谷悠藏

    淡谷委員 この落果に対する直接な助成ができないならば、共済制度を変えて果樹共済制度をやれという要望が非常に強い。これはしかし、もうはっきりした政策上の問題ですから、大臣がおいでになってからお聞きしたいと思いますが、大臣はいつごろおいでの予定ですか。
  64. 濱地文平

    濱地委員長 大臣は、今農林水産の方へ行っておるのですが、昼から一つ交渉してぜひ出てもらいたいと思っております。
  65. 淡谷悠藏

    淡谷委員 もう一ぺんはどうしても出てもらわないと、これは大事な果樹政策の問題ですから……。それではこの点はちょっと延ばしておきます。
  66. 太田一夫

    太田委員 関連してお尋ねをしますが、今度の第二室戸台風によりまして、大へん桑が被害を受けております。この桑の被害というのが、養蚕農家にとりましては、非常に大きな痛手になっておるのでありますが、その被害の模様はどんな工合になっておりますか、お調べになっている範囲のことをお答えいただきたいと思います。
  67. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 担当の蚕糸局長が見えておりませんので、私から便宜お答えいたしたいと思います。  桑の被害といたしましては、被害面積が四万九千町歩被害額が約七億七千万、こういうことになっております。
  68. 太田一夫

    太田委員 従いまして、この桑の被害に対する補償問題、助成ないしは援助、振興問題というのがあるわけなんですが、このたびの第二室戸台風によりまして、雨が少なくて、その風の中に非常に塩分を含んでおりました場合には、桑の葉というのは非常にもろいのですからほとんど枯れてしまった、あるいは枯れないまでも、塩害を受けまして相当程度萎縮病に近いような萎縮状態を見せているわけです。これを何とか回復しませんと、あとの養蚕に差しつかえるわけなんですが、そこが、現地の農民は桑の対策をどうするかで非常に悩んでおる。農林当局としましては、それに対して基本的にはどういう方法をもって助成をされるお気持でありますか、それをお答えいただきたいと思いますが、どなたかおりませんか。
  69. 淡谷悠藏

    淡谷委員 それでは、ちょっと重ねて大臣に対する質問の部分、つまり落果した果実に対する救済方法については保留しておきますが、次にお聞きしたいのは、草花の問題なんです。これは農業経営が変わりまして、果樹畜産というふうに現金収入が主になるような農業の方向に変わってきておりまするが、花に対しても今度は相当な損害があるようでございます。この比重を一体どう見られておりますか。
  70. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 今回の被害で蔬菜その他の園芸作物に相当被害が出ておることは承知いたしておりますが、花卉——花そのものにつきましてどのような被害が出ておるのか、実は詳細な被害統計がまだ出ておりません。今特に花に必要なビニール・ハウスとか、そういった施設被害につきましての調査を進めておりますけれども、詳細な花自身についての被害統計は用意いたしておりませんので、またわかりましてからお答えいたします。
  71. 淡谷悠藏

    淡谷委員 被害統計ができないだけじゃなくて、花卉そのものに対する栽培統計もできていないのじゃないですか、この点はどうですか。
  72. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御指摘通り、農林統計としては詳細な統計ができておりませんが、別途われわれの業務統計といたしまして、園芸課で各県を通じまして調べておるのがございます。それではおおむね二千町歩、こういうことになっております。
  73. 淡谷悠藏

    淡谷委員 一つ資料としてその業務統計をいただきたいと思います。それから花の持っている重要性というのは特に輸出の面で現われております。御承知通り、ユリの根であるとか、チューリップだとか、これは重要な輸出財源になっておる。それから特にいわゆる花卉県といわれているような県が方々にありますが、愛知、静岡、大阪、和歌山、四国四県、兵庫、岡山、広島、東京、神奈川、千葉というのが大体花卉県といわれております。特にこの点で和歌山県の白浜沿岸なんかの災害は相当大きい。ビニール・ハウスに対する施設災害、これはやはり果樹の場合と同様設備そのものに対する配慮がなされておるようですが、一つのビニール・ハウスに入っております球根の見積額は百万円です。つまり袋は補償するけれども中身は補償しないという観念は、果樹とともにこれは非常に誤った考え方だと思いますが、この際一つあらためて考え直す御意思はございませんか。これは法律にはないものですから、次官にお聞きしたい。
  74. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 これも共済制度の広範な一環だと思いますので、どこまでが共済制度に該当した方がいいか悪いかというような点につきましては、もう少し検討さしていただきたいと思います。
  75. 淡谷悠藏

    淡谷委員 特に農業を米麦一本立の方からこうした果樹畜産その他の園芸植物に移そうという構想があるならば従来のありきたりの方法を踏襲するだけじゃなくて、新しい手を打たなかったら、災害の場合にこれは助からぬと思う。温室の災害、ビニール・ハウスの災害、これは損害は大きいといっても大したことはございませんが、最近この東京都内にもずいぶん見えておりますが、熱帯性植物などの温室は千坪くらいのものが相当あるようであります。かなりあっちこっちにある。そうしてその中で行なわれておりますカカリーヤシなんというものは一本の価格が十万、一町歩をやっているような例がある。これは真珠貝などの例もありますが、二十億、三十億といったようなものに劣らない災害も出ておりますので、との膨大な、農林統計にも出ていないような花卉というものは全く忘れられたものだと思う。これは新しい農業には非常に大きな比重を持っておりますから、この次と言わずに、この機会に思い切ってやはり施策をとられることが正しいと思う。これは単に栽培者だけじゃない、花を商売にしております大阪その他の商人は非常な恐慌を来たしておると思う。この復興についても十分な御配慮をいただきたいと思うが、もう一ぺん次官のはっきりしたお答えを願いたい。
  76. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 御指摘通り、今の農業の移り変わりと申しますか、米麦中心から果樹園芸という方向に非常な勢いで転換をいたしておりますので、極力この点に留意いたしまして、花卉栽培に対して、農林省としてもう少し科学的な統計をもとにした施策を講じてみたいと考えておりますが、今すぐとおっしゃいましてもなかなか容易な問題でございませんので、しばらく時間をかしてもらって、念を入れて調査検討を加えることを御了承願いたいと思うわけであります。
  77. 淡谷悠藏

    淡谷委員 花というものは果樹以上に従来は閑却された部門でございますが、外貨獲得の上からいっても一役買っておるものでございますので、その点は十分御配慮を願いたい。特に河野さんは盆栽の大家でもあるし、花の会の会長でもございますので、忘れられておるのは非常に困った問題でありますので、大臣まだお見えにならぬようですから、次官からもよろしくお伝えおきを願いたいと思います。  それから振興局長に、あらためてまた、果樹の問題で別個の問題を質問いたしたいと思います。落果損害というものをつかまえる場合に、さっきの御答弁では、ほとんどもう基準がないようなぼうばくとしたつかまえ方をされている。特にこの落果損害を見る場合に、落果をしたらくだものの値段が上がるから、かえって埋めるのじゃないかといったような考え方があるようでございますが、つまり市場の価格の問題と落果との関係をお調べになったことがございますか。
  78. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 果樹につきましては、生産された地域が非常に広範囲である関係から、たまたまある地区におきます災害によりまして出荷量が減退する、それによって価格が上がってくるというようなことは、従来の災害直後におきまする価格変動を見ますると、ちょくちょく出ている実例でございます。現に、今回の場合におきます価格の変動を見ましても、最も被害の大きかった関西地方を中心といたします大阪市場に対する出荷状況を見ますると、昨年に比べまして出荷量が減っておる、そういう関係で、価格が昨年に比べて強含みになっておるというような現象が出ておるわけでございます。もっとも、これは直接的な災害に伴う出荷の減ということと、ことしの生産全体の予測から見て減ってくるというふうな面もあるいはあろうかと思いますが、いずれにしましても、出荷量の動向というものが、直接的な災害等に伴いまして、変動を来たすというのが、従来ちょくちょく見られておる例でございます。
  79. 淡谷悠藏

    淡谷委員 その点、どうも私、局長のお考えに納得できない点があるのですが、具体的に落果があった。この間には相場が非常に落ちているじゃないですか。これはあとの方の統計をとっておりませんが、リンゴだけ見ましても、被害を受けた実は、デリシャスで三百三十円ですよ。運賃をつけて荷作りをつけて三百三十円です。それから、これに押されまして他の品種もずっと相場が立ち直っていない。逆に、一回に落果が出荷し、あるいは地元の要求を満たしますから、値段が上がるどころか、下がっているという実情がございますが、その点はつかんでおられませんか。
  80. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 リンゴについて御質問がございましたので、私もリンゴについて申し上げますと、ことしのリンゴにつきましては、今先生がお話しになりましたような状況で必ずしも値段が上がっていないということは、その通りでございます。災害の状況によりまして、たとえば、先ほど申し上げましたように、非常に入荷量が減ってくるというようなことになれば、当然価格は上がってくるし、入荷量が災害にもかかわらずふえておるというような事態がありますならば、価格についてもおのずから弱含みになってくる、こういうことに相なるわけでございます。リンゴについて申し上げますと、ことしは災害がありましたにもかかわらず、全体といたしましては、生産量が前年よりも八%ぐらいふえるであろうという見通しを立てておりますが、それが災害——室戸台風の前後におきまする価格の変動、あるいは入荷量がどういうふうに動いているかということを見ますと、リンゴ災害のありました直後の十九日ごろから現在までわかった資料で入荷量を見ますと、いずれも昨年の数字よりも、一日の東京卸売市場に対する入荷量が相当ふえておるわけでございます。たとえば災害のありました十六日をとりますと、その前まではすべて前年の方が、入荷量といたしましては多かったのでありますが、十八日以後におきましては、逆に、ことしの方が入荷量が多くなっておる、こういう経過が出ておるわけでございます。そういう関係で、価格につきましても、これは今先生がお話しになりました箱当たりでなしに、キロ当たりで見ておりますが、東京の卸売市場における例で申し上げますが、リンゴ旭を例にとりますと、大体キロ四十円ぐらいに推移しております。
  81. 淡谷悠藏

    淡谷委員 お話通りなんです。そこで落果に対するいろいろな処置の一つとして落果の処分、すなわち加工その他に対する何か恒久的な施設をお考えになっていませんか。これは融資の面にも関係があります。加工の方面で何とか一回に出荷される不良品を押えるような構想をお持ちじゃありませんか。
  82. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 落果いたしました果実の中におきましても、農家におきましては、従来災害直後におきまして、青果で売れるものは、できるだけ青果で売れるような努力をいたしておるようでありまして、またその方が従来のところ、農家にとっては比較的収入がよかったというような傾向が見られるようでございます。しかし、今回のように、非常に大きな落果があって、えり分けいたしましても、なお不良品が出てくるというような事態に対する措置につきましては、今後十分考えていく必要があろうと思うのであります。今回の災害直後におきまして、いち早くわれわれといたしましては、これらの加工向けの処理につきましては、各府県に指導の方針を通達いたしまして、それらに対する手配を準備するようにということを指示いたしておるのでございます。果実加工に向けるといたしましても、これはまたなかなか技術的にはフレイバーの問題であるとか、あるいはその他の損傷の度合いによって、どういう用途に向けるべきかというようなことの技術的な制約もあったりいたしまして、リンゴでいいますと、カン詰用の焼きリンゴにするとか、あるいはリンゴ・パルプにするとか、あるいはリンゴ・ソースにするとか、そういったような処理方法については、今後一そう指導をいたしていきたい。これに対する直接的な措置といたしましては、今回の特例を講じてはおりませんけれども、そういうものに必要な農協等の資金融通につきましては、今後一そう努力いたして参りたい。特に近代資金等が出ますれば、それらを大いに活用いたしまして、農協部面等における加工部門の拡充については一段と努力いたして参りたい、かように考えております。
  83. 淡谷悠藏

    淡谷委員 どうも果実の問題というのは、ほんとうの未耕地ですから、何から話をし出しましても、非常に未解決の問題が多い。近代化資金の問題に逃げられましても、近代化資金の内容というものは、そんなに多くを期待するようなワクもございません。そう逃げ言葉にもなりませんが、何といっても落果が急激に市場に出たり、あるいは加工方面でももてあますというのは、落果に対する助成が全然ないのでありまして、現金収入を得るにはかなり無理をしておると思う。そこにも、さっきの問題に対する、果樹栽培に対する根本的な考え方の切りかえを必要とするのですが、さっききの共済制度について、果実を取り入れるということは考えていないという次官の答弁がございましたけれども、一体なぜ考えられないのですか。共済種目の中にはいろいろありますけれども、果実に関してどうして共済制度ができないか、どういうふうにお考えになっておりますか。
  84. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 先ほど政務次官が御答弁になられましたのは、現在考えていない、こういうことを申されたのだろうと存ずるのであります。農林省といたしましては、三十五年、三十六年度にわたりまして、果樹についての共済としての検討資料という意味で調査費を計上して、引き続き検討しておる次第であります。淡谷先生もこの方面については十分御承知かと思いますが、青森県におきましても、任意共済としてやった例がたしかあったと思うのでございますが、いずれもこれらの果樹についての共済は、一県だけで責任を負うというようなことにつきましては、運営上なかなか困難なものがあるし、保険の設計あるいは損失評価、その他の技術的な部面についてのいろいろ検討すべきものが残されておるということでございまして、農林省としては引き続き検討いたしておる、こういう段階でございます。
  85. 淡谷悠藏

    淡谷委員 このごろは連年台風が来ますから、そう慎重審議されておったのじゃ百姓の方はたまりませんから、次官、さっきの御答弁に関連して聞きたいのですが、共済制度について果樹を取り入れる構想をもう調査を始められたそうですが、これは一体どうなんですか。全然見込みがないので投げるつもりなんですか、それともまた、調査の結果やってみようというようことなんですか、どっちなんですか。
  86. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 先ほどの私の答弁で、淡谷先生の方にやや誤解があるのではないかと思いますことは、果樹共済制度はやらないという意味ではなくて、ただいまの段階では、今すぐやるということについてはふん切りがつかないということでございまして、三十五年度及び三十六年度でその件に関する調査費が出ておりますからしてその調査の結果を待って、もし、適切なる運用が今後できるものであるし、また果樹栽培者の方でもそれを希望されるという確たる見通しがつけば、当然これは実施すべきものだろうと思いますが、いずれ、詳細な結果については、調査の結果によって判断いたしたいと思います。
  87. 淡谷悠藏

    淡谷委員 振興局長、今次官の答弁にありました通り調査の結果によって、共済制度果樹の面にも広げるかどうかがきまるとすれば、これは農林省調査は非常に重大です。従って、いろいろ果樹の問題では困難も隘路もございましょうけれども、一つこれはぜひとも、助成ができないならば共済制度でやっていくというくらいの、誠意ある態度をほしいのでございますが、大体今までの調査研究の結果では、見込みがありますか、ありませんか。
  88. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 これもまた役人の逃げ口上でございますが、経済局が所管して目下鋭意検討されておりますので、詳細はこれは伺っておりませんけれども、だんだん二年にわたって調査が進んで参ったのでありますから、早急な何らかの結論が出るだろうということを期待しておるわけでございます。
  89. 濱地文平

    濱地委員長 淡谷さん、ちょっと済みませんが、今蚕糸局長が来ておりまして、太田先生の答弁をしたいというので、時間の関係上、ちょっとそれだけ。
  90. 淡谷悠藏

    淡谷委員 けっこうです。
  91. 立川宗保

    ○立川政府委員 先ほどのお尋ねにお答え申し上げます。  今回の風水害によりまして被害をこうむりました桑の被害量につきましては、先刻振興局長から申し上げましたように、現在までの調査のところといたしましては、桑園の被害面積としまして四万九千町歩被害量といたしまして千五百二十トンという数字になっております。なお、これは調査の進行中でございますから、最終の結果で多少の異同がおるかと思いますが、そういうようになっております。  ただ、今回の第二室戸の被害といたしまして特に特徴的なことは、ちょうど晩秋蚕の最中でありまして、四国あたりでは二齢ないし三齢の時期、それから東海地方では五齢期に入っておるというような、非常に悪い時期にいわば災害を食った、こういうことであります。その際に、この蚕の飼料が瞬時にしてなくなった、こういう格好になりましたものですから、養蚕農家といたしましては、その点非常に困りまして、いろいろと破れた桑をかき集めたり、あるいは遠くから桑を買い求めたりするような緊急措置を講じまして、ともあれある程度の繭はできましたものの、所によりましては蚕を捨てなければならぬというようなことも生じまして、大へん残念に、また、お気の毒に存じておるわけであります。  で、問題といたしましては、そのように桑がいたんでおりますので、今年はともあれ——晩々秋を掃き立てたところがごく一部残っておりますけれども、来年の問題として、これに対して、桑がいたみましたものをしっかり直しまして、来年にこのいわば障害を来たさないような措置を十分講ずるという必要がございますし、また、今の、当面蚕を捨てたというような農家に対する手当もしなければならぬということがございますので、いろいろ関係のところと目下相談をして十分な処置を講じたいというつもりで、努力をしておるわけでございます。
  92. 太田一夫

    太田委員 天災融資法のことについて、具体的にお尋ねいたしますが、今の局長お話から、非常な被害を受けた養蚕農家並びにその桑園の回復には、幾多の対策をかなり講じなくちゃならぬということはわかるのですが、先ほど来いろいろお答えの中にありました天災融資法による融資というものは、この際、桑園回復樹勢回復のためのたとえば肥料代、この肥料代というものが非常にかさむと思うのですが、この肥料代なども、その天災融資法対象になるのでございますか。
  93. 立川宗保

    ○立川政府委員 天災融資によりまして営農資金融資いたしますから、つまり、経営回復に必要な肥料代は、むろん入るわけでございます。
  94. 太田一夫

    太田委員 そうしますと、先ほど、各方面とこれから協議をするのだという進行形のお話があったのでございますが、結論の出ておるもの、現在の法制上におきましては、たとえば農業共済によって損害補償するとか、あるいは天災融資法によるとか、あるいは自創資金によるとか、いろいろおると思うのです。先ほどの秋蚕を捨ててしまったという気の毒な農家は、あまり大して被害のないところでわれわれ聞いてみましても、全部捨てたところもあるのだろうと思うのですが、まず平均して半分は捨てておるという、半分も被害があるのだから、それに対して、今の制度ではこれだけのものは出す、これだけのものはやりましょう、それからなお、これは助成なら助成、あるいは融資について、これがなお協議中であるという点について、もうちょっと具体的にお答えをいただきたいと思います。
  95. 立川宗保

    ○立川政府委員 掃き立てました蚕を捨ててしまった、捨てざるを得なかったという農家に対しまして、これは農業共済の対象といたしまして、所定の共済金を交付する、こういうことにいたします。それから天災融資法に基づいて資金が出るということになりましょうから、桑園の樹勢回復とか、そういう経営を立て直すための資金は、その天災融資法資金でいくという形になろうと思います。自創資金は、直接にたとえば桑園の回復というようなことを目的とするものではむろんございませんから、直接のつながりはないわけでございますが、自創資金が出ますれば、その資金効果としましては農業経営全般に及ぶということは、特に申し上げるまでもないかと存じますが、さらに、現地からのいろいろな要望といたしましては、肥料そのもの補助をしてくれというような意見もございますので、これについては、確定的にこうするという結論に到達をしておる階段ではございません。
  96. 太田一夫

    太田委員 そうすると、天災融資は、これはもう間違いない、ただ、肥料代の助成という問題が今未解決だ、こういうように結論として聞いておいてよろしゅうございますか。
  97. 立川宗保

    ○立川政府委員 天災融資は全般の問題でございますから、私から申しますのはなんでございますが、天災融資によって当然カバーをされる。それから後段おっしゃいました点は、なお検討、折衝中でございます。
  98. 太田一夫

    太田委員 肥料代の助成については検討中ということは、見通しもありますという意味でございますか。
  99. 立川宗保

    ○立川政府委員 ここで、私だけが、あるなしということを確答申し上げるあれにはないわけでございますが、いろいろ過去の事例等も研究をいたしまして、目下研究、相談中でございます。
  100. 太田一夫

    太田委員 大体よくわかりました。そのほかに、助成のこともなお期待ができるように御相談中という御回答でありましたから、この甚大なる被害に対しまする対策としては、農家の考えていることを十分お進めいただいておると理解をいたします。けれども、非常に忘れられつつある養蚕農家でありますから、天災融資にいたしましても、算定の仕方などで、できるならばなるべく安い、三分五厘なら三分五厘の特別低利の資金が貸し与えられるように、あるいはまた肥料代の助成につきましても、極力農家の気持に合致いたしますようにお取り計らいをいただきたいと思います。今のお話の中から、そういうふうにわれわれは期待していて間違いがないと考えますが、もう一度局長のお気持をお述べいただきたいと思います。
  101. 立川宗保

    ○立川政府委員 申すまでもなく、災害にあわれました農家は、一般に経済条件がよかったところに、急激に地域的にひどい被害を受けたわけでありますから、非常にお気の毒であり、われわれといたしましても、その経営の立ち直りにできるだけの力を尽くさなければならぬというつもりでおりますので、ただいまいろいろ御意見のございました点を十分に含みまして、努力をいたしたいと思います。
  102. 淡谷悠藏

    淡谷委員 あと二、三点お聞きしまして終わりたいと思っておりますが、今の共済問題です。これはどこでおやりになってもかまいませんけれども、あなたのおっしゃる通り、任意共済と申しましても、果樹の共済は非常に金高がかかりますから、一県単位のものじゃだめなんです。やはり再保険みたいな形で国がバック・アップしませんと、この問題の解決はつかぬ。従って、おざなりじゃなくて、果実災害の救済のために、国が身を乗り出して共済制度と根本的に取り組むかどうかという問題、これを一つ局長としてのお話を聞かしてもらいたい。
  103. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 果樹につきましては、今御指摘になりましたように、危険分散というような面から見て、なかなか一県だけでは成立しにくい。従来各県でやった例がございますが、いずれも、大きな災害一つ受けると成立しないというような事態も生じておりました。そういうような意味におきまして、危険分散をもっと広範囲にどういうふうにやっていくか、あるいは果樹自身につきましても、それぞれ果樹種類によって違うわけでございますので、これを果樹一本でまとめて行なうといたしましても、なかなか技術的にむずかしい面があるわけでございます。従来ともそういう例もありまして、なかなか技術的な問題につきましては解明しきれないというのが、現状であるわけでございます。従いまして、私といたしましては、結論としてどうだということを申し上げる用意をいたしておらないことは、非常に遺憾でありますが、そういう状態でございます。
  104. 淡谷悠藏

    淡谷委員 大臣がお見えにならないのですから、次官に一つかわって御答弁願いたいと思いますが、先ほどから、果樹災害に対していろいろと当局に対策を尋ねましたが、一つとして満足すべきものはございません。第一には、この果樹災害調査実績において全くなってないということが一点。特にこれに関連しまして、非常に大きく日本農業の上に浮かび上がってきそうになっております花の栽培については、基本的な農林統計ができていないわけです。いわんや、これを幾らやろうと思っても、災害の実績がつかまるわけじゃない。この対策につきましても、もう法律上どうにも道がないから、果実災害の方は無視をして、災害果樹で押えたから、対策果樹災害補償でやっていこうというような、非常に筋の通らない根本対策が立っている。それから果実災害の特徴であるところの落果の処理についても、まとまった考えはほとんどないようであります。ほとんど連年災害を受けております果樹がこのような形では、いかに成長財であるといってみたり、今後の農業の先端に果樹畜産を置くといいましても、また園芸を置くといいましても、これでは一歩も前進するものではない。新しい苗木を次から次へと植えてやっても、古い果樹園災害を受けるたびに大きな損害を受けて、倒れていくような実態を農家が見る場合に、果樹産業が伸びるか伸びないかは、おのずから明らかなとこうであります。今度の災害対策につきましても、果樹を非常に重大視しながら、行政措置一つでやってしまおうといったような動きがございますが、これはむしろ怠慢であり、卑怯であります。問題がこの通り錯雑しておりますから、錯雑しておればおるほど、特別措置法の審議に移って、そうして十分に検討する必要があると思う。官庁自体がわからないからといって、何とか行政的な措置でごまかしておこうという態度は間違っていると思いますが、その点はどうお考えですか。
  105. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 仰せの通り、終戦後、特に最近の果樹あるいは花奔の育成栽培ということが、非常な勢いで伸展をいたしておりますけれども、行政の面においてややこれに追いつかないということは、私もそのように考えております。だからといって、今の国会で、統計調査あるいは資料等もないという状況でありますので、今すぐ適切な措置をとることはなかなか困難ではあろうかと思いますけれども、果樹園芸局を作りたいということも、実は今までの行政が、そういう点に関しまして非常に薄弱であったという裏返しの見方になってくると思いますので、いずれ大臣から、園芸局を設置したならばこういう具体的な施策を講じて参りたいという積極的な御意見、御発言があろうかと思いますので、この程度でお許しを願いたいと思います。
  106. 淡谷悠藏

    淡谷委員 次官も同じようなお考えのようでございますが、私、果樹政策の恒久的な問題、またゆっくりできるような問題については、それでかまわないと思うのです。ただし、目の前に現われておりますこの大きな八十億をこえる損害に対しては、それじゃ済むまいと思う。官庁の方は済むかもしれませんが、被害を受けた農民は済みやしません。それなればこそ、ことさらに私は、行政措置などと言わないで、この対策委員会で適当な措置、応急的な措置をとることが大事だと思うのでございますが、何か果樹災害についての特別措置法などの用意がございますかどうか、お聞きしたい。
  107. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいまのとところは、特別法を作るという方針は持っておりません。
  108. 淡谷悠藏

    淡谷委員 これはどうしても作るべきものである。あなたの方で作らなければ、われわれの方からでも作って、この果樹災害の急場を救うことが、やはり日本の果樹農業の上には非常に大きな任務でもあると思う。また、義務でもあると思う。私きょうの質疑応答を聞いておりますと、あまりに果樹政策に対しては無策であった。これは新しい気がまえを持ってやるという河野農林大臣ですから、少なくとも農業の先頭に立てるという果樹農業に対しては、この辺で、今からでもおそくはございませんから、思い直して、抜本的な緊急措置をとられるように要求いたしまして、私の質問を終わります。
  109. 濱地文平

  110. 西村力弥

    西村(力)委員 いささか重複のきらいがあるかもしれませんけれども、短時間にお尋ねをしたいと思います。  先ほどから淡谷委員によって、果樹災害に対する対策が従来のワクを越えない、この点はわれわれとしては不満である、こういう趣旨の質問が続きましたが、私たちもやっぱりその通りに考える。そこで、お尋ねしたいのは、果樹農業の農政上における位置というもの、これは確かに農業基本法で、選択的拡大とか、成長を見込むとか、前面に出すとか、そういうことになっておりますので、重視をしておるという工合には言えるのでございますが、これを一段と進めて、果樹というものは、国民の食生活、国民生活に必要なものである、必要品である、こういう考え方を農政の上にはっきり確立していく、こういうことが基本になるだろうと思うのです。そういう点は、どういう農政上の地位を位置づけておるか、これは次官から一つお答えを願いたい。私が言う国民の生活に必要なものであるという、こういう太い柱を、果樹農業振興の柱として立てていく、これまでに一つ前進するということを私は望むのですが、それは受け入れられるかどうか。
  111. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 果樹の重要性につきましては、すでに農業基本法その他において、政府が強く申し上げておるところでありまして、今や果樹は、ぜいたく品ではなくて、嗜好品であるといいますか、必需品であると思います。ただ、農政の上においてどの程度に位置をつけておるかという点につきましては、農林大臣から直接お答えをお願いいたしたいと考えます。
  112. 西村力弥

    西村(力)委員 あなたは、国民生活の必要品だということを認める、こういうことをおっしゃいましたが、はっきりは大臣の見解に待つということですが、そういう考え方は早く太く立てていかなければ、果樹農業振興といったって、これはやはり小手先の施策にすぎないようになってくるんだ、国民生活の必要品だということになれば、やはり災害に苦しんでおるのを救済する融資措置ということを一歩前進させて、国民生活に必要品であるから、もっと手厚い助力をするという方向に踏み切ることが可能になってくるんだ、私たちはそう思う。ですから、これはそういう立場でぜひ考えていかなければならぬと思うのです。  ところで、この融資措置以上に何らかの果樹災害に対する助力措置が、議員提案、これが与党の諸君とも野党の諸君とも話し合いができて出てきた場合においては、農林省としてはこれを率直に受け入れる、こういうお気持があるかどうか、それを一つお尋ねしたい。
  113. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 議員提案で提案されたならば、これを政府としては受け入れる用意があるかどうかという御質問でございますけれども、議員提案を、よく政府としては内容等も調査研究して、態度をきめたいと思います。
  114. 西村力弥

    西村(力)委員 水産庁にお尋ねしますが、カキとか真珠被害に対しては融資及び補助を出しているという、その補助を出しているというようなところまで手厚く持っていくその思想は、一体どこにあるのか。これは、真珠ですと外貨をもたらすものである、そういうような趣旨に立つのか。私たちから言いますと、二十億の被害に対して二億の金を補助として出す、こういうような約一割の補助を出すということは、相当手厚い施策であると思います。だから、そこまで持っていくには、補助まで踏み切ったその考え方の基礎というものは、相当強力なものがあり、われわれの納得するものでなければならないと思う。その点についてはどういう考えを持っていらっしゃるか。
  115. 村田豊三

    村田説明員 御指摘真珠、ノリ等の養殖のいかだ被害に対する国の補助なり、あるいは融資等の措置でございますが、この点は先ほどもお答えいたしましたように、必ずしもその被害を受けました施設の全部について補助措置を講じておるのではないのでございまして、一定の制限を設けまして、制限を設けました趣旨といたしましては、零細企業、具体的にはたとえば保有台数が十台以下であるとか、そのうちでも、先ほども申しましたように、補助対象に具体的になりますのは、二台分というふうな限定をいたしておるのであります。限定をいたしました趣旨は、こういった種類の事業には、相当大規模にやっている事業もございますけれども、そうしたものは直接には補助対象にいたさないで、もちろん融資の道はございますけれども、補助対象にいたしましたものは、ただいま申しましたような十台以下の経営態様であるというふうに、中小の企業を主体に考えておる次第でございます。
  116. 西村力弥

    西村(力)委員 そういう行政的な部面にわたった措置を言うのじゃなくて、真珠養殖、カキ、そういうものに補助を出すまでに踏み切らざるを得ないという考え方の基礎はどこにあるのか。今のお話を聞きますと、零細企業は立ち直ることはできないから、その手助けをするのだ、こういう考え方であって、そういう考え方であるとするならば、そを敷衒していきますと、果樹農業に対する補助というものがなぜできないか、カキの養殖あるいは真珠の養殖をやっているもの以下の零細な果樹業者、今度の台風においてはリンゴだけをやっている農家なんかは、ひどくやられたところは、三日も四日もぼう然としたままで手が出ないというところまでいっておる。それほど被害がひどい。その経済力から言いますと、今言ったカキ真珠養殖の零細な業者以下の資力しかない、生活力しかない、こういうものであるわけです。補助を出すものは零細だから出せるというなら、そういう思想がそこにあるとするならば、果樹農業になせ出せないのですか。私が先ほど、これを国民の生活に必要品だと格づけをしろと言うことは、必要品であるならば、国家の補助というものに踏み切る基礎がそこに出てくるわけだ。しかも、カキ真珠養殖の零細企業が立ち直ることができないから、国家の補助をするというならば、農民はもっと零細なんですよ。これはもう補助を出す理由というものはますます出てくるわけです。そういう点を私は指摘したい。その点につきましては、中馬次官が必需品だと考える、こういうことを明確にされましたので、これを農林省の統一的な考え方としてはっきり確認してよろしいですか。
  117. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 カキ真珠について補助金が出る、その根本的な理由は何かということでございますけれども、先ほど水産庁の方からお答えをいたしましたように、零細なる企業であって、立ち直りがなかなか困難であるということのほかに、私は、生産手段が一切台風によって失われて、ほとんどどろ海だけが残ってしまうということが、一つの考え方ではないかと考えておるわけであります。果樹の場合は、カキに比べて、生産手段たる畑そのものは多少残るし、それがもし災害を受けた場合は、農地の災害復旧として補助を認めておるわけでありまして、私どもは、あえてカキには補助を出すべきで、果樹には出してはならないというようなことは、もちろん考えておりませんけれども、ただいままでの段階としては、生産手段をことごとく失ってしまうという点においては、ややカキの方がひどいのではなかろうか、こう考えておるわけであります。
  118. 西村力弥

    西村(力)委員 誤解のないようにしてもらいたいが、真珠とかカキ補助金を出すことが悪いということじゃないのです。ただ、そういう人々が零細だからといって補助を出すならば、もっともっと零細な経営をやっておる果樹農業者に対して、補助を出せないという理由はないじゃないか、しかも、嗜好品であるという格づけならばとにかく、国民生活の必要品だと格づけするならば、その観点からは、やはり手厚いそれの助力策というものは、当然踏み切られていくべきじゃなかろうか、こういう考え方なんです。その点ぜひ一つ今後とも検討を願いたいし、また、私たちこれから努力して、しかるべく案の作成、そうしてまた、与野党とも一致した形における一歩前進、融資措置から一歩前進の方向、必要品として認めたということが具体的に現われる、果樹災害に対する助成の方向を打ち出して参りたい、こう思いますので、その際は、農林省の方においても大蔵省の方においても、これを受け入れる、こういう態勢をぜひ皆様方の御相談で打ち立てておいていただかなければならぬと思うのです。それはぜひ一つお願い申し上げたいと思うのです。  それから、果樹とちょっと違うようになりまするが、私、災害で開拓地をずっと回ってみておるのですが、この災害は、貧乏人ほどひどい災害を受けておるということは、これは開拓地に限らず、どこでもそうなのでありまするが、全くお気の毒な状況がたくさんあるわけであります。ところで、一つは、やはり、その開拓民の話を聞くと、私たちの将来性というものに少し疑問を持たざるを得ない、政府が責任を持って他に移住あるいは転職をさせてもらえるならば、集団的に移動をしたいということを、笑い話ながら話をしますが、笑ってはおるけれども、真剣な気持があるだろうと私は見ておるのです。私の県などを見ますと、百二十団ばかりあるうちで、将来性に対して見込みがありやいなや疑問だというのが、その二割近くもあるという状況です。戦後十数年間そうやりながら、なおかつそいうう状況にあるわけでありまして、この際、そういう捨て子をされたような状態にある開拓地の人々が、本人たちが希望するならば、思い切った移住あるいは他に集団転職という措置を、国の責任においてやる、こういう意思ありやいなや。この点はなかなか問題が多いでしょう。集団のことでありますから、一人が反対すればどうにもならぬということになるでしょうし、あとの財産整理の問題もあるでしょうし、また、他に転職するその先が十分なる保証をされるものでないということであるとするならば、だれでも出ないだろうし、問題はいろいろあるだろうと思うのですが、そういう苦境にある開拓団は、この際、本人たちの希望と将来性の見通しで不安が濃厚である場合において、国の責任においてそういう根本的な解決策をとる意思があるかどうか。
  119. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓地の振興対策ということは、かねてから政府としても、非常に重要なことと思って推進しておるわけでございますが、その一環といたしまして、開拓地の自然条件が非常に悪い、ここで開拓を継続するよりはほかの開拓地に移った方がいい、そういった方もございましょうし、また、もう開拓はやめて他産業の方に従事したい、こういうような開拓者も中にはあるわけでございまして、また、残ってここでぜひ開拓を継続したい、こういうような開拓者もあるわけでありまして、この開拓地を出ていくということが、あとに残る開拓者の経営規模を大きくする、経営基盤がそのためによくなる、そして、開拓がよくなるといったような問題ともからみ合わせまして、不振開拓対策の一環といたしまして、開拓者が新しい開拓地に移るという場合には、新規入植の扱いをして、住宅資金とかその他の経営資金融資、その他補助をする、そういうような考え方でやっているわけであります。なお、この開拓者の集団的な移住、あるいは開拓地からほかの産業なりほかの土地に移るというような問題につきましては、ただいま開拓審議会で、開拓者の不振対策の一環として十分審議されているわけです。いずれその結論も出ようかと思いますが、現在においてはとりあえずは、新しい開拓地に移る人には新規扱いをする、それから都市なんかに出る人には系統資金等の補助をする、こういうようなことで推進している次第であります。
  120. 西村力弥

    西村(力)委員 現状はそうでしょうが、政務次官、どうですか。集団全体が、開拓全体が、他に活路を見出したいという意思が統一する、それには、こちらからこうしたらどうかという誘いかけがなければだめだと思うのです。そういう意思がある場合には、国が責任を持ってそれをやらせるという方向に持っていかなければならないと思われるような開拓地もあるわけです。また、本人たちも、冗談まじりではあるけれども、そういうことを言っている向きもあるのです。そういうことは、政府の責任で、はっきり他に移住あるいは転職を集団的にやるということをやらせる、こういう考え方に向くことがぜひ必要であると思います。今のように、希望者があれば、間引きして補助金を出して入植させる、あるいは他に転職させる、こういうことではなくて、集団的にそれをお世話するということに対しては、どうでしょう、農林省の開拓行政として考えられるかどうか。
  121. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 開拓地の転職あるいは移動のことにつきましては、事がきわめて敏感に開拓行政に反映をいたしますし、私がただいまここで申し上げることが、とかくまた誤解を生じてはいけませんので、慎重に申し上げたいと思います。御指摘通り、連年災害を受けて、極度に貧困な状態にあって、しかも、将来の見通しがどうしても立たないというような、集団的な移動を必要とする地帯につきましては、ただいま自治省の方で、特にこれは伊那谷の集団災害を基準としてお考えになったと思いますけれども、集団移住を積極的に加勢をいたしたいという法律案を準備いたしておりますが、当然農林省の開拓地等もこれに該当いたしまするので、ただいま自治省の方ともとくと相談をいたしておる最中でございます。
  122. 西村力弥

    西村(力)委員 もちろん、これは本人たちの希望がなければ強制するわけには参りません。私は、希望を前提とした場合ということを申し上げておるのでございます。  これで終わりまするが、ただ一つ、私の県なんかは、開拓地の周辺はほとんど国有林野でございますが、開拓地の経済力を増すための一つの例としましては、高山植物のハイマツの実を取って、それを植えて苗木にして、盆栽を作って売っているという職業をやっておりますが、そうすると、林野庁で、その問題についてちょっと牽制をかけるという話がありました。営林署長に話しましたら、そういうことはありません、実を取るだけならば、御希望を申し出れば十分に措置しますということですが、山間部は、林野庁との関係における生活面というのは非常に多いわけです。それになお、この災害から立ち上がる場合において、林野庁が開拓地の諸君に対して何らかのあたたかい措置をとってくれれば、災害から立ち上がるという点において相当プラスになるのではなかろうか、こう思うのです。そういう点から言えば、国有林野周辺のの開拓地の被害から脱却しようとする努力に対して、思いやりのある措置をとるべきであるというような、そういう公式の文書でなくても、そういうような方向というものを、林野庁の方から関係営林署あたりに意思を伝達する、こういう工合にはできないものかどうか、その点お聞きしたい。
  123. 吉村清英

    ○吉村政府委員 国有林野内の開拓地の入植者の問題でございますが、この問題につきましては、災害時、平時を問わず、特に営林局署におきまして十分あたたかい気持をもって取り扱うように、援助をいたしますように、指導をいたしております。特にこういった災害時におきましては、その労働力を国有林野事業に吸収する、そして、できれば、木炭の資材だとか、まきの資材だとかいうようなものを払い下げて、生業を与えるというようなこと、あるいはまきの生産に従事していくというような方途を講じまして、僻地の隔離しておる個所につきましては、あたたかい手を差し伸べるように指導いたしております。あるいは、もし、その場所によりましてそういうことが足りないようなところがありましたら、重ねてそういう点については特に注意して指導いたしたいと思います。
  124. 西村力弥

    西村(力)委員 足りないというわけじゃないのですが、現実に開拓民の周辺に、目の先に国有林野があって、それとの関連で生活し、また、災害からも立ち上がっていかなければならぬ事情があるものですから、今の御趣旨は十分わかりましたが、なお一段とそういう趣旨を徹底せられまして、場合によったら風倒木の枝なんかはただでくれて、炭焼きの材料にするくらいの気持でこの際はやっていただきたい、こういう気持を申し上げておきます。
  125. 濱地文平

    濱地委員長 午後二時半より再開することといたしまして、休憩いたします。    午後零時五十六分休憩      ————◇—————    午後二時五十五分開議
  126. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたしましす。石田宥全君。
  127. 石田宥全

    石田(宥)委員 きょうは、大臣が都合がつかないそうでございますので、関係局長へお尋ねをしたいと思うのであります。  最初に、自創資金についてお伺いをしたいと思います。本年の五月以来の災害に対しまして、災害に関する資金ワクというものがどの程度用意されているか、また、今日までの各県からの要請額がどの程度であるか。これは従来、災害関係は、災害程度その他によりまして所要額を増額をするのがいつもの例でありますが、今回の引き続く災害に対する資金の割当、それから需要額、それからの点をお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  128. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 自創資金につきましては、三十六年度は百六十億のワクが当初決定いたしておりますことは、御承知通りでございますが、そのうち、当初農地の取得並びに維持資金といたしまして九十億配分いたしまして、七十億残っております。このうち、融雪災害、あるいは四月、五月のフェーン災害その他を配分しておりますし、また、北海道災害等、早急に検討して決定いたすべきもの等がございますので、そういうものを差し引きますと、災害ワクとして二十数億程度、三十億足らず残っておる、こういう状態でございます。なお、災害につきましては、ただいま申し上げましたように、フェーンまで配分が済んでおりますが、その後の集中豪雨、それから八、九月の災害、第二室旧そういうものにつきましては、今統計の方から出て参りました資料基礎にいたしまして、配分を算定中でございますが、大蔵省と今折衝中でございます。なお、府県から出て参りました要望というものは逐次集まっておりますが、六、七十億程度あるというふうに承知いたしております。
  129. 石田宥全

    石田(宥)委員 府県からの要望額に見合う程度に増額できることであろうと思うのでありますが、その点はどうですか。
  130. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 災害資金につきましては、御承知と存じますが、農作物の被害統計を基準にいたしまして、激甚な、大体七割以上の被害という農家を対象にする、こういうふうに相なっておりまして、なお、天災融資法による融資、あるいは米麦等につきましては共済金の支払い、そういう予定額を控除いたしまして、対象農家というものに配分するように相なっております。御承知のように、天災融資法のワクなり、あるいは融資限度も、今次の災害引き上げられる状態でございまして、こういうものを考えまして、今いろいろ検討している段階でございまして、既定の自創資金のワクでまかなえるかどうかという点につきましては、今明確な御答弁を申し上げる段階に至っておりません。
  131. 石田宥全

    石田(宥)委員 自創資金の貸付でありますが、昨年までは大体三反歩以上の農家に貸付をしておったのでありますが、今年度からは、いわゆる農業基本法との関連において、小農を切り捨てるという政府の考え方がここに現われたと思うのでありますが、六反歩以上の農家でなければ自創資金の貸付の対象にしない、こういうことに取り扱われておるようであります。これは山間地方などでは、三反歩ないし五反歩というような小さな農家でも、実はそれだけによって生活を維持するということはもちろん困難でありましょうけれども、地域々々で出かせぎをするなり、あるいはその他の兼業等をやりまして、保有米農家として、それによって大きく依存しておるわけでありますが、特に今次の災害を受けた農家で生活に困窮しておるような人たちに対して、六反歩以上でなければ貸付をしないというような措置は、天災に加うるに、さらに政府がこれに追い打ちをかけるにひとしいものであるということで、地方から非常な強い批判が向けられておるのでありまして、少なくとも従来のように、被害農家に対しては、三反歩以上の農家に対して融資すべきであると考えるのでありますが、この点はいかがでしょうか。
  132. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 自創資金の運用につきましては、本年度から新たに加えました要件としては、自立農家の維持育成という点を配慮して運営するようにというふうに加えておりますが、そのほかの点につきましては、何ら従来と変更はいたしておりませんで、従来通りの運営をいたしております。それで、今御質問にありましたように、六反歩以上、そういった運営につきまのての基準なり、あるいは指導はいたしておりませんので、さよう御承知願いたいと思います。
  133. 石田宥全

    石田(宥)委員 政府がそうした明確な方針を打ち出しておらないということになりますと、これは、やはり自立農家の育成というような指導要綱か何かで府県がやっておるのではないか。現に、つい二、三日前に新潟県から参りました県議会議員の諸君が——そういうことはあり得ないということを私どもいろいろ反論をしたのでありますが、これは現にやっておる、これは大へんな問題だ、山間地帯などでは重大な問題だから、ぜひこれはそのワクをはずしてもらいたい、こういうことを言っておるわけです。ですから、あるいは農地局長の方ではそういう文書を出しておらなくとも、農業基本法に沿うところの、今ちょっと触れられた自立経営農家の育成という趣旨から、府県などが具体的なそういう方針を打ち出しておりますから、やはりその線に沿うて府県などがそういう取り扱いをしておるのではないかということも十分考えられる。でありますから、もし新潟県において事実そういう取り扱いをしておるとすれば、その取り扱いは適切なものではない、従来通りの取り扱いをしなさいという指示を、あなたの方からやってもらわなければならない。それをおやり下さいますか。
  134. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 自創資金の運用につきましては、ただいま御答弁申し上げた通りでございまして、新たな変更は、先ほど申しました維持育成も考えろ、こういう程度でございます。それで、今御指摘のような事実があるとすれば、これはいかがなものかと存じますが、取り調べたい、こう存じます。  なお、御承知のように、自創資金につきましては、非常に希望者も多いわけでございまして、配分のワクに比べまして要望が多いという点もありまして、あるいは県におきましてそういう優先順位というようなものをつけている場合もあろうかと存じますが、そういう点は取り調べて善処したいと考えます。
  135. 濱地文平

    濱地委員長 石田先生、ちょっと御相談ですが、商工委員会から農地局長にぜひ一度、早くという要求があるのですが、そのおつもりで、一つ御考慮してやっていただきたいと思います。
  136. 石田宥全

    石田(宥)委員 こっちもそう時間がかからないから……。  今の答弁を聞きますと、やはり各地方ごとに、基本法に基づく構造改善計画であるとか、いろいろな構想が具体的になってきておるのですね。ですから、国の方でそういう考えを具体的に出さなくとも、地方ごとにかなり行き過ぎた政策が、この問題だけでありませんけれども、出ておるわけです。そういうものを、これからお調べになるということでは、どうもはなはだたよりないわけで、これは察するところ、新潟県だけじゃないようです。ですから、これについては早急に、災害を受けて困っておるところの農民にさらに政府が追い打ちをかけるような、そういう残酷な措置をとるべきでないという態度を明らかにしたものを、文書を通じて全国の災害地にはぜひ出してもらいたい。それは皆さんが御承知になっていないほど、末端では進んでおるのですよ、市町村あたりでは。こういう点については、ぜひこれは文書をもって、行き過ぎのないようにという注意をしてもらいたい。どうですか。
  137. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 行き過ぎであるかどうか、県のいろいろな事情があろうと存じます。そういう点、災害農家との関連におきまして、実情に合わない点が、もし運営においてなされておるような事情が判明いたしますれば、善処いたしたい、こう考えております。
  138. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも政府のやり方というのは、非常にずるく立ち回っておって、基本法の関係はみんなそうなんですよ。だから、国会で盛んに議論をしておる間に、法律がまだ審議の過程において、どんどん末端の行政が進んでしまっているんですね。最も極端なのは、裸麦の作付転換でしょう。これは農民をぺてんにかけるようなことになるのですね。法案の審議中に、すでに末端の行政が先に行ってしまう。私は、これもやはりその一つだと思うのですが、これは十分考えられることなんです。市町村ごとに自立経営農家の育成というよううなことになると、いや、三反歩じゃとても自立経営農家にならないから、災害を受けて困っておるならば、早くどこかへ追い出した方がいいなどという方針が出ておるとすれば、それは政府の思うつぼであるかもしれません。しかし、災害を受けた農家にそういう追い打ちをするようなことは一体許されるかどうかということです。あなたは今聞いておらないと言うけれども、おそらく知っておられるでしょう。わからぬはずはない。そうとぼけた答弁をしないで、もっとはっきり、そういう行き過ぎをやって、災害を受けて困っておるものに特にその自創資金の貸し出しをしないというようなことは、これは適切な措置でない、そういうことはやるべきでないという文書をなぜ出せないのですか。そういう文書を流されても、地域地域でまたそれぞれ勘案するでしょうけれども、やはり政府がそれくらいなことをやれないというはずはないのです。これから調査しておったのでは、もう間に合わないでしょう。自創資金はもうちゃんと手続が済んでおるのです。済んでおって、それぞれ今ふるいにかけておるわけです。これから調査して、いつになったら調査が上がってきますか。その間違いを発見したときには、もうすっかり資金の配分は済んでおる。そのうちに、かかる小さな農家は、もう農地を売り払って都会へでも出なければならぬ。それが政府のねらいかもしれませんけれども、そういうふ届きな態度というものはないでしょう。そういう答弁はないですよ。もっとはっきりしなさい。
  139. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 災害につきましては、資金は、ただいまのところは、雪害と台風四号だけ配付いたしております。集中豪雨以降の災害資金につきましては、まだ配付いたしておりません。配付につきましては、今御指摘のようなことのないように注意をいたしまして配付いたしたい、こういう考えでございます。
  140. 石田宥全

    石田(宥)委員 これからのものは注意をするのはいいけれども、今までやって現に問題になっておるということを、私は指摘しておる。新潟県の県議会議員がいいかげんなことを言っておるはずはないですよ。これは何回も聞いておる。つい数日前、県議会議員がこちらに来て、はっきり言っておる。きょうもその議員は来ております。だから、そういうものについては行き過ぎてはならない、災害に対してまた政治的な追い打ちをするような残酷なことはやってはならないという趣旨の文書は出せないですか。お出しなさいよ。出せないということはないでしょう。
  141. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 御趣旨に沿うように善処すると先ほどから申しておる次第でございますので、御了承願いたいと思います。
  142. 石田宥全

    石田(宥)委員 どうも政府の政治というものは、いつでもそういうことになると思うのです。だから、上の方では、いろいろな方針や基準や何かを定める。しかし、末端へいくと、いろいろとゆがめられて運用されておる。政府の役人は、知っておっても実は知らぬ顔をしておる。そういう場合が非常に多い。ことに農地局には多いのです。農地局では非常に問題があるのです。私は、きょうは災害委員会だから申し上げませんが、次の機会に、私は農地局の問題を一つ持ち出そうと思うのですが、不届き千万なものが多いですよ。だから、これは早急に善処してもらいたい。  次に、やはりこの問題でありますけれども、災害が非常に広範かつ深刻でありますから、その需要がきわめて広範に及んでおるわけです。今までは部分的な農家がこれを借り受けるにあたっては、保証人なども相当楽に頼むことができたわけです。今度は非常に広範なものでありますから、なかなか保証人を頼みにくい。そこで、お互いに相保証というか、相互保証というか、お互いに保証人になり合って、この資金を借りよう、こういうことを実は相談をしておるわけです。ところが、これについては、相互保証は相ならぬ。認められない。相互保証ができないから、そのかわりに農地の抵当権を設定せよ。要するに、農地担保で融通しよう、こういうことで、急にそれをやり始めておるわけです。この法案が成立した当時、私どもも法案の審議に参画いたしたのでありますが、特に農地担保で貸付をすることもできるけれども、農地担保をとるべきでないという趣旨でこの法案が成立をしておる。その後、しかし、末端の窓口の関係もあり、県信連等の態度もありまして、かなり広範に抵当権の設定をしておるのでありますが、今回のような災害にあたって、特に相互保証を認め本いからということで、一々農地の抵当権を設定するというようなことは、これまたまことにわれわれの遺憾とするところであります。これに対しては、やはり相互保証というものは認めて、しいて農地担保をとらなくても融通をするように御配慮を願わなければならないと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  143. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 自創資金の貸し出しにあたりましては、公庫の業務方法書では、人的担保または農地などの物的担保を設定するか、いずれか一方または双方をすることになっておりまして、人的担保でもよければ、物的担保でもよろしい、こういうふうになっております。制定の当初におきまする事情は、ただいま石田委員からお話がありました次第でありますが、自創資金と申しますものは、非常に被害が激甚でございまして、場合によっては無担保状態にも近い、それから一般のほかの金融のベースにも乗りにくいといったような農家に対しまして、自創資金の効用が非常にあるわけでありまして、これを人的担保と申しますと、やはりそういう方には、農民の中でも保証人になってやろうというような人も、場合によっては少ない場合もございまして、人的担保だけに限るということは、災害を受けました農家が自創資金融資を受けますにつきましての支障になる場合もあろうかと存じます。そういう事情もありまして、人的担保ができない人は、物的担保でも立ててもらわないと、これは金融機関でありますから、貸しにくい、こういうような事情がありまして、いずれか一方ということで、その被害農家の借りようとする農家の状況に応じまして、最も便宜な方法をとりたい、こういうふうな考えでおります。
  144. 石田宥全

    石田(宥)委員 そういう際に、相互保証が困難である、どうしても借り入れに都合が悪いというような場合に、地方の自治体などがこれを保証する、あるいはその損失補償するというような手続によって、被害農家に安心を与える、また、融資の道を開いてやるというような措置がとられることが、最も適切なものであろうと思うのでありますが、そういう面についての御指導についてはいかようにお考えでありますか。
  145. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 自創資金制度と申しますのは、自作農の経営の安定をはかる、こういった見地から、国がその責任と負担において自創資金を貸し出しているわけでございまして、そういうような政策、目的にかんがみますれば、地方公共団体に保証させるといったようなことを制度として取り上げるということは、必ずしも適当じゃないのじゃないか、こういうふうに考えております。しかし、一方におきまして、災害関係融資にあたって、保証人の資力が十分でないような場合、これを補充するために市町村等が損失補償を行なうということについては、特別の例としてままあるようでございますので、今後十分検討して参りたい、こういうふうに考えております。
  146. 石田宥全

    石田(宥)委員 なお、これと関連いたしまして、実は土地改良等の関係でありますが、やむを得ない場合には抵当権を設定するということも実はあり得る。また、保証人が時にはそれを希望する場合もあるのです。ところが、新潟県あたりのように土地改良事業が広範に行なわれておりますと、土地改良事業が完成いたしましても、なお登記事務が非常に渋滞をしておる。私どもの地方では、土地改良事業が完了した後に五年くらいたっても、まず登記事務が完了していない。そうすると、抵当権を設定するにあたって土地改良区の証明を必要とする。そこで、非常に事務が繁雑になって実は困っておるわけです。これは農地局の責任でないとおっしゃられれば、それは直接農地局の責任でないかもしれないけれども、実は法務省の責任です。地方によって非常に困るものでありますから、農業委員会や農協などが、法務局の登記事務の手助けをやったり、いろいろやっておるわけです。それでもなお、四年も五年も登記が完了していないという地方が非常に多い。これについては、やはり法務省の事務ではあるけれども、農地局として何らかの措置が必要である。直接法務省と話をして促進させる、あるいはまた法務省との間で話し合いの結果、両方でこれを促進するというようなことが、どうしても私は必要だと思う。これは今の問題との関連でつけたりでありますけれども、一つ心がけておいて、促進をしていただきたい。実は法務省の関係者を呼んで少し責任を追及したいと思ったのですが、きょうは呼んでおりませんから、局長からこれを含んでもらったらよろしい、こう思うのです。  それから農地局長にもう一つだけお尋ねして、あとはほかの局長にかわってもらいますが、それは土地改良区の問題であります。被害の激甚な地域では、賦課金の徴収が全く不能に陥っておるわけです。収穫皆無というような地域では、維持管理費ももちろん、それからまた償還金、これも完全に徴収不能、こういう状態です。そこで、新潟県では、県から農協の県信連に二千万円の預託金を出して、そこから融通して急場しのぎをやっておるわけです。これは土地改良区としては大へんなことなんで、実は県が預託金を出して、信連から金を出しましても、利息その他の負担で、大被害を受けて収穫皆無だというのに、その利息を払って、将来これを返還しなければならない。こういうことになると、なかなか負担が大きいのです。そこで、維持管理費については、政府が特別の利子補給等をするところの資金をお考え願われないか。  もう一つは、借り入れの事業費の償還であります。この償還を延期をする。延期をするといたしましても、一年なり二年なり延期しただけでは、この次に重複してまた償還しなければならないようなことになりますから、これじゃ事実上償還不能になる。そういう関係で、従来の償還の償還すべき借入金とあわせて、新たな低利長期資金をここに設定する必要があるのじゃないか、こう考えるのでありますが、この償還金に対する取り扱い、それから維持管理費についての別個の融資をし、それに対する利子補給等の問題について対策がございますかどうか。
  147. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 土地改良区の賦課金の、事業費の方の農民負担になっております分、公庫から借りている分の徴収でございますが、農民の方々が、今次災害によりまして非常に償還が困難になってくる、こういうことに相なりますれば、公庫の業務方法書にも、災害その他で償還が非常に困難な場合は、償還条件の緩和等の措置ができるようになっておりますので、それを活用いたしまして、十分緩和の措置をとれるように公庫の方にもよく指導いたしたい、こういうふうに考えております。  それから維持管理費の負担金の問題でございますが、これは経費の性格から、公庫で見るという性格ではないのでございまして、従来通り系統資金で見ていただきたい、こう思っておりますが、水利費につきましては、天災融資法の中の経営資金の中に入りますので、天災融資法損失補償をいたしまする資金として貸し出していく、こういうふうに取り扱いたい、こう思っております。  なお、登記の促進についてでございますが、御承知のように、不動産登記は更新力を持っておりまして、非常に重要なことでございまして、法務省でもその点重要に扱っておる次等でございますが、御指摘の点もありまして、その点については、早速法務省の方に連絡いたしまして、この促進方を要望しておるわけでございますが、私の経験といたしまして、諌早干拓なんかのときの災害のときにも、登記がおくれていて、抵当権の設定が非常に困る、こういうような事案がございまして、県なりから応援をいたしまして、登記の促進をはかったというような事例もございますが、われわれの方といたしましても、できるだけ登記の促進をはかるような措置も県に要望いたして、自創資金の貸し出しに支障のないようにいたしたい、こういうように考えております。
  148. 石田宥全

    石田(宥)委員 維持管理費の天災融資の方の金ということになりますと、これはやはり利息の負担が過重になるし、やはり別個の資金を一本作って、そうして利子補給をするということをこの機会に考えるべきじゃないか。実は土地改良団体の財政再建に関する法案を前国会に私ども提案をいたしました際に、前の周東農林大臣がこの問題について特に国会で発言をされて、土地改良団体の財政再建についての償還期限の緩和、それから利子補給、そういうことについて政府として考えようという答弁もあったことであり、特に今度のような深刻な災害を受けた機会に、そういう道を開くことが必要だと思うのですが、それは考えておられませんか。
  149. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 今回の災害につきましては、直接その維持管理費の利子補給といったような点については考えていない次第でございますが、不振土地改良区の再建の問題といたしまして、従来から非常に問題になっている次第でございますことは、石田委員の御説の通りでございます。その点につきましては、われわれといたしましても引き続いて検討をいたしておりますが、まだ結論は出ておりません。
  150. 石田宥全

    石田(宥)委員 この機会に、やはり被害のはなはだしい土地改良区に対しては、特別の融資措置を考えるべきだと私は思うのです。要するに、不振土地改良区といいましてもそういう災害がしばしば起こるというようなことが、いわゆる不振土地改良区になることなんで、今日土地改良区というものの財政状況は、どこでも非常に困難になっておる。従って、災害のような機会をもって、新たな一つの道を開くということが、私はきわめて適切なものであると考えるのでありまして、これを一つぜひお考え願いたい。しかし、これについて局長に、そういう新しいものを今ここですぐ作れと言っても、これは無理かもしれませんが、政務次官が見えておりますので、政府もきのうあたり新たに災害法案が出されたようでありますから、早急にそうした特別の融資についてのお考えを願いたいと思うのでありますが、政務次官どうですか。
  151. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 土地改良区の運営につきまして、いろいろ資金的に難渋いたしているところがかなりあるかと思いますので、よく個々のケースで調査をいたしまして、もしどうしても特別の金融措置を講ずるような必要があるならば、あらためて農地局内において検討させていただきたいと考えております。
  152. 石田宥全

    石田(宥)委員 局長、これはやはり関係がありますから、もう少しお聞きしますが、今度実は、新潟県の災害でヘリコプターで農薬の散布をしたのです。これはもうすでにお聞きになっておられると思いますから、詳しいことは申し上げませんが、従来災害については、たとえば旱害に対する場合、あるいは水害の際に、その施設、すなわち揚水機または排水機の使用料あるいは燃料、これは災害のたびごとに補助対象にして取り扱われて参ったわけです。ことに二、三年前には、防除器具に対して大幅な助成が行なわれたことは、これは局長よく御承知通り。そこで、そういうふうに干害あるいは水害の際に、揚排水機、あるいはまた、農薬散布のための防除器具の購入費に対しては、大幅な助成措置をとられて参ったのでありますが、今回の水害にあたりましては、飛行機でこの農薬の散布をいたしております。ところが、これについては、先般当委員会において、大野委員から、その農薬代は別としまして、少なくともヘリコプターのチャーター代、輸送費、それだけは当然政府が補助すべきだということを指摘されたのに対して、大蔵省の主計官でありますが、十分検討いたしましょうという答弁をしておるわけです。検討しましょうと言ってからもう相当時間もたっておりますし、担当の農地局から強くこれは要請をされないと、大蔵省が、ただすなおに出してくることは考えられない。ことに水防資材に対しては、従来いろいろ問題がございましたが、今回は三分の二の補助を出すということになって、法案も提案されておるおりからでありますので、これは当然政府が補助対象とすべきものであるし、また、大蔵省でも検討しますと言ってから、相当時間も経ているのでありますから、その後の経過を承りたいと思います。
  153. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま、水害跡地におきまする農薬防除に空中散布の方式を使ったケースに対して助成をしろという御趣旨でございますが、先般の集中豪雨の際も、新潟県あるいは長野県等におきまして、災害の跡地へ、その直後で、農家の住宅等も相当の損害を受けている、その地帯の水田もまた相当の水害を受けているというような状態の際におきまして、たまたま防除適期にあるにもかかわらず防除が十分でき得ないということで、空中散布の方法によりまして農薬の散布をいたしたのでございます。従来、防除に対しましては、町村が共同防除をするための防除器具が流失する等の事態におきましては、これに助成するという方法をとっておったのでありますが、今回は空中散布の方法でこれを処理していった、こういうことでございます。われわれ農林省の振興局といたしましては、最近におきまするヘリコプターの利用による農薬空中散布という方法は、だんだん伸びて参っておるような実情でありまして、たまたまそれが災害の跡に利用された、しかも、適期にこれが活用されていったということにつきましては、はなはだ望ましい方法であったと考えておるわけでございます。これにつきまして、先般当委員会で大野委員から御質問もありましたように、振興局といたしましても、チャーター料に対しまする何らかの助成を講じてはどうか、こういうことで、大蔵省と協議を進めておる段階でございます。協議のその後の段階はどうであるかという御質問でございますが、今の論点といたしましては、一つは、空中散布による料率の方が、農家の負担を比べてみますると、同等かあるいはかえってそれよりも安いというような状況にある際に、これに対する助成をやることは、他との関係においてなお検討すべきものがあろう、こういうふうなことで、今論議をもう少し進めておるところでございますので、もう少し強力に進めていきたい、かように考えております。
  154. 石田宥全

    石田(宥)委員 今の局長答弁で大体のことはわかったわけですが、先般の大野委員質問の際にも言われておるように、農業の近代化として当然の方向であり、最近では、農業団体が協会のようなものを作って、広くこれを利用しようとする段階——今回使用いたしましたのも、いろいろ理由がございまして、実はここで一々申し上げませんけれども、きわめて適切妥当な措置であったことは、これは何人も疑う余地がございません。そうしてまた、私が先ほどなぜああいうことを申し上げたかというと、従来そういうふうな揚排水機の借款料、燃料あるいはまた防除器具等に対する大幅な政府の補助、助成が行なわれてきた経緯から見てい当然政府が相当額を補助すべきであるということを明らかにしたわけです。局長の方も、大体その趣旨で交渉をお進めになっておられるということでありますから、これはさらに大蔵省の責任者とも話を私どもも進めたいと思います。局長の方からさらに一そうこれは強く要請をされまして、おそらく将来、災害に対しては各地方ごとにヘリコプターを配置するという段階までいかなければならない問題であろうと思うし、この機会にぜひこれは実現をするように一つ努力を願いたい。なお、これは政府次官にも申し上げておきますが、この問題は、今申し上げましたような実情でありますから、大臣とも協議されまして、一日も早くこれが実現を見るように、ぜひ一つ格段の御努力を願いたいと思いますが、なお、この機会に、政務次官のお考えを一つ承っておきたい。
  155. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいま仰せの通り、ヘリコプターが農業の近代化に非常な貢献をするということにかんがみまして、先般来それぞれのヘリコプターの会社の方から、個別に農林省に対しまして、いろいろ助成その他についての陳情があったのであります。それに対して農林大臣は、個々ばらばらの陳情やあるいは競争では困るし、農林省としても取り扱いが非常に困難であると思うから、ある種の協定といいますか、団体といいますか、そういう式のものを作ってもらって、窓口を一本にしてもらえば、農林省としても、今後、たとえば林野の防除の問題あるいは一般の農薬散布の問題等において、非常に仕事がしやすいというルートができてくると思うから、早急にそれぞれ一流のメーカー、会社といいますか、どこに出しても農民が決して迷惑をしないという程度のものが一つ集まってもらって、ある種のルートを作ってもらいたい、そうすれば、農林省としても、今後大いに助力ができるのではないかという意味の御発言がございまして、ただいまそれぞれの業界内部において交渉等があるように承っておりますけれども、われわれも、一日も早くそういう交渉等がまとまって、今後ヘリコプターというものが大いに農業の近代化に、あるいは林業の近代化等に役立つように希望しておるし、また、今後われわれもある種のことを考えなければならぬだろう、かように考えております。詳しい構想等は、いずれそういうまとまった具体的な構想等が出てくれば、農林省としても正式な態度が打ち出せるのではないだろうか、かように考えております。
  156. 石田宥全

    石田(宥)委員 今の私の質問は、そういう基本的な構想もけっこうですけれども、今の問題についての考え方も承りたい、こういうことであります。   〔委員長退席、秋山委員長代理着   席〕
  157. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 先ほど振興局長からお答えがあったように、ただいま農林省としては大蔵省と鋭意交渉をいたしておりますが、あらためて、私の方からも、各局長、係官を督励して、実現するように努めたいと思います。
  158. 石田宥全

    石田(宥)委員 次に、経済局長にちょっと天災融資のことでお伺いしたいと思います。  今回の台風で、これは地方的な問題でありますけれども、雨の多い地帯では、稲の乾燥にハサバというものを作っておる。これは昔からのきわめて古い慣習でありまして、しかしまた、唯一の乾燥の施設なんです。これが風のために大量に倒伏をいたしまして、本来ならば、これはコンクリートの柱でやれば、むしろ稲作などにも日陰を作るようなことも少ないし、当然そうあるべきなんですが、資金その他の関係でなかなかできておらない。今回この機会に、この倒伏したものは立木でありますから、立木がハサバに利用できるようになるには相当の年数を要する、そこでコンクリートの柱にかえたい、しかし、今申し上げたように、資金との関係がある。これをこの機会に天災融資法対象として、資金融通を受けて、それによってこれをかえたいということを強く要望して参っておるのでありますが、これは対象にすることは当然であろうと思うのでありますけれども、いかがでしょうか。
  159. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 おっしゃる通り地方の実情によりましては、そういう問題が非常に大きな問題であろうと思うのでございまして、御承知のように、天災融資法には経営資金というものがございまして、もちろん、その資金の需要も非常に少ないものでございますとすれば、そういう設備のようなものも設備と申していいかどうかという程度のものでございますから、当然経営資金という観念で、天災融資法対象になるというふうに考えております。また、場合によっては非常に金がかかりまして、たとえば十万円以上も金がかかるというふうなもので、いわゆる固定施設というような感覚で考えられる程度のものでございますれば、これは公庫で貸付の対象にするというようなことで考えたらどうか、こういうふうに今私ども考えておるところでございます。
  160. 石田宥全

    石田(宥)委員 天災融資法対象で少なくとも六分五厘の資金、それからもう一つ公庫災害融資資金、これは七分でございますが、そうすると、これは天災融資法資金も考えられるし、それから公庫災害融資資金も考えられるというふうに理解してよろしいということですか。
  161. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 資金の大きさによって、そういう工合に両方で考えていいのじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  162. 石田宥全

    石田(宥)委員 それから次に、天災融資をすでに借りておって、これが償還を終わらないうちに、また借りなければならない、さらにまた借りる、こういうようなことになりますと、それが幾つも重複するようになる。こういう際には、従来の資金というものを全部一本にいたしまして、そうして従来の貸付金を償還した形にして、全部それをプラスして、さらに若干のまだプラスになるような処理を従来行なわれておったわけですが、何回も連年災害を受けますと、やはり一定の限度額がございまして、それには非常に困難な問題が起こるのではないか、こう思うのです。今回特別立法措置限度額引き上げが行なわれますけれども、それでもなおかつ、おさまり切らない問題が当然起こると思うのです。そういう場合に、限度額を越えてもなおかつまかなう、こういう措置をとらなければならないと思いますが、これは行政的な措置でできるかどうか。若干法令の改廃が行なわれなければならないものかどうか。どうお考えですか。
  163. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 今回の特例法でも考えておりますように、限度額引き上げということを考えておるわけでございます。限度額を考えます場合におきましては、連年災害との借りかえの問題等の中では十分考えるということで、いろいろ今までの実績等を検討してみますと、大体において今までの借りかえ等の分も見られるのではないか、そういうことで、伊勢湾台風の場合にそういうような考え方であったわけでございますが、一応法律の上から言いますと、限度額をきめておりますからして、その範囲内において、運用の面におきましては、十分災害の実態に応じまして指導をしたいと思っておりますけれども、その限度を越えてというわけにはいかぬだろうというふうに考えております。
  164. 石田宥全

    石田(宥)委員 なお、これは先ほども自創資金の際にも伺ったのでありますが、やはりこの場合も相互保証の問題が起こっております。現に起こっておる。そういう場合には、これは当然地方自治体等が損失補償する、あるいは借り入れについて保証をするということが考えられるし、現にやっている市町村があるわけです。ただ、その市町村が損失補償をするというような場合に、これは実は自治省の管轄になるわけなんです。きょうは非常に忙しくて、関係各省に出てもらわなければならなかったわけですが、呼んでないのですけれども、一つ経済局長の方で、市町村がやむを得ず損失補償をやる、あるいは利子補給などをやるということをやっておる場合に、これは特別交付税等によって措置してもらわなければならないと思うので、局長の方から自治省と折衝してもらいたい。また、この点は、政務次官の方からも、これは当然なことであると思うけれども、やはり農林省の方からやかましく言っておかないと、自治省の方は逃げようとすると思いますので、これは十分考慮してお考えを願いたいと思います。
  165. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 おっしゃる通りでございまして、天災融資法におきましては、市町村も損失補償をするということになっております。制度上なっておるわけでございます。そういうことでございますから、当然交付税等の対象には見ておるわけでございます。  また、第二の御質問の相互保証でございます。この点は、天災融資法の場合には、従来も相互保証をやっております。そういうようなことで、できるだけ災害地の実情に即しまして、運用を円滑にいくように指導したいと思います。
  166. 石田宥全

    石田(宥)委員 これは従来やっておるとおっしゃるけれども、やはり地方によってはやっていないところがある。さっきの自創資金の場合と同じように、建前としてはやることができ、また、やっておる。しかし、地域によっては、なかなかそういう取り扱いをしないように努めておる地方がある。ですから、そういう点は大体政府の方でおわかりになるだろうと思いますから、天災融資の場合は極力そういうことのないように一つ指導をしていただきたい。これを要望申し上げておきます。  それから最後に、施設災害の復旧でありますが、これはしばしば問題になっておりますが、農舎、畜舎、それから果樹だななどの個人施設が、今度は非常に多いわけです。その場合に、今の農林水産業の施設災害復旧事業費国庫補助の暫定措置に関する法律からいうと、第二条で制限がございますから、従来はなかなかこれが入りにくい。これは、今回の災害が、特に個人的なそういう施設災害が非常に多い点から見て、当然法律上の措置をすべきであったわけです。この法律を見ますと、第一条では、ちゃんとこまかく、個人であるとあるいは公共施設であるとを問わず、対象にしておいて、二条でこの制限をしているわけです。建前としてそういう法律になっておりますから、やむを得ないといたしましても、今度の災害にあたって、なぜ一体これを特別な立法措置をしなかったか、これはしばしば当委員会においても問題になっているところでありますが、水稲なりあるいは果樹なりが全滅をしている。収穫皆無だというような地域が非常に多いわけです。収穫皆無のようなところに、それらの施設に対して、なるほど融資するからと言われても、融資だけではなかなか再建が困難であって、これをやらないと、結果的には、ある一部の地域にあるように、もう部落なり村なりがほかに移転しなければならないというような事態すらも生じておるわけです。これはこの特別委員会として、当然個人的な被害に対して立法的な措置をやって、援護措置をしなければならない性質のものであると思うのでありますが、これについてはまだ——先ほども申し上げたように、きのうあたり閣議でようやく決定を見て出された法案もあるわけですが、そういう準備が進んでいるのかどうか、また、どういうお考えでおられるのか、これを一つ承っておきたいと思います。
  167. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 お答え申し上げますが、私の直接の所管ではございませんけれども、従来の建前といたしまして、公共施設あるいは共同利用施設というようなものにつきましては、その特例法で補助対象にしております。個人施設につきましては融資で考える、こういう建前できておるわけでございまして、実際問題といたしましては、今までもそういうふうにやって参っております。この前の伊勢湾台風のときにも、そういうようなことで対象にして参ったわけでございますので、その例によりまして今回も考えておるわけでございます。
  168. 石田宥全

    石田(宥)委員 従来ずっとこの法律に基づいてやってこられたことは、こっちはわかっている。そこで、今回の災害にあたっては、特別にいろいろな法律ができて、それぞれ特例法でおやりになっておるのに、この点だけは特例法を作らないのはけしからぬじゃないかと言っておるわけです。だから、それをやらないということになると、結局その被害農民を見殺しにすることになるじゃないか、一年一回しか収穫のない水稲あるいは果樹、それが収穫皆無だ、そうすると、そういう収穫皆無の地域の農民は一体どうなるか、今出かせぎをやったりいろいろやっておるけれども、とても農舎や畜舎や果樹だな等の施設の復旧などに手が届かないじゃないか、それを見殺しにするのか、見殺しにしていいというのか、それを言っておるのです。法律がそうなっておることは、私はわかっておるから聞いておる。だから、今度はその法律特例法を作るべきじゃないか、それが今度の国会の重要な目的じゃないか、災害対策が今国会の重要な一つの任務ではないか、しかるに、そこに手が届かないということはけしからぬじゃないか、こういうことを言っておるわけです。これは局長では無理かもしれないので、一つ政務次官、どうですか。
  169. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 私どもは、従来の建前が必ずしも正しいものとは思いませんし、この際改めるべき点は改めた方がいいと思いますけれども、ただ、技術的にいろいろ相談をいたしたのでありますが、個人災害の場合、たとえば果樹だなとかさくとかいうものの一々の被害の査定ということが、実際問題としてはおそらく不可能に近いのではなからうか。農地の場合にも、三万円以下の小災害をいろいろ対象にしたいということもあったのでありますが、今の役所の機構その他では、なかなか三万円のところまでは手が届かない。果樹だな、器具等につきましても、そういう理由等によって、実際問題としては、ほとんど査定、交付ということが不可能に近いのではあるまいかというような観点等からいたしまして、ただいまのところは、個人の災害に対しては補助金を出すということは考えておりません。
  170. 石田宥全

    石田(宥)委員 災害の査定などに手続上の問題があろうという御答弁でありますけれども、これくらい簡単なものはないのです。これは次官、どうも認識不足もはなはだしい。実は土木災害のようなものは、なかなか査定が困難だということは言えるけれども、農舎や畜舎や果樹だななどというものは、簡単に査定ができる。ですから、ある程度、これは地方公共団体などにまかせ、あるいは農協等にまかせて査定をされても、大しためんどうもないし、また、間違いもない問題です。これを今回対象にしないということは、これは農林省は怠慢だと私は思うのです。非常に大きな問題だと思う。小災害といっても、それは性質にもよりますが、少なくとも今私があげたような農業施設というものは、査定もきわめて簡単であるし、手続はそうむずかしいものではない。これは被害激甚地の農民が立ち上がる上において、一番大きな、一番大切な施設なんです。それを、査定が困難であるというような簡単な理由から、これに対する特別措置をやらないということは、どうもふに落ちない。これは早急に一つ大臣とも相談をされて、対策を講じてもらわなければならないと思いますが、どうですか。
  171. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいままでのところでは、査定というものは、農業団体その他にまかせるというところまで国の方針がいっていないように思います。従って、個々の農舎その他について本省の辺から一々査定に行くということは、言うべくしてほとんど不可能に近いのではないかというように考えております。  なお、ただいま大臣とも相談せよということでありますから、よくこの点については御相談を申し上げたいと存じます。
  172. 石田宥全

    石田(宥)委員 これはもう政務次官の耳に入っていると思うのですけれども、地方の市町村や府県などさえも、そういうものに対して、正確な補助金というものではないにしても、見舞金なりあるいは再建資金なり、いろいろな形で出しているのです。ところが、国がほおかむりをして、そういうものに対しては金を貸すからといって、この責任を免れようとすることは、許されないと私は思う。わずかな災害なら別です。しかし、深刻な災害を受けたところの農民が立ち上がろうとする場合に、これくらいの問題を対策を立てないということは、これは全く怠慢というほかはない。災害の手続等の問題もお話がございましたけれども、だから、特別な立法措置が必要だということを私は言っているわけです。そういう点を必ず全部国の役人が一々当たらなければならないという、従来の法律の建前を守らなければならないということはないのであって、だから、立法措置をしなさいということを言っている。実はきょうは大臣もおられないのでなんですが、特にこの問題は重大でありますから、なお早急に一つ御協議を願いたいと思います。  最後に、ちょっと食糧庁第一部長に言っておきますけれども、この予約した米の概算金の支払いの問題でありますが、これは災害のたびに問題になっている問題であります。私どもは、償還の一年間延期ということを主張して参りました。これについては、いろいろ従来議論がございましたけれども、これを集荷機関に立てかえさせをする、あるいはまた、ある程度被害の場合には、供出した米の代金からみな引き去ってしまう、こういうようなことをやる。わずかしかとれない収穫のうちから概算金をどんどん差し引かれるというと、手取りがわずかになってしまう。こういうことでしばしば問題を起こしたのでありますが、今回は、これについては、具体的にどのような取り扱いをされる御方針であるか、承っておきたい。
  173. 田中勉

    ○田中説明員 お答え申し上げます。  今度の七月と八月の集中豪雨、それから第二室戸台風被害によりまして、相当稲作の被害が広範囲にわたっているような状態であります。特に激甚の地帯が非常に広範にわたってい関係上、概算金の返納が食糧庁に対してできないという農家が出てきていることも事実であります。この場合におきましては、ただいま御指摘ございましたように、概算金の返納につきましては、生産者対政府の問題になってきますが、業務契約によりまして、指定集荷業者からとりあえず代位弁済をしていただく、こういう仕組みになっておる次第でございます。ただし、その場合、非常に激甚な被害を受けた農家の場合におきまして、指定集荷業者対農家の間に債権債務の問題が起こるわけでありますが、過去においても、特に被害が激甚でございました伊勢湾台風なりあるいは北海道の冷害、こういう事態に対しましては、国といたしまして、指定集荷業者対農家の返済を容易にするために、一定の利子補給の予算措置を講じて参ったことも事実でございます。今次の場合におきましては、特に私どもいろいろ各地の状況を十分検討いたしておる最中でございまして、まず第一に、被害を受けました地帯の米については、特に等外米なりあるいは規格外米の一定基準以上のものの政府買い上げの措置も実施して参りたい、かように考えております。その結果、なお指定集荷業者と農家との間におきまして概算金の返納が困難になりました場合においては、さような非常に激甚な被害を受けた地帯に対しまして、何らかの予算措置等を講ずるということで、今後検討して参りたい、かように考えております。
  174. 秋山利恭

    ○秋山委員長代理 角屋堅次郎君。
  175. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 きのう池田総理の出席を得て、災害全般の基本的な問題を取り上げてお聞きをするというおぜん立てでございましたけれども、御案内の通り、時間がきわめて短時間でありましたし、ことに、私も質問に立ちましたけれども、辻原委員、私の質問に対する総理の答弁というのは、従来建設大臣その他から答えておる答弁とも、食い違いが出て参っておる点もあって、きわめて不満であります。本日は、農林を中心にして審議を行なうということに相なっておったわけですが、農林大臣は午前は少し見えられたけれども、午後は参議院の予算委員会ということでお見えになりません。もちろん、農林大臣も、衆議院あるいは参議院の農林水産関係、予算委員会の関係等多忙でありましょうけれども、実はこの特別委員会が設置をされてから、きょうを除いては一度もお見えにならなかったわけであります。しかも、きょうは、午前中お見えになって予算委員会の方に行かれたということでありますが、農林水産関係の問題は、やはり農山漁村の広範な問題を含むわけですし、私も大臣に重点的に質問をしたい点もありますので、これは淡谷委員質問等も保留されておりすから、いずれ機会を見て、大臣の出席を一つ準備していただきたいというふうに思います。  次に、農林水産関係災害問題に入りますが、まず、法案に関連した問題に入ります前に、本委員会でも取り上げられた問題でありますけれども、御承知の九州における旱魃、あるいは関東における旱魃、こういったように、本年度は一方では風水害等もありますが、他面では旱魃による非常な被害というものが出ておるわけであります。例年、旱魃に対する対策というのは、昨年の場合でも、昭和三十三年の場合でも、それぞれ対策が講ぜられ、措置されて参っているわけでありますが、今日、農林省においては、大蔵省との折衝の過程というふうに承っておりますし、また、正式の閣議決定という段階までいかないということも承知しておりますが、聞き及ぶところによりますと、従来とられている旱魃に対する対策よりも一応前進した面がありますが、大きな点においては、従来よりも後退をする、いわゆる団体営工事に準じて考えていこうという考え方が、大蔵省に非常に強いということを伝え聞いているわけであります。この際、まだ正式の決定の段階にいっていないけわでありますが、おおむね、現在の折衡の過程における、旱魃対策をどういうふうに進めるかという点についての折衡の経過について、具体的にお答え願いたいと思います。
  176. 堀直治

    ○堀説明員 本年は、六月下旬の梅雨前線豪雨及びその他の局地豪雨により、水害が頻発しましたが、全国的に見ますと、四月、五月及び六月の上中旬に降雨が非常に少のうございまして、旱魃を受けておったわけでございます。たまたま六月下旬に雨が降りましたので、地域的には旱魃が一時中止になりましたが、その後、九州地方においては、七月中下旬並びに八月にやはり旱天が持続しまして、相当旱魃の被害が発生したわけでございます。従来とも、その旱魃ができるに従いまして、いろいろポンプの手当をしたり、あるいは地下水のくみ上げの井戸を掘ったりしているわけでありますが、いずれも計画的にやるというわけには参りませんで、事後処理というような形で常に処理をしてきたわけであります。三十三年、三十五年にやはり旱魃がございまして、そのときは、閣議決定あるいは閣議決定了解のもとに、旱魃の対策の要綱をきめまして、これが補助に当たって参ったわけでありますが、本年は、ちょうど旱魃の最中に豪雨に見舞われまして、対策水害の方に移りましたために、旱魃については、閣議了解その他をやるいとまのないままに、事後処理をしなければならないというような段階に立ち至ったわけでございます。しかし、旱魃の程度が、全国的には約十九万二千町歩に達しまして、事業費としても一億程度の査定額が出て参りましたので、これが対策について大蔵当局と折衝いたしました結果、大体団体営の用水改良事業並みの補助をいたすことによりまして、ただいまこれの最終的な査定を急いておるという段階でございます。補助金といたしまして約三億円余を予定いたしておるような次第でございます。
  177. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいまの角屋委員質問に関連をして、二、三質問をいたしたいわけですが、ただいまの答弁によりますと、具体的なものはまだよくつかめないわけです。三十三年度、三十四年度、三十五年度と対比してどういうふうになるのか、大まかなところでもいいから、もう少し具体的に御説明をいただけたらと思うのです。まだ折衝の過程でしょうけれども……。
  178. 堀直治

    ○堀説明員 三十五年度の補助関係と対比いたしますと、これは市町村営の場合と共同施行でやった場合と二通りあるわけでございますが、三十五年度におきましては、工事費、機械購入費その他につきまして、六割五分の補助金を出したわけでございますが、今回はこれを団体並みの四割にとどめることにいたしました。また、共同施行につきましては、工事費については四割、これは三十五年度と同様でございますが、機械の購入費につきましては、三十五年度は一割九分五厘という補助率でございましたが、それを今回は二割五分に引き上げるということを、今のところ、考えておる次第でございます。
  179. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 電力料金、燃料費に対する考え方はどうでしょうか。
  180. 堀直治

    ○堀説明員 電力料金及び燃料費につきましては、前回は市町村営の場合には二割の補助をいたしたわけでございますが、これは実際に取り扱いますと、非常にあとの処理がむずかしい問題もございます。いろいろな点から考えまして、今回はこれには補助はしないということになったわけであります。
  181. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうして去年よりそんなに低くなったのですか、その理由はどうなんでしょう。農林省としては、昨年並みにやりたいといって交渉されたけれども、大蔵省の方からどうもいかぬじゃないかと言われておるのかどうか、その辺はどうなんですか。
  182. 堀直治

    ○堀説明員 旱魃対策につきましては、毎年同じような仕事を実は繰り返しておるわけでございます。農林省の用水改良あるいは恒久灌漑対策というようなものは、すべてこれらの卓越を解消することを目的といたしまして、仕事をやっているわけでございますけれども、このような臨時の措置につきまして常に金を出しておりましても、なかなかその効果というものが確認できないと申しますか、あとに残るような、将来とも旱魃が解消できるような処置に至っていない。従いまして、むしろ、こういう卓越のつどそういうような補助金を出すよりは、平素旱魃の解消をするような方向に努めた方がいいではないかという問題が一つ。  もう一つは、旱魃対策として購入いたしました原動機あるいはポンプというようなものが、その後いろいろ卓越以外の用途に使われて、その次の旱魃のときに必ずしも役に立っていないような場合も、時には見受けられるというようなことから、あまりに、旱魃対策購入いたしましたものについて国があとで跡始末をするのに、普通の奨励する用水改良よりも、高い補助率を出すということは、どうであろうかというような考え方もございました。それともう一つは、旱魃は確かにございましたけれども、その後雨が降ったために、実際の減収を見たというところが比較的僅少であったというような、両方の面からいたしまして、本年度は低い補助率でがまんをしていただくのもやむを得ないだろうということになったのであります。
  183. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ただいまも答弁なんかにありましたように、九州の各県は、五、六、七、八月にわたって非常に降雨量が少なかった。そこで、たとえば水稲については、早期作については非常に用水が不足で、しかも、普通期作の水稲については植付が不能だ。非常に農民は困窮をして、用水確保のためにあらゆる努力をしていっておるわけです。三十三、三十四、三十五年度に応急事業を行ないまして、国庫補助対象となった機械類やらいろいろな施設も十分今度活用して、なるたけ被害が少なくなるように、旱魃が少なくなるように努力してきた。努力したから、結果的には旱害が少なくなっているかもしれません。しかし、それは努力したからであって、そういう努力をしたものについて、被害が少なかったから補助を下げるというようなことは、どうしても私どもとしては承服できない。それだったら、努力せぬで被害が多ければ、それだけよけいもらえる、変な話ですが、こういうことになる。努力というものは当然農民がせんならぬのですから、その努力の結果生まれた——害が少ないといって保護を下げるというのは、どうしても私は納得いかないわけです。それで、私どもとしては、昨年並みにやってもらわなければ困る。それが一つ。  いま一つは、今も触れられましたが、恒久対策についても、これはおっしゃっているように、いろいろ今後とも努力をしていかなくちゃなりませんし、特に池や水路の新設あるいは改良と、田畑に対する灌漑施設の整備に必要な助成はもちろんですが、いろいろ面積の基準のワクがあるわけです。そういうものの撤廃については、どういうふうに考えておられるか。恒久対策のその点について、一言だけお答えいただきたい。
  184. 堀直治

    ○堀説明員 ことし、旱魃対策に対する補助金の率につきましては御要望もございまして、私の方もできるだけの努力は続けたいとは思いますが、非常に困難であるということだけ申しておきたいと思います。  恒久対策につきましては、まことに御説の通りでございまして、十分助成が得られるように今後も努めていく予定でございますが、なお、補助金を出します仕事の単位と申しますか、これにつきましては、団体等におきましては、平坦地においては五十町歩、あるいは特殊な場合には二十町歩という制限があるわけでございます。それ以下のものにつきましては、三分五厘の融資をもってこれに充てるというのが、ただいまのところ実行いたしております方法でございまして、来年度以降につきましても、これらの予算の増額について、目下要望をいたしておるような次第でございます。従って、できるだけ小さいものもやるようにいたしたいと思いますけれどす、予算の総額等ともにらみ合わせまして、努めていきたいと思っております。
  185. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昨年並みにやってもらうというのが、見通し非常に困難であるというようにおっしゃっておるようですが、私ども、なおこの委員会を通じて昨年並みになるように努力を続けたいと思いますので、当局の方もそのよ対策助成については、これは数年来やってきた方途もありまするし、また、今堀参事官からいろいろいろお答えになりまして、従来の補助率を団体営に基準を置いてという考え方でありますが、申し上げるまでもなく、災害の際には、やはり農林水産業施設についても、災害の状態に応じて高率適用をするということでありますし、旱魃もちろん災害関係になるわけですから、従って、団体営に準じてやるということの考え方そのものが、大蔵省としていかがであろうかと思う。従って、今楢崎委員からも要望がありましたように、これは与野党ともに関係県の諸君が御努力なさっておる点もあろうかと思いますが、少なくとも例年並みに日旱魃応急対策の助成がなされるように、私からも希望しておきたいと思います。  なおかつ、従来非常に低位にあった揚水機の購入費の三割に相当する金額に対する、あるいはまた、揚水機の賃借り費に対するところの六五%助成、つまり一割九分五厘の助成が二割五分に前進するということは、従来が低位であっただけにこれは当然の改正かと思いますし、そのことも含めて、その他の項目については、従来の措置と同じような方向で農林省としてもさらに努力を願いたいと思います。  法律案関係に入りまして、まず最初に、昭和三十六年五月の風害若しくは水害、同年六月の水害、同年七月、八月及び九月の水害若しくは風水害又は同年八月の北美濃地震による災害を受けた農林水産施設災害復旧事業等に関する特別措置法案、この問題に入りたいと思います。   〔秋山委員長代理退席、委員長着   席〕  この問題では、詳細にお尋ねすればいろいろあるわけでありますけれども、私がまず第一に問題にしたい点は、かねてから総理並びに関係大臣は、今回の本年度災害については基準を伊勢湾台風に準じて行ないたい、こういうことを言っておるわけでありますが、本特例法案においては、御承知通り伊勢湾のときにおける高率適用の補助率を、きめこまかく変えて提案がなされておるわけであります。つまり農地についていえば、従来は、伊勢湾であれば激甚地については直ちに十分の九というところまで飛ぶわけでありますが、今度の場合においてはこれが十分の六——十分の九という中間に一つ十分の六が入りましたし、農業施設についても、激甚地十分の九という伊勢湾台風の点が、今度の場合においては中間に十分の八が入り、さらに十分の九が入る、こういうことでありますし、林道についても、奥地幹線林道については、十分の九の間に十分の八が入り、その他の林道についても、十分の九の間に十分の六が入る、共同利用施設については、激甚地十分の九にいくまでに十分の四が入り、さらに、一般の場合の共同利用施設については、十分の三、十分の五という適用の考え方がなされる、こういうことで、伊勢湾台風の際における高率適用の補助率が、今度はきめこまかなものになっておるわけであります。私は過般もこの問題をとらえたわけでありますが、この点でその経過等を承りますると、いわゆる公共土木等の国庫負担法における特例法、この中ではいわゆる段階的に補助率がいっておって、一挙に十分の九とかいうふうな形に前進をしない、段階的にそれがいっておる、そういう公共土木と農林産業施設関係とをマッチさせて、今のようないろいろな段階のものが出てきたというふうに話が出ておるわけであります。しかし、公共土木の場合には、一定基準以上の場合には十分の十という、御承知のような高率適用がありまするし、また、農林水産業施設の現行法の中においても、御承知通り、一定の基準以上のものについては、農業施設、奥地幹線林道、これについては現行法においても十分の十の高率適用の規定があるわけであります。従いまして、今度の特例法において補助率をきめこまかくしたということであるならば、農業施設、奥地幹線林道については十分の十の、いわゆる高率適用を当然高位として設定されるということが筋道であろうかと思う。そういうことになれば、現行法と特例法とのいずれか有利な方をとろうとする、いわゆる特例法の中におけるル項というものは、おおむね削除されても大体間違いは起こらないような、そういう高率適用の段階になっていくだろうと思う。そういう点から見て、一体農林省として今度のような形をとる場合に、公共土木とマッチしてグレードを立てた補助率に変えていくということであるならば、公共土木でとられておるような最高位十分の十、しかも、現行法の中での農業施設、奥地幹線林道に対してとられておる十分の十という規定を作ってこそ、特例法のほんとうの意味があるのではないかと思いますが、これらの問題に対する経緯とお考えについて、承っておきたいと思います。
  186. 堀直治

    ○堀説明員 今回の暫定法の特例につきまして、一定基準以上が九割になり、それ以下のものについては、従来の補助率よりも約二割程度高いところにきめられたわけでございますか、これは先生方も御存じのように、衆議院の災害対策協議会で災害特例法の基本方針を御検討になった際に、一定基準以上について九割にするというワクが一つはめられまして、その結果、特例法としてはそれ以上の線を出すということは非常にむずかしい、それからもう一つ、一定基準以上を九割にするということは、同時に、一定基準までのものについては従来の補助率にいくのが当然である、こういう議論が出まして、その議論の方がどうも勝ちを占めるというような結果になりまして、結果的には、ただいま申し上げましたような農地については六割、公共施設については八割、それ以上のものについては九割というような線が出てきた次第であります。経過についてはそういうことでございますが、しかし、この形は必ずしも非常にいい姿ではありませんので、災害対策基本法案あるいはその他で、災害激甚地の取り扱いの法律制定その他の場合には、お話のような趣旨を十分生かしまして、検討していくべきものと考えておる次第でございます。
  187. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 閉会中における災害対策協議会の話に触れて逆襲をされたわけでありますが、これは非常に苦しい、その後段に述べられた話がほんとうは農地局の見解であって、答弁としてはそうもまっ先に言えないものだから、災害対策協議会の話をたてにとられたのですけれども、私は、ここで必ずしもこの問題で論争しようとは思いませんが、やはりこういうきめこまかにグレードを作るということであるならば、現行法とのにらみ合わせ、あるいはまた、公共土木関係とのにらみ合わせにおいても、農業施設ないしは奥地幹線林道については、特例法としては、十分の十の規定を設定されるというのが当然の筋道であろうと思う。いずれこの問題は、さらに伊勢湾に準ずるという見解からいって、伊勢湾のような形をとるか、今度出された農林省の形の中で、新しく十分の十を設定するかというふうな問題については、与野党間で話してみたいと思います。  それで、さらにこの共同利用施設関係の問題でありますが、これは補助関係で、今度は一応、大半のものについては十万円以上というところでとらえて、一施設当たり十万円をこえる分ということでとらえていこうという考え方が今度出ております。伊勢湾のときには、御承知通り、三万円以上を補助対象にして、激甚地については十分の九、その他の地域については十分の五というふうにいたしたわけでありますけれども、今回の場合に、一施設当たり十万円をこえる分というふうな形に一つの基準を置いた理由は何でございますか。
  188. 石田朗

    石田説明員 お答え申し上げます。  ただいまお話のございました共同利用施設につきましても、これも同じような話になりまして恐縮でございますが、前回の災害対策協議会におきまして、農地、農業施設と同様に、一定基準以上九割という御決定に相なっておったわけでございます。それで、その一定基準をどこに求むべきかという点に問題があったわけでございますが、これにつきましては、農地、農業施設とは若干異なりまして、農地、農業施設におきましては、一人当たりの金額を出しまして、一定の線を設けましたが、それとバランスをとる点はどこであろうかという点を、従来の実績等から算定をいたしまして、バランスのとれる点がほぼ十万円であるというような算定が出て参りましたので、これによって十万円を一定基準といたしました。それ以上を九割、それ以下は従来の補助率二割ではあまり低うございますので、これを引き上げまして、四割の補助率といたしておるわけでございます。
  189. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 共同利用施設についての今の答弁についても、私ども閉会中の災害対策協議会にも終始関係しておったものでありますが、必ずしも農林省答弁したような意図で、そういう意味のことをぴたり考えたわけでないのでありまして、この問題も一つの問題点としてあろうかと思います。それで、例年農林水産業施設災害復旧の場合に、特に共同利用施設について問題になるのは、やはり被害額についての評価の問題であります。これは年数を経た共同利用施設についての、いわば残存価格的な評価というふうなものが考えられて、そういうものに対する九割助成とか、あるいはまた四割ないしは五割助成とかいうことになりますと、関係のところにはきわめて少額の金しかいかない。しかし、新設をして災害復旧をやるためには、相当巨額の金が要る。通常、状態のよくわからない人は、いや、激甚地は九割だ、こういうことで、関係農業団体、漁業団体は喜んで帰ると、実際の補助金は、評価したその残存価格的な性格のものに対してくるということで、常々あとで問題が生じておるわけであります。これは、そういう評価という問題については、一応理由はあるわけでありますけれども、その辺のところの取り扱いを具体的にはどういうふうにしておるか、この際、若干説明を願いたいと思います。
  190. 石田朗

    石田説明員 お答え申し上げます。  この点は、ただいま御質問がありました内容の中にも出ておりましたが、従来より、この共同利用施設補助額ないし災害復旧額の算定におきましては、現実の災害復旧にどの程度金がかかるかということをまず算定いたしますが、また同時に、ここで考えられております共同利用施設は、協同組合の共同利用施設でございまして、協同組合におきましては、健全なる経営が当然行なわれるべきであるという建前からいたしまして、そのような共同利用施設には当然一定の償却分が従来から考えられておるということを考えに入れまして、全体に災害復旧に必要な金額、これに経過年数による償却分というものを勘案いたしまして、現実の査定をいたしておるわけでございます。その理由といたしますところは、ただいま申し上げました通り、一定の償却分が当然積み立てられておるということを前提にいたしておるわけでございまして、ただ、その場合に、今お話がございましたように、その実際の運営等が現地において十分理解されておりませんで、その結果、当初考えられたところと違っておるというような感じを抱かれるというような点には、問題があり得るかと思いますので、それらの点につきましては、十分徹底をいたすように努力して参りたいと思うわけでございます。
  191. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この共同利用施設評価の考え方という問題は経済団体の共同利用施設として、やはり減価償却その他を予定していくことは筋道であろうかと思いますが、しかし、そういう共同利用施設をやられる事態というのは、関係団体としては、あるいはその傘下にある関係の組合員としては、相当大きな被害を受けておる姿である。従って、共同利用施設の中に、法的に今入っていない協同組合の事務所等も含めるべきだということが、伊勢湾台風の際にもずいぶん議論された。しかし、現実には、事務所等はいまだに入っていない。事務所以外の共同利用施設の問題が出て、そして、新しくそういうものを新設していかなければならぬという場合に、災害評価の問題について従来のような考え方だけでいかれると——再建整備等の問題も論議いたしましたが、やはりそういう問題も含めて考えていかなければならぬということになってくる。従って、私は、災害復旧額の何割もしくは災害評価額から出てきた一定数の、いずれか有利な方をとるという形で、なるべく被災地域における関係団体が立ち上がりの力を、あるいは立ち上がりの余力を持つような形で、共同利用施設等についても温情ある考え方をとっていくべきじゃないかと思います。過般、閉会中にいろいろ審査されました際に、長野の集中豪雨の激甚地の中で、天龍社等の問題について、あの養蚕の優良な地域における今後の天龍社の復興計画が、真剣に論議されまして、これらの点については、農林省あるいは関係地区の代議士諸君の努力もあって、相当なところで処理されたということを承っております。まことにけっこうだと思いますが、その他の共同利用施設等についても、やはり今申しましたような考え方等も織り込んで、今後の運営に当たることが必要ではないかということを、現実に伊勢湾台風等を経験した現地の声を承っておる一人として、感じておるわけであります。  この暫定法の関係については、さらに論ずべきことも多いのでありますが、時間の関係もありますので、次に、天災融資法関係の問題に入りたいと思います。  天災融資法関係の問題については、基本的な問題としては、やはり天災融資法で適用される融資ワクの問題、あるいは償還期限の問題、あるいはまた利子率の問題、こういうものが毎度の災害のときに出て参りまして、たとえば利子の場合も、現行の六分五厘、五分五厘、三分五厘、こういう三段階の利子率について、三分五厘の被害農林漁業者に対する利子率、これもさらに軽減されればけっこうでありますけれども、まずそのままといたしましても、六分五厘あるいは五分五厘という利子については、最近の農林水産業の実態あるいは被害の様相の中で出てくる融資というふうな性格の問題から見て、せめて一分程度軽減してはどうか、こういうことが従来から論議されておるわけであります。これらの問題は、今後の農林金融の金利の問題とも関連して参る総合的な問題でありますけれども、一体農林省として、こういう災害金融の金利等の問題については、現状のままでいいというふうに考えておるのか、あるいは大蔵省とも、金利の軽減の問題についていろいろ折衝しておるけれども、なかなか実らないという実態であるのか、こういう問題についてお伺いいたしたいと思います。さらに、償還期限の問題についても五年、果樹の場合には七年という形になっておるわけでありますが、これはあまり長期になってもいかがかと思います。けれども、私どもは、これらの問題についても、最小限、据置期間三年を含む八年間という形がいかがであろうかということを、前の際にも提案しておりますが、そういう利子あるいは償還期間は現状のままでいいという前提に立っておられるのか、その間の農林省の折衝経過なり、今日の見解等について承っておきたいと思います。
  192. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 仰せの通り天災融資法の金利につきましては、特別被害地域につきましては三分五厘でございますが、その他の地域については六分五厘でございますので、六分五厘という金利が、災害対策として、融資対策として適当であるかどうかという問題はあろうと思います。あろうと思いますが、実際の運用の問題といたしましては、御承知のように、特別被害地域の指定といいますのは、特別被害農林漁業者かあるいは旧町村等の単位でとってみまして、一割以上のところは特別被害地域にほとんど全部拾い上げております。そういう状況でございますので、非常に大きな災害が起こりました場合には、大体三分五厘のものが大体の地域に適用されるという実態になっておるのでございまして、その点は、実際問題としてはそう問題はないのではないか。特別被害漁業者が町村内で一割以下というようなところでは、いろいろ相互保証等もできます。ですから、これを今の段階で、しいて六分五厘を変えるということは考えなくてもいいのではあるまいかというふうに考えておるわけでございます。
  193. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは坂村局長も御承知のように、農業基本法の論議をやった場合に、池田総理大臣は、農林金融の問題については、できれば二分程度のものも考えたいということを言っておるわけですね。これはよくわかって言ったのか、言葉のはずみで言ったのかは別として、とにかくノルマルな状態における農業金融という問題について、長期、しかも金利については二分なり二分五厘程度のものまで考えたいということを言っているのだから、災害の場合における金利は、三分五厘の問題についてはさておくとして——と私はひとまず言ったけれども、しかし、これらの問題も含めて、農林水産業の今日の実態や被災の立ち上がりにおける経営資金という面からいって、これは現状のままでよろしいだろうという安易な気持でなくて、常にたゆまざる努力をしてもらいたいと思う。この天災融資法の場合には、伊勢湾のときには金魚を入れる入れぬでいろいろ問題になりましたが、水産動植物の対象の問題で、資料では、今度の昭和三十六年五月ないし九月の天災特例である天災融資法対象としての水産動植物養殖資金としては、「真珠、うなぎ等」と書いてある。伊勢湾のときには、御承知通り真珠、ウナギ、金魚、ボラ、カキ及びノリ——金魚を入れることではずいぶんいろいろ論議もありましたが、愛知県等の特殊性からこれを入れたわけですね。これは「真珠、うなぎ等」と書いてありますが、具体的には何と何とを入れられる予定ですか。
  194. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 「等」の中には、今まで問題になりましたのは色ゴイでございますね。色ゴイの問題が地方にありますので、そういうものを入れたらどうかと考えておりますが、被害の実態に応じまして、特に必要なものにつきましては考えていくつもりでございます。
  195. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 これは、たとえば北海道の場合には、ニジマス問題が出てきておるようです。それから今局長お話しになりましたようなコイの問題も出てきている、あるいは北陸方面におけるフグの問題も出てきておるというふうなことで、これはことしの災害の実態に応じて金を貸すわけですけれども、いずれは返さなければならぬわけですから、実際に経営資金が必要だという者については、伊勢湾のときもそうですし、今回の場合も実態に即応してやっていただきたい。いずれこれらの問題については、関係県からそれぞれお話があろうと思いますけれども、私どもは、これらの問題について、適用の具体的な種目はこれとこれとこれだというところまで、この特別委員会で最終的にきめ得るかどうかわかりませんけれども、やはり実情に即応してやってもらいたい、こういうふうに思います。  次に、水産庁関係にお伺いしたいのですが、小型漁船の特例法はいつ提案される予定ですか。
  196. 村田豊三

    村田説明員 ただいま関係者と協議をいたしておりまして、成案はごく近い機会に提出できると思います。
  197. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 小型漁船のやつは、伊勢湾のときは三隻に一隻の共同利用、チリのときは人までこれを対象の形に切り変えられた。今回の場合は、漁協が責任を持ってやるが、個人に対する責任の形で、県が三分の二補助する場合は国が三分の一補助する、こういうチリの形で出されるわけですか。
  198. 村田豊三

    村田説明員 今回の小型漁船の補助のやり方といたしましては、ただいま御指摘がありましたように、県が三分の二の補助を組合にいたします際にその半分、全体で三分の一、これを国が補助するという形で今折衝しております。
  199. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 この小型漁船の問題は、いずれ法案が出たらやるつもりでありますが、これは林田漁政部長との間でも過般私は質疑をやったわけですけれども、農林水産業の暫定法の関係を見てもその他の関係を見ても、激甚県をまず作って、それから該当の激甚漁協の基準を作るという形は、農林水産関係の他の被害の場合にはとっておらない。小型漁船の場合には、まず激甚県の前提を立てる、その中で激甚漁協の基準に該当するものに対してやっていくという考え方に立つわけです。私は、この激甚県という考え方をはずして、やはり十隻以上あるいは喪失率が二〇%以上とかいうような激甚漁協の基準だけで小型漁船に対する助成を適用していく、こういう形が筋道ではないかと思う。これらの政令なり基準の問題は、いずれ法案が出たらやりますけれども、そうでないと、激甚県に該当しないところで激甚漁協の基準に適用されるところのものが出てくる場合、非常に不公平が出るのではないか。しかも、農林水産業の関係被害の考え方として、激甚県という基準を立てる必要はないのではないか、こういうふうに思っておりますが、これは今度の法案を出される場合、今言ったような考え方で、ことしの場合やっていただけますか。
  200. 村田豊三

    村田説明員 ただいま私ども関係省といろいろ打ち合わせておりますが、ただいま角屋先生が御指摘になりましたのとのは、多少隔たりがあると思います。ただし、伊勢湾台風の際にも相当小型漁船の被害がありましたけれども、それよりもやや条件を有利にという程度で、これは大体関係省との間にほぼ成案を得ている次第であります。
  201. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 小型漁船の問題は、伊勢湾のときよりチリのときは基準が前進したのです。それはけっこうだと思う。ここでやはり沿岸漁業の今日の零細な実態からいって、しかも、これを五トン未満の動力、無動力船を対象にして考えるという、そういう零細な経営の問題でありますから、まず激甚漁協をきめる。そうなれば、和歌山とかあるいは兵庫とか、徳島とか、鹿児島とかいうような形になってくる。その中で該当の激甚漁協という形でなくて、激甚漁協という形で法の適用をやるような形が、農林水産業の被害に対する考え方としては私は筋道だと思うので、さらに折衝の過程にあって、法案を提案されるまでに十分な時間的余裕がないと思いますけれども、今申し上げました政令の前提に立って、チリよりもさらに緩和した考え方で法が適用されるように考えてもらいたいというふうに思います。  それから漁業関係の問題についてさらにお伺いしたいのですけれども、これは漁港の問題です。きのうの総理との質問関係では、時間があまりありませんで、十分なことを質疑応答することはできませんでしたが、治山治水十カ年計画ということで、相当な経費をかけて年次的に治山治水を推進していくことはけっこうだと思うが、そこで、海岸保全という問題が災害対策とも関連をして欠けておる。これは建設省、運輸省あるいは水産庁のそれぞれの計画でこれが実施されていくという形は片手落ちである。従って、治山治水、さらに海岸保全というものが、十カ年計画なり、前期、後期の計画の中で計画的に推進されるということが必要であろう、こういうふうに、きのう総理にも質問の中で述べたわけでありますけれども、その際、やはり漁港の場合には、御承知通り、最近の農林漁業基本問題調査会の漁業に関する答申等では、漁港は、中核漁港というものを中心にして漁港の再編成というものを考えていく必要があるのではないか、あるいはまた、漁業協同組合というものが、今日大体部落単位にある漁業協同組合を、市町村単位の漁業協同組合に大同合併していくべきではないか、こういうふうな今日の経済圏の拡大に伴う漁業協同組合の規模の問題、あるいは中核漁港の設定の問題、こういうような点が問題としてはいろいろ提起されておるわけでありますが、この災害復旧の場合における漁港の復旧の場合、そういうふうな問題がやはり考えの中に織り込まれて災害復旧をやっていこうということなのか、それとも、やはり従来のような考え方で、災害復旧は災害復旧としてやっていくという考え方であるのか、そういう基本的な問題に対して、水産庁の見解を承っておきたいと思います。
  202. 村田豊三

    村田説明員 御指摘の海岸保全の一環としてなかんずく漁港地域の海岸保全につきまして、ただいま御意見がございました。御指摘通り、海岸保全は、特にわが国のように海岸線の長いところでは、その一部が漁港の地域になっておるという場合に、漁港だけで保全計画なり、またその実施をはかるということは、もちろん計画的にも十分ではないので、従来から、これらにつきましては、一般海岸の保全との関係で各省とも十分連絡をとりながら、これらについての保全措置を進めて参っております。御指摘のありましたように、中核漁港というものがその地域の中心になって海岸保全の実をあげるべきであるという御意見、私どももごもっともな御意見だと存じます。現在必ずしもそういうふうな態勢で事が運ばれておるとは限りませんけれども、これは関係の各省との関係もございまして、そういう方向で私どもも鋭意検討を続けて参りたいと存じます。
  203. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 中核漁港の問題は、私の意見じゃない。農林漁業基本問題調査会の漁業答申として出てきておるということを私は申し上げた。いずれにしても、私ども農林関係に比較的縁の深い者としては、災害復旧の場合に、建設省の海岸あるいは運輸省の港湾、これよりも水産庁の漁港の災害復旧というものはいつも貧弱だといわれるのは、まことに残念なんですね。そういう点ではやはり漁港に対する大蔵省なりあるいは全体的な考え方というものが、常に漁港を低位に置こうという考え方があるのかもしれぬけれども、天然自然の災害というものは、港湾であろうと、海岸であろうと、漁港であろうと、それに区別なくくるという前提に立って、災害復旧というものはやっていかなければならぬ。そういう面で、私は大阪、和歌山等を回って参りましたが、漁港関係は実にひどくやられておる。これは徳島へ行っても、どこへ行っても同じだと思うのです。そういう意味では、今回の災害復旧にあたっての漁港の関係については、他省からあまり見劣りするようなことでなしに、りっぱな災害復旧をやるような努力を願いたい。それと同時に、農林漁業基本問題調査会から出ておるようなそういう方向とからめて、中核的な漁港となるようなところには、この際積極的な改良復旧を加えていくというようなことをやって、二重手間にならないように、そういう長期展望の上に立った災害復旧をやる形で推進してもらいたいということを希望しておきます。  最後に、山林関係についてもずいぶんいろいろお聞きしたい点があります。私は、これは先般坊委員から触れられた問題でありますが、参考までにお聞きしておきたいと思います。  過般の通常国会で、森林の保険関係については自然災害を含めるということになったわけですけれども、林野庁長官は、それをお答えになって、坊委員から大へんなおしかりがあったわけです。一体この山林関係被害というのは、各県ともに、山間部においては相当深刻な被害が出ておりますけれども、保険で救われる大体のパーセンテージはどのくらいというふうに見ておられるのか、それをお伺いしておきたいと思います。
  204. 吉村清英

    ○吉村政府委員 お答えいたします。  そのお話が出まして以来調査をいたしておりますが、何分にも山の奥地の問題が多いものでございますから、まだお答え申し上げるような資料が集まっておりませんが、そう大きな数字にならぬということを、私は実は心配しております。ぜひ大きな数字になることを期待しておるのです。救われることが。どうもその点は、あるいは私の期待にはずれるかと思います。従いまして、それにはずれる分につきましては、再造林の措置におきまして助成を——普通の造林の場合と違いまして、地ごしらえその他にかなりのかかりが出てくるということは考えられます。伊勢湾台風の場合にもその措置を講じたのでございますが、実態に応じまして、造林が十分にできますような措置を講じて参りたいというように考えます。
  205. 角屋堅次郎

    ○角屋委員 林野関係の問題については、大体国営保険の関係は、今日の保険の加入状況から見ると、該当分が率としては少ないんじゃないか、従って、今日の段階からいえは、今長官がお答えになったような各般の施策を講じなければ、保険に入ってないからそれはどうだというわけにいかないのであって、最近の木材の需給問題でいろいろ政治的な問題になっておりますが、そういう点から見ても、今後の万全の措置が必要だろうと思う。  さらに、緊急治山その他各般の問題についてもいろいろありますけれども、その相当部分はすでにお互いの承知をしておることでありますし、また、相当程度論じられた問題でありますので、あとは与野党間のいろいろ災害対策についての、措置等についての話し合いということに譲りまして、本日はこの程度質問を終わります。
  206. 濱地文平

    濱地委員長 玉置一徳君。
  207. 玉置一徳

    ○玉置委員 本年は、六月の梅雨前線からこちら災害が続きまして、私たちが、前の災害対策協議会以来、政府当局の方々と一緒にやって参りましたところ、今次また第二室戸台風災害がやってきたわけでありますが、それにつきまして、鋭意対策に御腐心をいただいております各位に厚く敬意を表する次第でございます。  私は、今日、河野さんがおいでになりましたら、災害保険の拡充につきまして政策的にいろいろと御質義をいたし、こちらの考え方を述べたいと思っておりましたが、大臣もおいでになっておりませんし、時間の関係もございますので、ほんの一、二、私の方に直接関係することをお伺いするにとどめたいと思います。  そこで、一つ局長にお伺いしたいのでありますが、天災融資法の制定並びに特別被害地域の指定ということを、被害地は非常にすみやかにやっていただきたいことをお願いしておるわけでありますが、この状況で参りますと大体いつごろ指定ができるか、お伺いいたします。
  208. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 従来、五月、六月、七月等も天災融資法の指定地域等はすでにやっておるわけでございますが、その後第二室戸台風等が出て参りましたので、次から次へと天災融資法の発動ということになって参っておるのでございまして、できるだけ早くやって参りたいと思っておりますけれども、県の実際の調査等が、まだ現在、第二室戸台風等については具体的に集まってきておらない。これが集まってきておらないので、そういう点をできるだけ早く急がせまして、できるだけ早くやりたいと思っております。
  209. 玉置一徳

    ○玉置委員 県の資料が集まり次第、一日もすみやかに一つ指定をお願い申し上げたいと思います。  そこで、この経営資金の使途の問題であります。これの拡大をずいぶんお願いしておいでになるわけでありますが、技術的になかなか困難があるやに承っておるのでありますが、どの程度拡大をされる御意思があるかどうか、ほぼきまっておりましたら、お知らせをいただきたいと思います。
  210. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 現在までの段階では、先般来、衆議院の災害対策協議会でいろいろ御審議、御協議をいただきました線に沿いまして、通常の場合は十五万円でございまするけれども、今回の特例では二十万円、北海道は二十五万円ということで考えておりまして、そのほか、果樹であるとか家畜の関係であるとか、そういうものについては、大体伊勢湾台風に準じまして、資金限度額の拡大をはかっていきたいというふうに考えております。
  211. 玉置一徳

    ○玉置委員 私の方の特産物でございますタケノコにつきましては、先般同僚議員からの御質疑もございまして喜んでおるのでありますが、御承知と思いますが、ほとんどの竹の葉が、六十メーターという風のためにほとんど枯れまして、これは数年後でないと戻ってこないのじゃないか。反当、水田よりもはるかに収入をあげております京都府の特産物でございますが、これも一つこの中へ入れていただくように御配慮をいただいておるように承っておるのですが、その内容をお知らせいただければ幸いである、こう思います。
  212. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 御趣旨に沿いますように、十分検討いたします。
  213. 玉置一徳

    ○玉置委員 よろしくお願い申し上げたいのですが、もう一つ、この点もお伺いしたいのです。  お茶の問題でありますが、共同利用施設のうちで、お茶の工場の数人共同というのが非常に多い状況になっております。しかも、現在府県におきましては、各人の施設よりはなるべく共同利用施設の方を奨励いたしまして、お茶の経営が、少しでもコストを引き下げることができるように、これの助長をはかっておるわけでありますが、これが今次災害が起きまして、非常な災害を受けておるわけであります。これに対して、農協の共同利用施設並みには参りにくいかと思いますけれども、格段の御配慮を一ついただくことができないかどうか。先般もそういう御質疑をしていただいておったわけですけれども、ほぼ御意思も固まってきつつあるのではないか、かように思いますので、再度お願いをしてみたいと思います。
  214. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 先般来いろいろ実情に触れました御質問や御意見等もございましたが、御趣旨に沿いますようにしていきたいと思います。
  215. 玉置一徳

    ○玉置委員 よろしくお願いを申し上げたいと思います。会後に、農業共済の方ですが、ことしは、果樹が非常にやられましたのは御承知通りでありまして、これの今年度の収穫は皆無のほかに、立ち直りに数年かかるというので、皆さんで非常な御心痛をいただいておるわけであります。果樹共済の準備のために昨年から試験的にやっていただいておるのは御承知通りでありますが、農業基本法の精神にのっとりまして、なるべくすみやかに、成長財である果樹の共済を実施いたしまして、ほんとうに農民の生活の保障になるような共済制度に、この際改めていくのが非常に望ましいのじゃないか、かように思うのですが、どの程度の準備ができて、どの程度の研究ができて、でき得ればことしの法改正に入れ込むことができるかどうか、その点について一つ局長の御返答を承りたいのであります。
  216. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 果樹共済につきましては、御指摘のように、昨年と本年と調査費を組みまして、いろいろ調査をいたして参りましたが、何しろ非常にむずかしい問題でございまして、今までの調査対象は大体果実でございます。果実対象といたしまして、これについて共済をやるとすれば、どういう方法でやったらいいか、どういうものを対象にしたらいいか、それのバック・グラウンドになりますところの、たとえば価格の変動であるとか、災害が起こった場合にどういう価格変動を見せるか、共済としてそういうものまで考えるかどうか、いろいろそういう問題がございました。あるいは設計上の問題とか、いろいろむずかしい問題があるわけでございます。従いまして、ある程度のデータはございまするけれども、これを積み上げまして、そして制度として設計いたします場合には、まだまだ相当慎重に検討しなければいかぬ問題があろうと思います。従来やっておりましたものも、ほとんど全部失敗しているわけであります。アメリカ等でも、一、二のくだものについて現在やっているものがございます。しかし、それも、実際は関係農民の一割くらいしか入っていないというような状況でございまして、これらも必ずしもうまくいっていないのじゃないかというような状況でございますので、これは必要なことはわかっておりまするけれども、制度を作る以上は十分慎重にやらざるを得ないと思うのでございまし、今度の通常国会にそれを間に合わせるような状況ではないというふうに考えております。
  217. 玉置一徳

    ○玉置委員 自余の問題は、また河野農林大臣がおいでになりましたときに質問したいと思いますので、きょうはこれでやめさせていただきます。
  218. 濱地文平

    濱地委員長 次会は、明十九日午前十時より開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後五時十八分散会