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石川委員 実は私も先
国会から今
国会を通じましていろいろ
質問をしたい点をずっと包括的にまとめたものがございます。しかし、再確認の
意味でこの
国会で申し上げて、実は新しくなられた実力者
大臣には大へん申しわけないのでありますけれ
ども、
一つぜひ知っておいてもらいたいという
意味で用意をしておったのでございますが、時間の
関係もありまして申し上げられないことは非常に不本意でございます。きょうはそういう
関係で、ぜひ聞いてもらいたいという一点だけ要望を申し上げましょう。
あと一つは、ぜひこうしてもらいたいという要望と
質問を申し上げて私の
質疑を終了したいと思います。
そのまず第一点は、何といっても今度の
水資源開発促進で一番不安に思われることは、日本全体の四大
工業地帯の中で
利水に
重点を置かれておって、
水源地あたりの総合
開発、地域格差の解消というものにほとんど配慮が払われていないのではないかという点は、これは自民党でも非常に強く指摘されておったわけでございます。そういう
関係で、
水系を持っておるところの
関係知事というものが非常な不安を感じておることは申すまでもございません。特に
一つ一つ例をあげる時間の余裕はありませんけれ
ども、たとえば滋賀県で言いますと、琵琶湖の水位が一センチ変わりますと、七百万トンの水が変わる。今のところは五十四億トンという一年間の水量を放流しておりますので、それを何とかほしいという阪神地帯の猛烈なる要望があることは言うまでもないわけでございます。ところがここで水位を一メートル変えるということになりますと、
農業用水の取入口等も全部変わってしまう、それから地下用水というのも全部狂ってしまうということで、非常に大きな問題になるわけです。従って、滋賀県あたりでも非常な関心を持っておりますし、それから岐阜県、茨城県あたりになりますと、歴史的にいろいろな経緯があるわけであります。御
承知のように、木曽川をはさんで尾張と美濃二つになっておりまして、尾張の領土を守るために美濃の方の堤防というのはいつも三尺低くしなければならぬということになっておりまして、絶えず災害にあえいでおるという経緯を持っております。でありますから、最近の事情を聞いてみますと、たとえば三重県だけで県営の
工業用水道を作るという
計画を立て、三重県の中で水を使うのですから、
上流の岐阜県は何らの
関係もないわけです。何らの
関係もない岐阜県の方で、三重県の方に水を取られると、
上流の
工業用水に非常な影響があるということで、三年越しでもめております。そういう点できわめて深刻な問題になっておるということを
一つ御
理解をいただきたい。
それから、たとえば茨城県の例で言いますと、これは私の県ですから、あまり多く言いたくありませんけれ
ども、利根川は本来東京に注いでおった水です。これを切りかえて茨城県の方に持っていった。これは東京を守るためにそうしたのだということで、茨城県の堤防が弱いために、災害はいつでも茨城県に起こる。そういうことで、東京の方には絶対にいかないようになっている。災害を受けて、今度は
公団ができたら、その水は千葉県と東京に全部持っていくのだということは、茨城県としては納得しがたいというような、深刻な利害
関係を歴史的に持っておるということであります。群馬県あたりになりますと、沼田ダムができたらどうなるか。二千戸の家が埋没するのではないか。しかも群馬県は
治山治水ということに県政の相当大きな
重点が払われておったわけであります。その
管理権を今まで知事が持っておったものを、すぽっと中央が持っていってしまうという形になるのですから、これに対しては深刻な関心を持たざるを得ないわけです。そういうことで、この前の
国会では、多くの
水源を持っておるところの知事を参考人として呼びまして、いろいろそういう事情も聞いたわけでございます。この前の
国会は、御
承知のように政防法で
混乱をいたしましたから、特異な情勢ですから、今さら多くを申し上げたくありませんけれ
ども、午前中に知事の参考
意見を聞いて、その午後には採決になっております。全然知事の
意見を聞いたという形になっておりません。そういうこともありますから、知事としてはなおさら不満が多いわけです。特に
水源を持っておる県は後進県で、財政的には中央に多くのことを依存しなければならぬという弱い立場にありますから、ただ単に
意見を聞くとか、協議をすると言われても、おれたちの
意見はどうせ通らないだろうという、非常なひがみ根性に近いような不安を持っておるわけです。
それから、今度の
法案の中では、その他いろいろな不備な点がたくさんあります。知事が不安に思う点もたくさんあるし、多くの重要な点はほとんど
政令にゆだねておるというような欠陥を持っております。たとえば重要な
管理権の問題にいたしましても、それから費用の分担がどうなるのだという問題にいたしましても、全部
政令に委譲になっている。そのほか、
公団で言いますと、主務
大臣の分担がどうなるのだというようなことも全部
政令にゆだねられるということで、今後に多くの問題を残しております。特に今度の
公団を作って
開発促進をやろうとする場合には、
水源を持っている、非常に深刻な、歴史的な経緯を持ち、利害
関係を持っている知事の同意が得られない限りにおいては、絶対に事業の促進ができない。私はこう
考えるので、われわれの方としては、これは修正案の
提案説明みたいになりましたけれ
ども、是が非でも知事の同意を得なければできないのだということを、よく
一つ関係大臣としては納得をしてもらいたい。そうしなければ、絶対に円滑な運営はできないのだということをくれぐれも頼みたいと思います。
大臣が知事と話をするときには「
意見をきく」でいいのだという封建的な
考え方がこの
法案を作るときに支配的になっておったようでございますけれ
ども、今まで水利権を持っていたのは知事で、中央が持っていたのではない。従って、上下の
関係で、
大臣が知事と話をするときには
意見を聞けばいいのだというような
考え方はナンセンスだと思います。必ず知事の同意を得るということを確立しなければならぬ性質のものだ。従来のような単純な法体系でもって論ずべき性質のものではないというふうに
考えるわけでありますけれ
ども、そういう点をこの
法案の実施にあたってはよく肝に銘じてもらいたい。
それから、今度修正を私の方でいろいろ出しまして、それに対して自民党側では、非常に誠意をもって修正をしようという態度で応じていただきましたために、われわれとしてはまことに感謝をしておるのですが、そういう
関係やら、いろいろありまして、早く切り上げたいということには協力するにやぶさかではございません。しかしながら、これは切り上げた後でも問題はまだまだ残っております。まだ
政令はいただいておりません。そういう
関係で、これは
法案が一応成立した暁におきましても、またここにおいでを願って、この内容についていろいろとお伺いをしなければならぬ機会があると思いますので、その点はぜひ御了承を願いたい。それが
一つの要望です。
それから、
一つ質問申し上げます。いろいろ申しあげたい点の中でただ一点、愛知用水
公団のことでぜひ
一つ質問をいたしたいのでございます。これはこの前の
国会におきましては、いろいろな条件はついておりますけれ
ども、
政府の
答弁では、
水資源開発公団設立後直ちに吸収することにつきましては、世銀の百七十万ドルばかりの借款がございまして、そういう点でのいろいろな了解を求めなければならぬという点が残っておりますので、そういう了解が得られて、事務上の準備が整った段階ですみやかに必要な
法律手続をとり、可及的すみやかに吸収するということをこの前の
国会で言明をいたしております。今度愛知用水
公団から豊川に移ります場合には人員縮小の場合には、百人近くの人が馘首を余儀なくされております。そういう人たちについても、
水資源開発公団ができれば、またそれを戻して再雇用するというような約束まで、官房
長官な
ども確約をしておるわけです。そういうふうにわれわれは
理解をして、今日まできたわけであります。ところが、今度の
国会では、愛知用水
公団の処理について
質疑応答がありましたけれ
ども、将来の問題として
考慮するというような
答弁になっております。これは非常に大きな変更です。われわれとしては、そういう点については絶対に承服できません。これは同じ
大臣ではない。
大臣はかわったかもしれませんけれ
ども、しかし、あくまでも同じ趣旨を貫かなければ、
政府としては責任を貫いたということにはならないと私は思います。愛知用水
公団の解散手続というものについても、次の
通常国会で進められるのかどうかという点も、われわれとしては非常に疑問に思っております。この解散の方の手続も一体どうなるのか。それから、解散になれば当然
水資源開発公団の方に吸収されるというようにわれわれは今まで
理解しておりました。今度の
国会答弁では、はなはだその点が後退をしておりますけれ
ども、われわれとしては絶対にこれは承服できません。この点について、
一つ関係大臣の御所見を伺いたいと思います。