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1961-10-13 第39回国会 衆議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十三日(金曜日)    午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 濱地 文平君    理事 秋山 利恭君 理事 永田 亮一君    理事 古川 丈吉君 理事 坊  秀男君    理事 岡本 隆一君 理事 角屋堅次郎君    理事 下平 正一君       大野 市郎君    大倉 三郎君       岡本  茂君    岸本 義廣君       薩摩 雄次君    首藤 新八君       正示啓次郎君    谷垣 專一君       渡海元三郎君    早川  崇君       原田  憲君    宮澤 胤勇君       保岡 武久君    阿部 五郎君       有馬 輝武君    淡谷 悠藏君       石田 宥全君    島本 虎三君       辻原 弘市君    楢崎弥之助君       肥田 次郎君    玉置 一徳君  出席政府委員         内閣官房長官  大平 正芳君         文部事務官         (管理局長)  福田  繁君         厚生政務次官  森田重次郎君         厚生事務官         (社会局長)  太宰 博邦君         農林政務次官  中馬 辰猪君         農林事務官         (農林経済局         長)      坂村 吉正君         農林事務官         (農地局長)  庄野五一郎君         農林事務官         (振興局長)  齋藤  誠君         林野庁長官   吉村 清英君         通商産業政務次         官       森   清君         中小企業庁長官 大堀  弘君         運輸政務次官  有馬 英治君         運 輸 技 官         (港湾局長)  坂本 信雄君         気象庁長官   和達 清夫君         建設事務官         (計画局長)  關盛 吉雄君         建 設 技 官         (河川局長)  山内 一郎君         建設事務官         (住宅局長)  齋藤 常勝君         自治政務次官  大上  司君         自治事務官         (財政局長)  奥野 誠亮君  委員外出席者         大蔵事務官         (主計官)   宮崎  仁君         大蔵事務官         (銀行局特別金         融課長)    橋口  收君         文部事務官         (文化財保護委         員会事務局長) 清水 康平君         厚生事務官         (社会局施設課         長)      瀬戸新太郎君         農林事務官         (林野庁林政部         長)      高尾 文知君         農林事務官         (水産庁漁政部         長)      林田悠紀夫君         通商産業事務官         (中小企業庁振         興部長)    川島 一郎君         自治事務官         (財政局公営企         業課長理財課         長)      立田 清士君         国民金融公庫理         事       松田 文蔵君         中小企業金融公         庫理事     小山 雄二君     ————————————— 十月十三日  委員保岡武久君辞任につき、その補欠として上  林山榮吉君が議長の指名で委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  災害対策に関する件      ————◇—————
  2. 濱地文平

    濱地委員長 これより会議を開きます。  この際、先刻の理事会におきまして、次の通り委員会運営等に関して決定を見ましたので、御報告を申し上げます。  本日は、まず官房長官等に対する質疑を続行し、おおむね本日中に残余の一般質疑はこれを終わることとし、来週は法案審議に入り、月曜日、十六日、建設大蔵関係、火曜日、十七日は、午前、内閣総理大臣に対する質疑等、午後は建設関係、水曜日、十八日、農林関係、木曜日、十九日、通産、文部関係、金曜日、二十日、厚生自治、その他の関係、以上の通り一応の審査スケジュールが決定いたしましたので、御了承を願います。  災害対策に関する件につきまして調査を進めます。質疑の通告がありますので、一これを許します。辻原君。
  3. 辻原弘市

    辻原委員 私は、冒頭に、これは委員長要望いたしておきたいと思うのでありますが、災害対策委員会が開かれて今日まで、私どもはかなり精力的にやっているように考えておるのであります。ところが、政府側出席については、それぞれ所管省の各局部の責任者はお出ましになっておりますが、それぞれ各省責任者出席がきわめて少ないのであります。もちろん、予算委員会その他等の関係はありますが、従来の例を見ましても、少なべとも災害については、どうやったという措置よりも、今後いかなる事業をやるのかという点がきわめて重大であって、それは事務当局をもってしては、これは答弁を要求するのは無理ではないか。そういう意味合いにおいて、政府責任者出席ということを私どもはそのつど強く要求しているのでありますが、本日は、われわれの要請に従って官房長官も出られましたが、官房長官以外に他のいかなる省の責任者が出ているか、私は見当たらないのであります。大臣が無理であれは——政務次官お一人出られておりますが、その点は了として、当委員会の重大な責任から考えても、政府側はきわめて不熱心なりということを私は断定せざるを得ない。もちろん、個々の事務的なあれについては熱心に推進されておるのであるが、しかし、当委員会において、国会側政府側と、ともども立法化あるいはそれについての行政指導等々、きめのこまかい点まで——他委員会もそうでありますが、特にこの委員会は、そういう点について、現状と照らしてやらなければならぬ点が多々あるわけであります。そういった点についての運営に若干遺憾な点があるのじゃないか。この点は、大臣が出なければ、政務次官はそれぞれお二人いらっしゃるし、一人しかいない省はやむを得ませんけれども、二人いるところは、必ず一人は出席して、省を代表しての明確な答弁をここでおやりになるということでなければ、私どもは幾ら熱心な質疑をかわしても、はなはだその点については意味が薄い、こういうふうに感ぜられますので、これは冒頭一つ注文を申し上げておきたいと思います。  そこで、官房長官最初お尋ねをいたしておきたいことは、今私が申し上げたように、官房長官にここに出て答弁を求めましたゆえんは、従来の措置はこういうことをいたしましたという点と、それから今後政府としてどういう施策災害についておとりになるかという点をわれわれはただしておきたいのでありますが、官房長官の資格は、政府を代表してその所信の表明がここで行なわれるのかどうか、ただ各省調整として、伝えておきます、あるいはそういうことを閣議報告いたしますということでもっては、私どもは、政府を代表する答弁を求むるに官房長官は不適当ではないかというふうなことも考えるのであります。従って、その点、あらかじめ、官房長官お答えはすべて政府を代表しての答弁なり、こういうふうに了承してよいのかどうか、この点を長官から最初に言明をしておいていただきたい。
  4. 大平正芳

    大平政府委員 はなはだ不敏でございますが、仰せのような趣旨に従いまして、責任のある答弁をいたしたいと思います。
  5. 辻原弘市

    辻原委員 そこで、お伺いをいたしますが、今回の災害は、これは特に私が申し上げるのは、主として第二室戸台風でありますが、その被災地状況を見るに、巷間、これは貧乏台風である、すなわち、その被害の激甚なるところは、ほとんどが比較的低所得者階層、そういったところに集中的に大災害をもたらしておる。言いかえてみますと、この災害のために、個人的な生活の根拠を奪われ、生活の立ち直りにほとんど決定的な打撃を与えられたという人々がきわめて多いのであります。そういう意味合いから申して、従来の施策だけでは、ほんとうにこうした住民の生活基盤をつちかって立ち上がらせるにははなはだ不十分ではないか。そこで、わが社会党は、先般来からの国会にも、個人災害について、一体国としてはどの程度の責任を持ってやるのか、この種の災害の際には、少なくとも個人災害という面に対する手だてをあらかじめ講じておく必要があるという意味におきまして、被災者の援護法なるものを提案しておりましたが、特に今回の台風現状から見まして、その感を強くするわけであります。これについて、政府としては、一体個人災害についてのめんどうを見る意思があるものかどうか、これを長官から承っておきたい。
  6. 大平正芳

    大平政府委員 先般の本委員会における御質疑にも、そういう趣旨のものがございまして、それで、個人災害について国庫補助の形で復旧に協力するということは、辻原委員も御承知のように、従来は農地関係だけであったのです。その他の個人の損害につきましては、政府関係金融機関を動員いたしまして、特別の金融措置、低利かつ長期の資金を供給することによりまして、復興のお手伝いをする、こういった建前でやってきたように承知するわけであります。従って、今政府が考えておりますことは、金融措置を拡充して参るという方向施策を進めておるわけでありまして、国庫補助対象としてどこまで何を取り上げるかということにつきましては、財政政策上の大きな問題でございますので、これからの検討をお待ちいただきたい、こういうように申し上げたのでございます。一方、災害ばかりでなく、すでに国会においても論議が出ておりますが、無過失賠償論、国家の責任論、こういう問題が取り上げられておりますので、個人災害につきまして国がどういう態度で臨むかということは、非常に重大な問題でございますので、こういう問題を取り上げて検討に上せなければならぬということは、政府部内においてもそういう論議が沸いておりますので、これから鋭意検討させていただきたい、こう考えております。
  7. 辻原弘市

    辻原委員 やや言葉のあやはございましたけれども、要するに、今までお答えになっておられました範囲を今の御答弁は出ておらないのであります。災害は現在起こっておるのであって、その跡始末のために当委員会が設けられ、その対策に当たっているという状況の中で、私は尋ねておるのでありますから、少なくとも今お尋ねをいたしました個人的な被災について、今までは農地以外に何もなかった、そういう点についての措置を、この災害に対して何らかの方法でとってもらいたい。そのことが、今次災害の特色から見て、きわめて必要な措置であろうとわれわれは考えております。従って、今次の災害においてとるという意思がおありになるのかどうか。  また、次の問題として、一般的にこの種の問題を一つ検討するということだが、その場合の検討というのは、いかなる方法でやるかということの検討なのか、それとも個人災害を見るか見ないかということの検討であるか、そういった点についてのお答えが具体的に出ておらないのであります。従って、この国会において、いわゆる罹災者に対する個人的な援護ないしはそれに対する見舞補償、こういったものを具体的におとりになる意思ありやいなやということと、全般的に、災害そのものに対するいわゆる個人被害というものに対して、どういう方法でそれじゃおやりになるのか、また、やるという意思は持っておられるのか、そういう点を一つはっきりここでお答えを願っておきたい。
  8. 大平正芳

    大平政府委員 先ほども申し上げましたように、今辻原委員の御質問は、やるとかやらぬとかいう問題は、国庫補助の形を言われるのではないかと思います。つまり、財政金融上の特別措置は講じておるわけでございますし、これは推進していこうというわけでございます。これはきまった方針でございます。それで、新しく個人災害について国庫補助の形でごめんどうを見るということは、先ほど私が申しましたように、非常に重大な問題でございますので、それを見るべきか、見るべからざるか、見るとすれば、どういう限度まで、どういう対象について考えるかというようなことは、これは相当の時間の余裕をちょうだいいたしまして検討してみなければならぬ問題だと思います。今私が申し上げられることは、そういうことを検討してみよう、こういう空気になっているということを申し上げるのであります。
  9. 辻原弘市

    辻原委員 もう少し突っ込んで聞きたいのでありますが、時間もありませんので、次の問題に移りたいと思います。  今、本委員会特別措置法が七本提出されております。七法律案が提出されております。政府は、今度の第二室戸台風に対する対策及び本年度の六月以降の水害等を含めて、この取り扱いについては、伊勢湾の際の取り扱いと少なくとも同率もしくはそれ以上のものにしたいという考え方を明らかにされた。法律だけの数から言いますると、私の記憶によれば、伊勢湾のときには、たしか二十七種の法律案が、政府から、あるいは議員立法の形において、それぞれ成立を見ておるわけであります。すでに委員会が開始されてかなりの日数を経過しているのでありまするが、現在の段階では、今申したように七本しか出ておらない。その他、われわれは当時の状況から比べましても、なお必要とする法律が相当数あるというふうに考えておるが、政府としては、一体残る法律措置をどうされるのか、あとどの法律について、いつごろこの委員会に提出される見込みであるのか、そういった点について、この機会一つ明らかにしておいていただきたい。
  10. 大平正芳

    大平政府委員 前段で申されましたように、伊勢湾台風並み措置をするという根本方針に変わりはございません。申すまでもなく、これは、今度の梅雨前線豪雨被害あるいは第二室戸台風被害の実態に即して、伊勢湾台風の場合にとりました措置との具体的な公平を具現していきたいということに変わりはないのでございます。法律の本数が少ないということは、その災害状況に即して考えておるわけでございますから、必ずしも伊勢湾台風当時の措置と完全に一致するということではないと思うのでございます。それだからといって、具体的な公平を期することに怠慢であるということは、私は言えないと思います。ただ、今まで出しておりまする法律案のほかに、そういう考え方で勘案いたしまして、文教施設と、それから小型漁船に関するものを、政府で今準備をいたしておるわけでございまして、これは早急に御提案申し上げて御審議をお願いしたいと思っております。
  11. 辻原弘市

    辻原委員 そういたしますと、合計九種類の法律だけで政府としては今国会特別立法は終了したい、こういう考え方でありますか、その他は法律上の措置としては必要ない、こういうような方針でこの委員会に臨まれておるのか、その辺のところをいま少しはっきりしておいていただきたい。
  12. 大平正芳

    大平政府委員 ただいままでのところ、この二つの法律を追加して御提案申し上げますならば、大体伊勢湾台風並み措置をとられるものと私は承知いたしております。
  13. 辻原弘市

    辻原委員 議論をこの問題についていたすわけではありませんので、政府としては、出ている七本に、それから公立、私立学校二本、それから小型漁船関係、これを入れて十特別措置法を今国会において通していただきたい、こういう要請であると承っておきます。  次に、問題は、法律上の措置もこれはきわめて重要でありますが、それと同時に、政府で取り扱う政令内容というものが、むしろ具体的な実行上の効果を持っているわけでありますから、従って、われわれが当委員会立法化をする際に、その政令内容というものを知悉しておらなければ、これは内容としてはまことに空疎であります。従って、法律審議するに並行して、それに伴う政令案というものは、きちっとこれは当委員会に御提示を願いたい。これはあながち立法する法律に関連する政令のみではありません。政府行政上の措置としてやり得るという判断に基づいた、法律措置は伴わないが、政令だけのものがたくさんあるわけでありますから、そういったものを、ことごとく当委員会において、その施行の方針というものを明らかにする意味において、提示していただきたいと思いますが、その用意がございますかどうか。
  14. 大平正芳

    大平政府委員 できるだけ御要望に沿いたいと思います。
  15. 辻原弘市

    辻原委員 これは委員会審議もございますので、この委員会の後半にばたばたっと全部一括出されましても、委員会審議に非常に困るわけでありますから、少なくともただいま提案をされておる、ないしは近く提案をされるであろう、今長官が述べられた三法案に付随する政令案内容というものは、法律審議と並行してこれは提示すべきものであると私は考えます。切り離しては審議できません。従って、その点は、法律審議とあわして必ずここに提示をしていただきたいということを要求いたしますが、その点はどうですか。
  16. 大平正芳

    大平政府委員 できるだけそういうようにいたします。
  17. 辻原弘市

    辻原委員 その次に、特にこれは政令または政令内容でありますが、全体の法律政令を含んで、それぞれ法律適用範囲あるいは特例法を適用する場合の適用地域ということが、これは災害立法化をする際に、これまた重要な問題であります。一体いかなる地域にこの法律が適用されるのか、その状況がわからないでは、これはわれわれとしても審議に非常な支障を来たすわけであります。従って、今申し上げました政令内容に含む問題であるけれども政府としては、統一をした指定基準というものは、これは早急に明らかにしていただかなければならぬと思うが、その点はいつ明らかにしていただけるか、少なくとも個々にまたがってある標準のとり方が違う、それぞれの政令内容がございましょうけれども、総括してどういった方針においてこれを適用していくのか、その指定基準大綱というものはどこにあるのだということの方針を明らかにしていただきたいと思うのでありますが、ただいま長官政府を代表してお答えできれば、一つお答えを願いたいし、もしお答えが不可能であって、かなり詳細なものを内容としておるならば、その案を早急に一つ提示をしていただきたいということを要求いたします。
  18. 大平正芳

    大平政府委員 大原則は、伊勢湾台風並み措置をとりたいということでありますから、その方針にのっとりまして、指定基準を作りまして、実行に移すつもりでございます。指定基準につきましては、本委員会の御要望によりまして、政府当局から提示するようにいたしたいと思います。
  19. 辻原弘市

    辻原委員 大綱伊勢湾並みということでありますが、私は、時間の関係議論はいたしませんということを申し上げておりますが、それぞれの災害特質にかんがみて、災害というものは機械的には参らぬ。一応の目安は伊勢湾台風ということに置くけれども、たとえば、今回の災害はあまり雨を伴っておらない。伊勢湾の場合には、台風と同時に集中的な豪雨、あるいは滞水、これが災害を大きくした主たる原因であったという面から考えてみても、災害特質というものがかなり違うわけです。そういう意味からいって、必ずしも同じ基準をもって律してよろしいということには結論はならぬ。そういう意味において、このたびの災害特質という立場からその適用基準を考慮すべきであるという意味で、そういう点も万般考慮をされて、その政令基準内容というものを、また、指定基準方針というものを策定されておるのかどうか、その点をもう一つ伺っておきたい。
  20. 大平正芳

    大平政府委員 今、辻原委員が言われることはごもっともでございます。もちろん、先ほども申しましたように、具体的な公平を実現していくのが私どもの仕事でございますから、そういう趣旨によりまして基準を策定していくつもりでございます。
  21. 辻原弘市

    辻原委員 次に、私は昨日も建設大臣に伺ったのでありますが、特に、この屡次起こる台風からわが国の護岸強度を高めるという問題が喫緊の急務であるというふうに私どもも判断する。特に今回の第二室戸台風から考えて、従来のような、港湾は運輸省の所管であり、漁港は農林省であり、その他の海岸提防建設省所管、こう各省所管がそれぞれまちまちになっていることが、海岸強度、あるいは工事の促進という面に一つの非常な障害になっておるのではないか。所管内のことは熱心にそれぞれ各省がおやりになっているが、統括した意味における海岸堤防強化ということは、その面からもなおざりにされるきらいがあるのじゃなかろうか。従って、そういう意味において、われわれは、統一をした形におけるいわゆる高潮対策、あるいは海岸護岸強化ということをやってもらいたいということを強く要求しておるわけですから、それを正すには、これは国があげて直轄事業ないしは新しい一つ事業として高潮対策を推し進める以外にはない。触れてくる問題は、一つ海岸堤防の問題があろうかと思う。従って、この機会海岸堤防検討をされて、そういう所管を乗り越えて、十分高潮対策事業が行なえるような方向検討されるという意思政府においてはないかどうか、この点を一つお答えいただきたい。
  22. 大平正芳

    大平政府委員 ただいま御提案がありました問題については、御趣旨は私ども全然同感でございますが、現実の行政機構のあり方がごらんのような状況になっておりまして、一つ法律にまとめ上げていくということまで、ただいまの段階で踏み切ることは非常に至難だと思うのです。ただ、今御主張になりましたような効果の上がるように、各省を督励してやって参らなければならぬものと承知いたしております。
  23. 辻原弘市

    辻原委員 次に、昨日宮澤委員、それから私から、特に最近の台風あるいは水害の中で非常に大きな問題となっている、河川にそれぞれ設けられている主として電力ダム、これについての被害の防止をどうするか、あるいは被害補償をどうするか、こういう点でかなり大きな問題が今各所に起きているわけです。従って、そういうことを政府責任において処理するために、宮澤委員から、特に審議会をこの際政府としては設け、徹底的にその原因の究明なりその後の措置についての手段、方法を講じよという要請がございました。私も全くその点については、同感であって、ぜひとも早急にそれに着手してもらいたいということを、きのう建設大臣に申し上げたのでありますが、政府として——われわれはすくやってもらいたいのでありますが、その点についての政府部内の意見というものはどうなっているか、設ける意思があるのかどうか、設けるとするならば、それはいつ、どういう姿において設けるか、このことをお答え願いたい。
  24. 大平正芳

    大平政府委員 閉会中の衆議院の協議会におきまして、宮澤委員から私に対しましてそういう御要望がございまして、それで政府としては、専門の技術者をわずらわしてそういう機能を果たしていただくように処置したのでございまするが、本日の閣議におきまして建設大臣から御報告がありまして、ダム規制の問題になりますと、事柄が非常に重大であり、かつ相当の圧力をもって臨まなければならないケースもあるから、宮澤委員からの御質疑を聞いておる間に、自分としても相当考えなければいかぬのじゃないかという御発言がございまして、私に対しまして、早急に政府の部内、特に通産省、建設省等協議をして、そういう審議会を設けるような方向事務当局間の調整をとっていただきたい、こういう御要請がございまして、さっそくそういう方向で努力してみるつもりでおります。
  25. 辻原弘市

    辻原委員 これは閉会中の協議会からすでに継続して要望をしておる問題であって、そのときに、すぐさま調整検討するということであったわけですが、今のお話では、何だかこれから調整検討をしていくような御答弁でございましたが、設けるということについての考えは一体どうなんですか。
  26. 大平正芳

    大平政府委員 今私が申しました通り閉会中の協議会で御要望がございまして、それに応じて専門技術者からなるスタッフを作りまして、そういう機能を果たしていただくようにしたのです。ところが、それでは十全じゃないという御議論が出て参りました。それでは一歩前進して審議会的なものを作って、調整機能を強化する必要があるのじゃなかろうか、そういう御要請がございましたので、早急に関係当局を集めまして、その方向に進んでみたいと今御答弁申し上げた次第です。今までなまけておったわけじゃないのです。
  27. 島本虎三

    ○島本委員 官房長官にお伺いいたします。きのうまでで結論を得ないので、どうしても、政府を代表する長官の立場から——きょうはこれで私も三回になります。ぜひとも長官に結論を出してもらわなければならない。こういうような質問を申し上げたいと思います。角屋委員が十日の災害特別委員会の席上で、北海道の登別を中心にしたあの災害に対する対策長官に聞いたところが、資料も整っておらないし、実際を調ベた上でそれに対して善処したい、こういうような答弁で、そのままになっておった。きのう建設大臣が参りまして、その実態について明らかにしたデータによって、再び政府に対してその対策を問うたわけです。ところが、建設大臣としては、当然建設関係の分は被害の大きいこともそれぞれわかったが、他の部門は私の所管じゃないから、どうにもしようがない、ただ、善処はいたしたいと思ってそれぞれ連絡はしております、こういうような答弁だった。これではどうもばらばらで、しょうがありませんので、もう一回これははっきり長官にこの点に対して聞きたいと思っておる。  それは、すでに角屋委員の方からも言われておって、うすうす皆さんの方でも調べてはあるし、データはできているのじゃないかと思うのです。これは台風二十三号の余波による低気圧によって、六日に北海道南西海上に発生したあの暴風によって、登別を中心にして道南各地に相当大きい被害が起こったわけです。これはすでに皆さんの方も御存じの通りなんですが、このデータが最近私の手に入ったところによりますと、昨日入ったのですが、意外に大きいわけです。と申しますのは、人的な被害が死者十名になっておりまして、行方不明が六名で、負傷者が七名、そのうち重傷者三名、軽傷者四名、計二十三名という人的被害が、ほんの短時日にしてこれが起きているわけです。こういうようなことにつきましても、その後はっきりしたデータも整ったわけでございますけれども、一番ひどいのは、登別を中心にした道南の地帯で、六日の午後九時三十分現在で、十七戸濁流に流されて、八名が行方不明になったけれども、それが夜が明けたら全部水死体になって発見された。それから今度は、同じ午後の十一時ごろに温泉が一軒焼けたけれども、焼けたそのものに消防がそばまで行けないような状態だった。もちろん、電灯は消えてしまって、電話は不通であり、鉄道は破壊されて交通は途絶する、こういうような状態で、室蘭本線も十一日まで復旧ができなかったような状態にあったわけです。それで自衛隊も五百名ほど出動して、その後いろいろと災害の救助に当たったわけでございますが、こういうような状態で、家屋の被害は、大体集計されたところによりますと、二億五千七百四十五万円とはっきり載ったわけでございます。ごれを分類いたしますと相当ございますが、この際ですから省略いたしますが、二億五千七百四十五万円というと、これは相当の額でございまして、農業被害も、これは集約いたしますと二億三千九十三万六千円ほどになっております。このうち、農作物の冠浸水によるものが一億六千二百三十万ほどになっております。この農業被害も意外に多かったわけでございます。それから土木被害が、これは道市町村関係の分だけで、九億一千六百五十二万八千円ほどになっております。これがまた被害金額としても大きいですけれども河川の数も三百二十九カ所になっておるのです。そして金額が四億五千百三十六万円、それから道路の場合は、百十一カ所決壊されて、一億九千九百万円、そのほか、橋梁、海岸、がけくずれ、こういうような点があるわけでございますが、そういうような被害が意外に大きかった。それと、水産の被害も今度はありまして、二億七百七十七万八千円ほどになっております。こういうような状態でございますが、その一番大きいものは水産資源の関係にまで及んだということも、これはちょっと大きいと思います。それと、第六番目は林業関係被害ですが、これも一億二千百五十七万八千円、これは治山、林地、林道、林産物その他に分けてこういうふうになっております。それと、衛生関係被害も、水道施設を含め二千二百二十五万円、商業関係被害はこれまた二億八千七百六十六万円、文教関係は三百八十八万九千円、その他四十一万一千円、こういうような点でございまして、この被害の合計が二十億四千八百四十九万三千円になっております。これはちょっと被害としても大きいのですが、このほかに、なお北海道開発局関係被害もまた別に直轄河川が十二カ所、それから道路が三十一カ所、三千七百八十万円ほど、直轄河川や道路もいたんでおります。こういうようなことでございまして、そのほか、現在なお調査を進められておるようですが、被害額は追ってまたふえる見込みであるということのようです。そういうようなところからして、今度は被害町村が三市四十三町村に及んだ、そうして災害救助法の適用が一市一町に及んだ、こういうようなことでございますので、そういうような点を合わせてみて、この対策はやはり重大な要素を持っておるのではないかと思うわけです。そうして前にも、災害対策委員を代表して協議会のころに下平委員や中野四郎委員が北海道を視察した報告書においても、原始河川のままに放置されておった状態ではすぐ同じような災害が起きるから、これに対する対策は万全を期し早くしなければならない、これはまさに人災に値するものであるという報告がなされた。こういうようなことも長官も知っておられる通りなのです。こういうようなことからして、今回のこの災害予算は、第二室戸台風の予算として北美濃地震も加えられておるわけですけれども、今回の北海道の登別や道南を中心とした災害も、第二室戸台風被害と同様に扱うべきではないか、当然こういうように考えられるわけですが、この救済策についてはっきりした政府の態度を今ここにお示し願いたいと思います。
  28. 大平正芳

    大平政府委員 登別周辺の被害につきまして詳しい御説明がございまして、局地的な被害としては非常に深刻なものがあろうと察するわけでございます。政府といたしましては、従来の災害がそうでありますように、まず現地から概況の報告がございますが、それを受けて災害査定をいたしまして復旧の促進をはかるということになるわけでございまして、できるだけすみやかに御査定をいただいて復旧に取りかかるように配慮いたしたいと思います。ただ、第二室戸台風と同じようにということでございますが、現行の災害関係の体制のもとで私どもとしては最善を尽くしていきたいと存じております。
  29. 島本虎三

    ○島本委員 もう一回念のために聞きますが、この災害の深刻なことはよく御存じの通りで、あえて私はうそを言っておりません。これは公的な発表によったところの報告であって、新聞の報道やその他いろいろと私が入手したものでもない。責任を持って申し上げられるデータに基づいております。今長官は、深刻なる災害であるということも認めておられるようです。以前から、こういうような災害が起こった場合には、やはりそういうような態度をもとにしての対策を立ててこられたといたしますと、これは北美濃の地震まで当然入っている。その深刻なことは長官も御存じの通りで、これも住民にしてみれば深刻なのだ。今度の場合も当然深刻なものでございますから、これを現行の災害関係の体制のもとに最善を尽くすということをこの中に入れて、同じような条件でこの問題に対しては対処する、こういうような意味で、問題は、結局十月五日、六日の災害につきましても第二室戸台風と同じ条件で取り上げるのだ、こういうような意味に解釈したいと思いますが、そうですが。
  30. 大平正芳

    大平政府委員 第二室戸台風と同程度の被害であるということが確認されますと、そういう措置がとられると思います。今被害の概略の御報告がございましたけれども各省で今から査定いたしまして、同程度のものでございますれば、同様に取り扱うことにやぶさかでございません。
  31. 島本虎三

    ○島本委員 官房長官にこんなことを言うのはおかしいけれども、今回の臨時国会の柱のうちの最も重要なものはこれでしょう。この臨時国会を終わってから対処しても、これは何にもならないし、せっかく災害のためにこの臨時国会を召集して、これに対処している間に起こっているこの重大にして深刻な被害ですから、終わってから査定し、それによってやったのでは、仏作って魂を入れないことになる。こういうようなやり方では、まさにきめのこまかいと皆さんがおっしゃっている行政措置にもならないし、対策にもならない。当然今国会中にこれに対処してしまわなければならないと思う。私は、そういうような意味で、資料を取り寄せてそれを見た上で、今国会中にはこれに対処します、こういうような意味に解釈したいと思うのですが、長官としては、今国会中にこれはやるということで、ここではっきり認めていいのか悪いのか、この点もはっきりしてもらいたい。
  32. 大平正芳

    大平政府委員 できるだけ早急に災害の調査をいたしまして措置いたしたいと思います。
  33. 島本虎三

    ○島本委員 できるだけ早急と言っても、十年やれば一年が早急です。三年やれば六カ月が早急、こういうことでは困る。私どもとしては、早急という意味は、今国会中という意味に解釈したい。これだけでいいですから、一つチンといって玉を出して下さい。
  34. 大平正芳

    大平政府委員 今まで中央の方で把握しておる資料では、遺憾ながら、まだ同程度の被害だという資料が出てこないそうでございますが、なお精査いたしまして、同程度のものでございますれば、御趣旨のような線に沿って措置するにやぶさかでございません。
  35. 島本虎三

    ○島本委員 今までの資料ではそれにふさわしくないということのようですが、今資料として出したのが疑わしいという意味ですか。これだけではわかるけれども、これじゃだめだという意味ですか。これでもう少し道南だけに区切った場合にはまさに深刻なものがあって、これはやらないと言った方がおかしくなるような、たとえば登別を中心とした、自衛隊五百名も派遣してやっているようなこの人的な被害に対しても、資料が不足である、これくらいの被害ではやれないということは重大だと思う。やはりこれは資料が不足なんですか、どういう意味ですか。
  36. 大平正芳

    大平政府委員 政府はところによって対策を二にしちゃいかぬわけで、公平にやらなければいかぬわけです。そこで、今伺いました資料をなお早急に精査いたしまして、それで同程度のものでございますれば、同様の処分をする、こういうように御承知願いたいと思います。
  37. 下平正一

    ○下平委員 関連して。資料がまだ政府として的確に把握されていないと言われれば、これ以上追及しても僕はお答えが出ないと思うのです。ただ、官房長官に今度の災害特別法が出てきた経緯を少し考えてもらいたいと思うのです。今度の災害立法は五月のフェーンまでさかのぼりました。これは御承知の通りです。続いて北美濃地震についても、率直に精査してもらえばわかりますけれども、やや資料不足でありました。しかし、これも加えました。こういうことで、ことしの災害についてはかなり広範に今度の災害特別立法というもので包括しておるという筋できておると思うのです。これを一つ御了解をいた、だきたいと思うのです。  もう一つは、第二室戸台風にいたしましても、完全に査定が済んで予算措置もかくかくという確定はいたしてないように思う。これもかなり不安定な問題であります。従って、予算措置を見ても、災害復旧費というものは百四十九億、それに予備費をふやして対処するという措置をとっておるわけです。不安定な要素で十八号を処理しております。そこで私は、これ以上議論を進めてみても、官房長官は資料がないと言われれば議論の進めようがありませんので、きょうは金曜日でありますから、今度の登別を襲った二十三号台風は、被害の深度は深いですが、範囲としてはきわめて小範囲でありまして、資料を集めることはきわめて簡単だと思いますから、月曜日の委員会までに資料を一つ御提出願いまして、そのときまでに十分御検討をしていただくようにお願いをいたしておきたいと思います。
  38. 島本虎三

    ○島本委員 最後に一つ、今のような措置をして、月曜日までにはっきり資料を整えて精査しておいてもらいたい。これはいろいろと下平委員が申されましたように、今回の国会の柱をなす災害の問題でも、広範囲に取り上げておりますのは事実でございまして、やってやれないような性質のものではもちろんないし、その深刻の度合いは、他のどれにまさるとも劣らないものでございますが、残念にして資料がないと言われればそれまでです。私どもも一生懸命になって資料を集めて手元にまで出しますから、これを善処したいという意向で幅を持って今国会中に解決するというふうに踏み切った上で、月曜日までに資料を十分に精査して結論を出す、こういうようにしてもらいたいということを強く要望いたしまして、これで私の質問を終わります。
  39. 濱地文平

    濱地委員長 有馬輝武君。
  40. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最初に私がお伺いいたしたいと思いますことは、今度の七法の中に、五月−七月にわたりまして関東、中国、九州における旱魃の被害があったわけでありますが、この点については、閉会中の災害対策協議会におきましても、善処するようにという要望を与野党一致して政府の方に出してあるのです。これを除かれた理由について最初にお伺いしておきます。
  41. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 旱魃被害につきましては、北関東から東北、九州と被害が出ております。これにつきましては、従来の例によりまして、法律によらないで予算措置で、被害の激甚なところのポンプ講入その他の応急措置の補助をやる、こういう建前で大蔵省と折衝いたしまして、大体前回の例に準ずる措置を講ずることにいたしております。
  42. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 準ずるということでありますが、それを具体的にお示しいただきたいと思います。
  43. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 お答え申し上げます。  旱魃の応急対策といたしまして、市町村営並びに共同施行でやりました工事費あるいはポンプの購入費、そういったものにつきまして、大体今までやっております団体営の補助率ということで購入補助なり工事費の補助をいたす予定で取り進めております。
  44. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今の点については、あとで庄野さんから御答弁のありました点について資料として出していただきたいと思いますから、いずれそれぞれの分野で検討いたしますときに進めて参りたいと思います。  次に、私あと一点だけ官房長官お尋ねしたいと思うのであります。これは先ほど辻原委員からも質問があったところでありますが、明確な答弁をいただいておりません。といいますのは、治山治水対策あるいは災害復旧事業、こういったものに対する一元的な運営という問題についてであります。二十八年に西日本、それから和歌山、十三号台風もあったですが、あの災害がありましたあとに治山治水対策協議会が設けられまして、八千六百五十億ですか、総合的な事業を遂行していこうという対策要綱が決定されながらも、政府決定にはならなかった。ここにも私はその後の累次の災害を呼び起こす大きな原因があったのじゃないかと思うわけであります。ところが、今度、たとえば三十日の本会議におきます下平委員の質問に対しまして、新十カ年計画を立ててその中で処置していきたい、こういう総理の御答弁でありました。しかし、これが万全であるとは思えないということも、あとで敷衍して答弁があったわけであります。ところが、災害復旧等について、これは大蔵省が出しました「日本の財政」の中では、非常にバラ色の幻想を与えるようなことがおくめんもなく書いてあるわけです。ちょっと長くなるかもしれませんけれども、「本年度の災害復旧事業方針は、三十三年の災害については、これを全部完了することとし、三十四年災害および三十五年災害について、直轄事業は北海道の事業の一部を除いては完了させ、補助事業については、重要なものは三カ年(いわゆる三・五・二の進捗率による)、その他のものは四カ年で復旧するテンポを確保することとしている。」こういう工合になっておるのであります。しかし、これは本委員会でも各委員から指摘されておりますように、治山治水、それから災害復旧、こういった問題が各省ばらばらで行なわれておる。この事実はもう官房長官も十分御承知のところであります。そこで、治山治水と災害復旧、こういったものを一元的に運営する、たとえば国土省なんという話も聞いておりますけれども、そういった抜本的な施策を講じない限り、毎年こんなような状態を繰り返していくことになるのじゃないか。これはもう過去の歴史の中で、私たちが明治以来ずっと繰り返してきたところなんです。ここで政府としては、国土省その他の機構をもって抜本的にこの災害に対処する考え方はないのかどうか。防災基本法が出ておりますけれども、これは下平委員も本会議で指摘いたしましたように、ただ知事その他に対して一つの権限を委任する程度の、ほんとうに気休め的なものにしかすぎません。そういう意味で、今申し上げたように、災害に対して立ち向かう姿勢というものを根本的に考えるあれはないかということをこの際官房長官からお聞かせ願いたいと思います。
  45. 大平正芳

    大平政府委員 災害に対して、これに対応する姿勢、措置予算等について不備な点を御指摘いただいて傾聴したのでございますが、年々歳々、災害対策は、現在の政府の中央、地方を通じての努力によりまして、また民間の御協力によりまして、漸次地についてきておると思いまするし、今後、災害基本法の御制定をいただいて、そのもとで常設的な防災本部が中央、地方を通じてできまして、防災思想を漸次普及徹底していく、また、財政の成長に応じまして災害復旧費も徐々に増額して参るというようにいたしますならば、私は、有馬委員のおっしゃるような方向に相当前進するものと期待しております。ただ、それでは、抜本的に国土省を作って、そういった仕事をまとめて実行する方がよろしいではないかということは、御意見として十分拝聴する次第でございますけれども、こういう問題は行政機構全体にわたる問題でもございまするし、長い歴史を経てきた現在の行政機構を抜本的に改正整備するということは、言うはやすくして実行はなかなかむずかしい問題でございます。官民を通じてのそういった世論が成熟しまして、そういう方向に進むべしという機運がほうはいとして出てこないと、なかなか実りにくいものではないかと思います。今、御承知のように、内閣委員会の方で御相談申し上げておりまする俗称フーバー委員会というようなもの、これが御審議いただいて御承認を得れば、こういう権威ある委員会でこういう問題は慎重に御検討いただくのがよかろうというふうに、ただいまの段階では考えておる次第でございます。
  46. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 水害対策その他を考えてみましても、たとえばダムにつきましても、連続堤防方式でやってきたところの、一つの時勢の進展に応じた水害だということは、これは本会議でも下平委員がつとに指摘したところなんです。やはり経済の発展に応じてそれに即応する態勢というものがとられない限り、先ほども申し上げますように、年々同じことを繰り返していく。もちろん、機構という問題については、官房長官のおっしゃるように、これは重要な問題でありまするし、慎重に検討を要しますけれども、慎重に検討している間にまた来年同じようなことを繰り返していく、これではいつまでたっても問題は解決しないと思う。再度御答弁いただきたいと思います。
  47. 大平正芳

    大平政府委員 時代の進展に即して行政が直ちに弾力的に措置しなければならぬ、時代の要請に応じて行政機構もいつまでも旧態依然たる姿ではいけないという御趣旨については、全く同感でございます。そういう方向に進むべきものと思いまするし、また、現に行政機構もそういう方向に逐次持ってきておるわけであります。ただ、重ねて申し上げますが、抜本的な行政機構の改革ということになりますと、論議はやさしいけれども実行はなかなかむずかしい問題でございますので、そういうことを頭に置いて着実に事態に即するような措置を講じて参るべきではないか、そう考えておりますが、有馬委員の今の御発言につきましてはとくと拝承いたしまして、私ども検討して参りたいと思います。
  48. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 今度の十カ年計画で、十カ年たてば、災害を未然に防止し得る態勢というものが、治山治水、災害復旧の面から十二分に完成できる見通しを持っていらっしゃるのかどうか。少なくとも今までの災害対策というものについては、歴代の政府が金の出し惜しみをいたしまして、特に財政不如意な地方に負担をかける、あるいは受益者に負担をかけるというようなわけで、しりつぼみになってきているのが現状であります。そのような状態で、今度の十カ年計画では十二分に克服できるのかどうか、国民が聞きたいところはここなんです。熊野なんかでも、災害復旧事業をやろうとするのに、地元負担に耐えられないから、やめてくれというような陳情、こういった驚くべき事態さえ出てきておるのであります。それについて確たる見通しというものをこの際伺っておきたいと思います。
  49. 大平正芳

    大平政府委員 今与えられた状況のもとで作案いたしますれば、ああいう計画がベストであると考えております。その計画のもとで細心、周到な工夫をこらしまして、地方の協力を得ましてベストを尽くしていくということが、今の基本の方針でございます。
  50. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 最後にお伺いしたいと思いますが、先ほど島本委員からも、登別の大火の問題についてお話がありましたし、また、これはきのうも保岡委員の方から、鹿児島の大火の措置についての建設大臣に対する御質問がございました。そこで、お伺いしたいのは、鹿児島の大火についても今度の七法を適用していくというようなお考えがあるのかどうかという問題とともに、これは今後またいかなる災害が起こるか予想できない状態にあります。ですから、先ほどから申し上げますように、そういった同じことを繰り返していくのじゃなくて、やはり災害に対する恒久立法——こういった七本の法律あるいは伊勢湾台風で出されたような法律を一元化したところの恒久立法をする御用意がないのかどうか、この点について官房長官の御見解を伺いたいと思います。
  51. 大平正芳

    大平政府委員 鹿児島の大火につきまして政府がとりました応急的な措置は、有馬委員もよく御承知であろうと思いますので、省略いたしますが、これに対しましては、これからわれわれがやらなければならぬ問題といたしましては、公営住宅の建設、それから公庫資金の融資等、従来三十一年には、御承知のように、新潟とかあるいは名瀬等の大火がございました。その翌年には能代の大火がありました。三十三年には瀬戸内町の千数百戸焼けた大火もございました。そういう前例も見まして、政府としてはあとう限りの措置をしたいと、建設省を中心にせっかく作案中でございます。
  52. 有馬輝武

    有馬(輝)委員 この問題につきましては、またいろいろ委員会におきましても話し合いまして、ぜひ適用できるように政府に御要望したいと思いますので、先ほどの登別の問題とともに、今国会中に間に合うように御検討いただきたいと思います。  私の質問はこれで終わります。
  53. 辻原弘市

    辻原委員 先刻高潮対策の問題について官房長官に伺っておきましたが、これは基本的な海岸法等の改正を要する各省調整の問題だけに限定をいたしましたが、それについての長官お答えの中に、昨日私が建設大臣から承った点とややニュアンスの違う点がございますので、あらためて政府の見解をはっきりさしておいていただきたいと思います。  それはたびたび言われておりまするように、対策伊勢湾並みにやるのだ、こういうことなんです。そういたしますと、基本的な海岸法等の問題は別にしましても、被害激甚な地域に対する高潮対策事業というものは、前回の伊勢湾の際には、特別法を制定して、それに所要の事業費を計上して対策に当たったという経緯があるのであります。そういたしますと、当然伊勢湾並みということであるならば、この国会——もちろん、海岸線全般にわたっておりますが、特に政府においてもすでに調査されておりますように、四国海岸あるいは大阪湾から紀伊半島にかけての高潮による被害というものは、きわめて甚大であります。そういう意味におきまして、伊勢湾同様の高潮対策事業というものを、具体的に法律を制定しておやりになるかどうかという点が、われわれの重大な関心事であります。そういった特別の事業の施行がなければ、次にあるいは起きてくるかもわからない災害に備えることは不可能である、そういう意味から、ぜひとも新しい高潮対策事業というものを伊勢湾同様起こしてもらいたいというのが、われわれの希望でございますから、昨日、建設大臣としては、大体そういうような方向でできるだけその趣旨に沿うために検討しておる、こういう答弁であったわけでありますが、この際、その高潮対策をどう進める考えであるのか、これは政府にはっきりお答えを承っておきたいと思います。
  54. 大平正芳

    大平政府委員 先ほど申しましたように、伊勢湾並み措置をやろうという基本方針で臨んでおることは、御承知の通りでございます。それは、今次の災害の実態に即して、個々のケースが具体的な、公平な取り扱いを受けるようにしなければならぬという趣旨でございます。それが今の中央、地方を通じた財政のメカニズムの中で、一体補助金が同等になることが公平なのかどうか、そういう点は、必ずしも私はそうはいかない場合もあるのじゃないかと思うのでございまして、そういった財政の構造からくることは、私は微細な点までよく承知しませんから、それは事務当局の方で御説明を願いたいと思っております。  建設大臣からも御注意がございまして、私の答弁建設大臣答弁が食い違っておる、必ずしも一致していないというようなことで、そういう御注意をいただいたということをけさ御連絡いただきましたのですが、私は毛頭食い違っておるように思っておりません。ここで建設大臣が申し上げたことは、そのまま政府の見解としておとりいただいて差しつかえないと私は思っております。
  55. 辻原弘市

    辻原委員 こまかい点はいずれ別の機会にわれわれは聞きますが、お尋ねをいたしておる要点は、結局、補助金はどちらが有利であるか、工事の施工方法をどうすればいいかといった技術的問題はさておいて、要するに、伊勢湾と同じような高潮対策事業を今回の被害激甚地にやるという決意を政府は持っておるかどうか。そのやり方としては、伊勢湾のときは、いわゆる伊勢湾高潮対策事業法という特別立法を行なったわけであります。それに必要な予算を計上したわけであります。それと同等のものを行なうという決意を持っておるかどうか。   〔委員長退席、古川委員長代理着   席〕
  56. 大平正芳

    大平政府委員 この前の本委員会で、私はこう申し上げたのです。要するに、大阪湾の対策といたしましては、今辻原委員のおっしゃるような問題もございますので、さしあたって来年のシーズンを控えて、工事をできるだけ既定計画に沿いまして促進することが、まず火急の要務じゃないかということで、その点は、現地の土木当局と建設省で今真剣に御相談願って、御計画をいただいておると思うのでございます。問題は、そういう既定計画を脱皮して大きな高潮対策というものを打ち立てるかどうかということにつきましては、今建設省の方で御検討中のようでございますので、建設省の方から一つお聞き取りをいただきたいと思います。
  57. 辻原弘市

    辻原委員 建設省の点は昨日伺ったので、あらためて、私は前段に申したように、政府方針を伺いたい。これはたびたび言うように、すでに特別委員会もかなり時日を経過しております。いまだにその方針が確定しないということは、これは、もし検討しておるが、まだ結論が出ないということであれば、いささか政府としては怠慢ではないかというそしりは免れない。しかし、何だかんだと答弁を濁しておいて、要するに、結果としてはやらないということであれば、いささかこれは政府としてずるいと私は申し上げなければならぬ。どうするのか。今まで官房長官が言われたことは、工事を促進いたします、また、法律その他で明らかになっていることは、政府方針として高率補助を適用いたします、事業量は拡大いたします、必要な予算は計上いたします、こういうことなんで、私の伺っておるのは、一つ事業に対する政府の意欲と、それからその根本的なやり方について伺っておるわけです。たびたび政府としては、これは伊勢湾と同じようにやるのだ、こういうことを言われておるから、伊勢湾と同じであれば、伊勢湾同様の特別法の制定も必要であり、それに伴う予算も必要ではないか。従って、その点は一体どうなるのか。これは一建設省の問題でないということは、私が先ほど申したように、いわゆる護岸というものは三省にまたがっておるわけですから、従って、そういう三省の分を乗り越えて、建設省所管として対策事業をやるならやる、こういうふうにはっきり言われるならば、これはわれわれも理解がいくのでありますけれども、しかし、今の現状のままで、ただ促進をする、高率補助を適用するということでは、在来の災害復旧あるいは改良工事、関連工事の域を出ないから、そう申しておるのであって、その方針を明らかにしてもらわないと、これは私ども現地の立場なり、また野党の立場においても、政府がもたもたしてやらなければ、われわれはそういうことの実現を期するためにも、委員会独自として、これは物事を考えなければならぬということになりますので、政府は一体どうするのか、こう聞いておる。
  58. 大平正芳

    大平政府委員 従って、建設省の方で御検討いただいた結果をもちまして、政府部内で御協議するわけでありまして、それだけの時間の余裕を与えていただかないと、建設省は別にお金を持っている省ではございませんから、建設省がこうやりたいということをそのままうのみにするわけに政府として参らぬと思うのでございまして、建設省の方と一しかし、所管の省でございますから、まず建設省が案を出されなければ政府の議題に上らぬわけでございまして、今建設大臣がおっしゃったような方向建設省が御検討中と聞いておりますので、その検討の結果を待ちまして、政府部内で協議をする余裕を与えていただきたい、こう思います。
  59. 辻原弘市

    辻原委員 それでは建設省にいつごごろまでに結論を出させる見込みであるのか。これは先ほど北海道からも言われたように、ただ検討いたしますということでは、あとわずか半月しかないわけです。すぐ終わってしまう。そういうあいまいな答弁では、事災害に関しては黙っているわけにはいかない。従って、めどはいつか。きのうも私は伺ったのですが、要するに、その対策事業をやろう、やるための方法は講じよう、こういう検討でありますならば、われわれは待ってよろしい。しかし、やるかやらぬかわからぬが、ともかく一応検討しておこう、そういう程度でぼかしたままで日を過ごしていくならば、これはちょっと問題だと思うのです。建設省検討しておるなら、鋭意その検討の今日の段階、それからめどをはっきり示してもらいたい。
  60. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 大阪湾並びに紀州灘、それから今回の台風によりまして海岸が非常に激甚な災害を受けましたことは、よく存じております。その結果、建設省といたしましても、三省に関係いたしておりますが、建設省所管の分につきまして、さっそく査定官も派遣をいたしまして、工法の指導とか、そういうことをやっておりますが、これをどう取り扱っていくかという問題について、全体計画について極力調査を進めている段階でございます。しかし、ただいまの見通しのところにおきましては、大阪市内の地盤沈下をしました堤防のかさ上げの問題、これは大体今全体計画はできておりますが、その分も今回の台風でチェックをしないといけませんが、さしあたりの目標としては、今回高潮が越えましたところを、ともかく越えないようにしようという、非常な緊急計画といいますか、それを促進して参りたい、こういうふうに考えております。  なお、和歌山、徳島、兵庫、高知等の海岸の復旧事業につきましては、調査中でございますけれども、概略つかんでおりますところでは、建設省所管の分といたしましても、和歌山県につきましては、そう大した金額ではない。従って、ただいま提出をいたしております災害関連事業の特例を活用いたしまして、災害復旧とあわせてやれば、これで相当な効果が上げられる、こういう確信を持っております。なお足らない分は、改良事業の促進、こういうことになるわけでございますが、なお御趣旨の点をさっそく——さらに御指摘の点を考慮いたしまして、極力早く調査を進めたい、こういうふうに考えております。
  61. 原田憲

    ○原田委員 ちょっと今の問題に関連して。今、河川局長は、調査をして何か検討するというお話です。何を調査するのか知らぬけれども官房長官、きのう建設大臣は、ここで、高潮、地盤沈下の対策として、大阪の防潮堤のかさ上げ工事を進めなければならぬ、それは今まで治水事業としてやっておるが、それを切り離して、地盤沈下、高潮対策事業としやっていくということにして、来年度予算は大蔵省にそういう要求をしておる、具体的にそういうことをここではっきり言っておる。それで、それに対して事業も繰り上げてやっていこうと考えておる、こういうことを言っておる。これは問題なしに、そのことは、はっきり建設省がそういう意向を持っておるなら、大蔵省はそれをのんでやっていただいて、早くしなければならぬ。私は、そのことについては、政府の方で意見を統一されれば簡単だと思う。
  62. 大平正芳

    大平政府委員 先ほど私申しましたように、来年の災害シーズンに対して、受けこたえができるだけの措置を火急にやらなければならぬということが、今計画の問題よりは一番大事なことじゃないか、そういう趣旨で、建設省と現地との御相談が進んでおると承知いたしております。
  63. 辻原弘市

    辻原委員 どうも河川局長の言われた点は、きのう建設大臣が言われた点とは相当距離があるように思う。ということと、今の大阪湾の問題だって、一体災害復旧でやるのか、治水工事としてやるのか、これは根本的に違う。そういう点も非常にはっきりしないわけです。同時に、私が先ほどから言っているように、新しい一つ建設事業として高潮対策というものを推し進めるというのと、そんな災害復旧の関連事業あるいは改良工事としてやるのとは、大いに意味が違うと思う。具体的に言えば、たとえば、水産庁がやっている漁港なら漁港は、関連事業でやっても三分の二でしょう。そうして、その実際の施行なり主管の責任というのは市町村にあるわけです。市町村は財政難で、幾ら国の方で補助をつけてやりますといったところで、市町村の財政事情によって、やれない場合がたくさん出てくる。実情はそうである。それならば、建設省はかなりあてがってやっていっても、そこの漁港と、それから一般海岸堤防との間の食い違いが出てきて、実際の災害を防止するということには、全体の海岸堤防あるいは護岸というものを考えた場合には、役立っていないというのが今日の現況だ。だから、そういう工法、そういうやり方でもってしてはだめなんだから、それではさいの川原だし、国費の乱費だ。これは衆目の一致するところなんです。だから、新しい一つの立場で、三省を統一した形において護岸工事、高潮対策ということを進めなければならぬ。そういうことは、私が説明しなくても、あなた方わかっておると思うから、省いておるんだけれども、それが依然として、関連工事を三分の二でやればよろしい、また、先ほど河川局長は、紀伊半島の災害については大した金も要らぬ、そういう認識だから、そのつど、台風のために災害を引き起こしておる。そういったような局所だけでやられて、その災害復旧だけやればよろしいといったような考え方を前提にして、いわゆる高潮対策とか護岸工事を考えておるから、査定においてはしぼったり、でき上がった工事は次の災害の備えにはならなかったりしているという実際の姿が現われていることを指摘しているのです。だから、在来のそういった災害復旧でやるのか、新たな対策事業として特別立法をも起こしてやるのかということを私は聞いておる。しかし、河川局長の説明によれば、これは建設省だけの話ですから、だから、私は、官房長官に、政府方針というものを早く取りまとめてもらいたいと言っておるのです。水産庁、運輸省の態度は一体どうなんです。各省ばらばらで聞いたって意味がないから、官房長官に、政府としては、この種の災害復旧については、どういう観点の事業を今後中心とするかという政府の結論を出せと言っているのです。しかし、河川局長のこれがかりに建設省の意向だとすれば、そのことは、それは在来の災害復旧の予算で何ら護岸については将来心配ない、こういう結論なんです。それでは実際問題として、きのうも、施行率はできるだけ引き上げる、早目にやると言っておりましたけれども、実際は早目にやらないのです。今までのたびたびの経験で、いわゆる市町村の所管分、市町村の負担分というもの、これは、国がそれに対してかなり実質的にめんどう見てやるか何かしなければ、工事はちぐはぐになって進んでいかない、これが今までの実情なんです。だから、そういう点から、一体今までの欠点を克服してやるには、新しい事業を興す必要があるが、政府伊勢湾と同じようにやるかと、こう聞いておる。建設省はやらないと言っている。しかし、きのうの建設大臣の意向は、できるだけそういう方向で善処したい、こういう答弁であったから、政府としては、三省まとまった意見として、そういう方向で努力してもらえるか、一体そのめどはということを私は尋ねておるわけです。もう一度、その点について官房長官のお考え方を聞いておきたい。
  64. 大平正芳

    大平政府委員 御趣旨はよくわかります。ただ建設省の方で御検討されておるということでございますから、建設省の方から御検討の結果が出て参りますれば、政府の方で各省打ち合わせて調整をとってみたいと思います。何さま、まだ建設省の方で御検討中なんでございますから、私にここで政府統一見解を言えとおっしゃるのは、少し御無理な御相談じゃないかと思います。
  65. 辻原弘市

    辻原委員 私の言うことが無理か、官房長官のおっしゃられることがあたりまえか、これは、私は、災害というものを考えるとわかると思う。臨時国会の始まる前に私がそういうことを申し上げておるのなら、時期的に、無理ですとおっしゃることは了承いたします。しかし、特別委員会もそろそろ半ばに差しかかろうとしておる。方針ぐらいここで明らかにされないようなことで、政府が積極的に高潮対策に取り組んでいるとは私は言えないと思う。それならば、今河川局長の言われた、在来の復旧方法で間に合いますと言った、そのことをあなたは肯定された上で、各省調整をとると言われるのでありますか。それとも、そういうことは別として、ともかく日本の護岸というもの全体を考えて、何とかせねばならぬ、さしあたって激甚な被害を受けた地域については、このチャンスをもって何とか将来完璧なものを作りたいという意欲を持って、新しい対策事業ということについて検討しようというのか、その点を一つはっきりさせてもらいたい。
  66. 山内一郎

    ○山内(一郎政府委員 先ほどちょっと説明が不十分であったかもしれませんが、在来の方法とは違っているわけでございます。在来の方法で参りますと、災害関連事業の補助率といいますのは、海岸でありますので、大体二分の一、今回国会に提出をいたして御審議を願っている特例法で参りますと、三分の二になる。ここが従来とは違っておる点であります。その辺ちょっと言葉が足りなかったようでございますので、補足をさせていただきます。
  67. 辻原弘市

    辻原委員 そういうことはわかっているのです。説明を省略しているだけの話だ。私が在来と言うことは、特例法が出ているのだから、そのものずばりの災害復旧四分の三、関連事業は三分の二ということは、頭に置いておる。それを言っているのではない。それじゃ、伊勢湾のときと同じですか。伊勢湾のときは、関連事業あるいは災害復旧と区別していないでしょう。全体を通して八割の補助率でやっておる。その工法、その工事のやり方と今回も同じようにやりますかと聞いている。だから、在来の方法ということは、いわゆる特別の災害が起きる以前のことを言っているのではない。単なる公共事業特例法でもっては不十分だと言っているのです、統括をするために。その意味において、新しい事業ということを言っているので、私は、何も河川局長のそういうことを知らずしてものを申しておるのではないのですから……。その上の段階を私は言っておる。あなたの説明は、在来のじゃありません、特例法を出しているのだから、それで十分ですと言っている。私の言っているのは、伊勢湾高潮対策事業を興してやった、あのようないわゆる高潮対策というものを、政府としては激甚地に考慮しておるかどうか。きのう建設大臣は、そういうことも考慮して検討する、こう言っておる。だから、官房長官政府の意向をあらためてただした。御無理だとおっしゃられれば、これはやむを得ませんけれども、しかし、少なくとも、今建設省河川局長の言われたことをあなたが政府の代表者として肯定されるなら、これはわれわれは重大な意味がある。その点だけははっきりさせておいてもらいたい。
  68. 大平正芳

    大平政府委員 建設大臣がそういう方向検討しようとおっしゃっておられるわけですから、その検討の結果が出て参りまして、政府部内で調整して結論を出したいと思います。大へんタイミングがなまぬるいじゃないか、もっと早くやれという御注文でございますが、われわれは、この問題が重大であればあるほど、やはり念には念を入れてやっておかないと……。
  69. 保岡武久

    保岡委員 先ほど有馬委員からの御質問に対して、官房長官から御答弁がございましたのですが、去る十月二日の未明における鹿児島の大火、この問題は、非常に特異な条件下における大火であることをよく御認識願いたい。というのは、ちょうど二十三号台風が奄美群島のあの付近を支那海に抜けたわけでございますが、あの影響を受けまして、南九州地帯は相当な警戒をいたしておる状況にありまして、鹿児島市のごときは、すでにそのとき十数メートルの風が吹いて、その中に鹿児島大火が起こったわけでございます。なお、鹿児島大火は、わずか二時間の間に七百戸を一なめにした。しかも、その七百戸の面積が大体三万五千平方メートルでございますから、約一万坪であります。一万坪の中にひしめいていた住宅密集地帯であるということなんでございます。なぜそういうことになったかということを簡単に申し上げて、御理解願いたいと思いますことは、終戦当時−鹿児島県は島嶼が多い。ことに奄美群島のごときは、アメリカに占領されまして、外国から引き揚げてきた人々がそこに帰れない。そのために、非常な苦労の中に、鹿児島市のうちあるいは市の周辺等に洞穴がある、あるいはごく簡易な住宅を不法的に作ったというような形でございまして、これを鹿児島市としてはやはり一カ所にまとめて住まわしたいというので、算段しまして、あの郡元地域に、わずか一戸六坪というようなごく小さい家を建てまして住まわした、こういうような状態です。そういうことでありますので、そこに住まっている住民は、日雇い労務者あるいは失業対策労務者が多い。こういうような状況でございますが、ぜひとも五月二十九日、三十日のフェーン現象に基づく大火と同じように取り扱っていただきたい。ちょうど気象状況から申しましても、強風下であるし、しかも高度の乾燥をいたしておる状態で、風が来ればああいうことになるという状態でありましたことは、フェーン現象とは少し違うかもしれませんが、ほとんど似ているということで、どうしても、フェーン現象に基づく大火と同じように取り扱ってもらいたい。なお鹿児島県は、御承知のように、非常に低所得者の多い県でございまして、日本一の貧乏県だとかいわれているところでございまして、鹿児島県も鹿児島市も非常に財政的に苦しいところでございます。この三千余りの羅災者の人たちを安住させるためには、公営住宅等も相当作らなければいかぬのでございますが、鹿児島県、鹿児島市の現在の財政状況ではなかなか苦しい、そういうような状況等もございますので、ぜひとも今度の国会におきまして、フェーン現象に基づく大火並びに第二室戸台風に基づく住宅対策としての公営住宅特例法の中に入れていただきたい。先ほど登別の問題もございましたが、やはりそれと同じようなことでございまして、ぜひとも政府においても深甚な御考慮を払っていただきたい、こういうふうに全部が考えているのでございますが、さらに長官の御意見、御見解を一つ聞かせていただきたいと思います。
  70. 大平正芳

    大平政府委員 政府としては、公営住宅の建設、これは今御指摘のように、低所得罹災者が多いということも考慮しまして、第二種公営住宅の建設に対しまして国庫補助を行なうということ、それから罹災住宅の建設、補修に対して住宅金融公庫の融資を行なうということとあわせまして、罹災地区以外の残存地区につきましても、不良住宅の改良をはかるために、住宅地区改良法による地域指定を今考慮いたして善処したいということを考えております。
  71. 保岡武久

    保岡委員 フェーン現象に基づく大火と同じように取り扱うという点については、どういう御見解ですか。
  72. 大平正芳

    大平政府委員 今の政府の見解では、必ずしもフェーン現象の場合と鹿児島の場合は同一という見解はとっていないようでございますけれども、御要請もございますので、なお検討してみます。
  73. 保岡武久

    保岡委員 昨日は建設大臣から、深甚なる考慮を払うからというお話がございましたが、きょうは官房長官が内閣の責任ある代表としておいででございますので、一つ政府代表として、ぜひともそういう実情と、そういう環境というものを御勘案の上、地域住民の熱望をいれていただきたい。重ねてお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  74. 辻原弘市

    辻原委員 時間もありませんし、だいぶお待ちを願いましたので、いずれ内容の詳細な点については、来週それぞれ各省別の審議の際にお尋ねいたすことにして、重要な点だけについて承っておきたいと思います。  文部省に伺いますが、先ほど官房長官からの答弁によると、二法案の準備をされておるということであり、おおむね伊勢湾台風並みであると心得ますが、その中で特に今回の災害で私ども痛感していることは、従来文部省の災害復旧は、応急復旧工事というものを補助の対象にしておらない。しかしながら実際問題として、学校における教育をそのままほうっておくわけにいきませんから、市町村等においては、できるだけ授業等の再開がすみやかにやれるようにということで、いわゆる応急復旧工事をやっております。ところが問題は、被害のなまなましいものをそのままにしておかないと、あとで本格的な建設をする場合に査定等で不利だという印象を市町村が持つために、一方教育上非常に不便であっても、その応急工事についてはなかなか着手しがたい。それをしても押して応急復旧をやるということは、よほど困った現状があるわけです。そこで私どもは、そういった教育上の問題と今後の復旧の促進を考える場合に、何としても市町村が善意をもって、教育上の立場で応急復旧をしたものについては、国としては当然認めてやるべきだという考えを持ちますが、文部省は私の考えに同調されるかどうか、承りたい。
  75. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 ただいまの点でございますが、従来学校の災害の場合におきまして、応急工事費を全く見ないというわけではありませんが、おっしゃるように、非常に不十分な点はあったと思います。また、実際に応急工事をやりまして、それが本復旧工事との関係におきまして、非常にめんどうな問題のあったことも事実でございます。今回の場合におきましても、特に風のために屋根が相当やられた、その屋根を応急に復旧しておきませんと、そこから雨漏りもしまして、さらに被害が大きくなるというような事情もございますので、今回の場合におきましては、文部省としては、現地で各教育委員会関係官を集めまして、応急復旧工事のやり方等について十分遺憾のないように打ち合わせをして、そうして、その実際の学校の応急復旧工事について、あとに行ないますところの本復旧工事との関係等についても十分関連を持たせてやれるように指導いたしております。おっしゃるような意味合いにおきましては、私は今回の台風については、十分応急復旧工事についてもこれを考えなければいけないんじゃないかというように考えております。非常にむずかしい問題もありますので、その点については検討いたしております。
  76. 辻原弘市

    辻原委員 はっきりお答えを願っておきたいのだが、近く出されるであろう特例法の中に、従来の例を見ると、まず被害についての補助率は四分の三にする、それからいま一つは、一般の災害復旧の中で、いわゆる基準内復旧ということを原則にしているが、それは一応取っ払って、改良復旧を認めるということがあったと思うのだが、それと同様に、今申しました応急復旧工事費というものを補助の対象に入れるという法律の改正を提案されるかどうかということであります。
  77. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 その点につきましては、具体的なやり方について非常にめんどうな問題がありますので、ここではっきりお答えはできませんけれども、具体的な査定等におきまして、できる限り応急復旧工事費も取り入れられるような方法を現在研究いたしております。現在研究中ということを申し上げておきます。
  78. 辻原弘市

    辻原委員 そうすれば、法律に補助の対象とするという明記はしない、査定のときにそういうことを勘案する方法を研究する、こういうことですか。その点はどうですか。
  79. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 まだ最終の決定をいたしておりませんので、申し上げる段階でないと思いますが、そういう方向で研究いたしております。
  80. 辻原弘市

    辻原委員 一言申し上げておきますが、問題は、被害を受けて応急復旧をしなければならないのに、なぜそのことについて町村が悩むのかという点を十分検討されたい。それは先ほど申したように、復旧をすれば災害のなまなましい姿が少なくなるので、実際の問題として査定上非常に不利な取り扱いを受けているというのが、過去における例であった。それだからはっきり、復旧をしてもそれは対象になるんだということを、国の方針として明確にしておけば、地方としては教育上、自力でもって可能な範囲は応急復旧をやって、支障なからしめるということになるのだから、そのことを国の方で明らかにすることが何よりも必要なことだと私は申し上げておるので、今言ったような、また管理局長答弁をされたような、査定の際にうまくいくような方法というものは、今は研究中ということでありますので深くはお尋ねいたしませんけれども、どういう方法でやるのか、私にはいささか疑問であります。まあこれは、少なくとも結論を出されるということでありますから、今深くはお尋ねいたしませんけれども、しかし、査定のときに勘案するというようなことではきわめて不十分であろう、こう考えますので、まだ法案についての最終的結論は得られていないようでありますから、一つ文部省としても、そのことも重大事項として法案の中に含まれるように、私は希望いたしておきます。  次の問題は、小災害取り扱いであります。今度の台風の公立学校災害一つの特徴は、ほとんどの被害地域が、屋根がわらを飛ばされておる、あるいは屋根の一部に損傷を受けている、こういった小災害が軒並みであります。ところが、従来の災害復旧の負担法によれば、それぞれの費目にわたって三十万という制約があるために、これはおそらくかからないでありましょう。従って、当然その基準というものを切り下げる必要があるが、どこまで一体切り下げてわれわれに示されるのか、この点を一つ明らかにしておいていただきたい。
  81. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 ただいまの点でございますが、確かに今回の災害の場合におきましては、風のために屋根がやられたというような割合に小災害が多いと思います。従って、そういう政令のいわゆる足切りの問題があるわけでありますが、私どもとしては、一応伊勢湾台風並みということを考え方の基礎にいたしております。小災害につきましては、伊勢湾台風の場合に起債の利子補給の特別措置をやっていただいたわけでございますけれども、そういった点につきまして、関係省とも話し合いを進めてみるような次第でございます。
  82. 辻原弘市

    辻原委員 限度はどうするかと尋ねておるのであります。その限度はどうですか。
  83. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 伊勢湾台風と大体同じに考えております。
  84. 辻原弘市

    辻原委員 具体的に町村、県は。
  85. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 町村は大体十万と考えております。県は、そういたしますと、十五万くらいになると思います。
  86. 辻原弘市

    辻原委員 県は十五万、町村は十万まで切り下げる。現在の復旧法によれば、それぞれの費目別に、いわゆる合算額じゃなくて費目別に今の方針でやるならば、都道府県は十五万、それから市町村は十万、こういうことになっておると思うのですが、それで実情に合いますかどうか。具体的に言えば、たとえば校舎がある、それから屋内体操場がある、あるいは耕地がある、そういったようないろいろな費目があると思うのですが、その費目別の合算額であれば意味がわかるのだけれども、費目別の被害額がこれだけだということになれば、実際問題として私は該当するところは非常に少なくなってくるんじゃないかと思うのだが、はたして文部省の調査で、それが実情に合うかどうか、その判断は管理局長どうですか。
  87. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 その点につきましてはいろいろ検討しておりますが、大体各府県から出て参ります負担申請等を見ましても、その従来の足切りの標準でいけるんじゃないかというように判断をいたしております。
  88. 辻原弘市

    辻原委員 次に尋ねておきたいのは、今言いましたようなこの種の被害額の合算が、激甚地の指定基準になって参ると思うのでありますが、今も管理局長は、伊勢湾並みということを話された。伊勢湾並み基準でもって、実際問題として、かなりの被害を受けた——局部を取り上げてみると、非常に傷が深い。そういうところはたくさんあります。たとえば大阪にも、和歌山にも、あるいは四国にもたくさんあるでしょう。そういうものがせっかく作った法律の適用を受けられるかどうかという問題、これは重要な問題です。伊勢湾並み基準でもって、はたして今度の台風での激甚地がほとんど救われるかどうか、その点についての判断はどうですか。
  89. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 その点は、伊勢湾の場合と地域が異なっております。標準税収を基礎にいたしました場合には、指定を受けない市町村も相当できると思いますが、しかし、一方その点につきましては、学校施設は恒久法がございまして、三分の二の負担率によって措置できるようになっております。伊勢湾並みということでいきます場合には、ある程度やむを得ない地帯が生じるかと思います。
  90. 辻原弘市

    辻原委員 今、管理局長はかなり重要な発言をしているわけです。要するに基準伊勢湾並み、そうすると、高率適用の特例法が来週出されてくるのであるが、その特例法適用地域はきわめて少ない範囲にとどまる、しかしながら、一般負担法があるので、その負担法の三分の二という補助率でもってする災害復旧のところでやってもらうということを言っておる。これは私は重要だと思う。われわれがここで特例法を制定するゆえんは、これは少なくとも激甚地域全体にわたってこの法律で救済できるということが前提になっておる。それがわずか小部分しか適用されないようなことでは法律を作る意味がないわけだから、従って私の希望は、これが伊勢湾と違う点は、伊勢湾の場合の一つ基準というものは、滞水が一つ基準になっておる。ところが、今度の場合には雨が少なかったために、標準税収をとるとり方以外に指定基準がない。そこに伊勢湾の実情と今回の災害の場合の特質とにおいて、非常に開きがある。だから少なくとも、建前としては伊勢湾基準とするけれども、しかしながら災害特質にかんがみて、今回は雨が少なかった、いわゆる滞水というものが少なかったということを前提において指定基準を設けなければ、現状にそぐわないということです。そのことについて考慮をしているかどうか、もう一度伺っておきます。
  91. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 先ほど申し上げましたように、まだ最終決定を得ておりませんので、若干申し上げるのに早い点があると思いますが、一応私ども考え方を率直に申し上げたわけでございます。そういう点につきましては研究いたすことにいたします。ただ、一般法の基礎の上にこの激甚地指定特例法を作るという場合には、やはり設置者が町村でございますので、町村の財政力というものを一応基礎に考えるのが従来の形でございます。そういった点から申しますと、いろいろ研究すべき問題がございますけれども、さしあたり、私先ほど申し上げましたような結果になるんじゃないかというように率直に申し上げたわけでございます。
  92. 辻原弘市

    辻原委員 これは法律案が出ましたあとで、われわれはわれわれの考えで取り扱いたいと思うのですが、ただ文部省にも、原案の提出者として、実情に合うような提出の仕方をしてもらいたい、こういうことを希望しておきます。  次に、私学の法律も出されるようでありますが、これは従来の例から見ると、補助率は二分の一。ここで私が一言申し上げておきたいことは、この前の委員会のときにもこのことを申したのですが、災害が起きるたびに特例法特例法という、ところが私学については原法がないわけです。他の法律はことごとく、災害救助に関する一般法があるわけです。ところが、私学については一般法がないわけです。しかし、災害のつど、公立学校に準拠して、補助率の中身に相違はあっても、これは国の責任として何とかやらなければならないということは、だれしも見解の一致するところです。その意味においては文部省も出してくると思うのですが、なぜこれを一般化しないのか、なぜ一般法を作らないのか、このことについて文部省の見解を承りたい。
  93. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 その点は、私立学校につきましても公立学校と同様な一般法があることが望ましいと考えております。しかしながら今回の場合、非常に短時日にいろいろな話し合いをつけるというようなことも事実上できませんので、そういった面で、伊勢湾台風並みというような方針もございますので、特例法でやりたいというような考え方でおるわけでございます。
  94. 辻原弘市

    辻原委員 なお立法の過程にあるようでありますから、一点注文をつけておきたいと思うのでありますが、御承知のように、私学の場合は、いわゆる学校というものが、たとえば幼稚園、小学校、中学校、あるいは高等学校、大学と、往々総合的な形で一学園がそれを経営している、こういう実情が多いわけです。ところが、今までの文部省の災害復旧に対する補助交付の仕方というものは、それぞれ学校種別にわたって被害額は何ぼという限定を設けておる。そこで、一私学の経営者という立場に立てば被害はかなり大きいのに、それを学校種別に切るものだから、一々学校種別に限度額を設けているという実情がありますので、該当しない。実際の被害額よりもはるかに少ない額の援助しか得られないという実情が、私は多かったと思うのです。そういう点で、私学の特質にかんがみ、あるいは公立の場合もあるかもしれませんが、しかし公共の場合は設置者が都道府県あるいは市町村ですから、これは問題にならないとして、私学の場合に、そういう経営主体ということを考えて、被害の査定、それから交付というものについて、一学園経営主体というものを一つにして考えるようなやり方はとれないのかどうか、この点は検討せられておるか、承りたいと思います。
  95. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 その点は、確かにおっしゃるように、一学校法人で幼稚園から大学まで経営しておるというような場合もございますので、法人単位に考えることも一つ考え方だと思います。ただ、そういたしました場合に、一学校法人について幾らというような限度を設けます場合に、かりに、その法人が経営しております幾つかの学校の中で、幼稚園だけが被害を受けたというような場合は、その限度額のきめ方によって対象になってこないという場合が起こります。現在は、今までの例から申しますと、幼稚園は二十万でございますが、ほかの学校が全く被害を受けなくて幼稚園だけがやられたというような場合におきまして、二十万という額をこえますと、対象になります。われわれの考え方としましては、おっしゃるような法人単位にまとめるという考え方もございますが、やはりそれぞれの学校ごとにやっておいた方が工合がいいのじゃないか、むしろ学校側に有利な場合が多いのじゃないかというように考えておる次第でございます。
  96. 辻原弘市

    辻原委員 その実情の把握は私どもといささか観点が違うのであって、しかもまた、私立としても、たとえば幼稚園がやられた、ところが他は健在であるとする場合の復旧能力という点から考えてみれば、その一法人、一経営主体というものの能力は非常に大きいわけです。ところが逆に、それぞれの学校種別の被害額は僅少で、被害額は限度まで達しないけれども、軒並み同じ程度にやられたという場合、一法人、経営主体としては被害額は大きいわけです。そういう場合の方が実情としては多い。一つのところに固まっておって、たまたま幼稚園だけがやられたという例は少ないと思う。大体今回のように比較的小災害が多いという面から考えてみれば、同じように屋根がわらが飛ばされるということが実情だと思う。そういう場合に、一つ一つをとってみれば二十万という限度はこえない、しかし合算してみると、五つの学校があるからすぐに百万というものになるわけです。しかもそれは対象にならぬというのは、片手落ちじゃないかということを言っておる。だから、もし親切なやり方をすれば、今言ったような経営主体の復旧能力というものが参酌できるという観点から、合算においても認められるし、学校種別においても認められるというような並行的な方法をとれば、これはいささかきめのこまかい問題になりますけれども、非常に救われるじゃないか、実情にも沿うんじゃないか、こういうことを申し上げておる。これは私学の問題でありまするが、町村についても言い得るのじゃないかと私は思う。先ほど私が言いました公立の場合の小災害も、費目別にこまかく分けて、そして十万とか十五万とかいった場合は、たとえば極端な例をあげると、ある町村では校舎も屋内体操場も、あるいは運動場もその他の施設も全部やられているが、いずれもその被害額は八万ないし九万程度であって、わずかな額であっても、合算いたしますと四十五万となった、ところが、これはいずれも一費目ごとの合算額だから補助の対象にならない、そういうことになる。それは不親切だというのです。だから、町村なら町村、私学の場合は経営主体全体に対してどんな被害を与えたかということを判断してその対象にしていくという方が、合理的だと私は言っている。だから、先ほど私が言いました私学の場合の学校種別災害取り扱いは、もう少し実情に沿うような並行的方式を加味してはいかがかという意見を、私は今申し上げておる。これは後日また詳細に検討いたしますから、その点についての答弁はけっこうでありますが、もう少し御検討いただきたい。  それから、次にお尋ねしておきたいことは、いつも災害の場合に授業料の免除をやりますが、今回もその措置をとられたと思う。今回、私学についても授業料免除をやったかどうか、私学の授業料免除について文部省はどういう指導を行ないましたか、その点を一点伺っておきたい。
  97. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 これは、大学の方でございますと、各大学の自治的のやり方にまかせておるわけでありますが、都道府県の関係におきましては、各所管庁でございます都道府県の所管部局から各学校に対しまして、具体的にどれくらいの授業料免除をやるか、あるいは該当生徒数があるかというようなことを調査いたしまして、その必要な生徒児童に対しまして行なえるような指導を各都道府県を通じてやっておるわけでございます。われわれとしては、打ち合わせ会その他のおりにそういう具体的なやり方を協議いたしまして、指導をいたしております。
  98. 辻原弘市

    辻原委員 ちょっとわからなかったのですが、私学については通達を出したというのですか。
  99. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 特に通達は出しておりませんが、高等学校以下につきましては、都道府県においてそれを具体的にやっております。それから大学につきましては、大学の各自主的なやり方にまかせておるような次第であります。
  100. 辻原弘市

    辻原委員 ちょっと話がさかのぼりますが、先ほどの私学の復旧について、今ここで、九月までの各種の本年度の異常災害を全部総括して特例法を適用するという方針がきまった。ところが、すでに五月あるいは六月に、たとえば兵庫県なら兵庫県の私学が被害を受けた、ところが、当時はそういう災害復旧法がないものだから、いわゆる私学振興会の融資をもってやっていると、かりに仮定します。そうして、すでにその復旧に着手し、それもある場合においては建設ができ上がっておる、今度の法律では、それをも特例法の適用範囲に含んでいる、しかし、すでにやっちゃっている、こういう場合は、補助の交付はどうなりますか。その点を一ぺん。
  101. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 この前の梅雨前線の際におきまして、実は、被害につきましても、非常に限られた地域に起こった被害でございますから、校数も非常に少のうございました。従って、私立学校振興会の融資からと、それから、一部都道府県の補助というものでこれを復旧するという方針で、大体それにつきましては措置が済んでいるというふうに考えます。
  102. 辻原弘市

    辻原委員 措置が済んでいるから、この法律ができても補助金の交付はないというのですか。
  103. 福田繁

    ○福田(繁)政府委員 今回御審議を願う予定にいたしております法案につきましては、その分は対象に考えておりません。
  104. 辻原弘市

    辻原委員 時間がありませんので、いろいろ実情あるいは実際問題の例をあげてお話しすることはできないが、私は、国でやる場合に、それが困るというのです。というのは、学校教育というのはほうっておくわけにいきません。これは一般工場その他すべてそうです。個人の家だってそうだけれども、やはり早く復旧しなければならぬ。雨が降ってくるから早く家を直さなければならぬ。教える場所がないから早く校舎を建てなければならぬ。だから、法律ができたり国の予算が組まれたりするまで待てない。待っておったのじゃ、経営者としては非常に無責任になる。個人の場合だって、そんなばかなことはできないというので、急いでやる。ところが、早く一生懸命やった良心的なものは、もうやって終わっているのだから、それは補助の対象になりませんよというのは、私は、いささかどうかと言うのです。今、管理局長お答えによれば、それは済んでいるのだから、それでいいのだといわれる。ところが、法律は、明らかに五月のあれも全部含めて入れるということになっている。これは重要な問題なのですが、ここで押し問答しても、なかなかあなたの方だってはっきり答えは出ないと思うけれども、そういった問題については、先ほどから実情に沿うということを私は言いますが、やはりもう少し親切なやり方ができないものか。その一つとして、さっき言ったように、応急に復旧したものは、かりにやってしまってあっても、将来補助の対象に入れる、その立証はできるわけです。相手がごまかすということでなくて、正当に、当時の被害状況の写真なら写真、あるいは復旧工事をした議決書なら議決書、そういうものをもって国がその当時のことを確認できるわけだから、応急復旧の工事というものは補助の対象に入れる、そうすれば、そういった正直者、まじめな者がばかを見るという例がなくなるのです。しかも、今のままでは正直者はばかを見る。現地に行って、あとで補助があるから、さっさとおやりなさいと言ったら、とんでもないことになる。先生のおかげで補助金がもらえませんでしたというようなことになる。あるいは教育でいえば、まことに教育的でないし、個人でいえば、まことにそれは無責任なやり方だと、こう言う。しかし、これも時間がありませんから、後日の問題にいたしておきますが、そういった点については、同じことを繰り返さないで、もう少し進歩した方法をとってもらいたい。これは文部省だけではなくて、各省とも、もう少し進歩した方法をやってもらいたいということを要望いたしまして、文部省についての残余のこまかい点は、また各省別のときに一つ十分伺いたいと思います。  次に、自治省に伺いたいのであります。政務次官は、きのうから大へん熱心な御出席を願って、私も恐縮に存じておりますが、お尋ねいたしたい重要点は、それは伊勢湾並みといいながら、自治省が出した起債の特例の中には、伊勢湾のときの起債の特例の第二条を削除したゆえんは何か、その理由は何ゆえか。言いかえてみると、公立学校を含めて、公共土木災害に対する小災害の起債の特例という項は落として、農地だけに限定しておるのは一体どういうことか、伊勢湾並みじゃないではないかというのです。
  105. 大上司

    ○大上政府委員 お答えします。  ただいまの御質問、ごもっともと思いますが、その点につきましては、公共土木施設並びに教育施設等があるのでございますが、本年の五月または八月の災害に対する処置を大体取りきめて、その後に起きた九月の台風についての新しい問題として起きたのでございますが、問題は、いわゆる公共土木それ自体の行き方が、全面的にこれで吸い上げていくという、いわゆる適用外と、従って、これにつきまして教育費だけを入れていく、いわゆる公共全体の款項目といいますか、その状態において不均衡を来たしてはいけない、こういうのが、われわれ非常に検討しておるところでございますが、目下各関係省庁と打ち合わせをいたしまして、これをどうするかという大体の結論待ちになっておるような次第でございます。  なお、細部の補足的な説明につきましては、所管課長から説明させます。
  106. 立田清士

    ○立田説明員 ただいま政務次官から申し上げた通りでございまして、実は、この法律におきましては、五月から九月までを一応対象にいたしております。しかし、先ほど政務次官が申されました通り、五月から八月の分につきましては、学校の分等について元利補給の点はしないという建前でこの法案ができておったわけでございますが、この法案自体を九月に適用いたしました結果、御指摘の通り、九月の第二室戸台風について元利補給を考えるかどうかという点については、政務次官が今お答えされた通りであります。ただし、起債の方につきましては、学校の小災害について、国の補助対象にならない分につきましての起債は見ることは御承知の通りでございまして、元利補給の点だけ、するかしないかという点が法律上の措置を要することになろうかと思います。
  107. 辻原弘市

    辻原委員 私は、その説明を求めているのじゃないのです。なぜ落としたか。法律はすでに提出されているのですよ。すでに提出されていて、それが農地に限定しているのです。ここに法律がありますがね、なぜそれを落としたかと言っているのです。この法律は、表題に明らかなごとく、九月までとなっておるわけです。いわゆる第二室戸台風を含んでいるのです。含んでいるなら一かりに八月までは、今までの方針が元利補給をしないという前提に立ってきた。しかし、九月については、これは伊勢湾等との関連から同じようにすると言っているんだから、それについての検討はいたしました、検討した結果、やはり八月までの方針と同じようにやらぬというのであれば、そういうふうに答えればいい。しかし、今のは、検討いたしております、おかしな話です。法律はすでに出しているのですよ。
  108. 大上司

    ○大上政府委員 お答えします。  御説の通りで、われわれは元利補給をやらすべく、目下関係当局と交渉中といいますか、いわゆる結論待ちという現段階でございますので、早急に処置したいと思います。
  109. 辻原弘市

    辻原委員 念を入れるようでありますが、そうすると、法律政府の修正で、その場合は修正案が出されますね。
  110. 大上司

    ○大上政府委員 でき得ればそうしたいのですが、その過程、また時期等において、あるいは逆に、いわゆる議員立法といっては語弊がございますが、措置をお願いするかもしれません。そういう段階であります。
  111. 辻原弘市

    辻原委員 時間もありませんので、あと一、二点、他の省の問題で伺ってみたい。そこで農林省は政務次官が見えておりますから、いろいろたくさんありますけれども、二点だけ伺っておきたいと思います。  今度の第二室戸台風における農林被害の中で、水産庁の関係においては小型漁船被害が非常に多い。私の県だけをあげても約二千隻にわたっておる。その小型漁船については近く法律が出るようでございますので、その際十分検討いたすことといたしますが、これは伊勢湾に引き続いてチリ津波の際におけるやり方と同様のことを考えられているようであるが、問題は、借金をして、いわゆる補助を出す分についてはいいが、残余の小さな船をもって漁をしておるような漁業者に借金の能力、自分で資金を調達するような能力があるかどうか。また、それが一カ所に集中する場合に、漁業協同組合がそのあっせん主体になるわけだが、その漁業協同組合にそれだけの能力があるとはわれわれは考えられない。従って、補助の分に見合う漁業組合負担、あるいは都道府県負担、こういう分については一体どういうふうに農林省は措置されるのか。それは都道府県が持てばよい、漁業組合が持てばいい、言いかえてみれば、個人が持てばよろしい、こういうようなことで、そのまま打ち捨てておくのかどうか、この点だけを伺っておきたいと思います。
  112. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいま申されましたように、今回の小型漁船に対する措置といたしましては、チリ津波の際の方式によりたいと考えております。従って、国が三分の一、県が三分の一、本人が三分の一でございますけれども、本人の分につきましては、ただいま申された通り、負担能力がきわめて乏しいと思われますので、これに対しましては、農林漁業金融公庫の融資を予定いたしております。
  113. 辻原弘市

    辻原委員 いま一点。これは共同利用施設に対する国の援助なんですが、その場合に、いわゆる生産を伴う共同利用施設でなければ、国はそれについての援助をしないということになっておる。ところが、今回の災害なり最近の漁業地帯の状況から見ますと、たとえば漁業組合の事務所、あるいは漁業組合が主体となって、漁業者の共同による、たとえば共同浴場、こういったものは、生産を伴うということに限定をすれば意味は違いますけれども、漁業者の大きな意味における生産向上のための共同利用施設なのであることは間違いがない。そういう点から考えて、それらを援助の対象外にはずしておることは、これは法律のあることでありますが、私は、これまた非常に実情に沿わないと思うのです。そういういわゆる共同利用施設なり、協同組合の事務所等といったようなものをも十分これに含むというような検討をぜひしてもらいたいと思うが、その点については一体どういうことになっておるか、これを承りたい。
  114. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 漁業協同組合の事務所の場合でございますけれども、これは従来も農業協同組合の事務所あるいは中小組合等の事務所と同様に、ぜひ補助の対象にしてもらいたいという要求がございましたので、農林省におきましては、そのつど継続的に大蔵省と相談をいたしておりますけれども、まだその了解を得ておりません。
  115. 辻原弘市

    辻原委員 次に、振興局長に伺いたいと思う。これまた理由は省きますけれども、すでに実情は御存じの通り、今度の災害で非常に被害額の大きいものに果樹があります。いま一つは花卉があります。これは伊勢湾等に見られなかった一つ状況でありますが、その点に対する手だてとして天災融資法の方法が考えられておる。あるいは果樹農業振興特別法ですかによって援助の方法は考えられておるが、直接に果樹——花卉については若干また趣が違いますけれども、果樹の場合には、その再生には非常に年月がかかる。そういった場合に、せめて、かつて凍霜害の際にとったような苗木そのものに対する助成、あるいは改植その他に対する助成、こういうものについては国としても援助の方法を考えていかなければ、ただ天災融資法の限度三十万程度の引き上げでは、実際の被害額からいって、これは九牛の一毛ではないかという感じがするわけであります。従って、天災融資法、それから振興法、いま一つ、特別なそういう助成方式について、農林省としては考えておらないかということを、この際一つ明らかにしていただきたい。  同時に、一例をあげますと、温暖地でありますので非常に花の栽培が多い。ところが、花というものは非常に風に弱い。そういう点からほとんど壊滅状態で、被害額がきわめて大きい。ところが、果樹については天災融資法のあれにも入らない。これを何らか救済しなければならぬと思うのだが、農林省としては一体何か方法を講じておるか、その点も一つ伺っておきたいと思います。その二点を農林省から伺いたい。
  116. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいま果樹に対する助成方策をどう考えるか、こういう御質問でございました。今回の災害によりまして果樹が非常に大きな被害を受けたことは、われわれも十分承知いたしておるところでございます。従来果樹につきましての災害復旧の措置といたしまして、苗木の助成であるとか、あるいは農薬、肥料等の助成とかいうような要望が地元から出ておることも十分承知いたしておるのでございますが、果樹につきましては、これは特殊な永年作物というふうな性格もありまして、相当長期にわたって資金源を返していかなければいけないというような事態がありますと同時に、果樹復興資金に対しましては、実は相当の資金量がかかるというのが実情のようであります。従って、農薬なり肥料の助成としましても、これは金額としては、むしろ資金で大幅な手当をした方がよろしいというふうに、実は従来の経緯から見ますとわれわれは考えておるわけでございます。従って、今回の措置におきましても、まず必要な資金量は十分確保する、こういうことに重点を置きまして、御指摘のありましたように、天災法の改正によりまして限度を十五万円から三十万円に引き上げる、償還期限の五年につきましても、特別にある果樹だけ七年に延長する、それから施設の資金につきましては、農林漁業金融公庫から、たとえば果樹だなであるとか、あるいは果実の貯蔵庫であるとか、こういうものに対しましては、通常の場合一件当たり二十万円の限度でございますが、これを一件当たり五十万円まで融資限度を拡張して参りたい。さらに、その間におきます据置期間も、今回の特例措置として、従来一年であったのを二年に延ばす。また、金利についても引き下げを考えたい。それから、今お話の中にありましたように、果樹農業振興特別措置法が去る国会におきまして成立いたしたわけでございますが、この方の資金によりますれば、償還期間が据え置きを含めまして二十五年という相当長期のものでございます。果樹の実態から見てやはり必要な資金量を出す、そして果樹の収益に見合うように長期でこれを返していくということが、一番適切な措置ではないか、こういうふうに現在の段階では考えておるわけでございます。  それから花卉について、天災融資法の適用があるか、こういうお話でございますが、これは当然天災融資法の適用対象に考えております。
  117. 辻原弘市

    辻原委員 中小企業庁の長官が見えておるようでありますから、閣議決定の個人五十万、団体百五十万という額が非常に少額であるということは、長官自身もお認めになっておられると思います。問題は、この種の災害融資については、すみやかに、そしてあまりむずかしい条件を言わないこと、これが必要である。そこで、かりに個人が五十万円限度で借りるという場合、担保の諸要件についてはどういうふうに考えておられるか、その一点を伺いたい。
  118. 大堀弘

    ○大堀政府委員 ただいまお尋ねの点でございますが、私どもも至急に金の手配をいたしまして、現に窓口の方へ配付をいたしておりますが、貸付条件につきましても、担保条件その他の条件について最大限に緩和するように、担保の場合についても無担保で貸していくように、その点も十分考慮を払っていくように思料いたしておるわけでございます。
  119. 辻原弘市

    辻原委員 そうすると、個人が五十万借りるのは、特別な担保を要求しないで、無担保で貸し付けるということですか。
  120. 大堀弘

    ○大堀政府委員 全面的にということはいたしておりませんが、物的担保のない場合には人的保証等によって取り扱うよう、最大限度に緩和して扱えという方針で、各機関にそれぞれ善処を求めておるわけです。
  121. 辻原弘市

    辻原委員 実情はどうですか。ここで御答弁なさる場合には、可能な限りそういうこともやりたいとおっしゃるのだが、実際問題として、下でやかましく言えば何にもならぬわけだ。だから、たとえば担保を要求してもだめだという場合には、無担保で貸付することができるという方針ははっきりしておるわけですね。
  122. 大堀弘

    ○大堀政府委員 本件につきまして全面的に無担保ということまで、私どもとしては、三公庫に対しまして指令はいたしてございませんが、個別のケースに応じてできるだけ担保条件を緩和するようにということでございます。現に、無担保で貸す場合ももちろんございます。人的保証で貸す場合もございます。信用保証協会を利用して、その保証によって貸すという場合もございます。個々のケースはやはり三公庫の現地の運用にまかしておるわけであります。方針といたしましては、最大限度に緩和するようにということでいっております。
  123. 辻原弘市

    辻原委員 気象庁の長官に伺いたいのですが、きのうまでの質問で、例のレーダーによる観測と、それからレーダーの方は完備したいという御答弁がありました。飛行機の問題は、いろいろと尋ねられたのですが、現在ではアメリカに依存しておる、しかしそれではいつアメリカの方は引き揚げていくかもわからぬ。ところが私が一つ疑問に思うことは、レーダー観測も十分にやり、それから飛行機観測も十分にやればよい、そしてできるだけ的確な情報を出すというのが気象庁の任務だろうと思うが、なぜ一体飛行機を備えないかということです。きのう説明を聞いておりますと、技術的にもむずかしい点があるので検討しているということです。しかし、アメリカが現在やっていることなのです。しかも飛行機の一台や二台国で備えるといったところで、日本の技術がそこまでおくれていると私は考えない。それをなおかつ米軍に依頼をしている。向こうが帰ってしまえば、その点だけがぽかっと盲点になる。御承知のように、あなた方の指示というのは、極端に言えば、災害に関しては天下を動かしているのです。すべてのものがその指示一本で、ラジオの情報、新聞の情報でみんな動いているのです。学校はその台風の進路によって休む、水防、消防すべてのものがそれによって準備をやる、その方向いかんによって、これは大へんなことなのです。間違えば社会的混乱なのです、極端に言えば。それほど重大な任務があるとき、私は飛行機の一台や二台の問題じゃなかろうと思う。なぜそれを備えないのか、備えない理由は技術的問題か、大蔵省が金を出さぬのか、その点を一つはっきりしてもらいたい。これは一つ運輸政務次官からも答えてもらいたい。
  124. 和達清夫

    和達政府委員 飛行機の件でございますが、現在の科学の段階では、飛行機が台風の位置の確認に対して非常に有力であることは申し上げるまでもありません。現在わが国がアメリカの飛行機観測にたよっておることも、御承知の通りであります。気象庁におきましては一、二年前から、わが国においてもこれを実行する方法について防衛庁と相談を重ねて参りまして、防衛庁もだんだんにその方向に進んでおるのでありますけれども、何分にもその飛行機は非常に性能の高いものを要し、国産でできるかどうかも目下検討中でございます。その任務は非常に危険でありますし、アメリカにおいても必ずしも安全のみでやっておるわけではございません。それから費用の点につきましても、運営につきましても、いろいろ問題があります。それらのために、わが国で行なうことは、その必要性を認めながらも延び延びになっておったのでございます。一方、科学の発達によりましてどういうふうになるかということもございますが、現在におきましては、飛行機の観測というものが重要であることは疑いないのでありますので、その具体的のやり方についてはもう少し検討をいたしまして、確信ができましたら実行段階に踏み切っていきたいと思っておる次第でございます。
  125. 有馬英治

    有馬政府委員 ただいま気象庁の長官からお聞き取りの通りでございまして、運輸省といたしましては、将来に向かって飛行機観測を自力によってやっていきたいという意欲は十分持っております。しかしながら、現在の気象庁の予算にいたしましても相当多額のものが必要でございますので、なかなか認められていないような状況でもございます。まだまだほしいものがその前にたくさんあるという状況も、別にあるわけであります。そういうわけで、意欲は持っておりますが、そういう面からもまた御了承をいただきたいということでございます。
  126. 辻原弘市

    辻原委員 私は政務次官答弁はちょっと了承しがたい。たびたびこの委員会でも意見が出ておりますように、気象観測の正確度を上げるということは何よりも大事だ、そういう意味からいって、他にいろいろな予算の必要があったとしても、航空観測は今日非常に的確なものである。今度の二十四号の例を見てもその通り。しかもそれは百億、千億の金を要するわけじゃない。ジェット機一台かりに備えたって、二十億程度の金があればいいわけだ。付随するものがあったにしても、そう大きな金ではないはずだ。だから、他に要求するものがあるから、この点については希望は持っているけれどもやらないんだということは、おそらくそれを聞いたら、災害地の住民は怒りますよ、政務次官。私はそうじゃないと思う。技術的に検討するということについていささか手間どっておる、その点について、あなたの答弁としては、早急に技術的問題が解決したら、いかなる予算の障害があっても確保したいと答えるのが当然なのです。そうじゃありませんか。私はこの飛行機観測ということは、それくらいの価値があると思っております。従って、予算上の理由ならば、それはわれわれ国会がその予算上のことについて議論すればよろしい。技術的問題は科学者の領域ですから、それはわれわれはどうすることもできません。予算上の理由であるとするならば、今国会においても私は観測機を備えるべきだという議決をすべきだと思うのです。その点についてもう一度あなたの意見をお聞かせ願いたい。
  127. 有馬英治

    有馬政府委員 誤解があってはいけませんが、技術的な問題を解決するということが先決でございます。その上でのことを申し上げたわけでございます。
  128. 辻原弘市

    辻原委員 少なくとも来年の台風時に備えて、明年度予算においては確実に処理をするというくらいのピッチを上げた検討を、これは気象庁だけにまかせず、運輸省の責任者としても十分私は行なうべきであると思うのです。  厚生省に伺いたいのですが、仮設住宅についての適用、その内容は一体どうなっておるか、明らかにしていただきたい。
  129. 森田重次郎

    ○森田政府委員 お答えいたします。  応急仮設住宅の設置の費用は、二月当たり十万円になっているのでありますが、それを十三万円に引き上げまして、去る九日被害県知事に対してその旨通達いたしております。
  130. 辻原弘市

    辻原委員 補修の分は、聞くところによれば、従来の二万円を二万四千円に引き上げられた。それは答弁が落ちておりまするけれども、そこで問題は単価でありますが、これは災害の復旧とは別に、一般公共事業の単価を引き上げられた。その引き上げられたということを前提に置いて、坪数かける新しい単価ということで計算をするのか、その辺のところが、厚生省の方針としてはきわめてあいまいであります。ということは、従来の十万円が十三万円に引き上げられた。そうしたら単価は幾らかといえば、逆算すれば出ます。そうすると二割と単価というのが合致しない。それからもう一つ、仮設住宅の五坪というのは小さい、従って八坪くらいまではその建設を認めようという答弁であったが、そうすると、八坪を地方公共団体が建設したときには、今の五坪十三万円の比率における単価を自動的に八坪にかけて計算をしたものを、国が所要の負担分として負担するのか、その点を一つはっきりしていただきたい。
  131. 森田重次郎

    ○森田政府委員 こまかい点は関係課長から答弁いたさせます。
  132. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 お答えいたします。  一戸当たり十三万円の単価の問題でございますが、これは大体最近におきまする建設省あるいは文部省等で単価の引き上げ措置を二割程度行なっておりまして、それとの見合いにおきまして、仮設住宅におきましても、価格の補正といたしましては大体二割程度の引き上げを行なったわけでございます。それから、ただいま後段でお話しの規模の点も若干ありますし、中の設備の点も考慮いたしまして、十三万円ということにいたしたわけでございます。  そこで、後段の規模の御質問でございますが、これは御承知のように、あくまでも仮設住宅は応急的な、住宅対策が行なわれるまでの小屋がけ的な手当である、こういうところから、非常に小さな規模でしぼっておるわけでありますが、五坪を出たら一切いかぬということではございませんで、単価だけは一応十三万円ということで押えてございますが、むね割等の場合には敷地にある程度の弾力性を持たせまして、多い世帯にはある程度多くするということも考慮しておるわけでございます。
  133. 辻原弘市

    辻原委員 要するに、こういう仮設住宅については、十三万円の限度において国が所要の負担をする、こういうことですか。
  134. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 さようでございます。
  135. 辻原弘市

    辻原委員 そうすると、八坪あたりまで伸ばしてもいいということは、自力建設なら伸ばしてもいいという意味での参議院の答弁だったわけですか。閉会中の参議院における審査のおりに厚生省は、八坪程度までは認めてよかろうということを答弁しているのですよ。その八坪というのは、はみ出したものは自力建設でやりなさいという意味を前提としてお答えになったのですか。
  136. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 私としては八坪の点は伺っておりませんが、実際問題といたしまして、世帯の人員によりまして五坪ではとうてい住まわれない場合もあるわけでございます。従いまして、平均五坪の範囲で、あるいは若干それを上回っての幅は、十三万円というワク内で考えているわけでございますが、さらにそれでは足りないという事態があり得るわけであります。そこでそういう際には、地方団体あるいは個人である程度のつけ足しをするという例があるわけでございますが、今までの国の補助対象というのは、五坪を基準とするという建前にいたしておるわけでございます。
  137. 辻原弘市

    辻原委員 その点は調べましてからもう一度確かめますが、いま一つの問題は、滅失戸数のいわゆる三割という点で、特例法でそのワクを広げるのだが、そのワクの限度はどの辺のところを考えているか、建前からするならば、滅失戸数の少なくとも八割、九割程度までを対象にしてあげなければ、特に今回のようないわゆる貧困地帯の災害については、実際問題として非常に町村が困るわけです。そういう意味から推して、でき得べくんば、特例法で従来の三割を五割に引き上げる程度でなくて、実情に即してそういう制限をなくする、こういうことが私は正しかろうと思うのでありますが、それについてはどういう指導をされておりますか。
  138. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 今回一応の適用の基準といたしましては流失、全壊あるいは全焼戸数の三割ということを基準としてきめております。しかし、御承知のように、災害の様相は千差万別でございまして、かなり大きな災害の場合でも、全壊あるいは流失戸数が非常に僅少の場合もありますし、今度のように、いわば風台風といわれますような場合は、家屋の被害が非常に多いわけでございます。従いまして、三割という基準は、一応のめどとして、過去の実績等を勘案してきめてございます。しかし、実際には三割ではおさまらない。困る方々が、今回の場合特に多いわけでございます。そういう場合に、実情に応じまして、必要なものには必要なだけ認めていく、そういう方針をとっておりまするし、現に今度の場合も和歌山あるいは徳島、大阪にいたしましても、四割、五割という実施になっておる状況でございます。それから基準の点は、法律ではございませんで、行政措置でできることでありますので、そのような措置をいたしておるわけでございます。
  139. 古川丈吉

    ○古川委員長代理 暫時休憩いたします。    午後一時二十九分休憩      ————◇—————    午後三時九分開議
  140. 濱地文平

    濱地委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。首藤新八君。
  141. 首藤新八

    ○首藤委員 私は、今次災害における中小企業者に対する金融の特別措置について、御質問をいたしたいと思うのであります。  そこで、私の質問の対象は予算になりますが、肝心の大蔵省の担当官がまだ見えていないようでありますので、一応これを後段に譲りまして、融資の担当に当たります金融機関、国民金融公庫と中小企業金融公庫、この二つの金融機関に対して質問いたしたいと思います。  御承知の通り、今回の災害の融資に対して、政府資金は商工中金、金融公庫、国民金融公庫の三つの機関に指定されております。従って、この災害資金に対して、格別の御配慮をわずらわさなければならぬと思いますが、しかし、私たちが今日までの災害に際して耳にした点において、まことに遺憾な点が残っておるのであります。いわゆる親の心子知らずとでも申しますか、政府罹災者に対する援助をすみやかにやりたい、また、国会におきましても、ほとんど昼夜兼行で、すみやかにこれが融資できるような体制を整えるべく全員が努力しておる。最後に決定していよいよ希望者に対して金融をするという段階になってきますと、これが書類の作成あるいは調査の上において、必要以上の厳格な査定を加えられることによって、私たちが期待しておりまする十分の一も融資を受けられないという結果を、今日までのたびたびの事実が示しておるのであります。これがために、せっかく国会において協力しても、国民から考えれば、さようなことは全く関知しない、われわれには貸してくれないというような、逆に政府並びに国会に対して怨嗟の声が、非常に強く放たれておるのであります。こういうことはまことに遺憾なことでありまして、今度の災害融資に対しては、特に一つこの面において善処してもらいたいと思いますが、今回の融資方法については、政府においても、すでに御承知の通り閣議決定において、簡単にやれ、迅速にやれというふうな対策を決定しておるのですが、両機関においては、どういう対策をもってすみやかにかつ簡単にやるという方途をもっておるか、その点からまずお聞きしたいと思います。まず、公庫の方から一つ伺いましょう。
  142. 小山雄二

    ○小山説明員 災害融資につきましては、今お話のような趣旨で従来とも努力して参ってきたつもりでございますが、手続の問題あるいはその他において、従来現地の実情がすぐそのまま反映するというような仕組みにいかぬ点が多々あったかと思いますが、現在では、災害が起きますと、今もお話のように、政府として財政資金の追加をし、あるいは手続等についても御指示を受けますが、あるいは受けない場合にも、もう自動的に災害融資のかまえをしておくということをやっておりまして、たとえば手続の面あるいは償還とか据え置き期間の延長あるいは担保等の貸付条件について、自動的にそこまでいっていいというふうなかまえをして、その面で従来に比べますとある程度早くなってきておると考えます。その上に、政府でワクがきまり、いろいろ閣議等の御方針がきまりました上で、これを流して、その趣旨の線に沿って貸付を実行して参っておりますが、今回政府閣議決定がありまして、追加のワクを私どもが支店その他に流しましたのが、十月六日ごろでありました。政府で特にきめられた方針に基づく融資のかまえというものは、それから一週間たっておりますが、支店、代理店その他に徹底いたしましたちょうどその時期でありますので、自動的にいきます分はそのかまえでやっておりますが、新しくとられます措置等については、これからどんどんその方針で貸し出しが行なわれていくという段階になっておるわけでありますから、御趣旨の点は今後とも十分気をつけまして、災害融資の実を上げたいと思っております。
  143. 首藤新八

    ○首藤委員 公庫の方に特に申し上げたいのは、中小企業の資金は、大企業と違って、眼前に資金の需要が起こったときに申し込むのが普通であります。従って、申し込んだならばおそくても一カ月以内には融資ができるであろうという期待を持って申し込むのが、大部分であります。ところが、幸か不幸か、私が今日まで関係した融資の現状を見ますと、早くて四カ月、大体五カ月が普通だというような、想像もできないような時日を必要としておるのであります。この問題に対して公庫の意見を徴すると、過去三年間のその会社の状態がどうなっておるか、あるいは内容がどうであるか、税金がどうであるかとか、そういうことに非常な細心な調査を行なわれるということが、遅延のおもな原因のように聞いております。この調査の方法自体が、私たちが公庫法を作ったときも、いわゆる金融ベースに乗らないものを救済するために融資をする金融機関ということで、中小企業金融公庫は作ったので、そこまで詳細な調査は必要としない。しかも今日まで毎年、相当の利潤を上げておる。公庫の性格から見て、さように利潤を上げるということ自体が、設立の目的に対していかがかと実は考えておるのであります。この点再三申し上げておりますけれども、一向に改善されない。この問題は、私は商工委員会において、森永総裁に出席を求めて、さらに詳細に質問したいと思いますから、きょうはこの問題には触れませんけれども、少なくとも今回のような災害に対しては、従来のような厳格な調査とか、あるいは煩瑣な書類とかいうものは根本的に一御して、きわめて簡素な手続で迅速にやるという方針を立てなければならぬと思いますが、今、小山理事の御回答によれば、趣旨には賛成されて、そういう考え方に立っておるらしいけれども、各支店なりあるいは代理貸し業が、はたして小山理事の言われるような線と同じ扱いをするかどうかについて、私たちは今なお非常な疑問を持っておるのであります。  そこでお伺いしたいのは、あの煩瑣な書類を災害融資に対してどこまで簡素化するか、あるいは、調査の範囲をどういう点までに局限するのか、融資の時日を大体何日間以内には申込者に対して融資できるようにするというような大体の見当を、この際具体的に回答してもらいたいと思うのであります。
  144. 小山雄二

    ○小山説明員 公庫は資金の貸し出しにひまがかかるということでたびたびおしかりを受けておりますが、御存じのように、長期資金を貸す——法律上、短期の資金は貸せないわけでありますから、一般的にいって、短期資金を貸すように右から左にはいかないということもございますが、三カ月あるいは長いのになりますと四カ月というのは、直接貸しの方でありまして、公庫は約七割五分ばかりは間接貸しをやっております。この方は、期間は大体一カ月で済んでおる。特に災害の場合でありますが、手続等も普通の貸し出しに比べまして相当簡素化してやりますとともに、災害のワクその他の受け入れ態勢がやっとできましたから、それができますと、大体十五日か二十日くらいの間には、これは代理店が貸すと思えば、書類と罹災の証明書がついてきますれば、右から左に金が出せるというようなかまえがやっとできたわけでございます。大体平均して十五日か二十日くらいの間には片づくという見込みで、仕事を進めて参りたい、こう思っておるわけであります。一般の貸し出しの長いことにつきましては、極力短縮の方向に努力いたしたいと思います。
  145. 首藤新八

    ○首藤委員 従来公庫の融資を行なう場合に、一番大きなネックは担保物件であります。担保が多いとか少ないとか、あるいはいいとか悪いとかいうことが、いつも問題になっておるのでありますが、この災害融資に対するところの担保に対しては、どういうお考え方に立っておるか、この点も一つ御回答願いたい。
  146. 小山雄二

    ○小山説明員 災害融資の関係の担保の取り扱いにつきましては、一般原則を作っておりまして、百五十万以下の災害融資については、担保がなければ取らなくてもいい、担保があればそれはいただくということで、金融機関代理店が大体判断するわけでありますが、公庫の方から代理店に必ず担保を取れというような要求はしないことになっておりまして、百五十万円以下は無担保で貸し付けることにいたしております。
  147. 首藤新八

    ○首藤委員 それでは、無担保でもいいということに間違いないですね。もう一度、その点ははっきり答弁してもらいたいと思います。
  148. 小山雄二

    ○小山説明員 この代理貸しの点については、代理店の裁量にまかしております。代理店も、その貸し出しについては何%かの責任を持っておるわけであります。担保についても代理店の裁量にまかしているわけでございまして、百五十万円以下は、こっちは担保を取れということを代理店に強要することはしない、建前はそういうことになっております。法律的に言いますと、あれば出してもらうという扱いに、規定の建前はなっておりますが、指導上は、なるべく担保を取らずにやっていくように指導して参っております。
  149. 首藤新八

    ○首藤委員 それから今の国会提案されておる法案内容は、貸し出し限度が個人が五十万円、団体が百五十万円となっておりますが、私たちは、これはあとで政府委員に質問するのでありますが、個人は百万円、団体は三百万円、いわゆる伊勢湾台風と同じ限度が当然であるという考え方の上に立っておるのでありますから、これが百万円なり三百万円になりましても、今までとられたような方法で融資されるかどうか、その点も念のためにお聞きしたいと思います。
  150. 小山雄二

    ○小山説明員 私どもは今から災害融資のかまえでいっているわけであります。特利の適用の範囲の決定等によりまして、五十万円でも百万円でもきまりましたところで、さかのぼって処置をするという条件で、今度の貸し出しを実行する、こういうことになっております。
  151. 首藤新八

    ○首藤委員 今回、伊勢湾台風個人百万円、それから団体が三百万円というふうになっておったにかかわらず、それ以上に限度を引き上げるような客観情勢にあるにかかわらず、これが逆に半分になった。この点、私たちはまことに不可解に思うのであって、あとからこれは質問をいたしますが、しかし、こういうように融資の限度が減った一つ原因として、伊勢湾台風に対して百二十二億の予算を確保したにかかわらず、実際の貸し出しは四十何億にすぎなかったということです。そうして、四十何億にとどまった原因が、先ほど申し上げたように、罹災者から非常な申し込みがあったにもかかわらず、いたずらに手続が煩瑣である、あるいは査定が厳格であるというようなことで、罹災者の方で途中でやめてしまった。もう一つは、利率があまりに高過ぎるし、とても応急の間に合わない。そこで、無理をして、ほかの方面から融資を受けた、こういうことが予定の金額に達しなかった一番大きな原因だと見ておるのであります。私が特に本日ここで質問をいたしますことは、こういうことを再び繰り返してくれたら困る、いわゆる国家の被害者に対するところの融資が徹底しなくなる、この点を私たちは非常に心痛しますから、この際は、どんなことがあっても過去の悪例を繰り返さないようにという点に重点を置きますので、あえてこの点を強調して置くわけであります。そこで、直接貸しは非常に長くなるけれども、代理貸しは短くなると言われておるが、これは不可解である。むしろ、直接貸しは早くて、代理貸しの方がひまがかかるのが普通ではないかと思います。これもどういうわけでそういうことになるのか、あわせてお聞きしたい。
  152. 小山雄二

    ○小山説明員 伊勢湾台風のときには、私ども中小企業金融公庫として六十三億の追加をいただいたわけです。それに対しまして、手金も加えまして七十五億ばかりの融資をいたしております。また、特利適用を受ける貸し出しも六十四億くらいに上っておりまして、全体の資金ワク等に比べますれば、相当努力いたしまして、それをオーバーして、手金も出して急いでやったということでございます。  それから先ほどちょっと申しました、直接貸しが長くて、代理貸しが短いという点でありますが、代理店は、普通取引の相手方に対して平素の取引があるわけです。従って、その営業の内容その他について、大体大筋はわかっております。従って、借り入れの申し込みがありましたときには、金の使途等だけを調べればいいというようなことで、大体平素わかっておりますが、中小企業金融公庫本来の直接業務は、貸す一方の仕事でありまして、受ける方の仕事もない、平素取引もない——二度、三度の貸付のところはございますが、御承知のように、なるべくたくさんの人に政府資金を出すような意味から、一人当たりに貸す限度というものがあります。役所と相談して、いろいろ例外はありますが、きめられておるわけです。従って、新規のお客さんに来て下さいというかまえになっておるわけでありまして、新規のお客さんが大部分です。そういうことで、何から何まで初めから調べなければならぬという点が、相当長くなる大きな理由の一つであります。しかも、設備資金でありますとか、設備資金を中心とする長期資金だということで、長期資金でない資金を扱っておりません。興銀、あるいは政府関係は開銀ですが、開銀あたりは一番時間がかかっております。興銀でもおそらく四カ月くらいかかっております。私どもの方は件数が多いですから、そういうことではいけませんで、三カ月平均ではこなしていこうと努力しておりますが、三カ月ちょっとの平均になっております。そういうことでありまして、今後もいろいろやり方を工夫し、それからやっている人の審査の能力を十分つけさせまして、極力早くしていくように努力いたしたいと思います。
  153. 首藤新八

    ○首藤委員 小山君は理事に就任して新しいから、あまりくどくは申し上げたくないのでありますが、今の融資が設備資金に限定されておるような御回答だったのです。これは間違っておるのでありまして、運転資金、設備資金、いずれも同じウエートである。ただ、できるならば設備資金を優先的に扱うというだけの相違であります。従って、運転資金に貸したらいかぬという考え方は根本的に誤っておりまするから、そういう考え方をしないように改めてもらいたいと思うのであります。  要するに、私が申し上げたいのは、中小業者の金融は、大企業と違って、将来の計画というものはほとんどないのであります。金が要るようになってから申し込む。申し込んだらすぐにもできると期待しておるにもかかわらず、実は非常に煩瑣な手続と、非常には慎重な調査をされる。そして、それが一カ月、二カ月、三カ月、はなはだしいのは五カ月もかかる。そこで、他の方面から金融をしていったものが、間に合わなくなってくるということが、かえって事態を非常に混乱せしめておるような事例が今日までたくさんある。それで、そのつど、業者から見ると、かえって怨嗟の声を放ち、批判的な態度を示すということになりますから、特に私は、この融資の手続を迅速にやってもらうということに格別の意を払ってもらいたいということをこの際申し上げます。これは一つ総裁にも特に研究してもらいたいと思うのであります。  そこで、国民金融公庫の方に伺いますが、今あなたの方の資料を見ますと、五年から七年に延長するということであります。さらに、担保条件を緩和し、審査事務を簡素化するというふうなことが、対策の中に掲げられておるのでありまして、これは非常にけっこうなことだと思うのでありますが、従来もあなたの方の融資は、担保物件はなくて、保証人だけで貸しておった、物件は担保として必要なかったと思うのでありますが、これは今度どういうことになるのですか、その点も一つ承りたいと思います。
  154. 松田文蔵

    ○松田説明員 これは仰せの通り、従来百万円以下のものは、原則的には担保をとらないで融資をする、こういう扱いにいたしております。中にはやはり担保をとるものもあるのでございますが、災害の場合には、特にそうした件については極力担保はとらないで貸付するようにというふうな心がまえで融資をしていきたい、かように考えておるわけでございますので、そういうふうにいたしたわけでございます。
  155. 首藤新八

    ○首藤委員 これは私自身の主観的考え方からいくわけで、あなたの方の融資は、比較的順調にいっておると私は見ておるのであります。一般の国民からの批判も、あなたのところに関する限りはあまりないように聞いておりまするので、私は感謝しておるくらいでありますが、今回の災害に対しては、一つ従来以上に迅速に、かつ簡素化して、十分期待にこたえていただくというふうにしていただきたいと思います。  そこで、本論に帰りますが、中小企業者に対する資金の融通に関する特別措置法内容でありますが、先ほどもちょっと申し上げたように、伊勢湾台風の場合にも、個人が百万円、団体が三百万円になっておった。しかも、今回の災害は、一面貧乏災害だといわれるほど、中小業者の被害がまことに深刻であった。それがために、被害地の範囲伊勢湾よりもはるかに狭かったにもかかわらず、被害の総額は、伊勢湾に比べて百億だけの減にすぎない。このことだけでも、中小業者の被害がいかに深刻であったかということが想像できると思うのであります。しかも、御承知の通り、最近の経済成長から、いわゆる中小業者の従業員が、二重構造といいますか、賃金の格差の結果といいますか、急角度に大企業に引き抜かれて、中小業者自体が営業に支障を来たしているものがほとんどであります。しかも、これを防止するためには、当然待遇の大幅な改善をやらなければならぬ。これが、この春から全国的に中小業者の一番大きな悩みとするところでありまして、それだけに、率直に言うて、現在中小業者は空前の危機に直面していると申し上げても過言ではないと思うのであります。いわんや、一方では経済成長率があります。これらの点を考えても、伊勢湾台風よりも金額をふやしても減らす理由にはならぬと思います。それが逆に、今度は百万円が五十万円になり、団体の三百万円が百五十万円になる。一体、どういうことでこういうことになったか。そのよって来たった経過と事情を、得心のいくまで御説明願いたいと思います。
  156. 森清

    ○森(清)政府委員 私は、それは二つの理由があると思います。その一つの理由は、今度の台風災害の様相が、伊勢湾台風と違いまして、非常に例は悪いかもわかりませんけれども、かりに伊勢湾台風を外傷とすれば、今度の第二室戸台風というのは、ちょうど内臓器官の疾患というような感じを受けるのでありまして、そうした様相があるということが一つと、もう一つは、台風被害を受けましたのが九月の中旬でございまして、私ども、中旬から直ちに作業に移って法案を提出いたしたのでございますけれども、そういう台風の様相であっただけに、なかなか被害の実態がつかめ得なかった。今日でもなお盛んに被害の実態をつかもうと思って努力しておるのでございますが、なかなかつかみにくいものがあったということが、こうした大きな開きになっているのだと私は考えます。
  157. 首藤新八

    ○首藤委員 それでは半分になったのは、被害の結果がわからなかったからこういうふうに押えたのだ、こういうことになるのですか。もう少しはっきりさせていただきたいと思います。
  158. 森清

    ○森(清)政府委員 わからなかったというのではなくて、実態を把握するのに非常に時間がかかったということが、一つの理由であります。
  159. 首藤新八

    ○首藤委員 それでは現在ではどういうことですか。現在でもなおかつ実態が把握できていないのか、この実態が把握できたのか、この点は一つ明確にしていただきたい。
  160. 森清

    ○森(清)政府委員 私ども、この第二室戸台風災害につきましては、連日のように会議を開きながら、その被害の実態の正確なものをつかもうと思って努力しておるのでありますけれども最初われわれが法案を提出いたしました当時の実態と比べまして、さらに多くのものが、いわゆる災害の実態が、それ以後相当のものが出てきたことは、率直に認めざるを得ません。
  161. 首藤新八

    ○首藤委員 この立法当時は被害の実情が把握できなかったけれども、最近になってこの被害の深刻さが大体理解できたというような御答弁のようでありますが、それならば、この法案政府提案でありますが、そういう実態が把握できたならば、政府の方であらためて修正をする、いわゆる個人を百万円、団体を三百万円に修正するのは当然だと考えますが、これに対して政府はどういうお考えを持っておりますか。
  162. 森清

    ○森(清)政府委員 与党におかれましても、この問題については、寄り寄り御協議なさっていることを私どもは承知しております。従って、私ども、政調とも連絡をとりながら、かつ大蔵省とも連絡をとりながら、この問題については協議を重ねているところでございます。
  163. 首藤新八

    ○首藤委員 この中小業者に対する融資の限度について、通産省では、大体五十万円の決定は、伊勢湾台風当時の半分ですが、また被害の程度がはっきりしなかったから、その程度に押えた、最近は大体全貌がわかった、非常に深刻である、従って、これを修正しなければならぬというお考え方になっておるという御回答でありますが、大蔵省はどういう考え方になっておるか、その点を一つ伺いたいと思います。
  164. 橋口收

    ○橋口説明員 ただいまの御質問の点でございますが、中小企業者の貸し出し限度を引き上げるという問題につきましては、国民金融公庫、中小企業金融公庫、それから商工中金と、三つ問題があるわけであります。ただいま御指摘の点は^商工中金に対する低利適用限度の引き上げの問題ということに相なるかと思いますが、国民金融公庫、中小企業金融公庫につきましては、御承知の通り閣議決定で措置をすることが可能になっておる。商工中金につきましては、半官半民の機関でございますので、低利適用限度を引き上げるという問題につきましては、財政措置と関連するわけでございます。従いまして、中小企業庁においてもいろいろ御研究いただいておるように承知をいたしております。私ども研究はいたしておりますが、やはり最終的には財政当局が決定すべき問題であるというふうに考えております。
  165. 首藤新八

    ○首藤委員 これは商工中金だけ別に取り上げたが、国民金融公庫も中小企業金融公庫も、資金ソースは同じことだと私は了解しておるわけです。従って、これは一つ通産省と大蔵省の方で、もう一度現実の被害対象として再検討を願いたい。そうして、政府の方でこれを修正するのならばともかく、もし政府の方で修正ができないということならば、この委員会において修正しなければならぬと思っておるのでありますから、その点もあわせてこの際申し上げておきたいと思います。  それからもう一つは、融資の総額でありますが、その限度を五十億円に押えておるということであります。これも、ただいま申し上げた個人及び団体の融資の限度が、この前よりも半額になっておるから、融資の総額も五十億になったのじゃないかと思いますが、当然これは今の実情から考えますれば、百億以上が最低限度必要だと考えられるのであります。そのことは、この委員会委員長初め各委員が実際を調査された。そして、その被害の深刻さについて、私たち詳細に事情を承っておる。また、地方の自治体からの報告によりましても、最低百億以上は必要であるということを痛感しておりまするから、限度の引き上げとあわせてこの総額の引き上げについても、両省の間においてとくと一つ検討を願って、委員会の希望に沿うような処置をしていただくことを、この際、私は切にお願いしておきたいと思います。
  166. 濱地文平

    濱地委員長 この際、きのう大野委員の御質疑に対し、農林経済局長の答弁が保留されておりますので、これを聴取いたします。坂村農林経済局長。
  167. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 それでは、昨日大野委員の御質問で、農業共済基金の支払いの問題につきまして、非常に技術的な問題がございましたので、いろいろ検討いたしまして、結論を得ましたので、お答え申し上げたいと思います。  通常の場合におきまして、農業共済の支払いの場合におきましては、食用に供し得るものというものは、これは収量とみなしておるのでございます。そういたしまして、昭和三十三年度から収量を的確に把握するために、連合会段階で実測調査をいたしておりますが、その選別の方法といたしましては、縦目ふるいの一・七ミリというふるいを用いまして、これ以上のものに該当するものを収量としておるわけでございます。大体普通の場合におきましては、この選別方法で大部分が救済できるわけでございまするが、昭和三十三年に、東北、北陸、関東の一部に、台風後の長雨のために穂発芽がございました。このために、非常に品質が低下したことがございます。その際、政府の買い入れ等級、いわゆる等外上以上に該当しないようなものにつきまして、何とか救済をしなければいかぬということで、この基準で選別しても救済できないものにつきましては、この基準で選別したものの中から、穂発芽等の著しい粒であるとか、あるいは砕米であるとか、あるいは腐敗米であるとか、そういうようなものは、この中から拾い上げて、その残りを収量とする、こういう扱いをしております。今度の第二室戸台風の場合におきましても、同じような状態のものが非常に多いと思うのでございますので、そういう工合に三十三年の例に準じまして扱い方をやって参りたい。これで大部分が救済できるのではないかと考えております。  それからもう一つは、資料の御要求につきまして、本日資料を提出しておりまするが、天災融資法の融資の総ワク及び県別の割当ワクでございます。資料としてお配りいたしておりまするのは、融資の県別のワクをお配りしておるのでございます。その一ページは、五月のフェーン現象のものについてでございます。これは五県ございます。それから六月及び七月の、いわゆる集中豪雨でございますが、これが資料としてお配りいたしてございます。この際五月のフェーン現象の総ワクは七億九千万でございまするが、大体全体を掌握いたしております。六月、七月の集中豪雨につきましては、これは総ワクといたしましては、十六億という総ワクになっておりますけれども、現在割当いたしておりますのは、十億八千九百万という数字でございまして、いろいろ各県の需要の調整をする必要があるものがございますので、大体五億程度のものが保留になっております。その後のものにつきましては、六月、八月の天災、いわゆる卓越も含めまして、七、八月の豪雨のものでございますが、これにつきましては、先般十五億五千万という総ワクをきめておるわけでございます。この点については、まだ県別の割当をいたしておりませんので、資料としてお配りできなかったわけでございます。それから九月の豪雨、第二室戸台風につきましては、まだ的確な資料はございませんけれども、私どもといたしましては、六十億ないし七十億ということで、大蔵省と現在話をいたしておる状況でございますので、できるだけ早く結論を得たいというふうに考えております。
  168. 濱地文平

    濱地委員長 島本虎三君。
  169. 島本虎三

    ○島本委員 きのう答弁をもらわなかった分について、端的に具体的に一つ答弁をいただきたいと思います。私の場合は、具体的な問題を用いてやりますから、一つそういうような意味答弁を願いたいと思います。  それは、きのうの大体建設大臣答弁によって、今後河川の重点は、防災的な工事をそれにおいて施行する、こういうようなことであったから、この点は私どもは了解したわけですが、さて具体的な問題に入りまして、これは金沢市の中央を流れておるあの犀川のはんらん地帯でございますが、いつも香林坊の中小企業のいわゆる密集しておる地帯が水びたしになっておる。今回もその例に漏れず、それをやった。ところが、金沢は、これはあくまでも災害救助法の適用を受けておらなかった。おらないけれども、しかし、いろいろとその実態を見るに、これは災害救助法の適用を受くべきような状態であった。あとになってそれが判明したけれども、依然していない。それで、中小企業者が年末を控えて、この適用を受けないことによって、国民金融公庫または中小企業金融公庫、商工組合中央金庫等の政府関係の各金融機関からの災害融資、こういうような問題について多大な不便——不便というどころか、これによって困難な状態に逢着しているということが、現地側の声として、われわれが視察した結果、はっきり知事、市長並びに住民から訴えられてきております。こういうようなことに対して、政府当局の方では、具体的にこれは措置すべきじゃなかろうかと思いますが、災害救助法の適用されない、被害の激甚な地帯に対しましての救助対策について伺いたい、こういうように思っております。
  170. 大堀弘

    ○大堀政府委員 災害救助法の適用されていない地域につきましては、今回の法律上の特別措置でございますが、利子補給という形の特別措置は適用されないことになるわけでございます。ただ、実際問題といたしましては、融資の面におきましては、これらの地区につきましても十分配慮して、金の面では一つできるだけの努力をして参りたい、かように考えております。
  171. 島本虎三

    ○島本委員 そこなんですが、融資の面はできるだけということ、これは、私も、この方面はあなたに伺うつもりで聞くのですが、これは災害救助法の適用を受けている地域と同じように扱うのだという意味にとれたのですが、融資の面はそうだと解釈していいんですか。
  172. 大堀弘

    ○大堀政府委員 融資の面につきましては、同様に扱っていきたいと考えます。
  173. 島本虎三

    ○島本委員 利子補てんの面においては、まずそれができない、こういうようなことですが、いわゆるこれは実情に沿ったように扱うべきじゃないかと思いますが、この点について考慮の余地が全然ないのでありますか。
  174. 大堀弘

    ○大堀政府委員 この点につきましては、一応私ども一つ基準を持ってやりませんと、いろいろと議論が出ますものでございますから、やはり法律の適用といたしましては、災害救助法適用地域ということに限定をいたしておりますが、まあ、運用の面で、資金の量では同じように考えていきたい、かようにただいま考えております。
  175. 島本虎三

    ○島本委員 融資の面では同じだということはわかります。そうすると、利息の面も同じだということに解釈されるような今の答弁でしたが、そうですが。そうだと言えばいいのです。
  176. 大堀弘

    ○大堀政府委員 利子の面につきましては、同じだというふうに申し上げられないわけでございます。はなはだお気の毒でございますが、私どもといたしましては、やはり基準によりまして措置いたしませんと、限界もございますので、やはりその点だけは、一つ災害救助法の適用地域に限って利子の方は取り扱いいたします。
  177. 島本虎三

    ○島本委員 そうすると、だいぶ違うことがはっきりしている。これはもう考える余地がないということと同じなんです。これは実情によってということになれば、もう少し実態を調べた上で法の運用を考えられたらどうか。向こうの方へ行ってみますと、その被害の状態は意外にひどいということ、また、金沢市では、いろいろな関係でと申しますか、自衛隊さえも出動している。だけれども、県の方でどうもあれをやらなかったけれども、市の方でこれは困るということで、現在では、両方一致してこの問題の救済には懸命な努力を払っている実態を、われわれは訴えられ、かつ見てきた。あの中小企業の実態は、そのまま言葉の上で表現することができないと思うのですけれども、今あなたは温情あふれるような顔で答弁されたのですが、その利息の点ももう一歩踏み出していって、この受けたと同様なものと認められるところまでいかないか。たとえば自衛隊も出ている、損害の額も多い、こういったことをもう一回調査して、これを同等程度というところまで、この際、あなた考えられないものかどうか。あくまでも受けたものでなければいけないといって切るのか。同等のものであれば認めるというところまで幅を広げて、この際救済対策を考えるのか。ここが大事ですから、ここのところを一本、まあ、きめのこまかいところを出して下さい。
  178. 大堀弘

    ○大堀政府委員 大へん具体的事情につきましては御同情申し上げておるわけでございますが、これは従来も一貫して、そういうふうな災害救助法適用地域ということで特別の措置をやって参っておりますので、この点について例外的扱いを認めるということについて、行政上なかなか困難がございますので、その点は一つ御了承いただきたいと思っておるわけでございます。
  179. 島本虎三

    ○島本委員 どうしてもだめですか。もうどうしてもだめならば、あなたじゃだめだから、総理だということになる。あなたのところでできるならば、あなた総理にかわって、ここで何とか考えるというならば、月曜日まで猶予があるわけです。まあ、こういうようなわけですが、もう少しこれは実情に即して、今言ったような幅を、法の中でも融通のできる点があるかないかを考えて——自衛隊も出ている、被害の額も大きい、ここはこの程度でも受けておる、あそこだけ受けないのはおかしいじゃないか、当然受くべきであったのを、これは何かのミスであったことを、あなたの地位以上の人でも以下の人でもいいから、その点実情に沿った扱いができるのじゃないか。できないというならばいいですよ。もう一回総理出して、あなたできないと言ったからと言いますけれども、この点はどうなるかわかりませんが、もう全然考える余地はありませんか。
  180. 大堀弘

    ○大堀政府委員 この地域指定は、むろん政令でやるわけでございますから、法律へ記載しませんでも、政府意思の決定で、絶対にやれないということは申し上げられないわけでございます。ただ、問題は、同じ大阪でも地域によって違っておるわけでございまして、一カ所ゆるめますと、全体として行政の上で、どこまで入れるかということについて、非常に限界がきめがたい状態になるものでございますので、はなはだがんこなことを申し上げるようでございますが、われわれ事務当局といたしましては、今日の段階では非常にむずかしい問題のように考えておるわけでございます。
  181. 島本虎三

    ○島本委員 これ以上あなたに言いませんが、最後に、今回の予算のいろいろな措置を見ても、あなたの方も十分わかっているように、今回の場合は、割合にそういう実情に沿ったような扱いをしているわけですね。予算だって、百四十九億のほかに、実情によっては予備費や何かによってどうでもふやして上げるようにしておるわけです。その実情ということも、温情を持ってあくまでもこれを——復旧の問題にしても、原形復旧から改良へというようなところまで建設省では踏み切って考えてもよろしいというところまで出ている。ほかはそこまで出ているのに、あなたの方は依然としてからを閉ざして一歩も出ないということだったら、せっかくこういうふうな趣旨で臨時国会が開かれておっても、あなたの一言で何にもならなくなっちまうということで、これはまことに遺憾きわまりない。しかし、もっとこの福を広げてやる余地があるかないかということの研究だけは、十分今後しておいてもらいたいと思います。それはいいですね。まあ、いずれ、この問題につきましてもう一回質問しますから、それまで考えておいていただきたい。  次に、厚生関係にいきます。この点は、私の方できのうも質問いたしましたが、どうしても責任ある答弁がいただけない。だから、総合して一つお伺い申し上げたいと思います。  それは、同じく今回の災害救助法によりまして、応急仮設住宅がございますが、その応急仮設住宅が一戸十万円、こういうようなことになっておるのであります。これを二十万円にしてもらいたいという要請が意外に強いし、おそらく皆さんも聞いておるでしょう。それと同時に、応急修理二月二万円になっておる、これを五万円くらいまで上げてもらえないか、こういうような声が意外に強いわけです。これに対して、以前から何とか考えたいということだったのですが、大体これを基準にして考えられるということなんですか。将来は何とか色をつけたいけれども、現在は規定通りいくということなんですか。この点まず先に伺っておきたいと思います。
  182. 森田重次郎

    ○森田政府委員 いろいろ検討をいたした結果なのでありますが、御存じの通り、この災害に関する応急措置の建物でありますので、厚生省としては、前に多分御答弁申し上げただろうと思うのでありますが、十三万円で大体間に合うはずだ、こういうふうに見ているわけでございます。なお、その特別な方法として、資材に対しては国有林の方から安く、大体前の価格の半分で買い受けができるような措置を講じている、こういうようなこと等を総合いたしまして、十三万円でできるのだという見当でおるわけでございます。
  183. 島本虎三

    ○島本委員 応急住宅修理の方は……。
  184. 森田重次郎

    ○森田政府委員 修理というのは……。
  185. 島本虎三

    ○島本委員 応急仮設住宅と、それから応急修理というのとございましょう。
  186. 森田重次郎

    ○森田政府委員 その点は課長の方から答弁いたさせます。
  187. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 家屋の応急修理の単価は、現在二万円になっておりますが、これを二万四千円に引き上げをいたします。
  188. 島本虎三

    ○島本委員 どうもせっかく仏を作って魂が十分入ったと思ったら、三万円と五千円で、これじゃ、おそらく所得倍増しているような現在に比べて、蚊の涙ほどしか出ておらないのです。これじゃほんとうに少ないと思います。しかし、これに対して坪数や何かの制限がございますか、応急仮設住宅……。
  189. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 別段ございません。
  190. 島本虎三

    ○島本委員 はなはだなんですが、具体的な例で私質問します。それは新潟県の一部落ですが、今回の災害で、ほとんど村の半分ぐらいが地震にあったようにぺちゃっとなってしまって、全然跡形もない。資材はある。あるけれども、うちの様相をなしていない。材料だけなんです。今材料は安く提供すると言ったけれども、向こうは材料を若干補充すればまたもとのように建つような状態になっていて、火事でも何でもない、こういうようなところがあるわけです。五万円なり十万円なり以前の値段で——おそらく向こうは二十万円なり五万円なりということでしょうけれども、こうきまっている、これを運用の面において生かしていきたいと希望している人が、ずいぶんあの辺では私ども耳にしたんですが、この点は、村長も知事もあの県の代表者の人もみんな要望していましたが、皆さん、これに対して何か考えましたか。
  191. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 家屋の補修ということになりますると、実はたとえて申しますると、五十坪の家がありまして、それが半壊をしたという場合におきましても、一応その家族の方々は日常の生活に最小限支障がない、部屋が十部屋ありまして、二部屋なり三部屋残っており、また、台所でありますとか、玄関でありますとか、出入口でありますとか、そういう点が支障がないというような場合は、修理の方も出さない建前になっておるわけでございます。従いまして、この修理というのは、あくまでも家全体を補修する、復旧をするという考え方ではないのでありまして、ともかく、当座おるにおれないという状態をおれるようにするという、全くの応急手当という趣旨であるわけでございます。それからただいま御指摘のありましたように、全く全壊で、ただ材料だけはあるというような場合は、これが半壊であるか、全壊であるかという判定の問題になると思います。従いまして、それが全壊という状態であれば、これは仮設住宅のワクの中でやるということも可能になるわけでございます。
  192. 島本虎三

    ○島本委員 その仮設住宅のワクの中でやったら、一定の基準というものがあるのです。坪数の制限もある。そうでございましょう。それだったら、農家へ行って、それだけでやって、はたして農家の人たらが自分の今までやってきた農業に従事してやっていけるような家になるか、こっちをまず考えないといけない。そこらに持っていって九坪からそこいらをやっても、これでは農家はほんとうに困るだろう。全壊には相違ないだろう。材料はあるのだけれども、うちの用をなしていない。これを全壊と見て、そのまま全壊プラス補修というか、何というか、合わせたようなものじゃないですか。やっぱりこれはいろいろと制限をもう少し緩和してやって、うらが建つならば完全にうちを建たしてやって、一定の基準、たとえば十三万円なら十三万円、この補修四万五千円なら四万五千円、これを認めてやって、自由に建たして、農家が自分で農業を営む、事業を営むことができるような、こういうふうに指導された方が、現地にまことに適応した、今回の災害対策としては、私どもは、機宜に即したものじゃないか、こういうふうに思うわけです。今のようにしてやはり基準に当てはめてやると、ちぐはぐな住宅が農家に建つというような結果になります。こういうような点は十分審議されたと思いますが、これはどうですか。
  193. 瀬戸新太郎

    ○瀬戸説明員 繰り返して申し上げておるのでございますが、どういう規模の家が倒れましても、救助法の関係では、修理の場合でも、また、仮設住宅の場合でも、当座とにかく雨露をしのぐという措置にすぎないわけでございます。しかし、お話の点は、たしか同じワクの金をかければ復旧に近い措置ができるという効果があるわけでございます。しかし、建前は申し上げたようなことでございますが、なお、その点は今後十分検討さしていただきたいと思います。
  194. 島本虎三

    ○島本委員 まして、二年たったらとっ払われるような、こういうふうなうちに対して、ありきたり建ててやるよりも、ほんとうに今回の場合は魂を入れるようなやり方を指導された方がいい、こういうふうに思うわけです。私どもはあえて皮肉を言うわけではないけれども、現地の方へ行ってみると、文部省と厚生省がどうも指導がいろいろきついようなことを聞くわけです。皆さんに限ってそういうようなことはないと思いますが、おそらくそういうような点は私どもだけの地獄耳じゃないかと思って聞いてきましたが、温情をもって皆さん方ではこの指導をしていただきたいと思います。  最後に、建設省関係の方にきのうの残りを聞きますが、災害復旧事業の工事単価を、実情に即して大幅に今回上げるという点がありますが、建設省関係の人おられましょうか。
  195. 濱地文平

    濱地委員長 河川局長さんと住宅局長さんとおられます。
  196. 森田重次郎

    ○森田政府委員 ただいま、文部省と厚生省は事を実施するのに少しきつ過ぎるじゃないかというような地方での情報をお伺いいたしましたが、御存じの通り厚生省というのは、特にこういう点では温情あふるるような姿で実施するのが、私はほんとうだと思います。従って、法の解釈で許される範囲において、私らはただいまの御意見を尊重して、そういうことのないように十分自戒いたしたいと思います。
  197. 島本虎三

    ○島本委員 それについて、もう一つ念を入れて、私の方からお願いしておきたい。というのは、同じ厚生関係では、今回社会福祉施設の関係、こういうようなものの災害復旧に対して、これは国庫補助金あたりは十分考えておかなければならないし、ある場合には新設しなければならない、特例法を設けなければならない点がだいぶあるのじゃないか。今のようにして十分その点を考えておられるというようなことで、私安心しましたが、社会福祉施設の災害復旧に対しては、特例法その他その措置を十分設けて、この点は事欠かないようになっておりますか。
  198. 森田重次郎

    ○森田政府委員 お答えいたします。  この社会福祉施設の災害復旧費に対する国庫負担については、伊勢湾台風の際の例にならいまして、特別措置によって措置するよう、目下検討中でございます。また、単価等の点につきましても、これは全般に関係する問題でありますので、目下関係当局と協議中でございます。できるだけ早く措置したいと思います。
  199. 島本虎三

    ○島本委員 その点要望いたしておきます。
  200. 濱地文平

    濱地委員長 それでは坊秀男君。
  201. 坊秀男

    ○坊委員 私は、農林政務次官及び農林当局に若干の質問をさせていただきたいと思います。  長い間、私旅行をしておりまして、大へん悪い話ですが、出席しなかったために、あるいは重複するようなことを申し上げるかもしれませんけれども、全部が全部重複ではないと思いますので、さような点がありましても、一つよろしく御了解をあらかじめお願い申しておきます。  今度の第二室戸台風災害につきまして、農地につきましては、大きな災害、小災害ともに特例をもって、あるいは高率の補助とかあるいは利子補給を伴う起債というものを認めてもらっておるということでございますが、今度の災害特質は大きな風であったというために、果樹地帯における果樹、果実、果樹園に及ぼす災害に非常に大きなものがあったことは、御承知の通りだと思います。これらの果実、果樹、果樹園等に対する救済及び復旧措置として、政府はどういうような措置をおとりになるか、まず、それからお伺いしたい。
  202. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいま御指摘がございましたように、今回の台風の特色といたしましては、果樹園に対する被害が非常に多かったように観察をせられます。そこで、基本的には、伊勢湾台風あるいは五月、六月の集中豪雨の際にとりました対策と大体同様に考えまして、次のような措置をとることにいたしております。  第一は、天災による被害農林漁業者等に対する資金の融通に関する暫定措置法でございますけれども、これの特例法を設けましてその復旧に要する苗木、肥料、農薬等の経費に対しましては、果樹の栽培をおもな業務とする被害農業者に対しては、果樹の生産額が非常に高いということ、及び永年作物であるという特性にかんがみまして、特に融資の限度を、従来は内地におきましては十五万円、北海道にありましては二十万円でありましたけれども、これを内地におきましては三十万円、北海道にありましては三十五万円に引き上げるとともに、償還期限五カ年を二カ年延長いたしまして七カ年とする特別の措置を講じたいと考えております。  第二は、特に今回は、ブドウとかあるいはミカン等の場合につきましては、果樹だな等のいわゆる個人施設の復旧のために相当多額の資金が要るであろうと思われます。そこで、農林漁業金融公庫の資金につきましては、貸付の金利の引き下げを検討いたしまして、ただいま大蔵当局と相談をいたしておりますけれども、前例によりますと、据え置き期間については六分、その後は六分五厘という前例もございます。北陸台風あるいは伊勢湾台風の際においてはそういう特例を設けたこともありますから、今回も利子七分を六分ないし六分五厘に引き下げるように大蔵省と相談をいたして、大体これは実現するものと考えます。  さらに、第三番目の措置といたしましては、先般の国会で制定せられました果樹農業振興特別措置法がございます。これの総額が十億円ということに相なっておりますから、この十億円という長期資金等を活用して所要の措置を講じたいと考えております。
  203. 坊秀男

    ○坊委員 ただいま中馬政務次官から懇切な御答弁を得たのでございますが、果実、果樹及び果樹園に対する災害の復旧の措置につきましては、いずれもこれは融資をしてやろう、低利長期の金を貸してやろう、これは非常にありがたい話のようでございますが、そこで、私は、果樹園に対する災害というものを少し分析して考えてみたいと思います。  御承知の通り、今度の台風によりまして、果樹農家は、ことし生産を上ぐべかりし果実というものについては、三割とか五割とかというような減収を生じております。これは目に見える損害であります。ところが、そのほかに、風があまりひどかったために、果実だけでなしに、果樹そのものが、あるいは吹っ飛ばされてしまったり、あるいは枝や幹が折れて飛んでしまう、それからまた、一見満足のような姿はしておりましても、風のために根っこをゆすられてしまいまして、土壌と根っこが分離してしまった、そういったようなものもたくさんある。かようなものは、そのまま放置しておいたならば当然枯れてしまって、全然ものにならないというので、今一生懸命に根起こしをしたり、あるいは突っぱりをやったり、そういう作業をしておる。それからさらに、ひっくり返ってしまったり、あるいは幹が折れてしまったりというようなものは、当然これは植えかえなければならない。御承知の通り、桃クリ三年カキ八年、ミカンは五年ないし十年かかるというもので、さような意味においては、しっぽをひいた損害が、五年、十年とかからなければ元の姿にはならないというようなことであります。これを、普通の米を作ったり、あるいは麦豆を作ったり、平坦部における普通の水田とか畑というものに対象を置いて考えてみますと、これらの米を作る水田あるいは麦豆を作る畑というものは、水害のために、あぜが吹っ飛んだりあるいは土砂が流入したら、これをほっといたら、やはりその田畑はだめになる。すなわち、これを復旧するために、農地災害復旧ということで特例が行なわれて、補助の対象になっている。ところが、果樹畑に関する限りは、今懇切丁寧な御答弁の中にも、融資の対象にしかならない。その他の田畑の、田畑そのものが荒れたものは、これはまさしく生産の基盤と申しますか、生産の手段が損壊をした。これと、果樹園における樹木の損壊というものは、年々の生産の基盤であるべき生産の手段が損壊したもので、まさに同様なものである。一方は土地の損壊であり、一方は樹木の損壊である。なるほど、外に現われた姿は違います。違いますけれども、この損壊のマイナス経済効果は、これは田畑そのものが荒れたのと、果樹の損壊したのとは、マイナス効果は同じです。それからまた、これを復旧するという意味におきましても、これはまさに同様に扱われなければならないものである、かように私は考えておる。  それからもう一つ、次に均衡論を申しますが、実は私の村だけの問題ではないでよう、和歌山県だけの問題ではないでしょうが、果樹地帯においては、農民は大体分かれまして、果樹を作っておる農民と、水田を作っておる農民とが別々にやっておる。水田を作っておる農民は、水田に対しまして十万円以下の損害のあった場合にでも、これは特例によって元利補給を伴う起債の対象にしてもらっておる。ところが、その同一町村において、果樹園を損壊したものは、十万円以下はもちろん、十万円以上のものも、同様の損壊を受けても特例の対象になっておらぬのです。損壊としては、一方は補助の対象になり、一方は単に融資の対象になるということは、これは同一町村において非常なアンバランスが生じてくるということが一点です。  それからもう一点としまして、同一町村でなしに、全国に目を転じて考えてみますと、水田町村における損壊、これは、今も申し上げました通り、特例の対象になっている。ところが、果樹地帯においては、一例をあげて申すならば、私の郷里の、ある町村のごときは、人口一万の農民がおりまして、その農民の中で、水田を作っておる農民は、わずかにその一割にすぎない。そこの全人口を養う米の生産額は一月分にも足りない。そのほかは全部果実を作っておる。ところが、その果実畑に今度の室戸台風が大被害を与えておる。そうすると、他府県における水田地帯が損壊をした場合には、あるいは百万円とか、全体において千万円の水田の損壊があった、これは当然補助の対象になっている。ところが、果樹を主たる生業としてやっておる農村には、百万円も千万円もの損害があっても、これは何ら補助の対象にならない。これは、低利であり長期でこそあるけれども、融資の対象にしかならない。しかも、それには限度があるというようなことは、これは私は非常にバランスを欠く問題であろうと思う。かかる意味におきまして、果樹園の災害、あるいはミカンとか、カキとか、ブドウとか、あるいは梅とか、そういったものがありましょうが、特に被害の大きかったものについては、これは普通の農地の延長である、果樹は農地の延長であるという考えでもって、これを農地の救済の対象と同様に扱ってもらいたい、かように考えるのですが、政務次官の御意見を伺いたい。
  204. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 しごくごもっともな御意見でございまして、果樹園が農地法に基づく農地の登記がございますれば、当然農地災害復旧と同様であることはもちろんでありますし、特に今回のごときは小さい災害が多うございますからして、小災害の適用もいたしまして、起債の特例も当然認めることに相なっております。
  205. 坊秀男

    ○坊委員 それは融資でしょう。果樹園の土地が損壊したのは、むろんそうですが、樹木が損壊したということは、これまさに生産手段を失ったものである。そこで、農地、水田が——あぜがこわれたり、あるいは土砂が流入したら、将来何年もほっておいたらいけないでしょう。果樹そのものも、これは果樹がやられたということを、そのままほっておいたら、年々の作物という観点からすれば、これはとれない。つまり、生産手段が損壊した、こういうことで、果樹というものを農地の延長と考えるのが当然じゃないか、そこに違いがあれば承りたい。
  206. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 農地局で災害復旧をやりますものは、農地と農業用施設でございます。そこで、農地については水田、畑を問わず、これは農地である限りは、暫定法により、あるいは特例法によってやっております。しかし、立毛の方は暫定法の対象になっておりませんので、これは樹木あるいは果樹の林木それ自体については、一般の農地の復旧と区別しまして、農地の部分だけやっております。
  207. 坊秀男

    ○坊委員 農地局長から答弁してもらえば、農地局としての災害農地である、とう言うのは当然のことです。だから私は政務次官に質問した。農林省として、私の言っていることは、災害復旧の立場から、及びその損害の様相から見て、私はそれは両者が性質が違うことはわかりますよ。ところが、これを災害復旧をしてやろう、こういう立場から見て、いわゆる経済効果ですね、この点から見てどこか違うところがあるかどうか、こういうことをお聞きしておるのです。
  208. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 従来、大体昭和二十八年ごろまでだったと思いますけれども、終戦後から継続的に、果樹の災害につきましては、苗木補助あるいは改植の補助をいたしたのでありますけれども、そのつど大蔵省との予算折衝等の結果におきましては、きわめて零細なる補助ということが大体それまでの通例となっております。そこで、果樹の零細な補助をやっても、これを受ける農民から見れば大したことはないという世論が出て参りまして、その後零細なる補助金というものは整理いたしまして、長期低利の融通資金というふうに切りかえた歴史がございます。今回の場合は——私は、個人の意見になりますけれども大臣にもしばしば申し上げておるのですけれども、農業基本法の制定によって、果樹、畜産というものが今後の農業の非常に大きな眼目となってくる。特に次の通常国会においては、園芸局といいますか、そういうものを農林省としては考えておりますので、そういう画期的な局を作ってまで奨励するという今日の情勢でございますし、また農民の方から見ても、農林省に果樹局ができるかできないかということは別問題としても、大体頭の切りかえをいたして、園芸果樹という方に非常に力を注いでおるような今日でありますから、この際、大蔵省の了解を得るならば、私は、苗木とかあるいは改植の補助というものも思い切って出すべきではないだろうか、こういうことで政務次官としては努めておりますけれども、いまだ大蔵省全体の賛成を得ておりませんので、皆様方の御支援をいただいて、これが実現することができればまことに幸いであると考えております。
  209. 古川丈吉

    ○古川委員 関連して。今私の言いたいことを政務次官が言われたようにも思うのですが、御承知のように、従来米麦できたけれども、農業基本法ができ、また果樹振興法ができるような状態になって、農作物の転換がとにかく非常に問題になっておるときでありますから、果樹というものは、今回だけでなくして、将来もやはりこういう災害が起こるので、ぜひとも今回は、今坊委員の言われたように、そういう考え方で果樹災害対策を切りかえられなければいかぬ。これはきょうこの席であなたに答弁をしろと言っても無理かもしらぬけれども、これは一つ真剣に省に帰って御相談をいただきたい。われわれは坊君の意見に対しては満腔の賛成で、今回の問題を契機としてぜひともそういう考え方政府が切りかえるように、私も片棒をかつぎたいと思っているのでございます。希望だけ申し上げておきます。
  210. 坊秀男

    ○坊委員 中馬政務次官から、個人の見解だということで、非常に御同情ある見解を承りました。私は中馬政務次官個人に対しては厚く感謝をしておる。しかし、それが御同情ある御答弁ということだけでは、どうもこれは今度の災害復旧に対してせっかく委員会を作ってわれわれが努力をしておる効果が実らないということになりますので、私の申し上げたことについては、個人の見解でなくて、農林省におかれてぜひ善処をお願い申したい。先ほどの御答弁の中で——果樹に補助金を出したのは三十三年ですよ。これはきわめて零細な補助金であって、結局、飛行機から小便したというようなものになってしまって、肝心かなめの畑まではその小便が届かなかったというようなことでこれは廃止されたことは、私もよく知っております。ところが、今度の果樹園に対する災害というものはそんな小さなものではない。補植だとか、肥料だとかいうものでは間に合わない。二十八年に和歌山県が大きな災害を受けておりますけれども、この災害は、御承知の通り水害です。今度の災害は、御承知の通りの六十メートルを突破するというような大風害なものですから、ミカン畑全部が——大きなことをいえば、一本残らず根っこをゆすられてしまって、このまま放置すれば、これは全然ものにならない、こういうようなことになっておる。だから、ちょっとやそっとの補助金ではいかぬと私は思う。補助金があまり多いと、それはとても困る、こういうようなことになるかもしれませんが、災害復旧については、その他の農地についてはいろいろな手だてをしておる。ところが、果樹園については、まさに農地がやられたと同じようなことになっておるものを、これを単に融資するのだというようなことでは、先ほども申しました通り、一町村におけるバランスも欠けます。また、全国的にながめてみまして、水田地帯とミカン地帯とを甲乙をつける理由はなかろうと私は思う。かような観点から、この点はぜひ一つ中馬政務次官の政治力でもって善処をお願い申し上げたい。
  211. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 ただいまの御意見に対しましては、農林省におきましてもさっそく真剣に再検討を加えて、努力をいたしたいと思います。
  212. 坊秀男

    ○坊委員 政務次官の御答弁につきましては、私はそれで満足いたします。はたしてそれが実現されるかどうかということにつきましては、今後とも一つこれを追及して参りますから、委員長におかれても御了承おき願いたいと思います。  それからもう一つ、今度の災害は風害であったために、山林の災害が非常に多い。これは山くずれとか、そういうものではございません。山林の災害には、植林してすでに伐期齢に達した樹木で非常に大きな木が、うそのような話ですが、ぽんぽん根こぎになったり途中から折れたりしておるのがあります。これはまさに山林の災害として目に見えるものであります。これともう一つは、皆さんの目につかぬものがある。それはどういうものかと申しますと、十年以下あるいは十五年以下といったような、まだ伐期齢に達しない幼齢林、去年植えた、あるいは今年植えた、あるいは植えてから三年たったとか五年たったとかいうような幼齢林、これがやはりあまねく風が吹くからやられてしまいまして、山奥に入りますと、ちょっと見ましても数千本、数万本根こぎになったり倒れてしまったりしている。林野庁長官は、農林省の中で机に向かっておられたならばこの惨状は御存じないかもしれません。しかし、あなたの部下の現地におられる人は十分御存じのことと思う。これらの幼齢林の災害につきましては、ずいぶん日本にはここ十年来災害があったけれども、山奥の悲しさでみんながこれを見のがしてしまって、災害復旧の盲点になっておる。今度の災害は、盲点になるにはあまりに大き過ぎる。というのは、風でやられましたから、ちょっと見ればすぐわかる。この幼齢林につきまして、どういうような措置をとってもらえるか。全然知らぬということではないでしょうが、その点について承りたい。
  213. 吉村清英

    ○吉村政府委員 ただいま先生の仰せの通り、幼齢林の風害、災害につきましては、かなりひどいものがあることと考えております。この対策でございますが、まず第一には、森林国営保険がございまして、これによって保険金が支出されることになっておるわけでございます。ただ、この保険に加入をしていなかったものが不幸にもそういう災害にあったという場合に問題になるのではないかと考えておるのでございます。この場合は、復旧に——と申しますか、結局は再造林に経費もかかる、こういうことになると思うのでありますが、伊勢湾台風のときの措置を申し上げますと、こういった被害が集団的に起きまして、たとえば五十町歩ぐらいの中で五〇%ぐらいの被害が起きたというようなときにおきましては、地ごしらえの経費がかさむ、こういうことになりまするので、その経費のかさみを、その現地の実情に応じまして造林の補助費に加えまして補助をしておるのでございます。その場合に、伊勢湾台風の際ですと、三〇%程度上回って補助をいたしておるのでございます。従いまして、万一保険に入っておらない人がそういうような幼齢林について災害を受けましたような場合におきましては、実情にあったように造林の補助を行なうようにいたしまして、災害を復旧して参りたい、かように考えておる次第でございます。
  214. 坊秀男

    ○坊委員 今の林野庁長官のお言葉でございますが、あなたは国有林のことについてはそれは実にお詳しい。ところが、民有林についてはあまり御存じないようであります。今保険に万一入っていない場合には、こういうお話だった。ところが、民有林の小さいもので植林家が保険に入っておるなんというケースは、これはきわめてまれです。大きな植林家というものは、それは保険に入っておるでしょう。ところが、植林の補助をもらってわずかに一町とか三町とかいうような植林をしている人、これはなぜ植林をするかというと、娘をよめにやらなければいかぬ、むすこの大学に行く学資にしなければならぬ、おやじが死んだときの葬式費用にしなければならぬというような気持でもって植林をしておる人なんです。こういうような人たちは、保険に入っていない。こういうような人たちは、ちりも積もって山となって、日本の森林資源に貢献するところが多いのです。こういう人は、保険には入っていない。風によって木は倒されちまった、これを起こさにゃならぬ、植えかえにゃならぬというような立場にありまして、一番困っておるのです。こういうような人たちはやはり天災融資法の限度引き上げの対象になるのですか、ならないのですか。
  215. 吉村清英

    ○吉村政府委員 今回は二十万円になっております。
  216. 坊秀男

    ○坊委員 二十万円というのは、全然現状通りでしょう。ほかのものは三十万円ということに、これは上げるのでしょう。なぜ植林農家に対してだけ現状のまま置いておくか、こういうことなんですよ。
  217. 吉村清英

    ○吉村政府委員 お言葉を返すようでまことに失礼でございますが、保険は国営保険でございまして、小規模の人にもぜひ入っていただきたいものなんでございます。それで私どもも、PRの足りないところは大いにPRをいたしまして、この国営森林保険に大いに加入してもらわなくちゃならないと思うのであります。一町歩、二町歩以下の森林所有者が非常に多いことは、これは仰せの通りでございます。この造林費がどのくらいかかるかと申し上げますと、大体、相当な地ごしらえ費がかさむと見まして、やはり一町歩四万円余りじゃないかと思います。そうしますと、大体二十万円くらいありますと、今のところでは零細なものも救われるんじゃないかというように考えておるのでございます。
  218. 坊秀男

    ○坊委員 今のは限度の問題を言っているのでしょう、個々のものに対して、全部二十万円とか三十万円とかいっておるわけじゃないと思います。だからその限度を、ほかのものと天井を合わせて三十万円に持っていくということ、これはやはりそこまで持っていかなければ片手落ちですよ。植林農家だけは二十万円でいい、これはどうも理屈が成り立たぬと思う。それからまた、国営保険だからこれはぜひ入ってもらいたい、それはその通りです。私は将来とも保険に入るべきだということを説得すべきだと思っておりますけれども、現に災害を受けたときに、お前は保険に入ってなかったのだからこれはだめだ、こういって突っぱねられればいいですが、そうもいかぬでしょう。そういう筋を押していくならば、根本的な問題になってきて、私有財産に対して補助金というようなところまで、これはいかなければならない。そういうものを目をつぶってその措置を講じておる。だからこの森林被害に対しましても、私は限度を引き上げることを強く要求します。善処してもらいたい。
  219. 吉村清英

    ○吉村政府委員 なお一そう検討させていただきます。
  220. 正示啓次郎

    ○正示委員 一つだけ政務次官にお願いをいたします。  実は、今回の災害で、漁港に沈木が相当入っております。前の例によりますと、沈木の引き揚げにつきましては、水産庁から特別の補助をいただいておるのです。漁民は今もう船もやられ、漁具もやられ、全く困っておるのですが、残ったなけなしの船でとにかく仕事をするというときに、今度は漁港に木材が堆積して網も引けないというような状態になっておりますので、一日も早くこれを除去するということをやっておるわけです。これは前例によりまして高率の補助がいただけるものと思うのでありますが、この点に関して農林当局から御答弁をいただきたいと思います。
  221. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 詳しい法案内容については、水産庁の専門家の方からお答えがあると思いますけれども、御指摘の通りに、木材の沈没につきましては、いろいろな規則がございまして、その量、それから泥土の量あるいは堆積等の平均その他の基準があるようでございますが、もしその基準に該当するものがあれば、当然高率に適用されるものと考えております。
  222. 濱地文平

    濱地委員長 それでは、順を追いまして谷垣専一君。
  223. 谷垣專一

    ○谷垣委員 時間がございませんので二、三の点だけにつきまして御質問をいたしたいと思います。  林野庁の方に最初にお伺いいたしたいのでありますが、今度の災害では奈良の公園を初めとしまして、東山公園その他大きな立木の被害が非常に多いのであります。これに対しまして、現地ではマツクイムシの被害の発生を非常に心配いたしまして、これの対策をいろいろやっておるようでありまするが、これは単に一部門、一地方だけのやり方では不十分だと思いますので、かなり大規模な地域にわたってこのマツクイムシの発生の防除を至急にやる必要があると思うのでありますが、それに対しましての措置、御手配を一つお伺いをいたしたいと思います。
  224. 吉村清英

    ○吉村政府委員 マツクイムシの防除の対策でございますが、仰せの通り、奈良の市の周辺におきます虫害のおそれがあるという報告をまず最初に聞きまして、各県から状況報告をとっております。現在のところ奈良県と京都府——京都府はおそれがあるという程度で、まだ現実に報告が出ておりません。大阪営林局に指示をいたしまして、国有林、民有林を問わず、このマツクイムシの発生の状況を監視をさせておるところでございます。もちろん府県とも連絡をとらせておるのであります。ただ、奈良の市の周辺の被害地と申しますか、発生に対しましては、さしあたり駆除の補助をいたしたいというように考えております。予算は若干ございまして、現在八十万円程度あれば間に合うというような情勢でございますので、手持ちの予算を配賦をする予定でございます。その他につきましては、先ほど申し上げましたような態勢で監視をしております状態でございます。
  225. 谷垣專一

    ○谷垣委員 ただいま奈良と京都のお話が出たのでありますが、私が見て参りましたり、あとで連絡がありましたことから推察いたしますと、淡路島あるいは和歌山等におきまして、かなりそういうおそれがあるようなんです。ただいまお聞きいたしますと、非常に小部分のところの監視のようでございますが、はたしてその程度で監視が十分であるか、一言お答え願いたいと思います。
  226. 吉村清英

    ○吉村政府委員 仰せの通り、小部分の監視では十分でございませんので、営林局の署の出先あるいは県の出先等にも十分手配はいたしておりますが、仰せのような被害のおそれが見えて参りますと、さらにこの点は強調しなければならないと存じますので、さらにこの点注意を喚起いたしまして、指示をいたしたいと思います。
  227. 正示啓次郎

    ○正示委員 私関連してマツクイムシの問題についてお伺いいたしますが、昨年和歌山県の南のほうでマツクイムシの被害が非常にはなはだしかったものですから、特に補助金を出していただいたのですが、本年もさらにこの状態を調べますと、悪化しておるのであります。県当局からお願いをしておると思うのですが、林野庁ではどういうふうにお考えになっておりますか、お聞かせ願いたいと思います。
  228. 吉村清英

    ○吉村政府委員 緊急な場合の駆除の経費は多少保留してございますので、現地を調査いたしまして善処いたしたいと思います。
  229. 谷垣專一

    ○谷垣委員 先ほど果樹対策につきましてお話を承ったのでありますが、私は、このたびの台風で非常に大きな被害を受けました地元の感じからいたしますと、果樹と同様に考えておりますところのタケノコ、孟宗畑の問題について一つお伺いいたしたいと思います。御承知のように、私の申し上げておる竹林、タケノコ林と申しますのは、山野の竹林ではございません。栽培をいたしまして、肥培管理をいたしておる、農地法上孟宗畑として特に規定をいたしておる、果樹畑と同様のところに育っておるタケノコ林について申し上げたいと思っておるのでありますが、おそらくこれらのものは、全国で七、八千町歩にわたる栽培面積があると思いますが、このたび被害を受けました京都府の南部あるいは大阪の一部あるいは徳島というようなところは、これらのほぼ主産地を形成しておるところだと思います。すでに御視察をいただいておるでありましょうから、農林当局は御存じかと思いますけれども、このあたりを通りますと、これらのいわゆる孟宗畑は一面にすっかり葉が枯れております。これでは来年のタケノコの発生はおそらく不可能であろうと思います。御存じのように、これは相当な肥倍管理をいたし、人力を尽くしてやっておるわけでありますし、また改植等もいたしておる、あるいはまた、果樹と同様の永年作物としての栽培をやっておるわけでございまするが、これらの災害に対しまして、農林当局としてはどういうような御措置をお願いできておるのか、それを一言お答え願いたいと思うのであります。
  230. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまの御質問は、孟宗畑についての被害対策についてのお尋ねかと存じますが、今先生のお話になりましたように、一般の山野でできておりますタケノコと違いまして、特に京都の山城を中心とした孟宗畑は、肥培管理をやっておりますし、その畑も農地として取り扱われ、また栽培方法についても、いわば農作物としての栽培に近い方法でやっておるということも承知いたしておるわけでございます。今回の被害状況をさっそく調査いたしたわけでございますが、大体山城地方における孟宗畑の総面積は千百町歩程度ございまして、そのうち三割以上の被害面積が八百町歩に近い数字を示して、相当大きな被害が出ておるということも判明いたしておるわけでございます。従いまして、これに対しましては、当然何らかの措置を必要とすると考えておりますので、先ほど申し上げましたように、肥培管理を行なっておりまするタケノコにつきましては、一般農作物におけると同様に、天災融資法の措置によりまして、早急に、回復に必要な肥料あるいは諸材料の購入費あるいは苗等に対する手当をすることが必要であろうというように考えておるわけでございます。お尋ねのタケノコにつきましては、一般の果樹並みの扱いにすべきではなかろうか、こういうふうな御質問かとうかがわれたのでございますが、作物の種類についての区別を論ずるわけではございませんが、大体タケノコにつきましては、今回の被害によりまして竹が枯れた、あるいは相当ゆすられたために、根口がいたんだというような被害が大部分でございまして、結局それからとれる翌年度のタケノコの生産量が相当減ってくるだろうということが懸念されるわけでございます。そういう観点に立ちまして、さしあたり今考えておりますのは、天災融資法の対象にこれもあげて、融資の対象にいたしたい、かように考えておるわけであります。
  231. 谷垣專一

    ○谷垣委員 これは科学的にいえば、農作物に入るのか、林産物に入るのか、果樹に入るのか、いろいろむずかしい問題があろうかと思いますが、私の申し上げておりますのは、あそこで孟宗畑を耕作して、それで生活をしておる諸君の立場からいいますと、あのあたりは、また果樹の地帯でもございまして、果樹と同じような考え方を農家としては持ってやってきておるわけでございます。また今御指摘がございましたが、やはりこれが完全に回復するのには四、五年の日数を要する。また、現在枯れております竹は、これは今切りましても、竹材としては用をなしません。今どき倒れましたのは用をなしません。そういうようなわけで、これは施肥といい、その他の事情といい、経済的には、私はまさに果樹と同等に扱うべきものだと思うのであります。ただいま御提案になっておりまする農災法の特例を拝見いたしますると、果樹という表現になっております。先ほどお話を承っておりますと、農作物というような表現になっておりまして、このいわゆるタケノコの親でありまする筍竹の栽培は、一体どちらの方にお考えになっておるか。御提案になっておりまする果樹という概念の中に入れてお考えになっておるのか。そのことによって同じ天災融資法の対象にしていただくにいたしましても、融資の額にしろ、あるいはまたその期間の問題にしろ、変わってくることでございますので、私は作物学上の果樹であるかどうかということを言っておるのじゃないのであって、農家の経営の上から見まして、経済的に見て一体どういうふうにこれをお扱いになっておるか。提案なすっておる法案には果樹とだけ書いてありますので、その中に入っておるのか、入っていないのか。農作物である、ないということではなしに、ここに出ておる果樹の中に入っておるのか、入っていないのか、これをお聞かせいただきたい。
  232. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 やはり、提案しておりまする天災法におきます果樹という言葉は、これは作物学的な言葉でございまして、果実をとる果樹と根から出たものをとる筍竹とは、作物的には相違があると考えられますので、これは法文上は果樹としては扱いにくいと考えます。ただ問題は、そういう作物学的なことではなくして、タケノコにつきましても、果樹における特例と同様に融資限度をもう少し上げたらどうか、あるいは償還期限を延ばすべきではないか、こういう御質問であろうと思うのでありますが、その点につきましても、京都府等の現地からいろいろの強い要望がございましたので、詳細いろいろと調査をいたしたわけでございますが、タケノコの回復に要する諸費用、支出すべき肥料代、あるいは諸材料費だとか、あるいは苗木だとか、こういうものを計算いたしてみますると、大体反当一万三千円から二万くらいのことになるのではなかろうか、かりに苗木を全部購入するとしましても、三万くらいになるのではなかろうか。あそこの地方におきまする被害状況を見ますると、二反四畝というのが被害農家の平均面積でございますので、今申し上げたような金額並びに被害を受けた農家の反別等を見ますると、大体二十万円あれば、今申したそういう手当の費用は十分まかなえるのではなかろうかというように考えるわけでございます。  ただ償還期限の問題をどうするかという点でございますが、償還期限につきましては、現在法律で五年以内ということになっておりまして、地元のお話を聞いてみますと、五年あれば大体十分であるということでございますので、運用上におきまして、地元の御意見等もよく伺いまして善処して参りたい、かように考えております。
  233. 谷垣專一

    ○谷垣委員 今の振興局長の御答弁、実は私ははなはだふに落ちないのですが、あまり深く追及したくないのですけれども、孟宗畑の肥料代、あるいはその他の樹勢回復と申しますか、その回復に要する費用が、ほかの果樹に比べていわば非常に少ないから、従って、二十万の限度でいいんじゃないかというふうに私は受け取ったのであります。これは私は少しお考えを願いたいと思います。農林省でお作りになった資料によっても、そうでないことははっきりわかっておるのであります。農家経済調査等からいろいろお調べになればわかると思いますが、たとえばナシの肥料代を考えてみますと、これは八千円かその程度のものであったと思います。ミカンはかなり多いと思いますが、それでも、平均いたしますと一万二、三千円程度のものであろうと思います。そういうことでございますから、今問題になっております筍竹と、これらに対しましての今後のいろいろな樹勢回復の考え方から見ますると、その差異はないのであります。あるいは資料をもって御研究になればわかると思いますが、先ほどのお話のタケノコ林の平均耕作面積というものは、日本の果樹の農家が持っておりまする平均耕作面積と変わりはございません。大体の数字から見ますと、同じになっております。そういうことで、先ほどの、タケノコの林は二十万でよろしい、果樹ならば三十万だという理屈は、私はちょっと無理だと思う。それは生産費調査をお調べになればおわかりになることと思いますし、過日、果樹振興審議会等でいろいろ御議論になったときに、配付になった資料をごらんになれば、その点は、私は明確にうなずくことができることだと思います。これは数字上の問題でありますので、私はこれ以上は申し上げませんが、御検討願えれば、これを二十万と三十万とに区別する理由はほんとうにないのであります。こういう点をもう一回認識を願いたい。ここに資料がございますが、それからいきますと、果樹とタケノコの親であります荀竹林とを別にする理由はないように思うのであります。二十万と三十万の差を果樹とつける理由はないと思うのでありますが、いかがでございますか。先ほどの資料その他から検討にならなければおわかりにならぬかもしれませんけれども、たとえばカキにしましても、ナシにしましても、今言われましたこの荀竹林の一万二、三千円という肥料代と、農家生産費調査から比べてみましたカキとかナシとかいうものの肥料代というものとは、むしろ孟宗畑の方が高いような費用についております。また、事実、あそこの耕作の念入りな肥培管理によりますれば当然なことだと思いますが、もしそうだとすれば、これは資料ではっきりしておりますから、御納得できると思いますが、二十万の限度を三十万に上げるということは当然なことだと思いますが、その点はいかがでございますか。
  234. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 御意見でございますが、これは数字の問題でもあるわけでございます。タケノコの方の調査資料は、京都府の調査でございますが、果樹につきましては、たまたま農林省で生産費調査をいたしたものがございます。それによりまして、いわゆる反当の生産費として、自給分と償却分と現金支出分がございますが、この現金支出分について申し上げますと、リンゴでありますと約一万九千円、ミカンでありますと三万二千円、ナシでありますと三万四千六百円というような反当支出になっているわけでございます。そういうことで、リンゴなり、ナシなり、ミカンなりの一戸当たりの耕作面積がどのようになっているかということでございますが、これは統計上は、大体平均しまして、一応耕作面積は全国平均では四反ないし五反、タケノコは二反四畝、これは京都府庁の調査でございますが、そういうふうになっております。京都府の方で出されました資料によりますと、肥料が一万八百円、諸材料費が二千円、あと七百円の償却費と自家労賃の二万四千九百五十円、こういう数字がありますので、一応これをもとにいたしまして、今申し上げたようなことを申し上げた次第でございますが、なお京都府庁から別の資料が出ますれば、そういう資料についてさらに検討をいたしたいと思います。
  235. 谷垣專一

    ○谷垣委員 数字のことですから、避けたいと思ったのですが、ちょっとお話の数字が合わぬようでありますから、申し上げておきたいと思います。これは農林省の資料であります。和歌山県の果樹面積は一万一千二十七町歩、果樹農家は約二万五千軒、そうしますと、平均耕作面積はそう多くないのです。和歌山と申し上げたのは、今度の被害にあったから申し上げたのですが、リンゴ等の耕作面積は若干広いと思います。しかし、西の方にいきました場合には、果樹の農家がやっております平均耕作面積はそう広くない。これは当然なことだと思います。でございますから、先ほど御指摘になりましたことは、もう一回私は御検討願いたいと思います。今、振興局長の言われた同じ資料でもって、議論がこのくらい分かれるのでありますから、これは数字の問題でございましょうが、はっきりそこはやっていただきたいと思います。そうして、とにかくあの地方では、一反当たり四、五万の収穫をこれで上げているわけでありますけれども、来年の春にできるタケノコというものは、今の状況から考えまして、ほとんど全滅だろうと思います。被害が非常に大きな竹林では、これはおそらく五年くらいの回復の時間はかかると思います。果樹が樹勢を回復いたしまして平常に戻りますのと、大体同じ期間がかかるわけでございますので、これはぜひ一つ果樹と同様の考え方で、災害対策としては考えていくというふうに政府当局はお考えを願いたいと思うのであります。また、すでに提案されているからということでございますが、いろいろなそのほかの対策につきましても、どうも私の見るところでは、タケノコを作りますいわゆる荀竹畑と申しますか、孟宗畑というものに対して、特殊な地域でございますために、一般の果樹の問題に比べて実はあまり注意しなかったというか、今まで十分な介意がなかったというか、そういうふうな感じを実は受けるのであります。しかし、これは将来ともにずいぶん伸びていくものだと思いますし、また、それぞれの地方でカン詰工場等を開いてやっておるわけでありますので、ぜひ一つこれは果樹同様の考え方で今後の指導に当たっていただきたいと思うのであります。
  236. 正示啓次郎

    ○正示委員 私は、時間を節約する意味で、関連でやってしまいますから、あとやりません。  ただいまの孟宗タケノコの問題、同じ竹でも黒竹、輸出産業として非常に大事なこれが、やはり相当やられておるのです。これはおそらく振興局長ではなくて、林野庁になるのですか、非常に限界のあいまいなところですが、私は、これは二十万円の口でいいと思いますが、ぜひこういうことを忘れないでいただきたいということが第一、一つ所管もはっきりきめておいていただきます。  それからもう一つはクリです。やはりこれは将来輸出産業、マロングラッセの原料でありまして、大いに振興していくべきものだと思うのでありますが、従来は所管は林野庁であった。ところが、これは、やはり私は、クリ畑を設けてりっぱに肥培管理をして、輸出産業の原料にしていく方向にあると思うのです。この問題も、ちょうど今同僚谷垣委員から限界の問題が出ましたので、重要な輸出産業でありますから、林野庁長官振興局長両方でキャッチ・ボールをやらずに、りっぱに分野をきめていただきたいと同時に、今回の災害につきましても、天災融資法の対象として、はっきりとどちらかへきめていただきたい、こういうことをあわせてお伺いいたします。
  237. 齋藤誠

    齋藤(誠)政府委員 ただいまクリの話が出ましたけれども、クリにつきましては、果樹振興法上も、これは明らかに木から出る果実でありますので、これは果実としての取り扱いをいたしております。従って、今後の災害につきましても、果樹としての扱いをいたすつもりでございます。
  238. 谷垣專一

    ○谷垣委員 あとごく簡単に御質問をさせていただきたいと思いますが、開拓地の問題でございます。開拓地は、すでに当委員会で角屋委員から詳細な御質問がありましたので、その点は重複を避けたいと思いますが、とにかく非常に苦心をして、ようやく一本立ちになっていこうとしております開拓地が、災害を受けたわけでありますので、これに対しては、ほかのものよりも、特別の例として特段の配意を願いたい、こう思うのでありますが、伊勢湾台風と同じ扱いをしていこうという角屋委員に対しまする御答弁は、そのまま受け取っていいわけでございましょうか。
  239. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓地の被害につきましては、特例法案で、伊勢湾台風の場合の特例法案と同じ法案になっております。実施については、角屋委員お答え申し上げましたように、三十四年の実施要綱にのっとってやるようにという考え方で、大蔵省と折衝中でございます。
  240. 谷垣專一

    ○谷垣委員 実はこの前の伊勢湾台風のときは、開拓の方には気を配っていただいたと思いますが、法律の問題でない、いわゆる被害地域といいますか、甚大地域として指定されない地域における開拓者の家屋というものが、相当今度の台風でいたんでおります。これに対しましては、この前は、たしか予算措置として何割かの補助を厚く見てもらったと記憶いたしておりまするが、今度の場合は、風害でありますために、かなりそういう例が多かろうと思うのであります。それに対しましても同様の扱いをされる決心でありますかどうか。
  241. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 全壊までは同様の取り扱いをいたしたいと考えておりますが、半壊については、非常に問題もございますし、それから激甚地の指定が相当広く指定される見込みでございますので、激甚地指定以外の地区の半壊ということは、今回は相当問題があって決定しておりませんが、さしたる被害でなければ、その点は打ち切らざるを得ないのではないか、こう考えております。
  242. 谷垣專一

    ○谷垣委員 今、農林省の方からお答えがありましたように、全壊は見るけれども、半壊は、今度はいろいろ問題があるから見ないというお答えのようでありますが、そういたしますと、その点は、今度は伊勢湾台風の場合と違った扱いが行なわれる、こういうふうに了解していいのでありましょうか。
  243. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 なお、半壊等につきましては、開拓者資金融通の災害資金を融通する、そういった点を考えております。今回の災害については、伊勢湾台風に準じて行なうという考えでやっておりますので、多少のニュアンスはあります。
  244. 谷垣專一

    ○谷垣委員 半壊のものについては、融資でめんどうを見るけれども伊勢湾と同様の助成措置は見ない、また、見にくい状況であるというふうにお聞きしたわけでありますが、これは、開拓地の今度の風害は特殊な例で、なるほど地域がかなり散在するかもしれません。風害の関係上散在するかもしれませんが、私は、開拓地の開拓者という特殊な環境にまだおるわけでありますので、ぜひこれは伊勢湾と同様の扱いをすべきものだと考えるのでありますが、そういう努力をなされる意思があるのか、それとも、これは融資でやるのだというふうなお考えなのか、そこを一つお聞かせ願いたい。
  245. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 開拓地については、御承知のように、開拓地であるということで、住宅の個人補助、これは午前中も再々問題になりましたが、どこにもない補助が出ておるわけであります。できるだけそれの被害の軽減というものは、われわれは最大の努力をいたしてきた次第でございますが、今、谷垣委員からお話になったように、伊勢湾台風とは災害の様相も異なりますし、また、半壊というものは地域的にも非常に分散しておる。そういった点もございまして、今回は半壊のものを見るのは非常に困難だ、こういうことでございます。
  246. 谷垣專一

    ○谷垣委員 今の御答弁、いろいろ事情があることと存じますが、ぜひ一つ今後なお伊勢湾台風と同様な扱いをなし得るような御努力を願いたいと思います。  それから、今度は公営住宅等の単価も是正されることになると思うのでありますが、開拓地の場合に、単価の是正ということも同様に考えていただいておるわけでありますかどうか、お聞きしたい。
  247. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 住宅あるいは単価の是正等は、公営住宅あるいは営繕費等の木造の部分の単価増が問題になっておるかと存じます。なお、開拓地の住宅については、三十六年度は新規入植の単価で見ておるわけでございまして、新規入植者とのバランスもございますので、そういうバランスを十分考慮しなければならぬかと存じております。新規入植者とのバランス上、非常に困難ではないかと存じております。
  248. 谷垣專一

    ○谷垣委員 新規入植の関係その他問題があるということでありますが、現在の単価よりも、災害の復旧の場合の補助がかなり下がるのか、それはどういうことになりますか。
  249. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 木造部分等が下がる場合もあろうかと存じますが、このたびは風害等が多うございまして、残材等も非常に残っておるわけでございます。流失、火災といったような場合とは多少違います。なお、三陸のフェーン現象等の火災も、今回は特に十分の九の補助をいたしたい、こういうふうに考えておりますが、そういう点は、新規入植との関係上万やむを得ない場合も起こるかと考えます。
  250. 谷垣專一

    ○谷垣委員 農地局の方にお伺いしたいのですが、題目を変えまして、自作農創設の維持資金のワクその他が、災害の場合には非常に方々から要望があると思うのでありますが、これに対しまして従来の手持ちで十分まかなえるという見方なのか、あるいはワクそのものをどこからかふやして、自作農創設の維持資金として、ことに災害の場合に希望の多いこれを満たそうとされるのか、それはどういうふうになっておりますか。
  251. 庄野五一郎

    ○庄野政府委員 第二室戸台風以降の作物被害の統計の相当綿密な資料、いわゆる作物被害というものがまだ十分出ておりません状況でございまして、ただいまのところでは、ワク内でまかなえるか、あるいはそのワクを増さざるを得ないか、何とも判断のしょうがない状況でございます。
  252. 谷垣專一

    ○谷垣委員 自作農創設維持資金のワク、これをぜひふやしてもらいたいという希望は非常に多いようでありますので、農林省といたしまして善処をお願いしたいと思います。  次に、経済局長が見えているようでありますので、経済局長にお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、農協整備の特別措置法によりまして、農協、ことに貧弱な農協が今年は整備をされる最終年になっているかと思います。これが今度被害を受けました場合に、実はその延期の希望が非常に強いように思います。これに対してはどういうような措置をお考えになっているか。
  253. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 おっしゃる通り、農協整備の仕事は、三十四年度末でございましたか指定を終わりまして、あと残りましたのは利子補給があるだけでありますが、これは全体からいたしますれば、三十八年度末でございましたか、四十年度末でございましたかで打ち切りになるわけでありますが、その過程のものが今度災害を受けたものがあろうかと思います。この点農協の問題につきましては、今般は、天災融資法におきましては、大体全体の災害対策伊勢湾台風並みということでございますけれども、特に農協の事業資金につきましては、伊勢湾の倍まで引き上げて処置をいたしておるわけでございます。その他、たとえば整備組合等でいろいろ困難な問題もございましょうけれども、これらの点については、伊勢湾台風の際にも、ここにおいでになります角屋委員から、いろいろそういう点の御質問、それから御要望もあったわけでありますけれども、そういう問題については、できるだけ農協の系統組織の内部で、やはり相互扶助というようなことも考えたらいいじゃないかというようなことで、農林中金等から救済上のいろいろの措置等も講じて、そういうことでまかなって参りましたものですから、まあ、伊勢湾台風並みという原則から申しましても、今のような程度で何んとかがまんをしていただいたらどうか、こういう工合に考えておるわけでございます。
  254. 谷垣專一

    ○谷垣委員 伊勢湾台風の場合には、農協内部におきまするいろいろな態勢がかなり進んでおったということでございますが、今度の場合も、同様の弱小な組合があるわけでございますので、そういう御指導を一つお願いいたし失いと思います。これは農林省として直接のあれじゃないかと思いますが、御指導をお願いいたしたいと思います。  それから話題を変えまして、実は今度の台風の場合に、いろいろな共同施設が相当な被害をこうむっておるのであります。ところが、農協等の共同施設は別でありますけれども、いわゆる四、五人集まりまして、部落組合と申しますか、実行組合と申しますか、そういう任意の団体による共同施設というようなものが、相当な被害を受けておる例が多いのであります。これらに対しましての施策はどういうふうになりましょうか。
  255. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 御承知のように、農業協同組合の共同利用施設については、公庫からのはっきりしたワクでまかなわれるわけでございますが、一般の場合におきましては、たとえば部落組合とか、あるいは農協以下の特殊な組合でやっておりますものにつきましては、農協からの転貸が認められていないわけでございます。しかし、この前の伊勢湾台風の場合におきましても、実態に応じまして、あの場合には特に農協からの転貸を認めようということで扱っておりますので、今回の場合におきましても、そういう特例を設けまして、部落組合等については転貸を認める、こういう方法でいこうかと思っております。それから、任意組合等におきましては、もちろん、個人個人が主務大臣指定災害復旧でやることができるというふうになっておりますので、そういう点は、両方でいろいろ実情に応じてやっていったらどうかというふうに考えております。
  256. 谷垣專一

    ○谷垣委員 拝見いたしましたミカン畑の共同出荷の施設であるとか、あるいは倒れております共同の調製場の問題であるとか、あるいは山城、宇治方面の茶の加工場等の問題が、今私が申しました例に適合する問題だと思うのでありまするけれども、これらは融資の限度を考えていただく必要があるのじゃないかと私は思うのであります。今お話しの公庫融資あるいは転貸の融資等でまかなえればけっこうでありまするけれども、宇治茶の加工場等は相当手ひどくやられておって、来年の春の芽が出ますまでには何とかこれを復旧しなければ、せっかくの茶畑がだめになるのでありますけれども、この復活をいたします場合に、全壊では二百五十万から三百万ぐらいの経費がかかるだろうと思うのであります。さようにいたしますと、今これに対する融資の限度というものは、公庫融資の場合、個人の形になりますと、一人頭二十万とか、そういう程度におそらく限定されるのだと思います。ところが、それでは、金額のあれから言いまして、これの復活は不可能でございますので、融資等の額の面で、これに対する何らかの引き上げというようなことをお考えになっておるかどうか。お考えになっていないとすれば、そういう点に対しての御検討を願って、実現のできるような御努力を願いたいと思うのでございますが、いかがでございますか。
  257. 坂村吉正

    ○坂村政府委員 おっしゃる通り、限度が問題であろうと思いまするが、個人施設の場合には、公庫で一般には二十万という限度で押えておりますけれども伊勢湾台風のときには五十万に引き上げてやっております。そういうことでございますから、かりに十人の組合がありました場合には、かりに個人で借りた場合には、最高限度で借りまずと、十人で五十万ずつですから五百万、五人の場合は二百五十万というようなところが限度になりますものですから、個人別に借りましても、大体その程度のものはいきます。共同利用施設の場合には、実態に応じまして、八割の範囲内で融資をするということになりますから、大体やっていけるのじゃないかというふうに考えております。
  258. 谷垣專一

    ○谷垣委員 これは現実の事案でお考えを願う必要があると思うのでありますが、限度等について御考慮願いたいと思います。
  259. 正示啓次郎

    ○正示委員 関連して。政務次官に最後に一つお答えをいただきます。けさほど来官房長官、また、昨日は建設大臣がおいでになりまして、大阪湾等高潮対策事業、これを伊勢湾の例によってやってくれということが、この委員会における非常に強い要望であったのです。それで、午前中の官房長官の答えは、建設省を中心にいろいろ案を練っておるということでございますが、申し上げるまでもなく、高潮対策をやるということになりますと、漁港関係は農林省、一般港湾は運輸省というふうに、三省にまたがりますが、伊勢湾のときのように、特別立法をやって、三省共同一致の態勢をとって高潮に対する備えをしたというところに、大きな意義があったと思うのでありまして、今回の第二室戸台風に対しては、伊勢湾台風の例によってやるということを政府は基本の方針としておるわけであります。また、われわれもしかあるべきであるとかたく信じておるのでありますから、どうか農林省におかれましても、建設省、運輸省とともどもに、ぜひとも、今回の非常なる第二室戸台風の激甚な被害状況にかんがみて、伊勢湾台風のときと同じように、特別立法をもって高潮対策を講ぜられる方向へ一日も早く計画をお作りいただきたい、このことを申し上げます。お答えをいただければ大へんしあわせでございます。
  260. 中馬辰猪

    ○中馬政府委員 これは非常に大きな政府全体の政策でございますので、私から申し上げるよりも、むしろ農林大臣からお答えがあってしかるべきだと思いますけれども、ただいま水産庁におきましては現地で詳細な調査をいたしております。その調査の結果、もし許されるならば、建設省あるいは運輸省、三省共同してその方向に省内の意見をまとめるように努力をいたしたいと思います。
  261. 谷垣專一

    ○谷垣委員 時間がございませんので、一、二問だけ文部省の方にお伺いいたしたいと思います。  今度は京都、奈良、滋賀というふうに、重要文化財がだいぶやられておるわけであります。重要文化財の復旧そのものについては、いろいろと気を配っていただいておることと思うのでありますが、まだ、今問題になっております修理、補整をする、これから計画をする、そういうものがあるわけであります。これが相当いたんでいるわけでありますが、その場合にこれをどういうふうに扱われるか、つまり、災害復旧と同様の高率の補助を考えていただけるかどうかという問題について、いかがになっておりましょうか。
  262. 清水康平

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  普通の国宝、重要文化財の修理に要する補助金は、大体平均いたしまして七五%ということになっております。それから災害に要する復旧につきましては、毎年その際十分の八を要求いたしておるわけでございます。その間若干の開きがあるわけでございますが、修理を現在しておるもので災害にかかりましたものは、これを修理の関係でいくか、災害でいくかという問題について今大蔵省と折衝いたしておるわけでございますが、どちらでいくか、いずれにしましても、普通の美術品と違いますので、早急にこれを復旧しなければなりませんので、私どもといたしましては、やはり災害によって崩壊あるいは破損した場合には、その経費でやりたい、かように思っておる次第でございます。
  263. 谷垣專一

    ○谷垣委員 文部省の今の御折衝をその態度で一つお願いいたしたいと思います。  それからもう一つ、国の指定を受けない文化財で、しかも今度大へんな被害を受けておるものがかなりございます。これは地方の市なり何なりが補助を出して、そしてそれの復旧の手助けをするということになると思うのでありますが、こういう場合に、市に対してこれを特別交付税の対象として考えるかどうか、それはどういうふうなお考えになりましょうか。
  264. 清水康平

    ○清水説明員 国といたしまして、補助等を出す、交付できるものは、申し上げるまでもなく、国宝、重要文化財あるいは史跡名勝天然記念物に指定されておるものに限らざるを得ないと思うのでございます。国の指定以外のものにつきましては、大へんくどいようでございますが、御承知のごとく、それぞれの県におきまして、何々府、何々県文化財とかいうふうに指定されておるわけでございます。従いまして、それぞれの都道府県の文化財が破損を受けた際に、それに対して、都道府県が補助金を出して修理したいという気持は当然起こるだろうと思いますが、その際、特別交付税の問題が出てくると思います。これは従来は、その中には一応入っておりませんが、特別交付税といたしましては、多い県はただいま六千万円、少ない県でも数百万円というものが出ておるのでございまして、現在その地方指定の文化財がどの程度破損しておるかというようなことは、文化財の特殊性がありまして、山の中にあるものがきのうようやくわかったというようなことがありまして、積算はきまっておりませんが、金額いかんによりましては、その方向に向かって努力して参らなければならぬと思っておる次第でございます。
  265. 谷垣專一

    ○谷垣委員 今御指摘のように、国が指定していないもので、しかも国の指定にまで持っていきたいと思うようなものがかなりあるわけであります。しかも、それが今度の災害で相当に手ひどくいたんでおります。調査その他がまだ十分でないのは、事の性質上、もっともだと思うのでございますけれども、これはものの性質上、やはり地方の県庁あるいは市等の自治体が手を伸ばして復旧に努力しなければ、とてもそのままでは壊滅していく形のものになると思いますので、ぜひ特別交付税の対象になるような努力を徐々に一つやっていただきたいと思います。これは要望しておきます。どうぞよろしく。
  266. 清水康平

    ○清水説明員 今の御意見につきましては、私どもできるだけの努力をいたしたいと思っております。
  267. 濱地文平

    濱地委員長 本日はこの程度にいたし、次会は、来たる十六日月曜日午前十時より開会いたします。  これにて散会いたします。    午後五時三十八分散会