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政府委員(齋藤誠君) お答えいたします。農業移住につきましては、
国内の募集、あるいは啓発宣伝を農業団体等でいたしておるわけでございますが、海外移住につきましては、現地におけるどのような条件、どのような営農
状態かというようなことが、移住者にとって重大な関心であることは申すまでもないところでございます。そのような観点から、全拓連におきましては、積極的に現地におきまするコチア産業組合がございますが、これと協力いたしまして、現地における適地の推薦を依頼いたしたわけでございます。その結果グァタパラ地区をコチア産業組合から推薦を受けまして、三十三年五月でございますか、全拓連がこれを購入するという段取りをつけたわけでございます。この土地につきましては、
関係県が五県ございますが、この五県の農協の融資によりまして、県はこれに対しまする利子補給、損失補償というような
措置をとりまして融資を行ない、そうして全拓連がこれを取得するという計画が参ったわけでございます。グァタパラ地区自身は、これはサンパウロから約三百マイル離れておりまして、舗装された州道に面して、立地条件としては、トラック等で五時間くらいの地点に立地いたしておりまして、比較的交通上は便利なところになっているわけでございます。現在までのところは、これの入植についての具体的な事業計画、それからさらにそれに必要な資金計画並びに入植についてのブラジル
政府との許可の問題、これらが主要な問題点であったわけでございます。
その前に一言申し上げておきたい点は、このグァタパラ地区につきましては、実は従来すでに移従者が入っておりました、かつての入植地であったわけでございますが、その後これらの地区につきましては、移民は、入植者は他の地区に移転する。つまり当初の入植の
一般的な形態といたしましては、御承知のように略奪的に入植しますと、他の土地に移る、こういう形態であったわけでございます。そこでグァタパラ地区の問題でございますが、これは約七千三百ヘクタールの面積を持っておりまして、そのうち四千百五十ヘクタールが任地、残りの三千百五十ヘクタールが低湿地であるというようなことで、これに入植いたします場合におきましては、相当集約的な農法をやって参る必要がある。さらにまたその地帯は、たまたま低湿地につきましては、今後入植するといたしました場合に、相当土地改良工事をやる必要があろう、こういうことになっておりまして、グァタパラ地区用身の今後の事業計画を進めていきます場合におきましては、いわばサンパウロ近くで、かつて入植した地帯が放擲されたような地域に対しまして、
日本の集約的な農法を導入する。さらにまた集約的農法と相
関連いたしまして、土地改良事業というものをそこで現地で現実に見せてやる。つまり
日本の農業土木技術をそこで、現地で実験してみる、こういう内容を持っておりまして、
一つは、技術協力と、それから内地の集約的農法をそこで実験的にやってみる、こういう内容を持った計画でございます。そこで、ちょっと前に返りますけれども、当初申し上げたように、全拓連とコチア産業組合が協力してこれを
実施するという計画であったのでございますが、その後若干
向こうの
国内法におきまして一
取り扱い手続が変わりまして、これらの移民事業を行うものにつきましては、現地法人で、かつ登録をすることが必要であるというような状況になりましたので、当初産業組合の主体のもとにこの事業を
実施するということであったのでございますが、今申し上げたような事情から、今は外務省と農林省で
一般的な処理方針をきめまして、
日本海外移住振興株式会社の現地法人であります
——ジャミックと称しておりますが、これが一応土地の購入主体になっておる、こういう状況になっております。
そこで、現段階におきまする問題といたしましては、先ほど申し上げましたような、現地に入植する場合の許可を要するということ、これは先ほど移住
局長からも御説明があった点でございますが、
一般的に計画移住する場合には、入植率というものがございまして、その入植率に伴う必要な移民の許可を要するわけです。それから第二には、これを
実施する場合におきましては、やはり現地のコチア産業組合との協力が非常に必要である。それに基づきまして、現地の入植者のあっせんであるとか、あるいは組合員としての営農指導を受けるとかといったような面が生ずるわけでございます。それから第三には、事業計画の確定を必要とするわけでございます。これらの問題につきまして、現在移住振興会社の社長が現地に参って、そして現地の在外公館あるいはコチア産業組合といろいろ折衝しておられる段階でございます。われわれとしては、その折衝の
経過を待ちまして、さらに外務省あるいは
関係局と相談いたしまして処理を進めて参りたい、かように考えておるわけでございます。