○村松久義君 成長作物といわれるものと、それから収穫逓減の法則を現実に受けておるもの、これはもちろん区別して
考えなければならぬ。しかし、今私
どもの
考えの重点は、何といっても重要農産物といえば、もはや収穫逓減の法則が作用しつつある。成長作物に関しましては、これは別個の方法をとるべきものなんです。従いまして、この点は私今論外にいたして、後にこれは論じたいと存じます。
そこで、今の集団化の問題、あるいは経営規模を拡大して、そこにトラクターを入れるというような
お話もございましたが、それには、そこに達しまするにはいろいろな隘路がある。それができたものとして御
計算になると、これは所得均衡が一体何年後になるのであるか、かなりここは時間的な問題として非常にむずかしい問題があるのでございます。ある人が農業の所得均衡の問題を論じまして、ちょうどこわれかかっておる時計、それのゼンマイを直し、竜頭を直すについて、時計を一刻もとめちゃ困るというような、そういう条件で時計の修繕をしなければならぬところに非常にむずかしさがあるといわれたので、私は十分、農業
政策を
考えていきます場合においてはこの気持がなければできない。生きている農民なんです。従いまして、もうすでに経営規模の拡大ができたような、そういうおつもりで、
あと新技術を入れるのだ、こういう気持でなしに、新技術
自体が、私先ほど申し上げましたように、現在において大経営における新技術はございません。まだそこまで発達いたしておりません。しかし発達しませんでも、とにかくそれを大経営に入れていかれることもけっこうでございましょう。しかしながら、そのことの前に、もうすでに集団化したようなお
考えにならないで、どうすれば集団化するかということに関して特に一つ御考慮をいただきたい。と申しまするのは、離農をいたしますその場合に、土地が集団化されまする条件としては、離農をした人
自体の生活が安定をしなければならぬこと、土地が非常に高く売れなければならない。買う方から申しますと、何といっても大きな資本が要るのです。計画にありまするように、かりに二・五ヘクタールの百万戸を造成しよう、これはもうこれだけですでに数千億円かかるのでして、数千億円が出れば、今のあなたの御議論が、そこへ新技術を持っていけばいいんだということにもなりましょうけれ
ども、しかしそこに至りますること容易ならざる事態において、その場合において生産を上げるということだけで、それ
自体が矛盾を持っておりまするところに、それによって所得均衡を解決しよう、格差を是正しようということは、あまりに大きな飛躍じゃないだろうか。むしろ私はこの場合においては、所得均衡をするためには、どういう方策をまずとって、一刻も死なせないような考慮をしていった方がいいかという、そういう問題についても一つお
考えをいただいて、その点についても農林大臣の御
所見を拝聴いたしたいと存じます。こう申し上げますと、かなり抽象的になるのでありまして、後に企画庁長官の方にもお尋ねいたしたいと思いますが、要するに農業基本法において私一番気に入った点がある。それは生産条件及び交易の条件において不利があればこれを
補正するんだと。生産の条件の不利といえば申し上げるまでもなく、今の収益の逓減が顕著に働いておる。そのことを不利なものに対して
補正をするというところに、この農業基本法の精神があるのです。交易条件の不利と申しますると、要するに価格問題、従ってその不利を是正するということにまず第一の主眼を置いて、しかる後に今の計画を着々お行ないになりませんと、経営規模がすでに拡大したように申しますが、もう拡大いたしまするためのその
資金だけでもこれは容易なことじゃない。従いまして、私は、この場合において生産条件の不利を解決し、また交易条件の不利を解決いたしまするために、何を一体重点を置いて、そこに力を注げばいいんだということについて、これは一つ農林大臣のお
考えを承りたい。私は、伺いまする前に申し上げますが、やはり物価における——私はこれを所得均衡の価格と申しますが、所得均衡価格を形成するための総合的の物価
政策というものを、これをまず最初にねらっていかれたらどうだろうか、こういう
考え方を持っておるのでございます。一応御
意見を拝聴いたしたいと思います。