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1961-12-07 第39回国会 衆議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十二月七日(木曜日)    午前十一時十三分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 木村 公平君 理事 高橋 英吉君    理事 小川 豊明君 理事 勝澤 芳雄君    理事 西村 力弥君       宇田 國榮君    正示啓次郎君       鈴木 正吾君    濱地 文平君       赤松  勇君    久保 三郎君       久保田 豊君    山田 長司君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 斎藤  昇君  委員外出席者         内閣官房長官  大平 正芳君         総理府事務官         (首都圏整備委         員会事務局長) 樺山 俊夫君         調達庁長官   林  一夫君         総理府事務官         (調達庁不動産         部長)     沼尻 元一君         総理府事務官         (科学技術庁原         子力局長)   杠  文吉君         外務事務官         (アメリカ局安         全保障課長)  魚本藤吉郎君         運輸事務官         (鉄道監督局長)岡本  悟君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 十一月二十七日  委員服部安司辞任につき、その補欠として山  口六郎次君が議長指名委員に選任された。 同月二十八日  委員山口六郎次君が死去された。 十二月七日  委員福田赳夫君、山口喜久一郎君、森本靖君及  び山田長司辞任につき、その補欠として正示  啓次郎君、濱地文平君、久保三郎君及び久保田  豊君が議長指名委員に選任された。 同日  委員示啓次郎君、濱地文平君、久保三郎君及  び久保田豊辞任につき、その補欠として福田  赳夫君、山口喜久一郎君、森本靖君及び山田長  司君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより決算委員会を開会いたします。  昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、運輸省所管及び総理府所管中、調達庁関係について審査を進めます。  直ちに質疑を行ないます。質疑の通告がありますので、順次これを許します。  まず、運輸省所管について、勝澤芳雄君。
  3. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、去る十月二十六日の日に、三十四年度の運輸省決算関連いたしまして、武州鉄道問題点についてお尋ねをしたわけでありますが、きょうは、それに引き続きまして特に当時お見えになりませんでした運輸大臣並びに鉄監局長等に対しまして、質疑を続行いたしたいと存じます。  この武州鉄道の問題につきましては、この問題の起こったのは、御承知のように岸内閣当時でありまして、岸内閣は三悪を追放するのだという国民への公約を持ちながら、汚職、暴力、貧乏、こういうものがついに追放できずに崩壊をいたしまして、池田内閣が誕生いたしましたが、その池田内閣のもとにおいて、木暮運輸大臣のもとに、これが関連事案として免許がされたわけであります。従いまして、私は、やはり大臣の重職にあった楢橋運輸大臣起訴されておるというような事態から考えてみまして、そのあとを継いでおる斎藤運輸大臣といたしましても、この事件については大へん重大な関心をお持ちだと存じておるわけでありますが、一つこの際、決算委員会に対しまして、この事件に対して後任の大臣としてどういうふうなお考えをお持ちになっておられるかという点を、最初にお尋ねいたしたいと思う次第でございます。
  4. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 武州鉄道問題につきまして、今おっしゃいますような汚職の疑いを受け、元大臣起訴をされたというようなことにつきましては、現在そのあとを受けております私といたしましても、また総理とされましても、前国会においてたびたび所信を明らかにしておられましたように、まことに遺憾のきわみだと存じます。同時に、かようなことの再びないように、政府閣僚はもちろんのこと、政府部内、ことに運輸省部内におきましても、十分戒心をいたしまして、今後かかることの絶無を期したい、かように存じておるわけであります。あのことの起こりましたことについては、重ねて遺憾の意を表明いたします。
  5. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで私は続きまして、一体この武州鉄道汚職事件というのは、どこに問題があったとお考えになっておりますか、そうしてなお、今後このようなことが起きないようにどういうふうに対処されますか、それについてのお考えをお伺いしたいと存じます。
  6. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 武州鉄道問題の起きた根源はどこにあったと思うかとお尋ねでございますが、もし伝えられておりまするような起訴容疑が事実であったといたすならば、私は、これは政治家良心問題というのが一番の根本であろうと、かように考えます。鉄道免許の問題、これに関する手続その他の問題は、枝葉末節といっては言い過ぎかもわかりませんが、やはり政治家、あるいは官吏等良心問題、これが根本であろうと、かように考えております。
  7. 勝澤芳雄

    勝澤委員 運輸省の中でも、関係者起訴されておる、あるいはまた参考人として呼ばれ、一応起訴はされなかったけれども、そのままになっておる点があるようでありますが、これらの関係者行政上の処分というようなものは、どういうようになされましたか。
  8. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 起訴をされました者につきましては、ただいま所定の手続によりまして休職にいたしております。他に関係人として事情を聴取されました者につきましては、当時の手続その他の事情を説明いたしたわけであります。汚職、涜職の容疑で聴取をされました運輸省関係の者はございません。これにつきましては、何の処置もしておりません。また、処置すべき必要がないと考えております。
  9. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この点はあなたにお聞きして御答弁できるかどうかよくわかりませんが、一応御質問をいたします。  この武州鉄道関係を調べて参りますと、当時の認可に当たった担当の局あるいは部課長といいますか、こういう方々が、木暮さんからあなたにおかわりになる前に、重要なポストの人たちはみな異動をされておるわけであります。中には外に転出されておる方もあるようでありますが、何となく武州鉄道免許が終わった、ここで一段落ついたから異動するのだ、こういう形に中身を見て参りますと見えるわけでありますが、この異動というのは、どういう角度から行なわれたのでございましょうか。
  10. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私が運輸大臣を拝命いたします少し前に、運輸省次官以下幹部の異動があったことは、事実でございます。しかし、これは私の知っております限りにおきましては、次官が後進に道を譲るという意味で退官をいたしました。これに伴う一連の異動でありまして、武州鉄道とかそういうようなものに関連をして異動をいたしたという形跡は、私にとっては見られなかった、かように私は感じております。断言を私は良心のもとに申し上げたいと思います。
  11. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この認可経過の中で、あるいは事件経過の中で明確に言われておることは、楢橋運輸大臣は、私は武州鉄道については反対であった、こういうことが言われております。当時の運輸省内部においても、あまり賛成がなかったというように言われております。従って、武州鉄道認可を促進するために私はお金をもらったのではなくして、政治献金としてもらったのだということが、新聞で楢橋さんの談話として伝えられておるわけでございます。しかし、そのあと木暮運輸大臣は引き続いて、いろいろないきさつがあったようでありますけれども、結局武州鉄道発起人代表その他大幅な入れかえをして、起業もくろみなども変更をして、そして認可になっておるわけでありますけれども、こういう点を考えてみると、私は大へん疑問に思うわけであります。楢橋さんのときには反対であった。しかし、木暮さんのときには賛成をされた。これはやはり運輸省方針というのは、大臣がかわればこういう形に変わって参るのでございましょうか、その点についてどういうふうにお考えになりますか。
  12. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私が調査をいたしましたところによって申し述べますと、当初免許が困難な事情であったということは、発起人顔ぶれ等によって、はたしてこの事業が遂行できるかどうか疑わしい、資金が集め得るかどうか疑わしい、また、資金計画も若干粗雑であるというような点であったようであります。従って、この点が直されて参って、信用のし得る発起人代表の方方、また資金計画も直されてきたという状況のもとにおいては、これは免許をしないという理由がない、こういうことになっております。また、その通りであろうと私は考えております。従って、当時楢橋大臣がどういう心境であったか、だれがどういう心境であったかというようなことは、これは私の関知するところではございません。
  13. 勝澤芳雄

    勝澤委員 運輸審議会答申というものと、その答申を受け継いだ免許、許可との関係というのは、私はよくわからないのですけれども、運輸大臣といしては、運輸審議会答申というものに対する受け取り方というものは、どういう角度からこの問題の結論が出たときのお取り扱いをされるのですか、あるいはされてきたのですか。
  14. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 運輸審議会答申大臣処分問題という一般論につきましては、大臣処分をする際には運輸審議会答申尊重してやるという建前になっておりますから、まさしくその通りでよろしいと思っております。ただ、尊重でございますから、一般論といたしましては、運輸審議会答申通り大臣処分をしなければならぬというわけではございません。また、運輸審議会答申を出します際に、大臣意向をそんたくしてやる必要もないわけであります。どちらも良心的な立場でやるというのが、運輸審議会と、大臣のその答申を受けた後の処分の心がまえである、かように考えております。
  15. 勝澤芳雄

    勝澤委員 運輸審議会は独自の立場答申を出していいんだ、こういう言い方をされておるのですが、運輸審議会は、あくまでも運輸大臣のもとにある機関として、運輸大臣方針に従って答申を出す、こういうふうになっておるのではないですか。
  16. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 実際問題といたしましては、運輸大臣方針がどういうところにあるだろうかということも参酌しながら、私は決定をしていかれるであろうと思っております。しかし、運輸大臣方針が、これは運審委員としては間違っておる、こう思えば、その方針と違った答申をして何ら差しつかえがないわけであります。
  17. 勝澤芳雄

    勝澤委員 運輸審議会は、運輸大臣意向を無視しても独自の立場結論が出せる、こういうおっしゃり方をしたのですが、しかし、事実問題としては運輸審議会というものは、運輸大臣下部機関であって、運輸大臣意向のもとに答申を出さなければならぬ、こういう取り扱いが実際やられているのじゃないでしょうか。
  18. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 下部機関とおっしゃいますが、所管、所掌としては運輸大臣所管にはありますけれども、しかし、運輸審議会委員独立の地位を保障され、そして特別の法的な理由がない限りは罷免をされないということになって、独立を保障してあります。その点から申しますと、これは運輸審議会良心的に答申すべきであるということが、法の上ではっきりと保障されておるわけであります。この点を御了承いただきたいと思います。
  19. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、運輸審議会はそういうふうに保障されているけれども、しかし、実際にそういうような取扱いをしていないというようならば、運輸審議会というものがみずから運輸大臣下部機関になって、そのお先棒をかついでいる、こういうことが言えると私は思うのですが、一つここで例を申しますと、たとえば今大手十四社に対する私鉄運賃の問題が申請されております。しかし、これは審議しているところの運輸審議会の中で値上げをするとかしないとかいう論議がなされておらずに、閣議の中で政治的の立場値上げをするとかしないとかいうような話がされておるのでありますが、この点は、運輸審議会審議の模様と、それから今閣議私鉄運賃の問題を取り扱っている問題と、どういうふうに理解をしたらよろしゅうございますか。
  20. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 これは運輸審議会委員長なり運輸審議会のお方々に聞いていただきませんと、私からこういうつもりで運輸審議会はやっているということは、申し上げることができないわけであります。ただ、私が見ております私の所見を申し上げますと、運輸審議会は独自の立場答申はするわけでありますけれども、答申をする際に、やはり諸般情勢と見合って答申をするという立場に立っておられると思います。従って、諸般情勢を見て、その上で運輸審議会としてどういうようにきめるか、諸般情勢を見るという状態で答申を出すのを待っておられるという段階ではなかろうかと私は思います。その諸般情勢をどういうふうに判断するかというのは、これは運輸審議会の独自の考え方であります。私の方は、運輸審議会委員会にまだ答申を出してくれるなとか、早く出してくれということは、まだ何にも言っておりません。
  21. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そういうことを言っていないにかかわらず、まだ結論が出ていない。答申の見通しもはっきりしていないこういう段階に、上げるとか上げないとか、どこだけ上げるとかいうふうに、運輸大臣中心になって論議をされている。こういうことは、先ほど運輸審議会の権威というものをあなたははっきり言われたわけでありまして、私は、そうではない、運輸審議会というのは運輸大臣御用機関であって、運輸大臣意向に沿って回答を出さなければいけないことだ、いやそうじゃないのだとあなたは繰り返して先ほど言ったわけでありますけれども、そういう点からいいますと、今私鉄運賃値上げの問題を運輸大臣みずから閣議でどうこうという論議をしていることはこれは運輸審議会独自性というものを無視してやられておるのじゃないだろうか、私はこう思うのですが、その点もう一度いかがでしょうか。
  22. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 運輸審議会が私たち方針がいけないということであれば、それと必ずしもマッチしない答申を出されるであろう、かように考えておりますが、しかしながら、諸般情勢から政府方針がきまったら、それを参酌しながら方針をきめられるということもあり得る、かように考えております。
  23. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今運賃値上げについて、値上げしてくれという申請が出ている。これは運輸審議会相談しなければいかぬから、あなたは相談をまかしているわけです。一生懸命相談しておる最中なんですね。最中なんだけれども、まかしたあなたが、上げるのだとか、いや上げないのだとか、あるいは何社とか何とかやっている。片方は、相談にあずかっている方は、一体何をやったらいいんですか。これは何もできないじゃありませんか。閣議であなたなり佐藤さんなり河野さんがここいらで一致してくれなければ、運輸審議会答申を出そうとしてもできないじゃないですか。それはどういうふうに理解するんですか。ですから、運輸審議会というものは、あなたは独自なものだと、こう言っておっても、実際には独自の運用というものがなされていない、こう思んですが……。
  24. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、運輸審議会答申を出すのをしばらく控えてくれとか、あるいは政府方針がきまるまで待ってくれとかいうことは、何も申しておりません。適当な機会になるべく早く出してくれ、かように申しておるわけであります。運輸審議会も、適当な機会に早く出そうというので検討しておられるわけでございます。
  25. 勝澤芳雄

    勝澤委員 しかし、今まだ出ていないでしょう。今運輸審議会では答申が出ていないんですよ。答申が出ていない段階に、上げるとか上げないとかやって、あなたが中心になって閣議でやられていることは、どういうことなんでしょうか。
  26. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 運輸審議会運輸審議会審議をしておられる。それから私の方としては私の方としての大体の行き方を検討をしておるという段階であります。従って、こういう行き方がよかろうとなりましても、最終的に決定をいたすのは、運輸審議会答申を見てその上で決定をいたすわけであります。
  27. 勝澤芳雄

    勝澤委員 決定をする権限は、大臣、あなたが持っているのです。しかし、あなたにこういうふうにしたらよろしいでしょうという指図をする権限は、運輸審議会は持っている。諮問——あなたは相談されているのですから、法律に従って相談をされている。その答申に基づいてあなたがきめるわけですね。それがまだ出ていない段階において、あなたが自分意見を申し述べるということは、これは明らかに独自性だと言われる運輸審議会審議というものに圧力をかけているといいますか、あるいは一つの方向を示しているといいますか、そういうことになるじゃありませんか。
  28. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 大体諮問機関審議会というものは、私が申し上げますような形において行なわれておるのが通例であります。場合によっては他の審議会答申が先に出るということもありまするし、いろいろ場合はございます。従って、この場合は、運輸審議会があるいは早く答申が出るかもわかりません。しかしながら、もう少し雲行きを見よう、諸般情勢を見ようということも、運輸審議会としてのあり方であろうと思っておるのであります。
  29. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この運輸審議会の問題と、大臣、あなたの権限の問題について質問すればするほど、あなたの答弁は、大へん残念ですが、私は理解ができないわけです。理解ができないということは、運輸審議会というのは、これは隠れみのなんですよ、幾ら理屈をつけたとしても。もし隠れみのでないとするならば、運輸審議会答申が出ないうちに今いろいろな形で論議をしている、あなたが中心になって論議をしている私鉄運賃をどうするかという問題は、これは明らかに間違いなんです。あなたがそれを間違いでないとするならば、これは運輸審議会というのは、あなたの下にあって、あなたの何といいますか、運輸省行政の中でいろいろなことをやる責任を運輸審議会に転嫁をして、運輸審議会からこういう答申が出たからこうしたのです、運輸審議会からこう言ってきたからこうしたのですという隠れみので、ごまかしにしかすぎないわけです。ここに私は、武州鉄道の問題でも、一つ運輸審議会の問題があるはずだと思うのです。運輸審議会というものが、一つの武州鉄道の中で問題になっているにかかわらず、あなたは、その問題点というものをはっきりこの事件を契機に認識をされていない。ここが大へん遺憾だと思うのです。いわゆる武州鉄道というものが起きて、橘橋運輸大臣が、政治献金としてもらったのだ、こう言われている。しかし、かりにあなたが言われたように、政治家良心として、もしそういう事実があったとしたら、大へん遺憾だと言っているけれども、しかし一方、機構の中にも一つ問題点というものがあるはずなんです。その点についてあなたがなおざりにしている点については、私は大へん残念だと思う。運輸審議会というものが、何といいますか、外にあって公平なもののような審議をしているように世間は錯覚されているけれども、いかに運輸省原局の言うままに動いているかという具体的な事実について、私はこの十月二十六日に質問いたしましたし、またきょうも質問いたしまして、また次の機会には今度は当時の木暮運輸大臣から、あるいは当時の山内鉄監局長等々にも来ていただきまして、その事実についていろいろと糾明いたしまして、運輸審議会の存在というものがいかなるものであるかということを明確にしたいと思う。その上に立って、私はもう一回今の問題をお尋ねいたしたいと思いますので、運輸審議会とそれからあなたとの関係というような問題につきましては、保留をして次の問題に進んで参ります。関連として久保委員があるようですから……。
  30. 木村公平

    木村(公)委員 今の関連質疑でございますが、私は、思想としましては、選挙制度審議会にいたしましても、運輸審議会にいたしましても、昔からそのような審議会無用論なんです。ことに現在、国会制度常任委員会制度を持っておりますので、運輸行政に関するもろもろの審議は、国民代表自分の所属しておるところの運輸常任委員会十分審議を尽くされることが好ましい。そうしてその意見の上に、行政官たる運輸大臣はその意見を最も尊重されて、その線に沿うておやりになることが、私は民主主義の一番大事なところだと思っているのです。しかるところ、昨今の風潮を見てみますると、むしろ官界から、政府筋から、審議会というような、先ほど勝澤委員からの御指摘もあったように、隠れみののような性格もあるわけなんです、実際これは率直に申しますと……。こういうようなものをしきりに作ることを希望せられ、そうして風潮的にだんだんどの省においてもこういうようなものができておって、それが権限を逸脱しておるわけです。今のお話を承っておっても、いろいろのことが思い出されますが、私どもの一番ここで大事な点は、運輸審議会というものの権限は、あくまで大臣諮問答申をするだけの権限であって、独立をして答申をするだけが権限であろうと思いますが、しからば、その答申に対するウエートはどんなものであるかといえば、これはあくまで先ほど大臣の言われた尊重という程度以上に出ないものであって、尊重するけれども、それを百パーセント採択しなければならぬとか、それに拘束されるとか、それによって指図されるとかいうべき性質のものではない。あってはならないと思います。もしも指図を受けなければならぬものがあるとするならば、これは国民代表の府である国会の中の運輸常任委員会でなければならぬと思います。そこで常任委員会制度があるにもかかわらず、このような権限の紛淆を来たすような委員会制度というものがますます多々出てくるということに対して、国会はむしろこれをチェックする役に回りたい。ことに勝澤委員が心配されますように、便利のいい場合には運輸審議会にかける、自分の不利益のようなものは、運輸審議会権限はないなんというようなことで、これを隠れみののように使われるというおそれがもしもあったら、なおならないわけでありますから、この機会一つ運輸大臣にも申し上げて、審議会というものの力というものは、国会常任委員会に比すれば問題にならない。これは単なる助言機関である。たとえ法律上どのようなことがきめられてありましょうとも、本質的にいえばあくまで行政の府の長であるところの運輸大臣行政の執行をされるのだ。それに対して参考意見を求めるための審議会であり、しかもそれはあくまで参考意見助言であって、これに拘束されることもないし、これを尊重することは、大臣の心がけとしてけっこうでございましょう。けれども、法律上これに拘束されることもないし、これに指図を受けることもないし、大臣は独自の立場でもって、運賃の問題についても、その他あらゆる問題について独自に一つ考えを願ってお進め願うことが肝要だと思いますが、ただ一つここで間違っていただいてはならないことは、運輸審議会意思助言程度にとどまるけれども、国民代表であるところの国会の中の運輸常任委員会意思というものは、運輸審議会助言とは異なりまして、これは非常な拘束力を持つ場合もあります。あるいはまた指図をすることもあり得ると思います。決定機関でありますから、意思決定もいたしましょうし、その意思決定というものが行政を拘束することは、当然あり得ることです。立法府でございますから、もちろん法律が制定された以上は、それに従ってその法律行政官が運用されることは自明の理でございますけれども、与野党ともに審議会というものに対するウエートはあまり大きく持たないという意味において、私は、この際特に発言をいたしたいと思うわけであります。
  31. 久保三郎

    久保委員 運輸審議会のあり方について、ただいま運輸大臣の御答弁の中に、委員はいわゆる独立した立場に立って任命され、身分も保障されておるのだ。これは運輸審議会のできた歴史は御存じの通りだと思うのですが、アメリカの制度を若干というか、ほとんど入れてできたわけです。その中で特色とするものは、裁判的な要素を含めておるわけであります。よって、その運輸審議会委員は、身分の保障をするようになっておるわけです。しかも、この諮問の形にしても、なまのまま申請がある。そのなまのままこれを運輸大臣運輸審議会諮問する。その答申結論に基づいてこれを尊重して、運輸大臣の責任において、たとえば私鉄運賃あるいは武州鉄道認可というようなことをやることになっておると思うのです。それでありますから、先ほどお話があったように、勝澤委員の発言のように、この審議会のあり方については十分検討しなければならないと思うのですが、やはり運輸審議会について、再びといっては大へん語弊がありますが、楢橋運輸大臣が犯したようなことを、中身は汚職につながるかどうかは別として、やり方としてはどうもそういうことを一向改めておらないところに問題がある。だから、先ほど勝澤委員からの御質問に対して、運輸大臣が答弁なさいました。しかるに、今日の政府は反省しておるかどうか疑いたいと思うのです。だから、この武州鉄道にしても、問題はやはりそういう政治的な圧力というか、そういうものがなされて、その直後に運輸審議会は武州鉄道免許決定を出した。これを運輸大臣決定裁決ということになって免許になった。だから、検察当局が途中でほこを納めようと納めまいと、国民一般としては疑惑がまだとれていないのです。そこで私がお尋ねしたいのは、今のやり方でちっとも差しさわりはないのだという御答弁なんですが、私は今の制度自体では、運賃値上げ諮問中にもかかわらず、こちらでやっておる事態は、筋違いではないかと思うのです。どうですか。
  32. 斎藤昇

    斎藤国務大臣 私は、運輸審議会は、運輸行政の範囲内において公正にものを見ていくために、一つ助言機関といいますか、そういうものだと思っておるわけです。従いまして、運輸行政の中には、ものによりますると、そのときの情勢によって非常に政治問題として考えなければならない、もっと幅広いものを内包してくる場合もあろうと思います。ただいまの大手十四社の私鉄運賃値上げなどは、私鉄会社の経営という面から、公正に運輸審議会が判断をいたしておるのでありましょう。これが国民生活にどういう影響を及ぼすか、またさらに一般の物価にどういう影響を及ぼすかという点は、また別の角度から広く見ていく必要が、時期その他において生じると思うわけであります。従いまして、運輸大臣に与えられておりまする権限を行使いたします際には、いろいろなそういう要素を見て決定をするのが、私は運輸大臣の職責であろうと思います。木村委員のおっしゃいましたように、場合によりますならば、あるいは国会意思というものを最も多く尊重するというか、守っていかなければならないということにもなろうと思います。しかしながら、一片の事務処理として片づけていけるものが、たくさんあるわけであります。もちろん、これは国民生活にはつながりますけれども、しかし、政治問題としてというよりは、事務処理としてもっぱら公平、公正を旨としてやるという役割は、運輸審議会が果たし得る、かように私は考えておるわけであります。従いまして、木村先生の御所見も、私は満腔の賛意を表するわけであります。しかし、運輸審議会は、運輸大臣がやります場合に目が届かない場合もありますから、五人の委員方々で公正に判断をしていただくということは、私はむだではない、こう考えておるわけであります。
  33. 久保三郎

    久保委員 言葉じりをつかまえるわけではありませんが、木村委員の御意見尊重というか、敬服しておるということでありますが、とするならば、たとえば私鉄運賃値上げ問題についても、運輸委員会その他で発言されたのは、賛成意見はちっともありません。もう一つ運輸審議会が公正に判断する機関だとするならば、もちろんこれは会社の経営の内容も調査しなければいかぬでしょう。それと同時に、もっと大きいのは国民生活に与える影響、こういうものは当然運輸審議会も判断の要素として考えるべきだと思う。でありますから、当然運輸審議会諮問された内容というのは、そういうのを含めて答申が出ることが予想されるのであります。この出たものをどう政治的に判断して決定するか、これはもちろん運輸大臣の役割であります。ところが、話は逆になっておる。だから、武州鉄道の問題も、運輸審議会そのものに対しての先ほどから何べんも出たような性格をことさらに政治的にゆがめた保守党内閣の責任があるのではないか。これをまず第一に改めなければ、次の段階の検討はなかなかむずかしいと思う。だから、十分反省してもらわなければならないと思いますが、先に進む都合もありましょうから、それだけにしておきますが、いずれにしても今のようなやり方については、われわれは納得しない、こういうように申し上げておきます。
  34. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、私は鉄監局長にお尋ねをしたいのですが、三十五年の七月十二日、あなたが引き継ぎをした当時の武鉄の審議の状態はどの程度まで進められ、どの方向に進められておったのでしょうか。
  35. 岡本悟

    ○岡本説明員 三十五年の五月に、御承知のように運輸審議会におきまして、本件に関する職権公聴会を開いております。私が就任いたしましたのは、たしか七月であったと思いますので、その当時は、その公聴会の記録の整理、それを中心にしての運輸審議会の検討ということが始まりかけておった段階であるように記憶しております。それから主として貨物運送をどういう方法でやるのかということが審議会中心議題になりまして、事務当局の方からいろいろ資料を出しまして、御説明申し上げておったような段階であったと記憶いたしております。
  36. 勝澤芳雄

    勝澤委員 通例こういう鉄道の敷設というような問題は、免許申請をしてから、公聴会を大体いつごろやられ、許可をいつごろまでにというのは、今までは大体どんなふうな例になっておりますか。
  37. 岡本悟

    ○岡本説明員 運輸審議会が設置されましてから今日までに免許を行なったものは、地方鉄道、軌道合わせて百二十五件でございますが、このうち二年半以下で処理いたしましたものが百五件、八四%でございます。幾ら長くても二年半くらいでは処理いたしておるというのが、通例でございます。今お尋ねの、申請があってからどういうふうな経過であるのが通例かということでありますけれども、事案によってまちまちでございまして、一がいにこうであるということは申し上げかねる筋合いのものであるかと考えます。世上武州鉄道免許は早過ぎるとか、異例に早いとか何とかというふうなこともいわれておりましたけれども、これはすでに御承知のように二年半を要しておるわけでございます。われわれといたしましても、事務処理上なるべく早く結論を出すということが建前であろうかと存じますが、たとえば最近営業を開始します伊豆急行電鉄のような場合について申し上げますと、昭和三十一年の二月免許申請が出ておりまして、これを免許いたしましたのが三十四年の二月九日でございます。これは大体三年近くかかっております。早いのは、つまり軽微なものは、半年くらいで処理しておるものもございます。そういうわけで、いろいろまちまちでございますが、なるべく早く結論を出すということを主眼におきまして、事務処理に当たっておるつもりであります。
  38. 勝澤芳雄

    勝澤委員 できるだけ最近の十社なり十五社程度経過についての資料を、あとでけっこうでありますから、御提出願いたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  39. 岡本悟

    ○岡本説明員 承知しました。
  40. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、公聴会の審議の中で、路面電車かモノレールかということが言われておるわけでありますけれども、この場合の変更する手続というものは、運輸審議会にかけずに、陸運局だけでもって変更ができるわけなんですか。
  41. 岡本悟

    ○岡本説明員 やはり大臣に対しまして起業もくろみの変更という手続をする必要がございまして、この変更の認可申請に対して十分審査いたしまして、認可を得なければ変更はできない、こういうことでございます。
  42. 勝澤芳雄

    勝澤委員 白雲観光株式会社というものが武州鉄道関係して出てきておるのでありますが、この会社の状態と、これは武州鉄道の用地の取得を行なったようでありますが、この申請を許可した当時には、用地はどの程度の見通しを持っておられたのですか。
  43. 岡本悟

    ○岡本説明員 実は私、白雲観光のことは新聞で初めて知ったような状態でありまして、新聞で知った程度のことしか承知いたしておりません。
  44. 勝澤芳雄

    勝澤委員 用地取得についての見通しは、どの程度まで担当局として見通しを持たれておったのですか。
  45. 岡本悟

    ○岡本説明員 用地取得の問題につきましては、必ずしも免許の必要条件ではございませんで、つまり免許を与えまして、そして免許につけました工事着手期限内に工事施行の認可申請ができなければ、自動的に免許が失効するという建前になっております。免許をもらいましてから、申請者がいよいよ土地買収にかかるとかいろいろやっておりまして、それが諸般事情からどうしても不可能であるというようなことになりますと、その免許権は自然に自動的に法律上失効する、こういう仕組みになっておるわけでありますから、たとえば全線にわたる土地を的確に入手し得る証明材料を持ってこなければ免許できないという筋合いのものではございません。
  46. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この武州鉄道というのは、書類を申請してから、書類に対する変更というものがたくさん行なわれておるわけです。一番大きな書類変更というのは、公聴会の日現在において起業もくろみの中にはまた正式に出されていない書面を対象に公聴会が開かれておるような行ない方をしておるわけであります。資金的にはたしか四十億くらいの見積もりに出ておったのを、あとからの追加が出るであろうという予想のもとに、約五十何億というもので審議をしておるわけであります。それ以後もたくさん——また重要な発起人総代まで変更が出ておるわけでありますけれども、こういうものは申請が出た、それから自発的かあるいはお宅の方のサゼスチョンかよくわかりませんが、いろいろな変更が出されて、認可されやすいような書類に形式がだんだん変えられていくというように見られるわけでありますけれども、これはやはりそういう形でこういう申請というものは扱われていくものなんでしょうか。
  47. 岡本悟

    ○岡本説明員 事柄によると存じますけれども、申請者の意見を十分に聞いてやるということは、行政官庁として当然とるべき自主的態度であろうかと存じます。こういう点を申請書自体に記載するのを忘れたとか、あるいは不備であったというような考え方に基づいて、何とかしてこれを補足させてもらいたい、こういう希望がしばしば出ることは、また当然考えられ得ることでありますので、行政官庁としては、なるべく親切にそういう点は聞き入れてやるということが妥当な行き方じゃないかというふうに考えております。
  48. 勝澤芳雄

    勝澤委員 この中で重大な変更が、事業計画の変更、それから役員の変更、何といいますか、この申請の一番心臓部にも当たるような変更というものが申請後行なわれておるわけです。そういう点から考えてみますと、これは重大な変更だと思うのですけれども、審議する方から見れば、初め出てきたときの申請から、最後に認可をしなければならぬときの申請というものが、まるきり変わっているものが出ているわけです。そういう審議のやり方というものが行なわれてきた。そこで私は、その中のまず一つ、滝島発起人総代があなたが鉄監局長になられてからかわっておりますけれども、このかわった理由は、どういう理由なんでしょうか。
  49. 岡本悟

    ○岡本説明員 別にかわった理由につきまして、官庁に届出もございませんし、われわれも積極的にその理由についてただしたことはございません。ただ私の推定では——推定で申し上げることをお許しいただけるならば、やはりこういう大事業をやるということになりますと、世間的にいわゆる資力、信用というものがものを言うということが常識でございまして、そういう点から、発起人間におきまして、資力、信用において若干欠くるところがあるというふうに判断して、発起人の交代が行なわれたのじゃないかというふうに推定いたしております。
  50. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そこで武州鉄道は、ほかに比べてちょっと早過ぎたということが言われていると思うのです。一番確実な伊豆急行なんかを見てみましても、あなたの先ほどの説明で、三年かかっているわけです。これは二年半です。二年半の中に起業もくろみが全部やり直しをされた。それから申請をしたときの発起人中心になる総代がかわった。その滝島さんが何をやっているかといえば、公述人のときには一番の代表で説明されているわけです。代表で説明されているその方が、今度認可になる間においてかわっているということは、これは明らかに会社の性格そのものが全般的に変わったということになると思うのです。こういうような無理な形でこれが進められておったというところに、世間でうわさされるようないろいろな問題が出てきていると私は思うのです。そこでその問題はまた別の機会に追及するといたしまして、次に、私は今一番問題になっている——あなたが運輸委員会でも答弁されましたように、前鉄監局長からの引き継ぎの中で一番言われたことは、この武州鉄道は資力、信用の点で十分調査すべきであるという引き継ぎをされた、あなたはこう御答弁されている。そういう点から、また運輸審議会からの答申においても、この資金関係につきましては、やはりただし書き的な条件付許可だとわれわれは考えますけれども、こういう書き方をされているわけです。そこで一体資力、信用の問題が十分あったのか、金融のめどについてどうなのかという点につきまして、前会運輸審議会会長の青柳さんに聞いたわけでありますけれども、結論的に言えることは、私は、原局が金融関係について調査をいたしました、その調査の報告によって資力、信用の点は原局で十分調査してあるから、それで間違いない、こういう判断をされて了解をしました、こう言っているわけです。ですから、資力、信用があるのかないのかという点が一番ネックになっておった。そのネックを運輸審議会としては審議をせずに、原局の説明をそのまま了解したのだ、こう答弁されているわけです。こういうふうになりますと、資力、信用の点について、鉄監局としてはどの程度まで具体的に調査をされて、どのような書類をとられておるのかという点について、これは詳細に御答弁願いたいと思う。あるいは詳細な資料があるとしたら、その資料をお出し願いたいと思うのです。
  51. 岡本悟

    ○岡本説明員 この資力、信用につきましては実は非常に調査方法がむずかしいのでございます。概してわれわれが判断の基準といたしておりますのは、やはり発起人の顔ぶれでございます。いわゆる社会通念におきまして、こういう人ならばこういう事業はやれるであろうということから、裁判上使っておりますいわば心証、そういったものがやはり主体にならざるを得ない、かように考えます。たとえば、西武鉄道が吾野から先に進みまして秩父方面に申請を出します。その場合に、資力、信用があるかどうかということを一々調査しなくてもいわゆる社会通念といいますか、常識において、もう資力、信用があるということは判断せられるわけでございますから、別に調査する必要はないと思います。しかし、こういう新しい、既存の会社でない場合においては、どういう方法を用いてやるのがいいかということでございますが、これは申請者の言い分、そういったものをもちろん聞く必要もございますし、たとえば出資の確約がどういう程度かということを見る方法として、確約書というものがあればそれを出さしてみるとか、こういう方法、概して最初申し上げましたように、発起人のいわゆる社会的な資力、信用というものを考えるほかない、かように考えております。それで、たびたび申し上げておりますように、地方鉄道あるいは軌道、そういった事業の免許にあたっては、たとえば起業目論見書をとりますけれども、きわめて概括的な、ルートにつきましては予測線路図と申しますか、予定線路図といいますか、全然測量もしてないような、ごく大ざっぱなルートで出しますし、あるいは建設費につきましても、概算を出させる。そういうことで一応見まして、よいということになれば免許する。免許していよいよこれから具体的にやるということになりますと、これは大問題でございますから、ルートに  つきましても、具体的に、どこの何番地を通っていくというふうな詳細な測量に基づくルートになりますし、ある  いはどういう車両を使うかということも……。
  52. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは聞いてないです。お金のことだけですから……。
  53. 岡本悟

    ○岡本説明員 いや、私が申し上げるのは、そういうようなその後の段階がむしろ重大な段階であって、免許自体についていえば、放送事業等について考えておりますような予備免許的な性格も多分にあるということを申し上げたいために、お尋ねのない点についてまで言及したようなわけでございます。
  54. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、具体的な事実についてお尋ねしたいのです。この前も青柳会長から聞いたのですが、公聴会のときに、岩村委員から「バスの免許なんか、資金調達の方法として、取引銀行の内諾書がありますので、もしそうういうものがおありだったら拝見したいと思います。」、こういう質問をされているわけです。そこで滝島公述人は、「必要だったら提出いたします。」、こういう答弁をされているわけです。そこで私は、こういう質問をされて、出してよろしゅうございますと言ったのだから、当然出してあるだろうと言って聞きましたら——滝島さんが公聴会で御答弁になったから一つ出してもらいたい、こういうふうに言いましたら、出なかった。なぜそれ以上追及しなかったと言ったら、追及しませんでした、こういう回答が実はあったわけです。ですから、運輸審議会委員の中では、こういうものはとって、そうして銀行のある程度の内諾書によってやるのだということが常識になっているにかかわらず、運輸審議会ではやってないわけです。ですから、この資金調達の中身を見れば見るほど、実は事実行為というものが行なわれていないのです。あなたが、前鉄監局長から資力、信用の点で不十分だ、こう引き継ぎを受けられた。今の御答弁を聞くと、顔ぶれを見たらそれで信用ができる、簡単に言うとこういう御答弁のように思うのですが、どうもそれではわれわれを納得させるまでにはならない。大体顔ぶれを見ただけでお金があるかないかなんてわからぬのです。そういうもので事業ができるのだったら——顔ぶればかりで銀行が金を貸してくれるわけはないのです。銀行も、金を貸すにはいろいろな点で調べておるし、あるいは当然担保もとっておるわけですから、一つそういう点で武州の点については金融のめどについて具体的にどんなことをされたかという点を、もう少し詳細に説明していただきたいと思います。
  55. 岡本悟

    ○岡本説明員 先ほど申し上げた通りでありまして、これ以上詳細に申し上げようもございません。問題は顔ぶれだけでやるのかどうかということでございますけれども、そのほかに確認の方法がないのであります。たとえば確約書を取る云々と申されますけれども、数十億に上る融資について内諾を与えるわけはございません。やはり免許を正式にとって、そうして具体的に銀行と折衝しなければ、これはなかなかむずかしい問題であろうかと存じます。すべて免許が前提でございまして、土地の問題にいたしましても、あるいは公有水面の埋め立てにつきまして許可を得られるかどうかということも、全部これは免許をもらってから具体的な折衝段階に入って、その結末がはっきりいたすわけでございまして、免許をもらえるかどうかわからぬものに対して、あらかじめ確約書を与えるということは、ほとんどあり得ないのが社会におきます常識ではないか、かように考えております。そこで問題は、やはり免許をもらってから、免許に付した期限内に諸般の準備を整えて、工事施行の認可申請が具体的にできるかどうかということにかかってくるわけでございます。そういう仕組みでわれわれは地方鉄道免許をやっておるということを、御理解いただきたいと思うのでございます。
  56. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どうもあなたは抽象的にしか言っていないのですが、金融関係者を呼んで、金融のめどについて調査をしたのでしょう。ですから、具体的に、どこの銀行を呼んでどういうふうにやったかという点を御説明願いたい。
  57. 岡本悟

    ○岡本説明員 従来の例で申し上げますと、金融関係者を呼んで調査するということは、やっておりません。
  58. 勝澤芳雄

    勝澤委員 従来の例でなくて、武州の例で、金融関係者を呼んで金融のめどをどういうふうにつけたか、どういう人たちを呼んで調査をしたのか、こういうことです。
  59. 岡本悟

    ○岡本説明員 武州におきましてもやっっておりませんが、武州だけでなくて、従来すべて銀行関係者をわざわざ呼んでやるということはいたしておりません。
  60. 勝澤芳雄

    勝澤委員 銀行関係でなくても、金融の関係者をお呼びになったのでしょう。
  61. 岡本悟

    ○岡本説明員 呼んでおりません。
  62. 勝澤芳雄

    勝澤委員 民鉄部長は、この十月の二十六日の答弁で、「金融の関係者を呼びまして、金融のめど等についての調査をいたしました。その調査の結果を運輸審議会に報告した。同時に、三十億の自己資金の調達が可能であるという事情から判断をいたしまして、」云々とこうある。そして「こういうふうに私は聞いております。」 最後に結んでおりますけれども、この答弁は違っているのですね。
  63. 岡本悟

    ○岡本説明員 それは何かの誤解に基づいておると存じます。
  64. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、佐藤民鉄部長の答弁というものは間違っておった、こういうことなんですね。
  65. 岡本悟

    ○岡本説明員 さようでございます。
  66. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、この武州鉄道に対して答弁されておる人の答弁というのは、実にでたらめだと思う。今鉄監局長は、十月二十六日に民鉄部長の言われた答弁が間違いだ、こう言っておる。また、運輸審議会から来ていただいた会長が、私の質問に対して、五王バスはこの武州鉄道のできることについて賛成であるということで、武州鉄道に一番影響のあるのは五王バスだという答弁を、私と数回にわたって長々とやっておるわけです。しかし、きのう聞いてみると、この五王バスの答弁というのは全部間違いでありました、ときておるわけです。決算委員会で聞いたことを、あとで私がそれを確かめて資料を要求していけば、答弁が間違いでありましたというようなことになったら、一体われわれは決算委員会等で何が審議ですか。これは重大な問題じゃありませんか。決算委員会で答弁したことが、次の決算委員会で質問したら、その答弁が間違っておりました。一体どこを根拠にわれわれは審議することができるのですか。金融の関係について、これが一番重要な疑点じゃありませんか。資力、信用が不十分だからということであなたは引き継ぎを受けた。そして資力、信用が十分だという確認をせられないまま答申案が出ておるのですけれども、その資力、信用をどこまでやったといったら、原局でやったのだ。原局でどこまでやったのだといったら、いや金融関係者を調べました。じゃ具体的にどことどことやったのだということを言いましたら、いやそれはやりませんでした。それじゃもう一回やり直しをやらなければならないじゃありませんか。そういう答弁じゃ、今度は決算委員会では、証人としてやってもうわなければ質問ができないのですよ。私が十月二十六日に質問した中で、青柳会長と今の佐藤民鉄部長、これはあとで、「こういうふうに私は聞いております。」という言い方をしておりますけれども、一番キー・ポイントになる分について、きょうは答弁がくつがえされておるわけです。これは私は、審議をする上に大へん残念だと思うのです。  そこで次に、資力、信用が十分であったという点を具体的にどこまで調査をされたのかという点を、きょうはこれ以上追及いたしませんから、次の機会までに一つ書類にして出していただきたいと思うのです。よろしゅうございますか。
  67. 岡本悟

    ○岡本説明員 承知いたしました。
  68. 勝澤芳雄

    勝澤委員 次に、首都圏整備委員会の方にちょっとお尋ねいたしたいのですが、あなたの方からいただきました青梅地区の市街地開発の構想、三十四年十月一日の案、これはいつごろから審議をされて、いつきまったのですか。
  69. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 はっきりした日にちはただいま記憶いたしておりませんが、三十四年の春ごろから検討を始めまして、ここにございますように、十月一日に私どもが内部で相談をいたしまして、この構想をきめました。
  70. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、次の三十四年の九月の二日に、青梅、羽村地区を中心とした都心と結ぶ鉄道敷設をせよというこの書類は、いかなる経過で出されたのですか。前回これは運輸委員会久保委員からも質問をされておりますけれども、もう少し詳しくこの書類ができ上がった経過、あるいはこの書類を作らなければならなかった経過、その点を御説明願いたいと思います。
  71. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 先回の当委員会で御要求がありまして、お手元まで差し上げてございます書類に実は詳しく記述しておりますのですが、繰り返して申しますと、ただいま差し上げております青梅地区の市街地開発の構想も、三十四年の春ごろから検討を進めておりました。寄り寄り内々打ち合わせをいたしております最中に、武州鉄道の建設の議がありますことを私どもが承知をいたしまして、大体この青梅地区の市街開発の構想がまとまりかけておりました時期でございましたので、私どもといたしましては、青梅地区の開発につきましては、各種の立地条件の整備をどうしてもしなければならないのでございます。それにはいろいろ道路の問題でありますとか、各般の立地条件整備の項目がございますが、その中の重要な一つの問題といたしまして、交通機関の整備という問題をどうしても取り上げていかなければならない。これは青梅地区の問題だけではなしに、私どもが現在手がけております他の地区におきます市街地開発につきましても、交通機関の整備という問題は、立地条件整備の中で大きな重要項目として取り上げて推進をしておる問題でございます。そういった観点から、青梅地区にそういった市街地開発区域を設定いたします上につきまして、重要な一つの立地条件整備といたしまして、東京と青梅の方面を結びます交通機関ができますことは、青梅地区の立地条件整備の上に非常に大きなプラスになるわけでございます。そういった意味で、私どもは事情を具しまして、運輸大臣に対しまして意見書を出した次第でございます。
  72. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは何月何日の会議で、どなたとどなたとどなたが出席されてきめられて、この書類が出たのですか。
  73. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 この書類は、お手元に差し上げてありますように、三十四年の九月二日の日付で出しておりまして、この問題につきましては、特に私どもの方の正規の委員会ではかりましてこの書類を作成しておりません。と申しますのは、書類で出します関係上、各委員の決裁を得まして出す必要がございますので、おそらく九月の一日であったと思いますが、各委員の決裁が終わりましたので、それに基づきまして、書類決裁の形で書類を出した次第でございます。
  74. 勝澤芳雄

    勝澤委員 どなたがだれのところへどういうふうに回られて、何日にどういうふうにやられたのですか。もう少し詳細にこの点の御答弁を願いたいと思うのです。
  75. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 この書類につきましては、私ども事務局の方で案を作りまして、それに基づきまして、私が常勤の両委員のところに参りまして、この説明をいたしまして御決裁を得ました。それから非常勤の委員がおられます。非常勤の委員には、そのあとで事後の報告をいたしまして、御了解を得ておるわけでございます。
  76. 勝澤芳雄

    勝澤委員 もう少し具体的に、日時はどうなんですか。あなたが原文を作られた。そして常勤には前に言って、非常勤には事後に言った。もう少し期日をはっきりしていただきたい。
  77. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 確実な日付と申されましても、実は記録をいたしておりませんので申し上げかねるのでございますが、九月二日の日付で出しておりますので、私は、多分九月一日に決裁が済みまして、そしてその日じゅうにこの書類を作りまして、二日付で出したのではないかと考えます。
  78. 勝澤芳雄

    勝澤委員 首都圏整備委員会のあなたに武州鉄道の問題で来てもらっているのは、何で来てもらっているかといえば、この書面のために来てもらっているわけです。それをあなたは御存じだと思うのです。この書面が偶然に出てきているわけです。ですから、この書面がいかなる方向から、こういう書面を出せと言われて、そしてどうやって出したかという点が一番ネックになっているのですが、それをあなたがここに来ても、そういう抽象的な御答弁ですと、大へん私は理解に苦しむわけです。運輸委員会にもあなたは出られたと思うのです。決算委員会は二回目だと思うのです。二回目に出られるにあたって、事務局長という大事な方が、そういう答弁では、大へん残念だと思うのです。この九月二日の書類というものは、今あなたが言われたように、あなたが作った、そして持ち回りであなたが持って回って判をもらって出した、そんな軽い書類じゃないわけですね。これは武州鉄道認可一つの条件になっているわけです。首都圏整備委員会からもこういう意見があるのでということで、認可の条件になっているわけです。認可の条件になっているということは、認可をさせる方においては、この書類を出させるところの政治的な工作というものが一番必要であったと言えるわけです。ですから、一番最終的に困ったものは何かと言えば、東京都心の交通事情で、国鉄の輸送がどうかということが一番困ったから、おくれているわけです。しかし、いち早く、まだ何も世評に上らずに、何も論議になっていない過程において、この書面というものが出ているわけです。ですから、私は、この書面は怪文書とでも言うような書面だと思うのですが、これがどういうふうに作られてきたかという経過は、今の御答弁じゃ不十分だと思います。それ以上、もっと詳しく御答弁できますか。もし御答弁できないならば、その経過をもう少し詳細にあなたが調べて、もし書類で出されるなら、何月何日何時ごろまでに出したとかいう話まで出してもういたいと思うのですが、どうでしょうか。
  79. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 この書類を出しますに至りました経過は、先ほど申し上げました以外にございません。と申しますのは、私どもは市街地開発区域を方々で整備をいたしておりますが、その整備をいたしますにつきましては、従来必ず交通機関の整備という問題を取り上げてやってきておるわけでございます。ちょうど三十五年度の予算要求をいたしますために、三十四年の春ごろから予算要求の検討を始めておりました。三十五年度には青梅地区の開発地域を取り上げまして予算要求をしたいということで、三十四年の春ごろから実は検討を進めておりましたわけでございます。従いまして、予算要求を出しますには、青梅地区の市街地開発の構想を作らなければいけないわけでございます。その作業を三十四年の春ごろから実は始めておりました。その結果といたしまして、青梅地区の交通機関の整備という問題を、これは従来の例から申しましても、どうしても取り上げなければならないことになりまして、たまたま武州鉄道の問題を聞きましたので、その問題促進のために意見書を出すということで相談を進めたわけでございます。
  80. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、そういう抽象的なことを聞いているわけじゃないんですよ。結局この書類を出すに至った経過というのは、あなたが先ほど説明したように、私が立案しました、こう言っているわけです。あなたが立案するにあたって、一体だれからこういう書類を作れと言われたかという点が、まだ明確になっていない。では、もう少しその点を聞きましょう。それはだれからこういう書類を作れという指示があったのですか。
  81. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 この書類につきましては、私ども、外部からの指示は全然ございません。先ほどから申し上げておりますように、青梅地区の市街地開発に関連をいたしまして検討をしておりまして、当然交通機関の整備という問題を取り上げなければいけませんので、たまたま武州鉄道の問題が出て参っておりますので、私ども事務局といたしましては、自発的にこれを検討いたしまして、書類を出すことに相談をまとめたわけでございます。
  82. 勝澤芳雄

    勝澤委員 じゃ、事務局が自発的にと言われていることは、整備委員会委員長からこういうものを出せというふうに言われたということですか。
  83. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 そういうような指示は、全然受けておりません。
  84. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、委員長からも委員の方からも指示はなくて、事務局が独自で判断をしてこの書類を作って、そして持ち回りで判をもらって出した、こういうことですか。
  85. 樺山俊夫

    ○樺山説明員 さようでございます。
  86. 勝澤芳雄

    勝澤委員 大へん事務局というのは権限のあるものだと思うのです。これは武州鉄道一つの方向を出しているものなのです。それを委員の方から指図がないのにかかわらず、どこからも指図がなくて、事務局が作った。これは幾らあなたがそんなことを言っても、そんなことは通らないわけです。次の機会に来ていただいて、もう一度その点をお聞きしますから、今度はもっと具体的に当時の模様をお調べの上、答弁願いたいと思うのです。あとの質問者が待っておりますので、私はこれで終わりまして、次の機会に譲ります。     —————————————
  87. 鈴木仙八

    鈴木委員長 次に続いて調達庁関係について、久保三郎君。
  88. 久保三郎

    久保委員 官房長官お急ぎのようでありますから、端的に水戸の射爆場に関係しての質問を申し上げたいと思います。非常に重大なことでありますので、できるだけ明確な御所見を承りたい、こういうように思っております。  そこで、去る五日に、日米合同委員会に水戸射爆場の返還等について申し入れをした、こういうふうに聞いておりますが、その内容について、まず第一にどういう申し入れをされたのか、お伺いしたいと思います。
  89. 大平正芳

    ○大平説明員 日米施設特別委員会と承知いたしておりますが、かねがね水戸の射爆場につきましては返還の要請をいたしておりますし、また、先方からも御回答をちょうだいいたしておったのでございますが、先月二十日の誤射事件関連いたしまして、従来の状態のままで放置しておくことはできないと判断いたしまして、できるだけすみやかに返還を求めるという趣旨の御要請をいたしたわけでございます。
  90. 久保三郎

    久保委員 その返還を求めるという申し入れには、条件はついておらなかったのでありましようか。たとえば、他に適当な代替地を探すからこの地域は返還してほしい、こういうことであったのか、それとも、今長官がおっしゃる通りだけのものであったのか、いずれでしょうか。
  91. 大平正芳

    ○大平説明員 代替地のことは、従来向こうからも要請がございますし、こちらも調査を進めておるわけでございまして、五日の申し出を契機にして起こった問題ではございません。五日の問題は、先月二十日の事件関連いたしまして、このままの事態を放置できませんので、返還を強く要請する、こういう趣旨のものであります。
  92. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、くどいようでありますが、水戸射爆場の返還は、ずばりそのものの返還を要求しておる、こういうふうにとってよろしゅうございますか。
  93. 大平正芳

    ○大平説明員 さようであります。
  94. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、協定によって、これはこれからの折衝でございますが、結局合意に達するということにならなければ返還が実現できない、こういうふうにもとれるわけでありますが、この辺の見通しというか、御見解はいかがでしょうか。
  95. 大平正芳

    ○大平説明員 ただいままでのところ、先方は代替地の提供がございますれば即座にも返還に応じるという意見表示をいたしておりまして、代替地がなくても返還に応ずるということは、私ども伺っておりません。従って、五日の申し出は、私どもの方で自主的に、そういうことにかかわりなくお返し願う、こういう趣旨で申し出ておるわけでございますが、先方は、あくまでも代替地がなければならないという従来の主張は、全然変えておりません。
  96. 久保三郎

    久保委員 確認の意味でありますが、そうしますと、日本政府としては水戸の射爆場は返還を要求しておる、米側としては代替地を要求しておる、こういうふうに意見が分かれておるということでございましょうか。
  97. 大平正芳

    ○大平説明員 わが方におきましても、終始代替地の提供ということについて調査を進めておるわけでございまして、今度の返還要求によって、代替地の調査をやめたわけじゃないのです。あくまでも続けて参りますけれども、容易ならぬ事態でございますので、米軍側に再考を求めておる、こういうことでございます。
  98. 久保三郎

    久保委員 どうも長官のお話は大へん上手なので理解しにくいのですが、そうしますと、結局代替地を探すことは、日本政府としてもやめちゃいない、向こうの言い分も聞いてはいる、こういうことにとれますが、先ほど確認いたしましたことと違うのでございましょうか。調達庁長官は、議長でありますから、一応先に調達庁長官にもお尋ねしたいが、日本政府は、正式に今日の段階では水戸の射爆場そのものの返還を要求している、米側は代替地の要求を従来から続けている、これだけでいいのでしょうか、どうでしょう。
  99. 林一夫

    ○林説明員 水戸射爆場の返還の要請は、従来再三政府といたしまして米側に要望してきておったところであります。ところが、本年の五月に至りまして、代替地の提供があれば返還に応ずるということを正式に書面で申し入れて参ったわけであります。そこで調達庁といたしましては、まず代替地の調査ということに力を入れまして、従来この代替地の選定調査ということに努力をいたして参ったのであります。先般も、何かアメリカからの新聞情報によりますと、返還は代替地と関係はないというようなことを向こうの政府の高官が話しておるというようなことを言っておりました。さっそく調査しましたところ、そういうことは全然ないということがはっきりわかりました。在日米軍にただしましたところ、やはり返還については代替地の提供が大事な条件であるということを申しております。結局返還を受けるには、代替地を選定して提供しなければならないということになってきておるわけであります。過日の施設特別委員会におきましても、そういう前提のもとに返還を強く要望したのであります。その際に、向こうとしましては、やはり返還には応ずるが、代替地の提供を要求しております。ただ、代替地については、今後日米両方積極的に協力して早く選定しようというような態度を表明してきております。そういう経過でございます。
  100. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、今のお話しでは、やはり問題をしぼって条件付ということに相なりますか。これは代替地がなければ返還はできないんだということで日本側も了解しているのですか。
  101. 林一夫

    ○林説明員 今までの当方からの返還申し出に対しては、向こう側は強く代替地の提供ということを申して、代替地の提供があれば返還に応ずる、裏を返せば、代替地の提供がなければ返還はむずかしいということでございます。
  102. 久保三郎

    久保委員 くどいようですが、調達庁長官、日本側の意向としては、代替地の有無にかかわらず、返還を要求しておるのかどうなのか。米側の要求はわかりました。代替地さえあれば返しましょう、こういうことです。ところが、あとの話では、一つ代替地のことについて日米協力しようじゃないか、こういう話も出ておる、それは了解しておるのかどうか。
  103. 林一夫

    ○林説明員 従来からの経緯から申しまして、先ほど申し上げましたように、当方としましては、早く返還してもういたいという強い要望をしましたところ、代替地がなければ返還に応ずることができない、代替地の提供があれば返還に応ずるということを向こうは言ってきておるのです。そういうことで、調達庁としましては、これを早く返還を受けるためには、代替地を早く選定して提供する必要があるという前提のもとに、従来まず代替地の選定ということに努力いたして参ったわけであります。
  104. 久保三郎

    久保委員 従来の話は、それはわかります。しかし、現段階において、五日の日米施設特別委員会ですか、これに出した文書でその申し入れをしたというのですが、文書そのものはどういうことになっておりますか。文書の内容……。
  105. 林一夫

    ○林説明員 文書の内容でございますが、ただいま申しましたように、返還の早期実現方を要望した次第でございます。
  106. 久保三郎

    久保委員 その文書は、代替地については言及しておりませんね。
  107. 林一夫

    ○林説明員 代替地につきましては、そういうような経緯もあり、向こうとしましては、代替地については返還の一つの必須条件といたしておりますので、当方としましては返還を強く要望いたしたのでございますが、もちろんそれは代替地ということが条件であるという前提のもとに強く要望したわけであります。
  108. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、官房長官にお尋ねしたのと、今調達庁長官の御答弁では少し話が違うと思うのです。私のお尋ねでは、官房長官お答えになった通り、日本政府としては無条件返還を要求している。ただし米側は、いわゆる代替地の要求をしている、こういうことにお話がなったと思うのです。調達庁長官は当面の責任者でしょうが、そのお話では、いわゆる代替地を与えることによる前提条件で返還を要求した。でありますから、私はお言葉ではなくて、申し入れの文書の中に、代替地の問題に言及しておるかどうか、こうお尋ねしておるのです。文書はどうなんです。
  109. 林一夫

    ○林説明員 今回の申し入れば、早急に返還をしてもらいたい、早急に検討したいということを申し入れたのです。もちろん代替地をどうのこうのということは、別に文書の中に入れておるわけでもないのです。早急に返還を要求するというわが方の申し入れに対して、向こうでは、一つ返還については代替地を早く探そうじゃないかということを口頭で申しております。
  110. 久保三郎

    久保委員 それで返還を要求した根拠は、言うまでもございませんが、水戸射爆場は不適当であるという観点から要求されたと思うのですが、そうでしょうな。
  111. 林一夫

    ○林説明員 水戸射爆場は、原子力研究所というような重要な施設もあり、また、もし事故が起こった場合には危険性もあるというようなことで、地元の方々からかねて強い返還の要望がありました。そういうようなことでございますので、調達庁といたしましては、かねてから再三この返還を強く要望して参ったのであります。その経過は先ほど申し上げた通りであります。
  112. 久保三郎

    久保委員 言葉を返すようですが、返還の要求の根拠は、お言葉によれば、近くに原子力の施設もたくさんあって危険であるからということでありますが、それはもちろんそうです。それもありましょう。もう一つは、近い過去において起こった二十日の事件に類するものが、今二日まで百数十回実際起きておる。これについては、やはり不適当な要素にならないでしょうか。
  113. 林一夫

    ○林説明員 もちろん事故が起こるということが非常に危険性を与える原因でございますので、この事故がなるべく起こうないように私どもは努めておるのであります。たとえば標的の位置とかあるいは飛行方法等につきまして、再三米側に申し入れておる。このような射爆場は、ほかにも、九州の芦屋にもある、東北青森県の天ケ森というところにもある。そういうような事故の起こりやすい基地につきましては、ただいま申しましたような標的の位置とか、あるいは飛行方法等について十分注意し、制限し、事故ができるだけ少なくなるように強く再三要望しておる次第でございます。
  114. 久保三郎

    久保委員 お話よくわかりませんが、どうも私がお尋ねしておることとちょっと違うのでございまして、要望しておることはわかりました。返還要求の根拠は、先ほど長官のお話では、原子力の施設がたくさんある、だから不適当である、こういうふうに申されておる。それでは、それ以外の要素として、二十日にも起きた、いわゆる周辺における日本国民の生命財産に危険があることは十分御承知のはずなんだが、それは要素にならなかったのかどうか、こうお尋ねしておる。
  115. 林一夫

    ○林説明員 あのような事故が起こるということは、まことに残念なことでございまして、またそのような事故が起こるような——事故と申しましょうか、ああいうような被害者が出るような地域が近くにあるということは、やはり射爆場としては不適当であるということは申し上げられます。でありますから、もちろん近くに原子力研究所もある。また、ああいう居住地域が接近しておるということで、地元から再三返還の要望もありますので、そういうようなことで返還の要望をいたして参ったのであります。
  116. 久保三郎

    久保委員 外務省にお尋ねしますが、ただいままで官房長官なりあるいは調達庁長官からお話があった通り、日米間の一つの交渉の問題になっておるわけです。結局、ちょっとはっきりはいたしませんが、日本側としては無条件返還を要求しておるような格好なんです。ところが米側では、代替地の要求をからんできておる、こういうことでありますが、現在持っておる地位協定に基づいて、これは合意に達しなければその返還の実現はなされないようにも思うが、これはどういうふうに解釈したらいいか。
  117. 魚本藤吉郎

    ○魚本説明員 お説の通りでございまして、日本側からは返還の要求をいたします。アメリカ側がこれに合意をしなければ、返還はできない建前になっております。
  118. 久保三郎

    久保委員 官房長官にお尋ねいたしますが、御承知のように、日本の国土は狭いのでございまして、しかも、聞くところによれば、横田基地から二百キロ以内の適当な土地を探せ、こういう要求が向こうから出ておるそうであります。そうなりますと、適当な候補地がそうたやすく見つかるはずは私はないと思います。そうなりますれば、今外務省の見解によれば、合意に達しなければ返還は実現できないだろうということ、こういうことになると思うのですが、これはどういうふうに政府自体は考えて、アメリカ側と今後交渉を重ねて実現する考えなのか、その辺の見解を一つ承りたいと思います。
  119. 大平正芳

    ○大平説明員 久保委員御案内のように、例年国会でも御報告申し上げておりますが、基地全体の新しく提供したところと、また返還をしていただいたところの土地、建物等を比較いたしますと、毎年基地が急激に減少しておることは、御案内の通りだと思います。政府といたしましては、今御指摘がござましたいように、できるだけアメリカ軍の方で演習その他を自制していただき、あるいは集約していただきまして、できるだけ広範囲に御返還をいただくという方向で、終始精力的に努力をいたしておるわけでございます。  問題の水戸地区でございますが、先ほど調達庁長官から申し上げました通り、先月の事件がございまして、周囲の状況から急速な解決を要する事態にあると判断いたしまして、去る五日に特別委員会の方に申し入れたわけでございます。もとよりこれは、外務省側から今御説明がありました通り、日米双方の合意がなければ御返還をいただけないという条約上の建前になっておるわけでございますけれども、私どもといたしましては、周囲の状況がああいう状況である以上、いつまでもこれを放置することができないという判断で、アメリカ側の自制を求めるという意味で、強く要請いたしたわけです。すでにアメリカ側におきましても、従来から代替地が絶対の要件である、こういう主張をしておりますが、その主張は現在も変えておりませんけれども、しかし、こういう事態であるので、自分の方も協力するから、急いで代替地を求めようじゃないかという、こういう一歩進んだ雰囲気になってきておると思うのでございます。私ども終始既定の方針で強くアメリカ側に当たりまして、この問題が早急に解決は持っていけるように努力いたしたいと考えております。
  120. 久保三郎

    久保委員 合意に達すると地位協定ではなっておりますが、いわゆる新安保条約では、使用を許すというふうになっておるわけなんです。使用を許すということは、わが方に主導権あり、こういうふうに解釈してよろしいと思うのです。ところが、合意というと、反対側からいえば、意見が合わなければということになる。結局一ぺん使用を許したものは、こちらから返還の要求をいたしましても、これは向こうががえんじなければ返還ができない、こういうことになるわけですか。いかがでしょう。
  121. 魚本藤吉郎

    ○魚本説明員 実は地位協定の第二条に、「合衆国は、相互協力及び安全保障条約第六条の規定に基づき、日本国内の施設及び区域の使用を許される。」とありまして、個々の施設及び区域に関する協定は、合同委員会を通じて両国政府が締結しなければならない、こういうことになっておりまして、一応日本国の個々の施設を提供します場合は、米側の要求に対しまして、日本政府はこれの要請に応じて提供する、こういうことで締結をいたしました。それからもし米軍の方で最近使用していない、あるいはこの協定の目的のために必要でなくなった場合には、いつでも日本国に返還しなければならない、このために常に協議検討することになっております。従って、アメリカ側に日本政府が返還を要求いたしまして、そうして両方で話し合って、できるだけ合意と申しますか、一応それの提供を合意しました協定なんでございますが、これを変更して返還をする、こういう形になります。
  122. 久保三郎

    久保委員 私は条約そのものをお尋ねしておるのじゃなくて、結局そうなりますと、条約本文には、何々は使用を許される、許されるというのは、主導権がこちらにあるわけですね。ところが返還を求めるときには、合意の上でなければ返還ができない。あなたのおっしゃる使用しなくなったというのは、常識できちんときまっておる。これはあたりまえなんです。そんなことを聞いておるのぢゃないのです。だから、本問題は、今までお二人の方からお話があった通り、結局向こう側は、代替地の要求をしておるのです。代替地の要求をしておるが、こちらでは返還を要求しておるわけです。現実には代替地を探しておられるかもわかりませんけれども、現実に直ちにそういうものが見つかったからうまくいくとは考えておらない。ここではっきりしていただきたいのは、合意に達しなければ未来永劫と言うと語弊がありますが、水戸の射爆場は返還が実現できない。こういうことになりますか。いかがですか。
  123. 魚本藤吉郎

    ○魚本説明員 必要がなくなれば日本政府にこれを返す、その必要性に関して両国政府で検討する、そういうことになっております。  それから実際問題といたしましては、両国政府が、一方は要求し、一方は反対する、こういう対立の形にはならないように事務折衝をいたしておるわけであります。
  124. 久保三郎

    久保委員 必要性について両方が検討するということですが、そうなりますと、わが方には検討する権限はないのじゃないですか。向こうが検討して、必要ないというならば返しましょうというのじゃないですか。どうなんですか。
  125. 魚本藤吉郎

    ○魚本説明員 地位協定の第二条の三項に、「この協定の目的のため必要でなくなったときは、いつでも、日本国に返還しなければならない。合衆国は、施設及び区域の必要性を前記の返還を目的としてたえず検討することは同意する。」合衆国はこれに同意しておるわけでございます。
  126. 久保三郎

    久保委員 官房長官、ただいま安全保障課長のお話になりましたように、絶えず検討するということでありますが、検討するというのは、結局こちらの要求を検討してもらうことでありますね。そうしますと、こちらの要求のことと、それから向こう側の要求は、代替地の要求というのがあります。これもあわせて検討するというふうに本件はなりましょうか。いかがですか。
  127. 大平正芳

    ○大平説明員 こちらは返還を要求してあるわけでございまして、これを施設特別委員会におきまして御検討いただいて、代替地がなくても、アメリカ側の演習その他に支障がない方法があれば応じてくれるに違いない。それに支障があるものであれば、代替地をということになるのだろうと思うわけでございまして、先ほども申しましたように、今安全保障課長が説明したような手続によりまして、ただいままで大量の返還を実現してきておるわけでございます。ただ、政府として考えておかなければならぬことは、条約上の義務につきましては、あくまで私ども誠実にやるということでいかないと、なかなか所期の返還を期待するということもむずかしくなるのではないかと思うわけでございまして、条約上の義務としては、あくまでも厳正に履行いたします。やはりそういう前提に立って返還の要求をしないと、相互の不信がつのるばかりになっては、かえって事態の解決をおくらすと思うのでございます。従って、政府といたしましては、所要の手続を踏み、厳正な気持で現地の要望をくんで努力すべきだと思っておるわけでございます。
  128. 久保三郎

    久保委員 官房長官のお話によりますれば、単なる条約に基づく日米合同委員会なり施設特別委員会、そういう場所だけで本問題が片づくとは、現実に思えないと私は思うのです。なぜならば、向こう側が代替地の要求——先ほど申し上げたように、代替地といっても、いろいろな条件がありましょう。しかも、現実にそういうものが直ちにできるとは考えられないと思うのです。そうだとするならば、先ほども官房長官のおっしゃるように、わが方はそのものずばりで、とにかく水戸射爆場が不適当であるから、これに返還を求めるということでございます。そういうことに相なりますれば、いわゆる地位協定に基づくところのルートでだけ話をつけることは不可能ではないだろうか、こういうふうに思うのです。よって、政府は、新たなルートを通して交渉を展開すべき時期ではないだろうか、こういうふうに思うのですが、いかがでしょうか。
  129. 大平正芳

    ○大平説明員 五日の当方の申し入れに対しまして、向こうもこの事態は放置できないという御観点だろうと思いますけれども、進んで代替地の選択についても協力しよう、あるいは司令官が現地におもむいて県知事等と会談をしようという動きも出てきておりますので、しばらくこの事態を観察いたしまして、政府としてさらに、施設委員会のルートだけでなく、新しい手を打つ必要があるかどうかということは、私ども考究してみたいと思います。しばらく今の事態の成り行きを見させていただきたい、そう思っております。
  130. 久保三郎

    久保委員 そこで、これは調達庁長官お尋ねした方がいいと思うのでございますが、外務省の見解によれば、五日の申し入れが聞かれるまで、水戸射爆場というのは提供するほか方法はない、こういうふうに思うわけですね。そうだとするならば、その間は現在の状態をそのまま認めて参るほかない、こういうふうにもなるわけですか。そうでしょう。
  131. 林一夫

    ○林説明員 先ほどから申し上げます通り、当方から返還を強く要望しておるわけでありますが、米軍側は、代替地の提供がなければ返還に応ずることはできない、そういうことになっておる。そこで、ただいま代替地の選定に努力いたしておるのであります。代替地を提供するまでは、米側としてはこの提供施設を使用するということになるわけでございます。
  132. 久保三郎

    久保委員 使用するということになるわけだということでありますが、現在は演習を中止しているようでありますが、演習の再開はいつというか、具体的に何月何日でなくて、どういう条件が整えば演習再開ということになるのですか。
  133. 林一夫

    ○林説明員 米側は、事故原因が判明するまでは演習を中止するということを言明しております。従いまして、米側としましては、この原因が判明すればこれを使用するということを言ってきておるのであります。まだその事故原因がはっきりされておりません。その事故原因がはっきりされますれば、米側からその原因を詳細に報告するとともに、使用したいという申し出があることになっております。ただいまのところ、ただ米側としましては、この演習場の再開を早くしたいという希望は申し出ております。
  134. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、事故の原因が判明すれば米軍としては演習を再開するということに対して、調達庁長官なり官房長官は、いかなるお考えを持っておりますか。
  135. 大平正芳

    ○大平説明員 条約上の権利でございますから、こちらから演習をしちゃいかぬ、こういうことを要求し、実現する立場でないと思います。ただ、今演習中止をいたしておりますのは、先方が権利を留保されまして、事故原因が判明するまでは演習を中止しましょう、こういうことを言うて来られておるわけでございます。私どもは、それを信頼いたしまして、原因判明までは演習はないものと承知いたしております。ただ、あの誤射事件に直接関連した、いわば試射試爆演習、それにつきましては、向こうがそういう時期まで中止しようと言っているわけです。それから急いでやりたいと言っているのは、それと事柄が違いまして、爆弾でない投下物、砂袋みたいなものを標的に投げる、こういうものは急いでやりたい、こういうことを言うて来ておりますが、私の方としては、条約上こちらからそれをやめろと言う権利はありませんけれども、あの周辺の状況から推して、いましばらくそういうことにならないように御留意いただきたいということを申し出てございます。ただいままでまだ再開いたしておりません。
  136. 久保三郎

    久保委員 そうしますと、結論として、再開されてもやむを得ない、こういうことに相なるわけですかな。
  137. 大平正芳

    ○大平説明員 条約上の権利義務の関係からいきますと、おっしゃる通りになると思います。ただ、そこはお互いに話し合いでございまして、今のような状況でございますので、そういう行動に出られないように一つお願いしようということで、終始向こうにお願いをいたしまして、今のところまだ再開になっていない、こういうことでございます。
  138. 久保三郎

    久保委員 官房長官努力されているようでありますが、一つは安保条約に基づく地位協定というものに問題があるので、これは根本的な問題だと思う。わが方に主導権というものがほとんどない。わが国の国民の生命と財産を守るために返還を要求しても、向こうが都合が悪ければ返還が実現できないというふうにもとれるわけですね。これは非常に重大なことだと思うのです。観念的なことではなくて、現実に今日起きておる。しかも、ついこの間も茨城県にはジェット機が堕落しております。これはたんぽの中だそうでありますから、私は詳細に調べておりませんが、人畜には被害はなかったかもしれません。こういうことを考えるときに、これはそういう条約が結ばれているからやむを得ないという、裏を返せば、その安保条約のゆがみをある特定の国民がしょわなければならぬという格好になります。これはどうも国民感情としても、あるいは現実にその周辺に住んでいる国民にとっても、耐えがたいものであるし、了解しにくいものだと思います。そこでやむを得ないというならば、先般申し入れをした茨城県知事に、在日米軍の司令官スマート中将から回答がございました。そこでお尋ねしたいのは、スマート中将も、やはりやむを得ないと言っている。代替地の移転が実現されるまでは、この演習はやむを得ないんだ、ついては御了解をいただきたい、こういうことである。その中身はごらんになっていると思いますが、少なくともわれわれ国民にとっても了解しにくい書簡の内容であります。これもやはり官房長官なり調達庁長官は、このスマート中将の言及されているような観点から、現実にやむを得ないというのでありましようか。御承知かと思うのでありますが、この中身を二、三拾って申し上げますならば、一つには、アメリカ国民も同じ危険を経験しています、それから飛行機の搭乗員の経験する危険に比べれば、きわめてそういうものは少ないのです、さらに、あなた方茨城県民が毎日起こっている交通事故の危険と比較すれば、ものの数ではない、さらに、こういう訓練をどういうふうに注意深くやっても、射爆場の近くに住む住民にある程度の危険は避けられないものだ、この避けがたい危険は、われわれ自由世界の安全確保のためにわれわれが払わねばならない代償であるということを十分に理解してほしいというのですが、そういう観点からやむを得ないというふうに政府自身はやはり了解をしているでしょうか、いかがでしょうか。
  139. 大平正芳

    ○大平説明員 安保条約を政府はなぜ締結したか、またなぜ改定したかというようなことにつきましては、いろいろな御論議がありましたけれども、政府といたしましては、より大きな法益を守るために、日本の利益のために考えたわけでございます。これの是非の論議はあろうと思いますけれども、こういう不動の国策によりまして、私どもは——しかしながら今久保委員が御指摘されたように、現実に米軍の活動によりまして、ある種の危険が各地にございます。これは人間のやることでございますから、完全無欠で全然事故がないなどということは、なかなか期待できませんけれども、今までずっと当方から危険防止についての申し出があり、先方はそれに対応いたしまして危険防止装置の工夫をこうしていただきまして、御案内のように、水戸射爆場だけの危険は、今までの被害を拝見いたしましても、年々歳々被害の件数は減ってきております。先方におきましても、その点については相当周到な注意を加えてきておる、善意を持っておると私どもは思います。しかしながら、それでも全然被害皆無の状態を招来するということは現実にできないという場合に、被害がありました場合の措置につきましては、政府としても万全の措置を講じて——日本全体の安全を守るために一部の方々が犠牲になっておるというような事態は放置できませんので、それに対しましては万全の補償措置を講じていくということが、現在の与えられた条件のもとにおいて政府のやり得る最善の処置ではないかと思うのでありまして、そういう配意でやってきておるわけでございます。私ども政府側に、それは遅滞なくやらなければいかぬところをおくれたりなんかするようなおしかりがあろうと思いますけれど、先般も、こういう状態はひとり調達庁あるいは防衛庁等だけにお願いしておくのでは、間然するところがあろうと判断いたしまして、政府として基地関係の閣僚会議を設けまして、政府全体の神経が緊張の状態にあり、そうして各省庁の間の意思の疎通が円滑に参るように配慮いたしておるわけでございます。そういう努力を鋭意払っておるということは、久保委員におきましても御了承いただきたいと思います。
  140. 久保三郎

    久保委員 それでは、いずれにしてもやむを得ないということで、今後の再開も認めていくほかないというのでは、この周辺における地域の茨城県民としては、了解しにくい問題が累積しておるということです。というのは、お言葉にあったように、向こう側も善意によって事故防止をできるだけ講じているというが、今日まで何回かこういう事故はございました。こればかりじゃございません。殺傷事件もございました。しかし、その直後、いつもこういう格好で今日までやられてきた。そこで関係住民は、少なくともそういう形でこの問題を解決されることについてはがまんがならぬというのが、今日の状況です。そこで官房長官、政府の代表としてあらためてお伺いいたしますが、わが方は、安保条約にどう書いてあるか知りませんが、少なくとも水戸射爆場の返還そのものを今後もやっていくのだ、代替地については二の次である、こういうふうに政府としては意思決定をしているのかどうか。くどいようでありますが、いかがでしょう。
  141. 大平正芳

    ○大平説明員 政府といたしましては、今提供しております基地全体の中でアメリカ軍に演習の方法その他を御工夫いただきまして、できるだけ少ない基地で用便が足せるように考えていただきたいと思うのです。従いまして、この水戸射爆場につきましても、周囲の状況が今のような状態では放置できないと判断され、現地の要望も保守、革新を通じてきわめて熾烈でございますので、これは日本政府もよく承知をいたしておりますし、米軍当局もよく承知をいたしておると思うのでございまして、こういう状態を直視されて、アメリカの方で自制していただくように、私どもとしては強く要望したいと思います。しかし、先ほどもお話がございましたように、返還ということが実現するためには、日米双方で合意をしなければならない。アメリカ側が代替地をという要求をまだはずしていない以上は、無条件に返還するということは、今の時点において私は困難であろうと思います。しかし、それでもなお私どもは再三要求をいたしまして、できるならばアメリカに無条件に御返還いただくことを希望いたすつもりでございます。それと次善の策として、それではどうしても先方の合意が得られない以上は、代替地を探さざるを得ないわけでございますが、この方も並行いたしまして、アメリカ軍の協力を得て、できるだけ早くそういうことにいたしたいと、政府各部局を督励いたしましてやっておるわけでございます。ただ、基地を新しく設けるということは、なかなか大へんなことでございまして、これはもう皆様よく御承知の通りだと思いますが、困難を伴うものであるということを私どもよく承知いたしておるわけでございます。そういう状況考えまして、いかにすれば問題の地点の返還が可能になるかということをあらゆる角度から検討いたしまして、御期待に沿たい。今後ともその努力を精力的に続けて参りたい所存でございます。
  142. 久保三郎

    久保委員 それで官房長官の誠意のほどはわれわれわからぬわけではありませんが、方向として、結局返還問題と代替地の問題をやはり切り離して問題を進めていくという方向をとってもらわなければ、地元住民としては了解できない、あるいは忍びがたいものがあるということを考えていただきたい。  ついては、これは調達庁長官が、こちら方の議長だそうでちありますから、日米合同委員会においても切り離して討議をするように持っていく考えはあるかどうか、お考えお尋ねしたい。
  143. 林一夫

    ○林説明員 この返還のことにつきましては、先ほども申し上げましたように、かねてから強く返還を要望しておったのでございます。もちろん返還ということは早く返してもらうということでおったのですが、その結果が、向こうは代替地を提供すれば返還するということになってきておるわけであります。そういうようなことでございますので、私どもは、今までの経緯からいきまして、返還を実現するためには早く代替地を求めなくちゃならぬということで努力しておるのでございます。結局、返還ということと代替地の選定というものが不可分のことになってきておるわけであります。そういうような立場で現在折衝しておるわけであります。
  144. 久保三郎

    久保委員 私が言いたいのは、折衝の過程はわかりました。代替地付の条件ですね。これはもうこの段階ではやめてもらうほかないと、われわれは思うのです。だから、返還と代替地の問題は切り離して討議を進めるような工夫をしたらどうだというのです。いかがです。
  145. 林一夫

    ○林説明員 久保先生のお気持はよくわかるのでございます。私どもも、条件がつかずに全面返還していただければ非常にけっこうだということで、最初はそういうつもりでやっておったのですが、結局、代替地の提供というものが強い条件になっておるわけであります。そういうわけでございますので、もちろん私どもは切り離してやってもよろしいのですが、切り離しても結局代替地の提供が、条件ということになるので、同じような結果になると思います。まあ御意見の点は十分尊重いたしまして、大いに今後返還の折衝をいたしたいと思います。
  146. 久保三郎

    久保委員 調達庁長官の場所ではと言っては大へん失礼でございますけれども、それはそういうことになりましょう。そこで官房長官に先ほどお話した通り、官房長官以上の段階においてこの問題は扱うべきだという考えをしておるわけです。それでわが方は、とにもかくにも返還を要求する、この了解を取りつける、こういうことに専念すべきではないか。そのためには、やはり日米合同委員会のルートだけではだめだろう、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  147. 大平正芳

    ○大平説明員 今は特別委員会中心にいたしておりますが、それからアメリカ側におきましても、一歩前進したお気持が出てきておるようでございますので、先ほど申しました通り、しばらく事態を私どもみておりまして、私どもの段階で措置することの良否等につきましては、あらためて考究してみたいと思います。
  148. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、その問題ばかりではないでしょうから、そこでこれは調達庁長官が適当かと思うのでありますが、この問題、いわゆる水戸射爆場返還が実現するまでは、演習再開はすべきでないとわれわれは考えておる。であるから、これに対して、五日に申し入れた案件が片づくまでは、当分の間演習はやらぬでほしいというか、やらぬように正式に申し入れる意向は持っておりますか、いかがですか。
  149. 林一夫

    ○林説明員 この点は、先ほど官房長官からお話があったと思いますが、この演習の問題については、米軍からは、事故原因について徹底的な調査が完了して、その調査報告が近く日本政府になされるということになっております。その事故原因になりましたB57航空機については、その後防止措置がとられるまでは使用しない、その他の訓練については早く再開したい、こういうふうに申し出てきております。このその他の訓練については早くやりたいという向こうの申し出は、非常に強い希望でございます。この射爆場の施設を提供しているのは、やはり条約上の建前から提供しておるのでありまして、この条約上の建前からいきましても、このような事故の再発の防止措置を講じさせた上でも、なお演習の再開を認めないというような形でするのは適当ではない、こういうふうに私どもは考えておるのであります。できるだけ早くこの防止措置ができて、事故が起こうないような態勢をとってもういたい、こういうふうに私どもは望んでおるのであります。
  150. 久保三郎

    久保委員 事故が起きないようにということを言っておりますが、調達庁長官、事故は起きるこになっているのですよ。スマート中将そのものも、はっきり言明しているわけです。過去においてあなたがよく御存じの通り、赤ポチはみな誤投下、バッテンが墜落、だから官房長官が言うように、砂袋を投げつけるような演習だというのですが、飛んでいく飛行機そのものがバッテンで、ついこの間もあったわけです。そうなれば、万全の措置というものは実際においてないのです。だから、ここで安保条約はどうあろうとも、まず第一に日本国民の生命財産を守るのが、政府の責任じゃないですか。極東の安全と平和も大事かもしれませんけれども、まず、毎日の日常生活をしている国民の財産と生命を守るという立場からいけば、演習をやることそのものの危険はぬぐい去り得ないということをスマート中将も言っているのですから、これに対して何らの申し入れも要請もできないというのは、何ぼ条約がどうあろうとも、私は、日本国民を代表するところの政府じゃないだろうと思うのですが、いかがです。
  151. 林一夫

    ○林説明員 水戸射爆場があそこにあるのは適当でないという前提のもとに、早く返還してもういたいということで、従来再三再四申し入れをやっておるのであります。返還を早く受けるということが、まず大事なことであります。もちろん返還を受けるについては、先ほどから申しておりますように、代替地を早く選定して提供するということであります。その代替地を選定するについてはいろいろの条件がございますが、米軍からは代替地の選定については十分協力するというようなことも言ってきておるのでございます。今後、双方協力しまして早く代替地を選定しまして、この返還を期待したい、早く返還を受けたい、こういうふうに考えております。今回の事故の原因となりました航空機につきましては、当方の申し入れによりまして、防止措置がとられるまでは使用しないということを言ってきております。その他の事故につきましても、今後起こらないように十分警告をいたしたい、こういうふうに考えております。
  152. 久保三郎

    久保委員 調達庁長官、あなたはまだ現地にも行っていらっしゃらないし、実感としてよくおわかりにならぬ。なるほど条約の手続その他は十分御承知のようで、それだけで大体仕事をしようと思っている。あなたも政府を代表する調達庁長官でありますから、もう少し大きいところへ目を向けて——もっともこれは官房長官以上にならぬと無理かもしれませんが、大体きまったところで仕事をするのは、だれにでもできるのです。それでは政治の伸展、外交の伸展はない。それを変革するところに政治なり外交があるわけです。その点は失礼ですが、十分考えてほしい。あなたの御説明では、われわれは了解しにくい、こういうふうに考える。  そこで、官房長官お急ぎのようでありますから、あなたにお伺いします。先ほど私が引例しました在日米軍司令官から、茨城県知事並びに県民、地元那珂湊の市民に対してととってよろしい書面が出ております。こういう書面は、私は耐えがたい汚辱を感じているわけです。政府自体としては、そういう感じは持たれているかどうか、いかがでしょう。
  153. 大平正芳

    ○大平説明員 施設は日本政府が条約上の義務として提供いたしておるわけで、提供いたしました施設につきましては、アメリカ側は使用する権利を持っているわけでございます。従って、アメリカ軍当局としては、何も現地の知事さんにそういう書簡をお出しになるという義務はないわけでございますが、司令官としては誠心誠意自分の気持をともかく伝えたいという善意から私は出たものだと思うのでございます。従って、それも現地の知事初め強い御要請があるということをアメリカ軍当局も無視できないので、自分としてはこういう気持でおるのであるということをできるだけ親切に伝えようという善意から出たものと、私ども承知しております。ああいう個々の字句をせんさくいたしますと、人間が書いた文章でございますから、あるいは誤解を生むおそれなしとしない章句もあろうかと思いますけれども、根本精神はそういうお気持から出たものと思うわけでございまして、政府がこれで汚辱を感ずるとかなんとかいう性質のものではないと、私は思われます。
  154. 久保三郎

    久保委員 官房長官、善意を強調されておりますが、私も、その善意というのを認めないわけではございません。ございませんが、たまたま善意というのは、一方的な善意がございます。それでは時間のないところで大へん恐縮でありますが、地元民のこれを受けた感情というものを官房長官は御承知ないものと思うのですが、どうでしょう。あなたが那珂湊の市民であったならば、これを読んで、ああなるほど善意である、こういうふうにお考えになっての先ほどの御答弁でありましょうか。いかがでしょう。
  155. 大平正芳

    ○大平説明員 基地があり、その基地に被害が起こるというようなことは、決して日本の名誉でないことは当然のことでございまして、そういうことがない状態が一番いいと思いまするし、現地の方々もそう思われておると思うのでございます。日本の置かれておる立場から申しますと、こういう体制で日本の国防上の安全をはかるということでわれわれはやってきておるわけでございまして、大局的な見地からいたしますれば、御了解をいただけるだろうと私ども期待いたしますが、現実に被害が起こった局地の方々の御心情は、想像する以上のものがあろうと思うのでありまして、その書簡ばかりでなく、すべての動きについて非常な憂慮を感じておられることは、十分想像できることであります。
  156. 久保三郎

    久保委員 これはものの考え方によると思うのでありまして、これは二十二日に地方版に出た新聞記事でありますが、新聞記者が会見したのは、水戸射爆場の隊長のエバンスという少佐と横田基地から来たリーン情報部長でありますが、二十一日に次のように話しておるというのが記事に出ております。その中で、「日本の新聞は大ゲサだ。町の人はだれも怒ってはいない。私たちアメリカの兵隊は、日本の人を守るため演習している。」こういう談話を発表している。なるほどこれは向こうの見解ということでとればそれまでの話でありますが、スマート中将の書簡といい、この隊長なり情報部長の談話なり、われわれ国民自体は、了解しがたいものがある。しかも、こういう考えで日本の国における演習なり何なりをされること自体は、安保を認める、認めないにかかわらず、迷惑しごくだと思う。そういう点について、反省といっては語弊があるが、日本側の意向が全然向こう側に通じていないところに問題があると思う。安保条約を結べば日米の協力体制が得られるというふうなことでなくて、むしろそれ以前に日米の国民的な感情のつながりがないところに、一つの問題があると思う。だから、水戸射爆場の返還についても、ここだけの答弁ではなくて、十分日本国民の感情も織りまぜて問題を解決しないと、えらいことになると思う。いかがでしょう。
  157. 大平正芳

    ○大平説明員 先ほど申しましたように、基地関係の提供施設も漸次御返還願っておりまするし、将来はますますその方向にアメリカ側も理解を進めていただきたいと思うわけでございます。それまでの段階におきましては、私どもは、日本国政府として条約上の義務を忠実に履行していく。アメリカ側の日本に対する信頼というものが漸次高まって参りまして、そういったことがないようになる事態を早く招来するために最善の努力をいたしたいと思います。
  158. 久保三郎

    久保委員 そこで調達庁長官、あなたに最後にだめ押しをしておきたいのですが、演習再開について、地元の感情を織りまぜて、あるいは予防措置の欠陥があることも条件に入れて、再考慮を促すだけの決意を持っておられるかどうか、いかがでしょう。簡単に御答弁願います。
  159. 林一夫

    ○林説明員 事故が発生した直後、当方から厳重にその点を申し入れまして、事故原因について徹底的な調査を完了して、その事故の防止措置がとられるまでは、演習の再開は中止してもらいたいということを厳重に申し入れております。現在もそのような考え方で折衝しておるのであります。
  160. 久保三郎

    久保委員 予防措置が講じられるまではじゃなくて、完全に講ずることは不可能だということが、過去の実績から見ても、現実に起きている事故から見ても、わかるわけです。そこで私がお尋ねしているのは、そういう措置がとられるまではじゃなくて、この五日に正式に申し入れた。返還の要求が実現されるまではやめてほしいというような意味の申し入れをする決意があるかどうかをお尋ねしているのです。どうです。
  161. 林一夫

    ○林説明員 基地の返還を要求しておるのでありますが、それは代替施設の提供ということが、条件になっております。その代替施設の選定ということについては、日米協力して努力して、早く代替施設を提供して、返還を実現したいと思っております。この演習の再開につきましても、代替地が見つかるまでは再開防止措置を講ずるというようなことは適当ではないということは、先ほどから申し上げておる通りでございます。なるべく現地の事情考え、再開というものをおくらせるようには努力したいと思います。
  162. 久保三郎

    久保委員 満足な答弁を得られませんでしたが、最後になりましたが、科学技術庁の方にお尋ねします。  先般から開かれておる日米の原子力会議といいますか、これに対しては、水戸射爆場の返還というものを提起いたしておりますかどうか。
  163. 杠文吉

    ○杠説明員 お答え申し上げます。  日米原子力合同会議は、今回は動力炉に関するものにテーマがしぼられておりますのと、いま一つは、これは純然たる民間の団体の会合でございますから、政府側からそのような申し入れをするというような筋合いのものでないと考えまして、何ら申し入れをしておりません。
  164. 久保三郎

    久保委員 政府からしてなくても、民間側からそういうものが出ておりますか。
  165. 杠文吉

    ○杠説明員 出ておるとは承知しておりません。おそらく出ておらないと思います。
  166. 久保三郎

    久保委員 なるほど動力炉に関するところの問題にしぼっているということですが、動力炉一つにしぼったにいたしましても、水戸射爆場が、日本の原子力開発にとって目の上のこぶというか、非常な支障になっていることは、先ほどから政府が答弁している通りなんです。ですから、あらゆる機会を通じて日本側の要求を貫徹するというので、科学技術の振興あるいは原子力の発展ということを考えても、当然ではなかろうかと思う。これに対して、やるべきでないというのですか。なぜやるべきでないのですか。やってはまずいのでしょうか。いかがでしょうか。
  167. 杠文吉

    ○杠説明員 やはり民間のイニシアチブによりまして、民間同士の話し合いをする場だということでございますから、日米両国とも政府筋がイニシアチブをとる会合とは考えておらないわけであります。
  168. 久保三郎

    久保委員 官房長官、お尋ねしますが、政府側がイニシアチブをとる会合ではないから、政府としては別にそういうところに問題を提起する考えはないという今のお話ですが、これは先ほど申し上げた通り、あらゆるルートを使ってこの問題を解決する必要が私はあると思うのです。ついては、なるほど政府じかにこれを提起するかどうかは別にして、原子力産業会議というものもございますし、そういうものは当然この会議に向かって、射爆場の返還を提起するのが当然ではなかろうかと思うのですが、これに対してどうですか、いかがでしょう。
  169. 大平正芳

    ○大平説明員 施設を提供しておりますのは政府でございますし、また、この問題を処理する責任も政府にございます。あらゆる機会を通じまして、政府として最善の努力をいたすべきだと思います。
  170. 久保三郎

    久保委員 官房長官のお話がございますので、杠原子力局長、いかがですか。
  171. 杠文吉

    ○杠説明員 テーマの選定等につきましては、日米双方の民間側においてきめられておりまして、その中でテーマとして取り上げられておらないということを申し上げたわけでございまして、官房長官の御答弁の通り、このテーマを討議する場以外にも、向こうの民間会社の有力な社長その他の人も見えておりますし、また、原子力委員も見えておりますので、それ以外の場、すなわちスケジュールに乗らないところの場において、そのようなことの御協力方を要請するということはあり得ます。また、現に御協力方についてそのお話をするという意思を持っておるということを申し上げております。
  172. 久保三郎

    久保委員 時間がだいぶ過ぎておりますから、最後に一つだけお尋ねしておきます。  水戸射爆場の返還に関連してではないのでありますが、全般の提供されている施設並びに区域、こういうものについて、五年ほど前に、米側からこの変更について意見を求められておったそうでありますが、それは事実でありますか。
  173. 林一夫

    ○林説明員 そういう事実は、承知しておりません。
  174. 久保三郎

    久保委員 五年前に基地の整理を申し入れてあったというのです。その当時、水戸射爆場の問題は何も出ておらなかったという話を仄聞する。基地の整理についての申し入れというか、協議、いかがですか。
  175. 林一夫

    ○林説明員 承知いたしておりません。
  176. 久保三郎

    久保委員 承知していないというのは、事実かどうかわからぬという意味ですか、事実ないということですか。
  177. 林一夫

    ○林説明員 そういう事実を承知していないということでございます。
  178. 久保三郎

    久保委員 そういう事実を承知していないというのは、あなたがですか、調達庁としてですか。
  179. 林一夫

    ○林説明員 調達庁といたしまして承知いたしておりません。
  180. 久保三郎

    久保委員 しかし、これはあったといわれておる。基地に対する整理そういうものの話し合いが持たれたことが、過去においてありますか。
  181. 林一夫

    ○林説明員 講和発効のときに、整理ということについて協議が行なわれたということはあります。
  182. 久保三郎

    久保委員 結局そのことでしょう。あとでもあったという話もしておりますが、いずれにしてもそうです。それと同時に、先ほどからのお話で、結局本問題解決は日本側の方にかかっているということになる。あなたらの見解からいけば、代替地の問題を背負っていくわけです。これを容認している限りは、そういうふうに了解できますね。いかがでしょうか。
  183. 林一夫

    ○林説明員 本演習揚の返還につきましては、代替地を供出すれば返還するという向こうの申し出があるわけであります。この代替地の選定について、日米協力して選定をするということを向こうは申し出ております。従いまして、双方が代替地を選定して、協議しまして返還を受けるということになっております。
  184. 久保三郎

    久保委員 いずれにしても、本問題は日本側の責任で解決しなければならぬ。ところが、代替地については、先ほどからるるお話のあった通りであり、また申し上げた通りであります。だから、日本側で責任を持って解決するというならば、先ほど申し上げたように、返還そのものずばりで問題を提起していくことが先決ではないかとわれわれは思うし、もう一つ強い決意と手段を持たなければ、本問題の解決は不可能ではないかと思う。これに対する決意をぜひ持ってやってもうわなければいかぬと思う。それから先ほど申し上げたようなスマート中将からの書簡などは、善意に基づくものであっても、日本の国民としては了解しがたいものがある。さらに新聞記事に出た談話にしても、まことに了解しがたいものがある。これに対して、今まで政府は、先ほどの官房長官のお話では、善意に基づいたものだからというような意味で半ば了解されていますが、こういうところに問題のネックもあるとわれわれは考えておる。いずれにしても早期にこの基地の返還を求めるように強く要請すると同時に、さらに私は申し上げますが、再開は断わるという態度で臨んでもらいたい。今日地元では、残念ながら実力においても阻止しようという点では、先ほど官房長官のお話の通り、保守とか革新の区別はございません。そうなった場合の責任は、あげて日本政府にあるということになりますので、事態の収拾は日本政府がとるべきだと私は思う。  時間も大へん過ぎましたから、以上によって終わります。
  185. 西村力弥

    ○西村(力)委員 関連。私、過般那珂湊に行って参りましたが、基地の留守を預かっているエバンス少佐に会って参りました。杠局長にちょっとお尋ねしたいのですが、彼の言うことには、原子力研究所の最高技術者から聞いたところによると、米軍の演習による原子力研究所の危険はないのだ、こういうことを言うておると言っておりました。そういうことはまことに危険な意見でありまして、これが是正は、あなた方から原子力研究所の方に言っておかなければならぬと思うが、あなた方自体もそういうふうに考えているかどうか、その点を承りたい。
  186. 杠文吉

    ○杠説明員 ただいま御指摘の件に関しましては、私は今日承知しておりませんが、もしも原子力研究所最高首脳部にしてそのような考え方を持った者があるとするならば、これは非常な間違いでございますから、さっそく取り調べまして、そのような考えを持たないようにいたしていきたいと思います。
  187. 西村力弥

    ○西村(力)委員 林長官にお尋ねします。  日米協力して代替地の選定に努力しておる、こういうことですけれども、日本が努力することはわかるとしても、米側の努力というのはどういう形になってくるのですか。
  188. 林一夫

    ○林説明員 代替地の選定につきましては、米側としてもいろいろの条件を出しておるのであります。そういうような条件につきましては、日米協力して、なるべく実践可能な方法を考慮して選定するというような意味におきまして協力する、こういうふうに申し上げたわけであります。
  189. 西村力弥

    ○西村(力)委員 アメリカが協力するには、みんな向こうに持っていくことが一番簡単なんです。それから既設の他の基地にこれを移すというならば、これは米側の協力ということも言えるでしょうが、そのほか、米側の協力といったって、どうにもならないように思うのです。第一、この代替地を探しておるといって、一体見込みはありますか。見込みがあるように思ったら、あなた方はえらい目にあいますよ。どうですか。
  190. 林一夫

    ○林説明員 早く返還をしてもらいたいという強い希望を持っておりますので、できるだけ早く代替地の選定をいたしたいということで、現在調査をいたしております。
  191. 西村力弥

    ○西村(力)委員 そういう考え方では、いつまでもきまらない。これでは、日本国民がああいう危険にさらされるという現実は、ぬぐい去ることはできないと思うのです。  最後に官房長官に聞きたいのですが、アメリカの方の考え方は、日本人の人権を軽んじておるのではないか、こういう気持が私は非常に強いのです。今までの具体例を見ても、ジラード事件御承知の通り。ママさん大丈夫と呼び寄せておいて一発で殺した。それからジョンソン基地で、ロングプリーという三等兵が歩哨に立っておって、退屈まぎれで一発ぶっぱなして、宮村という音楽大学の学生を殺した。同じように那珂湊でゴードンという中尉が、退屈まぎれにひやかし半分急降下して、母親とむすこをひっかけて殺した。こういうような事例をずっと見ますと、どうもアメリカの諸君は、日本人の人権を軽んじておるというように私たちは思わざるを得ない。今度の事件は偶発的な事故だといいますけれども、そういう一連のことからいいますと、あながち偶発とだけで片づけることができないような気持もする。近ごろの新聞を見ますと、綿製品の賦課金の問題にしましても、金を借りて苦心惨たんしてアメリカから綿を買って綿から作った品物を売ろうとすると、今度はそういう工合に不当なる処置を受けるということになる。そういうような状況下においては、日本政府はもう少しきぜんとした態度をとってもうわなければならない。スマート中将の今の書簡にしても、善意だとあなた方は解釈する。そういうような基本的なあり方が、問題を根本的に解決するために非常に障害になっておると思う。根本的にいうと、やはり日本人の人権というものを非常に蔑視しておるということ、そういうところから問題がこういう工合に発生してきた。私は、少し思い過ごしかもしれませんが、そういう気持を持っておるわけです。そこまでいかないにしても、大事な日本人の人権を守られるための政府の責任ある処置というものは、きぜんとしてやってもらわなければならぬと思う。私が那珂湊のエバンスとかなんとかいう人に会ったときに、アメリカでこういう問題が起きたときにどうするか、市民は黙っているかと言ったら、市民がやめさせるように大蜂起するということを彼自身が言っておりましたが、その現実が那珂湊に現われておる。久保君が言うように、演習再開をしようとしたら、すわり込みでも何でもやるところにきておる。四年ばかり前のゴードン事件のときにも、あそこの農民が襲撃をかけようという計画があった。あそこは五・一五の発生地のようなところで、水戸魂がすばらしく入っているところなんですから、これはやりかねないですよ。四年前でさえ襲撃をかけようとした。私たちは、そういうことをやっては困るから、まあまあということで収拾いたしましたが、今度はそうは参りませんよ。はっきり具体的な実力行動に出るだろうと思うのです。これを押えることはできない現状にあるわけです。ですから、今のような一連の質疑応答をずっと聞いておりますると、何としても問題の前進が見られない。また、政府のほんとうのがっちりとした決意というものを少しも承ることができない。そこのところを政府側において思い改めて、そしてしっかりとこの問題の解決のために、全国民の憤激を背にしょった形ではっきりその処置を進めてもうわなければならぬ、こう思うわけです。この考え方につきましては、十分聞いておいて、そのように一つお願いしたいと思います。
  192. 大平正芳

    ○大平説明員 一言言っておきましょう。  先ほど申しましたように、危険の被害がありました都度厳重に政府の方で申し入れて、先方も予防措置を講じるようにお願いしてきました関係上、西村委員の御承知の通り、だんだんと被害件数が減ってきておることは事実でございまして、人権を尊重するがゆえにそういうようになってきておると思うのでございます。  それから、政府はきぜんとした態度で臨め、こういう御忠告でございます。ごもっともでございます。私どもは、今西村委員がおっしゃった通り、現実の問題を前進して解決する、実効の上がる方法はどういう方法かということをいつも考えてやっておるわけでございまして、胸のすくようなことを言うて事態が解決するなればよろしいのですけれども、そういうわけでなくて、具体的に実のある前進をするためにはどうするかという点を、せっかく工夫して努力いたしておるわけでございます。  なお、足らざるところは、終始御鞭撻をいただくようにお願いしたいと思います。
  193. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日はこの程度にとどめ、散会をいたします。    午後二時三分散会