○辻原
委員 時間がないようでありますので、大臣に要点だけ承っておきたいと思います。
一つは、きのうの
委員会でもそれぞれ意見が出ておりますが、今回の第二室
戸台風の
被害の状況を見ましても、これは
わが国全般の
海岸線に、従来その手だてが十分講ぜられていなかったということが、
災害を大きくした最も大きな
原因ではないか、私どもはそう把握するわけです。私は、その問題についていろいろ具体的な例をあげる時間がありませんが、ただこういう
考え方をいたします。それは、ともかく国を守るいろいろな手だては、ある場合には、軍備の問題が持ち出される場合もありましょう、あるいは精神的な問題が持ち出される場合もあるでしょう。
ところが、現実に、その
国民の生活を最も手っとり早く守らなければならぬ。ということは、それは天災地変その他による実際の生活の基盤をそこなうこと、それから
国民を守る、国を守るということが、われわれ政治を行なう者の何よりも肝要とすべき点だと私は思う。そういう意味からいって、この
台風によって、手だてが講ぜられていないために、言いかえてみれば、特に弱い層−−家ががっちりしていれば比較的
被害が少ない、生活程度が比較的低い、従ってその環境も悪い、そういう
ところに手痛く当たるような、そういう
災害を何とか防止できないか、また、防止してもらいたいというのが、今日の被災民の悲痛な叫びであろうと思う。これは大臣も、
現地に行かれて、
現地のなまなましい声を聞かれたので、おそらくその実感を持っておると思いますが、そういう意味からいって、きのうここでお答えになりましたが、それは前の伊勢湾
台風とは違うのだ、従って、検討はしておるけれども、特別な
対策事業をやるということには至るまいといったような、非常に消極的なお答えがありました。われわれはまことに不満足であります。少なくとも
大阪湾から、今回の第二室戸により最も
被害を大きく受けた紀伊水道、それから熊野灘に至る
海岸は、御存じの通り、これはかつての南海震災による
地盤沈下の
地帯であります。年々これが、住家の方に土地が侵食されておる。海によって土地が侵食されておる。
ところが、護岸というものは、今まで侵食されない以前の
状態、あるいはそれ以下の
状態に今日あるわけです。それでどうして住家が守れるかということ、ここにわれわれは、伊勢湾で行なったあの
高潮対策より以上の
対策をこれらの
海岸に施すべきである、こういう結論を持たざるを得ないということです。しかも、伊勢湾のときに初めて
関係三省の意見の統一ができた、まことにけっこうなことだと思います。
ところが、それは伊勢湾だけであって、その他の
海岸を見てごらんなさい。かりに一例を私の住んでおる
ところにあげてみれば、
建設省の分は、比較的早く補助がついたために行なわれた。
ところが、水産庁の分については行なわれなかったわめに、それがじんぜんと一年、二年、三年、工事がおくれたために、これが
政府のやる、国がやる仕事か、同じような
海岸線を守るという任務を持っておりながら、省が違うばかりにできた
ところとできない
ところがあって、その境目に大きな
高潮がなだれ込んだために、むざんにもそれらの住家が、六十尺七十戸固まってやられておるのであります。こういうことが、はたして合理的な行政運用、また、国が責任を持って
国民を守るという政治のゆえんであるのかということを、私は疑わざるを得ないのです。一体どうしてくれるか、私が具体的にささやかな知恵をここに並べ立てるというよりも、一体、こういう現実の
地帯に、それでもなおかつ
改良復旧でけっこうでございます、その他の点はついては関連で三分の二に上げるからよろしゅうございますという答弁で済む問題かどうかということを、私は大臣に承っておきたいのであります。