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1961-10-17 第39回国会 衆議院 決算委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十七日(火曜日)    午前十時十七分開議  出席委員    委員長 鈴木 仙八君    理事 木村 公平君 理事 高橋 英吉君    理事 小川 豊明君 理事 勝澤 芳雄君       宇田 國榮君    久保田藤麿君       正示啓次郎君    鈴木 正吾君       藤井 勝志君    森本  靖君       山田 長司君    古賀  了君  出席政府委員         総理府総務長官 小平 久雄君         総理府総務副長         官       佐藤 朝生君         総理府事務官         (特別地域連絡         局長)     大竹 民陟君         警  視  監         (警察庁長官官         房長)     宮地 直邦君  委員外出席者         総理府事務官         (内閣総理大臣         官房会計課長) 小林 忠雄君         警  視  長         (警察庁長官官         房会計課長)  今竹 義一君         総理府事務官         (宮内庁長官官         房皇室経済主         管)      小畑  忠君         会計検査院事務         官         (第一局長)  秋山 昌平君         会計検査院事務         官         (第二局長)  樺山 糾夫君         専  門  員 黒田 久太君     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和三十四年度一般会計歳入歳出決算  昭和三十四年度特別会計歳入歳出決算  昭和三十四年度国税収納金整理資金受払計算書  昭和三十四年度政府関係機関決算書  昭和三十四年度国有財産増減及び現在額総計算  書  昭和三十四年度国有財産無償貸付状況計算書  昭和三十四年度物品増減及び現在額総計算書      ————◇—————
  2. 鈴木仙八

    鈴木委員長 これより会議を開きます。  昭和三十四年度決算外三件を一括して議題とし、本日は、総理府所管中、総理本府、宮内庁及び警察庁関係質疑を行ないます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。小川豊明君。
  3. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は、総理府については、審議会関係についてちょっとお尋ねしたいと思いましたが、これはこの前勝澤君が詳しくお聞きしているのでカットして、総務長官に一点だけお尋ねしたいと思います。  それは今次の大戦で沖繩は大へんな被害を受けながらも、まだ米軍支配下に置かれておるわけです。そこで、日本政府沖繩に行なった財政援助総額とその援助実績、こういう点についてお伺いしたいのですが、聞くところによると、沖繩に対してアメリカ日本と双方から援助がされているわけですが、アメリカの方としては、日本沖繩に対する直接的な金による財政援助は歓迎するけれども補助融資あるいは施設といったような方法、いわゆるひもつき財政支出については、あまり好まない傾向を持っているということを聞くのですが、この点は一体どうなんですか。この点が一点です。  次に、特別法人南方同胞援護会というものが設立されているわけですが、この設立の経過、並びに現在までの予算決算、及びこの会の役員、職員、その他業務実績の概要についてお伺いをしたいと思うわけです。この二点をまずお尋ねします。
  4. 小平久雄

    小平政府委員 はなはだ申しわけございませんが、沖繩関係資料を持っておりませんので、ただ概略だけとりあえず申し上げまして、数字的に必要でありましたら、後ほど事務当局からまた取り寄せさせます。  最初に、沖繩関係援助の問題でございますが、三十六年度におきましては、わが国から約五億円弱程度援助をいたしております。一方アメリカ側は、およそその三倍程度援助をしておるように聞いております。しこうして援助方法でございますが、それにつきましては、主として沖繩住民福祉増進と申しますか、そういう関係において、各項目ごとに、どの項目については幾ら、こういう筆法で援助をいたしておるわけでございます。さらに今後の援助につきましては、目下外務省を通じてアメリカ政府折衝中でありまして、まだ明確になりませんが、御承知通り池田ケネディ会談によりまして、アメリカとしても沖繩住民安寧福祉増進のために一そうの援助をしたい、それに対して日本も引き続き協力をしたい、アメリカはそれを歓迎する、こういった趣旨のことが共同声明にもございますので、その線に沿うて、政府としても、沖繩の住民が内地県並み社会福祉を受けられるように、こういうところをねらいにいたしまして、目下折衝中でございます。  それから南方同胞援護会関係でございますが、これは御承知通り沖繩が現在置かれております特殊の立場等からいたしまして、わが国沖繩に対する援助というものも、必ずしも直接沖繩援助するということが適当でないような事項もございます。そういう場合に、いわば民間ベースとでも申しますか、そういう関係でこの南方同胞援護会というものを組織いたしまして、これを通じて沖繩に対する援助を行なう。もちろん、南方同胞援護会は、それだけが仕事ではございませんで、あちら関係事項についてのいろいろな調査をするとか、啓蒙宣伝をするとか、あるいはまた、南方同胞援護会ひとり南方関係ばかりでなく、従来は北方の歯舞、色丹、国後、択捉等引揚者の問題も取り上げて、調査研究等も行なっておったわけでございます。御承知通り、今回北方協会というものがただいま提案しております法律通りますとできますが、いずれにいたしましても、従来はそういった特殊な立場にある地域関係について、全般的にこの協会仕事をやっておったわけでございます。
  5. 小川豊明

    小川(豊)委員 私お尋ねしたのは、援護は当然できる限り強力になされるべきであるから、これはいいのですが、この援助等に対して、日本政府が金で直接援助することに対してはアメリカで歓迎するけれども補助とか融資とか施設とかとなると、これは当然ひもつきになりますね。そうすると、施政権関係でそれはアメリカの方で歓迎しない、こういう意向が伝えられておるのですが、そういう事実があるだろうか、こういう点なんです。
  6. 小平久雄

    小平政府委員 御質問のうち、いわゆるひもつきという意味、内容になりますが、先ほど申しましたように、援助事項別にいわゆる積み重ね方式と申しますか、それでやっていることは事実でございまして、内地府県等に対するいわゆる平衡交付金といったように、一括でやっているわけではございません。ただし、たとえば沖繩関係では、あそこに模範農場等の建設も援助いたしております。これは金でやっておりまするが、施設ができましたならば、その経営は一切あちらでやる、こういったようなことでございますので、実質的にはいわゆるひもつきという概念には当たらないのではないかと思っております。できたらあとあとまでこちらが監督し、経営にも当たる、こういう方式ではないわけであります。
  7. 小川豊明

    小川(豊)委員 これは私は、いわゆるイデオロギー的な考え方は別として、今の場合やむを得ないことは私ども認めているわけです。そこでただ、私がこれを聞くのは、一括してやることに対しては、これはやってない。補助とか融資とか、このことに対して補助をする、これこれに対して融資する、こういう施設を作ってやるということを日本政府の方からいくことに対しては、アメリカの方では、これは施政権との関係になるのではないかと思うのですが、あまり歓迎していない傾向があるというが、そういうことがなければけっこうなんですが、どうなんですか。
  8. 小平久雄

    小平政府委員 アメリカの方の意向として目的別に個々にやることを歓迎していないのではないか、こういうお話かと思うのでありますが、私の聞いているところでは、従来アメリカからそういう意向が出ておるというふうに実は聞いておりません。ただ、先ほど申しました池田ケネディ会談等によって、今後一段と強化する場合に、一体どういう方式でどの程度のものをやることが適当であろうかということにつきましては、国内におきまして、関係当局間で実は今検討をいたしておるところでありまして、まだ結論が出ません。まあ国内におきましても、先生のおっしゃるように、いわば地方交付税式一括してやった方がよろしいじゃないか、一部にこういう御意見もありますし、いやそれでなしに、やはり従来のように事項別積み重ね方式でやった方がよろしいという御意見もありまして、その間まだ最後の結論に至っておらないわけであります。そこでアメリカの方の意向も、先ほど申し上げました通り事項別では困るという積極的な話は、まだ私は聞いておらない次第でございます。
  9. 小川豊明

    小川(豊)委員 立ち入った議論はあまりしない方がむしろいいと私も思っておるんですが、ただアメリカ施政権下における援助ですか、なかなかむずかしいだろう、骨が折れるだろうことも、私はわかるんです。しかしながら、アメリカ目的とわれわれが考える沖繩に対する援助というのは、おのずから違ってくるわけですね。従って、アメリカの手の届かないところを日本政府としては特に手を入れてやらなければならない。そうすると、一括よりも、やはりこのものに対して補助するとか、このものに対して融資をするとか、こういう施設を作ってやるとかということが、沖繩としては必要になってくるんじゃないかと思うのです。そういう点、今のあなたの御答弁によると、まだ交渉中だというので、深入りしない方がいいと思うから、私も深入りせぬけれども、この点は留意して、沖繩援助の実効を上げるようにしてもらいたいと思う。  次に、援護会の方はおわかりにならなければけっこうですが、予算決算組織ですね、これについておわかりになっておれば御答弁を願いたいし、もしおわかりになっていないならば、あとで簡単な資料でもいいけれども、お出し願いたい。援護会に対しては、総理府一本で援助等支出をしておられますか、それとも総理府以外に各省からもなにしておられますか。
  10. 大竹民陟

    大竹政府委員 十分にお話を伺いませんでしたので、申し上げますことがそごを来たすかもしれませんが、南方同胞援護会沖繩にどういうふうな仕事をやっておるかということが、第一点かと思います。本年度南方同胞援護会予算は、大体一億一千万円から二千万円の間であったというふうに記憶いたしております。ただいま手元に正確な数字を持ち合わせません。南方同胞援護会といたしましては、民間から若干の寄付を集めておりますほかに、競輪あるいは競馬からの福祉的な援助をいただいておりまして、これはここ数年来同じ形になっておりますが、ただいま申し上げました一億一千万円ないし二千万円のうちの大体半分くらいの財源が、そっちの方から来ております。それから残りの財源が、大体政府からの補助という形になっております。これらの財源をもちまして、大体沖繩の半公共的な団体と申しますか、相手琉球政府ではないわけでございまして、琉球政府の下部におりますいわば半公共的な団体、たとえば、社会福祉協議会でございますとか、あるいは傷病軍人会でございますとか、あるいは赤十字でございますとか、そういうものを相手にいたしまして、主として福祉的な施設を作って向こう援助を与える。もちろん、所有の関係援護会自身が持っておるわけでございますが、物を建ててやりまして、その運営を地元の今申しましたような団体に委託をいたしまして、実際設立をいたしました目的の効果は沖繩で上げておる。ただいままでにやりましたものが、精神病院とか、あるいは身体傷害者のための病院でございますとか、あるいは授産施設でございますとか、例年幾つかのそういう施設沖繩側に作りまして、向こう社会福祉を主として援助しているという形になっております。内地におきましても、若干の仕事をやっておりまして、沖繩から人が出て参りました場合の宿泊所というようなものを作りましたり、あるいは向こうからやってきました者の案内と申しますか、そういう仕事を引き受けましたりというふうな活動をやっております。この所管につきましては、総理大臣が監督をすることになっております。従って、総理府で監督している、こういう形になっております。
  11. 小川豊明

    小川(豊)委員 今お聞きしますと、沖繩に対する援助等は、大体五億円弱だ。それから南方同胞援護会を通じて行くのは、一億二千万円程度だ。そのうち政府が半額補助しているというと、やはりこれはきわめて微々たるもので、これで沖繩同胞を救援するとかなんとか言ったって、これはとうてい不可能じゃないでしょうか。そのほかに、沖繩に対する援助なり、何かありますか。
  12. 大竹民陟

    大竹政府委員 予算にあげて援助をいたしておりますのは、実は昨年までが一億前後でありまして、本年度におきまして、ただいまお話のございましたように、総額におきまして五億を少しこした数字になったわけでございます。そのほか、日本政府支出いたします金として沖繩側に渡っている金が、別にあるわけでございます。これは取り立てて援助という名に値するかどうかということは問題でございますが、沖繩人たちが、日本国内におります者と同様に、たとえば恩給法でございますとか、あるいは年金法と申しますか、厚生省関係遺族給与関係法律適用を受けておりますとか、あるいは引揚者給付金等支給法適用を受けておりますとか、こういうことは、日本国民として身分的に権利があるわけでございますが、それらの給付はまた別にやっているわけであります。正確な数字を今持合わせておりませんが、大体二十億円をこす数字の金は、日本政府の国庫から支出する金の中で向こうに渡っているという格好になっております。また、予算にはあげておりませんけれども沖繩の原産の産物でございます砂糖でございますとか、あるいはパイナップルでございますとか、こういうものの日本への輸入につきましては、別に特別な便宜をはかっており、それによってまた沖繩の産業が直接相当な恩恵をこうむって、保護されているというふうな形もあるわけでございます。これらをもって十分であるとは、もちろん私ども担当当事者としては考えておらないわけでありますが、全体の状況をかいつまんで申し上げますと、現状はこういうことになります。
  13. 小川豊明

    小川(豊)委員 わかりました。  そこで二十億は、恩給とかいろいろなものの身分関係支出にかかる金。五億というのは、これは何ですか。五億弱と御答弁になったのは、費目的にはどういうことになりますか。
  14. 大竹民陟

    大竹政府委員 五億というふうに申し上げましたのは、たとえばマイクロ通信施設でございます。日本沖繩との間に通信を充実いたしますためにそういう施設を作りまして、必要な部分を沖繩に与える。あるいは日本農業技術を必要といたしますので、日本技術者を派遣いたしまして、模範的な農場沖繩経営するというふうな経費でございますとか、あるいは教育のために育英資金向こうにやっておるとか、つまり日本政府から支出されまして、いわば琉球政府を直接に援助しておるというふうな形になっております金額が、さっき申し上げました五億、こういうことでございます。
  15. 小川豊明

    小川(豊)委員 大体わかったのですが、くどいようですが、二十億というのは、身分関係その他で日本国民として適用されている金、それから五億弱とおっしゃるのは、沖繩政府に対して日本の国の予算から出されている金、それから一億二千万、これは同胞援護会を通じて沖繩福祉施設に寄与している金額、こういうふうになるわけですね。  それから、これは総理府の御答弁になる筋合いかどうかわかりませんが、小さい記事なんですが、毎日新聞の十二月八日にこういうことが出ているのです。沖繩米軍自衛隊中堅幹部が六人配属されている。従って、これは自衛隊関係で、あなたの方の御答弁筋合いじゃないかもしれないが、別に六人あっちへ行っているから不思議に思うわけではないのです。この新聞の記事を見ると、日本自衛隊でも知らなかった。知らなくて、沖繩戦史研究団団長以下二十二人が向こうへ行ったら、四人の三等陸佐が姿を現わしたことから判明し、この四人の服装はみんな自衛隊服装であった。聞くと、このほかに二人おって、六人は一年ほど前から来ていると聞いている米国学校から沖繩へ配属されたものではないだろうかと、日本から行った自衛隊団長が、行っていることを疑問に思っているような記事が出ているのです。私、ちょっとここで疑問に思ったのは、日本自衛隊の人が行っているならば、日本自衛隊幹部が行ったのだから、わからなければならないはずなのに、何で来ているのか、この六人は一年も前から来ているのだそうだ、米国学校から沖繩に配属されているものではないだろうか、こういうことになっていると、これは皆さんの方にお尋ねする筋合いではなくて、むしろ自衛隊の方にお尋ねする筋合いかもしれませんが、わずか六人であろうと、これは自衛隊の方から派遣されているなら、何か任務があり、必要があって行っているのならわかるのですが、日本自衛隊ではわからなくて、アメリカからこういうふうに配属されているという根拠、この点に疑問を持ったのですが、これは、自衛隊関係でなければおわかりにならぬでしょうか。
  16. 小平久雄

    小平政府委員 私も初めて今その話を承ったので、特連局長にもお聞きしましたが、私の総理府関係としては全然関知しておらないのでございまして、防衛庁の方にお尋ねいただきたいと思います。
  17. 鈴木仙八

  18. 木村公平

    木村(公)委員 私、宮内庁経済関係につきまして、若干お尋ねをいたしたいと存ずるものでございます。  皇室財産は、憲法が改められまして、全部国有になったわけでございますね。
  19. 小畑忠

    小畑説明員 はい。
  20. 木村公平

    木村(公)委員 そこで全部国有になったあと管理状態、たとえばかつては帝室林野局というようなものがあって、全国各地にりっぱな——私の方で言えば木曽御料林というようなものがございまして、これは世界の宝だといわれるほど実にみごとな樹木があったわけでございますが、その後これが国有になって、林野庁の所管になってから、その管理状態というものが、かつての皇室財産当時と比較して必ずしもよくないというようなことを伺うわけですが、その問題については、おそらく小畑皇室経済主管も、現段階における管理状態——調査権がないわけですから、御承知ないわけでございますか。
  21. 小畑忠

    小畑説明員 皇室財産管理関係でございますけれども、これは、宮内庁が直接皇室財産管理部という一つ組織を持っております。その管理部の方で、皇室財産管理のことについては、直接担当しておるというのが現状でございます。
  22. 木村公平

    木村(公)委員 実は私が率然とこのようなことをお尋ねして参りましたのは、皇室財産が全部国有に移管される途中において、皇室は経済的に非常にお困りになって、ある大衆雑誌、これは名前をあげてもいいのですが、文芸春秋の何月号でしたか記憶にありませんが、私ども個人的に多少は知っておる日本で著名なある財界人が、陛下お金にお困りになって、宮内庁長官が立ち合いの上で陛下お金を貸したという記事を書いておるわけです。金額はわずか五十万円かなにかだったと記憶しております。そうしたら、陛下から翌日実にみごとな置き物をお礼の意味で届けられた。それは時価にして数千万円あるいは数億円にも値するようなみごとなもので、自分もいただいたものの、戸惑いしているというような記事が出て、これは一時国会においても非常な関心を持ちまして、問題になったことがございますが、そのようなことがあったのでございますか。まずそのことから伺っておきたい。
  23. 小畑忠

    小畑説明員 そのことにつきまして、文芸雑誌その他にそういうふうな記事が出ましたというようなことは、私もお聞きしておりますけれども、そういうふうな事実は全然ございません。
  24. 木村公平

    木村(公)委員 私どもの心配いたしますのは、天皇日本国の象徴でございますので、私どもは、ことに天皇に対しましては、特別の感情と考え方と親愛を持っておるわけでございますが、元首として外国人に対し、あるいは外国に対して、体面を保つことに不便を感ぜられるような予算上その他のことは、あなた方からごらんになってございませんか。
  25. 小畑忠

    小畑説明員 外国国賓その他外国使臣等にお会いになります関係経費につきましては、予算上は、宮廷費というふうな費目にそれぞれの経費が組まれておるわけでございますけれども、今御心配になりましたような、予算上非常に不便をお感じになるというようなことは、大体今のところはないようなことになっております。
  26. 木村公平

    木村(公)委員 実は、土地終戦後解放されましたいわゆる旧地主さんたちが、全国に二百万人ほどあるわけでございますが、この人たちが一反歩、三百坪に対して大体七百円程度で、当時は強制買い上げ国家が行なったわけでありますが、坪にいたしますと、四十円あるいは三十何円、ピース一つにも当たらない。ところが、それを買い受けましたかつての耕作者小作人諸君が、今工場の分散、あるいは道路が新設される、格差の解消のために、山間部農村地帯もどんどん発展をしていく、そういう際でございますので、一坪数万円にも土地を売るような人があるわけでございます。それを目の前にいたしまして、かつての地主諸君は悲涙にくれておる。坪三十数円、四十円ぐらいで強制的に売り渡したものが、今や数万円になっておる。その状態を目の前で見て、国家に何ほどかの補償をしてくれという運動が、ただいま熾烈であることは御承知かもしれませんけれども、それと同じようなことを皇室においても私どもは感ぜざるを得ない。かつては非常に莫大な皇室財産があられた。それを一片の法律措置によって、全部没収国有にされた。国有にされた後においての管理状態というものに対しても、ほとんど容喙権がない。口を入れることもできない。これは所管の役所にまかされてしまいまして、皇室といたしましては、何らこれに対して容喙する何ものもない。そうして国会の承認を得るということを条件にして予算が計上され、皇室の面目をわずかに維持しておられる。そうすると、皇室財産というものに対する事実上の没収に対して、補償措置とか、あるいはこれに対する国家の責任としての賠償措置というようなものは、一つも今までに行なわれておるように見ないのでございますが、何か皇室財産国有に移管されました後において、国家はそれに対する何ほどかの補償でもいたしたかどうかということを、この際ちょっと伺っておきたいと思います。
  27. 小畑忠

    小畑説明員 ただいま一般地主からの没収その他のお話がございましたけれども終戦当時の皇室の御財産につきましては、御承知通り皇室財産の、つまり全然憲法の建前が変わりましたものですから、終戦以前におきまして、ひとしく皇室財産というふうなことになっておりましたけれども、しかし、その実質上の意味は、やはり皇室の公的な御財産というふうなことでございました、この公的な御財産国有財産になった、こういうことでございますから、一般地主土地補償というふうな問題とは、根本的に性質が違うのじゃないだろうか、こういうふうに考えております。
  28. 木村公平

    木村(公)委員 ただいまの御答弁によりますれば、皇室財産国有に移管されたものは、公のものだ、パブリックなものだ、皇室の私有すべきものではないのだ、むしろ国有的なものであるから、憲法が改正されて移管されたのだけれども、それに対して旧地主のような補償措置というような希望は、別に宮内庁として、皇室としてはお持ちにならないのだという御答弁でございますけれども、一応それはもっともだと思います。ことに今日のこのような時代、憲法が一応改正されまして、新しい日本ができたわけでございますから、そのような論理は一応承服できると思いますけれども、公的な財産であるということは、直ちにそれが皇室財産でないということは言えないわけです。皇室財産であるけれども、比較的プライベートの私有的なものと、公的なものと二色あって、公的なものが国有に移管されたんだという御趣旨はよくわかりますが、だからというので、それは皇室財産でないという、そういう論理は成り立たないわけで、あくまで、これは公であろうとプライベートのものであろうと、皇室財産であったことには間違いない。しかも、それが一片の法律措置によって国有にくらがえをしたのだ。それに対して国家は何も補償をしておらないようでありますが、事実上これに対する補償と申しますか、あるいはどういう言葉がよろしいか、何か今までの財産を国が取り上げてしまって、そして国はその果実でもって今非常な利益を得ている。こういうことは、私ども国民といたしましては、どうも納得がいかない。皇室のことでございますから、ただいま時期的にも御遠慮をされているのかもしれませんけれども、もし民間でこのようなことが行なわれたならば、おそらくこれは一つの大きな問題になろうと思うのであります。おそらく民法上においても、これは一つの争いの点にもなり得ると思う。それから公法上においても、これは一つの争点で、まことに興味の深い争点であろうかとすら私どもは考えるのでございますが、事実といたしましては、国有財産皇室財産が無償で移行された。強制的に、一片の法律で移行されたその皇室財産に対して、何らかの財的の補償措置というものは、あったかなかったかということだけをまず伺っておきます。
  29. 小畑忠

    小畑説明員 そうした意味補償は、あったことはございません。
  30. 木村公平

    木村(公)委員 これは、こういう席上でお伺いすることはどうかと思うのでございますが、現在の経済価値でございません。国有財産に移行されたときの経済価値で、大体あなたの方でお調べがあると思うのでございますが、公の皇室財産国有財産に組み入れられたその当時の金額を、およそどのくらいに評価されておるのか。
  31. 小畑忠

    小畑説明員 当時財産税の徴収というふうな問題がございまして、その当時の財産税を徴収しますときの評価に換算いたしまして、不動産あるいは動産全部合わせまして、大体三十六億余の御財産というふうに承知いたしております。
  32. 木村公平

    木村(公)委員 三十六億余と申せば、今日、おそらく二百倍とすると七千億、三百倍とするならば、大へんなことなんです。国の一カ年の予算にも該当するほどの財産であったと私は思うのでありますが、この財産がなぜできたということに対しましては、またいろんな議論があるところでありますが、われわれは所有権を認めるものであります。さらにまた私有財産を是認するものでございますが、そういう考え方から申しますれば、憲法の改正によって、現在の貨幣価値にいたしますれば一兆円にもなんなんとするほどの皇室財産が、無償で、一片の法律でもって国家がこれを所有するに至った。しかも、それに対してはその後何ら捨てて顧みない。そのようなことに対して、国家が感謝の決議をしたこともない、あるいは国民にそれを十分伝達をして、皇祖のおかげで国の富がふえて、それがために、たとえば農林関係においては今このような収益を得ておる、あるいは通産関係においては現在このような果実を得ておる、あるいは厚生省の関係においてはこのようなおかげをこうむっておるといったような、いろいろの国家としての受けたる恩恵があるはずでございますが、そのようなことも、終戦後すでに十六年になるのでありますが、ただの一度もわれわれにわからない。ただやみからやみへ、憲法改正に便乗して——一つの革命とおっしゃればそれきりでございますが、一兆になんなんとするような財産没収された、国有に移行された、そうして現在それは、国有としておるがために、いろいろ果実を生んでいきまして、非常な利益を国家は得ておる、国富も非常にふえておる、それに対してはいささかも感謝の決議もない、陛下に対して、皇室に対して、まことに相済まぬというようなことも、いささかも国民も知らない、政府も知らないということは、私はまことに残念でたまらない。せめてはあなた方のお口から、そういうことは下情で申せばさもしいことでございますれば、われわれがこういう場を通じて全国民にそのようなことを明らかにして、もって皇室に対していや増すところの感謝の念を持つとか、あるいは尊敬の念を持たしめるということも、私どもとしては、これは大事なことだと存ずるのでございますので、特にこういう場を利用して——この場は全国津々浦々に通じておる場所でございます。この場所において、宮内庁の、ことに小畑さんは皇室経済の主管でございますから、小畑さんの口から堂々とこの席においてもしもこれを語っていただくことができるならば、おそらくそれはラジオ、テレビ、新聞によって全国津々浦々に報道されて、一そう国民は、皇室はお気の毒だった、しかしながら、今皇室のおかげでわれわれはあらゆる面において非常な恩恵を受けている、ありがたいんだということがわかるかと思いますので、まことに私は当を得た場所だと存じますので、この場所柄、もう少し詳しく、当時の貨幣価値にして三十六億の財産の詳細も、承れれば承りたい。そうしてこれが憲法の改正によって国家に移管された。今は、それが、おそらく貨幣価値が変わりまして一兆となって、厚生省はどの程度、農林省関係にはどの程度、あるいは建設省関係はどの程度のものが大蔵貧を通じて移管されて、そうして今これくらいの果実を生んでおるというようなアウトラインだけでもおわかりにならないかどうか、ちょっとお伺いをいたします。
  33. 小畑忠

    小畑説明員 ただいまお話がございまして、私ども皇室に奉仕いたしておりますものとしましては、まことにありがたいお言葉だと存じております。計数を用意して参りませんので、遺憾でございますけれども、ただいまの三十六億円余の皇室財産の内容は、おもに戦前ございました御料林の関係のものが非常に大部をなしておりまして、御料林関係土地の価格が約十五、六億余の金額かと思います。そのほかには、御料林上に存在しております立木の価格を算定いたしたものが、やはり十四、五億の計数に上っておると存じます。そのほかには、当時皇室でお持ちになっておりました、現在は国立博物館になっております皇室の美術品関係のものがございまして、これがたしか四、五億の評価かと記憶いたしております。それぞれのものは、あるいは林野庁の方に移管されておりまして、現在国といたしまして、営林の目的のために、皇室でお持ちになっておりましたと同様に経営をなさっておるというのが実情でございますし、それから美術品等につきましても、それぞれの国立博物館におきまして、御質問になりました以上に、また今日の目的に沿うような経営のいたし方をしておりまして、非常に大きなところは、この御料林の関係がおもになっており、そうしてその後におきましても、それぞれの目的経営がなされておりますというふうなことでございまして、皇室の直接の関係というのは、今お話しになりましたような、そう大きなものではなかろうかと存じております。
  34. 木村公平

    木村(公)委員 皇室の公の財産のうちで、一番大きかったものは御料林関係である。その他は美術品等の御財産が多かったというお話でございますが、いずれにしても、御料林によって今非常に国家は大きな利益を得ておる。御料林から生まれてくる果実によって非常に大きなおかげをこうむっておることは言うまでもございません。美術品等においても、それは同じようにいえることでございまして、国民はひとしく感謝をいたしておるはずでございますが、これに対しまして、国家は何らの感謝決議もしておらないし、そういうことがうやむやのうちに、当然のことのように思われておるということに対しましては、私どもは、こういう機会を利用して、国民諸君にその点の真相を聞いておいてもらうことが大事なことかと思いまして、一言触れたわけでございます。  次にお伺いいたしたいのは、皇室の経済会議の権限というようなことをちょっと伺いたいと思います。
  35. 小畑忠

    小畑説明員 皇室経済会議は、宮廷費、内廷費及び皇族費の定額を変更する必要がある場合におきましては、これについて内閣に対して意見を具申することができる。前はもう少しいろいろ権限がございましたけれども、ただいまのところは、定額変更の場合の意見具申というのが、皇室経済法及び皇室経済法の施行法に載っております。
  36. 木村公平

    木村(公)委員 そういたしますとたとえば皇太子の御外遊あるいは義宮さんの御結婚というようなことに対して多少の予算の変更を要するというようなときには、皇室経済会議の議に付するということになっておるのでございますか。
  37. 小畑忠

    小畑説明員 先ほど来申し上げましたように、定額の変更の場合につきまして、皇室経済会議意見具申というふうなことが規定されております。そのほか、皇族の身分をお離れになる、あるいは独立の生計を営むというふうなことについての認定の規定が内容にございまして、この認定について皇室経済会議の議を経るということはございますが、御外遊その他の関係につきまして、直接皇室経済会議の議に付するというふうなことにはなっておりません。
  38. 木村公平

    木村(公)委員 皇室経済会議というものは、もちろん内閣の諮問機関で、内閣の諮問に答えて助言をするだけの権限でございましょうけれども、これにかけなければならぬのは、皇室に対する既定予算の変更というような場合には、皇室経済会議に一応の諮問をするということになっておるのではないかと私どもは思ったのですが、ただいまのお話でありますと、その辺があいまいでございます。そういたしますと、たとえば皇太子の御外遊に伴う予算、あるいは義宮の御結婚に伴う予算というものは、皇室経済会議にかけることなく、宮内庁から内閣に伝達され、内閣は国会にその承認を求めるということになるのでございますか。
  39. 小畑忠

    小畑説明員 皇太子さんが外遊なさいます場合でございますけれども、ただいままでのところは、外国との親善関係というふうな公の目的を持った御旅行でございますので、その関係経費は、宮廷費の方から支出されることになっております。義宮様の御婚儀の関係でございますが、これは、一応皇位継承の順位にあられるお方でありまして、その御披露その他につきましては、公的な部分も多少はございますけれども、その大部分はつまり内廷的な御行事でもございますので、内廷費によって支弁されるわけでございますが、そのために内廷費の定額を変更するという必要が起こりました場合には、内廷費定額の増額というような形におきまして、経済会議の議を経るということになるわけでございますが、既定の範囲内の経費でまかなっていけるという場合におきましては、特に経済会議の議を求めるというふうなことはないのではなかろうか、こう考えます。
  40. 木村公平

    木村(公)委員 昨今は国会におきましても海外へどしどし出て参りまして、海外のもろもろの視察をいたしたり、国際会議等も非常に多うございますので、おそらく四百数十名の衆議院の議員諸君のうちでも、一カ年にその四分の一くらいの方が派遣されるような、まことにこれはけっこうな状態だと思うのでございます。そういう意味からいきまして、国民の代表が進んで海外の空気に触れ、国際親善を行ない、さらに外国の長を取り日本の短を捨てるというために、国会の代表が参りますることはけっこうでございまするが、皇室におかれても、かねて皇太子の御外遊ということがしばしば私どもの耳に入っておる。伝え聞くところによりますれば、皇太子も海外へ行かれることを非常に御希望もされておるやに承っておるのでございますが、今の内廷費、宮廷費と申しますか、その予算面から見まして、皇太子の御外遊は大体きまっておりますか、きまっておらないのか。一つその点をお漏らしをいただけないかと思うのです。
  41. 小畑忠

    小畑説明員 皇太子両殿下の御外遊のことでございますが、ただいま内定とまでは参りませんけれども関係国と交渉をいたしております段階といたしましては、パキスタンの大統領がかつて日本においでになりましたので、その御答礼の意味で。パキスタン関係、それからインドネシア、フィリピン関係につきまして、関係国と外務省を通じましていろいろ調査をいたしておるような段階でございます。
  42. 木村公平

    木村(公)委員 宮廷費の追加予算ということがあり得ると思うのでございますが、いわゆる当初予算に見込まれない、たとえば同じ外遊でも構想が違ってくる、あるいは条件が違ってきて、パキスタンとか、インドネシアとか、あるいはビルマ、タイといったような範囲に限局されないで、あるいはヨーロッパへもアメリカへも行かれるというような変更があった場合には、当然当初予算に不足を告げる。そうすると、追加というようなことがあるわけでございますが、追加予算というものをかりに要求されようと思う場合には、これはやはり皇室経済会議に諮問されるのでございますか。
  43. 小畑忠

    小畑説明員 宮廷費の予想されておりまする以外のそうした経費でございますが、そうした御外遊の経費等は、予備費をもって支出するというふうなことになっておりまして、先般のアメリカ及びエチオピアの方に参りました場合にも、予備費をもって支弁いたしております。
  44. 木村公平

    木村(公)委員 そういたしますと、皇太子が御答礼の意味で御外遊なさいますのは、インドネシア、パキスタン、フィリピン、この三国はすでに確定いたしておりますかどうか。
  45. 小畑忠

    小畑説明員 本年度三月までの御予定といたしましては、一応そうした三国関係になっておりますが、長い目で見ての先の御予定というのは、まだ全然ございません。ただいまのところは、本年度中に、おそらく一月中旬以降になろうかと存じますが、この三国というふうなことになっております。
  46. 木村公平

    木村(公)委員 先ほども、一文芸春秋というような大衆雑誌に出ました記事を申し上げて恐縮でありますけれども、御承知通り、文芸春秋というものは、よかれあしかれ総合雑誌としては一番多くの読者を有しておる。そうして権威も持っておる雑誌でございます。しかも、それに天皇陛下に金を貸したとみずから名乗って、はっきり名前も書き、自分の身分を明らかにしてこれを記述しておる。そうしてそのときには宮内庁の長官も立ち会った。宮内庁の長官から電話がかかって、ちょっと来いという話で行ったところが、お金がないから少し貸してくれという話で、恐縮しながら幾ばくかのお金を持参した。そうしたら、陛下から翌日宮内庁長官を通じてみごとな、時価数億円に値するような置き物をお礼のためにいただいた、そういう不謹慎と申しますか、私どもから見るとまことにさたの限りでございまして、当時も心ある国会議員はこれを憤激いたしたのでありましたけれども、すでに記事は発表され、そうしてその後謝罪広告が出た。取り消し広告ならこれはまだ肯綮に当たるけれども、まことに恐縮だった、それがために自分は右翼におどされたというようなことが書いてあったと記憶しますが、いずれにいたしましても、私どもは右翼関係でこれを申し上げるのでも何でもないのであありまして、ただ、ああいうばかげた記事が載って、日本国家の象徴がお金をお借りになったということは、まことに国民感情としては、事実あってもわれわれは隠したいところなんです。それを、私が貸しましたというようなばかげた者が出てくる。これに対して宮内庁は、そういう事実はございませんだけでは、ここは国会でございますから、やはりどうかと思いますので、こういう機会にむしろここを通じて、あなたを通じて——国民にこれは知れ渡ることなんですから、そういうことはないと言うなら、もう少し信憑性のあるような言い方をなさる。そうして文芸春秋に載っておった記事というものに対してはこうい措置をしたとかいうようなことを、一つこういう機会に当局であられるあなたの方から、陛下にかわって宣言をされておきますと、ほんとうに国民は安心をする。あの記事が今なおもやもやしている。天皇陛下におれが金を貸したぞ、そして何かちょうだいものをした、そういうばかげたこと——書く者の頭脳の問題はしばらく別といたしまして、そういう者がいやしくも文藝春秋に堂々と名前も書いて、しかもそれは日本の財界としては、一流とは申せませんが、相当の人物なんです。われわれもよく知っている。おそらく国会議員の中にも知遇の多い人なんです。従って、あれが問題になったときには、あるいは友人連中に頼んで、記事を伏せたかもしれませんけれども、あの記事はおそらく数百万の国民の目に触れておると思います。そういうものは今なお記憶している。われわれの立場からいうと、その書いたものがけしからぬという気持、それから、あるいは別の立場の人はいいことを書いてくれたというかもしれない。いずれにしても、これが問題点となってまだ残っておりますので、今日この機会に、お立場もいろいろございましょうから、あるいはいろいろの資料もお集めになる必要もあろうかと存じますが、いずれかの機会に、そのようなことがないとおっしゃったことの裏づけをもう少し明確になさっておかれたらどんなものであろうかということを、一言ここで贅言でもございますけれども申し上げて、私も質問を打ち切りたいと存じます。
  47. 小川豊明

    小川(豊)委員 昭和三十三年度のあれを見ると、宮内庁の東宮御所の新営費として八千三百五万五千円、年度内使用が五千三百一万四百円、翌年度繰り越しが三千四万四千二百円、昭和三十四年度予算として一億四千二万二千円、前年度繰り越しを合わせて一億七千六万六千二百円ということになっておりますが、この数字は間違いありませんか。
  48. 小畑忠

    小畑説明員 東宮御所関係決算の御質問でございますけれども、東宮御所の建築は、三十三年度及び三十四年度の両年にまたがっておりまして、関係の総工費といたしましては二億三千万、そのうち、建築費関係予算といたしましては二億円というふうなことになっております。決算額も、大体こまかい数字は何でありますが、大体予算通り支出に相なっております。
  49. 小川豊明

    小川(豊)委員 こういう予算を盛られた経過を聞きたいのですが、ここに杉村章三郎という学者が書いた財政法という本がございます。この財政法の中に、「東宮御所の新営に際し四〇〇〇〇万円の予定価格の工事を一万円の価格で落札した業者があったことであり、政府関係当局者は会計法規上は有効と解釈したのであった。一般競争契約の理論や実定法の解釈としては已むを得ないとしても常識的にみて国の会計法規の権威を失墜するような結果とならざるを得ない。」こういうことが書いてあるのです。数年前に——これはあなたの方には関係ないことですが、中古エンジンを一台わずか数十万で政府から払い下げて、そうしてそれを防衛庁に一台当たり二千五百万で売った。防衛庁の方で予算が余っておったから買ったというので、これは会計検査院からむだ使いの標本であるといって指摘されたのであります。ここでこれを扱ったのは間組という土建業者ですが、こういうふうに会計検査院からも指摘され、国会でも問題になった間組が、東宮御所の新営を、当時において四千万となっておりますが、之れを当時一万円で入札した。これは法規上からいって、高いのじゃなくて、一万円であろうと五千円であろうと、安いんだからそこへ落札しなければならなかった経過というものがあったはずだ。それはここにも言ってある通り、会計法規上は有効であると解釈した。「一般競争契約の理論や実定法の解釈としては已むを得ない」、こういうことを言われているわけです。当時の新聞記事で、このことについて、総務長官かが、遺憾ではあるがやむを得ない、こういう新聞談話を発表しているのを私は見ているのです。従って、これは一万円で落札されたものなり、こう記憶しておったわけですが、ここに新しく予算がこういうふうに建築費として二億、総計で二億三千万計上されているとすると、この経過は一体どういうことになっておりますか。
  50. 小畑忠

    小畑説明員 当時の宮廷費に計上してございました東宮御所の予算関係でございますが、これは明らかに皇室費に計上いたされておりましたけれども、之の実行につきましては、会計法によりまして、建設省の方に工事を委託しておりまして、入札その他の関係を建設省の方で運営いたしました関係で、その事実のあることはよく存じておりますけれども、直接の担当は建設省の方でおやりになったということになるわけでございます。
  51. 小川豊明

    小川(豊)委員 入札の業務は建設省でお扱いになったとしても、あなたの方は、これだけ必要だというので予算を要求なされて、予算が組まれた。一万円で入札されたのです。当事者なんですから、入札の業務を取り扱ったのは建設省であったとしても、あなたの方でおそらく重大な関心を持たなければならない問題だと思う。そこで私がお聞きしているのは、四千万も五千万もするもの、ことに東宮御所を作るのを一万円で入札する。本人の気持は別ですよ。一万円で入札するということの常識性の問題です。これは、私どもとしてはとうてい不可解千万であった。ところが、今の法規上は、一万円でも安いのだからやむを得ないのだ、こういう解釈であった。一万円で落札されているわけです。ところが、ここに今見ますと、二億、御説明でも二億ということになりますと、その当然落札されなければならないものが取り消されたのか、本人が辞退したのか、一体その間の事情をあなたはてんで御存じないのですか。
  52. 小畑忠

    小畑説明員 契約を締結いたします方法としまして、競争入札、ことにこの場合におきましては、指名競争入札に付されましたというふうなことは存じておりますけれども、その入札の結果につきましては、今小川先生のお話のように、非常に常識に反するのではないかというふうな御意見もございましたが、まことにその通りでございますけれども、その一万円で札を入れましたその後のいろいろのこまかい経過につきましては、遺憾ながらよく存じておりません。
  53. 小川豊明

    小川(豊)委員 この点はあなたはお知りにならないということですが、あなたは皇室の経済主管でございましょう。従って、こういう営繕とかそういうものはあなたの所管じゃないのですか。
  54. 小畑忠

    小畑説明員 それは負担行為及び負担行為の実行につきましては、建設省の方で運営いたしました関係で、直接は宮内庁の方では担当いたさないのでございます。
  55. 小川豊明

    小川(豊)委員 ちょっと私にはわからないのだが、そうすると、一万円で落札されたのは、今どうなっているか、これはあなたはおわかりにならないのですか。
  56. 小畑忠

    小畑説明員 これは会計法によりまして、各省庁の長は当該各省の所属の予算につきまして他の省に委任することができるというふうなことの規定がございます。確かに予算宮廷費予算に計上いたされておりますけれども、ああした非常に公的な意味の強い建物の建設でもございましたので、建設省の方で担当するというふうなことになりまして、この予算の執行につきましては、建設省の方が責任部局といたしまして執行いたしましたというふうなことでございます。
  57. 小川豊明

    小川(豊)委員 これはいいですよ。所管として、建設の方は建設省がおやりになったということはわかったのです。ところが、一万円で入札されて、今工事されているけれども予算は二億になっているのです。二億という予算が出ているのです。そうすると、一万円で入札されて落札されているならば、一万円で足りるはずでしょう。二億というものが出ているからには、これは落札されなかったものか、辞退したものかになっていなければならない。それをあなたは、それは建設省の方でやったので、私の方はてんで経過はわからないんだ、こういうことでいいでしょうか。
  58. 小畑忠

    小畑説明員 その入札の結果につきましての経緯を御質問になりましたものでございますから、その入札につきまして、なぜ一万円のものについて落札決定をしなかったか、その経緯につきましては責任を持って答弁いたしかねるわけでございますが、ただ一万円じゃないじゃないかというふうなことにつきましては、まさにその通りでございまして、一万円で契約関係が遂行いたされたのではございません。
  59. 宇田國榮

    ○宇田委員 関連して。この問題は非常に当時の新聞をにぎわした問題であって、間組が一万円で入札したけれども、これは当時辞退したか、あるいは建設省は建設業者のおもなものを抜粋というか、抜擢してやらしたというふうにもわれわれは聞いているのでありますが、小畑説明員がその間の事情を知らないことはないと思うのです、管轄違いであっても。その点を……。
  60. 小畑忠

    小畑説明員 それは非常にこまかい問題にとらわれまして、御質問の趣旨につきまして十分御答弁いたしません点につきましては申しわけございませんけれども昭和三十三年の十二月に、お話通り指名競争入札に付されましたような格好でございます。当時指名入札に参加いたしました請負業者といたしましては、建設省の方でお選びになりまして、指名にお加わりになりました業者といたしましては、大林、鹿島、清水、大成、竹中、戸田、間、こういうふうな七業者の競争入札に付されたわけでございます。当時予定価格といたしましては、建築費は約七千万円というふうなことでございましたが、お話通り、間組の方で一万円というふうな札が入ったわけでございます。これは競争入札に付します法規の建前上、予定価格等につきましても、非常に厳重なこまかい規定があるわけでございます。その趣旨からいたしまして、一万円で入札した者につきまして契約を締結するというふうなことにつきましては、お話通り非常に常識に反しますし、法の目的にも反しますので、建設省といたされましては、おそらくその間にお入りになりまして調整がとられたものであろうと推察いたす次第でございます。その結果、関係業苦におきまして、ジョイント・カンパニーと申しますか、建設共同体が作られまして、この共同体の形におきまして工事が遂行されたというふうなことが、実情でございます。
  61. 小川豊明

    小川(豊)委員 私は非常に遺憾だと思うのです。あなたは今予算が幾らであって、何社に対してどうであって、そうしてこれは非常識だから、共同体を作ってそこでやらしたということを答弁なさった。それだけのことを知っていながら、なぜ私の質問に対して、それは建設省の方だから私の方はわかりません、私はそういう答弁というものは——しかも、あなたは経済主管である。所管でなくても、経済主管ならば、その経過というものは建設省から報告されてなければならない。またされていないならば、あなたが報告させるべき任務があるはずだ。それでいて、それだけお知りになりながら、その点の答弁というものは、何とかしてそんなものに触れたくないというふうに考えられるわけです。私どもがここで言いたいのは、間組の方では皇室に対する忠誠だとかなんとか、こうおっしゃるでしょうが、これはほかで表現できるはずです。ほかで表わせばいい。少なくとも皇室の東宮御所までも、売名的なものに使われては相ならぬというのが、われわれの考え方なんです。七千万円もかけなければできないものを、あるいは七千三百万なり八千万なりで入札されても、それだけでもっとよくやるというならわかるけれども、一万円という法外な、全く常識のはずれた価格で入札されているところに、東宮御所ができ上がっても、国民には明朗な感じを与えない。不明朗な感じを与える。この点は一体どうなっているのか、こうわれわれも思っておった。ところが、この予算を見ると、ここに二億以上の予算が出てきているので、私の聞くのは、一万円というのは、当時これは一万円で入札されている、安いのだから法規上落札する以外に方法がないのだという解釈だった。だから、私は落札はされていると思っておったにもかかわらず、ここに二億という予算が出てきているからお聞きした。今あなたの言われた共同体ですか、共同体というものができてやったとすると、この四社か五社が共同して、今度連帯の責任でこの工事の完成をはかる、こういうことではないかと想像するのですが、やはり入札に参加した、指名を受けた人たちがみな入って共同体を作られたものであるかどうか、この点が一つ。それから、一万円入札をした間組は、やはりこれに参加しているのかどうなのか。それから、法規上落札せざるを得ないというのだが、それをこうなるからには、本人が取り消すわけにはいかないでしょうから、本人の辞退を求めなければできないだろうと思います。本人は辞退なさったのかどうか。この間の事情を、あなたは報告をとってあるはずですから、お聞きしたいと思います。
  62. 小畑忠

    小畑説明員 企業体参加の構成でございますが、これは指名入札に参加いたしました全業者が企業体に参加いたしております。  それからもう一つお尋ねの落札の経過につきましては、おそらく間組におきまして辞退したものであろうというふうなことに考えております。
  63. 小川豊明

    小川(豊)委員 この点は、あなたの方で建設省だと言うと、これ以上お聞きしても何ですが、この間国民に与える心理的な影響というのは、非常に大きいのです。従って、この点は、あなたの方でやはりもっと明確にしておくべきです。法律上は、一万円だから、これに落札させなければならぬでしょう。それを今度共同体を作るからには、これは辞退しただろうと私も想像する。あなたもそうお答えになった。そこで、そういうことをした組を入れるのが正しいか——これはあなたと議論になってしまうが、入れるのが正しいかどうかという題問が一つある。皇室を利用したこういう行き方というものは、これは慎ませなければならない。従って、そういうものは排除してやるべきじゃないかと私は思う。これは議論になることだからあれしますが……。  そこで、そうなりますと、今度この論拠なんですが、あなたの方は、建設省にまかせてしまったのだからわからないと答弁されるとそれっきりになってしまうのだが、今度私にわからないのは、そういうふうに運んでいく法律上の論拠、拠点は、どこに置かれてそういうふうに運ばれたのか。一万円で入れて、これはどうも常識っぱずれだから、こんなことはさせられない、だからこうするというのはあなたの考え方です。しかし、そうであろうとも、それをそう運ぶには、よってそう運んでいく法律の拠点がなければ、論拠がなければなりません。それはどういうふうにおとりになられたか。これはあなたの方で御答弁できますか。
  64. 小畑忠

    小畑説明員 それは、一般的な議論の問題としましては、いろいろ御解釈もあろうかと存ずるのでありますけれども、直接の間組のこの一万円落札の経緯につきまして、どうした法的な解釈論拠によりましてやったというふうなことは、私十分承知いたさないわけでございます。
  65. 小川豊明

    小川(豊)委員 会計法の二十九条を見ると、これは原則をいっておりますが、「すべて公告して競争に付さなければなならない。」ということがあって、競争入札というのが原則として二十九条でうたわれているわけです。それでそれを受けて、今度指名競争入札あるいは随意契約をしてもよろしいという条文が、その後に出てきているわけなんです。ところが、そういう今のようなケースを取り扱う条文というのは、この会計法を見ても何を見てもないのです。それでずっと前の臨時特例法的なものがここにあって、それを援用しておやりになったのか、いろいろ考えてみたが、どうしてもこういうケースは、落札してやらなければならない法律になっていて、それをまた本人の辞退——これは強制的に辞退させるわけにいかない。御本人が自発的に辞退をしたとして、今度それを共同体でやらせるという法の裏づけというものが、私にはこれを見ただけではわからないので、どういう法の裏づけによってそういう措置をとられたのかということが、経過と同時に私の知りたい要点であったわけです。
  66. 小畑忠

    小畑説明員 まことに申しわけないのでございますが、この担当についての直接の経緯というふうなことになりますと、それぞれ責任のところでお考えになったお考え方もあろうかと思われますので、それを推測していろいろ申し上げることもいかがかと思うわけでございますけれども、一応お尋ねの点につきましては、契約締結の方法といたしまして指名競争入札に付した、その結果一万円というふうな落札があったわけでございますけれども、それが先ほど来のお話の点からいたしまして、いかがであろうかというふうな点から、企業体に移行したわけでございますけれども、それは落札がありましても、契約の締結がなければ、随意契約その他に移行することができるというふうな法的な根拠があるものですから、そこで落札はいたしましたけれども、次に契約の締結がなかった。その結果に基づいて、直接に契約の締結がない場合というふうなことに当たるものといたしまして、次に企業体と随意契約がなされた、こういうふうにお考えになったのではなかろうかと存じます。
  67. 鈴木仙八

    鈴木委員長 山田長司君。
  68. 山田長司

    ○山田(長)委員 宮内庁の問題につきましては、国会におきまして、とかくはれものにさわるような質問になりやすいのです。やはり会計検査院当局も、会計検査の衝に当たる場合に、普通の場合よりもかなり御苦労なさると思うのです。しかし、その場合に特殊な配慮がなされるものとは考えないのでありますが、そこで私の伺いたいのは、宮内庁に会計検査の批難されるような批難事項というものがないことは、非常に幸いなのでありますが、そういう点については、全然なかったものですか。
  69. 秋山昌平

    ○秋山会計検査院説明員 宮内庁経費につきましては、皇室費につきましては、御承知のように内廷費、皇族員、これは国から支出いたしますと、それから先は、お手元金と申しますか、これは検査をいたしません。それ以上は、公金でございませんので、検査をいたしません。その他の経費につきましては、皇室におきましては、宮廷費、それから宮内庁一般官庁としての経費がございます。この宮廷費宮内庁の官庁経費につきましては、これは一般の官庁と同様に検査をいたしております。今まで検査に参らなかった年はございません。十分検査いたしまして、多少手続の点で注意を喚起したことはございますけれども、特に不当と認めた事項はございませんでした。
  70. 鈴木仙八

    鈴木委員長 勝澤芳雄君。
  71. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、警察庁の関係について御質問をいたしたいと思うのですが、最近税外負担の問題というのがいろいろ問題になっておりまして、その一番中心的なものは、私はP・T・Aなんかの問題が一番発端じゃないだろうかと思うですが、しかし調べてみますと、教育費以外でも、たくさん税金以外に負担している分があるわけでございまして、特に各省ごとに外郭団体を調べてみますと、何々協力会、何々後援会とか、たくさんあるわけです。それが任意だといっても、なかなか現実的には任意で行なわれているわけでなくて、強制任意といいますか、何かそんなような形で出ているわけでありまして、たとえて申し上げますならば、町内会費の問題なんかでも、これは大へん問題だと私も思うのです。一律に取っておるところもあるし、あるいは資産内容によって取っているところもあるし、また、ある村なんかに行きますと、二十階級に分けて、その階級をきめることを自体がボスの温床にもなっているというような形で、大へん遺憾な点があると思うのです。また一方、消防の寄付だ、あるいは学校の寄付だ、あるいわれわれは、お祭りの寄付だ、公会堂を作ったから寄付だという形で、名誉税的なものが出ているわけでありますけれども、やはり税金以外にこういうものを取るということについては、私は、原則的にあまり賛成できないわけであります。  その中で、特にきょうは警察庁の決算でありますので、お尋ねするわけですが、交通安全協会とかあるいは防犯協力会ですか、場所によって名前が違うようでありますが、こういうような団体があるようであります。警察庁関係という言い方がいいか悪いかよくわかりませんけれども民間の外郭団体といいますか、関係されているこういうものが、どんな団体があるでしょうか。ちょっとお尋ねしたいと思います。
  72. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 勝澤委員の御質問にお答えいたします。  警察庁の外郭団体でないとは申せませんけれども、今、交通安全協会とかあるいは防犯団体がございますが、われわれの方といたしましては、これらを単なる外郭団体と申しますか、警察の後援団体的に扱うことにつきましては、ただいま御発言の御趣旨によりましても不適当と思いまして、別個の団体といたしまして、警察との実質的連絡はございますが、それぞれの目的を生かしていくように、われわれの方としては考えておる次第でございます。
  73. 勝澤芳雄

    勝澤委員 今言われましれました警察との自主的な関係団体という意味で、この二つの団体をあげられましたが、どんな団体があるのでしょう。具体的におわかりになりましたら、一つ……。
  74. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 中央におきます団体といたしまして、日本交通安全協会がございます。各府県の段階におきまして、防犯協会とか防犯会とか、これは名称はいろいろありますが、そういうものと、あと一般的に申しますと、交通安全に関する協議会とか協会、この二つが全国共通の組織かと存ずるのでございます。
  75. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうすると、私の理解によると、警察の後援会は、交通安全の方と防犯の方の二色あると思いますが、この団体はどういうふうな形で組織化されておるのですか。
  76. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 かつては警察後援会、こういうふうな団体がございました。しかしながら、これは多分に警察の一般経費不足を補うような目的を持っておりましたので、最近は、いわゆる警察の後援団体的なものの組織につきましては、これを中央においてきびしく戒めておるところでございます。従いまして、交通安全協会あるいは防犯団体それ自体も、いわゆる民間団体としてそれぞれの自発的な組織という形をとっておりますので、組織の形といたしましては、各県によりまして相当差異があるようでございます。
  77. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これ以外に、ハイヤータクシー協会とか自家用車組合なんというのがあるようですが、これはどういう関係になっておりますか。
  78. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 そういう関係は、今申しました意味におきましての警察の外郭団体とは、私の方は心得ていないのであります。
  79. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、かつて警察後援会というようなものがあって、それは警察の費用が少ないので、応援をするという形で作られておった。しかし、今日の段階においては、こういうものはいけないということでやめさしておる。今出ておる団体は、あくまでも民間の自主的なものだ、こういうふうな御答弁ですか。
  80. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 そういう方針において、全国につきまして指導いたしておるのであります。
  81. 勝澤芳雄

    勝澤委員 全国において指導さしているというのは、警察とどういう関係になるのですか。その点がちょっとよくわからないのですがね。
  82. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 今申しました交通安全協会と申せ、あるいは防犯協会と申せ、現在、いずれもそれぞれ民間人がそれぞれの責任者に立たれ、いわゆる自主的な運動になっておりますけれども、それぞれの活動の実態が警察と切っても切れない防犯であり、あるいは交通安全の内容になっております。そういう面において関連が出て参ります。それらの内容につきまして、われわれの方が深く干渉することは不適当と思いますが、実質的関係が出て参ります面において警察に影響している点につきましては、助言を与え、あるいは強制加入というようなことは不適当だ、こういうふうなことにつきましては、われわれの方は発言をいたしておるのであります。
  83. 勝澤芳雄

    勝澤委員 警察庁のお考えはよくわかるのですけれども、それが実際に行なわれている部面を見ますと、大衆は、これは警察の後援会的なものだという理解をしがちでありますし、またしているわけです。そうしてまた、泣く子と地頭には勝たれぬというので、警察を敵に回してはかなわぬというわけで、まあまあ出しておいた方がいいだろう、こういう形になっていると私は思うのです。そして、その会費は大体どのくらいで、その費用はどういうふうに使われているか、把握されている範囲内でお示し願いたいと思います。
  84. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 一般に、かつての状況もございまして、御指摘のような誤解を受けておりますことは、まことに遺憾でございます。ために、その執行機関その他について、われわれの方におきましても、さような誤解のないように、平素において努力をいたしておるのでございます。防犯団体につきましては、県単位の団体におきます経費は、必ずしも明確につかんでおりませんけれども全国の県単位の防犯団体の費用は、大体数億円にわたるのではないかと思うのでございますが、そのうちの相当部分は、県費の負担になっておるものと存じております。それから交通安全協会につきましては、最近全国組織ができたばかりでございますので、実態を表わしておるとは思いませんけれども、むしろ交通安全協会等は、自動車学校経営するとか、あるいは交通の指導教科書を編さんする等において、自主的財源が多い、こういうふうに考えております。
  85. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それで、問題は中身なんですけれども、実はこの間、ある新聞の「もの申す」というところへ、台東区の一商店の人が投書をしたのが載せられておったのを私は見まして、私がまわりを見たときに、これは事実この通りだなという感じを受けるわけです。この中身はどうかと言いますと、各町内会長が安全協会の支部長になっている。そして各町内会に、一カ月三十円から五百円を自動車の台数に従って割当をして会費をとっている。会費の目的は、警察の交通予算を助けるのだ、こういう建前で集めているわけです。中身は、道路の標識をやったり、あるいは交通照明灯を作ったり、道路に塗るペンキを買ったりしているわけです。場所によってはもっといろいろなことがやられておると思うのですが、これは大へん問題になる団体であり、会費の使い方だと思うのです。過般、たしか運輸省の自動車局の問題だと思うのですけれども、陸運事務所の費用が足りないために、こういう後援団体がありまして、役所の人の旅費に使われたり、あるいは春秋の運動会の経費に使われているということで、会計検査院あるいは行政管理庁から指摘されておる。しかし、指摘をされるような形になっておればそれはいいと思うのですけれども、この団体そのものは、任意団体で、法人組織でもないようなお話を聞いておる。そういたしますと、なおさらこれは問題だと思うのですが、このよう交通安全協会あるいは防犯協会というところから、どの程度のものを警察として受けてよろしいという一何か基準でもあるのでしょうか。
  86. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 かような団体から警察の一般経費を受ける、つまり警察が一般経費財源援助を受ける団体の協力という意味におきましては、ただいま申しましたように厳に戒めておるところでございます。交通安全協会等におきましては、府県によりまして相当まちまちでございますが、あるいは交通標識、信号灯等の寄付というような点においては、遺憾ながら受け入れておるのが事実でございます。現在の交通事情は御承知通りでございまして、本来それらのものが国家予算あるいは公費によってまかなわれるべきでありますことは、ただいまの御主張の通りでございますが、遺憾ながらこの点十分でございませんので、さような面において事実上交通の安全のために使われましても、警察の公正を疑われることのない面において、遺憾ながら援助を受けているというのが一般的の現状でございます。
  87. 勝澤芳雄

    勝澤委員 私は、またいずれ機会を見まして、警察の全般的な予算の執行についてお聞きしたいと思うのですけれども、最近の交通事情を見ますと、確かに交通関係で人、予算が足らないということは、よくわかるわけです。ですから、私たちはよく言うのですが、警備部の人を減らして交通に持っていけばいいじゃないか。警備部の方はそうきまった用事がない。まあ予防捜査ということになるのですか、直接的な交通の方は足りない。ですから、そういうふうに考えてみると、何か民間団体で道路の標識を作ってもらう、あるいはペンキの費用は交通安全協会だ、こういうことになってしまうことが、交通関係予算がいつまでもふえないという原因になるのじゃないかと私は思うのです。そういう点から考えてみますと、それが道路の標識とか照明ということですと、これまた大へんな問題だと思うのです。道路標識だって、このごろはペンキを塗っているが、ペンキが薄くなっていれば、みんなこれは安全協会が悪いのだなということになるわけですね。警察が悪いということにはならぬ。あるいはこの辺に信号灯をつければいいじゃないかという場合には、警察の予算がないから、これは協会の役員の働きが悪いのだなということになる。極端なところは、カメラから警察の机、これは交通の係の人の机でなければいけないわけですが、こういうところまで及んでいると思うのですが、その基準というものは、どこに設けておるのでしょうか。
  88. 今竹義一

    ○今竹説明員 昭和二十六年度におきます交通関係予算でございますが、国費は一千万円でございます。大部分が補助金で、一億七千六百万円になっております。この補助金は、地方に参りますと倍額になりますので、交通関係の費用といたしましては、地方予算で三億六千万、こういう勘定になるわけでございます。実態を申しますと、各都道府県におきましても、交通関係の重要性につきましてはよく認識をいたしておりまして、これは建前からいうと、倍の予算を組めばいいのですが、いろいろと県当局のところで三億六千万以上の予算を組んで、交通のもろもろの措置に当たっておる現状でございます。そこで、ただいま勝澤委員からのお話でございますが、ペンキ、道路標識、あるいは信号灯等も、この予算でかなりのものをまかなっております。ただわずかに足りないところを、一部道路標識と申しますか、ペンキ等につきまして、御援助願っておるというというのが現状でございまして、机その他について交通安全協会から御援助願うというようなことはございません。
  89. 勝澤芳雄

    勝澤委員 具体的に、何と何はいいけれども、何と何は悪いという基準があるのですか。その基準があったら基準を、通達を出しておったらその通達を資料として出していただきたいのですが、それはどうなっておりますか。
  90. 今竹義一

    ○今竹説明員 警察の考え方といたしましては、ただいま官房長からもお話しがありましたように、警察の予算の面について外郭団体から寄付金をもらうことは厳重に禁止する。ただ、交通安全協会という民間団体がございまして、その交通安全協会が、協会の事業といたしまして、いわゆる町の交通安全等のためにいろいろな施設をされるということについては、その団体設立目的からいって、そういうこともあり得る、こういう考え方をとっておりまして、警察予算に寄付を取って、それを警察の名前で行なうという建前はとっておりません。
  91. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そのことは私もよくわかるわけです。けれども、道路にペンキを塗る仕事は、これは警察の仕事ではない、交通安全協会仕事だ、こういうふうに割り切ってお答えができますか。その点を明確にして下さいと私は言っておる。程度問題です。
  92. 今竹義一

    ○今竹説明員 道路のペンキ代は、警察のいわゆる道路標示といたしまして、警察の予算で行なうべき建前でございまして、大部分の標示については、私、警察予算でまかなっておると思います。地方の事情詳しくは存じませんが、ある場合には、交通安全協会等においてそういうものをやっていただいておる場合もあるだろう、かように考えておりますが、大部分のものについては、警察の予算でまかなっておると考えております。
  93. 勝澤芳雄

    勝澤委員 PTAなり学校の教育費の問題も、やはり同じことなんです。やはり文部省はそれをやかましく言って、ある一つの基準を作ったわけです。ここまではよろしい。学校を建てるまで寄付金をもらっちゃいかぬ。しかし、オルガンはよろしい。あるいは拡声器ならよろしい。こうなっておるわけです。ですから、私はそれを今お尋ねしておるわけです。大部分のものは警察庁でやっておることも、私は承知をしております。しかしまた、私が見る大部分のものは、警察官と交通安全協会の役員が一緒にペンキを塗っておるということを見ております。それは見たときの現象ですから、お宅の方が詳しいでしょうけれども、しかし、どこにその基準があるのか。机は買ってもらってはいません。カメラも買ってもらってはいません。それは道路標識のペンキ代や、あるいはランプくらいはあります。どこまでが基準になっているのか。その基準によってはだんだん減るでございましょうし、ふくらみもするわけです。その基準をお宅の方で通達として出しているのかいないのか、指導しているのかいないのか、いないならどういうわけなのか、おるなら具体的にどういう基準になっておるのかということをお示し願いたい。こう言っているのです。
  94. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 一例を道路について申しますが、今お尋ねのように、道路の線と申しますのも、これは道交法上の要求のものでございますから、私は、本来ならばこれは道路の一部であろうと思う。従って、新しい道路については建設費の中に含まれておりまして、こういう問題は起こってきていない。従来の面におきましては、警察がこれをやるべきでございますが、経費の不足等におきまして、一部交通安全協会等においてやっておることも御指摘の通りだと思うのです。しからば、どこまでよくてどこまでが悪いかという線を示せという御要求でございますが、私の方は、建前としてはあくまでも予算の許す限り公費で見るべきと思っておりますので、よろしいとは言いかねます。たとえば、警察の後援団体等のごとく誤解を受けやすい経費を受け入れてはならないという消極的な点においてはっきりいたしますとともに、建築費等のごときも、寄付を受ける場合には、できるだけ一般財源に入れて、そういう誤解をなくするようにすべきであるという指導をいたしておるのでございます。
  95. 勝澤芳雄

    勝澤委員 そうしますと、具体的な基準というものはないし、下部にも通達をしてない、こういうふうに今の答弁を解釈してよろしゅうございますか。
  96. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 具体的な個々別々の、これはいい、これは悪いという指示はいたしておりませんが、ただいま申しましたような、警察の執行部の公正さを疑わしめるような金の受け入れということにつきましては、きびしく指導いたし、機会あるごとにそういうことを申しておるのでございます。
  97. 勝澤芳雄

    勝澤委員 それは言葉ではよくわかるんです。しかし、私は先ほどちょっと文部省の例を言いましたが、学校を建てるときに、教室はいけません。しかし、拡声器程度は、現状の中においてはやむを得ないでしょう、こういう一つの基準というのが一応示されて、PTA負担というのは徐々に縮小されているわけです。しかし、この交通安全協会とか防犯協力会というのは、ますます拡大をしているわけです。拡大をしているのはなぜかといえば、それは交通事情に沿ってその設備がなされていないわけです。今警察で人をふやすなら、交通関係をもっとふやしなさい。私は賛成します。しかし、警備の方を減らしたらどうですか。全体的な中でこういう後援団体があることで、その省の中の予算というものを、まあお前のところは雑収があるのだからというような形で置き去りにされてはかなわない。これは、各省を見てもそうなんです。たとえば通産省を見ても、競輪のような、大蔵省に関係のない予算が出ている部分というものは、必ず全体的な中で、お前は余分に入ってくるやつがあるから——運輸省を見れば、モーターボートで上がってくる内燃機関の予算がそうなんですよ。ですから、警察庁を見ても、私はそのことが言えるんじゃないかと思う。それはあなたが、現に今厳重にやらしておる、こう言われておるわけですから、道路標識あるいは交通照明灯という一つの部分的なものがあり、これは基準ができるわけなんです。こんな基準は作れないというほど、今やられておる内容は大へんなものじゃないと思うのです。かりに交通安全協会で、警察の交通関係の方々に、一生懸命やられたから、一ぱいやれ、料亭でごちそうする、私はこれでもけっこうだと思うんですよ。ただ、そのやり方が、大衆がある程度納得するやり方をされなければ困ると思うのです。ですから、その意味で私は、今日のこれからますます輻湊する交通事情をよくするためには、何とかがんばってもらわなければいかぬにもかかわらず、こういうことが足を引っぱるようになってはいけないということで、この問題は考えてみたいと思うのです。それと同時に、警察とは関係がない、こういわれているわけです。これは私はよくわかりませんけれども、各署管内の交通安全協会の総元締の東京交通安全協会は、警視庁の中にある、こう言われているわけですが、これはそういうふうになっているのですか。
  98. 宮地直邦

    ○宮地政府委員 御質問の第一点は、かような団体に依存して、これらの当事者がなまけているのではないか、こういう点かと存じます。われわれ交通安全協会それ自体は、やはりそれ自体の業務があると存じておりますが、決してこれらの業務に責任を転嫁する意味におきまして、これらの団体の育成という問題を考えているわけではございませんで、警察庁予算を見ましても、本年度は、不十分だということは私どもも思っておりますが、一億七千万で、昨年度よりも二千万円増になっており、数年前から見れば画期的に増加をはかっておるのでございます。また、明年度につきましても、われわれの予算編成上の重点事項として、交通関係には力を入れている次第でございますので、あしからず御了承を得たいと思っております。  終わりの交通安全協会の事務所がどこにあるかという点につきましては、現在新聞等に指摘されております通り、警視庁にあることは御指摘の通りでございます。
  99. 勝澤芳雄

    勝澤委員 これは、あなたの方で任意団体で強制加入でありませんと幾ら言っても、警察とうらはらの団体で、強制加入になっているものであると理解されているわけです。極端な例が、免許証をもらいにいけばよくわかるのです。たとえば、自家用車なら自家用車組合の会費を納めなければ、免許証はくれないとは言わないけれども、そっちの方は払ってきたかねということを言われているわけです。極端にいえば、そっちの方の会費の領収書がなければ免許証の交付がなされないというところが、全国にはあるようです。そういうものならそういうものにきっちりしてしまえばいいのです。そうすれば、それがいい悪いということが言えます。結局今のように灰色の形でやるのは最もよくないと思う。  最後に申し上げておきますが、交通関係予算というものは、ふえておりますけれども、少ない。デモ隊が千人しか来ないのに、二千人も三千人も国会の前に警察官が来ている。このように人の使い方の下手な警察はないと思う。それは重点の置き方が違っている。官房長官が幾ら言いわけをしても、国会の方には、千人デモ隊が来たら、三千人も五千人も警察官を出そうじゃないか、交通の方は、交通安全協会の役員に出てもらう。警察官が一緒に一人か二人出て、交通安全協会の人が十人も二十人も出て、ペンキ塗りをやっている。それは確かに交通安全協会仕事かもしれませんよ。しかし、どうもやはり税金以外に、あまりあそこもこっちも金を取るというやり方というものは、この際私は全体的にやめてもらわなければいかぬと思うのです。その意味で取り上げたわけであります。交通安全協会についてこの文を見まして、今あなたの答弁を聞いてみても、どうもますますこれは強制的なもので、そしてなおかつ、警察と関係がないと言われておっても、どうもまだ関係があるような気がしてなりませんので、関係ないという点と、それからこういうものが警察を左右する力にまではならないと思いますけれども、やはり金を出すというところは、その行政についてものを言いやすくなるわけでありますから、もし寄付をしてもらう場合においても、あるいは補助をしてもらう場合においても、ある程度の基準といいますか、一つのものさしというものがあった方がいいではないだろうか、私はこう思いますので、その点を御検討願うことにいたしまして、これは全般的に、各省ごとのこういう団体があるようでありますから、全体的な問題に、私は、別な機会でまた別の対策を立てるようにしていただきたい、こう思っておりますので、以上で質問を終わります。
  100. 鈴木仙八

    鈴木委員長 本日はこの程度にとどめ、これにて散会をいたします。    午後零時二十二分散会