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1961-05-26 第38回国会 参議院 予算委員会 第27号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月二十六日(金曜日)    午後三時二十三分開会   ―――――――――――――   委員の異動 五月二十三日委員村山道雄君、山本杉 君及び小平芳平辞任につき、その補 欠として小柳牧衞君、岸田幸雄君及び 中尾辰義君を議長において指名した。 本日委員岸田幸雄辞任につき、その 補欠として山本杉君を議長において指 名した。   ―――――――――――――  出席者は左の通り。    委員長     館  哲二君    理事            梶原 茂嘉君            後藤 義隆君            米田 正文君            阿具根 登君            占部 秀男君            相馬 助治君            千田  正君            杉山 昌作君    委員            大泉 寛三君            太田 正孝君            大谷 贇雄君            金丸 冨夫君            上林 忠次君            小柳 牧衞君            佐野  廣君            白井  勇君            手島  栄君            一松 定吉君            武藤 常介君            村松 久義君            山本  杉君            湯澤三千男君            横山 フク君            大矢  正君            田中  一君            高田なほ子君            羽生 三七君            森 元治郎君            田上 松衞君            松浦 清一君            市川 房枝君            中尾 辰義君            岩間 正男君   国務大臣    内閣総理大臣  池田 勇人君    法 務 大 臣 植木庚子郎君    外 務 大 臣 小坂善太郎君    大 蔵 大 臣 水田三喜男君    労 働 大 臣 石田 博英君    自 治 大 臣 安井  謙君    国 務 大 臣 小澤佐重喜君    国 務 大 臣 迫水 久常君    国 務 大 臣 西村 直己君   政府委員    法制局長官   林  修三君    警察庁長官   柏村 信雄君    防衛庁長官官房    長       加藤 陽三君    法務省入国管理    局長      高瀬 侍郎君    外務省アメリカ    局長      安藤 吉光君    外務省条約局長 中川  融君    大蔵省主計局長 石原 周夫君    大蔵省理財局長 西原 直廉君   事務局側    常任委員会専門    員       正木 千冬君   ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○昭和三十六年度特別会計予算補正  (特第1号)(内閣提出、衆議院送  付) ○昭和三十六年度政府関係機関予算補  正(機第1号)(内閣提出、衆議院  送付)   ―――――――――――――
  2. 館哲二

    委員長館哲二君) これより予算委員会を開会いたします。  委員の変更について御報告いたします。  二十三日、村山道雄君及び小平芳平君が辞任されまして、その補欠として小柳牧衞君及び中尾辰義君が選任されました。   ―――――――――――――
  3. 館哲二

    委員長館哲二君) 昭和三十六年度補正予算の取り扱いについて、本日委員長及び理事打合会を開きまして協議を行ないましたので、その内容について御報告申し上げます。  本件の審議は、いろいろの事情で進行がおくれましたが、本日、明土曜日及び月曜日の三日間で議了することに意見の一致を見ました。このように取り運ぶことにつきましては御異議ございませんでしょうか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 館哲二

    委員長館哲二君) 御異議がないと認めます。   ―――――――――――――
  5. 館哲二

    委員長館哲二君) 昭和三十六年度特別会計予算補正(特第1号)、昭和三十六年度政府関係機関予算補正(機第1号)、以上両案を一括して議題といたします。  質疑を続けします。森元治郎君。
  6. 森元治郎

    森元治郎君 きょうは韓国問題に関連して、しかもこれにしぼって、政府のお考えをただしたいと思います。  今回の韓国クーデターは、韓国自身のためはもちろん、極東の平和、あるいは日本の安全にとっても、また民主主義政治の将来についても、関連するところが非常に多くて、重大なものであると思います。  まず初めに、総理大臣から、このクーデター事態認識と、政府のこれに対する根本的な態度を表明願いたいと思います。従来は、何か外務省情報文化局長談だけが政府関係発表態度表明であったようでありますが、国会において、総理大臣から総括的な、大きいところを一つ答弁願います。
  7. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 先般の韓国クーデター問題につきましては、私のところにはまだ十分資料その他が集まっておりませんので、今、総理大臣としてこれに対しましての考え方を言うことは差し控えさしていただきたいと思います。
  8. 森元治郎

    森元治郎君 一体、いつまで待てばその資料というものが入ってくるのか。韓国とは国交関係もないし、代表部もないし、何にも政府機関、すなわち、総理大臣が採用する政府機関は置いてない。いかなる資料をお持ちになっておるのですか。
  9. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 各国の新聞あるいはアメリカ関係等々の資料は、刻々集まりつつあるようでございます。
  10. 森元治郎

    森元治郎君 隣のこれだけの大きな事件に対して、総理大臣のこの御答弁は、あした新聞を読んだ国民はたまげるだろうと思います。それでは政府発表しているこの情報文化局長談話というのは、これは外務省から出ておるから、少なくも政府態度を表明しているのだろうと思います。外務大臣から、去る二十日の談話趣旨を的確に御説明願います。
  11. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ただいま総理大臣からお答えありましたように、事態がなお流動的でございまするから、この流動的なる事態について、その過程においてとやかく申し上げることは差し控えたい、こういうのが政府態度でございます。  なお、お話にございましたから、情報文化局長談話について申し上げますが、これは発表いたしましたるごとく、発表文を申し上げますると、「韓国においては五月十六日軍部クーデターがおこり、軍事革命委員会が組織されて国の全権力を掌握し張勉内閣は総辞職するに至った。」、ユン・ポソン大統領は留任をいたしたわけでございますが、なお「隣邦たる日本としては国民をあげてこの情勢の推移に重大な関心を払っており、日本政府事態が一日も早く正常化されることを希望する」ということでございます。「政府としては双方の国民の利益をそこなわぬよう適宜関係事務を処理してゆく」という、こういうことございます。「適宜関係事務を処理してゆく」という意味は、日常の関係事務があるわけでございます。それは処理していくということでございます。
  12. 森元治郎

    森元治郎君 資料がなければ、隣のこの大きな事態について判断ができないということでありまするから、情報文化局長談話に関連して御質問申し上げます。  それでは、事態正常化を希望する、これがまあこの談話の要点かと思うのでありますが、一体、正常とはどういうことであるか、この点を一つ伺いたい。これはただお静かにせよというのか、あるいは独裁政治でもかまわないから静かでいいのか、あるいは合憲的な政府のできることを待つというのか、こういう抽象論ではだれもわからないと思います。政府は、近ごろどこから拝借したか知らぬが、流動的なという言葉を使い、さきに、前向き、弾力的、静観流動的――どこか漢文の中学の辞書みたいなことばかり言っているので、われわれははなはだわからないのたが、世の中流動しないときは世界がなくなったときでありますから、いつも流動はしているんです。その流動している中で、政府がどういうことをするのかというのが、政府、少なくも総理大臣たるものは、その流動のその瞬間においての対策を出す、アメリカでも、さっき外国新聞をごらんになったと言いますが、どこに流動的といってほおかぶりをしている国がありますか。これこれの理由で賛成である、困ったものだという前書きがあって、あとにそこに静観とか流動をつけるのはかまわない。流動だけで国会答弁を押し切るというのは、総理大臣、これは困ったものだと思うのですが、まず総理大臣から「正常化」ということについての意味を伺います。
  13. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 外務省情報文化局長発表でございますから、外務大臣答弁させます。
  14. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 万物は流転するというのはヘラクレイトスの哲学であると思います。この流転する森羅万象を正確にとらえていく、これはやはり外交の基礎であろうと思いまするが、その流転する、流動する渦中に飛び込んでもいい場合もあり、これが悪い場合もあります。私どもはこの渦中に入らぬように、しかも、その正常なる姿を祈念しつつ、注意深くこの状態をる見というのが、わが外交の最も賢明なるところであろうと考えております。
  15. 森元治郎

    森元治郎君 具体的に伺いますが、この革命を認めていこう、既定事実として認めていこうというのか、やはり民主政治に戻ることが望ましいのか、こういう点については具体的にお答えができると思うので、お伺いいたします。
  16. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 軍事革命委員会発表といたしまして、これは五月十六日午前の発表でございますが、六項目発表をなされております。その一つは、反共を国是とし、これまでの形式的で、口先だけにすぎなかった反共体制を再整備強化する。第二点、国連憲章を、順守し、国際協定を忠実に履行し、米国を初め、自由友邦との紐帯を一そう強固にする。三、社会のすべての腐敗と旧悪を一掃する。四、絶望と飢餓線上でさまよう民生苦を早急に解決する。五、国土統一のため、共産主義と対決し得る実力の培養に全力を集中する。六、以上のような軍事革命委員会の課業が成就されれば、清新で良心的な政治家にいつでも政権を移譲し、軍本来の任務に復帰する。こういうことを言っております。この最終項目は、この目的でございましょうから、そういう事態になることがこれは最も望ましいことでありまするが、われわれといたしまして、こうしろ、ああしろという関係にはございませんし、また、そういうことはとかく内政干渉の場合に陥ることしも考えなければなりません。私は今の態度が最もよろしいと思っております。
  17. 森元治郎

    森元治郎君 韓国政府の六項目は、国民全体が新聞でこれは承知しておるところで、ここで外務大臣からお聞きしないでもわかっておるわけでありまするが、クーデターというのは、これは非立憲的なものであろう。たとえ非立憲でも、今、外務大臣が大へん関心を深く示された、反共であり、親アメリカであり、親自由主義陣営ならば、認めていくのだ、目をつむっていこうというというのか、この点はどういうことでありますか。
  18. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私はさようなことを言っておらぬつもりです。韓国発表がこうなっておるということを申し上げたのであります。
  19. 森元治郎

    森元治郎君 発表新聞で、あなたに聞かなくても、どなたも、十円で買えれば、読んでいるわけですから、ここでとうとうと、時間をつぶしてお聞きする必要はないので、非立憲でも、反共主義ならばいいのか、どうなのか、親自由主義陣営ならばいいのか、外務大臣にお伺いいたします。
  20. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それは、一国の政体は一国の国民がきめることだと考えます。
  21. 森元治郎

    森元治郎君 どうも逃げてばかりおるようですが、大臣が二十三日の閣議あるいはその他の新聞記者会見で、今回のクーデター合法的であるということを言っておるわけでありまするが、これは内政干渉ではありませんか。「合法的」であると新聞記事は書いております、二十三日の閣議後の記者会見で。「いまの段階でこれにどう対処するかはいえない。しかし韓国政権合法的だ」と、これは、あなたは、内成干渉はいけないと言っておるが、「合法的」なんということを言っておりますが、「合法的」とは何ですか。
  22. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういうようなことは言った覚えはありません。
  23. 森元治郎

    森元治郎君 ここに私も新聞を、あっちこっち、大事な問題ですから、いろいろな新聞から抜いたのが四つありまするが、こういうことを書いておるようなんで、これは新聞記者のまた誤りにしてしまうのか。全然おっしゃらないのですか、これは。
  24. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 今回の韓国政権合法的であるということを、私は申した覚えはありません。
  25. 森元治郎

    森元治郎君 私は、今度の韓国に起こった事態について、内政干渉するというようなことは、もちろん、だれでもすべきことではないの言でありまするが、いやしくも日本政治をあずかっておる方々は、しかも、日本は御承知の平和憲法を持っておるから、こういうものに対する態度を明確にしておかぬと、憲法に対する信頼は沸いてこないし、反共なら少しぐらいのことをやってもいいのかというような機運を醸成するおそれもあるから、政府としては抽象的にでもいいから……やはり国民の手による民主政治というものが最もとるべき態度なんです。あなたは、おとといのライシャワー大使日米協会におけるスピーチを十分お聞きになったと思うので、ああいう趣旨のことをやはり声明すべきだと思う。新聞記事にあるような、静観するとか、あるいは流動的な世の中はどうだとかいうことは言う必要はないので、民主政治は最もいい発明品であるから、これは守っていくべきであって、政府の腹というものがはっきり国民に示されていくのだろうと思うのです。この点、総理大臣一つ伺います。
  26. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私の言葉が足りないために、あるいは誤解を生ずるかもしれませんから、もう一度申し上げます。今あなたが、新聞記事にそういうことが書いてあったようにおっしゃいましたが、私はそうはとりません。私は、韓国政権合法的であるという言葉も申しませんかわりに、これが非合法的であるということも申したことはございません。その点は一つ念のために申し上げておきたいと思います。  われわれの政治の理想が民主主義であり、国民の福祉のために行なわれておるということは、これはもう党派は違っても、そんなことを今さら申し上げることではない、お互いにそんなことはわかり切っておることであると思います。他国クーデターが起きて、すぐ隣国である日本が、このやり方がよかったとか悪かったとかいうことは、これは外務大臣の職にあるものとしては、さようなことは差し控えるべきものである。しかも、先ほど私が六項目を読みましたが、最後のところにも、これは非常の場合であって、民主的な政治家というものにできうるだけ早く政権をお渡しするということが書いてございます。それ以上われわれといたしましては、何か言うことはかえってよくないことである、こういうふうに考えておるわけであります。
  27. 森元治郎

    森元治郎君 それでは新聞の、記者会見の中に、どの新聞にもちゃんと入っておる言葉は、「当分は静観」ということがあります。この点は外務大臣、まさか言わないとはおっしゃらないと思うのですが……。
  28. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) どの新聞か、新聞の名も書いてございませんが、こういうふうに色がかかっておるとよくわからないけれども、「「韓国の政情はいぜん流動的であり、わが国としては静観するほかない」として、今後も引き続き韓国の動きを注視することになった。」云々、ここにはそういうことは書いてございません。その次の、「新政権親日方針歓迎」、これもそういうことは書いてございません。その一番上が、「韓国問題、当分は静観」、「外相、閣議で報告」、これの中に、「一部には米国韓国軍部政権を承認したと伝えているがそれは合法的な大統領がそのまま在任しているためで、別に政府の承認という意味ではないと思う」と説明した。」、これだけでございますよ。
  29. 森元治郎

    森元治郎君 では、「静観」ということについて御答弁を願います。
  30. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 「当面は静観」、これだけで、合法であると私が言ったとどこにも書いてないのです。
  31. 森元治郎

    森元治郎君 合法は、こっち。
  32. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは、「韓国内閣には流動的に対処、小坂外相語る」、これはですね、ここは、「日韓予備会談再開申し入れが近くあるかもしれないが、いまの段階でこれにどう対処するかはいえない。しかし韓国政権合法的だと思う。また新政権の対日外交方針も度わらないようだし、日韓貿易は従来どおりすすめられよう。」、これはどこの新聞か知りませんが、私はその当時の記憶をたどってみますと、日韓会談申し入れがあったらどうしますかという質問があった。それに対して私は、先方から話がないのに、そういう仮定のことについてどうこう言うことは軽率だと思うと、こう答えたと思います。あなたのことは、この一新聞だけがこう書いたからといって、お前は必ずこう言ったんだとおきめつけになるのは、私はいただけないと思います。そう言った覚えはありません。
  33. 森元治郎

    森元治郎君 そうすると大臣は「合法的」と言ったこともないし、「静観」ということも言ったことがない……。
  34. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) それはあります。静観というより、事態流動的の中で、注意深くとらえるということです。
  35. 森元治郎

    森元治郎君 外務大臣からこの「静観」について御答弁を願います。
  36. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その新聞記事にどう書いてあったということで、お前はこう言ったか言わないかと言われるのも、はなはだこの両方のために、新聞記者諸君とされても、私どもとしましても、これは両方のためにはなはだ困ることが多いと思います。ただ私が言ったことは、繰り返し申し上げるように、今われわれといたしましては、これは事態がなお流動しておる、そのさなかでいろいろなことを言うということは、かえって余分のリパーカッションを起こすの、であるから、これについてはとかくの言辞を差し控えておる方が私としては私のとるべきご態度として適当だと思う、こう言っておるわけです。それじゃ静観ですねと言うので、静観と書いたということは、これは私の関するところではございません。
  37. 森元治郎

    森元治郎君 私は、まあ閣僚でもあれば、あなたの顔を毎日閣議で見られますが、それ以外は新聞公共性のあるものを通じて大臣所見らしきものを判断するほかないので、私は伺っておるわけであります。そうすると、「合法」は絶対言ったことはない、「静観」という二つの漢字で書いたこの表現もなかったと、こういうふうに了解してよろしゅうございますね。
  38. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは合法であるとか非合法であるとか、そういうとかくの論議を今すべきでないと、こう言ったのです。  それからさっき申したように、流動する事態の申で私が先ばしって何か考えたり言ったりすることはよくないと言ったのであります。だから、静観ということだろうと、そういうふうにおとりになれば、おとりになることも御自由でございます。
  39. 森元治郎

    森元治郎君 それではどういう事態になったときに政府態度発表するのですか。流動していますから、いつまで待っても――あるいは池田内閣が何年続くか知りませんが、待ってもこれは切りがないもので、どういう段階において所見を出すつもりなんですか。とうとう出さずじまいでいくのか。出さずじまいでいくということになれば、やはり腹の底は反共であるから、やはり歓迎すべきであるというような新聞記事が散見されるように、現政府の方があるいはよろしいのではないかというような印象を言国民に与える。与えるとすれば、日本平和憲法に反すると、こういうことになるので、重ねて御所見を伺います。
  40. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 政府としては、最も適当であると思う、最も客観的に見ても適当である時期にものを考え、手を打つ考えであります。
  41. 森元治郎

    森元治郎君 この間韓国自民党の有力な方々が訪問をされておる。帰って参りました。いろんな事件もあったようでありますが、この韓国に対する根本態度は、われわれが静かに見ておりますと、自民党韓国ロビーといわれるような人々、これを支持するような一団のグループ、こういう方たちの意見というのは、反共基地にしていこう、基地に仕立てていこう、そうして弱い韓国であるからこれを経済的にてこ入れをしていこうということでありまするが、よく考えてみると、自分のために韓国の存在を考えている。ほんとうに気の毒な韓国立場朝鮮人立場朝鮮の国の立場というものを脅える前に、うっちゃっておけば北の方からのまれてしまうから、あそこにとりでを作らなくちゃならぬ、こういう気持から進んでやっておるのがこのいわゆる積極派というものであるように思いまするが、これは大へんためにならないことであると思う。総理大臣他国に対し、ことに韓国に対する態度として、この点についての御意見を伺いたい。
  42. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は、国会の議論は自由でございますから、とやこう申し上げることはいかがかと思いまするが、わが自由民主党が内政干渉がましい、朝鮮というものを、韓国というものを反共基地にして、それを指導しようというような気持を持っておる人は私はないと思います。そういうことは、私はこういうところでお互いに遠慮すべきではないだろうかと思います。
  43. 森元治郎

    森元治郎君 こういうことはわれわれの方にやすやすとふだんから耳に入ってくるから、そこでお伺いをしたのであります。  ちょっと伺いますが、この間、参りましたときに、大へん韓国というのは事情が安定をしておる、帰ってきたとたんにああいう騒ぎが起こったので、はなはだお気の毒な御認識であったように拝見をするのですが、私はこの先ばしりは慎しめということをよく総理大臣外務大臣もおっしゃいますけれども、デリケートな段階にある今日において、何か北の方のこと、すなわち北鮮なりそのうしろにいるソ連ばかりを目につけて、そうしてこの先ばしりをする行動は厳にこれは戒めなければならないと思いまするが、大臣、どうですか、その点。
  44. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私は、その特に何か先ばしっているような行動というものを自民党の内部の韓国に対する考え方に関連して何も感じておりません。そういうものはないと思います。
  45. 森元治郎

    森元治郎君 このごろケーさん事件というのをよく聞くのでありますが、二十二日だったと思います。革命政府国家再建最高会議議長である張都暎中将外務大臣である金外務部長官が、日韓関係においては人的交流などというものはそう急ぐ必要はないのだ、まして来られた人にケーさん――いわゆる朝鮮芸者でもてなす必要はないのだ、こういうようなことを新聞記者団会見発表をしております。そこで私は不思議に思うことは、韓国を訪問されて、そうして治安は安定している、国民はたらふく御飯でも食っているのだというような判断でしたが、たとえ招待は、あったかどうか私知りませんが、ぬけぬけと赤坂の料亭に行くようなつもりでもし朝鮮のこういう芸者さんのサービスを受けたとするならば、これは日本の恥さらしだと、おそらくそちらにも事情はおありでありましょうが、これは国民に深い影響を与えるところがあると思うので、ケーさん事件と指摘されたものについての真相一つどなたか適当な大臣から御答弁を、御説明を願います。
  46. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 私はケーさん事件というものは聞いておりません。何かキーさん事件ということはあるのですけれどもキーさんというものをはべらせるような宴会等で話しする。先般の金外務部長官の話にあるようでございます。別にそれ以外何も聞いておりません。
  47. 森元治郎

    森元治郎君 私のお尋ねしているのは、大へん恥ずかしいことでありまるから、いや、このときの事情は違うのだというような御説明、すなわち真相といいますか、こちら側の立場もあるでしょうから、あのときの事情などは当然外務大臣、これは外国との関係でありますから外務大臣、あるいは党の総裁である池田総理大臣が報告を受け、あるいは釈明を受けていると思うので、国民の疑惑を解くべきだと、こういうつもりで聞いているのであります。自民党総裁池田勇人さんに一つ伺います。
  48. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は聞いていないのであります。
  49. 森元治郎

    森元治郎君 まあ国会はそういう答弁でぬけぬけと突っぱねてもよろしゅうございますが、これを読んでいる人は、もう革命のあの声明にもありますように、汚職、腐敗のあおりを受けて、そして民衆は生殖も上がっていない、食うものもない、餓死するような状態であるときにああいう事件が起きたので、国民には疑惑があるから私は伺っているのであります。御答弁ができないということは、今後ともこの問題は長く尾を引いていくと私は思う。間違ったことがあったらば、総理大臣は呼んでたしなめて、呼ばれたからといって意地きたなくそんなところに呼ばれるんじゃないというくらいのことは、総理大臣が党々とやらなければ総裁は勤まりません。知らない、知らないと言っているのでは選挙だめですよ。それでは御答弁がないようでございまするから、私はこれ以上は追及しません。私どもは何事かあったんだが、育ったんでは自分の政党その他の都合が悪いので御答弁がない、かように解釈しておきます。  それから従来私たちは国会においていろいろな委員会――外務委員会でも予算委員会でも、日韓交渉についてお尋ねをしたたときにも、また北鮮政府あるいは韓国政府の地位について伺ったときにも、小坂外務大臣は、「北鮮の官憲」といい、南朝鮮韓国政府に対しては、国連の管理下において選挙をやってできた、しかも、この国連加盟国に認められたただ一つ合法政府であるのだ、こういってわれわれに答弁をし続けて参ったのであります。一体、現在ある政府とこの唯一の合法政府という従来の説明とには大へんな開きができておる。かれこれいうことは内政干渉になるからといって黙っては済ませない。一体、合法政府というものはどこにいってしまったのか、この関係を承ります。
  50. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) その前に、キーさん事件々々とおっしゃいましたが、そういうことをことさらにこちらで名前を作ってはやすこともどうかと思っております。  それから今の韓国合法政権の問題でございますが、これはもうあなたが累次にわたっての御質問の中に、私はその当時も答弁を何回もいたしておりますから繰り返しませんが、おまえはそういうことを育ったって、合法政府はおれらは認めない、というお話を何回もなすっておるのでありまして、今さらこれに対して今度のことは、これはどうかという御質問もどうかと思います。先ほど申し上げたように、事態は御承知のようなクーデターによって新しい国家最高会議という名前になりましたが、革命委員会ができて、そしてそれが今後の収拾に当たっているさなかでありますからして、これについてのいろいろな議論というものは、私はこの際は差し控えたいと思います。
  51. 森元治郎

    森元治郎君 私は、日本憲法の建前、韓国憲法の建前から見て、これが唯一の合法政府だという、従来の日本政府判断がおかしいのじゃないかと伺っているのであります。国会における野党と政府との答弁の経過等に顧みて他を言うようなことは、私はこの際伺っておるのではないのであります。あなたが掲げてきた一枚看板はどこへ行ってしまったのか、今の政府は唯一の合法政府であるのかどうか。合法政府であるから日韓交渉をやるのだというのだ、やるのは当然だとか、朝鮮一つ政府だとか言ってきたのが根底からくずれたわけであります。クーデター合法性も何もないので、大統領をちょっとやめたのを連れてきて戻ってきたから合法だなんというへ理屈もありますけれども、だれが見ても、常識的にこれは韓国憲法に立脚しない政府であるということはわかっておるのです。しかも、国際的な視野においても、唯一の合法政府ではない、革命政府とこれは違うので、この看板は、この革命政府が合憲的な手続によって、あるいは選挙その他で、韓国憲法に合った政府を樹立したときには、また合法政府に戻るのか、その点を伺っておるのであります。
  52. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 何回も繰り返しますように、一九四八年十二月の国連の決議によってできましたるところの政府、それが合法性があるということを申し上げておる。北鮮の場合はその決議に従わない、それをやはり同一のレベルに、われわれ国連中心主義を唱える者が認めるわけにはいかない、こういうことを申しておったわけであります。今度の場合は、今おっしゃったように、何か大統領を引っぱってきてどうのとおっしゃいましたが、そういう言葉自身が、私は国会においての議論の中で使われるには、適当かどうかは疑わしいと思います。いずれにいたしましても、現在のユン・ポソン大統領という人は、これは選挙によって選ばれましたるところの議会がこれを選んだ大統領でございます。しかし、その後の手続等については、私ども残念ながら、これは不勉強で申しわけございませんけれども韓国憲法そのものを全部知っているわけじゃないもので、従って、そういうものも十分検討した上でなければ、とかくのことを申すことは、これはこの際でもあり、特に慎しむべきことであると考えておるのであります。
  53. 森元治郎

    森元治郎君 都合の悪いときは憲法を知らないなんということを言うのは、実にこれはけしからぬことだと思うので、何か問題があればいつでも政府委員の御指示をもって、政府委員の指示でほかの国の憲法でも何でも話し、アメリカ憲法でも話し、安保条約の答弁をしているのに、それから尹大統領がどうだこうだということは、こういう席で言うべきじゃない――あなたの国会答弁を聞いておりますると、こういうことは言うべきでないというお説教が非常に多い。私は失礼ながら、外交関係はいろいろな方にも長い間おつき合いもあり、国会の御答弁も伺っておりまするが、この場で工合が悪いとかなんとかと、あなたほど数多く言う人はない。それならどこでしやべったらいいのですか。四畳半でこたつにでも当たってしゃべればいいのですか。それは私が間違っている、間違っているということを論理的にお話しになればいい。尹大統領がどうだこうだと言うのはおかしいということを、あなたに説教される覚えはないですよ。私だって、何かチャンスがくれば、失礼ながら私だってりっぱにやってみせますよ、大臣くらいは。  防衛庁長官にも関連して伺いたいのですが、一つ国連軍としてのアメリカ軍と韓国軍の関係についてお尋ねをいたします。私はこの事件が起きたときに、これは韓国にはいわゆる国連軍がおって、韓国はその統制指揮下にあるのだと軽く考えておりました。それが反乱が起きたのだから、あるいはその間に、米軍と変なことがあったのじゃないだろうか、あるいはそうではなかったのじゃなかろうかと頭をひねったわけであります。非常に不明瞭な感じがしたのでありまするが、この際明らかにしておきたい。その理由は、日本は吉田・アチソン交換公文によって朝鮮における国連軍の行動を支持協力するということをわれわれが条約で約束しておるわけでありまするから、何事か起こりますると、日本にも影響があると思うので、この点をまず伺いたいと思います。防衛庁長官が来られないので、外務大臣こういうことはまた御答弁が非常につらいかとも存じまするけれども、国連軍と韓国軍というものが相互の信頼が薄れたのかどうか。国連軍の権威が何か少し従来通りではないのじゃないかという点を一つお伺いしたいと思うのです。ということは、きょうの外電が伝えるように、国連軍の権限問題について、とかくそごを来たしておるようなことがあるので、この点が一つと、それから今度のクーデター韓国軍が、もう朝鮮事変後約十年近くなって、自分たちはよその国の指揮下にいつまでもいるのはつらいので、やはり平等にいきたい、独立をした、独立の上での協力をしていきたいというふうな気持ちが幾らかでも動いておったのかどうか、その点をお伺いをいたします。
  54. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 吉田・アチソン交換公文によりまするわが方の韓国におりまする国連軍との協力というのは、これは主として資材等の面において協力しようというのが主でございます。それはお説の通りでございます。  なお、後段のお尋ねでございまするが、これは現在マグルーダー国連軍司令官と、それから張都映最高会議議長との間にいろいろ話し合いがあるようでございますが、私はその点はよく承知いたしておりません。
  55. 森元治郎

    森元治郎君 防衛庁長官にお尋ねをいたしまするが、国連軍と韓国軍との協力関係、指揮命令系統、こういうものがどういう根拠によっておるのか、的確に御説明を願います。
  56. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 他の国の軍事のことでございますから、私からかれこれ言うのは差し控えるべきかもしれませんが、一応私が知っておりますところを申し上げますと、国連軍はマグルーダー将軍が国連軍の代表であると同時に在韓米軍の総指揮官であります。それで韓国軍は第一軍と第二軍に分かれております。そして原則としては国連軍司令官が韓国軍全体を握れる指揮系統を持っておりますが、しかし、それも同一任務に服する場合と申しますか、第一軍、第二軍とも国連軍司令官の、言葉で言いますと作戦指揮といいますか、オペレーション・コントロールに服しておる、こういう格好になっております。ただ第一軍の任務は、直接のいわゆる境界線等の警備、そういうものに当たっております。第二軍は後方の一般の訓練であるとか、教育であるとか、補給であるとかいう任務についておるわけであります。従って、この後方の一般任務に従事しておる限度におきましては、国連軍指揮官の指揮は受けない、オペレーション・コントロール外のことになっておる。従って、今回の韓国クーデターの中心は、第二軍が中心でございまして、しかも、これは国内的な事柄である、こういうことで国連軍の指揮下ではなくて動いたというふうにわれわれは報道を理解しておるわけであります。
  57. 森元治郎

    森元治郎君 法律的な関係はどうなっておりますか。いかなる協定にそういう基礎を置いたんですか。
  58. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) それは私どもの一応知っておる範囲内におきましては、一九五〇年七月、李承晩大統領の時代にマッカーサー国連軍総司令官との間に征復書簡と申しますか、それに基づいて一つの協定というようなものができて、それがずっとクーデターまでは続いておったわけであります。その後クーデターが起こりましてから、ややいろんな複雑な状況がその間にあるようであります。その後のことにつきましては、韓国軍と国連軍司令官との間にいろいろ交渉しておりますから、その間の状況は私にはわからないのであります。
  59. 森元治郎

    森元治郎君 防衛庁長官にもう一点聞きますが、韓国軍がこういう米韓協定とか、あるいはマッカーサー。李承晩の協定とか、こういうものでしばられておるわけです。もう終戦になって事態もおさまったのでそろそろ自分で独立したい。特に人事の関係については、もっと自分で自分の人事をしたいというような感じが動いてはなかったか。行政協定がまだあすこにはできてない、今交渉中だと思うのですが、そういうへんぱなものを少しこの関係がおさまってきたんで韓国軍に不満が出てきたんではないかということはどうですか。
  60. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 残念ながらそれらのことは他国の軍隊のことでございますので、私ども推測は困難でございますし、またこの布を通して批判を加えるわけにもいかないと存じます。
  61. 森元治郎

    森元治郎君 今新聞によりますると、韓国では国連軍司令官の権限、権威というものを一体韓国軍は認めてくれるのかどうか、こういうことでアメリカ側が大へん強く韓国側の意向を聞いているらしい。これについては、朝鮮事変に参加した国連の国々に、あなたはどう思うかという照会をしていると伝えております。日本もなるほど外務大臣が申されたように、軍隊を派遣したり何かはしておりませんけれども、深い関係にあるので、そういう場合には当然日本に照会があるのではなかろうかと思うが、外務大臣、こういう照会が来ておりませんか。
  62. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) そういうことは参っておりません、
  63. 森元治郎

    森元治郎君 私は朝鮮事態に非常に心配をしているのは、この軍隊の事情であります。われわれは極東の平和と安全ということであなた方が昨年安保条約を強行採決をしたが、一体この国連軍というものは、三十八度線から北の方だけに行動するのであって、三十八度線の南、すなわち韓国の領内においてごたごたができたときには、国連軍として行動するアメリカ政府というもの、これに日本は古田・アチソン協定によって何らかの支持を与えなければならないのかどうか。吉田・アチソン協定が三十八度線以外だけに適用するのか、全朝鮮に適用するのか。もしごたごたが起きて日本からアメリカの部隊が事前協議をするなり何なりして向こうに少しく増派されるというようなことがあれば、日本の平和と安全に大へんな影響を及ぼすので、その間の解釈はどうなっているかをお伺いいたします。
  64. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) これは御承知のように、韓国の防衛が目的でございますから、それ以外のことには関知しないと承知しております。
  65. 森元治郎

    森元治郎君 吉田・アチソンの交換公文に示されたる趣旨には、韓国の防衛ということはどういうことなんですか。
  66. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) 国連軍の話をしておられましたから一般国連軍の使命ということを言ったんです。吉田・アチソン交換公文は、先ほども申したように、韓国の不幸を資材、資金の面で協力する、こういうことであります。
  67. 森元治郎

    森元治郎君 私が申し上げたのは、吉田・アチソン交換公文でもって、日本の義務というのは、施設、役務を提供し、それから日本の内地から、国連軍として行動するアメリカ軍が出ていくのを、これを助けるのですから、そんな簡単な関係じゃないのであります。事が起これば日本が巻き込まれるというので、そこでこの協定というのは、北鮮側との敵対行為だけに協定が適用されるのか。韓国内でも事が起こって、国連軍として行動するアメリカ軍があった場合に、適用するのかしないのかと聞いているのです。
  68. 中川融

    政府委員(中川融君) ただいまの御質問の点でございますが、韓国における国連軍の行動というものは、国連の決議に基づいて行なわれておるわけございますが、その国連の決議は、結局、韓国というものが北の方から侵略された、それを防衛するために国連が、十数カ国が軍隊を供出いたしまして、そうして韓国と一緒になってこの防衛に当たる。終局的な目的は、全鮮が平和的に選挙によっで統一されるということが国連の目的、でございますが、国連軍がいまだに韓国におるというその理由は、結局この国連決議がいまだに実現されないというためにおるわけでございます。従って、今後もしかりに国連軍がまた行動を起こすとすれば、国連決議の趣旨によってのみ行動を起こすわけでございまして、その起こり得る唯一の理由といたしましては、北の方からまたさらに攻撃を加えられる、かような場合が唯一の事態であろうと考えます。従って、韓国内において、何か治安が乱れるというようなことで、もし国連軍が行動を起こした場合に、日本がどうするかというお尋ねでございますが、そういう目的のためには国連軍としては行動し得ない、新たな国連決議を受けなければ行動し得ないと、かように考えます。
  69. 森元治郎

    森元治郎君 それではっきりいたしました。韓国クーデターが起きてから、ちまたには、料亭ではありませんよ、ちまたには、まさか日本の自衛隊はね――といったような素朴な、冗談とも真剣ともつかないようなことを、私たちが選挙区へ帰ってみると尋ねられることがありますので、これについて、私はそういうことはないだろうとは思うけれども、素朴な一般の民衆にはそういう感情もありますので、総理大臣から、この点に一言触れていただきたいと思います。
  70. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 御質問がはっきりいたしませんが、韓国でああいうクーデターが起こったから、日本でもそういうものが起こるのじゃないかというあれでございますか、そういうちまたの……。
  71. 森元治郎

    森元治郎君 そういうことを、まじめともあるいは冗談――冗談といいますか、軽い気持でそんなことはないだろうねということを聞かれるので、やはりそういう心配も、隣の国に起こり、政府流動的な状態だから何にも言えないというのでは、それはまた、あれを支持しているのかと思う人もあるわけです。だから、この際はっきりそういうことはないのだということを御答弁願えればいいのです。
  72. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 政府流動的だとか……、日本の状態は流動的じゃございません。あなた、生々流転とか、万事動くのだ。私ども流動的というのはそういうのじゃない。日本は決して流動じゃございません。安定しております。私は日本の自衛隊がクーデターなんか起こすようなことは、もう私は考えも思ったこともないのでございます。また日本国民全体も私はそう考えておると思います。
  73. 森元治郎

    森元治郎君 あなたは生々流転と言ったと、生々流転はお隣の小坂さんが言ったので、私が言ったんじゃないから、その点を御了承願いたいと思います。  それから第二点は、そういうことを思ってみたこともない。だからだれかが、自民党の方が何か上手なお話をしておりましたが、知っているくらいなら起こらないのだ、こういうことでありましたので、総理大臣にお伺いしたのであります。  防衛庁長官、こういう自衛隊の規律とかあるいは思想的な傾向といいますか、何といってもまだ憲法上はっきりしたようなしないような、それこそ流動的といいますか、安定しない状態にある自衛隊にとって、長官としては御苦労なことだと思うのですが、この規律とか、そういう面についてのどういう措置をとられておるのかをちょっと伺っておきたい。
  74. 西村直己

    国務大臣(西村直己君) 私どもは、自衛隊の直接の責任を持っておりますが、韓国とは国情が違いますので、自衛隊はそれによって微動だにいたしておりません。日夜ただ与えられたる任務に従って、規律と訓練を守っております。また世間も、漸次自衛隊に対する認識は高まってきておると思います。明日も、時代は違っておりますけれども日本一つの歴史を作りました三笠艦の復元式を横須賀においてやりたいと思うのであります。
  75. 森元治郎

    森元治郎君 そう張り切らないでもいい。そこまで私はお聞きしているのじゃないのであります。  池田総理にお伺いしますが、この韓国事態を見て、私たちがしみじみ感ずることは、やはりわれわれがかねて主張しておりまするように、韓国立場に立って、ほんとうに考えてやらなければならない。それには、韓国を自分の反共の道具立てなどに使うことなく、やはり韓国の幸福のためにこれを考えてやることが一番私は大事だと思うので、かねて主張しておりまするように、やはり中立的な方向でみんなで力を貸してやろう、これがやはりよろしいではないか。そうすると、いろいろ議論をする中に、そんなことは夢だというようなことでありまするが、私は世界の情勢から見ていくと、夢ではなくて、やはり現実になりつつあるから、そちらの方向へ向けていく努力をしていく。あしたにはできません、向けていくということが、やはり日本としては大事なんではなかろうか、関係国としてもそちらに持っていくべきだと思うのですが、総理大臣はいかがにお考えになりますか。
  76. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) どうも私御質問の要点がはっきりしないのですが、韓国を中立主義のもとに、中立の方向へ持っていってどうこうというのでございますか。
  77. 森元治郎

    森元治郎君 南北を一つ朝鮮にするように持っていくという……。
  78. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) われわれは、第二次世界大戦後におきまして、同一民族が分かれておるというこの不幸さをつくづくお気の毒に思い、そうしてまた、敗戦の日本がそういう状態に置かれんとしたこともうわさに聞きまして、ぞっとする状態でございます。韓国の統一をわれわれは望んでおります。ただそれだけであって、どういう政治体制で、どういう理念でということを言うべき筋合いのものじゃないと考えます。
  79. 森元治郎

    森元治郎君 言うべき筋合いでないことばかり多くて、これはちょっと政治になりませんが、今問題のラオスにおいても、アメリカ政府の新しい対策として、今までになかった中立的なラオスというものを作ることによって平和を確保していこうというふうな動きが、向うに現に行なわれておるのであります。アメリカは従来のアイゼンハワー時代までなかった新しい線を出してきたことは、これはだれも知っている。そういうふうになって、アメリカでさえそういうふうに開眼――目を開いてきたとするならば、われわれとしても非常にこれはとるべき方針であるから、南化の朝鮮の統一に向かうようにもっていくべきだと思うのであります。もう一ぺんケネディ政権との関係で御答弁願います。
  80. 小坂善太郎

    国務大臣小坂善太郎君) ラオスの状態は、御承知のように、ブンウム政権、それからプーマ中立的な政権、パテト・ラオ、コン・レ大尉によるところの左翼政権、この三つが争いまして、この国内で戦争はいつまでも続いている。かくてはとても新しい民衆のための福祉というものを持ち来たらすことはできないんじゃないか。そこで真の意味の中立、全部がこれから手を引くと、現在いろいろ東西関係入り乱れておるのだから、真の意味の中立のラオスを作って、全部これから手を引いたらいいじゃないか、こういうことでございます。ああいうふうながたがたのあげくに考えられておることであるのでありまして、これをもって現在他のどの国もそうしたらいいじゃないかということにはならぬと思います。これは現実の事態がそういう考え方を生んでおる、こういうことであろうと思います。私もいろいろ国会でも申し上げておりまするように、新たなる地帯に東西の争いというものを打ち込まない。また現に東西両陣営にあるものは、お互いに内政不干渉、そしてお互い立場を尊重するということでなければ、世界の平和は保てないということを言っておるのでありまして、そういう考え方というものは、これは普遍的なものになるべきだと思います。ただ、ラオスの状況がこうであるから、だから韓国もというのは、論理の飛躍だと思います。
  81. 森元治郎

    森元治郎君 ラオスの事情ではなくて、アメリカの変化を言っておるのであります。私は最近の外電を見て感ずるのですが、池田さんはお役人さんの出身で、新聞というものを都合のいいときばかり利用されまするけれども、私は新聞というものを非常に高く買って、やはり外電をよく呼んだ結果では、ジョンソン副大統領の、南の方を回られた結論などから見ますというと、どうもアメリカの強い態度がないのでがたがたしている。たとえばタイあるいは南ベトナム、フィリピンその他も不満であるというような談話もありました。そこで、こういう韓国の状態がこのままでありますると、どうも日本に非常にアメリカの期待が深まってきやせぬか。今度アメリカを訪問されて、韓国問題も出るそうでありまするが、日本にただ自衛隊の力を強めるだけでは、とてもこういう日本のためにもならないし、極東の平和も韓国の平和も朝鮮の平和も保てないと思うので、やはりこれはラオスで開眼されたような気持に、武力だけが平和を維持するのじゃないのだということを、アメリカに十分私は説得されるべきだと存じます。  時間もありませんから、最後に一つ法務関係のことを伺います。去る二十日の新聞に、警察庁発表として、政治亡命は人道的に受け入れを決定したと。これはおかしなことだから、さっそく月曜の予算委員会でやろうと思いましたところが、ごたごたのためにやるチャンスがない。そのうちに二十三日の閣議で安井公安委員長からこれと話しの違うような、取り消したような、談話があったわけであります。この点について伺いますけれども、これまた新聞によるほかないので、御了解を願います。ある新聞には、二十日の新聞に載った記事は事実無根、あるものは誤報となっておりまするが、どの点が間違いであったのか御指摘を願います。
  82. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) 先週の土曜日にそういった記事が一部載っておったようでございまするが、警察庁といたしましては、格別あの記事のように、クーデターによる政治亡命者を特別に受け入れるというような協議をいたしたことは何もないのであります。ただ実態が、ことしになりましてから相当密入国者がふえてきておる。それへたまたまそういったクーデターのようなものがあったものでありまするから、あるいは政治亡命といったような名乗りをあげるような人でもあった場合に、何か特別注意するようなことでもあるかどうかということを、事務的に関係機関と打ち合わせをした、そういう事実だけでございます。そのために特に態度を従来と変えた、あるいは新しい受け入れ態勢を作るというような事実は全然ありません。
  83. 森元治郎

    森元治郎君 もう一ぺん伺いますが、そうすると、人道的に受け入れるという密入国者の処遇についての話し合いはなかった、それからあなたは関係方面と相談したということになっておりまするが、あの記事が出たあと、外務省関係では、そういうことは聞いていないとか、何か警察だけで独自に出たように思うとか……。それでは警察というのは――安井さんも御存じのように、戦前は朝鮮関係は内務省あたりの内鮮課といいますか、ああいうところで取り扱っておったので、とかく朝鮮の人々との関係もあった、そういう関係から、何か反共なら、あるいは自分と知っているなら、特別な待遇を与えようというような意図が入っていたのかと思って、私はその点を心配したのでありまするが、あの記事を見て、今、安井さんは違っているという御指摘があったのですが、私の感じは、何か昔式の外事警察というものを警察の一部で考えているのじゃないか、終戦後GHQの手で日本の警察関係の行政機構は分断されまして、あるものは法務省に行ったり、海上保安庁に行ったり、水上警察に分かれたのを、最近の反動復活ブームに乗って外事警察でも作るのじゃないか、そういうような感じを受けたのですが、そういうことは公安委員長としては考えておられるかどうか。
  84. 安井謙

    国務大臣(安井謙君) ただいま外事警察を作るというようなことは考えておりません。それから今申し上げましたように、外務省あるいは法務省へは、事務官がごく事務的な連絡をしただけでありまして、あるいは上の方の方は御存じなかったでありましょうし、私もむろんあの新聞の出た当時話を聞いておらぬ程度のものでございます。
  85. 森元治郎

    森元治郎君 法務大臣に伺いますが、現在この出入国関係こういうものが現在通りでいいと思うかどうか。不備の点があると思うのか。やはり昔式の外事警察にした方がいいのか、そういう点を一つ
  86. 植木庚子郎

    国務大臣植木庚子郎君) われわれのただいまの態度といたしましては、何ら変わっておりません。すなわち現行法の規定によって手続をしていけばそれで十分であると、かように考えております。
  87. 森元治郎

    森元治郎君 総理は今度アメリカに渡られて、アメリカ側との話しの議題の中には、低開発国の援助という問題も含まれるというようなことのようでありまするが、私は低開発国というものの一問発にあたっては、この低開発国、これに援助をすることが、すなわち反共基地になるのだ、そういう意味があったとしたら、これは失敗であろうと思う。幸いジョンソン副大統領の最近現地を回られた報告でも、従来のように東南アジアの貴族とか、あるいは一部の権力者軍人というような者だけに支援しておるというようなことは、これはやめなければならないということを、さすがに現地を回ってわかったようであります。そこで、日本もこれから低開発国の援助をされる場合に、単にそういう政治的意図で、ほんとうに現地民のため、あるいはこれに関係する貿易の増進ということを考えずして、政治的な方面に力を入れ過ぎるということは、これはどぶの中に金を捨てるような結果ともなり、国際平和にも貢献することがないので、十分留意されて交渉されることを希望いたしますが、総理の御所見を承りたい。
  88. 池田勇人

    国務大臣池田勇人君) 私は低開発国の民生安定、向上に主力を注ぐべきだと思います。
  89. 森元治郎

    森元治郎君 私はこれで終わりまするが、最後に、この間資料の提出をお願いをしたのですが、どうなっておりますか、早急に出してもらいたい。昭和二十七年四月二十六日と十二月のガリオア、イロアに対するアメリカ日本への申し入れ及びこれに対する日本政府の回答であります。それがまだ出ておりませんので、大至急これを出していただきたいと思います。
  90. 館哲二

    委員長館哲二君) 次回は明日午前十時より開会いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時三十一分散会