○吉武恵市君 ただいま
議題となりました三
法律案について、社会労働
委員会における
審議の
経過並びに結果を
報告いたします。
まず、
戦傷病者戦没者遺族等援護法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本
法案は、現行法等の適用にあたって生ずる不均衡を改善しようとするものでありまして、その要旨は、第一に、旧国家総動員法によって徴用された者等が、もとの陸海軍の有給軍属として戦地または事変地以外の地域で勤務している間に、業務上戦時災害を受けて不具廃疾となり、または死亡した場合において、その者を
戦傷病者戦没者遺族等援護法の適用について準軍属として取り扱い、その者またはその遺族に障害
年金または遺族
給与金を支給すること。第二に、死亡した軍人軍属等が旧民法にいう人夫であった場合に、その妻の父母を遺族の
範囲に加え、
遺族年金または遺族
給与金の支給を受け得ることとすること。第三に、第四項症以下の障害
年金等を増額することであります。
委員会においては、各委員より熱心なる
質疑が行なわれましたが、そのおもなる点は、第一に、
援護法による
遺族年金は五万一千円、恩給法による公務扶助料は兵の場合五万三千二百円であるが、この際この不均衡を是正すべきではないか。第二に、
特別弔慰金の支給については、旧軍人等が
在職期間経過後一年以内、結核等の場合には三年以内に死亡した場合のみに支給するとの制限は撤廃すべきではないか。第三に、動員学徒、準軍属に対する遺族
給与金は年額二万五千五百円の一時金となっているが、旧軍属等と同様
遺族年金に切りかえ、
所得制限等の条件は改むべきではないか。また、本法の
実施上未解決の問題があるので、本法の運用にあたっては、あたたかい心持ちでこれらの問題に善処されたいとの強い要望がありましたが、その詳細は
会議録によって御
承知を願います。
かくて
質疑を終わり、
討論、
採決の結果、本
法律案は
全会一致をもって原案の
通り可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、
健康保険法及び
船員保険法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本
法律案は、健康保険及び
船員保険における被保険者及び被扶養者の分べんに関する給付の
内容を改善しようとするものでありまして、その要旨は、第一に、被保険者に支給する分べん費の額は、現在その
標準報酬月額の半額となっておりますが、その最低類を六千円に引き上げること。第二に、被扶養者である配偶者の分べん費の額を、現行の千円から三千円に引き上げること。第三に、被保険者または被扶養者たる配偶者の出産について、その子の生後六カ月間毎月二百円の保育手当金または育児手当金を支給するのを改めて、出産の際一時に二千円の育児手当金を支給すること等であります。
委員会においては各委員から熱心な
質疑が行なわれましたが、そのおもな点は、第一に、組合管掌と
政府管掌との給付
内容は不均衡であるが、
政府管掌の
内容を引き上げることによって、将来組合管掌と共済組合保険をも含め、被用者保険の統合調整をはかる
考えはないか。第二に、
政府管掌の病院施設は、民法上の社団である全社連に経営を委託しておるが、全社連の
運営については、被保険者の
意思を反映せしめるように改善すべきでないか。第三に、今回の分べん費の増額は、妊産婦及び新生児の保護についてなお少なきに過ぎるので、分べんの実態に即するようにさらに増額する必要があるのではないか等について
質疑が行なわれましたが、その詳細は
会議録によって御
承知を願います。
かくて
質疑を終わり、
討論、
採決の結果、本
法律案は
全会一致をもって原案の
通り可決すべきものと決定いたしました。
—————————————
次に、
日雇労働者健康保険法の一部を
改正する
法律案について申し上げます。
本
法律案は、日雇い
労働者健康保険の給付
内容の改善をはかり、国庫負担率を引き上げて保険
財政の安定をはかろうとするものでありまして、
衆議院において修正を加えられたものであります。
まず、
政府提出案の要旨を申し上げますと、第一に、療養給付と家族療養費の給付期間を現行の一年から二年に延長すること。第二に、傷病手当金の支給期間を現行の十四日から二十一日に延長し、その手当金の日額の等級区分が現在二段階であるのを三段階に改め、現行の第一級二百円、第二級百四十円から、第一級三百三十円、第二級二百四十円、第三級百七十円に引き上げ、出産手当金の日額についても傷病手当金と同様に引き上げること。第三に、被保険者分べん費を現行の二千円から四千円に、配偶者分べん費を現行の千円から二千円にそれぞれ引き上げること。第四に、新たに
特別療養費の
制度を設けて、日雇い
労働者が初めて被保険者となった当初の約二カ月間における本人及びその被扶養者の疾病または負傷に対し、五割の医療給付を行なうこと。第五に、保険料の日額の等級区分が現在二段階であるのを三段階に改め、
賃金日額四百八十円以上の被保険者について新たに三十円の保険料額を設けること。第六に、給付費に対する国庫負担率を現行の三割から三割五分に引き上げること等であります。
次に、
衆議院における修正点を申し上げますと、第一に、保険料の日額の等級区分を現行
通り二段階とし、その日額を
賃金日額四百八十円以上のもの第一級二十六円、同未満のもの第二級二十円とすること。第二に、傷病手当金と出産手当金の日額の等級区分を現行
通りとし、その日額を第一級三百三十円、第二級二百四十円とすること。第三に、傷病手当金の日額をさらに一日延長して二十二日とすることであります。
委員会においては熱心な
質疑が行なわれましたが、そのおもなる点は、第一に、日雇い
労働者は医療扶助を受ける例が多いので、国庫負担の増額によって給付
内容をよくし、生活保護に転落することを
防止すべきではないか。第二に、保険
財政は借入金によって
措置されているが、これを返済するについてはどう
考えているか。第三に、給付
内容、特に出産、結核及び傷病手当金については、早急に健康保険並みに引き上げるべきではないか等の諸問題について
質疑が行なわれましたが、詳細は
会議録によって御
承知を願います。
かくて
質疑を終わり、
討論、
採決の結果、本
法律案は
全会一致をもって
衆議院送付案
通り可決すべきものと決定いたしました。
次いで横山委員から、本
法律案に対する附帯決議案が
提出され、
採決の結果、これまた
全会一致をもって本
委員会の附帯決議とすることに決定いたしました。
決議を朗読いたします。
以上
報告を終わります。(
拍手)