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1961-10-13 第39回国会 衆議院 建設委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十三日(金曜日)    午前十時二十六分開議  出席委員    委員長 二階堂 進君    理事 加藤 高藏君 理事 木村 守江君    理事 薩摩 雄次君 理事 瀬戸山三男君    理事 松澤 雄藏君 理事 石川 次夫君    理事 中島  巖君       逢澤  寛君    綾部建太郎君       大倉 三郎君    海部 俊樹君       金丸  信君    仮谷 忠男君       木村 公平君    久保田円次君       田澤 吉郎君    田村  元君       徳安 實藏君    丹羽喬四郎君       前田 義雄君    松田 鐵藏君       阿部 五郎君    岡本 隆一君       加藤 清二君    川俣 清音君       久保 三郎君    栗林 三郎君       兒玉 末男君    實川 清之君       西村 関一君    日野 吉夫君       三宅 正一君    玉置 一徳君  出席国務大臣         建 設 大 臣 中村 梅吉君         国 務 大 臣 藤山愛一郎君  出席政府委員         経済企画政務次         官       菅  太郎君         総理府事務官         (総合開発局         長)      曾田  忠君         林野庁長官   吉村 清英君         建 設 技 官         (河川局長)  山田 一郎君  委員外出席者         農林事務官         (農地局参事         官)      富谷 彰介君         農林事務官         (農地局愛知用         水公団監理官) 福田 貞三君         建設事務官         (河川局次長) 鮎川 幸雄君         専  門  員 山口 乾治君     ————————————— 十月十三日  委員齋藤邦吉君、薩摩雄次君、丹羽喬四郎君、  廣瀬正雄君、山口好一君、久保三郎君、兒玉末  男君、日野吉夫君、三宅正一君及び田中幾三郎  君辞任につき、その補欠として仮谷忠男君、前  田義雄君、海部俊樹君、田澤吉郎君、久保田円  次君、阿部五郎君、加藤清二君、西村関一君、  川俣清音君及び玉置一徳君が議長指名委員  に選任された。 同日  委員阿部五郎君、加藤清二君、川俣清音君、西  村関一君及び玉置一徳辞任につき、その補欠  として久保三郎君、兒玉末男君、三宅正一君、  日野吉夫君及び田中幾三郎君が議長指名で委  員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  水資源開発促進法案内閣提出第七号)  水資源開発公団法案内閣提出第八号)      ————◇—————
  2. 二階堂進

    二階堂委員長 これより会議を開きます。  水資源開発促進法案水資源開発公団法案の両案を一括して議題とし、審査を進めます。  前会に引き続き質疑を続行いたします。  石川次夫君。
  3. 石川次夫

    石川委員 私は質問ではございませんが、この際資料を二、三準備を願いたいと思います。もっとも、その資料は、純粋に水の問題について、われわれは無知でありますので、ぜひ私たちの参考資料としてもらいたいという意味であります。  一つは、水は農業上水道工業三つに分かれておるわけでございますけれども、これは現在で大体どのくらいの数量になって、昭和四十五年で、いわゆる政府、自民党の十カ年計画に基づく最終年度においてはどのくらいまでこれを使わなければならぬかということの内訳を出してもらいたい。できればこの工業用水の中で、産業別に特に多いのは化学工業、それから鉄鋼、それから紙パルプ、その他というように四つに分けていただければなおさら好都合だと思うのであります。  なぜ私がこれを申し上げますかというと、この前の通常国会における質疑応答の中で、数量がたまたま食い違っている点があるわけなんです。たとえば農業用水について言いますと、経済企画庁の方では大体現在数量が三百四十六億トン、こういっておりますけれども農地局長答弁によりますと四百五十億トンというふうに、数字が大体百億トンほど狂っております。水の問題は大へんむずかしい問題で、そう簡単に的確な数字をつかまえることは困難だということはよくわかりますけれども、しかしながら、このように大きな基本的な数字が食い違うということでは、将来の公団を作りあるいは水源地開発を促進するという場合でも食い違いが出てくるおそれがあるのではないかという懸念も出ないわけじゃありません。従いまして、私が申し上げました現在量と昭和四十五年に必要と思われる数量、こういうものを一つ皆さん方の中で食い違いのないような数字を作り上げてもらいたい。作り上げるというと語弊がありますが、ぜひ一つ算定をして出してもらいたい、こういうお願いが一つでございます。  あと一つは、今度の公団を作って水系を指定する場合に、大体利根が第一、それから淀川、木曽川、筑後川というものが一応の候補に上がっておるわけでございますが、この水系別の現在量、それから利用量、それからやはり同じように昭和四十五年度の、活用する目標としての数字。これが、できれば今申し上げましたように、農業上水道、それから工業用水というふうに、三つに分けていただければなおさら幸いでございますけれども、その数字一つわれわれの参考資料にほしいと思う。  あと一つ、これは非常にむずかしい問題じゃないかと思うのでございますけれども、この前出された法案と今度出された法案とは全然食い違いがない、全く同じものが出されておるわけであります。ところが、この前はこの法案ができるまでの過程で、相当政府の中でなわ張り争いといいますか、いろいろ混乱がありまして、国会の終末になってから突如として出されたという経過をたどっておるわけであります。その間いろいろな混乱がありましたために、ほとんど肝心な点は政令に譲られまして、政令にまかされた場所が三十四カ所ということになっております。このことに対する答弁といたしましては、前の迫水経済企画庁長官は、時間的に間に合わないで、こういうふうにたくさんの場所政令にゆだねることにならざるを得なかったのだという答弁をしておるわけです。ところが、今度出た法案というものもやはり同じように政令にゆだねておるという結果になっておりますけれども、この前継続審議になってから今日まで、多少の期間があったわけでございますから、この政令が多少この前と違った、抽象的なものじゃなくて、具体化方向に一歩足を踏み入れているのではないかという感じがするわけです。当然そうなければならぬと思うわけなので、この政令が現在どうなっておるかという最近での政令一つ出してもらいたい。これを一つ資料として御提出下さるようにまずお願いいたします。
  4. 二階堂進

    二階堂委員長 承知いたしました。政府におかれては早急にその資料提出をお願いします。  川俣清音君。
  5. 川俣清音

    川俣委員 それでは、企画庁長官にまず第一にお伺いしたいと思います。  長官水資源開発促進法提案者であるわけです。そこで、まず提案理由についてお尋ねをしたいと思うのです。これは前任者のことだといって逃げられるわけにはいかない。あらためて提案されたのですから、逃げるわけにはいかないと思います。この水資源開発促進法によりますと、豊水渇水の差が激しいので河川水利利用率はきわめて低い。利根川の例を出しまして、一二%程度しか利用されていない。こういう考え方は、水の利用という点に非常に重点を置かれておることであると思うのです。  ところが、本来の水資源開発というものは、その水源地でありますところにいかに水を保育しあるいは生産するかということが水資源開発の重要な要点でなければならないと思うのです。すなわち河川の流域は、地理的に見ますと日本の約六、七割の傾斜地に雨量をたたえて、そうして水の流動体が集合して川になるのであります。川の水を利用するということは一つ開発でもあるかもしれませんが、これは必ずしも水資源の基礎的な問題ではない。利用をどうするかということについては、これで十分足りるのではないかと思いますが、水資源開発するということになりますと、問題はむしろ河川上流部分であります水源地帯に対してどう処置するかということが重要でなければならないと思うのですが、この説明によりますと利用だけを目的重点としておられまして、資源というものについてはやや提案説明が不十分じゃないかと思うのです。この点いかがお考えになりますか。
  6. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまのお話は、水を利用する場合には、水を基とすることでありますから、その出るいわゆる山間地方、そういう方面水資源開発しなければならないのではないかというお話だと思うのでございます。むろん利用するためにそういうところに十分な開発を行なわなければならぬことは当然でございます。従って、提案理由説明におきましても、総合的に水の開発利用をはかるための計画を樹立することが何よりも必要だということを申し述べておる次第でございます。
  7. 川俣清音

    川俣委員 それは過去の昭和二十六年十一月、国土総合開発審議会水制度部会が指摘いたしておるのでございますが、おそらくこれを受けて促進法考えられておると思うのです。水制度部会におきましてはかなり論争のあったところでございまして、この委員会の記録はお読みになっておるかどうか。なっておらないのだろうと思いますけれども、そのことは別にいたしまして、これらから見まして、水資源についての重要な点が指摘されておるわけでございますから、これを盛り込まなければ意味をなさないのじゃないか。確かに利用ということが重要になって参りましたから、利用について考えをいたすことは当然であって、そのことは何も否定しません。しかしながら、豊水渇水の差が激しいということは、これは従来放任しておった結果でありまして、どうして水の流動体水流として温和に河川に注がせるかということが水資源開発の基礎でなければならないと思うのです。それを少し等閑に付されて、利用にだけ力を入れておられるが、上流における水資源のほんとうの意味開発保育といいますか、保全あるいは生産と申しますか、生産なしには集合されてこない。穏やかに集合させる。いわゆる旱魃期におきましては、これらの水を集合させるという方法がとられなければならないわけでございまして、従って、水資源開発というからには、水制度部会意見をもう少し盛り込まなければ不徹底だと思うのですが、この点どうですか。
  8. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 大事な水を合理的に使う必要は当然あるわけでありまして、従って、渇水時に対してもその処置をするためにダムを作っておるというようなことで、これをならして参ることは当然でございます。同時に今お話のように、水が十分に、しかも平均的に出ると申しますか、豪雨があればぱっと出る、あるいは渇水になればなくなるというようなことでなしにするのには、むろん治山ということが非常に重要であることは申すまでもないことであります。従って、水の利用にあたりまして、そういう面を十分考えていかなければならぬ。政府としてもその点については十分な考慮を払って、水資源涵養保全について努力して参るわけであります。そういう意味開発ということに入っておるわけでございます。
  9. 川俣清音

    川俣委員 大臣は抽象的にそう考えておられるということですが、それではこの提案理由にはそういうことが積極的に盛り込まれなければならなかったのじゃないか。また促進法にも、その上流地帯における水源保育と申しますか、生産と申しますか、水の動体あり方についての検討が当然加えられなければならなかったのじゃないか。いわゆる河川形成後における利水保全については規定をいたしておる。そうして利用開発という形はとっておりますが、もっと上流における水のあり方動体につきましては把握が十分じゃないのじゃないか。法律の中に一つもありませんよ。河川形成後の保全についてはございます。利用のための保全、これはあります。あるいは河川形成後における集合された水流としての利用保全についてはこの法律規定をいたしておりますけれども河川形成以前の問題については触れておられないわけです。今の大臣答弁とは違うのじゃないですか。そういうことを大いに考慮してこの促進法を作ったのだというなら、どこかにその形が出ていなければならぬですが、どこにも出てない。どこに出ておりますか。条文の中に出てないでしょう。
  10. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 第四条の三項に「基本計画には、治山治水及び電源開発」、こう書いて、治山治水について、むろん十分な考慮が払われなければならないということにいたしておるわけであります。
  11. 川俣清音

    川俣委員 河川法におきましては、御承知のように治水計画が立てられている。一方国有林保安林等治水の役目を果たしておる。これを総合的に開発しようというからには、一貫性のあるものがここに打ち出されなければならないという意味でこの法案をお出しになった、こう言われまするから、それなら、もっと具体的でなければならないではないか、こう問い合わせた。それではこの法案の具体的な——河川形成後における保全利用というものについて重点を置かれておることは認める。そのことは決して悪いわけじゃない。その上流地帯における水の保育と申しますか、生産というものについて、一段の具体的なものがなければならないのではないか。それは大いに考えておるのだ、お考えになることはけっこうなんです。それなら具体的にこの法案に盛り込まれなければその趣旨が達成できないのではないか、こう申し上げておるのです。大臣はまだなられたばかりなので無理かと思いますが……。
  12. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律案の第四条第三項の規定によりまして十分な考慮を払って、将来さらに水利計画等とも並行しながらやって参るということで、十分ではないかと考えております。
  13. 川俣清音

    川俣委員 治山というのは、これは消極的、積極的な意味はございますけれども、大体治山というのは、山を治めるという意味でございますから、これは水資源の積極的な開発にはならない。消極的な防備体制であるのが、これが治山です。積極的なものではないのです。ここでもっと積極的な、水資源というものに対する開発の必要があるのではないか、こういう説明ですから、それならばもっと積極的な、具体的なものがこの中に載っていなければならない、こういう質問なんです。治山というのは、これは消極的だといっても、積極的であるとはいえないこともありませんけれども、これは山の崩壊を押えるということが目的であって、押えるということによって、ある程度水の保有ができるということにはなりますけれども崩壊を防止する、あるいは崩壊したものを復旧、復元するということがねらいでありまして、水資源開発に積極的なものではないわけです。これは御存知の通りです。そこで、治山治水によって水資源が確保されるのだ。確かに消極的には荒廃するものを防ぐのですから、一部の役割を果たすことは事実であります。しかし、それによって、もっと積極的な役割を果たしておるとは見られないと思うのです。それで、もう一段の具体的な方策があってしかるべきじゃないか、こうお尋ねをしているのです。
  14. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 治山ということは、あるいは崩壊等の防止ということが相当含まれているということは、これは当然でございます。しかし同時に、植林をする、あるいはそういうような崩壊等を防止するというような方向そのものが、やはり水資源涵養する一つ方法だと思うのでありまして、そういう意味において、十分この計画では水資源涵養し、あるいはそれを治めていくという点について考慮を払っている、こういうことでございます。
  15. 川俣清音

    川俣委員 それでは、もう少し具体的に。少しむずかしくなるかもしれませんが、河川として水が集合したところの流水として河川形成するというと、これは公共物として公物になる。ところが、その上流水源地は、御承知通り私有地あり国有地がありますけれども、これは一つ所有権の上に伏流水あるいは上流水として含まれた水であります。流動形態を持っておりましても、その水は私水に属するものである。従って、これが集合される河川形成を温和にするために何らかの制限を加えていかなければならないという事態が、すでに起こってきております。そこで、制限するために保安林制度を設けまして、所有権制限を加えたり、あるいは国有林におきましてはみずから保安林制度を拡充いたしまして、水源涵養形態を重視しようといたしておる。そのように私有地にある水で、所有権があるわけです。それがただ流動体となって、水流となって集合されたところから公物となるという形をとっておる。ところが、その公のものになりましても、これまた今の河川法が、治水目的とした旧式な河川法でありますために、これらを十分把握できないでおるわけです。  ところが、一方経済発展国民生活の上昇によりまして、水の利用度が非常に高くなってきた。旧来の形態ではとうてい経済発展に資することができないということで、建設大臣が大いに力を入れて、どうしてこの利水計画を立てるかということになったと思う。その通りでしょう。しからば、まだ公物にならない前の伏流水または上流水をどう保全、集合させていくかということ、すなわち、所有権制限をどう加えていって、これらの水を集合するかということが積極的に盛り込まれていなければ、開発ということはいえないのじゃないか。私有権制限を加えるのでありますから、具体的に出てこなければ意味をなさないのではないかというのが私の結論なんです。あなた方の考え方はよくわかりますよ。上流の水をほしいことはわかります。集合された水をどうして利水するかということもよくわかります。そこには、私有物の水でありますから、これにどういう制限を加え、どういうふうに処置するかということが具体的に出てこなければ、あとでもらった水は、これは公の水だというけれども、公の水と私の水との境があるわけです。しかも今の河川法では、上流には管理権が及ばない形になっている。そこで、どう調整するかということが重要な水制度部会における問題点であったわけです。この問題点を解決しないで促進法を出された意味理解できないから、どう調整、解決されたのか。水制度部会で非常に議論があったので伺いたい。この点なんです。
  16. 中村梅吉

    中村国務大臣 川俣さんの御意見を拝聴しておりますと、この法律案利水にばかり重点を置いているようにおとりになっているようでありますが、むしろこの四条精神からいいましても、利水合理化ということは確かに必要で、水がまちまちに使われるということは、非常に貴重な資源を国家的に十分活用しないことになりますから、利水合理化ということがねらいでありますが、しかし利水合理化という上に、四条では、「水資源の総合的な開発及び利用合理化」ということで、むしろ利用合理化をするためには、その前に、もっと前提として、水資源の総合的な開発ということが上にかぶっておるわけでございます。ですから、われわれとしましては、この水資源の総合的な開発ということを上にかぶせておることは、もちろん利水合理化はやるのですけれども、その前に水資源の総合的な開発をやる。水資源の総合的な開発ということは、治山治水ということが当然重点として基本計画に入らなければ、この四条にいう基本計画にはならないと私は思うのです。  そこで、役所の機構としてはいろいろ分担作業になっておりますが、政府としては一体でございますから、従って、農林省の林野庁の担当しておりまする植林でありますとか、そういうようなことも大いに関係があり、あるいは場合によっては、この基本計画にも水源地帯のそういった水資源涵養については織り込まれるべきである、私はこう思います。御承知通り四条の三項に、治山治水の点は基本計画の中に当然重点として織り込まれなければならないということを書いておりますが、それよりも、四条の第一項の一番出発のところから、ただいま申し上げたような精神をうたい込んでおるのでありまして、具体的にどれをやるとは今法律には書いておりませんけれども、しかし水源水系別にまた事情も違うでしょうから、その水系の実態に即したような治山治水及び水資源涵養ということは、当然四条にいう基本計画の中に織り込まれるべきである。従って、これは水資源開発審議会の議を経て、あるいはまた関係都道府県知事意見を聞いて、そして水資源開発基本計画というものがきまるわけでありますから、この基本計画を作る際に、今御指摘のような詳細の点が織り込まれるのは、私は当然だと思います。そういう意味において遺憾の点はないと私どもは思っておるのでございまして、問題は、この四条精神というものを忘れないようにさえ御注意をいただきつつ進めていけば間違いはない、こう思っておるわけでございます。
  17. 川俣清音

    川俣委員 これはあとにいたしますけれども建設省は、河川法を変えないで、いろいろな管理規程を変えてきたという歴史的な経験を持っておるものですから、この程度の法文があれば何とか行政的に措置できるのではないかという軽い気持で説明されておるのじゃないかと思うのです。ところが、先ほど説明したように、水の根源でありまする傾斜地帯というものは、所有権の存在しておる地域なんです。そこで、どう所有権制限をするか、下流の水の合理化のために上流地帯をどう制限をしていくかという、個人の所有権に対する制限が加わるわけなんです。これは規程政令なんかではできない問題なんです。所有権制限ですから、法律によらなければならないことになるわけです。そこで、ここで具体的に法律で明示していないと問題を起こすおそれがありまするから、重要な利水計画国民生活の向上のためにも、近代的産業発展のためにも、どうしても常に変わらざる豊富な水をかき集めて、というと言葉が悪いかもしれないけれども、集合さして、貯留しなければならない義務を建設省は持っておるわけです。そして、これをどう配分していくかということは詳しく規定されておるわけです。そこは問題ない。そこに常時間断なく貯留するための水をどうして集めてくるかということが水資源開発だ、こういう説明。しからば、河川という公共物でありますれば、管理規程を設けまして、いろいろ制限を加えることは当然できることです。法律によらないでも、政令管理規程によってできないことはないと思うのです。本来でありますならば法律でやっていくべきものを、便法的に今までもやってこられたのでありまするから別ですが、上流地帯のものについてはもっと明確な法律上の規定がなければならないのではないか。ただ水資源開発という言葉だけに、よって十分具体化されておるとはいえないのではないか、こう言いたいのです。  そこで、林野庁長官が来ておりますが、長官は新しいからお読みになったかどうかわかりませんけれども水資源開発促進法提案説明をごらんになりまして、あなたの直接関係のあるところに対して十分説明されておるとお考えになりますかどうか。これは利用の方に重点を置いておられることは明らかです。その前提条件でありまする山復水に対する開発というものがこの提案の中に入っておると御理解になりますか。おそらく理解できないだろうと思うけれども、どうですか。
  18. 吉村清英

    吉村政府委員 第四条の第三項でございますが、これに私ども治山関係考え方も入っているように考えまして、これによりまして関係方面十分協力をして参らなければならぬように考えております。
  19. 川俣清音

    川俣委員 これで十分入っておるという理解だと言いますが、それじゃ一つお尋ねします。森林は、私有林であろうと、国有林であろうと、公有林であろうと、所有形態がはっきりいたしております。所有権の存在しておることはお認めでしょうね。そこに含まれておる伏流水あるいは表流水、これはあなたの方の森林法あるいは従来の国有林管理規程からいいまして、公物という考え方だったですか。やはり私有物という考え方だと思いますが、その点いかがですか。
  20. 吉村清英

    吉村政府委員 水につきましては、ちょっと私も十分確信を持ってお答えできないのでございますが、森林そのものにつきましては、これは先生のおっしゃる通りだと存じます。
  21. 川俣清音

    川俣委員 樹木というものは水なしには成長しないわけです。水と樹木は関連を持っておることは明らかだ。地上権を持っておる。所有権というのは、地上権ばかりでなくて、それを育成する土壌と水とを持っておるということであります。従ってその水は私有物だと見る。従来からの林野の管理規程から見ましても、あるいは森林法から見ましても、流れ出て一つの渓谷に至るまでは私有物という考え方で管理しておられるのじゃないですか。そうすると、どこから公共物になるのか。渓谷は私有物か公有物か、これは非常に問題点なのです。水制度部会においても問題になったところなのです。これは多数決をとれない結果、水制度部会の記録をごらんなさい、絶対多数が成立しなかった。それだけに問題が非常に複雑であって、調整のつかなかった問題を処理するには、法律的に具体化されておらないと水資源開発ということができないのではないか、こういう問い方なのです。あいまいであって——あいまいなのではなくして、いろいろな意見がありまして、正確に調整のついていないものなのです。ついていないものをここで持ち出したのであるから、調整がついたのですかと企画庁長官に聞いた。私は寡聞にして、まだ調整がついたとは聞かないのです。調整のつかないものをここに持ち出されましても、調整にまだまだ時間を要するのではないか。専門家の水制度部会ですから調整のつかなかった問題を、一片の法律の形式的なもので調整がつくとは思われないのです。従って、一定の方向というものは打ち出されての上のものであるかどうか、すなわち具体性を持ったものであるかどうか、こうお尋ねしている。調整がつかなかったから具体化できなかったのだと言われるのなら、それでよろしい。今後ある期間を限って、その期間内に調整をつけるのだ、調整がつけば法文化するのだ、こういう説明であるならば、まだ聞きどころがあるのです。それをも言われないで、この法律があるのだからこれでやれますということは、あまりにも基本的な問題に無理解ではないかと思うので、お尋ねをした。これなら答弁ができると思いますが……。
  22. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話の、上流における私有地の中の水が公物であるか私物であるかというような問題になりますと、非常にこれは……。
  23. 川俣清音

    川俣委員 そういう議論をしているのじゃないのです。そういう問題があるので、どう具体化して調整するか、どう規制をするかということをお尋ねしている。
  24. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 そういう部会でもなかなか調整のつかないような問題は、非常に重要な問題でございますから、将来の問題として十分研究する必要があろうと思いますが、少なくも現在のこの法律案におきましては、実際に林野庁がそういう方面を扱っておられますので、林野庁意見等も十分参考にいたしまして、運営をいたすようにして参りたいと思います。
  25. 川俣清音

    川俣委員 まあ、長官に対する質問はその程度にしておきます。  林野庁長官水制度部会でも調整のつかなかったものを、法律によらないでどう調整されますか。あの専門家の集まりですら調整のつかなかったものを、林野庁意見を聞いて大いにやる、こういうのですが、これを林野庁で解決できるのですか。できるならば大体の方策を明らかにしてほしい。しかも、これは所有権に関することですから、私どもは割合にそれを軽視する傾きがあるということで非難を受けますけれども、いずれにしても保安林というような一つ制限規定があることは明らかであります。従って、制限できないとは考えません。そこで、どう制限をしていくかというお尋ねなんです。水資源開発するためには、どう所有権制限をして、森林法をどう改正していくか、こういう問題に到達すると思う。そこで、その方策があれば、ここで明らかにしていただきますと、企画庁長官も非常に答弁しやすいし、建設省答弁しやすいということになると思う。
  26. 吉村清英

    吉村政府委員 非常にむずかしい問題でございまして、先生のおっしゃる通りだと思いますが、今後なお十分連絡を密にいたしまして、遺憾のないように協力をして参りたいと思います。
  27. 川俣清音

    川俣委員 林野庁長官、これは建設省や企画庁と連絡して解決すべき問題じゃないのです。自分の行政の範囲内において方策を打ち出して、そしてこれについて了解を求めなければならないことだろうと思う。企画庁長官林野庁意見を聞いて具体化する、こういうことでありますから、あなたの方に具体案がなければいつまでも具体的な処置はできない。しかも、これは御承知通り法律によらなければならないわけです。その御方針が出ない限りにおきましては、調整をしても効力がないわけです。そこで、森林法の改正なり、あるいは林業基本法の制定を待って、そのときに明確に盛り込みます、こういうことだろうと思うのです。そういう説明をしなければ、いつまでもこれは解決つかないのですが、森林法を近く改正いたしまして、あるいは林業基本法を作りまして、そういう問題については、今後の保安林のあり方水資源涵養についてのあり方等を具体的に示し、そうしてこれと合わせます、こういう答弁でなければ一向進まないのじゃないですか。
  28. 吉村清英

    吉村政府委員 ただいま林野庁といたしましては森林法の改正を検討中でございます。その中でも、この保安林の問題につきましては、今度の改正の一つの柱といたしまして検討いたしておるわけでございます。その間におきまして十分この問題を検討をして参りたいというように考えております。
  29. 川俣清音

    川俣委員 目下検討中だから具体的なことはなかなかはっきりできない。それならそれで了承するのです。森林資源開発という項目があるからこれは具体的にやるのだ、こう答弁されるから、それじゃ具体案があるのかと聞いただけです。なければないで、これからの森林法の改正の中にそれらの点を盛り込んでいく、こういうことだと思う。しかしながら、少なくともこの点はもう少し重点を置くべきだろうということを強く指摘をいたしておきます。それらの案がないのに、水資源開発を進めようと思いましても、建設大臣、それは少し無理なところがあるのですよ。あなたも利水の点については問題はないと思う。必要に迫られて利水計画を立てなければならないという事態に陥っていることは認める。  そこで、建設大臣一つお尋ねいたします。水資源開発ということを打ち出したからには、これは企画庁長官にも聞いていただきたいのですが、従来の河川法というものは、明治二十九年の大水害のあとを受けて、治山目的としてこの法律が制定されましたことはすでに御承知通りであります。従って、治山計画を達成するために必要なものを背景としてできた法律でございます。その後あまり改正されておらないのです。ただ利水の問題が起きるというと、管理規程やあるいは通牒等によりまして運用をしてきたことには間違いない。法文は変わらないけれども法律は変わったのだ、こう言われるが、その典型的なのは河川法だと言われておる。明治時代と現在とは河川法の紙に書かれた文章は変わっていないけれども、その運用は変わっておる。こういう運用の仕方をしておられる。そういたしますと、利水計画が必要だということになりますと、あなた方が管理いたしておりまする河川法をみずから改正してくるという建前をとらなければならない。自分の権限内にあるものはほおかぶりして、人の権限のところまでやろうなどというものだから、なかなか調整がつかないのじゃないか。集合された河川利水重点を置くとすれば、みずからこの河川法を近代的に改正しなければならないところへ来ているのじゃないですか。現実の運用はもうすでにそこへ行っておるのです。ただ法律によらないだけなんです。運用はもう現実に即した運用をしておる。しからば法の改正の時期に来ておるのではないか。それをなおほおかぶりして、一時的に糊塗して利水計画を立てるのだといいましても、基本法を改正せずにはその目的が達成できないのじゃないかと思うのですが、この点、大臣にお伺いしたい。
  30. 中村梅吉

    中村国務大臣 水が国家的に非常に貴重な資源に時代的にもなってきておるわけであります。しかし、水なり河川なりについて考えますと、治山治水ということが根本的な問題でありまして、治山治水目的を果たしつつ、いかにして合理的な利用をはかるかというのが、今日の段階であると思うのであります。そういう考え方から、河川法は、今御指摘もございましたが、相当以前にできた法律でございますが、この運用によって今日まで遺憾なきを期してきておりますので、私どもとしましては、今後とも現在の河川法を運用の上で合理的に進めていくことによって、水資源開発利用というものがやっていける、こういう考え方に立っておるわけでございます。しかし、長い将来のうちに、あるいは河川法自体についても再検討を加えなければならない時期が来るかもしれませんが、現段階におきましてはさように考えておるわけでございます。
  31. 川俣清音

    川俣委員 建設大臣、もう相当長く建設行政をやっておられますから、運用の妙味でやろう、今のお話はこういうことであろうと思います。いずれにしても利水計画が必要なことは、これはお説の通りです。ところで、今日の河川法は、御承知通り認定主義です。何県の何郡の何村の地先のところがら海に注ぐまでという線を描いて、これが河川法の対象の河川になっておる。その上流あるいは支流は、この河川法に準ずる準用河川として指定されておる。これらの指定されておる河川は、日本の河川の流域から見ますと、約四割二、三分で、五割八分程度のものは河川法の適用外の河川です。そういたしますと、河川法適用のもっと上流河川については、あなた方の監督権限は及ばない。これは公のものとなっておっても、町村の河川であるとか、もっと上流にいくと私の川であるとかいうふうになってきておる。従って、災害が起きた場合でも、私の川に対しては、あなた方の救済規定がないんです。堤防はお前たち作れ、水はおれの水だ、こういう言い方なんです。災害の対象になっていない、復旧の補助対象にならない。これは農地法で農林省のいわゆる個人施設についての補助としての対象にはなりますけれども建設省の対象にはならない。水はおれのものだが、堤防はお前勝手に作ったのだ、河川の水を下流に穏やかに流してくる河川道はお前勝手に作れ、こういう形になっている。少なくとも利水の上からいきましても、もう少し上流に手をつけなければならない時代になってきたということが現実じゃないですか。それが現実だとすれば、この河川法の限られた河川に対しての監督指導または国費負担というものを、もう少し上流にまで伸ばさなければならない時代になってきたのじゃないですか。上流地帯の河床の上昇が下流の河床の上昇になってくる。これは明らかなんです。上流から土砂が流れないで、あなたのところの河川流域に入ってから、監督区域になってから、急にふえるわけじゃない。上流地帯の河床の上昇が下流の河床の上昇になるのでありますから、もっと上流部分において施策を講じなければならないはずなんです。そうしたら、河川法を改正しなければならない現段階に来たのではないですか。
  32. 中村梅吉

    中村国務大臣 川俣さんはこの方面に非常に精通をしていらっしゃいますので、私どもよりもかえって詳しいと思うのでありますが、われわれこの水資源開発促進法に基づきまして水資源の総合的な開発及び合理的な利用をはかって参ります上に、現在河川あるいは準用河川として指定をいたしておりますもの以外の水流について、やはり必要が起きますれば、逐次河川法第五条によりまして準用河川として指定をして進めていくことに相なると思います。それから、準用河川でございませんでも、それが山腹の崩壊によって土砂を流出したり、災害のもとになったりするような場所につきましては、個人の流水だからといって放置しておくわけではございませんで、農林省の山腹砂防、あるいはわれわれの方の所管いたしております砂防事業を施しまして、そうして公共の福祉に合致するように現在も作業いたしております。今後もこの水資源の総合開発ということをやって参りますのには、この点については、もちろん基本計画にその水流及び河川あるいは準用河川に指定された以外の流水につきましても、あるいはさらにさかのぼれば、先ほど来御議論のございましたように、保安林の問題やあるいは水源林の問題も出てくると思いますが、この基本計画を定めます場合には、そういうような点を細目検討いたしまして基本計画が作られるわけでございます。従って、現在も電力会社等におきましては、自分のところの用水を確保するために、必要な部分については水源林を電力会社の所有地に買収をしまして、そうして水源林として確保している場合もあるようでございますが、そういったようなものも水域なりその水系についての事情に応じてやはり基本計画に入らなければならない筋合いである、実はわれわれはそこまで考えているわけでございます。ですから、基本計画を定めます場合には、先ほども申し上げましたように、水資源の総合的な開発ということが基本で、その上に立って合理的な利用をするというのがこの法律の立て方でございますから、われわれとしましては、第四条に定める基本計画を作っていく場合に、政府なり審議会なりの責任において、そういうところまで掘り下げた議論をし、をいたしまして、綿密な基本計画を立てるべきである、またそうしていきたい、こう考えているわけでございます。
  33. 川俣清音

    川俣委員 大臣がうまいことを言われた。電力会社等が水資源涵養のために所有地を持っている。これは東電が持っている。しかしそれは例が少ない。ごくわずかな例があるだけです。今後こういう計画が出てくることだろうと思いますが、東電では、あれが欠損になるというので、売り払おうかという問題が起きている。あの子会社が赤字だということで、売り払おうかということで、今伐採に入っている。改植するのかどうか知りませんけれども、もうすでに売り払う用意があるようです。そのように非常に積極的に水の保有についての役割は果たしておるのでありますけれども、それ自体経営としては成り立たないものでありますから、会社経営としては切り離す、あるいは子会社からさらにこれを解散するというような結果が出てくるのであります。しかしながら、ダム効率が下がることによっての損害というものは、この損害を需用者に負担さすために会社がこういう計画をするのではないかという疑いを持つのです。これは企画庁長官、よくお聞きになって下さい。山を経営しても経営が赤字だ。これは保安林で、経済的な利用価値が少ない。水の利用としては非常に高度の利用価値を持ちますけれども、山自体には利用価値が少ないものですから、それについては会社が赤字だ。ところが、ダムが埋まってダム効率が下がったのは、これは需用者に負担さすことができるものですから、そういう安易な方法をとりがちなんです。従って、電力料金をきめる場合も、よほどこういう点に注意しなければならないと思うのです。これは話がそれてしまったのですが……。  そこで、大臣四条のことをしきりに言われる。四条を達成させるためには、みずから進んで河川法を改正いたしまして、全河川流域を、あなたの指導監督と申しますか、管理の中におさめて治水計画を立てるのでなければ、万全を期せらなれいのではないか。万全どころじゃない。七割あるいは六割程度の期待もできないのではないか。ですから、今どんどん認定していくのだと言わないで、むしろ認定主義をやめまして、全河川に管理指導ができるような河川法に改正していくべきじゃないか。その点からも、四条達成のためからも、河川法改正の責任があるのじゃないかと思うのです。今変えないけれども、将来は変えるというふうな……。四条を適用するとしますれば、みずから進んで河川法を改正いたしまして、みずからの責任を明らかにする必要があるのではないか、こう思うのですが、どうですか。たびたび改正しようとあなたの方でやったのです。ところが、各省との関係がうまくいかないで、もめておったのです。そこで、この促進法を出して各省間の統一をはかるならば、進んで河川法を改正する努力を払うべきじゃないか。どうですか。
  34. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は、先ほども申し上げましたように、河川法の第五条によりまして、今までよりもさらに河川あるいは準用河川の範囲を広げることが、その地域の山林所有者のためにも、あるいは水資源涵養の上からも必要である、こういう事態がありますれば、必要に応じて準用河川の区域を拡張していくということができる基本法がございますから、われわれとしましては、これによりまして、本法の運用上支障のないように、水系がきまりましたら水系ごとに綿密な検討をいたしまして遺憾のないようにしていきたい、それで目下のところはやっていける、こう考えておるわけでございます。
  35. 川俣清音

    川俣委員 もう一問だけ、企画庁長官にお聞きしたいのですが、水資源開発に重要な保安林制度は現在あるのですが、これは必ずしも完璧じゃない。将来改植等をいたしまして、ほんとうの涵養林の水資源涵養の実をあげさせなければならない、こう思うのです。ところが、今の大蔵省、企画庁でもそうですけれども植林の大切なことには理解があるようですけれども、これを保育、育成をするという経費については、植えたならばそれでもう目的は達成したのではないかと言いますけれども水資源涵養林とするためには、これは非常に地理的に条件の悪いところがこの対象になっておるわけです。岩壁であるとか急傾斜地であるとかいうようなところが特にこの水資源涵養の地帯になっておる。それは山腹でございます。従って、それを植えただけではだめだ。保育、育成をしていかなければ、水涵養水源林とはならない。ところが保育、育成については十分な理解を示しておらない。ほんとうにそうでしょう。林野庁長官どうですか。十分ですか。おそらくもう私が言うまでもないことだと思うのです。それでは、水資源は大いに開発するんだといいましても、その源泉において十分な手当をしないようでは、法律はできましても、実際に実施するだけの豊富なる水をたたえるわけにはいかないのではないか。この点について、十分関心を持たれるかどうか。持たれなければこんな法律は入り用ないだろうと思うのです。この点明らかにしてほしい。
  36. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のような、植林をしただけで、あと維持、育成する費用が十分でないということでございますが、それは植林の全きを期し得ないことだと思うのであります。そういう点がございますれば、なお今後とも注意をして参りたいと思います。
  37. 川俣清音

    川俣委員 それは、経済林でありますれば、みずからの費用で保育いたしましても経済効果があがる。これは経済林でない。制限されておりますから、特別な保育の仕方をいたしませんと、しかも労力につきましても経費につきましても割高になるところなんです。そういう地勢なんです。しかも、それは経済効果があがらない。生育の悪い場所だ。従って、保育が非常に重要になって参ります。林野庁長官、そうじゃないですか。私がかわって質問をしているようなものだが……。
  38. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 将来の伐採を目的とするよりも、むしろ水資源涵養するための植林ということになりますと、そういう地域があろうかと思います。そういうものにつきましての将来の保育、育成というような問題につきましては、十分考慮して参りたいと思います。
  39. 吉村清英

    吉村政府委員 先生のおっしゃる通りでございます。私ども、特に来年度のこの方面の造林につきましては、特に重点的に力を入れる決意で、予算その他の面でも万全を期して参りたいと考えております。
  40. 川俣清音

    川俣委員 長官の気持はわかるけれども、新植の予算はありますが、保育の予算が足りないことは明らかじゃないですか。来年度予算の経過から見ましても、この点の不十分なことは明らかではないですか。
  41. 吉村清英

    吉村政府委員 まことに努力が至りませんで遺憾に存じておりますが、先生のおっしゃる通り、なお一そうこの面の経費につきまして努力をしたいと思います。
  42. 川俣清音

    川俣委員 この程度一つ……。
  43. 阿部五郎

    阿部委員 関連して。  川の水を長年にわたって飲料用あるいは灌漑用で使っておる場合においては、当然その利水権というものは私権の対象ということになって、私の方の権利である。そうして民事訴訟の対象にもずいぶん例があることなんでありますし、疑いの余地はない、こう思っておったのでありますが、ただいま承っておりますと、林野庁長官は、さらにさかのぼって、土地そのものまで私有である、あるいは国有である。とにかく、所有権の対象であるところへさかのぼっても、なおかつ流れておる水については、私有物公共物かわからぬというようなお話がありましたが、そうなってくると、これは下流においてもますます疑わしくなるので、その点いかがでございましょうか。建設大臣からでもよろしゅうございますが、私権の対象になるものか、ならないものか。この点一つはっきりしていただかないと、これは、はなはだ、この法律の運用について不安を生ずると思うのであります。
  44. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 御承知のように、河川法が適用されております河川につきましては、私権の対象が排除されております。ところが、河川法が準用されます河川、あるいは地方公共団体が管理しております普通河川等がございますが、そういうものにつきましては、公物的な管理は受けておるわけでございます。そういう面におきまして、ある程度私権の制限を受けておるわけでございますから、その点の権利関係はその面においては制約があると思います。ただ、それ以外に、個人の所有地、あるいはその他の、国、公共団体の所有地等に流れております水流等がございました場合、現行民法の建前からいきますと、従来からその土地の上に存するものとして私権の対象になっておるわけでございます。
  45. 阿部五郎

    阿部委員 それで、ずっと上流の山林地帯、国有と私有とを問わず、そういう所有権の対象になっておる地上を流れ、あるいは伏流しておる水が所有権の一部であることはわかったのでございますが、準用河川あるいは河川法適用河川においても、長年にわたってそれを飲用もしくは灌漑用などに利用しておる。この権利はやはり私権の対象として保護されるものであるか。現に保護されておるものと考えておるのでありますが、いかがでありますか。
  46. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 水利権の内容、あるいは慣行水利権というのがどういう権利の内容になっておるかというお尋ねかと存じますが、水利権そのものがどういう権利かということにつきましては、いろいろと学説的にも見解が分かれておるところでございます。河川法上は、河川流水を占用しようとする場合におきましては、行政庁の許可を受けて設定される権利でございます。従いまして、それは河川法上の一つの権利として考えておるわけでございますが、ただ実体的に申し上げますと、慣行水利というものがどの程度保護されるかという点について申し上げますが、新たに水利権を設定いたします場合には、慣行的な水利はもちろん、既存の水利というものを十分考慮して、新たに水利権が設定されるわけでございます。従いまして、そういう意味において、慣行的な水利権その他以前の既得水利権というものが保護されるようにできておるわけであります。
  47. 阿部五郎

    阿部委員 私が考えておるところとあまり大差はないようであります。そういたしますと、この法律ができまして水資源開発公団というものができて、上流において堰堤を設けるなり何なりして水資源開発するということになりますと、その下流において新たにできておる——新たにといいましても、公団より以前にできておる許可を受けた水利権、並びにそういう制度以前から慣行的に水を利用しておる権利、こういうものが上の方で公団によって作られたところの施設などによって大きな影響を受けるということは、当然考えられることでありますが、その点の調整はどういうふうにつけられるものでありますか。法規上の根拠を一つお示しいただきたいのであります。
  48. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 公団ができましていろいろな施設を作った場合、既存の水利権との関係はどういううふうになるかというお尋ねでございますが、先ほども申し上げましたように、既存の水利権あるいはその後にできます水利権は、そのときの流量を基礎として水利権が設定されるわけでございます。ところが、公団ができまして、施設を作りますのは、それだけの流量では足りない、場合によりますと、渇水期におきましては既存の水利権さえ満たし得ないということがございます。その流量をできるだけ増すというための施設を、ダムを作りましたり、河口せき等を作りましたり、これは流量を増すための施設でございます。従いまして、そういう増されたものによって新たに水利権というものが発生するわけでございますし、また既存の水利権について申し上げますと、渇水期において足りなかったもの、今度の開発施設が整いますと満たされてくるというふうに考えておるわけでございます。
  49. 阿部五郎

    阿部委員 そうお考えになるのは、それはその通りでありましょうが、実際とは、はなはだしく合わないように思われるのであります。早い話が、下流において長年水を引いて使っておる。ところが、上流において堰堤を作ってその流れをとめて、そこから工業用水あるいはその他飲料水にしろ使いましたならば、下流において水量が減るということは当然のことでありまして、それをふやす方法がありそうにも考えられないのでありますが、それはどうなんでございますか。
  50. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 従来多目的ダムなどを建設いたします場合には、多目的ダムを作って上に水の使用権が設定されます場合、下流に影響がございますので、そういう場合には、下流の水利権の内容を十分に考慮いたしまして、新しく計画を作ってやっておるわけでございます。今度の場合も、そういう下流に支障を与えないような計画をまず作りまて、そういう支障を与えない。むしろ渇水期におきましては、渇水によって今まで非常に水が足りなかったものを増してやろうということを考え計画になっておるわけでございます。そこで、実際問題といたしましては、そういうことがないような計画で進めておるわけでございまして、水量的に申し上げますと、利根川水系の場合には、従来は一〇%か一一、二%しか使っていないものを、三〇%以上四〇%程度をある期間において、流量というか、水の使い得る量を増そうという計画でございますので、既存の水利はもちろん、新たな水利を満たすようにいたしたいというように考えておるわけでございます。
  51. 阿部五郎

    阿部委員 計画はそういうふうにお考えか知りませんが、実際のところを見ると、多目的ダムとして建設されたダムの管理がその目的通りには行なわれておらないのが通常ではあるまいかと思うのであります。一応このダムの管理の規則を定めておいても、水が足りなくなって、その一部が電力に使われておる場合には、遠慮なしに水をとめる。また、余る場合においてはどんどん放流をするのであります。水が余れば、下流において水害を起こす危険のあるところまで放流をする。こういうような実例が幾らでもあるのでありまして、それは管理の仕方が悪いからだ、こう言えばそれまでであって、そんなことのないように計画をしておるのだと言えばそれまででありますが、現在のところはそういう完全な管理のできるような工合にはなっておらないように思います。そこで、この法律ができることについて、既存の水利権者、地方の住民というものは相当の不安の念を持たざるを得ない実情であります。  そこで、問題は、基本計画を立てたり実施計画を立てたりするにあたって、地方の実情を加味してやるという方面から、地方自治体の長に意見を聞くとか、あるいは協議するとか、こういうふうな規定を作っておるのであろうと思うのでありますが、その点で、はなはだ重大な問題になって参りますのは、単に協議する、意見を聞く、こういう場合に、意見は聞いたけれども、その意見通りにすることはなくて、公団の総裁がきめた通りにやる場合があると、これは大へん重大な問題が起こるのであります。私の選挙区などでは、三十年ばかり前に川を分水するという問題が起こりまして、非常にたくさんの地方住民が興奮して、農機具が武器に変わったり、むしろ旗が立つ、こういうようなことも起こったのであります。そこで、そういう既存の水利権を尊重したり、あるいはその管理の方法についても、地方民の意見をいれたりする一つの窓口として——窓口というのが適当であるかどうか知らぬが、とにかく地方の意見をいれることができるようにするためには、都道府県知事の意見をいれる、しかも、その協議がととのわない場合においては、その工事の施工に着手しないとか、とにかく地方自治体に重みを持たしておく、こういうことが必要になるのではないかと思うのでありますが、この開発促進法においては、単に「意見をきく」、公団法においては「協議する」、こうなっておる。私は、前回も今回もこの建設委員会委員ではなかったので聞いておりませんけれども、一昨日のお話を聞いておると、建設大臣は、従来、上の行政機関と下の行政機関との関係規定する場合においては、「意見をきく」、こう示すのが立法上の慣例である、それが対等の場合においては、「協議する」、こういうふうに公団の場合においては「協議する」、こうなっておるのだと言いますけれども、これはそう軽々しく従来の慣例だといって片づけてしまうことのできない重大さを持っておるのではないかと思うのであります。すなわち、今申し上げました地方の意見を聞く、自治体の首長の意見を聞くということは、これは単に上級行政機関が下級行政機関の意見を聞くというものではなくて、地方にはそれぞれ権利、水利権を持っておる住民がたくさんおるのであって、それらの複雑多岐をきわめる意見を一々聞くことができませんから、それらを代表するものとして地方自治体の首長の意見を聞く、こういうことになっておるものであろうと思うのであります。そうしないと、これは一つ間違うと大へんなことが起こると思われますから、そういう意見を聞く窓口を開いておるものだと思うのであります。問題は、その開き方であって、単に意見を聞くなどということでは、この法律ができることそのことがすでに地方民に非常な不安を抱かせておる。これができましたならば、地方民はどんなことをやられるかもしれないという不安を絶えず抱いて暮らさなければならぬ、こういうことになろうかと思うのであります。  そこで、この規定は、これは従来の立法習慣によって単に意見を聞くと書いておけば足りるというようなことではなくて、同意を得てとか、あるいはとにかく地方の意見に反して行なうことのないような保証をこの法律の上において明らかにしておく必要があろうかと思うのでありますが、建設大臣その他所管大臣の御意見を聞きたいと思います。
  52. 中村梅吉

    中村国務大臣 前段の方からお答えを申し上げます。先ほども河川局次長から申し上げましたように、既得の水利権がございます場合には、これはあくまで尊重すべきであります。これは当然なことだと思います。尊重するのみならず、既得の水利権というものは、渇水等の場合は、水利権がありましても水自体が非常に減少して所期の使用目的にたえかねるという場合も、現実の問題としてしばしばあり得ると思うのであります。これにつきましては、もし上流にこうした種類の多目的ダム等が建設をされました場合には、水量がさらに一そう確保されるわけでございますから、下流の水利については常時既得の権利を確保すると同時に、万一渇水等がございましたら、天然に放置したよりもさらに有利な条件のもとに既得の水利権者が水の利用のできるようにすることは、私は当然だと思います。ただ、ダムの建設等について、ダムも二十年、三十年、それ以上の歴史がございますから、かつて数十年前にできました古い時代の発電専用ダム等につきましては、十分の配慮が払われていなかったものがあるかもしれません。建設省が現在建設しつつあります多目的ダム等につきましては、そういった既得の権益の保護につきまして、あるいは下流に漁業権があったが、そのために漁業ができなくなるという場合には、漁業権に対する十分な補償をするというようなこと等、いろいろ関係住民に迷惑にならないように配慮をしております。この公団ができました場合の公団の作業も、やはり現在建設省が担当いたしております多目的ダム事業というものが受け継がれて同じような行き方になるわけでございますから、そういう点については関係住民の方々の心配のないようにしていくことに最善を尽くしていきたいと思っております。  それから、後段の知事の意見を聞くという点でございますが、これは、先日も申し上げたように、実は私ども考えているわけでございます。そこで、率直に申しますと、かつて私は議員として臨海地帯開発促進法案というものを議員立法で出しまして、提案者として委員会で議論をした際に、やはりこの知事の意見を聞くというのが問題になりまして、当時私は政府という立場でなくて、議員立法の提案者という立場でございますから、気軽なつもりでお答えをしたことを思い出したのであります。知事の同意ということになりますと、全責任が知事にかぶるわけでございまして、たとえば県全体、村全体としては同意すべきことである。それが地元の損失にもならないし、あるいはかえってそれがために環境の整備、その他そういうような作業に並行した道路の建設とかいろいろなことも当然伴って参りますので、諸般の点から見て同意すべきである。こういう場合がありましても、県内なり村内のある有力者が自分の利害のためにあくまで反対である、こういうことが現実の問題として多々起こり得ると思うのです。一個人だが非常に顔もきき有力な人である。しかし、大勢としては同意すべきものである。こういう場合に、知事の同意がなければできないのだということになりますれば、知事はあくまで全責任をかぶらなければならぬということになります。当然同意すべきその地域の大勢にありながら、その結論を得ることが数カ月あるいは数年延引をするということもあり得るわけでございますから、私どもは、知事の立場からいいましても、同意というくぎづけよりは、弾力性のある意見を聞くという方が法の運用上適当である、こう実は私個人としてはかねがね考えておったのであります。  そこで、意見を聞くということになりますと、単に意見だけ聞かれて、意見は尊重されないのではないかという点だと思います。しかし、これは前国会以来政府側と繰り返しお答えを申し上げておりますように、「意見をきく」という法制上の建前になっております以上は、意見を聞いた以上はその意見を最大限に尊重するということは当然でございまして、まさか法律の中に一々意見を聞きその意見を尊重するとも書けませんから、意見を聞くということになっておりますが、われわれとしましてはあくまでその意見は最大限に尊重するという建前をとって参りますことを言明申し上げておるようなわけでございます。従って、国会の御審議段階におきましてこれらの点について附帯決議等で十分念を押していただくことは、私ども、もちろん異存はございませんが、あくまでわれわれ政府側といたしましては、意見を聞く以上はその意見は最大限に尊重するのだ、この建前を堅持して参りたい、こう思っておるわけでございます。
  53. 二階堂進

    二階堂委員長 ちょっと阿部君に申し上げますが、前々日から多数の質疑の申し込みがございます。阿部さんには関連としてお許しを申し上げたのでございまして、この程度一つ御勘弁願いたいと思います。
  54. 阿部五郎

    阿部委員 じゃ、もう一問で。  御答弁をいただきまして、そのこととしては一応ごもっとものようにも承ります。しかし、実際問題として今次の第二室戸台風などでも、ダムの管理が悪かったがために洪水の被害を加重しておる実例は全国に多々あると思うのです。これは大臣お認めになるかどうか、この点が第一点。  それからもう一つ、「意見をきく」の場合でありますが、おっしゃるところは一応ごもっともに承ります。しかしながらその反面として、地方の知事などが一部の有力者に動かされて、大局の利害に反して同意をしない、こういうようなことをおそれるということでありましたならば、知事にかわって管理権を持つような公団の総裁あるいは役員、これもそれほど信頼が持てないのではないか、こういうことになろうと思います。ことにこの公団は主として都会地の工業用水を確保するのが主たる目的になっておるやに見受けられますし、また、公団となってきますと独立採算でありましょう。もちろん国の補助もありますけれども、とにかく一応会計のつじつまが合うということが重点になりましょう。そうなれば、それが第一に重点に置かれて、地方民の利害は第二に置かれるということは、幾ら公務員であってもその立場上は当然のことだと思うのであります。そうなってくると、地方民の不安というものは無理からぬ不安だと思うのであります。そこで、それを防ぐためには、やはり地方民の立場を代表するところの地方自治体の首長が同意しなければ事を行なわないという、この保証、安心感を与える必要があると思うのでありますが、いかがでございましょう。
  55. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいまの点でありますが、公団はなるほど一つの独立機関として事業の実施に当たるわけでありますが、これはただ自由勝手に事業を実施させるわけではございませんので、まず水資源開発審議会で十分審議を尽くして、そしてあるいは都道府県知事の意見を聞き、関係機関の意見を聞き、その上で内閣が基本計画を閣議決定をいたしまして、さらにこれを実施いたします場合には、それぞれの所管大臣が所管に基づきまして事業実施の方法についての指示権を持ち、指示をいたすのであります。従って、公共の福祉を重んじ、あるいは地方民の利益を保護するという点につきましては、政府が全責任を負ってやっていくべき事項でありまして、公団はそれらの点については基本計画の厳守はもちろん、さらにその主管大臣から指示を受けました事業実施上の諸項目については、その指示に従って事業の実施に当たるわけでございますから、私は政府なり、あるいは審議会という各方面の識者の意見をコントロールしていただくそういう公式の機関の良識におまかせいただいて間違いない。公団が勝手気ままなことをするはずもないし、またできないような機構になっておるということを一つ御賢察いただきたいと思います。  最初の点につきましては、近時いろいろの災害の際にダムについての世論がございます。その世論の中にはやはり興奮をした結果起こる程度のものもあるかもしれませんが、実態として耳を傾け、真剣にこれらに取り組むべき事柄である、かように考えまして、私も豪雨災害の際に現地視察をして帰りましてから、直ちに関係機関に命じまして、通産省等の関係省とも連絡をいたしまして、関係省の専門家をもちましてダムの問題の調査、研究をいたしまする協議会を作りまして、現在その方で真剣にダムの操作規程の検討をいたしておる次第でございます。従来からダム操作規程というものはございまして、これも基本としては原則はちゃんとりっぱにできておるのでありますが、こまかい運用等についてさらに検討すべき部分もあると思いまして、検討を開始させて続行いたしておる最中でございます。できるだけ一般の人たちが御安心のできるようないいダム操作規程を将来は作って参りまして、遺憾の点のないようにいたしたい、こう思っております。
  56. 二階堂進

    二階堂委員長 岡本隆一君。
  57. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 この前の宿題になっておる点だけ二点お伺いして、あと石川君にお譲りしたいと思います。  そのうちの一点は、今先ほどからの質疑応答でやや明らかにされたのでありますけれども、慣行水利権というものはあくまで尊重するというふうに今建設大臣は言われたのであります。この前企画庁長官の御答弁では、それは管理規則をきめる際に話し合うのだということでございました。それで、この前の御答弁ときょうと少し内容が違うのでございますけれども、そういうことは政令に、はっきり書かれているのでございますでしょうか。大体この慣行水利権の尊重についてどういうふうな政令を予定しておられるのか。その辺についてお伺いしておきたいと思います。
  58. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。慣行水利権の尊重の問題でございますが、これは尊重といいますよりも、慣行水利権の既得の権利を侵さないというのは当然のことでありまして、これは政令に書く必要はないと思います。
  59. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 政令に書く必要がないと言われるのですが、それはおかしいと思うのです。当然のことであると言われても、当然のことを書いていくのが法律なんですよ。物を盗んじゃいかぬということ、それを書いていくのが法律なんです。少なくとも最低に守られなければならないことを規定しておくということが大切なんです。農民が不安に思っていることは、既得の水利権というものがある。その既得の水利権が——そこへダムを作る。ダムを作って水をうんとためればそれは水は豊富になります。ところが、異常渇水が起こった場合に、たくわえられた水を工業用、水道用にどんどん使って、それが万一底をついてきたらどうしてくれるのだ。しかも、農業用水、灌漑用水があるいは足りなくなるおそれがある。そういうような場合にもなおかつ工業用水の方に回されては困る。その水だけは温存してほしいというふうな考え方に立つところの心配であるわけなんです。そういうようなものはいずれ管理規定を作るときに各地元の人と相談してきめるのだから心配は要りませんというようなお話だったが、きょうは建設大臣が既得権はあくまで尊重しますということだから、それならよくわかるわけです。そういうことは尊重しなければならないということをきちんと法律の中に入れてもあたりまえのことだと思う。それを政令の中へも書く必要がないという。それでは、何を根拠にすればいいのか。水が底をついてきたときに、その残っている分は灌漑用水に残してくれという要求を農民は当然していかなければならないのです。年に二十日ほどの植付の期間に灌漑用水がなかったら、一年間収入皆無でいかなければならない農民ですよ。しかも、ダムが底をつくのは見えている。その場合に、その水をよそへ回してもらっては困りますよ、既得権は尊重する、水利権は尊重するというもともとの約束なんだから、底をつくまで放水してもらっては困りますよ、これは自分たちのために残しておいてもらいたいということを要求しなければならないときに、何をたてにそういう要求ができるのか。こういうことを言うわけです。これは、どうしたって政令の中に、はっきりうたっておくべきだと思うのです。
  60. 曾田忠

    ○曾田政府委員 管理規程の前にまず事業の実施計画というものができるわけでございます。その中にそれぞれにダムを作った場合にそのダムの水をどこに使うという、こまかい利用方法計画ができるわけでございまして、いわゆる実施計画におきまして、十分既得の水利権を考慮した利用計画ができるわけでございます。その実施計画は当然関係都道府県知事公団が協議してきめるわけでございまして、その中において当然うたわれておるというように考えておりまして、政令の内容といたしましては書く必要はないのじゃかというふうに御答弁申し上げたわけであります。
  61. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 どのような管理規程がありましても、現在その管理規程通りに管理されておらない。そこにダムによるところのいろいろな災害の原因があるのです。あなた方はダムは管理規程通り管理されていますとおっしゃりたいでしょう。しかし、現在電力会社その他が管理しておる場合には、やはり自分の方で相当自由に管理しておりますから、どっと放水させて下の方に大きな災害を出したというような例が今まで幾らもあるわけです。だから、そんなことよりも、管理規程より以上にもっと強い拘束力を持つところの政令の中にうたう必要がある。管理規程の中にそういうようなことがうたわれたら政令に書く必要はないのじゃないかとあなたはおっしゃいますけれども、しかしながら、管理規程にはっきりそういうことをうたわなければならぬということを、また政令の中にはっきりうたっておいたってちっとも差しつかえないじゃないですか。そういうことを政令に書いていけない理由はどこにありますか。
  62. 曾田忠

    ○曾田政府委員 管理規程の内容としまして政令にそういう事項をうたうということには私は異存はないと思うのですが、政令そのものに、既得水利権を害してはいかぬという政令考えておりませんということでございます。
  63. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 のみ込みかねますが……。数多くのダムの中には異常渇水というものがなきにしもあらずです。そのなきにしもあらざる異常渇水が起こった場合に、工場は毎日ダムの水をもらって運転しておる限り、やはり持続しての水の供給を要求してくるのですから、そういう異常渇水で操業停止をしなければならないという事態が起こった場合には非常に大きな損失ですから、工場は水の要求をやかましく公団の方に言ってくると思う。その場合、灌漑用水を受けるべき農民が日日ダムを管理しておるわけじゃないのですから……。だから工業の方からうまくやいやい言われて、仕方がないから回してやった。ところが、さあ植付だというときになって、そのうちに降るだろうと当てにしていた雨が降らなかったので灌漑用水がないということが、なきにしもあらずなんです。だから、もしも降らなくてもこれだけは灌漑用水に回し得るというものを絶えず温存しながら、放水を操作していかなければならないと思うのです。そういう義務をやはり公団は持たなければ、農民の既得権を尊重しておるということは言えないと思う。そういうふうなことをはっきり規定しておかなければ、農民の側はダムの管理ということについて非常に不信の念を持つ。そういう不信の念を持たせないようにするためには、そういう管理のやり方をやらなければならぬということを、政令の中へ、はっきり書いておく必要があると思うのです。阿部さんの言っておられることも、そういうような規定があることによって緩和できると思うのです。書いたっていいじゃないですか。慣行水利権を持つ人を安心させるために、そういうことは政令の中に書いておくべきだと私は思うのです。これは藤山さんからそれについての御意見を聞いてみたいと思います。
  64. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまの御質問につきましては、河川法上から保護されておるのでありますから、河川局長からお答えさせます。
  65. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 ただいま御指摘になっております点は河川法の水利権に関する問題でございますので、その点からまず御説明申し上げたいと思います。  渇水に際して既得の水利が害されるのではないか、そのためには何らかの措置をしたらという御指摘かと存じますが、ただいま河川法によりまして水利権を付与いたします場合には、先ほども申し上げましたように、既存の流量を基礎といたしまして、既得の水利を十分考えまして、その範囲内において水利権を付与いたしておるわけでございます。従いまして、新たな水利権が発生いたしましても、その水利権を許可いたします際の条件といたしまして、既得の水利権が侵害されないような条件つきの許可をいたしておるわけでございます。従いまして、そういう点から考えますと、その点については、先ほど企画庁から言われましたような政令は必要でないじゃないかと私考えておるわけでございます。  しかしながら、先般来御指摘のように、異常渇水の場合はどうかという御指摘でございますが、これにつきましては、計画といたしまして、現在の既得水利が満たせないような安定した流量でない、安定して使える量をできるだけ増すようにして、できるだけそういうことをなくしたいというまず計画上に考えておる点が第一点でございまして、またさらにそういう場合にも反して、異常渇水の場合どうしたらいいかという点があるわけでございます。従来の実際の例を申し上げますと、そういう際には関係府県の河川管理者等の関係者が集まりまして、実際に相談をいたして問題を解決いたしておるわけでございます。  そこで、今度の際におきましても、そういう異常のさらに異常な場合があったら、実際上はそういうことで相談をしてきめることになるかと思いますが、そういう場合について、何らかの措置が必要であるかどうかについて私ども検討いたしまして、必要があれば政令等においても内容に加えるべきものがあれば検討いたしたらどうかと考えておるわけでございます。
  66. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 これはそういう事態が起こってからいろいろな紛争をなにするよりも、やはりはっきりとそういうことについては公団に義務を負わしておくべきだと思うのです。またあなたが今言われるように、河川法に基づいて水利権を与えられておる。あとから入ってきたところの水利権は、前の水利権をあくまでも尊重させるのだ、こういうことですね。そうすると、今度は、それでは公団がダムを作って異常渇水が起こった。本来ダムを作らなければやはり上の方から流れてくる自然のものはあるのですから、それをもって工業や水道に回す必要がなければその水でもって灌漑用水は満ち足りていく。ところが、水道なんかができたがために、どうしても市民の水は確保しなければならぬということになると、勢い農業用水も流し得ないような事態にまで、ある一定の期間、一カ月向こうには雨が降るだろうというふうに期待しておったために相当流してしまった。そのために、水道用水に流したら農業用水にとても回せないというような事態が発生しないとも限らない。その場合には、公団が農民の既得権を侵害したことになるわけですから、賠償しなければならぬ。損害賠償の義務があるのです。そういうふうな紛争が起こると、これはいけないから、やはりそういう点については、はっきりとした義務づけ、法的根拠を与えておく必要がある、私はこう思うのです。だから、そういう点は特に留意していただきまして、一つ至急にそういう政令考えていただきまして、この法案はきょうで質疑打ち切りをやりたいという御意向のようでありますし、私も、そういうふうな意味ではこれ以上時間をとらないようにいたしますが、来週早々にそういう点の政令の内容を一つ見せていただいて、その上で喜んで採決に賛成の起立ができるようにしていただきたいと思うのです。  それから、もう一つお尋ねしておきたいのは、水の値段の問題でございます。これについては、この前お尋ねいたしましたところ、愛知用水の公団の方がおられないからわからないというふうなことでありました。そこで、昨日愛知用水の方に来ていただきまして、私的にいろいろお話を伺いまして、ある程度私も理解が参りました。ところが、お話を聞いております中で私の不審に思えますのは、各持ち分の出し方の場合に、工業用水については六円五十銭という額を大体基準にして持ち分を出しておるのに対して、水道用水は二十三円を基準に出しておられる。ところが、二十三円を基準にするものだから、愛知用水でも農家の各戸に水道用水が入っていくときには四十円になっている。そのことはどういうことかと言えば、二十三円というのは卸の値段なんです。つまり用水公団から町村が買う値段を二十三円というふうに考えておるわけです。そういうことで割り出していくから、結局それからあとの末端の配水管や浄水場の施設というものが入ってきますから、結局その飲料水の価格が四十円というような膨大な価格になっておるわけです。工業用水の六円五十銭というものは末端の価格ですね。上水道の場合、二十三円という末端の価格を卸のところへ持っていっているところに問題があるわけでございます。今後ともこういうふうな算出方式、身がわり妥当投資額というふうな算出方式をとられる場合に、卸値段というものをここへ持ってくるということの中に大きな矛盾があるように思えるのでございます。これはどちらからお伺いすればいいのか存じませんが、一つ政府の御答弁をいただきたいと思います。
  67. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。今の水の料金に関連する御質問でございますが、御承知のように、現在のいろいろ共同施設の費用の負担方法といいますものは、大体電源開発あるいは建設省所管の多目的ダムというものがございますが、原則といたしましては身がわり妥当支出でございますが、そういう方法をとっているわけでございます。身がわりの方は、要するに単独でダムを建設する場合に幾らかかるかということをお互いに出して比較するわけでございますが、妥当支出の場合は、今御指摘のような工業用水につきましては大体工場の入口まで、末端の料金を一応想定いたしまして、それから妥当支出を出すという方法をとっております。  それから、水道用水でございますが、率直に申し上げまして現在いろいろの方法を使っております。一つ工業用水と同じように末端の料金、最終消費者の料金を基準にして妥当投資を出しております。もう一つは山元のダムの原水単価を基礎といたしまして妥当投資を出す。そういう二つのやり方がございます。  実は上水道につきましては、現在ある市町村に新しく上水道を作ります場合は三十円とか四十円とか非常に割高になっております。そのかわり、既設の水道があります場所に拡張工事をやる場合、たとえば東京、神奈川のような大都市におきましては、既存の設備がだいぶ償却されておりますから、大体二十円前後で済んでおります。従いまして、いずれの方法をとるにいたしましても、基準単価を一体幾らに押えるべきであるかという問題が非常に大きな問題になってくるわけでございます。われわれといたしましても、今後問題ももちろんございますが、基準をいかに持っていくかという点につきましては、なお関係方面と十分検討して参りたいと考えております。
  68. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 単価の出し方の中に、工業用水というのは水を使って生産をしてお金をもうけるのです。ところが、水道用水というのは、貧しい家庭ほど井戸を持っておらないのです。だから、表を流れている川で茶わんを洗ったり、野菜を洗ったりしているということをやっているから、伝染病が蔓延する。だから、貧しい家庭にも水を配分してやろう、きれいな水を配分してやろう。これが上水道、簡易水道というものの考え方なんです。だから、そういうふうな考え方からいけば、水の価格というものは社会保障的な見地からきめられなければならないものであって、純粋の経済ベースに乗せた考え方ということ自体が大きな問違いだと思うのです。しかも、末端へいけば四十円になるというふうな、そういうふうな水の価格をきめるような、そのような数字を持ち分の出し方の中に持ってくるということの中に一しかもそれは全国平均の水道料金だ。全国平均水道料金というものは、それは末端の使用料なんです。その末端の使用料、各戸の使用料というものを卸値として考えていく。そこでまたいろいろな施設に伴うところの費用が加算されてきて、四十円というふうなことになってくるわけです。だから、二十三円がほぼ倍になってくるというふうなところに、この愛知用水の出し方というものは、そういう社会保障的な考え方、こういうふうな点において欠けるところがある、こう私は思うのです。  だから、今後公団が運営される場合には、やはりそういう点を十分考慮して、水道料金の考え方というものは、上水道については社会保障的に考えなければならない。だから、算出の基礎はもっとそういう点を配慮したものにしなければならぬ、こう思うのでございます。これはいずれの人でもけっこうでございますが、大臣からそういう点についての見解だけをはっきりしていただきたい。同時に、今後こういうふうにやっていくのだというところの見通しを一つ私に与えていただきたいと思うのです。
  69. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のように水道料金が末端の生活に影響することは、これはもう当然でございます。できるだけ安いことは望ましいのでございますが、ただ、こうした水道の普及をはかって参ります場合に、そのこと自体に社会政策的なものを加味しなければならぬかという点になりますと、私どもはこういう問題については、やはり経済的な見地から一応試算いたしまして、そうして社会政策的な面というのは、生活保障その他の面からも十分考慮するというのが、むしろ水道を普及するというような面からいきまして適当なのじゃないかと考えておりますが、全体として水道料金を安くしていく、またこういう工事をやって新しく水道を引く場合は、できるだけ安くできるように心がけておることは当然なことだと思います。
  70. 岡本隆一

    ○岡本(隆)委員 あなたは経済人だから、そういうふうなことになれば、工業用水にちょっとその分が回ってきて高くなりはしないかという心配をしていられるのじゃないかと思うのです。しかしながら、水というものは毎日使うのですよ。しかも、貧富の別なく使わなければならない。だから、コストがついたものは、それだけコストはもらわなければいけない。それでやっていけないものは、他の社会政策でめんどうを見ていきましょう、こういうことですが、それじゃ生活保護を受けておる人々に対して四十円の水を飲め、電灯料もコストがつくのだから高くなっても仕方がない、他の物価が高くなってもそれは仕方がないじゃないか、こういって物価はどんどん上がっていくが、それに見合って絶えず生活保護費というものは引き上げられていくかどうかというと、いつもおくれていくのです。だから、保護家庭の生活は苦しいのです。だから、こういう日常どうしても欠くことのできない、どうしてもそれなしには生活できないが、それじゃお前ふろにも入るな、洗たくもするな、あかでまっ黒けになって暮らしておれ、こういうふうな考え方の上に立って物事を考えてもらっては困ると思う。あなたは今日まで何不自由なく暮らしておられるから、そういうドライなことを言っておられるかと思いますが、しかしながら、そういう考え方でおられたら、あなたはなんぼがんばったって内閣総理大臣になれませんよ。(笑声)そういうことは、あなたが少なくとも腹の中ではそう思っておっても、口だけでいいから、いや、ごもっともでございます、というふうなことが言えるだけもっと成長しなければ、あなたは総理大臣になれないと思います。だから、今後この考え方を改められることを要望して、私は質問を終ります。
  71. 二階堂進

  72. 石川次夫

    石川委員 今度水資源が企画庁で所管をされることになりまして、今言われたように総理大臣候補の実力者がなられたというので、私は何十項目かの質問要項を準備しておったのですが、きょうは審議の関係もありまして、午後はこっちに出られないというので、非常に残念でございますけれども、二点だけ伺いたい。  今の身がわり妥当方式というあの費用分担方法でございますけれども経済企画庁はこれを再検討するために相当の予算を費して検討しておられるということを聞いております。従って、われわれの方としては、先ほど岡本さんも言われていたように、生活保障、社会保障というような意味を加味した新たな身がわり妥当方式の経済様式というものは当然作らなければならない。これはおそらく常識的に考えてそうじゃないかと思うのですが、その点はぜひ一つ今度の身がわり妥当方式の再検討に際して考慮してもらいたいということを強く要望しておきます。  それからあと一つ水資源開発促進法の第十一条でございますけれども、ここでは国土総合開発計画、あるいは電源開発基本計画、こういうものとの調整を内閣総理大臣がやる。そして、経済企画庁がその窓口となってこれを処理するということになっておりますけれども、なるほど国土総合開発計画というものは非常に膨大なものでありますから、そう簡単に促進をはかることはむずかしいということはよくわかる。しかしながら、これは遅々として進んでおらない現状にあるということは言うまでもないと思います。ところが、今度新たに水資源開発促進法というものが出まして、またそれとの関連を考慮しなければならぬ。それを総理大臣が調整をはかる。その窓口はまた経済企画庁長官が当たるというのでございますけれども、現実の問題としては、これは不可能に近いのではないかということをわれわれは非常に懸念をしておる。この前の通常国会においてもいろいろな質疑応答がかわされましたけれども経済企画庁はなるほど窓口ではあるが、窓口は窓ワクだけなのです。中には人問が存在してない窓口だということになっている。その窓口からのぞいて見ると、おっかない所管大臣というものが四人も五人も並んでいるということで、一体これをどう処理するのだという問題が現実の問題として大きく浮かび上がってきておるのです。そして問題は、国土総合開発審議会あるいは電源開発調整審議会というものと意見を調整するといっても、現在の経済企画庁長官としては総理大臣の身がわりとしてこれを処理するわけでございますから、実際は不可能だとわれわれは見ざるを得ないわけです。それで、これに対しまして経済企画庁長官としては、具体的に何か機構の改革をやってこれに対処するというふうなお考えがあるのかどうかという点が一つ。  それから根本的には、わが党が前から主張しておりますように、やはり総合的な国土開発というものを所管する一つの省を作らなければならぬ。これは非常に大事業です。非常にむずかしい問題があります。これは水資源開発促進法をやるよりも困難な問題が存在しているということはよく理解できますけれども、どう考えても、あれがなければ総合的なほんとうに円満な順調な開発ということを実現させることは不可能だということが常識的に言えると思う。これはなかなか困難な問題だと思います。農林省の関係もありましょうし、通産省の関係もあります。いろいろありますけれども、これができれば総合開発、日本の躍進というものは非常に期待できると考えざるを得ないわけなんです。この点について経済企画庁長官は、一応こういう問題の処理に関しては総理大臣の身がわりということになっているわけでございますから、御所見を伺いたい。
  73. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この計画を実行するにあたりまして、窓口のうしろには何人かのおっかないおじさんがおられるようではございますけれども、しかしおっかないだけに話のわかる方たちでありまして、それらのものを調整して参ることは当然われわれとしてやらなければならないと思います。また、こうしたことを実行して参りますために、経済企画庁の機構の面において、水資源局というものを一局置きまして、そうして運営を完璧にして参りたい、こう思って現在予算要求をいたしておるのでございます。
  74. 石川次夫

    石川委員 水資源局というものを作ることが是か非かということは、私は別に申し上げません。いろいろのめんどうな問題があるでしょうが、しかし、私の言いたいことは、国土省というようなものを何とか作るような方向にいかなければ、いろいろな問題での、いろいろなセクトから生ずるところの困難、行き詰まりというものは打開できないのじゃないかということを痛感いたしておるものです。これは建設委員会としての意見というだけでなくて、社会党としての意見であります。自民党にもそういう意見が非常に強いということを聞いておるのです。なかなか実現できない事情があることはわかるのですけれども、ぜひそういう方向へ進めてもらわなければ困るのだ、根本的な打開はできないのだということを強く要請しておきます。ここで簡単に水資源のことだけに関連して申し上げているのじゃないということを念頭に置いて、今後考えてもらいたいと思います。  それから、あと一点でございます。十四条の、「基本計画に基づく事業を実施する者は、当該事業により損失を受ける者に対する措置が公平かつ適正であるように努めなければならない。」きわめて簡単な文でございます。まことにこれだけでは、私はどれだけの損失の補償があるかということは、当該地域の者にとっては重大なる関心を持たざるを得ないと思う。この点に関しましては、この前の通常国会でも何回も質疑応答がかわされておるわけであります。特に問題になりますのは、この前の通常国会で、特定公共用地に対する特例が出ておるわけであります。緊急裁決という名前によって簡単に土地収用ができる。この法案の出た根本的なねらいというものに対しましては、われわれも賛成するにやぶさかではないけれども、そのためにはどうしても補償の基準というものがはっきりできなければいかぬのじゃないかということは、再三強く要請をしておったわけです。しかも、この補償基準というものができて、初めてこの法案というものを適用すべきではないかという主張をしておったのでございますけれども、われわれのこの修正意見というものは通らないままに通過をしてしまったという経過をたどっております。この前の通常国会でこの水資源の補償の基準に関しましても再三質問を申し上げましたが、答弁の中で迫水前長官が、なるほど御説の通りである、何とかこの基準というものを作らなければいかぬと思う、従って、水資源開発審議会の中へこの諮問をして、一つ基準を作りたいというような答弁が出ておりました。しかしながら、私はこの補償の基準というものは、ただ単にこの水資源の、この法案の対象としてだけ考えるべき問題ではない。あらゆる問題において、この補償の基準というものを統一しなければならぬ。これがなければ用地の問題というものは、まあそのほかにもいろいろ困難な要素がありますけれども、根本的な解決はできない。どうしても一つの条件としては、最近ますます困難になっていく用地の取得に関する補償の基準の統一というものをぜひ速急にやるべきであるという意見を持っておるわけなんです。この前の迫水さんは、水資源開発審議会というものに諮るといっておるのですが、その程度のものじゃなしに、政府自体が補償の基準を早急に作るという積極的な熱意を持たなければいかぬということを痛感するわけですが、これは建設大臣企画庁長官にその件に関する所見を伺いたい。見通しがあれば、どの程度ぜひやりたいというようなことまで言ってもらわないと、今後ますますいろいろな問題が出てくると、そのつどこの問題で混乱をするということになりかねませんので、ぜひ一つ積極的な、意欲的な答弁を伺いたい。
  75. 中村梅吉

    中村国務大臣 御承知通り、公共用地審議会が法律によって設けられまして、この公共用地審議会の第一の使命として、損失の補償及びそれに関連をいたしまする環境整備の問題等、急速に御審議をいただいて成案を得たいと思って、目下着々進めておるような次第でございます。  この公共用地審議会は御承知通り、各方面の学識経験者の方々に御参加をいただきまして、すでに補償基準の策定について諮問をいたしまして、御審議を開始いたしておる段階でございますので、私どもとしましては、現在の見通しとしては、来年の三月までに答申をいただいて、それを受けてできるだけ適正な損失補償基準を政府としてきめていきたい、こう思っておるわけでございます。この水資源開発につきましても、あるいはその他の公共事業につきましても、全般的に制度を確立いたしたいと思っておる次第でございます。
  76. 石川次夫

    石川委員 これで質問を打ち切りますが、公共用地取得の審議会に諮問をしているということで、来年三月その答申が出る見通しだということで、非常に意を強うしておるわけです。公共用地の審議会に対しましては、補償の基準をとにかくきめてもらうということを最重点にして作業を進めてもらいたいということを強くお願いを申し上げておきます。  十四条は、生活再建に対する規定も何もないわけです。私はさらに百尺竿頭一歩を進めて御要望申し上げたいのですけれども、実は補償金庫というものを用意して、政府が相当程度の資金を出して、生活再建というものは——非常に反別の少ない人が一ぺんに土地を取られるのと、たくさん土地を持っている人が局部的にとられるのとは、同じ面積でも相手に与える影響の度合いというものは非常に違うわけです。従って、これは社会保障とも関係はありますけれども、それ以外に補償金庫というものを用意して、用地取得を側面から円滑に進めるというような機構もあわせて考える必要があるのではないか。これは公共用地の取得の場合に私も意見を何回も申し上げておきましたけれども、こういう点もあわせて公共用地取得の審議会に諮っていただいて、そういう面から用地の取得を円満に進め得るような体制を至急に確立をされるように要望いたしまして、一応企画庁長官のおいでになる席での質問を終わりたいと思います。
  77. 二階堂進

    二階堂委員長 午後一時三十分より再開することとして、暫時休憩いたします。    午後零時三十七分休憩      ————◇—————    午後一時五十四分開議
  78. 二階堂進

    二階堂委員長 これより再開いたします。  本会議散会後再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時五十五分休憩      ————◇—————    午後二時五十三分開議
  79. 二階堂進

    二階堂委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。兒玉君。
  80. 兒玉末男

    兒玉委員 ほとんど法案についての問題点質疑がなされておるわけでありますが、基本的な問題と具体的な問題について疑問となっている点、あるいは現実に発生している問題等を含めて御質問いたしたいと存じます。  まず第一に、経済企画庁の方にお伺いしたいのは、この開発促進法の第二条におきまして、基本計画の設定の前提となる基礎調査を行なうことが義務づけられておるわけであります。しかし、この開発促進法案なりあるいは公団法案提案されるまでの与党政府内における審議の過程、あるいは関係省間の所管争い、こういうような非常に困難な過程を経て、この法案がようやく先国会に上程される運びになったわけであります。そこで、問題となりますのは、国土総合開発法の第二条、さらに第四条の審議会の調査事項、あるいは計画設定の基本をなす第七条、このように国土総合開発法にも明確にこのような水資源を含めての国土全体の調査計画が法的に義務づけられておるわけでありますが、特に水資源開発促進法との関係におきまして、現在までにどういう基礎調査というものがこの国土総合開発法においてなされておるのか。この点についてまずお伺いをいたしたいと存じます。
  81. 曾田忠

    ○曾田政府委員 水資源開発に関します調査の御質問でございますが、これは、それぞれの各省におきまして、各河川ごとに必要なダムの、たとえば施設個所とか流量の調査といいますものをやって参っておるわけでございます。特にこの水資源開発促進法におきまして、われわれといたしまして指定を考えております利根川、淀川、木曽川、筑後川、そういう河川につきましては特に重点を置いて実施して参っておる次第でございます。
  82. 兒玉末男

    兒玉委員 きわめて抽象的な表現で、ちょっと理解しがたいのでありますが、これは前に臨海工業地帯促進法が国土総合開発特別委員会に上程された際においては、そういう基礎的な調査というものがほとんどなされておらない、こういうことを私は担当者からお聞きしたわけであります。特に今回の水資源開発促進法というものが、いろいろ複雑なコースを経て、経済企画庁がその窓口となって法案の作成等に当たる、こういういきさつを私は聞き及んでおるわけでありますけれども、少なくとも窓口となる企画庁においては、国土総合開発におけるこの基礎的な調査事項というものは、ある程度具体化したところの将来の展望に立った調査というものがなされておらない限りにおいては、厚生省なりあるいは建設省また農林省等、非常にうるさい所管の問題を含めて、全体を統括するということはきわめて困難である。こういう前提に立つならば、いま少し具体的に一つお答えを願いたいと思うわけであります。
  83. 曾田忠

    ○曾田政府委員 数字的に今までやっております調査の概要をお答えいたしたいと思います。  まず三十五年度についてとりあえず申し上げますと、利根川につきましては、建設省所管といたしましていろいろなダムがございます。あるいは河口せきというものもございますが、大体千九百二十二万円という調査を行なっております。また、同じ利根川水系につきましても、農林省所管におきましては二千九百万円。それからなお企画庁といたしまして各省の調査の調整をやっておるわけでございますが、利根川水系につきましては、三十五年度におきましては三千五百万円という調整費を各省に配賦してございます。三十六年度につきましては、利根川について申し上げますと、建設省所管といたしましては三千二百五十万円、農林省所管といたしましては二千四百万円、経済企画庁の調整費といたしましては大体三千百五十万円というものを三十六年度に計上してございます。
  84. 兒玉末男

    兒玉委員 これは一応調査費の金額でございますが、せっかくこの法案ができ、また公団法が制定されたとしましても、今後の事業遂行についての将来の展望なり、そういう具体的な計画というものがどういう方向一つの基礎資料を基礎にして展開されようとするのか、そういう点の資料を私は実は要求したかったわけであります。この点については、今それを出せというようなわけにも参りませんので、この国土総合開発に基づくいわゆる諮問機関から出されましたところの調査なり、あるいは第七条に規定されているところの計画というものが、どういう構想のもとになされてきているのか。すでにこの法律が制定されてから十年以上経過をしておるわけでありますから、最も基本的な命題でなければならない、こういう立場から、もし、この臨時国会中にでもけっこうでございますので、今国会中にできるならば、今後の資料として一つ提出をいただきたい。  次に、建設省の方に申し上げたいのでございますが、次長にお伺いしたいと思います。この水資源開発水系の指定及び第四条規定による基本計画決定のため必要な基礎調査を行なうことということをいっておるわけでありますが、大体この法案の内容あるいは開発公団が行なう業務の内容等から判断いたしましても、建設省の所管する問題がきわめて多いわけでございますけれども、このような基本計画等の決定、調査というようなものは、大体どれくらいの年限をもって当初の予定を完遂する見通しなのか、その計画なりあるいは構想についてお伺いしたいと思います。
  85. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 促進法の第二条に基づく調査がどういうふうになっておるか、また建設省関係するものの将来の見通しはどうなっておるかというお尋ねでございますが、まず基本的な問題といたしましては、この水系の指定がどこに行なわれるかという点があるわけでございます。この点につきましては、先般来二大水系がまず第一に考えられておる。利根川水系、淀川水系が一応考えられておるということが表現されておるわけでございますが、私どもも、まずその二大水系について水資源開発を行なわなければならないというふうに考えておるわけでございます。この水系につきまして、促進法の第五条におきまして、まず第一に、水の用途別の需要の見通しというものが作られるわけでございます。この用途別の需要の見通しができまして、その需要の見通しに即して建設計画開発計画が作られているわけでございます。現在までに、建設省といたしましては、建設省の立場で、これらの水系におきます需要の見通し、農業用水を初め工業用水あるいは水道用水等の需要がどのくらいあるかという点については、かねがね調査をいたしておるわけでございます。また、これに基づいてどういう施設を建設したらいいかという施設の建設計画も、建設省の立場でやっておるわけでございます。これらについてはしかし、関係各省と非常に関係が深いわけでございまして、そういう計画につきましては、第二条第二項によって経済企画庁長官が調整をすることになるわけでございますが、この調整に基づいて初めて基礎的な調査というものができ上がるわけです。  ただ、そういう建前になっておりますが、現在まで、その二大水系につきましては、利根川水系について申し上げますと、治水計画上の立場をあわせまして、治水上の計画といたしましては、御承知のように治山治水緊急措置法に基づく十カ年計画に盛られておる計画でありますが、この計画に即してダムを建設し、あわせて水資源開発に役立つ建設を進めて参りたい。ダムの建設のみならず、河口せきを作り、あるいは湖沼を開発する。こういうことを考えておるわけでございますが、それぞれの具体的な開発の内容につきましても、ただいままで、部分的ではございますが、いろいろ調査をいたしてきておるわけでございます。そこで、このような、ただいままで作っております調査をもとといたしまして、さらに今後将来ともこの基礎調査を十分にいたしてやって参りたいと思います。  ただ、緊急な水利を解決する場合、たとえば関西におきます河口せきのかさ上げというような問題がございますが、建設省といたしましては、緊急の水利を満たすためには、そういうものをできるだけ早くやりたい。またそれに対する調査及び計画も相当進んでおりますので、早く実施をいたしたいと考えておるわけでございます。
  86. 兒玉末男

    兒玉委員 次に、企画庁の方にお伺いしたいのです。第二条の二項によりまして、今、河川局次長も申されましたが、関係の各省、いわゆる厚生省なりあるいは通産、農林等のこの基本調査については、最終的に企画庁が調整を行なって基本計画の設定を行なう、こういうことでございますが、先ほど私が冒頭に申し上げました通り、国土総合開発に基づくところの審議会と、それからこの法案の第六条にありますところの水資源開発審議会とは、事業の内容におきまして複合する面が多分にあるわけでございます。こういう点の調整の方法についてどういうお考えを持っているのか、お尋ねしたいと思います。
  87. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お尋ねのように、国土総合開発法は、その第一条の目的に明らかにありますように、国土の自然的条件を考慮して、いろいろな経済、社会、文化に関しまする施策の総合的な見地から、国土の利用開発保全ということを目的とするわけでございまして、特に水の問題につきましても密接な関係のある法律でございます。しかしながら、この国土総合開発法に載っております計画は、きわめて包括的でございまして、全国的な総合開発のいわゆる基本法という考えをわれわれは持っております。従いまして、個個の河川ごとの具体的な計画の立案実施といいますものは、この促進法に基づきまして、また促進法に基づきまする審議会の審議を経て、別途に実施いたします方がより適切であるという考えで、両者の関係は、国土総合開発法は全国的な総合開発の基本法である、その基本法の一環といたしましてこの促進法の運用を考えていきたいと考えております。
  88. 兒玉末男

    兒玉委員 これは多少具体的な問題で、専門的なことでわからない面がありますので、お伺いいたしたいと思うのであります。  この法案ができ、あるいは公団法案が上程されますまでの間において、私たちがお聞きしたり、また関係筋から出されました資料等によりますと、この問題になりましたいわゆる特定施設、これは建設省関係ですが、建設大臣の所管に属する洪水防御の機能または流水の正常な機能の維持と増進をその設置の目的に含む多目的ダム、河口せき、あるいは琵琶湖等のような湖沼水位の調節施設等も河川に関する工事として施行するのか、あるいは河川工作物とするのか。これは特に次長にお聞きしたいのですが、これはどういうことでこういうふうな問題が問題となったのか。河川に関する工事と河川工作物としての考え方、これが公団との関連においてどういうふうに問題となったのか。この点を一つお聞かせ願いたいと思います。
  89. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 公団の事業を進めます場合に、いろいろ問題になったと申しますか、検討された内容で、一番問題点を申し上げますと、結局利水上の目的を果たすことと治水上の機能を調和させる、この両方をどうしてやったらいいかという点が一番問題であったわけであります。そこで、この公団法におきましては、利水を主とするものにつきましては、従来通り利水専用施設と同様な建前になってこれを実施するようになっておるわけでございます。治水を含むもの、先ほどお話がございましたように、洪水防御の機能や高潮防御の機能を含む特定施設につきましては、これをどういうふうなやり方でやるかという点にいろいろ検討がなされたわけでございますが、これは現在河川法の建前で申しますと、国の責任で実施いたしておるわけでございます。これは知事とそれから国の主務大臣とがそれぞれの場合にやっておるわけでございますが、この国の責任でやっておりますものは河川に関する工事としてやっておるわけでございまして、その建前をくずさないでこの業務を施行することにしますためには、河川法の建前のもとにこの二十三条を設けまして、工事面、その他資金面等もございますが、そういうものは公団でやってもらう。すなわち、主たる権限と申しますか、主たる責任は主務大臣が持っておりまして一建設大臣が事業の実施方針を定めまして、その実施方針に基づいて公団が建設をする、こういうことになっておりますが、こういうことにやることが、最初に申し上げました水の利用治水目的が十分に調和して果たせるのじゃないか、こういうふうに考えたわけでございます。
  90. 兒玉末男

    兒玉委員 企画庁の方にお伺いしたいと思うのであります。これは今まで質問もあったかと思いますけれども水資源開発基本計画の中で、第四条の三項でございます。「基本計画には、治山治水及び電源開発について十分の考慮が払われていなければならない。」こういうことがうたわれておるわけでございますけれども、今日電源開発とか、こういうふうな問題ではなくして、特に灌漑用水ということもきわめて重要な問題として提起されておりますし、池田内閣の経済成長十カ年計画におきましても、特に都会と農村との地域格差をなくしていく。こういう点等から考えますならば、農業用の問題についても当然これは触れられてしかるべきではないか、こういうふうに感ずるわけでございますが、法案作成に当たられました企画庁の見解を承りたいと思います。
  91. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。お話のように、水資源の総合開発という場合におきまして、農業水利が非常に大きなウエートを占めるということはお説の通りとわれわれは考えております。従いまして、この促進法におきましては、農業水利の問題も基本計画の内容そのものだというふうに考えております。つまり、この水資源の総合開発といいますものも、灌漑用水あるいは工業用水、また上水道用水、この三つの水の総合的な開発という観点に立っておりまして、先ほども言いましたように、当然この法案目的になっております。従いまして、今お尋ねの第四条の三項に、特に治山治水あるいは電源開発と並びまして、農業利水についても十分な考慮を払わなければいかぬという規定は、われわれといたしましては必要ないのじゃないかというふうな考えを持っているわけであります。
  92. 兒玉末男

    兒玉委員 今申されましたことでも実はまだ納得できないわけでありますけれども、これは多少水資源開発に関連してでありますが、私の宮崎県の綾川というのが実は総合開発事業の一環として行なわれたわけであります。ところが、発電関係だけは十分な効果を発揮しておりますけれども、肝心の灌漑用による畑地灌漑、特に土地改良を含めて、この点は昭和二十八年に計画をされまして、ようやく今から着手しようとする。こういうように、水の取付口までは早急に完成されましたけれども農業に対するところの組織上の欠陥といいますか、運営上の欠陥から、そういうふうな非常な立ちおくれを来たしている。同時にまた、九電側としては、常時ベース運転をするという意味で、水の調整が多かったり少なかったりするために、その下流の水域における家庭の飲料水に常に変化を与えている。また農業用水にいたしましても、いわゆる電気本位のダム調整が行なわれるために、必要な時期に必要な水が使えない、こういうような欠陥が生じているわけであります。この点は、特に地元の大学の専門の先生から、あるいは民主団体等を通じまして、長期にわたる調査を私どもは行なった結果、こういうような一つの弊害が生じているということであります。しかも、さっき建設省なり企画庁から申されました利根川水域の開発の場合におきましても、私は先般の災害があった後向こうに参りましたけれども、こういうような問題が多分に提起されておるわけであります。この水資源開発ということにおいても、その行なう業務の過程におきまして、やはり工業用水を中心といたしました大企業優先のとり方がなされてくるのじゃないかということを私たちは懸念するわけでありますが、その辺についての見解についてお伺いしたいと思います。
  93. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お尋ね水資源の総合開発計画を作ります場合におきまして、工業用水重点が置かれるという御質問でございますが、われわれといたしましては、限られた水でございまして、それを有効適切に利用するというのがこの法案の眼目でございます。しかも、農業用水につきましても、農林省におかれましても、あるいは各都道府県におかれましても、いろんな計画があるわけでございまして、そういう計画を十分尊重しながら、各水の適正な配分を考えて参りたいというふうに考えております。
  94. 兒玉末男

    兒玉委員 それから、この公団法によりますと、発電に関する部分だけは公団の業務対象からはずされておる。これは委託業務というのですが、こういう点が明らかにされておるようでありますが、このような委託業務になった場合に、一つのダムにおいて発電と灌漑、こういう多目的のダムを作られるわけでありますけれども、その場合に発電に関する部分だけは委託業務ということであるから、勢いその主管といいますか、自主的な権限というものが電気の方に握られてしまって、灌漑関係というものが二次的になってくるのではないか。こういうことを運営上の問題として懸念するわけでありますが、この点についての見解を承りたいと思います。
  95. 曾田忠

    ○曾田政府委員 発電を公団の事業といたしませずに委託事業としたという理由は、この促進法の内容から申し上げますと、先ほど申し上げましたように、促進法は灌漑用水、工業用水、それから上水道用水、この三つの用水の開発目的としております。電源開発につきました、御承知のように別途電源開発促進法がございますし、また電源開発株式会社とかいう特殊の会社も作っておりますし、またその他いわゆる各地区別な電力会社というものがございます関係上、そういう意味で、特にこの促進法におきましては発電事業は除外して考えております。  今お尋ねの発電事業とその他の利水事業との関係でございますが、これも、先ほど申し上げましたように、個々の具体的な実情によりまして、適正にそれぞれの水の配分を考えていきたいというふうに考えております。
  96. 兒玉末男

    兒玉委員 それから、この開発促進法なり公団法が制定されますと、早急に予算の措置も必要になってくるわけでありますけれども、三十六年度の予算編成の場合においては、各省間の調整等がとれないために、開発促進法だけを出して、そうしてこれに関連する公団の予算措置はとれないままにこの法案が三十八国会に出されたと私は記憶をいたしておるわけであります。今回の場合については、予算の見通しあるいは資金計画等はどういうふうになっているのか、お伺いしたいと思います。
  97. 曾田忠

    ○曾田政府委員 この促進法案あるいは公団法案に関しまする予算措置の問題でございますが、促進法案に必要なたとえば審議会の経費あるいは事務費といいますものは、三十六年度におきまして約二百万円の予算を経済企画庁に計上されております。  それから、水資源公団の問題でございますが、これは、公団法の附則にございますように、「この法律は、公布の日から起算して六月をこえない範囲内において政令で定める日から施行する。」、こういうふうになっておりますが、この法案がかりに今月一ぱいに成立するという仮定で申し上げますと、大体六カ月以内と申し上げますと、一番最終は来年の四月、またそれ以前にも基本計画等の準備が整いますれば、あるいは三十六年中にも公団が発足するということも考えられないことはないと思っております。かりに三十六年度中に公団が発足されるという場合におきましては、三十六年度中といたしますと、そう長い期間ではない。残り少ない期間でございますから、とりあえずは、そういう場合におきましては、借入金というような措置で公団の予算をまかなっていきたいというふうに考えております。
  98. 兒玉末男

    兒玉委員 これは法案成立の過程の問題でございますけれども、先ほど来の質問の過程から聞き取れることは、まだ具体的な基礎調査なり事業計画の構想というものもほとんどきまっていないような状態でありますが、今質問したように、資金計画なりあるいは予算の規模、そういうもの等についてもまだ全然大体の構想というのもできてないのかどうか。その点についての見解をお聞きしたいと思います。
  99. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お尋ねのように、利根川を例にとりましても、総合的な開発という問題は、率直に申し上げまして非常にむずかしいものであると私ども考えております。現在鋭意各省と連絡をとりまして、基本計画の総合的なものでも早急に作りたい。そういたしまして、できるだけ早い機会に水資源開発審議会利用したいというふうな考えを持っておるわけでありますが、公団は、要するに水資源開発基本計画におきまして、公団の事業といたしましてきめられた事業を実施するわけでございます。最小限度のことを申し上げますと、たとえば三十七年度におきまして公団が実施できる範囲の基本計画がきまれば、とりあえず公団としての事業は発足できるわけであります。率直に言いまして、利根川全体の基本計画を完全に早急に作り上げるということで、実は私どもも非常に困難かと考えておりますが、公団の発足に必要な程度基本計画はできるだけ早い機会に作成いたしたいというふうに考えております。
  100. 兒玉末男

    兒玉委員 この点も今まで質疑があったかと思いますが、特にこの審議の過程において私たちが問題としておりますのは、きのうも、愛知用水公団のことについて、農民の負担、一般市民の負担、あるいは電気関係の負担の料金に非常に格差があるということをお聞きしておるわけであります。この費用負担についても、一つの基準といいますか、根本的な原則、並びにこの水の料金制度については、地形の状態によって相当地域格差というものが出てこようかと思いますけれども、こういうような費用負担の根本原則と水の料金の制度についてはどういうようなお考えを持っておるのか、この二点について伺いたいと思います。
  101. 曾田忠

    ○曾田政府委員 水の料金といいますと、結局はそれぞれの施設の建設費の負担がどうなるかという問題かと思いますが、これは先ほども石川先生から御質問がございましたように、現在の費用負担の配分の方法といたしましては、いわゆる身がわり妥当支出というもので配分をやっておるわけでございます。これも、先ほど御答弁申し上げましたように、いわゆる妥当支出の出し方といいますものにつきましても、まだいろいろ検討する問題があるわけでございます。実は本年度企画庁に費用負担の割合の方法等につきまして調査研究すべき費用が計上されておりまして、今後いろいろ適正な費用分担の方法を検討して参りたいと思っておりますが、いずれにいたしましても、できるだけ公正妥当な費用負担の方法考えて参りたいというふうに考えております。
  102. 兒玉末男

    兒玉委員 これは所管が通産省に関する問題と思いますが、聞くところによりますと、この料金について、たとえば電気料金の場合は、大企業に対しましては一キロワット時三円、一般市民の場合十一円。それから水道にしても、トン当たり個人の場合十四円で大企業四円。しかも愛知用水等の場合でございますが、原価は六・五円であるけれども、国が二・五円、二円五十銭補助をして四円でやっておる。こういうようなことも聞き及んでおるわけでありますけれども、特に利根川水系なり淀川水系の場合におきましても、やはり大資本本位、擁護の政策によって、このような非常に格差の大きい不公平な料金というものが策定されるということを、私は非常に懸念をするわけでありますけれども、いわゆる公平なる負担ということにつきまして、企画庁としてはどういうふうな調整を行なっていこうとするのか。その辺の見解について承りたいと思います。
  103. 曾田忠

    ○曾田政府委員 費用負担の配分方法等につきましては、いろいろ過去のいきさつがあるわけでございます。たとえば、今お話しの愛知用水の例でありますが、工業用水の末端の配給価格が六円五十銭と聞いておりますが、大体そういう程度で実は今まで工業用水の料金の基準というものを通産省で考えてきておられると思うのでございます。それから、上水道につきましては、これは厚生省の所管でございますけれども、これは、要するに公団の事業という問題に限りませず、たとえば市町村で新しく単独に水道事業をやっておる場合もあるわけでございますけれども、厚生省の現在のやり方といいますのは別といたしまして、結論といたしまして、各市町村ごとにそれぞれいろいろな相違があるわけでございます。特に最近は、新しく水道を引きます場合におきましては、相当どの市町村も割高になっておりまして、三十円あるいは四十円に近いところも相当あるのじゃないかというようなことも聞いておりまして、まだ全国的に工業用水のように一定の基準が出ていないというのが現状でございます。従いまして、これは結局、大都市におきましては、相当既存設備はございますし、それがまたおおむね償却を終わっておるという関係で、現在二十円前後の料金になっております。やはり新しい市町村は、全部設備が新しい、また水源地が相当遠いというような関係等もございまして、現状は非常に割高になっておるというような関係がございますので、今後これをどういうような基準で考えていったらいいかということは、非常にむずかしい問題でございますけれども、いろいろ厚生省等とも十分連絡いたして遺憾なきを期したいというふうに考えております。
  104. 兒玉末男

    兒玉委員 同じ国民が使用する水道料金にして、こういうふうな工事設計による面、あるいはそういうような地形上の不可抗力的な条件によって、国民の負担する金額に地域的なアンバランスを生ずるということは、この企業が公営企業である以上、地域的なアンバランスというものをなくす方向に、企画庁としてはやはり努力をすべきであると私は思うのです。  それからもう一つは、私は、今後こういうふうな公団の事業を行なう場合において、将来の工業発展という一つの潜在需要ということも当然加味すべきだと思うわけでありますが、このような地域のアンバランスを解消すると同時に、潜在需要ということに対する考え方、この点をどういうふうに考えているのか、お聞きしたいと思います。
  105. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お説の通り、各地方によりましていろいろなアンバランスの問題があるかと思います。これは、格差の是正の問題とか、今後いろいろ検討すべき問題が非常に多いとわれわれも考えておりますが、こういう点については、今後とも十分検討して参りたいというふうに考えております。
  106. 兒玉末男

    兒玉委員 これは愛知用水公団と大体似たような形態で今後運営がなされていくかと思うのですが、その規模においては、はるかに大きな規模になるのでありますけれども、いずれにいたしましても、このような開発公団の事業が完了した場合に、そこに働いている職員の身分上の問題です。これが時限立法でありますので……。愛知用水公団の場合においては、何かまた仕事を始めるということで、ほとんど身分上の問題は心配ないという一応の説明でございましたが、将来こういう公団の事業が、そう簡単に完了するということはないといたしましても、やはり働く従事員としては身分上の安定ということに重大な関心を持つわけでありますから、これらの取り扱いについては、どういうふうな構想を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  107. 菅太郎

    ○菅政府委員 この法律は時限立法と考えておりません。恒久立法と考えておりまして、開発水系も、最初は利根、淀、こういうところから出発いたしますが、御承知のごとく、中京を中心とした木曽、長良、揖斐、これらの開発も次にやりますし、また北九州の遠賀水系にも及びまするし、あるいは、それが終われば、四国の吉野川もねらっておりますし、次々と仕事をしていくわけでございます。そのうちに、御承知のような地方の新産業都市の建設、これも近く法案を出す予定でございますが、工業の地方分散、地方の工業都市の発展というものがだんだん現われて参りますから、そういうものと関連して、また次第に今申し上げた以外の水系開発もだんだん出て参りまして、この仕事は相当恒久的な仕事と考えております。従いまして、これに従事されます皆さんの将来の身分の安定につきましては、そう心配は要らないと思います。万一何か縮小でもする必要がありましたときにも、十分その点は考慮いたしたいと考えている次第でございます。
  108. 兒玉末男

    兒玉委員 あと二、三点大臣にお聞きしたい点がありますので、その点を保留して私の質問は終わります。
  109. 二階堂進

  110. 西村関一

    西村(関)委員 前の本委員会におきまして、開発促進法案についての質疑を行ないましたが、本日は、水資源開発公団法案につきまして、若干のお尋ねをいたしたいと思います。  この公団法には出資金について何らの条項がございませんが、出資金のきめのない公団法というものは、やはり建前上おかしいじゃないかと思いますが、この点はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  111. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お答えいたします。現在出資金のない公団といいますと、愛知用水公団というのは出資金はございません。水資源開発公団につきましては、率直に言いまして、まだ事業計画等も正式にはもちろんきまっておりません関係上、その事業の内容によりまして資金が必要であるというようなことも、実は考えられないことはないわけでございますけれども、もうしばらく公団の今後行なうべき事業内容を検討いたしまして、出資金が必要であるというようなことでありますれば、法律の改正をお願いしたい、こういうように考えております。
  112. 西村関一

    西村(関)委員 愛知用水公団の場合は、外資が導入されておるわけであります。本公団におきましても、そういうお考えを持っておられるのですか。他に愛知用水公団と同じような形式をとるために格別の出資金についてのきめがない、こういうような御答弁ですか。あるいは出資金が当然必要になるということを見込んで、将来は法改正を求めたい、こういうことなんですか。どちらでございますか。
  113. 曾田忠

    ○曾田政府委員 今のお尋ねの外資といいますのは、借入金のことだと思いますけれども、結局愛知用水公団は、借入金で事業をやって参っておるわけでございます。あと、農林省関係の国の補助金といいますものもあるわけでございます。この水資源公団におきましては、まず考えられますことは、先ほどからお尋ねになっておるような、最終的には水の料金の問題があるわけでございます。これをカバーする意味におきまして、資金コストの低下というようなこともあるいは考えなければならないというふうに思っておりますが、もうしばらくわれわは公団の事業内容を検討いたしまして、善処いたしたいというように考えております。
  114. 菅太郎

    ○菅政府委員 ただいまお話しの出資の問題でございますが、出資をあえていとうているわけではございません。これだけの大きな公団でございますから、将来、出資が体系としても必要だということも考えられまするし、ことにコストの計算で、どうしても無利子の出資金を使わなければコストのダウンができないという全体の計算上、各方面との比較上、どうしてもコストダウンするために出資が必要と認められるときがありましたら、出資をいたすことにやぶさかでないのでございますが、しばらくは、最初の各水系につきまして基本計画ができまして、いろいろコスト計算をいたしました上での結論にいたしたいと思うのでございます。
  115. 西村関一

    西村(関)委員 第十八条の規定におきましては、公団の行なう業務について定められておりますが、公団にどのような事業を委託させるわけでございますか。特に委託事業につきまして、どのような種別の事業というふうにお考えになっておりますか。ここにずっと各項目出ておりますが、その点、もう少し具体的にお伺いいたしますが、第十八条の二項一号、第三号、第四号は、農業用水との関係規定したものと思われますが、公団は委託に基づいて、この規定によってどのような事業を行なおうとしているのでございましょうか。具体的にお答えを願います。
  116. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 公団の主たる業務は、第十八条の第一項から各号におきまして掲げてありますように、ダムの建設、河口せきや湖沼開発のための湖沼水位調節施設、あるいは水路等の建設をいたすのでありますが、この業務に支障のない範囲においては委託して業務を行なうことができることになっておりますが、たとえば、公団法の十八条の二項の二号にもございますように、発電にかかる施設を一緒にやる必要がある場合も出て参るわけでございますが、こういうものにつきましては、委託を受けてやって参るというふうに考えておるわけでございます。
  117. 西村関一

    西村(関)委員 ダム、河口せき、水位の調節施設、多目的用水路、専用用水路、その他水資源開発または利用のための施設とありますが、これらはただ単に、下流の工業地帯の水を多量に必要とする施設のために設けられるものだけではなくて、農業用水としての用に供せられる水のために非常に必要な施設であると考えられますが、この点いかがでしょうか。
  118. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 この十八条に掲げております公団の主たる業務は、大別して二通りに分けられるわけでございます。それは水を貯留するための施設と、水を一定のところまで引っぱっていくための水路の施設、このように大体大きく分かれるわけであります。水を貯留いたします場合には、これは申し上げるまでもなく、農業用水はもちろん、各種の工業用水、水道用水等を含めた用水を貯留いたすわけであります。そういう貯留された水を、場合によりましては工業用水と水道用水のために、あるいは農業用水も含めて、各種の目的を果たすための幹線的な水路も建設されると思います。そういう場合には、多目的目的を果たす水路でございますが、なおそのほかに、ここにもございますように、専用用水路というのがございますが、この専用用水路は、農業のみのため、あるいは工業のみのための場合、そういうように分かれてくるわけでございますが、しかしながら、それらの施設は、基本的に申しますと、貯留した施設あるいは幹線的な水路といろいろ関係したものに限られてくるわけでございます。
  119. 西村関一

    西村(関)委員 幹線水路に関係のあるものだけに限られておる、貯留施設に関係のあるものだけに限られておるということなのですか。
  120. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 幹線水路につながります場合と、幹線水路ではなくして、貯留したダムに関係する場合、あるいは水が貯留されまして、そのダムの建設によって新たに水利権が発生したという場合には、そのダムに関係しまして河川から水路を引っぱる場合、いろいろの場合があると思います。
  121. 西村関一

    西村(関)委員 従来から農業用水のための頭首工が、今言われたような範疇に入る場合、これもやはり公団の事業というふうになるわけですか。
  122. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 農林省関係の具体的な内容につきましては、これは農林省当局でいろいろ御検討になっておるかと思いますが、私どもは、この法文の建前から申しますと、そういうものも先ほど申しました範囲内においては入ってくるかと考えておるわけでございます。
  123. 西村関一

    西村(関)委員 農林省の答弁を聞きたいと思いますが、見えてないですか。——それでは、第十九条には、事業実施方針について規定せられておりますが、事業実施方針の内容につきましては、政令にゆだねられる。政令につきましては、大体どういう具体的な案を持っておられますか、政令案をお示し願いたい。
  124. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 十九条の主務大臣の示す事業実施方針は、細目については政令で定めることになっておりますが、ただいま考えております内容は、名称、位置、それから新築、改築の目的、それから水の利用や洪水防御の基準、あるいは新築、改築に要する費用の負担関係、そういうことについて規定をいたしたいと考えておるわけでございます。
  125. 西村関一

    西村(関)委員 この事業実施方針につきまして政令を定める場合においては、もちろん関係各省と合議をせられて、十分緊密な連絡をとってやられると思いますが、さっきから御答弁にもありますように、農業用水関係のある施設も、公団にやらせるというような場合があり得る、具体的には農林省が検討しているけれども建設省としてはそういう考え方である、こういう御答弁でありますから、そういう点につきましては、政令を定める場合においては、農業用水の立場をも十分に取り入れて政令案を出していただくということが必要だと思います。そういう点につきまして、当局はどういうふうにお考えになりますか。
  126. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 十九条の主務大臣、これは五十五条に主務大臣の所管がきめられておるわけでございまして、五十五条の二号、三号に関係いたします場合には、建設大臣が主務大臣。それから四号に関係いたします場合には、四号に規定いたしてありますように、各省大臣がそれぞれその責任を持ってやられるわけでございます。従いまして、ただいま御指摘の点がこの各号のどれに該当するかによって、それぞれ事業実施方針が示されるわけでございます。もちろん関係があります場合には、先ほど御指摘がございましたように、主務大臣関係行政機関の長に十分協議をいたしてからやるようになるわけでございますし、また、政令は、申し上げるまでもなく閣議決定になるわけでございますから、関係の省とも十分相談の上できるわけでございます。
  127. 西村関一

    西村(関)委員 この実施方針の中には、先ほど御指摘いたしました公団の資金計画の概要も入ると考えますが、その点よろしいですか。
  128. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 事業の実施をいたします場合には、当然開発基本計画に基づいて主務大臣が定めるわけでございまして、その際に資金とかその他いろいろな基本的な問題は検討されるわけでございますが、建設省の場合で申し上げますと、建設省関係いたします施設につきますと、治水上の施設と開発施設があわせて考えられる場合があるわけであります。治水上の施設は、御承知のように治山治水緊急措置法等に基づく計画に基づいてやるわけでございまして、その計画に基づく仕事と利水上の関係の仕事をあわせた内容を含んで参るわけでございまして、それらをあわせたものを、資金的な面も考えまして指示をいたすわけでございます。
  129. 菅太郎

    ○菅政府委員 西村さんのお尋ねでございますが、この資金計画ども、根本の大綱はむしろ基本計画の方において定まると思うのでございます。促進法の方にございます基本計画の中にきめるべきことで、二号に「前号の供給の目標を達成するため必要な施設の建設に関する基本的な事項」というのがございますが、資金計画の大綱はむしろこっちできまりまして、事業実施計画は、たとえば基本計画の方で、借入金でどれだけやるとか、債券をどれだけ発行するとか、外資をどれだけ入れるとか、出資をどれだけするとか、きまりました分について、それの細目、たとえばどの銀行から、いつ、どういう利子で借りてくるかというような細目的なものが、むしろ実施計画できまるというふうにお考えいただいた方がいいのではないかと考えるのでございます。
  130. 西村関一

    西村(関)委員 大体わかりましたが、この場合には、やはりアロケーション方式によって、水の使用料などもその中に含めて、基本計画に従って実施計画が組まれる、こういうふうに理解してよろしいのですか。
  131. 鮎川幸雄

    ○鮎川説明員 十九条の規定は、主務大臣公団に対しましてどういう方針で建設をするかということの大綱を示すのでございます。その施設の費用負担の根本的な考え方は、第四章以降に掲げてあるわけでありまして、水資源開発施設に関する費用というところに掲げてあるわけでございます。その内容は、まず交付金、それから費用を負担する場合には、特定いたします場合には、特定者の負担でございます。また、先に公団が仕事をいたします場合には、先行投資的に借入金等が必要になってくるわけでございます。そういう金をもちまして公団が建設をするわけでありますが、その大きな財源の建前といたしまして、この十九条になりますと、もっと具体的な計画になってくるかと思いますが、それぞれ各事業の内容に即して指示が行なわれるわけでございます。
  132. 西村関一

    西村(関)委員 十九条の規定によりますと、今の答弁の中にも言われましたが、各省の主務大臣ごとに実施方針がきめられて、それによって総理大臣を経て公団に指示する。こういうことになっているようですが、その場合、総理大臣の権限は、各省の方針をただ伝えるだけではなくて、総理大臣の調整権というものは当然あると思いますが、その点はいかがですか。その場合、総理が調整して指示するという場合にあり得るというふうに考えてよろしいですか。
  133. 菅太郎

    ○菅政府委員 基本計画作成の際に十分に各省の方針が調整されておりますから、実施方針指示の場合においては調整の必要はあまりないかと思うのでございますが、「経て」というこの条文の解釈だけから申しますと、本条に書いてありますのは、ただ経由という意味であります。しかしながら、御承知のごとく、内閣総理大臣は各省の施設、方針について統一を保持する調整権を本来持っておりますから、そういうものがないことはないと思いますが、ここに書きましたのは経由の意味であります。
  134. 西村関一

    西村(関)委員 本来の総理大臣の権限はともかくとして、この場合の「経て」というのは、ただ一つのトンネルとして総理大臣を一応通して公団に指示する、こういうふうに、一種の軽い意味で書かれておるというふうに理解していいのでございますか。
  135. 菅太郎

    ○菅政府委員 本条の規定は、そういうふうに軽い手続的な意味と解しております。
  136. 西村関一

    西村(関)委員 第二十二条の施設管理規程でございますが、これも政令できめるということに相なっているようでございます。管理につきましては、法文からいたしますと、管理費の負担ということは、同意措置というものを前提としておる。これと関連いたしまして、土地利用組合の場合、公団にこの事業が委託されまする場合において、組合員全部の同意が得られない場合がある。そういう場合には、どういうふうな措置を講ぜられますか。
  137. 菅太郎

    ○菅政府委員 農林省から間もなく局長が来るそうでございますから、ちょっとお待ちを願います。
  138. 二階堂進

    二階堂委員長 今、農林省の愛知用水公団監理官だけ見えておりますが、それは局長が見えてから答弁させることといたします。
  139. 西村関一

    西村(関)委員 この公団の役員の構成でありますが、これは各省に関係のある公団でありますから、役員の構成につきましてはそれらの点が配慮されてしかるべきであると考えますが、大体どのような構想をお持ちになっておいでになるか。
  140. 菅太郎

    ○菅政府委員 ちょっとお尋ねいたしますけれども、具体的な陣容とかいうことなんでございましょうか。たとえばどういう系統の人を網羅するかという、具体的人事方針のことのお尋ねでございましょうか。
  141. 西村関一

    西村(関)委員 具体的にはっきり申しますと、建設省関係で全部占められるといったようなことはないと思いますけれども、従来、この種の公団の人事につきましては、上るだけ上ってしまってあと上るところがないというような高級官僚の行き場所のない人を、そういうところにおさめ込むというような事例がないではなかったと思うのであります。そういう建設省畑の高級官僚だけでこの公団の人事をやるというようなことは、まさか考えておられないと思いますけれども関係各省にまたがるそれぞれ必要適切な人材を網羅して役員の構成をするということが、もちろん必要なことであると思いますが、そういう点についてはお尋ねをすることさえもやぼなことだと思いますけれども、念のために伺っておきたいと思います。
  142. 菅太郎

    ○菅政府委員 決してやぼと思いませんで、非常に重要なことだと思います。偏しませんように、各方面の人材を公平に集めたいと思います。またあまり古手の役人がよけい入り込みまして天下り人事にならないように、十分警戒いたしたいと考えておる次第であります。
  143. 西村関一

    西村(関)委員 次に、四十八条に監督についての規定がございます。ここでは「主務大臣が監督する。」ということになっておりますが、主務大臣という解釈の中には、内閣総理大臣も入るのでございますか。どういうふうに解釈するのですか。
  144. 曾田忠

    ○曾田政府委員 お尋ねのように、第四十八条におきまして「公団は、主務大臣が監督する。」という規定がございます。それから第五十五条におきまして、「この法律において主務大臣は、次のとおりとする。」という規定がございまして、その中に「役員及び職員並びに財務及び会計その他管理業務に関する事項については、内閣総理大臣」というふうに規定されております。従いまして、内閣総理大臣も、所管事項につきましては主務大臣ということになっております。
  145. 菅太郎

    ○菅政府委員 今お話ししましたように、五十五条の、行政事務を分担する意味においての内閣総理大臣は、やはり主務大臣の一人と考えられます。しかし、内閣の首班として内閣全部を統括する意味の内閣総理大臣の地位は、もちろんこれに入らないのでございますが、いろいろなことを分担する意味で、一行政官庁としての内閣総理大臣はこれに入ると思います。
  146. 西村関一

    西村(関)委員 そうなりますと、この第三項には、「内閣総理大臣は、第一項の規定による主務大臣の監督について、必要な調整をすることができる。」という規定がございますが、主務大臣としての総理が第三項の規定によって調整をやるという場合に、内閣総理大臣の立場と主務大臣との権限の問題がそこに法的に出てくると思いますが、そういう点は法文からはどういうふうに解釈されるわけですか。
  147. 菅太郎

    ○菅政府委員 さきにちょっと申しましたように、内閣総理大臣が二つの資格を持っておりますから、調整者としての内閣総理大臣は、主務大臣としての立場でない立場でございます。二重に使い分けてあると御了解願いたいと思います。
  148. 西村関一

    西村(関)委員 農林省、見えましたか。
  149. 二階堂進

    二階堂委員長 堀参事官がもう間もなく見えます。  日野吉夫君。
  150. 日野吉夫

    日野委員 企画庁長官に簡単に伺いたいと思うのです。だいぶ審議も終末に近づいたので、いろいろの点でみんな触れられておりますから、一つ大臣のホーム・グラウンドで気楽に御答弁を願いたい、こう思うのです。  この法律は、御承知のように前国会でだいぶ論議をされて、問題点は明らかになった。法律の審議の経過は多分御存じだろうと思うのです。そこで、この法律を今国会にそのまま出してきたことが、私少しおかしいのじゃないかと思う。もっと手を加えて、時代の要求にこたえる。しかも、あの当時と急速に経済情勢が変わっているわけです。新しい長官は、閣議で総理大臣といろいろ意見の対立をしてまでも日本経済に真剣に取り組んでおられるのだから、そういうことであってほしかったのだが、どうもこのまま出してこられたというのは、非常に私は遺憾に思うのです。法の成立は、いつも政治的あるいは経済的な一つの背景の上に立っていることは、これは明らかなことであります。ことに経済情勢の非常な変化で、前に緊急性を持っていたのが、緊急性がだいぶ薄れてきたのじゃないか。だから、こういう状況ではもう少しこの問題点を取り上げて、これらを考慮した、完全なものとは言えないまでも、よく配慮された形にして出してほしかった。  問題点といいますと、過般来の審議で明らかになったものは、この法律利水だけに重点が注がれて、治水面の配慮が足りない。この点はだいぶここで論議されました。さらに基本計画がきわめてずさんじゃないか。もう少し後進地域についての開発や、こうしたものを配慮したものでなければならぬということ。補償の点などもあっさりと触れていますけれども、これは重要な点でございましょうし、いろいろの開発計画があるわけでございます。なかんずく河川法との関係などは重要でございましょう。こういう点を十分考慮して、もっと現代の要求に合うような改良がほしかったけれども、それがなされなかったということは非常に遺憾である。  しかも、御承知のように、ここで審議された前の法律があるわけですね。道路整備法、あるいは公共用地取得法というようなもの、しかも四大工業地帯、ここにほとんど集中されて、いかにも倍増ムードにこたえるようなそれにこれが加わりますと、審議の途中でいろいろ変わってはきていますけれども、利根川、淀川、長良川というような四大工業地帯を中心にやるのだ、こういう一連の、四大都市の所得倍増政策のムードに乗った一つ法律であって、前にはこれをやるために急いで作らなければならぬというような緊急性を持っていたと思います。ところがいろいろ経済情勢が変化をいたして参っておりますし、ここで前の企画庁長官にも、僕は公共事業予算等に手をつけるような心配がないかどうか質問したが、今の経済情勢では二十九年、三十二年に似たような姿が出てきているじゃないか、長官大丈夫かといって念を押しますと、下期からアメリカの経済が回復に向かうからそれに従って日本の輸出がふえていって、暮れには心配なくとんとんになると思うというような答弁をしているわけでしょう。けれども、実際の情勢はどうかというと、もう大へんなことになっているのじゃないか。こういう点、私は非常に心配される。この法律だって十三条で予算の義務を負っております。さらに今も問題になっておりますが、公団法には予算をつけていない、これは一体どうするか。予算に関係を持ってくるということになってくると、経済的な事情の変化というものが、この法律に大きく作用してくると思うのですが、あなたのホーム・グラウンドで——予算委員会等でも十分答弁等もしておられるようでありますから、経済的な見通し、それによってこの法律をやれば当然に起こってくる地域格差の問題等、これをどうしてやっていくか。今、次官は大野心、四大地帯の河川開発して、さらに九州も未開発地帯をやるのだというようなことを言っておりますけれども、私はそれを額面通り受け取るわけには参らぬので、一つあなたの企画庁長官としての見通し、この法律に責任を持って予算をつけて、そうして日本経済を破綻に導かないような一つ計画があったら、一応かいつまんでお話し願いたい。
  151. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 御承知通り現在の経済状態は、外貨バランスの失調をきたしておりまして、これを早期に改善して参りますことが当面の急務だと存じます。従って、それらに対しまして総合的な施策を用いまして、輸出を奨励し内需を抑制し、もってこのバランスをできるだけ早い機会に直すように、今努力していかなければならぬというのが現状の分析の上に立って考えられるわけでございます。ただ、私ども考えておりますのは、現在におきまして非常な民間の設備投資が行き過ぎた。かりにこれをある程度抑制して参りましても、日本経済というものを将来発展させるためには、自由貿易に対処する合理化の設備、あるいは日本の産業構造を重化学工業に変えていくというような面から考えまして、やはり相当に抑制をして参りましても、将来に向かっていわゆる所得倍増計画によって、十年間には相当な拡大をはかって参らなければならぬわけでございまして、その一時の足踏みをここでしていくことだと思います。ただ、そういうものを前提として考えてみた場合に、どうしても日本経済のアンバランスというものは、民間設備投資の額に対しまして、公共的な政府の社会投資というものが少な過ぎるのではないか。でありますから、現状におきましても、すでにそのネックが出てきておるのでありまして、たとえば今回の場合に、港湾の設備が十分でない。従って、港湾荷役が十分に行なわれないで、非常な長期間にわたってデマリッジを払わなければならぬというような実情が起こっておりますし、また、港湾労務者等の対策につきましても、港湾における十分な住宅設備その他もできておりません。そういう、つまり政府のやらなければならぬような方面と民間の設備投資とのアンバランス、これは道路、港湾、輸送関係において私は著しいと思いまするけれども、今申し上げましたような今後の日本の産業構造を重化学工業に切りかえていくということを命題として考えて参りますと、どうしても水資源というものが工業地帯方面に合理的に確保されなければならぬのでありまして、それを緊急に進めて参りませんと、せっかくそうした民間の設備が進みましても、投資が行なわれましても、それを有効に活用するわけに参らぬという状態が現出するのだと思います。従いまして、できるだけ明年度の経済を抑制して参る上におきましては、財政等についても相当な配慮をして考えて参らなければならぬと思いますが、道路でありますとか港湾でありますとか、あるいはこういう水資源の合理的調整に要する費用とかというものにつきましては、他のバランスを考えまして、できるだけそういうものに充当するように振り向けていくことが必要な状況が明らかに出ておるのでございまして、そういう意味からいいますと、一日も早くこの法案の御承認を得まして、そうして公団等も設立されまして、現実にそういうことに着手していけるという状態が、最も望ましい状態ではないか。そうして日本の経済の跛行的な発展でなくて、並行的な、バランスのとれた発展の基礎を作るように持っていかなければならない。こう考えておるのでございまして、その点御了承を願いたいと思います。
  152. 日野吉夫

    日野委員 一時的にはいろいろの操作もあろう、しかし十年後には倍増になるように努力をするという気持はわかるのですが、今の経済事情からいって、なかんずく貿易の事情——一部の手直しはされていますね。公定歩合の引き上げとか、あるいは輸入担保率の引き上げとか、こういうものをやっておるにもかかわらず、輸出の状況は横ばい。輸入は抑制しようと思ってもふえる一方だし、七月は約一億ドル、八月もまあ九千万ドルの赤字続き。この調子だと、年末には六億ドルぐらいを予定される。三月末にはまた危険な線すれすれにいくのじゃないかというのが一般的な見通しです。そこで、あらゆる努力、情勢の変化と、あなたらの努力にもよるけれども、最近の株の暴落とか、いろいろの事情から総合して見ますと、これは一時的にも非常に苦しい財政操作をやらなければならないのではないか。僕がいつも心配することは、財政の引き締めをやる。三十二年には公共事業の二割五分のあれをやったでしょう。今の程度で、これ以上この引き締め政策をやる。これは直ちに予算に関係してくるのですから聞くのですが、それをやらずにここをしのげるというお考えか。しのげるとするならば、どういう点でこれをやっていけるのだという、企画庁はその専門ですから、その点をちょっと伺っておきたいと思います。
  153. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 もちろん今お話のありましたような状況におきまして、われわれも将来予算編成をいたさなければならぬわけであります。従って、そういう意味ではできるだけ注意いたしまして、緊縮的な考え方のもとにやっていくことは申すまでもございませんけれども、しかし、先ほど申しましたように、民間投資を、設備投資の行き過ぎを押えるということ自体が公共投資を全部押えなければならぬというところまでは、私ども考えておりませんので、公共投資の面においては、増大をさせないにしても、少なくも既定の計画を遂行し、あるいは新たに必要な状況を勘案しながら進めて参らなければならぬと思います。  今回御審議をいただいておりますこの開発の問題にいたしましても、御審議をいただいて水系の指定をして、そうしてその計画を策定いたすことだけでも、相当な時間的余裕が必要でございまして、現実に財政の中から相当な金額を振り向けていくというのには、若干の時間のずれもございます。従って、一日も早く計画を策定して、これが動き出していくような体制に持って参りまして、その上でどうしてもいかぬ場合には若干進行度をゆるめるということも考えられましょうけれども、少なくも現状においてはこの法案の成立を見て、時期を失わずにそういう準備をどんどん進めていくことが必要だと考えております。
  154. 日野吉夫

    日野委員 若干のことというのでございまして、私どもは若干というのでは済むまいと思うのですが、これは意見の相違でございますから、その点ではこれ以上論議いたしません。この法律で根本的な欠陥として今まで論議された問題は、やはりだれも心配するように、地域的な格差が大きくなるということであろうと思うのです。今までやった倍増ムードに乗った道路の計画でも、公共用地取得の問題、それから、何といっても工業地帯で問題になっているのは、輸送と土地と水でありますから、これが四工業地帯に集中されてここで推進されるならば、これが所得は伸びましょう。生産が上がっていくでしょう。同時に、こうした場合ここに集中される結果として、その他の地域が非常に大きな——今でもかなり大きい差を持っているのですから、これがますますはなはだしくなる。こういう場合に、どうこれを解消していくか。今までの答弁では別の方でやると言いますけれども、少なくともこの法律はそういう地域にまたがった一つの支配権を持つ法律でありますから、この地域内においても所得格差解消の配慮がされていなければならないと私たちは思うのでございますが、何かここに後進地域格差解消の配慮を、この法律の中に盛るという考えはお持ちでないかどうか、この点ちょっと伺います。
  155. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 現在のお話のような四大工業地帯の水不足というものが、将来のみならず、現在すでに相当起こっておるわけでありまして、これを一日も早く解消していくということは必要なことだと思います。お話のように、後進地域の開発に際し、その方面の産業を興し、あるいは農業を盛んにし、そうして後進地域と都市周辺との格差を是正していきますことは、当然考えて参らなければならないことでありまして、単にこの法律だけで考えるべき問題でなくして、全般的に問題を考えていかなければならぬと思います。ただ、大きな水系利用することでございますから、その水系関係地方の後進地域に対しては、こういう案によりましてもやはり便益を考え得る  ことだと考えております。
  156. 日野吉夫

    日野委員 この法律で全体を規定するというようなことは要求いたしません。この法律の支配権の及ぶ範囲内において、何か具体的な一つ規定を入れる必要があるということはお認めになられるのですか。
  157. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今回の法律に書いてありますように、広域の地域を対象として用水対策を緊急に実施する必要があることを認めてやるわけでありまして、そういう意味から言いまして、この法律を活用いたして参れば特別な条文を設けなくても差しつかえない、こう思っております。
  158. 日野吉夫

    日野委員 今日手直ししなければならぬ破綻の原因は、水の不足からきたのでないことだけは明らかですね。とにかく、この法律を活用すれば大丈夫だと言われますけれども、こういうふうに考えられませんか。この四条基本計画の中に、いろいろ問題になって皆さんから憂慮されているここに、やはり後進地域の開発ということを一つうたっていただいたらどうですか。これに対するお考えはいかがですか。あなたはどこまで原案を支持するとがんばられるのか。私はこれでは不十分だと思う。だから、そういうものを挿入してもらいたい。一条の目的のところでもいろいろ皆さんから質問されております。明確に水資源の培養という条項を入れろという要求が出ております。水の必要なことはわかるのですよ。水のほしいことはわかるが、せっかく持っている地方の水をただ強奪するような形では、いかにも法律としての体裁が悪いじゃありませんか。琵琶湖の水をかっぱらうといって、滋賀県の知事がここでえらい大演説をぶったこともあるので、法律はそういうふうに考えて何も差しつかえないではないか。もし要求があれば、そういうことを挿入する用意があるのですか、その点どうですか。
  159. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この法律ができました場合に、滋賀県の水をかっぱらうというような考え方法律を作っておりませんし、また運用もいたさないことは当然でございます。しかも、こういうふうな用水対策を実施するということもうたわれておるのでございまして、そういう意味において関係機関の長に協議し、かつ地方の知事等の意見も徴することでございますから、これをもって善後処置ができることだと考えております。
  160. 日野吉夫

    日野委員 長官は前の会議には参画されていないからですが、ここの委員諸君は水源地方の知事諸君を呼んで聞いたのですが、向こうでそういう一つの印象を持っているわけです。しかも府県知事会議では、このことに対してはきつい決議をして、こっちへ出しているわけですから、こういう点はやはり配慮することが私は望ましいと思うのです。水の事情については長官もよく御存じでしょうが、この水系上流等には水があり余っているのではないですよ。農村の事情など調べてみますと、水田は三百五万町歩、河川水源に負うものが六八・五%、ため池が一八・三%、地下水に依存するものが五・三%、その他七・九%となって、用水の不足している地域が百十七万九千町歩もあるのです。こういうところが、この法律を出された場合、われわれの必要な水を都会に持っていかれるというので抵抗してくる。滋賀県の知事さんが言うように、知事会議が議決しているように、こういう一つの抵抗になって現われて参るとするならば、この抵抗をできるだけ少なくするという配慮が、当然なさるべきだと思うのです。そういう配慮をせずに、この法律をしゃにむに押し通すという態度が、私はどうも賛成できないのですが、企画庁長官としてこの点についてどういうお考えですか、一つ承りたい。
  161. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 どんな無理があっても、しゃにむに通そうという気持でなく、十分審議を願って通していただくつもりであります。今お話のような、たとえば関西方面の問題、淀川の水系の場合におきましても、水系全体を考え計画を立案するわけでありまして、琵琶湖の水だけを取って知らぬ顔をしているというような、奪略していってしまうような気持は毛頭ございませんし、この法案もそういうことを考えていないわけでございますから、原案でいいと私は信んじております。
  162. 日野吉夫

    日野委員 まあ修正の相談もあるというのですが、前回修正を出して相談中に審議打ち切りか何かやったという前科があるものですから、この点特にそういうことのないようにくぎをさすわけではありませんが、修正の相談があるならば十分修正して——僕が言うのは、この法律を作ったって強い抵抗を受けては成功できなくなるでしょう。それを少なくする配慮からこういうことを聞いているので、一つそういうことに考えてもらわなければならぬと私は思うのです。  いろいろの点にみんな触れておられますが、私はこの法律の大きい欠陥として、十四条にあっさりと補償問題に触れているのですが、こういうことはやはり不親切な一つのあれになるのではないかと思うのです。新しくこの審議に参加される企画庁長官として、補償問題は非常に大きい問題になってくると思うのです。僕はよく補償問題のことで言うのですが、建設大臣にちょっと伺っておきます。公共用地取得の法律が通過して、一年間に補償の基準を決定するという附則がついているはずです。何か委員会を作られておりますが、その相談の進行の状態を伺いたいと思います。
  163. 中村梅吉

    中村国務大臣 実は先ほどあなたの御不在のときにその御質問がございまして、お答えを申し上げたのでありますが、あれからさっそく公共用地審議会を設けまして、すでに公共用地審議会に、補償基準各般にわたって御検討をいただきますように諮問をいたして、御審議を願っておる次第でございます。目下の目標といたしましては、明年三月までに答申をいただけるようにという希望を付しまして、格別な御研究をいただいておるという段階でございます。
  164. 日野吉夫

    日野委員 そこで、これは企画庁の長官に聞きたいのです。この種の事業を行なう場合、建設省などは特に非常にいいことをやっているのだから、地元から非常に喜ばれて、きん然とこれに参加、協力してもらうような立場にあるのにかかわらず、現実はそうでなくて、非常に事業遂行に困難をしているという事情が見られるのです。この原因は何かと申しますと、補償が十分でないということ。それから、今までいろいろ補償についての問題を起こしておる建設省には、昭和二十九年の五月十九日建設省の直轄の公共事業の施行に伴う損失補償基準というものがあります。農林省には三十二年の三月三十日に出た公共の利益となる事業の実施により農地等を失う耕作者の就農促進に関する措置要綱というのがあります。通産省にはまた、電源開発に伴う水没その他による損失補償要綱というものがあるのです。特調にはまた、駐留軍ノ用ニ供スル土地等ノ損失補償等要綱というものがある。四つあるのですが、これはばらばらです。役所がみんなこれをばらばらにやっている。基準は大体似たようなものですから、建設大臣が少し本気になれば統一したものが出るのです、これは役所にはそれぞれセクト的な何があるけれども。そしてもう一つは、この担当の諸君はもうエキスパートになってしまって、話し合いでうまくまとめることができるというような気持があるのです。だから、これを一本にするということはなかなか困難ですが、ちょうど企画庁はこういうものを持ってほかをまとめてやるには都合のいい立場じゃないかと思う。どうですか、企画庁長官一つこれらをまとめて補償法を一本作ったらどうですか。これは補償独立官庁論というのがありますが、やはり補償法を一本作ることが、これらの問題を根本的に解消するゆえんだと思いますが、こういうことに対するお考えはどうですか。
  165. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 各省がそれぞれその事業の目的に応じて補償の状況を勘案して基準を作られておるのは、各省の行政の運営の上において適切だと思うのでありまして、それをただ一本にまとめて法律にするということはいかがかと思います。ただ各省間においてあまりにも共通な点において基準が違うような点がありますれば、それは企画庁としても、各省間のそういう問題について調整をとるような役目を現実にはやって参ることになろうと思います。今法律を作るまでのところは考えておりません。
  166. 日野吉夫

    日野委員 これには経過がありまして、建設省はこれをまとめて補償法を作ろうということで一ぺん手をつけたことがあるのです。しかし、いろいろ各省の問題がありまして進行しないのですが、これはどうしてもこれを一本作って法律的に一それはその法律の上に話し合いはけっこうです。しかし、どうも納得できない補償の仕方がばらばらに行なわれておるというところに問題があるのだと思うのです。ダムを作ってあれしたり、道路などを直す、これはだれも文句ないでしょう。舗装した道路と舗装しない道路を車で歩いてみれば、どっちがいいか、こんなはっきりしたことはないのですから、喜ばれるはずなのに、いつも抵抗を受けておる。現に中央道の名古屋とあそこのところでも、いろいろな問題があるはずですから、やっぱり安易な方法でやろうというのでは——困難はあっても決して不可能じゃないのです。いつも僕が言うように、もはや今日の土地収用法には限界がありますよ。収用法では個々の財産権については補償します。完全な補償かどうかわかりませんが、一応の補償をやるのです。しかし、補償基準に照らして、今日の状況では、公共事業によって生ずる損失補償の中には、権利としてはまだどうも認められるレベルまでは達しないけれども、そのまま放置できない一つの権利があるわけです。さらにまた、それを補償してもまだ生活を支えることができない事情の者もあるのですから、こういう者には、不十分でも公共用地取得法などでは別な再建計画というものが載っているわけです。こういうものまでちゃんと整えた一つ法律をもって臨むならば、きん然とこれに参加して協力するだろう。そういう点をおろそかにしておいて、もうこれは必要なんだからということでやると、琵琶湖の水が一寸低くなればどのくらいだなんといって滋賀県の知事がえらく力んでいましたが、いかにも強奪されるというような印象を受けるわけです。必要なものに対して供出するのですから、いつでも喜んで法治国の国民として協力できるような体制をとることが立法者の態度である。そういうことを考えずに、いつも話し合いでうまくやるということになるから、地方々々、その個所々々で補償の実績が違ってくる。かつて田子倉ダムで福島県の知事が法外な補償を出したというので、公共事業で一度補償したのが再補償の要求をしてきたのがある。そうなりますよ。だから、こういう点を十分整えて、りっぱな立法として出すべきでなかったか。しかも、前回一挙に審議打ち切りをやったような急迫した事情とは違うのです。一つそこらを十分考えて——もうみんながおそろいになって、えらく急いでおるようでありますし、まだ二、三あるようですから、私はこの程度で打ち切ります。
  167. 二階堂進

  168. 兒玉末男

    兒玉委員 企画庁長官に二問お伺いしたいと思います。  先ほど政務次官からも答弁をいただいたわけでありますが、この公団が発足した場合に、私たちの時限法的性格を持っておるという立場からの、公団に従事をする職員の身分上の問題についての質問に対しまして、これは恒久的な問題であるので心配要らない、こういう御回答をいただいたのであります。加えまして、この促進法なり公団法が提案されるまでの過程を見て参りますと、厚生省なり農林省あるいは建設省、それぞれの関係各省において公団設置の構想等も明らかにされてきたわけでありますが、特にこの関係省の組合の諸君が心配していることは、この公団が恒久的な性格を持つという、次官の答弁にも見られますように、やはり今日までの関係各省のいろいろな直轄事業というものがこの公団に吸収されることによって、現在の農林、厚生、建設各省の定員が削減されて、組合員の首切りが起きるのではないか。いわゆる公共事業の合理化による首切りということを非常に心配をしておるわけでありますが、この点についての企画庁長官の見解を承りたい。  第二は、先ほども簡単に御答弁いただいたわけでありますけれども、この審議の過程で問題となりました受益者負担金の問題でございます。この点については、工業用水等は非常に単価が低い。水道料金などは高い。また電気料金にしても一般の個人の場合の四分の一という低廉な料金でこれを提供している、こういうような問題。また同時に、地域的な状況によりまして工事経費なり、あるいは地域の形態によって相当受益者の負担金に地域的なアンバランスが生ずるわけでありますが、少なくとも公共的な事業であり、しかも国が多くの資本金を出して行なう事業でございますので、国民の負担はその地域的なアンバランスというものをなくするように最善の努力を払うべきだと私は思う。同時に、きのう愛知用水の場合にもお聞きしましたが、確かに農民の負担はそう高くはないという御説明でありましたけれども経済力の低い農民の場合においては、この公団法にも強制徴収ということが明確にされておりますけれども、そういう経済力の問題等も十分考慮した上での受益者負担金の設定というものをしてもらいたいと考えるわけでございます。  この二点についての長官の御見解を承りたいと存じます。
  169. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 この公団ができまして、相当長期にわたって活動するわけでございます。また、今お話しのような関係各省の中で類似の仕事をしておる者を将来吸収していく場合が起こって参ることも考えられないわけではございません。そういう場合には、それは既存の人たちの職を奪ってしまうというようなことでなしに、類似の仕事に働いておられるだけに知識と経験を持っておられるわけですから、そういう人をできる限りこの公団に吸収していくように考えて参ることは当然のことでございまして、そういう方針で運営されるようにいたして参りたい、こう存じております。  また水の価格につきましては、各河川別にいろいろ条件も違っておりますから、その面における若干の違いは起こってくるかと思います。しかし、今お話しのように、地域水系によって同じ水道料金があまり違わないようにできるだけ措置するということも、これは大切なことだと思います。同時に、同じ水系の中におきまして、農業用水工業用水と水道用水との間のバランスを適正にしていく。そしてそれぞれ水道として一般的な庶民の用にもなっております。また農業として必要な今日までの水を補給し、あるいは渇水期に対する手当等もできていくわけでありますが、それらについて農民の方々の立場を十分考え、そうして工業用水とあわせて適正な料金を定めていくことが望ましいことはむろんでございまして、そういうふうにできるだけ指導して参るつもりでございます。
  170. 兒玉末男

    兒玉委員 建設大臣にお伺いしたいと思います。七月の末、天竜川の流域を視察したわけでございますが、各所に発電用ダムができておるわけです。ところが、今後行なわれるであろうところのこの公団の行なう多目的ダム等におきましても、やはり管理の主体というものが大資本擁護の立場から、特に電気事業関係の大きな圧力によりまして、ともすればせっかくの多目的ダムの目的というものが実行されない。そのために多くの災害を引き起こしている例が具体的にあるわけです。  また、私のところの綾川の場合におきましても、農林省の土地改良計画というものが二十八年に策定されながら、今日まで事業に着工することができない。多目的ダムの目的は、その通り灌漑用水なりあるいは洪水調節、また発電という三つ目的から作られておりますけれども、現実には一番しいたげられているのは農民であります。特に九電側は、このダムの調整については常にベース運転ができるように、発電量は一定に保つということを前提として、放水なりあるいは貯水をされておりますが、そのために農民の場合は必要な時期に必要な水をいただけない。もちろん水が豊富な時期は別として、渇水の場合にそういう顕著な状態が起きるわけです。これは単に宮崎の場合だけではございません。全国的に起り得る問題でございますから、この公団法の特に建設大臣の所管に関する問題につきましては十分の監督、このような大企業だけが擁護されるような運営がなされないように十分に考慮していただきたい。このことを要望申し上げ、大臣の見解を承って私の質問を終わります。
  171. 中村梅吉

    中村国務大臣 発電専用のダムの場合と、この水資源開発関係の水の造成、特に御指摘のありましたダムの建設の場合とはよほど趣が違うのでありまして、この法律による水資源開発につきましては、治水関係、ことに洪水調節につきましては特段の留意をいたしまして、十分に洪水調節に役立つような角度に立って、しかも水をいかにして多量に活用できるようにするか、こういう角度に立って進めていく建前でございますから、古い時代にできました発電専用ダムのような弊害は絶対に起きないように、私どもとしては万全を期して参りたいと思っております。
  172. 二階堂進

  173. 玉置一徳

    玉置委員 政府は今後ますます拡大いたします工業用水あるいは上水道、その他の水の需要に対応されまして、水資源開発促進法提案されたのでありますが、一つお伺いいたしたいのであります。  ただいま想定されております開発計画の竣工年次を見ますと、すみやかにこれができるという問題ではございません。ところが、水の方の需要だけは年々拡大して参るというような関係で、現在の計画とそれの竣工年次を考え合わせますと、はたしてこの開発促進法案だけでまかない切れる自信がおありかどうかということについて政府のお考えをただしてみたいと思います。
  174. 中村梅吉

    中村国務大臣 お話通り、産業はいろいろな角度から発展をして参りますし、また水の需要も増大しつつありますことは御指摘の通りだと思います。そこで問題は、この水資源開発促進法が成立し、あるいは公団法ができまして開発計画に着手をいたしましても、一水系について総合的な計画を立案し、これを実施に移し、着工、完成を期するということになりますと、相当大規模な事業でございますから、なかなか一朝一夕に完成を見るということが困難であることは申すまでもございません。さりとて、しからば見ておっていいかということになりますと、見ておればますます水の需要はふえていく、何らの手当がないということになりますので、若干おそきに失する感はあるかもしれませんが、今のうちに早くこの促進法を成立せしめ、水資源開発公団を発足させまして、できるだけすみやかに活発な業務の遂行をはかるということが今後に対処するゆえんであると私ども考えまして、今国会に御審議を願っておるというような次第でございます。
  175. 玉置一徳

    玉置委員 私なんかも見てみますと、これはなかなか容易なわざじゃないというように感じられるわけであります。  そこで、企画庁長官にお伺いしたいのでありますが、御意見は出たと思いますけれども、人口と工場の過度集中の排除あるいは工場の配置転換というものを同時に規制をしていかなければ、とうていこの目的は達し得ないと思うのでありますが、これに対する政府の御見解をお伺いしたいと思うのです。
  176. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 今日、都市に人口が過度に集中している、あるいは産業設備が過度に集中しているという傾向は、これは明らかになっております。これらの問題について十分な対策をとって参りませんとおそきに失するのではないかと思います。今日各省におきまして、それぞれ将来の都市分散計画と申しますか、あるいは低開発地における産業条件を改善いたしまして、その方面に誘致分散すると申すことでございますとか、あるいは官庁方面の施設を都市中心から離していくというような各種の案をそれぞれ考えておられます。企画庁といたしましても、将来の国土開発計画に即応いたしまして、今日のような都市における過大集中あるいは工業集中ということをできるだけ将来直して参らなければならぬのでありまして、各省で持っておられますそれらの計画を総合して、一つの案を作りつつあるわけでございまして、そういうことによって将来、今お話しのような点の改善をはかって参りたい、こう思っております。
  177. 玉置一徳

    玉置委員 そこで、建設大臣に申し上げたいのであります。ただいまの水資源開発促進法でとりあえずできることから着工されるのはよくわかりますが、同時に、やはりその水系だけではとうていまかない切れぬ見込みが立つところで、他水系から転用しなければならぬような問題、あるいは大阪市でも現在着工されておりますが、海水、廃水の利用度をもう少し高める方法がないかというような問題につきまして、思い切った調査なり研究を一つお進めいただきたい、こう思うのです。これは御答弁をいただかぬでもよろしいのであります。  その次に、建設大臣にお伺いいたしたいのであります。この問題を公団一本でやるという問題と、公団水系ごとに作ってもらいたいという要望と、二つあるわけです。非常に水利権のむずかしい知事の意見を聞くとかあるいは同意を得るという問題にもからむわけでありますし、あるいは地域開発という問題と一緒にからんでくるのじゃないかというような意味では、淀川は淀川水系公団を作っていただくことが一番望ましいというのが大阪並びにその近辺の強い要望だと思うのです。ところが、これにもいろいろな問題がありましょうから、こういう問題に対処しまして、一つ地域ごとの特殊性をよく考慮されて、この運営並びに公団の機構を作っていただきたいと思うのですが、これにつきまして建設大臣の御所見を承りたい、かように思います。
  178. 中村梅吉

    中村国務大臣 確かに水系ごとに小じんまりとした事業体を作るのもいい方法でございますが、なかなかそういうように幾つも公団考えるということはいろいろ諸般の点から見て困難でございますので、われわれとしましてはこの公団一本で各水系について事業の推進をはかりたいと思います。御指摘のように、公団ができまして、幾つかの水系がまず取り上げられて、事業実施に移していくということになりますと、その中の機構の作り方というものはおのずからそれぞれの部分等がきまりまして、相当のきまった部局と申しますか、機関が実施する姿でなければ活発に進まないと思いますから、機構の確立等につきましては、私どももそういう点十分考慮して参りたいと思います。
  179. 玉置一徳

    玉置委員 時間の関係もありますので、最後に一言お伺いいたしたいのであります。先ほどの御質問にもございました灌漑用水あるいは上水道というのも、これができましてアロケーションで計算されますと、きょうまでの在来の水を使っているのに比べて、あまりにも高いものになるわけでございます。つきましては、企画庁長官の方からも十分考慮するというお話でございますが一その考慮はどういう計算でどういう費用を出してお進めになるのか、お伺いしたいと思います。
  180. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 お話のような点については、将来出資の面等についても何らかの方策がなければならぬ場合があろうかと思います。そういう点を十分勘案いたしまして、今後お話のような適切な措置をとって参りたいと思います。
  181. 玉置一徳

    玉置委員 もう一点、今の灌漑用水、あるいは上水道につきましても同じでありますが、あるいは上流部の知事さんがお願いをしておいでになるのも同じでありまして、この水資源開発促進法だけではやり得ない問題があると思います。従って、その他の公共事業とか地域開発とか、いろいろな面からこの問題がすべての方に喜んで実施していただけるような形に御配慮をいただきたいと思います。  私の質疑はこれで終わります。
  182. 二階堂進

  183. 石川次夫

    石川委員 実は私も先国会から今国会を通じましていろいろ質問をしたい点をずっと包括的にまとめたものがございます。しかし、再確認の意味でこの国会で申し上げて、実は新しくなられた実力者大臣には大へん申しわけないのでありますけれども一つぜひ知っておいてもらいたいという意味で用意をしておったのでございますが、時間の関係もありまして申し上げられないことは非常に不本意でございます。きょうはそういう関係で、ぜひ聞いてもらいたいという一点だけ要望を申し上げましょう。あと一つは、ぜひこうしてもらいたいという要望と質問を申し上げて私の質疑を終了したいと思います。  そのまず第一点は、何といっても今度の水資源開発促進で一番不安に思われることは、日本全体の四大工業地帯の中で利水重点を置かれておって、水源地あたりの総合開発、地域格差の解消というものにほとんど配慮が払われていないのではないかという点は、これは自民党でも非常に強く指摘されておったわけでございます。そういう関係で、水系を持っておるところの関係知事というものが非常な不安を感じておることは申すまでもございません。特に一つ一つ例をあげる時間の余裕はありませんけれども、たとえば滋賀県で言いますと、琵琶湖の水位が一センチ変わりますと、七百万トンの水が変わる。今のところは五十四億トンという一年間の水量を放流しておりますので、それを何とかほしいという阪神地帯の猛烈なる要望があることは言うまでもないわけでございます。ところがここで水位を一メートル変えるということになりますと、農業用水の取入口等も全部変わってしまう、それから地下用水というのも全部狂ってしまうということで、非常に大きな問題になるわけです。従って、滋賀県あたりでも非常な関心を持っておりますし、それから岐阜県、茨城県あたりになりますと、歴史的にいろいろな経緯があるわけであります。御承知のように、木曽川をはさんで尾張と美濃二つになっておりまして、尾張の領土を守るために美濃の方の堤防というのはいつも三尺低くしなければならぬということになっておりまして、絶えず災害にあえいでおるという経緯を持っております。でありますから、最近の事情を聞いてみますと、たとえば三重県だけで県営の工業用水道を作るという計画を立て、三重県の中で水を使うのですから、上流の岐阜県は何らの関係もないわけです。何らの関係もない岐阜県の方で、三重県の方に水を取られると、上流工業用水に非常な影響があるということで、三年越しでもめております。そういう点できわめて深刻な問題になっておるということを一つ理解をいただきたい。  それから、たとえば茨城県の例で言いますと、これは私の県ですから、あまり多く言いたくありませんけれども、利根川は本来東京に注いでおった水です。これを切りかえて茨城県の方に持っていった。これは東京を守るためにそうしたのだということで、茨城県の堤防が弱いために、災害はいつでも茨城県に起こる。そういうことで、東京の方には絶対にいかないようになっている。災害を受けて、今度は公団ができたら、その水は千葉県と東京に全部持っていくのだということは、茨城県としては納得しがたいというような、深刻な利害関係を歴史的に持っておるということであります。群馬県あたりになりますと、沼田ダムができたらどうなるか。二千戸の家が埋没するのではないか。しかも群馬県は治山治水ということに県政の相当大きな重点が払われておったわけであります。その管理権を今まで知事が持っておったものを、すぽっと中央が持っていってしまうという形になるのですから、これに対しては深刻な関心を持たざるを得ないわけです。そういうことで、この前の国会では、多くの水源を持っておるところの知事を参考人として呼びまして、いろいろそういう事情も聞いたわけでございます。この前の国会は、御承知のように政防法で混乱をいたしましたから、特異な情勢ですから、今さら多くを申し上げたくありませんけれども、午前中に知事の参考意見を聞いて、その午後には採決になっております。全然知事の意見を聞いたという形になっておりません。そういうこともありますから、知事としてはなおさら不満が多いわけです。特に水源を持っておる県は後進県で、財政的には中央に多くのことを依存しなければならぬという弱い立場にありますから、ただ単に意見を聞くとか、協議をすると言われても、おれたちの意見はどうせ通らないだろうという、非常なひがみ根性に近いような不安を持っておるわけです。  それから、今度の法案の中では、その他いろいろな不備な点がたくさんあります。知事が不安に思う点もたくさんあるし、多くの重要な点はほとんど政令にゆだねておるというような欠陥を持っております。たとえば重要な管理権の問題にいたしましても、それから費用の分担がどうなるのだという問題にいたしましても、全部政令に委譲になっている。そのほか、公団で言いますと、主務大臣の分担がどうなるのだというようなことも全部政令にゆだねられるということで、今後に多くの問題を残しております。特に今度の公団を作って開発促進をやろうとする場合には、水源を持っている、非常に深刻な、歴史的な経緯を持ち、利害関係を持っている知事の同意が得られない限りにおいては、絶対に事業の促進ができない。私はこう考えるので、われわれの方としては、これは修正案の提案説明みたいになりましたけれども、是が非でも知事の同意を得なければできないのだということを、よく一つ関係大臣としては納得をしてもらいたい。そうしなければ、絶対に円滑な運営はできないのだということをくれぐれも頼みたいと思います。大臣が知事と話をするときには「意見をきく」でいいのだという封建的な考え方がこの法案を作るときに支配的になっておったようでございますけれども、今まで水利権を持っていたのは知事で、中央が持っていたのではない。従って、上下の関係で、大臣が知事と話をするときには意見を聞けばいいのだというような考え方はナンセンスだと思います。必ず知事の同意を得るということを確立しなければならぬ性質のものだ。従来のような単純な法体系でもって論ずべき性質のものではないというふうに考えるわけでありますけれども、そういう点をこの法案の実施にあたってはよく肝に銘じてもらいたい。  それから、今度修正を私の方でいろいろ出しまして、それに対して自民党側では、非常に誠意をもって修正をしようという態度で応じていただきましたために、われわれとしてはまことに感謝をしておるのですが、そういう関係やら、いろいろありまして、早く切り上げたいということには協力するにやぶさかではございません。しかしながら、これは切り上げた後でも問題はまだまだ残っております。まだ政令はいただいておりません。そういう関係で、これは法案が一応成立した暁におきましても、またここにおいでを願って、この内容についていろいろとお伺いをしなければならぬ機会があると思いますので、その点はぜひ御了承を願いたい。それが一つの要望です。  それから、一つ質問申し上げます。いろいろ申しあげたい点の中でただ一点、愛知用水公団のことでぜひ一つ質問をいたしたいのでございます。これはこの前の国会におきましては、いろいろな条件はついておりますけれども政府答弁では、水資源開発公団設立後直ちに吸収することにつきましては、世銀の百七十万ドルばかりの借款がございまして、そういう点でのいろいろな了解を求めなければならぬという点が残っておりますので、そういう了解が得られて、事務上の準備が整った段階ですみやかに必要な法律手続をとり、可及的すみやかに吸収するということをこの前の国会で言明をいたしております。今度愛知用水公団から豊川に移ります場合には人員縮小の場合には、百人近くの人が馘首を余儀なくされております。そういう人たちについても、水資源開発公団ができれば、またそれを戻して再雇用するというような約束まで、官房長官ども確約をしておるわけです。そういうふうにわれわれは理解をして、今日まできたわけであります。ところが、今度の国会では、愛知用水公団の処理について質疑応答がありましたけれども、将来の問題として考慮するというような答弁になっております。これは非常に大きな変更です。われわれとしては、そういう点については絶対に承服できません。これは同じ大臣ではない。大臣はかわったかもしれませんけれども、しかし、あくまでも同じ趣旨を貫かなければ、政府としては責任を貫いたということにはならないと私は思います。愛知用水公団の解散手続というものについても、次の通常国会で進められるのかどうかという点も、われわれとしては非常に疑問に思っております。この解散の方の手続も一体どうなるのか。それから、解散になれば当然水資源開発公団の方に吸収されるというようにわれわれは今まで理解しておりました。今度の国会答弁では、はなはだその点が後退をしておりますけれども、われわれとしては絶対にこれは承服できません。この点について、一つ関係大臣の御所見を伺いたいと思います。
  184. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 愛知公団の問題につきましては、私の承知しておるところでは、先般の国会におきまして法律改正を行なって、豊川用水を愛知公団が引き続きやるということに相なったわけであります。従って、その面における人的要素等につきましては、当然豊川をやります規模において維持されていかなければならぬことでございまして、愛知用水公団としては、縮小はいたしますけれども、そういう限りにおいて続けて参るということに相なるわけでございます。
  185. 石川次夫

    石川委員 引き続いてという御説明ですけれども水資源開発公団に吸収をするという確約がある。合併をして吸収をして、とにかくその中に全部含めるのだということになっておるのです。実は、ざっくばらんに申し上げますと、農林大臣がかわられて、愛知用水公団の総裁も腹心の方にかわられたということを聞いております。そういたしますと、農林省としてはなかなか手放しがたいというような心境になっているのではないか。そういう個人的な感情でこういう大きな問題を左右されては、とんでもないことになる。この前の国会でもって確約をした通りのことを引き継いでやるのが内閣の責任ではないかと考えますので、これを合併、吸収をする時期がいつになるかということ、必ず水資源開発公団の中にこれを含めるのだという確約をとらないと、私はこの水資源開発公団法案それ自体についても賛成しかねるという心境にあることをお伝えいたしたいと思います。
  186. 二階堂進

  187. 加藤清二

    加藤(清)委員 もう時すでに五時を過ぎております。皆さんの心理状態や生理現象を推察いたしまして、私はたくさん質問があるのでありますけれども、簡単にしぼって質問いたします。  ただいま、同僚委員質問いたしましたその点でございますが、これは建設大臣、経企庁長官、よく聞いておってもらいたい。ほかでもありませんが、この水資源開発公団がさきの国会において審議をされました。同時に、愛知用水公団が豊川用水の事業を引き継ぐ法案、すなわち愛知用水公団法の一部改正という法律が審議された。そのおりには、結果はああなりましたのですが、要は、この委員会と商工委員会あるいは農林委員会等と連合審査をしたわけでございます。そのおりに、大卒官房長官は、池田総理の名代として出てこられました。なぜかならば、ただいま提案されておりますこの法案は、直接の監督官庁は経企庁になるはずでございますけれども、その最高指揮官は総理であったからでございます。その総理の名代でお出ましになりました大卒長官は、かく申し上げております私の質問に対しまして、ただいま同僚議員のおっしゃられた通り答弁をしていらっしゃるのでございます。これにはいろいろ理由がございまするが、しぼってみますると、二つの大きな理由があるのでございます。  第一は、愛知用水公団から豊川用水の事業を引き継ぐ、そのことによってのみで約三分の一の首切りが行なわれているのでございます。第二は、技術の問題でございますが、受益者負担が高い、飲料用水が高いという理由の奥には、資金がよけいかかり過ぎているということがございまするが、その資金の元の一つに、今お話のございました世界銀行から借りているという理由がある。なぜそこから借りなければならぬかと申しますると、これは御承知通りだ。愛知用水公団ができまするおりに、アメリカから技術を買うということがあった。そしてなお、この技術を、日本の今後行なわれる水資源開発に生かす。そういう大目的のために、なけなしの財布をはたいて技術を買ったわけなんです。これを吸収することによって、行なわれるところの水資源開発公団の技術を一そう促進しよう。せっかくアメリカから買った技術を有効に使おう。それをこの際分散させるとか、あるいは分断して切ってしまえば、技術と申しましても、これは人に残っているものなんです。人の腕と人の頭に残っているものです。これがグループを組んでこそ、初めてりっぱな技術として生きるものなんです。せっかく貴重な外貨を使って買った技術を、今後有効に生かすためには、それがいいじゃないかということで、何もこれは大平長官の私見でも何でもない。大平長官も、ぜひそのようにいたします——。つまり、ここから先は具体的に申し上げますと、愛知用水公団は、以上の二点その他ありますが、諸点にかんがみて、水資源開発公団が発足と同時に吸収する。しかも、その際切られていくところの百人有余の方々は、これが発足と同時にまた戻してあげるのだ。こういう約束で、今よそへ行っているのでございます。それを、あれから半年たつやたたずに、なるほど農林大臣はかわったでございましょう。経企庁長官もかわったでございましょう。しかし池田内閣の方針は、前の国会からやっておることにあやまちはないと池田さんは言うておる。大平長官もかわっていない。いわんや建設大臣もおかわりになっていないのです。一体、そのように政府の方針が変わったとするならば、いかなる理由であるか承りたい。もし方針が変わった、いやそうじゃない、朝令暮改であるとおっしゃるならば、それこそは国会軽視、これは聞き捨てならぬことでございます。
  188. 中村梅吉

    中村国務大臣 所管大臣でございます企画庁長官からお答えすべき事項と思いますが、当時から私ども関係いたしておりましたので、便宜私から一応お答えを申し上げたいと思います。  実は、当時の考え方としましては、この水資源開発促進法並びに公団法が成立しました暁には、愛知用水公団はこの水資源開発公団に吸収といいますか、承継といいますか、事業並びに人的資源を受け入れまして、そしてやっていく予定に考えておったわけでございます。この点は大平官房長官が答えたことと変わりはないと思うのでございますが、並行いたしまして愛知用水公団の事業の中へ、豊川用水の事業を取り入れるという改正法が進行しておりました。この方は成立をしましたが、水資源開発公団法は不成立になりまして、一方だけ先に進行したわけでございます。その結果、愛知用水公団時代よりも人員が減少しまして、一部の方々が離職のやむなきに至ったという事情に今日あるわけでございます。そこで、愛知用水公団側の意向を今国会に臨むにあたりまして、われわれいろいろ伺いますと、愛知用水公団としては、豊川用水の事業がやれることになったので、この事業を完了するまでは、しばらく独立体でいきたいというような意向があるということでありました。とにかく発足がちぐはぐになりましたので、今日のところといたしまては、法律の建前として吸収するということにはいたしておりませんが、これは今後豊川用水の事業が終わるのを待つか、あるいは終わるのを待たなくても、この公団が発足することになったならば、合併吸収をした方がいいのか、これは今後の課題としまして、われわれはいずれにいたしましても、愛知用水で長年苦労をされました方々の意向もそんたくをいたしまして、できるだけ円満な調整をはかっていきたい、今日のところはかように考えておるわけであります。はからずも、実は片一方だけが先に法律が成立しまして、こちらの方があとおくれになってしまったというのが、さようなちぐはぐを生じた経過かと私は考えております。今申し上げましたように、われわれとしましては、いずれにしましてもどちらも水資源開発の仕事をやるわけでございますから、できるだけ双方の意見の調整をはかりまして、従来の方針は生かしていくように、われわれは努めて参りたいと思っております。
  189. 加藤清二

    加藤(清)委員 こんなにおそくなったし、大先輩の建設大臣言葉を返すようでまことに言いづらいことでございますけれども、人の命にかかわる問題でございますので、私はこの際はっきり申し上げておきます。そのときの大平官房長官、翌日の本会議場における農林大臣答弁、経企庁長官迫水さんの答弁は、一致しておったのでございます。しかも、あなたがおっしゃいます変更された理由は、時間的のズレとおっしゃいますが、時間的のズレはそのときからわかっていたのでございます。どうしてか。それは今同僚議員も申しました通り、かりに吸収することにしても、これは世界銀行から金を借りているのだ。だから手続に最低二カ月、おそければ半年くらいかかる。従って、水資源開発公団が発足したとしても、直ちにというても、それは翌日ということではない。半年くらいの余裕がいただきたいのだ、こういうことに相なっている。私どももそれを承服しているわけです。ただ、あれ以来かわったことは何かというたら、愛知用水公団の浜口総裁と、新しい理事長とが交代されただけで、公団意見が変わったとあなたおっしゃいますが、公団は新しい理事長の意見だけで、勝手に歴史的な問題が左右されるという封建主義的なものであればいざ知らず、しからざれば変わっておりません。今国会にも、きょうこのうしろへも愛知用水の人が来ております。特に首を切られた人たちも来ております。決して変わっておりません。もし変わっておるとするならば、私は変わった理由を承りたいのでございます。なぜかならば、あそこは、この前の国会で約束されておりますオープンの水路に対する危害予防措置ということが、まだ行なわれていないのです。決して済んだわけではございません。どうしてそんなに意見が変更されるか、私にはわからないことでございます。従って、二カ月や三カ月ずれたからというので、基本方針がぐらぐら変わるということについては、承服できないだけでなくして、別な疑いを持たざるを得ない、こういう心境になるわけでございます。建設大臣の確固たる信念を承りたい。それでなければ、そんなに朝令暮改される——総理もかわっていない。長官もかわっていない。建設大臣もかわっていない。にもかかわらず、公団の総裁が一人かわったことによって、すぐそんなに意見が変わるということであれば、われわれは、愛知用水に対して、受益者負担の軽減であるとか、あるいは水道料金、こうした用水の問題が今後に生じまするが、一体だれを相手に交渉するのですか。だれを信用してかかるのですか。ほかとは違う。総理の名代として出た大平君の言葉が、そんなに早く変わってよろしいものでございましょうか。  もう一点。もし、そこでどうしてもそうあらねばならぬという理由があるならば、私はここでその御開陳を承りたいのでございます。と同時に、しからば、そのおりに、とだえてしまうところの技術や人はどうなりますか。政府は食言したということに相なりますよ。その点をはっきり承っておきたいのでございます。
  190. 中村梅吉

    中村国務大臣 水資源開発公団が発足することになりましたならば、愛知用水公団も一緒になって、同一の目的でございますから、一つ公団で進めることがいいという考え方については、私ども従前通り変わっておりません。そこで問題は、今あなたの方からは、それはとんでもない、違うというお話がございましたが、私ども、豊川用水の事業をやることになったので、これが一段落するまではこのままいった方がいいという考え方があるように聞いておりましたが、あるいはこれは全部の考え方でないということも、今のお説ではっきりわかりました。そういう考えの人と、しからざる人と、きっとあるのじゃないかと思います。そこで、実態があなたのお説の通りであるとするならば、われわれは既定方針通り進めるように、今後方向を立てて参りたい、こう思います。
  191. 石川次夫

    石川委員 愛知用水公団で、実は外国の技術——エリック・フロアというところから技術提供を得て、相当の金をつぎ込んでおります。このことについては、いろいろ問題があるようです。このことも実は質問したいと思ったのですが、それはともかくとして、今後は外国の技術は導入しない、日本単独の技術でやりたいということを、この前の国会では建設大臣から明確に答弁をされております。それだけに、やはり相当大きな金をつぎ込んで取り入れた技術については、とかくの批判はあるにいたしましても、それはやはり水資源開発公団で大いに生かすべきだ、こう思うのです。愛知用水だけ別格にしておっては、せっかく金をかげながら、その技術を、事業が大きく発展をし、膨張をしようとする水資源開発公団に生かすことはできないのじゃないか。これはきわめて常識だと思うのです。そういう点で、水資源開発公団それ自体の中に含まれている法案ではありませんから、このことによって法案自体をどうしようということはむずかしいと思いますが、しかし、これは直大な問題であると思います。党としては重大な関心を持っております。われわれ先輩の建設大臣に対して申しにくいことを申して恐縮でありますが、実は農林大臣がかわられたときに、農林大臣中村建設大臣とは昔から密接不可分の関係にあった。そういう関係で、農林大臣の言いなりになるではないだろうかと冗談を言ったことがあります。そのときに建設大臣は、いや、河野さんがなったら、兄貴に弟の言うわがままをよく聞いてもらえるというふうなことを、これは冗談話でありますけれども、言った記憶があります。ところが、この話を聞いてみますと、非常な変革、非常な変更、非常な後退になっております。愛知用水公団は別格のものを作るのだという意向が、非常に強くにじみ出ているような感じがいたしまして、日本の水資源開発にとっては非常に不幸だと思います。新技術を取り入れてこれを用いながら、豊川用水を縮小されて離職を余儀なくされた人たちのことも考え合わせて、是が非でも吸収合併をするということは、だれが考えても常識だと思います。これを別格にするということは、どうしても筋が通りません。これはここで明確な答弁を求めるといっても不可能だと思いますが、党としては重大な関心を持っているということをはっきり申し上げて、この点に対する要望を終わりたいと思います。
  192. 川俣清音

    川俣委員 今、加藤清二君の質問に関連して、重大な点が出てきたと思うのです。それは、この公団は六カ月以内に発足をするということになっておりますが、自然予算の裏づけがすでになければならないはずだと思うのです。この点はどうですか。おそらく今度の補正予算の中に出ておらない。予備費をお使いになるのではないかと思うのですが、大臣、どうですか。もし予備費をお使いになるということになりますと、今補正予算を審議中でございますから、それは重大な問題になると思うのです。予算審議中において予備費を流用するということは、会計法からいいましても、財政法からいいましても、これは認められないことでございます。先般の国会で愛知用水の問題が出ましたのは、愛知用水には予算がついておりまして、愛知用水におんぶしないとこの法案は予算の取り扱い上困難でありますために、実は逃げられたではないかと私は想像いたしておったのです。予備費の流用は困難、あるいは財政投融資で受けることも困難である。そこで、愛知用水の予算があるから、予算総則によって移流用するということで計画されておった、こう思うのです。実際は別でしょうけれども。そういうのが先般の通常国会での答弁であったと思う。これが今度予算もついておらない。通常国会を目標にしての予算の編成でありますならば、この法案の審議はまだ早いということになるであろう。どれをおとりになるのですか。これにより私ども態度がきまるわけですから、明確にしていただきたい。
  193. 中村梅吉

    中村国務大臣 実はこの両法案関係をしまして、三十六年度予算編成の際から、促進法に基づく審議会の経費及び調査を行ないます調査費、これは予算に計上してございます。ところが、公団の資本金につきましては計上してございません。考え方としまして、御承知通り、日本道路公団が発足いたしますときも、借入金で発足いたしまして、そうしていろいろな事業準備等をいたしまして、事業が活発に行なわれる段階になりまして、後年度になりまして政府出資金をつけた経過がございますので、私どもとしましては、この公団につきましても、ちょうど日本道路公団のスタートしたときと同じような姿でいこうということで、公団の出資金等は三十六年度予算に計上してない、こういう次第でございます。しかし、日本道路公団の経過から見まして、公団の創立には相当の準備期間が要りますので、また、審議会があり、いろいろ基礎的な調査が要りますので、審議会と基礎的な調査の調査費だけ計上してあれば間に合うであろう、こういう想定のもとに進行をいたしておりますので、その点をお含みいただきたいと思います。
  194. 川俣清音

    川俣委員 これは予算委員会におきましても、道路公団のようなやり方は異例でありまして、あれは先例としないという言明を大蔵大臣はしておるわけです。特にあれは容認したものです。しかも、予算審議中でございます。衆議院は終わりましても、いまだ予算審議中でありまするから、当然補正予算を組みかえなければならない義務が、本日の決定と同時に出てくるはずだと思う。あなたをそう苦しめるつもりはないのです。あまり与党の人がお急ぎになるから、やはりそういう点を当然確かめられておったことと私は理解しておったのでありまするが、理解がない答弁になりましたために、あえてここで質問しなければならぬ事態が起こったのです。参議院において予算審議中ですよ。これはやはりもう一度、また問題にならざるを得ないだろうと思います。しかも道路公団は、この公団と本質的に違います。道路法に基づくところの公団と、この河川法というのは、先ほど指摘しておる通り利水についての規定がない法律なんですが、そこへできる公団とは、本質的に違うのです。これが一つ問題なんです。だから、自民党の諸君にも、抜本的に河川法を改正するということを、一つ決議でも上げたらどうかと言っても、しぶっておられる。しぶっておられるが、こういう点を当然解決しなければならないはずなんです。これはどう処理されますか。今予算審議中です。(「わかっておる」と呼ぶ者あり)わかっておったら、どういう処理をするのか。あなた方は採決しようというから、明確にならなければならぬじゃないですか。
  195. 中村梅吉

    中村国務大臣 日本道路公団法の成立いたしました経過は、どうもあなたのように私はつまびらかにしていないのでありますが、愛知用水公団の場合におきましても、借入金で運用して参っておるものでありまして、この公団ができました場合におきましても、借入金で公団としての事業は遂行できるわけでございます。ただ、水の単価の問題とかいろいろな関連がございまして、将来必要が起これば、国の出資金等、利息のつかない資金を入れる必要が起きてくるかもしれません。その場合には、あらためてこの公団法の改正の御審議を願いまして、そうした政府出資等をつけてまかなっていくということに考えておりまするので、目下のところでは、出資金は要らないという建前で進んでおるわけでございます。
  196. 川俣清音

    川俣委員 私はあえて聞いておるのです。予算的措置をどうなさるか、こういう点がはっきりしなければならないのです。大臣の言われる通りですよ。三十六年度には、調査費とそれから審議会の経費が入っていることは、明らかです。調査費というものは、審議会の発足する準備なんです。きょうここで採決しようというからには、これは出発です。出発に対する予算的措置が講じられておらないのじゃないですか、こう聞いておるのです。そうすると、道路公団のように、先行してこういうものがある。こうなると、大蔵大臣を呼んでこないと採決しがたいという事態になります。予算の裏づけのないものを無責任に採決をするということは、国会の権威に関することだと私は思うのです。この点明確にならない限り……。
  197. 中村梅吉

    中村国務大臣 それともう一つは、かりに予算的措置が必要であるということになりましても、この公団の発足自体が、法律が成立をしましてから六カ月後になることになっておりまするから、さような場合におきましては、来年度予算の際に考慮すれば、今回の場合はそれで十分間に合う、こう私ども考えております。
  198. 川俣清音

    川俣委員 三十七年度予算においてこれを処置する。そうすると、三十七年度予算がこれを裏づけするような予算ができたときに、初めてこの法律は有効になるわけですね。予算を持たない公団というものは、かかしみたいなもの。そうすると、三十七年度予算と相待ってこの法律が実施されなければならないというのが、私は国会の原則だと思うのです。これは重要ですよ。これは議院として当然な任務で、果たさなければならないものです。これは与党、野党とも、国会法の原則及び会計法、また財政法の原則から見まして、どうせ出発するならば堂々と出発さすべきだと思う。私生児的な出発は、決して将来を有効にするものではないと思うから——私は反対しているんじゃないですよ。賛成しておる。賛成するからには、やはり祝ってやるような予算的措置が講ぜられておらなければならないのじゃないかと思う。きょう急いで急いでというけれども、すべてのものを準備されて、万端遺漏のない形で進行されなきゃならないと私は思う。大いに将来を期待されている利水公団であるだけにですよ。
  199. 中村梅吉

    中村国務大臣 これはもう申すまでもないことでありますが、株式会社の場合とは違いまして、法律によって作る公団でございますから、資本金がございませんでも、法律ができさえずれば公団は出発できるわけでございます。出発をしますとすぐその日から金が要るというものでございませんので、所要の金は借入金でも一すでに先ほども申し上げましたような他の公団に一部の例がございまするように、それでもしばらくは進行できますので、必要が起きたときに処置をする、必要のないうちから処置をしておくことは要らないのではないだろか、こう思っておるのであります。
  200. 二階堂進

    二階堂委員長 他に質疑はございませんか。——なければ両案に対する質疑は、これにて終了いたしました。     —————————————
  201. 二階堂進

    二階堂委員長 この際、瀬戸山三男君及び石川次夫君より、それぞれ修正案が提出されております。     —————————————  水資源開発促進法案に対する修正案  水資源開発促進法の一部を次のように修正する。  第一条中「産業の発展」を「産業の開発又は発展」に、「水の需要の著しい増大がみられる地域に対する用水の供給」を「用水を必要とする地域に対する水の供給」に、「特定の」を「水源保全かん養と相まって、」に改める。  第四条第三項中「及び電源開発」を「、電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域の開発」に改める。     —————————————  水資源開発公団法案に対する修正案  水資源開発公団法案の一部を次のように修正する。  第二十一条中「協議しなければならない」を「協議するとともに、関係都道府県知事意見をきかなければならない」に改める。  第二十二条中「作成し、」の下に「関係都道府県知事に協議するとともに、」を加える。     —————————————  水資源開発公団法案に対する修正案  水資源開発公団法案の一部を次のように修正する。  第十九条第二項中「関係都道府県知事意見をきかなければならない」を「関係都道府県知事の同意を得なければならない」に改める。  第二十条第一項中「関係都道府県知事に協議するとともに」を「関係都道府県知事の同意を得るとともに」に改める。  第二十一条中「協議しなければならない」を「協議するとともに、関係都道府県知事の同意を得なければならない」に改める。  第二十二条中「作成し、」の下に「関係都道府県知事の同意を得るとともに、」を加える。     —————————————
  202. 二階堂進

    二階堂委員長 趣旨の説明を求めます。石川次夫君。
  203. 石川次夫

    石川委員 水資源開発促進法案水資源開発公団法案につきましては申し上げたいことがたくさんございますけれども、時間の制約その他の関係がありますので、私は、社会党を代表いたしまして、きわめて簡単に修正案の趣旨を申し上げます。  元来、日本は水に非常に恵まれ過ぎておったということのためかどうか知りませんけれども、長い間放任されておったうらみがあったわけでございまして、ここに、非常におそきに失したうらみはありますけども水資源を総合開発するという目的をもつて両法案提案されたこと自体につきましては、社会党としては賛意を表するにやぶさかではございません。しかしながら、本法案が、日本のいわゆる四大工業地帯に必要な水を提供することに急のあまり、きわめてずさんなものとなっておこるとは、まことに遺憾でございます。その第一は、政治経済上の至上命令とはいえ、地域格差の解消、地方産業の開発のための配慮がおろそかにされておるということであります。第二は、特にダムができることによって農業用水に重大な影響を与えることに対する不安な点は、質問を通じても解消されてはおりません。第三には、重要な点についてはほとんど政令にゆだねられておって、不分明な点が多過ぎるということであります。その他、将来まことに膨大な機構にふくれ上がるだろうということが予想される公団の内容、使命を律する法案といたしましては、成立過程で非常な混乱が起こったということの結果としてでございましょうが、まことにこまかい配慮が欠けておるというふうに考えられるわけであります。河川の管理の問題とか、費用の分担の問題、主務大臣の明確な任務分担区分、役員任命の問題等々、多くの不安な点を残しております。そのうち、少なくとも水系を持つ多くの県は、基本計画はどうなるのか、河川管理権、費用分担はどうなるのか、さらに農業利水は、電源開発工業用優先のために侵害されるようなことはないかというような点を深刻に憂えておることは、まことに県民の立場を代表する限りもっともだといわなければならぬと思うのであります。しかも、水源県はほとんどが後進県でありますので、多くの財政援助を中央に仰いでおる関係上、立場が非常に弱いのが実情であります。自民党としても、知事の立場を尊重いたしまして、若干の修正を用意されておるようでありまして、その点は敬意を払いますけれども、どうしてもこれだけでは知事の意見が十分に貫かれるというふうには考えられません。また、法案の不備な点、あるいはまた政令にゆだねられて明らかにされておらない点は、知事の同意を求めることによって補うことにすることが、ぜひともこの法案を完備する上に必要な条件と考えないわけには参らないわけであります。  さらに、開発促進法、それから公団法も、不離一体の関係を持つのでございまして、特に促進法の審議会のメンバーに水源県の知事を加えることは、地元民の同調を得て円滑に促進をする上においても不可欠の条件と思うのでございますけれども、この点も配慮をされなかったことは、まことに残念に考えます。わが党が前国会提案いたしました詳細な修正案は、自民党が積極的に修正をされる態度を一応尊重いたしまして、思い切ってここに割愛をいたします。そして公団法の第十九条の事業実施方針、第二十条の事業実施計画、第二十一条の施設管理方針、第二十二条の施設管理規程のそれぞれの決定に際しまして、特に水源県の知事の同意を得てなすべくこの修正案を提案する次第であります。  この修正案は、どなたが考えても最も妥当であり、全く必要最低限の要望でございますので、ぜひとも全員の御賛同を要望して、修正案の提案説明にかえる次第であります。
  204. 二階堂進

  205. 瀬戸山三男

    ○瀬戸山委員 両案に対しまして、自由民主党、民主社会党共同提案に基づく修正案を提案いたします。  まず第一に、水資源開発促進法案に対する修正案でありますが、案文を朗読いたします。水資源開発促進法案の一部を次のように修正する。  第一条中「産業の発展」を「産業の開発又は発展」に、「水の需要の著しい増大がみられる地域に対する用水の供給」を「用水を必要とする地域に対する水の供給」に、「特定の」を「水源保全かん養と相まって、」に改める。  第四条第三項中「及び電源開発」を「、電源開発及び当該水資源開発水系に係る後進地域の開発」に改める。  これが修正案の内容でありますが、簡単にその修正をしようという趣旨を申し上げます。  第一条はこの法案目的を書いてあるわけでありますが、この法案は審議の途中におきましていろいろ議論があったことは、皆さん御承知通りであります。この法律自体はそういうことを目的としておらないと思いますけれども、この原案に表われております文言を見ますると、あるいは既成の工業都市、あるいは人口の増加、いわゆる発展を遂げた地域に対する水の必要に迫られ、そして言葉は悪いかもしれませんけれども意見がありましたように、水源地域の水をそういう地域に奪取されてしまうということになりはしないか。今日政治の大きな課題になっておりますあるいは地方開発、あるいは後進地域の開発、あるいは工場の分散をしなければならないという時代に、既成都市、あるいは四大工業地帯だけに水を持っていかれるということでは非常に困る、こういう趣旨の意見あるいは議論が多くありました。また、予定されておりますような水系関係はしておりませんけれども、こういう問題について重大なる関心を持たれて、将来のことについて非常に御心配をなさっておるという向きがあるわけであります。この法律の原案自体も、必ずしもそういうようなことを目的としておるわけではございませんけれども、この法律は国民の皆さんにあまり心配をかけないようにするのが建前であると思いますので、そういう意味において、そういう趣旨ではございません、そういう後進地域の開発等も大いに必要な場合には考えていく、水の供給をするのでありますから、そういう趣旨でただいま申し上げましたような修正をいたしたい、こういうわけであります。  第四条第三項の修正はどういうことか。第四条基本計画を立てる条文になっておるわけでありますが、その第三項には「治山治水及び電源開発について十分の考慮が払われていなければならない。」、御承知通りに、この法律は、水資源を確保して、総合的な高度の利用をするようにいたそうというのが目的であります。あるべき水を大いにこれを涵養する。水源についてもこれは留意して、水を多く使い得るような状態にするということは、当然のことであります。そういうことでありますけれども、しかし、現在の政治あるいは現行の法律の諸制度におきますると、そういうあるいは植林をどうするとか、砂防をどうするとか、いわゆる水の涵養保全という問題は、別の法律あるいは別の行政組織でやるようになっております。電源開発についても特別な法制がありまして、また別な機関でやるようになっておりますから、この法律を一本にするということは、現在の法制及び行政機構においては、非常に困難である。けれども、これを促進法によって計画する。いわゆるこの基本計画には、そういう重要な点、他の法制あるいは他の行政機構においてやるべきものも、一体となってこの総合開発基本計画において大いに考えなければならない。これは別だということにはならないということで、第三項がここに規定されてあるわけであります。ところが、先ほど第一条の修正で申し上げましたように、都道府県、特に水源地帯と申しますか、上流県は、こう言っては何でありますけれども、えてして現在では後進地域になっております。何とかそういうところを開発をして、工場の分散等によって、いわゆる均衡のとれた日本全国の開発をしたいというのが、今の全国民の要望でありますから、そういう点を一つ頭に置いてやってくれということが、また一つの強い希望であります。そういうことはもちろん政府においても考えておるわけでありますが、それを心配だとおっしゃるから、これも御心配のないように、ただいま申し上げましたように、水系にかかる後進地域の開発についても留意をすべきだということをここに明らかにしたい。  これが促進法についての修正案の理由であります。  次に、水資源開発公団法案に対する修正案文を朗読いたします。  水資源開発公団法案の一部を次のように修正する。  第二十一条中「協議しなければならない」を「協議するとともに、関係都道府県知事意見をきかなければならない」に改める。  第二十二条中「作成し、」の下に、「関係都道府県知事に協議するとともに、」を加える。  これが修正案の内容であります。  その理由を簡単に申し上げます。  第二十一条、第二十二条は、いわゆる施設の管理に関する規定をいたしております。二十一条は、管理方針を主務大臣公団に指示する。第二十二条は、その指示に基づいて実際の管理規程公団が策定する。その場合には主務大臣の認可を受けるのだ、こういうふうなことになっておりますが、先ほど社会党の委員の方のお話もありましたように、また従来しばしばこの委員会で議論がありましたように、非常に心配じゃないか、関係都道府県知事の同意を必要とする、あるいは協議を必要とする、意見を尊重しなければならない、こういう強い要望と申しますか、意見が出ておるわけであります。これはもっともなことでもありますので、管理方針をきめるときに、単に関係行政機関の長だけに協議するということでなしに、さらにその上に関係都道府県知事意見を聞いて、皆さん納得のいくような管理方針をきめることが適切である。第二十二条は、それを受けまして、施設管理規程を作成して主務大臣の認可を受けるというだけでなしに、その場合にもやはり今度は関係都道府県の知事と協議をして、その上で主務大臣の認可を受ける、そこまで関係都道府県知事関係住民の意見というものをよく取り入れて、皆さんが納得した上で安心してやれるようにしていくことが適切である。特に施設の管理については、従来ここでも議論がありましたように、しばしばその管理の方式等について誤ったと申しますか、今日まで過誤があったという事例がありますから、その点については、やはり関係都道府県知事意見を聞き、あるいは協議をするのが適切である、こういう趣旨であります。つけ加えておきますが、先ほど社会党の方から、こういう場合に同意ということを強く主張されております。ちょっと聞きますると、まことにけっこうなようでありますけれども関係都道府県はきわめて多うございます。しかも上流、下流、場合によりましては利害が完全に相反するという事態があります。こういう場合に全部の同意を得るという事柄を法律の上で明記いたしますると、現在の日本の民主主義の状態では、完全にこの仕事がストップするということも場合によっては想定されますので、社会党の皆さんも、これは非常に必要なことで、おそきに失したと言われるくらいに重大な水の問題でありますから、そういうことを法律で明記するということは、実際の行政の運営上適切でないという意味で、私どもは、意見を聞き、あるいは協議をするということで十分である、こういう趣旨でこの修正案を提案いたしたわけであります。  どうか一つ、社会党の皆さんもよくおわかりになっておるわけでありますから、全員の御賛成をお願いしたいと思います。
  206. 二階堂進

    二階堂委員長 これにて各修正案の趣旨説明は終わりました。  各修正案に対する質疑の通告は別にございません。     —————————————
  207. 二階堂進

    二階堂委員長 これより両法律案及び各修正案についての討論に入るのでありますが、別に討論の通告がありませんので、これより直ちに採決を行ないます。  まず、水資源開発公団法案及びその修正案について採決いたします。  まず、石川次男君提出にかかる修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  208. 二階堂進

    二階堂委員長 起立少数。よって、本修正案は否決いたされました。  次に、瀬戸山三男提出にかかる修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  209. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本修正案は可決いたされました。  次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の御起立を願います。   〔賛成者起立〕
  210. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案は瀬戸山三男提出の修正案通り修正議決されました。  次に、水資源開発促進法案及びその修正案について採決いたします。  まず、瀬戸山三男提出にかかる修正案について採決いたします。本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  211. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正案の修正部分を除く原案について採決いたします。賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  212. 二階堂進

    二階堂委員長 起立多数。よって、本案は瀬戸山三男提出の修正案通り修正議決されました。     —————————————
  213. 二階堂進

    二階堂委員長 この際、木村守江君より、両案に対し附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。趣旨弁明を許します。木村守江君。
  214. 木村守江

    木村(守)委員 私は、自由民主党、日本社会党、民主社会党の賛成を得まして、水資源開発促進法案及び水資源開発公団法案に対する附帯決議を提出いたしたいと存じます。  まず、案文を朗読いたします。  水資源開発促進法案及び水資源開発公団法案に対する附帯決議(案)   政府水資源開発促進法及び水資源開発公団法の施行に当つては、左の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一、水資源開発水系の指定、基本計画及び事業実施方針並びに施設の管理方針を定めるに当つては、関係都道府県知事意見を充分尊重すること。  二、水資源利用合理化に当つては慣行水利権を侵害せざること。  三、かんがい用水及び上水道の費用負担の決定に当つては営農上および生活上の必需品たることを考慮すること。  四、指定水系の特殊性に応じて公団の機構並びに運営につき充分考慮すること。  右決議する。  簡単に趣旨を御説明いたします。御承知通り、この法案は、日本の産業の発展並びに水資源利用合理化等から考えまして、まことに妥当な、一刻も早く成立を期さなければならない法案でございまするが、ややもすれば、この法案の成立に伴いまして、あるいは産業都市、あるいは人口の増加する都市のみに大きな利益を与えまして、その水源県に大きな犠牲を負わせるのではないか。また、水源県である都道府県の管理下にあるところの河川管理権が制約されるような状態になるのではないかという各都道府県の心配がありまする関係上、このりっぱな法案目的を遂行いたしまして、もって本来の趣旨を徹底せしめるために、かような心配のないように、政府においては十分考慮されるようにということを盛り込んであるわけであります。  なお、御承知のように、水資源利用合理化にあたっても、今までの慣行水利権というものを絶対に侵害しないようにすること。それから、灌漑用水あるいは上水道の費用の負担の問題につきましても、今後営農上及び生活上の必需品たることを考慮しまして、費用の負担に対しましては十分考慮してもらいたい。それから、指定水系の特殊性にかんがみまして、あるいは大阪とかあるいは東京とかいう特殊地域につきましては、特に公団の機構並びに運営につきまして十分考慮しなければならないという趣旨でありますので、以上決議文を提出する次第であります。
  215. 二階堂進

    二階堂委員長 採決いたします。  木村守江君の動議に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  216. 二階堂進

    二階堂委員長 起立総員、よって、木村提出の動議の通り両案に附帯決議を付することに決しました。  この際、経済企画庁長官並びに建設大臣より特に発言を求められております。これを許します。  経済企画庁長官
  217. 藤山愛一郎

    藤山国務大臣 ただいまの附帯決議につきましては、御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、水資源関係法案の運用をいたして参りたいと思っております。
  218. 二階堂進

  219. 中村梅吉

    中村国務大臣 ただいまの御決議の趣旨を十分尊重いたしまして、万遺憾のないように善処して参りたいと存じます。     —————————————
  220. 二階堂進

    二階堂委員長 なお、ただいま修正議決されました両法律案委員会報告書の作成等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  221. 二階堂進

    二階堂委員長 御異議なしと認め、さように決しました。  本日はこれにて散会いたします。   午後六時九分散会