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栗山良夫君
誤解があるといけませんからつけ加えておきますが、私は特定の思想の持ち主に対して好ましくない
裁判官であるからしかるべく
司法部内において圧力をかけるべきであるとか、そういう意味のことを申したのではございません。私は
裁判官の尊厳というものはあくまでも守っていかなければならない。それがくずれたら、日本の
司法の権威がなくなるでしょうから、そういう意味で私は申しているわけでございます。ただ、ここまで問題になり、彼が戦前から戦後を通じて、これだけ日本一の発行部数を誇っている巷間の印刷物を通じて報道されて、そういうことについて
国民がひとしく不安を持つ、こういう人が果たして
裁判官であっていいのか。ときどきによって時々態度を変えて、しかるべくその時流に乗っていくということでいいのかという不安を持つようなことがあれば、これはあなたに申しても何ともしょうがないと思うのですが、良識ある人、本人みずからが
裁判官として適当であるかどうかということを御判断なさるべきだ、私はそういう工合に申し上げた。
訴追委員会とか弾効
裁判所とかいうような、そういう
成規の手続の俎上に乗らない前に、みずから判断して決せられるべき問題ではないか。これが良識ある日本
国民としての私は態度であるのじゃないか。そう私
個人は考えているわけです。どうも、まんざらこれはうそのことを書いているわけではないと私は思いますが、そういうものを読んでみれば、何としてもこれは釈然とし得ないものがあると思うのです。
そこで、大体わかりましたが、次に一番重要な問題として、
飯守裁判官への行政処分上の注意というものは、
発言の
内容にまでは及んでいない。失言をした時期と
方法がいけなかった、これが
裁判官としてあるまじき行為であったから注意処分を行なった、こういう工合に御答弁ございました。そこで、私どもとしては
発言内応そのものが時期、
方法が悪かっただけじゃなくて
——内容そのものがいけないのだという考えを持っております。その
一つは
赤尾敏の問題に
関係しまして、検事から殺人教唆の疑いをもって
勾留決定の申請がなされた、暴力行為はもちろん入っておりますが……。ところが、殺人教唆の方は疑いがないと、こういう工合に
——まだ
裁判上じゃないわけですね。
裁判の過程後ならばもちろん問題はありませんが、
勾留決定するかしないかというときに、
裁判官がそういう断定をしてしまった。しかも証拠として出されたのは、検事から出された書類でありましょうが、
赤尾敏氏に会って、
赤尾敏氏の
意見を聞いたら、どうも違うというような言い回しか書いてあります。そういうような、ある意味において軽率な断定でこういうことをしてよろしいかどうかという問題が
一つあります。これは
法務省に直接
関係ありません。
裁判所の部内の問題でありますけれども、このことについて、私は
裁判所の方が
内容に触れていないとおっしゃったことについて、いささか合点がいかないのですか、それは、もっとも
裁判所の方は、この今私が
発言しておる問題について、当否をおっしゃっておりませんからね。従って
意見を私が述べるわけにはいきません。殺人教唆の問題を抜いたことがいいか悪いかということは、一言も今
事務総長は述べておられませんからね。ただ、
内容に触れなかったということだけをおっしゃった、だけですから、問題はありませんが、この点もあとで御
意見を伺っておきたいと思います。
それから
法務大臣に
伺いたいのは、いろいろ問題がたくさんありますが、たとえば皇室に対する名誉棄損として、正式な
司法的措置をとるべきである、こういうことをおっしゃっておる。これはおやりになるとすれば総理
大臣ですね、しかし総理
大臣はやらないとおっしゃっておる。それに対して、とるべきであると、こう言っておる。これは立法、行政、
司法はお互いに三権分立で、ある線を堅持しながら、ともに侵してはならぬ問題です。侵してならないのにかかわらず、
飯守裁判官が
政府の最高責任者である池田総理
大臣の意向と全く反対の
意見を堂々と述べるということは、これは行政に対する侵犯じゃないか。私は、その点は、
法務大臣として、やはりはっきりした所信を表明せられるべきではないか。
裁判官が言うべきでないことを言ったじゃないか。
政府の行政に関する行政権の行使の問題を
裁判官が云々するということはけしからんじゃないか、こういうことは、やはり明らかにしなければ、国の秩序というものは保たれないじゃないか、そういうことを私は考えておりますが、これについてのお考えはどうであるかということですね。それから
国会デモのような
集団暴力を徹底的に取り締まるために、立法的
措置を講ずる必要があると、これは立法府である
国会のことであります。
国会に対する干渉です。そういうことが必要であるかないかということは
国会が判断することです。そういうものを一
裁判官がやるということは、あなたは
国会に籍を置いておいでになるわけでありますから、
国会議員として、
国会の府におる者として、
国会の権限に対して侵犯されている、そういうことをお考えにならないか。この点を御
意見伺いたいと思います。