○関
説明員 お答え申し上げます。
今御指摘のようなことは私ども毛頭考えておりませんが、大体今
合理化ということが盛んに言われておりますし、また私どもも
合理化しなければならないと思っておりますが、これは
労働強化になったり、そういうようなことじゃなくて、むしろ
合理化によって
労働環境もよくなれば、それでしかも生産性も上がるというようなことを考えていかなければならない、これがわれわれ技術をやる者についての
責任だ、こういうふうに考えております。
それで今の工場の問題につきましては、御
承知のように三十二年度に動力
近代化ということを決定いたしまして、これによっておおむね昭和五十年までには蒸気機関車を全部なくして、ディーゼルと
電気にしてしまおうということの方針をきめたわけでございます。
国鉄の
合理化というのは動力方式の
近代化ということが大きな軸になっていくわけでございまして、これをしませんと、たとえば蒸気機関車でもつて今までの
通り輸送をやっていくということになりますと、五十年ごろには大体
輸送量は七、八割ふえる、そうするとこの蒸気機関車を扱う
人間も七、八割ふやさなければならないということになりますから、せっかく
輸送量がふえて増収になりましてもそれが全部経費に食われてしまう。これを何とか
合理化していかなければならないというのが動力
近代化の趣旨でございまして、この蒸気機関車がなくなって、
電気機関車、ディーゼル機関車、または
電車とかディーゼル動車というものになりますと、今までの工場の中の設備というものは御
承知のように蒸気機関車を主にしまして、たとえば鍛造とか鋳造とか製罐とか、こういうものが主一役をなしていた工場の中の職場が全く一変しまして、工場の中が非常に変わります。そうして設備を新しい動力車に対応するようなものに必然的に変えていかなければならないということになります。その場合に各工場を全部そういうように変えるということになりますと、大へんな投資にもなります。またこの新しい動力車の性質上、これは部分々々を分担して
修繕して部品を取りかえていく、そうして本来の機関車なり動力車なりの使用効率をどんどん上げるという方向にいくわけであります。こういう点で工場の中の
修繕設備または区の
修繕設備というものが全面的に変わらざるを得ない。そこでその変わるのをできるだけ集中して、投資するところは十分りっぱな設備にして、
労働環境もよくすれば、
作業能率も上がるようにするようにしようというのがこの
車両検修
委員会の
計画でありまして、決して工場だけを軽視してこれを縮小整理してしまうのだ、
車両なんかの状態はどうなってもいいのだということでなくて、
車両の状態もよくし、働く人の環境もよくして、しかも能率が非常に上がるというような方式に切り変えるというのが私どもの
目的でございます。そのために、たとえば直接運転に携わる庫にしましても、これを非常に統合整理して、統合したところの庫はりっぱな設備に
——御
承知のように工場で申しますと大井工場なんかはこの二、三年の間に約三十億の投資をいたしまして非常に整備して、明るい、
作業環境のいい、
電車の専門工場にするというようなことをやっておりまして、これは今度の
車両検修
委員会で工場として残すことにした工場は順次整備していって、環境のいいりっぱな設備にしていきたい、こういうように考えておるわけであります。決して
車両検修
委員会は工場を縮小整理するというようなことでなくて、むしろどこを残すか、どこを残さないかという目安をきめて、それによって残すところは十分な設備投資をして、しっかりした設備にしていきたい、こういうように考えておるわけであります。