○田上松衞君 民主
社会党を代表して
質問を行ないまするが、まずお断わりを申し上げたい点は、私が
質問いたそうとしておったおもな点が、ほとんど先刻の田中議員と類似してしまっております。このために、すでに御
答弁済みのことも多いことであるし、あるいは皆さん方にも非常に聞きづらい点があるだろうことを心配しつつ、なるべくそうした重複する点を省こうと努力しながら、整理しつつ
質問をしなければならぬ羽目に陥りましたので、そこで、若干の時間をはみ出すかもしれませんけれども、どうかあらかじめその点をお見のがしを願いたいとお願いをしておきたいのであります。
最初に、
総理に対してお伺いいたしまするが、第一点が、あなたが提唱されているところの所得倍増
計画においては、この
法案がいかなる位置づけをされるのかという問題であります。あなたの提唱された所得倍増
計画は、即国民総生産の総合倍増
計画でありまして、国民
経済の
発展についての具体的な指導方針でなければならないはずであります。本
年度予算について、あなたは、減税と社会保障と
公共事業の三つを公約されたのでございまするが、そのうちで最も強力な
予算措置の裏づけのあるのは、言うまでもなく
公共事業投資でありました。国民
経済の
発展に伴って、国の財政余力がだんだん豊富になり、財政機能による社会資本を充実せしめる能力がますます
向上しつつある傾向は、何人も否定できない事実でございまして、われわれは、財政の実力をもって、
国民生活の平等な
向上のためのより強力な原動力としなければならないと考えておるのであります。こうした見地に立って痛感することは、所得倍増
計画並びに本
年度予算で実施しようとしておる
公共事業等の社会資本投融資は、実は、自由放任にゆだねられておりますところの民間大企業の投資競争の跡始末、しりぬぐい、もしくは露払いを演じておるようなものでありまして、どうながめてみても、国民
経済全体の見地に立っているものとは受け取れないと考えているのであります。ここに出されたところの両
法案こそは、まさにそのモデル・ケースであると断ぜざるを得ません。すなわち、
開発促進法の提案
理由として、「最近における
産業の
発展及び
都市人口の
増加に伴い水の
需要の著しい
増大がみられる
地域に対する
用水の
供給を確保するため、
水資源開発水系について
水資源開発基本計画を
決定し、」云々と、こうありまするが、最近の目をおおうばかりの大企業の設備投資競争、大工場の敷地の奪い合い競争、並びに無統制無
計画に膨張しまするところの大
都市の
人口の動向等、このような現下の
経済、社会の現象に対するところの完全な屈服、完全な追従、これが両
法案の内容に見られる第一の特徴であるとさえ考えるのであります。長期にかつ有効な国民総生産の倍増は、まず、
水資源開発の位置づけに根幹を置いての
計画でない限りにおいては、何べん繰り返してみたところで、前に述べた悩みを解消することができないことは今日の常識でございます。この同案の内容からは、こうした重大な点に対する考慮の跡が発見できません。このことに関する
総理の誠実な御
所見を承っておきたいと考えます。
第二の点は、この二
法案と
国土総合開発法との
関係についてであります。さっき申し上げましたように、田中議員からすでに触れられた言葉でありまするけれども、若干方向を変えて言いますならば、別の言葉を使って申し上げますると、
水資源に関する憲法を重ねて必要とした
理由はどこにあるのか、こう聞きたいのであります。
国土総合開発法の第二条第一項には、「国又は
地方公共団体の施策の総合的且つ
基本的な
計画」として、「土地、水その他の
天然資源の
利用に関する
事項」の
基本計画を立案し、実施の
基本方針を取りきめることを定めて、そうしてこの
基本計画は、全国と
都道府県と、それから二つ以上にわたる
地域及び
特定地域、この四段階についてなすことを
規定しているわけであります。私どもがこの際はなはだしく奇怪に感ずることは、
国土総合開発法が
制定以来十一カ年になるわけでございまするが、これらの
規定が今日までどのように活用されてきたか。
国土総合開発法それ自体が単なる絵に書いたぼた餅にすぎなかったのか。しからずとするならば、
水資源の
開発並びに
利用は、はたして何に準拠して今まで行なってきたものであるのか。全くの場当たりのでたらめ式だったと批評されることは当たらないのであるのか。
現行の
国土総合開発法並びに
電源開発促進法の側からながめてみまするならば、本促進
法案に
規定するところの
水系の
指定であるとか、あるいは
開発基本方針が、明らかに法体系の撹乱であるとさえ考えるのでありまするが、あえてこれを必要となさるところの
理由は一体どこにあるのかということであります。
第三点は、との両
法案の提出をめぐって、
各省間の深刻ななわ張り争いが続けられたことは、もはや天下周知の事実であります。これを
調整するために、促進
法案において、
経済企画庁長官を基礎調査の
調整責任者と定めまして、
公団法では、
総理の
権限の一部を
経済企画庁長官に委任することができる旨を
規定しております。私どもは、この両
法案を
各省なわ張り争いのえじきに堕する危険を救うためにも、
各省庁案の
調整を完全ならしむるための再
検討が必要ではないかと考えるのであります。たとえば、具体的に言うならば、
経済企画庁長官に
調整を行なわしむるよりも、逆に
経済企画庁長官に
基本計画を立案せしめて、これを
関係行政機関の長に協議し、かつ
関係知事及び
審議会の
意見を聞いて、
最後に
総理が
決定するというような工合に改めるか、あるいはまた、むしろ一歩を進めまして、
水資源開発庁とでもいうようなものを新たに設けまして完璧を期するようにする等のことが必要でないかと考えるのでありまするが、
総理の率直な御
所見を承りたいと存じます。
経済企画庁長官に田中議員の
質問と重複する点をどんどん整理
調整しながらお伺いいたしまするが、促進
法案でいう損失補償についての公平かつ適正を期するためには、具体的にどのような
方策を持っておられるか、この点だけは聞いておきたいと思います。
いま
一つ、
公団法に
規定しているところの
主務大臣に対して訴願ができる期間を、訴願法では六十日だと、こうきめておるのにかかわらず、この場合、その半分に縮めてしまったこと、ことさらにまた訴訟の権利をはずしてしまったという根拠並びにその
理由、これらについて的確な御
答弁をいただきたいと思います。
農林大臣と自治大臣にお伺いいたしまするが、
公団法案の第二十三条は、
河川法の
特例を設けまして、
河川法が
規定するところの
河川管理者並びに
河川関係工事施行義務者に優先することをねらっておるようであります。最近の非常に目立つ現象の
一つといたしまして、このことは、池田内閣のいわゆる農民六割切り捨て政策におびえる感情等も手伝ったのかもしれませんけれども、いずれにいたしましても、地方自治体の長が、地方財政並びに地方
経済の
発展のためにと称しまして、盛んに大工場の誘致に努めておる姿を私は知っております。地方住民もまた、時限的なこうした現象にとらわれまして、極端に言ってしまいますならば、地方
発展のためには、農業水利よりも、工場水利の確保の方が先決問題であると考えるうな、おそるべき傾向が急激に広まりつつあります。従って、
河川法に
規定する水利権が、さきのごとく、もし
公団に優先されてしまうということになりまするならば、こうしたおそるべき弊害をますます助長させるおそれが強いと考えるのであります。農村、中
都市地帯にこそ、むしろ、より多くの
水資源の確保が必要であると思っております。この観点から地方自治体に対する的確な指導をすることはもちろんでございまするけれども、特に両案の実施にあたっては、各地方代表者の発言権を強化いたしまして、かつまた、農業及び淡水漁業水利を侵害しないうに本
法案に強く
規定する必要がある、こう思うのでありまするが、これに対しては、特に農林大臣と自治大臣のそれぞれから御見解を承っておきたいと考えます。
厚生大臣にただしたいことは、今日のように大
都市における
人口集中のテンポが早められておりまする現状に着目いたしまするならば、
水資源の確保、問題は、
都市住民の生存のために、何よりも
生活用水の確保を最優先的に考えていかなければならないと思うのであります。東京都についてみましても、現在すでに日量百トン以上の不足を告げておるようであります。ところが、東京都が
計画しておるところの
利根川水系からの
用水確保については、京浜並びに京葉及び常磐地方の各
工業地帯において飛躍的に急増するところの
工業用水確保の問題と完全にこれは競合する、せり合ってしまうのであります。あなたは、
生活用水の確保、上
水道の
建設について、今回の
公団構想だけに、もし、たより切る、依存しっぱなしであるというようなことであるならば、現在の時点ではあまりにも現実を解しない、あまりにも都民に対しても不忠実だ、無策だというそしりを免れないでありましょうが、今日ただいまの
都市生活用水の確保に対する抱負をこの際お聞かせいただきたいと考えます。
時間が迫るようでありまするが……