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高橋参考人 原子燃料公社の
現況について御
説明申し上げます。
公社は、ことしの八月ちょうど満五年を経過いたしました。その間、主として国内の
探鉱、それから
技術的な金属ウランの製造
方法について主として力を入れてやって参りました。その結果、
探鉱方面は、最初予想された以上に結果がよろしゅうございます。北海道を除きます国内で、今日まで発見されておるウランの露頭といいますか、存在の位置が約百カ所くらい出ております。そのうち、現実に今大
規模な
開発を行なっておりまするのは、御
承知の
通り、人形峠とそれから東郷両鉱山でございます。
人形峠というのは岡山県側にありますが、東郷鉱山は鳥取県側になっておりまして、鳥取県側の方はやや時間的にはおくれております。しかし、最近になって非常に有望な、露頭が発見され、
仕事が非常に活発になって参りました。今日まで
探鉱に約十四億ぐらいの金を投じております。そうして、主として大半は人形峠、東郷両鉱山でありますが、最初のころは、やはり
外国におけるような鉱脈型鉱床もかなりつついてみましたが、どうも思わしくなくて、これは失敗に終わりましたが、最近は、その苦い経験から堆積型鉱床に全力を注いでおりまして、その費用の大半はその
方面に投じられております。
その結果として、私ともの
仕事の結果の一番重要な問題ですが、埋蔵鉱量として今日までの
調査の結果をことしの五月現在でやりましたが、約二百四十万トンをこしております。それからその品位は万分の七一、これは人形峠と東郷鉱山と両鉱山を合わせた数字でございますが、そのうち、何といっても人形峠の方が多いのでございます。そのうちで、百五十万トンは人形峠の方の埋蔵量でありまして、しかし、品位はどうもあまりよくない、万分の六二という数字が今一応出ております。東郷鉱山の方は新しいが、鉱量切にはまだ未
開発の
部分が多いものですから、それほどまだ計上されませんけれれ
ども、約九十万トンぐらいの鉱量が見られておるのでありますが、品位は人形峠よりもはるかにいいのです。万分の八というふうな数字を示しておりりますので、それを平均したものが、先ほど申した万分の七一、こういう数字になります。
しかし、こういう鉱量は、御
承知の
通り三つの種類に分けられるのでありまして、予想鉱量と、それから推定鉱量と、それから確定鉱量と、こう三つある。これはわれわれ事業をやる場合の
一つの定義のようになっておりまするが、確定鉱量というのは、要するに、企業の対象になる、すぐそれを目当てに
仕事ができるという鉱石ですからこれは間違いのないものと一応見ていい数字でございまして、今のところ、約五十三万七千トンというふうな数字になっております。それは主として人形峠の鉱石であります。また、東郷鉱山の方は
開発がおくれておりますので、まだそこまでいっておりません。従って、品位は万分の八
程度のものであります。その次にやや確定に近くなってきた推定鉱量というのがございます。それが約百万トンあります。これは品位も万分の六八というふうな
程度でありまするが、これはこれからの採鉱がどんどん進んでおりますから、毎月ふえつつあるわけです。これが確定鉱量にどんどん進んで参るわけであります。その他の
部分は、今、予想鉱量というもので、これはボーリングに当たった、いいカウントが出たというときに、その予想を一応鉱量に換算したものがこの予想鉱量で、これが約八十二万トン、合計二百四十万トン、こういうふうになっております。
そこで、これをどういうふうに
開発するかという問題が、今後のわれわれに課せられた大きな課題になって参りますが、何分にも、平均して品位は万分の七になりますから、以前の万分の六よりは幾らかよくなっておりますけれ
ども、もちろんその中には非常に品位のいい千分台のものもございます。特に東郷鉱山になりますと、千分の二とかあるいは二五とか、非常に優秀な鉱石もございます。大体
外国のウラン鉱の品位というものは、千分の一以上が普通のペイ・リミットとして取り上げられておるようでございまして、われわれの現在までのところは、どうも世界のそういう水準よりは少し落ちておるわけでございます。しかし、条件が
外国とまた違いますので、これをどういうふうに経済的に
処理していくかということが、今後のわれわれに課せられた問題点でございます。
大体鉱山関係はそういう
状態でございまするが、一方、東海村の製錬所の方は、先ほど申しましたように、優良なウラン金属、つまり、アクターグレイドといいますか、
原子炉に入れられるようないいウランを作る、そういう
技術の面で今日まで非常に努力して参ったのでありますが、幸いにしてこれは非常に順調に参りまして、一昨々年ですかから、金属が出て参りました。今日まで約二十四トンくらいの金属が出ております。そのうち、
国産一
号炉に約四万トンくらいの金属を提供しております。その他国内のいろいろ
試験用の原料にわれわれが提供しております。しかし、これは、
国産のウランで全部まかなっておるわけではありませんで大半海外から輸入したウラン精鉱イエロー・ケーキによってできたものでありますから、
技術的には成功しておるけれ
ども、しかし、本格的な
国産ウラン的な
国産ウランということには参りませんが、人形峠の鉱石から作ったウラン金属も、かなり、一トン近くまで出ておりまして、その品質も非常によろしい。海外よりもさらに優秀だということが、われわれ
研究分析の結果出ております。今日の
国産一
号炉にそれが採用されることになっておりますから、その結果をわれわれとしては非常に楽しみにしております。東海村の製錬所は、そういうわけで、
基礎研究はもちろん、
基礎研究という名前は当たらないかもしれませんけれ
ども、つまりわれわれとしては、ほんとうの
仕事をやるためのいろいろな
実験が必要でございます。そういう面で、たとえばイオン交換等の
研究とか、あるいは電解還元の操作とか、あるいは還元炉の操作とか、そういうのが本格的に十分使えるような
技術をわれわれとしてはやはりあれしなければならぬので、今日までそういう面にわれわれの力を
相当注いでおります。
一方、できたウランがはたしていいか悪いかの判定を下すための
技術、これは分析
技術はもちろんですが、
化学的よりも、さらに物理的な問題点がたくさんございまして、それが先ほど
石川委員のおっしゃったようなウランの検定の問題に関連して参ります。検定が将来非常に
日本として重要な
部門になりますことは当然でございますが、そのわれわれの
技術、基礎
実験を今盛んにやっておるところでございます。この
方面も、幸い設備の面がかなり順調に整頓できましたので、りっぱなものが――りっぱなといっても、
研究に必要な
程度のもののができましたから、現在も
相当進んでおりますが、三十七
年度にはさらに一そう強化できると思っております。
最後に、金属ウランの価格の
経済性の問題ですが、これがかなり今日までいろいろ混迷を――混迷といいますか
外国の相場の変動が非常に激しいので実はその点においてわれわれはどうあるべきか、われわれのウラン鉱の
開発を、どういう点に
目標を置くかという問題になっております。今日まで海外から約九回イエロー・ケーキを輸入しました。最初に南アから輸入しました。その後カナダから五回、アメリカから三回、最近まで約九回輸入しておりますが、その輸入の価格が非常に変動が激しい。たとえて言えば、南アか、輸入した場合は、イエロー・ケーキ一キロ当たりの値段が、円で言いますと約八千四十三円になります。ところが最近アメリカから輸入した価格は三千二百五十二円、お話にならない。三分の一とまではいきませんけれ
ども、ずいぶえ変動の激しい価格が今日われわれの現実に買った値段になっておりますので、一体これはどういうことをいろいろ
研究しております。要するに、八千四十三円という値段は、アメリカの定価格といわれる八ドル・パーポンドという値段でできました価格であって現在の、今われわれが買うのはそれよりもはるかに安いということは要するに金属ウランは非常にオーバー・プロダクションである、つまり余っておるのだから乱売されておる。ですから少量を買うならば、そういう安いものが幾らでも入るというような現状であります。しかし、はたしてこれがいつまで続くのか、将来そういうものがあるのかないのか一向われわれには予想が
つきませえ。しかしアメリカは、せえだって南米アルゼンチンで
会議のあったときもはっきり言っておりました。八ドルの線は経済的なペイ・リミットだ、それ以下になるとウラン鉱の
開発は困難だだからアメリカとしてはあくまでも八ドルの線を持っていかなければならぬと思って、国内の生産者はもちろん、海外から買う場合でも大体八ドルの線はくずさない、こういうことを言ってはおりましたから、われわれも一応それを頭に入れて、将来大量に国際商品として輸出する場合には八ドル・パーポンドの線、つまり、
日本で言えば一キロ八千何がしという線が大体ノーマルなラインに落ちつくのじゃないかというふうに
考えております。そういう見方から、今後人形峠の鉱石を
開発するにはどういう
技術をもって、どういう資本を投下して、そして、どれだけの鉱量、キヤパンティのものを採鉱できるかというようなことを具体的にこれら
研究していかなければならぬ問題だと思います。三十七
年度の
予算にはその準備として幾らか項目をあげております。採鉱費が生産費の大半を占めておりますがこれは半分が採鉱費ですから、採鉱
技術の
研究が非常に重要だと思っております。先ほど
石川委員の、おっしゃったように、水力採鉱という問題が、今ソ連を
中心として――
日本でも最近
調査団が行っていろいろ
研究しておるようですが、非常に有望だといわれております。われわれも三十七
年度にはそういう資金を設けてやりたいと思っております。それと関連しまして、いろいろと問題が発展すると思いますから、どうか
一つよろしく
お願いいたします。
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