○小平
政府委員 まず第一に、
オリンピックの選手村を朝霞からワシントン・ハイツに、こういう経路をただいまたどっておるわけでありますが、そのいきさつにつきまして御
説明を申し上げたいと思います。
選手村を朝霞にということにつきましては、すでに三十三年当時から選手村については朝霞が適当であろう、こういうことで今日まで進んで参ったわけであります。その間いろいろこまかいいきさつはありますが、それはしばらくおくといたしまして、ただどうしてそういう決定方針で進んで参ったかと申しますと、当時の
状況といたしましては、朝霞の方であるならば選手村を作るに必要な敷地を米軍から返還が比較的容易であろう、そういう前提に立っておったわけでございます。しこうして、こういう返還の問題につきましては、実は選手村のこととあわせまして、水泳場を作るのですが、これは室内になる
関係で、屋内総合体育館、こう称しておりますが、それの敷地も同時に決定しなければならぬという条件にあったわけでございます。そこで
オリンピック組織
委員会といたしましては、この屋内総合体育館につきましては、ワシントン・ハイツの一部、約九万坪
程度を返還をしてほしい、こういう意向でございまして、以上申し上げましたごとく、朝霞の選手村の
関係とワシントン・ハイツの屋内競技場の敷地、この両者につきまして、
政府といたしましては、三十五年の十二月でございますが、米側と折衝をいたしたのでございます。ところが本年の五月九日になりまして、米側から正式の回答がございました。そこで朝霞の
関係におきましては、当初こちら側が要望をいたしましたサウス・キャンプの地点については、
オリンピックの期間中の一時使用はよろしい、しかしそこは返還はできない、それから桃手地区の方につきましては十万坪
程度は返してもよろしい、こういう返事がありました。そこで選手村につきましては、多少地域が違いますが、それでは朝霞を使おうか、依然としてそういうことで参っておったわけであります。一方ワシントン・ハイツの屋内競技場につきましては、ワシントン・ハイツの一部をそういう競技場を作るために使うことは困る、つまり一部返還は米側としても困る、全面返還であるならばよろしい。同時にまた、この先にありますリンカーン・センターですが、これと同時にワシントン・ハイツは全面的に返還してもよろしい、こういう意向が伝えられたわけであります。そこで一応選手村は依然として朝霞、総合体育館はワシントン・ハイツの一部、こういうことを組織
委員会としては、米側から今申した
通りの返事がありましたが、なおかつ、九万坪と最初言ったのでありますが、それを三万坪
程度に狭めてでも何とか一部返還をしてそこに屋内体育館をぜひ作らしてほしい、こういう要望が強かったのでありますが、その点はどうしてもまずい、一部返還は依然としてまずい、こういうことでありましたので、しからば屋内総合体育館をどこか他に適当な土地に求められないか、こういうことで、実はこの八月、九月ごろにかけまして都内数個所について綿密な検討をいたしたのでございますが、他になかなか適当な土地が見当たらない
状況であったわけであります。
そこで組織
委員会といたしましても、何回かそういう事態のもとにどう処するかということについて、組織
委員の懇談会等も持ちました。もちろん
政府側としても十分検討を続けておったのでございます。そうこうしておりますうちに、競技の
関係団体であるとか、あるいは一般の世論でありますとか、そういう方面からも、せっかく、ワシントン・ハイツの全面返還ならよろしいと
アメリカが言うのであるから、これを全面的に利用したらどうか、むしろその方がよろしいんじゃないか、朝霞は選手村として片道四十数分も要する、そういうことでございますから大体遠過ぎるじゃないか、そこで、もう村もこの際ワシントン・ハイツに移してこれを全面的に利用する方がむしろ望ましいのじゃないか、競技の選手の立場からいたしましても、その方がよろしかろう、そういった声が各方面から盛んになって参ったわけでございます。そこで、組織
委員会の方でも、こういった世論もありましたので——多分懇談会の形式で二回やっていると思います。その後正式の総会を二回ほどやりました。第二回の
委員会におきましては、ワシントン・ハイツに選手村を持ってくるといたしましたならば、一体どういう点が問題になるか、こういうことをよく事務的にも検討しようじゃないかということになりまして、いろいろ検討をいたしたのであります。その結果といたしまして、道路の
関係につきましては、若干の困難性が確かにある。しかしながら、ワシントン・ハイツの現在の
建物は大部分実は選手村として活用するわけであります。そういう
関係もありまして、その他の事項としては、食堂であるとかあるいはその他の
施設を若干かりに大会時に設けますならば、今の
施設を大部分使ってやれる、こういうような結論に達したわけであります。ところが、御
承知と思いますが、その間にありまして、東京都議会におきましては、本年の多分五月十五日だったと思いますが、選手村は朝霞にする、こういう決議をされて、またその建前でこの朝霞とこちらの神宮の主競技場との間の道路等の
建設に大いに馬力をかけてこられたわけであります。そういう建前もありますので、今急にこれを変更されても非常に困る、こういうことで、東京都の方の意向がなかなか、要するにはっきりせずにおったわけであります。一方、埼玉側につきましても、若干希望その他は違うかもしれませんが、これも朝霞に選手村を作るという建前でいろいろ期待をいたされておったと思います。そういう
関係もありますので、主として
関係の深い東京都及び埼玉県側との意見を組織
委員会当局が調整することにしよう、こういうことになりまして、そういう事情で、その後東京都と組織
委員会が何回か話し合いをされ、また、都議会は都議会としてそれぞれの会合を持たれた。先ほど申し上げました都議会の全員協議会というのが昨日持たれて、御
指摘のあったような大体五つの事項の要望をされた上で、村をワシントン・ハイツにすることを受諾する、こういったことになったようであります。東京都の
関係としましては、けさほど私が伺ったところでは、さらに今明日にかけまして、なお、何か実行
委員会というのがあるそうですけれ
ども、そういうところでさらに相談をして最後の決定をする。こういうふうに承っておりますし、埼玉側とは明日午後二時から組織
委員会側と意見の調整をやり、最後の決定をなす、こういう
予定になっておるようであります。そこで、
政府側といたしましては、東京都の意向も大体固まって参ったわけでありますから、明朝
関係閣僚の懇談会を持ちまして、東京都が要望されておる事項等を検討いたしたいと存じております。埼玉側の要望につきましては、明朝は間に合わぬかと思いますので、それは追って追加して検討をいたしたい。なお、その閣僚懇談会の結果によりますが、でき得れば明後日、おそくも来週の火曜日あたりの閣議等において、
政府としてはこういう方針でいきたいという閣議の了解も求めたい、ただいまのところさように考えております。
そこで、東京都の五つの要望事項が一番問題なんでございますが、これらのことにつきましては、けさほど鈴木副知事から詳細御報告をちょうだいして拝見いたしましたところ、別段
政府側として問題になるようなこともあまりなかろうと私としては存じております。特に一番問題なのは、生先御
指摘の
通り、道路の
関係でございます。この道路の
関係につきましては、朝霞に選手村ができることを前提として進めて参りました従来のいわゆる
オリンピック道路と称するものが二十三本あるそうであります。しかし、この大部分はもう国の道路五ヵ年
計画に入っておるものでございます。従って、たとい選手村がワシントン・ハイツに移りましても、これらにつきましては従前の方針
通りの工事を進めていく、こういうことに
政府としてもおそらく異存がないでございましょう。これは最後は閣議に諮らなければなりませんが、ただいままで私の
承知しておるところではないものと思っております。それと同時に、選手村が新たにワシントン・ハイツに移る
関係からいたしまして、若干道路の改修等をいたさなければなりません。これは、都の要望によりますと、環状四号線と補助二十四号線との立体交差、それから環状五号線と明治神宮表参道との立体交差、放射二十三号線のハーフカット、これだけは少なくもやらなければならぬ、こういうことでございます。この三者で大体七億ほどの
予算が要るそうでありますが、これらはいずれも新たなる用地の買収を要しないでできるところであります。もちろん、十全を期するということになればさらにやらなければならぬ点もいろいろございましょう。しかし、一応この
程度のことをやりますならば、さらに交通規制等を適切にやりますならば、まず選手村の運営もできるではないか、こういう見方をいたしておるわけであります。
なお、先ほどの道路
関係でもう
一つ落としましたが、第四としては、選手村北端の高速道路四号線のランプウエー、これもつけなければならぬそうであります。これは五億かかるそうでありますが、帝都高速度交通営団がやる、こういうことに相なるわけであります。
その他のことにつきましては、たとえばワシントン・ハイツについては、
オリンピック終了後東京都の森林公園にする、これはかねがねそういう
計画でありますが、今度利用するハイツにある
建物は十五、六年たっている木造のものが大部分でございますから、終わった後にはこれらを撤去して公園にするということについても別段問題はなかろう、かように考えております。
以上のような次第でありまして、まだ最終の結論には達しておりませんが、大体選手村はワシントン・ハイツ、またこれをめぐる高速道路の問題につきましても、東京都側の要望に沿うて
政府も善処して参る、こういう方針でただいまのところおるわけであります。