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1961-03-27 第38回国会 参議院 予算委員会第四分科会 第1号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
三十六年三月二十七日(月曜日) 午後一時二十四分開会
——————————
昭和
三十六年三月二十四日
予算委員長
において、左の
通り
本
分科担当委員
を 指名した。
大谷
贇雄君
梶原
茂嘉
君
山本
杉君
横山
フク
君
米田
正文
君
占部
秀男
君
大矢
正君
小柳
勇君 東 隆君
中尾
辰義
君
杉山
昌作
君
——————————
委員
の異動 本日
委員小柳勇
君辞任につき、その補 欠として
田中一
君を
予算委員長
におい て指名した。
——————————
出席者
は左の
通り
。
主査
東 隆君 副
主査
横山
フク
君
委員
大谷
贇雄君
梶原
茂嘉
君
山本
杉君
米田
正文
君
占部
秀男
君
大矢
正君
小柳
勇君
田中
一君
中尾
辰義
君
杉山
昌作
君 国務大臣
大蔵大臣
水田三喜男
君
政府委員
大蔵政務次官
田中
茂穂
君
大蔵大臣官房長
宮川新一郎
君
大蔵大臣官
房会計課長
磯江 重泰君
日本専売公
社監理官
谷川 宏君
大蔵省主計
局給与課長
船後 正道君
大蔵省主税局長
村山 達雄君
大蔵省理財局長
西原 直廉君
大蔵省管財局長
山下 武利君
大蔵省銀行局長
石野 信一君
大蔵省為替局長
賀屋
正雄君
説明員
大蔵大臣官房
財務調査官
大月 高君
大蔵省主計
局主計官
宮崎 仁君
国税庁次長
中西 泰男君
参考人
日本輸出入
銀行理事
酒井
俊彦
君
——————————
本日の会議に付した案件 ○
主査
及び副
主査互選
○
参考人
の
出席要求
に関する件 ○
昭和
三十六
年度
一般会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十六
年度
特別会計予算
(
内閣
提出
、
衆議院送付
) ○
昭和
三十六
年度
政府関係機関予算
(
内閣提出
、
衆議院送付
)
——————————
〔
年長者梶原茂嘉
君仮
主査
となる〕
梶原茂嘉
1
○仮
主査
(
梶原茂嘉
君) ただいまから
予算委員会
第四
分科会
を開会いたします。 本
院規則
第七十五条により、私が
年長
のゆえをもちまして、正副
主査
の
選挙
を管理させていただきます。 これから正副
主査
の
互選
を行なうのでございますが、
互選
は、投票によらず、便宜、
選挙管理者
にその指名を御一任をお願いいたしたいと存じますが、御
異議
ございませんでしょうか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
梶原茂嘉
2
○仮
主査
(
梶原茂嘉
君) 御
異議
ないと認めます。 それでは、
主査
に
東隆
君、副
主査
に
横山フク
君を指名いたします。どうぞ。
——————————
〔
東隆
君
主査席
に着く〕
東隆
3
○
主査
(
東隆
君) ただいま第四
分科会
の
主査
に指名されたのでありますが、私微力でありまして、この仕事はなかなか容易でないと思いますが、皆さんの御
協力
で一つできるだけ円満に進めていきたいと、こう思いますので、よろしく御支援を願います。 それでは
審査
に入ります前に、本
文科会
の
議事
の進め方についてお諮りをいたします。 本
分科会
は、
昭和
三十六
年度
一般会計予算
、同
特別会計予算
及び同
政府関係機関予算
中、
大蔵省
、文部省、厚生省、労働省及び
自治省所管
について
審査
をいたすわけであります。
審査
の都合上、本日は
大蔵省所管
について御審議を願うという方法で進めて参りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
東隆
4
○
主査
(
東隆
君) 御
異議
がないようでありますから、そのように決定をいたします。
——————————
東隆
5
○
主査
(
東隆
君) この際、
参考人
についてお諮りいたします。 本日の
昭和
三十六
年度
予算
中、
大蔵省所管審査
に際し、
日本輸出入銀行理事酒井俊彦
君を
参考人
として
出席
を求めたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
東隆
6
○
主査
(
東隆
君) 御
異議
ないと認めまして、
予算委員長
に対しこの旨申し出ることにいたします。
——————————
東隆
7
○
主査
(
東隆
君) これより本日の
議事
に入ります。
昭和
三十六
年度
一般会計予算
、同
特別会計予算
、同
政府関係機関予算
中、
大蔵省所管
を議題といたします。 まず、本件につきまして
政府
より
説明
を願います。
田中茂穂
8
○
政府委員
(
田中茂穂
君) ただいまから
昭和
三十六
年度
一般会計歳入予算
並びに
大蔵省所管
の
一般会計歳出予算
、各
特別会計歳入歳出予算
及び各
政府関係機関収入支出予算
につきまして、去る一月二十八日
内閣
から
提出
した
予算書
に基づいて御
説明
いたします。 まず、
一般会計歳入予算額
は一兆九千工百二十七億七千六百二十七万七千円でありまして、これを前
年度
予算額
一兆七千二百十億九千七十万二千円に比較いたしますと、二千三百十六億八千五百五十七万五千円の
増加
となっております。 以下、各部について簡単に申し上げますと、第一に、
租税
及び
印紙収入
の総額は一兆六千六百四十八億九千九百万円でありまして、これを前
年度
予算額
一兆四千八百八十億四千七百万円に比較いたしますと、一千七百六十八億五千二百万円の
増加
となっております。この
予算額
は、
現行
の
税法
によって見積もった場合の
収入見込額
一兆七千二百九十六億六千三百万円から、今次の
税制改正
に伴う
一般的減税
による
減収見込額
九百二十五億三千二百万円を差し引き、これに
特別措置
の
整理合理化
による
増収見込額
百十七億八千三百万円及び
揮発油税
の
税率引き上げ等
による
増収見込額
百五十九億八千五百万円を加えたものでありまして、
現行
の
税法
によって見積もった場合の
収入見込額
に対して、
差引
六百四十七億六千四百万円の
減収
となっております。 次に、各
税目別内訳
を申し上げます。 まず、
所得税
につきましては、
現行
の
税法
による
収入見込額
は四千二百七十三億三千六百万円でありますが、今回の
税法改正
に伴う
配偶者控除
の創設、
扶養控除
の
引き上げ
、
専従者控除
の拡充、
給与所得控除
の
引き上げ
及び
税率
の
引き下げ等
による
減収見込額
六百三十億六千二百万円を差し引き、これに
特別措置
の
整理合理化
に伴う
増収見込額
十九億九千五百万円を加え、
差引合計
三千六百六十二億六千九百万円を計上いたしました。その
内訳
は、
源泉所得税
二千八百九十億三百万円、
申告所得税
七百七十二億六千六百万円となっております。
法人税
につきましては、
現行
の
税法
による
収入見込額
五千九百六十八億九千二百万円から、今次の
税制改正
に伴う
耐用年数
の改訂、
配当課税
の
改正
、
同族会社
の
留保所得課税
の
改正
による
減収額
二百八十五億一千八百万円を差し引き、
特別措置
の
整理合理化
に伴う
増収見込額
九十七億八千八百万円を加え、五千七百八十一億六千二百万円を計上いたしました。
揮発油税
につきましては、
現行法
による
収入見込額
千二百二十七億八千四百万円に今次の
道路整備財源充実
のための
税率引き上げ
による
増収見込額
百五十三億七千九百万円を加え、千三百八十一億六千三百万円を計上いたしました。
物品税
につきましては、
現行法
による
収入見込額
八百八十一億三千二百万円から、今次の
税制改正
に伴う
税率改正
による
減収見込額
三億四千九百万円を差し引いて、八百七十七億八千三百万円を計上いたしました。
通行税
につきましては、
現行法
による
収入見込額
四十五億四千三百万円から今次の
税制改正
に伴う汽車の二等
寝台料金
に対する
課税
の廃止による
減収見込額
六億三百万円を差し引き、三十九億四千万円を計上いたしました。
関税
につきましては、
現行法
による
収入見込額
千七十一億四千二百万円に、今次の
関税定率法等
の
改正
による
増収見込額
六億六百万円を加え、千七十七億四千八百万円を計上いたしました。 以上申し述べました
税目
以外におきまして
昭和
三十六
年度
に計上いたしました
収入見込額
は、
相続税
百三十九億一千八百万円、再
評価税
十六億九千万円、酒税二千七百四十二億四千八百万円、
砂糖消費税
二百八十五億円、
トランプ類税
三億五千八百万円、
取引所税
六億二百万円、
有価証券取引税
百十億五千六百万円、とん税八億九千六百万円、
印紙収入
五百十五億六千六百万円であります。 以上、
和税
及び
印紙収入
の
合計額
は一兆六千六百四十八億九千九百万円となっております。 第二に、
専売納付金
は千四百九十六億六千三百七十四万二千円でありまして、これを前
年度
予算額
千三百六十四億一千二百十一万六千円に比較いたしますと、百三十二億五千百六十二万六千円の
増加
となっております。
専売納付金
の
内訳
を申し上げますと、
日本専売公社納付金
千四百八十九億六千七百一三十五万円、
アルコール専売事業特別会計納付金
六億九千六百三十九万二千円となっております。 第三に、
官業益金
及び
官業収入
は百九十七億三千四百六十五万一千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、二十五億四千八百二十万六千円の
増加
となっております。
官業益金
及び
官業収入
の
内訳
について申し上げますと、
印刷局特別会計受入金
四億三千七百九十二万八千円、
病院収入
百九十二億九千六百七十二万三千円となっております。 第四に、
政府資産整理収入
は百五十三億七千百三十九万八千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、三十九億一千百三万五千円の
減少
となっております。
政府資産整理収入
のおもなる
内訳
について申し上げますと、
国有財産売払収入
五十六億九千百八十五万五千円、
貸付金等回収金収入
十五億四千四百七十八万一千円、
地方債証券償還収入
七十九億九千三百一万二千円等となっております。 第五に、
雑収入
は、五百十八億九千三百五十五万五千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、八十五億五千百七十四万五千円の
増加
となっております。
雑収入
のおもなる
内訳
について申し上げますと、
国有財産貸付収入
十八億六百七万三千円、
日本銀行納付金
百五十一億八千六百万円、
日本中央競馬会納付金
二十九億五千五十九万九千円、
恩給法納金
及び
文官恩給費特別会計等負担金
五十九億二百二十七万八千円、
特別会計受入金
五十九億六千二百八十二万七千円、
授業料
及び
入学検定料
二十一億二千三百四十三万七千円、懲罰及び
没収金
四十九億三千二百八十三万八千円、及び
返納金
十九億六千二百二十六万八千円、
矯正官署作業収入
二十八億二千五百二十六万二千円、
物品売払収入
二十四億四千九十六万七千円等となっております。
最後
に、前
年度
剰余金受け入れ
におきましては、
昭和
三十四
年度
の決算によって同
年度
に新たに生じた純
剰余金
五百十二億一千三百九十二万一千円を計上いたした次第であります。 次に、
昭和
三十六
年度
大蔵省所管一般会計歳出予算額
は千三百三十九億七千三百十五万六千円でありまして、これを前
年度
予算額
千二百三十三億七千百七十三万六千円に比較いたしますと、百六億百四十二万円の
増加
となっております。 この
歳出予算額
を、まず
組織
に大別いたしますと、
大蔵本省
九百七十三億五千五十四万三千円、
財務局
三十三億一千二百五十三万八千円、
税関
三十二億四千九百三十三万円、
国税庁
三百億六千七十四万五千円となっておりますが、これをさらに
組織別
に、おもなる事項に分けて御
説明
いたしますと、次の
通り
であります。
大蔵本省
におきましては、
大蔵省設置法
に定める
本省内部部局所掌
の
一般事務
を
処理
する等のため必要な
経費
として、
大蔵本省
の項に二十五億七千七十六万一千円、旧令による
共済組合等
からの
年金受給者
のための
特別措置法
に基づく、年金の
支払い
と、これに伴う
事務費
を
国家公務員共済組合連合会等
に交付するため必要な
経費
として、
国家公務員共済組合連合会等補助及交付金
の項に十九億三千六百二十六万円、
日本国有鉄道
、
日本電信電話公社
及び
資金運用部特別会計
へ、それらの
国庫預託金
に対する
利子
を支払うため必要な
経費
として、
国庫受入御託金利子
の項に八億三千万円、
国債償還
、
国債利子
及び
大蔵省証券発行割引差額
の
支払い
に充てる
財源
並びにそれらの
事務取扱費
を、
国債整理基金特別会計
へ繰り入れるため必要な
経費
として、
国債費
の項に四百八億二千二百四十九万九千円、
国家公務員
のための
国設宿舎
を設置するため必要な
経費
として、
公務員宿舎施設費
の項に二十二億二千七百九十九万五千円、位置、環境、規模及び
形態等
から国以外の使用に供することがより適当であると認められる
行政財産
を処分し、これにかわる
庁舎等
を取得するため必要な
経費
として、
庁舎等特別取得費
の項に八億五千万円、
賠償等特殊債務処理特別会計法
に基づく
賠償等特殊債務
の
処理
に充てるための
財源
を同
会計
へ繰り入れるため必要な
経費
として、
賠償等特殊債務処理費
の項に二百七十六億円、
理化学研究所法
に基づいて、
科学技術
の振興に寄与する
事業
を行なう
理化学研究所
に対し
出資
するため必要な
経費
として四億三千万円、
造林聖業
に対して
農林漁業金融公庫
が
長期低利
の融資を行なうに必要な
資金
を同
公庫
に対し
出資
するため必要な
経費
として九億円、
医療金融公庫
の行なう
事業
に要する
資金
の一部として同
公庫
に対し
出資
するため必要な
経費
として二十億円、新
技術
の
開発
を促進するため新たに設置する新
技術開発機関
(仮称)の行なう
事業
に要する
資金
として、同
機関
に対し
出資
するため必要な
経費
として三億円、
森林開発公団
の行なう
水源林造成事業
に要する
資金
として同公団に対し
出資
するため必要な
経費
として十億円、東南アジアその他の
開発途上
にある海外の地域に対する
経済協力
の促進をはかるために設けられた
海外経済協力基金
に対し追加
出資
するため必要な
経費
として五十億円、以上の六
機関
に対する
出資
の
合計額
九十六億三千万円を
政府出資金
の項に計上し、なお、予見しがたい
予算
の不足に充てるための
予備費
として百億円を計上いたしております。 次に、
財務局
におきましては、
大蔵省設置法
に定める
財務局所掌
の
一般事務
を
処理
する等のため必要な
経費
として、
財務局
の項に三十三億一千二百五十三万八千円を計上いたしております。 次に、
税関
におきましては、
大蔵省設置法
に定める
税関所掌
の
一般事務
を
処理
する等のため必要な
経費
として
税関
の項に二十六億六千三百七十七万五千円、
保税地域
その他
関税法規
上特殊の取り扱いをなす
場所等
において、
税関事務
の一部を
処理
するために派出する
税関職員
に必要な
経費
として、
税関派出諸費
の項に五億八千五百五十五万五千円を計上いたしております。 次に、
国税庁
におきましては、
税務官署
の項に
大蔵省設置法
に定める
国税庁所掌
の
一般事務
を
処理
するため必要な
経費
として二百五十五億九千六百四十五万七千円、直接税及び
間接税調査事務等
に必要な
経費
として十九億七千七百七十二万八千円、その他
調査査察
及び
徴収管理事務等
に必要な
経費
として十億二千二百六十五万三千円、計二百八十五億九千六百八十二万八千円を計上いたしております。
租税収入
を確保するため滞納の
整理
及び
差押物件
の
処分等
に必要な
経費
として
滞納整理費
の項に五億一千六百四十一万九千円、
内国税
の
過誤納金
の払い戻し及び
青色申告制度
に基づく
還付金
に対する
加算金
に必要な
経費
として、
租税還付加算金
の項に九億円を計上いたしております。 次に、
昭和
三十六
年度
大蔵省所管
の各
特別会計歳入歳出予算
につきまして、その
概要
を申し上げますと、
造幣局特別会計
におきましては、
歳入歳歳出
とも三十三億九千五百九十二万九千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも四十五億三千四百五十六万五千円の
減少
となっております。
減少
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、
製造経費
の
減少
に伴う
補助貨幣回収準備資金
より
受け入れ
の
減少
によるものであり、
歳出
におきましては、
原材料地金購入
に必要な
経費等
の
減少
によるものであります。
印刷局特別会計
におきましては、
歳入
百八億八千二百九十一万四千円、
歳出
百四億四千四百九十八万六千円、
差引
四億三千七百九十二万八千円の
歳入超過
となっておりまして、これは前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入
において三十九億七百十六万一千円、
歳出
において四十一億九千百五十五万七千円をそれぞれ
増加
いたしております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、
日本銀行券
及び
切手類等製品売払収入
並びに
雑収入
の
増加
によるものであり、
歳出
におきましては、これに伴う
製造経費
及び
工場施設等
を整備するため必要な
経費
の
増加
によるものであります。
資金運用部特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも千三百六十八億六千九百二十九万五千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも二百二十億一千二百八十五万円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、
資金運用部資金
の
運用
による
利子収入
の
増加
によるものであり、
歳出
におきましては
郵便貯金
その他の
預託金
に対する
利子
の
支払い
に必要な
経費
の
増加
によるものであります。
国債整理基金特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも四千九百八十四億三千六百三十三万三千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも二百九十三億五千五百三十三万九千円の
増加
となっておりますが、その
内訳
は、
債務償還費
において三百三十九億九千五百七十四万二千円、
国債事務取扱諸費
において二千九百二万九千円の
増加
となっており、
利子
及び
割引料
において四十六億六千九百四十三万二千円の
減少
となっております。
貴金属特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも二億二千四百六万一千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも二千三十八万八千円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、
貴金属地金売払代
の
増加
によるものであり、
歳出
におきましては、
貴金属買い入れ
に必要な
経費
の
増加
によるものであります。
外国為替資金特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも百四十四億一千三百三万四千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも八十五億九千百五十三万一千円の
減少
となっております。
減少
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、
外国為替資金
の
運用
による
収入
の
減少
によるものであり、
歳出
におきましては、
融通証券発行割引差額
に必要な
経費
の
減少
によるものであります。
産業投資特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも四百十六億九千七十五万四千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも二億五千六百六十二万七千円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、この
会計
に置かれている
資金
からの
受け入れ
の
増加
によるものであり、
歳出
におきましては、
国債償還
に必要な
経費
の
増加
によるものであります。
経済援助資金特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも十五億五千二十九万二千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも三億二千百七十四万九千円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、前
年度
剰余金受け入れ
の
増加
によるものであり、
歳出
におきましては、
援助資金支出
に必要な
経費
の
増加
によるものであります。
余剰農産物資金融通特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも四十二億二千百六十二万一千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも二十六億八千百八十四万六千円の
減少
となっております。
減少
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては
運用資金
の
回収
及び前
年度
剰余金受け入れ
の
減少
によるものであり、
歳出
におきましては、
貸付金
の
減少
によるものであります。
賠償等特殊債務処理特別会計
におきましては、
歳入歳出
とも二百八十一億四十万円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
歳入歳出
とも八十五億七千九百万円の
減少
となっております。
減少
いたしましたおもなる
理由
は、
歳入
におきましては、
一般会計
より
受け入れ
及び前
年度
剰余金受け入れ
の
減少
によるものであり、
歳出
におきましては、
賠償等特殊債務処理費
の
減少
によるものであります。
国有財産特殊整理資金特別会計
におきましては、
歳入
二億八千五百五十四万円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、一億七千六百五十三万七千円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、国の
庁舎等
の
使用調整等
に関する
特別措置法
に基づく
特定庁舎
の処分による
収入
が
増加
したためであり、
歳出
につきましては、
資金
を効率的に使用するため、本
年度
におきましても計上せず、全額、
昭和
三十七
年度
以降の
歳出
の
財源
として持ち越すことにいたしております。
最後
に、
昭和
三十六
年度
大蔵省関係
の各
政府関係機関収入支出予算
につきまして、その
概要
を御
説明
いたします。
日本専売公社
におきましては、
収入
三千三百三十八億六千三百二十二万二千円、
支出
千八百七十九億六千四百六十四万四千円、
差引収入超過額
千四百五十八億九千八百五十七万八千円となり、これに
昭和
三十六
年度
における
資産増加額
五十八億九千百六十三万八千円を加算した千五百十七億九千二十一万六千円が
事業益金
となるのでありますが、
日本専売公社法
第四十三条の十三第一項の規定により、
固定費
産
増加額
二十八億二千二百八十六万六千円を控除いたしまして、
専売納付金
は千四百八十九億六千七百荘十五万円となるのであります。 以下、
たばこ
、塩及び
ショウノウ
の各
事業予算
についてその概略を申し上げますと、
たばこ事業
におきましては、三十六
年度
における
製造数量
は千三百六十億本、
販売数量
は千三百三十八億本でありまして、これを前
年度
に比較いたしますと、
製造
において百五億本、販売において九十八億本をそれぞれ
増加
いたしております。
たばこ事業
の
予算額
は、
収入
三千六十七億四千九百四万円、
支出
千五百七十八億六千六百十八万五千円、
差引収入超過額
千四百八十八億八千二百八十五万五千円となっておりまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において三百二億二千三十四万二千円、
支出
において二百十六億九千百八十四万一千円をそれぞれ
増加
いたしております。
塩事業
の
予算額
は、
収入
二百六十二億七千二十八万一千円、
支出
二百四十五億八千五百六十五万五千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において六億一千五百二十一万四千円の
増加
となっておりますが、
支出
においては四十六億八千二百六十一万六千円
減少
いたしております。 次に、
ショウノウ事業
の
予算額
におきましては
収入
八億四千三百九十万一千円、
支出
八億二千九百九十五万九千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において七十九万一千円、
支出
において二百四十八万三千円をそれぞれ
減少
いたしております。 なお、全
事業
の
固定費魔取得費
におきましては、
支出
四十六億八千二百八十四万五千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、十七億六千八百九十九万四千円の
増加
となっております。 国民金融
公庫
におきましては、
収入
百四億一千二十七万五千円、
支出
九十七億四千百六十七万円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において十三億六千四百六十四万三千円、
支出
において十三億二十七万二千円の
増加
となっております。 住宅金融
公庫
におきましては、
収入
百三十億六千四万一千円、
支出
百二十九億三千三百三十万二千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において十五億二千五百七十万八千円、
支出
において十四億四千三百九十万四千円の
増加
となっております。
農林漁業金融公庫
におきましては、
収入
百二十四億八百五十八万六千円、
支出
百十九億五千五百三十六万八千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において十七億八百十四万九千円、
支出
において十七億六千八百八十九万七千円の
増加
となっております。 中小企業金融
公庫
におきましては、
収入
百四十五億三千三百六十七万四千円、
支出
百二十二億二千七百六十一万一千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において十五億九千三百七十七万円、
支出
において十億七千七百十万七千円の
増加
となっております。 北海道東北
開発
公庫
におきましては、
収入
四十八億七千百五十五万六千円、
支出
三十九億六千八百五十四万三千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において七億六千七百二十八万六千円、
支出
において九億一千四百六十四万八千円の
増加
となっております。 公営企業金融
公庫
におきましては、
収入
三十五億六千六百七万六千円、
支出
三十一億九千四百二十五万五千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において十一億一千七百一万九千円、
支出
において十一億五千七百九十一万六千円の
増加
となっております。 以上、申し述べました六
公庫
につきまして、それぞれ
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
収入
におきましては、
貸付金
利息
収入
の
増加
によるものであり、
支出
におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う
事務費
の
増加
によるものであります。 中小企業信用保険
公庫
におきましては、
収入
二十億五千六百八万八千円、
支出
二十五億七千九百二十七万四千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
に−おいて四億一千四百六十万三千円、
支出
において三億四千七百八十八万六千円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
収入
におきましては、
回収
金、保険料
収入
及び
貸付金
利息の
増加
によるものであり、
支出
におきましては、支払保険金及び業務増量に伴う
事務費
の
増加
によるものであります。
医療金融公庫
におきましては、
収入
四億三千三百十五万六千円、
支出
四億五百七十一万七千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において三億五千六百七十一万二千円、
支出
において三億二千九百四十三万八千円の
増加
となっております。
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
収入
におきましては、
貸付金
利息
収入
の
増加
によるものであり、
支出
におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う
事務費
の
増加
によるものであります。 日本
開発
銀行におきましては、
収入
四百二十九億七千七百六十四万円、
支出
二百五十四億五千七百三十九万五千円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において四十六億五百三十九万九千円、
支出
において二十七億八千七百九十七万七千円の
増加
となっております。
日本輸出入
銀行におきましては、
収入
七十四億五百五十八万二千円、
支出
六十九億九千百六十八万円でありまして、これを前
年度
予算額
に比較いたしますと、
収入
において二十四億六千四百四万二千円、
支出
において二十二億六千八百四十万八千円の
増加
となっております。 以上、申し述べました二銀行につきまして、それぞれ
増加
いたしましたおもなる
理由
は、
収入
におきましては、
貸付金
利息
収入
の
増加
によるものであり、
支出
におきましては、借入金利息及び業務増量に伴う
事務費
の
増加
によるものであります。 以上、
昭和
三十六
年度
一般会計歳入予算
並びに
大蔵省所管
の
一般会計歳出予算
、各
特別会計歳入歳出予算
及び各
政府関係機関収入支出予算
について、その
概要
を御
説明
いたしました。
東隆
9
○
主査
(
東隆
君) これより質疑に入りますが、ただいま
政府
側から
出席
をされておりますのは、水田
大蔵大臣
、
田中
大蔵政務次官
、磯江
大蔵大臣官房
会計
課長、泉
財務調査官
、これは主税局担当、大月
財務調査官
、これは銀行局担当、山下管財局長、吉田理財局次長、鈴木
資金
課長、橋口特別金融課長、細川国有財産第二課長、松隈
日本専売公社
総裁、谷川
日本専売公社
監理官、
賀屋
為替局長、大村主計局総務課長、
参考人
酒井
日本輸出入
銀行理事
、以上お見えでありますので、これから質疑に入りますが、ちょっと速記をとめて下さい。 〔速記中止〕
東隆
10
○
主査
(
東隆
君) 速記を始めて。 それではこれより質疑の通告に従って、
大矢
君に質疑を願いますが、今、宮川
大蔵大臣官房長
も見えております。
大矢正
11
○
大矢
正君 これはまあ
賀屋
さんのところになるのじゃないかと思いますけれども、この間私、
予算
の一般質問で、国際収支の二月の実績を聞いたけれども、まだ実ははっきりしなかったのですね。それで経常収支の収支じりだけは九千三百万ドルと聞いたのですが、この機会に一月の経常収支、それから資本収支の内容と二月の内容を
説明
してもらいたいと思います。
賀屋正雄
12
○
政府委員
(
賀屋
正雄君) 一月中におきます国際収支の実績でございますが、経常取引と資本取引に分けて申し上げます。 経常取引の受け取りでございますが、一月、三億三千四百万ドル、その
内訳
を貿易、つまり輸出と貿易外で申し上げますと、二億八千万ドルが輸出でございます。貿易外が五千四百万ドルでございます。これに対しまして
支払い
は四億三千三百万ドルでございまして、このうち輸入が三億六千九百万ドル、貿易外の
支払い
が六千四百万ドルと相なっております。従いまして、経常収支じりを申し上げますと、結局、九千九百万ドルの赤字となっておりまして、このうち貿易上の赤字が八千五百万ドル、貿易外が一千万ドルと相なっております。以上が経常取引でございまして、資本取引は長期と短期がございますが、長期の資本収支じりは、五百万ドルの黒字でございまして、つまり受け取りが二千二百万ドル、
支払い
が一千七百万ドル、
差引
五百万ドルの受け取りになっております。それから短期の方は、一億六千七百万ドルの黒字となっております。合計いたしまして、資本収支全体のじりは一億七千二百万ドルの黒字でございまして、これから先ほどの経常収支の九千九百万ドルという赤字を差し引きますと、結局総合収支におきまして七千三百万ドルの黒字ということに相なります。 これに対しまして二月でございますが、経常取引で、受け取りが三億三千九百万ドルでございまして、このうち輸出に基づく受け取りが二億九千万ドル、貿易外が四千九百万ドルと相なっております。
支払い
が四億三千二百万ドルでございまして、このうち輸入が三億五千万ドル、貿易外の
支払い
が八千二百万ドルと相なっております。従いまして、経常収支全体のしりは九千三百万ドルという赤字でございまして、そのうち貿易に基づく赤字が六千万ドル、貿易外に基づく赤字が三千三百万ドルと相なっております。二月の資本取引でございますが、長期の収支じりは、受け取りが千二百万ドル、
支払い
が六百万ドルでございますので、
差引
六百万ドルの黒字となっております。短期の収支じりは一億五千万ドルでございまして、合計いたしまして、資本取引全体の収支じりは、一億五千六百万ドルの黒字となっております。これから先ほど申しました九千三百万ドルの経常収支の赤字を差し引きまして、結局六千三百万ドルの総合収支における黒字と相なっております。
大矢正
13
○
大矢
正君
大蔵大臣
。前の一般質問の私の質問に対する答弁で、
年度
末、三月の国際収支の見通しを述べられておったんですが、大体三月はどういう推移をたどるという見通しを持っておられるか、お答え願いたい。
水田三喜男
14
○国務大臣(
水田三喜男
君) この間、三月は四、五千万ドルの赤字と答弁いたしましたが、ただいまのいろいろな資料に基づいて、四、五千万ドルの赤字と、総合では五千万ドルくらいの黒字というのが私どもの見通しでございます。
大矢正
15
○
大矢
正君 大臣。経常収支では四千万ドルから五千万ドルの赤と、それから、総合収支では五千万ドルくらいの黒字と、こういう結論が出るからには、裏づけになる数字がある程度なければならない。貿易は大体どの程度になるか、過去における通関実績から見て、どのくらいになるという見通しもあるだろうし、それから、もちろん
支払い
についても、ユーザンスの関係なんかから考慮してどのくらい、資本取引はどのくらいという見通しがあるから、四千万ドルから五千万ドルの経常収支は赤だ、資本取引は五千万ドルの黒だという結論が出ると思うのだが、その内容を一つ発表してくれませんか。もちろん、これは見通しですから、絶対狂いないなどと考えておりませんけれども、大体どの程度を根拠にしてそう言われているのか。
賀屋正雄
16
○
政府委員
(
賀屋
正雄君) ただいま大臣からお答えがございましたように、総合収支じりにおきましては、五千万ドルをややオーバーするのではないかという見込みでございまして、これは、実は外為
会計
の毎日の出入りからいたしまして、この方はある程度見通しがつくわけでございますが、それが一体貿易と貿易外受け取りと
支払い
でどういうふうにして出てくるかということは、これは一つの推測でございまして、私どもこれが必ず当たるというふうには確信は持っておりませんけれども、この大体の傾向その他から考えまして、輸出の例年における伸び工合、これは
年度
末——会社等におきましても、
会計
年度
の終わりという関係もございまして、例年三月には輸出が伸びるというような傾向がございます。そういった過去の例等から考えまして、一定の見込みを立て、また、輸入につきましても大体の傾向等を考えまして、まあ貿易じりにおきましては、三千万ドル乃至四千万ドル程度の赤字が出はしないか。これに対しまして貿易外におきまして、二月の貿易外の赤字が多少多く出ておりますが、これは、例の連合国財産補償の送金をいたしました関係もあり、そういった特殊事情を除いて考えますと、大体三月は一千万ドル前後ではなかろうかということから計算いたしまして、四千万ドルないしは五千万ドルの赤字が出るという見通しを立てているわけでございます。
大矢正
17
○
大矢
正君
賀屋
さん、貿易の中のICAと、それから貿易外の特需ですね。ICAと特需の一月、二月の数字の動きをちょっと
説明
してくれませんか。
賀屋正雄
18
○
政府委員
(
賀屋
正雄君) 一月中におきまする輸出の中のICAの輸出による受け取りは、千二百万ドルとなっております。二月が八百万ドルでございます。 それから、軍関係の受け取りでございますが、これは貿易外に入っておりまして、一月中が二千八百万ドル、二月中が二千四百万ドルであります。
大矢正
19
○
大矢
正君 ICAが一月から二月と下がっていますね。それから特需の場合も、わずかであっても下がってきているのですが、これは、例年一月より二月、二月より三月というふうに、年の始めは下がるものですか。それとも、そうじゃなくて、基調として下がる方向になってきているものですかね。これは、大臣でも局長でもいいですけれども……。
賀屋正雄
20
○
政府委員
(
賀屋
正雄君) ICAの買い付けの昨年の一月、二月の数字を申し上げますと、一月が一千万ドル、二月が六百万ドルというふうに、一昨年は、月別がちょっと手元にございませんが、去年とことしは、一月に比べまして二月は若干減っておるという関係でございます。 それから軍預金の振り込み、円セール、これは、両方合わせまして軍関係ということになっておりますが、これは昨年、軍預金が一月も二月も八百万ドル、それから円セールは、一月も二月も一千四百万ドルということで、同額になっております。
大矢正
21
○
大矢
正君
大蔵大臣
、あなたのさっきの話からいくと、経常収支が五千万ドル程度赤になるだろう、それから資本取引を含めて、最終的な総合収支では、五千万ドルぐらい黒字になるだろうということは、逆論的に言うと、資本収支で、長期なんということは当てにできませんから、短期でもって約一億ぐらい資本収支で黒字になるという計算ですか、数字からいくと。その
通り
で間違いございませんか。
水田三喜男
22
○国務大臣(
水田三喜男
君) 大体その
通り
です。
大矢正
23
○
大矢
正君 それから、四月、五月、六月、大体との時期は、まあ案外貿易収支の面で赤字が多いというふうに言われているのですが、しかし、これは三十五年はそうだったんですけれども、三十四年、三年あたりはそういう実績はなかったですね。これは、今の大体貿易の状況等からいくと、四月、五月、六月あたりは、当然貿易しの経常収支の面ではかなり大幅な赤字になるというふうに私は考えるのですけれども、大臣どうですか、見通しとして。
水田三喜男
24
○国務大臣(
水田三喜男
君) 大幅な赤字になるかどうかは、まだ私どもには推計ができません。と申しますのは、この二月の様子を見ましても、前年同期に比べてみますと、たとえば西欧向けは七割以上・七〇%も輸出が伸びている、前年に比べて。ところが、対米貿易が二二、三%ですか、減っているということで、米国の景気停滞というものが大きく影響をしておるのですが、米国側のいろいろな報告によりますと、二月が底だとか、三月が底だとか、これがはっきりつかめませんが、米国の景気上昇というようなものが出てきますというと、また私どもの今の見込みは狂う。東南アジアと米国の方が停滞ぎみで、西欧向けは非常に伸びているということですから、この情勢の変化でそう大きい貿易の赤字が出るとも思われないいろいろな要素がございますので、輸入が多くなることははっきりしておりますので、輸入と輸出の関係で赤字が出る見通しはついておりますが、輸出が減るということは簡単に言えませんので、その点の見通しだけでございます。
大矢正
25
○
大矢
正君 国際収支のやつは、いずれにしても、総括質問で
最後
に私やることになっていますから、私自身の考え方と、それから、それに対する大臣の答弁は、そのおりに最終的な総括質問で私やりますから、そのときやってもらうことにして、きょうは数字だけお尋ねしたわけです。 次は、
税関
係に入って、主税局長おられますから、主税局長に伺いますが、二月の税収の実績はどうなっておりますか。
村山達雄
26
○
政府委員
(村山達雄君)
一般会計
の二月末の累計額で申し上げます。一兆四千五百八十九億でございます。第二次補正
予算額
一兆五千二百四十五億に対しまして、九五・七%の
収入
でございます。
大矢正
27
○
大矢
正君 最近
大蔵省
で、二月の
租税
及び
印紙収入
の見通しから三月の見込み、そして最終的な自然増による
剰余金
と申しますか、約八百億円ということを何か発表されているようですけれども、よろしければ、その根拠を一つこの際明らかにしておいていただきたいと思います。
村山達雄
28
○
政府委員
(村山達雄君) これは、最終的にどれくらいの第二次補正
予算
に対し増収になるかということは、まだはっきりわかりませんが、一つの仮定計算をした、おそらくその仮定計算の数字の解説として新聞に発表されたのだと思います。と申しますのは、二月末現在の
収入
歩合、先ほど申しましたように、九五・七%でございます。ところが、ことしは減税をやっております。ですから、減税を五十八億やっておりますが、その減税の割り振り額は、二月が二十九億、三月二十九億とまあ考えておるわけです。従いまして、その第二次補正後
予算額
に減税額の二十九億を加えたものに対してどれくらいになるかということで
収入
歩合を見ないと、去年との
収入
歩合の差額はわからぬわけでございます。そういたしますと、それが去年が九〇・五%、ことしは、先ほど申しましたように、出っぱなしは九五・七%ですが、調整いたしますと九五・五%ぐらいになる、二十九億を加えたものに対する
収入
歩合は。それで、
収入
歩合の上昇率を見ますと、約五%アップになるということでございます。その五%アップを、今後も同じような
収入
の順調な状況が続くものとして、それを第二次補正
予算額
一兆五千二百四十五億プラス二月分の減税の二十九億、これを加えたものに五%かけますと、七耳六十四億程度になります。で、二十九億は実は減税で引かれますので、それを引きますと、まあ七百三十億程度のものに相なります。これがまあ第二次補正後のこういう計算をもってすれば、七百三十億程度の自然増収が見込めるのではないかと、ただ、
申告所得税
の第三期分の申告状況、これがまだわかっておりません。これが今後の数字として出て参るわけでございますが、それが相当好調であるということを予定しますと、もっとふえるのじゃなかろうかと、まあそんな辺からその辺の模様を申し上げたところ、新聞の解説で八百億と出たのじゃないかと、かように想像しておるわけでございます。
大矢正
29
○
大矢
正君 三月の大体
租税
及び
印紙収入
というのは、どのくらい計算していますか。今、主税局長が言われたのは、これは第二次補正に対して、税収の
収入
歩合がどの程度かという、
収入
歩合からの計算でしょう、今あなたやっておるのは。そうじゃなくて、二月の実績として一兆四千五百八十九億というのが出ているのだから、これに、簡単な計算だけれども、三月はどの程度か、昨年の例もあるわけだから、その昨年の大体見通しからいって、三月の
収入
の見込みを出して、それを出したらどのくらいになるんですか、そういうような計算をもしやったら。何だったら、私やってもいいんだけれども、局長の方から……。
村山達雄
30
○
政府委員
(村山達雄君) いろいろ計算をやっております。やっておりますが、積み上げ計算をいたしますと、これは強気、弱気いろいろありますが、三月千二百億くらい入るのじゃなかろうか。それから、四、五月ごろで百億ちょっとオーバーするんじゃないか、こんなところを踏んでおるわけでございます。従いまして、その辺出しますと、合計して千三百億か、それよりちょっとオーバーするかというところでございます。
大矢正
31
○
大矢
正君 二月末の
租税
及び
印紙収入
の累計額はどのくらいになっているんですか。
村山達雄
32
○
政府委員
(村山達雄君) 先ほどもちょっと触れたかと思いますが、一兆四千五百八十九億でございます。
大矢正
33
○
大矢
正君 それは、私の質問の仕方がちょっと悪かったのですが、私が言ったのは、ことしのやつじゃなくて、三十五年の二月末の当時の累計額はどのくらいあったか、こう聞いたのです。
村山達雄
34
○
政府委員
(村山達雄君) 一兆九百七十八億でございます。
大矢正
35
○
大矢
正君 昨年の二月末の
収入
累計と、ことしの二月末の
収入
累計からいくと、四千億くらいの開きがありますね。約三千九百億から四千億近い、そのくらいの差がありますね。
村山達雄
36
○
政府委員
(村山達雄君) 三千六百億くらいでございますね、一兆四千五百八十億から一兆九百七十八億を引きますから。
大矢正
37
○
大矢
正君 そうすると、それから計算していくと、七百三十億という三月の
収入
を見込んだ最終的な自然増というのは、これは過小じゃないですか、その計算からいけば、そうならないですか、積み上げ計算からいくと。あるいは、昨年の二月の累計とことしの二月の累計の差からいくと、そういう計算にならないでしょう。
村山達雄
38
○
政府委員
(村山達雄君) そこで、先ほど申し上げました一つのやり方は、
収入
歩合が前年に比べてどの程度上がっておるか、上がっておるだけは、平均的に昨
年度
に比べてことしはいいということでございますから、もしさらに今までの平均よりも上がるという予想を立てるかどうか、そこが一つの問題です。好調の程度が今までと同じであるとすれば、先ほど申し上げましたように、五%くらい上がるという計算でいいわけでございます。そのままを見ますと、先ほど申し上げましたように、第二次補正後におきまして七百三十億くらい出る、こう言っておるわけです。そのほかに、今
大矢
委員
がお尋ねになりましたそういう計算でなくて、ずばり三月そのものがどのくらい入るかというお尋ねもされたわけです。それに対して、そういう計算もございます。それはやってございまして、いろいろ計算しておりますが、三月で千二百億程度入るという計算になりましょう、こう言ておるわけです。四月、五月も若干見込めます。この三、四の方の積み上げ計算からいった場合には、先ほど申しました二月までの実績と去年の二月までの実績の
収入
歩合の差から計算したものよりはやや多くなる。その辺のことをいろいろ新聞記者会見ではお話しましたところ、新聞では八百億、こう出たんじゃないか、こう実は想像しております。いずれにいたしましても、われわれの計算のところでは、八百億まではいってないわけでございます。しかしこの中には、この
申告所得税
、三十五年分の第三期分の申告状況がまだ盛り込まれていない。これは、われわれは、三月末で見込んでいるときには、ある程度去年の実績等を勘案して見ているわけでございますが、これが非常に好調であるということになれば、ただいま申した七百三十億がもう少し多く、この数字よりもさらに上回ることはあるべし、こういうことでございます。
大矢正
39
○
大矢
正君 あなたの方は、七百三十億という数字を出しておられるけれども、私は、七百三十億なんていうものじゃなくて、千億をこえるのじゃないかというふうに一応考えるわけですが、あなたの言う七百三十億というのは、ほんとうに少ない見積りじゃないんですか。これは、私はおかしいと思うんだが、これは総括質問でまた大きな視野からやりますから、きょうあんまり議論するのはやめますけれども、いずれにしても、七百三十億という見積もりは過小でしょう、どう見ても。三十億や五十億の開きならいいけれども、百億こえる見通しの開きが出たとしたら、あなたは、実際問題としてあとで責任を負わなければならないでしょう。七百三十億とおっしゃるけれども……。
村山達雄
40
○
政府委員
(村山達雄君) 七百三十億にとどまると申し上げているわけじゃなくて、今のような計算方法までお示ししているわけです。こういう計算方法をもってすれば機械的に七百三十億と出ますと、こう申し上げて、ただ、今となっては、
大矢
先生のような千億というのは無理であろうと思います。八百億までいけるかどうかというところがほんとうの
最後
の——いろんな計算方法がありますが、それらのいろんな計算方法をもって、勘を加えて、大体この辺というのが八百億円というふうに考えておりまするが、先生のおっしゃるような数字は、今となっては、千億というのは、われわれとしては多過ぎやしないかという感じがいたします。
大矢正
41
○
大矢
正君 まあいいでしょう。これは、いずれ議論しますから、いいとします。 次には輸出入銀行、いいですか。
東隆
42
○
主査
(
東隆
君) 来ております。
——————————
東隆
43
○
主査
(
東隆
君) この際、
委員
の差しかえがありますから……。
小柳
勇君が辞任され、その補欠として
田中一
君が選任せられました。御報告いたします。
——————————
大矢正
44
○
大矢
正君 輸出入銀行にお尋ねしますが、よろしゅうございますか。
東隆
45
○
主査
(
東隆
君) 輸出入銀行は、高廣
日本輸出入
銀行理事
と
酒井
日本輸出入
銀行理事
、このお二人が見えております。
大矢正
46
○
大矢
正君 私がお宅から、これはまあ極秘の書類でもらったものを、こういうことを言うのは何ですが、個人的に資料をいただいた、その資料によると、十二月三十一日現在で、貸付残高というものが百億円をこえている会社が三つばかりありますね。それから、大体百億の線に今近づこうとしているのが、これは二つくらいございますけれども、私はしろうとだから、内容はよくわからないのですが、一つの会社に対して輸出入銀行が貸し付ける金額の最大限はどの程度のものであるかということは、何か業務方法書とか、そういうものにはないんですか。あるいは輸出入銀行法自身にはないのでしょうか。
酒井俊彦
47
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) お尋ねの点は、法律あるいは業務方法書等には何にも規定がございません。一会社に対する融資額が非常に多い、それが会社自身にとって非常に負担になりまして、
回収
が非常に懸念されるということがありますれば別でありますが、現在貸しております会社につきましては、若干百億あるいはそれ以上というものがございますけれども、別段そういうものはございませんので、制限を加えているようなことはございません。
大矢正
48
○
大矢
正君 アラスカ・パルプという会社がございますね。それから三菱造船、それから浦賀船渠ですか、こういう会社のこの資本金というものはどのくらいになっているんですか。おわかりにならないですか。
酒井俊彦
49
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) アラスカ・パルプの資本金は二十五億になっております。それから、三菱は百億ちょっとこえているんじゃないかと思います。浦賀は四十億でございます。
大矢正
50
○
大矢
正君 私の手元にある資料からいくと、アラスカ・パルプは、貸付残高が百十八億というふうになっておるんですが、これは大体間違いないですか。
酒井俊彦
51
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) 間違いございません。百十八億六千八百万でございます。
大矢正
52
○
大矢
正君 それから、三菱造船は百四億、浦賀船渠が百四億と、こういう格好になっておるのですが、
大蔵大臣
に質問しますが、このアラスカ・パルプは資本金二十五億円ですね。この資本金二十五億円しかない会社に百十八億、輸出入銀行で単独で金を貸すという、こういうあり方というものはどんなものでしょうかね。それから三菱造船の場合も、百億だとすれば、資本金と同様の金額を一つの金融
機関
が貸し出すということ、それから浦賀船渠の場合は、四十億しか資本金がないというんだが、その四十億の資本金に対して百億の貸し出しをする。これは輸出に関係のある会社だからかもしらぬけれども、それにしても、一つの金融
機関
が、資本金の何倍もの金を一つの営利会社に貸すということについて、私はやはり妥当なものじゃないと思うんですがね。
大蔵大臣
どう思いますか。
水田三喜男
53
○国務大臣(
水田三喜男
君) これは、貸す目的でございますが、アラスカ・パルプは、御承知のように、一つの国策として考えた会社でございますし、船渠は、要するに造船輸出の金融をやったものでございまして、貸し付けの場合、担保は取っておりますし、それが
回収
できる可能性十分だということでしたら、この事柄の性質上金額が多くなるのは、これはやむを得ないことであろうと思います。
大矢正
54
○
大矢
正君 このアラスカ・パルプとか三菱造船、浦賀船渠、その他九十億、七十億というのがけっこうありますけれども、これの金利は普通の輸出金利でしょう。そうすると、年四分五厘でしょう。
酒井俊彦
55
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) アラスカ・パルプにつきましては、今お話がありましたように、パルプを作って持ってくる特殊の
事業
でございますから、四分五厘にしております。それから造船につきましては、これは大体四分という金利で貸し付けております。これは、本行の金利がそうなっております。もちろん、市中と協調して貸しますから、実行金利は五分前後になります。
大矢正
56
○
大矢
正君 これは、そのたずさわる仕事が輸出であるということがあるだけで、四分という金利なんていうのは、今どきどこを探したってないわけですからね。これは、あなた、大へんなものですよ。たとえば、
酒井
さん、百億金貸したら、一体船はどのくらいできるんですか、トン数にして。
酒井俊彦
57
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) 百億の場合にトン数は、つまり船型でございますね、タンカーの場合、専用船の場合、カーゴーの場合でそれぞれ異なり、それも、大きな船の場合は単価は安くなりますし、小さな船になりますと高くなります。それから輸出船のうちでも、貨客船になりますと非常に高くなります。ということがございまして、一がいに申し上げるわけにはいかないかと思います。どういう船を標準にして考えれば、どういうトン数ということは出てくると思います。
大矢正
58
○
大矢
正君 私のこの資料の計算からいくと、貸付残高のうちの九〇%以上は、わずか十五社か二十社の会社で占められている。四分、四分五厘という低金利でね。これはまあそれこそ独占企業をますます有利にするという、まあ私ども社会党ではそう言うんだが、その線からいえば、これはみごとなものですよ。貸付残高の九〇%以上がわずか二十社ぐらいでもって借りているんですからね。全体の貸付残高からいえば、これは、一億円以上からいえばかなり数はあるけれども、その九〇%は、わずか二十社でもって輸出入銀行の金を、単独で、自分の資本金のあるときは四倍以上、五倍もの金を借りているということだから、これは、とてもあなた、矛盾した話じゃないですか。これは、
大蔵大臣
に、私は前も、たしか補正
予算
のときの総括質問のときにも、あなたにも、輸出入銀行の金利、特に輸出金利は、確かに輸出振興に必要かもしらぬけれども、これはやはりちょっとひど過ぎるじゃないかと言ってあなたに質問したこともあるし、それから、
大蔵省
と通産省との間に、輸出金利を、貸し出すことにつ いての金利はあまり安過ぎるじゃないか、逆ざやが多過ぎるじゃないかということでいろいろ議論があったということが新聞等で発表されておりますけれども、ある程度これにメスを入れ て、手を加える必要性があるのじゃないですか。
大蔵大臣
、どうですか。
水田三喜男
59
○国務大臣(
水田三喜男
君) ですから、あのときも答弁しましたように、金利は、若干
引き上げ
る方向で今検討しておると申しましたが、そういう方向で今検討しております。
酒井俊彦
60
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) ただいまお尋ねありました金利の点でございますが、なるほど本行が単独で融資しますならば、四分というのは非常に安いと思います。しかし、御承知のように、本行は輸出契約に必要な
資金
の全額を貸すわけじゃございません。これは、市中銀行と協調して貸しております。また金につきましては、私ども厳重に査定をいたして貸しております。そこで、これらを総合いたしまして、実際に業者が出せる金利が幾らかということに問題がなるわけでありまして、それは大体五分ぐらいですね。この輸出金利につきましては、やはり日本が輸出競争で国際市場で負けないためには、各外国が出しておりますような国際金利、これに比較して遜色のないものを出さなければ輸出競争はできないという点がございますので、これは、国内の一般金利と若干違いまして、国際競争ができる金利にしてですね。やはり今日国内の金融市場が正常化いたしまして、外国並みに金利が下って参りますれば、そういう考慮は必要ないのでありますが、現在は、日本の国内金利は非常に高うございます。まあ国際金利に対して十分太刀打ちができるという程度の金利にするために、従来四分ということで
運用
してきたわけでございます。しかしながら、この四分が現在いいかどうかという点については、御議論があろうと思いますし、私ともも若干
引き上げ
る方向で今考えているわけでございます。 それから、その前の御質問で、一社に対して集中するのはどうかと、大企業偏重ではないかという御議論でございますが、アラスカ・パルプにしましても、三菱造船にしましても、その他の会社につきましても、これは、資本金だけで信用をはかるということはできませんので、その会社が実際どれだけの担保価値のある財産を持っているかということを見比べますと、これだけ貸しましても、市中の金とあわせて十分担保がある。と同時に、この個々の船あるいはプラントの輸出につきまし七は、外貨担保を十分取っております。足らざるところは、たとえばアラスカ・パルプのように、国内のたとえば商社団とか関係業者から保証をとるというようなことで、輸出入銀行としての貸金は、
回収
には全然懸念はございません。 それから、もう一つお尋ねのありました、大きな会社に集中するという点でありますが、私どもは、大きな会社でなくても、中小企業でも貸付は一向差しつかえないのでございます。ところが、やはりこれは、輸出入銀行の扱いますのは、大きなプラントでございまして、これは国際的に競争をするということになりますと、どうしても国際的に名の知られた、信用のある、力の強い者が外国との契約ができるのでありまして、従いまして、事実問題として割合にそういうところが多くなってくるということでございます。しからば、中小のものは相手にしないかというと、輸出入銀行は、どんな小さなものでも便宜をはかるわけでございます。実際に出てこないのはどういうわけかと申しますと、まあ大きなプラントが中心であるということと、何しろ国際競争でございますので、外国の契約者と、外国の法制なりあるいは商法なり、いろいろなものを調べまして、そして英文で契約をして、十分な担保措置を講ずるというようなことになりますと、なかなかそういう対外的な契約がむずかしい。そこで、今おっしゃったように、なるほど表面はこういうふうに集中しておりますけれども、これらの出しますもののブラント輸出の下請の割合は、大体二十ないし三十になっております。また、中小企業が出します場合には、独力で契約がなかなかむずかしいものでございますから、やはり大きな商社が中に入りまして、商社が契約をまとめて、中小企業の物を買い取って、そこで契約をして出すというケースがはなはだ多いものでございますから、表面上中小企業独自に本行に融資の申し込みをしてくる者が少ないと、かようなことが実情でございます。
大矢正
61
○
大矢
正君
酒井
さん、あなたの今の発言の中に、資本は寡少だけれども、資産が多いから金を貸しても間違いないのだ、こういう一くだりがありましたが、あなたも、かつては
大蔵省
の為替局長でしょう。
大蔵省
というのは、少なくとも、たとえばその再評価益があったら、できるだけ早い機会に資本に組入れて、寡少資本というものを防止して、とにかく資本金をふやさなければならない。金を借りて仕事をやるということは本来おかしいじゃないかと、こう言って、あなたは今も一生懸命誘導していて、あなたがそれを認めて、資本金は少ないけれども、資産があるから金を幾ら貸してもいいというのなら、あなたも、今まで
大蔵省
におって、寡少資本はいけないから資本をふやせふやせと言っていたのと違う。あなた、民間に行ったら思想が変わったのかね。そういう答弁はおかしい。
酒井俊彦
62
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) 私は思想は変わっておりません。寡少資本は、やはりおっしゃるように直した方がいいと思います。これは、本行の立場から、寡少資本を直すという要求はできないのであります。これは、もちろんおっしゃるように是正した方が望ましいことには間違いございません。
大矢正
63
○
大矢
正君 三菱造船なら三菱造船に、アラスカ・パルプならアラスカ・パルプに、あなたのところは寡少資本だから直しなさいという権限はなくても、寡少資本なら金を貸しませんよということは言えるのだから、資本金の少ないことは間違いない。貸しませんよと、ほんとうにやるなら、もっと資本を多くしてやりなさいということは言える。それが
大蔵省
の指導方針なら、そういう線に沿って、寡少資本なら金を貸さないでがんばった方がいいのじゃないかと思うから言っておるのです。これは、あなたとやりとりして議論してもしようがないからあれですが……。 これは協調融資ですか、全部、この輸出入銀行の金を貸すのは。
酒井俊彦
64
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) 全部協調でございます。ちょっとただいまの答弁を訂正させていただきますが、インド、パラグァイに対する円借だけは全額貸付でございます。あとは全部協調でございます。
大矢正
65
○
大矢
正君 時間がだいぶなくなってきましたから、長いことできませんが、ただ、
大蔵大臣
、こういうことはどうでしょう。たとえば、国民金融
公庫
あるいは中小企業金融
公庫
というのは、
貸付金
額というのは三十万円とか三百万円とか、あるいは中小企業金融
公庫
のように一千万円とか、特別の場合は三千万円とかいう、一つの貸し出しワクというものがきまっておるのですね。これは、私も不勉強だから詳しく知りませんが、業務方法書か、あるいは法律的にそうなっているのか知りませんが、どこかそういうものがある。ところが、輸出入銀行というのは、幾ら金を貸そうと、極端に言えば、五百億の金を貸したって、法律的には別に問題じゃないし、業務方法書としても問題がない。片方、中小企業の方には、国民金融
公庫
は三十万しか金を貸しちゃいけない。片っ方は野放しに、何ぼでもいい。それで、輸出入銀行は、業務方法書なりその他でもってどの程度まで、資本金の同額とか、あるいは何百、何十億とかいうような固定したラインというものを設ける必要があるのじゃないかと思いますが、大臣どうですか。
大月高
66
○
説明員
(大月高君) 国民金融
公庫
、中小企業金融
公庫
は、主として中小金融をやる建前になっておりますので、できるだけ多くの中小企業者に金融上の便宜を与えるという意味におきまして、一つの借り入れ先に集中しないように、極力分散をはかるということでございます。輸銀の場合は、むしろ輸出金融あるいは投
資金
融ということでございまして、投
資金
融は、特別
海外
において大きな
事業
をやる意味において、小さい金ではとうていできない。市中金融のベースにも乗らない。むしろ
政府
が積極的にバックしなければ出られないようなものでございますので、大きくなることはやむを得ないと存じます。輸出金融の問題は、先ほど
酒井
理事からお話がございましたように、国際競争力というものでございまして、小さい企業が競争力をもってプラントを輸出できれば、もちろんその方に輸銀の金は行くわけでございますけれども、残念ながら国際競争という面から、どうしても大きな企業が主役になる。そうすれば、輸銀としては、輸出の成約があれば、これに貸していくという建前の
機関
でございますので、お前の企業はオーバーローンだから、あるいは貸し過ぎだからということで断わるのはむしろ筋ではない。全体として輸出が伸びる、その結果国民経済が発展するというのが、むしろ、中小企業を含めまして、大きな意味でいい役割を果たすのではないか。こういうことから、国民、中小企業金融
公庫
と輸銀とはおよそ性格を違えて考えておる、こういうことでございます。
大矢正
67
○
大矢
正君
大蔵大臣
、この輸出入銀行の低金利といいますか、四分の低金利というものが続く限りは、これから財政投融資計画を立てるときに、産投からの
出資
、
利子
の入らない、ただの
出資
のしっぱなしの金はまだまだどんどん入れていかなければ合わなくなる。だから、そういう意味からいけば、国民の税金でもって結局安い金利で金を貸しているのだから、言うならば、補給金をやっているとか、
利子
補給をしているとか、補助金を与えているとかいうことと同じことですね。考えようによっては同じことでしょう。ですから、それがどんどんこれから輸出振興に名をかりて出ていくということになれば、これは大へんなものになりますね。だから、やはりはっきりした御方針を立てて、ある程度チェックするものはチェックして、金利の問題も、
引き上げ
るとすれば、どの程度ということもはっきりした方がいいのじゃないかと私は思うので、それはいつごろまでに出すお考えですか。今の輸出入銀行の輸出に対する貸出金利、輸入なんというのは微々たるものだからどうでもかまいませんが、輸出ですね、これの金利問題の調整はどうするか、いつごろまでにやるのか。
水田三喜男
68
○国務大臣(
水田三喜男
君) この輸銀の金利については、御承知のように、投
資金
融の金利は上げるし、輸入金融の金利は上げて、この調節をとることはやっておりますが、今の輸出金利をどうするかという問題は、さっき申しましたように、関係者で検討中でございまして、通産省との意見調整もございますので、いつという日はちょっと言うことはできませんが、そう遠くないときに解決したいと思っております。
大矢正
69
○
大矢
正君 これは、投
資金
融とか輸入金融とかいうもので調整するといってもわずかなもので、調節するほどの騒ぎじゃないじゃないですか。大月さんでも
酒井
さんでもいいですが、投
資金
融というのは微々たるもので、輸入金融というのは、また顕微鏡で見なければわからない。そんなものを調整しても、大きな大もとの輸出金融は調整できるはずがないじゃないですか。
酒井俊彦
70
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) 一月末で見ますと、千三百億の残高に対しまして、投
資金
融が二百四十億ぐらいでありまして、それから輸入金融は二十億ぐらいでございます。御承知のように、輸出金融が大体千億ぐらいになっております。そこで、輸銀に対する経理のはね返りとしての金利を上げた場合にどうなるかという問題につきましては、御承知のように、輸出をどうするかということが一番中心であるということは、その
通り
でございます。これは、上げるにつきましては、いろいろ国際競争金利その他も考え、そしてまた、現在の輸出促進の政策等も考え合わせまして、
政府
御当局とも十分に話し合いをした上で、できるだけ早い機会に上げたいというふうにわれわれは考えております。
大矢正
71
○
大矢
正君 輸出金融に対する借り入れの申し込みに対して、実績は、パーセンテージからいくとどのくらいになっております。申込件数に対して貸し出しの実績は、パーセンモージから言って……。
酒井俊彦
72
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) これは、実際の私ともの実務のやり方を御
説明
いたしませんとわかりませんのですが、実は、契約が取れそうになってきますと、当事者がわれわれのところに相談に参ります。そしてそういう段階で、だんだん契約が進む段階、そこでそのときの金利に乗るか乗らぬかという相談をすることが多いのでございまして、正式な申し込みのときには、大体こちらもまあよかろうという状況になって、申し込みを受けつけておりますので、従って、件数から言えば、正式の申し込みがあってけったというものはございません。その事前に話し合うということでございます。
大矢正
73
○
大矢
正君 どんな金融
機関
だって、申し込みの百パーセント実行されるといったような金融
機関
はどこにもないですからね。おそらく日本の国の数多い金融
機関
のうち輸出入銀行以外は、大体百パーセント近い貸出率というのはあまりないのじゃないか。
酒井俊彦
74
○
参考人
(
酒井
俊彦
君) ですから、今私が申し上げましたのは、輸出入銀行で正式に申し込みと言っておりますのは、もう正式に書類が整っておる段階でございまして、その段階に至るまでにいろいろ話を行ないまして、これはできるとかできぬとか、これはこの程度とかいう条件に直さなければならぬとかいうことを言うわけでございまして、市中銀行が申し込みのうち何割を貸したかということと比較いたしますならば、本行に話があったもので貸したものは幾らかということ、こういうことになりますが、実は、話がありましたものは正確な統計をとっておりません。今のところ、申し込みといえば正式な申し込みになりますので、百パーセントということになるわけでございます。
大矢正
75
○
大矢
正君 これはしかし
酒井
さん、大蔵
委員
会へ来てもらってお話を聞きたいと思いますから、また一つそのときはよろしくどうぞ。 あと時間がほとんどないので、
最後
に
国税庁
長官の方がいいのじゃないかと思いますが、主税局長でもしようがないだろうと思う。何か最近、税金を安くというか、よけい払わないということのためにはこういうふうにすれば一番いいのだという
説明
書、
説明
書というか、木があちらこちらに出て、週刊公論の一部について、だいぶ
大蔵省
内では問題になった。こういう話を聞いていますが、全国の国税局長を集めて、最近税金をいかにしたら安くするかという、そういう内容の出版物がかなり出ているということに対して非常に神経質になって、二月二十日号の週刊公論に出ました「節税のすすめ」というものをちょっと読ましてもらったのだが、こういうものに対しても、相当激しい非難というものがあったということを聞いております。それからまた、商工団体か何かに対して、
専従者控除
にからんで、商工団体の下部の会員に対する通達はけしからんと言うて、だいぶ
国税庁
はおとったという話がありましたが、これは徹底的にやらなければいかんという話があるのですが、その辺、どういうような考え方を持っているか、お聞きしたい。
中西泰男
76
○
説明員
(中西泰男君) ただいまの
大矢
委員
の話、われわれ部内におきましても、いわゆる節税と申しますか、合理的な税の節約というような一つの標語と申しますか、そういった考え方がまま使われて参りまして、その中身によりましては、いたずらに納税者に誤解を招くといいますか、行き過ぎと申しますか、そういった記事なり動きなりがまま自につくようになって参りました。ただいまお話の週刊公論に取り上げられましたいろいろの記事なりを私どももしさいに検討いたしました結果、やや一種の脱税を勧めるというようなことになりかねないというふうにも見られますので、私どもといたしましては、当該出版社等にも十分そういった趣旨の忠告をいたしまして、しかるべき善後措置をとるというふうにも話している次第でありまして、こういった動きが、いわゆる脱税というものに対する刺激と申しますか、そういった行き過ぎの格好にならないように、十分注意をいたして参りたい、かように考えている次第であります。
大矢正
77
○
大矢
正君 今私は、商工団体が
専従者控除
をめぐって下部会員に出した文章ですが、そのことの質問をしたのですが、あなたは、それについて答弁は触れられていないのだが。
中西泰男
78
○
説明員
(中西泰男君) 大へん失礼いたしました。御質問の後段の民主商工会の系統の、いわゆる全商連と申しますかの団体の方から、三十五年分の確定申告にあたりまして、いわゆる分離申告を納税者に勧めるというような動きがございまして、これは、簡単に申し上げますと、八百屋さん、魚屋さんといったような個人の営業者の所得の申告にあたりまして、業主自体の給与所得と
事業
から得る所得とを分けて申告しろ、こういった慫慂の動きがありましたことは、私ども、業主が、自分が自分に対して給料を支払うということは、現在の
所得税
法の上から行きましても考えられないことで、そういったことを申告するのは、違法の申告と言わざるを得ない。そういった申告を個々の納税者に慫慂するということは、違法の申告を慫慂するということになるわけでありますので、そういったことのないように御注意を願いたいということを私どもの方から忠告いたした次第でありまして、当該団体におかれましても、その趣旨をよく了解されまして、先般の十五日の確定申告にあたりましても、ほとんどそういった、
事業
所得と給与所得とに分けて申告するという申告はほとんど見られませんでした。全商連の方におかれましても、そういった動きをやめる。中小企業者の所得の軽減をはかるためには、むしろ
税法
あるいは税制自体の問題として今後取り上げていきたい、こういうふうな動きをとることにしたということを伺っております。
大矢正
79
○
大矢
正君 あなたがさっきちょっと触れられておったが、二月二十日号の週刊公論のサラリーマンの合法的脱税のすすめという内容ですが、これは、あなたが判断した場合には、かなり悪質な脱税、こういうふうに脱税の宣伝といいますか、脱税を読者に勧める、こういう意味で内容が書かれている、こうあなたは解釈されますか。
中西泰男
80
○
説明員
(中西泰男君) 内容はいろんな事項にわたっておりますが、形式的に、たとえば、年末現在に扶養親族をふやすために養子を取り、またあとでその養子縁組を解けばいい。これは、ある場合非常に一つの、軽くとれば、笑い話のようなことにとれぬとも限りませんが、法で定めました形式的な基準を、形式を整えておればそれでいい、実態はあとでどうにでもなる、あるいは、限られた税務行政のワク内においては、そういった形式の実態をなかなかつかみにくかろう、従って、そういった一応の形式を整えてやっておれば、これはこれだけ税金がかかるのだというような内容にわたる事項については、一種の脱税と申しますか、そういったものを勧めるようなことになりはしないか、かような感じがいたすわけであります。
大矢正
81
○
大矢
正君 次長、長々の答弁は要らないから、簡潔に一つ答えてもらいたいのは、週刊公論のこの内容はけしからんということで、あなたの方で、週刊公論社に対して、
国税庁
としてはこうこう考えるから、こうせいというような、そういうものを出したのですか。文書か口頭の申し入れか知らぬけれども……。
中西泰男
82
○
説明員
(中西泰男君) 文書では、警告文と申しますか、そういったものは出しておりませんが、公論社の編集長に庁にきていただきまして、長官から具体的に、こういった内容にわたる事項については十分注意してほしいということで、警告されたのであります。
大矢正
83
○
大矢
正君 この週刊公論に書いてある内容の一体どこがいけないのですか。ということは、たとえば、ここに、源泉徴収は憲法違反だ、こういうようなこともちょっと出ていますが、これは、この間私は
委員
会でやりました。源泉徴収は憲法違反だということは、これは、学者に言わしたって、考え方は二つあるのだから、裁判所と国会で明らかにすべきだというのです。そうすると、あなた方がこういうものをつかまえて、これは違法行為だ、おかしいというのは、まだ時期尚早でしょう。裁判所が結論を出してからというのならいいけれども、今どき、こと新らしく出ているようだけれども、私なんかこんな本持っています、雑誌でも本でも。ダイヤモンドでもどこでも、このくらいのものは出ていますよ。今始まったことじゃない。これを、ことさらに今こういうものを取り上げて、編集長を
大蔵省
に呼びつけて、おかしいじゃないかと言わなければならぬ根拠は一体どこにあるのですか。
中西泰男
84
○
説明員
(中西泰男君) 私の言葉が少し強かったかも存じませんが、先ほども申し上げましたように、脱税を勧める疑いがあるというような立場から、長官と編集長が会いまして、十分御注意を願うようにということで、一種の懇談と申しますか、あるいは、私先ほど警告という言葉を使ったように記憶いたしておりますが、少なくとも納税者に誤解を与えるというようなことのないように注意をしてほしい、こういう意味で、懇談と申しますか、注意と申しますか、そういう話し合いが行なわれた。この内容の個々の事項につきましては、私、すべての事項をちょっと今失念いたしましたが、後刻また内容にわたりましては記憶を呼び起こしまして、お話申し上げます。
大矢正
85
○
大矢
正君 これは、今あなた、警察よりは税務署の方がこわいんだ。警察は、違法行為がなければやられることないのだから、違法行為がなければ、何か悪いことしなければね。だけれども、税務署というのは、違法行為がなくったって、調べようと思えば幾らでも調べられるし、幾らでもほじくれる。週刊公論社だって、実際問題として、会社の経理がどうであって、税金の仕組みがどうなっているということを、あなたの方の税務署の署員が意地悪して、ほじくり出そうと思ったらこれは、どんな会社だってないことはないんだから、個人の場合だって、文句をつけようと思えばつけられるのだから、ましてや、法人の中央公論社という会社があなた方にねらわれたら、警察どころの比じゃないですよ。そうでしょう。警察だったら、違法行為がなければ入っていけないんだからね。しかし税務署は、違法行為がなくったって、あなたのところの経理の内容はおかしい、税金の納め方が少ないといって、やろうと思えば幾らでもできるんです。あなた方は、警察よりもっとこわい権限を持っているんです。そういう編集長が
国税庁
に呼びつけられたら、中央公論社は大へんなものですよ。来年はどのくらい税金を取られるかと思って、大へんなものです。あなた方、そういうようなことをやる政治的結果というものを考えなければいかぬですよ。こんなものの出ている本は、私の部屋に来て下さいよ。三年も四年も前から出ている。十冊くらいありますよ。それを今どきになってやるということは、あなた方が減税をやる反面において、かたわら税金を取るために、税金を安くするというような出版物や言論に対してはこれを封鎖する、そういう意思の現われのように見受けられてならないんだよ。それからもう一つ、何かこう、私は
国税庁
の内部のことだから知らぬけれども、新聞によると、あなた方のところは、人事の大異動をやって、地方都市の比較的仕事が閑散な税務署員を全部東京とか六大都市に集めてきて、法人を徹底的に洗って、またどんどん金を取ろうと、大きな会社から取るならいいけれども、中小零細企業や申告納税者をほじくり回されたんじゃかなうものじゃない。片一方で言論を抑圧しておいて、片一方で税務署員を全部東京へ集めてきて、びしびし法人、個人かまわず税の取り立てをやる、こういうふうに解釈ぜざるを得ないんだよ。どうですかね、次長。
中西泰男
86
○
説明員
(中西泰男君) お話でございますが、私ども、別に言論をどうこうというようなつもりは毛頭ございませんで、少なくとも、納税者に無用の誤解を与えることのないようにというような立場からだけ気を配っているのでありまして、なお、後段の人員の再配置と申しますか、この点につきましては、御案内のように、法人は年々四%くらいふえて参っておりまして、しかも、そのふえ方のテンポが、地方と東京とか大阪というふうに、いわゆる大都会との間に非常に較差がございまして、現在でも、なかなか全納税者を調査するということはもとより不可能であります。また私ども、それを百パーセント調査をしなければならぬという必要も感じておりませんが、少なくとも、今あまりにも法人の
地域
的な
増加
のテンポの違いに対して、十分な調査要員としての体制がとれていないということから、事務量に相応したように
地域
間に再配分をするという体制をとりまして、適正な
課税
に努めたい、かように考えている次第であります。
大矢正
87
○
大矢
正君 約束の一時間ですから、あとまだ時間が余ったらやらせていただきます。
杉山昌作
88
○
杉山
昌作
君 私は、専売公社の損益計算の関係で少しお尋ねをしたいと思います。今日専売公社の、特に
たばこ
でありますけれども、損益計算は、
たばこ
の総売上高から費用を引いて、その残りが専売益金だと、こういうことになっております。これは非常に年々
増加
しておりまして、本
年度
も、地方へ納めるのと合わせて二千百十五億七千四百万円、前
年度
の
予算
に比べますと、百九十三億四千九百万もふえる。こういうことがあって、非常に形式的にはふえております。しかし、実際これが、専売公社の能率が増進しているとか、あるいは採算がよくなっているかどうかというと、非常に疑問になる。と申しますのは、今の
販売
価格から原価を引くというようなのは、
販売
価格のうちでは、
たばこ
の消費税に相当する部分と、それからいわゆる企業利潤といいましょうか、原価とあわせて品代金、こういうようなものが入っているわけなんですが、この税金部分と品代金部分との分別計算をしていない。しかも、税金部分が非常に多い。普通の商品のマージンというようなことじゃなしに、税金部分が非常に多い。たとえば、ピースにいたしましても、三十六
年度
の
予算
で拝見しますと、定価から原価を引いた益金は六七%というふうなわけで、六七%なんというふうなものは、普通の商品のいわゆるマージンじゃないのだ。この大部分はもう税金だと思うのですが、その大きな税金と品代金との区別ができていないものですから、売上高が
増加
すれば、いわゆる益金はどんどんふえます。これまでの実績でいっても、また
予算
からいっても、どんどんふえますが、それがそのままその企業の収益性の
増加
ということには私はならぬじゃないかと思う。その意味で、私は、
たばこ
の損益計算をするときに、税金部分と品代金とを分けて、税金は税金、税金部分は税金部分として、そのまままっすぐに、今ちょうど地方の公共団体に納めているような工合に納めちゃって、あとの品代金だけを中心にして、専売公社の
事業
の企業損益というものをやったらいいじゃないかということを、実は
昭和
二十五、六年ごろから、大蔵
委員
会で、だいぶ当時の同僚議員小林君と一緒に非常に論議をいたしました。それから、
政府
といいますか、専売公社というか、においても、それがいろいろ問題になって、二十九年十一月の臨時公共企業体合理化審議会の答申にもこれが問題になっておりますが、それから、昨年の三月二十五日答申された専売制度調査会にも、これが問題になって、やはり答申になっております。専売公社も、これにやはりそれぞれの意見を申し出ているようですが、聞くところによりますと、取り上げ方が非常にニュアンスが違っている。初め、二十九年のときの臨時公共企業体合理化審議会、あるいはわれわれもそうなんですが、これは、分けることをしないと、専売公社の採算はますます悪化していくだろう、底知れず原価が高くなっていく、そこで、一つのワクをはめて、そして品代金はこれだけだ、もし品代金以上に
経費
がふえれば赤字が出るんだというふうな、むしろ専売公社の能率増進を保持するためのワクをはめるというような意味で取り上げているんです。ところが、その時分には、実は専売公社じゃ、これは反対だということだったのです。それは、松隈総裁じゃなく、前の総裁のときだったか、そういうことはいやだというような御意思だったのです。それが二十九年の審議会には反映しまして、そのときには、そういうようなニュアンスで取り上げている。ところが今度は、昨年の答申をした臨時制度調査会においては、むしろ逆に、専売公社の方では、こういうことで分離をやれば、品代金の方で必ず利益が出るのだ、この利益を一つ職員に分けてやって能率増進をはかろうというふうな話ですが、利益を取ろうというふうな気持で主張しているらしい。従ってその答申も、そういうふうなことになっていいだろうかどうだろうかというふうな答申になっておる。同じ問題に、両答申とも疑問というか、否定的な答申をしていますけれども、取り扱い方が全然逆なんですが、一体
政府
は、今この問題をどういうふうにごらんになっているのか、その取り上げ方ですね。私並びに二十九
年度
の審議会のときのように、専売公社の、その生産費
増加
にワクをはめるためには、こういう方法で企業の損益を明らかにする必要があるというような考え方か。専売公社は現に相当の利益が出ているのだから、これを一つ皆に分けるのだ、そのためには分別計算をする方がやりいいということなのか。同じ分別をやろうといった考え方が全然逆の考え方なんだが、どちらの考え方で今
政府
は考えているのか。
谷川宏
89
○
政府委員
(谷川宏君) お尋ねのように、専売制度調査会で昨年答申が出されまして、理論的には、専売公社の売上金の中から原価あるいは小売手数料等を引きまして、その残り、すなわち、現在の法律で
専売納付金
になっておる部分、あるいはタバコ消費税となっておる部分、こういうものを区別いたしまして、その利益金を明確にすべきであるということでございますが、しかし、このタバコ消費税部分と企業利潤部分とをはっきり分けることにつきましては、現在の専売公社の
会計
経理のやり方あるいは現在の法律の建前からいたしますると、なかなかその区分が困難である。かりに過去の実績、数カ年の実績によりまして、消費税部分が何%、あるいは企業利潤部分が何%ときめるにいたしましても、また、外国における、専売制度をとっておりまする国における同様の率を持って参りましても、その数字は恣意的なものにならざるを得ない。また、反面におきまして、タバコの原料費、あるいは労務費等の原価が変動して、そういう一定の原価率をきめました場合に、原料費、労務費等が変動して、欠損を生ずる場合におきまして、その措置について困難な事態が生ずるというような問題がございますので、消費税部分と企業利潤部分を分離するということは、理屈の上では考えられますけれども、制度としては、なかなか問題の多いところでありますので、との方法を直ちに採用することは適当ではないというのが制度調査会の答申でございました。そこで、現在
政府
、公社におきましては、
予算
の上で明らかになっておりまするように、利益金額が予定額を上回った場合におきまして、その上回った部分の一部を業績賞与として充てるという制度がございますが、これは、ほかの公社との関係あるいは財政の全体を勘案いたしまして、
大蔵省
におきまして、どの程度の利益を業績賞与に振り向けるかということを決定するということが現段階においては一番適当であろう、こういうふうになっておる次第でございます。
杉山昌作
90
○
杉山
昌作
君 非常にこう、何といいますか、慎重な考え方は、まさにその
通り
だろうと思うのです。それは、二十五、六年ごろに、大蔵
委員
会で
政府
が言われておったところと同じことなんです。まあそれを十年余りそういうことをずっとやってきておるわけです。ところが、その間に事態はどうなっているかということを調べてみますと、われわれが非常にそういうことを言ったのが二十六、七年ですか、二十七
年度
をとってみますと、二十七
年度
から今日までの
たばこ
の売上高は、数量においては三割一分
増加
しています。金額においては三割七分
増加
している。これは三十四
年度
の決算ですから、すべて国会に出ている決算書から数字を持ってきてあります。数量は三割一分、代金は三割七分も
増加
して、非常に商売が伸びているわけです。一般の
事業
でしたら、これだけ数量なり金額が伸びれば、一単位当たりの生産費というもの、原価というものは減るのが普通なんです、数量が伸びていますから。ところが、これをやはり決算書によって調べてみますと、二十七
年度
を一〇〇にいたしまして、売り上げ千本当たりの、原価は一五二と、二割五分ふえています。それから、売り上げ千円当たりの総原価は一二〇と、二割ふえている。数量なり金額が、売上高、取り扱い高が三割もふえていて、普通なら単位当たりの
経費
はどんどん減るはずのが、逆に二割なり二割五分も
増加
するということは、非常に専売公社の能率が悪くなった、あるいは採算が悪化しているということなんです。これはもう大へんなものだと思うのです。そこで、今度は逆に私は利益の方を勘定してみたのです。二十七
年度
の決算に、
たばこ
の売上代金に対して専売益金が何パーセントに上がっているかというと、これは七割七分二厘になっています。それから、三十六
年度
の現在われわれ審議している
予算書
によって同じようなことを計算してみますと、これは七割七厘になっております。そうすると、この十年間に、七割七分二厘の利益率であったものが七割七厘の利益率に、一割近く利益が下がっております。その金額は百九十七億八千万円です、この率で計算すると。ですから、もしも
昭和
二十七
年度
と同じような能率、同じような原価であれば、ことしの専売益金は、現に計上されているよりも百九十七億八千万円
増加
計上し得るはずであるが、それがそうなっていないということは、その間における非常な採算の悪化ということに帰着するわけなんですね。その採算の悪化が、専売公社の経営が下手なのか、あるいは従業員が不まじめなのか、それとも監督する
政府
側の監督のやり方が悪いのかというような、そういう問題は別にいたしまして、とにかくこういうふうなことで、非常に一単位当たりの生産費はじゃんじゃん上がってくる、それの裏返しとして、益金率はじゃんじゃん下がってきているということは事実なんです。そこで、われわれ考えてみますと、こういうふうに利益率が下がる、専売益金率が下がる、もしこれを定価の
改正
というようなこと、減税というようなことでやるなら、これは国会の非常に大きな問題になる。そういうふうなことは何もない。定価の
改正
ということは一部あったけれども、いわゆる減税の意味で定価
改正
をしているということもない。ただ、一方品代金の
増加
するということは現在非常に大へんですよ。今日物価を抑えようということで、
政府
は、電力会社なりあるいは私鉄、ガス会社等がその料金の値上げを望んできても、ベースアップをした、石炭が上がったと、いろいろな原因があって、製品の
販売
価格あるいは料金の
引き上げ
を申請しても、これをもうほとんど許していないのです。それぐらいにやっておるのに、専売においては、税金関係の、国会にも全然出さぬし、そういうふうなこともしないで、ただ全体の損益計算が、初めに申し上げましたように、利益と税金とごちゃごちゃにしたような大まかな計算であるものですから、出てきたところが、年々専売益金が
増加
するということに目を奪われて、そういうことをやらない。それで利益率がだんだん減っていることは、逆に言うと、品代金がどんどん上がってきているということです。ベースアップをやりました、原料が値上がりしました、それをもうそのまま、品代金を上げるのを何も出てこないのに認めている。その結果がこういうことになるのですね。今の時世から言ったら、非常に専売公社のやり方はおかしなというのでしょうか、非常にそういうふうな計算になっているものですから、だれも気がついていないかもしらぬけれども、こんなことをやっていたのでは、専売公社の損益計算はますます悪くなる。ただ、定価の六割も七割もの税金がありますから、
販売
増加
によりまして、専売益金は年々百億あるいは二百億ふえますけれども、
内訳
の企業利潤というのは、今のようにどんどん赤字になっていくような、非常な採算の悪化を黙って、だれもこれまでほじくらずにやってきたのが今までの姿だと私は思うのです。監理官のおっしゃったようないろいろな御事惰も私は知っていますけれども、そういう事情があるからと、なかなか腰だめでやるのはむずかしいからということで見のがしてきた結果が、今申し上げましたような二十七
年度
以降のこれは私はここでずっと一年々々の統計を持っておりますから、あとで差し上げてもいいし、まあ専売の方でもむろんお調べになっていると思いますが、そういう事態になっておるのですね。従って、今日の事態になりますと、いや、税金と品代金を分けるのは腰だめになってどうだとか何だとかいうふうな慎重論もさることながら、その慎重論でぐずぐずしている間に、少しもたががない問題は幾らでもふえるということになる。むしろここでは、多少そういう欠点はあっても、ともかくたがをはめるのだ、専売益金というのを品代金できめるのだ、それで、専売公社としては、その品代金よりももし
経費
が上になったら赤字だから賞与は出さぬ、そのかわり、もし品代金で利益が出たら、これは全部とはむろんいかないでしょうが、よくやった、業績賞与を少しやろうというぐらいのことをいたしませんことには、私は、もう専売公社の採算の悪化というものは、もう停止するところを知らないと言っては少し語弊があるかもしれませんが、今までの趨勢をずっと眺めてきますと、特にそういう気がするのですが、これは一つ大臣、そういうふうな趨勢でありますが、監理官のおっしゃったようなそんな実態——立法上ついてお考えを願うべき点等もありましょうけれども、ここらで踏み切るべきときじゃあるまいかという気がしているのですが、いかがですか。
水田三喜男
91
○国務大臣(
水田三喜男
君) 専売益金のうちで、どれだけが消費税部分であり、どれだけが企業利益であるかというものがはっきり区分されていないという経理のやり方をずっとやってきたということは、さっき監理官が言われたような問題がございまして、実際問題としては、これをはっきり分けることはむずかしいんじゃないかと思います。しかし、公企業体が独立採算制という建前をとっている以上は、そのうちで企業利益というものがどれだけあるか、その経営状態がどうなっているかという、一つのやはり経理を見るものさしというものはここで確立しておかなければいかぬじゃないかと思います。そうすれば、それによって、経営者の方でも、その基準で、採算がどうなっているかということもわかりますし、私どもの方でも、それに対するいろいろな監督の問題もございますので、やはりこれが独立採算制としての企業体という観念からの経営上のいろいろな基準というものは、ここで過去の実績によって十分作れると思いますので、それをもって悪化しないような方向で行くのが、現実問題としては一番いいんじゃないかという気がします。
杉山昌作
92
○
杉山
昌作
君
大蔵大臣
のお考えで、私もまことに意を強くするわけなんです。実行上は、確かに、監理官のおっしゃったように、いろいろな問題があります。非常に恣意的に分けるので、品代金の決定法を非常に厳格にきめると、幾ら勉強しても一つも利益が出ないというようなことになって、かえって士気をそそうするような場合もあるし、そうかといって、ベース・アップがあったから品代金の値上げをお認めになる、原料タバコの値上げがあったからこれをまた認めるというようなことになると、これはもう何らの企業努力もしなくてもいい、今までと同じということになるので、そこらのやりようはなかなか実際問題として大へんでありましょうけれども、これはやはり腰だめで一度やる、一、二年は試験的にやるというようなことから、だんだん無恥のない分け方がおのずと出てくるのじゃないかと思います。初めから非常に、これなら理論的にもいいのだ、
会計
学者が考えてもいいぞ、財政学者が見てもいいぞというようなものは、これはなかなかできないと思います。それらはやはり腰だめで順次二、三年の年限をかけて無理のない品代金と税金との分別の基準を作るというふうなことでこれを育て上げていくというようなことにお考え願いたい。今までのようにそれがむずかしいからといって、十年ほうっておく間に、さっき申したように百九十何億ですか——百九十七億八千万円と私どもの試算ではできておるのだが、それだけに相当するような原価増が、これはやむを得ない増もあり、ましょうけれども、努力をすればこのうちの何割かは救えたであろうところの原価増が、平然と言っては失札ですが、まあ漫然として行なわれてきておるというようなことなんです。ぜひ一つこれは、今の大臣のおっしゃったような方向で、監理官なりその他の当事者の方で具体的に一つ、完璧なものでなくても始めるということでお願いをしたいと思います。
谷川宏
93
○
政府委員
(谷川宏君) ただいま大臣からお答え申し上げた
通り
でございますが、
杉山
委員
のお尋ねの中に、二十七
年度
を基準に、二十七
年度
は比較的安定し始まった時期であるからというお話しでございますが、二十七
年度
以降、
たばこ
専売
事業
の上におきまして非常に大きな変化が二、三あるわけでございます。ピースの定価が五円上げ、また五円下がったという問題、あるいはまた小売りの手数料が、二十八
年度
以降八%に統一された、あるいは
たばこ
の原料、一般の農産物価の事情あるいは農作物の価格との関係もございまして、相当な値上がりを示しており、二十七
年度
が適当かどうかは、相当慎重に考えなければいけないわけでございますが、私どもは三十一
年度
以降、比較的需給の関係が安定して参ったと考えておるわけでございますが、かりに三十一
年度
以降をとってみますると、三十一
年度
は、
たばこ事業
益金と
たばこ
消費税を合わしたものの定価の売り上げに対する割合が六六・六%、三十二
年度
は六六・九%、三十三
年度
は六六・七%、三十四
年度
が六六・六%、三十五、六
年度
も六六・五、六%でございまして、三十一
年度
以降はあまり差がないということが言えると思います。一方におきまして、公社に対しましては相当企業の能率化、合理化をはかるように
大蔵省
あるいは専売
事業
審議会等の意見等も徴しまして、また公社におきましても努力をしているわけでございます。かりに、これは物価の関係はございませんので、生産性の問題として見てみますと、
昭和
二十七
年度
の従業員一人当たりの
製造
本数を一〇〇とした場合におきまして、その後、その生産性は年々上がっておりまして、三十四
年度
は二十七
年度
に対して一四二、四二%の生産性の向上を見ております。もちろん、私どもは原価をできるだけ切り詰めて、そうして公共企業体としての経営の能率化、合理化をはかり、そうして効率的に定められております目的、使命を達成するように努力すべきであるということはもちろんのことでございますけれども、いろいろ原価要素の中にはどうしても値上げを押えることができないという、面もございますので、そこでいつの時期をかりにとるにいたしましても、これは安定した時期をとりませんと、その後すぐまた変えるということになりかねないのでございますので、その点、いつの時期、いかなる数字をもってさしあたりの企業利益部分としての率と見るかにつきましては、相当慎重に検討を加えていきたいと考えております。
大谷贇雄
94
○
大谷
贇雄君
まず第一にお尋ねをいたしたいのですが、近ごろはサラリーマンも、わが女房族も、大いに株をどんどん買うわけです。そこで、株式投資が非常な勢いで、新聞の広告口を見てもPRの先駆をなすみたいになかなか派手であります。ところで一体、この証券業者は届出制になっているわけでありますが、これは認可制にする御意思はないかどうかという点を、まずもって
大蔵大臣
にお尋ねを申し上げます。
水田三喜男
95
○国務大臣(
水田三喜男
君) 免許制度でなくて、一定の要件を備えれば、登録すれば認可されるという制度でもうすでに相当長い間やってきておりますし、その間にだいぶ
整理
されて数も少なくなっておるというようないきさつがございますので、ここまでこの制度を続けてきて、ここで急にこれを免許制に切りかえるというようなことは、行政として事実上私どもは不可能だ、従って、この指導と取り締まりを十分にやっていく、そうして一般投資家への迷惑のかかることのないような行政をする以外には、ここへ来ては仕方がないだろうと私ども考えております。
大谷贇雄
96
○
大谷
贇雄君
そこで、私がこういう質問を申し上げるのは、大きい信用のある証券業者はこれはまあ安心をして、大衆投資家も安んじて行くことができますけれども、小さい証券業者、これは届出制であれば、できるわけでありましょうが、一体全国でどのくらいあるのですか、届出をしている証券業者は。
西原直廉
97
○
政府委員
(西原直廉君) ただいま大臣からお話がございましたように、約十年前には千以上証券業者がございました。現在では大体五百五十までになっております。毎年大体新規に届出をされる方も若干ございますけれども、同時に、いろいろな事情で営業を廃止しなければならない方もございまして、まあごく最近の年では、大体この五百五十というところで続いておるような現状でございます。
大谷贇雄
98
○
大谷
贇雄君
それは全国でそうなんですか。
西原直廉
99
○
政府委員
(西原直廉君) 全国でそういうことでございます。
大谷贇雄
100
○
大谷
贇雄君
そこで、基礎薄弱なためにつぶれてしまって非常に大衆に迷惑をかけておる、こういう数が相当歩ろうと思うが、それはどんなふうになっておりますか。
西原直廉
101
○
政府委員
(西原直廉君) ただいまお話の分は、多分
処分
といたしまして、登録を取り消したようなケースじゃないかと思いますが、三十五
年度
、つまり去年の四月から十二月までで三つでございます。
大谷贇雄
102
○
大谷
贇雄君
そこで、その三つの証券会社のための被害額はどのくらいありますか。
西原直廉
103
○
政府委員
(西原直廉君) ちょっと被害額はわかりません。
大谷贇雄
104
○
大谷
贇雄君
それでは、それはあとで資料として一つお出しを願いたい。 そこで、さっき大臣は身元調査をするというようなお話がありましたが、どの程度の調査をされるのですか。届け出っぱなしでいいのかどうか、それらの点について御
説明
願いたい。
西原直廉
105
○
政府委員
(西原直廉君) 先ほど大臣がお話ございましたように、証券業若の設立は、現在登録制がとられております。登録いたしましても、やはり資格がないといけませんので、その欠格事由として法定されておりますのは、株式会社でないというといけない。それから資本の額が政令で定める額に満たない、これもやはり工合が悪い。
大谷贇雄
106
○
大谷
贇雄君
その額は。
西原直廉
107
○
政府委員
(西原直廉君) 最低が五百万円、幾らか営業するあれによりまして金額を違えております。それから純財産額が資本の額の九〇%に満たない、これは工合が悪い。役員内に破産君で復権を得ない者等があること、こういうのが欠格事由でございます。こういう場合には登録を拒否することになっております。
大谷贇雄
108
○
大谷
贇雄君
大臣は先ほど登録制でずっとやってきたから、今この際免許制度に改めることは、行政としては非常に困難であるというお話がございましたが、事故さえ起こらなければ、大衆の投資家に迷惑さえかからなければ、その点は現在の制度でいいと思いますが、現に実は二、三年前に、私の住んでおりまする名古屋でも一つつぶれたわけです。そこで非常にみんなが迷惑をした。一体、
大蔵省
は大衆に迷惑をかけるようなやり方をしておっていいか、こういうような声が相当あったわけであります。従って、この点については、
現行
のままで行政上変えることはできぬ、こういうお話ですが、このままでいいとおぼしめしですか、どうですか。
水田三喜男
109
○国務大臣(
水田三喜男
君) さっき困難だと言いましたのですが、この問題は、今証券取引審議会に対して、一応
大蔵省
としては検討をしてほしいと願っておる事項でございますので、いずれ意見が来ることと思います。で、
大蔵省
、監督官庁としては、これはもう監査を始終行なうのですが、たとえば昨年ありました斎藤卯三郎商店というようなものは、こちらが何回監査しましても、裏帳簿のやりくりがこちらにわからなかったということで迷惑をかけ問題でございますが、相当きびしい監査をやりましても 簿外のいろいろな操作というものは、なかなか表面の監査では見つかりませんので、そういう問題が起こっておることは事実でございます。従って、やはり今のような制度のままでいいかというようなことも、さっき申しましたように、審議会に今諮問しておりますから、十分検討したいと思います。
大谷贇雄
110
○
大谷
贇雄君
そこで、今お話の審議会に対していつ御諮問になって、そ の答申はいつごろ出るのか、その点ちょっとお示しを願いたい。
西原直廉
111
○
政府委員
(西原直廉君) 証券取引審議会に対しましては、一昨年そのメンバーを更新いたしまして再発足を願っております。メンバーは、御存じのように、証券業者だけでなくて、経済界あるいは金融界、あるいは一般のそれ以外の評論家と申しますか、そういう経済知識を非常に持っておられる第三者の方、そういう方に入っていただきましてお願いしているわけであります。最初に取り上げていただきましたのが、増資の促進に対する問題、それから社債の発行をもっと
増加
する、あるいは流通市場を円滑にし、その育成をどうすればいいか。前の二つにつきましては、大体昨年で両方とも答申を一応得ましたので、昨年の十二月一日に、今度は株式の流通市場に対する問題点をいろいろと御審議願うようにいたしまして、今の御質問ございました、証券業者は一体届出制のままでいいのか、あるいは、いろいろな事情にかんがみて免許制にすべきであろうかどうであろうか、こういうような点についても一つ御検討願いたいということで、問題としていろいろお願いしました中の一つに入れてあるわけでございます。証券取引審議会は、月来、大体最近月に三回くらいは実は今審議をお願いしております。ただ当面の議題といたしましては、やはり緊急性からかんがみまして、いわゆる第二市場の問題というのを、なるべく早く見当をつけていただく方がいいんじゃなかろうか、目下大体それを中心にして今検討していただいております。これが済みましてから、まだそのほかに媒介の問題だとか、いろいろな問題がございますので、あととういうふうに順序をお願いするか、これからのあれでございますけれども、こういうような問題につきましては、大体できるだけ早くいろいろな問題について結論を出していただくようにお願いしている次第でございます。
大谷贇雄
112
○
大谷
贇雄君
先ほど大臣から、かつては千くらいあったのが今は五百五十くらいである、こういうお話ですから、相当、信用あり、財的基礎を持った人でなければ、また会社でなければできないと、現実にこういうことであろうと存じまするから、大衆投資家が信頼をし得るに足る会社が経営しておられることと思うのでありますが、たまたま弱小会社で、財的基礎きわめて薄弱である、そういうことで大衆に非常な迷惑をかける、国民に迷惑をかける、こういうようなことが起こりましては、これは国民に対して、監督官庁としてもその責任があろうと思いまするので、審議会の答申が出ました際におきましては、十分に一つ御検討を願う必要があるのじゃないか、かように思う。近ごろは、御承知のように、何でも試験々々で、パーマでも鍼灸でも、何でも試験制度、なかなか厳重に、食品衛生の問題でも、調理士、栄養士等々、ことごとくそうです。従って、大衆に迷惑さえかからなければ、これはまあけっこうです。しかし、大衆投資家がそのためにせっかく粒々辛苦して貯蓄をしたものを投資をして、トラの子がついにふいになったということで、非常な苦しみを与えるというようなことが現にあるんですから、十分にひとつこの点につきましては御検討をお願いをいたしたいと思います。 そこで次に、これはまことに私の愛知県の出身者でありますが、鈴木一弘とか、あるいは横井英樹とか、なかなか名士がおりまして、赤尾敏とか……(「あなたも名士だよ」と呼ぶ者あり)いや、これらの諸君は尾張の人で、私は三河であります。(笑声)三河武士であります。そこで、方々会社株の買い占め、乗り取り等々、相次いで大いに派手に立ち回りをしていなさる。一体こういうことは、これは法的に何ともできぬのか。また、つり上げられたまんまそれでメイファーズと、こういうことになるんですか。一体
大蔵大臣
はどうお考えでございましょうか。
西原直廉
113
○
政府委員
(西原直廉君) お尋ねの点は、いわゆる株式の買い占めの問題だと思います。買い占めには、いろいろな事情で行なわれるのじゃないかと思うのでありますけれども、まあ株式というものが、これはもう自由な譲渡制になっておりまして、また、それを原則としておりますので、一般に公開されております株については、だれでもこれを自由にかつ大量に、もし必要があれば、大量にでも取得することができるのでございます。そういうようなことでございますので、商法とか、あるいは証券取引法その他の本来の実体法におきましては、そういうことを禁止するということはできない。ただ、今のお話のように、変な目的と申しますか、そういうようなことで株式の買い占めが行なわれますと、これはまことに工合の悪いことであります。それがあるいは相場操縦的な意味のものでございましたら、これは証券取引法の方でそういう違反の事実があれば、これを処罰し得るのでございます。そういう意味ではそういう制限がございます。それからこのいろいろな買い占めの過程におきまして、それが公正な価格の形成とか、あるいは円滑な流通が阻害されると、その結果、ひいては証券市場の秩序が乱されるということであります場合には、当事者に不測の損害を与えるということもございますので、恣意的にいろいろと規制の措置がとられていたのでございます。そういったような関係もございまして、先般、東京証券取引所の定款で
改正
いたしまして、「株券を買い集め、その銘柄の株券の大量の所所有者であることを利用して、その株券の発行会社の関係者に対し、その意に反して当該株券を有利に売りつけること、または、これに類似した行為を目的として、直接または間接の委託に応じて、その銘柄の株券の買い付けまたは買い付けの取り次ぎを行う」こういうようなことは取引の信義則に反する行為ということにいたしましたわけで、そういうようなことでできるだけ証券取引所等においても取り締まりをしているわけでございます。
大谷贇雄
114
○
大谷
贇雄君
それだけお聞きすると、まことにきちんと工合よういっているようですが、現にあなた、何じゃないですか、松竹はどうなってますか、松竹は。
西原直廉
115
○
政府委員
(西原直廉君) 幾らかそういうようなことを新聞であれしたりいたしておりますが、まあそういう気配のございましたもので、具体的なこの証券取引所の何と申しますか、規制と申しますか、自主的な規制等でこういうようなことにならずに済んだものも最近ございますことは御承知の
通り
だと思います。まあそういうようなのが現状だと思います。
大谷贇雄
116
○
大谷
贇雄君
国民はああいう英雄が出ることに対して非常な——まあ
昭和
の七不思議かなんか知りませんが、奇々怪々の感じを持ちます。私のやっぱり地元で、愛知トヨタ自動車株式会社、これも同じでんで、いつの間にか名義が、株の名義が変わっておって、さてそこでそれは妥協がつきましたよ。妥協がついたが、ただでは妥協がつかぬのです。そうするというと、それは結局、一体だれの負担になるかといえば、何千万円の金を支払ったりしますると、それは株主の負担に帰するわけなんです。社長が自分のふところから出せる道理はない。相次いでそういう問題は起こっております。また松竹の問題も二、三日来ちょいちょい新聞や週刊誌にも、ちょいちょい出てきておる。一体これはどうも割り切れぬが、今お話のようなことでちゃんと工合よういきますものか、どうですか。
西原直廉
117
○
政府委員
(西原直廉君) 私ども、松竹の場合、一体どうなるか、また、それをどう見るべきか、ちょっと私わからないのでございますが、従来、株の買い占め的な傾向がありましたときには、発行会社側が、つまり、いわゆるこの買い占めの企図に乗せられないということが一番大事だと思います。そういう意味で、株主構成を一体どういうふうにもつていけばいいのかというようなことにいつも注意を払うように勧めております。それから証券取引所自体がやはり自主的に——株は結局取引所を通じて扱われるわけでありますから、株について警告を発する、あるいは当該銘柄の値幅制限を強化する、あるいは売買取引の状況を的確に把握するために報告銘柄に指定する、必要があれば売買取引の停止
処分
も行なうようなふうにする、売買管理の強化を行なうというようなことをいたしておるわけであります。そういうような意味もありまして、ただいま申し上げましたように、東京証券取引所の定款もそういう意味で新しく今度
改正
して、先ほど申し上げたような規定を入れたわけであります。これ以外に、やはり金融が問題であろうと思うのであります。しかし、一番の根本は発行会社がちゃんとしてやるということだと私は思うのでございます。
大谷贇雄
118
○
大谷
贇雄君
そこで、そういうふうに自主的な規制をされたあとに、非常にその効果あがれるやいなや、その点をお尋ねします。
西原直廉
119
○
政府委員
(西原直廉君) 最近は、まあ昨年になりますか、ある二、三の会社で問題がありまして、これは発行会社が非常にしっかりしておりまして、そのために、まあいろいろなところで幾らかたたかれるような意味のあれがございましたけれども、非常にしっかりしておられたものですから、これは効果が非常にあったと思います。ごく最近はどうもちょっと私もよくわかりませんですけれども、そういうあれでございます。
大谷贇雄
120
○
大谷
贇雄君
これはどうもああいうわりが郷土の英雄が——昔は豊臣秀吉、織田信長だったが、大した英傑が出てきて、大いに買い占めをやりなさる。いつのまにやら陰に隠れていた黒幕のその人物の名前が出てくる。バックがこれこれであるというようなことで、一体、その
資金
がどこから出てきておるのか、非常に国民は疑惑の心持を感ぜざるを得ないわけです。今、松竹のことも出ておりますが、おそらくまた陰の大人物が浮かび上がって、大いに派手なニュースになることと思いますが、これは今お話のように、経営者自体がしっかりしなければいかぬ。お説の
通り
です、その点は、経営者がゆるふんでおるというと突っ込まれてくるのだから、一面これは非常ないい、私は警告だと思う。その点は私は非常にけっこうだと思いますが、しかし、このどこのどういう金で——いつのまにやらにゅーっと出てくる、まことに奇々怪々の感じを国民は持たざるを得ないのです。従って、この点につきましても、十分監督官庁としては、名古屋の株屋、これはこの株屋一人だけでないどこかの場合のごときも、やはり株屋さんがその手先になってそうしてやったのですよ。みなそういうのでございますよ、いかがですか。
西原直廉
121
○
政府委員
(西原直廉君) ある特定の株を大量に売買される場合とかなんかにいたしましても、あらゆる場合において、結局、取引所での取引になりますから証券業者の方、特に会員なんかの方々を通じて売買が行なわれておることは御承知の
通り
です。
大谷贇雄
122
○
大谷
贇雄君
どうぞ一つこの問題は、経営者、日本の会社経営に当たる者が、昼間から、日曜でもないウイークデーに、ゴルフに出かけていったりしてやってるから、そういうふうになる。だから大いに、これは人の金を、株主の金を預っているのだから、従って、これに迷惑をかけるような、パッパッパの無防備な経営を大いに戒めなければならぬと同時に、こういう奇々怪々のことが行なわれるこの世の中では、どうも納得がいきませんので、監督官庁としての
大蔵省
は、業界と連絡をおとり下さって、そういう何というか、大きな盲点を一つ除いていただくようにお願いを申し上げておきます。 次に、ボンド・オープンの進出で、非常に一面けっこうなことです。非常にけっこうなことですが、その投資信託が、まだ戦前から見るというと、それほどの進出ではないということを聞いておりますが、これで金利の値下げ等々で
郵便貯金
も銀行も相互銀行も、まあ農村なら農協も、これではつまらぬと引き出してきて、そして投資信託の方に回そうか、この方が利回りがいいと、こういうことになるのじゃないかと思うが、現在そういう影響が現われておるかどうか、伺いたい。
西原直廉
123
○
政府委員
(西原直廉君) 公社債投信がこの一月に始まりましたので、まあ最初その投信を始められた方々自身でも、大体予想しておられたよりもむしろよく投信が伸びたと申しますか、集まりました。これが一体どういうふうに金融
機関
とかなんかの預貯金に影響しておるかということは、はっきり私どもよくわかりませんけれども、たとえばこの一月は各金融
機関
、銀行とかなんかの預金が減りまして、これは十二月に非常に銀行預金とかなんかふえるものですから、毎年一月が減るわけです。一月が相当減ったせいかとも思いますが、二月は銀行預金とかなんかは相田
増加
したわけです。その中にはいろいろあると思いますが、しかし、年に預貯金が、当然と申しますか、非常に大きな額で
増加
するわけでありまして、公社債投信が幾ら売れるからと申しましても、やはり限度がある。結局、その限度があるものとの割合からいきますと、預貯金の
増加額
がどういうふうにある意味では分配されるかということになると思いますし、あるいは公社債投信が一般の株式の意味の一般の投信というものがあるから、どこかにいくような金をそちらの方で貯蓄として引き出してきているという面もあろうかと思います。一月、二月の銀行等の預金の状況を見ますと、公社債投信のためにどういうふうになったのかというととは、これは公社債投信がある程度数学的には相当額出ておりますから、それがなかったらその全額が預貯金に回ったのか、あるいはほかの商品にいったのか、どれだけどういう影響になっているかというととはちょっとわからないと思います。ただ、
郵便貯金
は、ただいまお話がございましたが、この三月の二十日で大体千三百九十億くらいでございますので、若干従来考えられておりますよりも減り方が多かったと思われます。これは公社債投信の関係なのか、あるいは郵貯の引き下げということが割合早く出ているのか、あるいは一般的に金利というものを一般の人が非常にいろいろ考えるというふうになったのか、どういう状況によるか知りませんが、ともかく千三百九十億というくらいに三月二十日では幾らか予想よりは相当減ったということになっております。
大谷贇雄
124
○
大谷
贇雄君
そこで、今後の見通しはどういうふうにお立てになっていらっしゃいますか。
西原直廉
125
○
政府委員
(西原直廉君) 今のお話は、公社債投信の今後の見通しでございますか。
大谷贇雄
126
○
大谷
贇雄君
それと預貯金高。
西原直廉
127
○
政府委員
(西原直廉君) 公社債投信は今申し上げましたように、結局、社債とかなんとかに対する発行とかなんとかで、自然にきまってくることになると思うのです。国民貯蓄が三十六
年度
にどの程度に伸びるかということは、これからの問題だと思いますが、全体的にはこれは伸びるわけだと思います。その中で銀行貯金がどうなり、あるいは
郵便貯金
がどうなり、公社債投信の方にどういうふうにいくとかいうようなことは、ほんとうからいえば、いろいろな計算と申しますか、推算されるわけだと思いますが、
郵便貯金
は大体これは
利子
を含めまして、財政投融資計画では千四百五十億の増を期待しておるわけでございます。公社債投信につきましては、これはどうも今のところ予測は非常にむずかしくて、私ども一体幾らになるのか、目下のところ見当がつきませんけれども、今までの一月、二月、三月というふうにはこれは伸びないのじゃないかというのが一般の感じでございます。
大谷贇雄
128
○
大谷
贇雄君
そこで、所得倍増時代だから投資信託もどんどんといいと思います。また同時に、この預貯金もどんどんふえていくことが望ましいことなんです。ただ、新聞広告や週刊誌や雑誌を見ておると、もう何ですね、投資信託、百花繚乱たるもので、まことに桜の花が一ぺんに咲いてしまったような感を深くするわけであります。そこで、そういう点についても、何というか、PR意識過剰、宣伝オーバーというような、宣伝PRオーバー時代、こういうことについては相当規制をしておられると思うが、その点はいかがですか。
西原直廉
129
○
政府委員
(西原直廉君) お話のように一般的に預貯金がみんなふえることが一番望ましいのであります。公社債投信につきましても、社債というものの現在の資本構成上の地位というものが、戦前は一六%くらいでありましたが、まだ四%しかなっておりませんし、今後長期
資金
をなるべく長期の金でまかなうという意味において社債発行が
増加
することが望ましいわけでございまするが、そういうようなものの一助になる公社債投信としても、これももう引き続いて
増加
することが望ましいだろうと思います。しかし、そう申しましても、今お話のように行き過ぎた広告、宣伝ということは、これはいけないわけでございますので、この点については十分注意をいたしております。 それから、これは公社債投信という意味だけではございませんが、一般的に証券関係の広告と申しますか、そういうものにつきましては、大体五%、
経費
全体の手数料
収入
とかなんとかいうものの五%というものを一応限度にしております。 それから公社債投信につきましては、たとえば元利の保証があるとか、そういうようなことはないように十分注意をしておるわけでございます。
大谷贇雄
130
○
大谷
贇雄君
そこで、大へんなPRですよ。株式の方も。そこで、テレビでも、ラジオでも、新聞でも、週刊誌でも、雑誌でも見ておると、まことにこれはネコもしゃくしも、もう銀行や信用金庫や相互銀行なぞはスッパリおろしてしまって、そうして投資信託に買いかえた方がいい、それは私だってそんな気持になりますよ。これはもう、近ごろ団地の女房族や、レジャー・マダム、またはサラリーマン族、それはそういう気持にふわふわなってしまいます。だから、そこのバランスが、所得倍増だから両方ともふえることはけっこうですよ。けっこうだが、一体あなた方の方としては、
大蔵省
としては、そういう実態は予測がつかぬとおっしゃるけれども、これはあなた、全国のこういう状況を
大蔵省
当局が手に取るように把握をして、そうしてそれに対していかに伸ばし、いかに手を打つかということをしなさるのは、あなたは専門家やないですか、どうですか。
西原直廉
131
○
政府委員
(西原直廉君) 公社債投信は、大体この社債の発行がどのくらいになるかということで、幾ら公社債投信自身が伸びるということになりましても、投資するものがやはり社債とかなんとかそういうふうにきまって参りますので、そういう面でおのずからこの規制と申しますか、限度が出てくるわけです。そういうことで、今お話のように、こればかりはむちゃくちゃに伸びるということはございません。 それから、この一−三月のようなふうにはこれはもう伸びる傾向というのはございませんので、そこにおのずから限度があると思います。
大谷贇雄
132
○
大谷
贇雄君
大いに所得倍増と同時に節度、バランスの具合がうまくいくようにお願いをしておきたいと思います。 そこでもう一点だけ。時間を超過しておるそうですからもう簡単にいたします。管財局長にお伺いいたしますが、大蔵
委員
会で、わが名古屋の名城大学の国有地の問題と、もう一つ、戸山ケ原のあそこに、終戦後相当たくさん、あそこに住んでおる。ところが、どこの何議員さんか何かしらぬが、この人には直ちに払い下げして、家が建ったという雑誌の記事が出ておる。うそかほんとうか知りません。こういうことではこれは非常に国民は割り切れないのだが、一体それは、簡単でよろしいから、その後どうなっておるか。また、そういう、従来、十数年来おる人たちはその国有地を払い下げしてもらいたいのだろうと思うが、また、そうでなく不当に国有地に住み込んでしまっているはなはだ不届き千万な、そういう入り込んでしまっている者——そこの参議院会館の所にもちゃんとありますよ。その住居者のうちには堂々たるお庭があって、野菜が畑一ぱい、それが国有財産や。そういうものを一体放置していいのかどうかという点、伺いたい。
山下武利
133
○
政府委員
(山下武利君) 先般、大蔵
委員
会におきまして、
大谷
委員
から同様な御質問がありましたので、そのとき大体のことをお答えいたしたわけでございます。重ねてお答えを申し上げまするというと、まず初めの戸山ハイツでございますか、元の陸軍戸山学校の跡の約千坪余りの団地でございます。そこの端の力のがけふちの所をある特定の個人に六十坪ばかり貸して、そこに家を建てさしたと、そういうケースがございました。どういうわけでそういうことになったかということを取り調べましたところが、そのときは非常にがけ地の所でありまして、相当の土地の造成費をかけないというと、なかなか宅地としても利用ができないというふうな特殊な事情がありまして、急に買い手を見つけるということもむずかしいような事態にありましたところ、たまたまそこを造成費をかけてもいいからぜひ払い下げてほしいという方がありましたので、その方と賃貸契約をいたしました。金額も随意契約の合法的にできる範囲内であったものですから、それを売り払いを前提として貸付をしておる、こういう次第であります。もちろんこれは売り払いを前提としまして、正当な評価ができますれば、それで売ってお買い上げを願う、かようなことで約六十坪ばかりの土地でございます。 それからあとの方のお尋ねでございますが、いろいろ国有財産に対して不当に占拠しておるという事例がたくさんあるという御指摘でございます。これらはまことにその
通り
でございまして、そのときも関東地方でどの程度そういうふうな事例があるかというようなことを資料として出してほしいというお申し入れがございまして、関東
財務局
の方を督励いたしまして、その資料を目下整備しておるところでございます。できるだけ早くそういうふうな不当占拠という事態を解消するということは、
財務局
を通じてせっかく努力しておるところでございます。
大谷贇雄
134
○
大谷
贇雄君
そこで、あなた、わが参議院の公地の中にあるのですよ。あなた、無断占拠ですぞ、おそらく。取り調べて下さい。それであなた、われわれ何でしょう、東京で土地を買おうと思ったってべらぼうに高いし、借りようと思ったってとてもありゃしませぬわ。畳一畳借りて千数百円も取られるわ。権利金もたくさん入る、むちゃくちゃに取られる状況ですよ。あなた、一般のサラリーマンは大へんなことです。住宅問題は国家としても重大問題。そこで、土地はどんどん値上がりしてくる。新聞広告の広告面の小さい所はほとんど土地分譲ばかりです。そのくらい、だんだん土地の値上がりというものは大へんなもんだ。そこで黙って国有地に入り込んで、そうして黙ってやっていなさる、こういうことはあなた、国有財産を管理する
大蔵省
の方としてほっておくなんてことは、これまた
昭和
の七不思議の一つや。これは国民、絶対に納得しませんぞ。厳重なる御処置を一つお願いしたい。 それからあなたね、何か国有財産審議会があるからということでやっておられる。なるほど名古屋でも名古屋
財務局
の地方審議会ありますよ。しょっちゅう集まってやっていて下さる。一体、何人で構成して、各地とも、たとえば東京その他、それでその会は月に何回集まって、そしてそれらの方々に幾ら報酬出しているか、ちょっと聞かして下さい。
山下武利
135
○
政府委員
(山下武利君) 国有財産審議会は、御承知のように、中央審議会と各
財務局
ごとに地方審議会、これが各
財務局
ごとに設置をされておりまして、国有財産の管理
処分
に関する重要な事項につきまして、
大蔵大臣
の諮問に答えることになっておるわけでございます。人数は各審議会ごとに若干違うと思いますが、法律の規定によりまするというと、三十人以内の
委員
でもって構成をするということになっております。大体まあ二十人から三十人の間ぐらいでもって構成をされておるというふうに考えております。それから回数でございますが、これはもちろん各審議会によりまして、非常に多いところと少ないところとありまするが、地方審議会の全体を通じて申し上げまするというと、三十二年六月に設置をされましてから昨年の末までに、全国で百五十七回開催されまして、諮問事項のうち、七百四十件について答申をいたしております。それから
委員
に対する報酬でございますが、これはどの種の各
委員
会ともにみなの共通したものと存じまするが、定額の報酬を差し上げておるということではございませんで、開催のたびに旅費と日当とを差し上げる……。
大谷贇雄
136
○
大谷
贇雄君
幾ら。
山下武利
137
○
政府委員
(山下武利君) 日当は大体千円見当だと思います。
大谷贇雄
138
○
大谷
贇雄君
三百円だろう。たとえば名古屋の
財務局
管内の審議会の
委員
さんをながめてみても、一流の人ですよ。忙しい仕事をさいて、そうして審議をやっていなさる。しかるに、この間、国会でも問題になった公述人の方も、ほかの
委員
会でも、この審議会でも、これはあした私が質問するんだが、文部省の国語審議
委員
なぞ幾らでしたか、昨年はわずか四百円の謝礼ですよ。あほらしくてものが蓄えませんよ。むちゃくちゃや。
大蔵大臣
、そういう天下の名士をわずらわしてやっておる
委員
会。もちろんお金は要らぬ人々ばかり、それでも熱心に国家のことを思ってやっていて下さる、こういうことであろうけれども、それはあなた、ちいっとえらいじゃありませんか。一日、審議をやらして四百円とは、そもそもこれはいかに。
大蔵大臣
、もっていかんとなされる。今あなた、ほんとうに千円か。千円にしても、わがお寺の布施でもそんなお布施はありゃせぬ。(笑声)そこで、その審議会が、そういう非常に忙しい、おそらく天下一流の人々、各
財務局
管内では、その地方における非常な、実業家だとか、あるいは学者だとか、相当の知名の士が当たっておる、それにそんなわずかな謝儀でもってわずらわしておっては、相済まぬとは思いなさらぬか。それはあきまへんぜ。だんだん出てこなくなっちまって、しまいには、名目的には審議会はあっても、おへそみたいなものになっちまう。おへそみたいなものは、医学的に見ても要らんものですよ。審議会をかくれみのにしてはいけない。せっかくそういう制度ができている以上は、これを大いに活用して——国有財産は国民のものなんだ、国民のものだ。それをおろそかにして、こういうルーズな国有財産の管理を大蔵当局がしておるけれども、こういうことであっては、これは国民に対してほんとうに申しわけないことだ。どうぞ一つ——時間がないからこれでやめますが、どうかその点につきましては、万々申し上げた
通り
、厳重に一つ、その管理と監督をお願い申し上げて、私の質問を終わることにいたします。
田中一
139
○
田中一
君 これは
大蔵大臣
に伺っておきますが、先だっての
予算委員会
であなたにお伺いしたのですが、三十六
年度
の
予算
全部のうちで、国が
支出
する用地費というものは、総額どれぐらいになります。御承知のように、いろいろ東京周辺のオリンピック招致のための公共土木というものは、相当大幅に、三年間で相当熱意を入れてしなければとても間に合わなくなってきている。まあ私は大体オリンピックを呼ぶべき段階じゃないと、そう思うのですが、党内でもやった方がいいという議論が勝ちまして、賛成しているわけですが、問題は、用地の問題です。なるほど労力は、こういう市街地には、何といいますか、人口の大きい消費都市には割合にあるものです。だから、人間の問題はいいと思う。人間の労働力はあるけれども、機械力がなかなか使えないということは、これは既成市街地のもう苦しいところなんです。そこで、用地の取得に対する
予算
措置というものは、私は不十分だと見ているのです。不十分ということは何かと申しますと、少ないということを言っているのじゃないのです。
予算
の計上の仕方が不親切だというのです。大体一つの道路を、ある区間の道路を築造する場合には、その
年度
の
事業
費の中に五分、あるいは一割、あるいは二割、三割という用地費というものを見込んでいる
予算
を組み上げております。従って、道路の拡幅なり、あるいは何らかで用地が取られるという側の国民としては、本
年度
どこの道路に対しては十億の
予算
を持っていると、ああ、用地というものは一億五千万だ、あるいは二億円が用地費であるということは、
予算
を見て明らかになっておるわけですよ。従って、本年やるこの道路の用地費というものは、二億円だという——二億円である場合は、二億円だということを国民が知るわけです。でありますから、おのおのみな憲法二十九条による、財濃縮は、公共の福祉のためには提供するのだという気持は持っております。持っておるけれども、これは総体で二億円だという
予算
を組まれておると、国民は、該当者はもうそろばんをはじきます。年々値上がりになっているというこの用地、土地です。昨年のまあ七、八月ごろから、前
年度
の値上がりを見ながら
予算
を作っておるところの用地費というものは、もう一年ごとに上がらざるを得ないのです。それは
予算
の面では必ず十億に対しては二億円という
予算
が計上されておれば、大がいまあ、いわゆる被害者というものは、自分のふところと相談すると、自分のそろばんとはじいてみると、とんでもない、そんなものでやれるものじゃない。これは精神的に反発を感ずるのが当然なんですよ。たとえば私、こういう経験があるのです。私、郷里の青森県の岩木川の西目屋のダム、このダムを作るときに、これは最初に反対の意思表示をしました。なぜかというと、ごねた方が得であろうという考え方から言うたわけです。このダムが五カ年で完成するとなると、当然五年目には自分の田畑が水没するのだという人たちも、四年間待たなきゃならないのです。買ってくれないのです。
年度
の
事業
費の中に用地費が入っているから、その
年度
にそれだけ来たものだけしか買えないのです。先だって、何と言いましたかな、先買いするやつを、次
年度
の物を買っておくという行き方を何と言いましたかね、あなた方の言っている言葉で。そういう制度がかりにあったとするならば、あっても、それがこの
予算
が用地費であるということが、この部分の
事業
のこの金額は用地費だということでは、やはり不安があるのは当然なんです。西目屋ダムのときには、一
年度
は非常に抵抗が強い。二
年度
には大部分のものは用地を買収してしまいなさい、その決意があるなら、僕も、自分の郷里のことですから、骨を折ってみんなを説得してやろう。何といっても岩木川の水害というのがあまりなかったやつが、最近は頻繁にあるのですから、しなければならないと思った。大幅に用地費を持って初
年度
の買収をやったところが、割合によかった。あんな事例は少ないのです。西目屋ダムというものは、結局反対なしに済みました。私は、二年といわないでも三年といわないでも、とりあえずは一年間の用地費というものを、国が所得しようというその
予算
というものを別ワクに計上したらどうかという考え方を持っているのです。そうして、同じような考え方を二年、三年、四年、五年くらいまで先行して
予算
に組んで、これだけ
資金
は十分ございますという精神的な安心感を持たした方がいいんではないかという考え方を持って先だってあなたに質問したのですが、そういう制度がよろしいならばそういう制度も考えようということをあなたはおっしゃった。しかし、まああのときは誤解して受け取っているのじゃなかろうかと思う。しかし、おそらくあなたがああいう答弁をしたために、財政当局はあなたの言葉であわてたことだと思う。どういう考えを持っているか、伺っておきます、まず最初に。
水田三喜男
140
○国務大臣(
水田三喜男
君) 用地費というものを過小に見積れば、それではという反対の刺激になってしまうのと同様に、用地費を多く見積っておけば、またここまで国が用地についての
予算
を持っているのだというようなことになりますので、その点は非常にむずかしいことと思いますが、今の
現行
制度で、土地の取得については国庫債務負担行為を認めるというような制度もあるのですから、こういう制度の活用によってやる方法が私は十分にあるのじゃないかと思っています。
田中一
141
○
田中一
君 私は、用地費の単価を上げろとか、額を伸ばせとかということを言っているのではないのです。明
年度
やる十億円のこの
事業
費の中には、用地費というものはちゃんと計上されておるのですよ、分類されてですね。その高い安いを言っているのじゃないのです。おそらく妥当な数字ですね。少なくとも高からず安からずという妥当な数字を計上されているものと思います。しかし、おのおのみんな土地を取られる人たちは、自分の腹づもりがございます。そうして今までの例というものが、今までの実態が、ごねれば得だという印象はみんな持っているのです。ことに二億円程度じゃ困るというような——何も困る困らぬよりも、困るんだというような意思を結集するために常に結束してしまうのですよ。そこで私が申し上げておるのは、まず第一に、三十六
年度
の国が直接に取得しようという用地の
予算
というもの、各
事業
費に含まれておる
予算
というものを、用地費というものを別ワクに持っていったらどうかという考えです、総額を。かりにいろいろ反対があるために、究極はたくさん例があるわけです。
最後
のものは余分な買収費を払っているという事実があるのです。そういうことのみやっております。先だって週刊朝日にもちょっと書いていました。あのどこか茨城県の方のが倍くらい払っているごねる方に対して。これはもう実例をあげればたくさんあります。これは
予算
の限界というものが目に見えているわけですね。予定の買収費というものは、まずこれの総額を別ワクに用地費として計上してごらんなさいというのです。そうして、むろん
予備費
で出すか、あるいは
事業
費を縮小して、次
年度
でもってまた
事業
費に計上して出すか、これは各省各庁がおのおの
大蔵省
あるいは
会計
検査院の方からしかられない範囲のいろいろな方法をとってやっていると思うのですよ。事実、最初から予定されたもので、買収費でもって買収が完全に行なわれたという例は少ないのですよ。もしも予定されたもので買収したというものがあるならば教えていただきたい。まずないと言っていいです。最初のうちは説得やその他でもってうまく取り上げても、だんだん上がってくる。これは上がってくるのは当然なんです。時々刻々とは言いませんけれども、一カ月々々々ごとに地価は上がっているんです。従って、早く手を打たなければ、当然地価が上がっていっているんです。各省が
事業
費として計上した
予算
で用地を取得した例はないといっていいくらいです。これでは精神的に、総額というか、その部分の金が見えている。計算できるものだからそういうような気持を持つのではなかろうかというところが一点なんですよ。従って、公共用地の取得費というものを別ワクで一つのものにしてごらんなさいと言うんです。何百億になるか何千億になるか知らぬけれども、そうすると、本
年度
の用地費というものは八百億ございますということになれば、買収する方でもいいわけなんですね。こういう方法をとったらどうかということを提案したのです。額の問題を言っているんじゃないのです。
水田三喜男
142
○国務大臣(
水田三喜男
君) それは
予算
編成の上の
技術
上の問題でございます。しかし、そうすることも、確かにおっしゃる
通り
、その方がいいとも思われますし、これは私どもに検討させていただきます。
田中一
143
○
田中一
君 そこで、これは
大蔵大臣
に知っておいていただきたいのですが、土地収用法という法律がございます。これは買収じゃないのです。これこそ憲法二十九条による財産権が取られる、公共の福祉のために自分の土地を提供しなければならない。同時に、また、これが正しい補償というものが与えられるのだという憲法二十九条の規定を、これをそのまま実現するには、収用法によるところの収用
委員
会の決定がその額の決定となるわけです。そのためにはいろいろ問題もございます。手続上の問題もございます。それも過ぎて、その決定に服するのは、これは国は当然のことでしょう。ところが、建設省はたった一件あるのです。宮城県の鳴子ダムというダムを作るために、まず買収にかかっておりました。町長その他の方々、地方の人たちをみんな動員して、説得して、そうして買収にかかって、ようやく買収が大部分できた。いよいよ水没の段階になって、それでは君たちはきかないならば収用
委員
会にかけて、そうしてこれを取り上げる。善良なこれも国民ですから、どうか収用
委員
会にかけて自分の土地を取っていただきたい、正しい補償をしていただきたい、こう言って、
最後
には、抵抗した地元の人たちが、国の法律の
通り
の手続をして収用に応じたわけです。この決定を国は不服として抗告をしております。裁判をやっております。これを
大蔵大臣
はどうお考えになりますか。少なくとも買収段階の交渉というものは、これは当然売買です。十万円で売ってくれといえば、ごめんだ、百万円でなければ売れぬ。これは自由ですよ。ところが、収用法によって収用
委員
会にかけて、公正なる第三者の判定が下った。この判定に服さないという事例があるのです、たった一件。これは建設省です。一体、本人があらゆる手段を用いて自分の地価のつり上げをしたというならいざ知らず、公正なる第三者が、法にきめられたところのその人たちが決定した補償金額ですね、これを
政府
が不服であるといって訴願しておる実情、今、鳴子ダムの現在係争中のものです。これを一体どうお考えになりますか。これはおそらく宮崎君なんか知っていると思う。こういう考え方で国がおって、国が自分できめている法律でなされた判定、いや、これは
大蔵省
に聞いていただきたいのです、この点は。それを反訴しているということは、これはあり得ないことなんですよ。国民が、十万円で売ってくれというのを、二十万円でなきゃいやだ、五十万円でなきゃいやだ、これはあたりまえのことなんです。これは売買ですから。そこで申し上げたいのは、一年早く土地を取得する方が、あるいは二年、三年、五年前に土地を取得する方が、金の面からいけば、用地費の費用の面からいけば安いんです。今の傾向は、それこそ毎月々々上がっておる。従って、もう一歩前進して、あらゆる公共
事業
というものが五カ年計画をもって三十六
年度
から出発しようとしておる、五カ年分の土地を買ってしまいなさいというのですよ、私が申し上げたいのは。単
年度
ごとの
事業
費の中でもって用地を買ったのでは、あなた方の方で——
大蔵大臣
、幾ら
大蔵大臣
でも、一面において値上がりを国がやっているのです、いろいろな法律で、それは御存じでしょう。いろいろな法律でもって土地の値上がりは促進さしているのです、国が。国民に対しては、まことに申しわけない乱費です。私は、五カ年計画というものができている以上、五カ年分の
予算
を計上して下さい。用地費の計上はどうお考えになりますか。——むろんこれには一つ一つ用地費というものが含まれて計画が立っているのです。金の問題で制約されたんじゃ困るというならば、金の問題できめたくないというならば、それは大まかなワクでもって用地費というものを継続費的な計上をしたらどうかと、こう思うのですが、これはどうです。
宮崎仁
144
○
説明員
(宮崎仁君) どうもおくれて参りました……。 ただいま
田中
先生の御指摘の点は、最近の用地取得の実情から見まして、確かにそういった御意見があるのもごもっともなことであろうと私も考えております。すでにこういう問題につきましては、三十六
年度
の
予算
の際にもいろいろ議論があったところでございますが、まず五カ年計画といいましても、御承知のように、今回の道路整備五カ年計画などにつきましては、一応全体の規模をきめて、これからその内容を具体的にきめるという形で、現在建設省の方で検討中であることは御承知の
通り
でございます。従いまして、用地の買収の予定などにつきましても、全体につきまして現在把握するということは、これは困難であるということになりますので、とりあえず三十六
年度
の問題としましては、比較的具体的な内容が確定いたしております一級国道の直轄
事業
等につきまして、用地の先行買収をやるという方針をとっておりまして、
予算額
として幾らになるかということは、私ちょっと今数字を覚えておりませんが、百億に匹敵する相当大きな用地先行費を組んでおります。それから、住宅の
予算
などにつきましては、すでに三十二
年度
ごろから、次
年度
以降の用地を取得するという形で所要の
経費
を計上するようにいたしております。こういった形で、公共
事業
につきましては、その計画の具体性というものが相当問題になるのでありまするが、これがはっきりいたしておって、そして一括買収する方が適当であるという場合におきましては、所要の
予算
を計上するという形もとっております。また、
資金
的に見て、当
年度
に
予算
を
支出
する必要がない場合、これは相当ございますが、ダムなどにつきましてはそういった例がよくございます。こういう際には国庫債務負担行為で計上いたしまして、そして所要の
予算
を当
年度
に計上する、翌
年度
以降の分は国庫債務負担行為によりまして、一括の契約をいたすというような措置をとっております。今後なおこういった問題につきましては、制度的ないろいろ問題が議論されているととろでございますので、
予算
の組み方につきましては、なお十分に検討いたして参りたい、こういうふうに考えております。
田中一
145
○
田中一
君 そうすると、たとえば北海道の金山ダム、これは用地買収費の総額はどのくらいになりますか、一応高さもきまっており、容積もきまっている。買収する
地域
は三年かかろうと四年かかろうと、これは確定と同じです。用地費というものはどのくらいですか。
宮崎仁
146
○
説明員
(宮崎仁君) この金山ダムは、御承知のことと思いますが、三十六
年度
から着工予定ということになっておりますが、建設大臣の決定いたします基本計画が現在まだきまっておらない段階でございます。従いまして、この具体的な全体の計画、それに基づきます用地の買収費というようなものも、現在具体的に決定になっておらないのでありますが、一応
開発
庁の方の要求の段階での話によりますと、四億程度の用地買収費がかかるというふうに伺っております。しかし、これはまだ決定した数字ということにはなっておりません。
田中一
147
○
田中一
君 私の申し上げたいのは、初
年度
に四億全部お出しなさいと言うのです。債務負担行為でもかまわないから、買ってしまいなさいということです。それはもし買収でやったのでは工合が悪ければ、値段は第三者にきめさせなさい、第三者の収用
委員
会にきめさせればいい、りっぱな法律があるのですから。そして国の用地費の算定、価格の決定というものは公正だという事実を全国的にケース、ケースによって現わすことです。いわゆる判決例を求めることです。こんなに用地問題をとやかく言っているのは何かというと、やはり
大蔵省
に相当責任があるのです。単
年度
事業
、単
年度
予算
で、その中にその
年度
の用地費を織り込んでいるところに問題がある。ダムというものは、三年かかろうと四年かかろうと、初
年度
に三、四年分全部
資金
を出してお賢いなさいと言うのです。そうすれば、地元の被収用者全部が正しい、バランスのとれた、ごねただけ得だという用地買収は行なわれない。それも各
事業
主体の役所は買いに行かないことです。買収に行かないことですよ。初めから収用の手続でやってもらう。価格の決定なんというものは、
事業
を行なう者がきめる必要はない。むろんそれには収用
委員
会の構成等を、今のものが不適当であるというのではございませんけれども、もっと強化して、もっと正しくして、国民全部が納得する、被収用者でない者も、国民全部が納得するような形のものにして、
事業
を行なわんとする者は用地の買収にかかってはならないというきめ方をして判決を求めてもらうことです。おそらく日本の憲法を守ろうとする者は、喜んでこの公共
事業
のために応ずるということに私は必ずなると思う。裁判所でも、他の訴訟等においても、やはり判決例というものは相当な判断のウエートになっている。私は、もう独立後十年近くなって、国民相手の用地買収なのですから、このような公正な方法をとろうとすれば、どうしても
予算
措置が必要なのです。
大蔵省
がそういう方法をとれば、三年、五年のあとには、もう国民全部が信頼し、そして公正な、損も得もない、被収用者に損も得もないという正しい十分なる補償であるということを理解するでしょう。その点はどうですか。
大蔵大臣
はあまりそんなことは……、総理大臣に言わせると、そんなこまかいことはと言うけれども、そういうこまかいことが問題になっているんですよ。そういう答弁をしていましたけれども、こういうものこそいかにして国民を納得させるかということは、言葉ではないのです。この法律というものは、国民を守るための法律だということを国民に理解させることなんです。日本の数々の法律は、法律のために人間があるのじゃないんです。人間のため、社会のために法律があるわけです。この法律をフルに使って国民を納得させる方法をとらなければならぬ。できないというのは何かというと、財政当局が今までのような行き方をしているところに一つの原因があるんだと、私はこう考えているんですが、その点はどうですか。もし大臣が、今そんなこまかいことはわからぬと言うならば宮崎君でもけっこうです。あなたが詳しく知っているはずだから、あと大臣が答弁して下さい。大きな問題です。
宮崎仁
148
○
説明員
(宮崎仁君) ただいま御指摘の問題でございますが、現在の土地収用法は、御承知の
通り
、非常に整備した法律でございます。しかしながら、原則といたしまして、現在は一応当事者間の話し合いということをやりまして、そうしてそれがうまくいかなかった場合には、まあ土地収用法を発動していくという形で運営されております。さあこういうことでございますので、これがいいかどうか、問題はいろいろあると思いまするが、初めから土地収用法で全部やっていくというような考え方をとることがいいかどうか、これはいろいろ従来のこの法律に対する一般的な認識の問題ということがあるだろうと思います。
予算
的な問題といたしますると、先ほど御
説明
いたしました
通り
、最近ではだいぶそういった次
年度
以降の用地につきましての手当ということも、
予算
上必要であれば措置していくという考え方でやっている?もりでありまするが、最近のように公共
事業
の相当大きな部分が長期の計画によって行なわれるという事態にもなっておりまするので、制度的にもいろいろまだ検討の余地があろうかと考えております。私どもも決して実際に当
年度
に買収した方が妥当であるというようなものについて、それはこれを計上しないというようなことを考えているわけではございません。ただ、限りある
予算
でございまするから、やはりそこに工事をやる分と用地を先行買収する分と、ある程度のバランスといいますか、そういったものがなければならぬ。こういう点は実施各省の方でそれぞれお考えの上でそういったスケジュールを作りますので、そういったものによりまして
予算
の計上を行なっていく、こういう取り扱いをいたしております。
田中一
149
○
田中一
君 宮崎君ね、やってないから問題が起きるんですよ。町をごらんなさい、大体全国で四千件程度のこういうトラブルが起こっているんです。東京だけでも幾つございますか。なるほど宮崎君、君の答弁は、収用に対する見解というものは二色ある、これは学者間にも二つの意見があるように僕も聞いております。しかし、問題は運営の問題なんですよ。しいて言うならば、あまりに
現行法
というものは、被害者いわゆる被収用者の立場を考え過ぎている法律とも見られる面が一面あります。しかし、かつてこの法律を全面的に使った例がないんです。買収行為というものは商取引なんですよ、単なる取引なんです。これをごねれば得だなんということは、まあ今度の週刊朝日にも書いていますけれども、ごねているんじゃないんです。自分が売りたくない土地を売ってくれと言ってくるから、だから国は十万円で売ってくれ、自分は五十万円でも売れませんよ、あたりまえの商慣習ですよ。だれも、建設大臣がこの土地を十万円で売れ、はい売りますと言うばかはおりません。自分ではこれは五十万円の値打ちがあると、こう見ている、ここに問題があるんです。現存の収刑法を全面的に使った例がない。そうすると、全面的に使ったらどうなるかということをお考えになったことでございますか、宮崎君。
宮崎仁
150
○
説明員
(宮崎仁君) 実はその問題につきましては、特にこうだというほどの検討をいたしておるわけではございませんが、今御承知のように、東京都内で進んでおりまする首都高速道路
公団
の
事業
などにつきましては、ああいった
事業
の性格から見て、土地収用法というものを早目に一つ手続を進めたらどうかということは申し上げたこともございます。それで、今の御指摘になりました点に若干関連して申し上げますと、補助
事業
につきまして、特に都市計画
事業
などにつきまして、次
年度
以降の用地の
予算
があまりついていないという御指摘がございました。これは従来の取り扱いでは大体そういったことになっております。しかし、こういうものにつきましては、大体の都市におきまして、あるいは府県におきまして、用地の特別
会計
というものを作りまして、そういうところで先行買収をいたすというようなことをやっております。で、これは仕越し工事として
予算
上認めるという建前で大体実際問題としては円滑にいっているように思いますが、こういった制度を、さらに国の
予算
の面に若干取り入れるべきかどうかということは、研究問題として残っておるかと思います。
田中一
151
○
田中一
君 収用
委員
会にかけた方が、あなた、金を払う方から見ると、損か得か、どっちに考えているんですか。
大蔵省
としては一応の買収費というものを計上するわけですから、どうしてもそれにこだわると思うんです。しかし、土地収用
委員
会の決定というものと買収というものとは、あなた方財政当局として、どっちが損するか得するかというお考えを持っているんですか。
宮崎仁
152
○
説明員
(宮崎仁君) 収用
委員
会の裁定は、その構成から見ましても、当然妥当な線が出ることと思っておりますので、これによって損得というような感じはないと思いまするが、そういう裁定が行なわれました場合には、先ほどこれに従わなかった事例を御指摘になったようでありますが、これは非常な例外でありまして、たった一件だろうと思います。
政府
の方は全部これに従うという原則で
運用
しております。
田中一
153
○
田中一
君
大蔵大臣
、お伺いしますがね、あなたあまり小さい問題で答弁するのはおいやかも知らぬが、しかし、これは全国的に政治に対する不信というものが植えつけられつつあるんです。新島新鳥とか砂川の問題は別の観点から見ておりますが、実際に社会生活に必要な公共
事業
というものは、今日いろいろな意味において、収用される、土地を取られるところの国民、これは悪党のようにいわれる面がある。まるでいち早く買収に応じた者が善人であって、いつまでもがんばるのは悪人であるかのごとき印象を与えているんです。新聞、雑誌等にもそれが散見します。少数であろうとも、その人たちがやっぱり政治に対する不信を持つんです。そうして国民の層の中に相剋をもたらす。私は、これはとるべきものではないという信念を持っております。十年前からこの問題はるるとこういう方法をとれと言ってきているんですが、今のようにとらない。一面、地方公共団体で用地費というものを別に特別
会計
でやっておるところもあります。しかし、なぜ法律そのものを初めから使っておやりにならないのか、そうして土地の取得というものは第三者の判定にまかすという慣行を作らなかったかということです。今話に出た首都高速道路
公団
の理事長にも、もう二年前ですが、最初からここは、この路線というものは十分にもう細目にわたって調査ができているんだから、全面的に用地に対して、これが君の方で
技術
的に正しいなら収用法を適用して、一切の買収行為は収用
委員
会にまかせなさい、そうして二年あるいは三年かかろうとも、国民が信頼する事例を作る、それから、かくかくのものはこのような形でもって判定を下せるんだということを立証することでもおやりなさいという勧め方をしたんです。御崎理事長は、なるほどその方が早いかもわかりませんと言って、しようと思ったところが、これはとても官僚諸君が承知しない。官僚諸君が承知しないから、いまだに一つの幹線路線もできておりません。これには今までの
予算
上の習慣として、今、宮崎君が、若干次
年度
の方も先行買収するというんですか、するような措置をしていると言うけれども、足りません、これでは。
大蔵省
はその腹をもって、五年間一千億なら一千億という継続的な用地費というものを大まかに柱に立てておいて、それで一切の問題は収用
委員
会のいわゆる補償の問題に持っていくという、補償という形でもって結論をつけるということにすれば、私は、今後の用地の取得に対しては、その
事業
主体に対する信頼が増してくるであろうと、こう見ているんです。その点は
大蔵大臣
はどうお考えになりますか。
水田三喜男
154
○国務大臣(
水田三喜男
君) ですから、今申しましたように、土地の事情が変わっているんですから、用地についての
予算
問題は、
事業
費の中へ含まれないで、抜いて別個にそういうものを立てておくという構想も、これは私はあるいはいいかもしれぬと思っています。で、今までのような形で、少ないからすぐに買収がきまらないんだというのと同時に、これは多くてもまた問題は起こりますので、そうかといって、一括して一つのところで大きい金額でまとめておきますというと、各
事業
ごとに用地費は国に一括してあるんだから、幾らで買っても、どういうふうにやってもかまわないんだという形で、またむずかしい問題が起こるかもしれませんし、それをそういうふうにならぬように一括するにしても、これはいろいろ
技術
的な問題があろうと思いますので、
予算
編成上の
技術
問題として、よく検討したいと思います。
田中一
155
○
田中一
君 用地に関しては、買収と補償という問題については、やはり区別して考えなければいかぬと思うんですよ。これは宮崎君、買収と補償とは性格が違うんですよ。よく買収ということを補償云々というけれども、これは買収でいっているのであって、補償の問題じゃないですよ。これを一つ今大臣が言われたように、この問題は、今後政治に対する信頼を国民が持つか持たないかの大きな問題ですから、一つ十分その点は検討していただきたいと思うんですよ。あなた方が納得しないから、
事業
主体の方ではなかなか踏み切りがつかぬというのが実情だと思うんです。買収行為をするよりも、補償の方が私は正しいものが出るという見方をする。かりにそれが買収よりも高いものが出ても、将来に対する問題がそこで解決されると思うんです。 それからもう一つ伺いたいのは、もう一点だけです。今の問題とは違いますが、給与課長見えていますか。これは
大蔵大臣
に経緯だけを、御承知だと思いますけれども、申し上げておきますが、大正十二年に、当時の内務省は、御承知のように、任官している
技術
官、まあ今でいう技官ですね、技師なんていうものは少なかったんですよ。現場の者はみんな雇用人なんです。大学を出ても、二年か三年ぐらいはその雇用人の下積みを通って、五年か六年たって任官するというのが通例だったんです。そこで、その人たちが、今問題になっている例の定員外の職員等を含めて、これらの人たちが自分を守るために、建設省の土木共済という共済
組織
を作ったわけです。これは割合に古い方です、大正十二年ですから。自来今日まで、一昨年の共済組合法が出るまでは独自の立場で、建設省の下積みの連中ですね、まあ今言っている行一とか行二の連中ですがね。これを主としてきましたところが、御承知のように、一昨年の十月からの法律の
改正
の実施によって、任官者、高級職人がなだれ込んだのが今の実態なんです。実際言うならば、新しく共済組合を作っても差しつかえないのです。その人たち——身分保障がない人たちが、大正十二年ですよ、三十何年も前から、自己防衛のためにそういう共済
組織
を作って、この人たちは永久に任官できないのです。永久に
国家公務員
になれないのです。そうして歴史的なそういう経過を踏んで、
財源
も一応持ち、やってきたところが、一昨年、恩給受給該当者もなだれ込んで、今日の建設共済という連合体外のたった一つの単独共済組合があるわけなんです。従って、歴史が古い、それだけに料率も安く済んでおったのです、掛金も。ところが、今度の
改正
でもって、自分たちの方では一応長い間の
財源
等もあるからこの程度の掛金でいいという数字、暫定的には千分の二十五で、長期掛金の方ですよ、
年金
ですね、やっておりましたところが、千分の四十一ならばそろばんに合うという労働組合側と官側の計算
委員
会でもって決定した線で
大蔵大臣
に申請したわけです。これはまあ
大蔵大臣
がそれに対して動揺したとか何とかいうようですけれども、ところが、それを持ち込むと、
大蔵省
は、それは困る、ほかは全部千分の四十三ないし四十四だから困る、あなたの耳に入る前に、正式に建設省の共済組合が、運営審議会といいましたか、運営審議会でものをきめる前に、給与課長あたりがぽんとはねつけておるのです。あなた方の省議になっておりません。そうすると建設省の方は、労働組合側が三人出ている運審の一人を変更して、四十三の原案でもって押し切ろうとしたのが一昨年いろいろと組合の問題になったのです。水田さんも閣議で御承知でしょうけれども。
水田三喜男
156
○国務大臣(
水田三喜男
君) 一昨年。
田中一
157
○
田中一
君 いやいや、そうじゃないのです。最近のことですよ。先々月あたりから、この掛金の料率の問題で地方建設局がいろいろ騒いでいるのがお耳に入ったと思います。問題は、そういう歴史ある。少なくとも
財源
もあろうといわれているところの建設共済組合の掛金の、何といいますか、料率の問題ですか、どういう意味でほかが四十三だから四十三でなければ困るのだといってけられたか、これは大臣のお耳に入っておらないと思うのですよ。給与課長、一つ
説明
して下さい。
船後正道
158
○
政府委員
(船後正道君) 御質問は、建設共済の長期給付の掛金率の問題でございますが、御承知の
通り
、現在の共済組合法によりますと、長期給付に要する費用につきましては、いわゆる平均保険料という方式をとっておりまして、長期にわたる費用と、それから長期にわたる掛金、負担金並びにその予定
運用
利回りの合計が、ちょうど収支バランスを保つように
財源
をはじく、かような計算であります。この計算をいたします際には、それぞれの共済組合の組合員につきまして、御承知の
通り
、死亡とか退職とか、あるいは俸給指数とか、そういった統計的な事実に基づきまして、いわゆる保険数理により計算するわけでございます。これらの前提が固まっておりますれば、この計算は客観的に算出されるわけでございます。今御指摘の、大正十二年以来、建設省におきましては土木共済という長い歴史があるということでございますが、この新法ができます以前の旧共済組合法、あるいは大正、あるいは
昭和
初期の旧勅令に基づく共済組合におきましては、御指摘の
通り
、雇用人のみを組合員とする組合があったわけでありまして、この場合には、給与水準といたしましても、二十年を勤続いたしますと、原則といたしまして三分の一の
年金
がつく。率に直しますれば三三%の
年金
がつくという給付水準でもって運営して参ったわけでございます。この旧共済組合当時におきましては、職員の掛金率は、たしか千分の三十九であったと記憶いたしておりますが、これが千分の三十九であることにつきましては、先ほど申しました
通り
、給付水準が、原則といたしまして勤続二十年に対して三三・三%であるという点、それから雇用人が任官いたしますと、これが恩給公務員に抜けて参りますので、その間に期間通算をいたしませんから、そこで一時金という形でもって
処理
されるというような関係上、率が低かったわけでございます。ところが、これが三十四年十月の
改正
によりまして、もとの恩給と旧共済とが一緒になりまして新共済ができました。これによりまして、給付水準も恩給のレベルに合わせまして、勤続二十年に対しまして四〇%という基礎率になったわけでございます。それから、また従来では、雇用人が任官いたしますと、共済といたしましては一時金で
処理
しましたのを、今度はその場合には、雇用人が任官いたしましても、引き続き共済組合の組合員といたしまして勤続年数を計算する。 〔
主査
退席、副
主査
着席〕 従いまして、長期勤続の取り扱いを受げて
年金
化する方が多いといういろいろな関係がございまして、先ほど申し上げましたような基礎資料をもちまして計算いたしましたところ、千分の四十三、素
財源
といたしましては、たしか千分の九十八程度と記憶いたしておりますが、これを四十五対五十五で割りますと、掛金が千分の四十三になった、かようになった次第でございます。この新共済の制度は、先ほど申したような職員の死亡、退職等の某礎事実に基づいて計算いたしますので、各組合ごとにそれぞれ職員構成の相違がございますから、若干の相違はございますけれども、しかし、
国家公務員
というグループといたしましては、同じような俸給制度の適用を受け、ほぼ似通ったような職員構成をとっておりますので、大体各組合を通じまして、素
財源
は俸給に対して千分の百前後でございます。特に建設共済のみが異なった傾向を示しておるという状況にはなっておりません。
田中一
159
○
田中一
君 計数計算
委員
会ですね、運審の中にどこでも計算
委員
会を持っておりますね。あなた言っているように、異なった実態であるから、おのおのがおのおのを守るためのものですから、当然十分な検討をしてやっております。そこで、一体一昨年の秋、長い間かかって出した計数は、何というか、本部長長というのですか、建設共済の。どうも千分の四十一でいいというような、それでいけるのじゃないかというような計数が出たじゃありませんか。これを建設省の官房長あたりからあなたの方に話があったことはご存じですか。
船後正道
160
○
政府委員
(船後正道君) 先ほどもうしました
通り
、この長期給付に要する費用の計算は、基礎データをもとにいたしまして、保険数理に基づいて計算するわけでございまして、この基礎的な資料を統計操作いたします際に、もちろん種々の見方もあろうと存じますが、その結果、あるいは素
財源
率で千分の一あるいは二程度の相違も出てくることもあろうかと存じます。しかし、建設組合の場合には、従来建設組合独自の退職率等をいろいろ基礎といたしまして算定いたしました結果、千分の四十三ということで私どもの方に協議があった次第でございます。
田中一
161
○
田中一
君 それはさっきも
説明
したように、一人の運審
委員
の首のすげかえをやって、そうして原案を強行した。建設省は行っていますよ、四十一でもって実は何べんも頼みに行った。あなたいつから給与課長をしているのですか。
船後正道
162
○
政府委員
(船後正道君) 三十四年の八月でございます。
田中一
163
○
田中一
君 そうすると、当時建設省の方からあなたの方へ、これは公式のものじゃございません。内々そういう話し合いがあったことはご存じですか。あったならあった、ないならないとはっきり言って下さい。
船後正道
164
○
政府委員
(船後正道君) もちろん給与課といたしましては、この共済制度に関する監督官庁の仕事をやっておりますので、長期給付の掛金というような、組合の長期にわたる財政収支を左右するきわめて重要なポイントでございますので、計算の方法等につきましては、もちろん建設当局から協議はございました。
田中一
165
○
田中一
君 千分の四十一ではどうかという話がございましたか。
船後正道
166
○
政府委員
(船後正道君) 先ほども申しております
通り
、この計算は保険数理に基づくわけでございますから、計算過程におきましては、実際のデータは、たとえばでございます。退職率にいたしましても死亡率にいたしましても、現実的には非常にバラつきのある数字が出て参ります。ある特定
年度
には退職金額が非常に出てくる、次の
年度
には発生がないといった場合において、統計上これをノーマル・カーブに直すわけでございますが、それをいかに操作するかという見方によりまして、種々の
技術
的問題が残るわけでございます。そういった見方いかんによりましては、千分の四十一という数字にもなりましょうし、あるいは千分の四十五、四十六という数字にも相なるわけでございます。従いまして、過程におきましては種々の数字は出てくると思います。
田中一
167
○
田中一
君 私が伺っているのは、建設省の官房から、どうも千分の四十一という数字が妥当らしいからという、これがあったかどうか伺っているのです。
船後正道
168
○
政府委員
(船後正道君) 建設省からは協議を受けまして、最終的にまとまりましたのは千分の四十三でございますから、四十三でやりたいという建設省の御意思に従ったわけであります。
田中一
169
○
田中一
君 そうすると、従来ともに、建設省の方からは、あなたの言っておる原則によって、あなたの言っておる計算の基礎によって計算した結果、千分の四十一くらいでどうかという話はなかったということですね。
船後正道
170
○
政府委員
(船後正道君) 先ほども申しております
通り
、この計算は拝観的に算出される数字でございまして、結論をむやみやたらと変えるわけに参りません。計算の過程におきまして、たとえば五カ年の退職率をとるか、あるいは三カ年にするか、あるいは十年にするか、あるいはまたそういった事実が出て参りました場合において……。
田中一
171
○
田中一
君 私はそういう質問をしておるのではないんです。
船後正道
172
○
政府委員
(船後正道君) そういうような結果によりまして種々な答えが出てくるわけでございます。相互勘案いたしまして、建設省の方といたしましては千分の四十三となる、素
財源
千分の九十八となると記憶しておりますが、その
財源
で定めたいという協議があったわけでございます
田中一
173
○
田中一
君 そうすると、千分の四十一でどうか、建設共済としてはこういう計算をした。むろんこれはあなたの方、命令でやっているのですから、そうしてその結果千分の四十一でもいいではないかという交渉があったかなかったかと伺っている。ないならないと言って下さい。
船後正道
174
○
政府委員
(船後正道君) これでもやれる、非常にそこが微妙なんでございますが、千分の四十一という結果の数字も示されております。従って、これでやりたいという御意思かどうか、その点はわれわれよくわかりませんけれども、いろいろそういった基礎的な事実につきまして検討の結果、千分の四十三になったというわけでございます。
田中一
175
○
田中一
君 では、そうすると、この建設共済で自分の方の率の問題について、十分にあなたの方の共済組合が持っているところの基礎によって計算された数字というものをむろん検討なすったでしょう、その過程において。四十一、四十二というような数字の出たことがあるとするならば、そういうものは、建設共済はそういう積算のデータをもってあなたに話したのですか。それとも全然そうでない、何かのついでに千分の四十一ではどうであろうかというようなことで話があったのですか。その点は申し上げておきますが、今こうして全国的にこの問題で相当な紛糾があるのです。従って、建設省は、自分の方では何べんも何べんも自分の方の基礎数字をもって折衝している。しかしながら、どうしても
大蔵省
が承知してくれないからやむを得ないじゃないか、こういうことになっているのです。従って、あなたの発言というものは重大な問題になるのですから、くどく念を押して伺っているわけです。
船後正道
176
○
政府委員
(船後正道君) 先ほども申しております
通り
、こういう認可につきましては、内々に協議があるわけでございまして、そこで両者意見が一致しましたところで正式な協議が出てくるわけでございます。この場合も、もちろん千分の四十一という数字を私ども拝見いたしております。その他の数字も拝見いたしております。その間に、いわゆるその基礎的なデータも拝見いたしております。種々検討の結果千分の四十三になった次第でございます。
田中一
177
○
田中一
君 千分の四十一、四十二等は、そうしたデータがあるならば、これは資料でお出し願えませんか、
大蔵大臣
。当然これは国が千分の五十五
支出
しております。従って、われわれが
予算
を審議するのに、やはり関心のある重大な問題ですから、その資料をお出し願いたいと思います。
船後正道
178
○
政府委員
(船後正道君) 私どもの方で持っておりますのは、最終的に協議がございました千分の四十三の資料でございまして、途中の計算過程の資料の総括的なものは、それぞれ建設共済の方で保存いたしておるわけでございます。
田中一
179
○
田中一
君 千分の四十三のデータを、こまかい積算のしに立ったと思いますから、お出し願いたと思います。
船後正道
180
○
政府委員
(船後正道君) 千分の四十三のデータは、御要求がございますれば
提出
いたします。
田中一
181
○
田中一
君
委員
長、取って下さい。
横山フク
182
○副
主査
(
横山フク
君) では、その資料を
提出
願います。
田中一
183
○
田中一
君 そこで、今建設共済は、内容はどんな工合になっているのですか。その十月一日から再出発した以前の基金等はどのくらいございましたか。
船後正道
184
○
政府委員
(船後正道君) ただいまその具体的な数字は持って来ておりませんので、御答弁しかねるのでございますが。
田中一
185
○
田中一
君 それじゃそれは何か丸井ででも答弁してもらえますか。
船後正道
186
○
政府委員
(船後正道君) 御報告申し上げるべき事項をお示し下さいますれば、文書でお答えいたします。
田中一
187
○
田中一
君 そして私も、どうも数字の方には弱いものですから困るのだけれども、恩給をもらえる人たちが共済組合に一本になりましたね。それで一応恩給制度が打ち切りになりました。従って、恩給は、本来ならば全部支払うべきが正しいですね。本来ならば直ちにですね、それで、その人たちが、恩給といいますか、一ぺんやめたのですから。しかし、それは乗りかえたから、そのままで継承する例は今までにありました。それから、一時金等は一体どうなっているのですか。支払ったのですか、支払わないのですか。
船後正道
188
○
政府委員
(船後正道君) 三十四年十月の切りかえは制度上の切りかえでございまして、実際問題といたしましては、だれも退職などいたしておりません。従いまして、恩給からこの新しい共済組合員になった者につきましても、その恩給時代の母数をそのまま継続いたしまして、最終の退職時に、あるいは一時金、あるいは年令としてそれぞれ給付がある、かような次第でございます。
田中一
189
○
田中一
君 それじゃこうして下さい。十月一日の乗りかえのときの恩給として組み入れられる実態、これは毎年毎年恩給準備金的なものは
予算
に計上されているのでしょう、この
予算書
にもある
通り
。
船後正道
190
○
政府委員
(船後正道君) ただいまの先生のお考えは、三十四年十月の切りかえ当時に恩給公務員であった者にかかわる金額はどうであったのか、こういう御趣旨でないかと思いますが。
田中一
191
○
田中一
君 恩給の実態ですね、そういう意味ですよ。
船後正道
192
○
政府委員
(船後正道君) 実は、恩給当時の運営の仕方でございますが、これは共済組合におけるような、いわゆる保険システムに立って
運用
しておった制度ではございませんでした。ご存じの
通り
、国の一方的な給与でございます。従いまして、毎
年度
の
予算
上の措置といたしましては、国が毎年給付に必要な
経費
をそのつど計上する、
年金
であろうと一時金であろうと、当該単独
年度
に必要な
経費
を当該
年度
に
支出
する、どういうことになっておりまして、いわゆる準備金、積立金というようなものは、一切恩給制度にはございません。従いまして、そういった意味の
経費
は把握できません。
田中一
193
○
田中一
君 そうすると、三十六
年度
で四千七百九十万というものが組まれておりますね。本
年度
も建設共済として四千七百九十万円、三十五
年度
は三千二百八十五万三千円というものが組まれておりました。そうすると、との四千七百九十万というものは何です、これは一体。
船後正道
194
○
政府委員
(船後正道君) それは資料を持って来ておりませんのですが、おそらくその数字は追加費用ではないかと考えておりますが。
田中一
195
○
田中一
君 追加費用という性格は何です、これは。
船後正道
196
○
政府委員
(船後正道君) これは
国家公務員
共済組合法の長期給付に関する施行法というのがございまして、これの第五十五条に規定いたしておりますが、この恩給公務員の引き継ぎその他の経過的措置によりまして生じました組合の追加費用はすべて国が負担する、かような規定がございます。その国が負担すべき費用を毎
年度
の
予算
に計上する、その部分が今御指摘の数字であるということでございます。
田中一
197
○
田中一
君 この四千七百九十万というものは、どういう根拠があってこの数字が組まれたか、その追加費用の性格はどういうものか、どういう根拠で四千七百九十万になったか、示してほしいのですが。
船後正道
198
○
政府委員
(船後正道君) 追加費用は、先ほど申し上げました
通り
、この新共済への切りかえに伴いまして生じました過去の費用でございます。つまり恩給時代には保険数理上の掛金というものがございませんので、新共済の立場から見ますれば、恩給時代はすべて掛金がないという状態に置かれております。従いまして、その恩給時代の期間を新共済に引き継ぎますれば、当然その期間にかかわる費用につきましては、共済組合としては負担するわけには参りませんから、国が負担する、かようになっております。この追加費用は、
国家公務員
共済のみならず、公企体共済等においても、三十一年の
改正
の際に、それ以前にかかわる追加費用は、すべてこれは公企体の負担にする、さような規定に相なっております。この追加費用の負担の方式、
予算
の計上方法でございますが、これにつきましては、
技術
的にはいろいろな方法が考えられます。保険数理的には、いわゆる永久債務と申しまして、この追加費用不足責任準備金の利息の負担分を計上していく方法、あるいは、また公企体共済が当初考えておりました
通り
、積立金の状況、あるいは国家財政または公社の
収入
の状況を見ながら毎
年度
一定の金額を投入していくやり方、種々の方法が
技術
的にあるわけでございます。旧法によりましては、いわゆる永久債務方式という方式によりまして、不足責任準備金の利息相当分を計上して参ったのでございますが、この新共済の発足によりまして、いかなる方式によって追加費用を
処理
するか、これは非常に困難な問題でございまして、実情は毎
年度
予算
で埋める、かように相なっております。ところが、
技術
的にいかなる方法をとるにいたしましても、まず追加費用の総額が幾らになるかということの把握をするのが第一でございます。ところが、まあこの追加費用の総額と申しますのは、三十四年十月現在におきまして、個々の職員の前歴、それぞれ恩給公務員として何年おった、あるいは共済組合員として何年おったかというようなデータを総合いたしまして初めて把握されるものでございます。このように、追加費用の調査のために、現在前歴調査を実施しておりますけれども、まだ資料は完成いたしておりませんので、現在は追加費用の総額は明確ではございません。従いまして、恒久的な負担方法としましては、この追加費用を、総額を把握した上で考えることといたしまして、さしあたりましては、三十五
年度
におきまして非現業関係は総計十億円、三十六
年度
におきましては非現業関係は総計十五億円、これを各共済組合の職員の俸給でもって按分した結果が、建設共済にかかわる部分が、先ほど御指摘の
通り
、四千万円程度の数字になっておる次第でございます。
田中一
199
○
田中一
君 それから
事務費
ですがね、共済組合の
事務費
は、これは法の九十九条によると、全部が国が負担するということになっておりますが、実際には組合が掛金でやっていますね、この点はどうなんです。
船後正道
200
○
政府委員
(船後正道君)
事務費
につきましては、人当百円ということで計上いたしております。
田中一
201
○
田中一
君 それで不足していやしませんか、どこでも。
船後正道
202
○
政府委員
(船後正道君) 大体各組合とも人当百円で運営いたしておりまして、特に不足しているという声は聞いておりません。
田中一
203
○
田中一
君 それじゃ実際お調べ願って、不足しているか不足していないか、一つとって下さい。不足していればどう不足しているか、十分ならどう十分か、一つ調べて下さい。
船後正道
204
○
政府委員
(船後正道君) その点につきましては、他方、国の職員が共済組合の事務に従事する、あるいは国の施設を
使用
させる等の規定がございまして、現実面の国の負担というものがありまして、不足状況はちょっと把握するのはむずかしいかと思います。
田中一
205
○
田中一
君 むずかしいかむずかしくないか、一ぺん照会してみて下さい。
船後正道
206
○
政府委員
(船後正道君) 承知いたしました。
田中一
207
○
田中一
君 私の持ち時間なんて約束した覚えはないけれども、そうだそうですからやめますが、そうすると、もう一度申し上げておきますが、
大蔵省
はもう一ぺん今給与課長が言ったことを、大臣よく聞いていて下さいよ。
大蔵省
は運審を開いて、千分の四十三というものに対して正式の相談があったけれども、ほかのものに対しては、過程においていろいろの相談があったけれども、こういう共済組合
利子
としての、これでどうかというような意思表示はなかった、こういうわけですね。
船後正道
208
○
政府委員
(船後正道君) さようでございます。
田中一
209
○
田中一
君 そこでこの問題は、私は、これは
大蔵大臣
にも申し上げておきますが、ほかの役所が四十三だから、四十四だから、これもこうしなければならないのだという言い分で四十三をきめたのではないことは明らかでしょう。これは仕事も実態も違うのですから、その点はそうではないと思う。そこで、十分に労働組合の方も建設省の方も、
大蔵省
は、
大蔵大臣
が握っているすべての基礎計算に基いて、どの数字が妥当かということは、単なる
大蔵省
だけにまかせておくべき問題ではないのです。かりにこれが千分の四十一になれば、国の負担も千分の五十五よりも減るでしょう、給与課長。
船後正道
210
○
政府委員
(船後正道君) 四十五分の五十五という数字で、国の負担も
減少
することになります。
田中一
211
○
田中一
君 そういうことになるでしょう。従って、これはかえって国の方が
予算
上得ではないかと思うのです。健全性をおそらく言うのではないかと思うのですよ。それは不健全だということを言うのです。計数が明らかになって、これでもやれるのだという数字が出た場合には、
大蔵大臣
、何もしいて四十三を固執するわけじゃないでしょうね。
水田三喜男
212
○国務大臣(
水田三喜男
君) 結局これは保険計算でございますので、その資料がそろっていれば計算ができることですから、別にどうこうと細工をしないではっきり出てくる問題ですから、それによってきめるよりほか仕方ないと思います。
田中一
213
○
田中一
君 私があえてこういう問題を伺ったのは、現在ああして地方の現場でいろいろ問題があるわけなんですよ。こういうものを一日も早くおさめていきたいという気持から質問したわけなんです。ほかの役所が千分の幾つだから、建設共済もそうでなければならんという考え方はない。これは今
大蔵大臣
の答弁で明らかです。従って、十分にその四十三の計数を
大蔵省
から出していただきまして、あとはこれが正しい計算だという計算を求めて、もう一ぺん何かの機会に質問します。従って、お出し願う資料は一つ出していただきたいと思います。ありがとうございました。
東隆
214
○
東隆
君 私は、先日の
予算委員会
で、阿部竹松君の質問に関連して、私、北海道拓殖銀行が、終戦時における問題、ことに樺太の関係者に対する措置、そういうようなものについて非常に疑問もあり、いろいろのことがございましたが、当時の預金の残高がまだ銀行にある、そんなような関係で、その経過、そういうようなものについて御報告を願いたい、こういうように要請をいたしておきました。その件をお答えをいただきたいと思います。
石野信一
215
○
政府委員
(石野信一君) 二十二日でございますか、阿部
委員
から、
予算委員会
におきまして、北拓の樺太にあった預金が二億円見当あったはずだがどうなっておるか、それが時効にかかってしまうのではないか、こういう御趣旨の御質問があり、また、東
委員
から関連の御質問で、市町村の分がどういうふうになったか、こういう御質問がございました。石原
政府委員
から一応お答えをいたしましたが、補足的に御
説明
をさしていただきます。 二十年の七月三十一日で預金債務が約二億一千七百二十九万円ございました。それから終戦直後は、存外の資産、負債関係がいろいろどうなるかわからないというような関係がございまして、一部分の
支払い
が行なわれたのでございまするけれども、本格的な
支払い
が行なわれ始めましたのは、二十九年の再建整備法の
改正
によって、その後でございます。それで、結局今日までに二億六百五十三万円の
支払い
が行われまして、支払残といたしまして約千七十六万円、それだけが支払残になっております。で、このうち、樺太の市町村の預金というのは五百八十八万円、それで一般の預金というものは四百八十七万五千円、この四百八十七万五千円が
支払い
残になっておるわけでございます。この一般の支払残に対しましては、請求があればこれを支払うために、今も別段預金が準備してございまして、正当な請求がございましたら、これに支払う態勢になっておるわけでございます。 時効の問題でございますが、これは商事の時効で、法律的には五年ということに相なっておりまするけれども、一般的に銀行の預金というものは、正常な取引につきましては特効を援用いたしておりません。従いまして、この問題につきましても、正当な請求があれば、これに対して特効を援用せずに支払うという建前をとっておるわけでございます。市町村の分、すなわら樺太にありました市町村の預金でございますが、これは再建整備法の法律の建前で、本邦に住所を有する者に支払うということになっておりまして、本邦に住所を有する団体ではございませんので、市町村の分に対しては、法律的に
支払い
をいたさないということでございます。 以上御
説明
を申し上げたわけでございます。
東隆
216
○
東隆
君 私は、
大蔵大臣
に御記憶にとめておいていただきたいことは、約二億の預金があったと今お話にあった
通り
でありますが、そのうち二五%ほど島内に貸しつけておったわけです。これは銀行の方針として、樺太では預金の二五%を貸して、約一億五千万円は本店の方にきておった。そういうような関係になっておったときにあの終戦になって、そうして外地に本店がある台湾銀行や、あるいは朝鮮銀行のような形でもって拓殖銀行を扱ったところに私は問題があると思います。それで私の聞いておるところでは、その当時預金者の会ができまして、それの事務局長が上京をして、そうして一体樺太の拓殖銀行は閉鎖
機関
になったのか、こういう質問をしたのに対してどういう返答があったかというと、樺太では樺太
開発
会社ですか、こればかりが閉鎖になったので、あとのものは閉鎖になっておらない、こういうふうにマーカット少将が答えておるのです。そこで、どういう経過になっておるかといいますと、拓殖銀行ではその当時非常に困難な状態に陥っておって、何とかして預^笠を払わないで済まそうと、こういうふうにお考えになったようであります。その結果、百方運動をされて、そうして一本銀行の札幌支店に、
支払い
をしなくてもいいような書面を書かした、その書面は私の手元にございますが、こういう書面であります。 今般連合国に於ては殖民地銀行、外国銀行等に対し閉鎖命令相成候に付ては外地(樺太を含む)関係並びに朝鮮台湾両銀行の内地店舗の預金等の便宜代払、銀行に於ける預金等各店払及預金小切手制の取扱は今後何分の通知ある迄一応猶予する御取扱相成度而して
大蔵省
に於ては之れが善処方に付目下努力中に付預金者に不安の念を起さしめざる様勉めて慎重を期せられ度候 尚前記関係の預金預換に付ても右と同様に御取扱和成度此段御通知候也 と、これは拓殖銀行殿として、日本銀行札幌支店と書いてあるわけです。そうして、月日は
昭和
二十年十月二日であります。この通牒を拓殖銀行で書かして、そうしてこれをたてにして支払をやめたような傾向である。そこで、
大蔵省
の方は、百方運動をしたらしいのでありますが、
大蔵省
の方で実は通牒が出ておるわけです。それで大蔵者の外資局長の通牒があるわけです。これは蔵外為第一五一号です。そうして
大蔵省
外資局長として、実は月日が書いてない怪文書なんです。 北海道拓殖銀行殿 外国為替取引停止に関する件 当省より何分の指示ある迄外国為替その他之に準ずる取引を停止相成度但し一般引揚邦人に対しては差当り一千円の範囲内に於て之に応ずるも支障無之右此の段及び通牒候也 これは一千円出してよろしいということなんです。 そこで、先ほど読み上げたことから御想像はつくでしょうけれども、これは一千円を払わないように何とかしてもらいたい、こういう努力をやって、そうして日銀の札幌支店の人を動かしてそういうものを一応出したわけであります。そういうような経過をとっておるのだからといって、今度は
大蔵省
の方にやって来て、そうして
大蔵省
に通牒文を書かした、その通牒文には日付を入れないというやつがここに出てきておるわけです。はなはだその実は怪文書めいたことになっておりまするけれども、この結果どういうことになったかというと、樺太の住民は、本店が札幌にある拓殖銀行、しかも一億五千万円は本店の方に入っておるのです。こういうような状態のもとで千円の
支払い
も受けないで、そうしてずっとそのまま放置されてきて、そうして今度は封鎖をされてしまったわけです。そうして封鎖解除になって
支払い
をされた、こういうことになっておるわけで、このやり方に対して非常に憤慨をしておるわけです。そこで、どういうことをみんなが言っておるかというと、樺太の住民のものは返したのだけれども、しかし拓殖銀行とすれば、その当時非常に困難な状態にあったのだけれども、今はもう十分に持ち直して隆々と栄えておるじゃないか。そこで、樺太でもって痛めつけられた王子製紙にしてもその他にしても、非常に大きな仕事をやって、そうして樺太住民その他に対してもいろいろな仕事をやってくれておる。ところが、拓銀は町村関係の預金の残があるはずだが、そういうようなものをそのままにして過ごしておる、こういうようなことは道義的に見ても、これは何としても承知ができないのだと、こういうので、おそらく私に何とかこれを適正な方法で解決をしてほしい、こういうふうに私のしりをひっぱたいておるのだろうと、こういうように考えておるわけです。で、請願書は、天皇陛下に直訴にかえての請願書というようなものもありますし、樺太拓銀預金問題にからむ池田首相閣下への請願書、こういうのが出ております。これは私は池田首相のところへ持って参ろうと思います。それからこれに対して、私は、やはりある程度これは考えてやらなければならない筋合いのものがあると思うのです。これはむちゃをやっております、この過程においてですね。過程においてむちゃをやっている。これは相当考えてやらなけりゃならぬと思うのです。私は、解決の方法だの何だの、そういうようなものについても、多少自分としての考え方がありますけれども、まだそういうものを述べる段階ではございませんし、それで
大蔵大臣
のお耳に入れておいて、そしてこれに対する善処をしていただきたいと、こういう考え方なんです。で、この点について一応話の筋をおそらくよく大臣などお知りでないと思いますから、中身をよくお調べ下さいまして、そして善処をしていただきたい、こういうふうに考えておるわけです。
水田三喜男
217
○国務大臣(
水田三喜男
君) 十分調査いたします。 で、そういう通達がどこへ出ておるかとか、いろいろ疑問がおありだというような問題があるようでございますので、私の方で十分さかのぼって調査をいたします。
横山フク
218
○副
主査
(
横山フク
君) ほかに御質疑はございませんか。御質疑もございませんようですから、
大蔵省所管
についての質疑はこの程度で終了いたしたいと存じますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
横山フク
219
○副
主査
(
横山フク
君) 御
異議
ないと認め、さよう決定いたします。 なお、今後の審議につきましては、明二十八日は文部省及び
自治省所管
、二十九日は厚生省所管、三十日は労働省所管について御審議を願うという方法で進めて参りたいと思いますが、御
異議
ございませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
横山フク
220
○副
主査
(
横山フク
君) 御
異議
がないと認めまして、さよう決定いたします。 本日はこれにて散会いたします。 午後五時五十四分散会