運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1961-05-16 第38回国会 参議院 文教委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年五月十六日(火曜日)    午前十時三十九分開会     —————————————   委員異動 五月十二日委員村松久義君及び小沢久 太郎君辞任につき、その補欠として下 條康麿君及び二見甚郷君を議長におい て指名した。     —————————————  出席者は左の通り。    委員長     平林  剛君    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            野本 品吉君            豊瀬 禎一君    委員            安部 清美君            井川 伊平君            下條 康麿君            杉浦 武雄君            千葉千代世君            矢嶋 三義君            米田  勲君            柏原 ヤス君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君   政府委員    法務省人権擁護    局長      鈴木 才蔵君    文部政務次官  纐纈 彌三君    文部省初等中等    教育局長    内藤誉三郎君    文部省社会教育    局長      斎藤  正君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   参考人    愛媛教育長  大西  忠君    南宇和教職員    組合委員長   梶原 英明君    城辺教育委員    会委員     浜見 勝一君    久良中学校教諭 本田 南城君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○教育、文化及び学術に関する調査  (愛媛県の教育行政に関する件)     —————————————
  2. 平林剛

    委員長平林剛君) ただいまから文教委員会を開会いたします。  まず、委員異動につき御報告いたします。  去る五月十二日村松久義君及び小沢久太郎君が委員を辞任され、その補欠として下條康麿君及び二見甚郷君がそれぞれ委員に選任されました。  以上であります。     —————————————
  3. 平林剛

    委員長平林剛君) それでは、愛媛県の教育行政に関する件を議題とし、調査を進めます。  本調査につきまして、本日は、前回の委員会で報告いたしました通り愛媛教育長大西忠君、南宇和教職員組合委員長梶原英明君、城辺教育委員浜見勝一君及び久良中学校教諭本田南城君の四参考人から御意見を承ることになっております。  この際、参考人各位一言ごあいさつを申し上げます。  本日は御多忙中のところ、また非常な遠隔地から本委員会参考人として御出席をいただき厚くお礼を申し上げます。  なお、この際簡単に、先般来、当委員会におきまして本件の調査を進めて参りました経過につき、委員長より説明をいたします。  本委員会は、かねて愛媛県の教育行政全般について調査をいたして参ったのでありますが、その際、特に教員に対する組合脱退勧奨に関連する諸事例愛媛教育研究協議会への入会勧奨処置教員研修会状況等につきまして具体的な指摘がございました。本委員会といたしましては、これら諸問題につき文部省及び法務省人権擁護局をして調査をいたさせたのでありますが、今日まで提出されました両当局からの調査報告委員指摘事項とには、なお相当の事実の相違がございますので、当委員会といたしましては、この実態を明らかにする目的をもって、本日、参考人各位の御出席をお願いした次第であります。参考人各位におかれましては、問題の焦点について最も関係の深い方々でありますから、それぞれの立場で的確な御意見をお述べいただけると存じますが、各参考人に、もし御意見があれば開陳をいただきたいと存じます。なお、はなはだ恐縮でありますが、本委員会審議の都合上、御意見は一人十分程度でお述べいただきたいと存じます。  委員各位に申し上げますが、参考人各位に対します質疑は、参考人方々が一応御意見を述べられたあとでお願いをいたします。  それでは、参考人の方の中で御意見のおありの方がございましたら御発言をお願いいたします。
  4. 本田南城

    参考人本田南城君) 私は愛媛県の南宇和郡の久良中学校教頭であります。  久良中学校はわずか十人の学校で非常に小さい学校です。そういうような関係上、小さいところに私はおりますが、私がここで具体的な事実を述べていかなければならないと思うわけですが、具体的な事実を述べた場合に、非常にそのことが、たとえば私の職場あるいは校長先生そのほかの先生方名前があがってくるということが、その人たちに対して非常にまあ今後不当なことが起こるんじゃないかというような心配を懸念するわけです。私自身もその中に加えて、私自身がここへ来たこと自体に対しましても、今後そういうようなことが起こってきはしないかという、私非常に小心でございまして、気がこまいものですから、そういうような懸念を持つわけです。そういうようなことがないように一つお願いしたいと、こう思うわけです。  そこで、今年四月に私の郡の篠山中学校というところから女の先生が私の学校に転任して参りました。その女の先生が私にこういうようなことを言っておられたのです。その女の先生組合脱退されておったわけですけれども、その女の先生はなぜ脱退されたかというと、教育委員方々や、あるいは校長先生の方から脱退せよと、こういうふうに言われた。そこで、あれだけ言われましたら、女の先生であったら、脱退しないというと、いろいろな問題が起こってくるぞ、こういうようなことで、そういうふうに言われましたら、女の先生だったらどうしても脱退せざるを得ぬというようなことを私に告げたわけです。これは女の先生だけでなくして、こういうことはいろいろな先生から私は承っております。そういうようなことから考えまして、私も非常に小心でございますので、実は去年の四月二十八日に、ちょうど校長会がございました。——校長先生集まりですが、その校長先生集まりが終わりまして帰られた校長先生が、私にちょっと来てくれんかということで宿直室に私が参りましたときに、宿直室校長先生が、ちょっと相談があるのだがということで、実は私に、教員組合の中で教頭教員組合に残っているのは今のところ三人だが、今脱退した方がいいと思うがどうか、こういうふうに言われたわけなんです。そういうことが私にとりましては、やはり脱退した方がいい、脱退しないというと非常に工合が悪いのじゃないか、それで中田象平という先生が、実はその組合に残っておって組合運動をやったので北宇和郡の山の中の学校に飛ばされたぞ、そういうような例もあるのだが、一つそういうことでどうか、こういうことを言われたわけです。私はそういうことを言われますと、教頭組合に残っておったら、これはいけぬのじゃなかろうかと、非常に恐怖心を感ずるわけです。そのことが相談という形でなされたけれども、私にとっては、やっぱり非常な恐怖心を抱く、こういうようなことがあるわけです。その中でも、私はほんとう教育のために一生懸命でやろうと考えますと、私が教育運動をやることは、やはりほんとうにみんなの先生が、五十万の先生がやることとやっぱり同じことじゃなかろうかということで、私は組合運動教育運動じゃなかろうかというふうに感じて、そういうふうに校長先生に言って、一つしばらく考えさせて下さいということを私は言いました。それから後になりまして、九月四日の日に末武という教育長さんがこられまして、もう組合に残っておるのは教頭ではお前一人だが、残っておれば当然管理職手当をやれないぞ、こういうふうに言われたわけなんです。私はそういうふうに言われますと、やっぱり気が小さいものですから非常に不安を感ずるわけなんです。そして管理職をやれない、お前だけ管理職をやれないということは、やっぱり差別になるから、そういうことをやったらいけぬじゃなかろうか、何か考えないか、こういうことを言ったわけですが、私は私のやっぱり教育信念があるので、教育長さんに、そういうことを言われても、私はやっぱりほんとう教育がしたいのだ。教育者がやっぱり組合を離れて、そうして脱退して、労働三法を社会科で教えますが、教えられるでしょうかと申しましたところが、教育長さんは、ここで組合に残っておると、もうこれはひょっとしたら格下げになるかもわからないぞ、教頭でなくなるのかもわからないぞ。そうして、ほかの郡市に行かなければならないということになるかもわからないということを申されました。私も非常にそれでどぎもを抜かれて、心が小さいものですから、じゃ組合脱退した方がいいのじゃなかろうかという気を持ったものなんですけれども、その中で、私はやっぱりほんとう組合運動教育運動なんだということを教育長さんに申しましたが、そういうようなことで、教育長あるいは校長先生あたりからそういうことがあった。  私の学校にはまだこういうこともございました。それは、新卒の先生が二人こられたのですけれども、六カ月たったら資格任用になるわけです。その資格任用になる先生が、ちょうど六月の中ごろでしたが、その先生に対して教育事務所の方から事務所長名前で、先生具情書を書いて出せと、校長先生にそういうような書類が参りました。私も見せていただきました。具情書には、愛媛教育研究協議会というのがございます。その愛媛教育研究協議会入会するかいなかということを、それに添付して出せと、そういうことで、私が運動場へ行きましたところが、校長先生がちょっと来てくれんか、そして二人の先生を呼びまして校長先生と四人で話しました。こういうような書類が来ておるんだが、教頭先生どうかねということで、私はそれはまあ事務所長さんの名前入会するかどうか、そういうようなものを添付せよということは、資格任用をやらぬぞということと同じじゃないのかということを考えたのですけれども、それは本人入会するかいなか本人意思だから、まあ本人意思に問うてみなければいけませんよと、私はこの際やっぱり入会ということを書いた方が資格任用になるんだからいいんじゃなかろうか、こういうふうに言うたわけですけれども、しかし本人意思だということで、まあ本人たち入会するかもわからないということを添付して出しました。そのあとでこの資格任用——十一月に資格任用になるわけですが、その資格任用のときにどうかというと、今度は末武教育長のところから判を持って資格任用辞令を取りにこいというようなことが言われたわけなんです。そこで、その二人の先生が、教頭先生、こういうことを校長先生から言われたんですけれども、どうしましょうかということで、職員会にかけました。そこで、ちょうど隣の東外海中学校という中学校電話をかけましたところが、そこの能田という先生が、実は取りに行って、そして愛媛教育研究協議会入会書に判をついたというようなことをそこの先生が聞いて、電話で知らせてくれました。これは絶対にほかに言うなよと教育長さんが言うた。こういうことをその先生が言っておるわけなんですが、そして、それを私の学校に知らしてくれました。これはいかぬぞということで、そういうことはおかしいことだということで、教育長さんにかけ合いましたところが、そんなことじゃないんだということだったけれども、私たちは、まあその先生二人を連れまして、そして組合長さんや書記長さんも連れて、その教育長さんと団体交渉をいたしまして、そして教育長さんの実際にそういうことをやったという言質をもらったわけなんです。そういうことがありまして、そしてその片一方の一人の先生は、それ以後、まあ辞令はもらったということで、愛媛教育研究協議会入会しないでそのままおったところが、これも絶対にその先生から言うてくれるなということだったんですけれども、まあ校長先生校長会から帰ってこられて、実は先生、ちょっと来てくれというので、その先生の漏らしたのは、煮え湯を飲まされたということをその先生が私に告げました。その結果どうなることだろうと思っておったら、ことしの四月に、先生は私のところにたった一年間おりまして、そしてほかの学校に転任いたしました。それは私はそういうようなことについての、やっぱりじかにそういうことが実際に響いておるのじゃなかろうかというふうに感じたわけなんですが、その先生——まあその先生名前を言ってもいいわけですけれども、その先生と話したのですが、これは煮え湯を飲まされた結果こういうことになったんじゃないかというので、そういうふうにして話したわけなんですが、そういうようなことがあったわけなんです。そういうことは私はやはり私は事実としてこう感じた。  以上であります。
  5. 平林剛

    委員長平林剛君) 御意見のおありの方ございますか。——意見がなければ、参考人の御意見開陳は一応終了いたしました。  参考人各位に対して質疑のおありの方は、順次御発言をお願いいたします。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 四参考人の方に若干お伺いいたしたいと思いますが、その前に一言お聞き取りいただきたいことは、私ども本委員会でこれを取り上げている趣旨は、委員長から説明された通りでありまして、私、主として今まで質問して参ったわけでありますけれども、その本意は、憲法法律の正しい運用、教育者職場における環境の正常改善、それを通じてこの教育の振興をはかりたいというのが本意でございまするので、本日わざわざおいでいただいたわけでありますが、事実をそのまま一つ説明いただきたいと思います。  先ほど本田参考人が申されておりましたが、ちょうど私が予想しておった点と一致しておりまして、私も心配しておるわけなんであります。と申しますことは、特に大西参考人、浜見教育委員にお聞きいただいて御所見を承っておきたいと思うのですが、私も南宇和の方に数度参ったことがあります。非常に失礼ですけれども僻遠の地でございまして、ああいうところの先生方国会においでになって、いろいろ意見を言われるということは、相当の抵抗を感じられるだろうと思うのです。村八分的なようなことがもし起こっては大へんでありますし、また国会で真相を述べられたからといって、それで感情的になったりして、不当な圧迫が、参考人あるいはその関係者を通じて名前の出た方々にかかるというようなことが起こっては、これは非常に重大なことになりますので、具体的なお伺いをする前に、この点について、人事権を掌握されておられる関係者大西参考人並びに浜見教育委員に、特に要望を含めて御所見を承っておきたいと思うのです。
  7. 大西忠

    参考人大西忠君) 今、本田先生からもそういうお話がございましたし、また委員の方からもそのお話がございましたから、この際申し上げたいと思うのでありますが、県の教育委員会は、またいずれあとから御質問に応じて明らかにいたしたいと思いますけれども、不当に組合員圧迫したり、また真実を述べてこういう席で言って下さる人に対して、そういう不当な圧迫を加えたりすることをいたさないのでございます。これは誓って申し上げておきたいと思います。
  8. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 今、本田先生からお話がありましたが、もとよりああいうことは初耳でありまして全然記憶にないことであります。なお、この後の村八分というようなお話がありましたけれども、毛頭そういう考えもありませず、将来は必ず教育正常化向上という方面に導くべく、またそれに頼っていただくべくやっていこうと、こう考えております。以上であります。
  9. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 若干聞かしていただきますが、まず、大西参考人にお伺いいたします。  根本論でありますが、念のために伺いたいと思うのです。それは憲法二十八条に、御承知のように、「勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、これを保障する。」という条章がございます。これを受けて、地公法の五十二条並びに教特法の二十五条で、職員団体がうたわれているわけであります。従って、この憲法並びにこれを受けているわが国の法律立法趣旨からして、職員団体については団結権とか、あるいは組合運動等は、前向き、積極的な方向へと行政が進められていくべきものだと、かりにも働く人々の団結権とか、そういう活動が押えられるような方向づけの行政というものがあってはならない、かように私は考えているわけで、この点については、本院の法制局長並びに文部大臣が答弁で明確にしたところでありますが、愛媛県の教育行政に携わっておられる大西参考人並び城辺町の教育委員として教育行政にタッチされておられる浜見教育委員に、どういう見解を持っておられるか、常識的なことでございますが、念のためにお教えいただきたいと思います。
  10. 大西忠

    参考人大西忠君) 私も法律の点はつまびらかにいたしておるわけではございませんが、常識的に考えてみまして、憲法の二十八条の保障というものが、私たち公務員にとって、組合を前向きにやれといって押すという義務があるのかどうかということは十分に私は存じません。それは、精神としてはどこまでもその通りであろうと思います。やはり公務員でございますから、法律その他いろいろな面に従って、私たち仕事を進めなければならぬので、そういう点と、今の前向きにやっていこうということとはちっとも相矛盾しないものだと思います。ただ、おっしゃいますように、これを阻止したり、また活動を突きくずしたりするようなことは、これは絶対いけないことでございますから、それはいたしてもおりませんし、そういう気持はございません。それからもう一つは、実際問題として、そしたら、法律以外に私たち組合のことを前向きに進めるということができるかどうかという問題でございますが、これはきわめてデリケートな問題を含むと思うのでございます。また、一つには、組合仕事に対しては、使用者といいますか、任命権者の側は不介入でなければならぬという原則も私はあるように思います。従って、そこらはきわめてむずかしい問題でございますけれども、、お気持はその通りだと思っております。そういうつもりで行政をやって参りたいと思っております。
  11. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) ただいま法律第何条とか何とかいうことをお聞きしますけれども、もとより僻地の教育委員でありまして、ただ、学校教育向上という方面には、何ほどか研究せねばならないと思っておりますし、また、させていただいておりますが、さっぱり法律の方はわかりませんから、よく説明申し上げられません。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西参考人に承ってはっきりいたしました。ともかく、憲法法律上から組合を認めることにおいては積極的だと、これは否定はしていない、また認めないのだけれども、あるからいたし方ないのだと、こういう考えではなくして、憲法法律上、組合というものは認められるのだ、その認めることにおいては積極的だと、かように承ったわけでありますが、それでよろしゅうございますね。
  13. 大西忠

    参考人大西忠君) その通りでございます。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、本田参考人にお伺いいたしますが、先ほどの口述で、校長さん並びに教育委員さんから脱退を勧告された。そして同僚の方が北宇和へ飛ばされた人もあるので、他郡へ飛ばされるかもしれない、教頭から格下げになるかもしれないぞと、かように申されて、非常に不安を感じ、びくびくされたという口述がなされたわけですが、このことは、校長さん並びに教育委員さんが不利益な転任を示唆して組合脱退をあなたに迫られたと、かようにあなたは解釈されておられる、そういうふうにとられておられる、かように私はさっきの口述を承ったのですが、念のために承りたいと思います。
  15. 本田南城

    参考人本田南城君) 断わっておきますが、私のととろの校長先生は、私たち組合員に対して非常に好意的で、よく理解されて協力されております。そういう中で、校長先生の言われたことは、何を意味するか、私はそれははっきりとは申しませんが、私自身にとっては、そういうふうに言われることは、私でなくても、ほかの先生でも、そういうふうに言われるということは、実際非常に脅威を感ずるということは、これは事実であります。私はそういうふうに言われたことについて非常に不安を感じた、こういうことであります。しかし、校長先生は、繰り返し申しますけれども、非常に私たちに好意的にそういうふうに言われております。そうして、組合のためにも協力して、私たち職場が非常に明るい職場ができた。そうして教育に邁進することができたのは、校長先生の大きな力もあると、こういうふうに私も思いますし、校長先生も私たち考え、いろいろ理解され、好意を寄せて下さることには非常に私も感謝して、そうして一致協力しているわけです。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 重ねてお伺いいたしたい点は、あなたは今、南宇和に勤務なさっておるわけです。北宇和に転任させること、それから今あなたは教頭をなさっておられる。その教頭から格下げされるかもしれないぞということなんですが、格下げされるということは、あなた自身にとって、あなたは好ましいことでございますか、それともあなたたちにとっては不利益な困ることだと、こういう感じでその話を受けとられましたか、その点を承りたいと思います。
  17. 本田南城

    参考人本田南城君) 私の事実を申し上げますと、そういうことについて非常に私は不安を感じました。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 不安を感じた、そうだと思うのです。その通りだと思うのです。あなたにとってそのことは利益ですか、不利益ですか。今、南宇和にいるのを北宇和に飛ばされること、またそれから、今教頭にあるのを教頭からおろされること、それはあなた自身にとった場合、利益のことと不利益のことと、どういうふうにお感じになられておられるか。
  19. 本田南城

    参考人本田南城君) はっきり申し上げましょう。不利益だと感じます。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 この点、文部省を通じて本委員会に提出された資料と相違いたしていることが明確になりました。  それから本田参考人並び梶原参考人に承りますが、先ほどの口述の中にもちょっと出ましたけれども、数多くあるということですが、組合に加盟しているので転任させられた、それから先生がそう言ったような例ですね、それから校長さんが、だれだれさんは組合におったからこういうふうに転任させられたぞ、だから組合におると身分が不安定、心配になるから脱退してはどうですかと、かような言葉を校長さんが組合員に話したというような例が、具体的に当事者の名前をあげると差しさわりがあるとすれば、具体的な名前をあげなくてよろしいのですが、そういう事例というものが南宇和地域にかなりあるのでしょうか、どうでしょうか。また、そういう雰囲気の中で、組合に加盟している南宇和郡の先生方は、組合にいるがゆえに、どういう人事異動をされるかもしれぬという不安感に襲われているのでありましょうか、どうでしょうか。その辺をお二方から御説明をいただきたいと思います。
  21. 梶原英明

    参考人梶原英明君) お答えいたします。実は昨年度も組合調査部長であります中田象平先生北宇和に転勤をしております。そういういろいろな事実がありまして、また今年も北宇和から私の——私も久良中学校におりましたが、現在は城辺中学校にかわっておりますが、城辺中学校是沢先生という女の先生がかわってこられました。それは北宇和からかわってこられたわけであります。それで、この方も組合員でありまして、私はどうしてかえられたのかわからない、それで理由の説明書交付を申請しておるのですが、こういういろいろな中から、実は人事異動にからませて、夫婦共がせぎの先生とか、また、その他組合に残っておったらどうも不安であるということが非常に南宇和郡では多かったのでございます。それで、実は二月十五日という日がどこから出てきたのか、私は現在でもばくとしてわかりませんが、各学校でそういうことがたくさん聞かれております。またその二月十五日という具体的な事例といたしましては、前田嘉明先生ですが、これは前に間違って、井村先生という名前矢嶋先生の方から御質問なされておったと記憶しておるのですが、前田先生のところでは、前田先生校長先生が、二月十五日までに出るか、おらの顔も立ってくれぬか、そうして、出なかったならば、おらと思想が合わぬのだから、どこへでもほっちゃろかということを言われております。それで、その他中浦小学校におきましても、中浦小学校ですが、二月十五日までに組合を出ないかということを校長先生の方から話し合いがありまして、実は十五日に皆が考えたのだが、どうしても組合を出るということはようしない。ところが、ちょうどそこに二人の女の先生がおられまして、その先生夫婦共がせぎでございます。それで、その先生がどうもまた他に飛ばされるかもわからないというようなことで、その二人の先生だけ出ないかということでした。ところが、その二人の先生もよう出ないということで、十五日は出なかったわけですが、またその後、校長先生から呼ばれまして、そうして、まあ出た方がいいんじゃなかろうか、出るように勧められまして、とうとう十七日の日に皆で相談しまして、そうして、どうもこの状態であると、校長先生は実によくやってくれる校長先生であるが、こういう校長先生が上から言われて、どうしても自分でようしなかった場合には校長先生が左遷されるかもわからない。だからもう仕方がないから、皆でやはりそういうことも考えて、出たらどうだろうかというので、十八日に組合脱退いたしました。しかし、脱退いたしましても、やはり組合に残っておるような気持で私たちはやりたいからというので、組合費は四月まで納入しておられましたです。それで、その二枚に二月十五日というのが出ておるのですが、そういうある日を限定されまして組合脱退されるように勧めておられるのもございます七  それから、先ほど久良中学校の二人の講師の先生方については本田先生が話されておりますから省きますが、実は宇和島事務所の管理主事さんや、その他のある教育者さんのお話でございますが、組合に残っておれば他の郡市、特に松山の近郊でございますが、そういうところには帰れない。実はこちらで帰してやろうと思っても向こうで受け付けないではないか。それでやはり組合脱退せなかったら向こうに帰れないのだから、君はどう考えるか。君はあくまでそれで組合にとどめておくのが君の正しいやり方か、それとも脱退さして帰すのが君の正しいやり方か考えたらどうか、そういうようなこともございました。まだその他ございますが、また御質問によってお答えしたいと思います。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本田さんにも承りたいのですが、あまりたくさん出ましたので時間が何ですから、時間に余裕があったらまたお伺いすることにいたします。  今の点、梶原参考人に伺いますが、前田嘉明という先生は、実は本委員会参考人にお呼びしようと一応協議の対象になったのですが、人数の関係でおいでいただかなかったわけですが、この前田嘉明先生の件について今口述がございましたが、この先生は今組合に残っておられますかどうですか。また、この三月転任発令がありましたか、ありませんでしたか、いかがでしょうか、お教えいただきたいと思います。
  23. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 組合に残っておられます。そうして久良小学校に転任されておられます。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文字通り、何ですね、顔を立ててくれ、立てなければ飛ばしてやるぞと、冗談半分であったかしらぬが、言われたことが事実として現われたわけですね。それじゃ何でしょうか、現在、前田先生はその転任について釈然としておるんでしょうか、どうでしょうか、御存じだったらお教えいただきたい。
  25. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 前田先生はやはり転勤の理由の説明書の交付をしていただくように請求しております。そうして、それでありますから釈然としないところはございますが、ただ一つ職場でやはりちょっと好きな女の先生がございまして、その先生関係もございますので、転勤の件につきましては、その両方で転勤されておられるわけなんです。それで、一人の先生を転勤されるならいいんですけれども、二人の先生を転勤されるのはどうかなあというので、私どもも教育長さんに申し出ましたのですが、そういうこともございます。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西参考人に伺いますが、南宇和地区には、松山市並びにあの温泉郡地域から何パーセント程度の先生南宇和に赴任なさっておるんでしょうか。今の参考人意見で、松山市並びにその周辺から南宇和地域にかなりの先生が赴任なさっておる。その先生方が郷里の方へ転任するためには、組合脱退していないというと相手の地教委が受け入れてくれない、こういう実態があるという今口述をいただいたわけですが、松山市、その周辺から南宇和地域に赴任されていらっしゃる先生はどの程度いらっしゃるんでしょうか、数字をお教えいただきたい。
  27. 大西忠

    参考人大西忠君) 私もそういう問題がきょう出ようと思っておりませんので、しかとした数字を持っておりませんのですが。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 梶原参考人組合長だからあるいは御存じかと思いますが、大体どのくらいいらっしゃいますか、大まかな数字でも見当が立てば一つお教えいただきたいと思います。
  29. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 実は私も同様にちょっと数が出ませんのですが。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 五人程度でございますか。
  31. 梶原英明

    参考人梶原英明君) そういうものではないと思います。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二十人程度でございますか。
  33. 梶原英明

    参考人梶原英明君) そうでございますね、十人以上二十人に近い数字ではなかろうかと思うのですが、はっきりとはお答えできないです。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで浜見教育委員にお伺いしますが、今、梶原参考人、それから先刻、本田参考人から承ったところによりますと、組合におるということが非常に不安であり、組合におれば思うところに転任ができない、相手の教育委員会も受け付けない、このことは組合におるがゆえに不利益な取り扱いを受けることになると思うのですね。浜見先生、そういうようにお考えになられないでしょうか、いかがでしょうか、その点お考えを承りたいのですが。
  35. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 組合におったら不利益になる、それからいなかったら不利益はしない、こういうことは全然考えておりません。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、今、梶原本田参考人口述に基づいての教育委員としてのあなたの御判断を承っておるわけですね。
  37. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 私はそういうことは全然考えておりません。これは梶原さん、本田さんはどういうふうに考えておるかわかりません。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その事実がある、ないは今あなたにお伺いしていないわけです。梶原参考人本田参考人南宇和の実態として若干例をあげましたね。あの口述からすればですね、先生方組合員であるがゆえに不安を感じて、組合員なるがゆえにあの思うような転任もできないという事態なんですから、組合員なるがゆえに不利益な扱い方をされるという見解が成り立つとお思いになりますか、なりませんかということを伺っておるのですが、事実ある、なしは別として、あなたの御判断を……。
  39. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 私は組合にいたから不利益にするという気持ちは全然ありませんので、それで先生方組合におられても、おそらく不利益になるようなことは考える必要はなかろうかと、こう思います。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西参考人に伺いましょう。明らかに両参考人が言われたのが事実とすれば、——私はその前提に立ちますよ。事実とすれば、組合員なるがゆえに不利益な取り扱いを受ける、こういうことになると思うのですが、先生法律の勉強をされた方ですから、失礼でございますけれども、御見解を承りたい。
  41. 大西忠

    参考人大西忠君) いろいろお話が出ましたが、全県下で概括をいたしますと、大体私たちが見るところでは六千人、一万人おるのですけれども、六千人くらいは松山またはその近所へ帰りたいという希望があるのだろうと思います。組合に入っていようが、組合に入っていまいが、自分の希望をして松山へ帰るということは……。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 松山に帰れるということだけではなく、前田ケースがございましたね、本田ケースがありましたね、いろいろなケースがございましたから、総括的に伺っているわけです。
  43. 大西忠

    参考人大西忠君) これは私たち行政をやる者として行ない得ませんところでもあります。そしてまた全員組合員であるときには、僻地には先生が一人もいなかったかというと、そうでもありません。また、かりにそういうことはありますまいけれども、仮定の問題ですけれども、組合員がなくなったときには全部松山に帰れるかというたら、そういうものではないので、それは何か私は物を結びつけてお考えになり過ぎておられるのではなかろうかという気がいたすのでございます。その一例は、先ほどもございましたが、私たち校長教頭につきましては、地公法から申しますと、組合員であってはならないということはございませんけれども、やはり校長教頭が管理者であるという立場から考えて、組合にいない方がよいのではないかという考え方は持っております。これはここでも城辺町の末武氏がそういうことを話したようでございますけれども、しかし、現実に愛媛県で校長としてまだ一人ですか、二人ですか、組合に入っておられるところもあるかと思います。また、先般、教頭に任命した中にも組合員の方もあるのでございまして、何か私は結びつけて物をお考えになられ過ぎておるように考えるのでございます。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が延びるといけませんから、お互いの解明する点にピントを合わせて質疑をいたしたいと思うのですが、両参考人口述によりますと、明らかに学校長さんあるいは主事さんの中に、組合におったがゆえに飛ばされた人があるよと、あなたも組合から出た方がいいですよ、その方が安全ではないですかと、こうおっしゃる校長さん並びに主事が現存するということは、二人の参考人口述に限りはっきりしているわけですね。こういう言葉のやりとりが校長あるいは主事から一般教員にあっていいものでしょうか、どうでしょうか、どうお考えになりますか。
  45. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はその点は事実を申されましたからですが、そういう事実を信じませんけれども、私たち組合に加入しておる、加入してないということで本人に特別利益を与えたり、不利益を与えたりしては絶対いけないということを絶えず申しておりますし、またそういう気持ちもありませんし、またそういうことが事実といたしますれば、それははなはだおかしいととでございます。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そのことは地方公務員法の五十六条の不利益取扱の禁止条項に私は該当すると思うのですが、そういうことがあれば。いかがでございましょうか。
  47. 大西忠

    参考人大西忠君) その通りだと思います。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それから梶原本田参考人にお伺いいたしますが、本院での質疑応答がなされたことなんですが、もし御存じでありましたならば御口述いただきたいと思うのです。そのことは、あえてここで名前は申しませんが、南宇和のある学校の妊娠中の御婦人の先生が、南宇和では妊娠中の先生でも、あるいは共かせぎの人でも、組合員であるために転勤させられた例があるから、あなたも今妊娠中だが、この際組合脱退した方が安全じゃないですかと、こういうことを校長先生が妊娠中の御婦人の先生に話されたということを私は聞いているわけなんですが、両参考人で、そういうことをお聞きになられたことがあられるかどうかですね。名前をあげて工合が悪いということならば何ですが、でき得れば、御承知だったならば、可能な範囲内で学校なり名前なり具体性をもって御説明いただくとありがたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  49. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 実は緑小学校の三人の妊娠されておる先生の件だと思いますが、この件は私たちが代議員会を開いたときに、職場先生から相談がありまして、たびたび校長先生がそのことを言われるので、女の先生は困っておられる。それで、女の先生方は、回答としましては、もう家へ帰って相談するとか、そういうようなことで急場をしのいでおるが、どうにかしてくれないかということを申し出て来ましたので、さっそく書記長が行きまして、このことを尋ねましたところ、女の先生もはっきりこのことは答えておられます。そういう事実がある。それで、その具体策としまして、どうにかしないといけないがといううちに、その組合の女の先生脱退をされてしまわれましたので、私たちもその後そのままになっておるような次第であります。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本田参考人、聞かれたことございますか。
  51. 本田南城

    参考人本田南城君) ただいま梶原先生の方から言われましたので、私の方はありません。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっと聞き落としましたが、梶原先生と同じようなことを聞かれたことがあるということですか。
  53. 本田南城

    参考人本田南城君) 梶原先生と同じようなことを私も聞きました。別の席上で聞きました。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 別の席上で……。大西参考人、伺いますが、私は再度にわたって本委員会文部省調査を要請したわけですが、それに基づいて資料が二度にわたって提示されました。この文部省から本院へ提出された資料作成については、大西参考人は関与されたでしょうか。関与されていないでしょうか。
  55. 大西忠

    参考人大西忠君) 関与という程度がどうですか、私は文部省からこういう照会があって、委曲を尽くして調査をいたした結果、こういうことになっておるからということで決裁をいたしました記憶はございますが、関与ということはどういうことでしょうか。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、それはわかりましたが、愛媛教育委員会としては、この報告書の内容については、関与され、責任を持たれるわけですね。
  57. 大西忠

    参考人大西忠君) さようでございます。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで大西参考人に伺いますが、この妊娠中の某先生に対する件については、指摘された事実は認められない、かような趣旨として本院に出されておるわけなんですがね。これは誤りではないでしょうか。文部省をしてあなた方は誤らしめたということに私はなると思うのですね。人権擁護局にも調査していただきましたが、人権擁護局の報告とも、あなた方のは違います。人権擁護局は慎重に調査したようですが、この報告の中にもこういうことが書いてある。「妊娠中の女教諭や共稼ぎの教員でも組合員であるため転勤させられた例があることなど」を話した、こういうのです。これは明らかに地公法五十六条の不利益取扱禁止条項に抵触するものですよ。さっき大西参考人、認められたようにですね。人権擁護局の調査ではそう出ている。今お二人の参考人はそう述べられた。そのことと、文部省の要請に基づいて指摘された事実は認められないというこの報告書、資料とは著しく相違があると思うのですが、御所見はいかがでございましょうか。
  59. 大西忠

    参考人大西忠君) 私が調査をいたしたわけでもございませんし、指摘された事実を調査いたしましたところ、そういうことはないということだということでございましたから、私も決裁をいたしましたが、そのことについては、私は人権擁護局がどういう方面でどういう御調査をなすったか、つまびらかでございません。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そこで、確認しておきますがね。私は今の二人の参考人と、それから人権擁護局の、この本院の要求に基づく資料を、私としてはここで確認をするわけですが、あなたに伺う場合には、かりにという前提に立ちましょう。かりに、校長さんが妊娠中の部下の女の先生を相手に、共稼ぎであっても、あるいは妊娠中でも、組合員であるために転勤させられた例があるからして、この際組合脱退していた方がいいですよ、こういうことを校長さんが言うということは、組合員なるがゆえに不利益な取り扱いをされるということになり、地公法五十六条の立法精神に抵触するものである、この法解釈については、御見解いかがでしょうか。
  61. 大西忠

    参考人大西忠君) 御承知のように、県の教育委員会は地教委の内申に基づきまして発令をいたすわけでございますが、その際私たちは、組合員であるために、組合員であるがゆえに、妊娠中でも動かすとか、共稼ぎでも転勤さすとかということは厳に慎んで、いたしておらないつもりであります。させておらないつもりでございます。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 おる、おらないは別ですね。つもりとか、つもりでないは別ですよ。校長の発令はあなたの方でなすっているわけですよ。その校長さんがそういう言動をもって部下職員に接するというそのことが、地公法の五十六条の法解釈から言って認められることか、違法的な発言かということを、法律解釈として、行政官であるあなたにお伺いしているわけです。
  63. 大西忠

    参考人大西忠君) これは、私は大西校長に会いまして、それがどういう心理——状況のもとに話したかということをよく聞きませんと、これだけの簡明な文書では、私は矢嶋委員さんがおっしゃる点は疑問が残ると思います。ただ、こういうことが私たちの耳にしばしば入るのでございますが、組合の方から、組合脱退すると不利益にあうぞ、組合におりさえすれば身分が保障されるのだというふうな言い方をするそうでございますが、これもおかしいので、(「それはおかしいことだ」と呼ぶ者あり、その他発言する者多し、矢嶋三義君「それは私は伺っていないのですがね」と述ぶ)よくこれは調べてみませんとわからないと思います。
  64. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 その点をあなたに伺っているのでなくて、せっかくそこで発言が出ましたから、ちょっとそこは私は非常に問題点があると思うのですが、今の質疑応答の焦点でないから、私はあまり突っ込みませんけれどもね。で、お二方に伺いますがね。ILO八十七号条約というものはどういうものだとおとりになっていらっしゃるのでしょうか。——ああ、そうですが。これは何ですから……。
  65. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行、ちょっと関連して。
  66. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ちょっとあなた、あとでやってくれんか。問題がある。
  67. 岩間正男

    ○岩間正男君 今の運行の仕方についてちょっと。
  68. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 答弁の仕方に——答弁の仕方なら、言って下さい。
  69. 岩間正男

    ○岩間正男君 大西参考人に伺いたいのですがね。やはりあなたは現在、教育長として、その資格でここへ出てきておられると思うのですね。従って、その職責に即応して、そこで答えてもらいたいですね。ただいま私は聞いていて、矢嶋委員の質問は、法解釈について聞いておる。ことにあなたは、法を無視してこれは行政を執行することはできない立場にあるわけです。しかも、問題の焦点はそこにあるわけです。従って、私は先ほどからお聞きしていて、どうもそのピントがはずれておる。あるいは故意にそらされておるのだとは思いませんけれども、しかし、質問の要旨に、はっきりしない、かみ合っていないという感じがするのです。これじゃ非常に時間を空費するわけですから、たとえば今そういう事態が起こって、そうしてそのときあなたが教育行政の責任者としてどうかと、こう聞いているのに、まだそれは聞いてみないからどうだ、こうだと言っているのですが、そういう答弁では私は話にならぬと思うのです。それから、いろいろ個人的な見解を出されていますが、私たちは県の教育長としての立場から、あなたの当然の責任でお答えをいただかないと、いたずらに横道にそれると思うのです。私の質問のときでないからあとでお伺いしますけれども、当委員会の権威のために、委員長からも注意してほしいと思う。そうでないと、ただ私の信ずるとか、信じないとか、そういうこともあったわけだ、さっきの話ですが。これは参考人はここに権威をもって出ているわけですから、われわれは、そう思って聞いている。ところが、あなたは参考人の立場を否定するような格好で、私は信ずるとか、信じないとか言っている。それなら、信じないとすれば、どういう理由によって信じないのかということはさっぱり不明瞭である。これは非常に当委員会の運営のために権威を失墜します。そういう点ではっきりあなたは職責を尽くす立場からお答えいただきたい。非常に重大な問題であり、日本の教育行政のために今後われわれは立法府の立場から非常に重大な参考意見としてお聞きしておりますから、この点取り上げてはっきりさしていただきたい。委員長からも注意していただきたい。
  70. 平林剛

    委員長平林剛君) ただいまのような御意見もありますので、一つお答えになるときに御留意をいただきたいと思います。  それから、参考人方々が御発言になるときは、私に許可を求めて後にお願いいたします。
  71. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 組合員がお互いに組合を一緒に作っている、団結している、それがわれわれの身分と生活を守るのだ、こういうことは憲法の二十八条からいいましても、それから地公法、教特法職員団体の条章からいって当然のことなんですね。このことと、人事権を持っている行政当局者が、組合からはずれておった方が安全だと、脱退してはどうかということと本質的に違うわけですね。憲法二十八条の条文を御承知でありましょうが、労働組合法の第七条に不当労働行為ということをうたっているわけです。それから国公法、地公法にそれぞれ不利益取扱の禁止条項があるわけなんですね、だからさっきのはちょっと非常に違っているということを指摘して質問を続けます。  そこで、梶原参考人に伺いますが、具体性を帯びてこないとはっきりしませんから、具体性を帯びて伺いますが、私は本委員会でも質問したんですが、また私は南宇和調査をやったときにこういうことを聞いたんですが、あなたはそれを聞いているかどうか、事実かどうか、公述していただきたいと思うのです。そのことは二月十五日前後、むしろ前ですがね、その後非常に教育委員会当局者並びに校長さんから、一般組合員組合脱退したらという勧告が熾烈に行なわれた、そういうとき前後して、はなはだ失礼ですが、そこに参考人として御出席になっている城辺町の浜見教育委員さんが、組合脱退すれば町から研修旅費を取ってやるよと、こういう意味の発言先生方にされたということを私は承っているわけですが、これに関して梶原参考人の関知されている範囲内において明確に御公述願いたいと思うのです。
  72. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 私は浜見教育委員さんとは、実は家内の母が義理の兄弟関係にありますから、非常に言いにくい話でありますが、仕方がないから言わしていただきます。実は、浜見教育委員さんが、私の前の学校久良中学校の井上弘先生という先生、まあ真珠養殖をやっているのですが、その件について非常に予算が少ない、そうしてほかのところへも研修に行きたいのだが、というような話をしたわけです。そのときに浜見さんが、組合脱退せよ、脱退したらそういうことも出してやろうではないかというようなことを発言された。これは事実であります。ちょうどその場合には校長先生もいらっしゃいましたし、ここにおられます本田先生もおりましたので、あとで、そういう問題が事実か事実でないかという点につきましても、みなで話し合って、それはほんとうだ。校長先生も、それはほんとうだ。しかし、それが酒の席でございましたので、まあ浜見さんも言い過ぎた点もあったのではなかろうかということもございました。その他二、三、学校に来られまして、ほかの先生方と話された場合に、組合脱退したらどうかなというような話も少しはあったように記憶しております。以上です。
  73. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本田参考人、ただいま梶原参考人から公述があられたわけですが、あなたの名前も出ましたが、あなたの関知された範囲内においてお述べいただきたいと思います。
  74. 本田南城

    参考人本田南城君) 私もちょうど、浜見教育委員さんが私のところの教育委員さんであります。それでちょうどそれも今梶原先生の方から言われましたように、酒の席上であったということもあります。そういう中で、話し合っている中でそういうことが出たということは、今梶原先生も言われたように、あとでみなが話し合って、そういうことを言われたなというふうに話し合って確認いたしましたことで、まああったということは事実だと思います。
  75. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西参考人に伺いますが、まことに失礼ですけれども、これは事の黒白をはっきりしなければならぬと思う。それから、これは全国教育委員会にも影響性を持つものですから、いかにあるべきかということをはっきりすることが大事だと思う立場からあえて伺いますが、ただいまの発言があったと伝えられる内容のような事柄が、あってしかるべきでしょうか、どうでしょうか。愛媛教育委員会教育長をなさっておられるわけですから、地方教育委員会に対しては助言と指導権を持っていらっしゃるわけです。大西参考人の御所見を承ります。
  76. 大西忠

    参考人大西忠君) そういう事実があったかどうかということは、ここにせっかく浜見参考人も参っていることでございますから、もう少し確かめなければならぬと思いますが、先ほどからも繰り返して私が申しておりますように、教育組合員であるとか、組合員でないとかいうことで……。
  77. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間がないから、私の伺った点だけに御所見を承りたいと思います。
  78. 大西忠

    参考人大西忠君) 私たちはそういうことは絶対にしてはならないという気持を持っておりますし、市町村の教育委員会に対しても、そういう点は厳重に戒めているところでございます。
  79. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 浜見参考人に伺いますが、あなた様は先生方に対しては人事権を持っていらっしゃる人で、先生方にとってはこわい、ある意味においては親しみのある方かと思いますが、先ほどここで述べられたような発言をなされたのでございましょうか、いかがでございましょうか。
  80. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 今、先生方からお伺いしましたああいう例ですが、私、ついこういうことは記憶にありませんので、こちらへ来る招請状の呼び出しの書類が来たときに、梶原先生に聞いたわけですが、まあそういうような話、そのときに初めて知ったので、全然記憶にないのであります。  以上であります。
  81. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 では、梶原参考人に伺いますが、梶原参考人説明では、本田さん、校長さんのところでそういう発言があったということは確認したことだ、こういう御説明ですが、浜見参考人は記憶はないことだということで、国費を使ってここにおいでいただいたわけなんですがね。で、あまりにも簡単な事項についての御説明がそごしておりますので、委員会としても、また委員の一人である私としても非常に困るわけですがね。再度梶原参考人から責任ある御説明をいただきたいと思います。
  82. 野本品吉

    ○野本品吉君 答弁の前に、同じことだから関連して。ちょっと梶原さんですか、本田さんですか、今のことに関連してお伺いしたいのですが、そういう事情を、浜見さんがそういうことを言われたということをあなた発言されまして、これを非常に穏やかならぬことだと、われわれにとっては大事なことだというふうにお考えになって、浜見委員について事実の有無を確認するための何らかの措置あるいは話し合い等をなされたかどうか、ちょっとお伺いしたい。
  83. 梶原英明

    参考人梶原英明君) この点につきましては、浜見教育委員さんはたびたび学校に来られますので、その後この件につきまして問題が起きてからも話をされて、僕は了解されている、このように確認しておりました。
  84. 野本品吉

    ○野本品吉君 ついでにもう一つ。それから、ただいまの浜見さんの御発言が穏やかでないというようなふうにお考えになられたとすれば、浜見さんのその言うものの考え方、そういう発言を是正するための適当な方法と申しますか、そういうようなことを何かおとりになりましたか。
  85. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 実は昨年暮れから今年の初めにかけまして、ほとんどの校長先生方が脱退のことにつきまして各先生に言われております。また、たくさんの教育委員の方もそういうことを言われておりますので……。
  86. 野本品吉

    ○野本品吉君 いや、浜見さんに対して先ほど申しましたような措置をとられたかどうか、その点だけ。とったか、とられなかったか、その点だけ。
  87. 梶原英明

    参考人梶原英明君) その点につきましては、浜見さんには各職場の中で話し合いまして、そうして会ったときにお話しております。それだけです。
  88. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ちょっと関連して。浜見教育委員にお尋ねしますが、そのようなことはここに呼ばれて来るときに初めて汽車の中で梶原先生から聞いたことで、全然知りませんと答弁なさったようですが、事実ですか。
  89. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) ちょっと時間がかかりますけれども、一応御説明さしていただきます。  城辺町の教育委員会に行きまして話を聞いたのが三月の十一日でございます。
  90. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 事実でなければいいです。事実でなければお答えになる必要がありません。
  91. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 事実ではありません。その前からうすうすは新聞とか何とかでは聞いておったのであります。
  92. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 知っておったということですね。
  93. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) はい。
  94. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 なぜ豊瀬委員がそういうことを質問されるのかと言いますと、あなたは記憶ない、ごく最近呼び出しを受けて梶原さんに会うて初めて知ったというようなことを述べられたから、豊瀬委員から、そういう質疑が出たわけです。  大西参考人に伺いますが、この報告を、あなたの方から文部省に出した報告書に、この浜見委員の条項のところで、同委員について調査したところ、そのような発言をした事実は認められないという報告書を出しているじゃないですか、愛媛教育委員会から文部省へ。そうして文部省から当院にこういう報告書がきているわけです。同委員について調査したところ、とある。だから当然浜見教育委員梶原さんにお会いして、初めて期日以前にお聞きになったと今話されたと思う。それを豊瀬委員がお尋ねをしておるわけですから、そこの点を訂正していただきたい。
  95. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 今、矢嶋先生からの御質問ですが、城辺町の教育委員会に呼ばれまして自分が申し立てたことは、事実聞いてしたことであります。自分が聞いて自分が申し立てたことになります。梶原先生とお会いしたのが、それが初めてでございます。城辺の……。
  96. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ああ、そうですが。そういうふうにとらなかったのですよ。わかりました。それで何ですね。浜見先生、さっき申されたような、組合脱退すれば研修旅費が取れるよ、取ってやるよとおっしゃったことは事実なんですね。
  97. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) それが記憶にないのであります。事実、自分は認めていないのであります。
  98. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、はっきりしましたからよろしいです。それで、あとは裁判だったら判事が関係することですから一応……。  梶原参考人にお伺いしますが、さっきからいろいろ質疑が行なわれておるわけですが、組合員と非組合員との間で待遇に差別がついたような例を御存じでしょうか。組合員組合員でないという立場において、差別がついたような例を御存じだったならば、梶原参考人でもいいし、本田参考人でもいいから御説明いただきたいと思うのですが。
  99. 梶原英明

    参考人梶原英明君) お答えいたします。実は久良中学校職場でございますが、ここに昨年度新しい先生が米られまして、それは畔地先生と時岡先生でございます。畔地先生は四月一日付だったと思いますが、新採用に、講師身分として採用されました。それから時岡先生は四月十一日に講師身分として採用されたわけです。ところが、時岡先生はちょうど間に井上、宮久先生に師事されておったのでございますが、近く任用になりますときに、教育研究協議会の方に入った方がよかろうじゃないかという話がございましたのですが、この点につきましては、先ほど本田先生の方から、印鑑を持ってこいというときに印鑑を持っていかなかったわけで、資格任用はされたわけでございます。しかしその後、どうしてもこの資格任用しますと、一カ月資格任用がおそくなったのでございます、時岡先生の方がでございますが。そうすると、三カ月昇給期間が変わりますので、同じように先生になりながら三カ月昇給期間が変わるということは非常に同じ職場として見るに忍びないからどうにかしなくてはいけないというので、校長先生どうにかしていただけないですかと再々申し入れをしたわけなんです。ところが校長先生は、どうしてもこの件について話し合ったが話し合いのしようがないので、特別昇給をしてもらって是正するよりか仕方がない。そうすると、特別昇給をする場合にはどうしても教育研究協議会に入ってもらわぬと困るんだがどうするかということを職場のみんなで話し合いました。そうして、そういうことで研究協議会に入るとか何とかいうことはおかしいと思うが、そういうこともがもしもできるのだったら、そういうことをしなかったら、どうも職場の中でうまくいかないから仕方がありませんねということで、実は研究協議会に入って、特別昇給を申請したわけなんです。そのように、組合に入ることはできにくい、そして特別研究協議会に入ればそういうことができるということが、私たちに何だか差別されたような疑問が残るのでございます。それと、実は一本松中学校でございますが、ここは昨年度四名の方が特別昇給をされました。それは全部組合脱退された方でございまして、どうも職場の中でおもしろくないという意見が、その職場から出されておりました。こういうことがあるのでございます。
  100. 本田南城

    参考人本田南城君) お答えいたします。今、梶原先生の言われたのと同じでございますが、一本松中学校職場の生生にこれは聞いたことなんです。一本松の中学校では、先生が十三人おりまして、その中で、組合脱退しておる先生と、それから組合脱退して愛媛県研究協議会の中に入っている先生と、それから組合員先生と、この三つに分かれておるわけです。その中で、四名の先生愛媛県の研究協議会の中に入っておる。それから二人の先生は、脱退はしておるが、その研究協議会の中には入っていない、あと先生組合員、そういう中で、その職場先生の言われるのには、その脱退をして愛媛県研究協議会の中に入っている先生四名が特別昇給をしたということを聞きました。これはやはり、愛媛県研究協議会の中に入っておる先生と、それから脱退しておる先生と、それから組合の中の組合員先生と、こういうふうな間にあると、こういうふうに私は聞きました。
  101. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それと同類的な問題として、校長さんが、組合にとどまっていれば勤評が悪くなるよと、こういう意味のことを組合員におっしゃる校長さんがおりおりあるということを承っているのですが、実情はいかがなんでございましょうか。組合にいない方が勤評がよくなり、組合にいれば勤評がまずくなるよと、そういう示唆したような発言先生方になさる校長さんが南宇和地域に多いということを承っているのですが、実情はいかがですか、お伺いしたいと思います。
  102. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 具体例としてあげるのには、あまり私は聞いておりません。
  103. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本田さん、いかがですか。
  104. 本田南城

    参考人本田南城君) 同様です。
  105. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは次に、本委員会質疑応答がされ、文部省からも調査していただいたのでありますが、西という御婦人の先生ですが、この方のお母さんが病気のときに、西先生が勤めておられる学校教頭先生が西先生のお宅を訪問して、そうして西先生組合脱退を勧められるような御発言がなされたということを聞いておるわけなんですが、この西先生の件について関知されておられる事柄がございましたならば、御説明いただきたいと思うのです。梶原参考人並びに本田参考人に承りたいと思います。
  106. 梶原英明

    参考人梶原英明君) 西先生の件につきましては、職場から話が出まして、そうしてこういう事例があるのだが、非常に西先生も困っておられるということで、実はそのあとすぐ校長先生にお伺いしたわけなんです。そうして校長先生と、ちょうど教頭の増田先生、それから分校主任の田中先生もおられたわけなんですが、そういう事例があるからというのでお尋ねしたわけなんですが、増田先生はこれを否定されまして、そうして、私は向こうへ行ったけれども話はあまりしなかった。そうして、私はよく知っていた人なので、お母さんのところへ行って、そういう病気をされておったので、まくら元へ行っただけで、そういう話は別にしなかったということであったのですが、西先生、また西先生の妹さん、それから小山先生という親戚の方がございますが、その人の話を総合してみますと、やはり西先生が、組合におられるとどうも困るのじゃなかろうか、それで脱退されたらどうだということを言われたように、職場、またそういう先生から代議員会の席上で話を聞いております。
  107. 本田南城

    参考人本田南城君) 私は西長子先生から直接聞いたのですが、西長子先生は、職場において、深浦小学校の分校の方にお勤めで、分校主任の先生が田中という先生ですが、その田中先生から、いろいろな点で脱退したらどうかということは言われておる。たびたび言われますと、本人がこう答えております。いつだったか期日ははっきりしませんが、本校の方の教頭である増田先生が一本松——西先生の実家は一本松でありますが、一本松に行かれて、これはまあ同級会があるというので、それで行かれたのだそうです。一本松に同級会があって行ったということでありますけれども、そのついでかどうか、それは私はっきりしませんが、西先生から聞いたのは、そのことで来たのだと西先生は言われたのですが、西先生の宅に行きまして、西先生はそのときにいなかった。ところが、西先生のお母さんが非常に重病であった。危篤状態であった。そこに看護のおばさんと西先生の妹さんがおられたわけです。その妹さんがおる席上で、お宅のお嬢さんは組合員だが、脱退しないとどっかへやられる、それで非常に工合が悪いから脱退さしたらどうかというふうに言われた。こういうふうに増田教頭がそこで言ったそうです。ところが、それを実際西先生は聞いていない。それで、妹さんは九州の方へ行っておられるのですが、その妹さんの方に聞き合わしたわけなんです。その聞き合わしたところの手紙が、これはこういうような参考のために聞いたというようなことではなくして、どういう状態だったろうということで聞いたと西先生は言うのですが、そのお手紙は、おそらく矢嶋先生のところに届いておるのではないかと思いますが、それを読んでいただいたら非常にはっきりするのではないかと、こういうふうに思います。それで、妹さんの手紙が確実な証拠になるのではないかと私は思いますが、その程度西先生の方から聞きました。私がちょうど来る前に、西先生の方から電話がかかってきまして、実はその手紙は矢嶋先生の方かどっかに送ったのだが、それにはっきりあるからということで、西先生の方から電話がありまして、聞いております。
  108. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西参考人に伺いますが、この委員会からの依頼によってあなたの方で調査して出された資料ですね、この件について、旧知の間柄であるから伺ったのだが、お母さんが重態であったため、一切の会話もせずに、同席した家人にも西教諭の組合脱退について説得した事実はないと断定してこの報告書を出されているわけですが、私はこの西先生の問題については、その翌日にお母さんはなくなっていますね。だから、教頭がおいでになったことは非常に重要であったわけです。それで、これは人権問題ではないかと法務省の人権擁護局長に伺いましたところが、事実とすればこれは人権侵犯のおそれがあるというので調査していただいたわけです。で、人権擁護局の報告では、あなたの報告と違うわけなんですね。やはり教頭さんはお母さんのまくらべに行って会っている。そうして何らか発言されているということが人権擁護局の調査として本委員会に提示されているわけなんです。非常に愛媛県の教育委員会調査というものは疎漏だと私は思うのです。  それで、これは非常に重要ですから、ここに手紙が来ているから読んでみますから、大西参考人としてはいかようにお考えになられるか、承りたいと思う。なぜこの手紙を入手したかというと、人権擁護局の調査が、こういうものが出ましたから、それを明確にするためにこれを入手したんですが、この手紙の主は福岡県の豊前市にいらっしゃる西先生の妹さんで河野久香とおっしゃる人です。で、この人の了承を得ております、私がこれを公表することは。それで、これを読めばわかりますが、お妹さんの河野さんは、お姉さんが人権擁護局に呼ばれたことが何のことかわからないのですね。どうしてこういう、そういう必要が起こったのかと不審を持ちながら当時の事情を書いてある。非常に信憑性の高いものです。何のために私がそんなことを問い合わせるのですかと書いてあるのですから、これは本委員会でも論じたことですからちょっと二、三分かかりますが、委員長初め同僚委員の方にも聞いていただく関係上読んでみます。こういうことが書いてある。途中は略しますが、「大変なこととはまたどうしてですか?。母の亡くなるその前日、増田先生が来られて、あの日はとても寒く、そして母が苦しみに一所懸命たえていたときでした。私は母のことが気になり、母に何度も先生を呼ぼうかと言っていたわ。母のまくらべにどっかとすわって、きょうは午前中で学校は終わったはずなのに姉さんはまだ帰らぬのかと聞いておられたわ。ちょうどおばさんも来ておられるからと、実は話があって来たですと話を切り出されたの。姉さんが組合脱退しないのでお母さんから姉さんに話してもらいたい。ほとんど組合脱退して、組合にいるのは古い人たち四人だけだから。組合にいても皆が脱退すればなんのために組合にいるか意味がないので、早く脱退した方が姉さんのためだから、それに異動のこともあるし、組合脱退してないとどこに飛ばされるかわからないので、なるべく家から近くの方がよいと思うから、そのことをお母さんから姉さんに話してほしいと言っておられたわ。でも母は苦しくてなんの返事もできませんでした。これ以上は前のことなので思い出せません。でもなんのためにこんなことが必要なの。どうして法務局まで出頭せねばならないの。できれば詳しく手紙を下さいね。」と書いてあるのですね。だからこのお妹さんはどういう事情かわからないでこのお姉さんの問い合わせに当たって書かれたのですね。これは人権擁護局のこの調査と符合するわけなんです。増田さんをけしからぬと思いませんか。  大西参考人に伺いますがね。これは客観的にどの角度から見ても、これは私ははっきりしていることだと思うのですね。それを増田教頭さんはそういう虚偽の供述をして、そうして愛媛教育委員会に報告し、それを受けてあなた方が文部省に報告し、それで文部省からわれわれに資料として出された。そうして本委員会では内藤局長は、これはあらためて追及いたしますが、内藤局長は四月六日の本委員会で私の質問に対して、これは速記録の十五ページに載っていますがね、校長並びに愛媛教育委員会で証言したことだから間違いがない、自信満々と断言しております、私の質問に対して、四月六日に。これは文部省にやりますがね。これは問題は増田教頭にあると思うのですね。この点、大西参考人教育長さんですが、どういう御感懐にあられるでしょうか、承りたい。
  109. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はこの人権擁護局の調査は知らなかったのですが、私の方から調査をいたしました点では、母堂が重態であったためにお母さんには何もそういうようなことは話していない。それからまた家人にも、教諭の組合脱退について説得した事実はないということが正しいと信じておるのでございます。また、人権擁護局の方にも、増田教頭組合をどう思うかと話しかけた以外に、脱退を促したことはないということでございますので、私としては今のお手紙が間違いであるかどうかはこれからまた調査をしなければならぬところですが、前段を今一応信じているという……。
  110. 米田勲

    ○米田勲君 関連質問。大西参考人にお伺いをしますが、結論的には、あなたの責任をもって文部省に出された調査書は疎漏ではないかという結論です。それは、人権擁護委員会調査をされたその報告書には、その事実をありと報告されておるわけです。あなたの出された報告書はその事実はないとされておるわけです。この二つを対照してみますとですね、あなた自身は現地に行かれて必要な手続をとられて調査をされたのでないとしても、あなたは教育長という立場において、その報告書に全責任を負わなければならないという立場でありますから、私はただいまの矢嶋委員が読み上げた手紙等も勘案して、並びに人権擁護委員会調査報告書を照らし合わせて、あなたの文部省に出された調査報告書は非常に疎漏であるという非難を免れないと私は思う。もっと広範にもっと綿密に調査されたら、少なくも人権擁護委員会の報告とほぼ似た程度の事実を報告することができるはずであると私は推量するのですが、あなたはそれでもなおあなたの文部省に出された報告書は厳密に調査をし、私は事実を責任を持って報告したのであるとこの委員会の席上、さらに断言できるかどうか。私はあなたの調査報告書はきわめて事実調査が不備であり、報告書が疎漏であって、事実にもとっているという判断をいたしますので、お伺いいたします。
  111. 大西忠

    参考人大西忠君) 私が文部省からの御照会を見て、私が直接指揮したのではございませんのですが、何分にもこの当時、日限を切って、早く返事をしろということであったかと思います。それから、御照会の点がこの上段にもありますように、母堂に対し校長の命を受けて組合脱退を干渉したという御照会でございましたので、私たちはそういう点を中心にして調べたのでございます。
  112. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これはあなたに確認しておきますがね、西さんへ不当な圧迫を絶対加えてはなりませんよ。私はこれは教育長並びに浜見教育委員に再度要請しておきます。事実を発表されただけですからね。こういう手紙が来たからといって、西さんに何ら圧迫を加えるということがあったならば、これは国会の責任問題にもなりますから、事は重大に発展いたしますから、特に強く要望しておきます。私はこれで大西さんの件でこれ以上押し問答いたしませんが、事は明白だと思う。これは第三者が判断すべきことだと思う。今まで伺った点ではっきりすることは、地公法五十六条の不利益取扱の禁止条項に抵触することが山積している。組合への行政権力を利用しての不当介入ですね。組合への不当介入が日常茶飯事のように行なわれている。その結果として先生方は常に不安感に満たされておって、そうして十分その能力を発揮し得ないような職場の雰囲気というものがもたらされている。かように私は判断するわけですがね。これは法律上からいっても、行政運用の面から申しましても、また愛媛県の教育振興という立場からいってもきわめて重大なことだと思うのです。私はこのことについて大西参考人並びに浜見参考人所見を承っておきたいと思います。
  113. 大西忠

    参考人大西忠君) 校長や地教委の方々が、本人にどういう意味でどういうことを言ったかということは、私も現場へ出て聞いておりませんので明らかではございませんが、繰り返して先ほどから申し上げますように、県の教育委員会任命権者といたしまして、そういう考え方は絶対持っておらない。従いましてこういう誤解を受けるようなことが今後ありませんように十分注意もして参りたい、こういうふうに考えております。
  114. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) ただいまのお言葉、先ほど私が申し上げましたように、もとより組合であるから、組合でないからということは考えませんので、今日こういうことがありましたからというて、特に組合員だからという考えは持とうと思っておりません。以上申し上げます。
  115. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 考える、考えないということよりも、事実があるということを指摘しているわけなんです。事実がある。これは両参考人にしても、また人権擁護委員会調査でも事実の調査をしているわけですから、その事実があることについてあなた方は所見を述べていただかなきゃならぬと思うのですが、討論になるといけませんから、その点は本調査が終わる最終段階であらためてまた触れたいと思いますが、もう二点ほど伺って豊瀬委員質疑があるからかわりますけれども、浜見教育委員に伺いますが、さっき本田参考人から述べられた資格任用の場合に、教育研究協議会へ加盟するという添付書類を必要とするとある。そして能田さん外一名の方々が判を持って行って、それに判を押したということなんですが、あなたが任命している末武教育長、この人はこの点について組合と覚書を交換しているのを御存じですか。
  116. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 全然知りません。
  117. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 知らないですか。——それでは私から申し上げましょう。三十五年の十一月二十四日午後六時二十五分に城辺町役場応接室で倉田書記長と、末武教育長さん、それ以外にそこにいらっしゃる梶原さん、本田さんは立会人として署名捺印されていますが、この覚書によると、判を持ってくるようにと言って、辞令の受領書には捺印するのを忘れた、と言って押していない。そして教育研究協議会の加盟書だけに判を押している。何のためにその判を持たしてきたかわからぬわけですね。辞令の受領書には判を押さないで、そして教育研究協議会の加盟を勧めて判を押している。そしてこう書いてある。教育研究協議会に加入のため捺印したことは他言してはならないと言ったようにもあるということを確認しているわけです。梶原参考人の言葉によると、また私が愛媛県の現地で調査したところによると、研究協議会に判を押したことはほかの人に言わないでくれといって頼まれたというのです。ところが、この覚書では捺印したことは他言してはならないと言ったようにもある。こういうふうに覚書が交換されている。この点について、私は、あなたの任命した教育長末武さんが署名されているわけなんですがね。任命するにあたっては組合脱退してもらうように、それから教育研究協議会に入るということが条件になっているのですか、どうですか。半ばそれを期待し、要望なさっているのですか、どうですか。その辺のところを承っておきたいと思います。
  118. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) たくさん申し上げましたけれども、一々先生のおっしゃったことを覚えておりませんが、私そういう会に立ち会ったことも一度もありません。それで研究会に入ればどうとか、それから入るためには判をつけというようなことは全然今が初耳でありまして、知りません。
  119. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あなたは報告も受けておらない、この末武という教育長は実にけしからぬ。こういうような重要なことを受けておいて委員会に対して報告してないのですか。
  120. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) ありません。
  121. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは大西さんに伺いますがね。何ですか、資格任用をする場合に研究協議会に入るか入らぬかということは添付書類として必要だと、こういう教育行政愛媛県ではやっているのですか。
  122. 大西忠

    参考人大西忠君) 私も先ほど入会するかいなかの照会状が資格任用についておったということですが、ここで初めて聞いたことでございます。  それから県の教育委員会はそれと引きかえに辞令を渡すというような条件はつけておらぬので、その校長の具申に基づいて地教委が内申をいたしますれば任用の辞令を渡すわけでございまするから、それを見ましても県の教育委員会は何らそういう考え方は持っていないということは明白だろうと思います。
  123. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それでは、あなたはそういう方針にお考えになっておられても、実際にこういうふうに末端で行なわれているとすれば、あなたとしては国会でこういう質疑があり、そういうことはあるべからざることである、従ってそういう添付書類をつけたり、あるいは任用する場合に研究協議会に入るか入らないかによって差等をつけるようなことがあってはならない。それが教育委員会としては、そういう人事行政の方針ではないということを全県下の地教委に周知徹底させる御用意があられることと思いますが、いかがですか。
  124. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はそういう非常識が末端で行なわれておるということを考えておりもしなかったのでありますが、今日ここで承りましたから、よく調査をいたしまして、もしそういうことがございますれば、それはもう絶対とめなければならぬことと思います。
  125. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西教育長さんは愛媛県の末端についてもよく熟知されていると私は承っているわけなんですがね。こういう大事なことを各事務所管下で行なわれていることを御存じないということは、これは大へんな私はミスだと思うのですね。それで、それならもう一つ似たことをお伺いしますが、二月十五日現在で研究協議会の員数、それから県教組の員数というのを報告さしたのですね。これはどういうわけで、そういう二月十五日という日を設定したのですか。それは数人の校長さんからも現に聞いているのです。二月十五日、どの校長さんも自分の部下の研究協議会員が何名、県教組の組合員が何名ということを報告しています。従ってその十五日の前の一週間ぐらいが、組合脱退勧告というのが三月末に予想される人事との結びつきで猛烈に行なわれたわけですね。そういう過程でこの西事件とかあるいは妊娠している先生の事件というものが、そういうものが起こっているわけですね。あなた、二月十五日にそういう報告がなされていることを承知されているかどうか。おそらく各地方事務所の教育出張所から資料が吸い上げられて県教育委員会の所管課に報告されたものと思います。で、その報告が教育長に当然報告されていると思いますが、その辺のことを御説明いただきたいと思います。
  126. 大西忠

    参考人大西忠君) これは事務のことでございますから、そういう照会をしたと、おそらくしたのでもございましょうが、私そういうことには全く意図的に関与いたしておりませんので、ここで御説明をする力がございません。
  127. 岩間正男

    ○岩間正男君 関連。大西教育長はあなた偽証しているのじゃないのですか。もっとも証人として喚問されていないから、必要があれば証人として喚問して、あなたの偽証罪を問います。あなた自身は責任としてどうですか。これ文部省から調査を命じられたでしょう。そのときに、あなたはこれを見たでしょうか、見なかったか。見たか見なかったか、まずお聞きをしたい。
  128. 大西忠

    参考人大西忠君) ちょっと委員さんにも誤解があられるように思いますが、私は本委員会で私の責任を免れようという気持はございません。たとえいかなることが末端で行なわれようと、私の監督の不行き届きでございますが、その文書の照会をするということで、手紙の中にどういう書類が入っていたかということを一々ここでお聞きをいただいても、私が知らない場合もあるのでございますので、それを誤解のないようにしていただきたいと思います。
  129. 岩間正男

    ○岩間正男君 私の質問にやはりお答えいただきたい。この文部省からこれを調査して報告するようにですね、この調査書が行ったと思うのですね。それをあなたが見られたか、見られないか。なるほどあなたの仕事からいえば非常に広範だし、それからいろいろ事務なんか分掌をしているだろうが、しかし、問題は国会で今非常に問題になって、重大な問題だということはあなたは知っている。従ってこの問題については調査のときに、先ほどからの話によりますと、これはあなた見られたということを言っているわけです。ところがどうですか、先ほどのあなたの答弁によりますと、初めてここで聞いたということを言っていますね。これは明らかな食い違いですよ。一個人の、一人格のこれは系統的な統一された見解ということに考えられませんよ。そうでしょう。そう言われたってしようがないです。どうなんです、これは。
  130. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は文部省からの照会につきましても、十分見ました。私が知らないと申しますのは、先ほどお話のありました資格任用をする書類の中に入会するかどうかの照会状が入っておったかということを知らないというのです。それを申し上げたのであります。それから二月十五日に何の意図があって組合に残っている人と組合脱退している人の数を調べたか。その調べたことはあるでございましょうけれども、私には全然結びつきがございませんので、御説明をする資格がないと、こう申し上げたのであります。
  131. 米田勲

    ○米田勲君 関連して。大西さんにちょっとお伺いしますが、きょうはわざわざ多忙なところをおいで願ったわけですが、この参議院の文教委員会であなたの県内の教育行政上の問題で非常に論議が戦わされておって、そのことが新聞にたしか愛媛県でも報道されたのではないかと思います。あなた自身教育行政上の責任ある立場ですから、国会でそのことが相当問題になって論議をされているという新聞報道がなされたのか、なされないのか。なされたとすれば、自分の所管のところの問題が国会でそういう論議になっているとすれば、相当これは、私があなたの立場であれば、詳細に県の教育行政機構を動員していろいろな角度から問題を検討して調査するという措置がなさるべきではないか、こう私なら思うわけなんです。ところが、先ほどからお聞きしておりますと、二月十五日という日を限って、とにかく県教委から、あなたは御存じないようですが、一斉に県内の校長から、地教委を通じて、研究協議会に入っている教員と、愛媛県教組に入っている教員との事実調査をしたものを報告させているという、そういうようなことにもあなたのその場合の調査は及ばなかったかどうか。私は非常にその点を疑念を持つわけです。先ほども私関連質問であなたにお伺いしたのですが、西先生のお母さんの問題に関連して、私の方は忙しかったので十分に日数をかけて慎重に調査することができなかったという話だけでありますが、どうも私はあなたの調査活動といいますか、それからこういう問題が国会で起こっていることに対応して、あなたが慎重にこのことに対応されて県内の教育行政に対処されているというふうにどうもはなはだ悪いのですが判断ができかねる。どうも、すなおにあなたの発言を理解しながら判断をしていくということが、私自身は非常に先ほどから困難になってきました。それで少し長くお伺いしましたが、国会で問題になったことを新聞報道でごらんになりましたかどうか。その後、特段意を用いて、その国会で問題になっていると報道されている事柄等について、行政の機構を通じて慎重に調査をし、それぞれ不備あるいは誤りがあれば是正をされるように努力をなされたのか、こういう点について一つお伺いをしたいわけです。  それからもう一点は、先ほどから研究協議会と教職員組合の問題が出ておりますが、私たち調査では、あなたの県では、先生方が自主的になされていることではありますけれども、愛媛教職員組合脱退しない者は研究協議会に入れないという原則ですね、非常にきびしい原則で盛んに会員を募集しているわけです。これは教職員方々が自主的になさる立場であれば私たちは何も問題はない。ところが私たち調査によると、あなたの管轄下の地教委を通じて、これは矢嶋さんがその調査用紙を持っているのですが、研究協議会に入れ、入りなさい、入りますという調査申込書を地教委を通じ学校長に渡し、それが二月十五日を中心として非常に活発に行なわれているという状態で、これは教職員が自主的にやっているのではなくて、地教委という行政機関が参加しているという点が私はどうも問題だと思うわけですが、そういったような事情についてもあなたの立場としては従来耳にされませんでしたか。教育研究協議会のメンバーを獲得するために熾烈に地教委が働いているということを御存じかどうか、その点についてもお伺いいたしたいと思う。
  132. 大西忠

    参考人大西忠君) 前段御質問になりました新聞等についても各位からいろいろな御質問も出ましたし、また、これが国会文教委員会の大きい重要な事件として取り上げられていることも存じております。従いまして、文部省から照会がありました際には、私たちも部下に全力をあげて真実を追及するように督励もし、またその結果についても、そういう指摘された事実はありませんからということでございましたから、私もその書類に署名をして文部省にお送りをしたのでございます。この点には私たちは誠心誠意、限られた時間の中で努力をしたつもりでございます。  それから今の入会——教育研究協議会のその問題でございますが、今おっしゃいましたことも、先ほどの入会するかいなかの照会状が入っておったことも全く私初耳でございますので、その点はよく調査をいたしますが、要は一番冒頭にも申し上げましたと思いますが、私たち組合の加入そういうもの、また組合そのものの運営については私たちはまた——これは組合ではございませんが、協議会の加入そういうものについては教育委員会といたしましては関与をしないつもりでおります。
  133. 米田勲

    ○米田勲君 ちょっと、もう一つあなたにお伺いしたいのですが、文部省から、あなたの方に事実調査を依頼をいたしました。あなたもそれを内容はごらんになったと思う。私があなたの立場であれば、文部省から調査依頼がきた事項の内容を見、国会の中で論議になっておる論議の内容を見て、そうしてあなたの行政機構を通じて調査したことが、その結論として出てきて自分の目に触れたときに、すべて地公法違反だとか、あるいは憲法に抵触するとかというような、都合の悪い点が、全部事実を否定している調査報告書があなたの手元にきた場合、疑義を持たれませんか。私ならすべてが否定されておる——教育行政者として都合の悪い点を指摘されたことについては、すべて事実が否定されているような調査報告書があなたの手元に集まった、それを目を通されて、一点の疑義もなくそれに判を押されて文部省に送られたということについては、私があなたの立場であれば、ちょっと態度が違うのですが、あなたはどうだったのですか、そのときの心境は。
  134. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はこの組合に対していろいろ他の参考人からもお話がありましたような考え方を持っておりませず、また直接私が校長にそういうことを指示する限りのものではございませんが、教育事務所を通じて、地教委の教育長等を通じて、組合員であるがゆえに不利益を与えたり、また組合脱退しているからといって利益を与えたりすることは絶対してはならない、さしてはならないということを強く申しておりますので、そういう報告を見ましたときに、私が自分の心地から人を信ずるのがあるいは厚過ぎたかもしれませんが、疑念を持っておりませんでした。
  135. 平林剛

    委員長平林剛君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  136. 平林剛

    委員長平林剛君) 速記をつけて。  本件に関する調査は、午後一時三十分より委員会を再開し、続行することにし、暫時休憩いたします。    午後零時五十一分休憩      —————・—————    午後一時四十六分開会
  137. 平林剛

    委員長平林剛君) ただいまから文教委員会を再開いたします。  午前に引き続き愛媛県の教育行政に関する件を議題とし、調査を進めます。  質疑のおありの方は順次御発言を願います。
  138. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 引き続いて残った点と確認をいたします。  大西参考人に伺いますが、例の井村御夫妻ですが、井村恵美子先生城辺学校から船越中学校へ、井村義弘先生は久良小学校から福浦小学校へと転任させられたわけですが、実は私、調査に行った場合に、ILO提訴の問題で校長さん並びに宇和島事務所の主事さんからいろいろ聞かれたといって非常に心配されていらっしゃいました。従って、私は人事異動の面で好ましからざる事態が起こらなければよいがと心配しておったわけで、実は三月三十日、この点を本委員会質疑をして、不当な人事異動をやらないように、文部省からも愛媛教育委員会に参考意見として通じてほしいということをお願いしたわけだったのですが、あなた方の方では、共かせぎで通勤ができるということで、あの城辺町並びにその周辺から非常に僻地に移されたようですが、どういう内申のもとにああいう人事異動をされたのか。井村先生にとっては非常に不利益、不当な私は人事取り扱いだと思うのですが、いかがでございましょうか。
  139. 大西忠

    参考人大西忠君) 何さま教員の数が一万ばかりおりますし、それから教育事務所に対しまして、全体の企画を立て、その異動方針を県の方から示して、あやまちのないようにさせて、県の教育委員会を開催させますときには、特に注意をいたしまして、組合員であるとか、組合員でないとかいうような差別とか、組合活動の云々でやるのでなくて、純粋な教育の見地から異動を行なっておるかどうかということを教育事務所長にも確かめて決裁をいたしますので、井村さんの異動につきましては、私ここで理由とか、それからそういうものについて通暁をいたしておらぬのです。
  140. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 これは問題になった点で、あなたの方からも報告がされておるわけなんですが、私は参考人に御要望申し上げたいと思うのです。この井村御夫妻を変な眼で絶対見ないようにして下さい。私は本人に会ったのですが、りっぱな青年教師です。この人は組合員でもありますけれども、ILOに提訴というのは、県教育研究協議会に関する文書が校長あてに地教委から送られてきた。地教委から校長さんを通じて、県教育研究協議会に関する文書が参りまして、校長さんが組合員の人を音楽室に集めて、そうして協議会への加入を勧め、ひいては組合脱退してはどうかというサゼスチョンを与えたわけですね。そういう内容のことを、事実あったことを井村さんはお話しになったのです。そのことがILOに参考資料として行ったわけですね。そこでILOから文部省に問い合わせが来、文部省からあなたの方に問い合わせが行って、そうして宇和島事務所を経て学校に行って、そうして井村さんにいろいろと話があって、そうして井村さんは、自分の関知したことに限って述べたにすぎないわけです。ところがジュネーブまで訴えてはけしからぬというような声が地元に、一部にあるということを私は仄聞しているわけなんですが、これが井村夫妻をああいうふうに僻地に転任を発令した一番大きな原因であると思っております。私はそういう判断をしている。そういう眼で井村さん夫妻を見るということは非常な誤りですから、これは本委員会でも質疑をし、要望もしているんで、あなたの方からも報告が出ているわけで、これは教育長さんがきょうこれを関知しないということは非常に不満なんですが、これほどの問題になっていることであれば、よく部下を通じて聞いておいでにならなければ、せっかく参考人としておいでいただいても、こちらの期待に沿わないわけなんでして、ほんとう大西参考人は知っておられないのか、知っておってそういう御答弁をされるのか。私は前からあなたを知っておるから信じないわけではないのですけれども、私としては困るのですね。それで、御要望申し上げたい点は、井村さんを決して変な眼で見ないことと、それから井村夫妻の人事異動、これは適当な機会に是正していただきたいことを私は心から要望申し上げます。誤れる井村観で人事行政をやっていると、私は自信をもってそう判断せざるを得ないわけです。お答えいただきたい。
  141. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はこの下にも報告がありますように、校長は井村教諭とこの点について話し合ったことは全然なく、指摘されたような事実はないということで、もし校長がそういうことでありますれば、誤解を受けるような人事ということはまたこれも避けなければなりませんけれども、そういう事実がありませんのでございますから、純粋な教育的見地に立って異動をしてもらったものだと考えておるのでございます。
  142. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ILOに提訴した云々ということはずいぶん気にされているのですよ、井村さんは。そうして書面も書かされておりますし、本人も非常に気にしておったわけですね。これが人事異動一つの要因になっていると、常識人ならばこれは判断されることですね。この点はさらに御調査いただきたいと思うのです。  そこで、私は私の質問に関する限り、結びとして、さらに、確認する意味で伺いますが、どうでしょうね、大西参考人、あなたは、ここであなたの愛媛教育行政の方針等を述べられておりますが、そのあなたの方針、ここで述べられている事柄と違う教育行政実態が愛媛教育界末端にあるという点、幾らかお気づきになられたと思うのですが、この点いかがですか。
  143. 大西忠

    参考人大西忠君) 先ほどから両参考人からもいろいろお話がありまして、十分私は聞きました。しかしながら、先ほどの増田教頭の問題でも、でございますが、私の方の調べとそれから擁護局の調べとは必ずしも違っていないのでございますね。従って、こういう点も私はもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。しかし、かりにそういう事例がありましたら、これはもう間違っていることでございますから、これは私は全力をあげて是正もいたす義務があろうと思います。さよういたすようにいたします。
  144. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 両者の調査は違っています。それは水かけ論になりますから、それはあとで触れることにして、ここでは今は触れませんが、今のお尋ねに関連してですが、少なくとも愛媛県の教員組合に加盟している先生方は何らかの不安を感じて、差別的な扱いを受けている面があるということをきょうの参考人の供述でお気づきになられたと思うのです。で、教育長としては、そういう教師の教員組合にいるがゆえに持っているところの不安感を除去して、それで先生方が安心して職場で自分の能力を百パーセント発揮できるような、そういう愛媛教育界における雰囲気をこしらえなければならぬと、かように私は大西参考人はお気づきになられたと思うのですが、この点いかがでしょう。
  145. 大西忠

    参考人大西忠君) 矢嶋先生のおっしゃる通りでございます。ただ、私はこの際強調いたしておきたいのは、この組合に加入している人だけが自分の意に反する異動を受けて、組合脱退している人は自分の好きな所へ行き、好きなようになっているかというと決してそうでないので、愛媛県には僻地もたくさんありますし、組合を出た人の中にも不便なことを忍んでいただいて異動を喜んで受けておるのでございます。決して、どう言いますか、特に組合を取り上げての考え方もありませず、組合を出た人の中にも不便を忍んでやってもらっている事実も御了解が願いたいと思うのでございます。
  146. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私が申し上げているのは、愛媛県に僻地があるとかないとか、僻地に組合員でない人も赴任しているとか、していないとか、そういう点に触れているわけではないのです。これは僻地に組合員でない人で行っている人もありますよ、組合員の人も行っておりましょう。私が申し上げていることは、とにかく教育行政機構の末端の人が、あるいは直接学校先生方に助言と指導を与える常識的な立場にあられるところの校長さんが、組合にいるがゆえに飛ばされた人があるぞ、だから組合におったらあなたあぶないから、だから組合脱退したらどうでしょうかと、こういうことを言う方がいるということは厳然たる事実ですからね。こういうことが少なくとも皆無になるということが、これは僕は愛媛県の教育界必須の条件だと思うのです。そういうことがなくなるように、教育長は適切なる措置をとられなければならぬ、むしろ私は法律上の義務があると思うのですがね、その点の御所見と、いかなる措置をとられようとするか、参考人に承りたい。
  147. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は必ずしも校長がそういうような意味で言ったのではないと信じておりますけれども、かりにそういうことでございましたら、これは非常に間違っていることで、組合におろうがおるまいが、やはり僻地にも行ってもらわなければならぬしするのでございますから、そういうことでなくて、喜んで僻地にも行ってもらうし、また進んでやってもらう空気というものは作らなければいかぬということは同感でございます。
  148. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう趣旨は、愛媛県の教育行政においてどういう機会で浸透するように措置していただけるでしょうか。あるいは各地方事務所にあなたの下部行政機構があるわけですね、そういう会議等において、国会で論ぜられたこれらのことを伝えて、周知徹底方をはかるとか、あるいは文書をもってするとか、方途があるでしょうが、どういう具体的方途をもって徹底方に善処をしていただけるでしょうか、お伺いしたいと思います。
  149. 大西忠

    参考人大西忠君) この問題は法律にも明定されておるところでございますので、私たちは今まであらためて文書等を用いたことはございません。たびたび会議の席上等で、そういう気持人事異動をやってはならない、勤務の実績、勤務評定というものに従って、勤務の実績に基づいて適正な配置をせよ、これが教育委員会の方針でもありますし、それを実行さすようにいたしておるのですが、この速記録はまた私の方にも将来手に入ると思いますから、こういう点をまた所長会議等においても十分参考にして、あやまちのないようにさせたいと思うのでございます。
  150. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 次に、私の判断では、午前の参考人の公述と人権擁護局の調査によって判断するに、増田教頭さんは西先生のお母さんのまくら元で、しかもその人は重病だったわけです。そこで西先生の妹さんあたりに、西先生組合脱退するのは適当だ、してほしいという発言をしたことは間違いないという私の常識で判断をいたします。これは何ということをすると思うのです。その点から言うならば、増田教頭口述は逃げ口上的な、逃避的なものがある。これは責任を追及しなければならぬと思うのです。それで、大西参考人は御帰任なさいましたなら、さっそく調査されて、本委員会に報告もしていただきたいし、そのときにこの教頭さんがどういう態度をとるかによっても違いますけれども、一応私は事の黒白を明白にして適切な措置をとる必要があると思うのですね。国会でこれほど論議をされたことをかような形で口述して、誤まれる認識、印象を、文部省、さらには立法府に与えたということについては、私は許すべからざるものがあると、かような見解を持っておるのですが、御所見並びにあなたの今後とられるべき方途について伺いたいと思います。
  151. 大西忠

    参考人大西忠君) この点につきましては、私の方で調査いたしましても、「母堂が重態であったため会話はせず、」としてあるので、また人権擁護局の方でも、西教諭及びその妹小山充に対して組合をどう思うかということを話しかけた以外には、そういうことをしたことはないと言って一致をいたしておるのでございます。きょうお手紙を読んでいただいて、私たちは非常に、どう言いますか、これと違う点を感じておるのでございますが、私たちは私たちの力では、この調査また擁護局の方の調査を正しいものと考えておるのでございます。
  152. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大西さん、そういうことをおっしゃっちゃいけませんよ。これは違いますよ。あなたの調査では、これは病室に入ったとも入らないともどっちともとれますよ。人権擁護局によれば、病室に入ったことになっているのですよ。そしてその際に、同席した「家人にも同教諭の組合脱退について説得した事実はなく」とあるでしょう、「事実はなく」と。ところが妹さんの手紙によると明々白々でしょう。ですから西先生組合員であるということについての話し合いがなされたということは絶対間違いない。その重要なポイントがぼかされているでしょう。これは増田教頭口述がこういう報告書になったと思うのです。その点で質的に重大な違いがありますよ。これは同じだという大西参考人の判断というものはおかしいと思うのですがね。早急にこれは調査されて、そして場合によっては私は西姉妹を国会参考人として、あるいは証人として招致することを提案する場合があるかもしれません、明白にするためには。しかし、さっきの手紙からいって、あの手紙を信じない人の方が僕はおかしいと思う、あの文章から言って。そうすれば、増田さんが、この教頭さんが逃避的な説明をされたととらざるを得ないのです。もしそうなったならば、これが明白になれば、私は処分に値いするものだと思う。その点はいかがですか、お伺いいたします。
  153. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は再調査をしないということを申し上げているのではございませんが、常識から申しましても、その翌日死ぬるような重病人にものを言ったりすることは考えられぬと思うのでございます。
  154. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それで私のさっきの御書面お聞きになった通りですし、人権擁護局のもありますから、調査して文書をもって委員長を通じて本委員会に御提示願いたいと思うのでございますが、よろしゅうございますか。
  155. 大西忠

    参考人大西忠君) さよういたします。
  156. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 先ほどの点確認しておきたいのですが、それは愛媛県の組合員でも教育研究協議会に加盟ができる、それから採用する場合に研究協議会に加盟するという意思表示をしたところの添付書類は必要としない、そういうことは愛媛教育委員会の方針ではないと、そういうことが末端で行なわれているとするならば、その是正措置をとらせるということを午前中答弁されたわけですが、確認してよろしゅうございますね。
  157. 大西忠

    参考人大西忠君) 前者につきましては、私はそういうお話は承ったこともございませず、またいたしておらぬつもりであります。
  158. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 後者はよろしゅうございますか。
  159. 大西忠

    参考人大西忠君) 後者の方はその通りでございます。そういうことは条件にしておりませんことは先ほどの発言で明白でございます。
  160. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 ということは、前者については、教職員組合に籍のある人は教育研究協議会に加盟させないと、こういう方針だということですか。
  161. 大西忠

    参考人大西忠君) 私の組合でございませんので、私がここでそういう御答弁をする権利も義務もございません。
  162. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 じゃ実態はそういうふうになっているということを御承知なんですか。
  163. 大西忠

    参考人大西忠君) 存じております。
  164. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 参考人はそういう方針が好ましいという御見解ですか、好ましくないという御見解でしょうか。かつて本院の決算委員会で、昨年の十二月に文部省の内藤局長にただした場合に、教職員組合員だからといって研究協議会に入ってはいけないという、そういうばかなことはない。研究協議会には国から補助金も出しているのだから、そういうことはあり得べからざることだ、かような答弁を内藤局長は昨年の十二月、本院の決算委員会で私に答弁しております。大西参考人は、現実に今愛媛県にあるそういう状況が教育上どこから見ても妥当か、あるいは好ましくないという御認識、御判断を持っておられましょうか、いずれでございましょうか。
  165. 大西忠

    参考人大西忠君) 理論といたしましては、私は初中局長がどう言ったか知りませんけれども、今、矢嶋委員さんがおっしゃったような局長の答弁でございますれば、理論としては正しいと思います。しかしながら、この協議会にだれを入れるか、だれを入れないかということは協議会自体がきめることでございまして、私はここでそういうやり方がよいとか悪いとかと言うこと自体が非常に誤ったことであろうと思いますので、これは協議会の判断にまかすべきだと思うのでございます。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私もう持ち時間一分ぐらいしかないのですから、お答え願いたいのですが、あなたは愛媛県の教育委員会から最も信頼されて任命された教育長ですから、その教育長が、愛媛県にそういう事実がある場合、それは好ましいか、好ましくないかという見解を持たないことは不見識ですよ。大西さん、私はそう思う。そうさせるかさせないかは別です。教育長としてどういう認識、御見解を持っているか、持たなくちゃならないと思うのですよ。それを言われるということがいけないということは絶対ありません。それは表示さるべきだと思う。それを承りたい。
  167. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は個人としては意見があります。意見がありますけれども、県の少なくとも行政をおあずかりしている者の立場として、そういうことがよいとか悪いとかいうことは私は慎しんでおった方がよいのではないかと思います。
  168. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は了承できません。愛媛教育研究協議会には、あなたが判をついて文部省から補助金をいただいているじゃありませんか、二十五万円。あなたの判があって文部省に申請しなければ二十五万円の補助金がこないのですよ。その協議会のあり方について、こういう方針が好ましいか好ましくないかという見解を持つべきであり、それを聞かれた場合に表示できないということはこれは無責任ですよ。それは純然たる何で、あなたと無関係ならばいいですよ。しかし、あなたは愛媛県の教育長として、さっき言ったように判をついて補助金を申請して二十五万円いただいているわけです。そうなると、その職制上からいって、その表示を逃避されるということはこれは納得できないわけです。もう一回伺います。
  169. 大西忠

    参考人大西忠君) これは好ましくなければ好ましいのだ、好ましければ好ましくないのだというようなものの考え方に立たなくてもよいと思います。この問題は何も教育研究協議会が将来——また規則にはそういうことは書いてないのですから、組合員を入れても補助金がもらえるということもありましょうし、私はその補助金の問題とはおのずから別な問題で、何も私がそういう問題を右か左か分けて判断しなければならぬということはないのではないかと私は信じております。
  170. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 あと一問で終わります。その点については、おそらく豊瀬委員からも質疑がなされると思いますから、私はやめて、浜見参考人さんに最後に伺います。あなたはさっき記憶がないということで何されているわけですがね、法廷で裁判があるとき、まあ普通の人が被告として立った場合に、記憶がないと、あるいは黙否権で押し通すということは、そういうこともあると思うのです。しかし、事は教育のことです。それで、あなた様は教育委員さんなんですね。教育委員会法にいろいろと規定があります教育委員さんなんです。お二方の参考人はあなた方から任命されている先生方です。その先生方が、ともかく酒の座ではあるけれども、浜見教育委員さんがこういうふうにおっしゃったということを、学校長さんを含めて何人かが一緒に聞いて確認しているわけなんですね。あなたともあなたの御郷里で話し合っていることなんです。そういうことを、ここで記憶ありませんと通されることで教育委員さんとしていいのでしょうかね。私はこれは非常に重大なことだと思うのです。それではたしてそこにいらしているお二人の先生方、それからそのことを知っている他の先生方が、あなたを非常に尊敬し、そしてあなたの教育方針にほんとうに心から追随していくことができるであろうかどうかという点を私は非常に心配しております。だから、酒の席であったならあったで、ともかく自分がそういうことを言った覚えがあるならあると、はっきり僕は口述された方がいいと思うのですね、そういう重大なことを。それだからといって、裁判所じゃないのだから、有罪とか何とかいえるわけではないのですよ。それは警察とか、裁判所へ行ったときはそれで通ると思うのです。しかし、ここは国会ですからね。問題は教育の問題です。しかも、あなた様は教育委員ですから、しかも、こちらのお二方はあなたから任命されるところのりっぱな先生方なんですからね。そういうことを考えるときに、あなたのさっき記憶がないということだけで通るか通らないか、私はこのことは愛媛県の教育委員会、全教員に及ぼす、影響はきわめて私は重大だと思うのですね。従って、私はあなたの御所見をここでもう一回伺っておきたいと思うのです。いかがでしょう。
  171. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 先ほど記憶がないということを申し上げました。それと申しますのが、ちょうど城辺町の教育委員会で日にちを調べたのでありますが、三月の十三日であります。十三日にここにおられる梶原先生並びに本田先生教育委員会にこられて、真珠の養殖研究費を取ってやるとある委員が言ったということを、十三日から数日して私承りましたから、それで、その真珠の養殖の研究費を取ってやるということは、浜見委員、お前だけにしか関係がない、そんなことを言うたかと聞かれたのであります。私突然の話でありますから、いや僕はそんなことは知らぬ、それはどんなことを言うたか、この委員会に来てこの御両者がおっしゃったということらしい、それで、僕はそんなことはないんだがということで、三月の、それから七、八日して中学校へ参りまして、校長先生に、こういって先生方がおいでだそうだが、わしはそれを全然知らない、一応、先生方と話を申し上げたいのだが、こうしてこれが事大きくなれば、ここに教育のみぞができて自分もおもしろくないし、また向上もはかれないということで、校長先生お話し申し上げましたところ、校長先生も、さっそく行きましょう、だが、その話はわしにも記憶があると、こう校長さん言われたわけです。これは地方の言葉ですが、ずっと前に真珠養殖の研究費を取ってやるということを言われたというような話でございまして、ずっと前とはいつごろかなと聞いたら、やはり校長先生はずっと前、こう言うだけでありました。それで、いつ言われたということもいまだに私知らないわけであります。それから、そのときにまあ一応、先生方お話し合わねばならないということで、職員室へ参りましたところ、私が学校にお伺いしたのが、私よく覚えておりますが、三時の学校の引ける時間を利用して話しに伺ったわけです。そこで校長先生お話し申し上げた時間が約十分か十五分かと私考えるのです。三時四十分か五十分に職員室に行ったわけですけれども、ちょうど先生は、最初私が職員室並びに校長先生にお会いしたときには本田先生はおられました。それから先ほど申し上げましたように、十分か十五分かして再面会に行った際に、木田先生は用事があって先に帰られたということで、お会いができなかったわけであります。それで、私宅まあ大したことではないし、またこんなに大きくなろうとは思いませず、日数を経まして、三月の三十一日の愛媛新聞を見ましたら、まあある教育委員が真珠の養殖研究費を取ってやるということを言うたということが新聞に載っておりましたので、その三月十六日に聞いた校長先生お話とぴったり会うたわけであります。それから日を経まして、四月の六日であったろうと思いますが、また新聞を見ましたところが、そのときにはっきりと浜見教育委員が言うたということが、参議院の文教委員会名前が出たわけであります。私は自分にも全然記憶がないことでありますし、これでこのままいくのは教育向上上おもしろくないと私考えましたから、それから四月の十日のちょうど入学式であります。入学式に学校の方へお伺いしました。入学式には、新任の先生方は所の風習と申しましょうか、各部落に挨拶に回られます。それから旧任の先生はやはり職員室に残られました。校長先生、きょうは実はこの間うちからの新聞に出たことで本田先生と話がしたいのですが、してかまいませんかと、校長先生に聞いたわけですが、それはかまいますまいということで、木田先生にお伺いしましたところ、本田先生……、そのときに私は本田先生、このままにしておいてお互いがここに教育上のみぞをこしらえては久良中学校教育向上にならぬから、これは気持いい話にせにゃいかぬのだが、私がどんなことを言うたのだろう、また、どういう気持で、こう大きくなったのだろうということをお伺いしたわけです。ところが本田先生は、それはいつ言うたとか、それからどういうふうに言うたというようなことは少しも回答なくして、ただ、それは自分が誤っておったと、わしらたち考えが……、今申し上げますが、日教組の維持のためにそういうことをしたのだというようなお話でありますので、私もそれを追及して、悪い、よいを判断するわけじゃありませんので、そのままに済んだわけです、その日は。それから数日後、校長先生から、このままにしておくとおもしろくないが、何とか和解をして白紙に返す方法はないか、それに浜見委員さんも本田教頭先生も立ち会ってもらって白紙に返したいがというお話がありまして、それはまことに喜ぶべきことだ、私も何とかしてこれを白紙に返してもらって、そして久良中学校教育正常化してもらいたい。なお、私の子も二人その中学校に行っております。それで私は子供の教育のために、先生から、あれが教育委員の子であるとか、あるいはその他のことで考えてもらいたくないのでして、なるたけ白紙に返してもらいたいという意向がありましたので、喜んでそれに参加さしてもらいまして、本田先生並びに校長先生、それから城辺町の教育委員三人で話し合ったわけです。まあそれでも私は自分に記憶があってこれを申し上げたという記憶はいまだにありません。で、どういう機会に寄り合うて、その研究費を取ってやるというようなことを申し上げたということが、全然私には記憶出ません。以上であります。御質問に沿うたでしょうか。
  172. 米田勲

    ○米田勲君 ちょっと関連質問。先ほど本田参考人から聞いた話と、今の浜見教育委員が述べられておる中に申されておることとの間には重大な点に違いがある。本田参考人は、そういう事実が酒の場所ではあったがありましたということをはっきり言っておる、それからその際には、なお校長さんほか何人かの先生もその言葉があったことを確認しているという発言をせられた。ところが今、浜見教育委員発言の中には、本田さんと話しているうちに、日教組からの云々があったので……、もう少し言葉を敷衍するなら、事実はないのであるが、私はそういうことを言ったのだから了解してくれという意味合いの発言があったと聞こえた。これは両者の発言一つの事実に対して二つの言い方をしている。全く相反する。いずれかが真実である。私は一方は記憶がないという先ほどの発言であったから、私は記憶のない人はやむを得ないと思って黙っていた。しかし今長々説明を聞くところによると、本田さんや校長さんと話して、そのことを水に流すという言葉がありますが、事実がなかったことをお互いに確認しようではないかというふうに結論を持っていって、水に流すというふうに、私には聞こえる。これは本田参考人から、このことに対して先ほどの発言は間違っているとか、言い足りなかったとか、それから浜見教育委員の今のこのことの説明のその個所には事実と間違いがあるのかどうか、この点を本田参考人から先にお聞きして、その結果に基づいて私は浜見参考人からも、この点について再度お聞きをしたい。
  173. 野本品吉

    ○野本品吉君 関連して。そこを私もさっきちょっと本田さんと、もう一人の方にもお聞きしたのですが、そういうようなことを浜見教育委員さんがおっしゃっているということをあなた方はお聞きになって、そして、すぐそういう事実があるかどうかということの確認のために、当然あなた方としては浜見さんにお会いになって、そして話し合うべきだ。先ほどのお話によりますというと、職場では何か話し合っていたろうと思うけれども、あなた方自体というものは、その問題について浜見さんとお会いになって話し合ったことはないですね。それから浜見さんは、そのことについて本田さんその他から、そういうことを言ってこられた事実があるかないか、それをはっきりする必要があろうと思いますので、私は先ほどお伺いしたわけです。その点をはっきり一つお伺いしたい。
  174. 本田南城

    参考人本田南城君) お答えいたします。浜見さんが酒の席上で言ったことは事実です。あと職場の間で話し合って、こういうことを言われたねえということを、みなお互い同士確認し合ったことも事実です。そういうことを確認し合って、職場の中で話し合った中で、浜見さんに対して、こういうことはありましたねと言ったことがありません。そういうことはありません。ただし浜見さんがこられて、さっき浜見さんが言われたように、四月の八日の入学式の日にこられたときに話し合ったのは、私が日教組の云々ということは、そのときにはありません。私が申し上げたのは、そのときに浜見さんにもはっきりと申し上げたのですが、浜見さんの言われたことは、その場で校長先生も認められました。そして、このことはやはり不当な介入であるということを私は言いました。それは、そこに二人の先生がおられましたから、はっきりとしております。そして、私はそういうこととは別に、教育のためには浜見さんの御父兄の力も借らなければならないし、そして浜見さんもまた学校のために協力してもらわなければならないということを話し合ったのであって、そのことについて浜見さんの言われたことは、ちょっとそこのところに食い違いがある、こういうふうに思います。それは湯浅先生と時岡先生とがおられましたので、はっきりしております。私は校長先生がその場で、浜見さんとこの息子さんが学校に二人こられておるのですが、浜見さんとこの息子がこられておるから教育がどうだこうだということは、この学校に限って絶対ないのだ、ということは、校長先生もその場で申されました。そういうことについて話し合ったのであって、そのほかの日教組云々ということはありません。これははっきりと申し上げます。
  175. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) この問題は、要するに、いなかの言葉で申しますと、水かけ論ということになろうと思いますが、私ももうろくはしていないと思います。事実を申し上げます。そのときに私は、これはみぞが大きくなって、教育向上にプラスになるまい、マイナスになるでしょう、これははっきり申し上げて、どういうことであなたらそういう提訴とか、上申とかということになったのかと言うたら、本田先生が、これは日教組維持のために仕方がありません、こう言われたわけです。なお、先生もお忘れになったかと思いますが、あなたは日教組が大切なんですか、学校教育が大切なんですか、こういう質問を私は申し上げました。そのときに本田先生からは何の返答もなかったわけです。私はあまり先生を追及して苦しめたくないということは、先ほど来こちらの参考人として呼ばれて答弁にも申し上げますように、とにかく久良中学校は正常な教育をしてもらいたい。どこの学校も正常な教育をしてもらいたいというのがいつも念頭にありますので、つい先生にもそう悪く当たりたくないという考えがございまして、そのまま帰って、その後、本田先生にはここにくる道で会ったわけであります。以上であります。
  176. 米田勲

    ○米田勲君 大西教育長、浜見教育委員にもお聞きいただきたいのですが、私は北海道の出身ですが、北海道ではこうした種類の問題は起こりっこがないと私は思っております。ただ、あなた方に理解をしてもらわなければならぬのは、やはり教育行政力の権力——この権力の大小は別ですよ。行政権力を持っている立場の人に任命されて仕事をしている側の教職員は、普通の場合であれば、これはやはり対等になかなかものを言い得ない、民主化が徹底していないから。本来ならば、真実を述べて何のはばかるところがないはずなんです。また、その真実を述べたことによってその者が不当に処遇されるということはあり得ないことです。そんなことがもし起こるなら断固として戦わなければならぬ。ただ、私は一番最後にあなた方にお願いしようと思うことがあったのですが、今のに関連して私はこの際に申し上げますが、実はきょうのこの参考人の四人の方がこられて、本委員会で審査をする予定ができてから、しばらくしてある先生方、二、三人です。愛媛県の先生でありますが、私の方に手紙をよこされました。その内容は、ここで皆さん方にるる申し上げる必要はないが、要点はこうなんです。それは先生方が集まって、やはりこういうことが行なわれるということを聞いて、心配をしていろいろ論議をされたそうであります。その際に何が一番心配だったかというと、四人の参考人から、国会文教委員会で、ああ言った、こう言ったという自分の名前が出た場合に、これは大へんなことが起こるぞというのが、その会合の大きな問題だった。もしもこの文教委員会参考人発言の中から自分の名前が出たら、ひょっとすると、今までの全体的な傾向から見ると、非常に不利益な処遇を受けるおそれがある。だから極端な考えに立った人は、絶対私の名前はいかなる場合があっても、国会の中で、どこそこのだれそれがこういうことを言ったということは、私は真実そう思っているけれども、名前は出してもらいたくない、私がそういうことをおそれるのは単なる危惧ではない、今までの傾向から見ると、多分にそのおそれがあるのです。こういうのが代表的な中に書かれてある意見なんです。どうもこの会合の内容を書かれた雰囲気を感ずると、私は愛媛県の教育界、宇和郡ですか、この付近の教育界の先生方の上には、あなた方がどう考えられておるかはわからぬが、私の想像するのに、非常に困った空気が流れておるということは事実であります。これは、そういう事実があっていいとか、悪いとかいうことは論外にして、そういう事実が流れておる。真実を語った、だれそれが語ったということが公になっただけで、自分があぶないということを直ちに考えて、会合の席上でそのことが論ぜられるということ自体が、日本の国のうちの中に国民がそういうことを感ずるとすれば、これは重大であります。しかもそれは人の子を預かって教育をする重大な責務をになった人が、なおかつそういうことを話し合うということは、私はその教師があまりにも自信がない、あまりにも確信がない、そういう人間といって一がいにきめつけられない面があるのじゃないか。私はこの点を心配するわけです。今、浜見教育委員がるる述べられましたが、私はずっと、失礼ですが、いなかの方の、いわば日本全体にまだ相当ありますが、封建的な、事大主義的な思想のびまんしているまだこの日本の状態の中では、市町村の教育委員という行政権力を持っている人は多分に、やはり普通の場合であると、教員に大なり小なり、形は別にしても圧迫を与える場合があり得るのですよ、言動で。だから、今かりに本田参考人なら本田参考人が、酒の席上でしたがそういうことがありましたということを言った。それを浜見教育委員がそこの学校に行って、おれは記憶がないのになぜそういうことを言うか。校下にそういうわだかまりが起こるのはうまくないじゃないかと言ってるる話し合いをすればどうなるか。僕はその経験からいって、その行く先はわかる。教育委員の方に妥協しますよ、教員は。それだけ弱いのです。だから浜見さんは、このことは記憶がないと言っておりますから、記憶のない人に記憶を呼び戻せと言うても無理ですから、それはどういうことであろうと記憶がないということを信じます。しかし、浜見さんが記憶がないということを申し立てても、一人ならず、二人ならず、そこの校長さんまでが、そういうことがあった。これは冗談に言うこともあります、人間は。僕だってあります。言ってはならないことを冗談に言うことがあります。ましてや酒の席上だから、自分のほんとう考えておらないことを言ったかもしらない。しかし、事が教育行政の立場にある重要なポストにある人ですから、言ったことが冗談であり、酒の席のことであろうとも、その影響するところは大きいということは何人も考えなければならぬ。記憶がないと言ったって、浜見さん自身も、これは記憶がないのですから、ちょっと責任は持てないとしても、何人かの人がそういうことを言っているのだとすれば、これは相当慎重に自分の発言や行動はしなければならぬと考えるべきじゃないか。それをいろいろ学校に行って懇談をされたのはいいですが、その結論が、何か参考人が明確に先ほどから再度にわたって述べられておるのに、なおかつ日教組からの何らかの圧力があったために、事実がないのに、そういうことを申し立てたのだというふうに聞こえるような表現の仕方で、この問題をこの場所で終わらせようとしておるのは、あまり納得ができないわけです。で、私は再度、浜見教育委員に聞こうとはしません。ただ、県の最高の責任者である大西参考人にお願いしたいことは、あなたの県内には、先ほど私が言ったように、このことをめぐってさえも心配した会合ができるのですから、少なくもこの国会の審査の際に出てきたいろいろな人物をめぐって、今後いろいろな、われわれから感ずると、妙な、納得のできない人事異動が行なわれるということはないように、御答弁は要りませんが、再度私はお願いしておきます。私はそれらの先生方が見ず知らずの私にそのことを心配してよこされたその気持からいっても、間違ってもそういうことのないようにしていただきたいわけです。  それから先ほど、夫婦の方がILOの証言問題で転任になっておるようですが、それは夫婦ともに暮らすのには、毎日往復十二、三キロ通わなければならない個所に転任させられているわけです。夫婦は別なところに。北海道であれば、夫婦共かせぎしている場合でそのようなことをされることはまずありません。しかも、私はこの人事異動で純然たる教育上の見解に立って行なわれるということはもちろでありますが、その際に、あなたの県ではどうか知りませんが、北海道のような場合であれば、本人の生活環境の事情、本人意思、そういうものを相当尊重をしながら、教育上の見地に立って、あわせ考え人事異動というものは行なわれているわけです。どうも先ほどから矢嶋委員が御質問いたして、あなた方の答弁を聞いていると、そういう人事異動の面にも、私は再検討をする必要がある面が幾つかあるように思います。これは単なる、全然関係のない立場の私が言うのですから、単なる参考意見でありますけれども、ぜひ愛媛県の教職員が、県教組に加盟しておろうが加盟しておるまいが、研究協議会に入ろうが入るまいが、純然たるあなたの言葉通りの見地に立って人事異動が行なわれるべきである。また、地教委をそういうふうに指導すべきだ、先生方に多くの不満を抱かせ、不安、動揺した中で人事異動をいかになさっても、あなたの立場からいえば、純然たる教育を振興するという立場に立ってやりましたと言われても、教育活動の結果はそうにはならぬ。やはり先生方が信頼をし、安心をし、自由に、濶達に研究心を燃やしてやっていけるような、そういう雰囲気に教育界をおかない限り、あなたの意図する愛媛県の教育界の興隆というものは、前進というものは期しがたい。私はあの何人かの先生が手紙をくれたその気持をあなたに率直に訴えて、ぜひ、質問ではなく、最後に関連質問で恐縮でしたが要望しておきます。
  177. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一つ、私、責任があるのですが、私が愛媛に行ったのは三月二十日です。そのときに本田さんにもお目にかかりました。そして浜見教育委員がこうおっしゃったということを数人の先生に承りました。だからその後、浜見さんと本田さんが会った場合に、日教組から調査が来た、社会党から調査が来たといういろいろな話が出たでしょう。そういうことで、そこに重点を置いて答えられたらいけないと思うのです。浜見さん、今問題になっていることは、教育委員の人が、組合脱退すれば旅費をやるとか、組合脱退すれば転任させるとか、組合脱退すれば校長になれるぞとか、こういうような発言をすることは、教育行政の姿勢という立場からいけない、それは直さなければならぬという立場で、愛媛だけでなくて全国的な視野からそれを論じているわけです。だから、あなたが酒を飲んでおろうがおるまいが、家の中であろうが外であろうが、それを言ったか言わないかということがポイントであって、その点をわれわれは調査の対象にしているわけです。そうして、そのお二人なりその他から、そういう客観的な資料が集まっているにかかわらず、あなたは記憶がないと言って、そうしてその後、私が三月二十日愛媛に伺った後に、本田さんと会ったときのことに重点を置いてお話しされるということは、私は本田さんがかわいそうだと思うのですよ。これが最後ですが、大西参考人に伺いますが、さっき浜見さんは冒頭に、教育関係法律はわかりませんということを言われているのですね。ああいうことは、私は失礼だけれども、教育委員を、都道府県教育委員会教育委員というのは、教育長としては助言する必要があると思うのです。教育関係法律もわかっていないと言われる、そして、さっきのポイントをぼかされて記憶がないということで、逆に本田さんを非常に苦境に陥れるというような、ああいう点に重点を置いて述べられるということは、私は本田先生がかわいそうだと思うのですが、この点はいかがですか、これで私は終わります。
  178. 大西忠

    参考人大西忠君) 先ほどお話がありましたこういう席でいろいろお話をされて、それが全くでたらめだということですが、みな真実を尽くしておるのでございます。私たちはそういうことで差別をしようという考えや、そういうことで教員を不利に陥れるという考え方は少しもありませんから、その点ははっきり申し上げておきますし、また今後のやり方も見ていただきたいと思うのでございます。ただ、私お聞きをいたしておって、ここに発言の事実は認められないというのが私の方の御報告の趣旨ですが、これを書きました責任もありますから一言触れさせていただきたいと思うのですが、先ほど委員会の控室に四人がおりましたら、ここの事務局のお方が、これを、こういうことが問題になっているということでいただいた。そのときに本田参考人が即坐に、これは大へんじゃ、違うと、こういう発言をされたので、どれが違うのですかと言ったら、一が違うということでございましたから、私は一の上が違うのか下が違うのですかと言ったら、上が違うと申したのでございます。私はそこで聞こうかと思いましたが、私と木田君とは利害が相反しますので、もし私がそこでものを聞いてまた問題になってはいけませんと思いまして、そこで容赦をいたしました。今、本田君からお聞きをすると、日教組云々は言っていないという言葉があったと思うのであります。それで問題は、組合脱退して教育研究協議会入会すれば研修旅費を取ってやるということですが、御承知のように教育研究会は三十五年の九月にできたのでございます。それより前にそう言ったのか、それよりあとからそう言ったのか、その旅費は何かさっき真珠養殖とかいうお話が出ましたが、全然別なことがここで誤伝をされましたのか、私はもう少し追及すれば明白になるのじゃなかろうかという気が、お聞きをいたしておっていたしたのであります。
  179. 本田南城

    参考人本田南城君) 今、教育長さんが言われたことについてお答えいたします。控室で間違っておるというのは、ここの組合員脱退して愛媛教育研究協議会入会すれば研修旅費を取ってやるということが間違いということで、私はこういうふうに言ったわけです。それは組合脱退して愛媛教育研究協議会入会するということではなかったわけです。そうじゃなしに、組合脱退したら研修旅費を取ってやる、真珠の養殖も取ってやると、そこが間違いだと言ったんです。そこで、私はここでちょっと意見を言わしていただきますと、私はやはり浜見教育委員さんとここで対決したくないんです。そうして私はほんとう教育をやりたい。そういうことを言われたので、私はそういうことで今後もやはり非常に不安なのです。教育委員さんからそういうふうに言われますと、今後も私は非常に不安に思うわけです。今後の教育の上に非常に支障が起こるんじゃないかということを懸念するわけです。そういうことのないように、やはり私は私と浜見さんとともに、教育の上で一生懸命になって両方相和してやっていきたい、こういうことで私の不安を一掃さしていただきたいと思うわけです。
  180. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 時間が限られておりますが、二、三ただしておきたいと思います。まず浜見教育委員にお尋ねいたしますが、先ほどの答弁の際に、日教組が大事か、教育が大事かと聞いたら、本人は言わなかったと、返事がなかったということですが、どういう意図で日教組と教育というものをはかりにかけて教育の回答を求められようとしたのか、また、あなた自身は日教組と教育をどちらが大切とお考えでしたら、そのお考えをお聞かせいただきたい。
  181. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 日教組と教育とどちらが大事かということは、まあまたこれは問題がこんがらがる問題ですが、先ほど申し上げた通りでありまして、日教組と教育をどちらが大事かということは、そこの差は、要するにどう申し上げたらいいでしょうか、教育者であるから教育の方に重点を置いてもらいたい、そうして向上してもらいたいというのが私の願いでありまして、そこで日教組と教育とがどちらが大事かという質問をしたわけであります。それでよろしいんでございましょうか。
  182. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 日教組というものと、教育というものは同じ範疇の中で判断すべきじゃなしに、また、教育委員たるあなたが日教組をとるか、教育をとるか、こういう質問の仕方をすると、午前中から審議になっております、どうしても教育が大事であれば、最終的な方向としては日教組を脱退しなさいということと関連してくる、こういう危惧を持つ、それでお尋ねしておるんですが、やはり教育職員が仕事として教育に従事しておる、このことと、法律で認められておる職員団体に加入しておる、こういう問題をどちらが大切かと教育委員に答えなければならないということに問題があると思うんですが、あなたはそういう質問を教員に対して発することが教育行政家として妥当であるとお考えでしょうか。
  183. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) これは要するに、こういうことになりますと、どちらもここにみぞができまして、気分的に悪い、それから、あるいは面接してもそこに気分的にもみぞができるというようなことから考えまして、要するに、教育が大事かということを申し上げたのでありまして、そこの天びんにかけてどちらが大事かまでの悪い気持で申し上げたのではありませんから、その気持を御了承願います。
  184. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたのただいまの御答弁は、日教組に加入をしておれば、ないしは日教組という自分たちの所属しておる団体を大切である、あるいはその決定機関の方針に従う、ないしは団結を強化していく、こういう傾向を職員が持っておれば、教員が持っておれば、あなたの御判断では教育委員会と教師との間にみぞができるという御答弁のように承るんですが、そういう御判断ですか。
  185. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 日教組におれば、ここにみぞができるというような考えはありませんもので、日教組維持のためにはというお言葉が出たので、つい日教組という言葉が出たのであります。教育正常化というものは、そこにみぞをこしらえたくない、みぞと申しますのが、こうして参議院にまで呼ばれるということが非常に私苦労がありますので、こういうことに至るまでのことがやっぱり大事なのではないかというような意味に私が考えましたのであるから、決して日教組を束縛するとか何とかという考えで申し上げたのではありません。
  186. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 午前中、矢嶋委員指摘しましたように、あなたの見解を、具体的な質問に入る前に、一、二ただしておきたいのですが、御承知のように憲法二十八条では、教育職員に限定しますが、教師が団結することを保障している。そうして、同じ憲法の九十九条には、天皇、国務大臣その他公務員は、この教師が団結をする権利、いわゆる現段階では日教組と指定してもいいと思うのですが、たとえば日教組という組織体に団結をしていくというその権利、これを公務員というものは尊重し、擁護をしなければならないことを義務づけています。従って、あなた方が教育行政を展開されるには、憲法二十八条並びにただいま申し上げました憲法九十九条の尊重、擁護をする義務を負ってなされていると思いますが、たとえば愛媛教職員組合の団結の保障に対して、今日まであなた方としてはこれを尊重、擁護するという方針で進んで参っておられますか。午前中の質問の端々から見えるところの、教員組合活動を活発にやると、あなた方との間におもしろくない雰囲気が生じてくるというようなお考えでしょうか。
  187. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 私個人としては、それはお互いの、教組であろうが、あるいは研究会であろうが、それは自由でありまして、またこれを擁護とか、保護とかという問題につきましては、愛媛県研究会でありましても、あるいはこれには別に大いに賛成ということも私申し上げたこともありません。また、これがいいということを発表したこともありません。それから日教組であるからといって別にこれを悪くし、排斥したことはおそらくないだろうと思います。この先生方に聞かれても多分御承知だろうと思います。
  188. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 端的にお尋ねしますが、今憲法の条章を指摘しましたように、憲法九十九条では、公務員に対して団結権を尊重、擁護する義務をつけておる。これは私の解釈にあらずして、憲法の定めです。あなたは、たとえば愛媛県の教職員組合に対して、その団結を尊重をし、擁護をしていくという建前で教育行政をやっているかとお尋ねをしているのです。
  189. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) 擁護してやっておると自分は考えます。
  190. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 教育行政家が、職員団体団結権を尊重し、擁護するということは、あなた方の教育行政の中では、具体的に大体どういうことがあるとお考えでしょうか。
  191. 浜見勝一

    参考人(浜見勝一君) この問題につきましては、地方教育委員会には、そういう擁護とか何とかというようなことはおそらくないんではなかろうか、関係が薄いように思いまして、そこまで研究したこともありませず、また口頭でこれが擁護であるというようなことを申し上げるようなことをしたこともないように思われます。また排斥したこともないように思われます。
  192. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなた方や教育長公務員ですから、今言いますように、憲法九十九条の精神にのっとって、職員団体団結権団体行動権を尊重、擁護する義務がある。この憲法九十九条の定めが、たとえば愛媛教職員組合、あるいは城辺教員組合というものに対しては、具体的にはどういう内容であるかということは十分御研究を願いたいと思います。本田参考人が言われましたように、私どもも何もここであなた方と論争してとっちめたいとか、こういうことでなくて、私自身愛媛県の学校は百二十幾つか回っております、昭和三十三年以来今日まで。その中で私が愛媛教育にとって最も危惧するのは、これは大西さんよく聞いておいてもらいたいのですが、ある職場では、日教組の組合員が端の方に固まって食事をしていると、脱退した組合員は別のところでやっている。校長さんに会ってみると、まことに困ったものですが、脱退を促進しないと、どうもおめがねにかなわないようですね。周桑郡にもこういう事実があります。また伊予郡に参りましたときにも、温泉郡におきましても、ある会合が、職員会がおそくまでやっておりました。私がそこに行ってみると、校長さんが、君は定期昇給に該当しているけれども、日教組を脱退しないと定期昇給の実施がおくれるように、きょう自分は委員会から帰ってきて判断した。私どもは校長さんに会って、どうしてそういう判断をしたかと聞きますと、いや、これは全く私の勘であって、根拠のあることではございません。こういうことで脱退が促進されております。私が指摘したいのは、愛媛県の全県下にわたって、非常に暗い空気がみなぎっておる。研究協議会に入っている人たちも、これは何人もあります。それから脱退をしてそれに入っていない人たちも、何かこう明るい前向きの教育に一生懸命やろうという期待よりも、何かに追われているような雰囲気が、私が行った百二十幾つかの職場では、大多数満ち満ちておりました。これは証言として、あるいは資料として、皆さんがどういうものをお出しになろうとも、私が百二十幾つかの学校愛媛で回った現実の姿というものは、愛媛県の教育界の中に、他県とは全く異なった一つの権力の支配といいますか、介入が行なわれておって、非常に暗い空気の中に包まれているという事実です。これは否定することができません。私たちは、これは教師にとっても不幸であるとともに、一万に近い教師によって教えられている数十万の青少年児童にとっても、まことに不幸な事態と思います。同じ学年で、片や日教組に入り、片や校長さん、教育委員の勧奨のもとに研究協議会に入っておる。そのために、隣の先生との関係はうまくないという事実は自分も見て参りましたし、校長さんからもいろいろ訴えられて、先生国会に出られるなら、こういう事態を一日も早く解決して下さいと現場で陳情を受けたこともたびたびであります。私どもは少なくとも愛媛県の義務教育を受けている青少年のためにも、現在の愛媛教育界に満ち満ちておる暗い空気を排除したいというのが今回の念願でございますので、そういう立場を十分理解していただいて、今後の質問に答えていただきたいと思います。  大西教育長さんにお尋ねしたいのは、先ほど私が申しました憲法二十八条と九十九条、すなわち職員団体の、あるいは勤労者団結権に対しては、公務員はこれを尊重、擁護する義務があるのでありますが、具体的に一括してお尋ねしますが、愛媛県の教育長として、愛媛教職員組合に対して、憲法九十九条の精神にのっとってあなた方が教育行政を行なわれるとすれば、たとえばどういうことに今日まで配慮してやってこられたかを、一、二例をあげて御見解をお聞かせ願いたいと思います。
  193. 大西忠

    参考人大西忠君) この問題につきましては、矢嶋委員さんから冒頭にお尋ねがありましたのでお答えをいたしておいた通りでございますが、心地といたしましては、そのようにわれわれも助けて参らなければならぬと思います。法律上補助金を出すとか、そういうことはできないわけでございます。従いまして、法律の条章に定められておりますように、給与その他勤務条件についての交渉等については、私は快く応じもするし、その意見のよいものは取りもいたしておるのでございます。それから先ほどからいろいろこの委員会で問題になりましたのですが、組合に対して不当な圧迫でありますとか、そういうことは一切いたしていかない。しかも組合員が自分の考え方で組合に加入し、また脱退するのであれば脱退をする、そういうことでよいのではなかろうかと、こういうように考えておるのでございます。
  194. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 大体お考え方はわかりましたが、これは本委員会におきましても、文部大臣等に私どもたびたび指摘し追及したところですが、今御答弁のように、少なくとも基本的には九十九条によってあなた方は愛媛教職員組合団結権に対しては尊重擁護していく義務がある。ところが文部省が補助金を出しておる教育研究協議会なるものは、日教組を脱退しないと加入させない、こういう性格になっておるのです。研究協議会というのはプライベートな研究機関だと私は思うのですが、それの加入はもちろん申すまでもなく自由です、加入脱退は。しかし法律でオーソライズされておる教職員組合脱退しなければ加入させないという条件規制は、憲法九十九条の尊重擁護の精神にマッチするものか、あるいは好ましくないか、いずれか、お答え願いたい。
  195. 大西忠

    参考人大西忠君) 教育研究協議会を補助金を取らしますために県の教育委員会が作ったとか、こういうものではございませんので、本委員会でもいろいろその性格について論議は出ただろうと思うのでございますけれども、これは脱退をした先生方が純粋な教育研究の立場に立ってものを考えようといって自分自身でお作りになり、その組織を考えられたのでございます。従って、この協議会もやはり憲法二十九条なり九十九条なりに保護される団体でございまするので、私たちはこの県の県教組といわず、教育研究協議会といわず、この団体の運営そのものについては一切ノー・タッチでいきたい。また一切の補助金は出さないつもりでおるのでございます。ただ、これが教育研究活動をいたします際に、それが真にりっぱな教育研究活動であれば、それは教育研究協議会に対して出すということは何ら差しつかえないのではなかろうかと、こういうふうに考えておるのでございます。
  196. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 先ほども矢嶋委員が米田委員の質問の際に、研究協議会のことを、たしか私の記憶するところでは組合という用語を二、三回使われた気がするのです。そのことは別にして、ただいまの御回答からすると、教育研究協議会憲法何条かの保障によって愛媛教職員組合と同じ性格の団体であるというような御趣旨があったと思うのですが、その点再度明らかにしていただきたい。
  197. 大西忠

    参考人大西忠君) これは地公法に言う職員団体ではございませんが、やはり教員として組織を作ろうということでございますから、これはやはり私は憲法に保障される団結権というものでよいのではなかろうか、こう考えております。しかし、これはきわめて、どう言いますか、十分研究をしない言葉かもしれませんから、さらに確かめてみてもけっこうでございます。
  198. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の質問が少し舌足らずであったかと思うのですが、私が言っておるのは、九十九条は御承知のように一般的な憲法の尊重擁護の規定です。全般にわたっておるのですから、二十八条に適合すると二十八条の尊重擁護と、こういう意味で申し上げておるのですが、二十八条の精神を受けて組織されておる職員団体と、愛媛県にある教育研究協議会なるものは、やはり団結権勤労者団結権という意味においては同じ性格のものである。こういうふうに御判断なすっておるのですね。
  199. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はやはりこれはそういうことからものを見てやってよいのではなかろうかと思っております。はなはだ、どう言いますか、研究足らずで失礼でございますが。
  200. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたの御見解で教育研究協議会はやはり二十八条の団結権保障という意味の組織であるということはわかりました。これは異論はありますけれども、討論じゃございませんので承っておきたいと思います。そうしますと、あなたのお考えでは愛媛教職員組合も研究協議会も二十八条の精神を受けた組織体である、従って、一方を脱退しなければ入れないという、この規定はいずれの場合であっても、これは対等の関係にあるもので、いわゆる団結権擁護という精神には全然抵触しない。こういう御判断でございますか。
  201. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は研究協議会の方は地公法の団体でございませんから、私たちが給与、勤務条件等につきまして交渉をしたりする対象団体であるとは思いません。従って、私たちがもし法律上給与、勤務条件について交渉をしてきめなきゃならぬということでありますれば、両方の組合、協議会とを対象にする必要はないわけでございます。県の教員組合の方が地公法に言う団体でございますから、これをそうすればよいと思います。しかし、今の研究協議会も、憲法にも保障されない勝手なものだから、県の教育委員会は協議会に対してどういうことをやってもよいというものでもありませず、またいろいろこれから相互不介入であるとか、その団体の組織等に対して任免権者が介入をしないというような精神から申しましても、私は研究協議会というものは、やはりそういう性格でよいのではないかと思っておるのでございます。しかし、これは先ほどから繰り返して申しますように、一方こういう憲法までの論議にわたって私が組合のことを考えた経過はございませんので、突然のことでございますから、よく研究をいたしてみます。誤っておりますれば、これはどのようにでもまた考え直して対処のできる問題でございますから、よく研究をいたします。
  202. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 ただいまの御見解と先ほどの御見解は、私の受けたところではいささか食い違いがあるような気がするのです。私が憲法解釈論を申し上げるまでもなく、二十八条というのは、いわゆる雇用者に対する労働を提供する勤労者の生活権としての団結権を保障しておるわけですね。これと、これに基づいて作られておる愛媛教職員組合と研究協議会が全く同じようなことにおっしゃったようですが、ただいまの御答弁では、研究協議会の方は、まあ憲法に全く保障のないという言い方をすれば、それじゃ結社の自由にしろ、信仰その他の自由という問題から抵触するという危険性があり、ましょうけれども、団結権という意味だけに限定していきますと、研究協議会というものは憲法二十八条の精神を受けた団体ではない、こういう判断をしてしかるべきじゃないかと思うのですが、これはどうお考えですか。
  203. 大西忠

    参考人大西忠君) ただいま申しましたように、この問題は大へんむずかしい問題でございますので、よく一つ他日研究をいたします。
  204. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 そうすると、先ほど指摘しましたように、九十九条によって愛媛教職員組合団結権というものは尊重擁護される、憲法上の保護をさるべきである。その組合脱退しなければこちらに入らせないと。言いかえますると、研究協議会の会員獲得といいますか、会員を増大していく、発展させていくという一つの正常な運動を貫こうすると、勢い愛媛教職員組合脱退が反面において促進されてくるという性格を持っていますね。促進されるという言葉がおいやでしたら、事実問題として脱退——こちらがふくれるとこちらが事実問題として脱退が起こってくる、こういうことになりますね。この関係愛媛県の教育長として望ましいと御判断でしょうか、それとも一方の団体を脱退しなければ加入できないというような性格づけは望ましくないという御判断でしょうか。
  205. 大西忠

    参考人大西忠君) これは先ほどもるるお答えをいたしましたけれども、研究協議会の会員をどのように規制するかは研究協議会自体の考え方でございまして、県の教育委員会がどうしろ、こうしろの性格のものではないというふうに、私は短見かもしれませんけれども、思っておるのでございます。従いまして、私たち行政者として組合脱退して研究協議会に入れとか、こうしろとかということでないので、組合脱退した人が自由な立場におって、両方に入っていない人もありますし、また、研究協議会に入られようとも、これは県の教育委員会としては格別論議をする立場でないのでよかろうかと思うのでございます。
  206. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 反論的になりますけれども、まあできるだけ反論することは避けて、もう一、二この問題をただしておきたいと思うのですが、あなたは九十九条の義務を持っておられるわけですね。憲法九十九条のそのあなたの義務の履行という意味からして、愛媛教職員組合脱退が事実として行なわれねばならないという要件を持っておる研究協議会に対して文部省の補助を申請する、あるいは場合によっては愛媛県の県費で補助を出されるという場合もあり得ると思うのです。そうすると、保護を、育成を一方するということ、そうしてそれが拡大されていくという過程には、九十九条で保護さるべき愛媛教職員組合脱退が、先ほど矢嶋委員指摘しましたように、地方教育委員会から配られておる画一的な加入促進の資料によって、加入と同時に脱退という現象が起こってくる。そうすると、あなた方が、意図はどうあろうとも、かりに純粋の意図をお持ちであると仮定いたしましても、補助金を出すというその作用が日本教職員組合脱退を促進していくという結果を生じておる。これを研究協議会のことは各自の自由、まさにしかり。しかし、あなたの日本教職員組合団結権を、愛媛教職員組合団結権を尊重擁護する義務の履行の角度からいうと、これは好ましくない、こう判断できませんか。
  207. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はこの補助金は、研究協議会の運営——手をこまねいておって県の教育委員会なり何なりが助けるというのではないので、どこまでも教育研究活動ということを対象にして考えるのでございます。従って、おそらく会員としては研究協議会には一つの規制はあろうと思いますけれども、一つの研究協議をするときには、組合員はこの研究協議会に入ったらいかぬのだとか、どうとかいうことはないのではなかろうかと思うのでございます。また、そういうことはおかしいことで、組合員を含めて教育研究活動はするのでございますから、その点は私は少しも差しつかえないように感ずるのでございます。
  208. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 どうも私の質問の要旨とお答えが違うようですけれども、あまり長くなっても何ですから一応この問題は終わっておきたいと思います。  あなたは県の教育委員あるいは教育長、こういう人々が勤務時間であるなしということは別問題として、プライベートな立場であると仮定してでも、憲法に違反するような言動、思想を不特定多数に展開していくということは、当然、憲法の自由として保障ないしは推奨さるべきものとお考えでしょうか、それとも好ましくないというお考えでしょうか。
  209. 大西忠

    参考人大西忠君) はなはだ抽象的でお答えになるかどうか知りませんけれども、九十九条には、公務員はすべてこの憲法を守っていく、擁護せなければいかぬとあるのですが、公務員といわず国民といわず、すべての者はやはり憲法に定めてあります以上は、その批判は別といたしましても、これを擁護するのはもう当然のことでございますので、おっしゃいます通りであると思います。
  210. 平林剛

    委員長平林剛君) 豊瀬委員に申し上げますが、予定の時間は経過しておりますので、自後の質疑一つ簡潔にお願いいたします。
  211. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 たとえば主権在民の思想、憲法の精神、これを否定するような言動を教育委員がしているということは、教育委員として適格ですか、不適格ですか。
  212. 大西忠

    参考人大西忠君) 仮定の御質問でございますが、それは私はおかしいのではないかと思います。
  213. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 愛媛県において開かれました女子教育職員の研修会なるものがたびたび開かれ、岩間委員の質問によって資料が出ておりますが、これは岩間委員の方も質問していくと思いますので、一、二だけ触れておきたいのですが、松下村塾記の精神、私はこれは文部大臣にも指摘したのですが、あの中にいろいろな言葉がありますけれども、君臣の義、華夷の弁、ここに私の勉強しているところでは中核があると思う。それから仏教の勤行聖典、これをいわゆる講習会の行事として取り上げていくということは、かりに大臣が答弁したように、教師自身に取捨選択の思想的根拠があろうとも、特定の宗教を取り上げるということ、ないしは君臣の義、華夷の弁というのは、特にあの中に現われている吉田松陰先生の思想というものは、忠君愛国あるいは日本を神国と、こういう思想であると思うのですが、この二つのことは憲法に照らして適か不適か、好ましいか好ましくないか、いかがでしょうか。
  214. 大西忠

    参考人大西忠君) 私、教育の専門家でございませんので、そういう憲法の条章と、日本の現在まで存有する古典との関係をどうしようかという問題については考えたことがございません。ただ、憲法にも、主権在民ということ、で、これに反する詔勅なり、今までの法律は一切排除するということがありますが、そういう古典まで排するとは書いてないのでございます。古典の研究とてもそういうことを一切やるなら、これはもう焼いてしまわなければなりませんので、ただ、過去にそういう歴史的事実があったということ、それからまた、この講習会は、私が行っておりましてよく存じておるのでございますが、決して君臣の義を鼓吹したというようなことは菊地委員にはございませんので、この点は多少私は、そうしたらもっと選ぶ古典があったんじゃないかということには、いろいろ、これは済んだあとのことでございますから議論がありましょうけれども、菊地委員の思想等から考えまして、今の主権在民を否定するというような考え方があろうとは思っていないのでございます。
  215. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 私の質問は、古典の否定をどう思うかということではないですよ。もちろん神話であろうとも、憲法に違反する古典であろうとも、学問の資料としては貴重なことは、これは何人も否定するものではありません。しかし、その中の精神が、少なくとも現行憲法に違反する、これを講習会のテキストとして読ませたり聞かせたりするということ、かりに菊地さんが、主権在民の憲法はあやまちですよと言わなかったにしろ、この資料として出された松下村塾記は、明らかに現行憲法——君臣の義、華夷の弁という思想は現行憲法と相いれないものです。もちろん、この思想が、当時においてどうであったかとか、あるいは、資料としての価値について論及しておるのじゃないですよ。そのことを、教育行政教育基本法十条ですか、十条によって義務づけられておる教育行政一つの作用として、憲法に反するテキストを教育職員に与えられたということ、これは、明らかに憲法並びに基本法に違反する行為ではないですか。
  216. 大西忠

    参考人大西忠君) 菊地委員がこの資料をお用いになりましたのは、何も現行の憲法を批判するためにその資料を用いたのではないのでございまして、吉田松陰先生教育というものにどういう熱意をそそいでおられたか、また吉田松陰先生が、いろいろ勇気をもって事を処して、当たられてきたというようなことを強調するためにあれを用いられたのでございまして、私は、あすこに君臣の義という言葉があるのも事実でございますが、今の憲法を否定するなり、憲法を批判するので菊地委員があのテキストを用いたということは、私が列席をいたしておりましてよく知っておるので、これは全然、どう言いますか、お思い過ごしであられようかと思うのでございます。
  217. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 一問ぐらいで終わるつもりでしたけれども、ぬけぬけとそういう御見解を披瀝せられると、もう少し聞かざるを得ないのですが、吉田松陰先生、私はこれは戦前ずいぶん尊敬して、講孟剳記なんか破れるほど読んだのですが、よく松陰先生教育観を知ろうとするならば、あるいは教育観というものを紹介しようとすれば、この松下村塾記でない、別なものが適当ですよ。松下村塾記なるものの骨格をあなたもお認めいただいたように、君臣の義、華夷の弁、日本国は神国であるし、忠君愛国、ほかに何とか委員が「若人の泉」の中にも書いてありますように、神の子の天皇とその氏子の国民が結び合ってできておるこの関係をたたえたのです。この思想というものは、この思想を持っておるものをテキストとするということは、本人の意図がどうであったかということは問題ありません、私はまたそれを聞こうとしておるのじゃない。現に、本人が作為がなかろうと、ここに私が時限爆弾を置いて破裂した場合には問題がありましょう。だから、菊地講師に憲法破壊の思想、意図があってテキストを配ったかということをお聞きしているのじゃなくて、あなたが認められた通り、松下村塾記というものは、現行憲法の精神と少なくとも相いれないものである。これをテキストとして教育行政の展開に使ったということは、教育基本法、憲法の精神に反するものだ、こうお考えになりませんか。
  218. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はどうしても、そうおっしゃるのが納得がいかないのでございます。菊地委員は、君臣の義を強調するためにあれを言ったのではない、何も。私が列席をいたしておりますからよく存じております。私は松下村塾記も、また古典として考えて見て非常によいことなんです。今日の憲法もよいことなんで、何も私は、それがこの現行憲法下で読んではならない古典であると、また、教師もそれほど私は批判力がないということは言えないと思いますので、その点は、もういささかも私は間違っていないと思います。
  219. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 愛媛の問題につきまして、三十五年、文部省のある主要なポストについている人に、私、個人見解をただした際に、どうも愛媛県の、これは名前をその人はきちんと言って、やり過ぎて困っているという見解を披瀝されたのです。私はここでその人の名前は、当該者の名前を言おうとは思いませんが、あなたが憲法の精神と相いれない古典を教育行政の作用として教育職員に配付したということを、少しもおかしくないと御判断なさっておるから、愛媛県の教育行政はきわめて、冒頭に指摘したように、暗黒であり暗いのですよ。古典として尊重するという個人の思想の自由の問題と、教育公務員特例法による教職員の研修の権利を充実していくところの教育基本法第十条の作用として、憲法の精神に相反するものが配付され、これが材料として与えられるということは、これは全く別個の問題です。この関係を、個人に思想の選択の能力があるから、あるいは古典として重要である、りっぱなものである、こういう御答弁で、こういう材料を使ったことに疑問をお持ちにならない。憲法の精神に相反するものであるということを、君臣の義と華夷の弁という松下村塾記の中心思想を認められながらも、それを使用したことを当然だとお考えになっているあなたの考え方は、明らかにこれは憲法違反であるし、教育基本法の十条その他に違反しておる。私はこれをはっきりと指摘しておきたいと思います。  もう一つですね、「若人の泉」というのが県の教育委員会から発行されておりますが、こういう中に、教育委員が執筆し、自分の思想を披瀝するその際に、先ほどのあなたの論理のように、読む人がそれを取捨選択の能力があるという考え方で、いかなる内容のもの——端的に言えば、憲法の精神に相反するようなものを、教育委員あるいは教育行政に携わる人々が書き、これを教育委員会が発行するということも何ら不思議のないことである、こういうふうにお考えでしょうか。
  220. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は先の松下村塾記のことにつきましては、多少御意見と相違することがございますが、これは見解の相違でございますから、触れません。「若人の泉」につきましても、私はあの文章の中を読んでみまして、やはり非常にむずかしい表現、青年に与える資料としては多少むずかしい表現であろうということは感じているのでありますが、あの両委員のお人となりは私がよく承知をいたしております。決してあの論説が憲法の精神なり憲法の条章を否定する思想ではない、言い方ではないということを考えておるのでございます。
  221. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 竹葉さんの「青年に告ぐ」、もう一人はだれでしたかな。一、二書いておられるのですが、その中に、現在、東西の陣営が相争っているのは世界のために嘆かわしいことである。これを解決する手段は、「「ひの神」天照大神を中心として氏神と氏子の結びと、天照大神の日継の皇子として天皇を戴き、万世一統、君民一体忠孝一致の日の本の国、」、そして、この思想が流れてくると、「先づ日本をして本来の日本ならしめよ」、これが本来の日本だ。今私が読み上げたような本来の日本にならなければ、東西二大陣営の国際紛争は解決できないと、こういう御名論です。なるほど用語がむずかしい。というよりも、こういう憲法に反するような思想は、今の新憲法を勉強した人はわかりにくいだろうと思います。このところも、あなたとしては、憲法の精神と大して反しないと、こうお考えでしょうか。
  222. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は、竹葉委員や村上委員がお書きになったものを、私がここでかわってその説明をしようとは思いません。しかし、私はその文章を読みまして、竹葉委員が、世界のすべての人々は、また牧草と言わず、すべてのものは、やはり神が作りたもうたもので、神の生を宿しているんだ。お互いに国民同士が争ったり国同士が争ったりするのはおかしいので、やはりみんなが仲よくしていかなければ世界の平和は達成できぬのだというようなことをふだん言っておられますから、私はそういうところからそういう言葉も出たんじゃないかと解釈をいたしておるのでございます。
  223. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたは竹葉委員の書いたものを説明しようとは思わぬと言いながら説明されたのですが、「若人の泉」は教育委員会の発行でしょう。
  224. 大西忠

    参考人大西忠君) はい。
  225. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 従って、あなたのところにも責任がある。これが憲法に違反しているものが所載されるということについてのあなたの責任は当然あるはずです。あなたは、今、神の生みたもうたものだなんと言って竹葉さんの思想を紹介されましたが、神が生んだか人が生んだかそのことの論争は別にして、明らかに活字になっておるものは、竹葉さんの思想がどうあろうとも、二大陣営の対立の業火をしずめるものはたれか。それは、先ほど申し上げた「ひの神」の子孫である天皇とその氏子である国民との結びつきによって天皇をいただき、万世一系、君民一体、忠孝一致の日本の国、これこれが実現して日本が本来の日本に立ち帰ったときに初めてしずめられる、こう書いてある。私が今指摘したここも、やはり論争はしませんが、日本国憲法の精神と相いれるものか相反するものか、その点だけを簡潔に答えていただきたい。
  226. 大西忠

    参考人大西忠君) 私、それを当時よく読みましたのですが、今一部分だけ取り上げてこうああと言うのは、ちょっとその力がございません。
  227. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 思想というものは全体を通じないと把握できないということは当然です。これは、私どもが文部大臣に日教組の倫理綱領でたびたび指摘していましたけれども、二、三の用語をとって、これでけしからんというへんぱな言い方をしておりますが、私もその愚を繰り返すことはやめたいと思うんですが、単に片言隻句から受けるものでなくして、「破滅を救うもの」という第九の課題のもとに、はっきりと文章で、二大陣営の対立の業火を鎮めるものはたれか。そうしてこう書いてありますよ。これはこの文章の一つの結語ですよ。最後に、青年よ自覚しなさいと、こう言っている。「日本をして本来の日本ならしめよ」、本来の日本とは何ぞや、「「ひの神」天照大神を中心として氏神と氏子の結び」である、こう書いてあるじゃないですか。この私が指摘しておる七、八行の思想は憲法と反しますか、反しないかと聞いている。わからないならわからないで、いずれかの結論だけ答えて下さい。
  228. 大西忠

    参考人大西忠君) 先ほども申しましたように、数行をとりましては、ものを論ずることはできないのでございまして、よくまた御意見の点も考えまして研究いたしたいと思います。
  229. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 数行というか、文章としてはきちんとまとまり、思想としてもきれいに体系づけられておる。この文章を、あなたとしては、ここで私が読み上げた程度では判断することができないという御回答でしょうか。
  230. 大西忠

    参考人大西忠君) こういう問題は、直ちにそれだけを読み上げて、そうして結論を言うべき問題ではない。もっと重要に考え、慎重に考えなきゃならぬ問題でございます。よく研究をいたしたいというのが、これが私の申し上げた趣旨でございます。
  231. 豊瀬禎一

    豊瀬禎一君 あなたも発行なさるときにこれを読まれたと思いますが、全体を通じて集約されるものはここなんです。それはあなたも認められると思う。しかし、あなたが現在判断しにくいとおっしゃる以上は、強制はいたしません。  そこで、私どもとしては、きょう来ていただいたけれども、この点についての愛媛教育行政憲法違反並びに教育基本法違反の点につきましては、あなたが研究するというお言葉ですので、これで終わったものとしないで、矢嶋委員の先ほどの御要望と同時に、他日、再度この問題を論議したいと思いますので、十分御研究の上、私が指摘しましたものがはたして憲法の精神に合致するものか、あるいは好ましくないか、いずれかの御判断をよせていただいて、私どもが国政調査審議を進めていく資料に便を与えていただきたいと思います。
  232. 岩間正男

    ○岩間正男君 まず第一に要望したいのは、どうぞ上着を取って下さい。  それからもう一つは、これをあげて下さい、教育長さんに。教育小六法をあげておいて下さい。そうでないと不公平になるから。見てもらってやらないと、今のような答弁じゃ困ると思いますから。  私も研修会の問題を質問したいと思うんですけれども、どうも、いやしくも一県の教育行政の全く中心を握っていられるあなたが、今、豊瀬委員との質問、ことに最後のところで、私は聞いておったんですけれども、ああいう明々白々たる問題を、言っちゃ工合が悪いという立場から、この問題をあの形で逃げられるのは私はいかぬと思う。そうして、いやしくも日本の憲法というものを知っている者だったら、中学生だってあれに対してはっきり判断する。それが、教育長が判断できないなどということは、これは非常に重大な問題だ。このこと自身問題だと思います。率直簡明に、あくまでも日本の教育行政を推進する立場から当委員会は持たれているのでありますから、その趣旨にのっとって御返答いただきたいと思う。  私は第一にお聞きしたいのでありますけれども、研修会が持たれたわけですね。これは県として計画をされたものですか、まず、この点からお聞きしたい。
  233. 大西忠

    参考人大西忠君) これは、県の教育委員会の宇和島教育事務所と、それから南宇和郡、北宇和郡の地教委連絡協議会と宇和島市の教育委員会、それが共催をして作りましたものでございます。しかしながら、宇和島の教育事務所と申しますのは県の教育委員会の出先でございます。従いまして、この問題については県の教育長が責任があるわけでございます。
  234. 岩間正男

    ○岩間正男君 これは主催団体に、この私たちいただいた資料では県教育委員会は入ってないんですが、どういうことなんですか。県教育委員会が私は入っているんだと思うんですが。ことに教育長……。
  235. 大西忠

    参考人大西忠君) ただいま私が申しましたように、宇和島の教育事務所というのは県の教育委員会の出先機関でございます。従いまして、宇和島の教育事務所というのが県の教育委員会と同じだとお考え下すってほぼ間違いございません。
  236. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうするところの資料で、これは故意か偶然かしらぬけれども、主催者の中から県教育委員会がはずされているんですが、私たち別にいただいた、われわれの手にした資料では、はっきりこれは県教育委員会というのが入っているんですね。それで、ただいまの答弁で、これは当然入っているものと同じに考えていいということですから、それでいいと思うんですが、はっきりやはり入れたらいいと思うんですね、この点は。  では第一に、それではお聞きしますけれども、どういう法的根拠でこの研修会が開かれたんです。
  237. 大西忠

    参考人大西忠君) 教員の研修につきましては、監督者たる市町村の教育委員会もこれをやりますし、また、県の教育委員会すなわち任命者も研修をやるわけでございますから、監督者の連合体であります地教委の協議会と県の教育委員会とが共催をいたしまして研修するというのは、そういう条項に基づいておるわけでございます。
  238. 岩間正男

    ○岩間正男君 地方公務員法に、これは三十九条ですが、「職員には、その勤務能率の発揮及び増進のために、研修を受ける機会が与えられなければならない。」少なくともこれが私は法的根拠になっておると思うんですが、そう解釈してよろしゅうございますか。
  239. 大西忠

    参考人大西忠君) さようでございます。
  240. 岩間正男

    ○岩間正男君 そうすると、その目的ですね、「勤務能率の発揮及び増進」というものと、今年開かれましたこの女教員の研修会というものはどういう関連があるんです。内容をあとで詳しくお聞きしますけれども、どうも、これによって、教員の勤務能率の発揮及び増進というものとはほとんど関係がないです。あなたのさっきの御答弁の中では、古典として吉田松陰のあれが出されたと、これを読んだんだ。古典を研究しておって、今のような、直接勤務能率の増進、こういうものと関係があるんですか、どうなんですか。
  241. 大西忠

    参考人大西忠君) 教育に関する研修というものは、私は、数学でありますとか、理科でありますとか、こういういろんな問題を直接やるというのも、これも研修でございましょうが、また、教育というものを、公教育というものをどう考えていかなきゃならぬか、学校経営というものをどう考えていかなきゃならぬかと、これもやはり研修でございます。その場その場に応じましてどういう研修をやったら一番能率が上がるかということは、みんなが相談をいたしましていたすわけでございます。
  242. 岩間正男

    ○岩間正男君 具体的にお聞きします。松下村塾記の古典とそれから勤務能率の増進とどういう関係がありますか、明確にお答え願いたい。
  243. 大西忠

    参考人大西忠君) 今の問題は、教育というものをどう考えなきゃならぬかと、こういうことがやはり教育に対する、教育向上の問題にも連関がありますわけで、すべて、いろんな資料から研修を与えるということは、私はあの教育研修の法律が命じておるところに反していないと思うのでございます。
  244. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは今、教育の生きた行政の私は中心の方だと思うんです。時間が無限にあるわけじゃない。ことに女の先生を、忙しいところを毛布を持ってこい、そうして時間を制約して、いわばカン詰でしょう。そういう中でやるときに、はっきりこの法律の志向する目的を貫徹するための私は材料として、この松下村塾記というのはふさわしいと考えられますか。それは無限にありますよ。何をやったって教育にならない、そういうことはないでしょう。しかし、今何をやらなくちゃならないか、そしてちゃんと法の定めるところの目的に合致する、こういう点から考えれば、この松下村塾記をやる前にたくさんやらなければならぬことが私はあると思う。こういうものをなぜ一体わざわざここでテキストに選ぶ必要があるのか、だれにも納得することのできない問題なのですけれども、この点であなたは少しも差しつかえない、そしてこの法の目的とは少しも背馳しない、こういうふうにお考えですか。
  245. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は時と場合によりまして、そういう古典の研究も大切でございます。ただ何かお話では、松下村塾記と勤行聖典だけをやったようでございますが、決してさようではございませんで、他にもいろいろ教室の持ち方等についても話しますし、いたしておりますので、決してそういった精神には触れておらぬと思うのでございます。
  246. 岩間正男

    ○岩間正男君 少なくともこの目的を達成するために最もふさわしい第一級のこれはテキストであったというふうにあなたはお考えになっておりますか、どうですか。
  247. 大西忠

    参考人大西忠君) これが第一級であったか、第二級であったかということは、これはいろいろ批判のあるところでございまして、人によりましたら非常によかったということも言えましょうし、またあれはだめだということもありましょうが、私どもといたしましては、これは相当の効果を上げ得たと考えているのでございます。
  248. 岩間正男

    ○岩間正男君 効果の問題はあとで聞きます。そうすると、これを選んだのは県教育委員会の責任において選んだ、この点はっきり確認してよろしゅうございますか。
  249. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はそういう結果において県の教育長が責任を持たなければならぬことはよく知っておりますが、今言いますような宇和島教育事務所と、それから地教委の方々が御相談をして下さったことでございますので、こちらから指定をして松下村塾記をやってくれとかなんとか言ったのか、何でもいいから古典をやって下さいということで講師にお願いいたしましたのか、その点はつまびらかにいたしておりません。
  250. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの前段の答弁の、最後の責任は当然これは県教育委員会が負うべきものであるということを確認しておきたいと思います。  次に、お聞きしたいのでありますが、第一、今まで研修会というのは何回持たれたのですか、それからここに資料をいただいておりますが、はたしてこれだけなのか、私はこの資料というのは、文部省から出されているのを一部上げていただきたいのですが、九月二十日に喜多郡長浜町出石寺、十一月七日、伊予三島市中曾根小学校、十一月九日、新居浜市角野小学校、十一月十八日、西条市大町小学校、一月七日、八日、北宇和郡吉田町玉津公民館、二月二十日から二十一日、松山市地方職員共済組合道後保養所、これだけになっております。六カ所になっておりますが、これが全部の女教員の研修会なのですか、そしてこれ以外にはございませんか、どうですか、その点をお聞きします。
  251. 大西忠

    参考人大西忠君) 私が聞き及んでおりますのと一致をいたしております。それだけが女教員研修の協議会で、そのほかにはないと思います。
  252. 岩間正男

    ○岩間正男君 男子についてはどういうような計画をお持ちですか、お聞きいたしたい。
  253. 大西忠

    参考人大西忠君) 今ここで直ちにそのことを暗記して申し上げることはできませんが、男子につきましても、校長研修会、教頭研修会、それから各教科の研修会、いろいろの研修会を持っておるのでございます。
  254. 岩間正男

    ○岩間正男君 これはいずれも資料として文部省を通じてお出し願いたいと思うのでありますが、特に、今女教員の研修会をこのように、いわば半年ぐらいにわたって組織的に行なわれた、この目的はどこにあったのか。
  255. 大西忠

    参考人大西忠君) これは男女が一緒に研修をやる場もありますし、それから教頭校長には女子がおりませんから、たまたまそういうときに男子ばかりやる。また、女子につきましては多少男子と異なったところがあると思いますので、女子について特別にやる場合もございます。いろいろあるわけでございます。そのときに応じていたすわけでございます。
  256. 岩間正男

    ○岩間正男君 あまりほかの県では例を聞かないのですね。大てい男女でやっておると思うのです。特に女子の、しかも中年の女教員だけと聞いておりますが、これを選ばれたのにはそれだけの相当根拠がなければならないと思うが、その根拠はどういうところにありますか。
  257. 大西忠

    参考人大西忠君) これは愛媛県の教育界といたしましても、小学校は約半数女子の先生がおられます。それから中学校におきましては、三割五分くらい女子の先生がおられますが、今後やはりわが国の趨勢から申しましても、女の先生によく勉強をしていただくということは非常にこれは大切なことであろうと思うのでございます。従いまして、宿泊等を要します場合に、男女一緒にやる場合もけっこうですが、たまたま場所等の関係で男の先生と宿泊所をとれないような場合にはまた女の先生ばかりやるような場合もございます。両方あわせて考えましていたしたわけでございます。従いまして、中堅になった女の先生もまた学校に帰られたら、そういう方から県の教育委員会考え方の批判もしていただきますし、また多少いろいろの点で誤解もあるのではないかと思いますので、そういう点についても一致をして、お互いに職場を離れておりましても信頼をして教育に当たらなければならぬというような考え方も含んでいるわけでございます。
  258. 岩間正男

    ○岩間正男君 その理由はいろいろあとであげればあげることはできると思うのですが、どうもおかしいと思うのです。中年の女の先生だけを、特にしかもこれは名ざしで呼んだということを聞いておるのです。そうして、しかもこれは一泊二日合宿しておる。毛布を持ってこい、どうも戦争前のいわゆる研修会というようなものにはこういうことはありました。確かにあった。大東亜戦争時代に、教員をこのようにカン詰にして、そうして皇国の精神をつぎ込むという強制的な講習が行なわれたことは確かに事実です。まさにほうふつとして……。やり方から見て、中年の年令の先生を選ぶ、それも名ざし、そうしてその内容について聞いて見ますというと、これは教育研究協議会に入っておる人、あるいはそれに入っていない人、適当にちゃんぽんされておる。そうして校長、あるいはその地方の教育委員を通じてこれに出るように勧誘された。これを都合があって断わるというようなことはなかなか許されない。また、断われば非常に工合が悪い、先にいって。そういう形でこの教育研修会が行なわれたと思うのでありますが、こういうような強制力というものをもって、そうして研修をするということは、一体どういう根拠によるのか、教育委員会にそのような権能があるのか、私は先ほど読みましたところの地公法による法の目的を達成するためには、このような戦前をほうふつとさせるような、強制的に講習会をやらなければならないということについては絶対合点がいかない。この点、あなたはどういうふうにお考えになるかお聞きしたい。
  259. 大西忠

    参考人大西忠君) はなはだ失礼でございますが、少し、どう言いますか、気を回し過ぎられておられるのではなかろうかと考えるのでございます。教員の研修というものは、およそ宿泊等の場合にも、一定の数が限られますから、来たい者はみな来いというようなことは、これはとうていできないわけで、やはり数学のときには数学の先生をお呼びするとか、国語のときには国語の先生をお呼びするとか、これはこちらの方からいたす。しかし、名ざしをしたからこんりんざいその先生を引っぱり出すということではないので、この場合にも現にお差しつかえのあった方はかわっておられるのでございます。私は名ざしをしたからいかぬ、研修会というものは来たい者は勝手に来いというのでは、こちらは教育課程の改訂等で全体の先生に来てもらわなければならないときに困るのでありますから、全部来ていただくために順番に来ていただくということはあり得るのでございます。また特に組合脱退した人、協議会員、組合員とおっしゃいますが、かりにこれは全部組合員をよしたら非難がある。協議会員をよしたら非難があると思うのでございます。私はそういうことを離れて、すなおな気持組合におるとか、出ておるとか、そういうことを離れてお呼びをいたしているのでございます。  また、毛布を持ってこいとおっしゃいましたが、一月の六日、七日であったと記憶しておりますが、あそこには雪が降っております。場所の関係で公民館でございますので、かぜをひいてもいかぬというような配慮から毛布等を持ってこられたらどうかということで、また旅館等にいたしますと、経費も高くつくわけでございますから、そういう点を考えてやったので、全然私たちは戦前の何とかというような意図は毛頭ございませんので……。
  260. 岩間正男

    ○岩間正男君 もっともあなたはここで戦前の意図をもってやったということはおっしゃらないだろうと思いますが、しかし、そういうあなたのここでの答弁の問題よりも、世の中の常識です。戦前のやり方と言われても私は言い返すことはできないと思う。よくこういうことをやられたものです。私も教員をやったけれども、そうして全くそれはもう上からの命令ですよ。あなたは自由だと言ったけれども、実際はこれは断わることは非常に困難であったということを事実それに参加した女教員の人が述べております。私たちはそういうことをたくさん知っている。そうして、しかもほんとうに自分たち職場実践の、教育実践の中の必要なものを教えたかというと、まるでこれは違っているのではないか。内容、テキストを見ますと、まるで木に竹を継いだような、少なくとも組合運動をやり、戦後のそういう団結によって日本の新しい教育体制を切り開くところの根拠、そういうものによって相当長年、戦後十年以上これは訓練されてきておるわけです。そうしてこれが日本民主化の最大の一つの保障になっておることはここで私がくどくど言う必要はないであろうし、日本の民主化の大きな原動力としての、この組合運動のことについてはこれは評価がされておると思うのです、はっきり国際的にも。そういうものにならされた先生たちが再びあのような形で竹やり時代をほうふつさせるような格好で呼び出されて、しかも泊められ、しかもおそらく女教師で子供を持っておる、そういう人たちが二日にわたって大体カン詰にされて、それで朝早くから夜おそくまでカン詰にされた。ほんとうにこれは喜んで先生方が参加するような形ではなかった、半強制的だと言っても過言ではないと思う。そういう率直な意見を出すかというと、出せないような空気が残念ながら先ほどからの当委員会の質問の中に、愛媛県に流れている、横溢しているということを私は言うことができると思う。私は、教育長さんはどういうふうに把握しておられるかわからないけれども、これは厳たる事実です。今これは評判になっているのだ。こういう中で、こういうことが行なわれる、そのことについて、この講習会というものは、法の目的からいって、また運用の面からいって、何ら差しつかえがなかったのだ、よかったのだ、少なくとも法の精神を発展させるために必要だったのだ、こういうふうにあなたは言うことができますかどうか、この点をお聞きしておきたいと思う。
  261. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は、この講習会の結果につきまして、非常にあの出席しておった教師の中から批判が出ていることも知っております。私は、いいことだと、県の教育委員会がやることをべたほめにほめる必要はないので、その批判の中からまた私たちが新しいものを求め、さらにりっぱな研修会をするということはけっこうなことだと思います。そういう意見は、私は非常にありがたく聞いておるのでございます。しかし、常識ということから申しますと、私はこの参加して下すった先生の大部分は、非常によかったと、今までお互いに何だかそらぞらしいような気がしておったのに、ああいうところで皆が一緒に御飯も食べ、また話し合いもし、いろいろな人から話も聞いてよかったというお話を聞いておるのでございます。私は、このやり方が日本一だとか、これが一番効果があったとか、そういう思い上がった考え方は持っておりませんけれども、相当に効果があった、さらに批判によってもっとよいものを作らなければならぬ、こういうように考えております。
  262. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは、あなたの聞かれたのと、私たちの聞いたのとは、だいぶ違っております。それから、日本の現実の中で、こういうようなやり方については、これは国会でも論議になったし、現に私は予算委員会でやった問題です。びっくりしておりますよ。あなた自身は、愛媛のあそこで、そうしてあなたの身辺を取り巻く人たちからいろいろな意見を聞いた、それの範囲では、あるいはまた便乗的に言うかもしらぬ。しかし、この結果について少しも反省していないのですねよかった、もっとこれを推進するのだ、むしろこういうふうに考えておられるのですか。そういうことになっていないと思う。それから、当然やはりこの講習会は、むろんあなたたちの権能に属することかもしれません。しかし、あくまで受けるのは教員諸君なんです。教員諸君の意見を十分に取り入れる、くみ入れる、そういう中で教員諸君の要求を聞いてこういうものをやる。あるいはまた、教員組合には自主的な研修の機関があるわけなんです。そういうものをむしろ尊重して、それを育てるという立場でとられておるところが多いと思うのです。こういう点との関係で、あなたはどういうふうに考えられますか。これは唯我独尊では困ると思うのです。やったことについて少しも間違いではなかった、こういうことでは——少なくとも世論の範囲の中で私たちはためしてみたのです。そういう中で、これははっきり言うことができると思うのですが、こういうことについての反省というものは全然ないのですか。
  263. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は、研修も、水を飲まない馬を川のはたに引っぱってくるような研修は、形はできましても、効果を上げることができませんから、それをどういうふうな形にいたしますか、みんなの教師がどういうことを知りたいのか、どういうことを習いたいのかということ、こういうことも参考にし、また、ただいま教育課程の改訂もありましたので、この移行措置等から、みんなにも知ってもらってやってもらわなければならぬ点もありますし、両々相待ってやるべき点だと思いますので、その点につきましては、総体論としては、岩間委員さんの考えと少なくとも変わらないのでございます。
  264. 岩間正男

    ○岩間正男君 少なくとも、あなたの言葉を私は信用するとしますと、あれに参加した女の先生に秘密の世論を書かせたらどうですか。賛成だったか、よかったか、それからこうやってもらいたいと、きっと希望が出るだろうと思う。これは秘密にすればわかるのです。全部公平な下からの意見を、秘密の投票のような形で反映させて、それをあなたたちがはっきりと把握されて、その上に立って民主的な運営をやる考えがありますかどうか、ちょっと聞いておきます。
  265. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は、県の行政をやる立場からは、そういう世論のとり方というものはとらなくてよいのじゃないかと思うのでございます。子供たちにも、やはり自分の信じていることは正しく述べ、またこの正しく述べたことが正しくお互いにやっていけるような世の中を作らなければならぬということを教えなければならない教師でございますので、署名をしておるから真実が述べられず、匿名であるから真実が述べられるということは考えなくてもよいのではないか、堂々と所信を述べてもらいたいと思います。ただ、岩間先生のおっしゃいましたような関係もありますから、私たちは、その批判を見て、直ちにそれを、全面的にかりによいということであっても、うちょうてんの態度をとってはならないのではないか。これはやはり、反省の上にも反省を加えて、公費を使うことでありますから、さらに考えて、効率を上げるような方法をとるべきだと思っております。
  266. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは口ではうまく言っておられますけれども、やっぱり独断の思想をぬぐうことができないと思うのですよ。確信があったら、無記名でやらせなさい。今の現実を見ると、力関係ではそうなっていない。教員組合の三分の二をさらったでしょう、三分の一にしちゃったでしょう。そうして、その背後には、先ほどから論議されたような、全く権力の圧力がある。その中で、ほんとうにものを自由に、フランクに言えるような空気になっていますか。あなたは、堂々と確信があるならやりなさいと言っております。言っておりますけれども、残念ながら、私たち愛媛の現在の姿の中にそういうものはないと思う。ないようにされておる。圧力が非常に強くなってきておる。これは先ほどからの論議の中に私は明確に見ることができると思う。あなたがほんとうにそういうような運営について関係者意見を求めるというなら、少なくともそれくらいのことは確信を持ってやったらどうですか。名前を出すということは非常に困難な立場になっておる。先ほどから問題になったでしょう。たとえば、ここに参考人が出ておられる。梶原本田、この両参考人に対する圧力の問題、さらにこの参考人が出した名前、その名前に対して一体どういうことが行なわれるかということは、先ほど米田君が強調したところです。これは、われわれ今後このやり方について見守らなければならないわけです。矢嶋委員の言ったように、当委員会の責任でもあります。参考人として呼び出したけれども、それによって逆に今度はひどい目にあうというようなことでは、全くこれは問題にならない。そういう空気が論議されておるのです。あなた自身はほおかぶりで、見ざる聞かざるのような立場をとっておられるかもしらぬが、しかし現実はそうなっていない。なっていないから、国会の論議になり、今まで論議されてきたわけです。それに対して、あなたが先ほど言われたように、ほんとうに民主的に運営するというなら、一つの方法として、少なくともそういう方法をとるのが当然だと思うのですが、そういう考えは少しもない。そうして、自分のやったことはよかったのだと、確信があるなら堂々とやったらよいと、こういうことを言っておりますけれども、こういうことは現実と合いません。私はこのことは、あなた自身の言葉の上で言っておることを具体的な裏づけとして行為の上でどうするかということの判断のために今お聞きしておるのですが、あなたは実際そういうことに対してはっきりした確信を持っておられないですね。持っていらっしゃるなら、せめてそれくらいのことははっきりなさるという答弁をしてもよいと思うのですが、いかがですか。
  267. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は確信がないからしないとかいうことは申し上げていないのです。この記名で感想を書かれた中にも、県の教育委員会のやり方に対して痛烈な批判を加えてくれておる人があるので、先ほど申しましたように、むしろ喜んでもおるのでございます。少なくとも、愛媛県の教育界でこういう仕事をいたしますときに、匿名でなければ批判ができないというような空気があってはならない、またそんなものが私はあろうとも考えられませんので、今までのようなやり方で意見も聞き、また先ほども申しましたように、かりに全体の人がよいと言っても、それにうちょうてんにならない態度でやれば、それで足りるのではないかと思います。
  268. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は行動で人を見るのです。口先だけで見てると国会ではあぶなくてしょうがない。そういう感じが私はするので、残念ながら、失礼ながらあなたの御答弁の中には誠実の裏づけがないということを確認しておきたいと思うのであります。  次にお聞きしたいのは、会場の問題ですが、会場に出石寺というお寺を選んでおられるんですな。これはどういう意味ですか。この問題はどうなのですか。
  269. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は出石寺を選びましたその直接の責任者じゃないので、よくその理由というのは申されませんが、あそこは非常によいお寺で、たくさんの人も泊まれますし、研修を受ける人の意見を聞きましてああいうところならよいということでなかったのかと思います。格別な意図は全然ございません。
  270. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたは計画書を見られたと思うのですね。そういう中で、この寺を一つ選んで、それからその次に、この出石寺の檀徒総代でしょう、菊地あれは何というのですか、正行ですか、楠正行とは違うんだろうが、正行、この講師が選ばれてますね。そうでしょう。それから勤行聖典というのが朝夕に、これは読まれたんでしょう、食事のときに。こういう問題を総合しますというと、これは仏教ですね、宗教によって裏打ちされているという感じがするのですが、私はお聞きしたいのは憲法二十条との関係です。どうです、この宗教的な行事、場所も宗教だ、講師もそれに深い関係のあるこういう人を選んで研修会をやるということは、一部に偏しませんか。憲法二十条、ぜひこれはお読みいただきたいと思うのでありますが、憲法二十条に抵触しませんか、こういうやり方は。この点をお聞きしたいのです。
  271. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は場所が出石寺であったからといって、憲法二十条に抵触するとは考えません。また勤行聖典も、あとの個所で、五巻の下というのでございますけれども、食事をいただくときに、仏教ではどういう心がまえでいただくのかということを参考に話していただいたわけでございますので、研修に仏教の聖典が出ましょうとも、また聖書が出ましょうとも、それは私は格別二十条ということには関係がないのではないだろうかと思うのでございます。
  272. 岩間正男

    ○岩間正男君 憲法二十条ちょっとお読みいただきたいですね。憲法二十条の第二項、何と書いてある。お読みいただきたい。そういうことを教育長から私は答弁されるとは、非常に重大な問題だ、ちょっとお読みいただきたい。
  273. 大西忠

    参考人大西忠君) 「何人も、宗教上の行為、祝典、儀式又は行事に参加することを強制されない。」とある。
  274. 岩間正男

    ○岩間正男君 勤行の聖典はどうですか、これに合いませんか。
  275. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は勤行聖典が何もこの二十条に違反するとは考えておりません。
  276. 岩間正男

    ○岩間正男君 食事をするときに、宗教上の勤行聖典を読むのは、宗教上の行事につながってますよ。そうでしょう、あそこに本職の方がいられますから、これは聞くまでもないことだと私は思うのです。こういうことを一体やるということは、私はこれは明らかに二十条違反だと思う。どうですか。あなた、そういう見解とってられたら私は大へんな問題だと思う。
  277. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はさっき申し上げましたように、格別そういうものを使ったからといって、二十条に違反するとは考えません。
  278. 岩間正男

    ○岩間正男君 ここに注意がきております。参考人に対してあまり失礼にならないような御発言といっておるのですが、そういう気持は私はないけれども、しかし、県の教育長さんが今のようなことを、私はぬけぬけと国会委員会参考人として御発言になることについては、私はこれは検討していただきたいと思うのです、深甚に。  その次に私はお聞きしたいのは、この菊地正行氏が研修会が終わってから手紙を出していますね。参加者に全部出しています。その手紙の中のこれは文句です。これは、先ほどの豊瀬委員の質問と関連して非常に重大な問題になると思う。これは全文読み上げる時間もありませんからやりませんけれども、しかし、どうですか。たとえば天皇制問題で、こういうことを言っている。「しかし、もしも人々が思い上って自ら国の主権者の地位を獲得したかのように妄想し、天皇との関係が昨日までとは逆転したかのように考えるならば、それは笑うべき滑稽というよりは、むしろ潤むべき悲劇であろう。」こういう言葉を述べておられます。この思想について、あなたは同感でございますか、どうですか、お聞きしたい。
  279. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は、先ほども竹葉、村上委員の書いたものにつきまして、これを弁解する権利も義務もないということを申し上げましたが、私はこういうことを感じておるのございます。それは、今の若い人の中には、これは現実にあったことでございますけれども、公務員というのはどういうか、国民の奉仕者ではないか、サーバントではないか、われわれの言うことをそのままやればよいので、お前たちはそれが唯一無二の仕事だということを言う者がおるのでございます。もし、この菊地先生がそういうことを考えられて言われたとする。たとえば憲法の前文にもそういうふうにあったと思うのですが、主権は国民にありますけれども、これも行使するのは国民の代表だと思うのであります。自分が主権を持っておりますけれども、人を使うのにそういうようなことでは私はおかしいのではなかろうかと思うのですが、そういうことから菊地先生がおっしゃったのなら私は言葉が多少舌足らずであったと思いますが、そのお気持は非常によくわかるのでございます。
  280. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたはこの手紙をむろん認めた上に立って言われているのですね。
  281. 大西忠

    参考人大西忠君) はい。
  282. 岩間正男

    ○岩間正男君 それから、どうして一体今のような何か特別弁護するような解釈をされるのですか。あなたがそれをされるというのは、私は、非常におかしいと思うのですがね。これは先ほどから、都合の悪いところは、あなたは二つの態度を持っておられると思うのですがね。都合が悪いところは盛んに弁護して、それからそうでないところは、私は公務員でございましてそれには関与すべきでない、確かに二つの違った態度をとっておられる。そういうことで私はお聞きしているのじゃないのですから。少なくとも今読み上げたような、主権在民を全く否定する言葉なんです。言葉そのものははっきり生きている。それをあなた自身がああだ、こうだというように、ここで解釈して言うべき筋合いのものでもない。また、菊地さん自身でもないから、あなたがそういうことを言うと私は非常におかしいと言わざるを得ないのですよ、これは。少なくともこの問題については予算委員会でも問題になっている。当委員会でも問題になった。そうして文部大臣は、こういうような考えというものは憲法に違反すると言っているのですよ。あなたは、しかし、それについて今のような弁解をされるのだが、あらためてお聞きしたいのでありますが、今のような意見というものが蔓延したなら、私は現行憲法の基礎というものは、最も大きな一つの基礎というものは、これはくずれざるを得ないと思うんですけれども、それでも差しつかえないのですか。そういうことにあなたは加担する、そういう立場から今のような弁護をされていると言われても仕方がないのでありますが、はっきりお聞きしたいのは、今のような言い方をやることは正しいとお考えになるかどうか、この読み上げたそのことについてお答え願いたいと思います。
  283. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は菊地講師が憲法を否定する精神であるということは考えられません。従ってこの文章につきましても、私はあとから配付せられたということを知って塾読翫味をいたしましたが、私にはその書いておられることはよくわかるのでございます。
  284. 岩間正男

    ○岩間正男君 わかるという意味は、同感だという意味ですか。
  285. 大西忠

    参考人大西忠君) 同感だというのは、これは非常にむずかしいので、この菊地先生と私が対談をし、お聞きをしたことでないのですから、同感だという言い方ははなはだおかしゅうございますが、もしそういうようなことから考えられて菊地先生がそれをお書きになったんだったらよくわかるという意味でございます。
  286. 岩間正男

    ○岩間正男君 そういうそんたくして聞いているんじゃありません。私はものについて聞いている。文章について、こういうような今の一項について、あなたは肯定されるという立場をとられるんですな。
  287. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はそれを肯定しようとも否定しようともしていないので、今日菊地先生考え方もよく知っていますから、その言わんとするところは私にはよくわかるという意味でございます。
  288. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの教育長としての判断でどうです。現行憲法と照らし合わせて、今のような発言は正しいと思いますか。
  289. 大西忠

    参考人大西忠君) これを愛媛県の教育長としての立場として論議するという問題については、またよく研究いたしてみます。
  290. 岩間正男

    ○岩間正男君 研究しなければいけないような言葉と違いますよ。明らかですよ。憲法というのは、先ほどから繰り返されている峻厳な問題でしょう。全くこれは憲法の問題をくつがえす言葉ですよ。主権在民というような考えに立って、そしてやっていることはもうあわれむべき、悲しむべきよりあわれむべき存在だということを言っているんですよ。これ以上の誹謗はありません。さらにどうです。その次に、「皇国護持の御為御勇奮ひたすらお願い申し上げます。」という言葉で結んでいる。これは個人の意見です。国会議員の意見としてもおかしいと思う。平和憲法で選ばれた国会議員が憲法を否定するようなことを言ったらもう大へんだ。あなた自身もそうでしょう。少なくとも憲法によって作られた法律によってあなたは選ばれた教育長だと思うんですね。その教育長さんがどうです。今のような言葉はどうです。これをちょっとお聞きしたい。
  291. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はそれを見ました際に、菊地先生は七十五才の御老人でございます。昔の大日本帝国とかいうような言葉が今日日本国というようなことになったことも十分承知をいたしておりますが、やはりついその皇国というような言葉を使うのであります。やはりそれは日本の国がすこやかに育ってほしい、天皇を国民統合の象徴とし、国の象徴としてすこやかに育ってもらいたいということを言っておるんだろうと感じたのでございます。
  292. 岩間正男

    ○岩間正男君 もう少しやはり教育長さんは見識を持ち、判断をお持ちにならなければいかぬと思うんです。七十五才の老人を擁護されるのもいい。養老の精神からいえばいいかもしらぬ。いやしくも、しかし、一県の教育行政の中心にいるんでしょう。一県のその教育長が今のような言葉でいいんですか。
  293. 大西忠

    参考人大西忠君) これはさっき岩間先生も御指摘になりましたように、研修会が済みまして、菊地さんがお配りになったものでございます。従いまして、私は県の教育委員会でこれを取り上げて、憲法に違反しているとが違反しないとか、そういうことは今日あまり必要じゃないのではないか。これは菊地先生の個人の考え方でございます。ただしかし、私にもいろいろるるお尋ねがありましたから、一応菊地先生のお気持はよくわかるということを申し上げたのでございます。
  294. 岩間正男

    ○岩間正男君 同じ思想を持たなければ擁護することにはいかぬのでありますから、あなたの中に憲法違反のそういう考えがあるということを明白に指摘しておきたいと思うのです。それから、もうこれは七十五才であろうが、何であろうが、あなたたち講師に選んでおるのです。そうして次の時代を背負う子供を教育するその重要な教員の研修会の講師として選んでいるんでしょう。そのような思想を持っている、明々白々とした憲法違反のそういうことを述べているそういう人を講師に選ぶことについて、あなたはいささかの反省もないというのですか。少しも間違ってなかった、落度はなかったと、そうあなたはおっしゃるのですか、あらためてお聞きします。
  295. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は菊地先生の女子研修会の場における松下村塾記の口述等も私が列席をしてよく知っております。それからまたあの方のお人柄についても私は二、三ですが、よくお会いをして知っておるつもりでございますので、今日から考えてみましても、菊地先生が講師であるということが、一番よかったとは考えませんけれども、誤っておったという考え方はございません。
  296. 岩間正男

    ○岩間正男君 筋が合わないですよ。あなた自身がもう少しやっぱりこれは冷静に考えていただきたいと思う。「皇国護持の御為御勇奮ひたすらお願い申し上げます。」といっていますが、「皇国護持」という言葉は、このようなことを解釈をわずらわすまでもないと思います。はっきり天皇中心主義でしょう。そうでなければ出てこない言葉だ。これは憲法と抵触しないというのですか、明らかにそうですが、もう一ぺんお聞きします。
  297. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は今日県の教育長として憲法論議をいたしておるのではないので、菊地講師の人となりもよく知っておりますから、菊地講師が憲法を否定するような考え方でそれを書いたものではなかろうということを確信いたしておるということを申したのであります。
  298. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたがそんなことを解釈するのはおかしいと言っているのです。われわれが問題にしているのは、あなたが菊地老人を擁護するしないなんということは問題じゃない。問題は憲法を守るか守らないかということにある。そうしてそれに基づくところの日本の教育を明らかにするかどうかというところに問題があるのですよ。そのことが重大でしょう。あなたが教育長として七十五才の老人を、そうしてこのような明らかに天皇中心主義の中にこり固まっている老人を擁護しておる。こういう人が県の教育長として教育の中心にいる。ここにわれわれとしては見のがすことのできない重大問題がある。で、私はお聞きしますが、文部大臣は明らかにこれは行き過ぎだ、そうしてこのような人を講師に選ぶことは望ましいかと言ったら、望ましくないと言っています。そんなことで何も私はあなたを、そんな上からの何で言うわけじゃありません。しかし、参考にお聞きしておくのでありますけれども、そういう文部省の意向ともあなた自身ははっきり背反しても差しつかえない、こういう考え方で今のような御答弁なんでありますか、お聞きしておきます。
  299. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は文部大臣がどういうことからそういうことを申し上げましたか、つまびらかにいたしておりません。少なくともそれは先ほどからるる申し上げましたように、この県の教育研究の場、それとは別のものでございますので、県の教育長がここで教育委員会考え方を代表してかれこれ言う立場ではないと思います。ただ、私が個人としましては、菊地先生のお考え方をよく知っておりますから、菊地先生のお気持憲法を否定するものじゃないということを申した。また県の教育委員会は、この委員会で私が冒頭申し上げましたように、少なくとも憲法についてはこれはもう積極的に現行憲法というものを守っていくのが務めだと思っておりますので、その点はどうか一つ誤解のあられぬようにしていただきたいと思うのであります。
  300. 岩間正男

    ○岩間正男君 あなたの言葉の中に明らかに矛盾がありますよ。憲法を守ると口で言っている。こういう文章を書いた人を許しておる。この人を理解している、私は個人的な理解を聞いているのではありません。私はこういうやり方というのは非常に重大問題だと思う。この点については、あなた自身はこういう具体的な事実の上に立ち、しかも文部大臣の答弁さえも認めない。これに違反するようなそういう答弁で今後愛媛県の教育をやっていく。少なくとも実際上は、これは事務的には、行政面からはあなたが責任者です。最高の責任者です。中心にいるわけです。それでいいと思うか、差しつかえないのですか。
  301. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は文部大臣発言を認めないとか何とか言っているのではないのであります。文部大臣のおっしゃったことを吟味をいたしておりませんので、また県の教育委員会としては、これは教育委員会の立場からは、あとから配りましたものを研究をしたりする必要のないことであろうと思っておるので……。
  302. 平林剛

    委員長平林剛君) 岩間委員に申し上げますが、予定の時間が経過いたしておりますから、本日は、質疑は簡潔に願います。
  303. 岩間正男

    ○岩間正男君 それではまとめてお聞きしますが、この女教員の研修会というのは、やり方から、それから実際のこの講習員の選び方から、運営の仕方、会場の選び方、さらにこの中心課題であるテキスト、講習の内容、こういうものからいって、少しもこれは間違いがない、正しかった、こういう判断のもとに現在あなたたちは進めておられるのですか、その点いかがです。
  304. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は先ほどもそういう——午前中にも触れたと思いますが、よくなければ悪いのだ、悪くなければよいのだと、ものを二つに割り切っていうということ、これは非常にむずかしゅうございます。従って玉津でやりましたことでも、出石寺でやりましたことでも、その他西条、新居浜でやりましたことにつきましても、さらに今後そういうものを基礎にしてまたよきものを作らなければならぬと、これが私たちの務めだと思っておりますが、全然方向が誤っておった、これはやるべきことでないというようなことのようには考えてないのでございます。
  305. 岩間正男

    ○岩間正男君 時間の関係もあるから論議にわたる部分はこれは除くのでありますけれども、あなたのような答弁がここでされたということは、非常にこれは重大な問題です。日本の教育行政を今後論ずる上には、実に重大な問題だと思います。教育基本法に照らしてはっきり違反ですよ。第十条を見てごらんなさい。こんな運営をされて教育が行なわれている。重大問題です。これはまあ論議の中で尽くされておると思うから、私はあらためて触れませんけれども、今後の当委員会での論議の中で、今のような答弁をされる教育長がいるということ、日本の現実に——そうしてそういう中で一部の教育が、御承知のように、全くこれは逆行的な方向をとっていると思う。明らかに憲法違反の上に立って教育行政がなされている。そうしてその背景には、はっきり一つの権力がいるということ、ここではきょうやりません。しかし、非常にそういう意味では参考になりました。あなたは非常にそういう意味では前近代的な感覚をお持ちであり、そうして教育行政の中に残された珍しい存在だ。こういう形で今の答弁されたわけでありますから。  最後に一つお聞きします。それは、先ほどの問題ですけれども、あなたは不当労働問題、地公法の五十六条違反、この問題についてはこれを繰り返さないように周知徹底さしたい、こう言われたのです。しかし、これは口で言ったって、あなは自身も先ほど言われたように、口で言ったってなかなかわからないのですよ。はっきりやはり具体的に私は証拠を残さなければならぬ。従ってそのような明確な文書を出されますか。各地教委並びに関係者、そうしてその結果については、その資料として当委員会にも文部省を通じていただきたいと思う。このことなしには、私はあなたの誠意というものを信ずることができないのですがね。不当労働行為は、全くこれは今日では常時茶飯事のように行なわれ、どんなにこれで教育が毒されておるか。先ほどからもしばしば話がされたように、意思の統一ができない。そういうことで実際の被害というものは、教員諸君よりも、さらにその対象になっている数十万の子供にある。これは豊瀬委員指摘したわけです。ここが非常に問題なんだ。そういうものを私はなくすために、努力をするために、明白にあなたは行政上の措置として、先ほどからここで繰り返された答弁によれば、少なくともそれを成文化して、そうしてそれをはっきり県委員会の責任においてこれをおろすべきだと思うのですが、そういうことをされますか、どうですか、最後にお聞きしたい。
  306. 大西忠

    参考人大西忠君) お言葉でございましたが、私は不当労働行為が繰り返されないように注意をすると言ったことはないと思います。
  307. 岩間正男

    ○岩間正男君 ないのですか。
  308. 大西忠

    参考人大西忠君) そういう気持もございませんし、また現実に私たちは、先ほどからの事例もありましたけれども、研究協議会に入らなければ任用しないというようなことはしておらない。端々でいろいろ誤解のあるようなことは確かにあったことでございましょうと思いますから、そういうことはよく注意をさしたいと思います。また、法律の条章に従いまして、組合員であると非組合員であるとを問わず、差別したりするようなことは、これはもうたびたび繰り返して申しつけておる通りでございますので、本院の速記録等も将来手に入りましたら、こういうことを参考にして、いやしくも教師と、県の教育委員会と、地教委との間が誤解からそごを生じて、教育の効果を落とすというようなことがなくて、組合員であろうと非組合員であろうと、あるいは僻地に配置の都合によっては喜んで行っていただく、またできるだけ私たち教員の便利も考えて配置をする、お互いに信頼をした職場を作って参りたい、こういうふうに先ほども御答弁申し上げたつもりでございます。
  309. 岩間正男

    ○岩間正男君 梶原本田参考人のここでの口述、これはあなたは信用できないということなんですな、そうなんですか。
  310. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は浜見委員の本委員会における御答弁等もよく聞いておったのでありますが、浜見委員も何もそういう差別的な気持がないというようなこと、それから先ほど再調査をするお約束もいたしましたが、二件ほど等については、私の調査については今のところ一応誤っておったとは考えていないのであります。従いまして、よく調査もし、反省もいたしますが、今日ここで不当労働行為が繰り返されないようにという、そういう御答弁は申し上げてないのでございます。
  311. 平林剛

    委員長平林剛君) 岩間君、時間が経過しておりますから……。
  312. 岩間正男

    ○岩間正男君 私は浜見参考人との関係の問題もありますが、それだけじゃありません。けさほど来述べられたのは、その何倍かのことを述べられているはずですよ。ことに研究協議会、これに参加させるために日教組の脱退を勧誘している問題については、いろいろな角度から矢嶋委員が追及したと思うのです。その中で述べられた証言ですね、少なくともあなたたちの管理下にある、いわば権力の、圧力の下で非常に苦しんでいる人たちがそこから出てきて、ここで証言するということはなみなみなことではないわけです。決してこれはうそを言えるわけではないと思うのです。そのことについてあなたはこれを信用されない。その立場に立って愛媛県の教育をやる、そういうわけなんですか。
  313. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は両参考人のことを信用しないとは言っていないのであります。いろいろ速記録等も検討しますし、また私は、言った人もやはり私たちにどういう気持で言ったのか弁解もしたかろうと思うのです。よく調べましてそういうことは対処すべきであって、今日あの証言がありましたからといって、私は不当労働行為を繰り返さないと言うのは、まだ結論が私としては早過ぎると思います。
  314. 岩間正男

    ○岩間正男君 不当労働行為を繰り返さないということは、これははっきり教育長として私は一章える言葉だと思うのですね。今までのようなことでいうと、不当労働行為を繰り返すかもしれないという、そういう含みでなければ言えない言葉ですが、そうとっていいのですか。
  315. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は不当労働行為をするとは言っていない。不当労働行為をしたこともありませず、将来もしないつもりでおります。その点は明確にしておきます。ただ、不当労働行為を繰り返さないと言いますと、今まで不当労働行為をしたが、そういうことはやめますということになる。私は不当労働行為をするとは言っていない、しないと初めから言っているわけです。また、そういうつもりがないということをるる申し上げたつもりであります。
  316. 岩間正男

    ○岩間正男君 それは言葉のあやですよ。何のために一体当委員会参考人を呼んで、そうしてけさからやっておるのです。そうしてこれについていろいろ陳述がされて、困難な情勢の中から陳述がされておる。それについて、あなた自身は何らのそこのところは反省がないじゃないですか、そういう言葉で答弁されるということは。そういう問題についてこれを明らかにするために、少なくとも県の指示としてそれを成文化して明白にするということは必要だと思うのですが、どうなんですか。最後にそれをお聞きします。
  317. 大西忠

    参考人大西忠君) 私はそれは速記録等を検討しまして、その結果で論ずることであって、またそういった校長教頭等のお話も聞いてみまして、私たちが今まで指導してきたことが誤りなければやはり今までのようなことで、一そう気をつけてやればいいので、文書とか何とかということは今直ちに考えていないのでございます。しかし、御指摘のような点はよく私が考えまして、少なくとも誤解を受けるようなことはさせない、また現実にそういうことがあってはならないということを強く考えておるのでございます。
  318. 千葉千代世

    千葉千代世君 参考人の方には大へん長い時間でお疲れのことと思いますので、ごく短い時間で二、三点質問したいと思いますが、まず大西参考人に対してお伺いしたいと思うのですが、三月八日のある週刊誌に、愛媛の女教員の研修会のことが出ておりましたが、ごらんになりましたでしょうか。
  319. 大西忠

    参考人大西忠君) 「ある」とおっしゃいますと、私、どの「ある」か、ちょっとわかりませんが、一冊見ました。それと合致しておりますかどうか。
  320. 千葉千代世

    千葉千代世君 その記事の見出しに、大きく、女教師の便所掃除の問題について、とかというようなことの載った記事でございます。ごらん下さいましたでしょうか。
  321. 大西忠

    参考人大西忠君) 見ました。
  322. 千葉千代世

    千葉千代世君 その事実は御存じでございましょうか。具体的に申し上げますと、あの週刊誌に載っておりました記事と、実際にございましたことを突きとめてごらんになりましたですか。
  323. 大西忠

    参考人大西忠君) 私もあの記事を見まして、それから数日いたしまして、教育事務所、それから教育事務所の管理主事等の会がありまして、あの記事の話題が出たのでございますが、今ちょっと大へん記憶に薄くて申しかねますのですけれども、便所の問題というのを特に取り上げられておっしゃいますと、ちょっと記憶が薄れておりますのでございますが……。
  324. 千葉千代世

    千葉千代世君 私も実はあれを見まして、内容の中に、婦人教師の特性として、便所掃除とか、花壇の仕事とか事務的なことがあるというようなことが書かれておるのです。これは単に婦人教師だけではなくて、日本の全体の婦人労働者に非常に大きな影響を持つ。御承知のように、たくさんの婦人労働者がおりますが、その中でも婦人教師は大へん長い歴史をもって地位の向上に努めておる、こういう中でありますので、非常に問題が大きいと思いまして、単にこの週刊誌を信じてもいけないと思って、愛媛の現地の先生方に実は書いていただいたわけです。その中に、これは高橋管理主事という方のお話でございますが、大へんひどいことをおっしゃっているのです。たとえば自分がこの講習会に出たことは「申し上げるまでもないが、考えていることを率直に言うと、」本人がそれを前置きして、「やかましく言ってみんなを泣かせる役だ。男性と比較して女は優遇されている。産休もある。生理休暇もある。みんなは女でしあわせだ。女は男と比べてハンディがある。小学校では女に適している場合もあるが、男に比べて女の先生はどうだこうだということをよく聞く。たとえば宇摩や新居浜では女子は歓迎されていない。西条では聞かないが、女をきらうわけは、学校を卒業したときが最高の能力で、結婚で落ち、年をとって落ちることが多い。一生教師をしていく人は夢を持ってほしい。」云々から始まって、「女教師には特性がある。事務的なこと、便所の掃除、花壇の仕事、一度頼んだことは責任をもってやるし、こまかく清潔である。男性と同等の研究成果は期待できないが・特性を生かしてやってほしい。」こういうことをノートに書いた、そのまま私いただいたわけです。これは事実でございましょうか。
  325. 大西忠

    参考人大西忠君) その会議のときに私も列席をしておりまして、それは、今お読みになりましたような記事ではなくて、きわめて簡単でございましたので、高橋主事から弁解を聞いたのでございます。高橋主事は、決して女の先生が便所掃除に専念すべきであるというような意味のことを言ったのではないので、これはやはりみんなが手分けをして協力をしていくべきものだ。しかし、やはり男の先生はもっこをかついだり何かする仕事に適し、女の先生にはまた女の先生としての適したこともあるのだから、男の先生と女の先生が同じようにするということもこれもまた非常に大切であるけれども、また手分けをしてやらなければならぬというようなことも言ったつもりだというようなことで、私はその点につきましては、その席で了解をいたしたのでございます。しかし、今おっしゃいましたことは速記録にも載っておることでございますから、また後日それをそのまま高橋主事にも読ませまして、私たち決して女の方が、生理休暇とか産休とかいうことが特権だ、男より得しているとは考えていないので、これは国民の健康からいっても、国家の将来からいっても、国家が進んでいろいろやらなければならぬ仕事でございます。ことに産休などについては愛媛県が、私はこの予算をとっておるのは全国に誇り得ると思っておるのでございます。できるだけそういう面は誤解のないような行き方でさしたい、こういうふうに考えております。
  326. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは、教育長さん御自身のお考えでいいのですけれども、「学校を卒業したときが最高の能力で、結婚で落ち、年をとって落ちることが多い。」と、こう書いてございますが、これは非常な認識不足のように思ったのでございますが、教育長さんいかがでございますか。
  327. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は教育長の立場といたしてそういうデータをとりましたり、調べさせたりいたしたことはございませんが、常識的に考えてみまして、女の方が御結婚なさると子供もできますが、やはり私は家庭で女の方が子供を育てるのが中心だと思います。男の先生が子供をおんぶするわけにもいかぬのですから、女の先生がおんぶをするということになろうかと思って、家庭の御苦労というものは勢い私は女の先生の肩にかかってくると思うのでございます。従ってそういう意味から言って、女の先生も男の先生に同じようにやれということはなかなかこれは無理なことで、女に負担がかかり過ぎるんで、やはり女の先生に対しては男でまねのできないことをやってもらい、男の先生には女でまねのできないことをやってもらい、そうして協力関係を結んで学校をうまくやるということが私はよいのではないかと思っておるのでございます。従って、まあどういう意味でそう言いましたか存じませんけれども、非常にまあ結婚なさった後の女の方というものは家庭の御労苦等もかかるわけでございますから、男の先生が一家を背負って立たなければならぬという責任感からいろいろ勉強をされたりするのと比べますれば、私はなかなかついていきにくい問題だと思います。
  328. 千葉千代世

    千葉千代世君 教育の場における男の教師と女の教師、これは申し上げるまでもなく、まあ真の平等ということは男女の特質を生かし合って一つのものにしていくということの本質には変わりはございません。けれども、特質を生かし合っていくということで女の能力は落ちるとか、それから上がったとかという判定のものさしはないわけなんです。むしろ、結婚し、それから家庭を持った人ほど、教育の内容については長い経験のうちからたくさんのよいものを持っている。こういう意味で、私は結婚をしたら能力が落ちるとか、年をとって落ちるという云々は、それは個人差によってあるいはあるかもしれませんけれども、教育の場における男女のあり方については、これはやはりこのお考えは間違っているのではないか。このことをやはりはっきりしていただかないと全国の——全国で、今、女の先生方が大体小、中、高合わせまして二十一万六千四十人。その中で、小、中の総数が二十万三千三百七十八人。こういうわけで、全体の小、中で公立の方々が三六・五%と、こういう実情の中にございます。この三六・五%の先生方が、結婚したら能力が落ちるとか、新任のときが最高の能力だなんて、こういう判定をされて教育行政をなさるということは非常に問題じゃないかと、こういう意味であらためて伺いますが、うちでは家庭を持って子供を育てる云々とか、女の特質、男の方がもっこをかつぐ特質とか、そのことだけではなくして、教育の場における女子教職員の能力というものがそういうことのみの判定ではいけないと、こう思うのですが、いかがでしょうか。
  329. 大西忠

    参考人大西忠君) もう千葉委員さんのおっしゃいます通りでございます。
  330. 千葉千代世

    千葉千代世君 それから、女は一度頼んだことは責任をもってやるというけれども、これはやっぱり男だって責任をもってやることには変わりがない。何でこうおだてるみたいな変なことを言って——これは細部にわたって恐縮ですけれども、やはり便所掃除、花壇の仕事、事務的なこと云々とここに書いていって、「責任をもってやるし、こまかく清潔である。」けれども「男性と同等の研究成果は期待できない」と、こういうのですね。愛媛の女の先生方はそうですが、先生
  331. 大西忠

    参考人大西忠君) 私たちもよく出て行って人に話をしますと、要点速記をせられるのできわめて誤解が多いのでございますが、要点というのは強調をした点を書きますので、特にそれを言えばはなはだおかしいようですが、やはり全体を聞いてみなければわかりませんと思います。私たちは決して、どう言うか、そういう目で女の先生を見ておりませんで、高橋主事もおそらく全体としてはそんなことを申しておらぬのでございます。
  332. 千葉千代世

    千葉千代世君 時間がございませんので次に移りますが、教育長さんがそういう考えではないということを伺って安心したのですが、それで、喜多川課長さんという方がこういうことを言っているのです。「徳島の研究会で女の先生が多いと思った。学校運営は女が多くない方がよい。二対一がよい。女子は中学校へ進出すべきである。女は女らしくなければならない。……男は男らしい先生でなければならない、女は女らしい先生でなければならぬがそれは態度に表われる。服装や化粧に表われる。」こういうふうにずっと言っておられる。これは一つ一つあげつらって今かれこれ言う時間の余裕を持ち合わせませんけれども、一番初めに申し上げました「学校運営は女が多くない方がよい。」比率は「二対一がよい。」こういう喜多川課長さんの話ですが、これは県の教育方針でございましょうか。
  333. 大西忠

    参考人大西忠君) 全然県の考え方ではございません。また私たちも、先ほどもちょっと触れましたが、将来、日本の経済の発展等から考えて、女子の先生が増加するものと思っておるのでございます。今あらかじめ比率をきめて、それが好ましいとか、好ましくないとかいうことじゃなくて、やはり職場でりっぱに研修もし、またそれを受け入れて参ってよい教育をいたしたいというのが私の考え方で、それは県の教育委員会考え方とは全然相違をいたしております。
  334. 千葉千代世

    千葉千代世君 全国の教育研究集会等に出されましたレポート、またお出になりました先生方の話を伺いました。体験も伺いました。そうすると、個々差は男同士にもずいぶんあるわけですね。それから女にもあるけれども、総体的に、男女は教育研究の意欲とか、教育研究に対して差があるとは私は考えられない。また、あってはならないし、そういう意味で私どもは文教委員として責任を果たして、一生懸命やっているわけなんですが、この学校運営の中で——今おっしゃったので安心したのですけれども、学校運営の中で、女が多くない方がよい、二対一でよいというこの根拠は、大へん恐縮ですが、お帰りになりましたら喜多川課長さんから、おっしゃった事実と、それから自分はどういう考えでそう言ったか、また、教育行政をそういう考えで推進していくつもりか、このことを、おそれ入りますけれども、私どもの方に御連絡いただきたいと思っております。  で、戦争直後は御承知のように、婦人教師が五六%おったわけです、小、中の公立学校。それがだんだん減って、三六・五%と、こうなった。そうすると、世界の情勢は、御承知のようにアメリカですというと、初等の学校で八七・一%が婦人教師、イギリスが七三・三%、フランスが六五・五%、ソ同盟が八三・一%、イタリアが七二・二%、オーストラリア六〇・四%、スエーデン六五・四%、アルゼンチン八八・一%、ビルマ九二・〇%、これが初等教育における男子教員に対する比率でございます。そうしますと、日本がどのくらいの位置にあるかということがお互いわかるわけですが、もう世界の状況は初等教育における母性の問題、それから理性の問題、そういう教育上における価値というものが必然的に婦人教師の進出を促しているわけなんです。高学年に参りますというと、婦人教師がだんだん減っていく、こういう情勢でございますが、どなたに伺っても、初めて学校へ自分の子供を入れるときには女の先生に持ってもらいたい、ならばお産をした先生に持ってもらいたい、こういうふうに言われる。これは男の先生の悪口じゃないから気を悪くしないで……。やっぱり男の先生には男の人の理性と、いい知恵もあります。女の先生には女の人の理性もあるし感情のあたたかいところもある。こういう意味で学校運営の中でも、男も女も、若いも年寄りもの先生が一緒になってよい運営をしていくという、これが教育の原則ではないでしょうか。そういう意味で私どもは、ただ女が女をというのでなくて、大きな中の男女のほんとうの働き場が、自由であって対等にお互いが権利を守り合えて、そうしてよい教育が行なわれていく、こういうふうにしたいと思って、文教委員を志願して一生懸命やっているわけなんですけれども、それで教育委員長さんのお考えと大体同じでしょうか。
  335. 大西忠

    参考人大西忠君) 同じでございます。まあ人間のことでございますから、一生懸命励んでやっていかなければならぬということは、もう先決の条件で、これはもう何も千葉委員さんと私も少しも違うことはございません。その通りでございます。今の喜多川教育課長にただしてというお話でございましたが、実は西条市の教育委員会は人事のやりくりで、喜多川課長は教育課長の職をのいておりますので、県の教育委員会考え方でもございませんし、またそういう指導は私はいたしていかないつもりでおりますから、どうか一つ私の答弁を御了承願いたいと思います。
  336. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは教育長さんが責任を持ってここに、もし言ったとすれば、その喜多川課長さんの話は全面的に否定していらっしゃるので了解いたします。  あと二つだけで終わりたいと思いますが、男女に差別をつけない、こういう御趣旨に伺ったし、また愛媛では妊娠中の問題に対しても保護が加えられておりますが、三十四年度は産前七八%しか休んでおりません。産休者三百七十六人に対して臨時教員を同数配置しているが、ただ初任給が非常に少ないのです。七千三百六十円と、こういうわけで、この点に問題があるのじゃないか。  給与に関連するのでついでに伺いますけれども、愛媛の男子の先生と女子の先生に給与の差別があるかどうか、勤評によって差をつけられていないかどうか、このことを時間がございませんので具体的に。
  337. 大西忠

    参考人大西忠君) 初任給その他ございません。それから先ほども、勤務評定でございますが、これは私の県では少しきついのではないかと言われるほど評定の要素は多くいたしまして、女であるがゆえに、勤務評定が落ちるというようなことはいたしておりません。それから女子の先生にも特別昇給をいたしておるのでございまして、女子なるがゆえに昇給をしないとか、勤務評定が悪いとかいうことは全然いたしておりません。そういう考え方はございません。
  338. 千葉千代世

    千葉千代世君 女子なるがゆえにということはしていなくとも、たとえば特別昇給のワクがございます。特別昇給をされる方がその学校教育主任であるとか何かいろいろな役を持つ者とか、何かずっとそのワクを五人なら五人にしますと、そういうものについていない者とか、そういうものがはずされるわけなんです。そうすると、婦人の場合ですと割合にそういう職についていないので、結果的には婦人教師がずっと置きざりにされていって差がついてくるのではないか、こういうふうな心配がございますけれども、いかがでございますか。
  339. 大西忠

    参考人大西忠君) これはどういいますか、役を持っておるとか、教務主任であるとか、そういうところから勤務評定を考えさして実はおらないのでございます。評定の結果において劣る人は女の中にもおりますし、男の中にもおるわけでございます。そういう女の先生がたとえばどういいますか、外形的力と申しますか、こういうことの比較で勤務評定がよいとか、悪いとかいう考え方はいたしておらぬと、こういうふうにお受け取りいただければよかろうかと思います。
  340. 千葉千代世

    千葉千代世君 続いて伺いますけれども、ここの調査書の中の四番目にございますが、南宇和城辺町と呼ぶんでしょうか、城辺町の大西校長先生が藤田知子さん、それから楠島富美子さんの二人に対して、休み時間に県下の一般情勢を話し、妊娠中の女教諭や共かせぎの教員でも組合員であるため転勤させられた例があることなどを座談的に話した。これは人権擁護局と文部省のお調べの中に認められておるわけですね。(四)の下の方にございます。人権擁護局でございますね。右二教諭は組合脱退したとございますね。これ御承知でございましょうか。
  341. 大西忠

    参考人大西忠君) はい。
  342. 千葉千代世

    千葉千代世君 これはこのお話の裏づけのように思うのですが、いかがでしょう。座談的に話したというけれども、実際的にはこういうふうに組合脱退させられたと思うのですけれども、いかがでしょう。
  343. 大西忠

    参考人大西忠君) 私もこの人権擁護局の言葉が簡明でございますので十分受け取れぬのですが、私の方で調べたのでは指摘された事実はないと、転任を示唆して組合脱退を勧告した事実はない。それから「妊娠中の女教諭や共稼ぎの教員でも組合員であるため」というのがございますが、これについてはちょっと午前中も触れましたけれども、組合を出ているから転勤をささないのだとか、組合におるから転勤をさすのだということはないので、組合員であろうがなかろうが、できるだけ妊娠をしておるような人は、都合ができればそのままにとどまってもらうように考え、また夫婦等もできるだけは考えておるつもりでございますので、この点については言葉が簡明でございますので、もう一度、この大西校長が私の方へは事実はないと言っているし、それから「組合員であるため」にということをどういう意味で申したのか調査もいたしてみようと思います。
  344. 千葉千代世

    千葉千代世君 それでは大西教育長さんの御意見を伺いたいのですけれども、共かせぎの教員ですね、たとえば退職勧告などでございますときには、まず共かせぎの教員にくる。それから転任の場合にもそこへいく。こういうことが全国的にしばしばあることなんですが、教育長さんは、この共かせぎの意味ですね。たとえば教育の場合においては一人の教育者として男の人、女の人と、こういうふうに対々なわけなんです。家庭では御夫婦でございましょうけれども、教育の場ではやはり一人の教育者として、労働者として働いておるわけなんです。ですからその仕事に当たってはこれは家庭におると、家庭の延長だと考えていないわけなんです。ですから、そういう立場で教育行政の中で考えていらっしゃるかどうか、伺っておきたい。
  345. 大西忠

    参考人大西忠君) 県の教育委員会としては、特に共かせぎの人を早くやめさすとか、何とかいう方針はございません。ございませんのですが、御承知のように昔と違いまして、大学を卒業した人をできるだけ全員採用してやりたい。そうなって参りますと、定員が増加しない限りはどなたかにお話をして、後進に道を譲っていただくということでございます。従いましてそういう際に、家庭的にもできるだけ考えまして、未亡人でやっておられる人はなお働いていただくし、また収入等もある人はまあどうか後進に道を譲っていただけるかとか、それからまた子供さんでもあられるときには、お金等にはあまりこだわらないで、御家庭へ帰って子供の世話を見てやるのがお母さんとして子供に対する最後のお務めじゃないかというようなことも申してお勧めをするときもあろうかと思いますけれども、要はこの共かせぎであるがゆえにいやがらせをしたり、やめさしたりするという方針はございません。
  346. 千葉千代世

    千葉千代世君 愛媛の教師の退職の年令ですね。大体男が幾つで、女が幾つでございますか。
  347. 大西忠

    参考人大西忠君) 全体といたしまして五十五才くらいをめどにしてお話をいたしております。ところが、勤務評定に基づいてやることでございますから、早くからお話をしておる人もありますし、それからもうそう早くから言わなくても、言えば後進に道を譲っていただけるという人は、——早くから言わない人もありますが、いろいろでございます。
  348. 千葉千代世

    千葉千代世君 年令は男女同じ五十五才というような原則でございますか。
  349. 大西忠

    参考人大西忠君) 現実におやめになる先生は多少女の方が早いのではないかと思います。
  350. 千葉千代世

    千葉千代世君 多少でなくかなり早いようなデータもございますが、きょうは時間もございませんので省略いたしますけれども、教育長さんはやはり一つ一つ学校のお一人、お一人については詳しく御存じになるひまもございませんでしょうけれども、お帰りになりましてお調べ下さいませ。これは単に共かせぎといっても、婦人教師の中の大体結婚している中の六〇%が教師同士で結婚しておるわけです。共かせぎの率が非常に多いのです。机の上で自分の給料は五万円だ、あの教師とあの教師は共かせぎをして三万円と三万円で六万円だ、ちょっと多いじゃないか、ここをやろうじゃないかというのが、愛媛ではございませんが近くの県でございます。そうすると、これは非常な問題違いであって、後進に道を譲るとか云々ということも大へんいいわけなんですけれども、やはり教育行政者としては児童の定員を、児童数を少なくして教師をふやしていくという、こういう姿勢の中で問題を解決していきませんというと、単に年令とか、それから今勤評とおっしゃいましたが、これは大へんな問題ですが、きょうはやめますけれども、そういうようなものさしでもって勧告をしていかれるということは非常に危険ではないかと、こういうことを考えますので、一つその点を十分に御留意いただいて、県下の婦人教師が安心して男の先生と御一緒に生き生きとして活動して、自由な雰囲気の中でやっていただきたい、こういうわけで、特に退職勧告、それから配置転換、転任等に対しては十分に御本人の実情を聞いて、御本人意思を尊重するという、こういう建前で一つ運営いただきたいと思っております。  最後に、先ほどから宗教問題が、その人の考えを云々で憲法に抵触しないとか、その会合だけで話の材料として出された、こういうふうにお話がございましたのですが、私の調べました資料の中には、研修会が終わったあと参加者全員に一月十五日付で補足として送られたものがございますわけです。それは先ほどから豊瀬委員などから質疑がございました君臣の義とか結語ということでございます。その中にこういうふうな、単に材料としてではなくて、こういうようなことが書いてあります。「今日の日本の最も大きな問題は蓋しこの国内が二分されて混迷していることでありましょう。ドイツの如くに東独と西独に分れておるのではなくして、不幸にして同じ国土の中に二つのものが並存しておるのであります。政府も二つあるといってよい。」、こういうことですね。「政府も二つある」、こういうことを言っておる、私は一つしかないと思っているが。「一つは正しい政府であります。一つは総評であります。」大へんな講師の材料を盛ったものであります。「文部省が二つあるのです。一つは正しい文部省であり一つは自ら文部省を廃止してこれにとって代って天下の文教に号令しようという日教組なのです。」、日教組の運動方針知らないらしいですから今度教えてやって下さいませ。「この恐るべき状態事々に之が問題になるのであります。これ正に日本の最も重大なる而して恐らく之は下手をすれば致命傷になる。いやもう致命的な損害を受けている問題であります。これを解決することこそ今日生き残っている私どもの責任であります。そこで学問はこの問題を解決しなければいけない。」、こういう講習会にわざわざ一月十五日付で講習者全員に送っているという意図は何でございましょうか。それから結語の中には、先ほど松下村塾の問題でこれは参考に話したと言っているのですが、ところがこれはそうじゃないのですね。参考だけではないのです。こういうことが書いてある。「願わくは「松下村塾の記」の如き古典は皆さん毎朝これを読まれてよろしい。毎朝およみになることがつらければ日曜毎におよみになってよろしい。私共の力はそういう所から初めて出てくるのであります。読んで読んで読みぬいて初めてそれは自分の魂にしみわたってくるのであります。すらりと読んでそれで読みおわったという筈のものではございません。日本の道を何によって知るか、こういふものを熟知翫味することが何よりの近道です。」ということをわざわざ全部に送っているということですが、これでも教育長さん、参考人はこれは単なる資料だと言い切れるでございましょうか。その点伺いたい。
  351. 大西忠

    参考人大西忠君) 先ほどもちょっと岩間先生にお答えをいたしましたように、それは講習会が終わりましてから菊地先生が主観としてお配りになられたのでございます。いろいろ日教組の批判等も世間ではあることも事実でございます。菊地先生がどういうようなお考えでそれを言うておられたか、これは私たちにも知るよしもないのでございますが、要はその文書は県の教育委員会とは何ら関係のないものであるということを御理解願いたいと思うのです。
  352. 千葉千代世

    千葉千代世君 なるほど形式的には県の教育委員会とは何ら関係がないとおっしゃいますけれども、講習会が終わって、その全員にこれが配られているわけです。講習会のこれは延長として、跡始末のわけですね。一番大事な跡始末をやっているわけです。そうすると、これは関係ないでは済まされない。たくさんの補助金をもらって女教師の資質の向上という名目をうたって、そうして散会されてから、さらに追っかけて、お前聞き終わっただけではなく、読みに読んで読み抜いて魂にしみ込ませよという文書を流しているのですが、先生御存じですか。
  353. 大西忠

    参考人大西忠君) よく読みました。
  354. 千葉千代世

    千葉千代世君 それについて御存じであって、これは一講師が流したものだから自分には関係がないと、こういうことでございますと、これから講習会がまた開かれるでしょう。文部省でまた助成費を出すでしょう。社会教育も同じように、すべて出されたときに、県の教育行政の任に当たる方がそれは講師がやったことで知らないと、こういうことではのがれられないと思いますが、それについて御所見を伺いたいのでございますけれども。
  355. 大西忠

    参考人大西忠君) 私は講習にはよい教師を選ばなきゃならぬということは御同感でございまして、それを少しも否定はいたしておらぬのでございます。菊地先生のお人柄も私は皆さんよりは多少よく知っておるつもりでございますので、まあいろいろ文章の端々をとらえますれば批判もございましょうけれども、県の教育委員会と何らしめし合わせたり打ち合わせをしたりしたものではございません。また、今後もよい教師を選びたいと思いますけれども、県の教育委員会の講師になった以上は、将来あなたが文章を書くときには全部県の教育委員会に見せてくれぬかというのもこれもなかなかむずかしいことで、りっぱな講師を選ぶということはいたしたいと思いますけれども、その点は県の教育委員会と何ら連関のないものだというふうに考えていただきたいのでございます。事実ないのでございます。
  356. 平林剛

    委員長平林剛君) 千葉委員に申し上げますが、お約束の時間が参りましたから。
  357. 千葉千代世

    千葉千代世君 これで終わりますけれども、県の教育委員会とは関連がない、形式的にはよくわかります。あなた御存じなくて出された、勝手に出された、それはよくわかりますけれども、内容的には非常に深い関連があるというように思っております。個人的には、大へん出された方はいい方だと聞いておりますけれども、しかし、教育行政の任に当たる方は、あの人は個人的にいい方だからこんなことを言ってもそれは帳消しになるというあり方では日本の教育は進まないと思う。けさほども浜見参考人から言われたように、個人的には非常にいい方であって、そうして家の親戚にも当たっている。そうしていつも尊敬しているけれども、こういう場所であるからはっきり言うと、こうおっしゃっているのです。個人的には尊敬しておっても、問題をやっぱりはっきり解明し合って、お互いに問題がどこにあったかということを知り合って、そうして進んでいきたいと、こういう観点で、いい方でございましょうけれども、個人的にいい方だといって、こういうものを出して愛媛先生方が全部これに縛られるといっては大へん言い過ぎます。がんじがらめにされて、学校の運営の中で校長対教師、講習の中では講師対教師、勤評があるとそういう中でお互いに苦しんで、これを言ったらば自分に何か当たりがあるのじゃないかということを考えなきゃならないというところに日本の教育の悲劇があるのじゃないか、こういう意味で一つ、くどくは申しませんけれども、これは私は内容に関連があるということを考えますが、どうか一つ御研究いただきまして、今後の講習におきましてはよく初めから終わりまで、また憲法教育基本法の精神に沿って運営されますように特に希望いたしまして質問を終わります。
  358. 野本品吉

    ○野本品吉君 もう時間がありませんから、私は具体的な質問を申し上げますことは一切これを省略いたします。ただ、今朝来遠路おいで下さいました参考人方々からいろいろとお話を承り、質疑応答を通じまして、私の心に強く印象づけられ、また考えさせられた点がありますので、私の所見を申し述べまして質問にかえたいと思います。  これはかつても、この委員会で私は申したことがありますが、教育あるいは教科の成り立つ絶対的な、そして最も基本的な条件は、信頼ということだと思います。信頼のないところに教育、教科の作用はありません。教師が父兄を信頼し、父兄が教師を信頼し、子供が先生を、先生が子供を、この相互間における信頼の上においてのみ教育、教科の作用はあり得る。従って、そういうものが本日の参考人のお言葉を通じまして欠けておるということを考えました。不信、あるいは猜疑、対立、憎悪、そんなところには教育は幾ら言葉で美しいことを言っても、文字で美しいことを書きましても、ほんとうの意味の教育、教科の作用はあり得ないと、こう思う。で、私は愛媛教育関係されます皆さんが、不信とか猜疑とかいうことを、お互いに信頼し合う境地へと志して進んでいただきたい。対立あるいは憎悪ということでなしに、お互いに尊敬し合う境地を建設することに御努力をいただきたい。かようにいたしまして、文字通り協力一体、相互間信頼、その上に愛媛教育の発展と進展はあり得る。こういうことにつきまして、大へんおこがましいなまいきなようなことでありますけれども、きょうの委員会における質疑応答を通じまして、私の頭に強く考えさせられた点を申し述べます。  さらにもう一点は、教師を萎縮させて子供を伸び伸びと育てようということは注文が無理です。伸び伸びした教師によってのみ伸び伸びした子供が育てられる。このことをぜひお考えをいただきまして、全愛媛先生方が伸び伸びと物事をお考えになり、そうして伸び伸びとした子供をお育て下さるように、以上大へん説教がましいことを申しましたけれども、一切がそれに尽きるように私は思います。あえて愛媛教育の今後のために、同時に日本の教育のために、本日いろいろ伺いました所見を率直に申し述べまして質問やらごあいさつにかえます。
  359. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 お疲れのところ朝からいろいろとお聞かせいただき、また伺わせていただいたわけですが、いずれ速記録に基づいて、本院においては行政府との間で事の解明をはかるわけでありますけれども、私本日のこの委員会で受けた強い印象の二、三点について申し上げておきたいと思う。この点については、参考人のそれぞれにおいて矢嶋意見の相違があろうかと思いますけれども、私は次のような印象を受けた。ついては、その線に沿って愛媛県の教育が進展するように努力していただきたいという念願を含めて申し上げたいと思います。  その一つは、その意図のあるなしにかかわらず、愛媛県の教育行政面には教職員組合への不当介入、切りくずし工作が全県下にわたって強弱の差はあれ、ともかく現存している。地公法違反的な行政実態が存在している、かように私は考えます。これは大西参考人あるいは浜見参考人の意図するところじゃないかもしれませんけれども、現実に愛媛県の末端教育界にそういう現象があるという私は判断をいたしました。そうして愛媛県の先生方の中には、それは大西参考人あるいは浜見教育委員の眼から見て満足されないような方が一部にあられるかもしれません。しかしながら、全般的に愛媛教育のために努められている先生方が、かような教育行政下のもとに不安が常に、教員組合に在職するがゆえにというので不安な雰囲気の中に常に萎縮した状況であるということは、私は組合員に残って三千人未満の愛媛県の先生方が非常にかわいそうだという気持を持っております。それはかわいそうだということだけでなくて、このことは愛媛県の末長き教育への進展、愛媛県政の発展のために大きなマイナスである。この点については、あるいは教育行政官の側から見れば、先生方に非があるという見方をされる向きがあるかもしれませんけれども、私はやはり教育行政官がその行政当局の人が先生方を採用して、そうして働いていただくわけなんでありますから、そういう教育が振興するような環境雰囲気を作るべく、先に教育行政当局は努力をされる義務が私はあると思うのです。その点でさっき冒頭に申し上げましたが、憲法二十八条からくるこの組合というもの、これを積極的に認めるのか、それともこれを認めないか。あるからいたし方ないというお考えか。それともそういうものを認めないで、できれば切りくずしないと、こういう立場か。幾つかの立場があるかと思いますけれども、私の判断では、やっぱり組合への不当介入、切りくずし、願わくは組合が弱くなってほしいという、意識するとしないとにかかわらず、そういうものが根底にあるところに今の愛媛教育界の混乱があると、かように私は認識いたしました。この点が皆様方と一致するかしないかは別ですけれども、きょう伺った矢嶋はそういう印象を受けた。ついては、愛媛教育の進展のためにそういう盲点、欠点の打開に教育行政の衝にある人からまず努力していただきたいし、また先生方もそれに、そういう教育環境雰囲気というものができ上がるように努力をしていただきたい。そういう方向にいくことを私は祈念いたします。いずれ皆様方の口述いただいた速記録に基づいて立法府は立法府の責任において事の解明をやっていくつもりでございます。  以上参考に申し述べます。
  360. 平林剛

    委員長平林剛君) 他に質疑もなければ、本件につきまして参考人からの意見聴取はこれをもって終わります。  参考人各位におかれましては、長時間にわたり本委員会調査に御協力をいただきましてありがとうございました。  速記をとめて。    午後五時二十九分速記中止      —————・—————    午後五時四十分速記開始
  361. 平林剛

    委員長平林剛君) 速記をつけて。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十一分散会      —————・—————