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庄野政府委員 農地の転用の問題かと存じますが、農地につきましては、御
承知のように、農地法に基づきまして、われわれは運用いたしておるわけでございます。終戦直後からの問題といたしましては、やはり食糧不足ということと、海外その他の帰還者等の帰農する場所、あるいは就職の場所、こういった問題がございまして、御
承知のように、戦後の緊急開拓時代、こういう時代があったわけでございます。
未墾地を開拓いたしまして農地とし、あるいは海面、水面を埋め立てまして、あるいは
干拓いたしまして農地といたしまして、食糧増産をいたしますとともに、帰農者等の
用地を提供する、こういった事業にわれわれとしては非常に大きな
努力を払って今日に至っておるわけでございます。こういった
土地改良をやり、あるいは開墾、開拓いたしました農地が、最近非常に農業外に転用されているじゃないか、こういうような御
指摘でございます。これにつきましては、農地法の五条で、五千坪未満は知事の許可を要する、五千坪以上は農林大臣の許可を要するということにいたしまして、国の意思によりまして、この農地の転用問題について許可、不許可の方針を
決定いたしておる次第でございます。ただ、国の経済の発展によりまして、最近におきます特に
一般経済の急速な発展に即応いたしまして、工場その他道路、公共
用地といったようなものの需要が、非常に増加いたしております。これをいかに農地等の保存ということと調整して参るかということが、現下の非常な問題でございまして、われわれといたしましては、農地法の五条によります県知事あるいは農林大臣が許可いたします場合の基準というものを、前からあったわけでございますが、一昨年これをまたさらに現下の
事情に合うように、国の経済の発展に即応するように改定いたしまして、農地転用基準というものにのっとりまして、許認可の諾否を
決定いたしておる次第でございます。われわれといたしましては、やはり農地でも、国の経済に即応して、必要なところが最小限度農地外に転用される場合というものは、場合によってはやむを得ないじゃないかというような
考え方を持っておりますけれども、国の経済の発展に即応するとは言うものの、農業としても、やはり第一次産業として国の経済の根幹になるものでございますから、第一次産業たる農業にできるだけ支障なり、悪影響を及ぼさないように、そういった点は十分注意しなければならぬ、こういうふうな
考え方でおります。転用基準によりましても、農業としてどうしても保持しなくてはならない農地は保存する、保護するという
考え方を、われわれとしては貫いているわけでございまして、そういった農地には、
土地改良その他の農業投資はできるだけやっていかなくちゃならぬ。ただし、市街地の
周辺といったようなところの農地は、国の経済発展に即応しまして、市街地が自然的に膨張していく、あるいは日本の二次産業が急速な発展をいたしますについて、日本の経済が工業化の道をたどっていくわけでございますが、そういう面から、やはり二次産業、三次産業の立地条件、経済条件等をよく検討いたしまして、万やむを得ない、たとえば都市
周辺、あるいは資源を保有しておりますその資源の
周辺で、農業に支障がないといったところは、やむを得ないのではないか、こういうような
考え方でおります。それで、農地につきましては、農業上どうしても保持しなければならぬというようなところは、第一種農地というような
考え方で、できるだけ保存するようにいたします。都市
周辺の、転用されてもやむを得ない、他面、第二次産業、第三次産業、あるいは人口膨張といった面から、どうしてもこれは都市の経済的発展上必要であるといったようなところの農地は、万やむを得なければ農業外に転用されてもやむを得ないじゃないか、こういうような
考え方であります。第一種農地といいますのは、いわゆる農業上必要なところは確保したい、こういうような
考え方で運用いたしております。