○山口(丈)
委員 ただいま議題となりました
踏切道改良促進法案につきまして、日本社会党を代表して二、三要望を兼ねて討論をいたしたいと存じます。
本
法案は、最近の
道路交通のひんぱん化に伴い、
自動車事故等の激増するのを防止するために
鉄道踏切の
改良を
促進せんとするものでありまして、その趣旨につきましては私どもあげて賛成をいたすところであります。しかし、本
法案をただいままで審議いたして参りましたところを見ますると、多くの矛盾点やあるいはまたこの
法案を改正すべき諸点も多々あるのであります。しかも審議の過程で明らかになりましたように、
政府が行政上
法律をもってこの
踏切道を
改良するゆえんは、今まで業者によってのみ行なわれておりました
踏切改良工事に対しまして、いわば国が
法律によってある
程度の強制力を持たそうとするものであります。こういうことでありますから、当然その強制力に対しては、政治的にも行政的にも確固たる資金的あるいはまた補助的
責任を明確にすべきものだと思うのでありますが、本
法律案の内容を見ますと、そういった重大な点に関しまして積極的な施策がないことが不備の第一条件であります。もしこれを解決しなければ、いかに
法律を作りましても、この
踏切道の
改良を
促進することは不可能だと思うのであります。従いまして今後におきましてはこれらの点に特段の注意と努力を払われるよう要望いたす次第であります。
第二に申し上げたい点は、この
法律案が提案されました前
国会から、相当の時日を要しておるのであります。しかるに、今日この
法案審議の過程におきまして、
建設省、
運輸省等、当
法案に
関係のある
各省におきまして、いまだこの法施行に伴う
踏切道の
改良基準等についても、何ら示されるところがないのであります。承りますと、それは時間的な制約等もあって、その
基準を示すことができなかったとの答弁でありますけれども、それは私どもの納得し得ないところでありまして、今日まで時間的な余裕は十分にあった。しかもこの
法案は時限立法の性格を持ったのでありまして、五ヵ年という期限を付したものであります。しかも本年度はすでに会計年度では半ばを経過いたしておるのでありますが、いまだにその
基準すら示されないということは、私はその裏に、この法を施行するにあたって、いまなお
建設省、
運輸省において、それぞれ経費の負担あるいは国庫の補助、融資の問題等が解決されていないことを物語っておるのではないかと思うのであります。これでは本年度この
法案が
通過いたしましても、実際にはその
計画を実行に移すことは不可能ではなかろうかと思うのでありまして、実質上は三十七年度からの
実施ということになるでありましょう。それでは今まで
運輸行政一般の問題として、第二次五ヵ年
計画を策定されたその
計画とも大きな矛盾を来たしてくると思うのであります。こういうことではいわゆる仏作って魂入れずという結果に陥るのであります。こういうような
措置がいまだにとられていないということは、国民に
建設省、
運輸省がこの
法律に伴う
踏切道の
改良促進に対してどれだけの熱意を持っておるか疑われてもいたし方がないと思うのであります。従って今後におきましては早急に
建設省、
運輸省、大蔵省等、それぞれ
関係各省におきまして、一刻も早くその
基準をきめていただきたい。これは社会的に、
道路交通のひんぱんになったことが原因となっておるのであって、業者の、いわゆる
鉄道側の
交通の頻度によって起こるものとも考えられないような事態もあるのであります。従って、これはやはり
踏切道法によって強制をいたします場合には、一そう行政的
責任は重大だと私は思うのであります。しかるにその裏づけのない
法律案を作って強制するということは、まことにもって本末転倒のやり方といっても過言ではございません。それゆえに、ただ経営者のみではありません、労働組合等もあげてこの
法案の修正を要望されていたのであります。しかし審議の時間的な
関係もあり、会期の
関係もありまして、一応私どもは、従来とは違って
踏切の
改良に関して一歩の
前進であることを認め、賛成をいたす次第でありますが、以上申し述べましたような事案について今後
法案の不備についてもその改正のために特段の努力をせられるよう希望いたしまして、賛成討論といたします。