○瀬戸山
委員 大へん時間がおそくなりましたが、重要な問題であります。
中島委員から詳細に
質疑がありましたが、
参考人の
皆様は非常に遠方からお忙しいところを御苦労願って恐縮であります。実は私も、この
天竜川上流、特に
泰阜ダムに
関係ある問題について従来から深い関心を持っておりますので、きょうは一つ皆さんにいろいろ御
意見も聞き、またこちらの
意見等も申し上げてみたいと思っておりました。しかし、時間が大へんおそくなりましたから、そういうことはやめにいたしまして、私の
意見を加えて、希望と申しますか、
お願いを申し上げます。
先ほど来いろいろ
質疑応答がありましたけれ
ども、こういう事態になっておりますので、皆さん、こういう問題については、それぞれの立場がどうであるとかいうことでなしに、真剣に一つ早く
解決をする方に御
努力を願いたい。そういう意味においては、ざっくばらんに、少し耳の痛いことも申し上げたいという
考えでおりますので、もし気にさわりましたら、悪い気持で申し上げているということでなしにお聞き取り願いたい。
ダムがあることは事実であります。土砂が非常に堆積しており、
河床が上がっており、
災害があるということも事実なんです。そのために先ほ
ども議論がありましたし、また特に
関係の町村の
方々のお話もありました。お話のある前に私も十分そういう事態であるということを
承知いたしております。これは事実なんですから、それはどの責任だとか、だれが怠慢であったとか、今ごろ言っておるのはこっけいであると思う。実は数年前も
長野県の前
知事さんにちょっとお耳ざわりなことを私は言うたことを記憶いたしておりますが、率直に申して、これは
河川の管理をしておられる
長野県、あるいは
中部電力会社、それから
地元の市町
村長、
建設省、これらは全部怠慢であったと思う。こんなことを今ごろ言って更新もきまらないというのは、私に言わせれば実にこっけいで、今ごろこんなことを議論をしておるというときではないと思う。
そこで、いろいろなことを今真剣に
考えておられると思うのですが、私は第一に
ダムを取る必要があるかどうかということを真剣に
考えてもらいたい。先ほどの御答弁によれば、
河川局長も今のところはそれを
考えておらぬようでありますが、
ダムを取る必要があるかどうか。さっきもお話がありまして、多少見解も違うかもしれませんが、あそこの
状態は非常に地形が複雑である。
河川の地形が複雑であるばかりでなくて、何といっても日本の山どころでありますから複雑になっておる。しかも土質が非常に悪いところであります。そういういろいろな自然条件、地理的条件等が重なっておりますから、私はこれが全部
ダムの責任などとは
考えておりません。しかし、
ダムに全然
関係がないのだという今の
中部電力の態度――全然
関係がないとはおっしゃらないけれ
ども、従来からえてして
関係がないようにということで
努力をされておる。これは
会社としては聞こえないわけであります。そういう態度では
解決はなかなかむずかしい。とにかく
ダムを作って、あの
ダムが一ぱいになって、
天竜峡から上、特に
川路、
竜江なんというのはちょっと人間が住めるところではなくなっている。私はきょうは
竜江村、
川路村の何百年前からの歴史も実は聞きたかった。それは自分で調べるひまがありませんでしたから聞きたかったのですけれ
ども、そういうことはやめます。とにかくそういう事態に今日なっておる。自然の条件もそうなっておりましょう。しかし、あの
地区の損害、あの
地区の苦しみというものは数年来ずっと続いておるのですから、これは一つみなでいろんな知恵をしぼって早急に
解決するため立ち上がっていただきたい。そういう意味で
ダムを取る必要があるかどうかということをまず真剣に
検討してもらいたい。これは
電力会社が立つか立たないかということとは別問題として……。そこで
ダムを取るについてどのくらい費用がかかるのか、これをまず
検討してもらいたい。それから、
上流の
河川の
状況を見ますと――
地元の
方々はけしからぬことを言うとお
考えになるかもしれませんが、先ほど
知事さんも相当移転の申請があると言われた。この前建設大臣が行かれるときに、この
委員会で、建設大臣は初めてであろうけれ
ども、今回の移転のことを
考えて
災害調査に行ってもらいたいと言ったことがありますが、これはぜひ
考えてもらいたい。率直に言って、あそこにかじりついておりましても、
ダムを取ったところで、将来安住の地であることはなかなかむずかしいであろうと
考えます。
それから、ごく簡単に私の
考えを申し上げて御研究願いたいと思いますが、
川路村の
学校、あるいはそこの下の桑畑、ああいうものも先祖伝来ずっとあるものだと思うのですけれ
ども、今日ではほとんど使いものになっておらない。対岸の
竜江村でも同じことであります。ああいうところはどういうふうにしたらいいかということは
検討を要しますけれ
ども、
会社に一つ買い上げてもらって、それをただで作らせる方法を一応研究してもらいたい。それが一つであります。と申しますのは、先ほど
中島委員からもお話がございましたが、
ダムを
撤去するのにどのくらいかかるか、三百億くらいかかるだろうということでした。三百億かけてあれを取るならば、三百億かけて上の方に安住の地を作った方がましだと思う。しかしこれは非常な概算でありますから、ただ聞き流してもらってもけっこうです。あの
状態で
堤防を
かさ上げするとおっしゃるが、現にここに
写真がありますように、ずっと
かさ上げしておりますが、あんなものは役に立たない。さっき
中島委員の
質問に対して、
土木部長はこまかく言われたが、ああいうこそくな手段ではだめであります。あそこを安住の地にするために、
建設省が国費を投じても数十億かかる。しかし、数十億の金をかけても、あそこは安住の地にならない。でありますから、それほどの金をかけるならば、今申し上げたように、全部持てとは言いませんけれ
ども、あそこにそれほどの金をかけないで、ある程度の手当をしておいて、あの地帯を
電力会社が買い上げるなら買い上げて、
あとはただで作らせます。何しろあの辺は土地が狭い。ですから、私がこう言っても、どこに引っ越すのか、どこに耕作地を求めるんだ、どこに屋敷を作るんだというとともあるでしょうけれ
ども、一つの
考え方として御
検討を願いたい。そこをやって、さっき
土木部長がおっしゃったように、
上流の砂防もしなければなりません。さっき申し上げたのですが、ここは土質の非常に悪いところですから、山腹の造林もしなければなりませんし、砂防もしなければならぬ。渓流の工事もしなければならぬ。これは
あと十年も二十年もかかるでしょう。そこで問題のところはあのままにしておいて、そして
川路、
竜江のみならず、あの
上流地帯でも安住するわけにはいかないのですから、まず一つ安住するところを先決問題として
考えてもらう。これは一、二年でできるかどうかわかりませんが……。もちろんほかのことを並行的にやるなということじゃありません。もっと申し上げたいことがありますけれ
ども、それこそ皆さん御迷惑だと思いますから申し上げませんが、私はそこを一つ
考えてもらいたい。先ほどおっしゃるには、十八年から何年かの間に何センチ上がった、たまには下がったこともあるということですが、そういうことにこだわっておったら、この問題は
解決しない。よく一つそれをお
考え願いたい。
地元の人も補償は補償でけっこうです。しかし、一億もらった、一億三千万もらった、そういうことにかかわっておったら、皆さんのところはますます疲弊するばかりだと思う。私がなぜそういうことを申し上げるかというと、宣伝をするわけじゃありませんが、ちょうどこれに似たような例がある。多少規模は小そうございますが、私の宮崎県に大淀川というのがある。これは大正十三年に
ダムを作った。ところが、自然の
状況はなかなか学者が計算したようにはいかぬもので、砂はたまるはずではなかったといってもたまっておる。昔はその上に馬が通っておった。そこが川になってその上に橋がかかっておるというのが現在の姿なんです。そこでも
電力会社は
関係がないということを言っておりましたが、あるなしの問題でなくて、少なくともそこに何万という人が苦しんでおるからということで、
ダムをことしの二月に取ってしまった。これは余談でありますけれ
ども、今日では川が下がり過ぎて、用水が上がらないということを心配しておられます。そしてある部落は全部引っ越してしまった。墓を調べてみますと四百五十年前の墓がたくさん立っておる。引っ越すということは、だれしもそうでありますけれ
ども、なかなか容易なことではありませんが、しかし将来安心して住めるところを作るのが今後の
政治の目的なんです。そういう意味で全部引っ越して、今ではどんな
洪水が出ても安心をしておられるという
状態であります。
もうこれ以上申し上げませんが、皆さんもいろいろ
検討されておるわけでありますが、これは長い間の係争のところでありまして、もう補償金なんかを目的にしないで、そして根本的に一つ皆さん協力して
解決をしてもらいたい。その方針を早く立ててもらいたい。
建設省もどうか一つ――今まで
建設省は怠慢です。これはもうさっき何か
厳達命令なんかありましたが、その
あとにもたびたび
建設省には申し上げておるのです。それが今日どういう方法をしていいか、
あと二十年、三十年土砂がどうなるかということを研究しなければ方策が立たないなんて、
あと十年、二十年やはりこの
状態を続けるということは、これはもう
政治も何もあったものではない。それじゃ建設大臣も何も要りはしない。どうか一つそういう意味で技術を最高度に働かせてもらって、根本からやり直すというようなつもりで
検討してもらいたい。これを一つ私は
お願いをしておきます。ほんとうは聞きたかったのですけれ
ども、時間がありませんから聞きません。私は強い関心を持ってたびたび現場を見ておりますから、そういう強い希望を申し上げまして、皆さんほんとうに御苦労さんでございました。これは
中島さんもいろいろ言われましたが、悪気じゃない。一生懸命だからああいうことになっておるのですから、真剣に
解決してもらいたい。また何年か先にこの
委員会に来て、まだ研究中だなんていうことがないように特に
お願いしたい。