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1961-03-28 第38回国会 参議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月二十八日(火曜日)    午前十時四十八分開会    ——————————   委員の異動 本日委員小柳勇辞任につき、その補 欠として米田勲君を予算委員長おい て指名した。 同日委員米田勲辞任につき、その補 欠として田中一君を予算委員長おい て指名した。    ——————————  出席者は左の通り。    主査      武藤 常介君    副主査     千田  正君    委員            太田 正孝君            小山邦太郎君            白井  勇君            平島 敏夫君            田中  一君            羽生 三七君            森中 守義君            森 八三一君   国務大臣      郵政大臣  小金 義照君   政府委員     郵政政務次官 森山 欽司君    郵政大臣官房長 荒巻伊勢雄君    電気通信監理官 松田 英一君    電気通信監理官 岩元  巌君    郵政省監察局長 荘   宏君    郵政省郵務局長 板野  学君    郵政省貯金局長 大塚  茂君      郵政省簡易      保険局長  西村 尚治君      郵政省電波      監理局長  西崎 太郎君    郵政省経理局長 佐方 信博君   説明員      日本電信電      話公社総裁 大橋 八郎君     日本電信電話     公社施設局長 平山  温君     日本電信電話     公社経理局長 山本 英也君    ——————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和三十六年度一般会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十六年度特別会計予算内閣  提出衆議院送付) ○昭和三十六年度政府関係機関予算  (内閣提出衆議院送付)    ——————————
  2. 武藤常介

    主査武藤常介君) ただいまから予算委員会の第三分科会を開会いたします。  審査予定についてお諮りいたします。本分科会審査につきましては、昨日、二十九日に運輸省所管、三十日に建設省所管について御審議を願うことに決定いたしておったのでありまするが、都合により、二十九日には建設省所管について御審議し、同日質疑が終了いたしましたならば、引き続き運輸省所管について審議を行ない、翌三十日も同省関係について審議を続行することといたしたいと存じますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 武藤常介

    主査武藤常介君) 御異議がないようですから、さよういたしたいと存じます。    ——————————
  4. 武藤常介

    主査武藤常介君) この際、参考人出席要求についてお諮りいたします。  本分科会審査に必要な場合の参考人出席要求については、その取り扱いを主査に御一任願いたいと思いますが、御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 武藤常介

    主査武藤常介君) 御異議がないと認めます。決定いたします。  なお、参考人出席を求ある場合は委員長に申し出を行なうことといたしたいと思います。    ——————————
  6. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは本日は、昭和三十六年度一般会計予算、同特別会計予算、同政府関係機関予算のうち郵政省所管を議題といたします。  まず、政府側説明を聴取いたしたいと思います。
  7. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 昭和三十六年度郵政省所管予算案の概要について説明申し上げます。  まず、郵政事業特別会計予算でありますが、この会計予算総額歳入歳出ともに二千百六十四億五千百万円でありまして、前年度予算に比較いたしますと、二百四十八億三千八百万円、すなわち、一三%の増加となっております。  次に、歳出予算内容について申し上げますが、この予算額の中には、収入印紙失業保険印紙等収入をそれぞれの会計に繰り入れるための業務外支出予算五百五億四千四百万円が含まれておりますので、これを差し引きますと、郵政事業特別会計実体的予算額は一千六百五十九億七百万円となります。このうち、郵便貯金保険電気通信等業務運営に必要な経費が、一千六百二億四千三百万円であり、郵便局舎等建設費が五十六億六千四百万円となっております。なお、業務運営経費の中には、かねて問題となっておりました非常勤職員六千六百七十六名の定員への組みかえと、新規増員として、定員一千四百一名の増員に要する経費が含まれております。このほか、主要施設事項といたしましては、無集配特定郵便局二百局及び簡易郵便局五百局の増置、大都市内の集配度数の増回並びに機械化計画推進等郵便事業集配運送施設増強国民貯蓄増強については、郵便貯金一千四百五十億円、簡保年金一千五百億円の新規財政資金を確保すること等の重点施策推進いたしますとともに、業務正常運行を確保することを主眼といたしております。また、建設費におきましては、郵便局舎百三十九局の継続工事のほか、新たに百五十五局の新営を行なって郵便局舎緊急改善八カ年計画第七年次の推進をはかるほか、東京中心部における局舎施設については特に重点を置き、これを実施するよう取り運んでおります。  次に、歳入予算について申し上げます。  予算総額は、先ほど申し上げました通り二千百六十四億五千百万円でありまして、この内訳を申し上げますと、郵便及び為替振替等郵政固有業務収入が八百二十六億九千七百万円、郵便貯金保険年金電気通信等の各業務運営経費に充てるため、それぞれの会計から繰り入れられる他会計からの受け入れ収入が七百八十九億六千四百万円、郵便局舎等建設財源に充てるため他会計から受け入れる設備負担金が十二億四千六百万円、借入金が三十億円となっております。なお、近年、郵便物利用形態に著しい変化が起こっております。すなわち、一、二種郵便物増加に比べて採算のとれないダイレクトメールや小包等郵便物が激増し、これを処理するために要員、施設面おいて大幅な拡充を余儀なくされる一方、国民生活水準の向上につれて郵政事業職員給与水準増加する等のため毎年度支出が累増し、三十六年度以降におきましては、収支均衡が保たれなくなりましたので、郵政審議会等にも諮って、一、二種を除き平均一九%の料金改定を行なうこととし、これによる年度内増収額を六十七億一千五百万円見込んでおります。また、為替振替料金につきましても調整を行なうことにいたしましたので、このための年度内増収額を五億二千九百万円と予定いたしております。以上のほか、収入印紙等の売りさばきに伴う業務外収入が五百五億四千四百万円ありますので、歳入予算総額は、前に申し上げました通り、二千百六十四億五千百万円となっております。  次に、郵便貯金特別会計予算歳入歳出ともに七百六十七億七千八百万円でありまして、これを前年度と比較いたしますと、六十一億五百万円、八・六%の増加となっておりますが、この会計におきましては、従来、収支均衡が保たれないため、一般会計等から相当多額の繰入金を受けて、かろうじて事業を運営してきたのでありますが、このような状態を今後も続けていきますときは、事業の進展が阻害されるおそれもありますので、収支均衡が保たれない最大の原因であった資金運用部への預託利率六分を、三十六年度から六分五厘に改定して収支均衡を保つことといたしております。  簡易生命保険及び郵便年金特別会計におきましては、歳入が千九百五十二億四千万円、歳出が六百四十八億五千二百万円でありまして、前年度と比較しますと、歳入では二百十一億六千二百万円、すなわち一二。二%、歳出では二十一億一千百万円、すなわち三・四%の増加となっております。なお、歳入歳出差額千三百三億八千八百万円は、法律の定めるところにより積立金として処理することになっております。  次に、一般会計について御説明申し上げますと、歳出総額は二十四億八千万円でありまして、これを前年度に比べますと、三億六百万円、一四・一%の増加となっております。この増加内訳を申し上げますと、職員人件費が一億三千七百万円増加したほか、有線放送電話施設改善普及に必要な新規経費千二百万円並びに海外放送アフリカ向け一方向の新設に必要な経費宇宙空間通信研究、未開発周波数帯開発研究等経費増加が一億五千七百万円となっております。  次に、日本電信電話公社予算案について申し上げます。この予算損益資本および建設の三勘定に分かれておりまして、これらの各勘定総計は六千二百五十五億二千八百万円になりますが、このうち勘定間の振りかえによる重複額を控除いたしますと、その収入支出総計額は三千三百七十一億五千六百万円でありまして、前年度に比べ六百二十四億一千六百万円、二二・七%の増加になります。損益勘定におきましては、収入は二千六百五十五億円、支出は二千四十一億円でありまして、この収入支出差額六百十四億円は資本勘定に繰り入れられ、そのうち百三十二億円が債務償還等に、残余は建設改良に充てられることとなっております。建設勘定につきましては、三十六年度おいて五十万個の増設を行なって積滞の解消に努めることとし、これに必要な経費資本勘定から受け入れる千七百三十四億円によってまかなわれるものでありますが、その内容を申し上げますと、公募債券によるものが三十五億円、財政資金引受債券によるものが十五億円、外債によるものが七十二億円、加入者債券等によるものが五百三十億円、設備料等が六十三億円、このほかに自己資金として、損益勘定からの繰入金減価償却引当金を含めて千十九億円が予定されております。この勘定支出の面につきまして申し上げますと、一般工事計画に千六行三十億円、町村合併対策に四十五億円、農山漁村電話普及対策に五十九億円がそれぞれ充当されることになっております。  以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なお、詳細な点につきましては、御質問をいただきまして、お答えまたは御説明を申し上げたいと存じます。何とぞよろしく御審議を賜わりますようお願い申し上げます。
  8. 武藤常介

    主査武藤常介君) それでは、ただいま大臣から御説明のありました郵政省関係予算につきまして御質疑のおありの方は、順次発言を願いたいと存じます。  なお、この際お諮りいたしますが、本分科会審査につきましては、希望者が多数ございますので、御一人の質疑時間を答弁時間を含めて五十分以内程度にいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  9. 森中守義

    森中守義君 ちょっと。答弁時間も含めるのですか。
  10. 武藤常介

    主査武藤常介君) 答弁時間を含めて……。
  11. 森中守義

    森中守義君 さっきはそんな話じゃなかった。あなたはそういうことは言わなかった、答弁時間を含めるということは。ちょっととめて下さい。
  12. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止
  13. 武藤常介

    主査武藤常介君) それじゃ速記をして。  ただいま質問の時間の一人五十分という点に対しましては、御異議の方もあるようですから、あらためて後刻御協議をいたします。
  14. 森中守義

    森中守義君 郵政大臣にお尋ねいたしますが、大体三十六年度年賀はがき発行予定はどのぐらい考えでございますか。
  15. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) この年末に発行する年賀はがきについては、まだ数字はきめておりませんが、大体今までの増加比率等によってきまることと思います。
  16. 森中守義

    森中守義君 それは衆議院では十一億というようなことを郵務局長は言っておりますね。それが一つと、それから三十六年度歳入見積りを出す場合に、あらかたどのくらいというようなことぐらいはおきめになっておかないと、二千数百億の予算の構成ができないのじゃないですか。
  17. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 予算の策定に際しましては、大体三十五年の実績等から見まして、十一億ぐらいということを見当をつけたようでありますが、まだ具体的な数字はきめておらないという意味で、およそそこらが見当になっております。
  18. 森中守義

    森中守義君 そこで、今回の料金改定答申によりますと、審議会の方では、四円のはがきは五円にした方がいい、こういうように答申が出ておるようですが、この結果は、郵政省ではどういうことにされておるのですか。
  19. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 郵政審議会郵政省からお諮りした案につきまして御答申がありましたが、その御答申に対してある程度の変更があります。たとえば第三穂の新聞の料金とか、そのほか二、三点ありますが、年賀はがきは一年一回の儀礼的なものでもあるし、また国民相互間の通信でございますから、とりあえず現状で覆いた方がよいだろうという意見で、これは現状のまま据え置きました次第でございます。
  20. 森中守義

    森中守義君 はがき原価幾らですか。
  21. 板野学

    政府委員板野学君) 三十五年度におきましては四円六十銭ぐらいだと思っております。
  22. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、四円で出すということになると六十銭の持ち出しということになりますか、算術計算でいくとそういうことになりますね。
  23. 板野学

    政府委員板野学君) はがきの中におきましては、年賀関係一般はがきとがございまして、その平均が大体収入といたしまして四円六十三銭でございまして、先ほど四円六十銭申し上げましたが、訂正いたしまして、大体四円四十二銭になっております。従いまして、はがきの全体を含めますというと、なお黒字になる。年賀だけについて見ますると、ただいま先生がおっしゃいましたような状況でございまして、年賀だけの原価計算をいたしますと、四円よりも下回っておるのじゃないか、まだはっきり出ておりませんけれども、そういう工合に思っております。
  24. 森中守義

    森中守義君 はがきが、年賀はがき一般はがき原価の上で区別ができますか、そういう計算方法があるのですか。
  25. 板野学

    政府委員板野学君) 現在のところ、まだはっきりそこまで区分が出ていないと思いますが、経理局の方で計算をいたしておりますので、その方からお聞き取り願いたいと思います。
  26. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 一般原価計算いたしますときには、年賀を取り除きまして、普通の、年賀のない時期に計算いたしてやりますものですから、はがきの分が出てくるわけであります。年賀の場合には相当集約的に出て参りますから、また別個の計算をいたしております。その数字は役所にありますから、あとで取り寄せてもよろしゅうございますが、年賀の方は原価は四円をちょっと下回っております。全体を平均いたしますと四円四十二銭と、そういう計算になっております。
  27. 森中守義

    森中守義君 これは、郵便会計という一本の会計であれば、年賀はがき原価幾ら一般はがき幾らという区別をして勘定さるべきものでは私はないと思うのですが、しいて年賀はがきは別に原価を出しておるということであれば、午後にでも一つ持ってきてもらいたい。  そこで、私は大臣に伺いますが、やはりはがきというものは、年賀はがきとか、一般はがきとか、同じ会計のワク内で区別をして原価を出すべきものではない。そうなりますと、先ほど郵務局長からお話しになりました四円四十二銭というのが、はがきの総体的な原価であって、当然年賀はがきも四円四十二銭という原価を基礎にして勘定すべきだと思うのです。そうなりますと、年賀だけは四円ということで、一通に対して四十二銭は持ち出しておると、こういうことになりますね。もちろん、一円のお年玉というのが、零細な国民拠金として社会事業に回っていくのですから、その議論は別といたしまして、こういう原価を割ったことで、事業の経営からいっていいのですか。
  28. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) はがき全体として見ますると、昭和三十五年度におきましては原価が四円四十二銭、それから一枚あたり収入は四円六十三銭ということでございますので、総体的にははがき収支償っているといいますか、収益を上げているという形であります。ただ、年賀だけは特別な時期に出ますものですから、一応試算をしますと、集約的に出るから安くなっているということになっておるわけであります。
  29. 森中守義

    森中守義君 これは午後原価が出てきたあとで、もう少しお尋ねいたしますが、次に、毎年のお年玉募金配分の問題ですが、これは当然法律の五条三項ですか、それから政令の二条ないしは三条でございますか、応募団体を募ってもらって、三十四年の場合、あるいは三十五年の場合、応募団体の数はどのくらいですか。
  30. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 総額、それからその応募団体及び分けた実績につきましては、局長から申し上げます。
  31. 板野学

    政府委員板野学君) 三十五年度におきましては、応募団体の総体の数は、正確にはちょっと記憶しておりませんが、大体十二、三団体からあったと思います。その中で団体を決定いたしたものが八団体というふうに記憶しております。その団体応募を申し上げますと、共同募金日本赤十字結核予防会、それから南方同胞援護会ガン研究会日本ガン協会、兵庫県ガン治療センター、それからあと災害関係指定されておるわけであります。
  32. 森中守義

    森中守義君 今伺いまして、その応募団体が十二、三で、決定したのは八団体、こういうことのようですが、これは毎年こういうように少ないのですか。
  33. 板野学

    政府委員板野学君) 申請団体のうちからいろいろ検討をいたしまして、適当な団体と思われるものに指定をしておる次第でございまして、本年度につきましては、特にガン研究治療というような点に重点を置いて団体をきめ、配分をいたしたような次第でございます。
  34. 森中守義

    森中守義君 私は日赤以下、結核予防あるいは南方同胞援護、あるいはガン研というようにおあげになりましたのから感じますのは、何かこれは政府が別に財団だとか、あるいは補助金だとか、交付金だとか、そういうものの対象になるところが多いような気がするのですが、そういうことの肩がわりに回される感じがないでもないわけですが、どういうようにお感じになりますか。
  35. 板野学

    政府委員板野学君) お年玉寄付金法律がございまして、その法律の第五条で、配分団体対象と申しますか、それがきまっておるわけでございます。その一つは、社会福祉事業に関する事業、その一つ災害等救助に必要なる事業、その一つガンとか、結核とか、特殊疾病研究治療をする団体、それからもう一つ原爆等災害患者治療救助に関する事業、この四つに現在のところ限定をされておる次第でございます。
  36. 森中守義

    森中守義君 それが政令の四条にいう審査をして審議会にはからなければならないというその条項に該当するものですね。いわゆる審査基準ですか。
  37. 板野学

    政府委員板野学君) それに関連をする団体の中から、特にその必要と思われまする、またはその事業をやっていくに最もふさわしいというような団体を厚生省なりと協議をいたしまして、郵政審議会の議を経てこれをきめるということになっておる次第であります。
  38. 森中守義

    森中守義君 だから審査基準というのがあるのですかないのですか。
  39. 板野学

    政府委員板野学君) 一応毎年きまった具体的な事業を選ぶ審査基準というものは毎年きめていくわけでございまして、団体の範囲につきましては、先ほど申し上げましたような法律の条文に従いまして、そしてきめられるということになっておる次第でございます。
  40. 森中守義

    森中守義君 これは午後からでもその審査基準一つ資料として出して下さい。
  41. 板野学

    政府委員板野学君) よろしゅうございます。
  42. 森中守義

    森中守義君 それからもう一つお尋ねしますが、大臣あるいは局長のお耳に入りませんか。たとえばらい療養所ですね、それから社会福祉事業団、こういうのがありますね、今、局長のお話になった社会福祉的なものにということであれば、当然らい療養所であるとか、あるいは社会福祉事業団であるとか、全国的な組織があるのです。こういうところから、ぜひこういうお年玉恩恵にあずかりたいという意見がしばしば開陳されておるように聞いておる。当然私は対象になると思うのですが、この辺のことはどういうようにお考えになっていますか。
  43. 板野学

    政府委員板野学君) 社会福祉事業法にいいます社会福祉事業、それから日本赤十字法に基づきます特殊なそういう事業、こういうものが一番最初の福祉事業の方に当てはまるわけでありまして、そういう関係事業につきましては、大体共同募金で全面的にその福祉事業法に基づいて寄付金なりを募集いたしまして、そうしてそこへ配分するということになっております。従いまして、そういう社会福祉事業につきましては、大体共同募金なり日赤を経て、共同募金を通じていくと、こういう関係に相なっておるわけでございます。それから、らいにつきましては、これは特殊疾病でございますので、特別にそういう申請があれば審議をいたすわけであります。ちょっと記憶はさだかでございませんが、過去に一回そういうらい関係申請があったように記憶いたしておりますが、らい関係につきましては、すでに治療方法も確立いたしまして、相当程度治療成績もあげておる。また国からの補助も相当あるということで、その審議にならなかったように私ども記憶しておりますが、そういう事情でございます。
  44. 森中守義

    森中守義君 法律によりますと、応募団体はこれこれの条件が必要であるということで告示をしなければならぬとなっておりますね。しかし、長年の事業の中に行なわれているこの種の仕事ですから、大かた周知徹底はできておると思うのです。しかし、ほんとうにこういうものの恩恵にあずかりたいという社会福祉事業団、あるいはそれに類するもの、しかもそれらは日赤恩恵にあずからないというようなところも私はあると思う。あるいは特殊疾病と言われたらいの問題も同様だと思うのです。ですから、そういうようなものも当然応募の資格があろうし、やはりそうなりますと、何月何日、どういう方法で受付を開始するというような、いわゆる応募周知徹底ということは、どういうことでやっておりますか。
  45. 板野学

    政府委員板野学君) 毎年九月ごろに団体指定を受ける。団体申請をするようにということを官報をもちまして告示をしておる次第でございます。過去十カ年こういうことを続けてきましたので、大体団体はこの法律の五条に基づく対象団体であれば、そういう補助金が受けられるということの周知は徹底しておると私ども考えておる次第でございます。
  46. 森中守義

    森中守義君 それでは大臣に伺いますが、結局おおよその筋としまして、今まで指定をされた以外の団体で、ほんとうにこういうことの恩恵に浴さすべき私は団体があると思う。従って、これから先はもう少し窓口を広げるというか、多角的な研究をするというか、そういうことで、せっかく零細な国民のいわば拠金でありますから、あまねく行き渡るように三十六年度あたりから検討される御意思がおありですか。
  47. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) ごもっともな御意見でございまして、法律の制限以内で変える必要があれば法律も変えていいと思いますが、あまりまた零細になって効果が上がらぬような細分はどうかと思いますけれども、今、森中さんのおっしゃるような趣旨はけっこうでありますから、検討だけは広げてしてみたいと思います。
  48. 森中守義

    森中守義君 ぜひそういうことでお願いをしておきたいと思います。もう一つ、この関係で承っておきたいのは、南方同胞援護会、いわゆる沖繩関係ですね。これは何年くらいから応募団体として指定をされておりますか。
  49. 板野学

    政府委員板野学君) 昭和三十三年度から始めております。
  50. 森中守義

    森中守義君 そうすると、南方同胞援護会が直接沖繩に対する配分方法、あるいはその結果の処理、そういうものをやっておるんですか、実際作業をやっておるんですか。
  51. 板野学

    政府委員板野学君) 南方同胞援護会がまあ一種の窓口機関と申しまするか、窓口になりまして、沖繩におきまするそれぞれ特殊な団体ができておりまして、その特殊な団体が実際の事業をやる、こういう仕組みになっておる次第でございます。
  52. 森中守義

    森中守義君 それからその次に、少しこれはこまか過ぎるかわかりませんが、郵政省で作っておいでになる規則の中に、一つは南西諸島への郵便物の扱い、この問題と、為替規則がありますね。これで、要するに政令の中にうたわれている表現の問題ですが、為替の場合には南西諸島への取り扱いの規則ですか、為替の特例に関する規則か、こういうことになっておりますね。それから郵便の場合には、外国郵便規則で、特別にそういうものを作らない。その二条によれば、沖繩は、南西諸島は外国である、こういうことになっておる。要するに、規則の中でずいぶん統制がとれていないようですが、これはどういうことですか。
  53. 板野学

    政府委員板野学君) 郵便関係につきましては、琉球との郵便の交換は、万国郵便連合の条約及び約定をこれに適用するという両郵政庁間の了解のもとに郵便物を交換をしておるというわけでございまして、その郵便物の交換の性質は、やはり外国郵便物として一応扱っておるわけでございます。    ——————————
  54. 武藤常介

    主査武藤常介君) この際、分科担当委員の異動について報告いたします。  小柳勇君の委員辞任に伴い、補欠として米田勲君が第三分科担当委員になられました。その後さらに米田君が第四分科担当に変られ、その補欠として田中一君が第三分科担当委員になられました。    ——————————
  55. 武藤常介

    主査武藤常介君) 続いて願います。
  56. 森中守義

    森中守義君 今のお話ですと、郵政庁間の話し合いというのですが、沖繩のどこと話し合うのですか。
  57. 板野学

    政府委員板野学君) 平和条約発効後におきましては、沖繩郵政庁との間で話し合ってきめておる次第でございます。
  58. 森中守義

    森中守義君 沖繩は外国になっておりますか。
  59. 板野学

    政府委員板野学君) 法律上の地位につきましてはいろいろ問題があると思いますが、一応、行政権につきましては、郵便に関する限りは、沖繩郵政庁がそういう折衝をする権限がありまするので、私どもといたしましては、そこと話し合いをして取りきめをいたしまして、交換をしておるということでございます。
  60. 森中守義

    森中守義君 いやいや、そうじゃないのです。沖繩はいつ外国になったのかと、こう聞いている。
  61. 板野学

    政府委員板野学君) 郵便に関しましては、先ほど申し上げましたように、内国郵便物としてこれを送達するということができませんものですから、一応、万国郵便連合の条約等を適用いたしまして交換をしておる、こういう次第でございます。
  62. 森中守義

    森中守義君 ちょっとその意味の取り合いが違うのですがね、要するに、外国郵便規則の二条の中で、「外国とみなす」地域に南西諸島はしているでしょう。だから、いつ南西諸島は外国になったのかと、こう聞いている。
  63. 板野学

    政府委員板野学君) 連合軍が占領いたしました昭和二十一年に、そういう連合国との間の覚書によりまして、そういう取り扱いをした次第でございます。
  64. 森中守義

    森中守義君 いや、取り扱いの話はまたあとでいいですがね。二条によって、特定の地域すなわち南西諸島は「外国とみなす」と、こうなっておるが、いつ日本の領土でなくなったのかと、こう聞いているのですよ。
  65. 板野学

    政府委員板野学君) 郵便につきましては、これは日本の領土であるとかないとかということでなしに、万国郵便連合のいろいろの規則に基づきまして、先ほど申し上げましたように、昭和二十一年に、連合軍の総司令部との覚書によりまして、万国郵便条約を適用して交換をするということになっている次第でございます。
  66. 小金義照

    国務大臣(小金義照君) 森中さんのおっしゃるのは、おそらく、沖繩日本の領土であった、しかるに、いつから外国並みに扱うようになったかという御質問だと思いますが、それは、日本がポツダム宣言を受け入れまして、占領されて、その際に沖繩日本本土とは完全に交通遮断されました。そうして沖繩と申しますか、琉球との間の電信電話はもちろんのこと、郵便の交通もできなかった。そのときから私はもう、外国になったということは別でありますが、日本の領土から離れた、すなわち施政権が日本からなくなってしまったというときから、私はその外国とみなされる状態が発生したと思います。従いまして、今、局長が申しましたように、昭和二十一年の連合軍の総司令部から出た覚書によって郵便の交換が始まったんですから、法律的にはこのときから外国に準ずるものとなった、こう私はお考えいただいたらいいのじゃないかと思います。
  67. 森中守義

    森中守義君 取り扱いの経過はそれでいいでしょう。それは今ここで異論を言ってもしようがない。ただその際に、要するに統一を欠いているというのは、昭和二十八年に施行されて、三十五年に改正されている南西諸島との間の郵便為替の特例に関する規則、こういうのが出ております。この中には、同じ条件下にある沖繩に対して、外国とは言っていない。この地域は外国とみなすとは言っちゃいない。この規則は、郵便規則では「外国とみなす」と言っている。為替の場合においては外国とみなしていぬ。ずいぶんそこに、同じ郵政省の仕事の中に、郵便関係では外国とみなして、為替の方では特別に外国とみなしていぬ。いわゆる沖繩の郵政庁との間に特別な取りきめができておる。そこに用語の統一を欠いている、こう言っているのですが、直す必要があるのじゃないですか。少なくとも領土に関心を持つわれわれとして、沖繩に深い関心を持たなければならない日本政府として、片一方の規則では外国とする、片一方では特定の地域である南西諸島、こういったように規定づけをするのは統一を欠いておると、こう私は思うのですが、もちろん法律じゃないのですから、これらのことはそうむずかしくなく改正が私はできると思うのですが、改正をおやりになるというお考えはありませんか。
  68. 板野学

    政府委員板野学君) 一応、万国郵便連合の条約、その約定を適用してやった関係上、外国郵便とみなして扱っておると、こういう観点になっておりますが、さらに私どもは十分規定等は検討いたしましてみたいと存じております。
  69. 森中守義

    森中守義君 ちょっと参考までに、万国郵便条約の何号が外国郵便規則に当てはまるのですか。
  70. 板野学

    政府委員板野学君) 万国郵便条約の第八条でございます。なお、万国の小包約定等の条文もこれに適用されておるわけでございます。
  71. 森中守義

    森中守義君 それからもう一つ、こういう問題によく似ているのですが、伺っておきますが、今、日本にアメリカの軍事郵便局がありますが、その沿革、業務内容、そういうものを少し詳しく説明してもらいたい。
  72. 板野学

    政府委員板野学君) 米軍の軍事郵便局の設置につきましては、日米安全保障条約の第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定第二十一条によって設置されるものでございます。いずれも、外国に軍隊が駐留するという場合におきましては、その軍人あるいは家族間の通信、あるいは本国との軍事上のいろいろな必要に基づいて、こういうような軍事郵便局が設置されるということが慣例になっている次第でございまして、NATOその他の関係におきましても、こういうことが認められている現状でございます。現在、日本の国内におきましては、合衆国の軍事郵便局はAPOすなわち陸軍、空軍関係で十七局、FPO、いわゆる海軍関係が七局設置されている次第であります。この軍事郵便局を利用できる人でございますが、先ほどの地位協定の二十一条によりまして、米国軍隊の構成員及び軍属並びにそれらの家族、それから協定第十四条に掲げられておりまする合衆国の居住者及びその被用者で、合衆国の軍隊のために合衆国政府との契約の履行のみのために在日している者が利用できるということになっているわけでございます。それから軍事郵便局と、日本郵便局との間の郵便物の交換でございますが、たとえば日本人が、向こうの軍人にあてて郵便物を出す、あるいは向こうの軍人なり家族が日本人にあてて郵便物を出す、こういう問題につきましては、日米の両郵政庁との間の取りきめによりまして交換をいたしているわけであります。それで現在この交換は、東京中央郵便局と立川のAPO、福岡中央郵便局と板付にあります軍事郵便局との間に行なわれている次第でございます。大体この取扱いの物数でございますが、最近一カ月の平均物数をとってみますると、こちら側から軍事郵便局に出されまする郵便物が、通常郵便物で大体十八万通、小包郵便物につきましては二千七百個、軍事郵便局からわが国の郵便局に参ります通常郵便物が約五万七千通、小包郵便物が大体二百個、こういうことになっております。これらの郵便物料金でございまするが、こちらから向こうの軍事郵便局にあてて出しまする郵便物は、大体内国郵便料金と同額でございます。小包郵便物につきましては、第一地帯書留とした外国小包料金ということになっているわけでございます。それで、この郵便物の交換をいたしました場合の料金、たとえば運送料等のこの決済の関係でございますが、通常郵便物につきましては、これは万国郵便連合の条約に従いまして、お互いに取りきり、決済をしない、小包郵便物につきましては、日米小包約定によりまして決済をいたすわけでありますけれども、アメリカ側はこの権利を放棄いたしており、小包郵便につきましては料金を請求しないという約束になっております。日本側は昭和三十四年度におきましては、アメリカから三十三万円の支払いを受けている、こういうような状況に相なっている次第でございます。
  73. 森中守義

    森中守義君 これはどうなんですか、今大体沿革を承ったのですが、昨年の安保条約の改定以前の軍事郵便局の状況とその後の状況、変わっておりますか。
  74. 板野学

    政府委員板野学君) 大体同様でございます。
  75. 森中守義

    森中守義君 そこが問題なんですね、郵政大臣あるいは皆さん方も御案内のように、安保条約の、以前のものは、いわゆるこの軍事郵便局の一例にもとってみるように、なるほどイギリスあるいはフィリピン、あるいはその他のところにもあるでしょう。しかし、これは国際慣例としてはないのです、こういうことは。平時において軍事郵便局の設置を認めておるというのは。しかも、おそらくそういう特典的な措置を安保条約に認めておるということが何といっても安保の不平等である。その不平等性を直すということで安保条約の改定が行なわれたはずなんです。郵政省ではこういう軍事郵便局を特に設置を認めて特別な扱いをするということが当然なことと思われますか、安保条約改定の際に、まあいわば郵便に関する治外法権です。こういう治外法権を永久に認めていいとお考えだったのですか。変わっていない、安保条約の改定以前と改定後に何ら内容おいて変化がないとするならば、やはりこれでよろしい、治外法権を認めておいてもよろしい、こういったように私はなると思うのですが、特別に郵政省ではこの内容の改定を行なうような意思表示をされましたか。
  76. 板野学

    政府委員板野学君) 先ほど申し上げましたように、大体外国の軍隊が駐留をするという、基本的なそういう条約なり何なりでそういうことが認められまするというと、まあ国際慣習といたしまして、そういう軍事郵便局が設置されるということになっておりまして、たとえば北大西洋条約の諸国間におきましても、これと同様な措置をとっておりまするし、ドイツ連邦に駐在するやはり外国軍隊につきましても、こういう措置がとられておるわけでございます。またフィリピン等につきましても、平時におきましても同様な措置がとられるわけでございまして、基本的にそういう外国の軍隊が駐留するということになりますれば、国際慣行といたしまして軍事郵便局が置かれるということになる次第でございまして、その間におきましては、やはりそういう国際慣行に従うという方がよろしいというふうに考えておる次第でございます。
  77. 森中守義

    森中守義君 ちょっと妙な聞き方ですが、国際慣習とか、国際慣行というものはおおむね何年間ぐらいのことをいうのですか。
  78. 板野学

    政府委員板野学君) これはもう軍事郵便局を置くというようなことはずっと以前からそういう制度がございまして、私もつぶさにその歴史のことはよくわかりませんけれども、日清戦争等におきましても、すでに郵便局は、まあこれは戦時中でございますけれども、そういうことになっておりましたし、また第二次欧州戦争以後、平和状態になりました各国におきましても、こういう駐留が認められておるというような国との間には、大体、軍事郵便局が設置されておるというようなことになっておる次第でございます。
  79. 森中守義

    森中守義君 ちょっと意味が違うのですよ。なるほど戦時中におきましては、日本も第二次世界大戦までは陸海軍軍事郵便局を持っていた、戦時中は。これは平時なんです。ここにいう国際慣行あるいは国際慣習というのは平時のことをさしているのですよ。そこに少し答弁が食い違っておる。だから平時における状態としては、イギリス、フランス、ドイツ、ギリシャ、フィリピン、日本、こういったようにあるのは、アメリカが特別に軍事郵便局を持っておる。しかし板野局長は、これは国際慣習である、国際慣行である、すなわち平時において軍事郵便局を置いていいという、そういう御答弁だから、一体、国際慣習、国際慣行というものは何年ぐらい実績を基礎にして慣習慣行というのか、こう聞いているんです。
  80. 板野学

    政府委員板野学君) これは期間が何年たっておるかという点につきましては、いろいろ議論もあると思いますけれども、まあ各国ともそういうような取り扱いをしておる、こういう意味におきまして国際慣行になっておるということを申し上げた次第でございます。
  81. 森中守義

    森中守義君 これは外務省あたりに聞いてもらって、もう少し専門的に、国際の慣習慣行というものは一体何年ぐらい実績をもって規定づけていくのか、もっと専門的に聞いた方がいいと思いますから、ここでは聞きませんけれども、もう一つ伺っておきますけれども、こういう軍事郵便局を平時の際に置くということは絶対的なものだと思いますか、他に方法がありはしませんか。
  82. 板野学

    政府委員板野学君) 軍人あるいは軍隊がその必要に応じてこういう施設を置くわけでございまするので、その軍隊が必要とする、こういう意味におきましては、まあある意味ではこれは非常に必要なことだと、まあ絶対とか何とかということにつきましては、私ども言葉はいろいろの意味のとり方があると思いますけれども、必要であるというふうに考えておる次第でございます。
  83. 森中守義

    森中守義君 これは作った以上必要だと言わざるを得ないんでしょうが、郵政省の膨大な、しかも緻密な組織をもって、おそらくあなたの米軍あるいは外務省との話し合いの中には、駐留軍はへんぴなところにおるかもわからぬ、そういうようなところまで持っていくのは大へんだからと、こういう理屈も一つありましょうけれども、わが国の郵政事業考えた場合に、どういうところにでも郵便の網はあるんです。また自衛隊の中にも郵便は入っておるじゃないですか、同じ軍用基地ですよ。日本の自衛隊もアメリカの軍隊も同じ性質のものです。日本の自衛隊の中に入っていてアメリカの軍隊の中に持っていけないという法はないじゃないですか、その辺が絶対的に必要なものかどうかという一つの事実問題を基礎にして一度考えてみていただきたい、どう思いますか。
  84. 板野学

    政府委員板野学君) アメリカの軍事郵便局間に郵便物が交換される、こういう必要性につきましては、アメリカは軍の性質としてこれは必要だというふうに考えられるわけでございますが、日本側とこの軍事郵便局との間にいわゆる郵便物の交換ということになりまするというと、先ほど申し上げましたように、やはりその施設内に立ち入ることができるかどうかということにつきましては、相当これは向こうの権限でもございますので問題があると思います。現在でも、ただ向こうの軍事郵便局に郵便物を持っていくというだけでございまして、別にその中に入りまして配達するということはできない状況になっておる次第でございます。
  85. 森中守義

    森中守義君 結局、絶対的なものかどうかということは多少意見が違うかわかりませんが、もっと角度を変えていうならば、明らかにアメリカの軍隊のために日本の主権が侵されている。しかも侵されているということはですね、長い国際慣習でもなければ慣行でもない、戦後におけるNATO関係諸国との間にアメリカがとっている措置であるし、日米安保条約の関係でとっておる特殊なケースなんです。しかも、わが国の郵政事業を預かっておる皆さんからするならば、こういう侵されている権利というものをこのまま放棄していいのかどうか、もう少し具体的に検討する必要はないんですか。私はこの法律ができたときは、昨年安保の問題で国会が混乱した後のことですから、この法律に対しては私は責任を持っていない、持ってはいないが、少なくともさっき申し上げましたように、不平等な条約を平等条約に変えるというのがわが国の方針であったはず。私は今日の郵政事業がそういうように貧困な事業であるとは思っておりません。アメリカの軍隊独得の軍事郵便局を作らなくても、日本郵政省がやったらいいじゃないですか。多少意見になりますが、もう一回、さっきお尋ねしたところですけれども、答弁がはっきりしませんから、この改定の申し入れをされたのかどうか、その辺もう少し克明に答えていただきたいと思います。
  86. 板野学

    政府委員板野学君) この改定につきましては何ら申し入れをしておりません。この件につきましては、今の日米安全保障条約のその締結に基づきまして必然的にこういう施設が必要になってくるというふうに考えておる次第でございます。
  87. 森中守義

    森中守義君 大臣、ほかに用があるそうですからどうぞおいで下さい。  それから、このことばかりに時間をとれませんが、万国郵便条約には触れませんか、軍事郵便局は。
  88. 板野学

    政府委員板野学君) 万国郵便条約には別にそういう軍事郵便局という名のつくものをおくというような規定はございません。
  89. 森中守義

    森中守義君 なるほど万国郵便条約の中にはそういうところはありません。ないということは予定していないということなんです。そういうことはあり得ないというふうな解釈だと私は思う。その辺どう思いますか。
  90. 板野学

    政府委員板野学君) 万国郵便条約につきましては、どういう郵便局、どういう名前の郵便局をおくかというような規定はなくて、郵便の取り扱いにつきまして、どういう方法でどういう料金でどういう工合にやるか、交換をするかということが規定をされておるわけでございます。
  91. 森中守義

    森中守義君 あのね、もう少し的確に答えて下さい。私が聞いているのは、万国郵便条約は軍事郵便局を予定していないから規定を持っていない。しかし予定するならば、国際間の問題だから重要な問題として規定が作られておらなければならぬのです。だから万国郵便条約の精神というものは、国際間における、しかも平時における軍事郵便局というものはあり得ない、そういうことはないんだ、しないんだ、こういうことが万国郵便条約の精神なんです。この条約の中に、捕虜に対しては郵便物は無料で扱う、そういう国際間の取りきめがちゃんと条約の中にある。であるのに、軍事郵便局の設置をどこにも文言として規定されていないということは、平時中においては国際間の中に軍事郵便局というものは存在しないという解釈をしなければいけない、私はそう思う。従って万国郵便条約のどの条項にもないから、それでやっていいんだということは、少しこれは万国郵便条約をこゆる解釈だ、私はそう思う。局長どう思いますか。
  92. 板野学

    政府委員板野学君) おっしゃいました通り、これは何もこの万国郵便条約の中で軍事郵便局をおくとか、おかぬとかいうことは何らの規定はございませんけれども、万国郵便条約の規定の範囲内におきまして各国郵政庁間の特別なるいわゆる取りきめによって、そういう措置ができるということになっておる次第でございまして、先ほどの第八条に基づきまして、アメリカ郵政庁との間の特別な取りきめにおいて、こういう方法が認められておる次第でございます。
  93. 森中守義

    森中守義君 それじゃもう一つ聞きますが、料金の問題はどうなんですか。私が対比してずっと調べてみましたのは、軍事郵便局の料金と外国郵便規則料金はずいぶん違いますね。たとえば書状二十グラムまでは軍事郵便局の料金としては十円、外国郵便規則によれば三十円、それから往復はがきは軍事郵便局では十円、外国郵便規則では四十円、さらにまた業務用の書類は百グラムまで軍事郵便局は八円、それから外国郵便規則によれば二百グラムまで三十円、これがかりに二分の一としても十五円、こういう低料の扱いが軍事郵便局はできるのです。
  94. 板野学

    政府委員板野学君) 大体郵便の性質といたしましては、外国郵便に準じてやるということでございまするので、そういう性質を持つものでございまするので、本来からいえば、やはりお互いに外国郵便料金に基づいてやるということがまあ本則だと思いまするけれども、先ほど申し上げましたように、この郵便物を交換をいたします場合に、日本から出す場合は内国郵便料金によっておるというような次第でございまして、アメリカ側のこの軍事郵便局におきましても国内郵便料金によってやっておるということでございます。そういたしましても、先ほど申し上げましたように、通常郵便物につきましては、お互いにこの万国郵便条約に基づきまして決済をしないということでございますので、お互いに損はしない、腹は痛まないという関係になっておりまするけれども、小包につきましては、先ほど申し上げましたように、アメリカの軍事郵便局から日本国民あてに出されまする小包郵便料金の決済をいたしまして、その運送料等は日本側でこれを徴収しておるという関係に相なっておるわけでございます。
  95. 森中守義

    森中守義君 これは、さっきは外国郵便規則によってこういうような結果になったということは、料金も入ると私は思う。万国郵便条約を受けて外国郵便規則料金がきめてある以上、やはりこれは外国郵便規則によって料金をとるべきものじゃないのですか。軍事郵便局だからといってこんなに、安くしていいということはないでしょう。
  96. 板野学

    政府委員板野学君) この件につきましては、琉球との間の関係につきましても、通常郵便につきましては内国料金が適用されておるわけでございまして、万国郵便連合のこの条文の精神からいたしまして、各国間で料金をお互いにきめております。それから上回って取るということは、これは万国郵便条約の規定に反することでございまするけれども、それの範囲内において、両郵政庁間の取りきめによりまして安くきめるということは許されておる次第でございます。
  97. 森中守義

    森中守義君 この問題の結末は逓信委員会でまたお尋ねすることにしまして、ただ最終的に私が申し上げておきたいのは、要するに、安保条約の改定の趣旨というのは、不平等な条約だからこれを平等条約に直すというのが建前であったはずなんです。ところが、実際こういう格好になってみると、少なくとも国連の憲章によって主権は平等でなければならぬ。主権平等の原則が侵されているのですよ。料金は特別に安くしておる。あるいはまた利用する人も、合意議事録によれば、この地位協定、安保条約の六条で規定されていない人たちも利用しているじゃないですか。特権を与えられている者、その人たちも許すと、こういうことじゃないですか。そんなばかな話がありますか。少なくとも安保六条あるいは地位協定の二十一条、これに定められている以外の人に利用さしてなりませんよ。ところが合憲議事録とは何ですか。それによれば、特権を与えられた者も利用を認める。条約や地位協定というものを不当に拡大解釈をした人にも利用をさしておる。郵政省、それでいいと思いますか。だからここでやったことは正しいのだ、間違いないのだ、そういう答弁ばかりじゃ困る。いけないことはいけない、日本はアメリカに従属しておりませんよ、独立国ですよ。いわんや国際慣行にも、国際慣習としても、はたして慣習であるか、慣行であるかということは言えない、この種のものは疑問があります。よく外務省に行ってお聞きなさい。わずか十五年くらいの、しかも数少ない例を対象にとって、これが国際慣習である、これが国際慣行であるというには、何といっても歴史的に、沿革的に言い切れないいわば特権を与えている。そういうことに考えを及ぼしていただかないと、わが国の独立の体面、しかも国の大事な行政機関としての郵政省が、こういう不当きわまりない特別の措置を米軍に許す、アメリカに許すということは、郵政省の品位を私は傷つけるものだとこう思う。だから安保改定の際にどういう改定の申し入れをしたのか、それをさっきから聞いているのですが、ただ、もうきめてある、法律として作ったのだから修正の意思もなければ、質問者の意向が大よそわかっておりながらも、あなたの方では、むしろそれを抑えるような、もっと悪く言うならば、アメリカの側に立って、郵政省のこの問題に関する限り、問題の取り扱いをされようとしておると私は思う。その点について、この予算審議を通じて特に私は郵政省に反省を促すと同時に、いろいろ各方面の意見を聞いてごらんなさい。郵政省の措置が正しいとは……。万国郵便条約に予定をしていない条項をやるということは、これは明らかに万国郵便条約に触れるものだ、越えるものだ、こういう意見が強いと思う。こういうことを基礎にして、私はすみやかに条約の改定、地位協定の改定というものを郵政当局はおやりになるのが正当だ、それこそが郵政事業を正しく運営し、かつ発展をさしていく道であろう、こう思うのです。郵務局長どう思いますか。
  98. 板野学

    政府委員板野学君) 軍事郵便局の設置につきましては、先ほどから申し上げましたように、日米安全保障条約の条文、その精神に基づいてこれが置かれておる次第でございまして、単にこれは軍事郵便局ばかりじゃなく、あらゆるそういう施設がこの条約の範囲内において、そういう措置がとられておることと思います。また、そういうやり方につきましては万国郵便条約の特別の取りきめによりまして、そういう措置をいたしておるわけでございます。
  99. 武藤常介

    主査武藤常介君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  100. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記を始めて。  午前中はこの程度にいたしまして、午後一時から再開いたしたいと存じます。暫時休憩いたします。    午後零時十分休憩    ————・————    午後一時三十六分開会
  101. 武藤常介

    主査武藤常介君) 休憩前に引き続き、分科会を再開いたします。  御質疑がおありの方は順次御発言を願います。
  102. 羽生三七

    ○羽生三七君 私は郵政関係については全くのずぶのしろうとなので、的はずれの質問であったら一つお許しをいただきますが、郵政のみならず、実は国鉄運賃の問題について、私、昨年の予算分科会で、公共企業体のあり方についてお尋ねをし、それから先般池田総理にも、たとえば鉄道運賃を値上げする場合に、その公共性と独立採算制との基本問題を検討した上で運賃値上げ等の作業をしたらどうかということを尋ねたことがあります。それで、郵政事業は完全な国営事業で、その経費は主として利用者負担になっておるようでありますが、世界各国の例はよくわからぬけれども、国営事業というような場合に、ことごとくそれが経費支出が利用者負担ということでいいのかどうかということであります。それで国営事業ならば、たとえば料金の値上げの問題であるとか、あるいは新しい施設の改善、新設等の問題、これらすべての経費を含めて、ことごとく利用者負担に待たず、ときには国が支出をするということが国営事業としてあっていいんではないかという気がするのです。その根本問題がどうも理解できないのです。国営事業と銘打っていながら、ことごとく利用者負担であるという、この制度のあり方が、私には了解がなかなかしにくいので、しろうとの私にわかるように、その辺を御説明をいただきたい。これは単に郵政関係のみならず、特に国鉄運賃等の問題では、基本的な問題になるわけでありますが、これは別として、当面郵政事業について政府の見解を明白にしていただきたいと思います。
  103. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 郵政事業は、御説の通り国営の事業であるわけでありますが、よって立つ財政的基礎は、料金収入の上に立っておるわけでございます。従って、その料金収入の上に独立採算でやっていくのが最も健全な常道であろうと考えております。ただ、戦後におきまして、一時インフレーション高進の時期におきましては、一般会計より繰り入れた前例はあるわけでございます。これらは異常な事態における例外的事態でございまして、正常の経済状態のもとでは、独立採算制をもって建前とするものと考えておるわけでございます。
  104. 羽生三七

    ○羽生三七君 そういうことはわかるのですが、国営事業として明白な立場を持ちながら、なおかつ、純然たる独立採算制の立場をとるという場合、この同じ国営とは言いませんが、国鉄のような公共企業体の場合と、政府の財政投融資その他いろいろな面での政府支出おいて非常な差があるような気がするのですが、それはどういうことでありましょう。
  105. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) お答えになるかどうか、ちょっとわかりませんけれども、実は、郵政事業昭和九年ぐらいまでは、全部一般会計でこれはまかなっておりました。その場合には、これは郵便、電信電話全部含めてでございますけれども、収入支出差額が相当ございまして、一般会計歳入になってしまいまして、歳出歳出としてまたとらなければならないということのために、局舎計画その他が非常にうまく参りませんので、実は、昭和九年から特別会計を作りまして、戦後におきましては、電信電話と別れまして、郵政だけで特別会計を今実行いたしておるわけなんであります。それで、その場合にも、戦後のインフレ時期、それからその後におきましても、実は収支が償いませんので、昭和二十四年から二十六年まで、一時御承知のように、はがきを二円を四円にすることで予算を組みましたけれども、予算は通って法律案はだめになったことがございます。そのときに、二十四、二十五、六年の三年間は、一般会計から補給金をもらいました。ところが、現実は補給金をもらいますと、一般会計は苦しいものですから、全部一般会計の官庁の経費と同じ単価にされてしまう。それで、事業量に応じたところの運用がなかなかできないというようなことがございましたので、私たちとしましては、運用上から考えますと、やはり特別会計にいたしまして、そして一般会計の束縛を離れまして、相当弾力ある運用をしたいという運用上の気持でございます。  それから制度論から申しまして、必要なものについて特別会計の形はとっておるけれども、利用者負担に全面的にしないで、一部は国庫が補助したらいいじゃないかという議論は、確かにある議論だと思います。それから内部にもそういう議論はたびたびございます。たまたま、ことしの値上げを考えてみますると、策三種郵便物、これは、大体今原価といたしまして七円ぐらいかかるのを一円でやっております。全体的に、第三種だけで三十億ぐらいの赤字を出しております。それからその次に小包でございますが、これも三十億ぐらいの赤字を出しております。それから例の問題のダイレクト・メールというものがございますが、そういうものも赤字を出しておりますが、第三種につきましては、今までもいろいろ長年の経緯もありまして、これを一挙に独立採算に持っていくわけには当然参りません。今度も従って七円かかりますのに、二円程度押えねばならないということになっているわけでございますが、そのほかのダイレクト・メール関係、それから小包等につきましては、これはほんとうの国がやるべき——そういう区別があるかどうか存じませんが、いわゆる手紙であるとかはがきであるとかいうのと違いますものに非常に赤字があるものですからそこはとにかく本質論を別としましても、この分だけは少なくとも利用者負担にお願いしなければならぬのじゃないかということで、今度取り上げましたのは、第一種とそれから特殊関係、小包関係、やはりみずから利用者にお願いするに一番ふさわしいものではないかというような取り上げ方をいたしたわけでございます。
  106. 羽生三七

    ○羽生三七君 たとえばイギリスあたりで重要産業の国営国管等を取り上げる場合には、それが国家的公共性があるから一般会計から、あるいは特別会計でもいいのですが、とにかく政府支出をある程度伴うことを中心として多くの論争を巻き起こしていると思います。ところが、日本は国営事業でありながら、全部独立採算制ということは、どうも私はふに落ちない。これはしろうと考えで、どうもよく事情を知らぬせいかもしれないけれども、どうもその辺がわからないのでありますが、これはこれ以上私は言いませんが、一つの問題点だろうと私は思います。  それから続いてもう一つ、これもしろうとでよくわからぬから、その点はお含みをいただきたいと思いますが、たとえば郵便事業というようなものには、たとえばオートメーションとか近代化については限界があると思います。作業なんかはある程度の近代化ができても、配達なんかもちろん依然として片通りのやり方をとっているわけです。その場合に経費の、たとえば職員の賃金ベース・アップ、そういうようなもの等で経費の増を招く場合、そういう場合と、今申し上げたこの種事業の近代化なり合理化等を通じて吸収し得る何といいますか、生産性の向上といってはおかしいのですが、これに生産性を使うのは変ですけれども、そういう面の合理化と、それから今のそんなことは全然できない、合理化なんかには関係のない占い依然とした昔からの形態、そういう場合と両者勘案した場合、近代化によってどの程度の、それで職員増員なりあるいは給料のアップなり、そういうものとの関係は一体どうなるのか、他の産業ではベース・アップがあっても、産業の近代化、合理化で吸収させるわけですね。これはあり得るけれども、できない産業もありますが、オートメーション、近代化の産業ではほとんどそうだろうと思います。しかし、郵政事業ではそれが非常に困難だろうと思います。そこのところの関係は一体どうなるのか。これも私はよくわから心いので、その間の事情を一つ説明をいただきたいと思います。
  107. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 実は、郵便料金昭和二十六年に上げましてから今日まで十年間は御承知の通り定期昇給等とあわせまして、ある程度増員もいたしまして、人件費は、時によって違いますけれども、平均いたしますと八%ぐらい上がってきたわけです。それに対しましては、郵便の大体自然増収というものがやはり八%ぐらい、こざいましたものですから、一応十年間に一銭の値上げもしなくてもまかなってきた。ところが、一昨年ぐらいから郵便の種別に非常な変更が出て参りまして、手紙、はがきという今まで益を出しておりましたものはあまり伸び方がないにもかかわらず、ダイレクト・メールの第五種でありますとか、小包等が非常にふえて参りました。そのために、郵便物は全体的にふえておりますが、収入の形としましては鈍化の傾向になってきたわけです。そこでこの際どうするかということになって参ったわけでありますが、少なくとも今までは、この十年間というものは自然増でまかなってきた。ところが一方そういうふうに物数の利用状況が非常に変わって参りましたために採算が少し割れたという実情でございます。  それから近代化と経費関係につきましては、先生お話の通り、配達の面等におきましてはなかなか近代化できない。むしろ物数がふえる割合に苦労度が非常に加わってきている。たとえば高層建築等の関係で。そこで機械化の問題につきましては、今年も相当力を入れましてやっておりますけれども、やはり集配関係でありますとか、施設関係増員が相当要るところをできるだけ機械化していくというような方途は講じておりますが、その分が一体幾らになるかということになって参りますと、非常に算出がむずかしいのでございますが、毎年ある程度機械化することによりまして、増員の範囲に数百人の減員を立てていく。それは物数が多くなりますと、自転車のかわりに自動車を使うとかいうことをすることによって人は減らしていくということをやっております。ぴしゃりとその分がどれだけ変わっていくということは、近代化計算と違いまして、なかなかそれができていない。当然しなければならないのでありますが、今のところはっきりお答えするだけの数字は持っていないのでございます。
  108. 羽生三七

    ○羽生三七君 私のお尋ねしたい一番の主要な眼目は、先ほどの国営事業のあり方とも関連するのですが、今の問題についてみても、この郵政事業については一応の近代化、合理化については限界があると思うのです。しかも利用者の数はふえる。それから何と言いますか、一人々々の利用者の取扱い度もまたふえるわけですね。総体として郵政省が取り扱う分量というものはふえるわけです。しかも近代化、合理化はなかなかできない。そのしわ寄せを利用者に負担させたり、あるいは従業員の過重労働に求めるということは、私は適正でないから、本来国営事業でやるというなら、その点についてもっと十分なる考慮を払うべきではないか。これが私のお尋ねしたい眼目なんです。私の質問はこれで終ります。この一点だけ一つ答弁をいただきたい。
  109. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 全般的な議論としては、そういう議論も確かに尊重すべき議論だと思いますけれども、ただいま申し上げましたように、今度問題にいたします点は、特に値上げをしたい問題としては、小包の問題であるとか第三種でありますとか、特別なものですから、これはどうも一般の税金をもってまかなう性格じゃなかろう。特に小包等につきましては、国鉄の運賃といつも均衡をとっておりますので、四、五年前に国鉄が上がって、こっちが上がってないということで、この分を上げませんと、いつまでたっても不均衡が是正できないのじゃないか。それから第五種につきましては、デパート等の問題でございますので、税金をもってまかなうべきものではなかろうということで、今回に関しましては、何らあまり議論なく、今度の値上げだけは一種二種とも触れておりませんので、全部利用者負担でいくべきじゃなかろうか。こういう立場で出しておるわけでございます。
  110. 羽生三七

    ○羽生三七君 問題を明白にしておきたいと思いますが、これは答弁は要らないのですが、一般的原則について私は言ったので、今回提案されているものを中心にして、これに対して行なった論議ではありませんから、一般的に言って、郵政事業のあり方としてこうあるべきだということを申し上げたのでありますから、念のためつけ加えておきます。
  111. 森中守義

    森中守義君 そこで、今羽生先生の御意見の援用ですけれども、今回の料金改訂に対する審議会答申の中に、細野という委員意見書を出しているのですね。これがこれに当たると思うのです。これは念のために速記録に残しておく必要があるかと思いますので、ちょっと読んでみますが、「公正合理料金原則確立の要」、こういうことが言われている。   わが国の公益事業立法では、最近  におけるガス事業、電気事業の2業  種を除き、料金決定原則の確立がな  く、料金改訂の都度沿革料金の手直  しというび縫的取扱いに終始し、そ  の都度世論の反対と各種利益代表的  ロビイングに煩わされ、紛乱を重ね  ること多く、結局政治的価格(合理  性を見失った妥協)に陥るのが例で  ある。  こういう指摘をされております。加えて、   現行郵便法にも、料金決定原則は  盛られておらず、僅かに第一条目的  のうちに「なるべく安い料金で」とい  うことの表明があるのみである。今  回の改正には間に合うとは思わない  が、理想論としては、郵便法は料金  については、その決定原則(方法)を  規定すべきで、各個料金の改訂は、  この法律によって定めた原則に基づ  いて専門的第三者的公正審定機関  (独立規制委員会)が公聴会手続を経  て審定すべきものである。料金その  ものを法定することは選挙の利害に  左右される議会に向いた任務ではな  い。(米国の各種独立規制委員会の  例)   仮りに一歩を譲って、料金を決定  するとしても、その決定原則を法定  し、これに準拠して決定すべきもの  である。  こういうことが今回の答申委員意見として付されておるわけです。これは、私は将来の郵政事業の展望に立ってみた場合に、きわめて時宜を得た指摘だろうと思うのです。今回の答申をお受けになった郵政省では、この種のことをどういうように具体化していくのか。またこの意見に対してどういう御意見をお持ちか。まさに指摘の通りであります。沿革料金をただ手直ししたにすぎない。しかも、午前中私が申し上げた年賀はがきの問題にしましても、あるいは三種の場合にしましても、沿革料金の手直し、もっと俗っぽく言うならば、政治的妥協と言いますか、あるいは政策料金、そういうことが言えるのじゃないかと思うのです。従って、こういったように、あくまでも原則の確立がなければどうしても今後長い将来におい事業収入が困難だ、支出がふえてくる、さて財源をどこに求めるかというような場合に、たえず紛乱というものが繰り返されていくと思うのです。こういうことが通信政策の最も重要な根幹として規定されていいんじゃないかとこう思うのですけれども、政務次官どうですか。
  112. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 郵政審議会における細野委員意見書は、きわめて傾聴すべき問題を含んでおると思います。しかし、今回の料金の改正につきましては、御案内の通り郵政審議会答申がございまして、審議会としては一定の方針、三項目ですか、掲げておるわけでございますが、その線に沿って答申をしたのでございます。基本的には、ただいまお話がありましたような点につきましても、今後の問題としては十分留意しなければならぬと考えております。
  113. 森中守義

    森中守義君 これは単に今後の課題として留意するということでは、ちょっと私はまずいと思うのですよ。この種の意見は、単に細野委員意見だけではないんです。もとより郵政省通信料金だけではない。その他全般の公共料金に影響することですが、財源の枯渇を生じたので料金改訂をやろう、反対運動が起こる、こういうととでどこかに妥協点を見出だしていく。長年わが国の公共料金というものは、こういう道を踏んできております。そこでここに言われているのは、一つの原則を作らなくちゃだめなんだ、こういうことなんです。だからこの原則が明確に確立されておるならば、世論に気がねをするとか、あるいは政治的に配慮を加えることなく、ほんとう事業を中心にして料金の改訂ができるんじゃないかというようなことを考えるならば、早急に一つこういうことは具体的な問題としてお考えにならないと、先刻羽生先生から言われたように、不当に利用者に負担もかけられない、それかといって財政は窮迫をしてくる、そうなると従業員の犠牲の上に立って経営を続けていくか、いずれかの道をとらなければならない。今日のように独立採算という制度、特別会計という制度が存続する限りにおいては、こういうことをいつまでも繰り返していかなければならないということが考えられますから、こういう機会に、今回は今回として、長い郵政事業の将来を展望するならば、当然ここに指摘してあるように、いわゆる公正合理料金原則の確立というものは具体的に私は検討されてしかるべきであろう、こういうように思います。そこで、今回この料金を改訂するということに踏み切られたときに、この種の意見というものはどういうように反映されておりますか。また将来にわたってこの必要をお認めになりますかどうか。むしろこれは郵政大臣、あるいは政務次官としては通信政策という観点から一つの結論を私はお持ちになるのが当然だと思う。もう一回重ねてお尋ねします。
  114. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 公共料金を確立する原則につきましては、これはただに郵便料金のみならず、政府一般公共料金について、お説のような線に沿いまして十分検討すべきものだろうと考えております。今回の郵便料金の問題につきましては、郵政審議会答申の線によりまして作案をいたしたものでございますので、この間の審議過程の問題につきましては郵務局長から説明をいたします。
  115. 板野学

    政府委員板野学君) 公共料金の今後のあり方という問題につきましては、政務次官が御答弁になりましたように、今後十分に検討していくべきものだと思います。そこで審議会におきましても、そのようないわゆる長期にわたる安定した料金考えなきゃいかぬ。ただし従来のような、いわゆる低料な政策料金というようなものも、今にわかにこれを変えていくということもいろいろ問題もあろうから、なるべくならば、いわゆる低料金につきましても、原則としては直接費をまかなう限度において考慮したらどうか、こういうような答申がございまして、特に第三種につきましては、原価と実際の料金との幅が相当ございますので、私どもといたしましては、その点につきまして、せめて直接原価をまかなう限度においてというようなこともいろいろ考えた次第でございまするが、何分御承知のように新聞等の料金につきましては、新聞社のいわゆる収入とか支出に直接関係があるというよりも、むしろ農村に配達になりまする新聞料金につきましては、都会と異りまして郵送料というものは別に取られております。いわゆるその利用者が直接に郵便料を払うということになっておりますので、にわかにこの料金を二倍、三倍と、いわゆる直接費をまかなう限度にいたしますれば、相当農村地帯の利用者にも影響があるというようなこと、もう一つは非常に料金も三種等につきましては安いのでございまするけれども、三倍、四倍というような倍率はいかがなものであろうかというような点を考慮いたしまして、そうして二円ということにきめた次第でございまするが、先生のおっしゃいますように、将来の問題といたしまして、十分そういうような料金のあり方につきまして検討をいたしたいというふうに考えておる次第であります。
  116. 森中守義

    森中守義君 細野さんの御意見はさらに発展しまして、こういうことを言われております。「必要なる料金収入(総括原価)の決定」、そうして「その総括原価を各種サービスに配賦することによる各個料金の決定」、ここまで発展した御意見なんですね。それで私どもももちろん郵便料金は十年目の審議ですから、そう毎年というわけでもありませんけれども、やはり当局が一種については収入がこれだけ、二種についてはこれだけ、支出はこれだけということで、個々別々に予算内容を見ればなるほど肯定できないこともない。しかし公共料金ということを考えた場合には、やはり原則はあくまでも、ここに指摘をされているように、総括原価の決定をして、それをサービスという面に乗せて配賦をする、こういうことですからね。実に私は当を得た見解であると思うのです。だから、今回この料金内容を見ますと、全くこういうことはお考えになっていない。しかも料金改訂をされた初年度あるいは二年度までくらい現状の維持ができるかもしれない。これもあといろいろ承りたいと思っておりますが、また数年たてば同様なことが繰り返されてくるのです。してみるならば、やはりこういうことが料金を改訂するにあたって郵政の会計制度はどうなければならぬのか、あるいは料金の改訂というものはどういう原則に従うべきかというようなことが議論をされて当然であろう、私はこう思う。のみならず、今の会計制度を変えようというお考え郵政省の方にはない。そうなれば施設の拡充をはからねばならぬ。あるいは国民生活の水準がずっと上がっていけば、それに対応する職員の処遇の改善も必要になってくる。金はどうするのですか。だから、もしこれが採用されないというならば、やはり今日の会計制度そのものについて改革を行なう必要があるのじゃないですか。補給金制度を作るとか何かの方法を講じなければ一体郵政事業の将来はどうなるのか。この辺が私は個々の内容に入る前に一つの原則的な問題としてもう少し明確に郵政省にしてもらいたい、そう思います。  まず第一点は、会計制度はこのままでいいとお考えになっているかどうか、しないならば、この種の措置はとる必要がありはしないか、その辺の事情を少し聞かして下さい。
  117. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 会計制度としましては官庁会計があります限り、一般会計をとるか、特別会計をとるかということだけでありまして、原則としましては、私どもはあくまで特別会計をやって参りたい。一部特別会計をとりながら、ものによっては補給金をもらったらどうかという意見も出てくると思います。しかしそれについては過去の経験、それから実際の国家財政の現状から見まして、なかなかその金が入って参りません。むしろ今までの運営ケースで現われるという形が多いものですから、私たちとしましては、事情が許す限りこの特別会計でいきたいというふうに思っております。しからば、いつでも必要な支出に対応するだけの経費を確保するために、今のお読みになりました論文との関係はどうなるかということでありますが、私どもといたしましては、その論文につきましては非常に関心を持ち、実はこの草案になります前には、ある程度のそれに近い試みをいたしたわけでございます。ただ第三種につきましては、何分にも七円かかるところを一円しか取っておりませんので、絶対にこれを原価式にするわけにいきませんし、それからまた農村僻地等における負担の問題もありまして、実は少なくとも直接費だけはカバーするようにしたい。また非常に卑俗な言い方をすると、七円の中で一円でありますと六円赤字になっておるから、少なくとも半分は負担していただこうじゃないかというようなことで、四円にするという案を考えたこともございます。しかし、これは結果的にそういうことにならなかったわけであります。第五種でありますとか、小包等につきましては、現在赤字になっております部分につきまして、特に小包等は完全な原価式に基づいて今度の料金を決定したということになっております。ただ第三種等は赤がありますために、ほかの事業原価以上の上げ方をしてカバーせざるを得なかったというふうなことで、たくさんの種目がある中で一、二しか原価通りにやっていないということで、お答えにならぬかもしれませんけれども、一挙にできなくても、逐次そういうことで今後の改正のときには努力していかなければならぬのじゃないか、こういうふうに考えておる次第であります。
  118. 森中守義

    森中守義君 これだけにこだわっていますと時間がたってしまいますから、もう一つ重要なことですから念を押しておきたいと思いますが、先般来今回の料金改訂は向後おおむね五年間は持続できる。従ってその答弁の限りにおいてはこれから五年目、すなわち四十年にもう一回私どもは国会においては料金改討の審議の機会がある。五年目にしかこないということです。しかし、ことし、来年、再来年というように、漸次年をふるに従って郵政財政の状態は変貌を来たしてくると思う。従って今から五年間という期間があるから、のんびりかまえていいということではなくして、のみならず細野委員の指摘されておるように、電気事業あるいはガス事業はすでに先例を持っております。こういうことを言われておるわけです。何も郵政省だけが冒険を冒そう、あるいはこの意見に従おう、こういうことではない。先例がありますから、従って郵政省もむしろこれは事業経営の根幹ともいうべき重要な私は課題だと思う。従って将来とおっしゃるから、あしたからという意味であるか、あるいは来年からという意味かよくわかりませんけれども、これは一つ郵政の今日の会計制度に変革を来たさない限り早急に手をつけるべき問題だということで、この種の意見を基礎にして何かこうまとまったような措置をおとりになるお考えはありませんか。
  119. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 今後五年間くらい料金で持つだろうというお話があったように聞いておりますが、昨日仲裁裁定の提示がございまして、公労法適用職員に対して一〇%ベース・アップになったわけでございます。まあこういう大幅なベース・アップが年々あるとは思いませんけれども、われわれの方は従前ベース・アップというものを全く予期しなかったわけではございません。少なくも昭和三十六年度におきましては、相当大幅なベース・アップであったわけでございます。今後起こり得るベース・アップ等を考慮いたしまするといたしますならば、来たるべき新賃金をもって今後五年間やっていけるかどうかということについては、ここに再検討を要するというふうに感じておるわけでございます。もちろん、これは数字を詰めての計算であるわけではありません。大ざっぱな私の頭の中での描いた試算でございます。そうなりますれば、その五年はあるいは三年程度になるのではないかということも考えられるわけでございます。そういたしますとするならば、今後の料金決定の問題等におきまして、この五年先の問題ではございません。もっと近い時期の問題だと思います。従って料金決定の原則と郵政の会計制度というような問題について、十分われわれも再検討しなければならないのではないかというような気持でございます。従って今お話がありましたような事柄につきましては、単に話をお伺いしておくというだけでなく、真剣に今お話のございましたような点につきまして、私どもも、私どもの立場から検討しなければならない、かように考えておる次第でございます。
  120. 森中守義

    森中守義君 まあ今の人件費、——仲裁裁定の問題は多少意見も持っておりますから、後に譲るとしまして、これは大臣御不在ですが、一つ政務次官の方で大臣とも相談をされて、ぜひ料金確立の原則を早急に一つ検討いただきたいと思う。  それから次にお尋ねいたしますが、会計制度に変更をきたす改革を加えないということであれば、在来しばしば問題になって参りました例の保険貯金の運用権ですね、こういうことがやはり吟味されてこないと完全な独立採算、完全なる特別会計の制度というものは私はその妙を発揮し得ないのではないか、こう思うのです。郵便収入に頼り、あるいは今日の貯金保険事業の辛うじていわゆるとんとん経営の域を脱しない状態では、やはり料金の改訂ということは実際問題として起ってくる。それでは利用者の負担というものは際限なく続くということです。今日の会計制度に変革を来たさないならば、貯金保険の運用権を完全に郵政省で掌握をする、こういうことがとりあえず検討されなければならない問題だと思うのですが、いかがでございましょうか。
  121. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 郵政省の立場といたしましては、これは政府全体としてそうなのかどうか。郵政省の立場といたしましては、ただいま森中委員が言われるような点につきましては同感でございます。
  122. 森中守義

    森中守義君 保険局長はおられますね。私もあまり詳しく知らないのですが、第二次世界大戦のおり、国家資金の統一的運用をはかるということで、たしか昭和十八年ごろに大蔵省が保険の運用権を掌握をした。終戦と同時に復元をしようということで運動が展開をされたようです。従ってこの保険に関する限り、すべての運用権というものは昭和十八年までは郵政省が持っておった。それを今申し上げたような戦時中における国家資金の統一的な運用ということで大蔵省に移管をされた歴史があるように聞いておりますが、こういう私の考えに間違いありませんか。
  123. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 年度は今はっきり記憶しておりませんが、大体先生のおっしゃった通り間違いがございませんと思います。
  124. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、運用権の沿革の中に、間違いなく郵政省が完全に掌握をした時代があったし、しかもそれは相当長く続いている。それを戦時中国家資金の統一ということで大蔵省に移管をされて今日に至っておるようですが、もともとこれは筋道から言うならば、郵政省のものでしょう。いわんや特別会計、独立採算というものがすべて利用者からの収入によってまかなわれておるとするならば、保険貯金事業によって生み出されたその資金というものは、当然郵政省に掌握をさるべきものであろう。もちろん、その答えは、当局の見解は郵政省で持ちたい、こういうことのようですが、これは単に抽象論ではなくて、特別会計、独立採算を今後継続していくならば、差し迫った問題だと私は思うのです。従って単なる見解であるとか、あるいは希望的な観測とか、そういうことではなくて、もっと具体的な事実問題として、郵政省保険貯金の運用権が帰ってくるようなことが、会計制度の今日の現状、将来の展望の中から生まれてくると思うのです。こういうようにものを見てくるならば、今政務次官は、郵政省としてはこう考えておるということではなくして具体的にそういう活動は起こせないものですか。
  125. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 保険あるいは貯金の特別会計という問題に限らず、たとえば貯金の場合について見ますと、各種の金融機関が相当発達いたして参りまして、郵便貯金国民貯蓄の中に占める地位というものは、かつてとは相当変貌をしておるわけであります。また簡易保険につきましても、民間保険との関係おいて、少なくも戦前との比較をすることは、いろいろの面で困難な事情にあると思います。といたしますならば、貯金及び保険の問題は、単にその会計制度のみにとどまらず、郵政省として今後郵便貯金というものをどういうふうにしていくべきであるか、あるいは簡易保険というものをどういうふうに改善していくべきであるか。従来の仕事の惰性ではなくして、ここにあらためて考え直さなければならない段階に今日達しておるというふうに、むしろ私どもは考えておるわけでございます。そういう点から、それらの制度につきまして、十分再検討をしたいと思っております。しかし、長い歴史を持っておる仕事でございまして、また、かつ郵政省の中には解決をしなければならない問題がたくさん累積をいたしております。森中委員が言われるがごときスピードをもって進み得るやいなや、また当面郵政省の責任者の一人といたしまして、各種の問題に手はつけておりますが、私どもどうもここにおります間に十分なるめどをつけ得るやいなやについては、率直に言って苦衷を感じているわけでございます。問題は根本的に考え直さなければならない段階に来ておるというか、すでに来ておるといった方が正確な表現ではないかとさえ考えておる次第でございます。
  126. 森中守義

    森中守義君 政務次官、もう少し質問の要点をつかんでもらわないと時間がかかるだけですよ。私は今日の保険事業、あるいは貯金事業に何がしかの改訂を加える必要があるのではないか。こういったことを聞いてはいない。むしろ私は今日の貯金事業保険事業といえども、大へん皆さんの御苦労によって経営をされておるわけですから、よりよい方向に持っていく必要はこれはありましょう。しかし今問題にしているのは運用権の問題です。それをただ郵政省としてはこう考える、こういう希望を持つということではなくて、今日の独立採算、特別会計という制度に何ら変更を加えないとするならば、必ず行き詰まってくる。そういう累積が今日の料金の改訂ということであり、しかも五年間という一つ郵政省考えというものは、今政務次官の答弁から言うならば、三年に縮めなければならない、こういうようなお話なのですね。だから、そういったようにしわが逐次利用者負担ということで寄ってくるならば、のみならず会計制度に改革を加えないならば、保険貯金の運用権というものは郵政省に帰ってくるべきであろう。ことに保険の場合は昭和十八年までは郵政省が完全に運用していたわけだから、それを戦時中における国家賃金の統一、一元化ということで持っていかれた。で、郵政省に取り戻したらどうなのだと、こう聞いているのですよ。だからあまり答弁がピントをはずしてもらうと、時間ばかりかかって、電電公社も午前中からお待ちいただいておりますから、迷惑をかけますよ。その辺もう少し正確に、希望とか考えじゃなくて、少なくとも私の質問に肯定をされたわけですから、肯定される以上は、具体的に行動を起こさなければいけない。その点一つ政務次官から答えてもらいたい。  さらにもう一つ経理局長に伺いますが、今の郵便保険貯金現状収入だけでなくて、保険貯金運用権が郵政省に帰ってきた場合に、どのくらい郵政の財政というものは変わってきますか。それも一つ一緒に政務次官あるいは経理局長からお答えいただきたい。
  127. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 保険貯金の運用の問題につきましては、先ほど郵政省としては——という意見を申し上げたわけでございます。もっとも保険の方は限定されておりますが、ある程度の運用権はあるわけでありますが、決して十分ではございません、そういう意味でございます。先ほど私が間口を広げてお話を申し上げたようでございますが、運用権自体の問題に触れますと、相当郵便貯金、簡易保険の根本問題も一緒に考えなければならぬということと、少なくもその大きな問題の一翼として運用権の問題も考えなければならないのではないかということを申し上げたわけでございます。それでは話の間口が広くなりますから、運用権の問題につきましては、先ほど申し上げた通りであります。なお、もし運用権が実際戻って参りました場合、どういう程度に郵政会計に反映して参るかは、経理局長から答弁させていただきます。
  128. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 御承知のように、郵便貯金特別会計あるいはまた簡易保険特別会計には、そのおのおのの歳出としまして支払い利子でありますとか、還付金とかありますが、直接郵政事業を運営するための経費をおのおの会計から入れているわけであります。その面からしますと、郵政事業のいわゆる日常の運用をいたします点では、予算的には貯金からも十分もらい、それから保険からも十分もらっておる、今の現状はそういうことになっているわけです。ただ結果的には、御承知のように弾力条項発動でありますとか、いろいろ公務員並みのボーナスを支給するとかということのために、貯金の場合には、結果的には少し歳入不足だという形になっております。今後運用がどうなるかということにつきましては、貯金局長あるいは保険局長からお答え願いたいと思いますけれども、今の段階におきましては、貯金資金運用部で運用され、保険郵政省で大部分運用されておるわけでございますけれども、郵政会計への繰り入れ原資につきましては、予算的には今のところ必要なだけもらっておるという形でございます。
  129. 西村尚治

    政府委員(西村尚治君) 運用権の問題でございますが、先ほど政務次官からもちょっとお答え申し上げましたように、保険事業といたしましては、運用権は実は郵政省にあるわけでございます。簡保の資金を郵政大臣が管理し、運用するということが法規にも明記してございます。あるのでございますが、ただその運用範囲というものが、国家資金であるという建前のために非常な制約を受けておる。そのために十分簡保の利回りの向上をはかることができないということになっているわけであります。この点につきましては、別途逓信委員会の方に運用法の改正法案の審議をお願いしておるわけでございますが、ですから、この運用権が帰ってきたらということでなくて、むしろ戦前のように郵政省が独自の立場で積立金の運用が可能であったなら幾ら増収がはかれるというふうに先生の質問を置きかえて考えてみますと、これは実はまだそこまで試算してみたことはございませんのですが、目下この運用法の改正案として逓信委員会の方に御審議をお願いしておりますあの法案が通りますれば、三十六年度におきまして約十七億の積立金の運用収入の増収がはかり得る、約十七億というものを三十六年度おいて期待しております。これから十年後の年度におきましては、これが四十八億程度計算いたしまして、十年間でたしか三百億程度に近い増収をはかり得るのじゃないかというふうに一応計算はしておるわけでございます。ただそれ以上に戦前のように株式からあるいは社債なども広く持ち得るようになりますれば、幾らになるかという計算は実はまだ立てておらないのでございます。
  130. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) ただいま保険局長から答弁がございましたように、運用権といいますか、たとえ運用権が戻って参りましても、現在のような財政投融資制度というものが行なわれまして、形式的には運用権があっても、国の必要とする部面に低利の金を融通する政府資金としてその規制を受けるということになりますと、結果としてはほとんど同じということになるわけでございまして、現在の状態からいいますと、なかなか財政投融資の制度をやめるということはむずかしいんじゃないか、従ってそれだとすれば、形式的に運用権が戻ってきても運用利回りとしてはほとんど同じになるのじゃないかというふうに考えるわけでございます。
  131. 森中守義

    森中守義君 それで結局政務次官に、これは要望になりますけれども、その会計制度を変えないということであれば、これはやはり貯金保険の運用ということは、今両局長から御意見を聞きましたけれども、試算をしたことはないと言われるけれども、少なくとも今日の郵政の財政は大いなるプラスになるということだけは間違いないと私は思うんです。従って先刻の問題と同様に、先刻政務次官は郵政省としての希望もお持ちだということですから、ぜひ一つ具体的に実行に移るように大臣とも御協議をいただきたい、こういうように要望をいたしまして次に入りますが、今回の料金の改訂ということは何が一番原因ですか。財源の困窮なのか、あるいは施設の拡充増強をはかるということであるのか、一体何を理由として料金の改訂をされたのですか。
  132. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 結局この数年来の事業量の増加に伴いまして、人的、物的施設を相当改善しなければならぬ、ことにこの一年来の大都会における遅配を解消するためには、何としましても財源を少し豊かにいたしまして、人的物的施設の拡充をはからなくちゃならぬのではないかということが主たる眼目でございまして、先ほど御説明申し上げましたように、今まではある程度の自然増収というものが期待できましたので、十分まかなえたつもりでありますけれども、この二年ほど前から収支の状況が少し悪化いたしました。しかも郵便の一番混乱を来たすような大型の小包であるとか、第五種の郵便物が多くなりましたために、施設等においても、局舎等についても相当問題が起きてきたということもありますので、そういう点を一挙に解決したいというのが第一のねらいでございます。同時にまた、この案を作りましたころ一般公務員のベース・アップの問題がございましたので、幾らになるのか非常に策定が困難でございましたけれども、何らかの備えをしなければならぬ、三十五年度におきまして四%の仲裁裁定がありましたときに、郵政省だけが補正予算を組まざるを得なかったというような窮況でございましたので、あわせてそういうことにも備えたいというような点を主たる目標としたわけでございます。
  133. 森中守義

    森中守義君 結局今言われたことは、言いかえるならば、定員の確保あるいは施設の増強、さらに人件費の確保、この三項目に整理することができると思います。そこで聞きたいのは定員の確保ということですが、予算書によりますと、郵便関係のいわゆる業務増というんですか、これで千三百十八名、さらに非常勤の本務者への組みかえが四千二百十五名、従ってこの内容からゆけば純増は千三百十八名、こういうことになりますね。従ってかなり長期にわたる郵便の遅配等が社会問題としていろいろと論議の的になっておるわけですが、純増千三百十八名をふやしたことによって遅配等は解消するということなんですか。あるいは今日のこの郵便の扱いの状態からゆくならば、この人間をもってして当然問題は解決する、こういうことになりますか。
  134. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 予算面から御説明申し上げますと、実は過去数年来大蔵省といろいろなものを作りましたけれども、算出になかなか現われてこないところの高層建築物が非常にふえるとか、特別なものがたくさん出回るとかということのために予算上どうしてもやっていけないということで、非常勤の職員を相当多数使ってきたことは先生御承知の通りでございます。そこで、われわれといたしましては、一応頭数としては定員予算上認められていないけれども、非常勤者を集めることによって何か処置をしてきたという、こういう観念であったわけです。ところが非常勤者につきましては、結果的には、短期のつもりで使いましても、物増の関係、いろいろなことから長期になってしまいます。そうなりますと、給与が非常に劣悪であるとか、保険関係はどうなっておるとかいうことになりまして、この一年間は労働問題の紛争の一つの大きな種になったわけです。そこでそういうふうなことでなくて、これはいろいろ論議はあろうけれども、全部定員一つ組みかえることによって労使紛争の根拠となっておるところを根本的に解決しようということを主たる目標にいたしました。従いまして要求は六千七百三十六名でありますか、要求いたしました結果、六十名の査定がございましたけれども、ほとんど全面的にわれわれの要求はたびたびの折衝の結果認めてもらったわけであります。従いまして、今まで使っておりましたところの定員と非常勤ということに関する限り、いわゆる部内においては一部取り不足というようなことも言われ、としては逆に取り不足より待遇が非常に悪いと言われておる問題は過去については全部解決をしたというふうに、こういうふうにわれわれは了解しておるわけです。その線に沿って今鋭意この非常勤の人の本務者化を具体化すべく努力いたしておるわけでございますが、問題としてはそういうことで過去の分についてはこれは完全にお互いに解決をしたんだと、取り不足ということはないんだと。新規の問題については、これは三十三年ごろの物数と三十六年の物数との増減を見まして、そうして一定の能率をかけまして出したわけです。ところがそれについては、その能率だけではなかなか解決つかぬ問題があるんじゃないかというような内部の意見がありました。同時に大蔵省としては、この際値上げをいたしますので、物数の利用減というものを相当考えようじゃないかという意見がありましたが、話し合いまして、とりあえずこれでいこうじゃないか、新規については。しかし予算と非常に違った情勢が出て参りますれば、先生御承知の通り予算総則等にも弾力条項その他の規定がございますので、実はそこで片づけていこうじゃないかということで、ことしの定員は決定いたした次第でございます。
  135. 森中守義

    森中守義君 今の御答弁で大体わかりますが、過去のことは片づいたと、こう害われるけれども、多少話はこまかくなって恐縮ですが、要するに五千五百三十三名の増員なんですね、郵便関係で。その中で、千三百十八名は三十六年度業務増である、こういうことなんでしょう。だから、今まで解決したものは四千三百十五名、しかも、この四千二百十五名というのは、予算上逆算をされた定員である。すなわち、実定員じゃないと私は思う。いつだか、郵務局で発表された郵便物定員との関係では、こういう数字はありませんでしたよ。これを含めて、大体八万七千十六名になるわけですね。あと二万か二万五千ぐらい郵便白書の中に出ていた。で、そうなると、この四千二百十五名が、はたして今日の郵便物を完全に消化する定員とは私は思わない。予算上こういうことになったということにすぎない。しかも、それは非常勤を本務者に切りかえると、それは少し経理局長、私はあなたの言われるのは思い過ぎだと思う。これは多少議論になりますから……、御答弁があれば答えてもらいたいのですが、要は、千三百十八名が三十六年度業務増に対応する人員増加であるとするならば、一体、ことしは前年の業務、いわゆる物数に対しまして平均何%ぐらい増加を見ておりますか。しかもこれは、これから先五ヵ年間郵便料金は据え置くと、こういうことですが、今から五ヵ年間を平均して、どのくらいずつ郵便は伸びると見るのか、その辺も一つあわせて答えて下さい。
  136. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 郵便物数としましては、一応過去の伸び方を計算いたしまして、前年に比べまして、基本的には八%増加するということを一ぺんきめました。その次に、今度料金値上げをいたしますので、いわゆる値上げの対象になるものにつきましては、その八%増加した計算の中から、普通、通常という値上げしたものにつきましては、一応七%の利用減がある。それから小包等につきましては、大幅な値上げでありますので、三〇%の利用減があるというような計算をいたしました。  それから定員関係につきましては、先ほどから申し上げますように、現実に、予算のままの定員ではやっていけないということで、去年は実行上非常勤者を相当使ったわけでございます。それで頭数としては何とかまとまっておるのじゃないかということで、本省といたしましても、予算にはないけれども、これだけの人間は定員に準ずるものだということで、非常勤を流しておったわけです。そこで、今度それを全部一つ定員にしてくれということで持ち込みました結果、ほとんどいわゆる定数的な、長期として本省も認めておった非常勤は、予算の裏づけができた。予算の裏づけができましたので、これはほかの物件費を食うことなく、当然本来の定員として使います以外に、今度は個々の人間につきましては、一部資格選考等はございますけれども、大半の人が待遇が非常によくなるということでありまして、現在の段階におきましては、とにかく、もう取り不足ということは予算上も実行上も解決つくと、こういうふうにわれわれは思っておるわけであります。もちろん、なお今後、臨時の非常勤は残ります。これは短期の欠勤がありましたときとか、欠務等の場合には、臨時の非常勤者は、これは別でございますけれども、同時にまた、先生のお考えをいただかなければなりませんことは、これは郵政事業全体として考えますと、たびたび申し上げましたが、昨年の十月ごろ、一万八千人ほどの非常勤者を使っておった、その中で、大体定員的といいますか、長期に働いておる人が約二万二千名おるとわれわれは申してきたわけです。ところが、この一月に御承知の通り、三十五年度定員法の施行が非常におくれましたために、特に紛争が多かったわけでございますけれども、一月に四千五百の人が定員になりました。今度また四月に組みかえが六千六百名と新規が二千四百名で九千人、そうしますと、一月から四月までの間に一万三千五百人という人が定員になるわけでございます。そうしますと、大数的に考えましても、実際に使っておりました非常勤者と、その中で長期とわれわれが考えておりました人間と、それから今度定員になる数から見ましても、現実問題としてその不満は解消するのじゃないかというふうに、いろいろな面から考えておるわけでございます。もちろん、たとえば増員の中で、電気通信等は特定局でございますから、大都会の局がそのまま定員になるわけじゃございませんので、そういうズレもございます。また、過員、欠員等の問題、非常勤の問題等はございますけれども、大数的にいえば、根本的な解決がここでできるのではないかと思っております。  そこで問題としましては、お互いに中でも詰めておりますことは、新年度におけるところの、どこから新年度、どこから旧年度ということは、毎日の物数でございますから切りにくいのでございますけれども、これで足りるかということは、大いに内部的にいろいろ議論を戦わせましたけれども、今申し上げましたような、一方でそういう特殊の高層建築物等に対する対処が十分であるかどうか、あるいは能率の問題等もございますが、他方また料金値上げがございますが、それを見た上で、それは本来どこまで定員化していくべきかということは考えらいいじゃないかというような議論をいたしたわけでございます。同時にまた、千三百十八名の増員をいたしておりますけれども、この半分ぐらいの人間は、年度途中から増員になるべき人については、この千三百十八人のほかに非常勤者を採用するということで、その非常勤の予算も成立いたしております。そういうことでございますので、新規につきましては、大体私たちはこれでやっていけると思いますが、今申し上げましたようなプラスといいますか、マイナスといいますか、両面からの議論がありますので、これは年度途中の推移を見て対処していけば一番いいのじゃないか。少なくとも今までのように、何年間か組合の方にもあるいは現場の管理者の方にも何かはっきりしない気持があったのは、これはもう議論はいろいろあるけれども、一挙に片づけようというようなことで努力いたしましたので、そういうことで処理できるのではなかろうか、また処理したいというふうに思っております。
  137. 森中守義

    森中守義君 よくわかりました。ただ、お話しになっている中で、多少ファクターがかかっているのは、非常勤という存在をめぐって労使の紛争がある。だから、今回この措置によってその紛争の根源を除去できる、これは私はその通りだと思う。ただしかし、本年度この人員でもってして、将来郵便物の伸びあるいは現在の物数、こういうものがはたしてこの定員で、すなわち、八万七千十六名という定員でいいかどうかということは、まだまだ私は確実な答えになっていないと思うのです。今そこで答えを求めるのは多少無理かもわかりませんが、これは議論にもなりますが、たとえば組合と三十六条協定を最初から結ぶという原則に立っている。しかし、三十六条協定を結ぶということがはたして適正なことであるかどうか、この議論もあります。あるいは、年間における郵便物の扱いがピークにかかるときと谷間もある。従って、いつも最高の物数を予定して人間を置かなければならぬという、いわゆる不経済なことも、これもまた一考を要する問題でしょうけれども、しかし、少なくともいつどういう大量の物数に遭遇しても対処できるという態勢は必要だと思う。ですから、労働条件にさしたる影響をきたさないように、あるいはいかなる事態でも対応するようにしておくには、やはりもう一回定員の再点検、こういうことを私は当然考えられていいのじゃないか。だから経理局長のお話を聞いていますと、労使紛争の根源である非常勤の問題が除去できたということがすこぶる何かこう郵政定員をさっぱりしたようなものにお考えのようですが、私は紛争そのものは除去できたとしても、物数と八万七千十六人の定員ということは、まだまだ検討の余地がある、こういうふうに思います。その点もう一度聞かしておいて下さい。
  138. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 来年度郵便物をさばきます場合に、定員だけではたして十分かということにつきましては、あらゆる万全の備えをいたしますと、最高ピーク時を考え定員を配置しなければならないとは存じておりません。同時にまた、この定員だけでなくて、現実の姿を見ますと、相当の欠勤等もございますし、それから欠務等もあるわけでございますので、そういうことにつきましての非常勤の措置というものは幾分いたしております。同時にまた、超過勤務につきましては、これは予算上もちろん成立いたしておりますが、三六協定がなければ、その原資を組みかえることによりまして、その場合には非常勤の措置もしなければならぬというようなことは、もちろん考えておりますが、少なくともわれわれが今まで検討いたしました中で、これは長期に雇わなければならぬ、にもかかわらずこれは非常勤でおるのだというようなことは解決していくということをいたしましたので、短期の非常勤ということは、相当まだ予定いたしておるわけでございます。
  139. 羽生三七

    ○羽生三七君 関連。森中委員の具体的な当面する問題に関する質問に対して、私のはちょっと一般的のことになりすぎるのですが、先ほどお尋ねした問題にも関連をいたしますが、先ほど来、森中委員質問を聞いておればおるほど、一つの問題点が出てくると思うのです。というのは、ちょっと抽象的の問題になって恐縮ですが、政府は所得倍増計画を立てましたね、十年後には所得が倍になる。もちろんこの場合は国民総生産、国民総所得でありますから、個人所得が必ずしも倍になるわけではない。ないにしても、とにかく一応所得倍増ということになったわけです。そうすると、他の産業においては、ものによってはたとえば一般の経済の発展によって需要がふえる。だから、商店の人たちが売る品物の値段を上げなくとも、売り上げ数、需要の増加で、つまり値上げをしなくても需要増加で自分の収入というものをふやしていくことができる。ところがある種の公共料金、サービス部門においては、いつも言われることですが、所得がふえたからといって、風呂屋に一日に二回いくわけでもない。あるいは理髪に必要以上にいくわけでもない。だから公共料金あるいはサービス部門においては一応の問題点があるわけですね。ところが、今度は郵便関係事業おいては、この年間の伸び率は、ちょっと私の間違いかもしれぬけれども、八%とか言われておりましたが、そのものがはたして純収入としてどういう会計上にはね返りをしてくるかということとは、また別の問題だと思うのです。そういうふうに、他の産業に比べてこの郵政事業というものが経済の発展に照応して利用者の利用率がふえていく。独立採算制だから、それで給与改善等もそのワク内でやっていくということになった場合に、はたして十年後に所得倍増ができるかどうか。重大な私問題だと思う。特に民間企業ならとにかく、国営の事業でしょう。国営事業をやっている政府が十年後に所得を倍にするというのなら、必ずしも給与が倍にならないとしても、国民総生産、国民総所得ですから、個人所得は必ずしも倍にならないにしても、それに近い線を出すわけですね。それには相当なスピードでベース・アップしなければならぬ。それが財源がないとすれば、利用者負担の料率の改訂をやっていかなければ、単に利用率がふえたということだけで、決してこの会計上に明白な解決を見出すようなことにはならぬと思う。これは私は重大な問題だと思う。前から私この問題は総理にも実は伺いかけて、時間の関係で途中でやめている問題ですが、重大な問題だと思う。先ほど来森中委員質問された問題は、郵政会計上の重大な問題として将来問題点になると思う。これは意見ですから必ずしも答弁を要しませんが、もしお考えがあれば承っておきまして、なければよろしいです。問題点だけ指摘しておきます。
  140. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 郵政事業の長期計画、少なくとも十年間をどうするかということにつきましては、今省内においても鋭意研究をいたしております。ただ、先生も御承知のように人件費が大半を占めるのでございまして、実は昨日裁定が出ましたから、ある程度見通しはつきますが、今まではその見当がつきませんから、私どもどんなにやりましても、築いたりくずしたりして見ておったわけです。私ども過去の経験から考えますと、人件費等は平均八%上がってきている。収入等も、年によって違いますが、平均すると八%ないし九%上がってきておりますものですから、それでまかなっていきたい。今後の数字につきましては、とりあえずそういうことで料金値上げにつきまして、五カ年間の予想はつきましたけれども、一番大事なベース・アップの問題がはっきりつかなかったということでございますので、何か連関はつけたいわけでございますけれども、必ずしも生産事業じゃないものですから、非常にその関係とこの郵便物の伸びの結びつき方がむずかしいというような点がありまして、ここで明確にお答えすることができないということだけ申し上げたいと思います。
  141. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記をとめて。   〔速記中止
  142. 武藤常介

    主査武藤常介君) 速記を始めて。
  143. 森八三一

    ○森八三一君 私は一点だけお尋ねしたいのですが、それは、この国会で非常に重要な政府の施策として取り上げられております農業基本法に関連しましてのお尋ねなんです。これは政務次官から一つお答えいただきたいのですが、農業基本法には、農業の近代化と合理化をはかって、農業従事者が他の国民各層と均衡する健康で文化的な生活を営むことができるようにすることは、国民の責務に属するものである、こう言い切っておられるんですね。そこで、農山村におきまする文化の向上を政府は鋭意はかっていかなければぬらぬという責任の地位に立つと思います。そのことを考えて参ります場合に、なさなければならぬ施策というものは、きわめて多岐多様でありまして、一つや二つではございませんが、今日農山村の最も恵まれておりません文化的なものとして取り上げなければならぬのは、交通の問題と通信の問題であろうと思うんです。交通の問題については、また運輸委員会でお尋ねいたしますが、通信の問題に関連いたしまして、先に同様の趣旨に基づきまして、新農村建設運動というものが強く政府の施策として推進されまして、相当の効果をあげてきていると思います。その具体的な施策の一環として有線放送事業というものが取り上げられておりますことは御承知の通りなんです。ところが、有線放送のことに関連いたしまして、従来の一般電話が千分の十七ですか、率のことはあるいは違っているかもしれませんが、そういう程度に普及しておりまする地域には有線放送事業の開始を認めない、これは法律にも何もないと思います。ただ、郵政省の取り扱い上そういうような具体的な取り計らいがされている。これでは、一番恵まれない農山村の人人に対する文化的な生活を営むようにするということとは、おそらく逆の状態が出てくると思うのでありますが、こういうことに対してどう始末されるのか。今羽生委員から御質問がありました基本的な問題なんですが、そういうことを考えるために農山村民が犠牲を背負わなければならぬということでは、基本法の一角がくずれてくる、こういうことにつながってくるんですね。その調節を一体どうされるのか。
  144. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) お答え申し上げます。有線放送電話の生い立ちと申しますか、そういった観点から、有線放送電話というのは、最初有線放送というものからだんだん発達普及して参ったわけでございます。それで三十三年に有線放送電話に関する法律というものを制定いたしまして、農山村地域、こういった地域社会におけるその中だけの電話は一応認める、放送を兼ね備えた設備として認めていこうといったことで認められたわけでございます。公社の電話が一応ついております地域は、大体建前としまして国内の公衆電話というのは、これは公社に一元的にやらせるという建前になっております関係らいたしまして、これは公社にやらすべきものであるというふうに考えたわけであります。ただ一部、現在では公社の電話が普及しておる地域にも有線放送電話が入り込んでおるという地域はございます。しかしこれは特殊な地域であるというわけでございまして、大体一般的には公社の電話がかなり普及しております地域には有線放送電話というものは認めない、そういった地域は業務地域の中に含まないという方針で郵政省といたしましては指導して参っておるわけでございます。   〔主査退席、副主査着席〕
  145. 森八三一

    ○森八三一君 そういう取り扱いでありますることは私も承知しておるのであります。おりまするが、申し上げまするように、国の重要な施策として農業基本法を今提案されておる。その提案されておる基本法には、農民の健康で文化的な生活が営むことができるようにすることは国民の責務であるということもはっきりおっしゃっておるのです。そこで今までの取り扱いを、お話のように千分の十七ですか、程度一般電話が普及しておる地域は有線放送区域として認めないという扱いをされておるのですね。それじゃ恵まれない農山村民が有線放送電話事業によって農産物の市況を早くキャッチするとか、そんなことをしようといたしましてもできない。それは、そういう連中は一般電話を引いたらいいじゃないか……、一般電話ではそういう営農上の便益を受けるような放送はなされないのですね。そうなるでしょう。そのことをどうお考えになるかと言うのです。だから今までの既定方針でおやりになると言うならば、この農業基本法にこういうことをうたっていらっしゃいますのは、これは見せかけだけであって、考えておらぬということになるわけですが、どうですか。
  146. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) 農山村におきます電話の普及ということにつきましては、公社の第一次五ヵ年計画、あるいは第二次五ヵ年計画、そういうものの遂行過程におきまして、農山村地域における公衆電話と、あるいは電話のない地域にできるだけたくさん公衆電話なりあるいは農山村電話をつけていくという方針をとられまして、現在までやって参っておるわけでございますが、なお僻村、へんぴな地域におきましては電話の普及が非常におくれておる。そのために農山村、そういったへんぴな地域が通信といった文化に恵まれないといったことはお話の通りでございます。ただ郵政省といたしましては、現在全国でその施設数におきまして二千百五十くらい有線放送電話施設というものがございます。加入者数で申しますと、大体現在で百三十万加入というぐらいになっておるかと思いますが、これだけ普及して参っております有線放送電話というものを、もう少し国内の電気通信政策といった面から、郵政省として普及して参りたいというつもりで、実は今施策を講じておるわけでございまして、さしむき三十六年度におきましては、その基礎的な調査をやろうということで、その調査費として四百五十万、それから農山村におけるそういった有線放送電話、これが御承知の通り公社線との接続というものを非常に要望しておりますものですから、そういった面から、どういった設備を作ったらいいか、そういった実験をする経費といたしまして七百五十万、合計一千二百万円の経費を計上いたしまして、今後の有線放送電話の普及政策に備えるための調査をやっていきたいということで、せっかくそういった施策を行なおうとしているわけでございます。将来、ただいまも申し上げましたように、電気通信政策という面から農山村における電話の普及というものを有線放送電話という形で普及していこう、そういった面をある程度考慮しながら有線放送電話というものを考えていこうというようなつもりで、郵政省といたしましてはせっかく対策を考究しているわけでございます。
  147. 森八三一

    ○森八三一君 将来御研究願うとか、調査を願うということはおやりになってけっこうですが、基本的な考え方が違うのじゃないですか。一般電話というものと有線放送の持つ使命というものと全然違うのでしょう。営農上、あるいは農産物の市況がどうなっておるとか、あるいはどういうように出荷を取りまとめてくれとかいうことを所属する組織の組合員等に同時に伝達をするというところに有線放送電話事業の大きな使命があると思うのです。ところが今申し上げましたように、ある一定数の、それもきわめて微量なんです、そういう一般電話が普及している地域には認めないというやり方ですね。これは何のためにそういう制限を設けるのか、有線放送電話事業というものの性格を考えれば、そういうような制限があっちゃならぬはずなんですよ。将来、有線放送と有線放送とを接続せしめるとか、あるいは一般の電話と接続せしめるということについては、これは十分お考え願って御研究になってしかるべくお出しになったらいいと思う。いいと思うが、こういう現時点における有線放送事業というものを考えた場合には、当然これは制限的なものを撤廃して、関係農民諸君が有線放送電話事業を開始いたしたいというところを認めてやるということでなければ、この農業基本法の前文に示されている精神がここではばまれるということになる。同じ政府のもとにおいてお考えが二様に出ていくという結果が生まれる。政府の精神が分裂しているということであるならそれでいいですよ、おかしいじゃないですか。
  148. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) 御意見はごもっともでございますが、まあ先生のおっしゃいます大体公社の電話の比較的普及いたしております地域は、公社の電話を使ってそういった目的が達せられる。そうして先生のおっしゃいますようなことは、そういった有線放送電話施設と公社線との接続というものによって当然これは達成できるわけでございまして、そういった面においてこの問題は解決していくべきものであると私どもは考えているわけでございます。ただ農業基本法に盛り込まれておりますそういった考え方というものは、農山村において有線放送電話を普及させていくということによってそれは達成されるのじゃなかろうかというふうに考えているわけです。
  149. 森八三一

    ○森八三一君 一般電話が普及しておるところは、そういう電話を実際使っていらっしゃいます方々は、純粋の農山村民ではないですね、農業を営なんでおる方が一般電話を要求するということは、おそらくまれであろうと思うのです。営農上一般電話というものを要求する機会は非常に少ないと思う。今お話の営農上の問題について、一般公衆電話というか、郵政省の行なう一般電話で有線放送の持っておる使命が達成されるということはできないと思う。有線放送の場合には、一ぺんに同時に同様のことが全加入者に放送されるでしょう。公衆電話の場合はそうならぬですよ。そういう点において利用する実態も違っておるし、性格も違うし、農民のこうむる経済的の関係も、一般電話の場合と有線放送の場合とは非常にその負担が軽減されますね、実態として。そういうことなんかを考えると、一般電話を普及すればいいじゃないかとおっしゃったって、ほとんど必要のない電話を引くために相当大きな経済的負担をするということは、現在の農民の所得の実情からみれば不可能じゃないかと思います。ですから、必ずしも法律に千分の幾らとか、百分の幾らという制限はないのでしょう。ですから、そういう取り扱いをなさるところに問題があると思う。そういう取り扱いというものは農山村の希望に応じて認可をする、許可をするという態度をとるべきである、私はそう考える。それができないという理由をもう少し明確にしてもらいたいと思うのです。
  150. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) 一番最初にお答え申し上げました通り、有線放送電話というものの歴史的な発展過程ということからいたしまして、現在の有線放送電話に関する法律によって正式にこういった特殊地域における電話として認められましたいきさつは、これはそういったいきさつがあるということでございまして、あくまでもそういった特殊な地域内における加入者相互間の通話を認めるという趣旨から、そういった面において有線放送電話というものが認められているわけなんでございまして、一般的にはやはり公社の公衆電気通信経営によってそういった目的というものが達成されていくべきものである。ただ先生のおっしゃいます有線放送による周知あるいは告知というものは、また有線放送だけの施設によってこれは十分達成できるわけであります。有線放送電話をつけますと、有線放送電話に関する規制を受けなければならないわけですが、有線放送ということだけであれば若干取り扱いが変わってくるわけであります。
  151. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますと、結局有線放送施設というものを農山村でやりなさい。そうして加入者相互間における別の通話は、一般電話を敷設しなさいという二重の負担を、さなきだに疲弊しておる農山村民にしいる。一つの施設で両方とも兼ね備えることは可能なんですからね。特殊地域と申しましても、東京の町のまん中には農山村民はいないのですから、そういうところに私はやろうというのじゃないのです。最近市町村が非常に広区域に統合せられて、ごく一部市街地をなしておる地域がある。その付近は大部分農山村だという地域でも、その市町村の区域内で何かあなたの方でおきめになっておる一定数以上の割合の電話が形式的にあれば、そういう地域は地域から除外するという取り扱いをなさっておるのでしょう。そういうことでは、この基本法にうたってあるうたい文句が死んでしまうじゃないか、そういうことをなぜ考えなければならないか。特殊の地域ということは別に法律によって示されておるわけじゃない。これは郵政省の方の御認定なんですから、現時点における一番重要な国策として恵まれない農山村民の所得を引き上げながら、そしてまた他の各階層と同様の生活が営み得るように、その地域社会における文化というものを高めていこうということなんでしょう。その高めていこうとすることに対して関係する農山村民の諸君が多少の経済的負担はありましても、かくすることが好ましいということで要求する場合には、これを認めてやるというあたたかい気持があって私はしかるべきだと思うのです。それも東京の町のまん中にそういうことをやれというのじゃないのですから。もっと具体的に言えば、お隣りに羽生先生がいらっしゃるが、羽生先生の出身の飯田市なら飯田市の町のまん中にやれというのじゃない。つまり飯田市は大きくなって広区域になっているが、旧町村というものが入ったのですね。これは一つの例ですが、その旧町村というものは飯田市の関係でパーセンテージを求めると、一定数以上電話があるからだめだと言われると、にっちもさっちもいかない。そういうところは一般電話は入れたとおっしゃるけれども、一般電話は、一般農山村民というのはそんなに電話は必要じゃないのですよ。しかも負担は重い。そういうことを要求するのはおかしいじゃないですか。その規制の制限というものをもっと緩和して扱うというあたたかい心持ちがなければいかぬと思うのですが、そういうふうに法律なら法律をわれわれが修正すればいい。法律じゃないのですから、規則か省令か何か国会に関係ない面でそういうような取り扱いがきまっているのでしょう。だから政府当局はそういうふうにお考えにならなければいかんとも仕方がない。これはどうなんですか。
  152. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) この問題はやはり国内の通信政策といった面から郵政省としては当然考えているのでございまして、まあ先生の先ほどおっしゃいましたある一定の電話の普及を見ている地域、これはまあかなりの部分が市街地域になると思うのでございます。そういった地域におきましては、大体有線放送電話の業務区域として作ったものは含めないといった制限をいたしておるわけでございますが、その他の地域においてはもちろんこれは有線放送電話の普及に努めるわけであります。それから先ほども申し上げましたように、電話のつかない放送だけの有線放送施設であれば、これは特別の制限はいたしておりませんから、告知放送とか、そういった面では別に不自由はない。やろうと思えば現在でもできるわけであります。ただ電話を伴うということになりますと、これは無制限に現在ある程度いろいろ加入電話の普及しております地域までこれを認めるということになりますと、公社電話との二軍施設とか、そういった面がかなり出て参りまして、国家経済全体からみましてもかなり不経済な面が出てくるのではなかろうか。また先ほどの先生のおっしゃった地域における通話の面の需要、こういったようなものも公社線との接続によってこれは当然私は達成できるものだというふうに考えますので、これは無制限に広げるというような考え方につきましては、一がいに賛成できかねる次第でございます。
  153. 森八三一

    ○森八三一君 私も無制限に認めろと言っているわけではない。そこまでわけのわからぬことを申し上げているわけではないのです。一定の普及率のあるという、その普及率の取り方があまりにも窮屈すぎて農山村の実態に合わぬのじゃないか。もっと適用する地域というものを同じ市町村の中でも市街地を構成している地域だけを除外するとかというように考えていく。あるいはその普及率にいたしましても、千分の十七なんというのはこれはほとんどないにひとしいですね。千分の五百も六百も普及しているという地域であれば、当然そういうものは起こってこないと思うのです。百人中一人か一人半より一般電話を引いていない。残りの九十何人というのは電話の恩恵には浴していないというところにやろうということですから、その率というものをもっと緩和して考えることがどうしてできぬのか。これは結局郵政事業というものが独立採算制ということのために、その収支をとらなければならぬ。だから農山村民の便不便というとではなくて、公社の運営上そういうふうにして、無理でも一般電話を普及せしめていくというところに追い込めていこうというなら、それも一つ考え方として承りますが、そういうことなんですか。電話事業というものを何か一般的に行なわしてはいかぬということでは私はないと思うのです。その施設等については当然これは監督なさっておやりになればよろしいので、一定の基準に達しないものを認めろということを言っているのじゃないのですよ。その施設としてはあなた方のお認めになる規格に合うものの施設をするということは当然の条件なんです。そういうものでやっても、なおかついかぬとおっしゃるところがわからないのです。どうしてそう窮屈にお考えになるのか。
  154. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) 現在の公衆電気通信法とか、そういった法の建前からいきますと、国内における公衆電信電話、こういったものは公社に一元的にやらせる。これが電力、輸送関係のたとえば鉄道の電話とか、あるいは特殊な業務に関連します業務は別でございますけれども、一般の公衆電信電話というものは公社に一元的にやらせるというのが建前になっておりますために、公社の業務といった面からも当然考えていかなければなりませんし、まあ有線放送電話、今のそういった問題もやはりただいま申し上げました公社の業務、あるいは有線放送電話の農山村における必要性、この両面から考えて、ある程度やはり業務区域の制限というものは必要ではないか。それが現在程度がこれが非常にシビア過ぎるかどうかといったような問題は、一応問題はあるかもわかりませんけれども、私ども現在の段階では、実際いろいろな陳情等をときどきお聞きするわけでございますが、大体現在程度業務区域の制限というのは、現在の段階ではやむを得ないのではないかというふうに考えておるわけでございます。
  155. 森八三一

    ○森八三一君 どうしても私は了解をいたしかねるのですが、森中君の発言中に時間を借りたので、これ以上平行線の論議を展開はいたしません。いたしませんが、政府が国営で独占的におやりを願ってきておったのがこの電話事業に関するいきさつでございますね。そういう状態では国民の中で最も恵まれない立場におる人々に通信事業恩恵を与え、豊かな生活を営なましめるということは、実際上不可能だということから国営の法律ができたわけですがね。そういういきさつがあることはお話しの通りなんですが、そういういきさつを認めながら、実際にはその法律の効用というものが発揮できないように縛りつけておるというところに問題があるのです。電話通信事業というものは国が独占事業としてやるのだという建前でずっと進んできた、そういうことだけでは国民の利便というものを確保し、文化的な生活を全国民に及ぼすというわけには、実態上いかないという事実が判明したので、別の法律を作って、そういう地域には特殊な有線放送電話事業というものを認めようということに国民の意思が法律の形で決定したわけですね。そういうここに決定しておきながら、今度は実際の運営の面になると、独占事業の線を強く出して、国民の不便をチェックしておるということにしか考えられないのですよ。それも私は非常に極端なことを申し上げておるのではないのです。あるいはちゃちな施設であってもならぬ、こう思いますので、そういう点については十分監督なさるということはけっこうです。一般電話が全体の住民の五〇%も六〇%も普及しておるところに、そういう特殊なものはやらぬという、それは一応私は当然な措置として了解できるのです。ところが、百人中一人か二人しか加入者がないというところの地域を除外しておるということは、私はどうしても納得できない。それは法律行為ではないのですから、法律の精神をおくみになれば、そういう地点については、もう少し実態をつかんで、緩和した行政措置をなさってしかるべきと思います。どうしてもそれができぬということをがんばっていらっしゃいますので、これ以上あなたと幾ら質疑をいたしましても平行線を繰り返すだけですから、これ以上は申し上げません。そういうことでは、農業基本法にいう近代的な文化的な生活を営むことができるようにすることは国民の義務に属するものであるというふうに基本法でいい切っていらっしゃいますので、基本法のこの前文に書いてあるこの趣旨は、これはただ言っておるだけで、実際政府はやる意思はないのだということですから、また別の機会に総理にお尋ねいたしますけれども、そういうように郵政省が強く堅持されるということは、基本法の前文に載せられておる精神がじゅうりんされるものだということだけは御了解をいただきたい。それでいい、やむを得ないということにあなた方はお考えになっておると、こう了解してよろしゅうございますか。
  156. 岩元巌

    政府委員(岩元巌君) 私ども現在郵政省がとっております方針を進めていった場合に、基本法の精神がじゅうりんされるではないかというような御意見でございますけれども、私どもといたしましては、現在やっておる方針、それからまた近い将来におい郵政省通信行政という面から有線放送電話の農山村における普及というものを取り上げるといった方向に進みます場合に、そういった基本法の精神に矛盾する、相反する方向だということではないのではないかと考えております。
  157. 森八三一

    ○森八三一君 それでは最後に、これは小金大臣に別の機会に伺うことにしますが、大体そういうことに措置するというお話でありますので、あらためて念を押す必要はないと思いますが、新年度から有線放送あるいは有線放送電話施設に伴うラジオの聴取につきましては、聴取料を全免するというような、これは非常にあたたかい施策をおやりになるようですが、そのことは、かように了解してよろしいかどうか。
  158. 千田正

    ○副主査(千田正君) 森さん、荒巻官房長が見えておりますから……。
  159. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) ただいま国会におきまして御審議をいただいておりまするNHKの三十六年度予算におきましては、有線放送電話によるラジオの聴取料は全免をするという建前で提案が進んでおるようでございます。
  160. 森中守義

    森中守義君 先ほどのことにつきまして、もう少し進めてお聞きしたいのですが、定員の確保ということで要求されてきている。これは最終的にはさっき私が申し上げたように、もう一回郵便の物数と定員の配置ということは多分に再検討の余地があろうと思いますが、経理局長の答弁にもありましたように、一応肯定されていますので、ぜひ一つもう一回検討していただきたい、そう思います。  それから次に料金改訂の必要性ということで言われておった施設の増強ですが、これは具体的にどういう内容のものですか。たとえば窓口機関を作るとか、あるいは郵便ポストをふやすとか、いろいろあろうかと思うのです。要するに施設の増強の主要な点をお示しいただきたいと思う。
  161. 板野学

    政府委員板野学君) お答え申し上げます。大体無集配特定局等の増置につきましては二百局でございます。それから簡易郵便局につきましては五百局の設置が認められております。それからポストにつきましては大体四千八百本のポストを増置する。それから大都市、中心地の集配度数増加等につきましても、特に頻度の高い地域につきましては取り集め等を四度にする、あるいは配達を三度にするというような施設も考慮いたしておるわけでございます。それから郵便物の取り集め、配達の機動車化につきましても、今後スクーターあるいは峰三自動車、あるいはバイク・モーターと申しますか、そういうものを増置していきたい。それから窓口事務の機械化等につきましても、たとえば切手とか、はがきの自動販売機等もさらに増加していく。なおこの集配運送施設の改善の面につきましては、運送線路を主として大都市及び衛星都市間につきまして増便いたしまして送達速度を早める。あるいは高層アパートの受箱の設置に対しまして補助金を交付いたしまして配達難を緩和する。こういうことが大体今後の機械化その他の施設増強の大様でございます。
  162. 森中守義

    森中守義君 大体わかりました。具体的に一、二聞いておきますが、たとえば窓口機関の場合、無集配特定郵便局二百局、あるいは簡易郵便局を五百、ポストを四千八百本、こういうような計画のようですが、これは需要に対する何%に当たるのですか。
  163. 板野学

    政府委員板野学君) 無集配特定局につきましては、御承知のように大体設置基準というものがございまして、都市におきましては局間の距離が平均六百メートル、これを利用する人口が六千、農村につきましては局間距離が二キロ、利用する戸数が四百戸ということが一応基準でありまして、その基準からいたしますると、なお今後千五百局程度の無集配特定局の増置の必要があるのじゃないか。それから簡易郵便局につきましては、大体戸数百五十戸程度のところで特にこういう簡易な通信機関を、郵便局を必要とするような個所は全国に六千五百カ所見当あるようであります。それからポストにつきましても今後約二万一千本のポストを増資しなければならぬ。これらの点につきましては、五ヵ年程度で、これらの施設をやっていきたいというふうに一応の計画を持っておる次第でございます。
  164. 森中守義

    森中守義君 今言われた、たとえば無集配局は千五百の必要がある。あるいはポストが二万一千、簡易郵便局が六千五百、こういうのは現在の基準を基礎にして郵政省計算をされたもののようですが、国民からの申請が相当に上っておると思うのです。同時にまた漸次人口等も稠密になっていくでしょうし、現在お持ちになっている基準が永久不変なものであると私は思いません。そこで大体今お話によると、五ヵ年くらいでおおむねこの種の需要に応じたい、こういうことのようですが、こういうものを大ざっぱに見積って金はどのくらいかかるのです。
  165. 板野学

    政府委員板野学君) かりに無集配特定局を今後千五百局をやるということになりますれば、これは今後の人件費等のアップとか、あるいは取り扱い上のいろいろな経費のアップというようなものも一応考えられるわけでございまするが、また簡易郵便局等につきましても、一体どのくらいの手数料が妥当であるかというような点もいろいろ議論があるかと思いまするが、一応無集配特定局等につきましては、年間維持費約百二十万円くらい一局当たり要るであろう。簡易郵便局等につきましても、今後手数料をどうするかということにつきましていろいろこれは計算が変わって参りますので、私どもといたしまして、今すぐに一局どのくらいかかるかという計算はまだ出ておりません。またポストにつきましては、大体一万一千本をやるということになりますと、約一億九千万円くらい経費を必要とするのではないかというふうに考えております。
  166. 森中守義

    森中守義君 私の聞き方が少しまずかったのかもわかりませんが、今お述べになりました施設の増強内容のほかに、たとえば老朽局舎を新しく作り直していくとか、まだまだ郵便の結束を強化するには多種多様に施設の拡充強化ということはあると思うのです。そういうものをここで一つ洗いざらいに整理をしてみて、今からそういう理想的な郵便の運営の状態におくには金が一体幾らかかるのか、それを年間の歳出の中からどのくらいずつ見ていくのか、こういうことが明確にならないと、歳入歳出予算構成の正確な基礎を算定する材料にならないのですよ。ですから私は以前から当局に対して長期計画を出してほしい、こう言っておきましたが、今なお出ません。しかしこの前の逓信委員会でも、おおむねある限界については出し得るという話のようでしたが、一つ今回の料金改訂を必要とする理由の中に、施設が隘路に逢着をしておる、しかるがゆえに施設の増強を必要とする、こういうことが先刻経理局長から言われました。従って理想的な郵政事業の運営をしていき、かつまた利用者にサービスを提供していくには、この分野については金が幾らかかる、その内容はこうであるというように、全体を整理して、その上で料金改訂が、いわゆる歳入歳出の見込みが私は立っていると思いますから、その内容一つ聞いて、詳細じゃなくても、大ざっぱに局舎の改善には幾ら、ポストの一万一千をふやすには幾ら、あるいは特定郵便局を現在の設置基準にして増加するには金が幾らかかる、こういうものを一つ聞かしてくれませんか。
  167. 板野学

    政府委員板野学君) その長期計画につきましては、かねて先生から早く長期計画考えるようにということでございまして、私どもも鋭意作業を続けておったのでございまするけれども、御承知のように新年度予算がまだ確定はしておりませんし、その使用計画等も実際はどうかという点も確定いたしかねておりまするので、それ等も含めまして五ヵ年計画なり長期計画を立てていかないと、大体の見当がつかない、こういう意味で、まことに申しわけございませんが、まだもう少し時間をかしていただきたいというように考えておる次第でございます。
  168. 森中守義

    森中守義君 それは時間をかしてくれとおっしゃればかさぬでもありませんが、しかし料金改訂の主たる項目の中に、施設が隘路になっておるから、これに改善を加える、増強を加えるということを、経理局長おっしゃっておる。それならば一体施設の増強とはどういうことなのか。中身がなくて料金改訂をするという理屈がないじゃないですか。それで三十六年度は百のうち二十仕上げていくとか、三十七年度は四十仕上げていくとか、そういう所定の目標がなければ、料金改訂をする理由が成り立たない。もっと申し上げるならば、収入がうんとふえたときには施設をうんとやっていこう、収入が上がらなければ所定の施設目標を減退さしていこう、こういうように、たえず財政に応じて凹凸が出てくる。それならば経理局長が言われるように、定員の確保、施設の増強人件費の増高に対処する、こういう三大目標というものはすでに根拠がないものなんだ、こういうことに私はなってくると思うのですよ。いやしくも国の仕事であり、役所の仕事ですから、向こう何カ年間で特定郵便局は幾つ、簡易郵便局は幾つ、ポストは幾ら、局舎の改善は幾ら、ついては年間にこれだけの施設費が要る、人件費がこれだけ要るというように、一応歳出の見通しというものが整理されておらなければ、今回出されている料金の改訂の目的は果たし得ない、そういうふうに私は思うのですけれども、大体この整理はできておるんじゃないですか。
  169. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 長期計画につきましてのお尋ねでございましたが、第一次段階といたしましての作業は一応完了しておったのでございまするけれども、昨年末におきまして、郵便料金の改訂問題と、それからそのほか簡易保険の最高額の研き上げの問題、郵貯の利子の問題並びに預託利率の引き上げというような要素が急に確定的になって参りましたので、三十六年度予算の編成過程におきまして、さらにそれらの確定要素を入れまして作業を続けて参っておるわけでございます。従いまして、先生のお尋ねの局舎の改善は何ほどであるか、あるいはポストはどのくらい増置せらるべきか、あるいは各種の機械化についてはどのような構想になっておるかということにつきましては、概略的なものはすでにでき上がっておるわけでございます。従いまして、たとえば局舎の問題につきまして御説明申し上げますが、大都市におきましての郵便業務量の増加が、人口集中と相待ちまして非常に商い時代でありまするので、長期計画におきましての局舎の構想といたしましては、小包及び三種以下の郵便物を処理する集中処理局を新設していきたい。それから大都市及び周辺部市における普通局の新設ということも考えなければならない。それから部市におきまする配達区域、配達難の所がございまするので、それらの地域救済のための配達の分室を設けるというようなこともございます。あわせまして普通局につきましては三百七局程度を今後の五ヵ年間において増改築等をやって参りたいという構想でございます。  それから集配運送施設の拡充という点でございまするが、これもまた大都市地区の集配運送の増回——回数をふやすことでございますが、そういうようなことを考えておるわけでございまして、運送便を現在の五便から七便程度にしたいというようなことも考えております。また人口三十万以上の都市の中心部所在局におきます通常取り集めを四度から六度にしたい。通常配達を二度から三度、速達配達を千度に増回するという計画を今後五ヵ年間においてやって参りたいというように考えております。なお機械化の問題でございますが、集配運送施設の機動化ということを大部市に考えておるわけでございまして、速達速度を増すためにたとえば軽三輪車とかスクーター、原動機付自転車等を相当数装備していきたい。特に大都会所在局におきまして市内通常取り集め、市内小包取り集め、市内小包配達あるいは市内の通常大物配達を一部専用自動車によって行なっていきたいというような計画でございます。  それから局内施設の機械化でございますが、これらにつきましては、小包の区分機を十台、通常区分機六台、それから大物通常区分機十台といったような機械を導入していきたいということでございます。  なお窓口機関の増置の問題でございますが、これは先ほど郵務局長からお話しがありましたが、無集配特定局を今後五ヵ年間において千五百局増設していきたい。簡易郵便局につきましては今後五千局、ポストは約一万一千を増置したい、こういう計画でございます。  以上が大ざっぱの内容でございまするけれども、これらを今回の料金値上げを前提といたしました財政によりまして、施設として拡充し、郵便の最大の課題でございます正常運行の確保ということに重点を向けた長期計画をしておるわけでございます。
  170. 森中守義

    森中守義君 非常にはっきりしました。それで、今、官房長の言われた施設の増強ですね。もちろん今お話しになったのは、いわゆる大ざっぱということですから、その通りに受け取っておきますが、その種の施設の増強は、金高に直してどのくらい要りますか。それと同時に、その所要の経費は今から四十年まで毎年実行に移されていくわけですから、歳入全体の予算の何パーセントずつこの施設の関係に振り当てていかれるのですか。
  171. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 実はこの五ヵ年間の計画につきましては、先ほど官房長が申しました具体的な内容を集計しまして、そうして四十年度計画に見込んだわけです。そこで一般的な物件費としましては大体三%くらいの増を見ていくわけです、経費としましては。それから今お話しのありました新規のことにつきましては、その一五カ年間で平均いたしますと、大体六、七億ずつやります。しかし、たとえばことしはその分で五億六千万予算上見ております。そのあと逐次ふやしまして、六億か八億ぐらい毎年平均見ていこうというつもりでございます。  それから、局舎関係につきましては、これは一応益金ではやらない建前でございますので、この料金計画とは関係ございません。全部一応借入金でやっていくつもりでおります。もちろん借入金でやっていきましても、五年後におきましては償還の問題等が出て参りますので、影響いたして参りますが、この五年間では、そう大した影響は出てきておりませんので、局舎計画はまだこまかく詰めてはおりません。しかし、一般の施設関係につきましては、大体ここに申しましたようなことで、一般的な物件費は三%ふやしていく。新規については五億から八億くらいずつ個別に拾いまして出しておるわけでございます。
  172. 森中守義

    森中守義君 今の御答弁でよくわかりましたがね、逆からお尋ねしますが、局舎関係の資金ですね、これはことし三十億になっておりますね。それから設備負担金として十二億四千六百七万、結局四十二億程度の金になっておるようですが、この種借入金は、今累計して幾らになりますか。それから、それに支払う利子は幾らです。
  173. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 建設勘定は、三十六年度におきましては五十六億予定いたしております。それは減価償却が十一億ですね。それから設備負担金が十二億、それから借入金が三十億ございますので、先生のお話しのように、減価償却が一応出てくるわけです。予算面では出ておりませんけれども、出て参ります。従いまして五十六億のなにが出てくるわけであります。それから、今まで借入金をした額は一体幾らかといいますと、三十七年三月三十一日ですから、この予算通りました最後におきまして、借入金は百二十一億になります。
  174. 森中守義

    森中守義君 利子は。
  175. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) それから利子は、本年度は八億二千二百万円、それから逐次、来年は十億、三十八年は十五億というようなふえ方をいたして参ります。
  176. 森中守義

    森中守義君 今の問題ちょっとひっかかるようですがね。まあ大体百二十一億あって、毎年八億、十億、十五億というように返していく。——返すのじゃなくて、これはあくまでも利息を払うわけでしょう。元金の償還はどうなるのですか。
  177. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) おっしゃる通り、これは利子を払うわけでございます。元金の償還の方は、その年度によって非常に違います。前に借りておりました約束の期限が変わって参りますものですから、必ずしも逓増をいたしてきておらない。たとえば三十五年度ですと十八億、ことしは減ったわけでございます。来年になりますと、それが約五億、それから毎年六億五千万円ですか、というふうに償還期限の到来によって、変わって参ります。  それから利子の方は、逐次ふえていくという形をとっております。
  178. 森中守義

    森中守義君 そうしますと、結果的に、この借入金あるいは設備負担金というのは、限度がありますね。利子を払わなくちゃいけない。あるいは元金を償還しなくちゃならない。最高幾ららいまで借りたらいいのですか。私は、今お話しになりました同舎関係を除く設備の増強ということでは、最終的には八億ぐらいと言われましたね、大体六億、七億、ないし八億、この辺は歳入全体の比率から出していきたい、こういうことのようですが、この局舎の問題は、借入金、この方式をとるならば、これには限界がくると思うのですよ。一体今の予算の状態からして、幾らまで借り得ますか。
  179. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) これは長期計画を今作っていくのに非常に問題がございますけれども、今のまま参りますと、毎年三十億程度借りて参りますと、ここ一、二年のうちに利子と元金償還含めまして三十億ずつくらいになってしまうわけですね。そうしますと、毎年の経費の中から三十億取ると、非常に大きな経費でございます。従いまして、まあ大体三十億くらいの今の限度ですね、が、経済的なあれとしては、もうこれ以上は相当無理が出てきはしないだろうかという気がいたしております。
  180. 森中守義

    森中守義君 むしろ三十億でも私は多過ぎるというような気がしますよ。  それで、官房長にお尋ねしたいのは、要するに、ポストとかあるいは窓口機関増強とか、こういうことでふえていくことは大いにけっこうです。しかし、やはりそういうものの土台になるのは局舎ですから、これを切り放しては考えられない。ところが考えられないはずの局舎関係が、今経理局長からお話しがありましたように、すでにもうピークにきている。元利の償還だけで大へんだというお話しなんです。そうなると、今回の料金改訂というものは、この局舎の問題までも考慮に入れた設備計画でないと理屈が合わぬということになりゃしませんか。どういうようにお考えになりますか。
  181. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 局舎は、もちろん借入金の増高によりまして改善される反面におきまして、財政的には将来に大きな債務を残すわけでございますが、今回の料金改訂は、サービスの改善という意味におきましては、もちろん郵便事業が主体となるべきものだと思いますが、局舎というものは、郵便ばかりでなく、各事業共通のものでございますから、各会計の共通の分担というふうに考えまして、極力自己資金というものを会計的には見て参っておるわけでございます。初年度三十六年度におきましては、ただいままでのところ、自己資金が二十七億で、借入金が三十億ということでございますが、私どもの長期計画の面から見ますると、局舎の改善ということが相当逼迫していると申しますか、改善を要する局舎が非常に多うございまするので、この計画をまず立てて、それに合わせるように、資金でございますか、そういうようなものをこの計画に極力合わせるように、経理当局においても御勉強をしていただくという意味の長期計画でございまして、その年度におきましての自己資金の状況、あるいは簡保資金から借り入れられまする限度というものも、この計画と照らしまして毎年作業をしていくというような考え方に立っておるわけでございます。
  182. 森中守義

    森中守義君 おっしゃることと——実際の実情を知っていますからね、あまり深追いするのはどうかと思いますけれども、経理局長がお話しになった通りなんですよ。簡保であろうと貯金であろうと、借りた金は利子がつくんだから、返さなくちゃならないでしょう。もっと手っ取り早く言うならば、自己資本に依存しない限り、もうすでに借入金では限界がきておるんじゃないかということになりますと、やはり自己資金とは一体どうなのか。料金改訂による収入以外に別に方法はないのです、借入金というのは限界にきているのだから。そういうことであるならば、いわゆる施設の増強が六億から八億だとおっしゃるけれども、やはり局舎関係のある部分は当然こちらに見なければ、総体的な施設の増強にはならない、借入金で局舎関係の改善をしていくならば、その面において、もうすでに財政の破綻がきておる、こういうことを私は指摘をしておるのです。ですから言われるように、なるほどこまかにその積算をされまして、この年間の収入に対して六億ないし七億、八億の施設の増強をやっていこうということだけれども、肝心な局舎のことがこの中に考慮に入っていない、勘定に入っていない、それならばこの計画はすでに根底においてあやまちを犯しているのじゃないのか、こう聞いているのですがね。意味はわかりますか。もしおわかりにならなければ、この八億で——なるほど、六億ないし八億程度ならば二千数百億の歳入の中から見ていくのはそうむずかしいことではないでしょう、あるいはもっと出せるかもしれない、しかし、それは局舎というものを残しているからですよ、はずれているからそういうことであって、これを入れたならばどうなるか、その辺が私は一番問題になってくると思うのですよ。長期計画の中にそういうことをお考えになっているのですか。
  183. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 局舎を除いてと実は申しましたのは、局舎の部分は幾ら計画いたしましても、実は四十年度までにはこれから計画する分の経費は出てこない、何年か据え置くわけでございますから。そういう意味で申し上げたのでありまして、局舎の計画は別途計画していかなくちゃならない、しかしその利払い等は四十六年度以降において大きく出てくるのじゃないか、と申しますのは、来年度まで実は過去の八カ年計画があるわけです。ですからその程度のことでありますと、三十八年度の債務負担行為というものが残って参りますし、それから三十億借りになると償還も三十億になる、それでかりに三十九年、四十年になって大きな局舎計画を作りましても、それは建設勘定は借りだけだから、利払い、償還等は四十一年、いわゆる十カ年計画後半に影響してくるのじゃなかろうかということを申し上げましたので、別ということは、全然別な計画をしておるという意味じゃない、いろいろな局舎の建築については最初の二、三カ年間は今までの八カ年の延長になる、それからあと新規計画を作っていくとしますならば、それは作ってもこの損益関係には直接一年間で影響は出てこないのじゃないか、四十一年度以降の後半には相当影響が出てくるのじゃなかろうか、こういう意味で別と申し上げたわけです。
  184. 森中守義

    森中守義君 わかりました。それから局舎関係が出ましたので、事のついでで悪いけれども、ちょっと聞いておきますが、ある一定の地域に新築の局舎を作りたい、こういう場合に、一昨年でしたか、例の税制の改革によりまして、なかなか土地の入手が困難である、こういうことで、まあことし五十八億の建設予算が組まれているようですが、これは完全に消化の自信がありますか、また三十五年で土地の問題にからんできて繰り越しになった内容。繰り越しの分がありますか。
  185. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 本年三十五年度の繰り越しが幾らになるか、今まだ建築と相談いたしておりますけれども、集計ができておりません。しかし三十四年度に七億弱、その前の年が四億くらいの繰り越しがありましたので、極力努力してやらなくちゃなりませんけれども、繰り越しが絶無だと言い切るほどの自信はございません。
  186. 森中守義

    森中守義君 それからこれは非常に具体的な問題になりますが、郵政省で土地買収の際のいわゆる土地の標準価額は、勧業銀行あたりの評価によっているのですね。従って完全に時価に対してはずれておる、だから売り主の方は容易に手放さないということで、二カ月、三カ月、半年、長い場合は一年くらいかかった例が全国的にかなり私はあると思います。私の知っている範囲でもそういうものがあります。そこで、この予算を基礎にしておやりになる仕事だから、不当に高いものを買っていいということは許されない、もちろん会計検査院等もやかましいでしょう、しかし、もう少し土地買収については特段の考慮が払われていいのではないですか、現在の土地の評価、あるいはもう税制改革によりまして強制的に買うことはできないです、別な方法を講じないと。こういう面から相当隘路に到達しているのではないか、私はそう思うのです。もちろん人の問題もありましょう、設計あるいは監督、資材の購入、いろいろ問題はありましょうが、少なくとも郵政省の建築の場合に、他に比べて非常にスムーズにいっているとはどうも思えない節があるのです。その最大の出発点は、土地に対する評価が少し辛過ぎる、時価に相当していない、こういうことをよく聞くのですが、経理局長はどういうふうにその辺の事情を把握しておりますか。
  187. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) おっしゃったように、土地に対する評価の問題で買収がおくれた、そういう例はたくさんあろうかと思います。ただ、御承知のようにこういう問題につきましては、大蔵省としましては建設省筆の単価、そういうものとの関連がありまして、うちの建築でいろいろ要求いたしましても、全般的には一つの標準があるんだということで、話がなかなかつかないという点があるように聞いております。そこで、単価の点はそういうことでなかなか解決がつきませんといたしましても、繰り越しをできるだけ少なくするように、十年ほど前までは土地と建物等を当該年度に一ぺんに買ってすぐ作ることを考えておりましたが、今はそんなことはしませんで、土地を先行して買うという程度の努力はいたしておるのです。詳細な土地の評価につきましては建築部でやっておりますから、私としてはこれ以上詳しいことについてはつまびらかにいたしておりません。
  188. 森中守義

    森中守義君 この問題は、きのうきょう始まった問題ではありませんし、ぜひ一つ特殊な問題として当局の方で検討される必要があると思いますから、早急に一つ検討願いたいと思います。  それから官房長にちょっと聞いておきますけれども、多少旧聞に属しますが、あなたに私は答えをしてもらっていない問題です。それは、電電公社おいでになりますが、例の税制改革と同時に、土地の入手という問題は喫緊の急務である、しかるがゆえに早急に人的な措置を講ずるように、こういうことをあなたにお願いしたことがあります。もちろんそれは電電公社は、税制改革と同時に中央あるいは地方の通信局段階でも土地買収専門の調査役かなんか配置されたようです。非常に時宜を得た措置である、だから公社と郵政の局舎建築の規模というものは、必ずしも同様ではありませんけれども、大体形態としては、土地の入手に関する限り、同じことになっているだろう、公社でそういう措置をおとりになったならば、郵政でも早速そういうことを検討されていいのではないか、こういうことを申し上げたことがあります。そのときに官房長は、すぐ一つ検討を加えてと、こういう答弁があったのですが、私の関知する限り、今なおその種の人の配置は行なわれていないようです。どういうことになりましたか。
  189. 荒巻伊勢雄

    政府委員荒巻伊勢雄君) 建築の要員の問題につきましては、三十五年度すなわち当年度におきましては若干の要員増を認められておるわけでございます。しかし土地買収ということに関連して管理要員を増強するというような御提案が昨年度森中先生からお話しがございましたことを私も覚えておりますが、管理要員の増員問題につきましては、予算要求をいたしたのでございまするけれども、遺憾ながら大蔵省の認めるところになっていないということで、電電の調査役というような土地収用関係の専門の担当官を置くというようなふうになってないのは、まことに遺憾な点だと思います。
  190. 森中守義

    森中守義君 これは相手のある仕事で、一がいにあなたを責めてもどうにもなりませんが、しかし、土地の買収は、先刻申し上げましたように、価格の評価の問題もありましょうし、さらにまたむずかしい問題がいろいろ介在いたしますので、根気強く、願わくば来年ぐらいにはこの措置が完全にとれるように、そして局舎の改築に難渋を来たさないように、この機会にもう一回あなたにお願いをしておきたいと思います。  それからもう一つの問題は、人件費の確保のために料金改訂をやった、こういうことなんですが、大体郵政の人件費というものは、歳出全体の予算の何%に当たりますか。
  191. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 七八%ぐらいだと思います。
  192. 森中守義

    森中守義君 七八%ぐらいのようですけれども、これは他の同種産業に比べてどうなんですか。
  193. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) そのことだけ見れば、相当高いと思います。しかし、御承知のように郵便貯金特別会計等が、郵政事業で一本になっておりますならば、相当変わってくると思うわけです。支払い利子であるとか、簡易保険の還付金とか、保険金とか、おのおのの会計で持ちまして、人件費の分だけ郵政会計に入れてしまっておるものですから、そういうことで考えますと、郵便としては相当高いと思いますけれども、貯金保険等はそう高くないのじゃないか。しかし、郵政事業の中で見ますと、貯金保険人件費は全部郵政会計の中に入っておりますから、比率としては相当高くなっております。ほかの類似産業等の例は、ちょっと私手元に資料を持っておりません。
  194. 森中守義

    森中守義君 私は、高い安いという標準は何によるかという問題になると、あなたの方で出された「目で見る郵便事業」という、こういうPR用の冊子がありますね。この中で「各国郵便事業人件費物件費の割合」、こういうのが出ております。これからいきますと、日本の場合は人件費が七三%で物件費が二七%、英国では人件費が七四%に物件費が二六、アメリカでは七五と二五、フランスが七〇と三〇ということで、各主要な国の郵政事業人件費と物件費の比率は、これから見るならば、決して日本は不当に高いとは思いません。さらば、そういうように歳出全体の中に占める人件費の比率から見た場合に、今から五年間毎年どのくらい人件費を見るのですか。もっと具体的に申し上げますならば、きのう仲裁裁定が出ましたね、来年あるいは再来年というように、四十年の間に毎年国民生活の向上、生活水準の向上に対応して、郵政職員といえども当然に処遇の改善が行なわれてしかるべきであろうと思うのです。ですから、この料金改訂によりまして、各年度ごとにどのくらいずつベース・アップを見るか、それを一つ最初に聞かしてくれませんか。
  195. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 実は、きのうのきょうでございますので、新しいベース・アップの分の将来五ヵ年間にどう伸びていくかという分計は、まだこまかくいたしておりませんが、この計画を最初作りましたときには、大体過去の例から考えまして、八%ずつ平均伸びておるからということで、それを作ったわけです。そうして十分収支まかなったわけでございますが、目の前にベース・アップの問題がありましたので、そのことは一応やめにいたしまして、そうして平常の短期昇給を四・五%見ていく、そのほかに若干のベ−ス・アップにたえる用意をしていこうじゃないかというふうに一応案を作ったわけでございます。その結果、今度の裁定の問題につきましては、郵政全体といたしましては百十二、三億の経費がかかると思います。これはまだ大蔵省とこまかく詰めておりませんけれども、百十二、三億かかると思いますが、そのうち郵政自体で分担すべきものが四四、五%というふうに考えますと、大体今年だけ考えましても、四十三、四億かかるのじゃなかろうかというふうに思います。そういうことで計算していきますと、予定に考えましたよりも——少しほかに回したい金もあったわけでございますが……。かといって、全然できないかというと、郵便だけ考えますと、何とか数字を合わせなければならぬのじゃないか。しかし、ほかの貯金保険その他のことにつきましては、まだこまかい検討をいたしておりませんので、総体の数を詰めまして、その分計、あるいは予算的措置をどうするかということは、これからの問題になりますが、今の情勢では、このいわゆる料金価上げ表を見まして、つじつまを何とか合わせられるだろうと、こういうふうに思っております。
  196. 森中守義

    森中守義君 どうも経理局長かみそりのように切れるものだから、ちょっと私も聞きそびれましたけれども、今度の仲裁裁定のことはだれも聞いていないのですよ。問題は、八%とあなたが言われた、その八%の方針を今度変えたのですか。
  197. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 先ほど申し上げましたように、最初案を作りましたときには、過去五カ年間の人件費が、あるときには千二百円、あるときには八百円、あるときには二百円というようなベース・アップがあったわけです。平均いたしますと、定期昇給を入れて八%あったわけです。そういうことで料金値上げ前に案を作ってみたわけです。しかし、どうも目の前に相当大きなことが起こりそうだということで、八%をとりやめにいたしまして、そして定期昇給だけをまず見る、そのほかにベース・アップに幾分かの備えをしていこういうことで案を作ったわけでございます。
  198. 森中守義

    森中守義君 その辺が非常に議論の中心になってくると思うのですよ。今言われた八%の中に、定期昇給四・五%見たということになりますと、在来郵政の方で言われてきていた話によれば、過去五ヵ年間の実績だと——その実績とは何かといえば、要するに、ベース・アップと定期昇給を見込んで八%だと、こういうお話だったのです。だから、結局ベース・アップが三・五%ということになるのでしょうが、来年からどういうように見込みますか。この料金改訂によって何%ずつ——昇給の四・五%はよいとして、ベース・アップは幾らに見ていきますか。
  199. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) そこで、最初の案のときには、三十六年度も三十五年度に対して八%ということで、四十年度まで毎年ずっと八%で見ていたわけです。そうしますと、今までの千二百円であるとか八百円であるとか二百円であるとか、こみになりますけれども、その分のベース・アップは見れるということで計算いたしますと、今度の料金収入でももちろん十分まかなえるわけです。しかし、それでは目の前に、第一年度に非常に大きなべース・アップの問題もありましたので、その構想は一応やめにいたしまして、そうして四・五%の定期昇給だけをまず見まして、そうして新たに幾らかのベース・アップに備えるような金を別に包んで含まして見ていこうじゃないかという計算をいたしたわけであります。
  200. 森中守義

    森中守義君 これは過去五ヵ年間というお話ですが、この過去五ヵ年の実績で、短期昇給もベース・アップも八%ずつ見てきたと言われますけれども、御承知のように——御承知というよりも、当事者であるあなた方が一番御存じなんですけれども、他の企業体等に比べまして、郵政省とその相手である全逓との貸金論争、賃金闘争というものは、今まで円満に解決しておった事例がないのですね。相当ごたごたやって、金があるのないのというあげくの果てに、やっと話がついている。その限界において八%ですか、それとも予算を逆算をして八%と出したのですか、どっちですか。
  201. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 御承知の通り、もちろん組合との間にいろいろな論争をいたしましたが、ベース・アップに関しましては、ことごとく仲裁裁定をもらってきめた数字でございます。
  202. 森中守義

    森中守義君 それで、過去五ヵ年間の実績による八%はいいとしましても、今四・五%だけしか、来年から定期昇給だけしか見ていないと、ベース・アップを見ていないとおっしゃるのですが、それを見なければ実際問題としては予算組めないじゃないですか。幾らに見るのですか。
  203. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) それで八%の見方をやめまして四・五%ずつふえる見方をしたほかに、ベース・アップに備える金を一応用意してこの計画を作ったわけです。
  204. 森中守義

    森中守義君 何%。
  205. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) そこで、実は非常にベース・アップがはっきりいたしませんので困っておりましたが、きのうの裁定の結果数字が出ましたので、先ほど申し上げましたように、およそ四三、四億の経費が要るのじゃなかろうかと思うわけです。そこで、これに対しまして、昇給率を計算いたしまして、そしてこの案を少し修正しなければならぬわけです。しかし今申し上げましたように、きのうのきょうでございますので、まだはっきりした計算はできませんけれども、何とかこの中で、入っていけるのじゃなかろうかと、こういうふうに考えておりますが、もうしばらく時日をかしていただきまして、この辺は各事業別のこともありますが、補正になるのかならぬのかという点もございますので、もうしばらく検討さしていただきたいと思います。ただし、絶対不可能であるとか、ものすごく金が余ったとか、そういう話しとは全然ほど遠いことでございますので、その辺のところ、もうしばらく時日をかしていただきたい。
  206. 森中守義

    森中守義君 経理局長、それはそれでいいですが、その来年の見積りが正確に数字として出ないということであれば、それはやむを得ないとして、三十七年以降仲裁裁定で話しが片づくのか、あるいは双方の話し合いで片づくのか、そのどちらになるか予測できませんけれども、要すれば、仲裁裁定が出た場合には完全に実施し得る、料金改訂が人件費増加に対応することだということであれば、そういうような筋合いでなければならぬと思うのですが、その自信ありますか。
  207. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) そこで昭和三十六年につきましては、数字がある程度はっきりいたしておりますけれども、三十七年度以降、これが定期昇給その他を、それからベース・アップをどう見込んでいくか、全く未決の状態になっておるわけです。そこできのう裁定が出ましたので、それを基礎にしまして、その定期昇給が幾らになるのか、収支締めた結果が幾らになるのか、その明細ができかねておる。それから収入面から考えますと、私どもは今まで三十六年度おいては利用減七%、三十七年度四%、三十八年度は一%見ておりますけれども、その辺の利用減の見方というものがいろいろ問題を含んでおるわけでございますので、そういう点と合わせましていきまして、私はよほど突発的なことがない限り、何とかこの中でつじつまが合わんだろうかという目算をしておりますけれども、もうしばらく日にちをかしていただきまして、その辺をはっきりいたしたいと思っております。
  208. 森中守義

    森中守義君 そこで、結局最初お尋ねした料金改訂の必要ということは、三本の柱になっておる。その三本の柱をそれぞれ分析していった場合に、向こう五ヵ年間はたして、この改訂料金でいけるかどうかということは、少なくとも今お話しいただいてきた範囲からいくならば、相当私は危険じゃないか。こういうように思うのです。正確に五ヵ年間持ちますか。   〔副主査退席、主査着席〕
  209. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 私は五ヵ年間よほど突発的なこと、あるいは連続ものすごいベース・アップでもなければ持つという計算でおりましたが、昨日の裁定が出て参りまして、相当大幅の金額でもございますし、これをもう少し分析いたしまして来年以降の収入と見合わせまして、さらにはっきりした御返事を、もう少し時日をかしていただいて申し上げたいと考えております。
  210. 森中守義

    森中守義君 そこで、この関係の最終のお尋ねになりますが、政府の方では、労働大臣、官房長官がおのおの談話を発表して、仲裁裁定は完全に実施する、こういうことを言明されております。政府全体の意向がそうであれば、郵政ももちろんそうなくちゃいかぬと私は思うのですが、二千二百円一律の完全実施ということは、皆さんの方でおやりになりますね。
  211. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) 先ほど来申し上げておりますように、三十六年度に関する限り、しかも郵便に関する限りは、私はこの問題についてはやっていけるのじゃないか。あと先生おっしゃいましたように、四十年までの計数がどうかということについては、もっと検討しなければならぬというふうに考えております。  なお、郵政全体といたしましては、郵便以外に貯金保険、委託業務等の経費をまとめてやらなくちゃいけませんので、政府全体としての正式の話しになると、方針としては裁定を守るということでありますならば、われわれとしましては大蔵省とも話し、所定の予算手続が要りますならばその手続を整えまして、そういう方針の通りにしなければいかぬだろうと思っております。
  212. 森中守義

    森中守義君 貯金局長にちょっとお尋ねしますが、貯金の利子の引き下げが行なわれていますが、私は元来郵便貯金というものは、他の金融機関の利子とはだいぶ性質が違うと思うのです。しかるに一般金融機関の利子が引き下げになったので、これに対応するというかまえで貯金利子が引き下げられたのですか、どういうようにお考えになっておりますか。
  213. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 私どもとしましても、郵便貯金は御承知のように零細な預金という性格を持っておりますので、金利の点においてもほかの預金と違った取り扱いというものを望んでおり、また現に望んでおるわけでございますが、今度の金利の引き下げが、政府が指導的な役割をやりながら国際金利のさや寄せをはかるというようなことでやられましたので、政府自身として、あるいは政府機関の一部としてこれに協力をせざるを得ないということで、まあ協力をいたすことになったというわけでございます。
  214. 森中守義

    森中守義君 今、局長のお話しにもあったように、一般の金融機関と郵便貯金はおのずから違うと、こういうことなんですが、何か感じとしましては、おつき合いをしたのだ、させられたのだという感じがしますけれども、あなたの方で、やはり郵便貯金の性格、性質ということをお考えになるならば、下げる必要はなかったのじゃないですか。どのくらい大蔵省に抵抗されましたか。
  215. 大塚茂

    政府委員(大塚茂君) 決定をいたすまでにはいろいろないきさつがございますが、これは公に申し上げていいのか悪いのかという問題もございます。とにかく相当の期間をかけまして関係方面といろいろ相談をいたしました結果、先ほど言いました政府の低金利対策に順応するという結論になったわけでございます。
  216. 森中守義

    森中守義君 それからちょっと私予算書でわからないところがあるのですが、五百九十一ページの未収金というところがありますね、三十億二千五百九十五万ですか、この未収金というのは何ですか。
  217. 佐方信博

    政府委員佐方信博君) これは内容的には私こまかくまだ……。これは決算をもとにして作ったものだと思いますが、おそらくたとえば郵便の後納料金でありますとか、別納料金等を調定だけしまして、そうして翌月に入ってくるという金ではなかろうかと思います。あとこの内訳はちょっとここに持っておりませんのでわかりませんけれども、そういうものだと思います。
  218. 森中守義

    森中守義君 わかりました。郵政省はいいです。
  219. 武藤常介

    主査武藤常介君) 電電公社の方も朝からお待ちでありまして、時間もありませんから、どうぞ御質問は簡潔にお願いしたいと思います
  220. 森中守義

    森中守義君 たいへんどうも電電公社に御迷惑をかけましたが、二、三お尋ねいたします。  最初に、大臣おいでになりませんから、政務次官にお尋ねいたしますが、三十五年の四月から三十六年の二月にかけて行政管理庁が行政監察をやっております。その結果に基づいて勧告を郵政大臣にしておりますが、政務次官御存じですか。
  221. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 承知しております。
  222. 森中守義

    森中守義君 この勧告の結果についてどういう取り扱いをすることになっておりますか。
  223. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 勧告事項につきまして郵政省から回答いたしました。
  224. 森中守義

    森中守義君 回答を行なわれましたか。
  225. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 回答をいたしました。
  226. 森中守義

    森中守義君 ここにお持ちですか。
  227. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 持っております。
  228. 森中守義

    森中守義君 それでは第一に指摘をされている「郵政省の公社予算の調整について」、これに対する大臣回答の内容をちょっと読み上げていただきたい。
  229. 森山欽司

    政府委員(森山欽司君) 監理官の方から……。
  230. 森中守義

    森中守義君 いただきましたこれに回答が出ておりますが、ここに指摘されているのは、郵政省と公社との関係、ことに公社の予算に関する原則的な、しかも基本的な私は問題であろうと思うのですが、行管の指摘しているところでは、相当長い年月この種の方式を採用してきた。こういったように表現されております。従って各年度予算編成にあたってこの種のことに対する郵政省としての反省が行なわれてこなかったのですか。
  231. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実はこの問題につきましては、毎年の予算の折衝の場合におきまして、郵政省といたしましてもいろいろと努力はするわけでございますが、なかなか思うようにまかせませんで、行管の方からもこういうふうな指摘を受けましたので、実は本年度予算につきましては相当私どもも、特に郵政大臣以下がんばりまして、所定の目的である——最初から私どもその方針を定めました五十万加入の獲得その他の事項につきましても、大体目的を達し得たというふうに考えておるわけでございます。
  232. 森中守義

    森中守義君 この勧告によりますと、今まで調整権が放棄されていた、かなりきつい表現になっていますよ。だから皆さん方が非常に御苦労されていることは毎年よく知っておりますけれども、明確に郵政大臣の所掌としてきめられていることが放棄されているというふうに行管が見ているのです。一体どういうふうにお考えになりますか。
  233. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実はその問題につきましては、私どもも従来からこの点については極力努力はしたわけでございますが、実際問題といたしまして、最終的に予算のまとまりをつけますときに、郵政省も言っておりますように、いつも内容的には削減をされた形で落ちつくということでございましたので、行政管理庁の方から見れば、それは調整権が非常に弱いのだということで、そういう御非難を受けたかと思う次第でございます。しかし本年度は、初めから五十万加入達成を明確にいたしまして、その線で最後まで通したものでございますから、本年度は何とか所期の目的を達せられるというふうに考えておる次第でございます。
  234. 森中守義

    森中守義君 この公社予算は、郵政大臣の責任において国会に出される、こういう筋合いのものであり、かつまた法律によって調整権があるということですから、少なくともこういう勧告を再度受けないように、もちろんこれは要望にもなります。だからといって、電電公社はじっとしていて、郵政大臣だけが予算折衝に当たればいい、こういう筋合いのものでもないと思いますが、この指摘というのは、私どもも実は奇異に感ずるようなところもありますが、ぜひ一つ今後の重要な課題として、郵政の方で一段の御努力を願っておきたい、こういうように思うのです。  それから「公社経営管理の組織と運用について」という第二の勧告があります。これは将来具体的にどういうことにおやりになりますか。
  235. 松田英一

    政府委員(松田英一君) この問題につきましては、郵政省からの回答の中にも書いてあるわけでございますが、問題は経営委員会の問題、それから監事制度の問題、さらに公社の執行体制の問題というふうに別れて参りまして、経営委員会の問題につきましては、これは行管の方からいろいろと指摘を受けましたけれども、これは現在の公社法上における経営委員会というものの仕組みそのものから考えまして、現在の法律の形のもとにおける経営委員会としては、相当の実績もためてあると思いますが、しかし、なおそれにいたしましても、経営委員会としては、従来やや形式的に扱っていた面もあるように考えられますので、その点は監事制度を十分活用いたしまして、行管の言っておられる趣旨というものも、今後さらに達成できるようにやって参りたいというふうに私どもも考え、この点におきましては、公社もそういうふうに考えて今後努力して参りたい。従いまして、たとえば付議事項のようなものにつきましては、従来のものを相当考え直しまして、ほんとうに重要な公社の経営の基本方針に触れるようなものを主にしてやって参る、形式的なものはやめるというような観点で進んで参ることにいたしております。  それから監事の問題につきましても、監事ができましてから、この勧告の中には一年と書いてございますが、その後、現在では大体三年程度たっているわけでございますが、監事というものが経営委員会の任命ということに、これは実は国会修正でなったわけでございます。そういうことになりました趣旨から考えましても、経営委員会というものが、その方針というものを意思決定いたします場合に、公社の重要政策というものはどういう工合に遂行されているかということを、監事というものを通じて実情を把握し、それによって経営委員会がさらに最高意思を決定するというように活用されるべきであるという考えは、私どもも同様に考えておりましたので、その意味においては、監事というものの一そうの活用をはかってもらうということで、公社もそういうお考えでございまして、そのように努力することになっているわけでございます。  それからさらに執行体制の問題につきましては、この中に常務会というようなものを置いて、この考えでいく方向というものを一つ考えとして示唆しておりますけれども、この点につきましては、現実に公社の執行というものをより効率的にいたします場合に、はたして常務というような形の理事を置いて運行していくのがいいのかどうか、その点は下手をいたしまして屋上屋というふうな形になっては、かえって公社の運営の能率を阻害するということも考えられますので……。しかしいずれにいたしましても、公社の執行機関である総裁あるいは副総裁、さらに理事というものの責任は重要でございますので、その執行体制というものを強化するということは、私どもももちろんそういうことで考えていかなければならないし、現在の公社の運行からいたしましても、その辺は十分に留意をする必要があると考えておりますので、公社といたしましても、その点については能率を阻害しないように、あるいは非常に能率を発揮し得るように、体制というものを具体的に考える、そのためには、もうしばらく検討の時期を要しますので、検討した結果、その方向に進んで参りたいという考えを持っているわけでございます。私どもそういう趣旨でその中に書いておるわけでございます。
  236. 森中守義

    森中守義君 私はこの全体につきまして、しさいに検討すれば、公社のこれからの性格ということにも勢い論及せざるを得ないと思います。従ってこの種の問題については、また機会を別な場所に譲りたいと思いますが、多少承っておきたいと思いますのは、ここに書いてあるように、最高の意思決定機関である経営委員会と執行機関との関係が、何かこう逆な立場に立っているのではないかというような指摘をしておりますし、執行機関が強過ぎて、経営委員会というものは、ただあるだけのことだ、すべて受動的に物事を処理していくに過ぎない、こういう表現がここに使われておるわけです。しかし公社法の建前からいくならば、ここに指摘されている行管の考えというものが私は正しいと思うのですよ。それならばなぜこういうことになるか、この根源についてどういうようにお考えになりますか。それは非常に大事なことだから、政務次官の方がいいのじゃないですか。これはやはり大臣答弁ものです。
  237. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 微力でございますけれども……。
  238. 森中守義

    森中守義君 いや、そういう意味じゃないけれども、立場が立場だから……。どういうようにお考えになりますか。
  239. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実はその問題は非常にむずかしい問題でございまして、経営の最高責任と申しますか、執行機関の長としての責任、また公社の代表者でもある総裁というものの責任は非常に重くございまして、しかし一方、経営委員会というのは最高意思決定機関である、しかし経営委員会そのものが執行をするわけじゃございませんで、経委営員会というのは、あくまでも意思決定機関でございますので、執行は総裁がやっていかなければならない、従って、そのときの総裁と、最高意思決定機関である経営委員会というものとの関係というものは、一にして二ならずという非常にむずかしい関係を生ずるわけでございます。それで、実際問題といたしまして、今まで公社の総裁は非常に人格者でございますから、経営委員会の方々に対しても腹臓なく話しもされておられますし、それから経営委員会の方々も、また各方面の非常に権威の方であり、また非常に熱心な方でもございますので、お互いの話し合いというものは、円滑によく行なわれておるようでございます。ところが実際問題といたしまして、そういういろいろな問題についての、総裁と経営委員会の間の話し合いというものは、これは実は形式的にあとへ残るというような形にはなかなかならないで、これは非常に両者の間が密接にうまくいっておればいっておるほどそういう形になるのではないかと思うのですが、そのために、実際書類として上がりましたもの、それの結果として残りましたもの、そういうものを見ますと、割に簡単に事が扱われておるというふうに見える面が多分にあるわけでございます。そういう点から、ややこの行管の御指摘のような面が現われて参ります。もちろんそういことは、両方ともにりっぱな動きをしておりましても、確かに、たとえば付議事項の問題等につきましては非常に形式的な取り扱い方をしておったという面もないではございませんでしたので、そういう面からも指摘を受けるような結果になったと考える次第でございます。そこで、私どもそういう状況というものをよく行管にも御説明申し上げましたし、また実は異例ではございますけれども、私どもは公社の自主性というものを尊重いたしますために、経営委員会の席上に郵政省の人たちが出ていくというようなことも今まで一度もしない、つまり差し控えておりましたけれども、事この答申を出すにつきましては、待に懇談をいたしたいということで、経営委員会の方々の意見も直接に聞いて、いろいろとお話しも承ったわけでございますが、その意味においても経営委員の方々の意見というものも、自分らの立場を放棄しておられるように、あるいは何と申しますか、形式的に、諮問機関的に動いているという考えでは決してない。しかし何分にも事実の動きといたしましては、この経営委員の方々というのは各界で活躍をしておられる方でございますので、またその各界で活躍しておられる方の意見というものが、それ自体が非常にまた意義を持つということでもございますので、実際の動きといたしましては、何と申しますか、ここでみずからリードしていくというような形にまでいってない面があった。しかしその面においては、今後は監事というものを活用することによって十分公社の動きというものを積極的に自分らも把握するように努力をして、そして今後なお努めていこうというお考えを伺いましたので、そこでそういう線で今後の改善を期していきたいという結論に達しまして、郵政省答申を出したわけでございます。
  240. 森中守義

    森中守義君 確かに今お話しの中にありましたように、経営委員会と執行機関との相互の信頼による、これは私はそうなくちゃならないと思います。また、そのことが結果的にこういう指摘の材料になったとも思えるのです。その限りにおいては、経営委員会と執行機関との相互信頼ということは、より濃度を深めていかなければならないでしょうが、しかし公社法の十条にいうこの規定の事項からいくならば、そういう機関と機関との相互信頼あるいは経営委員長と総裁との信頼、それ以外のものを当然法律としては要求しているわけですよ。そこで、そういう信頼の問題を一応別にしますと、法律が要求しているにもかかわらず、この種の欠陥が指摘されたということの原因は、どういうようにお考えになりますか。具体的に申し上げるならば、今、監理官は、経営委員が各界においでになり、各界で活躍されているから、そういう面からも経営委員としては非常にいいんだ、こういうことなんですが、それも一つの私は理由であろうと思う。しかし一つの具体的な問題としましては、経営委員は常駐であるのか、あるいは非常駐であるのか、その辺のことも多少吟味の対象になると思う。まあこれは私の一つ意見ですけれども、要するに相互信頼以外の、すなわち法律に要求されている経営委員会の任務、それがこういう形に現われてきたというその根源は、どういうふうに思いますか。
  241. 松田英一

    政府委員(松田英一君) この点は非常にむずかしい次第でございますが、その点におきましてはやはり経営委員の方々というものもいろいろ考えてはおられましても、実際の材料というものを、経営委員の方々の意思決定をされるについて必要と認められるような材料というものを、やはりよく聞かしてもらう必要がある、そういう意味において経営委員会が任命をいたしました監事というものがもっと活躍をして、そういう意味で経営委員のそういう要求を果たす、この点について、実はまだ監事ができましてから日が浅うございましたので、十分な活躍がまだできなかった、そういう点から今後はそういう方面に一そう力を入れていきたいというようなことに相なるのじゃないかと考えておるわけでございます。ただその場合に、経営委員会の中に常任の人を持つかどうかという問題も考えられるわけでございますけれども、これはもちろん現在の法律ではできないわけでございますが、経営委員というものが常勤でいるということになりますと、もちろん経営委員会は会としてでございますから、その経営委員というものは、単独には力を持たないわけでございますけれども、しかし経営委員という重い地位にある人が常勤でいる場合には、これは執行機関である総裁と、その経営委員との関係というものは、やはりお互いに人間関係でございますので、非常に公社の中においてはデリケートな関係を生ずる、そういう点で、かえって公社の円滑な運営上問題があるのじゃないかというふうにも考えられますので、むしろその点は監事という定まった職責を持っている者を活用するということによって問題は解決でき、また効果も上がるのじゃないかというふうに考えております。
  242. 森中守義

    森中守義君 ちょっとお話しが抽象的でしてね、おっしゃっていることはわかりますけれども、私は、やはり経営委員という制度がなぜ置かれたのか、それがやはり公社法十条のいう——法律の要求だと思うのですよ。そのことを考えますと、なるほどこれは答申というのですか、措置結果というのですかわかりませんが、一つには、さっき申し上げたように、執行機関と経営委員会との、機関としての相互信頼、総裁、経営委員長という人間としての信頼の度合い、これは否定いたしません。ところが問題になってきますのは、総裁、副総裁が特別委員としてお入りになっているということが一つ、その他の委員の皆さん方も全部非常勤であるということ、その辺にずいぶん経営委員会の性格があらためて検討される時期にきたのじゃないか、こういうように思うのですが、どうですか。
  243. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その問題はまあほんとうにこういう公社の経営の最高のあり方というものに対するむずかしい問題でございまして、この点は幾つかいろいろな問題が考えられたわけでございまして、結局、国鉄の場合には、経営委員会というものがありましたのですけれども、国鉄のそれまでの実績の結果を考えまして、経営委員会上りは総裁と申しますか、総裁、副総裁、理事、それで全体としては理事会という形が、むしろ日本として考えればその形の方がよりスムーズに動く方法である、経営委員会という、いわば何と申しますか、日本の国としては新しい方法をとったが、その新しい方法がよくなじめなかったということになるのじゃないかとも思いますが、国鉄の場合には理事会の方がいいのだということで法律改正をせられておるわけであります。電電公社の場合にそこまでいっているかどうかという問題につきましては、たまたま行政管理庁からこのような指摘を受けましたものの、しかし電電公社の中におきましては、まだそういう踏み切りをしなければならない段階までには至っていない、むしろ経営委員会の方々も非常によくやっておられますし、いま少しこの運用というものを気をつけていけば、現在の形の経営委員会と総裁ということでも、今までよりはもっとよく、しかもその目的を達せられるのではないかというふうに私どもも考えましたし、また行政管理庁においてもいろいろ話しをしましたところ、そういうふうに考えておられる模様でございますので、こういう郵政省意見を行政管理庁にまた申し上げた次第でございます。
  244. 森中守義

    森中守義君 行管は、自体、こういう経緯をたどったからここで再検討の時期であるということは、答えとして出しておる、この勧告によりますとね。しかし公社ができたのは二十七年でございますね。約十年近くたっているわけです。それで、その十年間の中における経営委員会のあり方というものは、一つの事実を基礎にして歴史的な判断の中から、行管のこの種勧告があったということは、これは決して好ましいことではない。好ましいことではございませんけれども、やはり公衆電気通信法をより正しく守っていくということ、より正しく運営していくということ、極端に言えば経営委員会というものは利用者の代表でもありましょう。あるいは国民の代表でもありましょう。そういう角度から経営委員ができて、その人たちによって最高の意思をきめる、こういうことですから、少なくともこの行管の指摘は、私はその意味においては、何回も申し上げるようですが、相互信頼ということ以外の法律の要求として、もっと中身のあるお仕事をやっていただくべきじゃなかろうか。こう思うのです。ところが、今、監理官の御答弁によりますと、じゃなぜそういうような欠陥が、こういう現象が生じたのかということに対する掘り下げ方というものは、私は満足できません。もうちょっとこれは徹底的に掘り下げていただかないと大へんなことになると思うのです。だからそういうふうに考えるならば、この十年間の経営委員会の実績の中から判断できるものは、やはり再検討しよう。常駐か非常駐か、正副総裁を特別委員として入れるべきかどうか。この辺が一つの答えになってくると思うのですが、いかがでございますか。これから先この問題をもう少し掘り下げて検討される御意思はありませんか。
  245. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 森中先生のおっしゃいます点は、まことにごもっともでございますし、私どもも公社がいかに最もいい姿にならなければならないかということは、郵政省として常に考えていなければならない問題でもございます。その問題は、なお今後一そう検討を深めて参りたい。かように考えております。
  246. 森中守義

    森中守義君 この席に本来ならば古野経営委員長にお越し願いまして、経営委員会にもいろいろ私はお尋ねする必要があるのです。まあしかしそれは別の機会にしまして、行管のその中では、経営委員会が自発的に発議をした事例は一つもない、第一次五ヵ年計一画、第二次五ヵ年計画、あるいは第二次の改訂計画、こういう重要な問題が執行部から提案されて、はい、よろしゅうございましょう、こういうことで来ておると指摘しております。ところが、公社法十条の要請しているところでは、この種重要な計画というものは、執行部がやるのじゃなくして、むしろ経営委員会みずからが計画に当たるべきだ、最高の意思決定機関と、こういうのですから、まあ実際問題として経営委員会の今日の状態から、そういうことの可能性があるかないかというのは、多分に議論がありますけれども、法律の要請はそうなんです。ところが、改訂計画についても、その他重要な問題についても、一回だって経営委員会は自発的に発議をしていない。受動的に執行部の提案をうのみにしている。これでは、経営委員会の任務を放棄したのではないかというような意味合いの勧告だと私は受け取れるのです。そうなりますと、大へんくどいようですけれども、やはり経営委員会のあり方ということについては、当然私は再検討すべきじゃないか。こういうふうに思いますし、今、監理官の御答弁だともっと掘り下げて検討したい。こういうことのようですから、どういう形でそのことが現われてくるか。これから先の問題として、私も十分考慮しておきたいと思いますが、ぜひ一つこういうことのないように、また、その原因、欠陥というものを十二分に克服できるように、当局に私はお願いを申し上げておきたいと思います。  それから大橋総裁にちょっと伺っておきますが、総裁と副総裁が二人特別委員になっておいでになりますね。これは総裁と特別委員ということを兼ねておいでになるということは、今までの総裁の経験から言ってよろしいことですか。それともやはり執行部は執行部、特別委員でない方がいいか、こういうことについてはどういうふうにお考えになりますか。
  247. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいまのお尋ねについてお答えいたしますが、私の今日までの経験から言いますと、やはり現在のように、総裁、副総裁二人がいいか、一人がいいか、それは議論があるところですが、とにかく執行部の代表者が中に入って一緒に最高の意思決定に関与するということの方が、実際の運用上よろしいように私は考えております。
  248. 森中守義

    森中守義君 それからもう一つ総裁にお尋ねしますが、この勧告の中で、副総裁の任命をうたわれております。その内容は「副総裁は総裁と同様、経営委員会の同意による内閣の任命となっているが、総裁が自己の補佐役に対する人事権をもたないことは、内部統制上適当でないので、副総裁の任命は、経営委員会の同意を得て総裁が任命することが正しいと思う、明らかに現行の任命制度に対する否認の態度をこの勧告ではとっております。総裁、あなた御自身の直接の問題ですが、どういうようにお考えになりますか。
  249. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 私の今日までの実情から言いますと、ぜひこの勧告のように総裁の任命にしないと困るという実情ではありませんから、必らずしも……。しかし、かように改めましても——理論的には現行の方が正しいのじゃないかという気もいたします。この点は監督官庁の郵政省おいて適当に御考慮を願ってよろしいと思います。
  250. 森中守義

    森中守義君 郵政省はどういうふうにお考えになりますか。
  251. 松田英一

    政府委員(松田英一君) この問題は、私ちょっと先ほど少し触れるのを落としましたのですが、この回答の中にも書いてございますように、その点につきましては行政管理庁の意見は、私どもも妥当であると考えまして、公社法を修正する機会にそういう線でやって参りたいというふうに考えている次第でございます。
  252. 森中守義

    森中守義君 それから経営委員会の問題の中に逆戻りをするようですが、最近各種の審議会、あるいは経営委員会等につきまして、もう少し幅を広げよう、各界の代表というけれども、今までの経営委員会あるいは各種の審議会の構成というものは、必ずしも妥当な人的構成を得ているとは思えない。こういう風潮が非常に強いのです。具体的に言いますと、たとえば公社の中に勤めているいわゆる職員の代表、こういう人たちも経営委員の中に入れるべきではないか。こういう意見が最近強く意見として台頭して参りました。今公社法の改正の機会にという答弁ですが、いつのことをおさしになっているのかわかりませんけれども、今私が申し上げる公社の職員の中から経営委員に一名参加させるということについては、検討されたことがありますか。
  253. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その問題につきましては、私ども今までそういうことを考えたことはございます。しかし、結論といたしまして、そういうことにおきましては結局公社の職員というものは、公社の執行体制の一部でございまして、公社の執行体制というものは総裁が責任をもって動いておられるわけですから、総裁が経営委員会のメンバーとして入っておられる以上、それ以外に別に職員の代表が出て、そこでいろいろと経営の最高意思決定機関のところに参与するという必要はないものというふうに私どもは判定しておるのであります。
  254. 森中守義

    森中守義君 それは議論になりますから、きょうはここではおきますけれども、要するに、こういう経営の根源をなす経営委員会のあり方、あるいは副総裁の任命、こういうかなり重要な問題ですから、繰り返すようですけれども、ぜひ御検討をいただきたいと思います。  それからもう一つ、この中に出ているいわゆる地方分権的管理体制の確立と、これに対して出ておりますね、しかもこの中で言われているのは、なるほど地方分権の確立というものは漸次実行に移されております。しかしまだ中央集権のきらいが濃厚である、こういう結論のようです。そういうことになりますと、この地方分権ということは、実行段階に入ってまだ日が浅いので、今にわかに百パーセントの答えを求めるということはむずかしいかとも思いますけれども、正しい地方分権になるには、どうすればいいのですか、どういう指導を与えればいいのですか。これは一つ郵政省と総裁お二人から、おのおのお答えいただきたいと思います。
  255. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 公社の地方分権の問題、地方執行体制の問題につきましては、事柄は公社のいわば内部秩序の問題、あるいは内部運営の問題でございますので、郵政省といたしましては、やはり一応公社の自主性というものを尊重する建前から、公社の方でもいろいろと意見を述べておりますし、その意見で改善したいというように考えておるようでございますから、私どもといたしましては、一応その線で公社の努力というものを待つことにいたしまして、その結果としてまだ問題があるようでありましたならば、もちろん私ども監督官庁として取り上げなければなりませんが、幸いにこの行管に対する回答の問題としては、公社の自主的改善に待ちたいというふうに回答しております。
  256. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 地方分権の問題は、公社といたしましては終戦前から特に経営調査室において相当慎重に研究し、考慮した問題でございます。一応のめどがつきましたので、とりあえず一昨年か踏み切ったのであります。しかし、まだ実はその実行の途上にありますので、ほんとうに完成するには、まだ数年を要するかと思います。やはりあまり仕事の混乱を生ぜしめないで、できるだけ円滑にこの分権制度を実行していきたい、かような構想のもとに、逐次やっていくという方向をとっておりますので、まだ完全に私どもの理想通りには参っておりません。まだ完成するには数年を要することだと思っております。
  257. 森中守義

    森中守義君 それからこの勧告書の三十三ページの(3)項に、「総裁の業務負担よりみた要請」というのが出ておりまして、総裁が全業務、項目数で四百三十一の専決事項がある、とてもこれでは総裁が任務にたえ得られないのではないか、公社全体を総攬するには多少過重に陥るきらいがあるので、そのことを解消するためには、事務局を設置して、総裁が十二分に職掌が全うできるようにしたらどうか、こういうのが出ております。これもおそらく行管が平面的に見たものかあるいは立体的に見たものか、見方にもよりましょう。しかしこのことについてはどういうようにお考えになりますか。
  258. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 行管の御指摘の点は、事実私もある程度までは認める点はあります。しかしながら、これが結論として言われているように、特にこれがために別の、何といいますか、機関を総裁の手元に置いてやるということは、私どもはどうもちょっとよく理解しかねているのです。ただ決裁文書などの数の多いことは、これは事実でございますから、私はこれはできるだけ減そうということで目下督励して減すように今努力をいたしております。しかしながら、さりとてここに今御指摘のように、これがためにまた別の機関を設けるということは、私どうもちょっと理解いたしかねるので、私は公社全体が私の実は補佐機関であると心得ておるのでありますから、それがためにほかにもう一つの機関を設けるということは、実は理解に苦しんでおるわけなんであります。
  259. 森中守義

    森中守義君 監理官、これは今その機関を設けるというのは、私が置けと言ったのではなくて、行管が言っているわけですが、この答えはどういうことになっているのですか。
  260. 松田英一

    政府委員(松田英一君) ただいま御指摘のものは、おそらく行管の勧告のもとになりました報告書についてのことだと思いますが、その点につきましては、私どもは行管と話し合いましたときにも、行管としては事務的にはいろいろ考えて、そういう問題も考えておったけれども、行管としては最終的にはそういう報告書の上に乗っかって郵政省によこした勧告書という形で最終的にまとめたものであるから、今のその問題は勧告書の中には明確には書いていないわけであります。それで、行管としてもその点は一つの事務的な考え方としては持ったけれども、しかし郵政省にその勧告として示すことについては、自分らの方も最終的にはそこまで具体的に言うべきものとは考えなかったので、省いてあるということでありましたので、私ども勧告に対する回答としては、その問題に触れていないわけでございます。従いまして、ただいまそういう問題につきましても、総裁としてはそういうものの必要性というものがわからないというように答えられておりますように、そういうものを置いて処理した方がいいかどうかという問題については、まだ若干問題のある点でございますので、私どももその点においては公社の意向ということを尊重しまして、そういう特別な必要はないというふうに現在は考えておるわけでございます。
  261. 森中守義

    森中守義君 経理局長に伺いますが、この予算の中で、受託収入が十二億と出ていますね。この十二億の中の一億が沖繩のマイクロのための受託である、これはよくわかりますが、残りの十一億というのはどういうことなんですか。
  262. 山本英也

    説明員(山本英也君) 受託業務収入十二億三千万円の内訳を申し上げますと、大まかに大分けにいたしまして、駐留軍の受託業務収入が九億八千五百万円でございます。それからそれ以外の二億四千五百万円、総計いたしまして十二億三千万円でございますが、一般の受託業務収入というものはどういうものがあるかということの内訳を申し上げますと、私設交換、構内交換電話の保守の受託ということを電電公社は行なっております。つまり交換台そのものの所有は各商社なり会社なりでお持ちで、それの保守を公社が受託されているという場合がございますが、その場合に、保守受託に伴いますところの料金をちょうだいいたしております。それの収入が一億四下三百万円ございます。それから今年度の受託業務収入の中には、このほかに郵政省におかれまして有線放送電話の御調査をなされます一部を公社が受託をいたしまして、それに伴いますところの費用を収入として受け入れるわけでございますが、それが三百五十万円ございます。そのほかに今お話しのございました沖繩マイクロで九千八巨万円、合わせまして一般の受託業務収入は二億四千五百万円あります。それ以外に、最初に申し上げました駐留軍関係の受託業務収入は九億八千五百万円でございますが、そのうち工事受託に属します分は六千二百万円、それから保全サービス契約に伴いまして公社に受け入れますところの受託業務収入は九億二千四百万円ということに相なっております。
  263. 森中守義

    森中守義君 それから建設資金の計画の中で、外債七十二億というのがありますね。これはどういうことになりましたか。話がついたのですか。
  264. 山本英也

    説明員(山本英也君) 来年度建設財源といたしまして、外債七十二億を予定いたしております。三十五年度予算におきましては、外債の発行というものは、建設勘定の財源としては予算的には予定をいたしておらなかったのでございますが、昨年九月以来、外債発行に関しますところの交渉を続けておりまして、その可能性が非常にございますので、来年度予算におきましては、予算上の支出に対しますところの財源として七十一億の外債を見込んでおるわけでございます。
  265. 森中守義

    森中守義君 これは多少意見になりますが、総額一千七百三十四億、そうですね。この中の七十二億というと何分の幾つですか。
  266. 山本英也

    説明員(山本英也君) 建設総額千七百三十四億円に対しまして、外債として発行いたしますところの債券収入七十二億というものは、割合にいたしますれば四%程度のものだと考えられますが、ただ外債発行に伴いまして、加入者を三万名ほど予定いたしております。従いまして、電信電話拡充臨時措置法によりますところの加入者等によってお引き受けいただきますところの債券収入が、さらにそれに、正確ではございませんが、約三十億加わります。従いまして、外債関係の財源といたしましては、国内で加入者にお引き受けをいただきます分と合わせまして、約百億ほどになります。そういたしますと、千七百億のうちの百億でございますから、約十七分の一ということに相なります。
  267. 森中守義

    森中守義君 千七百三十四億の大体二十四分の一ということになりますね、七十二億は。それで、今私は経理局長のお話しからいけば、外債を発行するということなんですが、別にこれは外債を発行して、債券市場を通しちゃならぬという筋合いのものじゃなくて、むしろ建設資金として必要なんですね。そうなりますと、自己資金が、現行年度に比べて百四十六億ふえておる。これは今まで公社予算の状態を見てみると漸増の傾向にありますね。だから自己資本全部をこの中に突っ込んだ方がいいかどうか。これは多分に議論があると思うのですよ。しかしながら、この一千七百三十四億という三十七年度予算の中身の二十四分の一くらいの比重しかかかっていないということになりますと、この程度の金を無理に外国から借りなくてもいいんじゃないですか。国内で操作できやしませんか。
  268. 山本英也

    説明員(山本英也君) 公社といたしましては、でき得る限り自己資金を充実いたしまして、所要の建設財源に充当するということに逐年努力を傾注いたしておるところでございますが、それにいたしましても、自己資金のみをもっていたしましては、所要の建設財源を調達することはできませんので、従いまして、外部資金といたしましては、ただいま公募債、あるいは政府引き受けによりますところの債券資金、あるいは特別の法律によりまして、加入者によって引き受けていただきますところの加入者債券というような自己資金以外の外部資金をもらわざるを得ないのが実情でございます。従いまして、国内で調達できるか、国内だけでは調達できないかという御質問の趣旨がそういうことでございますれば、三十六年度におきましては、国内において調達し得ます資金の額というものは、やはり限度がございますので、それの不足分を外債に待ったという結果に相なっております。
  269. 森中守義

    森中守義君 そうなりますと、公社の公募債の発行額の限度は幾ららいでしょうか。これによれば、三十五年度に比べて二十億減らしておりますね。ですから私は無理に外国から七十二億借りなくても、国内で公募債の発行限度ぎりぎりまで出していくとか、あるいは財投の原資をさらに借り入れするとか、要するに、外部資金も国内でほとんどまかなえるのじゃないか。外国から七十二億、二千五百万ドル借りなくていいんじゃないか、こう思うのですけれども、どうしても必要なのですか。
  270. 山本英也

    説明員(山本英也君) ただいまの御趣旨は、財投計画等におきまして、公社の建設財源に充てますところの外部資金というものを国内において求めるようなことが不可能であるかという御質問だと思いますが、御承知のように、私どもつまびらかにはいたしませんけれども、国内におきまするところの調達資金というものも、ある限度がございますので、総体を考え合わせまして、政府の方におかれて御決定になりましたこの外部資金の調達計画というものは、私どもは、やはり一応の限度と、かように考えております。
  271. 森中守義

    森中守義君 まあ話しがそういうふうになりますと、もう何をか言わんやですよ。しかし私は、この問題は、冒頭にお話ししたように、やはり年度予算の編成の際に、編成方針の中で考慮さるべきものだ、何となれば、今、経理局長のお話しから考えられますことは、七十二億というものはすでに割り当てられたんだと、こういう私は印象を持つんです。しかし七十二億の今までの状態を顧みてみれば、どうしても三十七万個から四十万個にする必要がある、だから七十二億必要だと、こういうようなことで言われておったと思うわけですね、改訂計画の前には。だから私は多少邪推しているかわからぬけれども、これは国内における資金調達に困窮を来たしたから、あるいはどうしても調達をしたいから、そのためには外国からまでも金を借りなければならぬのだということで、いわゆる外国から借りる、どうしても金が必要だというポーズをとったんじゃないですか。公社としては本心から七十二億を必要だとは私は思いません。この程度の金は操作できますよ。これは。まあこれは私の意見ですから、多少言葉が過ぎたり、思いが過ぎておれば訂正もいたしますが、要するに、全体の建設予算の規模からいうならば、七十二億というのは二十四分の一にしか相当しない。国内で操作できるものを、わざわざ外国に利子を出して借りる必要はないじゃないですか。だから、割り当てられたものはしなくちゃいかぬということは、修正できないということじゃないと思うんですよ。だから三十七年度、三十八年度予算の編成の際には、公募債をもっとふやして、あるいは財投の原資をもう少しもらうとか、いろいろ方法はあると思う。七十二億はどうしても必要だとは私は思いませんけれども、やはりこれに執着されますか。
  272. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいまの外債の問題でありますが、これは公社といたしましては別段ぜひ外債を借りなければならぬということを主張したことはありません。しかしながら、内債その他の財投等で割り当てる金がなくなって、それじゃもうそれだけでおしまいだということを言われちゃ、私どもは困るので、とにかく必要な財源だけはぜひもらいたい、それは内債であろうと外債であろうと、私どもは区別はいたさぬ、こういうことで財政当局に要請をしておったわけであります。これは財政当局の全体のなにを見られて、まあお前の方は外債の方で七十二億やれと、これがまあ全体の財政計画の上においてとにかくお前の方にこれだけ割り当てるからということでありますから、これをまあ忌避すべき必要——得られるのならけっこうでありますから、外債だからといってこれを忌避する必要もない。どちらでも借りられる金があればけっこうでありますから、そこで、われわれは内債、外債にこだわらずに、現実の問題として七十二億ほしいと、こういうことなんであります。
  273. 森中守義

    森中守義君 総裁の言うように、そういうように割り切っておられると、話は非常に簡単ですよ。そこで大蔵当同がおられませんから、相手のない話しをしてもしようがありませんから、まあやはり郵政省もおられるので、郵政省どうですか、これは。わざわざ太平洋を渡って七十二億を利子を出して借りるよりも、郵政省としてはぜひこれは国内で調達をする方がいいと思うし、その方法は私はたくさんあると思う。今からでもこれを予定を変更される御意思はありませんか。
  274. 松田英一

    政府委員(松田英一君) まあ三十六年度予算はこういうことでできておりますので、私どもも今さらこれを変えるということは、政府としてはできかねるわけでございますが、考え方の問題といたしましては、確かに郵政省といたしましても、政府全体の財政投融資の中で、電電公社の電気通信設備の拡充のために、ぜひこういうふうに金が要るというところにつきましては、いろいろと主張をいたしておるわけでございますから、その場合に、最終的に財政投融資計画と申しますか、政府全体としての公募債の財源を含めまして、全体の計画というものは、やはり財政当局が諸般の事情を見て決定するわけでございますので、まあその場合には財政当局の意見に従わざるを得ないという実情になっておりますので、今後ももちろん国内資金をもっと取るという努力も大いにいたしたいと思いますが、また外債の問題もそのときそのときの情勢によりまして、まあ財政当局の方と相談をいたして参らなければならないというふうに考えておる次第でございます。
  275. 森中守義

    森中守義君 あと一、二問で終わりますが、もう一つ伺いたいのは、この前、郵政大臣が逓信委員会の席上で、電電公社の合理化については再検討の必要がある、と同時に、特定の機関を作ってコントロールをしたい、こういう答弁がありました。従って、そういう答弁に至る経過には、いろいろ問題があります。で、それは会議録等によってよく理解していただきたいと思うのですが、要するにまあ再検討の必要があるというのは、合理化を中止するとか延期するという意味には私も受け取っておりませんが、もう少し問題を起こさないように、円満に事態が推移できるようなコントロールをしたいのだ、そのためには機関を作る、こういうことが言われたのですが、具体的にそういう提唱が公社の方で行なわれておりますか。
  276. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) そのお話は、承ったのは私初耳でありまして、まだそういう大臣から答弁のあったということも実は存じておりません。従いまして、私としては、まだそういう御提案はいただいておりません。しかし、あるいは事務的にどこか、あるいは主管局長へは参っておるかもしれない、これは私がまだ知らないでおるのかもしれませんが、私に関する限りにおいては、まだ初耳でございます。
  277. 森中守義

    森中守義君 郵政省、何か公社の方にその話をされたことはありますか。
  278. 松田英一

    政府委員(松田英一君) 実はこの合理化の問題につきましては、郵政省という立場が、法的にはいろいろな面が違うことになって参りまして……。ただいまのお話しは、郵政事業、つまり電電公社の方から委託を受けまして、電気通信業務を行なわれている、そういう立場の郵政事業の方が、今後の合理化という問題をいろいろとうまく処理していくために、電電公社との間にそういう話しをやりたいという考えで運んでいるという話しを、私は実は何と申しますか、まあわきから耳にしたといいますか、そういう意味で、詳しい事情はまだよく聞いておりませんが、一応そんな話しを耳にしたことはございます。しかし、この問題は、電電公社に対する監督官庁としての監理官の立場からそれを作れというような話しで大臣から言われたわけではありませんし、また、そうじゃない郵政事業の方からの話の持って行き方というふうに、私が耳にしたときもそういう工合に聞いておりましたので、従って、私といたしましては、今のところ直接にそれに関係はしていないのであります。
  279. 森中守義

    森中守義君 これは、その大臣答弁の中から感じられることは、この合理化の計画というものを公社でお作りになって、それを、もう郵政省とは特段に協議もされず、相談もされなくてどんどんやっていこうとされたとは思っちゃいない、やはり何がしかの接触はあったでしょうけれども、今、当面惹起している切りかえの問題、こういう問題が続発をする。しかもそれが昭和四十七年までですか、相当長期にわたって継続されるということになりますと、当然私はしかるべき協議機関、こういうものが作られるのが当然であろうと思うし、また、そういう時宜を得た大臣の見解というものも大いに支持をしたい。で、そういうような話しがあった場合に、もちろん国会で発言をされたわけですから、大臣も具体化することでありましょうが、総裁の方はこれをお受けになりますか。
  280. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 突然先ほどお話しがありましたので、公社の合理化問題全般についてのお話しかと実は受け取っておったのでありますが、ただいまのお話しだと、そうじゃないので、現在特定局に対して委託しておりますその委託業務を、方式変更等によって公社の直営に移すという問題、これに関連した要員の配置転換なり、引き受けなりという問題のように伺いました。この問題でありますと、従来でもむろん今お話しのあったように、決して独断でやっておるわけではないのでありまして、もちろん決定する前に十分当局との間にはお互いに話し合って、実行の時期等についても話し合っておるわけであります。しかし、ただ従来は割合に数が少ないものだから、その都度の話し合いで、あるいは割合に簡単に事が片づいておったかと思いますが、御承知の通り、最近のように第二次五ヵ年計画がだんだんと進展する、さらに第三次、第四次の大きな計画を立てるということになりますと、従来のやり方が悪いというわけじゃありませんけれども、今後の、将来の見通し等をもう少し計画的に全体について考えることはむろん必要だと思います。従いまして、これについて私どもむろん研究しなければならぬと思っておりますし、またその案については、郵政当局とむろん御相談するつもりでありますが、これがために、郵政省おいて何か委員会なり特殊な機関を設けられるなら、それもけっこうだと思います。決して私どもこれに反対するわけでも何でもございません。
  281. 森中守義

    森中守義君 今、公社のお考えを承りまして、大体郵政大臣の提唱というものが実現しそうだと思いますけれども、総裁もお話しになりましたように、相当膨大な合理化が、しかも長期にわたって行なわれるわけですね。そうなりますと、大臣の言われる機関というものが、どういう性格のものであるか、これは私もよく知りません。しかしながら、当事者相互で連絡をしたり、あるいは相談をするという、こういう在来の行き方をあらためて、双方が同数なら同数、あるいは賛成反対がどういう形できめられていくのか、少なくとも双方の合議による合理化の体制というものをとるためにも、やはり機関の設置というものは、私はもはやこの段階にくれば必要じゃないか、こう思います。従って、監理官もお聞きの通り大臣もそれを言明しておりますから、ぜひ一つこの問題は早急に具体化していただきたい。公社の方でもその受け入れ態勢はある、その必要をお認めですから、そういうことになりますと、不必要な紛争を回避することも私はできると思うのですよ。そういうことで、この問題は、ぜひ一つ当事者相互間で早急にお話し合いをいただくようにお願いをしておきたいと思います。それでは一つ監理官と総裁から、お作りになるかどうか、ちょっと最後に聞かして下さい。
  282. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) ただいまの御趣旨、私はけっこうだと思います。ただ、どういう機関をお作りになるか、その内容なり、その機関の動かし方、運用の仕方ということについては、一応よく大臣の御意向も伺い、私どももその案について考えることがあればまた申し上げまして、できるだけ円滑に運びたいというふうに考えております。
  283. 松田英一

    政府委員(松田英一君) ただいまのお話しよくわかりました。監理官、つまり電電公社を監督しております監理官として、その問題にどういうふうに関与して参るかは、具体的に大臣の御意向もありますが、いずれにいたしましても、その問題は私ども十分関心を持ちまして、どういう形で関与いたしましょうとも、十分その問題を円滑にいくようにやって参りたいと思います。
  284. 森中守義

    森中守義君 これで最後にいたしますけれども、今度の沖繩のマイクロの問題ですが、総理府、大蔵省、電電公社、郵政省、四者でいろいろお話しになった際に、当然それは話題に供されたと思うのですが、沖繩日本の領土である。従って、この前予算委員会でも、施政権が返ってきたならば当然財産は日本に帰属する。しかも動産、不動産の台帳は大蔵省にそろっているのです。そういうことを考えますと、今回この種の沖繩へのマイクロの措置というものは、当然日本の財産の延長ということで、沖繩までマイクロを延ばすおけにいきませんか。要するに沖繩日本の領土である。現在施政権がない。施政権がないから今回のような措置がとられているわけです。ところが政府の見解は、施政権が返ってきた暁には、財産は自動的に日本のものに帰属する、こういう見解である。もちろんこれは政府の見解で、私は初めから財産権はある。平和条約四条の(b)項で、日本がいつ沖繩の財産を放棄したのだと、こう言っているのだから、私の見解は、政府の見解と多少違いますけれども、要するに施政権が返ってきたならば、財産が日本に帰属をする。その台帳もそろっておる、動産、不動産ともにですね。そういうことなんだから、当然沖繩にマイクロを延長するということは、日本の財産として、マイクロを延ばしたらどうか、こういうことなんです。私がこれは少し聞き違いかわかりませんが、いろいろと経過の中で、交渉があった際に、どこの省での意見かわからぬけれども、こういう主張をされたそうです、日本の財産として沖繩にマイクロを延ばせ、琉球政府から金を取ってはならぬ、そういう意見が出たと聞いております。これは政府内部にそういう意見があると聞いておる。
  285. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) 法律問題につきましては、私は、実ははなはだ無学で、どういう見解が正しいのか、よく申し上げるだけの自信がありませんが、今日まで伝えられている通説のように私感じておりますのは、沖繩は、現在潜在主権はあるけれども、施政権がないから、一応少なくとも日本の国権の及ぶ範囲外にあるのだと、こういうふうにいわれておるようであります。従いまして、沖繩日本との通信のごときも、大体国際通信として今のところは取り扱われているようです。その考え方で行なわれているのだろうと思います。そういたしますと、今度沖繩の方でやるとなりますれば、やはり沖繩の公社の仕事としてやるべきもので、日本の内地の国権の範囲内において仕事をやる日本電電公社の仕事を、そこまで自分で伸ばすということは、まず普通の考え方ではないのではないかという気がいたします。しかしその交渉の間に、そういう話しが出たかどうか、実は私、全然存じません。あるいは監理官が当時折衝に当たられておりましたから、あるいは御存じかもしれません。
  286. 松田英一

    政府委員(松田英一君) その問題につきましては、電電公社が沖繩で施設を作って運用することができるかという問題になるわけでございますが、現在、公社というものに対する法律上の観念としては、電電公社は、国内の、日本法律が効力を持っている範囲内においての公衆電気通信をやっておるわけでございますから、従って沖繩おいては、日本の施政権は、現在は及んでいない、こういう立場から、電電公社は、沖繩にその通信施設というものを作って運用するということは、現在の法律ではできないものというふうに考えておる次第でございます。それから沖繩側の方から今度のマイクロ施設をぜひ援助してほしいという要望がございましたときにも、沖繩は、現在はその公衆電気通信を運用する機関としては、琉球電電公社というものを作っておりまして、その琉球電電公社が当然日本の電電公社の相手方となりましてマイクロの通信設備を開通することにし、ついては、沖繩側としても当然それに対する沖繩側の施設を作らなければならないのだけれども、沖繩電電公社としては金がないので、ぜひ日本から援助してほしい、こういうことで沖繩の電電公社に対する日本側の援助というものを要請して参ったように私ども伺っておるわけであります。この話しは、郵政省に対しましても、郵政大臣のところにそういう援助要請がございましたし、郵政大臣もそういう意味での援助というものは、それは沖繩に対しては日本としてぜひ考えてやらなければならないわけであるからということで、援助を約束せられたような経緯もございまして、その趣旨の実現に、私ども事務当局としていろいろ努力をいたしましたので、当初から日本側の考えというものは、あくまでも沖繩が現在の状態において琉球電電公社というものを持ち、その琉球電電公社が一方の相手方となってマイクロ施設をやっていく、これに対する日本の協力であるという筋のものとして私ども運んでおったわけでございます。たまたま途中におい日本の電電公社が出ていってやったらいいのではないかという意見も耳にしたことはございますが、それは、あくまでも沖繩側がそういう意向を持っていると私どもは聞かされたことはございませんし、また日本もそういう前提ではなく、沖繩に対する協力だということで私どもは進んで参ったわけでございますので、そういう問題がかりに出ましても、それは少し話しが違うのではないか、また、日本の電電公社もそこまで沖繩にみずから店を持つという、現行法の無理を押してまでやるべきではないというふうにも考えましたので、当初の考え通りの方針で事務的には進めて参ったのでございます。
  287. 森中守義

    森中守義君 いろいろ承りたいこともたくさんありますが、だいぶ時間もきておりますし、また機会もあることでございますので、これで終わります。
  288. 千田正

    ○千田正君 一点だけお尋ねいたします。  それは、一つは、国際電信電話の方の加入に対して、だいぶ今までは窮屈であったわけです。最近はどうなんですか、ほとんど要望者の満足すべき状態にありますか、国際電話の問題は。
  289. 松田英一

    政府委員(松田英一君) ただいまの御質問は、おそらく電話ではなくてテレックスといっております加入電信の問題だと思いますが……。電話の方は別に問題はございませんので……。テレックスの問題は、一時確かに何と申しますか、機械が間に合わないというような点もありまして、かなりつけるのを制限しておった時代がございますので、その時分には問題がございましたけれども、現在はそういう問題はないと私ども聞いております。
  290. 千田正

    ○千田正君 もう一点。大橋総裁もお見えになっておられますからお伺いしますが、これは日本、ことに東京が世界の国際都市になった今日において、これは電信電話ばかりではなく、電灯の方も同じなんですが、施設の面において、電柱が非常に乱立しているような状況は、決して文化都市としての面からいってあまり感心しないのじゃないか。むしろこれはもう、一応東京とか大阪というような大都市は、地中に埋没して、電柱のようなものははずして、あまり外に出さない方がいいのじゃないかという問題が方々からあるのですが、こういう問題の解決を、今度オリンピックの招致と同時に、こういうふうに新しい線からでも開始するというふうな意図はございませんか。
  291. 大橋八郎

    説明員(大橋八郎君) きわめてごもっともなことで、私どもも大都市の中で電柱が立っていることは、まことに望ましからぬことと考えておるのでありますが、何分これを全部地下に埋設するためには相当多額の費用が要りますので、なかなか一朝一夕にこれが解決はむずかしいのでございます。最近、先般新聞にも表われておりましたように、今度のオリンピックに関連いたしまして、ある一部の道路等においてこれをこの際地下へ埋設することをやったらどうかということを、東京都から私の方へもその文書が参っておるのでありまして、このことについては、施設局長から一つ説明させていただきます。
  292. 平山温

    説明員(平山温君) ただいまの総裁からのお答えに補足させていただきます。  先生のお話しの通り、私どもといたしましても道路の上の電柱というものをできるだけ少なくするように努力をして参りたいとは思っておりますが、何分にも現在道路の上に相当電柱もございます。これを一ぺんに地下にいたしますと相当の経費もかさみますし、また、この経費というのは、御承知のように非常に電話の架設ができない今日の状態からいえば、一面においては一人でも多くの加入者を増設する方に向けたいという気持も率直にいってあるわけでございます。それで、東京都とされましてもオリンピックを控えましていろいろな重要な幹線の道路についてそういうことをお考えのようでございます。私どもといたしましても、先ほど、今具体的に話しとして承っておりますのは、環状七号線と放射四号線という二つの重要な道路についての協力方の要請を受けておりますが、これについては、できるだけ私どもも事情の許す限り協力したいという気持を持っておりますが、全面的にということになりますと、時間と経費がかかりますので、具体的にその重要な道路につきまして逐次協力さしていただきたいと、かように思っておる次第であります。
  293. 千田正

    ○千田正君 もう一点だけ最後に。  森中委員から大部分お尋ねしてお答えをいただいておるので、大体わかりましたが、今の施設局長さんのお話しに関連しまして、この間の予算委員会で問題になったのは、最近東京都内及び大阪とか、ああいう大都市の中で、せっかく道路なら道路ができ上がっても、すぐ一年もたたずにほっくり返しちゃって、またガスだ、水道だ、電話だ、電気だと、一つも一貫した建設行政になってないじゃないか。これじゃ国の予算あるいは道路財政の予算をむだづかいするだけじゃないか。そこは調整した、一貫した計画のもとに遂行すべきじゃないかという声が非常に強くなっているわけです。われわれも道路を歩いてみても、車で通ってみても、一年のうち二回も三回も、おのおの変わった立場において掘り返しておる。こういうことが何回も繰り返されたんじゃ、これはほんとうの国費のむだづかいであり、またある意味においては、地方費などは地方住民の税金のむだづかいであろうという面が相当あるのであります。これを、各省間のセクショナリズムを、なべて統一した見解のもとに計画的に遂行するというようなことに対する皆さんのお考えと、それに対して関連して何か機関を設けるというような御意思はないか。その点はどうなんです。
  294. 平山温

    説明員(平山温君) お答え申し上げます。  ちょっと直接のお答えにならぬかとも思われますが、ただいま先生のお話し、ごもっともなことでございまして、実は昨年建設省と電電公社との間にこの関係の協定を結んだということです。それはどういう精神かといいますと、私どもといたしましても、電話を架設しますにつきまして、やはり道路を利用させていただきませんと必要な線路を持っていくことはできません。一方におきまして交通の方の立場からされますと、やはりひんぱんに道路を掘り返すということじゃお困りになるわけでございますので、私どもといたしましては、できるだけ事前に、いつごろどこの道路の方をやるというような計画建設者から承ることにいたしまして、私どもとしましては、この道路の工事がある機会に、なるべくならわれわれの方の、長期計画に基づきまして、幾らか余分に将来まで使えるくらいの地下に骨路を敷いておきますと、中のケーブルは、マンホールから必要なつど入れますれば、道路を掘り返さなくて済むわけであります。そういう形で利用もさせていただくし、また、私どもといたしましても道路管理の方の立場の方に御協力をしていこうという協定を結びましたわけでございます。もちろん建設省としては、直接国道については管理しておられますけれども、なお都道府県以下の、建設省で管理されていない道路もあるわけでございまするので、こちらの面につきましては、そういう協定ができたということを建設省の方からも都道府県に通達を出していただきまして、私どもの出先の地方通信局にやはり同じような趣旨を出しまして、それぞれまた各段階におきましてその精神で御相談をして今の御趣旨に沿うようにさせておるわけでございます。  それで、共同の機関を設けてやることはどうかという話しもちょっと先生のお話しにあったように思いますが、私どもといたしましては、今のところ、そういう方法で御趣旨に沿うようにして参りたいと思っておりますし、また、共同にやる問題につきましては、具体的に言いますと、たとえば新宿から中野の方に行く道路におきまして共同溝といいますか、一緒にこのダクトを作りまして、それを幾つかの公共関係の企業体が寄り合って利用するという具体的な話し、たとえば今の新宿から中野の方へ行く道路につきましてはそういう具体的な話しもございます。私どもの方といたしましては、そういう具体的な話しのありますものにつきましては、もちろんそのつど御協力申し上げておりますが、なかなかこの共同溝という問題もめんどうな点もございますので、やはりこういう問題につきましてはケース・バイ・ケースに御協力させていただきたいというふうに考えております。
  295. 武藤常介

    主査武藤常介君) 他に御発言はございませんか。——御発言もなければ、郵政関係質疑はこれをもちまして終了することに御異議はございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  296. 武藤常介

    ○融資(武藤常介君) 御異議ないと認めます。  次回は明二十九日午前十時より開会し、建設関係について審議をいたします。なお建設関係が大体終了しまして、なお時間がございましたならば、引き続き運輸省の関係について審議に入りたいと思います。なお、明日は本会議がございまするが、本会議と並行していたしたいと思いますので、御了承願います。  本日はこれをもって散会いたします。    午後六時三分散会