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米田勲君 先ほどから関連
質問でいろいろなことが言われましたが、私の考えは、立法者の意思がいかようにあろうとも、一たび
法律になったら、
法律の条文に現われた言葉そのものが
法律なのですよ。そのときにはこういう解釈であったとか、こういう
見解であったとかいうのは、それは好意的に、無理な言葉で言えば好意的に考えて言えるものであって、法を守るという
立場であれば法の条文に現われたものが問題なのだ。当時私はこのことを踏み切って立法された人たちの
努力には敬意を表します。しかし、その当時の客観的な
条件が、こういう
産休法を生み出すときにはいろいろな
条件があったでしょう、隘路は。従って、立法者自身もこれでは不満足でしょうけれ
ども、現在の段階を一歩大きく飛躍させるためには、やはりやむを得ないのではないかという考え方があったのではないか、だから私は今日に至って、たとえ
議員立法の形で制定された法であろうとも、欠陥を
指摘してこれを改善するということは何ら差しつかえのないことであって、立法者の意思を踏みにじるものではないという
立場です。そして、千葉先生から盛んに
審議過程のことが問題になっておりますが、どんなにそのときに立法者が
討論をし合っても、
法律の条文になっていない限り完全なものじゃないですよ。何といっても今生きて働いているのは
法律の条文なのです。だから、その
法律の条文に抵触するかしないかということが問題なのです。
産休の補助
教員を置かないところだってこの
現行法に抵触しておらないわけだ、
理由をつけて。そうでしょう。違法行為を犯しているということになれば大へんなのです。正常な
教育の
運営が行なわれているという私は
認識だ、百パーセントではないが、まあやれるのだ、私はそういう
認識に立ったのだと言えば任命権者が
責任を負わなくてもいい、この
法律にたとえその議員の方がどんなに申し合わせをそのときにしようとも違法にならない。それから本人が、私はお医者さんとも
相談をしたが、あなたの体質であればもう今から休んだ方がよろしい、こういうふうに医者が言っても、権限のあるものが承認をしないという前には休めないのです。それを押して休むことは無断欠勤ですからね。
職務を放棄したことになる、そうでしょう。だから私はこの点と、その補助
教員が
休暇期間の範囲内でというそのきめ、それは事情があったでしょう。十六週から十二週まで、そういう事情はともかくとして、
現行法は
休暇期間の範囲内ということになっておることは間違いないのだから、しかももう
一つの一番困る
条件は、任命権者自身が正常な
教育の
運営ができているかできていないか、できるかできぬかという認定をする
立場、これは
文部大臣も考えてもらわなきゃならぬが、任命権者がまた一方には補助
教員を配置すべく予算を作り上げる
責任がある、一方に。だから問題が起こってくるわけですよ。今日、地方行政
委員会でも本
委員会でも問題になっておるように、都道府県市町村の財政は
政府の
努力にもかかわらずまだまだ問題が多い。地方財政の
現状は苦しい。苦しいから、いいことはわかり切っておっても予算を盛り込むことが困難だ。そこで補助
教員の配置を完全にすることができない
立場に追い込まれるから、
現行法のどこかのところに言いがかりをつけて、結局は本法の精神が完全に生きていく
方向に
前進できない隘路になっておると、こういう見方なんです、私は。だから
産休法がせっかく生まれたのだから、一方に
母性保護、一方には
教育を正常に保つ、そしてそこに
産休が行なわれるという、こういう
条件を生み出すためには、その
法律の隘路に着目をして、少なくともその条文を
改正する考え方に立って、それを実現するための予算の問題に手をつけるのでなければ、私は幾ら啓蒙をしたとか、いや運用の仕方だとかということを
文部大臣が叫んでおっても、ない袖は振れないという
現状ですから、背に腹は変えられないというようなせっぱ詰まった地方財政の
現状で、この問題は解決つかない。そのことはやはり人間の生命に関する重大な問題に支障がいっておる、しわ寄せが。だからこのことは、財政の問題も大問題でありましょう。
現行法を
改正するといっても、なかなかこれはいろいろな困難があるでしょうけれ
ども、せっかくこういうりっぱな
産休法が生まれておるんだから、この
法律に画龍点睛して、真に本法の精神が生きるように文部省全体の体制をまず固めてもらうことが、
現行法を
改正して踏み切る第一歩なんです。われわれが幾らがんばっても、
文部大臣がその気になり、文部省がまずその体制をしかない限り、この問題は解決がつかない。それで私はわざわざ時間をいただいて、
文部大臣にこのことに対する
理解を深めてもらうと同時に、そういうかまえ方をまずあなたのところで作ってもらいたい。あなたのところが積極的にならない限り、この問題は相当
期間なおざりになりますよ、このまま。とても
大臣の言うような運用の妙を発揮すればなんというお題目では直らないですよ。そういう財政実情ということは
大臣も私は
理解しておると思うのですよ。それまで
理解したら
現行法のこの三点の隘路、これを解決するために、今後、
大臣が全力をあげて
努力をするという気持にならなければならないはずだと思う。あまり私一人しゃべっておってもしようがないから、
大臣一つ見解を聞きます。