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1961-10-17 第39回国会 衆議院 運輸委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年十月十七日(火曜日)    午前十時十六分開議  出席委員    委員長 簡牛 凡夫君    理事 關谷 勝利君 理事 高橋清一郎君    理事 塚原 俊郎君 理事 福家 俊一君    理事 山田 彌一君 理事 井岡 大治君    理事 久保 三郎君 理事 山口丈太郎君       伊藤 郷一君    生田 宏一君       宇田 國榮君    木村 俊夫君       佐々木義武君    壽原 正一君       砂原  格君    高橋 英吉君       西村 英一君    加藤 勘十君       勝澤 芳雄君    西宮  弘君       肥田 次郎君    内海  清君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 斎藤  昇君  出席政府委員         運輸政務次官  有馬 英治君         運輸事務官         (大臣官房長) 廣瀬 眞一君         運輸事務官         (海運局長)  辻  章男君         運 輸 技 官         (港湾局長)  坂本 信雄君  委員外出席者         警  視  監         (警察庁保安局         参事官)    富永 誠美君         運輸事務官         (港湾局参事         官)      岡田 良一君         運輸事務官         (自動車局長) 木村 睦男君         運輸事務官         (航空局長)  今井 栄文君         専  門  員 志鎌 一之君     ————————————— 十月十三日  踏切道改良促進法の制定に関する請願橋本龍  伍君紹介)(第三三八号)  首都の交通緩和及び防火都市建設促進のため第  二京浜・東北国鉄線敷設等に関する請願(花村  四郎君外三名紹介)(第三七二号)  今津、塩津間国鉄線早期敷設に関する請願(  草野一郎平紹介)(第四七五号)  鹿児島の空港整備拡充に関する請願池田清志  君紹介)(第五二七号)  国鉄東海道新幹線敷設に伴う用地買収費及び物  件補償費適正化等に関する請願松本一郎君  紹介)(第五九七号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  小委員の辞任及び補欠選任の件  都市交通に関する小委員会における参考人出頭  要求に関する件  陸運に関する件  海運に関する件  航空に関する件  港湾に関する件      ————◇—————
  2. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 これより会議を開きます。  この際、観光に関する小委員補欠選任についてお諮りいたします。  小委員加藤勘十君及び内海清君が先般委員を辞任されたため小委員が欠員になっておりましたが、両君が再び委員に選任されましたので、再度加藤勘十君及び内海清君を小委員に指名することとし、また小委員高橋英吉君より小委員を辞任したい旨の申し出がありますので、これを許可することとし、その補欠として福家俊一君を小委員に指名いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。      ————◇—————
  4. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 この際お諮りいたします。  都市交通に関する小委員会において、今後調査の必要上、都市交通の現状及びその対策等について、地方公共団体交通営団等意見を聞く必要がある場合において、小委員長より要求があれば、これら関係者参考人として招致し意見を聴取することといたしたいと存じますが、これに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議なしと認め、さよう決しました。  なお、参考人選定及び手続等につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  6. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 御異議ありませんので、参考人選定等につきましては小委員長と協議の上決定いたしたいと存じます。      ————◇—————
  7. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 陸運に関する件について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。露原正一君。
  8. 壽原正一

    壽原委員 先週の質問で残余のものが残っておりましたので、その件について質問をいたしたいと思います。  自動車局が今回ドライブクラブナンバーを白に返したという根拠がどこにあったか、それをお聞きしたい。
  9. 木村睦男

    木村説明員 ドライブクラブにつきまして、今日までの経過をまず簡単にお話し申し上げたいと思います。  日本に貸自動車の形が実際行なわれ出しましたのは、昭和二十六、七年だったかと思います。そのころはもっぱら、今の普通の乗用車ではなくて、小型の乗用車とかあるいは三輪車というものの貸自動車から端を発しまして、だんだんこれが普及されるに至ったわけでございます。昭和三十年から三十——年にかけまして、今日のように普通の乗用車を借りて運転するということがだんだん盛んになってきた。当時はまだそういうはしりのときでありましたので、あるいは交通事故を起こすとか、あるいはこの貸し車を借りていろいろな犯罪の手段に使う、いろいろ問題がありましたので、運輸省といたしましても、この貸自動車の形を認めるにあたりまして、ます見やすく一見わかるようにという意味から、車両番号標を普通の自家用乗用車とは違いまして、黒地に白のナンバーを入れることになったわけでございます。その後、御承知のようにだんだん自動車熱が高まりまして、運転免許をとる人も非常に多くなって、いわゆる借り自動車熱というものもだんだん盛んになって参りましたのですが、一方車を借りる側からいいますと、どうも黒字のナンバーということは縁起をかつぎまして、たとえば葬式ナンバーとかなんとかいって借りる者が非常にきらいまして、勢い正式の貸自動車事業をやっている者から車を借りなくなるという状態になって参りましたので、一昨年この黒の地色を変えまして、先般まで実施して参りましたピンク色の地に文字を書いた車両標によっておったわけでございます。その後今日まで数年経過したわけでございますが、その間正規の貸自動車事業に対します当局の監督も相当厳重にやって参りましたし、また一面貸自動車による事故あるいはこれを犯罪の用に供するというふうな傾向もだんだん減って参りました。よく新聞紙上等に、ドライブ車事故を起こしたというふうな記事も散見するのでありますが、これはドライブクラブの車ということではなくて、ドライブ中の車が事故を起こしたということをそういうふうに表現をされるために、ドライブクラブの車だというような誤解を起こしておるというふうな例もございました。一方貸自動車の形は世界的にだんだん発達して参りまして、すでに諸外国におきましてはりっぱな事業として育成し発達してきておるのでございますが、ひとりわが国だけそういった歴史が浅かったために、またいろんな点を配慮いたしまして特殊の扱いをしておったのでございます。すでに数年を経過いたしましてだんだん本格的な貸自動車形態を認め、諸外国並みにこれを上げても決して弊害も起こるまいというふうにわれわれは見たわけでございます。また一面現在までの貸自動車の形式は、たとえば外人が帝国ホテルに泊まりまして、車を借りて地方に出かけたいというふうな場合でも、帝国ホテルまで車を持ってこさせてそこで使うというふうな形でございませんで、貸自動車の事務所まで本人が出かけていかなければならないというふうにいろいろ実情に合わない点も多くあります。また車の整備にいたしましても、従来は自家用車並み、つまり一日の走行キロ自家用ですと営業車に比べて当然少ないわけでございまして、従って車の整備基準等自家用並み基準のもとに置いておったのでございますが、これはやはり安全の見地から営業車並み整備基準適用を受けるべきであるというふうに考えましたし、また一方ナンバー標が単に普通の車と違うということだけでこれをきらって、いわゆる許可を得ていない普通の車の所有主から車を借りて使う傾向がだんだんふえて参りましたので、ただ単にナンバー色彩を特異にしたためにそういう傾向に追いやることもいかがかと考えまして、この際本格的な貸自動車形態に持っていき、あわせて整備基準あるいは貸借の契約、約款等につきましても厳重な規制を加えることによって車を借りたい者は正規の貸自動車の法の適用のもとにりっぱに整備をされた車を使い得るような方向に持っていってもう差しつかえない時期であろうと考えて、今回の措置をとった次第でございます。
  10. 壽原正一

    壽原委員 局長説明を聞いておると、事務的には万全な策を講じておるからとか、今までドライブクラブ貸し車事故が少ないとかいう立場に立っておるようですが、あなたのおっしゃっていることと実態とはちょっと違うのではないか。あなたは運転経験もなければ、運転したこともない人でしょう。私らは年じゅう運転して歩いて町の実態を見ているのだが、ドライブクラブの車がどうして事故を起こさないかというと、ドライブクラブというものは町の練習車ということに一般自動車を扱う者は考えている。そこで、免許証をとって間もない者あるいは学生、そういう若い未熟な者がドライブクラブの車で町の中を練習をしている。そのナンバー色彩がはっきりわかるというと、あの車はドライブクラブの車であるから気をつけなければいかぬというので、外部の者が気をつけるから事故がない。そのもの自体事故がないということじゃないのですよ。あなたはそういうことを知らないでしょう。ドライブクラブの車を今度白ナンバーにしたということは、また昔のような混乱を招く憂いがあるというふうにわれわれは考えておる。あなたは葬式ナンバーとか桃色ナンバーとかいって、どこでどう陳情を受けてやったか知らぬが、たとえば業者が黄色のナンバーは工合が悪いからハイヤーだけでもせめて白ナンバーにしたらどうかという陳情を受けたら、それをあなたはやりますか。ドライブクラブだけをどうしてそう保護しなければならぬのですか。諸外国の例を見ると、ドライブクラブの車のナンバーはだれが見てもはっきりわかるようにきちんと色彩をつけているところが多いそうです。そういう見地から見て、このナンバー白ナンバーにして犯罪の防止をはかるとしても、それはかえって逆効果になりはしないか。ドライブクラブの車を使って犯罪をやった、あるいは一般事故を起こしたというとき、あれを見るときは何といってもナンバー目標になる。このナンバーを白に変えるということは、ちょっとあなたの考えと逆行しておるのではないかと私は考える。その点どういうふうに考えますか。
  11. 木村睦男

    木村説明員 ナンバーは白に変えましたけれども、取り締まりの任に当たる警察等の専門的なあれから見ますと、一見してドライブクラブの車であるということがわかるように実は考えておりまして、車両番号のいろはのあの記号のところは、「わ」という文字で大体統一しております。北海道だけ「れ」でございましたか、あとは全部「わ」という記号で統一することにいたしております。それから車の横腹にドライブクラブしるしをつけるというふうにいたしておりますので、専門家はもちろんでございますが、一般の人もそれでドライブクラブの車であるということがわかるようにはしておるわけでございます。
  12. 壽原正一

    壽原委員 あなたは実態をよく見ないでそう言うけれども、大体事故を起こしてひき逃げをした場合、そういう緊急の場合は「わ」とか「れ」というものは見ないのですよ。ナンバーが黄色であったか、白であったか、黒であったか、こういうことの判断の方が先に立つ。われわれ商売人が見ても、実際にあれがドライブクラブの車だということは、あのナンバーによってだけ識別を発見する。ところが横に一々回って、そしてRという一字を一々読んで、そしてこの車はドライブクラブの車だということはできない。うしろからでも前からでもはっきり見えない。そういうことで、もうちょっと何とかドライブクラブの車である、他の自動車所有者に対して今まで通りあの車はドライブクラブの車であるから気をつけなければいかぬということをもう少しはっきり認識させるような方法はできないのか。たとえばうしろトランクの方に、うしろから見てもはっきりわかるようにしるしをつけるとか、あなた方がきめてしまったのだからこれは当然やるでしょうが、そういうことでもう少し実態に即応したようなことにしてもらわぬというと、また事故を起こすということにもなるし、また犯罪の用に供してもその犯罪一般自家用車できたのか、白ナンバーということになるとわからなくなる。実際頭文字の「わ」とか「は」とかいう文字しろうとでは全然わからないのですよ。事故を起こしたとか、またひき逃げというときには、その頭文字だけは全然読むひまがないのです。番号を読むだけで手一ぱいです。そういう観点から、何とかこれがドライブ・グラブの車であるという色彩をはっきりするような、色の塗りかえ、あるいはうしろトランクドライブクラブの車であることがはっきりわかるような方法はできないのかということを私は聞きたい。
  13. 木村睦男

    木村説明員 ただいまも申し上げましたように、側面からはその表示でわかるようにいたしております。それから前後からはその記号だけですぐわかるという考えでわという文字をつけたわけでありまして、お話の点はごもっともな点もございますけれども、一応「わ」という記号があれば事故等の場合におきましても識別できるのじゃないか、こういうふうに考えているわけでございます。
  14. 壽原正一

    壽委員 それが「わ」というしるしだけでは実際にわれわれが見てもわからないのですよ。商売人が見てもわからないのです。しろうとが見ても「わ」とか「は」とかいうものは読むひまがないんだ。事故を起された場合、おそらく警察官でもそういうようなことはぱっと見るようなことはできないだろうと思う。だからもうちょっと何とかわかりやすく、うしろトランク——営業車は前にこういうマークをつけているとか、あるいは構内タクシーマークをつけている、そういうものをつける意思があるかどうか。絶対そういうことはないと思う。事故が起きて、そして犯罪が発生してからではわからないのですよ。これはもうおそいのですよ。私は、商売上自分運転でき、また自分らが東京都内を走ってみてどうしてもわからぬというような観点に立って質問をしておるのだから、その点をはっきりしてもらいたい。つける意思があるかどうか、それを聞かしてもらいたい。
  15. 木村睦男

    木村説明員 ただいまのところは先ほど申し上げましたような方式でスタートいたすことにいたしましたので、今後実施の面におきましてただいまの壽原先生の御意見等十分心にとめまして実情をよく見た上で考えてみたい、かように考えます。
  16. 壽原正一

    壽原委員 実情を見るといっても、事故が起きてからでは間に合わぬということを言っておるのですよ。ころばぬ先のつえでもって事故の起きないうちにそういう識別をはっきりして、あの車は未熟者運転して練習をしておるような車であるというようなことを、はたで見てはっきりすることができないはずがないでしょう。前は黒ナンバー葬式のような車だということで、今度はピンク色にすると、ドライブクラブの車ということがはっきりわかるからいやだ、そういういやだということの陳情のみ受けて、そして事故発生最大原因になって——これが一番いいんだという、いわゆる経験者が言うておることが、あなた方机上案で作った案よりも確かにいいだろうと私は思うのですよ。いいだろうと思うことをやらないというのはちょっとおかしいじゃないですか。この点については必ず検討してくれますね。
  17. 木村睦男

    木村説明員 今後の実情をよく見まして十分検討いたします。
  18. 壽原正一

    壽原委員 見ましてじゃだめだ。やらない先にやってくれと言うんだ。この十一月の一日からやることになるのでしょう。今もうすでにやっておるのか。
  19. 木村睦男

    木村説明員 現在ナンバーの切りかえの進行中であります。
  20. 壽原正一

    壽原委員 まだ全部終わらぬわけですね。
  21. 木村睦男

    木村説明員 まだ全部は終わっていないと思います。
  22. 壽原正一

    壽原委員 私の言うことはほんとうにころばぬ先のつえということで御注意を申し上げておくのだが、あなた方が机の上でこうやったらいいああやったらいい、ドライブクラブ連中から陳情を受けて、そうだもっともだ、そうなるなどと——あなた方の先輩連中がそういう中に入っておるかどうかわからぬが、そういう疑惑を持つような行政をつかさどってはいかぬということを私は御注意申し上げる。そういうことですからこの点については、必ず他から見てもはっきり色彩のわかるようにしるしをつけるなり車の色を変えるなりする。営業車がもしそういうことで陳情したならばあなたやりますか。たとえば営業車ハイヤーを使う場合、ハイヤーを使うのは自家用に乗ったつもりでお客さんは乗っておる。そのハイヤーに乗っておる気分は自家用にしたいということになって、ハイヤーがそういう都合だから白ナンバーにしてくれというたらあなたやりますか。やらぬでしょう。ドライブクラブだけなぜそう保護しなければならぬのです。そういうばかばかしいことを机上論だけで作成してはいかぬということを一言注意しておきたいと思います。それは参考意見としてあなたは聞くという程度で、おそらく役人根性でこのままに押し通すだろうが、そういうことは事故が起きてから間に合わぬということを忠告をしておきたい。  それから警視庁にちょっとお伺いしたいのであります。今回安全運動を行なっておるのですが、今回の安全運動が始まって以来事故はふだんより減っておるかどうか。
  23. 富永誠美

    富永説明員 御承知の通りに、今月の十一日から秋の安全運動全国的に展開されまして、目下運動期間中でございます。従って期間中の事故につきましては全部まとめて申し上げてみたいと思うのでございますが、ただ私の方としましては、今月の初めから全国交通事故死亡者を毎日集めることに切りかえたのでございます。従ってまだ運動期間推進中でございますので、前後の比較ということは、直ちに事故件数とか負傷者とか、すべてを比較するわけにはいきません。しかしながら交通事故死亡者だけをとってみますると、最初の日が全国で二十五名でございます。二日目からがちょっとふえまして、今四十名台でございます。従って言えますことは、他の運動期間以外の日の交通事故死亡者という数が、今申し上げましたように、十月の初めからそういう組織で全国の集計をとり出しましたものですから、比較がちょっとできにくいわけでありますが、平均から申し上げますと、一年間を平均しまして一日三十名台というのが昨年の一カ年でございますから、死亡事故だけ見ますと、必ずしも交通安全運動期間になってから著しく減少しておるということは、今のところちょっと言えないのです。ただしこれは、交通安全運動はいつも運動期間中に事故がふえるじゃないか、減るじゃないかということも——これも大事なことでございます。しかしながら一面この期間、申すまでもなくこの運動期間契機にしまして、いわゆる交通安全思想なり、交通安全施設の普及なり、こういった面に大きな推進をなしておることは間違いないと思うのでございます。従って事故だけの比較目下運動期間中でございますから正確には申し上げられませんが、言えますことは、死亡事故がちょっと減ったときもありますが、全部毎日減っておるというわけにはいかないということだけは申し上げることができると思います。
  24. 壽原正一

    壽原委員 私の聞いたところによると、今回の安全運動期間中は例年に比してあまり事故が減らぬというように聞いておる。また私も交通安全協会の四谷の方の会長をしておって、その統計を見てもこれはあまり減ってない。そうなると、未熟運転者が非常に多くふえておるというように考えられるが、期間中でなくとも、今までの事故の上昇した最大原因は一体どういうところにあるか、これをちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  25. 富永誠美

    富永説明員 交通事故の趨勢を申し上げますと、今までは毎年全国的に見ましても、それから東京だけをとりましても、二〇%ぐらいふえておる状況でございます。これは申すまでもなく車が毎年二三%ふえておりますので、それに正比例して事故もふえておったという状況でございます。ただし今申し上げましたのは全国でございますが、東京だけにつきまして言いますと、交通事故死亡者は、一昨年は昨年に比しまして四%の増ぐらいに押えられております。負傷件数も割合減っておる状況が出ております。しかしながら、全国的に申し上げますと、ただいま申し上げましたように死亡者負傷者件数も大体におきまして、車がふえておるのと同じ比例でふえておったのでございますが、御存じのように昨年の十二月二十日から実施いたしました新しい道交法契機といたしまして、これにブレーキがかかっております。今までふえる一方であった上昇カーブブレーキが加わりまして、減ってくるという傾向が見えておるのでございます。ただすでに十カ月たっておりますので、最初非常に減っておったのでございますが、やや三月の終わりごろから少しまた上向きになってくる傾向を示しております。ただいまのところ、交通事故死亡者全国的に見ますると、昨年の同期に比べまして、四・八%の増ということになっております。言えますことは、今まで二〇何%どんどんふえておったのが四・八%に押えられておるということは、やはり大きな力であろうと思うのでございます。しかしながら、これをさらに府県別に分析してみますると、昨年の同期よりも減っておる府県がかなりあるわけでございます。それからふえておるのもあります。そういったところを私どもとしましては、一つ一つ府県につきまして、なぜふえるのだ、どういう施策を講じておるのだというような分析をやっておるわけでございます。それで私ども目標としましては、昨年の同期よりも少なくとも死亡者は減らそら、ふやすまいということを眼目にしまして、努力いたしておるわけでございますが、ただいま御質問の、しからばなぜ事故が発生するかということは、いろいろあると思うのでございます。一つはやはり人の面だろうと思います。結局は車を運転される運転者、それから町を歩かれる歩行者、それから特にまた自転車、お互いが交通のルールというものをもう少し身につけていただくというふうになれば、これは非常に減ると思います。もう一つの面はやはり物的なものだと思います。要するに交通の現実にマッチするような、適応するような安全施設というものがまだ貧弱だと私どもは見ておるのでございます。一つ道路を見ましても、夜こんなに暗い道路はないわけでございます。それが道路が明るければ夜間事故というものは非常に減ると思っておりますし、そのほかたとえば道路状況の悪いところ、あるいはカーブのところ、その他歩行者と車とが大体混合交通で一緒に歩いておりますので、これを分けるとか、いろいろな施設をやることによってかなり事故はまだ減らし得るというふうに思うのでございます。要するに事故を防止する、交通の安全をはかるためには、一つは人の面、もう一つはやはり物的設備の面、両方が相待って初めて事故は減り得ると思っております。
  26. 壽原正一

    壽原委員 いろいろ御説明があったのですが、私はそういうことを聞いておるのじゃないのだ。その点も加味されるでしょうけれども最大原因というものは車がだんだんふえてくることだと御説明になりましたが、それと運転者が未熟という点は考えられませんか。
  27. 富永誠美

    富永説明員 やはり事故の大多数が、運転免許をとってからの経験年令が若いときにだいぶ起きております。もちろん運転免許をとって、ある程度年数がたちますと、一種のなれといいますか、そういう面から油断とか無理が起こるのでございますが、事故の大部分は、統計をとってみますと一年未満とか二年未満とか、こういう経験が若い人たちに多いし、それからもう一つ運転免許の年令の若い層が多いことがはっきり出ております。
  28. 壽原正一

    壽原委員 一般自家用車と、営業車つまりトラック、バス、ハイヤーといったようなものとの最近の事故の比例の統計はどうですか。
  29. 富永誠美

    富永説明員 詳しく数字的に申せばちょっと時間がかかりますので、言えますことは、車の台数との比較ばかりでも営業車自家用車はいかない面があると思います。と申しますのは、営業車にはバスありタクシーあり路線トラックあり、いろいろあるわけであります。車の台数でいきますと、まだタクシーが高いのでございますが、しかし走行距離といいますか非常に走っておりますから、そういう面から見ますと、どういうところで比較いたしますか、いろいろな条件も加味していかなければならぬと思いますが、車の台数でいいますとトラックが乗用車より高い、それから営業車自家用でいいますと自家用の方が高い数字が出ております。
  30. 壽原正一

    壽原委員 営業車はだいぶ運転手を訓練して使っておるから低いということが出てくるのだが、トラックが一番高いということは、これはもうおわかりのことでしょうが、大体乗用車に流れてくる運転手というものは、ほとんどトラックで練習を終えた運転手がみんな流れてきておる、トラックは年じゅう運転未熟な者ばかりがやっておるという結果だろうと思う。そして今回乗用車業界で営業車の部門においてだいぶ大幅な増車を行なっておる。これに対して運転手の不足がきておる。運転手の不足というものは、この間もはっきりした御返答はいただけなかったので、この抜本的な対策を——運輸省並びに警察庁の方ではどういうふうな根本的な対策を立てられるかということをちょっと聞かして下さい。運輸省、警察庁、両方にお願いします。
  31. 木村睦男

    木村説明員 運転手の不足の問題につきましては、先般来お話がありましたように、私どももその不足の傾向は存じておるわけであります。現在の東京都につきましては、その実態陸運局をしてよく調べさすように、特に営業車ハイヤー、タクシーについてどういう状況であるかということも目下調べさせておりますので、近くその結果がわかろうかと存じます。この不足の傾向にあります運転手の養成等につきましては、やはり運転免許の点につきまして、乗用車については二種免許の資格が必要であり、その資格のためにいろいろな条件があるわけでありますが、運転事故防止、安全運転という見地からもきめられたそういった諸条件でございますので、どの程度緩和すれは——車の安全という見地をも考えて、可能な範囲はどのくらいであるかというような問題があろうかと思います。こういう点につきましては、警察の方に十分検討をしていただくようにお願いしておるようなわけでございます。  なお、運転手の養成等につきましては、タクシーの協会等でもいろいろと工夫をしてやっておられますので、この点につきましては陸運局の方で十分に指導するようにいたしておるような次第であります。
  32. 富永誠美

    富永説明員 運転手につきましては、非常に問題が多いわけでございます。結局、私どもとしましては、真に運転をして大丈夫かどうかという能力を見て免許いたしておるわけでございますので、需要が非常に多いからそれをゆるやかにするというわけにもいけぬ面がありますし、あくまでも安全運転、それから運転能力が大丈夫かどうかという見地からいかなければなりませんので、そういう面から運転免許の試験もやっておるわけであります。従って、今お尋ねの運転者が不足しておるが、それに対してどうだといわれましても、やはりそれは運転者の養成ということにそれぞれ御努力をお願いする。それから、目下運転を希望される人は相当多いわけでございますので、むしろ大量の運転を希望される人をどう処理していくかということで、私どもとしては一生懸命努力しておるわけでございます。それで、おそらく御質問は二種免許の営業用の運転者のお尋ねだろうと思いますので、その点につきましては、たとえば、この前申し上げましたように、今まで運転経験三年というものは、公安委員会が特別指定した教育機関を卒業されれば年限が短縮されるというような緩和措置も、ところによりまして、土地の状況に応じまして必要なところはそれができることになっておりますので、そういったその年限の短縮という緩和ははかっておるという状況でございます。
  33. 壽原正一

    壽原委員 年限の短縮、これは三年を政令で定めるものにあっては二年という条項に当てはめるということなんですね。
  34. 富永誠美

    富永説明員 そうです。
  35. 壽原正一

    壽原委員 そこで私は一歩進んで考えてみたいのは、一般の人もそうですが、自動車運転者というものは、とかく営業者の運転手はいなかから東京へ来るという希望者が非常に多い。そこで、いなかの運転手ということで、東京へ来ても、非常に地理不案内のために、非常に事故が出てくるという状況もしばしば見受けられる。いなかの方で、たとえば九州の熊本であるとか福岡であるとか、あるいは北海道では札幌、内地では仙台、そういうところから来る運転者が非常に多い。いなかの方では東京に引き抜かれていくので困る。そこで、六大都市を除いた以外のところでは、第二種免許というものも試験なしで、いなか道を走るのであるから、一回の走行数がいなかでは八十キロないし百キロ程度であるから、何とか一種免許の経験年数だけでこれを一つやらしていただけぬかというような陳情をしております。そういうことで、六大都市またはそれに準ずるというような都市は別として、ほんとうのいなかの都市であったならば、二種免許というような必要のない個所がたくさんあるわけですから、そういう点について警察庁では考えたことがあるかどうか、これをちょっと聞かしていただきたい。
  36. 富永誠美

    富永説明員 地方実情によっては二種の運転者が非常に不足するから、場合によっては営業車について一種の運転者でやってもらえないかというふうな御質問と承りましたが、現在の法規の上では御承知の通り無理でございます。しかしながら、運転免許全般につきまして、免許制度というものをどうすればいいのだ、試験もどうすればいいのだというふうな点、それから先日御質問がありましたタクシーの運転者につきましての就業免許の問題、こういった問題もあるわけでございます。全般につきましては十分検討していきたいというふうに考えております。
  37. 壽原正一

    壽原委員 運転者の不足問題については当局もよくおわかりになっておるので、将来そういう六大都市あるいはそれに準じた都市というところは二種免許を必要とするが、それ以外の都市では大体運転経験年数ということを考えてほしいということを希望しておきます。  それから、この間も統計が私とあなたと食い違っておったのですが、白ナンバーのやみタクシー、これについて私の言うことだけを答えて下さい。札幌、仙台、名古屋、大阪、熊本、福岡、神奈川、ここにどのくらい現在白ナンバーがあるか、ちょっとお答え願いたい。
  38. 富永誠美

    富永説明員 北から申し上げます。札幌、これは小樽も入りますが、昭和三十五年の九月には個人タクシーが十七台、その後三十六年に組織の白タクがふえまして、三組合、百八十五台、その後取り締まりを実施しまして、三十六年の八月には組織の白タクが二、それから白タクの数七十、個人タクシーが百七十九、合計二百四十九でございますが、九月中にさらに減りまして、現在組織タクシーとしては組合数は一応なしということになっております。従って、全体を通じまして、個人タクシーが百三十台というふうに減少いたしております。仙台は二台。神奈川は五百台。愛知は、組織のタクシーが三組合、百十五台、個人の白タクを入れまして合計五百六十五台。大阪は、組織の組合数二、五十五台、全体で千五台。福岡はかなり組織タクシーがふえておったのでございますが、一応解散いたしておるという形をとっております。しかし事実上まだ若干残っております。合計しまして六百七十八台。熊本は、組織の白タク二組合、十八台、合計二百五十台。以上のようになっております。
  39. 壽原正一

    壽原委員 白タクがこういうふうにどんどんふえていくということは、先般の質問でも申し上げましたが、現在の様相は、前の白タクと全然様相が変わっておるということだけはお気づきだろうと思うのです。そこで、この白ナンバー最大原因はほとんど暴力団の資金源になっておる。この点はよくおわかりだろうと思うのですが、今政府で、前岸総理の時代から三悪追放の一つになっておるいわゆる暴力追放という点について、こういうものをわかっておりながら取り締まれないというような難点はどこにありますか。それをちょっと聞かせていただきたい。
  40. 富永誠美

    富永説明員 白タクが発生しておる原因につきましてはいろいろな事情もあるわけでございます。われわれとしても、これは輸送秩序の問題だからというわけで等閑視しておるわけではございません。たとえば昨年一年分の取り締まり件数の九割をことしの八カ月ですでに検挙しておるというふうな状況も出ておるわけでございますし、県によりましては、たとえば、これは福岡県でございますが、ことしの一月からこの十月十日までに三千七百六十六件、これは昨年一カ年の五百九十三件に比しまして七倍近くも検挙いたしておるような状況でございますので、検挙はやっておるのでございます。ただ実際問題としまして、この取り締まりは、ほかの法律違反などと違いまして、要するに白ナンバーで営業行為をしたかどうかということを立証することが必要になってくるわけでございます。従って、これを立証するためには、運転手だけではどうにもならない。乗っておるお客がどこからどこまでどういうふうな契約で乗ったのだということの立証がなければむずかしいわけでございます。従って、私どもとしましては、あの車はしょっちゅう営業行為をやっておるというふうなリストなり、あるいはまた稼働状況というものについても、長い期間かかりまして非常な労力を費やしてやっております。やってはおりますが、実際取り締まりの場合におきましては、やはりまず現行犯でやらなければならない。あれがやっておるというふうな推定ではどうにもならない。現場で押えなければならない。しかもお客からただいま申し上げました事情を聞かなければいけないというふうに、要するに取り締まり技術の上から相当工夫を要する、かなり労力も要するという状況であるわけでございます。しかしながら、これは、ほうっておきますと、今申されたような暴力団のひもがついておるという状況もないでもございませんし、また正面から法律に違反する、堂々と挑戦するというふうな形にもなりますので、われわれとしましては、非常に忙しいのでございますが、いろいろな面の努力をし苦心をしながら取り締まりに当たっておるというのが実情でございます。
  41. 壽原正一

    壽原委員 取り締まりの御苦労も大へんでございますけれども、大体法規に不備な点があるのではないかということで、法の改正という問題をわれわれも考えていき、当局もそういうことを考えなければいかぬ時期にきておるのではないかと思う。それで、熊本の状態を見ると、あすこは営業車が四百何十台というふうに記憶しておるのだが、これに対して現在あなたの方の調べでは二百五十台ということになっておるわけだが、実際は営業者の数と同じくらいあるという報告がきのうあった。これは熊本県選出の藤田議員から私のところへ書類を持ってきて報告しておりましたが、大体こういうような無法地帯にしておくということがどうかと思われるので、法の改正によってこれを取り締まるというように、当局に一つこれを促進させる意味合いでぜひ御努力を願いたいということを言っておる。  そこで、先般、運輸大臣が白ナンバー行為を行なった者は免許証まで取り上げるような法律に変えなければいかぬということを言明しておるので、この前の質問で運輸省当局あるいは警察庁当局にその旨を問いただしたところが、双方の意見が食い違っておる。運輸省側は現在省内で協議をしておる最中であると言い、警察庁側はそういうことはなかなかめんどうでできないということを言っておる。そこで、きょうは運輸大臣も出ておりますので、運輸大臣からはっきり、そういう問題があれで法の改正をするというお答えが願えれば、まことに幸いと存じます。
  42. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私は、白ナンバー行為をやった運転手はやはり運転手として適当でない、これを取り上げるというところまでいかないと、白ナンバーというものがなくならぬのじゃないか、白ナンバーの存在を認めておくということは、交通秩序の維持の面からいっても、あるいは法律を守るという面からいってもよろしくない、私はそういう考えております。そこで、私は、運輸省の事務当局あるいは警察の方にも、私はそういうように考えるから、一つそういう考え方でよく検討してくれというので、今両方に検討してもらっておるわけであります。検討の結果を聞きまして、納得ができるかできないか、私は今まだ自分考えは変えておりません。
  43. 壽原正一

    壽原委員 大へん建設的な御意見であるが、事務当局ではこの点は検討しておりますか。
  44. 木村睦男

    木村説明員 先般来この問題につきましては検討を続けて参っておりまして、法律的にいろいろ問題がたくさんございますので、やはり事務当局といたしましては、その問題を一つ一つ解明していって、必要な結論に持っていくという検討を今やっております。その検討の過程におきましても、警察当局と十分連絡をとりながら、警察当局の仕事の範囲内においてやってもらえること、また道路運送法によりまして運輸省としてやれる事柄、それらを組み合わせまして一つの結論に持っていきたい、大筋からいきますと、そういう考え方でただいま検討しております。
  45. 壽原正一

    壽原委員 警察庁にちょっとお伺いしますが、ただいま運輸省側がそういう検討をしておるというのだが、警察庁の方は道交法の改正の中にそういう問題を取り入れる意思があるか、可能であるかどうか。
  46. 富永誠美

    富永説明員 白タク問題と申しますのは、法律でいえば道路運送法違反の形でございますので、直接は運輸省の方で十分検討されることでございましょうし、またされておると思いますし、私の方にも事務的に御相談を受けたことが最近あります。しかし、法律というのはかなりむずかしくて、どっちの法律に入るんだ。あるいはたとえば免許証の保管の形でいくのか。行政処分の形でいくのか。おそらくは、御趣旨は、白タク行為というのは、車がやっておるのじゃなしに、車利用の方法運転手がやっておる、こういうことだろうと思います。ですが、形がどういう形をとるのか、それから主体が一体どこになるのかというようないろいろな問題がございますので、直接責任を持たれております運輸省の検討を待ちまして、その後に私どもとして十分検討したいと思っております。ただ、私の方としまして、道交法の範囲で、たとえば一種免許を持っておって白タク行為をやったというようなケースがあるわけでございます。無免許の場合もございます。無免許は簡単でございますが、第一種の運転免許証しか持っておらなくて白タク行為をやった場合において、資格外運転道交法の行政処分の対象にならないかどうかという問題が実はあるわけでございます。そういう点を十分今できるのじゃなかろうかというふうに私も考えまして、いろいろ検討しておるわけでございますが、道交法八十五条の第三項というのがございます。文章が非常にむずかしいのでございますが、ちょっと朗読してみますると、「第一種免許を受けた者は、前二項の規定により運転することができる自動車等が道路運送法第三条第二項第一号〔一般乗合旅客自動車運送事業〕、第二号〔一般貸切旅客自動車運送事業〕若しくは第三号〔一般乗用旅客自動車運送事業〕又は同条第三項第一号〔特定旅客自動車運送事業〕に掲げる旅客自動車運送事業の用に供されるもの(以下「旅客自動車」という。)であるときは、前二項の規定にかかわらず、当該自動車を当該旅客自動車運送事業に係る旅客を運送する目的で運転することはできない。」こういう条文が実はあるわけです。これは、前の旧道交法でも、施行令に同じ規定があるわけでございます。その当時からこれは問題になっていたわけです。どうも私としましてもできるのじゃないかと思いますが、いろいろ法的にこれをやっておりますと、道路交通法第三条云々にいう旅客自動車運送事業の用に供されるものというのは、これは白タクが入らないのだ。要するに道路運送法第三条で認められる運送事業の用に供されるもの、だから現在はタクシーだけだというふうな解釈がどうも強くて、実は関係機関あたりとも盛んにこの法律の解釈でやっておりますが、どうも法的には今のところはっきりしないというふうなことで、私自身も十分検討いたしておりますが、すぐにこれでやれるというふうに実はまだ結論になっておらない現状でございます。
  47. 壽原正一

    壽原委員 よくわかりました。それでは、各省連絡の上において、でき得るだけそういう不法営業行為というものに対しての万全の策をとるよう私は望んでおきます。  それから、事故の問題にもう一ぺん逆戻りするのですが、事故には第一原因、第二原因というような見解を取り締まり当局は持っておられるようですが、私らの見たところによると、事故の第一原因をなすものは、ほとんど軽免許所持者が第一原因の誘導をしているというふうに考えられるので、免許証下付制度についてもうちょっと軽免許証制度というのを厳重にする考えがあるかないか。要するにオートバイあるいは試験が要らないでただでくれる免許証をもうちょっと厳重にする考えはないのか。
  48. 富永誠美

    富永説明員 確かに、先ほどおっしゃいましたように、事故状況を見ますると、車種別に見ますると、軽自動車が一等率が高いわけでございます。全体の交通事故を一〇〇としますと、そのうちの二〇・五%、つまり五分の一は軽自動車が占めております。それから小型四輪貨物車が一九・一、あと小型四輪乗用車一八・七等、いろいろあるわけでありますが、確かに軽自動車事故が非常に高いことは事実でございます。ただいま申しました事故が高いと申しますのは、その軽自動車側に責任がある。要するに第一原因というわけですが、それが非常に高いことは事実でございます。それで、問題はなぜ高いかというところに帰するわけでございますが、それは操作が簡単である、それから免許につきましても今お話のような点が多分にあるのではなかろうかと私ども思います。従ってこれは免許全般の検討のときに十分考慮に入れていきたいというふうに考えております。
  49. 壽原正一

    壽原委員 免許全般のときというといつのときかわからぬが、事故というものは毎日発生しておって、そして軽自動車の各メーカーの宣伝を見ると、このオートバイは百キロ出るのだ、この軽自動車は百二十キロ出るのだといっておる。道路交通法からいくと、東京都内並びに周辺は最高六十キロより出せないことになっておる。そこであの宣伝方法も警視庁当局は変えさせる意思も持たなくてはいかぬし、また免許証下付制度についても、そういうスピードの速い軽自動車運転する者については、営業車運転するよりもなお厳重な免許証下付制度というものを確立せんければいかぬだろうと思う。そういう点についても御検討願いたいと思う。  そこで、この問題はこれで打ち切りますが、運輸省当局に念を押して聞いておきたいのは、先般東京陸運局に設置してある運送協議会が、今回の三千五百台の増車に伴って、即刻年内に答申を行なって、一月上旬から車を動かすようすみやかにその処置をとることというような付帯事項が掲げてあったようであるが、このことについて自動車局長は一体どう考えておるか、これをちょっと伺いたい。
  50. 木村睦男

    木村説明員 御質問の事柄は、東京陸運局長の諮問機関であります自動車運送協議会の答申に盛られております要望事項の内容でございますが、この要望を受けまして、東京陸運局長がどういうふうな態度に出ますか、現在本年じゅうに総計五千五百両の増車の策定をいたしまして、目下その実施に移っておる実情でございます。この車が全部町の中を稼働いたしますのはこの十二月の末がほぼ予定されております。従って、その後の実情を見た上で、その次の需給の策定をどうするかということを考えるのか、あるいはその実施後の状況を現状で想定いたしまして、それまでにその後の需給についての方策を策定いたしますか、これは東京陸運局長の判断によることでございますが、上局である自動車局長といたしましては、そういう問題に十分気を配って措置を考えるようにというアドヴァイスはいたしております。具体的な問題につきましては陸運局長の判断にまかせる考えでございます。
  51. 壽原正一

    壽原委員 陸運局長の判断にまかせるといっても、東京都内の問題であるから、多分あなたはみんな知っているだろうと思う。そこで、現在この三千五百両が全部稼働すると、運転手の数は相当数足りない。この運転手の数が足りないということから、いわゆる運転車ブローカーというものが非常に多くなってきておる。あなたは運転者ブローカーというものがあることを知っておるか、どういう実態になっておるか、それをちょっと伺います。
  52. 木村睦男

    木村説明員 うわさで聞いておる程度であります。具体的には存じ上げません。
  53. 壽原正一

    壽原委員 うわさだけなら、私が教えてあげましょう。運転手ブローカーというのはこういうことなのです。ブローカーの連中ハイヤーあるいはタクシーに乗って、君はどこどこの会社だ、今度は新免を受けた会社でこういう会社がある、そこでは君の支度金を十万円用意してある、そして君ら五人くると五十万円からやるから、君ら一度集めてくれということで、そのブローカーがあらかじめ運転手と話をきめて落ち合って、ミルクホールかどっかに集まってそういう話をしておる。そして、その金が全部運転手にいくなら、私は文句を言わないのですよ。ところが、運転手の話を聞いてみると、五万円取ると大体一万円いくそうです。そして十万円取ると、二万円運転手にやって、そのブローカーがあと八万円という金をふところに入れてしまうというような実態が方々に起こっておる。そういうような運転手の不足からくる悪質行為が横行しておるさなかに、まだ動きもしない車三千五百両——この三千五百両を動かすのには一万人の運転手が要るはずなんです。現在、今日でも足らぬ状態のものが、三千五百台の車を動かして一万人からの運転手の不足を出して、当局は何らそれに対する打つべき手を打ちておらぬで、そして無謀な増車だけをやる。おとといの業界紙を見ると、坪井陸運局長は、車は勝手におれがふやすんだ、あとのことは警視庁が運転手を作るんだろう、こういう勝手なことが業界紙に載っておる。そういうような考え局長の判断にまかせるということは、上級の官庁としてどうかと思う。この点について、三千五百両を動かしてみて、その結果がどうであろうかというその責任は全部業者が負わなければならぬというような実態になっておる。同時に、ますますその運転者ブローカーというものの横行が激しくなって私設の職安ができるようなもので、職安ならばほんの手数料くらいで職を探してやっておるのだが、そういう悪質ブローカーというものは、あの苦労して働いておる運転者連中の上前をはねるのではない。大半を取ってしまう。そういうオオカミのようなやつを野放しにしておいて、そして当局がそういう無謀な増車をするということについては、これは私らとしても反対をしなければならぬ。反対するどころか、かえって現在の状態では減車措置さえとられなければならぬ。諸外国の例を聞いてみると、交通緩和のためにタクシーだけはふやさないんだという国がたくさんある。あるいはフランスの状態を聞いてみても、その通りのようです。あるいはアメリカの状態を聞いてみても、その通りのようです。日本だけは、自家用がどんどんふえていくのだから、営業車もこれに比例してふやしていいだろう。道路整備もせぬ、あるいは何ら施す処置を講じないで、無謀に営業車だけをふやして、不当な競争をさして、そうしてそういう悪質なものをばっこさしておく当局の措置というものは、あまり芳しい状態には考えられない。この暮れに行なう諮問というものは必ず増車に結びつくというふうに考えられるのだが、諮問そのものは、あなたの答弁で、この間、諮問は必ず増車とは結びつかぬというようなことを言うておったようですが、その点はっきりさしておいてもらいたい。三千五百両の車が動いた結果、どういう状態になるかということをはっきり見きわめた上でなければ、この次の諮問の増車を行なわないということを、上級官庁としてはっきり御答弁願いたいと思います。
  54. 木村睦男

    木村説明員 先ほども申し上げましたように、これは東京陸運局長にまかされた仕事でございますので、上局といたしましていろいろな考え方も持っておりますけれども、私は東京陸運局長を十二分に信頼しておりますので、決して間違ったあるいは常識に反するような判断によって処置することはない、かように信じておりますので、諸般の情勢を十分陸運局長が勘案していたすものだと思っております。従いまして、上局として、陸運局長のなさんとすることに対しまして、あまり干渉がましいことは申し上げなくても、陸運局長は十分信頼にこたえてくれる行政をやることを信じておるわけでございます。
  55. 壽原正一

    壽原委員 あなたは信じておっても、これは業界が信じられないんですよ、ああいう局長では。自分の家来だから信じるだろう。家来を信じないような上級官庁というものはあるものじゃない。あなたは信じておるかもしらぬけれども自動車業界全般としては信ずるわけにいかぬということだ。君で答え得ないならば陸運局長を呼びなさい、はっきり聞いてやるから、そういうばかばかしいことは、上級官庁であるあなたがよく示唆してやらなければいかぬだろうと思う。そういうことで、今回の三千五百両という大幅な増車の問題については、おそらく警視庁でも運転手はとうてい間に合わせることはできないだろうと思う。幾ら業界が一生懸命になって、何百万という金をかけて新聞広告をし、運転手の養成に努めておっても、警視庁で二種免許を受けるのは、昨年は一千百何人かと思っている。今年度は六月までに三千人ほどできておるようだが、それではとうてい運転手は間に合わない。間に合わないということになると、おのずとそういう悪ブローカーがふえてきて、そうして業界を混乱に陥れる。その原因を作るのは自動車局なんだ。あなたは、信頼してまかしてあることだから、おれはくちばしはいれぬと言うても、何でもかんでも全部くちばしをいれることはよく知っているのだ。そういうばかばかしいことの答弁でなく、もう少し建設的な意見を吐いてもらわなければならぬ。実際今度の三千五百両の車を動かすのに、大体どのくらいの運転手の不足を来たすか計算したことがあるかどうか、それをちょっと答えてもらいたい。
  56. 木村睦男

    木村説明員 私が申し上げましたのは、地方陸運局長の責任に属することでありますので、もちろんいろいろ連絡もとり、陸運局長のなさんとしておる事柄について事情も聞いております。しかしながら、陸運局長といたしましては、むしろ私たち上局の者より東京都に関するそういった実情はよく把握しておる、私もかように考えております。それから諮問の問題でございますが、これも、諮問を受ける側の自動車運送協議会という諮問機関において、今申し上げましたような輸送力の需給度については検討をいたして結論を出すという建前になっておりますので、陸運局長がどういうふうな諮問をいたす、あるいはいたさないかということは、陸運局長の判断によることでございますが、受けました以上は、協議会で独自に検討をいたし、その結論を出すことになっておりますので、この辺おまかせしていいのではないか、かように考えております。
  57. 壽原正一

    壽原委員 あなたの子分のことだから、あまりどうこうと言うことはあなたも差し控える必要があるのでしょうが、この次は陸運局長を呼んでよく聞いてみたい。  そこで、運送協議会、運送協議会というのだが、この間山口委員も言うたのだが、ああいう運輸省にある諸機関、いわゆる審議会とか協議会というのは運輸省の隠れみのだということを言うておった。あの運送協議会の状態を見ると、会長は岸道三さん。岸道三さんは道路公団の親方だ。公団の総裁だから、自動車をふやして道路さえ通せば銭を取るのにいいのですから、これは幾らでもふやせという結論は出るだろう。そういうことで営業車をふやされたのではたまらぬ。そういうような観点からああいうものを設置しておいて、そうして陸運局は答申でこういうふうに出たのだからやらなければならぬ。答申でそういうふうに出たものは必ずやらなくてはならぬものかどうか、ちょっとそれを聞きたい。
  58. 木村睦男

    木村説明員 自動車運送協議会の構成は御承知だと思いますが、利用者代表と、学識経験、中立関係のグループと、それから事業者の代表のグループと、三者構成になって運営されておるわけであります。この自動車運送協議会の答申を陸運局長が受けますならば、絶対に法律上これに従わなければならないという制約はございませんが、協議会の設置の趣旨からいたしまして、この答申を十分に尊重する必要がある、かように考えております。
  59. 壽原正一

    壽原委員 運送協議会の構成メンバーはよく知っておるのだが、業界の代表の意見というものはほとんどいれられておらぬ。学識経験というが、僕らも学識がないことはない。みんな学校を出て、学問を習っているから、学識経験者の一人となっている。どこをもって学識経験者というのか、いいかげんなことばかり言うておる。自動車さえふやせば、おれの家の玄関まで自動車が着いてくれるから都合がいいからということになったのでは、免許制度は要らない。免許制度は廃止すればいい。そんなことなら、一体将来幾らふやすつもりですか。
  60. 木村睦男

    木村説明員 この点につきましては、地方々々によって実情も違いますし、また頭から車を絶対に何んぼふやすということをきめてかかることも非常に危険でございますので、そのときどきの実情によって策すべきであると考えておりますので、あらかじめどうこうという予断はできない問題であろうかと考えております。
  61. 壽原正一

    壽原委員 それでは聞くのだが、去年の暮れ、神奈川県横浜で三百四十両ふやしてくれという業者からの要望があったはずなんだ。ところが、当局の見解では、百四十五両だか百四十両だかでいいということで許可しなかった。これは二月です。ところが、三月に、横浜の警察本部から、白ナンバーを退治するのにはどうしても増車してもらわなければならぬから、あと百何十両かふやしたらどうかといって、陸運局長に手紙が来たそうだ。これは聞いた話です。それで、あなたは、この前も白ナンバー営業車というものとは全然違う見解をとっておるということを言うておった。ところが、警察から、そういうことで取り締まりの対象になるからということでやったならば、白ナンバーがどうしても営業車のかわりに使われておるということを容認しているのではないですか。それから、警察からそういう手紙が来たら、すぐ増車に踏み切ったというのは一体どういうわけなんですか。
  62. 木村睦男

    木村説明員 神奈川県の問題につきましては、昨年の暮れからことしの初めにかけまして、警察、検察庁、それから陸運事務所、三者一体になりまして、白タクの厳重な取り締まりを実行いたしました。その結果に基づきまして、警察当局の方から今お話しのような要望のあったことは事実でございます。昨年の暮れに増車いたしましたのは、そのときの実情判断によって増車いたしたわけでございまして、その後厳重な白タクの取り締まり、その他背後事情、社会事情、経済事情その後の変化の傾向、そういうことを勘案いたしまして、警察の要望等も十分考慮いたしまして、その後の増車を決定した、そういう状況になっております。
  63. 壽原正一

    壽原委員 あなたはそういううまいことを言うが、そういうのじゃないのだ。あのときは警察から手紙が来たから増車したのでしょう。社会情勢が二カ月や三カ月で変わるはずはない。横浜の経済状態なんというものは、一カ月や二カ月で変わるものじゃない。警察から手紙が来たから、取り締まりに便利だから、そうしてやろうかという安易な考えでやったはずです。そういうことだったら、自動車行政をいっそのこと警察に移してしまったらどうですか。一貫した行政にしなければとても追いつかない。あなた方の手には負えないだろうと思う。この前警察庁の木村保安局長が来たときに、警察の内部でも確かにそういうような考えを持っておるという答弁をしておる。あなた方が自動車行政を警察の言う通りにやるならば、いっそのこと警察に移してしまった方がいい。君らに自動車行政をまかしておくと、とんでもないことになる。東京都内は走れなくなる。また日本全国自動車がたまって走れなくなる。だから警察行政は自動車部門だけ移して、また取り締まりも行政面と一緒にやってもらった方が、よほど交通緩和の取り締まりもでき、また行政においても、何とか取り締まりとの対象においてできるというように、スムーズにいくだろうというふうに一般国民は考えておる。警察行政に移す考えがあるかどうか、ちょっとそれを聞かして下さい。
  64. 木村睦男

    木村説明員 まず横浜の問題でございますが、警察当局からのそういう要望をうのみにしてやったのではございませんので、ただいま申し上げましたような諸般の事情を考えてやったわけでございます。最近重ねて横浜地区からは増車の申請が出ておるという話も聞いておりますので、当時とりました措置も大局的には語っていない、かように今でも考えておるようなわけでございます。  それから警察当局にタクシーの仕事を全部移したらどうかという御指摘でございますが、そういう考えは実は持っておりまん。
  65. 壽原正一

    壽原委員 それではもう少ししっかりした行政をしてもらわなければ困る。迷惑をするのは事故を起こされた方であり、また、交通の混乱のために、自動車のはんらんのために、一般通行者は非常に迷惑しておるということを頭に刻んでおいて、行政をやってほしい。それからあなたは先ほど経済情勢の変化というようなことを言うておるが、三千五百両の申請のあった当時は現在の成長率の行き過ぎということは政府も考えておらなかったし、われわれもまだ考えておらない。経済情勢の変化からということになると、これから多少経済というものは下回るということになる。一般の金融引き締めその他によって、だいぶ中小企業にも響いてくるというような結果にもなり得るような状態にある。これはよくわかっておる。そうして経済情勢を加味するのであったならば、逆に三千五百台というような増車の問題を試みに取りやめてもいいだろうと私は思う。ところが、当局は、なおかつこの次に諮問をして、そうして大幅な増車を試みるというような計画のようだ。また腹の中では多分そう考えておるだろうと思う。そういう観点から考えてみて、経済情勢という問題をあなたがほんとうに考えておるかどうか。考えたならば、この次の増車は適当であるかどうかということをお答え願いたい。
  66. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 いろいろ私も今お話を伺っておりましたが、自動車行政についての責任は私が負っておるわけであります。近くまた大幅な増車をするかしないかということは、自動車局長もここで答弁を申し上げるわけにいかぬだろう、かように考えます。先ほどから、陸運局長には権限はまかされているが、しかし信頼しておるという言葉の裏には、いろいろと実際面において指導をするという点を言外に私はにおわしていると思います。そういう意味におきましても、近く大増車をするかしないかということも、私自身も非常に関心を持っておるということで、一つ御了解をいただきたいと思います。むやみなことはいたさないつもりであります。
  67. 壽原正一

    壽原委員 だいぶ気にくわない言葉がたくさんあるのだが、大臣がまかしておいてくれという言葉ですから、この次の増車の問題については、私はよく運輸大臣に後ほど御相談を申し上げ、そしてこの問題を打ち切りたいと思うのです。現下の交通状態にかんがみて、そうしてむやみやたらと営業車を増車するという観点については、とくと育成という方面に重点を置いて、増車という問題についてはその後に来たるべき大きな問題であるから、それをお考え願いたいということを最後にして質問を終わります。      ————◇—————
  68. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 運輸行政について調査を行ないます。  質疑の通告がありますので、これを許します。久保三郎君。
  69. 久保三郎

    ○久保委員 来月の二日から開かれる日米貿易経済合同委員会、これに関連して運輸大臣にお尋ねをいたしたいと思いますが、まず、けさの新聞を見ますと、大平官房長官の談話では、今度のこの会議にはこまかいことはやらぬ、特にボナー法というようなものについては実はやらないから、運輸大臣は出席させない、こういうことでございます。はたしてそうなのかどうか。さらにこのボナー法というものだけが、日米間における運輸行政の問題点なのか、こういうことについてお尋ねをするわけでありますが、特に従来懸案事項であった海運だけとりましても、シップ・アメリカンというような政策のために、貿易の三分の一以上を取引している日本には今日まで大へんな打撃があるわけです。最近御承知のように、その一つと見られるようなボナー法のいわゆる成立、発効、こういうことになったわけです。こうなりますと、特にオープン・コンファレンスの制度であるアメリカ航路は、そうでなくても混乱するわけでありますが、これによってさらに混乱するのではなかろうか、こう考える。さらにもう一つは、ボナー法が日本にとって最も痛手であることは言うまでもございませんが、FMBがいわゆる海運同盟の運賃に干渉ができるという条項が出てきたようであります。こういうことがもし許されるとするならば、アメリカにとって有害なものはFMBにおいてこれを認可しない、こういうようなことになります。そうしますと貿易自由化というのは名ばかりであって、いわゆる形を変えた関税障壁を設けられて、それでなくてさえ今日片貿易の傾向が強くなってきている。国際の逆調もこの中からくるわけであります。ところがこういうことに相なりますれば、さらにこれに拍車をかけられてあるいは二重運賃制はある程度認められたにいたしましても、いろいろな制限があって、詰まるところアメリカにとって有害であるという場合にはいろいろな措置ができる、こういうことになりますれば、先ほど申し上げたようないわゆる航路同盟というか、海運同盟は壊滅に瀕する、こういうことであるわけであります。これに関連して、幸い二日から開かれるところの日米合同委員会に率直に、日本の経済貿易の立場から、あるいは海運の立場からもこれは強調して、その是正なり反省を求めるのが当然だと思う。これがはたして小さい問題であろうかどうか、こういう点について運輸大臣の見解をまず第一点にお伺いしたい。  同時に、たしか昭和二十八年からだと思うのでありますが、アメリカとの民間航空の運送協定が成立して、今日アメリカと日本との間に航空運送が行なわれているのでありますが、当時の事情は御案内の通りであります。特にアメリカ側の乗り入れば首都東京に乗り入れられる。片方は御案内の通り西海岸だけのロスあるいはシアトル、そういうところ以外には入れない。特にニューヨークには入れないというので、今日まで問題がある。アメリカと日本のいろいろな関係がいわゆるお互いに平等であるという原則に立つならば当然——東京乗り入れば十年近くもこれに乗り入れておる。今日まで問題が片づかないのはどこにあるか、これは単に航空の路線の乗り入れということじゃなくて、少なくとも友好関係にあるところのアメリカとしては、いわゆるこれを拒否する何らの理由がないと私は思う。航空局長がこの春おいでになりましていわゆる運輸当局の間の折衝を遂げられたというのでありますが、その結論は出ないまま交渉は物別れという格好だと聞いております。ついては何がゆえに交渉は物別れになっているのか、この点を第二点にお伺いしたい。  第三点は、この合同委員会に対して、かかる不平等の問題を撤廃するように政府自身は考えておらぬのかどうか。単なる二日か三日の会議でありますが、向こうは担当の商務長官もおいでになる、こういうことでありますが、その担当の方がおいでになるにもかかわらず、運輸大臣そのものは所管事項についていわゆるこの討議に参画できないというのか、政府の方針はどうなのか。こういう点について三点お伺いしたいと思う。
  70. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 アメリカにおきましてボナー法案が通過をいたしましたことは、ただいまおっしゃいますように相当警戒を要すると考えます。この運用いかんによりましては、海運国の日本としては非常な不利な立場に立つおそれもあるわけであります。従いまして、このボナー法案の運用はよほど慎重に考えてもらう必要があるわけであります。でき得るならば運賃について規制を加えることができるという一項はすみやかに削除してもらいたいという、この点は外務省を通じてすでに申し入れてあるわけでありますが、しかし、今度の日米合同の貿易経済協議会におきましては、ただいまのところでは、個々の具体的な問題についての折衝というよりは、もっと大きな意味における日米経済の協力という点で話し合うということになっているわけでございます。従いまして、今お話しになられましたボナー法案について専門的な討議をする、あるいは航空乗り入れ等の問題について専門的に協議を進めるということはふさわしくないではないかというような話し合いに今なっておるわけでございます。私が出席をするかしないかはまだ決定をいだしておりませんが、大きな意味における貿易経済の協力という点からであれば、必ずしも運輸大臣として出席をしなければならぬとも私は考えておりません。今協議中でございます。  航空の乗り入れ問題はお話の通りでございますが、日本側といたしましては、ニューヨークからさらに大西洋を渡ってニューヨーク以遠のところまで一緒に話をつけたい、かように考えております。従って、国内問題、いわゆる太平洋岸から大西洋岸までをまず片づけ、それからさらにニューヨークから向こうへ、いわゆるニューヨーク以遠というふうに二段がまえにしてやるよりは一緒にやった方がよかろう、かように今考えておるわけであります。できるだけ近い機会にこの問題は切り離して交渉を進めたい、かように考えておるわけであります。
  71. 久保三郎

    ○久保委員 大臣あまりよくおわかりにならぬかもしれませんが、いずれにしても、お話がございましたが、今度の合同委員会への出席についてはまだ出るとも出ないとも決定していない、こういうことであります。そこであなたにお尋ねするのですが、なるほどボナー法一つの討議をしろということを私は言っておりません。シップ・アメリカンなり、あるいは航空協定なり、全般的に日本とアメリカとの運輸というものについて今日やはり討議する必要があるのではないかと思うのでありますが、あなたの意思としては、そういう必要はない、こういうことでありますかどうですか。
  72. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 日本の貿易経済という面からそういうことももちろん含めた問題として話し合いがなされるべきだと私は考えております。
  73. 久保三郎

    ○久保委員 なされるべきだというのはあなたの一つのお考えでありますが、それでは閣議において、とにかく、出席するしないは別として、今度の合同委員会に対してはどういう問題をというので今日作業を進めていると思うのでありますが、その問題の中にあなたは閣僚の一人として今私が申し上げたような問題を押し込んであるかどうか、これをお尋ねしたい。
  74. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 そういう問題も含めて討議をしてほしいということは私は申しております。
  75. 久保三郎

    ○久保委員 それではさらにお尋ねしますが、その討議の問題点というのは大体もうコンクリートできたと思うのであります、が、できましたかどうですか。
  76. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 まだコンクリートにはなっておらないと聞いております。
  77. 久保三郎

    ○久保委員 それでいつそれは大体最終的に御決定になるのでありましょうか。
  78. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 まだ最終的にいつということもきまっておらぬようであります。なるべく早くきめようという話し合いをしております。
  79. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、けさの官房長官の新聞発表の談話は間違いであるというふうに了解してよろしゅうございますか。あなたは出席する必要はないのだ、こういうことでありますが、そうですか。
  80. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私は、官房長官からまだそういうことは聞いておりません。
  81. 久保三郎

    ○久保委員 出席するしないなんというのは官房長官がきめるのでありますか。われわれの常識からいえば閣議でもって一応きめると思うのでありますが、いかがでしょう。
  82. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 閣議におきましては、経済懇談会に出席する閣僚は六人で、その中には以前から運輸大臣は入っておりません。ただ、運輸大臣がもしどうしても必要があるならば随時出席することができるというのが、これはあの日米合同経済懇談会の話がきまったときに抽象的にきまっておるわけであります。従って、原則は六人ということが前からきまっておるわけであります。そこで、運輸大臣あるいは他の関係閣僚がどうしてもそれに出席をしなければならぬかどうかというのは、そのときの討議の模様によってきまっていくわけだ、私はかように了解をしております。
  83. 久保三郎

    ○久保委員 あなたの積極さというのがあまり表面に出ていないのでどうもわかりませんが、いずれにしてもこの問題は、単にボナー法という一つの法律上の問題ではなくて、アメリカのいわゆる方針ということでございますので、これはそういう面からあなたは最大の努力を払う必要がありはしないか、こういうふうに私は考えます。これは運輸大臣にお尋ねしてもちょっとどうかと思うのでありますが、池田総理がケネディ大統領に会いに参りましたときに、このシップ・アメリカンあるいは航空協定の問題について話し合いをしたのかどうか、あるいはしたとするならばどういう程度になっておるのか、この点いかがでしょう。
  84. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 この前ケネディと池田総理が会談をせられました際に、そういう問題も含めて話し合いがあったと聞いております。
  85. 久保三郎

    ○久保委員 会談の結果は、結論として出てきたところを見れば、あまりいい結果ではない、こういうふうにわれわれは思うので、どうもアメリカとの外交が、口では対等だ、平等だ、友好だと言っていながら、積極性がないので、いつも押し込められる立場に立っているのじゃないか、こういうように思うわけです。  それはそれとして、一つ航空局長にお尋ねしますが、あなたが渡米しての交渉の経緯についてお話をいただきたい。
  86. 今井栄文

    ○今井説明員 日米航空交渉は、本年の五月二十九日から六月三十日までワシントンの国務省において行なわれたわけでありますが、私は、久保先生のおっしゃる通り代表団の一員として参っておりますので、その間の経緯を御説明いたしたいと思います。  日本側の提案といたしましては、従来日本航空のニューヨーク乗り入れということを非常に強く私ども考えましたし、また世論もそういうふうな強い要望を持っておったのでありますが、日本の航空の将来ということを考えました場合には、単にニューヨーク乗り入れのみならず、ニューヨークを越えまして大西洋を渡る権益を得ることが必要であるというふうな結論は私どもとしても従来から持っておったのでございます。今回の交渉につきまして、政府関係者が集まりまして協議しました当時の考え方は、ニューヨークのみならず大西洋を渡るニューヨーク以遠の権限をもこの交渉で強く打ち出してくるということで参ったのでございます。従いまして私どもといたしましては、まず中部太平洋を経由いたしましてハワイ、サンフランスコまたはハワイ、ロスアンゼルスからニューヨークに入る路線を強く要求する、どうしても中部太平洋を米側がいれることができない場合には、場合によってはシアトル経由あるいはアンカレッジ経由、北方回りのニューヨーク路線というものも考えたのでございます。なおその際にあわせてニューヨーク経由ロンドン、パリというふうな大西洋を横断する権利も要求する、こういうことで参ったのでございます。この場合にニューヨーク乗り入れをかりに認めても、ビヨンドについての日本側の要求を向こう側がいれない場合には、その米国側の提案を受け入れずして帰ってきた方がいいかどうかということで、ございますが、今回の会談におきましてはあくまでもニューヨーク以遠を要求し、ニューヨーク乗り入れのみでは満足しないという立場でいこうということで実は参ったのでございます。米側と約一カ月以上も折衝いたしたのでございますが、米国側から、会談の後半に至りまして、大圏経由コース、つまりアンカレッジ経由でニューヨークまで乗り入れる日本側の権利を認めようという提案をしてきたのでございます。先ほど大臣から御説明ございましたように、私どもの方の立場はあくまでもニューヨーク乗り入れでは満足しない、ニューヨーク以遠権をこの際得るように交渉するという建前でございましたので、米側のニューヨーク乗り入れについての好意ある反対提案に対しまして、実はこれを拒絶いたしまして、ビヨンドについて権利をくれるのでなければ日本側としては応諾できないという態度で帰って参ったのでございます。従いまして、最終的な会合は六月三十日に行なわれたのでございますが、私どもとしては遺憾ながら米側の提案を受け入れることができない、従ってこの会談はリセス、つまり一時休会といたしまして、また近い将来適当な機会に再開するということで別れようということで、両者合意の上で実は帰って参ったわけでございます。  以上が経緯の簡単な説明でございます。
  87. 久保三郎

    ○久保委員 それはニューヨーク以遠が当然でありまして、アメリカ乗り入れば東京以遠となっておりますから、これは当然な話であります。そこでお尋ねしたいのは、向こうがニューヨークまでは許したが以遠については承知しないということについては、これはやぼでありますが、いかなる理由で向こうは拒否しているのですか。
  88. 今井栄文

    ○今井説明員 この点については、先方としては、大西洋についてはまだ日本側としてこれを要求する合理的な根拠がないというふうなことを言っておったにすぎません。強く私ども要求いたしましたが、詳しい理由の開陳はなかったのでございます。現在、欧州の各国のキャリアと米国の大西洋横断のキャリアとの間に激しい競争が行なわれております。アメリカ側といたしますれば現在の太平洋における航空経営というものは非常に大きな比重を持っておるように感ぜられるのであります。それからまた太平洋は現在御承知のように日本の航空企業、アメリカの航空企業と一部イギリスのBOACあるいはカナダ航空がやっておるのでございますが、欧州のドイツ、フランス、イタリアあるいはオランダというふうな大きな航空会社が、あげて米国に対して太平洋を渡る権益を強く要求いたしておるやに聞いております。日本側に対しましても各国の政府は太平洋を渡る権益を強く要求し、私どもとしては常にそれを拒絶するというふうな立場に立っておるのでございます。従って、日本航空の大西洋進出には、これらの問題も関連してくるかとも思われます。それからなおその当時の会談では、さらにニューヨーク・ビヨンドについての日本側の要求がこれほど強いものだということは、アメリカ側としても実は考えていなかったのではないかと推測されます。従って、アメリカの国務省にしましてもあるいはまたアメリカの民間航空局にしましても、日本の大西洋を越える要求というものにつきまして詳細な検討を実はいたしていなかったとも考えられるのではないかと思います。
  89. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、わが方のこれの打開に対する方策というものは今日どういうふうに考えておられるか。たとえば大西洋をビヨンドするためには太平洋ビヨンドを許さなければならぬというようなお話が出ましたが、あるいはそうなるかどうか、あるいはこれはアメリカだけでなくてほかの国に関係があるか。大西洋横断だけを考えれば、そこに運賃協定なり何なりを考えればある程度のめどがつくのではないかと思うのだけれども、太平洋と取っかえっこということではなかなか問題があろうかと思います。ついてはこれに対する対策は今どういうふうに考えておられるか。
  90. 今井栄文

    ○今井説明員 私どもこの次の第二回の日米会談についての検討を外務省と事務的にいたしておるわけでございますが、将来この問題を打開する方途としてどういうことが考えられるかという点について、これはまだまとまったものはございません。現在、先生あるいは御承知だと思いますが、いわゆるアメリカのパシフィック・ルート・ケースという問題があります。このパシフィック・ルート・ケースというものはアイゼンハワー大統領の当時、現在日本に参っておりますアメリカの二つのキャリア、ノースウエストとパン・アメリカンでありますが、このノースウエストは現在ニューヨークを起点としてシアトルを経由して北方ルートで東京に入ってきております。それからパン・アメリカンは御承知の通りサンフランシスコあるいはロスアンゼルスを通してハワイを経由して中部太平洋から東京に入ってきておる。この二つのキャリアがそれぞれお互いに北と中部を同時にやろう、つまりノースウエストも中部太平洋に進出する、そのかわりパン・アメリカンも北部太平洋に進出する。つまり従来の一路線一社というものをそれぞれの路線を二社ずつで運営したいという希望を、アメリカの内部で、パン及びノースの両会社が持っておりまして、その申請を当時米国の政府に出したわけであります。その当時アメリカの大統領は、そういうふうなことを認めることは対外的にも必ずしも適切でないということで、両社の申請を却下した経緯がございました。そこでケネディ大統領になりましてから、さらにこの両者が同じ問題につきまして不服の申し立てを大統領のところへ出して、現在それを審査いたしておる状況でございます。このような太平洋における大拡張をやることは日本としては黙過できない、日米航空協定の上ではある程度事後に審査した上で是正するということになっておるが、われわれとしてはあらかじめそういった問題について許容することはできないというようなことを当時強く言っておったのであります。従いまして現在米政府内で討議されております、この太平洋ルート・ケースという問題がどう出るかということが一つのチャンスではないかというふうな感じもいたすわけでございます。
  91. 久保三郎

    ○久保委員 いずれにしても長い懸案事項でありますから一挙に解決というのは大へん困難かもしれませんが、幸いこの合同委員会というようなものが持たれる意味は、そういう両国の政策についての討論だと思う。そうだとするならば、当然こういう問題も強硬に話し合いにすべきだ、こういうふうにわれわれは考えておる。  そこで航空局長に最後にお尋ねしたいのは、第二回というか引き続いての会談は、先ほどのお話では再開を要求しているような、していないようなお話でありますが、再開を要求しておるのですか。
  92. 今井栄文

    ○今井説明員 先ほど申しましたよう庭、外務省との間に第一回の会談の経過につきましての検討をいたしておるような実情でありまして、従って現在のところではまだいつ第二回の会談を米側に申し出るかということは決定しておりません。できるだけ早い機会に従来の状況に対して新しい進展を見るようなチャンスをとらえて申し出をいたしたい、かように考えております。
  93. 久保三郎

    ○久保委員 航空局長はお話のありましたチャンスを見つけてというが、チャンスは今度の二日から開かれる会談が一応のチャンスではないかとわれわれは考える。その意味で大臣にも一つこういう問題を討議の爼上に上せるように最大の努力を払ってもらわなければならぬ、こう思っておるのだがどうでしょう。何かのチャンスをつかむということで。
  94. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 お説のように、今度の機会はこれを前進せしめる一つのチャンスだと考えます。そういう意味合いにおきまして、この問題も話題に出してもらいたいということを私の方は申し入れておるわけであります。そこで具体的な問題が出ないにしても、一歩前進のチャンスをこの機会につかむということはなすべきだと強く考えておるわけでございます。
  95. 久保三郎

    ○久保委員 そこで、ボナー法を中心に海運局長にお尋ねするのでありますが、今度大統領がサインしたこの法律の改正によって、日本の海運界が特に予想される影響というのはどういうことなのですか。これをかいつまんで一つお話をいただきたい、こういうように思うのです。
  96. 辻章男

    ○辻政府委員 今度のいわゆるボナー法の成立によりまして、海運界といたしましては利点もあり、また短所と申しますか、欠点もあるわけでございまして、まず利点の方から申しますれば、従来二重運賃制というものが禁止されておりましたことが、合法的に認められたわけでございます。その点につきまして本質的にはオープン・カンファレンスでございまして、クローズド・カンファレンスに比べますれば弱体ではございますが、二重運賃制がやり得るという点につきましては、それだけ同盟の結束力が強くなり、日米間の海上輸送が安定の方向に進み得るという点が一つの利点であると思っております。ただ、先ほど御指摘がございましたように、アメリカの通商に害があると認めた場合には——公聴会の手続がございますが、アメリカ政府がこれを拒否するという権限が与えられておる点につきましては、いわば国際海運に対しまして国家権力が介入することでございまして、これは長い間の海運の伝統にも反しております。またこの運用によりましては、海運界が非常に不合理な運賃を強制される結果になるおそれがあるという点が大きな欠点であると考えております。なおつけ加えますが、先ほども御指摘がございましたように、これは一に海運の問題ばかりでなしに、運用によりましては関税障壁を築くこともできるわけでございまして、日本の対米輸出の問題にも大きな影響を及ぼすおそれがあるのじゃないかという点を懸念している次第でございます。
  97. 久保三郎

    ○久保委員 運輸大臣、ただいま海運局長からお話があったことは私の話と同じでありますが、単に海運関係だけじゃなくて、日本の貿易そのものに重大な影響も予想されるというのでありますから、これは十分な注意を米側に喚起しなければいかぬ、こういうふうにわれわれは考えているのです。その点はいかがでしょう。
  98. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私も、先ほど申し上げましたように、非常に重大な問題だと考えております。ただ、アメリカは今まで同盟運賃というものを認めないという立場に立っておりました。これは御承知のように、アメリカはいわゆる独占というものは絶対にいけないという建前からきていたわけです。今度の改正にあたりましても、この同盟運賃を認めることについては、アメリカの司法当局は独占禁止の建前から絶対反対だということを強く主張していた模様であります。ただこれは世界の海運界に共通する原則であるから、アメリカはどこまでも認めないということはできないであろうというのが、ボナー法案の一つ考え方であったと思うわけであります。そこで独占禁止、絶対いけないということのかわりに、必要があれば規制をすることができるという一項が入ったのじゃなかろうかということも推測をされます。従ってこの規定の運用は国際慣行に合うような運用をしてもらっておれば差しつかえがないわけですから、そのことを強く要望いたしたい、こう思っております。もしこれが悪用されるならば、今海運局長が述べた通り、またただいま御意見がありました通りでございますから、その点を十分に——日本のみならず、これはイギリスあるいはイタリア、あるいはノルウェー、主要海運国がみな一様に案じておることでございますから、そういうことのないように処置をいたしたいと思います。先般から問題になりましたシップ・アメリカンという考え方もアメリカにあるわけであります。そういう考え方からいたしますると、手放しで楽観はしておれない。ああいう考え方に立って今度の海事法を運用されるということになっては大へんであるから、従ってシップ・アメリカンの問題も含めて、成立した海事法の運用は国際慣行に合うような運用をさせるようにどこまでも強く要求をしなければならない、こう考えております。
  99. 久保三郎

    ○久保委員 海運局長からもお話がありましたが、先ほど申し上げたように、二重運賃制は認めたけれども、いろいろな条件がある。その中でもアメリカの通商に有害だと認めれば、これは認めない、こういうことが一つあるわけです。そうだとすれば二重運賃制はアメリカの立場に立った場合には実際にないものにひとしい、こういうふうに考えられる。これで考えられるのは、先ほども申し上げましたが、特に日本にとってはいわゆるドル箱というか、優秀な船舶をアメリカ航路に配置しておるわけです。しかも、ともすれば船腹過剰のきらいがあるこういう際に、こういう法律が通ったということになれば、相当に警戒すると同時に、わが方でも、先ほど運輸大臣に申し上げた点は点として、別途にわれわれ自身も考えなければならぬ、こういう事態ではないかと思う。特にこのボナー法の問題だけでなくて、全体的なシップ・アメリカンの傾向が強くなってきている。もちろんアメリカにそれだけの理由はありましょうが、いずれにしても、そういうことで何かアメリカの立場のみによってすべて運用されるということになりますと、当然この太平洋航路の問題などはくずれ去る、こういうことをわれわれは心配をするわけです。  そこでお尋ねしたいのは、この優秀な航路が混乱に陥ることは必至だし、さらに全体的な貿易産業の部面にも影響が出てくるというのでありますから、せめて太平洋航路のいわゆる海運同盟の強化をはかる、こういう観点から、国内におけるところの海上運送法の改正をもこれから考えねばならぬ時期だと思うのでありますが、そういう考えは今日あるかどうか。海上運送法の改正によって海運同盟の強化をはかるという以外には対抗策は今日ないと思うのですが、その点いかがでありましょう。
  100. 辻章男

    ○辻政府委員 ただいまお答え申し上げました通り、ボナー法の建前は二重運賃制は認めるということにしたわけでございまして、FMBにおきまして各国の商業上悪影響があるという場合には、二重運賃制ではなしに、運賃率そのものを不認可にするという考え方でございまして、そういう意味では、二重運賃制の問題とFMBが同盟の運賃率を不認可にするという問題とは、分けて考えるべきであると考えております。先ほど申し上げましたように、そういうアメリカの非常な国家権力が同盟に干渉するという面におきましては、非常に大きな欠点があるわけでございますが、同盟自体を強化するという点におきましては、従来の立法よりも一歩前進したというふうに考えておりまして、これがこの法律によりまして日米間の海上輸送がすぐさま混乱するということには私ども考えはておりません。ただ先ほども申し上げましたように、根本的な考え方から日米間の運賃同盟というものはいわゆるオープン・カンファレンスでございまして、絶えずアウトサイダーに脅かされ、それに対抗する手段というものが非常に制限されておる関係上、今回のボナー法の成立とは関係なしに絶えずクローズド・カンファレンスに比べますれば不安定な状態に置かれておるということが言えると思うのであります。私ども常々国内関係の海運業者に対しましては、秩序の乱れることを防ぐために協調あるいはグループ化等を行政指導をして参りましたし、また機会あればアメリカ当局に対しましても日米間の航路安定についての意見を交換し、これを推し進めて参っております。またわが国の海運界におきましても、いわゆる日米間の船主の会合等におきましては、絶えず共通の関心事としてこの航路の安定について意見の交換をはかり、これに努力してきたのが現状でございまして、ただいま特に海上運送法を改正いたしまして、これらの日米間の航路安定に資するという具体的な考えはございませんが、なお事態をよく検討いたしまして、どうしてもそういう必要があればもちろんこれをやる考えでおります。現在のところは具体的な考えは持っておりません。
  101. 久保三郎

    ○久保委員 見通しとしては大へん楽な気持で見ておられるように思うのであります。そういうふうに受け取っていいのでしょうか。これはシップ・アメリカンを強化するということと、アメリカにおける国内産業防衛、こういう二つの面から出てきていると考えるわけであります。特に日本とアメリカの関係で考えますれば、アメリカにおけるところの弱体産業保護ということの方が強いのではなかろうかというふうにもとれるわけです。そうだとすれば、今日のドル防衛の一環としてこれがさらに強化されるのは、私は、当然だと思うのです。何も法律ができたからそうじたばたすることはない、末を見てから考えましょうというようなものであるとすれば、何がゆえに今日まで外交機関を使ってこの法案はどうもうまくないというようなことをやってきたのか、私は大へん理解に苦しむわけです。その点どうですか。
  102. 辻章男

    ○辻政府委員 ただいま御質問のございましたいわゆるシップ・アメリカン運動とボナー法との関係でございますが、この点も事柄は違った性質のものであると私ども考えております。シップ・アメリカン運動と申しますのは、できるだけアメリカ船を利用するようにということで政府の力によりまして民間にそういう措置を推し進めるということでございますが、ただボナー法によります同盟運賃の認可の問題は、これは同盟でございまして、日本船であろうとアメリカ船であろうと同一の運賃率をきめる問題でございますので、これを不認可にするということはシップ・アメリカンの問題とは直接関係する問題ではないのでございまして、むしろ、一方言われておりますバイ・アメリカン、いわゆるアメリカの品物を買え、輸入を防衛しようというような見地から運用されますと、先ほど大臣からもお答えされましたように、一種の関税障壁的な役割を果たすおそれがあるというふうに考えておる次第であります。
  103. 久保三郎

    ○久保委員 シップ・アメリカンとこの問題とは違うというが、違うことはわかっていますが根源は同じだろうと思うのです。そういう論争を別にここでする必要もないのでありますが、いずれにしても影響がないとするならば問題はない。だから、今までの海運局長のお話では、やり方によってはと言うが、バイ・アメリカンの立場からこれは影響が出てきやしないか、こういうことなんです。海運局にすれば、それは影響ないと言うでありましょうが、しかし私はそれでも海運界も当然影響が出てくると思うのです。品物は運賃と合わせて品物の値段でありますから。こうなった場合に、当然あなたが御説明になり、私が指摘した通りの問題が出てくれば、海運界に大なる影響は出てくるわけですから、そういう点もひっくるめてこれは考えなければならぬということでありますが、いずれにしても、これは結論としてお伺いしますが、静観ということでありますか。池田内閣の方針の通り、外交問題はすべて静観ということで片づけてよろしゅうございますか。
  104. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 先ほども申し上げますように、静観ではなくて、そういうような国際慣行に反するような運用はぜひ慎んでもらいたいということを強く申し入れておるわけであります。でき得べくんば、そういうおそれのある条項は近い機会に削除してほしい、こういうことを申し上げております。
  105. 久保三郎

    ○久保委員 実力者内閣でありますから、アメリカの政府を動かして、大統領がサインした法律を近い将来に改正することもあるいは可能かと存じます。しかしながら常識的にいえば、そういう法律が直ちに改正されるということはわれわれはとっていない。だとするならば、対抗手段を考えることがこの際必要ではないか。外交交渉の一つの手段としても考えるべきではないか、こういうふうに思うのでありますが、そういう必要はない、こういうことでありますか。
  106. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 その点につきましては、やはり今後の向こうの運用というものを見る必要があるんじゃないか、私はかように考えます。先ほども申しますように、ボナー法案はむしろ二重運賃というものを、いわゆる同盟運賃をアメリカの法制に合うようにどうして認めようかという、こういう考え方に立った法案だ、こういう見方もできるわけでありますから、いましばらく、こちらは先ほど申しますように絶えず注意を喚起いたしますると同時に、アメリカのこの運賃制度に対する動きを見守る必要がある、かように考えております。
  107. 久保三郎

    ○久保委員 二重運賃をどうしてアメリカの国情に合わせて認めるかというところに法の立場もあるからということでありますが、向こうの出方を見きわめようということも一つ方法でありますが、少なくとも現実の姿に立っては、私は二日に控えたあれで、その場所に出すかどうかは別として、政府自体は対抗策をやるとするならばこういう対抗策を考えるべきだというくらいの発言はこの席でなさらなければ、われわれとしては納得できない。いつも向こうの出方だけを見て、これに順応していこうという態度は私たちはとらない、こういうことであります。いずれにしても、私が申し上げたようなことが必要とするならば、今後必要が出ても、それに対する理由づけは何ら私はないと思います。少なくとも今日のシップ・アメリカンあるいはバイ・アメリカン、こういう傾向に対しては、日本の立場から相当な警告を発し、反省を求めるべきではないか、こういうふうに考えます。時間もありませんし、いずれこの問題は再燃するでありましょうから次に譲ります。  次に十七次計画造船がその後どういうふうになったか、かいつまんでいろいろ御説明をいただきたい。
  108. 辻章男

    ○辻政府委員 いわゆる十七次の計画造船は当初二十五万トンあまりの計画をやったのでございますが、最近におきます貿易量の伸び等を考えまして、国際収支の改善の見地から、この際大幅な増ワクが必要だということで約五十万トン近い船主を内定した次第でございます。それで、これは一般財政資金の投入の問題と、それから一般会計予算におきます利子補給の予算の関係が制約されておるわけでございまして、財政資金の方はいわゆる開発銀行の資金繰りによりまして、ある程度の操作は可能なんでございますが、利子補給の制度につきましては、どうしても国会の承認が得られませんと発足できないような状態に相なっております。それから一面、最近におきます非常な金融情勢の逼迫の事情がございまして、いろいろ市中金融機関とも話し合ってきたところでございますが、最近に至りまして五十万トンの内定船主のうちから二十六万トン余りのものにつきまして、いわゆる開発銀行で融資の決定の措置をいたしております。なお残り二十三万トンあまりのものにつきましては、今なお内定のままでございますが、これは五十万総トンの内定の際に閣議了解がございまして、船台の事情あるいは金融情勢等を勘案いたしまして、それらの見通しがつきましたものにつきましては、次の国会の開かれた際に適当な措置をとるという了解に相なっておる次第でございますが、現在のところなお金融情勢の見通しが、むしろ非常な引き締めでございまして、つきませんので、今なおそういう状態のままで推移しているというところでございます。
  109. 久保三郎

    ○久保委員 五十万トンにワクを増加したというのは、いわゆる貿易拡大に伴ってという理由だけでありますか。
  110. 辻章男

    ○辻政府委員 貿易の量の拡大に伴いまして日本船のいわゆる積み取り率が低下の傾向になってくるという点が大きな点でございますが、なお付随的に申し上げますと、最近の定期船の傾向といたしましては、いわゆる専用船という、大型の専用船化の傾向が強くなって参りまして、これらの専用船につきましては、七年ないし十年ぐらいの長期契約のものが多うございます。それから油送船におきましては、従来から長期契約の傾向があったのでございますが、いわゆる十七次船の内定船主のものはすべてそういうふうな長期契約のものでありまして、一面からこれらを考えますと、この際にこれらの船主を内定いたしませんと、相当数の船は外国船に乗りかえられるおそれがある。外国船に乗りかえられますと、今申し上げましたように、いずれも長期の契約のものでございますから、七年なり十年なりそれらの荷物につきましては日本船の入る余地が物理的になくなってくるという事情がございましたので、五十万総トンの内定をしたような次第でございます。
  111. 久保三郎

    ○久保委員 五十万トンに増ワクしたというのでありますが、現在の海運には二つの相反する要素を同時にやろうという矛盾したものがあるわけです。いわゆる海運企業の基盤強化ということと、船腹拡充というか、この二つは二律背反的なものです。それに対して抜本的な方針は今日まで実際政府にはないわけです。なるほど利子補給一つあるでしょう。これは今の海運界にとって必ずしも万全ではないというよりは、むしろこういうものでは基盤強化と船腹増強はだれが考えても不可能である。だからいずれに方向をきめるかが今日の海運行政のまず一つの方向だと思う。なるほど御説明では五十万総トンにふやすという理由もございましょう。そういう基本方針をあと回しにしておって、船腹増強については、実際のところ、私は賛成しかねると思うのです。今政府のやることは、二律背反、何をどうしたらすっきり片がっくかという方針がないままに、今日まで船腹増強をやってきて、しかも計画造船が、中途において十七次造船が五十万トンにふえてくる。あとの利子補給は次の通常国会でやろうというごときは、われわれ議会人としては断じて認めがたい。ここで、海運政策として、どれが基本なのか、どうすべきかという方針を示してほしいのです。それにのっとって船腹増強はどの程度やるか。積み取り比率が四五あるいは四六、これを六〇なり六五に伸ばすということも、一つの理屈でありましょう。しかしながら、今日の貿易量そのものが、はたしてこのまま伸びていくのかどうかというふうな観点、そういう考え方も一つあるわけです。さらに積み取り率の基準も、はたして六五なり六〇が適正であるのかどうか、こういう問題が出てくるわけです。こういうものを一切片づける大方針がなくては、残念ながらわれわれとしては、この中途において五十万総トンにワクを広げるということは、どうも話としては聞けない、こういうふうに思うのです。中途でこういうふうにぐらついた。なぜそれならば当初から——貿易拡大というのは、もうすでに予算がきまる前から、こういう傾向はあったわけです。大体去年の十月後半から、貿易量というのは多くなってきた。ピークはおそらくこの八月、九月でしょう。最近もそうでしょう。最近は、設備投資の引き締めとか金融引き締めとかあるいは担保率の引き上げということで、一応のダウンをしつつあるかと思いますけれども、少なくとも去年のうちに空気がわかっておる。それを、二十五万五千トンということで十七次計画造船をやってきながら、この予算が通過するかしないうちに、いわゆる増額の話が出たということについて、実際われわれは不可解に思っています。ここにいわゆる池田内閣の経済計画というものの一つの破綻がありはしないか。今日船腹を増強しても、港はどうなるのかということになります。この辺も重大な破綻を来たしておる。その破綻を来たしておることをどうやるかという問題をあとにして、船腹増強に先走ることについては、私はどうも理解しかねるのですが、大臣、これはどうなんです。単純に船腹はふやさなければならぬということだけでやったのですか。
  112. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 本年の計画造船をふやしましたのは、ただいま海運局長が申し述べました通りでございますが、しかしながら、今後の船舶の増強の点を考えますると、海運の基盤の強化は絶対不可欠な問題でございます。海運の基盤の強化をしないで、今後必要な船腹を公団あるいは国で作るかという問題もございまするが、これは私としてはとらざるところと考えております。従いまして、海運界の基盤強化というものは絶対不可欠の問題だ、かように考えておるわけであります。ところがこの基盤強化の問題は相当重要な問題でございます。従って、その実行方法は慎重に検討しなければなりませんが、急ぎましても次の通常国会でなければ間に合わない。しかし通常国会には必ずこの基盤強化の法案なり必要なる措置を提案をいたしたい、こう考えておるわけであります。しからば、それまで本年度の計画造船をやらないか、あるいは当初の二十五万トンにとどめておくか、こう申しますると、海運局長が申し上げましたように、すでに長期の運賃契約のきまった計画が相当ございます。これを認めないということになると、それなら外国船に積ませるということになってくるおそれもありまするので、そういう意味で、今年度長期契約のついた確実なものについては、できるだけこれを認めたい、そのために二十五万トンを約五十万トンにふやしたわけでございます。
  113. 久保三郎

    ○久保委員 今までの御説明で、ワクをふやした理由は、結局積み取り比率を増すという一点だけであって、その他のことはあまりお考えになっていない、こういうふうにわれわれは考える。先ほどから繰り返し申し上げますように、そういうことだけではたしていいだろうかどうかということです。今の御説明では、海運の基盤強化と船腹増強に対しての基本方針は、現在まだできておらぬ。通常国会にその方策を出すというのですが、われわれ自身から見れば、方策が先行してしかるべきではないか、こういうふうに思うわけであります。いずれにしても、問題がたくさんあるさなかに、単に積み取り比率に追われて日本の海運界が健全に発達できるかという点には、私は疑問があると思います。これだけ申し上げておきます。いずれこの論争はあとでいたしますが、それと同時に、十七次計画造船では、船価の値上がりはどういう程度になっておりますか。当初予算を組んだときと違って上がっておるのですか。船価に対する値上がりはどういうふうになっておりますか。
  114. 辻章男

    ○辻政府委員 今こまかな数字を持っていないのでございますが、昨年度に比べまして多少上がっておりますが、昨年度とそう大差ないという船価でございます。
  115. 久保三郎

    ○久保委員 大差ないですか。
  116. 辻章男

    ○辻政府委員 今数字を持っておりませんので的確にお答えしがたいのでありますが、特に全体的にはあまり大差ないと記憶いたしておるのでございます。分類して申し上げますど、定期船につきましては、昨年よりある程度値上げしておりますが、定期船以外のものにつきましては、大差ない程度であると記憶いたしております。
  117. 久保三郎

    ○久保委員 時間もありませんから、あとにしましょう。いずれにしても、あとで船価が値上がりしない事実を数字をもってお示しいただきたいと思います。  そこで運輸大臣にお尋ねしたいのでありますが、先般内閣は、設備投資の過剰を押えるということから、公共事業あるいは官庁営繕費、こういうものを五百億程度押えたというふうに聞いておりますが、この中身の中で、運輸行政の中ではどういう部分が抑制されたか、これを御説明願いたい。
  118. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 ただいま数字を持っておりませんが、運輸省の関係におきましては、港湾整備費、公共事業費におきましてはこれが主でございます。しかしながら、これらも本年度の年度計画の事業といたしまして差しつかえがない、かように考え事業分量でございます。
  119. 久保三郎

    ○久保委員 港湾整備費は、年度計画事業には差しつかえないというのですが、港湾局長がおいでになっておりますから、この中身を説明して下さい。
  120. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 個々の内容につきまして、実は賃料を持ってきておりませんので、今申し上げかねるのでございますが、全体の数字を私記憶しておりますところでは、全体で十八億くらいであったと記憶しております。このうち、防災関係で十億、修築関係で八億だったろう。少し数字は確かでございませんが、そういうふうに考えております。
  121. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、防災十億と修築八億は、大体今年度の事業としてはできかねる、だから、これは削ってもよろしいという結論で了解したのでありますか。
  122. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 大蔵省の方としては、ある率でもって出してもらいたいというようなお話がございまして、私の方は事業を削って出すということは、今の港湾事情からいってできません。しかし、実際問題として、各港ごとにいろいろな事情でできない仕事が毎年あるのでございます。そういうもののうち、どうしてもこれはできないと認められるものだけにつきまして、これを繰り延べと申しますか、できませんということで数字を出したわけでございます。
  123. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、私が質問した通りだというのですか。今年度どっちにしてもできないから、十八億は削ってもらった、こういうことですか。
  124. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 さようであります。
  125. 久保三郎

    ○久保委員 予算がきめられてからまだ幾らにもならないで、そうして毎年そういうものがあるというのでありますが、自分の能力に比べてできない予算をとっておくというのは、どうもわれわれは不可解しごくなんです。しかも、十八億という金は、港湾整備の中で少ない金ではございません。当初から、大体そういうものはいつでも繰り延べるという慣行でありますか。  それからもう一つお尋ねしたいのは、十八億の防災並びに修築事業費は、五カ年計画の中ではもちろんコンクリートできるでありましょうが、来年度はそれだけ載せてやるということでありますか。これは約束はどうなんですか。
  126. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 当初予算を計上いたしますときには、必ずできるというつもりでやるわけでございますが、実際仕事を始めましてから、漁業補償の問題が予定通り片づかなかったというようなこともございまして、やはり実行不可能になる額は毎年あるわけでございます。ただいまお話がございました五カ年計画との関係でございますが、防災事業は五カ年計画には入っておりませんで、修築の方だけが五カ年計画の中に入っておるわけでございます。それで、これを不可能にさせている原因が来年度まだ除去されない場合は別でございますが、そうでない場合は、その金は見て参りたいと思っております。
  127. 久保三郎

    ○久保委員 どうもお話を聞いていると、もちろん今日の船込みを直ちに解消するわけには参らないかもわかりませんが、少なくとも経済の伸びというか、港湾における貨物取り扱い量の伸びに応じ切れないのが、今日の港湾実態であります。いわゆる投資不足が、今日日に見えてきているということであります。そういう際に、できないからということでこういうものを簡単に削るということは、予算に対しての権威を失うのではなかろうかと思うのです。いずれにしてもこの問題は重大でありますから、この防災十億、修築八億は、どういう程度のものか、後刻中身を数字でお知らせ願いたいと思います。  次に、航空局長にお尋ねしたいと思いますが、航空局所管のジョンソン基地にある管制本部の移転の事業費は、今日押えられておりますか。
  128. 今井栄文

    ○今井説明員 押えられておりません。三十六年度は、いただいただけ全部使えることになっております。
  129. 久保三郎

    ○久保委員 大臣、気象庁の庁舎は押えられたように聞いておりますが、押えられておりませんか。
  130. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 気象庁関係の建物で押えられておるというのは、私は聞いておりません。
  131. 久保三郎

    ○久保委員 そうしますと、押えられたものはいわゆる港湾事業費である、あとはない、こういうふうに了解してよろしゅうございましょうか。
  132. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 大体そう御了解をいただきたいと思います。
  133. 久保三郎

    ○久保委員 では、国鉄の財政計画には影響ございませんか。
  134. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 国鉄の計画にも影響はございません。
  135. 久保三郎

    ○久保委員 それでは最後にお尋ねしたいのは、船込みというか、港の滞船に対する対策であります。これにつきましては、先般の予算委員会であるいは話が出ておるかもしれません。船込みの状況については、私からお話し申し上げる必要はないと思うのですが、この傾向は慢性的になっていると思うのであります。これについて今日まで手配した対策は、何と何をやっておられるか、これを御説明願いたい。
  136. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 主要港におきまして、公共事業費として事業量分約十億、その内容は岸壁を増すこと、あるいは係留ブイを増すこと等が主たるものでありました。そのほかに倉庫、はしけ、上屋、それから荷揚げ荷おろしの機械等につきましては、開銀あるいは中小企業金融公庫等の融資のあっせんをただいまいたしております。一番の問題は労務者の問題でございまするが、労務者の住宅につきましては、労働省の方でお世話をしてもらうということになり、労働省の方では雇用促進事業団の方から予算を追加して、予備費でもって住宅約一千人分を今建築をするということになっております。同時に、関係の府県あるいは市等におきまして、住宅について協力をを願っておるわけであります。そのほかに、関係官庁あるいは荷主、業者の方々に集まっていただいて、そして港湾機能をフルに動かすように協議会を設けて、機能の増強に役立ってもらっておる一こういうわけであります。
  137. 久保三郎

    ○久保委員 ただいままでお話がありました内容については、あとで数字も入れて港湾局長の方から届けてほしいと思うのです。ただ問題は、先ほども申し上げたように、経済成長計画というものと港湾整備計画というものがちぐはぐになりはしないか、ということよりは、経済成長計画というものが、池田さんの予想より以上に発展してしまっておる、こういうことなのであります。特に海陸の接着点であるところの港湾については——従来も港湾計画を中途でやめたのです。この四月に改定をしたのですが、これまた投資不足でいるわけです。ところが、この港湾整備五カ年計画の審議の際にも申し上げましたが、大体十年間で五千三百億と策定をいたして参りましたが、これは港湾関係者から参りますれば七千億見当が必要だ。ところが、五千三百億に一応財政投資の方はやってきた。しかも、その前半五カ年は二千五百億ということで、本来ならばこういう輸送部面は投資が先行しなければならぬはずのとことを、あとからやってきて、しかも二千五百億という半額に満たない資金手当ということで、当初からこういうことは予想されたのです。ただ、予想はしたものの、あまりにも現われ方が早くきたということではないかと思う。その問題は別として、少なくとも今の滞船状況の一番ひどいものというか、大へんふえてきたものは、何かというと、いわゆるトウモロコシ、あるいはふすま、あるいは木材、あるいは石油、あるいは鉄くず、この中でも特に特徴的なものは、飼料であるところのトウモロコシ、ふすま、さらに鉄くず、こういうことなんですね。これに対して、ただくるものはさばかなければいかぬということだけで今日やっている傾向が強いのでありますが、運輸大臣としては、それぞれ主管の大臣に向かって、今日の港湾なり輸送の面からいって、かかる入船の方向は誤りであり、これを押えつけるような意見を申し上げたためし、があるのでしょうか。
  138. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 おっしゃいますように、くず鉄と飼料が目立って多いのであります。関係大臣にその点を特に注意を申し上げております。少し多過ぎるような感じがいたしております。ことにふすま等におきましては、引き取る能力がないと言ってはおかしいのでが、置いておく場所がないにもかかわらず、自分たちの倉庫も十分ないというような事柄は非常に困りますので、従って、荷主側に対しまして、引き取りをすみやかにできるような措置をとるように願っておるわけであります。くず鉄等につきましては、大口消費をいたします製鉄業者に、できるだけ岸壁に近いところに持っていくようにと、今慫慂いたしておるわけであります。
  139. 久保三郎

    ○久保委員 これは今までもいろいろなはしけをどうする、上屋をどうするということも、港湾整備五カ年計画の中で実際に等閑視されておる。はしけのごときは、当然そうなんです。いわゆる岸壁荷役を主として、機械を使わないということで、はしけ等は論外だということで今日まできたわけです。しかし、今日の事態を考えれば、はしけ増強は当然の話です。ですから、整備計画の中には当然こういうことも予想の中に入れるべきです。それと同時に当面の問題として単に注意を喚起するというだけでは困るのでありまして、こういう輸入抑制について、少なくとも港湾行政の立場からも、これは強く政府自体が規制すべきだと思うのですが、そういう方法はないのですか。
  140. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 やはり日本の経済に必要な輸入は、これを港湾行政の立場から抑制することは筋違いかと思います。日本経済上どうしても必要なものは、十分入れるだけの設備をしなければならぬと考えております。
  141. 久保三郎

    ○久保委員 今までの設備というのは、大臣、船積みが七、八十も横浜にとまっている。しかも、一週間ならず、一月もとまっている。そういうことが当面の事態として起きているのだから、これを解決する方法は何かということです。なるほど緊急対策も必要だが、それでは万全ではない。それならば、入ってくるものを少し押えるということでなくちゃならぬ。何しろおっしゃるように港湾整備がおくれていますから、これを増強することは当然ですよ。当然だが、入ってきたから仕方がないというだけでとめておいてはたしていいのか。先ほどから話が出ましたいわゆる外航船の積み取り比率あるいは運賃の問題ということも、港湾において長く滞船しておれば、大へんなロスなんです。そういう面を考えないでいて、単なる積み取り比率の問題がどうの、運賃の安定がどうのといっても、私は話にならないと思うのです。だから、少なくとも輸入貨物の特殊なものについては、運輸大臣という立場、あるいは国務大臣という立場からも、これは異常な現現象でありますから、これを押えることが必要だと思うのです。そういう必要はないのでありますか。
  142. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 先ほども申し上げますように、特に競争的に輸入するとか、あるいは先行きを見越して輸入をするとかいう点は、これは港湾行政という見地からもさることながら、日本の経済の安定した健全な行き方に反するわけでありますから、そういうものにつきましては、主管の大臣からそれぞれ注意を喚起してもらっておるわけであります。
  143. 久保三郎

    ○久保委員 港湾局長にお尋ねしますが、当初五カ年計画を策定した場合の港湾における荷物の取り扱い、貨物の取り扱い数量、こういうものと、現実の姿はどういうふうに変わっておりますか。そういう計算とあまり変わりはありませんか。
  144. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 私、就任以来、特にその点に留意をしていろいろ検討いたしておるわけでありますが、従前の計画は、大体七ないし九%毎年平均的に伸びていく、こういう計画であったのでありますが、しかし、総理その他からも言っておりますように、ここ一、二年非常な伸びであって予想外の伸びをいたしたために、今日特に狭隘を来たしております。従って、長い目で十年計画あるいは五年計画の先を見れば、大体前の計画でいけるんじゃないかと思いますが、しかし若干低目に見ているように感じます。従って、五カ年計画はできるならば四カ年でこれを完了いたしたい、そういうようにやって参りたいと考えております。
  145. 久保三郎

    ○久保委員 大へん失礼しました。大臣がお答えいただくのでは……。そこでお尋ねしたいのは、港湾局長でもいいのですが貨物の増加量は、内航だけでも大体計画を上回っているのじゃないか。外航はもちろんです。四十年の計画と今日の実態ではどういうふうになっていますか。内航だけでもおわかりになりますか。
  146. 坂本信雄

    ○坂本政府委員 港湾における取り扱い貨物の数量というのに、その統計が実は非常に集めにくうございまして、まだ毎月の数字が出ないわけでございます。普通一年くらいかかるものでございます。それで一番手っとり早くわかりますのは、通関統計外国貿易の貨物がわかるわけでございます。しかし、全般的に貨物の取り扱い量が非常にふえているということはそういう統計を待たなくともわかるものでございまして、われわれが五カ年計画で考えました今年度の貨物取り扱い量よりは、現実に取り扱っております貨物の量が相当超過しておるということは、明らかに言えると思います。
  147. 久保三郎

    ○久保委員 大体港湾だけ見ても、経済計画というものにほころびが出てきたように思います。ついてはほころびを縫わなければいけませんが、これに対して大臣は、来年度において五カ年計画を修正する考えがあるのかどうか、こういう点を伺いたい。
  148. 斎藤昇

    ○斎藤国務大臣 五カ年計画を修正するというよりは、先ほど申しましたように、五カ年計画の年次——あれは年次はないわけでありますが、できるだけ早めてやっていきたいと考えております。たとえば本年の港湾整備費は三百五十億でありましたが、来年度は五百億程度を要求いたしております。そういう比率で伸ばしていきたい。そういたしますれば、二千五百億の五カ年計画、あるいは四年くらいで完成できるのではないか、こう考えております。
  149. 簡牛凡夫

    簡牛委員長 次会は明十八日水曜日午前十時より開会することとし、本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会