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木村禧八郎君 それは、ドッジ氏の
証言を冷静に読めば、これが
債務であるという結論がどうしても出てこない。なぜドッジ氏みたいな有力な人が
証言したこういうものを参考にされないのか。時間がございませんけれども、重要でありますから、これから紹介します。
ドッジ氏はこう言っております。対日歳出要求の主要な構成が食糧と綿花とに関連していることは強調さるべきである。現在も将来も、これはいずれも過剰物資であり、商品、金融会社によってすでに買い上げられているが、この商品、金融会社は現行立法によって買わなければならぬものである。その限りで、現在も将来も
政府支出の増加を
意味しない。対
日援助計画の実費はこのように主として要求された
資金で購入さるべきものが、過剰物資であるということを十分考慮されるべきである。一九五一年度に
日本向けに要求される
経済援助総額二億七千百万ドルのうち八七%は、
アメリカの過剰物資の購入と輸送に向けられたものであり、その中には、小麦が一億三千百万ドル、綿花の九千九百万ドル、油脂の五百万ドルが含まれている。歳出要求と関連してさらに重要なことは、本年度に
日本に与えられる
援助は、
日本が
占領軍に与える
費用のドル換算よりも少ないという率直な事実である。本年度の
日本に対する
ガリオア援助資金要求額は二億七千万ドルであるに対し、
占領軍のための
日本政府支出のドル換算は約二億九千七百万ドルになろう。
日本占領の
アメリカ軍のため
日本政府による
支出は、もしそれがなかったら国務省の軍事
予算から約三億四千五百万ドルを必要としたことであろう。合理的な適切な
援助額は、他の地域と比較して割のよい投資なのである。
日本は現在
極東におけるわれ一われの既存のインタレストの焦点をなしている。将来も相当期間の間、それは
米国の幾つかの重大インタレストの
一つになるだろうが、現在では
日本は、
アメリカが大きな影響力を持ち、かつ、われわれが
目的達成に必要な諸要因のすべてに完全な統制力を持っているアジア唯一の国である。過去一年、ことに最近におけるこの地域のできごとの傾向は、
日本におけるわれわれの地位を増強し強化する必要を強調するものである。われわれの将来の発展は、
極東地域への今後の
援助拡張の跳躍台として、また供給源として
日本を利用することを必要ならしめるであろう。こう言っているのです。これでは明らかに、かりに
債務であるとしても、
アメリカの軍事
予算をですね、
日本の
終戦処理費との見合いになってドッジ氏は考えている。だから、
日本政府が
占領費として
アメリカ軍に支払った額の方が多いんであるということをドッジ氏はここで強調しておるのです。それで
アメリカ国民に対して、決してこれは損をしているんじゃないんだと、こういうことを強調しているんですよ。これから見れば、
アメリカは、また少なくともドッジ氏は、当然これはグラント、
返済を私は予定しているものじゃないと思うのです。また、
アメリカ国民が
日本に対する
援助を非常に不満に思ったのは、これは貸付金で
返済されるといえば、そんなに不満は持たなかったと思うのです。これが
援助という形、これはグラントという形、贈与という形になるからこそ、ドッジ氏は、これは
アメリカ国民の税金からこれを負担しているんだということを強調し、そして今私が紹介したようなことを述べている。こういう
論拠があるんですよ。いかがですか。