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1961-11-10 第39回国会 衆議院 外務委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十一月十日(金曜日)     午後一時三十七分開議  出席委員    委員長 森下 國雄君    理事 北澤 直吉君 理事 床次 徳二君    理事 野田 武夫君 理事 福田 篤泰君    理事 岡田 春夫君 理事 戸叶 里子君    理事 松本 七郎君       正示啓次郎君    福家 俊一君       堀内 一雄君    稻村 隆一君       黒田 壽男君    帆足  計君       穗積 七郎君    細迫 兼光君       森島 守人君    川上 貫一君  出席国務大臣         外 務 大 臣 小坂善太郎君  委員外出席者         外務政務次官  川村善八郎君         外務事務官         (大臣官房長) 湯川 盛夫君         外務事務官         (アジア局長) 伊関佑二郎君         外務事務官         (アメリカ局         長)      安藤 吉光君         外務事務官         (経済局外務         参 事 官)  佐藤 日史君         外務事務官         (条約局長)  中川  融君         専  門  員 佐藤 敏人君     ————————————— 十一月一日  委員宇都宮徳馬君及び受田新吉辞任につき、  その補欠として田中正巳君及び西尾末廣君が議  長の指名委員に選任された。 十一月十日   委員西尾末廣君辞任につき、その補欠として  伊藤卯四郎君が議長指名委員に選任された。 同日  委員伊藤卯四郎辞任につき、その補欠として  受田新吉君が議長指名委員に選任された。     ————————————— 十月三十一日  一、国際情勢に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託され。     ————————————— 本日の会議に付した案件  国際情勢に関する件      ————◇—————
  2. 森下國雄

    森下委員長 これより会議を開きます。  この際、岡田君より議事進行について発言を求められておりますので、これを許します。岡田春夫君。
  3. 岡田春夫

    岡田(春)委員 議事進行について一言だけ小坂外務大臣にお伺いをいたしておきたいと思いますが、最近どうもこの外務委員会におきまして、外務大臣出席その他の問題について、われわれ外務委員の意に反することが相当目に余るような状態が多いようであります。こういう点については、事例をあげて私はあなたにお話しょうと思えば幾つでもありますが、この際大まかにあなたに注意を喚起しておきますが、どうもあなたのとっておられる行動は、国会軽視考えられるような行動が多いように私たち考えております。そういう点から、今後十分御注意を願わないと、今後において外務委員会の運営上相当重大な事態が起こることもあなたは考えていただかなければならない、こういう点を事前注意を喚起をする意味においてあなたに質問をしておきたいと思いますが、国会の運営、特に外務委員会に対するあなたの御見解は、どのようなお考えを持っておられるのか、ほんとうに国会を尊重するお考え外務委員会に御出席になっておるのかどうか。特に今回の、きよう行なわれます外務委員会においても、当初の約束によれば、四時間ということをはっきりあなたの関係しておる外務省当局者約束をしておったにもかかわらず、急にこのような結果になりました。その事情等を含めて御釈明を願いたいと私は考えております。いろいろ申し上げたい点もございますが、私は、最近国会軽視の傾向がある外務大臣注意を喚起する意味質問をいたしておきたいと思います。
  4. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お答えを申し上げまするが、私は、さような国会軽視など毛頭考えておりません。皆様に十分御協力をいただいておりまするし、円満にこの外務委員会において皆様方の御意見も承り、また私の考え方も述べて参りたい、かように思っておる次第であります。  今日のことについての御質問でございまするが、実はコロンボ・プランへ出席するということが急にきまりましたので、さょうな関係もあり、私の出発を前にして、いろいろぜひ外務大臣にこのことを聞いておいてもらいたいというような外国の使臣の要求等もありまして、若干時間の点で御迷惑をかけたことを恐縮に存じます。
  5. 岡田春夫

    岡田(春)委員 国会軽視をするつもりはないというお話でございますが、しかし、これは名実とも行動の上でも明らかにしていただきたい。私たち外務委員会においては、あなたに言いたいことは幾つかあるんです。たとえばこの間の国会終了直前において中川条約局長がとられましたいわゆる正誤表の問題につきましても、私たちがあれについて大きく、いわゆる見のがすという態度をとらない限りにおいては、単にあの問題だけでも解決のできない問題が幾つかあるわけです。こういう点のこまかい点については私はきょうは申し上げませんが、今後ともに国会軽視するというような態度でないというあなたのただいまの御答弁でございますから、行動の上にそれを明らかにしていただくように強く注意を喚起して、私の議事進行上の発言を終わっておきます。      ————◇—————
  6. 森下國雄

    森下委員長 国際情勢に関する件について調査を進めます。  質疑の通告がありますので、順次これを許します。穗積七郎君。
  7. 穗積七郎

    穗積委員 今お話がありましたように、きょうは時間の余裕があるということでしたので、特に私は日韓会談について、相手政権である朴政権合法性の問題と、それから請求権正当性の問題について、法理的にも今までの御答弁でははなはだ不満でございますから、その点をお伺いしたいと思っておりましたが、大臣の御都合で一人当たり十五分しか質問の時間がないそうです。ですからあらかじめ申し上げておきますが、きょうは私も簡潔に政治的意見について大臣の意向をお伺いしたいと思っておりますから、卒直に簡明に御答弁をお願いいたしたいと思います。  まず第一は、朴政権合法性の問題については、今申しました通り、この前からの質疑応答の中で政府の御答弁ははなはだしく趣旨一貫を欠いておって、われわれ国民納得せしめるものは何らない。また国際的にも同様であるというふうに私は考えております。この問題については、やがて次の機会によく具体的、詳細にお尋ねするとして、いずれにいたしましても、今まで政府が唯一のたてとしておりました一九四八年の国連第三回総会における決議、これが根本的にくずれて、しかも非常に合法性があやしいのみならず、政情はなはだしく不安定でございます。にもかかわらず、今までにない病的な、異常な熱意を持って日韓会談無理やりにでっち上げよう、こういうことをしておられる政治的根拠は一体どこにあるのか、何をねらってそういう態度に急遽変わられたのか。われわれの判断では六月の池田ケネディ会談並びに今度日米貿易経済委員会と言っておりますが、あとに残った骨格は何かというならば、ラスクの日本並び韓国訪問による日韓会談のでっち上げ、それは明らかに韓国に対する経済的、軍事的てこ入れをやって、そして日米防衛線を三十八度線まで急速に伸ばそう、こういう政治的意図しかわれわれには目に映らないわけです。にもかかわらず、この張勉内閣に何ら劣らない、その後の政情も全く権力による弾圧によってのみ維持されておる政権である。国民生活を見るならば、革命が行なわれましてから後に一そう悪くなっておる事実をわれわれは指摘することができます。そういうものに対して日本経済的並びに国際信用をかけてこれに乗り込もうとしておる政治的意図は、一体どこにあるのか。われわれの常識からいきまするならば、今の朴政権が、二年後に選挙による文民政府に移すということを言っておる。少なくともそれを見てから国民の世論なり動向を見て決定すべきであると思うにかかわらず、それをやらないで、無理やりにやろうとしておる政治的意図をこの際明らかにして国民納得のいくような説明をしていただきたいと思います。
  8. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日韓間に正常な国交を持つ方がよろしいというふうに考えておりましたことは、これはもう長きにわたってわれわれはさように考えておるわけでございます。しかるところ、先方政府も非常に日韓国交調整ということに熱意を持つに至りましたので、私どもはこれは大いに歓迎すべきことだと考えて、国交調整がこれはきわめて自然な姿である、本来の姿に立ち至らせたい、こういう考えでおるわけでございます。しからば何を目的にそういうことをやるかということでございまするが、私は韓国の現在の政府が二年後に民主政権に移る、こういう公約をしておりまするが、その移るに先だってもできるだけ民生の安定、民主主義を十分育て上げる基盤を早く作れば作るほどよろしい、かように考えまして、われわれとしましてもすぐ近くにある、またわれわれの非常に長い因縁のある韓国民衆に対して、われわれとしてもできるだけその繁栄に寄与することが望ましいことである、かように考えておる次第でございます。
  9. 穗積七郎

    穗積委員 われわれ社会党といたしましても、当面の韓国との間に横たわる李ライン問題あるいは漁業問題等を解決することには何らやぶさかではない。しかしながら、今度の日韓会談の大きなねらいというものは、そういうなまやさしい問題ではなくて、今おっしゃいましたように、今度の政権について日韓の友好を願っておる、そういう政権であるから云々ということを言っておられますがそこにわれわれはごまかしがあると思うのです。明らかに日本アメリカがこの政情不安で、しかも合法性のないファッショ政権に対して無理やりてこ入れをするということは、韓国三十八度線南に対する日本アメリカ軍事的経済的野心をそこで実現をする。そして韓国を含む反共軍事体制を強化する、こういうことが今度の日韓会談政治的な骨組みとしてわれわれは理解せざるを得ないわけです。その点については何ら説明がありませんが、それでは一体今まで長く韓国との間の正常化を願っておると言われるならば、今までの李承晩政権張勉政権がその安定性——合法性だけでなくて安定性を持っておるかどうかということを検討しながら大臣は今までやってこられたでしょう。にもかかわらずそういうことをやって、しかも後に言うように軍事的かつ経済的てこ入れをしようとしている。そういうことでありますならば、この政権合法性の問題と同様に、安定性の問題に対して何らかの自信のある見通しがあるのかないのか。張勉政権につきましては、ここに伊関さんがおられますけれども京城まで、乗り込んでいって、そうしてつぶさに検討してこられて、この政権は安定だ、安心してこれを相手交渉を進めるべきだ——旬日を出ずしてこれはひっくり返っているじゃありませんか。その後の経済状態はどうですか。この政権は今までの李承晩張勉政権に比較して健全な政府であるなんということを国民に向かってごまかして言っておられるけれども、何が健全でしょうか。政治の基礎は、民心の安定にあります。民心の安定は、経済の安定にある。何らの具体的な説明が行なわれていない。そうであるならば、張勉政権とは違って今までの朴政権安定性を持っておるということを、国民納得していくように、彼とこれとを比較して具体的に説明をしていただきたいと思います。
  10. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 軍事的政治的てこ入れをするとおっしゃいますが、私ども軍事的にてこ入れをする何ものも持っておらぬことは、穂積さん御承知の通りであります。むしろ私は今申し上げたように、近くにある韓国民衆生活、その福祉をわれわれもやはり同じ民主主義基盤に立つ国といたしましてできるだけこれを増進するということは、私はいいことだと思っておるのであります。どこの国ともできるだけ仲よくしていきたいというのが、私どもの方針でございます。先方がそういうことを言うならば、われわれはそれに対して大いに受けてできるだけこれに協力していく、こういうのでございます。  それから政権安定性の問題でございますが、これはほかの国の政府をとかく言うことは私は差し控えたいと思いますが、少なくとも客観的に見られる限り、いわゆる不正腐敗一掃ということの段階を終わりまして、経済的にもっとこれを豊かにするということに非常に努力を現在の政権はしておるというふうに承知しております。
  11. 穗積七郎

    穗積委員 非常に無責任な御答弁ですね。あなたの私財を投じて援助するというなら勝手だけれども、われわれ日本国民税金をこれから多額につぎ込んで、これから無理やり経済安定を背負い込もう、日本国民生活そのものがまだ安定しないのに、このやさきに何億ドルか知らぬけれども、これはあとお尋ねいたしますが、それをつぎ込んで韓国国民生活まで責任を持ってやろう、こういうことであるならば、安定性の問題についての責任のある御答弁がなければ、このようなことをわれわれ国民として許すわけに参りません。  そうであるなら、ちょっと先に飛びますけれどもお尋ねいたしますが、今度の請求権あるいは無償供与あるいは経済協力、そういうごまかし名目をつけて、いずれにしても経済的てこ入れをしようとしておるわけですね。そうであるならば、新政権が持っておる経済五カ年計画の中にこれをつぎ込む。向こう計画でいえば、これに対しては約七億ドルの最低の資金を必要とすると言っておる、その五〇%が八〇%か知りませんが、それをこれからつぎ込もうというわけですね。そうであるならば、政権安定性と同時に、この五カ年計画というものがはたしてわれわれが信頼をしてその船に乗り込むことができるようなものであるかどうか、これを検討なさいましたかどうか。そんな無責任なことで、とにかくあの政権反共政権だからこれを助けなければならぬ、これはまるで政治的かつ軍事的支出じゃありませんか。今まで四十億ドル以上の金をアメリカはつぎ込んで、その間買弁漢奸ども生活を豊かにしただけで、国民生活経済建設には何ら役に立っておらない。それを今度アメリカ肩がわりをして、日本泥沼に金を捨てるようにつぎ込もうとしておる、そんなばかな御答弁というものはないと思うのです。経済生活合理性について、国民納得のいくような説明をこの際していただきたいと思います。
  12. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 経済的てこ入れとおっしゃいますけれどもどもはむしろそういう気持でなくて、さっき申し上げたように近くの国にある韓国の民にやはり平和と繁榮の実を享受してもらいたいそういう気持でございます。もとよりわれわれとでもそうあり余るふんだんな資金、資材を持っておるわけではないわけでございますから、そこはおのずからわれわれの国民経済の許す限度というものがあろうと存じます。しかし、そういうことを通じてわれわれも繁栄し、先方も繁栄するということになるならば、これは非常にけっこうなことだと思っております。  なお、さっき申し上げたように今度の新政権は腐敗不正の一掃ということを非常に強く申しておるのでございまして、もちろん日本からいろいろ各種の協力をします場合に、それは十分に誠意を持って公平にこれが必要な個所に役立つことを、私どもは予想をいたしておるのでございます。
  13. 穗積七郎

    穗積委員 それは、私ども国民の心配に対する御答弁になっていないのです。日本が乗り込んでいって、あそこで経済政策をやり、日本事業家がその金を全部——請求権によって払ったものを無償供与のものを、あるいはまた経済協力のものを全部を向こうでマネージするわけじゃないでしょう。向こう政府がやるのですから。それに対して計画合理性安定性がなければ——今まで四十億ドル以上のアメリカがつぎ込んで、全部それは泥沼に捨てた金なんです。それにもかかわらず、これから日本がやればそういうことにはならない、かの国のためにもなり、わが国のためにもなるという保証が、どこにもないじゃありませんか。それを開いているのです。その合理性を聞いているのです。政府並びに与党の中で、この朴政権安定性の問題とそれから経済五カ年計画に対する合理性の問題について十分なる検討をされておられますかどうか。おられるとするならば、われわれに安心をしてこの金を出すことに協力をしろというなら、具体的な証左を示していただきたい。どういう検討をなしてそういう結論を出しておられるのですか。無責任きわまると思うのです。
  14. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 先ほどのお話の中で、社会党のあなた方も、李ラインの問題その他が解決されて国交が調整されることは歓迎するという御趣旨がございました。私も非常に理解の深い言葉だと思うのであります。そこで今の  お話は、なかなかごもっともな点もたくさんあると私は思っております。それらについて、私も十分私なりに検討いたしておるつもりでございますが、やはり政権安定性の問題については、私は安定するというように考えております。ただ五カ年計画その他の問題は、これはまだ私どもも資料を入手しておりませんので、これについては内容を十分に承知しておらないということを正直に申し上げます。
  15. 穗積七郎

    穗積委員 それではお尋ねいたしますが、安定性の問題について自信を持っておると言われる。それでは一体張勉政権安定磐石だと言って、あなたの方の野田卯一団長も、伊関局長も、そういうことを帰って国民に報告されたわけでしよう。これが旬日経ずしてひっくり返った、落第生じゃありませんか。そういう外務省朴政権張勉政権と違って安定しておると口で言っただけでこれは私も信頼するわけに参りません。具体的な証左を示していただきたい。それからまた今の経済五カ年計画にしてもずさんなもので、まだ見ていない、そんなずさんな答弁では、あさって朴議長が来て池田さんと話をするということになっておるようだが、そのとき一体何を話をするのですか。あの不安定な政権、あるいはまたずさんな経済計画を持ってきておるものを相手にして、請求権問題、あるいは協力の問題、国交回復の問題を話するなんて、話のしようがないと思うのです。だから一体あさっては何を話をされるつもりであるか、ちょっとお尋ねをいたしておきます。そういう不安定な状態で。顔を見て隣の人だからやあ今日はというだけならけっこうだが、国交回復経済協力の問題について具体的な話を軌道に乗せるなんという段階ではないじゃありませんか、あさっての話は一体どういうことを話をされるつもりであるのか。
  16. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 両国が関心を持ち、また関係のあるいろいろな問題について話し合いをすることになると思います。それ以上のことについては、私はちょっと申し上げることはできないと思います。
  17. 穗積七郎

    穗積委員 それは全く無責任な御答弁で、そういう不安定な、しかもきようは合法性の問題をつかないが、われわれの考え方によれば非合法な政権、非合法で、しかも不安定な政権、しかも経済的にはずさんきわまる五カ年計画、それもまだ日本政府検討してない。そういうものが国交回復とか、あるいは協力援助、あるいは請求権に伴う経済援助、あるいは保証の話をされないと、あとになって、検討してみたら、その政権は不安定だ、あるいは経済計画も非常に不確定であった、言質だけは与えるということでは、国民は全く迷惑しごくなことでありますから、そこまで話に入らない、一般的に雑談されるのはけっこうです。私は朴さんという人はファシストですから話をしませんが、あなた方がファシストと話をされようというなら、それはそれだけのことで何も干渉すべきことではない。ところが日本を代表してそういう政治的並びに経済的な話をされるというなら、確たる保証なくして、安心を与えずしてそういうことに対しては、われわれは国民を代表して、国会として承認するわけに参りません。だから、そこには入らないということをここで約束をしておいてもらいたいと思います。
  18. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 その政権が安定しておるかどうかという判断は比較の問題でございまして、これは常識的に豊かなものをお持ちになっておる穂積さんにおいてはよくおわかりだろうと思います。ただ問題は、そういう政権と取りきめた何らかの約束あとに継続するかどうかということだろうと思うのであります。その点については、外交的にはこれは日本との国交調整ということは、ずっとこのごろ韓国側が一生懸命言っておることでありまして、何らかの話し合いが行なわれれば、あとに当然引き継がれるであろうということは、もう私常識的に何ら問題のないことだと思うわけでございます。
  19. 穗積七郎

    穗積委員 時間がありませんから、残念ですけれども、あなた並びに池田内閣忠告をしておきますが、あなた方個人が飛び込んだり、握手をしたりあるいは私財を投じて援助するのは勝手だけれども国民をその中へ引きずり込む、国民税金をその中へ投げ込むということになるならば、今のような御答弁でおやりになるとすれば、われわれはもう絶対反対です。それならそれで決意を示しておやりにならぬと、あなたのためにもならぬし、日本のためにもならない。あなた方が韓国朴政権と心中して、池田内閣が吹っ飛んだということだけなら、私どもはあなたのために線香一本ぐらい上げてあげますけれども、われわれ国民なりわれわれの経済をその中に巻き込まれたということでは困るから、絶対にわれわれは反対しますから、警告をしておきます。  これについて一点だけお尋ねしておきたいのは、この経済援助の中に、あるいはまたその貿易名目、あるいは無償援助あるいは供与、あるいはアメリカのIGAの買付、どういう名目にしろ、韓国に対して日本で生産された武器を輸出するかしないか、あの国へ送るか送らないか、これは重要な問題なのです。かってラオスに対してもそういう問題があって、この国会で問題になったことがある。これについては大臣の言明を得ておきたいと思うのです。武器の送りつけ、供与、あるいは売りつけ、これは絶対に行なわないということをこの際はっきりしておいていただきたいのですが、これは事前に一言お尋ねしておきましょう。
  20. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 非常に友情に厚い御忠告をいただきまして感謝いたしますが、私はやはり人間がまごまごしておるせいもございますけれども、割合に物事は慎重にやっていく方でございますから、そういう点は一つこの小坂におまかせを願いたいと思います。  それから将来の武器をどうかということでございますが、現在の貿易ではそういうことは全然考えておりませんそういう体制にないときに、そんなことを約束するはずはないと思います。
  21. 穗積七郎

    穗積委員 その問題は時間がありませんから、この次の機会に具体的事実をもってお尋ねをして、指摘したいと思うのです。  最後に、これで終わりますが、請求権の問題で、実はその正当性について私は少し政治的にも、かつ法理的にもお尋ねしたいと思ったのですが、時間がありませんから一点だけお尋ねいたしておきます。  今まで韓国側請求権による取りつけと、そのほかの無償援助あるいは経済協力によるものと、ワクを峻別していく、そしてこの間来ました金何がしが下交渉をして、そして日本側はこれらを一括してこれは国民をごまかすために、伊関さんあたりがちょっと頭のいいところを出して考えられたと思うのだが、すべて一括して手づかみで三億ドルないし四億ドルというような話をしておられるけれども、そういうことでいくつもりなのか、一体これはどういう意味のものですか。それと関連して出て参りますのは、日本の在韓財産権放棄法的根拠、これも従来は日本政府は一貫してこの十年の交渉の間、これを主張して相殺論をやっておられた、これが突如としてこのごろは影をひそめてしまっておる。そうして一方的に向こう請求権を認めておる。一体この請求権根拠は何ですか、それが一点。  時間がないから一括してお尋ねしますが、一体これはどういう性質のものなのか。むろん交戦国ではございませんから、戦争賠償権ではないでしょう。どういう性質のものか。それから今の請求権に伴う取りつけとそのほかの無償援助経済協力とのワクの区別の仕方、韓国側はこれを区別しておると言い、こっちはこれを区別しないでふろしきに包んでわしづかみで国民ごまかしてやろう、こういうようですけれども、あさっての会談では一体どういう方針で臨まれるのか、これが第二点。  それから、最後の第三点は、この額についてであります。巷間伝えるところによると、請求権による支払いは、日本側は五千ドル、向こうは今までずっと調べてみますと、最初の間は、二十二億ドルを要求しておったわけですね。それが八億ドルに減り、その次に今後は、最近四億ドルに下がってきておる。何らの根拠はないわけです。半分ずつ減ってきておる。二十二億から十二億、その次は八億、今度は四億、こういうことが伝えられておる。これは何かといえば、請求権そのものが根拠がないからです。何らの正当性がないからだ。何を基準にしてそれをやっておられるのか。この額について、すでに下話を打診しておられるのか。日本政府は、打診の有無にかかわらず、どの程度の腹づもりであさって以後の会談に臨まれるつもりか、その三点について、請求権問題については一括してお尋ねをして、私のあと質問は次に留保して、きょうはこれで終わることにいたします。  再質問しないでいいようにお答え願います。
  22. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まず第一点、請求権の問題について、今まで深く話し合ったことがあるかどうか、これはございません。  第二点の請求権性質についてどう考えるか、これは平和条約第四条(a)項によると考えております。  第三点、すなわち今度の会議でどういうふうにして話を出すか、これは今申し上げるわけには参らないと思います。私どもは私どもなりに十分考えて対処いたしたいと考えております。
  23. 穗積七郎

    穗積委員 はなはだ残念ですが、あと質問者がたくさんおありになりますから、これで終わります。
  24. 森下國雄

    森下委員長 戸叶里子君。
  25. 戸叶里子

    戸叶委員 時間がないようですから、ごく簡単に二、三問質問したいと思います。  まず最初に伺いたいことは、先ごろ第一回の日米貿易経済合同委員会が行なわれたわけでございますが、その委員会が済みました直後、ホツジス商務長官がアメリカへ帰られてすぐの記者会見で、海の向こう側、すなわち日本では期待が大き過ぎて、何か日米間の具体的懸案を処理するかのような観測が行なわれていた、こういうことを発表されまして、私たちは皮肉を言われたような気さえしたわけでございます。  外務大臣は実際にこの会議に臨まれて、いろいろと話し合いをされたようでございますが、一体どういうふうな委員会の成果があったというふうにお考えになるか、その点をまず伺いたいと思います。
  26. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ホツジス商務長官の談話ですか、意見ですか、私も新聞で読みましたけれども、あれは別に特段のことを言っておるわけじゃなくて、初めからあの会議は特定の問題について交渉する会議じゃない、双方が理解を深めるという趣旨で持たれるということを初めから明らかにしておるのでございまして、何か、おそらく質問でそういうことがあったので、そうじゃないんだという話をしたのがそういうように伝わったのかしらんというふうにも思っておるわけでございます。とにかくああいう会議をやって具体問題を解決するということになると、ほかの国でもみんなそういうことができるならやってくれということになってくるわけでございますが、アメリカに対していろいろな交易条件を改善したいと思っておる国が全部それを言い出して——閣僚は十人ですから、そのうち五人の閣僚ないしは六人の閣僚が出るということは大へんなことに違いありません。とてもそれに応じ切れぬということになりますと、またそこによけいな感情も出てくるということでございますから、あれがいいんだろうと思っております。しかし、あの会議においては、確かに日米双方のいろいろな問題点が腹蔵なく述べられまして、双方で大いに理解を深めた、従って、木にたとえれば根が十分張った、そこからふき出してくる芽は非常に強壮な健康的なものであろう、こういう期待は持てると思うのであります。その意味において、昨晩の夕刊に出ておりましたが、ケネディ大統領も非常な成功だった、こう言っておるのは、私どもも全くその通り考える次第であります。
  27. 戸叶里子

    戸叶委員 外務大臣のお答えを何っておりますと、お互いにいろいろな問題を言い合って、そして根を張ったのだからこれから期待できるというようなお話しでございますけれども国民といたしましては、今日の日本経済上の行き詰まり、いろいろな問題を考えましたときに、あれだけ大ぜいの、しかもトツプ・クラスの人が来てくれて、箱根であれだけ大がかりな会議をしたのだから、少なくとも今の日本貿易面で輸入超過になっておる面とかあるいはアメリカ品を優先的に買ったり、アメリカの船を優先的に使うというようなバイ・アメリカンとかあるいはシップ・アメリカンとか、そういうふうな問題を、多少でも改正する方向へ持っていってもらえるんじゃないかというような期待はしたわけでございますけれども、かえって何かしらアメリカの方が、日本からの具体的な対米輸出の拡張ということに対しては難色を示して、押されぎみであったというようなことさえも私どもは間接的に聞いているわけでございまして、国民としてはあれだけのことをしたのだから、何らかの形での実が貿易の面で結んでほしかった、こういうことを期待したわけですが、これは今後に待つということで、今回は何もなかった、こういうふうに了解していいわけでございましょうか。
  28. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 ただいまお話しの中のバイ・アメリカンとかシップ・アメリカンというポリシーそのものの、変更、一般的な変更ということは、これはしばらくの間無理だと思うのでございます。ただ個々の事例において、この点についてはこう改めましょうというようなことは、実は幾つかあるのでございます。しかしこれも時を経て、だんだんそのことが成就するたびに皆様のお耳に達することだと考えております。これは相当な成果が実はあるのでございます。これはやはり一つ一つの事例が解決されたときに、これもその成果、これもその成果というふうに御了承願えることと考えております。
  29. 戸叶里子

    戸叶委員 といいますと、貿易面においても多少の拡大というような成果が上げられるというようなことでございましょうか。
  30. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 さようでございます。私は確信いたしております。
  31. 戸叶里子

    戸叶委員 そういうふうなことがありましたらば、そのときになっておっしゃらずに、やはりこういうふうな具体的な面で解決ができたんだというような事例があったら、ちょっとこの際一、二点でもけっこうですからお述べいただきたいと思います。
  32. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 個々の事例を申し上げることは差し控えさせていただきたいと思いますが、全般的に保護貿易主義というものがアメリカの一部にかなりあるわけでございます。それは誤りだ、やはり自由貿易の線に沿うて貿易を拡大していくというようなことでなければならぬ、あるいは日本が非常に大きなアメリカ品の顧客であるということをもっとアメリカ国民に認識させねばならぬということを各閣僚は非常に強く認識して帰りましたので、これが個々の事例に現われてくるということははっきり言えることだと思うのであります。
  33. 戸叶里子

    戸叶委員 今、日本アメリカの非常にいいお客さんであるということを認識していったとおっしゃいますけれども、このことはもうすでに取引をしていれば、アメリカだってわかっているわけでございますけれども、やはりそうであるから、今後においては、日本にとってこういう問題が有利になるのだというような、具体的な経済的発展あるいは貿易の拡大ということを国民は知りたがっていると思います。従って、そういうことを何らかの機会に、もしあるならば発表していただきたい。しかし、今まで私どもが聞いておりますところでは、アメリカのポリシー自身については、なかなか変えることができなくても、また貿易の面で拡大を願ったけれども、それもなかなかできなかったというふうなことを聞いております。その点をあとで明確にしていただきたいと思うわけでございます。さらにまた日本のある閣僚の中から、今後の連絡のために、あるいは情報交換のために何か一つの機関を設けてはどうかというような話を持ち出したけれども、それがうやむやに終わったというようなことも聞いているわけでございますけれども、その辺のいきさつをちょっと述べていただきたいと思います。
  34. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 情報の交換は十分にいたして参りたいと思っております。ただ外交ルートがございますし、ほかにもジェトロであるとか、IMFとかいうような機関がございますので、そういった機関を通すことが正常のルートであるわけであります。そこでやってみて、さらにそういう機関を作った方がいいということになれば、作ることもあながち悪いことではないわけでありますが、いきなり機関を作るということよりも、そのできるルートでやってみる方がいいのではないかというように私は考えておりまして、そういうふうにいたしたわけであります。
  35. 戸叶里子

    戸叶委員 私どもとすると、今までそういうルートがあって、おそらく貿易の問題についてはいろいろ討議しておられたと思うのです。ところが、今回そういうような会議をお持ちになったので、何か特殊な日本貿易の拡大にとっていい面があるのではないかということを期待していたものですからそれを伺ったわけですけれども、今までのところでは、私どもとしては大して期待すべきものがなかったし、また今後においても、今までのような外交ルートで話し合いをするのだということで、何か成果のないような会議にしか思われませんけれども、ただ私どもが非常に気になり、知りたいと思っておりますことは、二日に池田さんとラスク長官との会談が行なわれたわけでございますが、おそらく外務大臣は、ただ一般の問題を御飯を食べながら話したにすぎないようですよとしか御答弁にならないと思いますけれども、そこで出た問題も何かはあろうと思います。ただいまここで配っていただきました合同委員会のコミニュケを見ますと、大体の様子はここに書いてあるようでありますが、池田・ラスク会談の内容については何も触れられておりません。私は、願わくば内容について少しでも書いておいていただきたかったと思うわけでございます。それはいずれにいたしましても、池田・ラスク会談におきまして、おそらくこの韓国お話も出たと思いますけれども韓国の問題について、ラスク長官が、日本韓国に対して経済援助をすることが望ましいというふうな話をされたように思いますけれども、この点はいかがでございましょうか。
  36. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まず最初の点でございますが、冒頭に申し上げましたように、この会議の成果はこれこれであった、すなわちこの会議をやった結果アメリカはこういう点を譲歩して、これだけ日本に有利な点を提供した、こういうことをすぐに申し上げることは、あの会議を永続させる上からもどうも好ましくないし、ほかの国が要求したときに対しても、アメリカはまた困る事情もあろうかと思います。それはだんだんに事実をもってお目にかけるということを申し上げる次第でございますから、これを御了承願いたいと思います。  それから第二のラスクと池田との会談というものにつきましては、これはもう戸叶さんおっしゃいますように、長い間の知り合いであるので、一緒に食事をしていろいろ雑談をしたというような趣旨で、外務省もことさらそこに立ち入らなかった次第でありまして、ほんとうに友人としての会議であったわけでございます。そうして私もその後様子を聞いてみますと、その通りでございまして、ことに日韓の問題についてアメリカが介入する、こうしたらどうだというようなことについては双方とも全然話し合いがなかったようであります。私は日本の立場といたしまして、日本韓国関係を改善するということは、これは日本韓国の相互の問題でございまして、アメリカはもとより関心を持っていることだと思いますけれどもアメリカによってどうこうということは考えるべきことではない、かように思っておる次第であります。
  37. 戸叶里子

    戸叶委員 アメリカ日本に対して、韓国の問題についてこうしろというように介入したことがあっても、おそらく介入したとはおっしゃらないと思います。非常に気をつかっておられることは事実です。なぜならば、わざわざラスク長官が韓国に行く前に、杉代表に親書を持たして向こうにやって、今度はその親書に対する返答によって朴氏があしたたずねてくるのですから、この辺の政治的な動きは、少し勘のある人間なら大体想像がつくものだと思います。何を言われても、大体そういうことは今までの歴史を見ておれば感ずると思いますが、今ここでそれをとやかく言おうとは思いませんが、ただ問題は、明日来られる朴氏と一緒にいろいろお話をされるわけでございますけれどもアメリカへ行く前に何らかの形で日本韓国との間の問題を解決されるような結論をお出しになるかどうか、この点だけを承っておきたいと思います。
  38. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 日本韓国とは非常に地理的に近い間柄にもありますし、歴史的にもいろいろな因縁もあることでありますので、この際韓国政権担当者がこちらに参りましていろいろ話をされることは、私は非常に意味のあることだと考えております。それ以上のことはちょっと私自分できめるわけではございませんので、どういうことになるかわかりませんので何とも申し上げられません。
  39. 戸叶里子

    戸叶委員 そうしますと、外務大臣が御自分でおきめになるわけにはいかないにしても、何らかの形で日本考え方日本は大体この程度のことで国交の調整をしていったらいいというような点はお示しになりますか、お示しになりませんか。ただ朴政権の言われるがままに聞くだけで、それに対してイエスかノーだけおっしゃるだけですか。それとも日本の方からも日本はこういうふうなことであるという何かを提示されるお考えがあるかどうか、この点を承っておきたいと思います。
  40. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 非常に微妙な問題でございまするが、それはやはり日本には日本考えがあるのでございますから、よくわかっていただいて、誤解のないようにしておいて、ほんとうの友好関係を結ばなければならない、かように思っております。
  41. 戸叶里子

    戸叶委員 私も日本の立場というものもよくわかります。日本の国をだれよりも愛しておりますから、非常にその発言ということには気をつけているつもりです。ただ問題は韓国に対して伝えられるように三億五千万ドルくらいの程度の借款か何か知りませんけれども、一応提示するというようなことになりますと、それは国民税金に非常に影響のあるものであって、外務大臣がかってにそういうものをきめられるわけにもいかないいろいろの面がああるわけでございますので、そういう点を私ども国民の代表としての立場から承っているわけでございます。そこで、日本の立場としていろいろ話をするということはもちろんでございますけれども、その立場として、話すにあたって一体どの程度のことをお話しになるか。大体のことでけっこうですからお聞かせ願いたいと思います。あしたの会談の前日なんですから、やはりある程度のことを発表しておいていただかないと困ると思うのです。
  42. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 これはどうも非常にむずかしい問題でございまして、どういうことをいうのだといわれても、やはりその場によっていろいろとこっちは一本やりでこれっきり言わないのだということでも、これはとげとげしい限りになりますし、できるだけ先方の話も聞き、こちらの考え方も言うということで話をしたらどうか、こう思っております。皆様に御心配はなるたけかけぬようにしたいというふうには考えておりますが、これはまた私自身の心配でもあるわけでございます。
  43. 戸叶里子

    戸叶委員 私は時間がないのでもうやめますけれども国交調整をはかるためにはこのくらいのことはきめておいた方がいいというようなことを提示されるかどうかということがまず一点でございます。  それから第二の問題は、外務大臣も御存じだと思いますけれども韓国で前の新聞社の社長の方たちが、今の政権に反対の態度をとったというので死刑を言い渡されておるわけです。そこで、日本から言うのは内政干渉というふうな御答弁をなさるかもしれませんけれども日本の国内においてもそういう人道主義的な問題はほうっておけない、しかも非民主的である、言論の自由を奪うものであるということで、その減刑嘆願さえもやっておるときでありますので、こういう問題は外務大臣として、日本の立場として言うべきことは言うというお立場から、こういうことはどうかと思うというようなことを当然お話しになってよいと思いますが、この点を確かめておいて私の質問を終わりたいと思います。
  44. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 御意見は承りまするが、どういうことを言うかということは今ごかんべん願います。
  45. 森下國雄

    森下委員 川上貫一君。
  46. 川上貫一

    ○川上委員 外務大臣は四十分までおられるそうですから非常に時間がない。四十分まではいいのですか。
  47. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 三十分に来る約束であったのですが、それを延ばさせただけです。
  48. 川上貫一

    ○川上委員 そこできょうは結論まで質問しません。この問題は非常に重要な日韓交渉の問題で質問するのですから、今後相当御質問を申し上げなければならないところまできておると思います。きょうはその予備的な質問だけいたします。ごく簡単です。  日本が完全受諾したポツダム宣言、これによると、詳しくは言いませんが、朝鮮に関する問題については、「朝鮮ノ人民ノ奴隷状態ニ留意シ軈テ朝鮮ヲ自由且独立ノモノタラシムルノ決意ヲ有ス」というカイロ宣言を受けて、ポツダム宣言は「「カイロ」宣言ノ条項ハ履行セラルベク」と書いてある。ところが朝鮮人民というのは南も北も一緒なんです。南だけに一生懸命政府の方では仲よしをしよう、こういう態度をとっておられますが、端的に聞きますが、三十八度線があぶない。この具体的事実は機会があったら具体的にあげます。あそこで衡突が起こったら日本はどうしますか、どういう態度をとりますか。
  49. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういうような重大な問題を仮定しての御質問にはお答えできません。
  50. 川上貫一

    ○川上委員 だめです。重大な問題だから聞いておるのです。そんな態度はだめです。万一三十八度線で衝突が起こって不幸な状態が起こったときに、日本政府はどういう態度をとるか。このことがしっかりしないで日韓会談を進めることはできません。これははっきり答えて下さい。
  51. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 そういう状態が起こらぬことを希望しております。
  52. 川上貫一

    ○川上委員 起こらぬことを希望しておる——それが起こりそうなんだ。具体的のことはあまり時間がないから言いません。  それでは聞きますが、去る四月二十日に、アメリカのレーダーが間違って、味方の飛行機を敵機だと思って、府中のアメリカの当局に連絡をして、日本におる空軍は臨戦体制をとったということがある。その時分に自衛隊は三十分間にわたって臨戦体制に入っておるはずです。これを外務大臣は知っておられますか。
  53. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 まだ報告に接しておりません。
  54. 川上貫一

    ○川上委員 報告に接していないということは、あるかもわからぬというのですか、ないというのですか。
  55. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 どうもそういうことを言うのは、ないということなのか、あるということなのかということでございますが、私は川上さんに敬意を表して、あなたのおっしゃることでありますが、私は聞いておりません。おそらくないであろうと思います。
  56. 川上貫一

    ○川上委員 それは日本のほかのところにも文書で出ておる問題です。記録に出ておる問題です。全部は出ておりません。われわれの、調べたところでは、これは現われたものがあるのです。外務大臣が知らぬとおっしゃるのはうそです。防衛庁長官はあわてたではありませんか。大臣はほんとに知りませんか。私がここで聞きたいことは、あるのかないのかということをはっきり聞きたいのです。なかったとおっしゃればそれによって私は今後の質問の用意をいたします。あったとおっしゃればそれによって私の質問の用意がある。これをはっきり聞きたい。
  57. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 さっき申し上げたように、私は何も話を聞いておりませんが、ついでに申し上げますと、先般あなたの御質問の中に関連したことで、その後私も調べてみたのですが、どうも御質問のようなことはないようでございますから、一応申し上げます。
  58. 川上貫一

    ○川上委員 今の話を……。
  59. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 今の話は知らない、前の話はない、こういうことなんです。
  60. 川上貫一

    ○川上委員 前の答弁は時間がゆっくりあるときにゆっくり聞きます。私の質問しておるのに答えていただけばいい。四月の二十日の問題を言うておる。自衛隊が臨戦体制に入ったじゃないかということを言っておる。これは具体的に申せばアメリカの現地のレーダーが間違って味方の飛行機を敵の飛行機だと思って、日本の府中の自衛隊に言うてきて、それからアメリカ日本におる航空隊が全アジアに対して指令を出しておる。その時分に三十分間にわたって日本の航空自衛隊が臨戦体制に入っておる。あの時分には立てる旗が通います。上げる旗が違う。その違った旗を出しておる。この事実がありますかありませんかと聞いたら、外務大臣は知らぬとおっしゃる。これは重大な問題です。これほどの重大な問題を、外務大臣は知らない。そんなことはないと言うのなら、それはまた話がわかる。あるやらないやら知らぬということは重要であります。しかし私はこれを深く質問しません。今後の時間をいただいたときに徹底的に質問さしてもらいたいと思う。一体日本の航空自衛隊の総隊司令というのはどこにおるのですか。どこへ詰めておるのですか。アメリカの第五空軍の司令と同じところへおるのか。  ついでに聞きますが、ここにおって実際にはアメリカの航空司令が一定の行動を起こすときには命令を出すときには、日本の航空自衛隊の総隊司令はそのアメリカの空軍司令の線に沿うて、自動的に体制を組むことになっておるはずなんです。これを御承知ですかどうですか。
  61. 安藤吉光

    ○安藤説明員 お答えいたします。日本の空軍司令島田空将は府中におるということはただいま申し上げられますが、それ以上のことは私は防衛庁ではありませんのでお答えいたしかねます。
  62. 川上貫一

    ○川上委員 防衛庁に来てもらおうと思ったのですけれども、防衛庁は留守でだれも見えておらぬ。防衛庁が来られてもこれはあかぬ。事実があるのだから、そんなことなかったと言われたら、あとでえらいことになりまっせ。私はだからと言うておる。三十八度線で問題が起こったらどうなさるつもりでございますか。これを頭のうちに入れないで、何もそんなことは知らぬ存ぜぬで日韓交渉を進めて、国交まで回復して、こんな格好で手をとって、外務大臣どう思いますか。この問題については知らぬとおっしゃるのですから、これ以上私は質問はしません。しかしこういう事実があったということをないとおっしゃるならば、幾らでも材料を出すつもりでおります。これは危険です。日本の自衛隊はその体制に入りました。こういうような危険をちゃんと知っておって、日本韓国が手を握ったら今後どういうことになりますか。これは、私はこれだけでもうおきます。  次の問題は、時間がありませんが、外務大臣韓国には経済的自立があると考えておりますか。経済的には自立しておると思いますか。自主権があると思いますか。ついでに聞きます。二月八日ソウルで締結した韓米経済技術協定の第二条では、予算の編成、全般的、経済的、国家的事業の記録、これらはアメリカが再検討する権利を持っております。通貨、貿易、為替その他一切の経済的主権がアメリカの援助団の権威のもとに置かれてしまっておる。これが韓国です。これは韓米経済技術協定の第三条にはっきり書いてある。この点についてあれやこれやの答弁は要りません。経済について自主権を南朝鮮は持っておるかどうか、これだけでいいです。持っておるとかおらぬとかの御答弁でけっこうです。
  63. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 お答えいたします。持っております。
  64. 川上貫一

    ○川上委員 持っておると言われましたから、私は次の機会に全部それをそうでないことを証明しますから、これに対する答えを事務当局その他へ十分させておいて、この次の機会には大臣おいで下さるようにお願いしておきます。  第ニ点は、韓国は軍事に対する主権を持っておるかどうか。これは一九五〇年の一月に結んだ米韓相互防衛条約、これを見れば明らかです。韓国の統帥権は国連軍が持っておる。しかもこの韓国の国連軍というのはアメリカ軍であります。アメリカ軍一本です。国連の名をかたったアメリカ軍なんです。これが持っておるのです。あれは国連軍じゃないのです。国連軍じゃないという証拠は、あとでハマーシヨルド事務総長がスエズの動乱の時分にはっきり言うております。国連軍として、平和の部隊として来たのは今回が初めてでありましょうと言うておる。朝鮮に一ぺん行ったことがあるということは言うておりません。この国連軍が統帥権を持っておるのです。現に南朝鮮では、弾薬にしてもガソリンにしても、アメリカ軍は韓国軍が二、三日使える分だけより渡しておりません。あとは全部アメリカが握っておるのです。具体的資料は一ぱいありますが、こういう状態のもとで韓国は軍事上における主権を持っておるかどうか。これは持っておるという答えでもよろしい、おらぬという答えでもよろしい、この問題については今後聞くのですから、それだけ外務大臣から聞いておきたい。
  65. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 国連軍を動かしまする場合に、その国連軍が駐在しておる場所の政府がそれについての統帥権を持つということは、これはないわけでございます。
  66. 川上貫一

    ○川上委員 一九五〇年一月に結んだ米韓相互防衛条約にはどう書いてある、これを見て下さい。国連軍が持っておるじゃないか、韓国は渡しておるじゃないか、この条約にあるじゃないか、これはどうなっておるか。
  67. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 あなたの御質問は、国連軍の統帥権を韓国が持っているかいないか、こういうことでしょう。だからそれは持っていないのはあたりまえです。国連軍の統帥権というものは国連軍が持っておるのであって、韓国軍が持っているのではありません。
  68. 川上貫一

    ○川上委員 日本外務大臣がそんなに頭が悪くては因る。私の言っておることは、そんなあほうなことを聞きやしません。そんなばかげたことを聞きますか。韓国には軍事上における韓国の自主的統帥権があるかということを聞いておる、それだけです。
  69. 小坂善太郎

    小坂国務大臣 国連軍に韓国は自主的統帥権を持っていない。
  70. 川上貫一

    ○川上委員 委員長、あんな答弁をしては困るのですよ私の質問には答えておらぬ。国連軍に韓国が統帥権を持ちますか。そんなことは子供だって知っている。人をばかにしたような答弁をしてはいかぬですよ。そんなことを聞いておるのじゃないのです。丁寧に言いましょうか、韓国軍に対して韓国自体が完全な統帥権を持っておるかどうか、これを聞いておるのです。
  71. 伊関佑二郎

    伊関説明員 韓国軍が国連軍の一部として作戦行動をいたします場合には、国連軍の指揮下に入る、こういうことになっております。その他の面においては韓国軍として働くわけであります。要するに、その他の面においては持っておる。しかし作戦が始まって国連軍として動く場合は、国連軍司令官の指揮下に入る、こういうことであります。
  72. 川上貫一

    ○川上委員 弾圧に通ずるだけはやるということですか。戦闘が起こったら国連軍は動きますよ。韓国軍というものが戦闘する時分には、国連軍が動かぬということがありますか。あぶないというのは韓国で戦闘状態が起こった時分のことなんです。その時分の統帥権が問題なんだ。弾圧するだけなら統帥権もくそもありやせぬ。国連軍云々というのは逃げ口上。統帥権というのは一たび戦闘的という言葉、戦争と言うたらよろしい、そういう状態が起こった時分の権利権限の問題です。これが韓国軍と称するものにあるのかということを聞いている。
  73. 伊関佑二郎

    伊関説明員 国連軍として動く場合は、国連軍司令官の指揮下に入るということを申しているわけであります。しかし、それは協定によって、そういうことになっておるわけであります。協定によって国連軍として動く場合には指揮権を国連軍にまかしてあるわけであります。
  74. 川上貫一

    ○川上委員 韓国軍としては戦闘的には動けぬことになっておる。この米韓相互防御条約で韓国軍が戦闘的に動く場合は必ず国連軍として動かなければいかぬことになっておるのですよ。だからクーデターが起こった時分には、やっぱり問題が起こったのです。あれは韓国の中で弾圧ですから、あれは戦闘じゃないのですから、統帥権の問題というのは、この時分には薄いのですよ。三十八度線で事が起こった時分には、必ず統帥権問題は、国連軍として動く格好にこの条約でなってしまっておるのですよ。その時分の統帥権が韓国にあるのかどうかということを聞いておる。国連軍として動く時分ではとか動かぬ時分ではとか、三百代言的な答弁をするのはまじめでないと思う。一体この問題は、法律的な講釈を言うて言いのがれるという問題じゃない。日本韓国と今度手を結ぼうということを事務的にはあなたが中心になってやっておるらしいのだが、この問題は日本の運命、アジアの戦争に関係する問題なんです。世界であぶないのは、西は西ドイツです。東は三十八度線と、南ベトナムじゃないか。この三十八度線、この危険をかかえて日韓会談を結ぼうとしておるのです。われわれはこのことを問題にしておるのです。そこで統帥権の問題をとりあえずきょうは聞いておこうというわけなんです。これはどうなんです。
  75. 伊関佑二郎

    伊関説明員 先ほどから申し上げておる通りでございまして、国連軍として動く場合は、国連軍司令官の指揮下に入る。国連軍以外として動く場合が予想されるかとおっしゃるかもしれませんが、おそらく予想されないと思います。また予想されぬ方が非常にいいと思います。
  76. 川上貫一

    ○川上委員 わかりました。時間が参りましたから私の質問をこれで終わります。  委員長に言うておきますが自衛隊出動体制の問題については答弁がなかった。経済自立の問題についてはあるとおっしゃった。これはない証拠をこの次にあげます。それから統帥権の問題については、はなはだ答弁が逃げ口上である、これは重大な問題である。経済自主権もない、統帥権もない、しかも三十八度線で問題が起これば自衛隊が出なければならぬ、こういうような条件のもとで、ポツダム宣言には朝鮮の独立を承諾しておる、これをしておいて南朝鮮だけと日韓会談を結ぼうとしておる。これは悪くいけば日本の命取りではない、池田さんの命取りになりはせぬか、必ず国民が怒りますよ。この次の機会に、私は重大な問題として発言して質問したいと思いますから、私の質問はこれで終わります。答弁はもう要りません。
  77. 森下國雄

    森下委員長 この際政府側より、去る十月二十五日の委員会における戸叶委員よりの質疑に対する保留答弁に関して発言を求められておりますので、これを許します。佐藤説明員。
  78. 佐藤日史

    佐藤説明員 前国会におきまして、フィリピン共和国との間の友好通商航海条約の御審議を願いました際に、十月二十五日の本委員会の席上で戸叶委員から御質問のありましたフィリピンにおける開港場の問題につきまして、調査の上御答弁申し上げる旨申し上げた次第でありますが、さっそく調査いたしました。その結果判明いたしたのでございますが、今日まで正式御答弁機会を逸しておりましたことは、まことに申しわけありません。本日の機会に、お許しを得まして御報告申し上げます。  フィリピンにおきまして税関の設置されました開港場といたしましては、ガガヤン州のアパリ、バタンガス州のバタンガス、ミサミス・オリエンタル州のカガヤン・デ・オロ、セプ州のセブ、ダバオ州のダバオ、ネグロス・オリエンタル州のドウマグエテ、イロイロ州のイロイロ、スール州のホロ、カマリネス・ノルテ州のホセ・パンガニバン、アルバィ州のレガスピー、マニラ市のマ二ラ、ラ・ウニオン州のサン・フエルナンド、サマール州のサン・ホセ、アルバイ州のタバコ、レイテ州のタクロバン、サンボアンガ州のサンボアンガ、以上十六港となっております。なお御承知の通りわが国におきます開港場と申しますのは、京浜、名古屋、大阪、神戸、関門の五大港を含めました六十八港となっております。  右、御報告申し上げます。
  79. 森下國雄

    森下委員長 本日はこれにて散会いたします。    午後二時四十七分散会