○金丸冨夫君
お答えをいただきました労働問題の解決に当たりましては、労使双方がほんとうに理解、一致を見出すということは非常に困難でありまするが、これを尽くさなければならぬということはもちろんでございまして、ただいま組合の御要求になっている問題につきましても、
政府はほんとうにあたたかい気持をもって、また財政の許す範囲においてこれが実行をされるということが、また解決の主要な点であり、またその方法等において、お互いにストライキ自体の行儀を直すという意味からいたしましても、この
法律を順守するということは絶対要件であろうと私は考えるのでございまして、この両者におきまして、ただいま
お答えをいただきました、この御決意によって進められることは、まことに妥当であると思うのでございまして、世論の向かうところをよく御洞察願いまして、最善を尽くし、かようなストライキの起こらないように、この解快方について一段の御尽力を賜わりたい、かように存じまして、この問題は私はこれで打ち切りたいと思います。
次にお伺い申し上げたいことは、最近、
都市におけるところの交通が非常に輻湊いたしております。六大
都市ももちろんでありますが、特に
東京都におきましては、全く行き詰まりの
状態ではないか。かようなことで非常に憂慮をいたしているような次第でございます。
大体、最近の交通の非常に輻湊いたして参りました原因といたしましては、第一には
人口の自然増加及び
都市集中というようなことが非常にはなはだしくなったということが一つ、また生活向上あるいはまた文化の向上、さらにまた産業の伸びが最近非常にテンポを速めてきたということが第二の原因であろうと思いますし、また第三には、
国民各階層の所得が非常に増加をいたしてきた結果は、車を利用するということが非常に旺盛になったということであり、また第四には、自動車工業というものが非常に
発展をいたして参っておる事実並びに第五には、ガソリン、重油等の動力源の入手が非常に最近容易になったということであろうと思うのでありまして、試みにわが国の自動車保有台数を
運輸省の
調査によりますと、三十五年十二月末でもうすでに三百四十五万三千台というようなことに上りまして、毎年大体二〇%から三〇%の増加、特に三十四年度は平均いたしまして二四%という増加に相なっております。ことに乗用車につきましては三五%、また二輪車は三四%というような高度の増加をいたしておるのでございまして、これが一つの大きいこの
都市交通輻湊の原因であると思うのでございます。また、交通
事故の面から考えてみますと、三十五年中の全国の
事故件数は三十五万六千二百五十八件というようなことに、これは警視庁の調べでありまするが、なっておりまして、何と驚くなかれ、死者が八千六百九人、負傷者は二十万五百九十という数に達しておりまして、一日平均二人半また負傷者は五百五十人というような数字に相なっておるわけであります。死傷に関係なく交通違反の件数は、これはまた法務省の
調査によりますというと、三十四年中全国でもって三十万六千百四十七件、三十五年はちょうど六月までの統計ですが、二十一万三千なにがしでありますが、おそらく三十五年全体については四十二万人に上りはしないかと、かように考えておるわけでございます。
およそ交通といえば、産業、
経済発展の基盤をなし、民生安定の基本であるというようなことをよく申しますが、今日までかように行き詰った原因は、何といっても、この交通に対する認識が私は足らなかったということを強調いたしたいのであります。たとえば道路にいたしましても、終戦後、二十五年でしたか、米国からの
調査団のときでも、日本には道路
予定地はあるけれども道路はないというようなことを言われておる。また鉄道につきましても、最近ちょっと数字がふえるというと、すぐに
隘路だ
隘路だというて大騒ぎをする。鉄道自身は、私は今日新五カ年
計画は設定されておりまするが、当然のことであって、今まであまり金を使わずに、いかなる事態においても貧乏人のやりくりで効率が世界一高いということを自慢をしてきておった。その報いがここにしわ寄せされたと私は見て差しつかえないと思うのであります。これは結局国が交通に関して金を使わないということがここにきておるのであると思うのでありまして、また、一般
世間でも大体私は認識が非常に足らない。物の売買をする場合でも、物の代金は非常にやかましいが、運送賃のごときはこの次に考えておる。また、木材等がたくさん産地に山積していながら金にならないということを嘆いておるが、
輸送というもの自体を開いてこそ、物の価値が上がるということはよく存じているにもかかわらず、これを軽視する。この傾向が、私は一番今日の交通の行き詰まりを来たした原因であろうと、かように考えているわけであります。ところが今回は、池田
内閣におきまして所得倍増というりっぱな構想、さらに引き続き、具体策として、鉄道におきましては鉄道五カ年
計画、あるいは道路整備五カ年
計画、また、港湾整備五カ年
計画、船舶建造十カ年
計画と、なかなか
計画はたくさん盛られまして、そうしてこの取り戻しをやろうということになっておられるようで、まことにこれは時宜を得たことであると私は考えるのでありまするが、ただ、ただいままで
予算委員会を通じて伺っておりますというと、大事なところになるというと、これは構想であるとかというようなことで、すぐ逃げられてしまう。また現に、今年の予算を見ますというと、ほとんど初年度の三分の一にも達しないようなものを盛っている。これでは
国民が納得しそうにもないのであります。私は、あえて年度割りをやかましく言うわけではありませんが、かようなものについて国家が立てられた
計画を、ほんとうに五カ年で完成しようという熱意があってやられるか、言いかえれば、かかる認識の上に立ってこれる
政府はやられているかどうかということについて、すべての台所をお締めになっております大蔵大臣に、総理にかわって一つ
お答えをいただきたい、かように考えます。