○田中(榮)委員 大へん御親切な態度で今後やっていただくということを聞きまして、私
ども安心したわけでありますが、先祖伝来の土地を持ち、そこで長いこと生活をし、営業しておるものでありますから、やはり一坪の猫額大の土地をとられるのも彼らにとっては非常に大きな苦痛であり、脅威である。ことに、中小企業というものは、それによって生活をしていく以外に道がないのです。そういう点につきましては、人員をふやすこともけっこうでございますが、そうした人々がこれらの
関係者に接する場合において、十分に
一つ納得いくように、懇切丁寧に民衆処遇といいますか、そういう
方面に十分お心がけを願いたいと思うのであります。
それからもう
一つ、地下鉄の
工事の問題につきまして、
交通局の
小倉部長さんに御
質問したいと思います。実は
交通局が直接やっていらっしゃる地下鉄の押上、浅草橋経由馬込線、あの一号線の
工事につきまして、清杉
通りの被害者の協議会がおととい行なわれたのでありますが、偶然私はその席上に呼び出されたわけでございます。だんだん話を聞いてみますと、地下鉄の
工事について、実は蔵前
方面からもいろいろな苦情やら不平を相当私のところに持ってきたので、私はそれを個々に
交通局の方にお願いして
解決をして参ったのでありますが、清杉通の被害者の
対策協議会に出ましたところが、いろいろ大きな問題を私は聞いたわけであります。幸い、そこには
交通局の経理
部長以下皆さん方の御
出席を願いまして、いろいろ親切な
お答えがあったので、実は私も安心したのでありますが、そのうちに、本年の八月二十三日、村松町十二番地、楽器店の大橋次郎という商店がございます、その商店の前一メートルのところまで
工事が行なわれまして、その商店のすぐ地下が四十メートルほど掘り下げられておって、その前にその大橋商店の御主人からも、
交通局に向かって、危ないから何とか応急措置をしてもらいたいということを何回となく申し入れたのでございます。そのつど
交通局からも人が見えて、いろいろ指図もされていったそうでございますが、危ない、危ないと思っているうちに、八月二十三日の午後八時半、突然大音響とともにその家屋がほとんど倒壊に近いくらいに陥没いたしまして、家族の者
どもは命からがら外に逃げ、そしてその際に水道の管が破裂し、またガス管が漏れて、その付近一帯が非常に危険に瀕した。そこで、消防署員、警察署員が来まして、いろいろと応急措置をしたけれ
ども、その際に消防署員も数名負傷しております。私はその翌日テレビ・ニュースでそれを拝見し、新聞紙に大きく写真が載ったのを記憶しております。これは大へんなことが起こったなと思いましたが、まさかそうじゃないだろうと思って、おととい行きましたところ、その大橋商店の御主人が悲痛きわまる言葉でもって切々としてその苦衷を訴えておられました。八月二十三日ですから、きょうまで大体二カ月間まだそのままの状態になっておる。しかも、大橋一家は、裏
通りにようやく土地を見つけ、掘立小屋を建てて、そこで細々と営業しておる。ところが、収入は三分の二減ってしまって、気の毒に店員の俸給も遅配して払えない、という状況でございます。二カ月間というものをそのままにして、なぜもっと早くこの大橋商店に対して
解決していただけなかったか。
交通局の方ではいろいろ言い分があると思うのであります。それは本質的にすっかり
工事ができなくては
補償もきまらぬじゃないかというような、そういう言い分もあると思うのでありますが、やはり
工事をしたのは
交通局でありますから、こうした中小企業の受けた被害、苦痛に対しましては、
交通局におかれましても、これを何とか早急に復旧してやろうじゃないかという、あたたかい気持をもつてやっていただきたい。こうした
一つのことをなおざりにすることによって、今後地下鉄なり、いろいろの都内における
工事が非常に不評判になり、また、それによって
工事が遅延するのです。私は、一昨日その
対策協議会において、経理
部長以下、非常に親切に
お答えを願ったので、おそらく
関係者もこれで満足したろうと思うのでありますが、百軒の家が、あるいは家が傾き、あるいは戸障子が閉まらなくなってしまった、あるいは壁が落ち、水道せんが破裂する、ガス管が漏れる、いろいろさまざまな被害が起こっておる。これに対しまして、
交通局としては、そのつど応急措置はやっていただいておるそうです。セメントが割れたところにはセメントをぶち込んで、一応応急措置はしておるわけでありますが、その
工事が完成した暁において、原状回復をやっていただけるかどうか、それをまず第一にお伺いしたいと思います。