○島本
委員 私は、去る二日から六日まで五日間にわたりまして、あの第二室
戸台風の
災害実情を、新潟県、富山県、石川県、福井県と北陸地方全域を
調査して参りましたので、以下、その概要を
報告申し上げ
たいと思います。
北陸地方は、すでに御承知のように、本年当初のあの豪雪、六月から八月に至る
集中豪雨、さらに
地震等と、大
災害を受け、その
復旧半ばにして今回の第二室
戸台風のじゅうりんするところとなったわけでございまして、この
地域に与えた
被害は想像以上のものがあったのでございます。豪雪寒冷の季節を目前に控えたこの地方に対しましては、国の施策は一日も早くなければならないということを痛感して参りましたことを、まず冒頭に申し上げておき
たいと思います。
〔
委員長退席、古川
委員長代理着
席〕
新潟県から順次
報告を申し上げます。
新潟県におきましては、本年初頭の豪雪、長岡
地震、梅雨前線
豪雨、八月五日及び八月二十日の
集中豪雨等、相次いで
災害が発生し、その
復旧半ばにして第二室
戸台風の襲来となったわけでございますが、その全県
各地に与えた
被害は莫大なものがございます。
台風は佐渡沖を通過したため、最大風速は四六・二メートルの暴風となり、家屋の倒壊が相次ぎ、加えてフェーン現象による
火災まで発生し、九月二十七日現在までに判明した
被害だけでも、死者が三十六名、負傷者二千三百六十五名、
住宅の全壊が二千八百七戸、半壊一万八千六百十九戸、小壊九万四千九百六十一戸を数え、そのほか、公共建物、
農林水産業施設、
公共土木施設、その他の
被害を加えると、その
総額は二百五十六億六千万円に達する状態でございまして、今後
被害額はさらに増加する見込みでございます。
県当局は、
台風襲来の予報とともに、直ちに
災害対策本部を設置し、
被害を最小限度にとどめるよう万全の
措置を講じたのでありますが、不幸にいたしまして、前述のような
被害を生じ、ついに出雲崎町、西山町、燕市、田上村など五十六町村にそれぞれ
災害救助法を発動したのであります。御存じのように、この地方は新潟県における心臓部をなすところであり、穀倉地帯でもございます。また、今回の
台風による
災害は、
住宅並びに
農林水産業施設等、個人
災害が意外に多く、
全壊家屋に対する応急仮設
住宅の
建設、半壊家屋に対する応急補修工事の施行が急務であるとともに、稲作、果樹、森林、
水産等の
農林水産業施設や学校などの公共
施設、工場、商店などの
災害復旧も、早急に何らかの
措置が必要であることを痛切に感じて参りました。
なお、ここで私が特に視察
調査いたしました西山町石地地区について、一言申し上げておき
たいと思います。前にも申し上げたごとくに、本県は、豪雪、
豪雨、
地震、さらに
台風と
災害が相重なっており、
被災地域の困窮、悲惨な現状は見るにしのびないものがあったのでございます。西山町石地地区のごときは、部落の大半が
強風にあおられ、全壊、その他もほとんど半壊に近い
被害を受けておるのでございます。
台風被害というよりも、むしろ、大
地震により一瞬にして全滅したと言う方が、適切な表現であるかのごとき惨状を呈しておったのであります。町長を初めとし、部落民は、ただぼう然とその惨禍を見つめているばかりという状態でございまして、こうした貧困町村に対する国のあたたかい施策が、一日も早く強力に行なわれなければならないことを痛感して参りました。私は、心から皆さんを代表して激励するとともに、善処を約して参りましたので、
復旧の一日も早からんことを
お願い申し上げます。
最後に、本県におきまして特に強かった要望事項について、次の点を申し上げておきます。
第一、一般事項といたしまして、一、
災害の
調査査定を迅速に
実施し、
災害復旧事業がすみやかに処理されるよう特別の
措置を講ずること、二、小
災害に関する
起債の
特例並びに応急
対策及び税の減免等による特別の財政需要に対する特別交付税の配分。
第二は、
住宅対策に関する事項。これは第一、
住宅金融公庫の
災害復興
住宅資金の
融資限度額三十二万円以内を百万円以内に、また、補修費の限度額十六万円以内を五十万円以内に、それぞれ引き上げていただき
たい。第二は、
災害救助法による応急仮設
住宅の一戸十万円を二十万円に、応急修理一戸二万円を五万円に引き上げること、及びこの条件を緩和して農村、漁村に適した方法によることも認めていただき
たいこと。
第三は、
農林水産関係対策に関する事項でございます。一、早場米第一期供出期限の延長と、
被害米についても予約
対象分として買い入れること。二、
天災融資法の早期
適用と、
融資限度額の引き上げ。三、
農林漁業金融公庫の
災害関係資金の利率の引き下げと、すでに貸し付けた分の償還期限の延長。四、
共同利用施設の
災害復旧に対する
高率補助、以上でございます。
次に、民生安定、文教
関係対策に関する事項。一、生活保護法による家屋修理、補修費の特別基準設定にあたって、知事権限並びに
資金ワクを大幅に拡大すること。二、社会福祉
施設の
災害復旧に対する国庫
補助金の新設。三、公立学校
施設災害復旧費
国庫負担法施行令弟七条の改正による十万円以下の
災害復旧に対する助成
措置。
その他、幾多の問題が各市町村で質疑応答されましたが、地元民の真剣な要望がなされたことをあえてここにつけ加えさしていただきます。
以上が新潟県でございます。
次に、富山県について申し上げます。
富山県は、ここまたまともに第二室
戸台風の進路にぶつかり、午後の五時ごろから七時三十分ごろまでの間、県下全体が暴風雨圏に包まれ、死者九名、負傷者百七十八名の犠牲を出したほか、家屋の倒壊、
堤防の決壊、橋梁の流失、水稲の倒伏、立木の折損、その他果樹、蔬菜類に対する大きな
被害が発生いたしました。その大きさは、さきの
集中豪雨による
被害を上回るものでございます。
そのおもな
被害状況を申し上げます。
第一、人的
被害。今回の
台風の
被害で目立っているのは、人的
被害の大きかったことでございます。特に死者九名のうち七名までは、家屋の倒壊による死亡である点から見ても、風雨のいかに強かったかがうかがわれます。
第二、建築物
関係。県未曽有の
強風に襲われたために、建築物
関係の
被害は県下全域にわたっており、その額は五億七千万円に達し、西砺波郡と下新川郡が特に多かったようでございます。
第三、土木
関係でございます。今回の
台風は、風による
被害が多く発生しておりましたが、降雨量が少なかったために、最も心配されておった
河川の増水も、小矢部川、庄川、小川、上市、白岩等の
河川の警戒水位を突破しただけであったために、土木
災害は予想されていたよりも少なく、その
総額は二億五千万円
程度になっております。
四、教育
関係でございます。学校、図書館、公民館等の教育
施設の
被害は、四百三十一個所、五千万円余りになっております。このうち、学校の
被害はその六五%に及んでおるわけでございます。
第五、農産物
関係。これは、最も
被害の多かったものが水稲、果樹、蔬菜数の農
作物でありまして、水稲の倒伏は全県にわたっておりました。私どもの
調査を行なったときには、倒伏した水稲から発芽しておる状態でございまして、その損害
総額が二十億三千万円に達しておりましたことを強く申し上げて、その
対策を要望しておき
たいと思います。なお、その発芽の状態等は、現物を持って参りましたから、
委員の皆様よくこの実情をお認め願い
たいと思います。ではお手元まで配らせます。
次に、林業
関係であります。今回の
台風は、雨による
被害よりも風による
被害が特に目立っており、そのため、林産物に対する
被害も全県的に広範囲でありまして、杉、キリ等の流木の折損、苗木の損害等は、その額四億三千万円以上に及んでおります。
その他、公益
関係、
畜産、
商工関係等の
被害の
総額を加えますと、十月二日現在四十一億九千万円に達しているのであります。
以上のような
台風の
災害によりまして、
災害地の人々並びに県、市町村当局の強い要望がなされたのでございますが、そのおもな点を拾って申し上げておき
たいと思います。
一、
災害基本法の制定を
促進され
たいこと。一、山林樹苗、苗畑等に対する森林国営保険を
適用され
たいこと。一、
復旧融資資金を増加され
たいこと。一、防災
対策事業の方途を講ぜられ
たいこと。一、公立文教
施設の
災害復旧については、
特別立法等をもって国庫
補助の
高率適用とするとともに、
起債のワクを大幅に拡大され
たいこと。一、
災害復旧事業費の初年度割当額を五〇%にぜひ増加され
たいこと等でございます。
次に、石川県について申し上げます。
第二室
戸台風は、十六日の夕刻から夜半にかけて、石川県の南端加賀市から県の中心部金沢市を通過した後、能登半島を縦断して、富山、新潟方面に去ったのでありまして、その瞬間最大風速は、金沢において四十メートル、輪島において三十二・四メートルに達しましたため、その暴風による家屋、
施設、
樹木等の倒壊が続出いたしました。さらに、自由を中心とする県の東部及び南部の山岳地帯には、数時間にわたって激しい
集中豪雨が襲来し、
河川のはんらん、橋梁の流失、家屋の
浸水、
作物の冠水倒伏等、瞬時にしてその
被害が続出するに至ったのであります。九月三十日現在において、死者十一名、行方不明二名、負傷者二百六名、また、家屋等の
被害は、全壊二百五十二戸、半壊千三百六十四尺流失七戸、床上
浸水千五百二戸、床下
浸水二千八百三十戸、非住家
被害二千八百五十七戸となっております。さらに、耕地の流失、冠水、
道路の損壊、
堤防の決壊等、
被害は増大して、その
総額は八十一億五千万円以上にもなっております。
今回の
水害は、金沢市を中心として、主として加賀地方一帯に及んだものでありますが、金沢市の
被害は、市の中心部を流れる犀川のはんらんによるものでありまして、
堤防を越えた水は、市内第一の繁華街である香林防付近に達し、大正十一年以来の水禍を招いたのであります。また、県内第一の
河川である手取川も、
台風の通過に伴い、鶴来町付近においては警戒水位一・九メートルを突破し、最高水位は五・五メートルに及び、一時は大洪水の発生が憂慮されましたが、しかし、その後、夜半にかけて次第に減水したため、辛うじてはんらんの災禍を免れることができたのであります。
石川県は、本年初め、数十年来といわれる豪雪に見舞われ、その後、六月末から七月初めにかけては、
総額三十七億円に及ぶ梅雨前線
豪雨による
被害を受け、さらに八月十九日には、
北美濃地震による震災をこうむり、これらの
災害の傷あとのいえないうちに、今次の
台風による災禍に見舞われることになったのでありまして、相次ぐ
天災で県及び市町村はもとより、県民にははかり知れない打撃を与えておるのでございます。
なお、第二室
戸台風による
被害見込み額のおもなものを申し上げておきますと、土木
関係は十九億七千万円、
農林関係は三十一億四千万円、
商工関係はは七億七千万円、文教
関係は一億九千万円、
住宅関係十六億六千万円等でありまして、そのほか、厚生
施設、運輸
関係等、その
総額は八十一億五千万円に及んでおるのでございます。
なお、被災
各地を視察
調査いたしまして、県、市町村並びに被災住民の特に要望されました点を申し上げておきます。
一、
災害査定の早期
実施について。石川県におきましては、十一月以降気候が激変し、間断ない雨と雪に妨げられ、工事の
促進を期することができない現状にあります。その特殊事情を十分考慮し、
災害復旧の
促進をはかるため、すみやかに
災害の
査定を
実施され
たいこと、また、
災害査定の早期
実施に伴い、国庫支出金、地方債等もすみやかに決定の上、県及び市町村に交付され
たいというとでございます。次に、
河川改修事業の
促進。公共土木、
農林施設等の
国庫負担率の引き上げ。小
災害復旧の強化。被災中小
企業に対する特別
融資。
このような要望が強くなされたのでありますが、いずれもこれは急を要する問題でありまして、国の適切な
措置が必要であることを痛切に感じた次第でございます。特に、金沢市は
災害救助法発動を遠慮したのでございますが、その
被害が意外に多くて、その
対策は特に考えてほしいということも、あわせて、その要望が県民各位から十分なされたことを、つけ加えて申し上げておき
たいと思います。
最後に、福井県について申し上げます。
福井県は、すでに御存じのように、去る六月の
集中豪雨による
災害のため十一億円、引き続く八月十九日の
北美濃地震による
災害のため三十四億円の
被害を受け、その応急
復旧に努めておりましたところ、九日本土を襲った第二室
戸台風は、十六日にその中心が本県を縦断するという最悪のコースとなり、県全域にわたって膨大な
被害をもたらしたものでありまして、その
被害総額は百五十五億円の巨額に及んでいるのでございます。これらの再度
災害の
復旧は、県及び
災害市町村の貧弱な財政では全く不可能な状態であります。加うるに福井県は積雪寒冷地帯であるため、
災害の早期
復旧は真に緊急を要するものであることを痛感して参りました。
その
被害の
概況を申し上げますと、死者三名、重軽傷者八十六名、家屋
被害二万二百五十八戸、
災害救助法発動市町村五市町村、
被害額については、公共土木
関係が五十億二千万円、
農林水産関係が三十九億五千万円、商工、鉱業
関係三十二億六千万円等、その他、その
総額は、先ほど申し述べましたように、実に百五十五億円に及んでおるのでございます。
以上のような事情によりまして、県当局並びに視察
調査を行なった被災各市町村は、真剣に、また強力に、次のような点を要請しておりましたことを申し上げます。
一、土木、
農林災害査定官の至急派遣。一、公共土木、
農林関係施設に関し、
国庫負担の大幅増額等の
災害特別措置の
立法化。一、県、市町村の単独
災害復旧につき、特別
起債、
融資等の
措置、その元利償還の完全補給。一、地方交付税の大幅増額配付。一、
天災融資法による
資金、自作農創設
資金の増額。特に
天災融資法による
資金のワクの中にはフグも入れてほしいという要望があったことを申し添えておきます。一、農業共済金の前払い、
政府売り渡し米の概算金の払い戻し延期、及びその利子の免除。一、中小
企業災害復旧金融
特別措置の
立法化、特に金利は最高五分五厘とし、そのうち、二分五厘以上を
政府において利子補給すること。一、商工中金、中小
企業金融公庫、国民金融公庫の
資金量の増大、
融資ワクの拡大。一、
政府資金の地方一般銀行に対する低利預託。一、
住宅対策の早期確立。一、世帯更生
資金、母子福祉
資金の増ワクと
高率補助等の諸点でございました。
以上によって終わるわけでございますが、最後に、われわれが
調査に参りました福井県池田、美山及び上志比村について、特に一言申し上げておき
たいと思います。この地方は、
北美濃地震によりまして地盤がゆるんでいた上に、十六日午後四時ごろより三時間余りにわたって百ミリ以上の
集中豪雨があったために、
昭和三十四年七月、八月、九月
災害復旧工事完了を直前にして、一瞬にして
道路、
河川は決壊し、田畑、農業
施設等は跡形もなく流失し、その上、谷間より流出した
土砂は田畑を埋め尽くし、
河川に流入したために、
河川ははんらんすると同時に、川沿いの住家は至るところで流失し、収穫直前のために、食糧皆無の住民も出るという惨状でございました。村長を初めとして
被害地の住民は、総出でわれわれに
被害の惨状を
説明するとともに、真剣にその
対策について要望されたのでございますが、
台風期を控え、豪雪期を目前にいたしまして、第一に、小畑川、部子川、水海川等の
災害復旧、
砂防堰堤の新設と、小
災害の
復旧、
高率補助等、
災害防除の適切な
措置は、まさに急務であることを痛感して参りました。
文教
関係の点等につきましては、先ほどいろいろな
報告があった
通りで、特に変わった点のみを申し上げてみ
たいと思いますが、校舎、体育館等、文教
施設に多大の
被害をこうむりまして、われわれが視察
調査の道中に、その惨
たんたる
被害の現状を幾度か見たのでございます。北陸地方は、相次ぐ
災害に市町村の財政状態は極度に疲弊しておりますことは、前に申し上げた
通りで、莫大な
経費を要するこれらの
復旧並びに恒久
対策は、とうてい市町村財政のみでは
負担ができ得ず、大
部分を国の援助に待たねばならない現状でございまして、公立文教
施設災害復旧につきましては、特に強い陳情がなされたのでございます。
その陳情のおもな点を申し上げますと、公立学校
施設災害復旧費
国庫負担法の一部を改正して、
負担率を四分の三に引き上げること、応急
復旧工事費も
経費の一部として認めること、坪数は原形
復旧、構造は改良
復旧を原則として、一〇〇%認めていただき
たいこと、十万円以下の
災害復旧費についても
国庫負担の
適用を十分に認めてもらい
たいこと、並びに
災害復旧工事費単価を実情に即したもので算定してもらい
たいこと等でございました。われわれとしては、このような事情を十分に考えて、その適切な
措置はまさに急務であることを痛感して参りました。
政府においても、
被災地の要望事項については、十分な
立法措置及び必要な
行政措置を早急にとられんことを強く要望して、私の
報告を終わる次第でございます。(拍手)