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矢嶋三義君 私は日本
社会党を代表いたしまして、本
法律案に賛成の討論をなさんとするものであります。賛成の討論をなすに際しまして、若干希望条項を申し述べ、また、今後の法の運用について要請もいたし、賛成討論といたしたいと思います。
まず、この大阪大学に
基礎工学部を設置すること、このことは非常に適切でありますが、文字
通り基礎科学の振興に役立つ
ような
基礎工学部である
ように公正運用していただきたい。かりそめにも大阪大学の第二工学部的な性格にならない
ように、この法の提案
理由その
通りに心がけていただきたい。
それから宇都宮工業短期大学、長岡工業短期大学、宇部工業短期大学を設置したことに対しまして賛成をいたします。ただし、これは
質問をする予定でございましたけれども、
委員長の御要請もあり、与党
委員の方々の心中も察しまして
質疑を取りやめましたので、特に要望いたしておきますが、こういう新設大学の発足に対しまして、地元の
負担を過重にすることのない
ように、この点については特に
文部大臣において配慮していただく
よう強く要請しておきます。
次に、名古屋工業大学の短期大学と九州工業大学の短期大学を廃止して、夜間の学部と相なることになっておりますが、これまた年次計画でやられたことで適切だと思います。しかし、
質疑の段階にございました
ように、
国立学校設置法の中に、このいずれの大学に夜間部の学部を設置しているかということが国民に明確にわかる
ように、近き将来に設置法の手直しを強く要請いたしておきます。と同時に、段階に明確にいたしました
ように、わが国の国民所得、さらに科学技術者の養成が要請されているところから、それらを勘案して、夜間部の学部を正常な全国的視野からの配置を考慮していただき、御
答弁にありました
ように、推進に当たっては
行政府において特に努力される
よう、これも希望いたしておきます。
批判を申し上げたい点は一、二ございます。これは将来のために、本法案に賛成でございますけれども、批判いたしておきたいと思います。それは、広島大学に原爆放射能医学研究所を新設されたわけでございますが、これは
質疑の段階にも応答がございました
ように、科学技術庁
所管の研究所との
関連において、はたして適切であったかどうかという点には疑問がございます。わが国の科学技術の振興と研究所を大規模なものをこしらえる必要があるということは衆目の認めるところです。さなきだに
関係予算が貧弱でございますので、最も効率的に成果を上げるためには、
質疑のときに
大臣の所見もただしましたけれども、
調査会等を設けて、各省庁
所管付属の各研究機関に重複している点はないか、不能率な点はないかという
ような点を
調査されて、合理的に、国全体という
角度から研究体制を整備強化することが世界の進運におくれないのみならず、先んじていく
立場からも、きわめて重要なことと思いますので、この点については科学技術庁を初め、
関係省庁とも十分連携をとって今後研究をされ、近き将来にわれわれに何らかの形で
審議が要請されることを期待いたします。
それから、批判申し上げたい、そして御
注意申し上げたい点は、法案提出の手続であります。この点については、
質疑の段階にある程度尽くされましたけれども、何と申しましても、同一国会にほとんど日を同じうして、実質的に同一
内容の
法律案が同じ内閣の手によって立法府に提出されたということは前古未曽有のことで、まことに遺憾に思います。その上、この
法律案の
内容説明について、第一院と第二院における説明に根本的にやや食い違いがあったり、本一日間における当院の
質疑段階に、今後の学制制度のあり方、方向づけについて
答弁が若干食い違って、その
答弁の取り消し是正をしなければならないという
ような点は、法案を出した
行政府において明確なる
見解の統一がなされていなかったものと考え、まことに遺憾千万であります。このことは将来に問題を残すと思いますが、しかし、先ほど
豊瀬委員との
質疑において明確に一応なりましたので、それを前提として、わが日本
社会党は賛成をいたします。
あらためてはっきりと申し上げておきますが、工業短期大学に付属するところの工業
高等学校は存置するのである。そうして衆議院で
答弁されました
ように、二年の短期大学では不十分であるから、三年の付属工業
高等学校を併置して、一貫性を持った中堅工業技術者の養成を企図したものである。しかして、これを伝えられるところの工業高等専門
学校等に移行する考えはさらさらない。この最終確認を前提として私は賛成をするものであります。従って、三年と二年、合わせて五年制の一貫した中堅工業技術者養成を
目的とする工業高等専門
学校等の存在価値はありません、私の
見解では。従って、要望としては、伝えられる
ような工業高等専門
学校等の法案提出は断念することを強く要請をいたします。私ども先ほどの
答弁を承って、この法案に本国会において賛成したものといたしましては、伝えられる工業高等専門
学校の法案のごときは
審議の対象とならない。
審議することはできないと私は考えていることをはっきりと意思表示をいたしておきます。
それから次に、この
質疑の段階でできませんでしたので、ここで討論の中で意思表示をし、御要望を申し上げたい点は、国立
学校の学部あるいは大学をここに増設する法案を可決するわけでございますけれども、常に叫ばれている研究者の給与の問題、特に教官研究費の問題については、若干改善はなされましたけれども、当院における過去の
速記録をひもとくときに、その公約が実現されておりません。このことは、本国会で他日機会を得てあらためて
質疑をいたしたいと思いますが、国立
学校の設置法の一部を
改正する
法律案の討論に際して、特に教官研究費等については、世界の進運におくれない
ように今後十分配慮されることを強く要請をいたしておきます。でなければ、学部を増設し、新たに大学を、あるいは研究所を増設するのみでは、所期の
目的を国家としては達成することはできないと思いますし、このことが
教育目的、科学技術の振興に根本的な
一つの要因となりますので、あえて討論の中で意思表示をいたしておくわけであります。
最後に、
質疑のときにちょっと触れましたが、科学技術者の養成計画について、国立
学校並びに付属研究所等を
所管している荒木
文部大臣は、池田内閣の同僚
国務大臣池田科学技術庁長官から手きびしい勧告を受けております。その勧告の
内容の受け取り方において両
大臣に差異があるということは、これはきわめて重要なことと考え、ある
意味においては内閣の責任問題だと私は思います。従って、
質疑の段階に要望申し上げました
ように、
関係大臣と早急に協議され、その意識統一をはかられて、あらためて適当なる機会に、本
委員会においてその結果を報告されることを最後に要望いたし、本
法律案に日本
社会党は賛成の意思を表明するものであります。