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1961-12-01 第39回国会 衆議院 公職選挙法改正に関する調査特別委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月一日(金曜日)    午前十一時二十一分開議  出席委員   委員長 加藤常太郎君    理事 竹山祐太郎君 理事 丹羽喬四郎君    理事 佐野 憲治君 理事 堀  昌雄君       池田 清志君    内田 常雄君       江崎 真澄君    小笠 公韶君       仮谷 忠男君    牧野 寛索君       米田 吉盛君    戸叶 里子君       井堀 繁雄君  委員外出席者         衆議院法制局参         事         (第一部第二課         長)      日下 千章君         自治事務官         (選挙局長)  松村 清之君     ————————————— 十二月一日  委員金子岩三君、薩摩雄次君、田中  榮一君及び三和精一君辞任につき、  その補欠として牧野寛索君、内田常  雄君、江崎真澄君及び池田清志君が  議長指名委員に選任された。 同日  委員池田清志君、内田常雄君、江崎  真澄君及び牧野寛索君辞件につき、  その補欠として三和精一君、薩摩雄  次君、田中榮一君及び金子岩三君が  議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月三十一日  一、公職選挙法改正に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託され た。     ————————————— 本日の会議に付した案件  派遣委員より報告聴取  公職選挙法改正に関する件      ————◇—————
  2. 加藤常太郎

    加藤委員長 これより会議を開きます。  公職選挙法改正に関する件について調査を進めます。  本日は、まず派遣委員方々報告を聴取することにいたしまして、そのあと、これらの報告に述べられた問題点中心に、選挙法改正に関し、関係当局に対する質疑を行ないたいと思います。  なお、派遣委員近畿四国の二班に分かれまして、十一月中旬に現地調査をいたしましたが、調査方針といたしましては、それぞれ県庁の所在地において知事県会議長関係選挙管理委員会警察検察庁及び政党代表方々に御参集を願い、最近行なわれた各選挙実情府県市町村選挙管理委員会実態、常時啓発活動状況公職選挙法改正意見並びに選挙違反及びその取り締まり状況について聴取することにいたしました次第であります。  それでは、これより順次報告を求めることといたします。第一班、戸叶里子君。
  3. 戸叶里子

    ○戸叶委員 第一班の近畿地方調査報告をいたします。  第一班の派遣委員理事島上善五郎委員と私の二名で、去る十一月十三日から、三重県、和歌山県及び大阪府を調査いたして参ったのでありますが、その概要につきまして簡単に御報告申し上げます。  まず第一に、昨年行なわれました衆議院議員選挙実情について申し上げますと、三重県の有権者総数は九十一万六千二百七十四で、投票総数は七十一万七千八百五十一で、投票率は七八%、和歌山県の有権者総数は六十二万二千六百六十九で、投票総数は四十二万八千百四十、投票率六九%、大阪府の有権者総数は三百十二万五千四百十六名で、投票総数百九十六万七千八百八十二で投票率六三%であり、全国平均は約七四%でありますのに比べ、三重県を除いては全国平均を下回る低い投票率であり、大阪府に至りましては、大都市の例に漏れず低位で、全国最下位の成績であったのであります。最近の選挙傾向といたしましては、予告期間が長く、通常百日選挙といわれ、立候補を予想される関係者夢前運動が早くから見られ、後援会運動に名をかりた悪質な違反行為が非常に多く、選挙の公示が行なわれるころには実質上の選挙戦が終わっているという状態であります。  次に県、市町村選挙管理委員会実態については、三重県、和歌山県及び大阪府とも専任職員は少なく、大部分地方課職員兼務しており、市町村に至っては事務局設置しているところは非常に少なく、あっても名前だけで、事務所もなく、多くは市役所または町村役場総務課等事務を行なっている現状であり、また職員についても、専任職員を置いているところはごく少なく、ほとんどが少数の兼務職員をもって事務を扱っているのが現状であります。選挙管理事務誤りなく行ない、加えて、義務づけられている選挙に関する啓発周知等職務完遂のためには、その組織運営力との拡大強化が当然に要求されるのでありまして、この点につきましては、各地選管が、委員会事務局とその専任書記必置制及びこれに要する費用は国費をもって支弁されたい旨の強い意見が申し述べられました。  次に、常時啓発活動状況については、本年度は国においても 世論の動向にかんがみ、常時啓発の態勢を確立し、強力にこれが実効を期するため、常時啓発費の増額、交付税における所要の財源措置等を行なったため、各府県とも各種啓発事業創意工夫を加え、教育委員会、公民館及び婦人団体青年団等の各秘民間団体と常時緊密な提携を保ちつつ、話し合い活動指導政治講座開催等を行ない、また、話し合い助言者及び民間における公明選挙推進協力者の研修を強化し、その助言者中心としての啓発運動を推進する等の措置を行なっているとのことであります。なお小、中学校のクラス委員等選挙指導を通じて、公明選挙の理解を児童生徒のうちから深められたい旨の意見がありました。ここ数年来、市町村における啓発事業に対する意欲も漸次高まりつつあり、さらに年月をかけて推し進めていく必要があり、本年は財源が増額されたといっても、その額は僅少でありますので、啓発事業の裏づけとして、なお一そうの財源措置強化が望まれておりました。  次に、公職選挙法に関する改正意見についてでありますが、まず、現行選挙法各種選挙に関する選挙法規統一法典であるが、国会議員選挙地方自治体の議会並びに長の選挙を同一選挙法で取り扱うことは、選挙管理の実際、選挙運動の規正という点からも考慮すべき余地があるので、現行選挙法衆議院議員選挙法参議院議員選挙法地方選挙法と、各選挙別に別個の法律を制定せられたいという意見が、大阪府議会から出ております。  次に、選挙区の人口議員定数の不均衡の問題について、別表は昭和二十二年に定められたままで、五年ごとに国勢調査の結果によって是正するのを例とすると明記されているにもかかわらず、いまだ一回の改正も行なわれていない、その結果、総人口九千三百四十一万八千五面一人、議員一人当たりの全国平均人口は二十万三十九人となり、各選挙ごとに見るときわめて不均衡になっており、特に大都市では多数の票をとっても落選する、これではほんとうの民意が国会に反映されないから改正されたいとの意見が、同じく府議会及び政党代表から出ております。  次に、選挙人名簿については、住民登録を基礎にした永久選挙人名簿を採用し、投票の方法については可能な選挙から記号式投票制を採用し、その合理化能率化についての措置を講ぜられたいとの意見が、各選管より出ております。  次に、立候補制度に関する事項としては、公営を大幅に拡充強化するとともに、供託金の額を増額し、供託物没収点の引き上げを行ない、町村長及び町村議会議員選挙についても供託制度を設け、立候補の自由を乱用し、選挙公営制度を悪用する等により公馴化を阻害するものを抑制する措置を講ずること等の意見が、各選管より出されました。また都道府県知事及び市町村長は二選にとどめ、三選以上は禁止すべきである、政府高級官僚行政機構を利用する選挙運動を禁止させるため、退職後少なくとも数年間は立候補を禁止する規定を設けるべきであるとの意見が、和歌山政党支部から出ております。  次に、選挙連動関係については、言論による事前運動を認め、選挙運動に関する制限規定中、連呼行為の禁止、文書図画制限等取り締まり困難、または現実に守られていないものを規制することは、かえって法の権威を弱めるもとであるから、整理または緩和し、存置される制限規定の順守を確保するよう整備されたいとの意見でありました。連呼行為ごときは、市街地においては別とし、農山村におきましては、選挙民選挙熱を高める上にもぜひとも必要であり、若干の時間的制限を設けてでもこれを緩和すべきであるとの意見が圧倒的でありました。また、都道府県議会市議会議員選挙選挙区が同じものは、はがき、ポスターの枚数、供託金額等についての区別をなくし、選挙に関しての後援会活動規制措置選挙に関して候補者行付を強要することを禁止する規定等を設けよとの意見がありました。次に、罰則関係についてでありますが、まず、選挙権、被選挙権の停止の規定強化し、買収供応等の悪質な違反を犯した者に対しては、必ず公民権を停止すること、連座制強化し、総括主宰者出納責任者その他選挙運動上重要な地位にあった者の買収等違反については、検察官が公訴に付帯して訴訟を提起するよらう改め、また、選挙違反時効一般刑法と同列にし、逃亡被疑者並びに被告人捜査については、いわゆる総合手配制度を取り入れ、公開捜査に踏み切れとの意見取り締まり当局よりございました。  最後に、警察検察庁取り締まりについて申し上げます。  三重県では、昨年の衆議院議員選挙違反検挙件数は六百四件で、前回に比して二倍の数が出ており、和歌山県においては百八十七件という資料が提出されましたが、その大部分は悪質な買収事犯で、総体の約八〇%を占め、これに次いで文書違反戸別訪問その他となっております。違反の多い原因としては、選挙違反破廉恥罪でないという誤った風潮が強く、また、裁判制度当選失効を事実上回避できる等のほか、選挙公営が不徹底である反面、選挙運動の手段についての規制が合理的でなく、指導面を担当する選挙管理委員会権限が明確でない点などが、三重県において申し述べられました。  以上が三軍県、和歌山県及び大阪府における調査概要でありますが、本調査にあたって格段の御協力を願いました、県当局を初め選挙管理委員会警察検察当局並びに各政党支部に深く感謝の意を表しますとともに、いずれも熱心に忌憚のない御意見を述べていただきましたことに対し厚くお礼を申し上げまして、説明を終わる次第であります。
  4. 加藤常太郎

    加藤委員長 次に第二班、井堀繁雄君の御報告をお願いいたします。
  5. 井堀繁雄

    井堀委員 第二班四国地方調査について御報告を申し上げます。  最近行なわれました各種選挙実情並びに公職選挙法改正に関する調査を目的として、私と日本社会党堀昌雄君が去る十一月十六、十七、十八の三日間にわたって徳島高知香川の三県を調査して参りました。以下調査内容の大要について御報告いたします。昨年十一月に行なわれました衆議院議員の総選挙中心とし、最近行なわれました各種選挙実態を見まするに、非常に顕著なることは、まず、長期にわたる尊前運動によって選挙戦が開始され、きわめて悪質な選挙違反が増加の傾向にあることであります。違反件数のうちその大半は買収事犯であり、末端選挙人に対する投票買収が相当数行なわれており、この傾向市街地より郡部に多く、特に山間農村僻地に多く見受けられ、中には部落ぐるみ投票買収事犯など悪質な事犯が見受けられます。  次に、まず常時啓発活動状況から申しますと、本年は、全国的に見て大きい選挙のない年であり、公明選挙推進の年として、国においても、この運動民間から盛り上げようとする趣旨から、各都道府県民間団体からなる公明選挙推進協議会設置を奨励し、これに委託事業費として合計五千万円を計上しているが、この方針に従い、徳島高知両県においては公明選挙推進地方協議会設置し、その末端組織として市町村推進委員を置き、この協議会活動組織的に行なわれ、末端にまで浸透することによって、一般有権者の間に公明選挙の機運を強く盛り上げるよう、各地ともそれぞれ地域の特殊性など考慮しながら、広報車の巡回、座談会ポスター・コンクール、有線放送の利用などを通じ、各選挙管理委員会活動と相待って、一般民衆選挙政治に対する関心を高めさせるよら活発な啓蒙運動を行なっておりました。これらの運動は一種の政治教育運動であり、非常にじみではあるが、その効果は歩一歩浸透しつつあるようであります。  なお、本年度県段階公明選挙推進協議会設置に対して委託費を交付されたのでありますが、いま一歩これを進めて、市町村段階においても同様委託費を交付し、末端における啓蒙活動を強く推し進めたいとのことであります。  各地市町村選管構成を概見いたしますと、まず目につくのは、非常に高年令層の者が多く、この傾向末端選管にいくほど顕著であり、また婦人委員はほとんどなく、また、学歴別構成では小学校卒業程度が全体の半数以上を占め、党派別ではほとんどが無所属であります。  選管事務機構拡充強化については、本委員会においてもたびたび論議されておるところでありますが、現在事務局設置しているのは各県とも一市のみであり、僅少の市に専任職員を置いているものの、他の大部分市町村は長の事務部局職員兼務であって、選管事務、特に常時啓発事務については、片手間的に処理している現状であります。この運動の真の普及徹底を期するためには、都通府県はもちろん、市町村における選挙管理事務局をもっと充実させることが必要であり、財政措置を伴う専任職員必置制につき法制化が強く望まれております。  啓蒙運動関連投票率についてでありますが、香川県における一町村選管代表の言によりますと、投票率は高いに越したことはないが、棄権もまた有権者にとっての一つの大きな権利であり、皮肉なことには、投票率の高いところほど違反行為が多く、逆に、投票率が低いところほど公明選挙が行なわれているということで、あまり行き過ぎた運動は疑問ではないかとの発言がありました。  次に、選挙違反及びその取り締まりについてでありますが、高松高検管内四県における、昨年十一月二十日に行なわれました衆議院議員選挙における違反件数は、高松地検管内では一千五百四十四件、同じく徳島が八百二十九件、松山が八百九十七件、高知が二百十五件となっており、高知は他の三県に比較して違反件数が著しく少ないようであります。これは高知県民政治意識が他県に比べて高いことに基因するのか、あるいは検挙方針誤りに基因するのかは、にわかに断定はできないが、違反件数犯罪の態様について見ると、文書違反は、高松では十五一件、徳島が二件、松山が三件に対し、 高知は六十四件と非常に多く、政治意識をある程度暗示するものではないかと思われるのであります。  最近の選挙違反罪種別に見ると、買収事犯が圧倒的に多くて第一位を占め、次いで戸別訪問文書違反の順になっておりますが、買収事犯の形態については、現金買収は年々減少の傾向をたどり、それにかわり、多数の選挙人を対象とする部落ぐるみあるいは後援会の名のもとに供応、ふろしき、ハンカチ、タオル、石けん、砂糖、映画入場券など物品の供与、利益供与等多種多様であり、これらは組織的に巧妙、大胆に、あるいは潜行的に行なわれ、末端にまで浸透しているのが実情  であるとのことであります。このような買収事犯選挙人選挙意識とも密接な関連性を持ち、比較的意識の高い市街地に少なく、農漁村地帯に最も多く、金や酒食により選挙が左右されやすい傾向を示しておるのであります。  次に、最近は単純なる戸別訪問は減少し、これにかわって文書違反が増大する傾向にあるが、これは候補者氏名浸透をはかるため最も手っとり早く、しかも効果的であるからで、この種罪状の中には単なる形式犯ではなく、実質犯的なものも多く含んでおり、特に高知県下においてはこの種の文書違反が増大するとともに、質的にも悪質な、しかも組織的、計画的であり、漸次大規模なものになりつつあるとのことであります。  犯罪捜査上困難を生ずるものとして各地検当局から訴えるところでは、人権擁護とうらはらの関係にあるところから、証人に対し証言を強制する権限がないために捜査がやりにくく、実情がはっきりしてくるころには時効期間にかかってしまうこと、また、選挙運動者中幹部などの逃亡あるいは入院はいつの選挙においても見られるが、ここ数年特にその傾向が顕著であり、捜査に重大な支障を来たしているとのことで、選挙犯罪に対する公訴時効期間は、ぜひとも相当程度延長してほしいとのことでありました。  選挙法改正意見については、都道府県選管ないしは全国市区選管連合会あるいは法務当局が発表している改正意見要望書にほとんど尽きるので省略をいたしますが、投票について二、三の問題点を指摘されたので、これをお伝えいたしますと、まず不在者投票についてでありますが、封筒に投票者氏名を書くことになっているが、これは秘密投票制度に反するものではないかという点、代理投票において、字を書く能力がありながら書けぬと称して代理投票を行ない、また、その際大声で候補者氏名を呼び上げ、明らかに自分がだれだれに投票したのだということを周囲に確認させようとする者、また一般投票においてこれを見せ合いする者等、種々な不正があるが、これについて選管または投票立会人が強くその違反を指摘すれはよいのだが、陰にあって違反を強要する者が暴力をもってこれににらみをきかすために、結局これらを見ても見ぬふりをするとのことで、これについては警察官要請の是非が論ぜられました。  終わりに、去る七月九日に行なわれた香川県下の坂出市長選挙について、県選挙管理委員会に提訴中の事件について報告いたします。今夏行なわれた坂出市長選挙は、ほとんど勢力の伯仲する保守系鎌田春吉候補松浦薫候補との間で当選が争われたのでありますが、この選挙違反件数も多く、開票の結果は、わずか六十四票の差で現市長となった鎌田候補当選したのでありますが、本件選挙に際し、坂出市役所で行なわれた不在者投票数百票中、その大部分が正規の立会人を欠く等、選挙規定違反し、選挙の結果に異動を及ぼすおそれがあり、選挙の無効ないし当選の効力に疑義ありとして、松浦候補側選挙人から市選管に対し異議の申し立てがあり、同選管はこれを受理したが、審理の結果、理由なしとして棄却の決定を行なった。この決定を不服として、右の関係人から、弁護士阿河準一唐津志津磨を代理人として、県選管訴願の提起があり、同選管はこの訴願を受理し、投票の全部について調査を行ない、現況検証証人供述聴取等を行ない審議中であるが、近日中に県選管の裁定がなされるとのことであります。  以上が四国地方における調査概要であります。なお足りない点につきましては、同行の堀委員より御説明が願えることとなっておるのであります。以上をもって私の報告を終わります。
  6. 加藤常太郎

    加藤委員長 これにて戸叶里子君、井堀繁雄君、両派遣委員報告は終わりました。     —————————————
  7. 加藤常太郎

    加藤委員長 ただいまの派遣委員報告関連し、公職選挙法改正に関する件について質疑の通告がございます。これを許します。井堀繁雄君。
  8. 井堀繁雄

    井堀委員 私は、ただいま報告をいたしましたように、第二班に加わりまして四国地方に派遣されましたが、報告最後にありました坂出市長選挙関連をいたしまして、選挙法改正とも深い関係がありますし、また、地方市町村長選挙管理について、他の地方でも多くの問題を持つ事柄だと思いますので、少し詳しくお尋ねをしておきたいと思うのであります。  それは、先ほどの報告にもありましたように、この選挙は非常に激しく争われたのではないかと思われますのは、当時調査に当たりました検察庁並び高松地検報告あるいは県警察本部報告に明らかにされましたように、おびただしい選挙違反、ことに買収によりまして五百三、脱法文書頒布が五、選挙運動放送制限にひっかかった者二、合計五百十名の人が取り調べを受けまして、そのうちすでに起訴された者だけでも百七十人の多きに達しているのであります。非常に異例に嘱する選挙違反の数であるし、また内容買収などに多くの犯罪者を出している点は、かなり目立った点でありますから、当時私と堀委員から、県選管に対していろいろとお尋ねをし、取り締まり当局についても質疑を試みたのでありますが、その結果、先ほど報告いたしましたように、ある程度県選管から報告を受けたのでありますが、なおまだ審理中であるということで、全部の報告ははばかっておるようでありましたので、ここでは十分調査をすることが困難でありました。しかし、これにつきましては、県選管委員長報告によりますと、逐一自治省には連絡をし、また指導を受け、詳細な点においてはむしろ私ども報告する以上のことを自治省が御承知であろうという報告でございましたので、まず、この点についてどの程度自治省実情を聴取されておられるか、また、それに対するそれぞれの指導方針なり経過なりについて、詳しく一つ伺っておきたいと思います。
  9. 松村清之

    松村説明員 最初に申し上げておきたいと思いますけれども選挙管理委員会訴願につきましては、これはちょうど裁判のようなものでございますから、私ども自治省選挙局といたしましては、これに関与しないというのが従来、また今日の態度でございます。従って、今お話しのようなことはございません。ただ、やはり選挙関係しております当事者でございますから、東京へ出てきましたときには、こういう事件があったという報告は、私にはありませんけれども、私の局員にはあるいはあったかもしれません。従って事件内容といたしましては、ただ何か不在者投票の際に多少手続の上に、違法とまでは断定できないにいたしましても、適切でないものがあったというようなことは私も聞いております。ただ、先ほど申しましたように、私どもの役所の態度といたしましては、法律的解釈は、聞かれれば選管に答えるけれども指導というようなことは訴願については一切とらないという態度で終始しております。これがまた、訴願のあり方からいって当然なことであろうと思います。従ってただいまお話しのようなこと、詳細指導したとか、事件を一々聴取しているとか、そういう事案はないと申し上げておきたいと思います。
  10. 井堀繁雄

    井堀委員 これは私一人ではありません、堀さんも一緒でありますから間違いありませんが、県選管としては、法律的な解釈はもちろんでありますが、取り扱いその他で——ことに今度の選挙の結果を見ますと、ごく僅少の差で、しかもいずれも、一人は坂出現役助役であり、一人はお隣の高松市の助役といったわけで、これはあとでお尋ねしようと思うのですが、訴願については直接市の選管は管理できないにいたしましても、事務局に対しては指導的あるいは監督の役割を持つ、市長よりはむしろ実際的にその事務を担当している現役助役の争いであったというところに、問題が一つあると思います。  それから、県選管がそういう点を一つ考慮したことと、もう一つには、両方の候補者が今日の自民党背景を持つ、しかも、具体的にだれそれのということを申し上げることは適当でないかもしれませんが、一般には自民党の中の——委員長該当者でございますが、官房長官選挙区であります。そういう政治的な背景があるので、選管としてはどうしても多分に指導援助を求めたいという傾向にあることだけはよくわれわれにわかったわけであります。そういうものがあるなしにかかわらず、実際今日の選管におきましては、特に市の選管などというものは、そういうものを審査するだけのスタッフはもちろん持たない。また、今回のような訴願内容を見ますると、なかなか広範にわたって調査をしなければならぬと思うのですが、そういう費用は一体どこから出てくるか。今の委託費のようなものが相当あって、自由に流用できるというような場合ならばとにかく、今日のところは一切、市の自治財政の中から支払われる職員を使うよりほかにない。そういうスタッフも持たない、事務局もない選挙管理委員会では、そういうものを調査したり事実を審理するにも事欠くような実情であります。こういう関係か、市の選管が異議の申し立てを棄却してしまった。また、県選管がその審査を始めていますけれども、これも市と同様に、県費の負担によるスタッフによってやはり調査が行なわれるのでありますから、その面ではやはり全く自治省の指揮監督下にある職員なんです。そういうものの協力援助を待たなければ県選管審理を進められないというのは、いかんともしがたい事実だと思うのです。こういう点から、形式的には選管が異議の申し立てや訴願に対しては独立した裁断を下すべき制度になっていることは法律上確かですが、実質的には、今言ったような事情で、全く自治省意見を伺わないでは行動ができない実情にあると、われわれは判断するのであります。選管委員長がそういうことを申したというのではありませんけれども、暗にわれわれに理解を深めるような訴えがあったことは間違いないのであります。それで実はお尋ねするのでありますが、あなたは形式的にただ、訴願や異議の申し立てについては裁判と同様の性質で、独立した機関が独立した権限でやるのだとおっしゃられますが、形式論は別であります。今言ったように、事実上やれない。そういう点、言いにくいところはやむを得ないでしょうが、実際問題でありますだけに、もっと具体的にはっきり言っていいのじゃないかと思う。そうでないと、また別の質問をしなければならぬ。
  11. 松村清之

    松村説明員 それは、幾度申し上げても同じでありますが、実際上やっておりません。やっておりますのは、法律問題についての解釈を聞かれた場合に、それをやっておるだけでございます。
  12. 井堀繁雄

    井堀委員 それではこの際はっきり念を押しておきたいと思いますが、もちろん形式的には異議の申し立て、訴願などについては、裁判と同様に、選挙管理委員会が全く独立の立場に立って、そして何ら他の牽制や指導を受けない、また、してはならぬことは言うまでもないのですが、今後そういうことの絶対にないということを、この際確約を取りつけておきたい。
  13. 松村清之

    松村説明員 これは今後とも従来同様に、法律解釈について見解を申し述べる以外には指導関与をいたさない、そういう方針で臨むつもりであります。
  14. 井堀繁雄

    井堀委員 方針ではなくて、そうしないということを一つはっきりいたしてもらいたい。
  15. 松村清之

    松村説明員 自治省選挙局としては、先ほど申したように、法律解釈以外はいたしません。
  16. 井堀繁雄

    井堀委員 次に、それでは法律解釈についてお尋ねをいたしたいと思うのですが、私の手元にその後関係者から陳情が参っております。須崎荒太君外九名の人が、それぞれ書面によって私のところに陳情をいたしております。その陳情書に基づいてと、それから一つは、私どもが直接調査に参りました際の県の選挙管理委員長からの報告に基づいてお尋ねをするわけであります。私はそれ以上の事実は承知しておりませんので、もし私の質問が事実に相違しておるような場合がありますならば、御承知の場合、御指摘をいただきたいと思います。  この陳情書によりますと、先ほど県選管で聴取いたしました一部が報告されましたように、僅少の差でとにかく当選決定しているということは間違いない事実ですから、これは必要ないと思います。そこで、その選挙の無効並びに当選の無効を訴えている理由が、三つばかりあるようであります。その中で一番私の重視しております点を一つお尋ねをいたしたいと思います。これによりますと、不在投票が非常に多い。これは一般の例も相当あるようですが、不在投薬が多い。百数十票も不在投票がある。その不在投票がここで問題になるという提訴でありますが、それによると、証人の証言がありますから、これから先に申し上げた方がよいと思います。間違っておるかもしれませんから。不在者投票について、坂出市与島町石材運搬船長岡崎弘一君の証言が、文書によって出ております。これを読み上げます。「私は昭和三十六年七月九日施行の坂出市長選挙不在者投票のため七月七日朝千当海運第一便で坂出にむかいました。濃霧のために到着がおくれ十持前に船着場にあがり自転車を借りて、十時頃に市役所の受付で投票所をたずねました。二階に上り管理委員会の室に行き入場券を見せ、不在者投票所と書いてある室にはいりました。その室には三十才余りの男の人が一人だけ腰掛けていました。用紙に記載しようと机の所にいきますと、鉛筆だけしかないので大事な選挙に鉛筆書きとは思い乍らその人に「鉛筆でなく、筆と墨はありませんか」ときくと「鉛筆書きでよろしい」といいますから用紙に書き入れて封筒に入れて糊ではり記名をしてから「封に割印は」とたづねますと「割印は捺さなくてもよい」と言われ、投票箱もないから係員か立会人か判らないがその男の人に渡して出ました。私は石材の運搬船に乗りますから今までどの選挙に付いても毎回不在者投票を致しておりますが、此の度の不在者投票は鉛筆書きと割印なし、投票箱なし、立会人と係員が兼務して一人しか居らないと云う様にあまりにもザットしているので不審に思いましたから与島に帰り翌日か翌々日かに与島駐在所の大平さんに市長選挙不在者投票に関して、お話し致し「私が船出して留守中に何か之等に対してある場合は証人として証言するから」と申入れてあります。大平さんも私の申入れを了解してくれています。右の通り相違ありません。昭和三十六年七月十七日」こうなっております。この文書の中で、投票立会人がいなかったということが一つ重要だと思います。  まずお伺いしたいのは、不在投票である場合には、立会人がいなくてもいいか悪いかということが一つ。この点についてお伺いしたい。
  17. 松村清之

    松村説明員 管理者と立会人と両方いるのが原則でございますが、何かお話しによりますと、部屋が半分仕切ってございまして、隣に管理者なる者がおった、それが事実のようでございます。
  18. 井堀繁雄

    井堀委員 この文書による証言はそう言っております。それから訴願者の主張によりますと、立会人がいなかったという証言が非常に多い。それから当局は、立会人職員兼務してやっていたという主張をしておる。その食い違いがここに出ておるようであります。そこで、立会人のいない場合の投票はどうか。それから、県選管職員立会人になることが可能なのかどうか。その二つの点について伺いたい。
  19. 松村清之

    松村説明員 立会人がいないということになりますと、これは法律の問題が起きてくると思いますが、何か私がちょっと聞いておるところによりますと、それは職員立会人を兼ねておった、こういうことのようでございます。これは県選管の人がちょっと立ち会ったときの話を聞いたのでございますが、そうしますと、職員兼務ということになりますと、これは必ずしも適当ではないのですが、違法なものではないのじゃないか、そういうふうに考えております。
  20. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたは県選管からそのことについては何も相談を受けないと言っておられますけれども、かなり詳しく承知しておりますね。
  21. 松村清之

    松村説明員 今の法律問題がありますので、職員の方からちょっと聞いただけの話で、大体その程度しか知らないわけであります。
  22. 井堀繁雄

    井堀委員 そこで、今の問題の中で疑問を感じますのは、不在者投票の場合の管理者が立会人を兼ねた場合には、それは差しつかえない、違法ではないという解釈でございますか。
  23. 松村清之

    松村説明員 職員立会人を兼ねた場合は、違法ではないというふうに考えておるわけですo
  24. 井堀繁雄

    井堀委員 職員が管理者の場合は。
  25. 松村清之

    松村説明員 今申しました通り、管理者と立会人が兼ねておったといたしますれば、違法であるかどうか、ちょっと今申し上げにくいのですが、そういうことが事実とすれば、多少法律上問題が出てくるのじゃないかというふうに考えております。
  26. 堀昌雄

    堀委員 法律解釈でちょっと微妙なところがありますから、法制局のだれか一つ出てきていただきたい。
  27. 井堀繁雄

    井堀委員 昭和二十七年六月二十七日の全選発第二七九号に、あなたの解釈が出ているのです。これを参考にちょっと読んでみましょう。「令第五十六条の規定によって行う不在者投票の場合、同一人が不在者投票管理者と同条第二項の規定による立会人とを兼ねた事実があるが、このような手続によって行われた不在者投票は、その間に何等の不正が介在しなくとも法令に違反した手続によるものとして、すべて無効たるべきものか。」という問いに対して、自治庁は答えとして「無効と解する。」となっておりますが、これはきわめて明確なんで、あなたはこれに対して何か疑義をお持ちのような答弁でありますが……。
  28. 松村清之

    松村説明員 確かにお話のような解釈がかつて、これは十年前ですけれども、出ておりますので、一応、同一人が兼ねておったとすれば無効ということに、今のところそうしておかざるを得ないと思います。これは一応私ども解釈として出ておりますから。
  29. 井堀繁雄

    井堀委員 そうしますと、あなたは先ほど疑義があるとおっしゃっておるのですけれども、きょう私がこういう事情をあげて伺えばその解釈を変えられるようでありますが、そういったような確たる態度じゃなしに選管の御相談を受けられるということは、先ほど私が冒頭にお尋ねしたように、まあここに問題がありますが、他の選挙管理事務などについては、自治大臣が指揮監督することは他の法律でも明らかでありますから、そういうものと、とかくこういう裁判に類する独立した権限を行なう場合との区分けというものは、実際そうつくものではない、こういうことが実態のようでありますけれども、あなたは形式上お答えになったのでありましょうが、いずれにいたしましても、言葉の節々に現われておりますように、これは、県選管は何も法律専門家でないことは、その選管委員長並びに県選管の経歴を拝見いたしましてもわかっております。もっぱら自治省指導を受けなければ、こういう事務は遂行できないのが実情だろうと思います。香川県の選管の場合にとりましては、ことに私今お尋ねをいたしましたように、投票立会人がいない場合、またその投票立会人選挙管理者が兼ねていたというような場合は、なかなか専門家でも判断に苦しむような非常に複雑な法律解釈が、今回の選挙無効あるいは当選無効の訴願決定する基本的な問題になっておる。事実問題は別として、法律解釈としては……。そういう法律解釈について相談があることは、私は当然だと思うのです。そういう場合に、自治省に相談しないで、どこかほかの専門家に委嘱したり、そういう委嘱するための費用や、そういうようなことは県選管が今日やり得るような実情であるのかどらかということを、一つお聞きしておきたい。これは私は特に言っておきますけれども、これが無効か有効かということで、私がどうしようという意思があるわけではないのです。ただこういうことは、今、選挙法改正に当面しているときでありますから、そういう選管はあってもなくてもいいようなものでありますからね。片方にはこういう当選の無効かどうかを決定するような重要な権限を持たしておいて、そういう権限が実際行なえないようなものを置くことは、法の冒涜のみならず、選挙に対してむしろ有害な条項になるのでありますから、改正についてはよほど考えなければならぬことだと思うので聞いておるのです。坂出市長当選が無効になるかどうかということは、私は格別興味がない、と言ったら失礼ですけれども、そのことよりはむしろ、今後の法律改正に臨んで重要な問題だと思いまするからお尋ねをしておるので、とらわれないで一つお答えをいただきたい。
  30. 松村清之

    松村説明員 先ほども申し上げておりますように、法律解釈については、聞かれたならば私の方で法律解釈は示すということは申し上げておるわけです。これは法律を主管しておる自治省が一番よく解釈に適しておると思いますから、それは従来もやっておりましたし、今後もやるつもりでおります。
  31. 井堀繁雄

    井堀委員 それで大へん明らかになったから私は質問しておきますが、あなたは全然このことについて相談を受けないようなことだったんですが、法律解釈が、今の坂出の場合には三つばかりあげておると申されますけれども、その中の中心をなしておるようであります。もしその申立人あるいは訴願人の主張が事実だとするならば——これが事実かどうかは別の問題として、事実だとするならば、今の証言にもありましたように、一人だけしかいなかった、一人では立会人もできませんね、だからこれは、立会人がいなかったということです。これは法律解釈はきわめて明確なんです。あなたも言っておられるように、立会人がいない場合には無効、これはっきりしておる。それからもう一つの場合は、これは市の選管がそう言っておるのか、県か、それはわかりませんけれども、それによりますと、他の証書の場合には、選挙管理人が立会人を兼ねたという場合にはどうかというのが一つあったはずです。これについては今法律解釈で私とあなたとの間に質疑応答を行なっておるわけです。この場合に、あなたも私には即答はできぬほどむずかしい問題だ。私がここで二十七年のあなたの方の回答を読み上げたら、それはそうだったという、こういう調子なんです。私もこれを調べなければ、とても私の判断ではわからぬのです。これは法制局の力を借りて調べてもらって、これは専門家の御努力に待つ、そのくらいにしないとわからぬ問題なんですね。一例をあげたわけですよ。私が今お聞きしておるのは、この法律解釈をどうこういう前の問題なんです。こういったようなものを今日の選管でどう判断するかということは、あなたのところに相談する以外にありませんね。それはどうですか。
  32. 松村清之

    松村説明員 ちょっとそのお言葉の趣旨がのみ込めなかったのですが、結局最後法律の問題にぶつかるわけでございますから、その前提として、こういう事件の場合に、それが法律上どうなるか、こういうところはおそらく今までも私ども当局の担当者の方でその事実を示してもらって、それについての法律解釈というものはやってきておりました。
  33. 井堀繁雄

    井堀委員 事実の問題は私はまた別にしているのです。今議論しておるのは、こういう不在投票のときに立会人投票管理者が兼ねた場合というようなものは、これはとてもわかりにくいんですよ。だから、ましてや選管はそういう法律知識を持っておる者が一人加えられなければならぬという規定でもあれば、これは安心していられると思うけれども、そういう規定は事実ありませんし、現実に今起こっている香川県の選管のすべての人の経歴を洗ってみますると、法律家がいないのです。法律家があってもなかなかめんどうなんです。そうでしょう。そういう場合に、選管は一体どうするのでしょう。その判断を迫られておる。法律では六十日以内を目途にしてとなっている。だから、そういう場合はあなたの方の御答弁によりますと、自治省に相談に来ることになっておる。自治省法律解釈についてお答えする、こうなっておる。法律解釈と簡単にあなたはおっしゃられますけれども、こういう事案というものは、事実問題と関連して判断を加えなければ、仮定した事柄について聞くというだけでは意味がないことです。だからそういう点をぼかさないで、もっとわれわれ真剣に、今後の選管のあり方というものをどう判断するかということは大へん大事な問題だと思うので聞いておるので、何も責任を追究するのでも何でもないのですよ、誤解しないで下さい。それから、どっちに味方しようということではございません。どっちでもいいのです。正しい事実さえつかんでいただいて、それに基づいて正しい法律解釈が下されれば、それでいいわけです。私は別な意味は持っておらぬということは何回も申し上げたわけです。だから一番大事なのは法律解釈なんです。その通りなんです。だから私はちょっと試みたのですよ、あなたとの一問一答を。最初立会人ということで、その次は選挙事務をやっておる人、その次は選挙管理者、これは一般の人ではわからぬのですよ。そうしてこれはもしその選管が無効だと決定すれば——もちろんまだ裁判の道は開かれておりますけれども、それだったらこういうものはない方がいい。  それじゃなお法律解釈のことで伺ってみたいと思うのだが、どうして一体こういう異議の申し立てを市町村選管が、それから県の選管訴願したそういう法律行為を、個々に選管の権利権限規定したということは、自治省はどういうふうに解釈されているか、一つこの点をまず伺っておきたい。
  34. 松村清之

    松村説明員 これは普通の行政の場合にも同じでございますが、まずある行政処分といいますか、行政行為をやったところに反省を示す意味で、異議の申し立てというのを市の選管がやって、それで一応考え直させる。それについてなお異議のある場合に、上級の都道府県選管に持ってきて審議させて、その上で初めて省に持ってくる、裁判の前に訴願あるいは異議の申し立てという制度を設けて行政当局に一応判断を求めさせ、その上で裁判へ持っていく、訴願前置主義といっておるようですが、そういう一般の方式にのっとって、そういう制度が設けられておるものだと思います。
  35. 井堀繁雄

    井堀委員 どうも私は常識でものを言いますから、法律家にはやはりそれは通らぬでしょうが、とにかくなるべく早く結論を出すということがこの場合に望ましいので、だから法律でも三十日とか六十日とか、裁判についても百日裁判というようなことがいわれているのは、この事案というものはなるべく早く結論を出すという趣旨のように思われるのですが、この点はどうなんです。
  36. 松村清之

    松村説明員 期日を限っておりますのは、もちろん早くするという意味ですが、こういう訴願あるいは異議の申し立ての制度というのは、そういう意味よりも、むしろ私が今申しましたような行政の一般の法則にのっとった制度だと解釈をいたしております。
  37. 井堀繁雄

    井堀委員 一般の法則というけれども、こういう制度を残すか残さぬかと仮定しての話ですけれども、いい制度ならこれはもっと内容を改善して、悪い制度ならやめた方がいい、そういう点で、この事案について、教えられる者は迷うのですね。事実問題については、市町村選管あるいは県の選管が一番実情に明るいと思う。裁判所にいきますと、やや実態に遠ざかってきますから、そういう点の特徴は、私はこの制度は非常に急所をついておると思う。だから、そのいいところを生かせるような制度の運営が行なわれておるかどうかが、このわれわれの調査の目的の中に大きく浮かび出てくる。そう一いう点で実は伺っておりますから、急所がわからぬから、はっきり言って下さい。そういう点で、今もお尋ねしたように、市の選管に至っては、県の選管よりさらに法律については縁の遠い人たちだということは言えるのです。それで却下の理由も、実はあなたも報告を受けておると思うが、あいまいなうちに却下してしまった。これについて二つの疑義を感ずるのです。一つは、そういう事実に明るいから、その事実に照らして疑う余地のないものだから却下したというふうにすれば、りっぱな制度の運用だと思う。ところが、残念なことには、その選管には、事務局はさっき言うように人がいないですし、それから選管委員の人たちは兼職もひどい、さっき教育程度その他で一般的なものを報告しましたように、そういう人たちにこういう難解な問題を突きつけるということ自体が、私は少々無理なことだと思う。そういう法律解釈についてはということをついていけば、自治省にちゃんと専門家がいてお答えし、相談に乗ることになっているが、その事実を聞こうとすると、あなたの方は、何かそういう紛争には入りたくないようなことで逃げようとされる。そうすると、実際問題からいきますと、もう市の選管というものは、あなたのところに相談に行かれたかどうか知りませんけれども、おそらくこの事実からいきますと、とにかく当選したのは市長さんですから、その市長さんが指揮監督、任命権を持っておる職員が、その市長に不利益になるようなことを、不利益どころではなくて、資格を失うような決定的な判断材料やそういう調査に努力するはずがないことは人間の常です。この矛盾を私どもはまず第一にこの問題で感ずるのです。そういう点に対して、長年こういう問題に取り組んでおられます専門家のあなたが、この際明確な意見を述べる時期じゃないか、法律についてじゃなくて、この事案について伺います。だから、もう一ぺん聞きましょうか、市の選管が却下したのについて、一体、こういう問題の法律解釈まで検討されたものと思われますか、そうでないと思われますか、この点について一つ……。
  38. 松村清之

    松村説明員 私は市の選管がどういうふうにしたか知りませんのですが、一般的に言えますことは、市の選管都道府県選管法律問題その他を聞いておりはしないか、そういうふうに推測いたします。
  39. 井堀繁雄

    井堀委員 それでおわかりのように、県の選管がその判断に苦しんでおるようなわけでありますから、市の選管にそういう回答が与えられるはずはないと思います。ですから、この異議の申し立てを却下したということは、制度の上からいうと、大きな盲点になると思う。それから次は、県の選管があなたのところへ相談にこられても、国会であなたに質問しても、選管が立ち合いを兼務したときはこれはどうかと思うというようなくらいでありますから、選管にははっきりした答えをしていないに違いない。それで要するに、もしこれを、提訴をどのように裁定するか知りませんが、その裁定はどだいむちゃだということがこの場合は言える。それからもう一つ法律解釈で疑問になりますのは、不在投票立会人に関する規定違反の問題です。これとこれとが二つ関係してきますが、これも何も聞かなくてもいいと思いますが、これは昭和三十五年一月二十九日、自治庁の選挙局長の回答書が出ております。これはこういう問いが出ておる。「町長及び町会議員選挙の同時選挙において末記のような事実がある場合」ということで、一、二とこうあります。一は、「町選挙管理委員会書記(以下「書記」という。)は、委員長不在者投票の管理を補助執行したもので立会人を欠いていたものと思うがどうか。」二は、「本件の場合、単にその投票が無効となるのみでなく選挙の管理規定違反として選挙無効原因と解すべきものと思うがどうか。」そして「(末記)」に、1として、「不在者投票管理者である委員長は、不在者投票事務は町役場で行うこととし、その旨を告示した。そして、不在者投票は、役場階上の一室で行ったが、その室には書記一名のみが在室し、一二六名の選挙人不在者投票をさせた。」2は、「委員長は、不在者投票の取扱期間中、役場に在庁したこともあるが、その場合においても右不在者投票を取扱った役場階上の室には在室していない。」3は、「書記は、不在者投票用封筒の裏面に投票年月日及び場所を記載するとともに、不在者投票管理者欄には委員長の職氏名を記載し、立会人欄には自己の氏名を署名して保管した。」4は、「右一二六票の投票は、投票当日各投票所においてすべて受理せられた。」そしてその答えについて、自治庁は、「一、お見込のとおり、」「二、お見込のとおり」、という答えをしておられる。そうすると、この場合には、この選挙事務関係しておりました書記が立会人になる、その場合はその不在投票は無効だということを、自治庁は三十五年一月二十九日の自治庁選挙局長回答で明らかにしております。この二つは、今回の訴願の場合にも関連してくる事項だと思うのです。こういったような事例からいいますと、今回のこの訴願人の言うのは、これは私は事実を知らぬからわかりませんけれども、これによりますと、この二つをあなたの解釈からいきますと、どんぴしゃりで、それともあなたの方で事実について疑問を持たれるときはどうするのですか、選挙管理委員会がこれこれの事実について法律はどう解釈するでしょうかというお尋ねがあった場合に、こう回答するよりほかにしょうがないと思うのですが、どうなんですか。
  40. 松村清之

    松村説明員 ただ、この件は広島の事件ですが、広島の事件と今度の事件とは少し事実が違っておるようでございます。この場合には管理者と立会人が全く隔離された場所におったのに対し、今の香川県の場合は、少し部屋に仕切りはありますけれども、同じ大きな部屋におった。ここに法律を適用するにあたっての解釈問題に、この広島通りにやれるかどうかという問題点が残ると思います。
  41. 井堀繁雄

    井堀委員 だいぶ事実問題をあなたの方は御承知のようですが、先ほどは、事実問題についてはとにかくとして、法律解釈だけに相談に乗っているというお話でした。それで最初あなたに聞いたのです。法律解釈というけれども、こういう疑義を持つような場合は、事実問題が微妙に動いている場合に問い合わせがくるというのが私は普通だと思う。判例とか法律に明文化されたような事柄は、読み方でむずかしいところもありますけれども、事実を十分理解しないで、相談に乗るということは、私は、自治省としてはないはずだとお尋ねしたのですが、いやそういうことはないのだとおっしゃった。ただ法律解釈だけやる。それでは私はこういう問題の回答にならないと思う。あなたはいろいろ立場上ありましょうけれども、事実を詳しくつかんで、そしてその法律はこういう場合にはこういうように適用されるべきものだという判断を下さないと——こういう場合にはどうこうという回答ならいいと思うが、これは文書できたのじゃないでしょう。そういう部屋が一つとか二つとかいうことは、かなり事実問題としても重要な部分に該当するということをよく御承知のようですが、さっきあまり承知してないようなことをおっしゃったが、よく承知しておられるじゃないですか。そういうことをよく承知しないと、そういう回答はむずかしいんじゃありませんか。だからいやしくも法律解釈といえども、十分事実を把握されて法律解釈を下すべきであるというのが選挙法解釈じゃないか、私は最初そう思ってお尋ねしておったが、そうじゃないといってけられた。そのために大へん時間をとってしまった。あなたは、相当坂出についての事実を承知しているのでしょう。どうですか。
  42. 松村清之

    松村説明員 それは先ほど言葉が不十分だったかもしれませんが、法律解釈をする以上は、その法律を適用するその事実というものを詳細につかまなければ法律解釈はできないわけですから、私どもは、その法律解釈を尋ねられるときには、その事実というものを詳細に知ります。私が先ほど申し上げたのは、こちらから積極的にいろいろ選管指導したり、関与したり、そういうことをしない、こういうことを申し上げておるのでありまして、法律解釈はやっております。法律解釈をする以上は、それに関する事実を詳細に知ることは、法律を適用する者の当然の義務だ、このことは前提に含めて申し上げたつもりなのでございます。
  43. 井堀繁雄

    井堀委員 そこで、あなたのあげ足をとるのじゃないから誤解しないでいただきたいが、私が最初事実問題をお尋ねしたら逃げられた。だから、その、とき譲って下さればよかった。私は、先に事実問題をお聞きしたいから聞いた。事実問題は、私ども調査によってさっき報告したところにも明らかです。それで私のところにきている陳情は、むしろその一部で、あなたの方にはもっと詳細なことがわかっていなければならぬと思う。全体がわかるということは、法律解釈をする上に必要であると同時に、選管の行為が誤らないようにという配慮がなければならぬはずだと思う。そこら辺は言葉のあやじゃないでしょうか。もっと事実問題を正確につかみたいというのが私の質問の目的ですが、事実を知るということは、選管と緊密な連絡がなければ、あるいはあなたが現場に行かなければできない。それで一番現場の実情に明るいのが、市の選管あるいは県の選管です。だからその意見が尊重されるところに、この制度が生きていくのではないかということを私は繰り返して申し上げているわけです。そうすると、その選管意見なり協力を求める内容というものは、事実についてですから、その事実をどう把握するかということについて関係なしに法律解釈のあり得るはずはない。だから、その事実問題について私が聞こうとしたら、あなたは逃げられる。問題は、事実について、私がもう質問するよりもあなたはよけい詳しく知っておられるはずです。そこで、これは県の選管があずかってからもうかなりになるようですが、県の選管で裁断が行えないのは、一体どういうわけでしょうかと言って聞いた方がよかったかもしれない。これはお答えできますか。選管はまだ裁定を下していないようですね、あるいは下したかもしれませんが……。私が行ったときには、下すのがちょっとむずかしいようでした。私はいいかげんなことを言っているわけではない。選管委員長の名誉を傷つけるようなことは、申したくないと思いますが、私どもは非常にむずかしいと思う。そこで自治省と絶えず連絡をとり、指導を受けていると言っておられるから、その言葉をどうこう言うのじゃないが、当然市の選管、県の選管としては、自治省指導を当てにして問題を運んでいる、こう解釈して間違いがない。指導しておられる。だから、していて、していないような顔をするのが一番いけない。ですから、することがいいかどうかということは、いろいろ問題があると思うが、こういう場合は指導なしにやれないという事実は、これだけ時間をかけてようやくお認めになった。それならさっぱりと最初から言っていただかなければいけない。そこで、これはよけいなことで、私の聞いたのは間違いかもしれないが、選管委員長は、公の政治的立場としては当選した方の側らしい。それから個人的には姻戚関係に縁のつながる人がいて、それが落選した方の戸田という人だということを聞いております。ですから個人的にも非常に困るような問題でありましょう。そうして、判断が、今言ったように選管の判断に大幅に依存するような決定が待たれるというような事件のようにとられている。そうすると、今度はそれを判断をするのに困ったから、自治省法律解釈と称して事実問題までぶちまけて、そうして裁定を下すということになるというのがこのケースじゃないかと思う。ですから自治省の責任も非常に重大なわけです。ところが今のところそういうことをやっておられない。これからやられるわけでしょうから、今後の問題に属しましょうが、そういう問題で非常に興味のある事案だと思ってお尋ねしたわけです。これはどうも真実を言っていただけないようですから、じりじりしているわけですが、あなたの立場もわからぬわけではありません。しかし、これはとにかく不在投票ということがきめ手になってしまうわけですね。それで、さっきの広島の例を持ってくるならば、不在投票が無効だということになると、四十六票くらいの差ですか、あるいは六十四票くらいの差ですか、片一方は莫大な不在投票がありますから、そうすると、たちまち当落が変更されてくるような事実になってくる。これははなはだ重大ですよ。それだけに争いは深刻だと思う。それでこれを裁判に持ち込んで決定を持つということになると、これはやむを得ぬことかもしれませんが、そうだとすれば、こういうめんどうな異議の申し立てや訴願の手続というものは、何のために存在するかということにもなってくるし、そういうふうに発展してくると、法律改正の中に大きな問題だと思われるのですが、あなたにいい答弁をしていただこうとすると、事実問題に関連してくるものだから、その渦中に飛び込むというようなことは、官房長官選挙区であり、加藤委員長選挙区であるということで、有形無形に問題が深刻化してくる。だけれども、そういうものを乗り越えて、われわれはこういうものの審査をしようということなんですから、もともとむずかしい問題だと思ったのですけれども一つ明らかになりました。  そこで、市の選管、県の選管について、この際私がすぐ必要を感じますのは、市の選管についても、法律顧問を置くくらいの予算が必要になってきはしないかということです。すなわち、当選した市長さんの判をもらわなければ予算がもらえない。そうして金をもらって、その金で弁護士を雇うとか、法律相談の費用にするとか、事実を調査する費用を作ろうとか、それを手伝ってもらうために市の職員をわずらわせるというようなことは、こういうものの事実をつかむためには、全くむちゃなことではないかと思われます。この点はどう思われますか。
  44. 松村清之

    松村説明員 現在のような機能を選管が持っておる以上は、法律に詳しい人を持つということは望ましいことだと思います。
  45. 井堀繁雄

    井堀委員 今度の調査でも出ておりますように、市の選管にも事務局をほしいという主張、またそれに対する独立した経費、要するに国の委託費のようなもので、市長の干渉を受けない経費が必要だということが、かなり明らかになったと思う。そういう点で、異議の申し立て並びに訴願の道を開いて、選管に公正な行為を行なわせようということについては、予算をつけなければならぬということが明らかになったと思う。きょうは大臣来ておりませんけれども、ぜひそういう予算を  つけて、公正な判断を下すことのできる材料の収集、それからそういう知識を他から求めることのできる余力を財政的にもつけてやる、そういう場合の職員を臨時で置くか、事務局に常設のものを置くかは、予算の規模によりきまることだと思うが、規模は別として、予算はつけなければならぬということは一つ明らかになったと思います。  次に県選管の段階でありますが、県選管はさらにその上のクラスで、さっきのあなたの御答弁で明らかになったように、市町村選管は、こういう事態については県選管指導を仰ぐわけです。ところが指導するスタッフも何もない、兼職である。ここで報告が漏れましたけれども、今までの委員手当を見てみますと、府県選管委員手当と他の公の委員費用を見ますと、非常な差がある。金額は、別に報告書を持ってきておりますが、それを見ますと、日当にもならない。ですから、全く犠牲的奉仕なんです。ここにも矛盾がある。だから、少なくとも選管委員の手当といいますか、報酬というものをある程度組まなければならぬ。そうしなければこういう問題が起きたときに、どうにもならぬでしょう。  それからちょっと聞きますが、選管は、何かついでがあったときに出てこられて、あなたに御相談をされるということをさっきちょっと言われました。こういうことは、ついでのときで間に合うのでございましょうか。一方の法律では短かい期間に裁定を下しなさい——。しなければならぬとはなっていないけれども、すべきことを命じてありますね。そうすると、六十日の間にこういう問題の結論を出そうとするためには、事実問題についても、法律解釈の問題についても、たびたび御相談に上がらなければならぬ。そうするために、高松から東京まで出てくるということになりますと、その交通費、滞在費は相当の金額だと見なければならぬ。その予算は、どこから出ているとあなたはお考えになりますか。
  46. 松村清之

    松村説明員 私が先ほど申し上げたのは、言葉が足りなかったのでありますが、法律解釈を求めるというふうな明確な目的を持っている場合には、そのつど出張なり電話なりで解釈を求めますけれども、私が先ほど申しましたのは、別にそういう目的はなくて、ただこういう事件が起こったということを知らせるということでありますならば、こういう事件があったということをついでのときに知らせる、こういう意味で申し上げたわけです。  それから旅費の問題は、県の方ですと、県が持ちますし、市の方ですと、市が持つ、これが建前だと思います。
  47. 井堀繁雄

    井堀委員 自分の首を切るような努力をする費用を、出したがるでしょうか。市の選管が県の選管お尋ねしたけれども、よくわからぬ。文書や電話で間に合えばいいのですが、こういう問題は、さっきのあなたと私の議論で明らかになったように、事実問題が正確に把握されなければ判断がむずかしい問題だと、あなたも専門家も言われておる。そうすると、市の選管は専門家に直接お会いして詳細に述べてもらう必要がある。あなたが、直接現地に行かなければならぬようなことかもしれぬ。だけれども、そうはなっていないものだから、市の方から出かけてくるということになりますと、その旅費は——選管委員長が裕福で、家業にも事欠かない人であるならば別です。今の選管におられる方はそうじゃないのですね。そうすると、自分の家業に事欠いたその補償もしてもらわなければならぬ。東京に来れば、今日滞在費も交通費も決して安い経費ではございません。今日の地方財政の乏しい中から出ししぶっておるさなかに、しかも自分の当然無効のために調査に出かける、こういうことについて、快くその市長協力するでありましょうか。この点の矛盾を、自治省はどういうふうにお考えになりますか。
  48. 松村清之

    松村説明員 お話のような場合もあるかと思いますが、普通は県の仕事であり、市の仕事でございますから、それに必要な経費は、その団体で支弁すべきであり、また支弁しておるのが実情でございます。
  49. 井堀繁雄

    井堀委員 あなたは、ぼかさないで下さい。私は抽象的じゃない、具体的に坂出市のことを言っている。坂出市の選管はそういう場合じゃなく、こういう事実なんです。しかもわからずに却下した。法律行為の上から言えば、明らかに冒涜ですよ。だから、委員長、都合によってはあとで会に諮ってもらって、市の選管委員長に一ペん来ていただいて調査しなければならぬが、するまでもなく、事実問題として、市の選管としては、今のように当選無効の訴えが出ているのですから、その訴えがはたして事実かどうかという判断と同時に、法律解釈をしなければ、事実問題に対する答えが出てこないのです。県選管では答えられないと言っているのですから、そうすると、自治省へ出てきて、あなたなり、あなたの指定する専門家の意見を聞いて、事実問題も判断してもらい、法律解釈もしてもらわなければならぬ。そうしてその申し立てが適当でないというので却下するか、あるいはもう少し上級団体に審査をしてもらわなければならぬというのか、そういう答えを出さなければならぬことです。それを事実やっていない。また私はやれないと思う。やれるような状態を作っておいて、やらないものはこれは追及できるが、これはそうじゃない。ここに問題がある。こういう点は事実でございます。何も解釈上の問題じゃありません。だから、われわれの責任かもしれません。こういう制度があって、それに対して国が予算をつけていないというようなことは、これは政府の責任であると同時に、国会もまた一半の責任を問われるかもしれません。国の予算につけなければならぬ。これは委員長にも要望しておきますが、ぜひ一つ次に自治省大臣に出てもらって、その点をはっきりお答えを願うようにしてもらいたいと思います。
  50. 加藤常太郎

    加藤委員長 関連して堀昌雄君の質疑を許します。堀昌雄君。
  51. 堀昌雄

    堀委員 法制局にちょっと伺いますけれども公職選挙法三十五条以降、三十七条「投票管理者、」三十八条「投票立会人」、三十九条「投票所」こういうような規定がありますが、その規定を十分に満たしていないような条件のもとに行なわれた選挙は有効か無効か。
  52. 日下千章

    ○日下説明員 十分に満たしてないといっても、いろいろの個別的な事実によりまして満たしていない程度にもよりますが、それがひどい場合にはまず規定違反ということになります。
  53. 堀昌雄

    堀委員 ちょっと立会人のところを読みますと、第三十八条「市町村選挙管理委員会は、各選挙ごとに、各投票区における選挙人名簿に登録された者の中から、本人の承諾を得て、三人以上五人以下の投票立会人を選任し、その選挙の期日前三日までに、本人に通知しなければならない。」こうはっきりありますね。そこでたまたま今問題になっているのは、一人の人間が選挙管理者であり、立会人であった、こういうことになっているらしいのです。そうすると、すでに自治省の方では過去の例によってこれはだめになっていますけれども、しかしそれは自治省解釈であって、法律的には最高裁がきめる以外はきまらないかもしれませんが、法制局の見解として、不在投票ということになると、投票区ということについては、ちょっと問題が別になりましょう。だからその投票区では問題がないけれども、本人の承諾を得て三人以上五人以下という規定があると、立会人が一人というのは、一応問題にならないと思うのです。法律の要件は三人以上五人以下というのですから、もう十分満たしていないと私は理解できると思うのです。それから期日前三日までに通知があるかないかということは、一つ法律条件になると思う。だからこの二つの件については程度の差とかいろいろな事実ということは通用しない規制であると思うのです。三人以上五人以下と規制されておっても事実は一人であってよろしいということには、法律はならないと思うのですが、そこのところをちょっとお伺いします。
  54. 日下千章

    ○日下説明員 この三十八条の規定でございますが、これは一般投票の場合に適用がございますが、不在投票の場合は、この施行冷の五十六条の二項の規定で行なわれておりますので、三十八条とは直接関係がございません。
  55. 堀昌雄

    堀委員 五十六条の二項は、要するに不在者投票の場合における不在者投票の「投票管理者は、当該市町村選挙人名籍に登録された者を立ち会わせなければならない。」ということが書いてあって、あと一項もここに立会人のことは書いてないじゃないですか。
  56. 日下千章

    ○日下説明員 不在者投表の場合はこの規定だけでやっております。ほかに全然規定ございません。
  57. 堀昌雄

    堀委員 立会人は要らないということですか。
  58. 日下千章

    ○日下説明員 立会人が要らないという意味ではございませんで、人数は全然限定ございません。ただ立ち会わさなければならない。立ち会わせれば、それで一応この規定に合致するわけでございます。
  59. 松村清之

    松村説明員 その規定解釈は、私どもとしては長年の間一人でも差しつかえない、こういう解釈をしておりますから、一人おればいいわけであります。
  60. 堀昌雄

    堀委員 そうするとこの解釈は、これでいくと一人でいいということですが、一人いなければならぬということは絶対条件ですね。
  61. 松村清之

    松村説明員 その通りでございます。
  62. 堀昌雄

    堀委員 このあれでいくと、管理者と立会人が同一人であることは、私前段しか見ていなかったのですが、ずっと見てくると、この法律の趣旨はやはり立会人を必要とするということになっている以上、同一人でいいことにはならぬですねo
  63. 松村清之

    松村説明員 管理者が立会人を兼ねて一人というのは違法でございます。
  64. 堀昌雄

    堀委員 私ちょっと普通の選挙の方を見ておりましたが、後段に問題があるというのはわかりました。  問題を判断するのはやはり法律解釈、事実ですから、事実ということについては、やはりあなたの方でお聞きになっている程度を今私どもがここで重ねて聞いても、やはりちょっと問題があろうかと思いますので、その他はあらためて今後の委員会において検討したい、こういうふうに思いますので、これで終わりたいと思います。
  65. 井堀繁雄

    井堀委員 もう一つだけちょっと聞いておきたいと思います。不在者投票の中で、入院中の不在投票が問題になっている。これは一般的のものでありますが、ここではこういう工合に問題になっている。「病院に於ける不在投票中、その投票管理が法令に違反して管理されている事実がある。」ということで、こういうことを言っております。「投票を終った不在投票用紙は病院の責任者がこれを市の選挙管理委員会へ届けるべきであるに拘らず全然病院の事務員とは関係のない一入院患者に託して投票された用紙を市の選挙管理委員会へ届けさした実例がある。」これは事実かどうか。こういう申請ですが、こういう場合はどうですか。
  66. 松村清之

    松村説明員 ちょっとこの場ですぐに御返答できませんが、入院患者の一人に託すということには問題があるのではないか。問題があるということだけにとどめておきたいと思います。
  67. 井堀繁雄

    井堀委員 一応この問題はまだ県選管審理の段階にありますから、あまり事実問題についてここで論議をすることで、公正な審議を妨げるようなことがいささかでもあってはならないと思いますので、事実問題については極力後日またほかの方法で私は質問を残したいと思って保留をいたしておきたいと思います。ただ法律解釈をするに必要な最小限度の事実問題についてちょっと例にとっただけであります。そういう意味で、いずれ県の選管が裁定を下すだろうと思いますが、その後において、ぜひ一つ委員会においてこの問題をもう少し、自治大臣の出席を求めて質問を進めたいと思いますので、本日のところは保留をいたしまして、質問を終わりたいと思います。
  68. 加藤常太郎

    加藤委員長 本日はこの程度とし、委員会散会後、直ちに理事会を開会いたします。  これにて散会いたします。    午後一博一分散会