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梶本説明員 率直に申しまして差しさわりがありますと非常に失礼でございますが、
政府の
観光に対する熱意が諸
外国に比べて足りないように私は考えております。
政府と申しますと非常にばく然といたしておりますけれ
ども、と申しますのは諸
外国では、国の
宣伝をする、そして
自分の国へ
外国の
お客さんに来ていただくということについて、国の上下をあげて非常に関心を持ち、それに対して努力をしておる。その
中心をなすものは
観光協会でございます。
日本にももちろん
観光協会がございますし、
イギリスでは
英国旅行休暇協会が
日本の
観光協会に当たるものでございますが、そういったものに対する
政府の補助と申しますか、
政府が非常に力を入れているということをひしひしと感じたのでございます。私
どももその
例等をあげまして、
日本でもこの
観光協会を
中心に
海外活動をもっともっと強化していかなければならない、これを切実に感じて参ったのでございます。たとえば
ロンドンへ参りましてもパリに参りましても、諸
外国の
観光の
事務所というものは堂堂たるメーン・ストリートにりっぱなウインドーを持って、そこにすばらしい
飾りつけをして、道行く人がどうしても立ちどまらざるを得ないような
気持になるような雰囲気で装飾が施されておる。
日本はようやく
ロンドンにこの十一月一日に、私が参りましたときに仮
事務所を設けましたようなわけで、
大野大使のところへ私ごあいさつに参りましたら、大体
日本はおそい、今ごろになって
ロンドンにようやく
事務所を置くなどとは何事だ、戦後何年たっているんだということで、
大野大使から私はお小言をちょうだいいたしたのでございますが、とにかくおそまきながらも
日本としてもそういったことに目ざめて
ロンドンに
事務所を置くことになったのでございますからよろしくお願い申し上げます、ということで
大野大使にごあいさつ申し上げたのでございます。
ほんとうに各国はあらゆるところに
宣伝網を張っておる。
日本はようやくただいまで八カ所になったのです。本
年度、来年の三月にオーストラリアのシドニーに開きますので
九つになります。ようやく
九つに今
年度中になるというふうな情けない
状態でございます。諸
外国は、
ほんとうに
観光協会を
中心にしておる。それは
政府と申しますとやはりえてして
活動が
民間に比べまして歯がゆい点があったり手おくれになったりするような
点等がございますので、
民間の
自由潤達な創意を十分に活用さすへだ、そしてそれによって
外客を一人でも多く引きつけるんだ、こういう
政策のように見受られます。これからは私
どもも
日本観光協会というものを
中心に、それを強化育成していくことが、
日本の
国際観光網の強化ということに
一つの大きな役割を果たしていくんじゃないかというように考えております。
なおお時間をいただいて恐縮でございますが、
実例を申し上げますと、私
ども来
年度の
予算で
ピジタース・ビューローというものをお願いいたしておるのでございます。
ピジタース・ビューローと申しますと、
外人がそこへ来られますとあらゆるものはそこで間に合うという
一つの
窓口でございますが、残念ながら
日本はただの一カ所もございません。ほんとに恥ずかしいことでございます。それが諸
外国へ行きますと至るところに、空港、それから大きな
ターミナル・
ステーション、
都心部というようなところにございます。たとえばそこへ参りまして、きょうどこどこへ行きたいのだがどうだと言うと、すぐそこでスケジュールを立ててくれますし、あらゆること、一切がっさいをそこでまかなってくれるわけでございます。
日本へ参りますと、たとえばウ飼いなら、ウ飼いがあるそうだが、一体どうすればいいのだと言われた場合に、それはたとえば
岐阜なら
岐阜へ国鉄でおいでになってこうすればいいとか、
ホテルはこういうふうになっているということが完璧にお答えできるような
組織に残念ながらなっておりません。それのみならず、それがようやくたとえば一部の機関で果たし得たと仮定いたしましても、キャノンの
工場が見たい、ソニーの
工場が見たい、それに連絡してくれと言われましても、残念ながらわが
観光局に来られましても、
十分満足のいくような
説明ができ得ないのでございまして、その他の
旅行あっせん業者に参りましても大
なり小なり同じことでございます。その他、たとえば
日本に茶の湯がある、生花がある、一ぺんそういったものを実際に見たいのだが、どこへ行けばいいのか、と言われても困るわけなんです。また
日本の
料理屋というものを考えてみましても、
日本にコネクションのついておる
外人ならば、たとえば新橋とか赤坂へ行って、そこでそのフル・コースの和食というものが食べられます。しかしながら
メニュー一つない。
最後まで何が出てくるのだか見当がつかない。
自分の好きなものをセレクトするわけにはいかないというようなことで、これは洋食を食べに行った場合と全然趣が違っておりますので、こういったことについてもわれわれとしてはもっともっと反省をせなければならぬ問題がある、かように考えておるわけでございます。現にその
ロンドンのそういったピシタース・ビューローの例を申し上げますと、
外人が
ロンドンへ参っておる、電話をかけるわけでございます。これは二二三と回せば
日本では時報が出るわけです。
天気予報は二二二で出る。あれと同じように、ダイヤルを回しますと常に
観光のニュースというものが受話器を通して流れてくるわけでございます。これが一回転三分間でございます。その局番は、これは偶然と私は考えておるのですが、ASK、アスクと局の標示を回して、そうして番号を九三〇〇番でございましたか、かけますと、直ちにそれがずっと、きょうはどこでフット・ボールをやっておる、それからどこどこでオペラをやっておる、どこどこの劇場は何時から何をやっておるというようなことが、全部ずっと出るわけです。さらに詳細を聞きたい方はこういったところへ来てくれ、そのもよりのところというのがすなわち
ピジタース・ビューローでございまして、そこへ参りますと、英、独、仏はもとより、
イタリア語も
スペイン語も、あらゆる
言葉ができる方がずらっと並んでおります。そこへ参りまして
自国語で話せばもう直ちに用が足せる、相手方が全部それに応じてやってくれるというふうなことで、国をあげて、
外国から来た
観光客に対して、心からあたたかく迎えている。その中核をなすものが
日本でいう
観光協会、
イギリスでいう
旅行休暇協会であり、その
窓口は
ピジタース・ビューローである。かようなふうにそれを認識して参ったわけでございますが、そうしたことをわれわれとしては、特に三十九年に
オリンピックを控えておりますので、何としてもそれまでにそれくらいのものは作っておきたい。
東京にまず手初めに作りたい。
東京もどっかの
ホテルに作りますとまたいろいろ問題になりますので、できれば丸ノ内のかいわい、
東京駅の付近、
八重洲口のあたりに
一つそういった
窓口を作って、そうしてそこでやっていきたい、私はかように考えております。
それからなお
先生のせっかくの御質問に甘えるようで、非常にお時間をちょうだいして失礼でございますけれ
ども、飛行機に乗ります場合に手
荷物を
チェック・インいたしますが、そういったものが
都心部だとか大きな駅にあるわけでございまして、
一等客ならば御
承知の三十キロの
荷物というものを持ってえっさらえっさらおりてくる。それをそこでちゃんとエア・
ターミナルで
チェック・インしてしまう。そうすると今度は非常に手ぶらになる。そうして
自分の
ふところ工合を考えてそこの
みやげものを買うということで、持っておるその国の
お金を残さず使い果たして次の国へ飛び立つというシステムになっておりまして、知らず知らずのうちに非常にいい
気持を持って
お金を使ってしまわすような
組織がスムーズにでき上がっているように感じるわけでございます。その点
日本は
羽田まで持っていく、
羽田まで
自動車に乗っていくのには一時間以上、ラッシュのときですともっとかかる。そうすると、
荷物が間に合うかどうか気が気でないものですから、おちおち買いものもできない。そうすると円を持ったまま出てしまうというふうなことで、せっかく
わが国に来られた
外客に対して
日本の
みやげもの
なり名産なりを買っていただくチャンスが少なくなるのじゃないか、こういうふうなことを考えまして、将来はどうしてもこういった施設を
都心部に作りたい。できれば、将来のことを申しますと鬼が笑うかもしれませんが、鉄道の例の
広軌幹線ができ上がったような暁には、そういった
ステーションの近くにそういうものが設けられれば非常にいいのじゃないかというふうに私
ども考えて参ったようなわけでございます。とりあえずせめて
東京に一カ所ビジタース・ビューローをぜがひでも来年は作りたい。将来は京都とか大阪とかいうところにもおいおい伸ばしていきたい、かように考えておるわけでございます。