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坂本委員 この点はこれ以上やっても押し問答になるでしょうから、これは留保いたしまして、次の機会にはわれわれの納得するような
一つのあれをお願いしたいと思うのです。われわれは何も、
犯罪人を作るのが目的じゃない。しかしながら、少なくともその立ち回り先の方々の
名前ぐらいはやはり発表して、こういう
経路でやったということにならぬと、国民が承知しないと思うのです。やはりこれは、
警察と何か
関係があるから
警察は見のがしておったのだ、だからこうして三年五カ月間もわからなかったのだ、みんなそう思っておりますから、それを打ち消すだけのあれをしなければならぬ。これは、
選挙法改正について民間の人でいろいろ議論もしておられますけれども、やはり一事が万事で、今までこういうことが見のがされていたから
買収犯というのが跡を断たないという結果になっておるわけですから、その
買収悪質犯をなくすという見地に立てば、やはりこれはそういう
意味において究明しなければならぬ、どういうふうに思います。
次に、私ども非常に遺憾に考えているのは、
昭和三十三年の総
選挙において、富山県では、当時正力松太郎氏は国家公安
委員長であり、
買収は空前の大規模のものといわれている。そして、当時秘書官は
逃亡中である。これは詳しいことをまだ聞いていないから、
調査ができていないかとも思うのですが、もう三年半前のことですから、
逃亡中だった秘書官は出てきたかどうか。そしてその
容疑というのは、
買収もありましたが、
一つの
文書違反——というのは、正力氏の経歴、政見等を載せたパンフレットを、回覧という見出しで各家庭に配付された、こういうことであります。なぜ私がこれを申しますかというと、ちょうどこのときの
選挙違反で、富山県労働組合評議会の副議長であった和田氏が、傘下の組合員に配付する、「県労評」第一号、第二号とあるわけですが、それに労働組合の通達
事項と、なおあわせて、この労働組合が支持決定をしております佐野、三鍋両氏の
記事を載せたのが、
文書違反になりました。そしてこの二人の
選挙運動をしたというので
逮捕状をとって、言わなければ今夜は
逮捕するのだというので、労働組合の幹部数名を
調べて、その結果として、富山県労評の副議長の和田松次郎氏と、
全国繊維産業労働組合同盟富山県支部の書記局長である西田という二人を
起訴したわけなんです。そこで、その審理にあたってわれわれは無罪を確信していると言ったのですが、三十六年十月十九日、検事が論告したわけです。
買収もしたのであるけれども、
文書違反はそれ以上に
悪質犯だという論告をしまして、和田氏に対しては禁固六カ月、西田氏に対しては罰金三万円の求刑をしたわけです。私は
犯罪事実がないという点についても
弁論をいたしました。ちょうどきょう配られたが、
捜査が困難だという、
選挙運動と
政治活動を混同している、そういう点がなかなかむずかしいと言われるけれども、この事件なんかはむずかしいものじゃない。これを利用して富山県の各労働組合に全部、
逮捕状をとったのもあるし、とらぬのも、お前言わなければ
逮捕するぞ、何枚送ってきたか、何枚配ったか
——配らずに、送ってきたそのままのところもあるのですが、大体そういうふうにして
調べている。ところが、
片一方の国家公安
委員長の正力氏なんかは、経歴を書いて、回覧なんというので回している。それは
逃亡している。それからそのほかに、これはあとで
刑事局長にお願いして
資料を出していただきたいと思うのですが、この場合、正力派ともう
一つ保守党の人は、ずいぶん悪質な
選挙違反があがったのです。不
起訴もだいぶ出ているのですが、
裁判結果がどうなっているかということを
一つ出しておいてもらいたい。それで富山県の傘下の労働組合員に配る原稿を書いて、そして配るのは、当然ほかの者がとりにくるのもあるし、それから西田という人はバタバタに乗って五、六カ所持って、普通の労評の指令を受けて、しかも毎週二回か三回出しておるのと同じものを出して置いてきたわけですが、それで二人は
起訴されて、西田氏は三万円の罰金、
片一方は禁固六カ月。検事も三回かわりました。そして、この間論告は若い検事だったのですが、これはもちろん申し継ぎ事件で、若い検事が自分で求刑をきめたのじゃないと思いますが、当時労働組合弾圧の事件であるというので、社会党の本部に要請がありましたから、私が社会党本部の指名によって参りました。そして、
弁護士ですから、
弁護人になって公訴取り消しの申し立てをしましたが、検察官の方では取り消しもしなかった。そして三年五カ月間審理が進められて、最後の求刑が何かというと、禁固六カ月です。ただ
文書の起案をして、ただ県労評の副
委員長、
選挙対策
委員長の地位にあっただけで、現実にそれを配ったわけではない。だから
弁論としては、現実の頒布では
違反ではないじゃないかという問題を提起して無罪の
弁論をいたしましたけれども、全く
政治活動か
選挙運動かわからない。
片一方の正力派その他を検挙する以上は、労働組合からも
一つあげなければというような言いわけを
調べ官はして、どんどん
調べて、三年五カ月もかけて、一人は禁固六カ月の求刑、こういうような過程があるわけです。ですから、こういう点を考えると、この先ほど来の問題とか、二十三名の
逃亡者なんかについては、もっと熱を入れて、
指名手配の効果があるように
捜査をしなければならぬと思う。そこで
刑事局長にお願いしたいのは、
昭和三十三年の
選挙違反について、富山県下の
選挙違反が、だれ派にどういう
捜査があって、そして
起訴猶予もあっただろうと思うのですが、
起訴して、
起訴の結果がどうなったか。一番疑問になるのは、当時正力松太郎氏の秘書官は
逃亡しておったのですが、その後出てきてどうなったか、そういう点について、今わかるなら今、わかっていなかったら次会までにお願いいたしたいと思います。