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千葉千代世君 やはりこれは
文部大臣と私は大
へん考えが違うのです。今世界の
教育の情勢の中で一番大事なことは、その子供の持っている個々の才能を十分に生かしていくという政府の配慮の中で、適性適職の問題も考えられるでしょうし、いろいろございますけれ
ども、やはり何といってもこの子供の持って生まれたものを引き出していくというお役目は国の責任であるとするならば、当面やはりこれは給与にしていくべきじゃないか。ここに国会図書館で
調べました一九五八年の資料がございますけれ
ども、その中には九カ国だけ抜粋してみたのですけれ
ども、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア、西独、東独、ソ連、中共、中華民国、こうございますが、その中で
貸与にしているという国は、アメリカが給与と
貸与だけでございまして、あとはほとんど給与になっておるわけであります。ただフランスが、給与がほとんどであるけれ
ども、
貸与もある、こういうふうなやり方で、対象は
大学、それから
高等学校いろいろございますが、フランスだとか、ソ同盟その他は中等
学校までこれを適用するし、イタリアは小
学校児童にまでずっとやっておりますね。もっともやる種類によっては違いますけれ
ども、非常に広い範囲で、自由濶達にその国に生まれた子供たちに対して国の深い配慮が払われているわけでありますけれ
ども、総額及び単価についても、たくさんな
費用を払われている。特に同じ資本主義であるイギリスの例をとってみますというと、これは
本人に
奨学金をやるだけではなくて、お家が貧しい場合には、その家の生活費の一部をまかなっている。これは生活保護その他の保護もいきますけれ
ども、それと並行して、ダブってもやっているわけなんですね。
本人の生活費を扶助している。私も向こうへ行きましたときに、
奨学金について特に
調べてきたのですけれ
ども、イギリスで、この表によると、八五%の
大学生が奨学資金を受けておる。それは返さなくてもいいという。私もおやつと思って、国の税金で払ったのですから、やっぱり返さなくてはいけないのじゃないでしょうかと聞いてみたのです。ロンドン
大学に行ってみたとき、その
学生たちが、僕らは奨学資金をもらって勉強している、卒業したらば一生懸命働いて税金を納める、その納めた税金が自分らの子供とか、兄弟にまた返っていくのだ、だからこれは国民の
義務として税金を納めているからには当然の権利だ、
育英資金を借りた子供たち、生徒たちは、こう喜んで喜々として希望を持って勉強している。ですから、
お金を借りてにこにこしているという姿を私初めて見たのですが、それはやはり自分が税金を払ってそれが役に立つ。今すぐ、自分が
育英資金を借りたら、これを四カ年計画で返せとか、二十年計画で返せとか、こういう拘束はないのです。ですから、非常に信頼して勉強している。ソ同盟、東独、その他もちろんでございますけれ
ども、日本と同じような資本主義の国の中で、やはりイギリス、フランス、イタリア、西独、それからずっと社会保障のできておりますデンマーク、スエーデンとかを見ていっても、どの国でも当然の権利のようにされているわけです。ですから貸した方も、これ貸してやったぞというおごる姿もないし、借りた方も卑屈になっていないで、やっぱりその国の生産のためにお互いの力を出し合って、適性適職の補導と相待ってこの
育英会制度がされているということを考えた場合に、単なる英才
教育で競争を深めていくというようなやり方はしないということをしみじみと考えたわけなんですが、従いまして、選考条件についても、才能ある貧困な者、その家庭の収入状況に応じて
育英資金をやっている。イギリスの場合ですと、ここに八五%とございますが、私
ども行きましたときは八七%くらいになっていたのじゃないか。これは日本より
大学の数も少ないのですけれ
ども、ですから炭鉱に働いている
方たちも、貧しい駄菓子屋さんの子供たちであっても、地域的にも、スコットランドのずーっと奥の島の者も、ロンドンの者も、そういう者たちに、全体の視野から立って、そしてこれを国の責任で遂行していく。こういうことを考えたときに、日本では今貸した金を一生懸命よこせよこせと、人のふところに手を突っ込んで取るような
育英会を作っておりますけれ
ども、私は非常に悲しい現状に考えているわけなんですけれ
ども、後ほどまた資料も出てきましょうから、その点について、やはり
日本育英会制度については、抜本的な考慮をこの際払っていただきたい。ですから一部
改正よりも、全面的
改正を私はなぜ出さなかったか。こういうふうに考えます。そういう点についても、十分な考慮を払っていただきたい。
次の質問もございますが、またの機会に譲りまして、一応とめておきます。資料の先ほどの要求について、よろしゅうございますか。