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竹中恒夫君 どうか、そのような御努力を引き続きしていただきたいと思いまするが、そこで、いよいよ明日から国民皆
保険になり、国民皆年金になるわけでございますが、非常に意義のある日でございまするが、三十六
年度の予算を通覧いたしまして、
社会保障制度関係の予算が二千二百六十七億円、一一・七%でございます。六百二十九億とかあるいは六百三十六億というような非常に大幅の増額をなさって、全く画期的なことでありまして、私五カ年間社会労働
委員いたしておりまするが、こうした画期的な予算の増ということは経験したことはないわけであります。その意味におきまして、私非常にけっこうであり、喜ぶことであると存ずるわけでありまするが、先ほど申し上げましたように、それほどの大きな予算を
社会保障に傾注されましても、列国の水準のILO百二号に到達しにくいというようなまだ貧弱な
わが国の
社会保障制度でありますので、なお一そうの努力を賜わりたい、かように
考えるわけでございます。
そこで、その
社会保障制度の中で、特に私は今回取り上げてお聞きしたいことは、
社会保険関係の予算でございます。
社会保険関係の予算が五百二十一億ということでございます。なるほど戦前に比べましては百億円以上の増額になっておりまするが、この
社会保険関係の五百二十一億円の予算の配分に、実は私
意見があり問題があろうと思うわけでございます。すなわち、五百二十一億円の中の四百十六億円というものは、国民
保険の助成に
出しておられるわけであります。従いまして、健保あるいは日雇、船員というような他の
保険に対しましては、きわめて少額の援助しか、あるいは助成の費用しか出ておらない。ここに私は問題があろうと思うわけでございます。具体的に申し上げますならば、いわゆる健康
保険勘定、
政府所管の健康
保険でございまするが、この
政府所管の健康
保険勘定は、千百十三億円という予算の範囲内で
保険給付をしておるわけでございまするが、その中で国が出すのはわずかに八億円である。
社会保険関係では、今申し上げましたように、五百二十一億円もありながら、
政府所管の健康
保険にはわずかに八億円の金しか出ておらない。しかも、そのうちの三億円は今回の医療費引き上げの引当金でございまして、前
年度同様に五億円しか出ておらないというようなことに、計算の上はなるわけでございます。きわめて
政府所管の国民健康
保険に対しまする当局の
考えが冷淡であり、むしろ私は虐待いたしている、かように
考えるわけでございます。
この問題につきまして私は想起するわけでございますが、実は三十二年の三月の二十八回の国会におきまして、健康
保険勘定は、あの当時年々、三十一年、三十二年は、国からは
政府所管の健康
保険には三十億円ずつの金が出ておったわけでございます。ところが、三十二年の三月に、これを一挙に十億円に減額なさろうといたされまして、当時の一萬田蔵相と私は討論をしたわけでございまするが、その討論をいたしましたときに引例いたしましたのが、実は三十一年の九月の衆議における
池田大蔵大臣としての御
答弁を私は引用いたしたわけでございます。そのときの議事録がここにございまするが、当時の蔵相としての
池田さんの言われたのには、その当時三十億円を
出したときに、将来
政府所管の健康
保険が
黒字になっても引き続いて三十億を出すのかという
質問に対しまして、蔵相としてあなたは、もとより今日の国の政治のあり方としては、当然
社会保険、特に
政府所管の健康
保険に対しましては、三十億円の金を、
黒字になったから、赤字になったからといってどうこうするというような
性質のものではない。政治のあり方としては、当然もし
黒字になれば
保険料を安くするとか、あるいはまた
給付内容をよくするとかというようにして、どんどん
政府所管の健康
保険の発展を期するのだ、こういうような
答弁を三十一年の九月にしておられるわけであります。ところが、今申し上げましたように、
政府所管の補助ではわずか八億円であるということになりますと、非常に、当時三十億円が当然出すべきであるというお
考えとの間に大きな相違が出てくるわけでございます。私はこの点は、非常に御熱心に
社会保険を
考えておられる蔵相として敬意を表しておったわけでございまするが、この点につきましての明
年度八億円になったという理由を
一つ承りたいと思います。