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1961-02-21 第38回国会 参議院 文教委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年二月二十一日(火曜日)    午前十時二十五分開会    ——————————  出席者は左の通り。    委員長     平林  剛君    理事            北畠 教真君            近藤 鶴代君            野本 品吉君    委員            小幡 治和君            杉浦 武雄君            高橋進太郎君            千葉千代世君            矢嶋 三義君            米田  勲君            岩間 正男君   国務大臣    文 部 大 臣 荒木萬壽夫君    国 務 大 臣 池田正之輔君   政府委員    科学技術政務次    官       松本 一郎君    科学技術庁長官    官房会計課長  丸居 幹一君    科学技術庁計画    局長      久田 太郎君    科学技術庁振興    局長      原田  久君    文部政務次官  纐纈 彌三君    文部省初等中    等教育局長   内藤誉三郎君    文部省大学学術    局長      小林 行雄君    文部省管理局長 福田  繁君   事務局側    常任委員会専門    員       工楽 英司君   ——————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠互選の件 ○教育、文化及び学術に関する調査  (昭和三十六年度文教関係予算に関  する件)  (当面の文教政策に関する件)    ——————————
  2. 平林剛

    委員長平林剛君) ただいまより文教委員会を開会いたします。  まず、理事補欠互選についてお諮りいたします。委員の異動に伴いまして、当委員会理事が現在一名欠員となっております。互選は慣例によりまして、成規の手続を省略し、委員長にその指名を御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 平林剛

    委員長平林剛君) 御異議ないものと認め、委員長より野本品吉君を理事に指名いたします。    ——————————
  4. 平林剛

    委員長平林剛君) 次に、委員長及び理事打合会の経過につき御報告いたします。  去る二月十六日の理事会におきまして協議の結果、本日は前回に引き続き昭和三十六年度文教関係予算及びその他当面の文教政策に関し調査を進めることに決定を見ました。  以上、理事会決定通り調査を進めたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 平林剛

    委員長平林剛君) 御異議ないものと認めます。  それでは、昭和三十六年度文教関係予算を議題として調査を進めます。  質疑の通告がございますので、この際発言を許します。
  6. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私は本日許された時間内で科学技術振興の件と、それに関連する工業教員養成の問題にしぼって伺いたいと思います。  科学技術庁から政務次官並びに計画局長お見えになっておりますから承りますが、所得倍増計画に伴う技術者不足をどういうふうに把握しておられるか、大学卒業技術者、それから工業高等学校卒業者不足というものを、将来どの程度数字をつかんでおられるか、その充足計画をいかに考えておられるか、簡明にお答え願います。
  7. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) お答え申し上げます。  今日、技術革新の時代を迎えまして、各国とも科学技術者充足計画というものを科学技術振興長期計画のまず第一歩として取り上げております。これにつきましては、英国、西ドイツ等も同様でありまして、わが国におきましても、このたびの所得倍増計画の線に沿いまして、これに伴う科学技術者充足計画というものを検討いたしました結果、先般、昨年の十月四日の科学技術会議の第一号答申におきまして、大学理工系卒業生の今後十年間における不足数が総数で十七万人、それから工業高等学校卒業生不足数が約四十四万人という推定をいたしました。これに対しまして、政府としましては、逐年計画的にこれが充足をはからなければならないということでございますが、とりあえず昭和三十六年度におきましては、理工系大学卒業生につきましては、先般の八千人増員計画が一応終わりまして、現在二万七千六百人の定員ということに、学生定員になっておりますが、これを昭和三十六年度におきましては、二千六百人増加するという予算を計上いたしておりますが、なお、今後の目標としましては、できるだけ早く一万六千人増員する、つまり先ほど申しました二万七千六百人プラス一万六千人、そういう学生定員にできるだけ早く到達するように考えて参りたい、そのように考えております。  それから工業高等学校の方につきましては、現在約八万六千人の生徒定員になっておりますが、これを昭和三十六年度におきましては約一万人増員するという計画を立てておりまして、これにつきましても、逐次年次的な計画をもって、先ほど申し上げました不足数をできるだけ早く充足できるように計画を進めて参りたいと思います。なお、工業高等学校先生充足計画につきましては、特に国立大学等臨時養成所を設けまして、これに対する対策を立てて参りたい、このように考えております。
  8. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大体、私の承知している数字を確認願ったわけですが、そこで文部省側に伺いますが、何ですか、三十六年度一万人生徒を増員するにあたっては工業高等学校新設するわけですが、伝えられるところによると、公立二十四校、私立二十校を目途としているということですが、そういうことであるのかどうか。それで、公立を二十四校、私立を二十校建てるとすれば、公立並びに私立に対するその助成策というものをいかように考えておられるのか、お答え願います。
  9. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまお尋ねの点でございますが、まず、公立工業高等学校助成につきましてでございますが、これにつきましては、今後技術者不足に備えまして三十六年度からこの高等学校増設あるいは拡張をやっていきたいというような考え方で、一般校舎につきましては予算約二億弱をもちまして、三分の一の補助でございますが、校舎整備をはかっていきたい、こういうような考え方でございます。  そのほか、この学年進行等によりまして、もちろん従来の産業教育振興法に基づきますととろの実験実習施設に対する補助あるいは設備に対する補助というものも当然あわせ考えていきたい、こういうように計画をいたしております。  私立工業高等学校についてでございますが、これは御承知のように、公立高等学校に比較いたしまして私立の方は従来まあ工業がふるわないというような実情でございましたが、しかしながら、私立高等学校におきましても最近工業課程を置くものが漸次ふえてきております。そういった関係上、やはり私立高等学校におきまして相当な受け入れ態勢というものを整備する必要がございますので、これにつきましては、建前といたしまして一般校舎については、私立学校振興会融資を通じまして、これに、かなり長期の、しかも従来よりも低利の利息をもちまして融資をするというような考え方で進んでおるわけでございます。それから、実験実習施設につきまする補助、あるいは設備につきまする補助につきましては、公立高等学校と同じような考え方で進んでおるわけでございます。これは二分の一の補助になっております。
  10. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 現在、工業高等学校並びに普通高等学校新設希望というものは都道府県にどのくらいあると把握され、また文部省としてはどの程度新設してほしいと、最小限これだけは新設せねばなるまいという立場に立って予算を編成されているのか、その数字も承っておきます。
  11. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 工業高等学校増設につきましては、高等学校一般的な急増がございますので、その急増と関連しながら、同時に所得倍増計画、十カ年の計画がございますので、それに即応できますように、現在のところ八万入を養成したい、こういう計画を立てておりまして、初年度三十六年度一万人、それから三十七年度以降当分の間一万五千人ずつ増募計画を立てて八万人を養成したい、こういう計算をしておるわけでございます。で、四十四万人の不足が想定されますので、最終年度に八万五千人を増募いたしますと、十カ年計画で大体四十四万充足され得る、こういう見通しでございます。
  12. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 学校の数のことは。
  13. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校の数は、それに必要な人員が問題でございますから、一つは既設の工業学校への学級増加が相当多いのでございます。それから、なお普通課程から転換するもの、あるいは農業高等学校から転換するものもございますので、今新設を、どの程度になるのか各県からの希望を集計しておるところでございますので、まだ明確に把握しておりません。
  14. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣がおいでにならないと非常に質問しづらいわけですが、全体的なものをもう少し明確にお答え願うように要望して、さらに伺います。  計画がはっきりしていないと思うのですね。で、まず管理局長に伺いますが、一体何ですか、三十八年からのベビー・ブームに対する高校急増対策として、こういう予算で大丈夫なんですか。工業高等学校について一万人ふやすというのですが、補助金が一億九千二百万円でしょう。こういうことでやれる自信持っているのですか。  それから、産振法に基づく補助金が今度かなり大幅にふえて約十七億七千万円になっていますが、この十七億七千万円が、これはかなりふえたわけですが、これは新設工業高等学校に重点的に助成をするというような含みがあるのかと思うのですが、それに対する確認。  それから私学振興会に八億円出資を今度ふやしたわけですね。この内訳がまだきまっていないということですが、あまり細分して私学振興会出資するのもどうかと思う。ある程度私学振興会配分等についてはまかしていいかと思うのですが、伝えられるところによると、この新たに八億円の出資をする中には、私立工業高等学校向けのが一定のワクをはめて私学振興会出資されるのだということを承っておりますが、そういう事実があるのかないのか。あるとすれば、どの程度ワクを与えようとしているのか、お答え願いたい。
  15. 福田繁

    政府委員福田繁君) ただいまのお尋ねでございますが、もちろん工業高等卓校新設あるいは拡張につきまして、私ども所得倍増計画に伴います全体の計画としては相当な資金が要るということをもちろん認識いたしておりますけれども、しかし、今後この拡張あるいは増設を進めますにつきましては、少なくとも前向きに整備をしたいということが第一の主眼でございます。従いまして、五年間の一応の期間をもちましてこれを整備していくにつきましては、必ずしも均等にこれを考えなくてもいいのじゃないかというような感じを持っておるわけでございます。従いまして今年、三十六年度の一億九千万ばかりのこの校舎一般整備費補助でございますが、これは先ほど申し上げましたように、三分の一の補助でございますけれども、必ずしも私ども十分ではないとは思いますけれども、しかし、初年度といたしましては、現在各府県で計画いたしております大体の新設工業高校がほぼ六十七、入校という数に上っておるわけでございます。ところが、これはまだ県のいろいろな事情によりまして、これからそれを確定するまでには相当の時日がかかる。従って、現在一応の計画は六十校以上に上っておりますけれども、いろいろな関係から、これが県で確定いたしますと、さらに数字は減ると思います。従って、初年度計画といたしましては一応一億九千万程度で、これで一般校舎整備は何とかやっていきたい、こういうように考えておるわけでありまして、県の方の計画が確定いたしますと、とれについての計画もはっきりいたすわけでございます。必ずしも十分とは申しませんけれども、一応初年度としては出発し得る予算だと考えております。  それから第二の点でございますが、私学振興会を通じまする出資金については一応八億円という出資金がきまっておりますが、これにつきましては一応私ども計画いたしました際の積算基礎はございます。積算基礎といたしましては大体、工業高等学校拡張分に約三億というものを予定しておるわけでございます。ところが、私立工業高等学校の方の創設、拡張を大体昨年の暮れ現在で押えて調べてみますと、大体十一校程度じゃないかというように思っております。しかしながら、この計画も一応の計画でございますので、さらにこれは詳細に確定するのを待ってみなければ、もう少しこれが減るかもわかりません。従いまして、考えますと、その三億というワク予定いたしましても、必ずしも三億が要らないかもしれないというような感じがいたすのでございます。そうしました場合に、ただいま仰せのように、これを、三億というものを工業高等学校のみに充てて、ほかには充てられないというようなきついワクをかけますと、その点は資金の融通としては非常に因るわけでございます。従って、一応そういう積算基礎はございましても、重点的に工業高等学校にまず第一次的に充てるということは、予定はいたしますけれども、他の緊急なものもいろいろございますので、そういった際にはそれに融資ができるような道は開いておきたい、こういうような考えでございます。
  16. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 産振補助の問題は。
  17. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) それは私からお答えいたします。  本年度産業教育振興法予算十七億七千万円の中で工業高校新設拡充に向けられるものが約四億五千万程度あるわけでございます。そのうち一億数千万円につきましては今までの拡充がございますので、それに充てる。で、今日まで、技術者不足しておりますので、公私立を含めまして三カ年間に一万三千六百人ほどの増募ができたわけでございます。その関係施設設備に一億数千万をさかざるを得ない。それから、新設分といたしまして約三億三千万ほど計上されております。この三億三千万につきましては八十五課程一万人の増募でございますので、三十六年度にすでに生徒増募を確定したものを優先的に見ていきたい、これで、特に工業学校拡充がおもでございますが、拡充あるいは普通課程からの転換農業学校からの転換等で半分くらいの予算はそれに充当せざるを得ないと思っております。残り半分を校舎新設と相持って管理局と両局で十分相談いたしまして遺憾のないように処置したいと、こう考えております。
  18. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 わかりました。  大臣が来るまで少し数字を聞いておいて、それから大臣に要点を集約的に聞きたいと思いますから、できるだけ簡明に一つお答え願いたいと思います。  高校急増対策として三十億円の起債が認められることになったのですが、この内訳はどういうふうに使われる予定でございますか。
  19. 福田繁

    政府委員福田繁君) 起債の問題につきましては、一応自治省の方でいろいろ御計画があるように伺っておりますが、私ども現在自治省の方と相談をいたしまして、中身はこういう工合にやりたいといういろいろな希望は申し出ておりますが、まだ確定いたしておりません。しかしながら、考えられますことは、三十億の中で危険校舎の改築、それから定時制高等学校整備、そういうものに大体従来の実績から考えますと九億ないし十億程度資金が要ると考えております。従いまして、残る約二十億というものは新設工業高等学校その他の課程のものに充てられるというような勘定になるわけでございます。従いまして、その具体的な配分計画等につきましては今後十分自治省と連結をとってやりたいと思います。
  20. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 科学技術庁計画局長に伺いますが、この工業高校の八十五課程内容を私検討したんですが、これでいいんですか。どういうふうな見解を持っておられますか。  私見を申し述べれば、原子力科並びに電子工学関係は今から養成しておかなければ間に合わないと私は考えるのですが、こういう近代科学の各科を設けるとなると、施設設備に非常に予算を必要とすると思うのです。県立でできなかったら、公立でできなかったら、国立で、大学に付設するような形でもよろしい、国立高等学校というものをこしらえて、そうして大学にある施設設備も利用するという形で原子力関係それから電子工学関係、こういう方面の高級、中級の技術者養成を今から年次計画をもってやらなければ、私は世界の進運に追いつかないと思うのですが、この八十五課程内容を検討して、私、非常にその点を不思議に思うのですが、科学技術庁計画局としてはどういう見解を持っておられるのか承りたい。
  21. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) ただいま御質問の趣きにつきましては、先般の科学技術会議の等申、審議の過程におきましてもいろいろ文部省等から資料をいただきまして検討されましたが、これらの詳細な内容につきましては、さらに文部省において、いろいろ審議会等の議を経て御検討願うということになっておりますが、しかし、科学技術庁におきましても、今、技術革新の大きな柱でありますところの電子工単あるいはそれに伴うオートメーション、原子力そういった方面に大いに力を入れなければならないという点については同感でございます。
  22. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 そういう点に私は非常に将来を見通し計画というものが欠如している感じを常々持っております。この点は注意を喚起しておきたいと思います。  いずれ大臣に伺いますが、次いで伺いたいことは、これらの養成をするにあたって必要な教員ですね、工業高等学校教員臨時的に養成されるということを承っているのでありますが、一体、工業高等学校教員がどのくらい不足するという見通しを持たれ、その充足計画をどう考えるか。それから国会に提案されるといわれる工業高校教員臨時養成所ですね、その内容はどういうものであるか、その骨子事務当局から承りたい。
  23. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 御承知のように、高等学校先生につきましては現在特別の養成学校があるわけではございませんので、一般的に、それぞれ専門大学を出まして、その間に教職単位をとったというものに対しまして免許状が与えられるという制度になっておるわけであります。工業高等学校先生につきましては大体、これは国公私立でそれぞれ免許状の申請をするものがあるわけでございますが、ただ工業につきましては御承知のように、従来から国立大学に特に工業高校先生養成する意味をもちまして、教員養成課程というものを九つの大学に付設をいたしまして、定員としては百三十人程度定員があるわけでございますが、そういった養成施設状況でございますが、ただ最近のいろいろの需給状況というものを見てみますと、ただいま申しました、大学を年々卒業する新卒の免許状取得者というものは、国公私立を通じて毎年千人近い数があるわけでございますが、しかし、実際その免許状を取得した者の中で、先生を志願して採用されるという数はその四分の一の二百五十人ぐらいしかないという状況でございます。先ほど申しました……。
  24. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 答弁中大へん失礼ですけれどもね、そういうことはよろしゅうございますから、どういうふうに不足する、幾ら不足する、ついては、だからこういう方針で充足するんだ、臨時教員養成所なるものはどういう内容でやろうとするんだという骨子数字をもって教えていただきたいと思います。
  25. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 大体、先ほど来のお話のありました急増計画高校急増ということも関連いたしまして、従来不足の上にさらに急増ということが出てくるわけでございますので、これは私ども推算でございますが、約八千人程度のものが今後十年間に必要であるのではなかろうかというふうに推算をいたしております。これは文部省の推計の数字でございます。これをどうやって解消するかということでございますが、一つにはこれは急場でございますので、民間からのいろいろそういった技術面の専攻を持っている者をできるだけ工業高校先生に迎えるという方法、あるいは高等学校なり中学校でそういった免許状を持ちながら他の教科を受け持っている先生もあるわけでございますので、そういう方もできるだけ工業の方に迎え入れたいということもあるわけでございますが、そういった者を引きましても、これは非常にまだ足りないのでございます。で、先ほどお尋ねのございましたように、臨時特別措置といたしまして、今年度から国立大学に特設の教員養成所というものを付設いたしまして、そこで工業教員養成することにしたい。これは暫定的な措置でございますが、そういうことを考えておるわけでございます。大体、私どもといたしましては、年々八百人、まあ明年は八百八十人でございますが、八百人程度の者を確保していく、需給状況がバランスのとれるまでこの制度を続けていくようにいたしたい、かように考えておるわけでございます。
  26. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 それじゃ私から個別に伺いましょう。予算書を見ると、一億五千三百八十六万九千円、約一億五千万円計上しているようですが、本年度は八百八十人、三十六年度ですね、で、約八千人不足すると、充足するまでというのは、何年間ぐらいこういう臨時教員養成所というものを置く予定を考えているのですか。
  27. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは先ほど申しました需要——十年間に必要な教員需要推定数字にもよるわけでございますが、私どもといたしましては、とにかく当分の間、少なくとも最低十年程度は必要であろうということを今の場合考えております。
  28. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 教授、助教授、講師の数は幾らにするつもりですか、一学科について。
  29. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは従来ございました短期大学同様に、一・一・一の比率で充足していきたいと考えております。
  30. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 授業料徴収するんですか。
  31. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 徴収いたしますが、できるだけ他のたとえば大学あるいは短期大学に比べて低い授業料養成することにいたしたい。まだ最終的にはきまっておりませんが、あるいは場合によっては徴収を一部免除するというようなことも考えたいと思います。
  32. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 貸費制度をとるのですか。とるとすれば額は幾らですか。
  33. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 貸費制度につきましては、日本育英会一般奨学制並び特別奨学制貸費をその養成所生徒につきましても行ないたいと思っております。従って、単価は普通の場合と同様でございます。
  34. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 卒業教職につく義務づけがなされるのですか、なされないのですか。
  35. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) これは特に義務づけはいたしません。しかし、ただいまの構想といたしましては、先ほど申しましたような授業料徴収免除を一部行ないたいと思いますので、養成所を出まして工業教員にならない者につきましては、免除を猶予するということを行なわないようにしたいと思っております。
  36. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 高等学校教員一級普通免許状を取得するためには、一般教育科目が、免許法において三十六単位、それから専門科目教科に関するものが六十二単位教職に関するものが十四単位となっておりますが、これだけの単位を修得できるのでありますか、どうですか。
  37. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) この養成所修業年限は三年の予定でございます。御承知のように、短期で養成する必要がございますのと、もう一つは、四年制の技術大学を出ました者は、いずれも産業界に吸収されるという実情でございますので、三年の修業年限ということにただいま予定をいたしております。従って、授業時数は平素の場合より多少少なくなるわけでございます。私どもの今の計画では、大体九十単位から百単位ぐらいの単位になろうかと思っております。この場合、できるだけ専門科目を多くして、いわゆる専門教科につきましては、一般の場合に比べて決して実力的に劣らないようなものを作っていきたい、かように考えております。一級免許状資格には及びませんので、これにはできれば二級免許状を出したい、かように考えております。
  38. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 二級免許状を出したいと言っても、現行教育職員免許法では免許状を出されないじゃありませんか。
  39. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 工業教員養成所設置法におきまして、暫定的に教育職員免許法の一部改正をお願いしたいというふうに考えておるわけであります。
  40. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 九大学に付設するそうでありますが、その九大学からは希望をとったのかどうか、九大学希望をしなかったならば、その大学は付設することをお断わりすることができるのかどうか、その辺はいかように取り扱っておられるか、お伺いいたします。
  41. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 実は昨年予算編成の時期から、各ブロックに一つ程度ということで、それぞれ大学を選定いたしまして、御相談をいたしております。最近におきましても、予算案の提示がありましたので、その後も御相談いたしております。現状におきましては、特にこれを断わるという大学はございません。いろいろ御希望は出ておりますが、私ども許す範囲内で、大学側の希望に沿って参りたいと、さように考えております。
  42. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 大臣がお見えになりましたから、両大臣に、先刻来事務当局から伺いました数字基礎に若干お伺いいたします。  まず、科学技術庁長官に伺いますが、科学技術庁長官は視野が非常に広くて世界的視野を持たれており、自由国家群も共産国家群も視察されておられるのでありますが、今の日本の科学技術振興行政で、一番欠けている面は、どういう点だと御認識なさっておられますか。
  43. 池田正之輔

    ○国務大臣池田正之輔君) どこが欠けておるかと申しますと、これは相手国との比較の問題になると思うのであります。そこで、ソ連やアメリカに比較すれば問題にならない、それは給与体系の面においても、あるいは待遇の点においても、研究設備その他におきましても、いろんな面でこれは問題にならない。しかし、その他の国に比較してはそれほどじゃない。ただ、劣っておるのは、特に研究職員や何かに対する待遇が、現在の状態では、これでは満足していけない。そのために大事な研究職員や何かが、ときによると民間に吸収されるというような結果を生じておるのでありまして、これは極力官庁の整備その他によって押えていきたい、さように考えております。
  44. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 長官、伺いたいんですがね。何とことしの科学技術庁関係予算は貧弱なことですか。一般会計予算は二四%も伸びたのに、おたくの予算は約五億四千万円しか伸びていませんよ。どういうわけなんです、これは。宇宙科学開発をやるなんか言ってますがね。ソビエトは御承知の金星ロケットを打ち上げている。この予算を見ますと三千六百万円ふえてるだけですね。そうしてその宇宙開発をやるというんだから、まことに私はおそれ入ったもんだと思うのですね。それから最近重要な核融合の研究あたりはどうですか。これは大事なものですよ。これは、私は高碕さんが長官時代から強く要望していたが、核融合の研究なんかやるのは重要なんです。お話にならぬですね。これだけ大型予算になったにあたって、わずか五億四千万円しかふえていないんです。これは、荒木文部大臣ここにおられますがね、文部大臣は第一次池田内閣から次二次池田内閣、あなたが科学技術庁長官であった。その間に科学技術会議というのもあまり開かれない。原子力委員会等もあなた御出席されなかった。科学技術庁の内部で不信任が出ていましたよ。そうして予算編成の作業をやられて、そしてもう大体各省庁のなにが固まりかけたときに、池田さんが国務大臣になられた。この空白は三十六年度科学技術庁予算に現われてきてるんじゃないかと思いますがね。池田さんが六月ごろから大臣になられておったら、私はこんな今の世界の情勢下に科学技術庁予算を組むとは想像できないですね。あなたどういう責任を感じておられるか。あなたと荒木さん、共同責任と考えられておられるか、お伺いします。率直なところ答えて下さい。重大な問題ですよ、国にとってこんな予算は。
  45. 池田正之輔

    ○国務大臣池田正之輔君) お答えいたします。数字の上では、この間も予算委員会等でお答えいたしましたように、なるほど一三%しかふえてない、全体を含めてですね。それから今、たとえば宇宙科学とおっしゃいましたけれども、これは昨年度のちょうど二倍になっております。御承知のように、科学技術庁のようなところの予算というものは、あなたに言うのは失礼になるかもしれませんけれども、たとえば建設省や、あるいは農林省の、そういうような公共事業予算といったようなものならば百億や二百億、幾らふえてもこれは消化し切れないというようなことはない。ところが、科学技術庁なんというところは、御承知のように、そこへ幾ら予算をつけても使いこなせないという場合が非常に多い。当然あるんです。それは全部がそうだとは申しませんよ。そういう場合もあり得るので、従って私の今度のねらいは、つまり金額においてはなるほど御指摘のように決して私は満足をいたすものではございません。しかし、幸いに、とにかく新しい部門において、たとえば今度名前やっときのうきまりましたが、新技術開発事業団の予算も新しくできた。あるいはプラズマの研究の予算もできた。原子炉の関係におきましては非常に減った。数字においてなるほど滅っております。しかし、それは昨年までで、いわゆる建設その他の設備予算がこちらは本年度は落ちておりますから、こういう自然減というものも個々にはあると思います。そういうようないろいろな観点からいって滅っておるものでございまして、ただ私が申し上げたいのは、そういう形でこれをふやしていくためには、これから新しい芽をまず出していくということと、それから将来予算をふやしたときに、これを完全に有効に使いこなすためには人員をふやさなければならぬという意味におきまして、今年度は人員をふやすことに非常に努力をいたしまして、科学技術庁といたしまして、研究職員その他が二百名以上がふえました。そういうように着々こういうものは、御承知のように金だけふやしてもいけませんし、従って前提条件として技術職員の養成とか、あるいは定員をふやしていくというような予備行為なども当然伴わなければなりませんので、そういういろいろな意味からこういう形になったのであります。ただ、今は新しい芽ばえがあらゆる部門に出ておるということは、予算面をごらん下さればおわかりと思います。
  46. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 本論に入る前ですから、あまり長く伺いませんが、あなたは中共やソビエトやら欧米を視察されているはずです。大きな実験場や研究所があるのは、日本と違う。予算を使い切れないということはない。日本の科学者に聞いてごらんなさい、大規模の研究所、実験場をほしいというのが切実な要望です。予算つけたらできるわけです。これは科学技術庁関係で総額百十九億三千万円で、私は本会議でスピードという問題を質問しましたが、たとえば日本の中型飛行機ですね、輸送機やっているでしょう、あれは日の本メーカーが工場を始めたのは昭和三十二年です。国からちびちび助成をして、昭和三十八年に一万機できる。それから売ろうというわけですが、買うところがあるでしょうか。もう外国では音速の二倍、三倍の旅客機を作るときに、昭和三十二年から計画を作って、昭和三十八年ごろ飛行機ができて、それから量産段階に入って、国内にも、あるいは国外にも売ってドルをかせごうといっても、こんな計画というものがありますか、時代おくれのものが。だから僕は、一つには科学技術行政は速度に欠けていると思う。各省庁の連絡が十分とれていない。それから行き当たりばったりの計画性に欠けてどろなわ式である。今度の教員養成所もその一つですが、そういう欠陥が大きいと思う。これに対する見解はいかがですか。
  47. 池田正之輔

    ○国務大臣池田正之輔君) 御指摘の点は私やや賛成です。それで私も長官に就任して以来、わずかでございますけれども、今御指摘のような欠点の数々あることを私は見まして、目下盛んに勉強中であります。それは私は、おそらく短いでありましょうけれども、私の就任中に何とかこれを軌道に乗せたい、今までのような形ではいかぬ、かように私は考えております。
  48. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 具体的なことを伺いますが、あなたに在任中にぜひやってもらいたいことがあります。それは中共、ソビエトとの科学技術の交流です。あなたはあちらの方には非常に知人もあるし、日本の保守政界では右に出る人はないと思うのですが、だから中共とソビエトの、日ソ、日中のまず科学の交流ですね、これに手をつけてもらいたいということを私は非常に期待しているわけです。この点と、アメリカとソビエトのロケット技術はソビエトが非常に進んでいるということをお認めになられるかどうか。ケネディ自身もそれを認めているわけです。私もその見解ですが、あなたはどう見ておりますか。最近、中共は二十ヵ年計画を立てて科学技術者計画的にじゃんじゃんおそるべき勢いで育成していっていますが、その技術者養成計画と日本のそれとを見るときに、その計画性は量においても質においても格段の差があることを私は嘆かざるを得ない。そこで具体的に私は、欧米のだけではなく、共産圏の中国なりソビエトとの科学技術の交流というものに重点を入れることが私は大切だと思う。これをするには池田さん、あなたが最も最適任者だと思っているわけです。御所見を承ります。
  49. 池田正之輔

    ○国務大臣池田正之輔君) 計画性がないとおっしゃいますが、そういう見方も私は成り立つと思います。ところが、御承知のように全体主義国家と自由主義国家との行政面あるいは政治面のやり方等においてそこに大きなギャップがあり、従って、そういう問題を取り扱っていく上において、あるいは推進していく上において、いろいろなそこに相違があることは御承知通りだと思います。そこでもう一つの課題は、ソ連とアメリカとの比較のことになりますけれども、これは、私は専門家ではないので、新聞やその他で見ているところでは、どうもソ連の方が一歩先んじているのではないか、これが一般の常識ではないか、その点においては。ただ、計測器であるとかその他の部門においては、アメリカの方が進んでおるというような説もありますけれども、全体としてはわれわれが見てとにかくソ連が一歩先んじたのですから集んでいるのではないか、こういうように思っております。
  50. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 交流の点はどうですか、一番大事な。
  51. 池田正之輔

    ○国務大臣池田正之輔君) 交流の点につきましては、これは政治的に関しない限り、純粋の技術交流あるいは文化交流というものは、これは当然に、相手国のいかんを問わずにこれは当然やらなければならぬ問題である、かように私考えております。
  52. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に聞く前に、計画局長にもう一つ聞きますがね。最近の技術者並びに技術者養成することに携わる方々の教養、科学的な知識というものは、高いレベルのものが要請される世界情勢であり、国内情勢かと私は認識しているのですが、計画局長、どういうふうな認識を持っておられますか。
  53. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) 御質問の御趣旨は、結局現在の科学技術者養成において、レベルの高い者を養成する計画であるか、比較的中級の技術者養成する計画であるか……。
  54. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 いや、そうでなくて、研究者ですね。並びに研究者を指導する人の教養並びに知識というものは、従来以上に高いレベルのものが要請される段階ではないかと、こういうことを伺っておるわけです。
  55. 久田太郎

    政府委員久田太郎君) わかりました。最近の科学技術の著しい発展に伴いまして、これがいわゆる人文関係とも非常に大きな関連を持って参りますので、当然にそういった高い教養の研究者なり指導者なりがますます必要になる、そのように考えます。
  56. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 文部大臣に伺いますがね。工業高等学校の教師になる人が、ことに日進月歩の技術革新に伴う人材養成を行なう、その技術関係教育をなさる方は、最小限大学で四カ年の教育課程を終えるということが必要なんじゃないですか。あなたはどういう見解を持っておりますか。
  57. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) できることならば、もう四年も五年も勉強して高いレベルの専門知識を持った人に教えてもらうことがこれはいいにきまっておると思います。
  58. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 で、この科学技術の振興、技術革新ということも、長い問いわれて世界の趨勢だったわけですね。岸内閣以前からこれは日本の一つの基本になっておったわけです、行政府の方においてもですね。今日の段階になって三年制の臨時教員養成所でまかなうなんということは、これは全くどろなわですね。そういうようなことで私は適格者を養成することはできないと思うのですよ。この案を再検討していただきたい。承るところによると、この臨時教員養成所の授業開始は大体六月か七月になるというのですね。六月か七月だったら三カ年ないじゃないですか。そういうような期間で教員養成する、そういう弥縫策をとるべきじゃない。最小限、今の学校教育法並びに教育職員免許法にのっとって四カ年の就学期間というものが保持される形で教員養成をすべきだ。それは各大学に、学科をふやすこともありましょうし、あるいは各大学の学科の中に二人か三人ずつアルファとして委嘱するような形態もありましょうし、ともかく、この六、七月ごろ入学させて、三年足らずに臨時養成するというような、こういう弥縫的な、どろなわ式な教員養成でいくというのは再検討していく必要があると思う。世界の物笑いになりますよ。いかがでしょう。
  59. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) おっしゃる趣旨はよくわかりますが、まあ次善策として三年制度臨時養成機関を通じて急場の間に合わせたい。何と申しますか、どろなわ式だとおっしゃる非難もある程度当たるかと思いますが、現実問題として、そういう臨時養成でもって養成してでも補充しなければ、なかなか教師を得ることが事実上困難だということに着眼しまして、お説のような角度からの御非難はあり得るとは思いますが、次善の策として一つ審議を願いたいと、かように思っているところでございます。
  60. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 私はこれにもう絶対反対です。一つには、この今の教育職員免許法、これは最低のものですよ。先ほど局長の答弁では、一般教養科目、専門科目とも、この一級普通免許状、二級普通免許状単位をこなせないという答弁をしている。この免許法ができた時代から比べればこの単位を上げなくちゃならない時代ですよ。しかるにこれさえまかなえない。そうして専門教科専門教科と言うけれども一般教育でも何じゃないですか、人間としての教養というのを非常に重視されているのじゃないですか。私はそうだと思う。ましてや人の師になる教師というものの人間としての一般教養というものは高くなくちゃならぬのですよ。あなたいつも言うように、倫理綱領とか何とかおっしゃっている。道徳教育とか何とかおっしゃっている。そういう角度からいっても。ただ、何ですね、電気とか機械とか化学とか、そういう専門教科だけで人の師になり得るというのですか。非常に矛盾していると思う。この免許法にそむいていると思う。日進月歩のこの自然科学、人文科学の進歩の時代において、高等教育教員養成計画というものは何であるか、この根本理念から絶対賛成できない。私は昭和八年に当時の九州帝国大学に付設された三年間の臨時教員養成所の数学科を出たものです。それで、私はよくその長短を知っています。その当時すら私はずいぶん疑問の点を持ったのです。それは昭和八年です。今この昭和三十六年の時代にこういうものを再びやるという点については、きょうは私はもう時間がないからあまり長くやりませんが、絶対承服できない。  それから他のもう一点は、いつも文部省は、この大学学生定員をふやすとき、学科をふやす場合ですね、校費をあまりふやさないで生徒だけをふやして大学当局にしわ寄せさせている。ここ数カ年の、荒木さんだけでなくて、二、三代前の文部大臣の通弊ですよ。臨時教員養成所を東京大学に持っていってごらんなさい。東京大学ではぴんとはねられちゃうですよ。東京大学では決して受け付けないですよ。だから、あなた方東京大学に持っていかないで、ほかの大学の比較的弱い大学に持っていっては押えつけているわけでしょう。大学は教授、助教授、講師と入れて、四・四・四の構成になっておるわけです。さっきこれを見れば、一・一・一でやっている。あとは時間外講師であっちからこっちからこう引っぱってくるわけです。教授の方は教えて、自動車に、電車に乗って、さっと帰ってしまう。何かあればきょうは休講だというような格好になる。そんなことで一体教師が養成できるかということですよ。やるのならば四・四・四の構成にしなさい。大学局長いかがですか。四・四・四の構成にしないで、一・一・一にしていて、あちらからこちらから臨時講師を集めて、そうしていわゆる予算書にある項目の校費、そういうものは大してふやさないで、わずか一億五千三百万円というような安上がりで八百八十人養成しようなんというのは、こういうような考え方で一体科学技術に力こぶを入れているというようなことが言えますか。大学当局としては迷惑千万だと思うのですね。非常にしわ寄せになってきます、定員面が。それから校費の運用面から非常にしわ寄せになってくる。それが第二点です。まあ大まかに言ってその二つの立場から、こういう所得倍増に伴う技術者養成という角度からの予算並びに提出されるであろう法案というのは許せないと思うのですがね。これはいかがですか、科学技術庁長官科学技術会議等の意見を聞かれてみたらいかがですか。あなたもこれは賛成できないと思うんだ、長官として。文部大臣としても、政府部内にどういう意見が交換され、どういう経過でこうなってきたか知りませんが、私はこれは絶対に了承できない。私は第一番に所管局長の責任を追及する。こういう案を作って、そうしてこの立場で大臣を補佐しているというに至っては、小林局長ともあろう人のとんでもないことだと、私はあなたの責任を追及します。やはり所管の局長がしっかりしなければ、こういうことになる。これは政府部内において再検討することを私は強く御要望申し上げます。両大臣の御答弁をいただきたい。方法は幾らでもある、養成する方法は。
  61. 小林行雄

    政府委員小林行雄君) 事務的の点につきまして御答弁申し上げます。  先ほど、たとえば九つの大学に付設される中に、東京大学等は予定されていない、弱い大学をというお言葉でございましたが、決してそういうつもりはございません。これは各ブロックから大体一つずづ、私ども選びましたので、矢嶋先生のようなお話でございますと、たとえば北海道地区では北海道大学、東北地区では東北大学、近畿では京都大学、大阪大学などというようなところが実は入っておるのでございます。これにつきまして、先ほどお答え申しました通り、昨年秋以来ずっと連絡をとりまして何回も打ち合わせをいたしておりますが、現在までのところ、特にこれは迷惑であるというようなことをいわれた大挙は、実はないのでございまして、それぞれ希望はございまするけれども、たとえば設置すべき学科とか、あるいは定員とか、あるいは予算等につきまして御要望はございましたが、非常に迷惑であるというようなお考えの大学は、私どもにつきましては今まではなかったようでございます。これは、御承知のように、三年程度のものでございまして、その三年程度修業年限からいたしますと、定員につきましても、それからいわゆる設備費等その他の校費あるいは教官の研究費等につきましても、一応従来の水準から申しまして、予算はまあ確保されておるというふうに私ども考えます。ただ、最初にお尋ねのございました免許法上の資格の問題でございますが、これは確かに従来の教員免許状の線からははずれておりますが、これは四年間の就学ということと三年間の就学ということで、多少の違いはございます。これは授業時間数等が多少違うわけでございますが、しかし、三年間の範囲内におきまして、できるだけ授業時間を多くしております。基礎科目にいたしましても、教職の科目にいたしましても、この授業時間の範囲内でできるだけのワクを取っておるつもりでございます。
  62. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 両大臣の御答弁を願います。
  63. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 目下検討中でございますが、大体のことは、先刻お尋ねによってお答え申し上げた通り、御批判はあろうと思います。十分な制度であろうとはむろん思いませんけれども、当面の現実の要請に応じますために、次善の策として、こういう線で一年でも早く先生を供給するということが主になりまして、御披露申し上げたような構想で今検討を加えておりますが、さらにできるだけ、限られた予算の範囲内で充実できるようなことを念頭に置きながら、検討も加えてみたいと思います。
  64. 池田正之輔

    ○国務大臣池田正之輔君) 御承知のように昨年の十月、科学技術会議の方から出ておりまする答申によりますれば、科学技術者というものは足りなくなる、この十カ年計画にマッチさして当然これはふやさなければならぬというのが趣旨でございます。私どもも同様でございまして、従って、今、矢嶋委員から御指摘があったように、いろいろな点につまりどろなわ的だという見方も成り立つと思うのです。そこで私は、この問題は十分に文部当局とも話し合いをしながら、というのは、率直に申し上げまして、今まで日本の文教政策が、若干欠陥があったのじゃないか、その結果、今日そういうどろなわ的なものをやらなければならぬというところに追い込まれたのじゃないかと思います。これは私の個人的見解でありますが、従って、これをどうしたならば急速に内容を充実して所期の目的を達することができるかということについて、これは主として文部省の主管でございますけれども、私の方としましてはいわゆる科学技術者養成という立場から若干検討しまして、意見が出ましたが、場合によっては文部当局に注意を喚起する何かの方法もあるだろうと思います。あるいはまた文部大臣とひざつき合わせて話し合って、これはお互い国家のためでございますから、そういう意味でこれから検討し努力していきたい、かように考えております。
  65. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 時間が参りましたから、他の委員の方も質疑があるようですから、またにいたしますが、私は、この点はどうしても納得できないのです。たとえばさっき、高等学校で八十五課程をふやすについても、原子力関係あたりが全く含まれていないということですね。こういう計画というものがあるだろうかと私は不審にたえない、こういう点あたりは、科学技術庁が大いに発言力を私は発揮すべきところだと思う。当面の臨時教員養成所にしても、この時代に、実質教育期間を計算しても二年九カ月くらいです。二年九カ月くらいで教員養成するのをここ十カ年計画で続けていって、そうして約八千五百人くらいの充足をしょうなんという考え方というものは、私は今の世界の科学情勢を知らぬ者の計画だと思います。こういう点に対しては、科学技術庁としては、閣内で大いに発言力を発揮してしかるべきだと思うのです。やはり文部省は森を見て山を見ないという傾向がありますから、そういう点あたりをやっていただかなくちゃならぬと思う。今、予算書にも一億九千何百万のものが出ております、それから法律案が出されるということですが、閣内で再検討していただきたい。養成するにしても、私は代案は幾らでもあると思うのです。今の、大学に適当に配分してやる方法もありましょうし、あるいは単独に一学科四カ年制のものをふやすという方法もあるわけですから、こういう方法というものは絶対に私は、今の世界情勢からいって了承できない。再検討していただきたい。強くこれは要望いたします。不幸にして、参議院は、衆議院のように特別委員会がありませんので、あるいは内閣でやってみたり、商工委員会でやってみたり、文教委員会でやってみたりして、立法府も日本の国の科学技術に関する審議なり調査が十分でないということを、私は参議院に議席を有しておる者の一人として反省しております。まあ、文教委員会関係があるわけですから、他日科学技術関係については、長官に御出席願って、いろいろ承りもし、御注文もいたしたいと思いますが、きょうのところは、この点についてはこの程度にしておきます。  最後に私は、非常に緊急な問題として、文部大臣と所管局長に一点だけ伺っておきたいと思います。それは、今ちょうど地方自治体は来年度予算編成をやっているわけなんです。ところが、国の地方財政計画がきまらないために、固まらない点がある。その中で、文部省にぜひとも配慮していただきたい点、それは高等学校のいわゆる定数基準——こういう法律を今度の国会で出す予定だという意味のことを自治体に参考に知らしておいていただきたい。ということは、地方都道府県の来年度予算を組むにあたって非常に関係があるので、こういう法律を国会に出すつもりだと。もし出す、提出することになれば、教員定数はかくかくになるという意味のことを参考に知らしておいていただきたい。  それから、小学校五十六人、中学校五十四人について職員が一人という点ですね。この点については、予算編成段階にその基準をオーバーしているところを回せばいいじゃないかというようなことを大蔵省がいって、若干もめましたけれども、あの五十六人、五十四人という基準は、最低の基準を示すものであって、そういうことが国の予算編成の場合にそういう数字が使われたからといって、それをオーバーしているところを下げるということは趣旨に反するのだという意味を、ぜひとも都道府県当局に十分意が通ずるように行政指導をしていただきたい。でないと取り間違えて、大蔵省がああいうことを予算編成をしたときにちょっと主張したものだから、五十六、五十四の標準に切れたところはいいのだという予算作成方針をとっている。ところが、これは大きな間違いだと思いますから、その点一つ……。  それからもう一点は、地方財政法と地方財政再建促進特別措置法、あの改正によって三十六年の四月一日から税外負担ができないことになるわけですね。そういうことになっているわけですから、そういう趣旨で地方財政計画も一応策定中だから、自治体は来年度予算編成するにあたっては、学校図書室とか、事務補佐員とかあるいは養護婦とか、この税外負担になっている職員は、四月一日から公費負担にしなければならぬことになっているから、そういう立場において予算編成と取り組まれたい。地方財政計画もその角度において今策定中だからということを参考に書面で徹底さしていただきたい。そうでないと、国の地方財政計画決定が延びているのと相待って、地方自治体の来年度予算編成を非常に混乱さしているおそれがありますので、これらの三点について十分周知方を御配慮いただきたいと思います。文部大臣の答弁を求めます。
  66. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 高校の定数基準に関する法律案は、御承知のように一ぺん出しましてお流れになったと記憶しておりますが、今度もちろん提案する予定でおります。また、そのつもりで自治省の方とも事務当局は打ち合わせをしておるはずであります。詳しくは政府委員から答弁させます。
  67. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 高校の定数につきましてただいま大臣からお話ございましたように、目下政府部内で検計中でございますので、少なくとも国会に上程される前に外部に出すことはどうかと思っております。これはきまり次第、上程になりましたら、その趣旨で十分徹底したいと思います。  それから第二点の、小中学校定員につきまして、小学校五十六、中学校五十四人というのは、これはあくまでもマキシマム、最高限なものですから、できるだけ五十人に近づけるようにという趣旨でございます。従って、五十六、五十四人にするという意味ではございませんので、この点については教育長協議会あるいは全国の人事給与主管課長会議等におきましても、あらゆる機会に趣旨の徹底をいたしております。矢嶋委員の御心配はなかろうかと思いますが、(矢嶋三義君「あるのです」と述ぶ)個々に具体的にまた御相談がありますれば、十分その趣旨は今関係の府県には注意いたしております。  それから第三点の、税外負担の軽減につきましては、すでに昨年十二月(矢嶋三義君「三日」と述ぶ)事務次官名をもちましてこの趣旨は十分徹底しております。
  68. 平林剛

    委員長平林剛君) 本件に関する質疑は、本日のところこの程度とし、次に、当面の文教政策に関し調査を進めます。質疑の通告がございますので、この際発言を許します。
  69. 米田勲

    ○米田勲君 荒木文相がすでに新聞に公表をし、当委員会に対しても資料として提出をしておるところの、「日教組のILOへの申立に対する日本政府見解」これでありますが、これをよく検討をいたしてみますと、その内容は、事実の判断を誤認し、国際的な労働慣行を軽視し、あるいは問題の発端や経過などについてはこれを全く省略をして、結果的な部分的なものだけをことさらに一方的に強調をしておる。そうして、日教組に対する悪意に満ちた感情的な記述さえも見られる。私は国際的な機関であるILOの場でこの政府見解をそのまま提出することは、日本の国際的な信用を著しく失うおそれがあると強く考えるので、この政府見解を直ちに撤回する考えはないかを文部大臣お尋ねをいたします。
  70. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 反論いたしました事柄は、新聞に発表いたしましたのは、もちろん一部であり概要でございますが、すべて事実に基づき、こうだと信ずることを率直にそのまま反論として出しておりまして、ことさらなる感情を交えたりあるいは作為をいたしたりした覚えはございませんので、撤回する意思はございません。
  71. 米田勲

    ○米田勲君 それでは、さらにお尋ねをしますが、この日本政府見解のうち、特に第四項の、「山荒木大臣が日教組と話し合いを行なわない理由は、」云々から「むしろ有害であると判断しているからである。」というこの項を撤回する意思はないか、それをまずお尋ねいたします。
  72. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) その部分も含めまして、先刻申し上げた通り、撤回する意思はございません。
  73. 米田勲

    ○米田勲君 それでは、文部大臣が当委員会に対して先般提出をしたところのこの文書、「「日教組は憲法秩序をくつがえさうとする」と考える根拠事例」並びに「「教師の倫理綱領」中、教育の政治的中立性を否定する箇所」というこの証拠資料を出しましたが、これを撤回する意思はありませんか。
  74. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 撤回する意思はございません。
  75. 米田勲

    ○米田勲君 それでは、次に質問をいたします。前回の委員会で、わが党の豊瀬委員から文部大臣に種々お尋ねをしましたが、あなたの答弁は前半と最後段階に至っての答弁は全くつじつまが合わない。ああいうつじつまの合わないような答弁をされたのでは、われわれはそのまま引き下がるわけにはいかない。従って、きょうは違う角度から文部大臣に対して、これを撤回なさらないようでありますから、質問をいたします。まず最初に、この文部大臣が提出をした一つは、「「教師の倫理綱領」中、教育の政治的中立性を否定する箇所」として出した証拠並びに「「日教組は憲法秩序をくつがえさうとする」と考える根拠事例」この二つについて、あなたにあらかじめお聞きしようと思うのは、政治的中立性を否定するということと、政治的中立性を侵すおそれがあるということは同じ意味の言葉であるか、同義語であるかどうか、あなたの判断はどうか、まずお尋ねをいたします。
  76. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 同様の趣旨の表現でございます。
  77. 米田勲

    ○米田勲君 常識的に私はあなたの今の答弁を納得できません。否定するということと、否定するおそれがある、侵すおそれがあるということとは事情が全く違いませんか。否定するということは、否定しているという現実がなければならぬ、侵すおそれがあるということとは事情が全く違いませんか。否定するということは否定しているという現実がなければならぬ、侵すおそれがあるというのは、まだ事実が発生していない、この二つは明らかにその本質が違う。否定するということと、否定するおそれがあるということとは違うはずである。そんなことは常識的にわかるのに、その両方を同じように文部大臣より今答弁されましたが、私はさらにお尋ねをいたします。
  78. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 同様の趣旨の用語であると申し上げました。私は倫理綱領並びに二つの解説書を通読いたしまして、教育の中立を否定するという意思が現われていると判断いたしました。おそれがあるというのは、それが現実に教育の場に中立を侵す具体的事項として現われるおそれがある、一連の関連した概念として、同様の趣旨の用語だと申し上げた次第であります。
  79. 米田勲

    ○米田勲君 あなたは今の答弁の中で、明らかに二つの言葉は違う意味に答弁をしているではありませんか。侵すおそれがある——否定をするということは、すでに現実に否定する事実がなければならぬはずでしょう。あなたになぜこういうことをさきに申し上げるかというと、前回のこの委員会におけるあなたの答弁の中には、この二つの言葉が使い分けられていない。あなた自身の出したこの証拠なるものは、否定する個所と明らかになっているにかかわらず、答弁の際に使う言葉は侵すおそれがあるという言葉で答弁をしている。両方ごっちゃに答弁されたのでは、私たちの方で聞く場合に判断に迷いますから、明らかに証拠として撤回なさらないのだから否定する、明らかに否定すると断定をされて出されている立場で、以下答弁を願いたいということをあらかじめ申し上げておきます。  それでは次に、文部大臣お尋ねしたいことは、教師、別な言葉で教員といってもいいでしょう。教師と呼ばれる立場の個人には、法的にいって、常識的にではありません、道義的にではありません。法的にいって二つの私は立場があるというふうに考えるわけです。その一つは、一つの法的な立場は、学校で児童生徒に対して教育活動をしている、児童生徒に対して教育治動をしている教師、おわかりですか。他の一つの教師は、教師という職業にある個人または集団が結成したところの労働組合または職員団体の構成員として活動している教師、この二つは同じ教師であっても法的に二つの立場があるということを、文部大臣はお認めになりますかどうか、それをお伺いします。
  80. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 二つの立場があると思います。あると思いますが、概念的にははっきり二つの立場があり得るといえましょうけれども、現実にはそれがまあいわば一人二役でございますから、判別は困難であるということもあり得ると思います。
  81. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、その答弁は法的にいってあまり明確でないのじゃないですか、あなたの答弁は。法的にいって二つの立場がある。法の前に、一つ学校において直接児童生徒教育活動をしておる教師のその立場というものが法の前に一つの立場があるわけであります。さらに同じ教師という個人であっても、職員団体、労働組合の構成員として組合活動をしておる場面の教師の法的な立場というものがある。明らかにこれは二つあり得るということであります。それをお認めになるようであり、ならないようでありますが、これは明らかに法的には、法の前には区別されてしかるべきものだと私は思いますが、もう一度お答えを願います。
  82. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 法の前に、概念的に区別される二つのものであるというふうにはむろん考えます。
  83. 米田勲

    ○米田勲君 それがはっきりあなたに御理解いただければ、私は次の質問に移ります。  教育基本法でありますが、教育基本法はこの法的にある二つの教師の立場のいずれの場合をも拘束するとあなたはお考えになるかどうか、おわかりでしょうか。
  84. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 教育基本法の、教育の中立を要請しますことは、教師に対して要請をするという趣旨だと思います。公務員である本質を持った教師に対する中立の要請そのことが私は教育基本法の趣旨だと思います。
  85. 米田勲

    ○米田勲君 あなたはやっぱり先ほど私が、法的には教師の立場というものは二つあるのだとあなた自身も肯定されておるにかかわらず、今度の答弁はごっちゃにされている。教育基本法は、お互いに確認をした教師の法的な二つの立場のいずれをも拘束できるのか、いずれをも拘束しているのか、こういうことをお尋ねしているのです。もちろん第一の場合の、学校において児童生徒に対して教育活動をしている教師に対しては、これは百パーセント教育基本法は拘束をいたします。しかし、私がもう一つ述べた他の一つの法的な立場の教師にはたして教育基本法がこれを拘束できるかどうかということであります。答弁を願います。
  86. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 教育基本法は、主として宣言的な規定を持っておると思いますが、教育基本法の意図する、中立であらねばならないという趣旨は、両方の立場において教育基本法が要請しておると思います。ただし、具体的にはそれが実は学校教育法その他の教育プロパーの系統として規定されましょうし、他の一面は御承知通り国家公務員法ないしは地方公務員法という形をとって現われてくると理解しております。
  87. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、余分なことまで引っぱり出してきて答弁はいただかなくていいのです。私は教育基本法と教師の、この二つの関係について今明らかにしたい。どうもあなたはこの点は、先ほど私が前もってお聞きをした、しかもあなた自身が確認をしたことを、再びこの場所にきたらごっちゃにしている、そういうことはあり得るのですか。教壇上で、学校で、児童生徒教育しておる教師のその活動場面においては、もちろん教育基本法はこれを十全に拘束をいたします。しかし、他の一つの場合である職員団体の構成員として組合の活動をしておる、児童生徒には全く無関係にでありますよ、そういう第二の立場の教師もこの教育基本法によって拘束されるというのでは——法的な見解をもっと詳しく言って下さい。あなたの言葉を聞いておると、どうもその立場の教師をもこの教育基本法は拘束をするのだという、そういう考え方をしておりますが、どうも納得ができません。
  88. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 職員団体の構成員としての行動それ自体は、これは教育それ自身ではもちろんないといえると思います。しかしながら、さっきも申し上げました通り、職員団体としての行動半径は、国家公務員法ないしは地方公務員法によって規制される。それは、その裏面には消極的ながら教育基本法にいうところの、教育は中立でなければならぬ、また職員団体として行動する対象は、行動目的は、法定事項以外にわたるべからずという趣旨を貫きまして教育の中立を期待しておると、こう私は理解しております。
  89. 米田勲

    ○米田勲君 私は、そういう法律の拡大解釈は納得できません。そんなばかな考え方をあのILOの場面に行ってやったら笑われますよ、国際的に。これはあなたが考え違いであります。もしそうでなかったら、結社の自由委員会などに出て、あなたと同じ言論を今村課長にやらせたら、それはとんでもない批判を受けます。私はあくまでもあなたに理解してもらわなくちゃならぬのは、そんなことはもう理解しているはずであるが、職員団体の構成員として組合の活動に従事している教師が教育基本法によって拘束をされるという、そういう話は聞いたことがないのです。もちろんあなたの言うように、国家公務員法、地方公務員法の拘束は受けますよ。しかし、私の論じているのは教育基本法の問題です。内藤さん、あなた知恵者だが、文部大臣の答弁はあなた自身も主張しますか、あなたにちょっとお聞きします。
  90. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 大臣がおっしゃっているのは、基本法で「学校は」という場合の学校は、学校という機関の職員でございますから、学校教育において特定の政党を支持し、反対するための政治活動をしてはならない、これが第一点であります。で、個人としては、組合であろうとなかろうと、あるいはどういう結社に入ろうと入るまいと、それは御自由でございます。ただ、教員はその公務員という立場があるから、公務員という立場は忘れないでほしい、こういうことをおっしゃったと思います。ですから、今御指摘のように、組合員であろうとなかろうと、個人の活動については基本法八条は制約していないわけでございます。
  91. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、あなたは今の内藤局長の答えられたことをそのまま肯定されますか、もう一度、念のために。あなたと同じ見解だといって内藤局長が言われたが、どうも私は納得できない。
  92. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 内藤局長の方が明快なように思いますが、趣旨としては、私はいかなる法律といえども法治国においてはそれぞれの法律の趣旨が相矛盾することあるべからずと、そういうふうな理解の前に立って先刻の御答弁を申し上げたわけであります。
  93. 米田勲

    ○米田勲君 私は、時間が限られておりますから、内藤局長の答弁されたことであれば納得できます。それを文部大臣は今、肯定をした——明快に答えたというふうに言われましたが、肯定をされておるというふうに理解をした上で・前へ進みます。ただし言っておきますが、途中でこの理解をひっくり返さないで下さい。  さて、次に話を移しますが、この証拠書類として出された教師の倫理綱領は、文部大臣もはっきり知っているように、私がさきに申しました教師の立場の第二の場合、教師の団体あるいは組合がその代表者を集めて構成をされた日教組大会、具体的には、今から十数年前に開かれた新潟大会において討議、採択されたものであります。この点はお考えを間違われておられると困りますので、だめ押しに申し上げたのです。さてお聞きをしますが、この日教組大会、新潟大会は、教育基本法の拘束を受ける場であるかどうかということであります。この倫理綱領を採択した十数年前の新潟大会は、教育基本法の拘束を受ける場であったかどうか、そしてまた、この大会は教育の政治的中立性を否定した大会であったかどうか、この二点について、大会の性格というか、教育基本法と対照してお聞きをします。
  94. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 新潟大会の実情については、私も過去お話のように十数年前のことなので詳細には存じませんが、少なくとも基本法八条とは直接関係はございません。しかしながら、基本法八条に抵触するおそれのあることは、これは慎しむべきことだと思う。それから第二点の御質問でございますが、ちょっとはっきりしなかったのですが……(米田勲君「大会が教育の政治的中立性を否定した大会であったかどうか」と述ぶ)教育の政治的中立性を否定した大会であったかどうかについては、当時の議事録を十分検討しないとお答えいたしかねると思います。
  95. 米田勲

    ○米田勲君 なるべく文部大臣からお伺いしたい。文部大臣が出された証拠ですから、この証拠に私は反論しようという計画を持っているのです。撤回されないというから、撤回をしていただかなくちゃならぬので申し上げている。そのために理解していただかなければならぬ。さて、今の局長のお話の中に「おそれのあるものは」という言葉がありますが、法律というものは、どの法律でもそうですが、拡大解釈をしてはならないですよ。どの法律でもやはり適用の条件、範囲というものは一々法律に明確であります。あいまいにされてはならないのです。だから、私はあなたの今の答弁の中でちょっと納得ができない。ほかされている。あの新潟大会は私は教育基本法の拘束を受ける場でないということをはっきり主張したいのですが、いかがですか。もう一度局長にお伺いします。
  96. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お話のように基本法の拘束を受ける場でない。しかしながら、教員先ほど来申されたように公務員としての一面性格がある。その公務員としての性格からくると、基本法八条におそれのあることは慎しまなければならぬ、こういうことを申し上げたのです。
  97. 米田勲

    ○米田勲君 あなたの答弁は私依然として納得できない。もちろん教員個人個人は国家公務員法、地方公務員法の拘束を受けます。これはどこにいても。しかし、新潟大会というのは、日教組という職員団体が組合の活動を今後どうするかということをいろいろ討議して、いろいろなことをきめた。そのときにあなたが出された倫理綱領を討議、採択した。しかし、この場合、あなたのように広義の解釈をして、教育基本法に抵触するおそれがあってはならないといったようなことは、どうも私は納得できない。教育基本法の拘束を受けるような、そういう大会は場ではないのではないですか、はっきり言えないのですか。
  98. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 教育基本法八条に拘束を受ける場ではない。これは私もあなたと同意見です。ただ、教育基本法なり、学校教育法なり、その他もろもろの諸法規に関連のあることについては、これは私慎重でなければならぬと思います。たとえば教員の勤務条件とかあるいは待遇の問題とか、学校教育法なり、教育基本法に関連のないことをおきめになることは、これは自由でございますが、いやしくも学校教育法なり教育基本法に抵触するおそれのあることは、いかに組合大会といえども慎しまなければならぬ問題ではなかろうかと思います。
  99. 米田勲

    ○米田勲君 それは、あなたの話は常識的、道義的な話ですよ。あくまでも法の前にあなたそういうふうな拘束ができますか、法をたてにとって。あなたの話は常識的にはそうです。道義的にはそうですよ。しかし、大会の場そのものは教育基本法の拘束を受けないはずです。文部大臣、ただいま内藤局長と私との質疑応答で確認したことを、あなたも同様に確認しますか、どうですか。
  100. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 組合大会を開くことそれ自体は教育基本法の問題と違うのだ、別だ、それは私も理解できます。いかなる団体を作ろうとも自由である、結社の自由である。その結社の自由権に基づいて組合が任意団体でありながら一応職員団体の全国組織としてできておる日教組、これを教育基本法と直接関係のない合法的な存在として理解いたしております。そのことと、その大会で何が討議され、決定されたかということは別問題だと思います。
  101. 米田勲

    ○米田勲君 どうも文部大臣の判断が私はおかしいんじゃないかと思う。あなたは、しかし、そうすると教員でも、公務員でもかまいません、職員団体を構成して、これは勤務中に何をしたとか、何かではなしに、そういう引っかかりをつけて判断されては困りますが、組合が大会を開いた。その大会を開いた場所でいろいろな討議をして、そうしてこれはこういう問題だ、こういうふうに戦おうではないかということをきめることに対して、一々公務員法をもって適用したり、教員の場合であったら教育基本法をもって適用して、これはいかぬというふうにやるんですか、これはおかしいじゃないですか、根本的に。これは結社の自由を根本的に否定している考え方ですよ。そういう考えでいかれると、私は国際的な恥辱になるので、これを撤回してくれ、こう言ったのです。どうもあなたの判断は今でもおかしい、もう一度答弁して下さい。
  102. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) さっき申し上げた通り大会を開き、何を討議しようと自由ではあります。そのことに教育基本法ないしは学校教育法、地方公務員法、国家公務員法等が直ちに適用される、そういう問題じゃむろんないことは十分理解しております。ただ、常識論あるいは道義論だと言われますけれども、常識なり、道義の国民的な立場において、あわせ申し上げることは御質問の範囲外ではありましょうけれども、催しそのものは自由であるにしても、公務員であり、教職員である人の団体であり、しかもそれが討議の内容と決議の取り上げ方等が教育それ自体に反しておるとするならば、そのことは別途望ましくない、適当でない、あるいはけっこうだという常識的な、あるいは教育的な判断があり得る、こういうことを申し上げたにすぎないのであります。だからといって、公務員法が適用されてどうだということはむろんないのであります。
  103. 米田勲

    ○米田勲君 やはり私の考えた通り常識的であり、道義的な問題としては、いろいろ言えるかもしらぬが、法的にはこれは教育基本法が拘束する大会ではないんです。そこで、この倫理綱領が採択をされたからといって、直ちに教育基本法に抵触しておるという判断は私はならぬと思う。しかし、これは中身はあとからまたお互い論じてみなければわかりませんよ。倫理綱領を採択して、教育基本法違反ということにはならないという理解までは到達しましたね、文部大臣。そうでしょうね。あとからあなたはすぐ違う立場でものを言われて、せっかくの話がこわれますから、その立場をふんまえて下さい。
  104. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) その通り理解いたします。中身は別だということであります。
  105. 米田勲

    ○米田勲君 それではいよいよあなたが否定する根拠資料に出した中身を一つお互いに話し合ってみたいと思います。  この倫理綱領第一項をワクまでつけて出されておりますが、否定する個所だというその内容を私は三つに分けて、あなたの見解をただします。前段にはこう書いてある「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現」ということが書いてあります。この考え方、この願望、この政治に対する願望はあなたの見解をもってすれば、一党一派に偏する考え方であるのかどうか、まずお答え願います。
  106. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) この表現の用語の一つ一つをばらばらにして、別々に見ました場合、格別にかれこれとあげつらわねばならないということは、当然には出てこないと思います。
  107. 米田勲

    ○米田勲君 どうも意味深長なことを言っていますが、あなたの政党である自由民主党であっても、この平和を守っていかなければならないという考え方、民族が他国の経済的にも、外交的にも、あらゆる面で支配を受けないような、独立した民族の立場でありたいということ、「搾取と貧乏と失業のない」——これは池田内閣がいっているでしょう。そういう「社会の実現」というのは、これは一党一派に偏した願望ではない、政治的願望ではないというふうに考えるのですが、同感ではありませんか、文部大臣
  108. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 今申し上げましたように、その用語の一つ一つを別々に考えました場合、特にかれこれ言うべき筋ではなかろう、こう思います。
  109. 米田勲

    ○米田勲君 しかし、あなたはこの言葉も含んで、教育の政治的中立性を否定している個所として証拠に出している。従って、あなたが先ほど最初に言ったように、撤回をなさらないんだと、削除をなさらないんだということになれば、とれがすでに一党一派に偏した、別な言葉で言えば教育の中立性を侵す——侵すというよりも、否定する何らかのここに証拠がなければならぬのじゃないですか。私はこの文章から出てこないと思う。これからもし引き出すとすれば、それはおそるべき考えだと思います。当然この中には私は教育の政治的中立性を否定している言葉はない。従って、一党一派に偏しているような考え方ではないというふうに考えるわけです。そのように文部大臣は考えているというふうに理解していいですね。
  110. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 倫理綱領を国民的立場で批判します場合に、倫理綱領の本文に書いてある言葉だけでは私は十分理解できない、とう理解しております。すなわち倫理綱領を全部読み通し、しかもその解説書をあわせ読み、「新しく教師となった人々に」という、この二つの注釈書を全部総合して、さては倫理綱領はこういうことを意図して、今指摘された証拠として出しました部分を理解しつつ、組合員にそのことをPRしているのか、こういう総合的な判断から帰納的に、この部分を、教育の中立を否定している個所を集約的に申せばこういうことになる、こういう意味で証拠を出しているのであります。
  111. 米田勲

    ○米田勲君 あなたは責任ある立場ですから、印象的なことを言ってもらっては困りますよ。印象的なことを言ってもらっては……。あなたはこの委員会から要求されて、あなたの使われた発言、日教組に対して使った言葉、そういうものを追及されて、その証拠を具体的に出しなさいと言われて、これは出した。まだあるような話をされては、これははなはだもってわれわれは不愉快ですよ。あなたが証拠として出したからには、これが証拠ですというので持ってきたんでしょう。このほかにまだ証拠あるのですか。あるならなぜ出さなかったのですか。
  112. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 今、申し上げたような考え方で、特に顕著な部分を抜き書きして添えて、証拠として提出してあります。その証拠として抜き書きしましたソースは、今申し上げた注釈書の倫理綱領及び新しく教師となった人々にがもとであります。ですから本来ならば、その全部を提出してしかるべきかもしれませんけれども、質問に対して質問で答えるようなことではいくまい。特にそのことを顕著に感じとっている個所を抜き書きして添えて差し上げた方が適切であろう、こういうことで出しているのであります。
  113. 米田勲

    ○米田勲君 あなたはやはりそうすると、まだほかにも証拠があるようですから、後日その証拠を全部出してもらいましょう。私はそれを徹底的にこの委員会であなたと論戦をします。しかし、今まで出しているこの証拠、これは特に強調されている、あなたの言っていることを裏づける証拠だと思って出しているのですから、まずこれを反論したいのです。私は、それであなたは、先ほどこの倫理綱領第一項の前段、これには全然問題はないのですね、証拠としては出したけれども。まず前段、その次に中段、後段と私は順次に移っていくのですが、まず前段には問題はないのですね、出したけれども。これが教育の中立性を否定しておりますか、いないでしょう。一党一派に偏した言葉が前段のこの中にあるならば、どれだと言って下さい。
  114. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 言葉それ自体としては格別荒立てて申し上げなければならぬということはないと思います。ただ、この証拠として出しましたこのワク内に特に入れてある個所で申し上げますれば、サイド・ラインを引いておる点、それが解説書ないしは新しく教師となった人々にの注釈等から帰納的に考えて、教育の中立性を否定しておる、こういうふうに帰納されると、こう考えておるのであります。
  115. 米田勲

    ○米田勲君 平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現、この中にはあなたは指摘できない、否定しているという証拠はこの言葉の中から当然出せないと私は確認をします。さて、この一党一派に偏することのない、われわれが日本国憲法のもとで少なくも日本の政治が国民全体のものでなければならないという立場や、デモクラシーの原則に立つ政治である限り、私は少なくもこの前段に書かれたことは望ましい社会である、その望ましい社会を願望するということは何人にも日本国民としては許されるべきである、こういう主張です。そういう主張が成り立つなら、この望ましい社会の実現をわれわれの歴史的な課題だと自負したり、そういう責任を、組合活動をやる教師たちが感ずることが、なぜ教育の政治的中立性を否定することになるのですか。何人にも望ましい社会の実現をみずからの歴史的な課題だとみずからを叱咤し、みずから自負して、そうしてそれを決意をすることがなぜ教育の政治的中立性を否定することになるのですか。どうもその論理は私には解釈がつかない。特に歴史的課題であるというところにあなたは傍線を引いている。極端にこれが政治的中立性を否定する個所のように今の説明によるとなる。望ましい社会の実現を、組合運動をやっていく教師の、自分たちの歴史的な課題と自負することがなぜ教育の中立性を否定するのですか。そんな矛盾した論理がありますか。お答えを願います。
  116. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 何度も申し上げるように、言葉それ自体は取り立ててかれこれ言うことのない言葉が使ってあると申しました。口で平和と言いながら、平和と逆行するようなことをする者もあります。ですから、ここに書いてある言葉だけで判断できないので、解説書を読んで、いかなる方法で、いかなる方向をたどらんとしておるかという裏づけなしには、これは完全には理解できない文章であると私は思うのであります。同時にまた、そういう心がまえを倫理綱領として組合員に実践せしめるべく大会で採択されたはずでありますから、組合員は組合の決定には忠実に従わなければならないということを一方において解説の中では要請しておるようであります。であるならば、単なる平和とか、あるいは貧乏のないとかという言葉の表現だけでなしに、それを集団として、もしくは教育者自体一人々々としてそういう心がまえのもとにこのことを実現せねばならぬ。やる方法は以下述べるがごとしというような意味合いに、解説書でとれるわけでございますが、それを総合して、一体化して理解するのでなければ、御指摘のように、この言葉だけでどこがどうだと言われましても、当然には出てこないと思います。
  117. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣にそうは言わさんぞ。あなたは、これは教育の中立性を否定する個所だといって、明確に出してきたものではありませんか。今ごろになって何ですか。この文章の言葉だけではだめだなんていうのは。それならこれを撤回しなさい。そうしてもっと具体的なものを出しなさい。撤回する意思があるのですか、どうですか。
  118. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 撤回の意思はございません。これを出しました経過は、御承知かと思いますが、先ほど来何度も繰り返し申し上げておりますように、倫理綱領それ自体を一つ一つ見た場合に、そうかれこれ言うべき個所はなさそうに思いますが、二つの解説書とあわせ通読した場合に、総合判断の結論として、今申し上げたような、あるいはこの前の、昨年の委員会で申し上げたような結論にならざるを得ないと私は理解する。こう申し上げたらば、しからばどうだというお尋ねで、そのための証拠を出せ、こういう御命令でございましだから、今、米田委員もお持ちのものを提出した次第であります。
  119. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、一体部分々々を一つずつ検討していって、それがそうでないということになって、どうして全体をそうだときめつけるのですか。あなたの出した証拠の、特にこれは強調して、あなたは証拠書類として出したものだから、だから私は時間があれば全部あなたの出したものを、これからこの委員会でやるつもりなんです。それが私の信念なんだ。従ってあなたはこの部分はそうではないのだ、否定する個所として、証拠として出したのでは、今の段階になればまずい、こういうのなら、そう言えばいいのですよ。あなたはあくまでもこれはこのワクをつけて、そうして傍線まで引いて、教育の政治的中立性を否定する個所だと断定しているのだから、従ってここが否定しているではないかと言うべきなんですよ。それを、一つ一つ見たらそうはいえないが、何だか全体を見るとそうなるという、ばく然とした話では、いつまでたってもこの委員会はこんなことに終始しますよ。私は大事なことがある、この委員会で。予算が出されておる。しかし、こういう証拠書類を突きつけられて、あなたの一方的な主張だけをこの委員会で通すわけにはいかない。だからあなたは、出した限りにおいては、その出した立場というものを、この委員会で、国民に薄して明らかにすべきなんです。そこで私は聞いておるのですよ。望ましい社会の実現、あなたさえも否定のできないような、この文章の上では、とわざわざ言っていますけれども、とにかく否定できないでしょう。国民として望ましい社会の実現を歴史的な課題だと自負する、その歴史的な課題が、極端に、傍線まで引いて、教育の中立性を否定している、こういうのは、あなたは考え違いではありませんか。
  120. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 繰り返し申し上げますが、考え違いとは思っておりません。この用語の一つ一つをとって言えば、格別かれこれ申すこともなかろうけれども、こういうものに集約されたものがいかなる方法で、何を目的に要請されているかということは、これだけではわからないと申し上げておるわけであります。
  121. 平林剛

    委員長平林剛君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  122. 平林剛

    委員長平林剛君) それでは速記をつけて。
  123. 米田勲

    ○米田勲君 あなたはこの委員会に、教育の政治的中立性を否定する証拠ですと言って出しているのでしょう。これを出している限り、出しているものが、それ自体が教育の中立性を否定するという明らかなあなたの主張が成り立たなければならぬはずでしょう。この出しているもの自体にあなたの主張が成り立たないのであれば、証拠能力がないのですよ、これは。そうでしょう。証拠能力のないものを出してきてがんばられては困るのです。それなら撤回をなさる方がいいのです。そこで、私はそう思って言っておるのですよ、しつこいようだが。前段の、これはいかなる日本国民であろうとも、日本国憲法に基づく国民全体のための政治を考えるならば望ましい社会の実現なんだ、一党一派に偏した考えではない、これ自体は。それを教師の大会である新潟大会で、歴史的な課題であると自負したそのことがなぜ教育の政治的中立性を否定することになるのだ。なりはせぬのだ。そんなところへわざわざ傍線を引いて、歴史的課題と言ったのがなぜ悪いのですか。大よそ日本語を知っている者ならば、歴史的課題であると、みずから自負したこと、そのことは何ら戸惑うことではない。ましてや、この教育基本法を当てはめて、政治的中立性を否定する個所だなんと言って、証拠書類として出すべき値のないものなんです。証拠能力がない、そう思いませんか、文部大臣
  124. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 提出しました資料は、これは一ページ、二ページ、三ページ、四ページ目まで一体をなしているものとして提出しておるわけですが、この中に出ておりますのは、これは倫理綱領の本文それ自体と、そうでないほかの重要な個所とを区別する意味において出しております。倫理綱領の項目に帰納して言うならば、ここの個所だと、こういう意味合いの書類でございます。
  125. 米田勲

    ○米田勲君 それではこのワクをかけたのは証拠物件ではないのですか。あなたの先ほどの説明だと、特に傍線を引いたところは、それの極端に現われたところだ、こういっているはずですよ。そうしたら、この歴史的課題というところは、この歴史的課題だと教師たらが組合の大会で言ったことは、これは中立性を否定する個所だと、明らかに証拠物件として出している。そうでしょう、荒木さん。そういうことがわからないのですか。あなた自身が出した証拠物件ではありせんか。
  126. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 今申し上げたように、四ページにわたって一体をなして一応お読みいただきたいというつもりで出しているつもりでございます。カッコの中に入れております倫理綱領の本文、綱領第一項という意味は、ほかの次の行以下と倫理綱領それ自体じゃないぞと、あとは。ということの区別を主張したわけでございまして、これだけが証拠だとおっしゃると、ちょっと出しました意味と違うわけでございます。
  127. 米田勲

    ○米田勲君 私は何もこれだけがあなたの出した証拠だと何も言っておらないのです。出した証拠の第一番に出したものだから話をしているのです。何も私はこれがあなたの出した証拠なんだということは一言も言っておりませんよ。あなたの否定する個所の明らかな個所はこれじゃないかと傍線まで引いて出したから、それじゃどうなんだということを聞いている。あなたにお聞きしますが、今まで話してきました倫理綱領のこの三行は証拠能力はありませんね。あなたの主張を裏づける証拠能力がないですね。そう解釈してもいいですか、この三行は。ありますか、あるなら言って下さいよ。
  128. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 何度も申し上げますように、あとの方と一体をなしてお読みいただきたい。あとの方と照応いたしましたときに、このサイドラインのところがクローズ・アップしてくる、こういう意味でサイドラインが引いてあるわけでございます。
  129. 米田勲

    ○米田勲君 どうも文部大臣と論をすると疲れますよ。あなたは、とにかくわけのわからないことを言う部分がある。どうもこの前の委員会でも、ILOの運営を誹謗したり、そんなことを言っているからよく聞いてみると、それはよく知らなかった、間違いである。言い方が軽々しいですよ、もっと出した限り責任を持って下さいよ。傍線まで引いているのですから。これは出された側にとっては、私は参議院議員だけれども、元日教組の組合員だ、新潟大会にも私は役員として参加している。そういうものをつきつけられた側は迷惑なんですよ。だから、あなたはこれが間違いない証拠だと言って出した限り、それを明らかにする責任があるんですよ。いい加減なことを言ってもらっては困る。私は少なくもこの三行それ自体には教育の政治的中立性を否定する個所があるという説明はできない。文部大臣はこう判断をしている。  次に移ります。次の二行の中段です。「青少年は、各人の個性に応じて、この課題解決のための有能な働き手となるように、育成されなければならない。」と書いたところです。これについてあなたにお尋ねをするのですが、この二行で、特にあなたに意図のあったのかないのかわかりませんが、初めにお聞きしますが、これは倫理綱領の第一項そのままではありませんね。わざわざ言葉を削除してあります、この中段から。それの削除した言葉というのは、「日本の青少年が、自由と幸福をかちとる道は、これ以外にはない。」という言葉、その言葉は何がゆえに削除して証拠書類として出したのか。この「日本の青少年が、」云々という中段の行は、教育の政治的中立性を否定する行ではないので削除して出されたのか。まずその証拠を出したときに、これを削除した理由を聞きたい。
  130. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お話のように、これが全文ではございませんが、その中で問題になりました「歴史的課題」、その歴史的課題解決のための有能なにない手、それからその必要にこたえるための学習を組織して指導する、これがまあ中心でございますので、御指摘のような「日本の青少年が、自由と幸福をからとる道は、これ以外にはない。」、こう断言しておりますのは……、という点も省いてあります。そのほかに、最後に「教師は自ら深い反省に立って、勉学し、努力する。」、このところが欠けておるわけでございます。
  131. 米田勲

    ○米田勲君 私はですね、少なくともこの長文にわたるものならとにかく、わずかこれだけのその文章の中から、「日本の青少年が、」云々という言葉を省いて証拠資料として出したというのには、何か意図があるのじゃないですか。そうでなければ、その行だけは教育の政治的中立性を否定している個所とはいわれない。だからここは削除して出したものだ、こう考えるほかないが、何か意図があった、自分の言おうとするところを強調するために、他の部分を削除すると一そう誤解されやすいから、それで出したのではないかと、こういうふうに出したのではないかという一つの見方がある。どういうのですか、それは。
  132. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 別に他意があったわけじゃなくて、なるべく簡潔に出したかった。その第一点は、「歴史的課題」というものはどういうものか。その「歴史的課題」解決のための有能な働き手となるように教育する。それがこの現場の教育の中に入ってくるわけです。そのために教師はそれに必要な学習を組織し、指導する。ここにも一つの歴史的課題が、お話のような……。
  133. 米田勲

    ○米田勲君 よけいなところまで及ばないで下さい、時間がないですから。
  134. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) ですから、別に他意があったわけじゃございません。
  135. 米田勲

    ○米田勲君 私は少くもこれだけの短い文章ですから、出された側も被害の状態も大きいのですから、何人にも読まれておる倫理綱領第一項から、そんなところが抜けておったというようなばかなことにならないように、これは入れておくべきだ。そうでないと、文章の解釈というものは非常にずれてくるのですよ。私はさらに文部大臣にお聞きしますが、前段のところで、何人にも望ましい社会だと、こう考えられるその社会、その社会を教師自身は組合の活動の中で、大会の中で自分たちの歴史的な課題だと自負した、そのことは問題ではないという。そこで第二段になってきた場合にですよ。特に解説書を、あなた方研究しているはずの解説書の十ページの七行目から三行ないし四行にわたってこういうふうに書いてある、ごらんなさい。「もちろんこの課題は、われわれ教師だけのものでなく、日本人全体のものであり、従って、育ちゆく青少年のものでもある。」と、こう解説しているのですよ。いいですか。この解説に書かれておるこの言葉と対照してあなた方は判断をしているだろうと思いますが、もしそうでなければ、この解説書に書かれたこととあわせて理解すべきだということを主張します。そこで私は前段において、組合員である教師の信念と理想を述べて、中段においては自分たちおとなの後継者であるべき青少年がかく育ってほしい、そういう願望を持ち、期待感を持ち、愛情を持つということがこの二行にわたる中段の説明なんです。特にあなた方が理由があってはずしたその古葉をつけ加えると、その意味が一そうはっきりする。そういう主張は、私が今申し上げた解説のあなたがごらんになっているそこと対照して、青少年の社会でもある、日本の国土に育ち、日本の国土に成長していくすべての人のものでもある、この望ましい社会の実現をするための仕事はといっている。だから、私はそういう立場で組合活動に参加をしている立場の教師にそういうことを願望すること、そういうことを次代の国民に期待感を持つこと、そういうことがなぜ許されないのか。そのことが、なぜ教育の政治的中立性を侵すのだと言って否定している個所はこれだと言って出さなければならないような、そういう一体断定すべき法的な根拠があるのかと、こういうことを大きく疑問に持っているわけです。そこで、内藤さんではなく、文部大臣からその点についてお聞きをいたしたい。
  136. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 法的に、法的にと言われますが、何も教育基本法を適用し、あるいは学校教育法や国家公務員法、地方公務員法を適用して、これが違反しているからどうだということを申さんとしているわけでは初めからないのでありまして、倫理綱領に意図するもの、それ自体が教育の中立というものを、教師の心がまえという御説明でございましたが、その心がまえをもって教育を実施されるそのやり方が書いてあると総合判断しまして、中立性を否定するのだと、こう結論づけておる次第であります。
  137. 米田勲

    ○米田勲君 どうもそうすると、あなたの答弁からすると、今までずっとやってきた、この証拠物件として出されたものは、これ自体には証拠能力がありませんね。今まで調べてきたところによると、あなたは私の主張を反論しない。真正面から取っ組まない、あなたは私と。あなたの言い分からいくと、今まで論じてきたこのことは、証拠物件としてあなたは出しているけれども、証拠能力がないではないですか。あるならあるような主張をこの個所についてやってもらわなくちゃならぬ。何かこれとどこかにあるものと照合して、ばく然と印象的にそうだろう、そうだと、これでは迷惑なんですよ、あなた。大体われわれ法治下国の国民でしょう。そうしたばく然としておる根拠のないことで相手を誹謗するということは許されないですよ。これを出す限りは、お互いに法的な立場で争わなければなりませんが、そうでなく、常識的や道義的な立場で争おうとすれば際限がないですよ、そんなものは。人生観が違っておるのだから、ここで争うのは法的に争うよりないですよ、もはや。だから、私はもう一回文相にお聞きしますが、なぜ、組合の大会でこういう次代の国民がかく育ってほしいと願望し、期待感を持つそのこと自体を否定されるのか。そのこと自体が教育の中立性を侵すのだといって否定している証拠として出さなければならないのか。出したからには法的な立場があるでしょう、主張があるでしょう。それが明らかにならない限り、それが文部大臣によって明らかにされない限り、証拠能力がないということになるのですよ。自分で出した証拠に対して、これは証拠能力があるではないかという主帳ができないで、どうしてあなた法的々たと言われると言うけれども、ほかのことを言い出してきては困るですよ。参ったなら参ったと言いなさい、あなた卑怯だぞ。
  138. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) これは倫理綱領そのものが法律文ではございませんので、任意団体たる日教組の心がまえと注釈されるまあ言うところの教師の倫理綱領、それを国民的立場でとう理解するかということだろうと思うのであります。同時にそのことは、この倫理綱領に従って実践する、されつつある、されきたったその事実とを総合判断して初めてわかることであって、最初に申し上げました通り、言葉だけは平和々々と言っても、平和らしくふりはするが、平和でない行動をする者がたくさんあります。ですから、その言葉だけでは平和というものを否定する者はだれもおりませんから、そういう意味で、平和を希求し、平和を推進するという事柄自体にかれこれ申し上げる理由は私はないと思います。何度も申し上げますように、この一行一行で、どうだということでなしに、注釈書によって初めてこの意味がわかるわけですから、これと総合して判断して、これがどうだと、こういかなければ、平和というのも、どこが文句があるかとおっしゃっても、それには文句は言えないということを繰り返し申し上げておるわけであります。ですから、さしむき提出しました資料のこのことだけについて見ても、何度も申し上げたように、四ページにわたって一応抜き書きをしておりますから、この四ページを全部読んで、そうして倫理綱領の文言がどうだ、こういうことでないと意味がはっきりしないと思うのであります。
  139. 岩間正男

    ○岩間正男君 議事進行。委員長ちょっと待って下さい。本委員会の運営について根本的な疑義が持たれる。さっきのね、今あなたの発言されたその前の話だ。つまり教育基本法にもよらないのだ、それから公務員法にも地方公務員法にもよらないのだ、法律とは別にして、これは国民の常識とか何とか云々ということを言われたが、それではね、私たち一体文政の基本は何ですか。教育基本法に基づいてあなたやる以外にないじゃないですか。それ以外にどんな教育のやり方が一体あります。ところが今の発言というものは、根本的な日本の文政に関することだ。私はだから今のような形で進められるということについては、絶対に当委員会としては承認することができない。これはほかの委員だってそうだと思う。従って私は、当然あなたの先ほどの発言はこれは撤回さるべきである。しかもこの証拠を見てごらんなさい、ちゃんと書いてあるじゃございませんか。これは政治的中立性を否定する個所として出してあるのでしょう。従ってこの根拠になるものは教育基本法で、現在はそれで論じている。そういう資料を出しておきながら、さっきのあなたのような考えは、混乱か、一時的な錯誤か知りませんが、考え直して、今のような言葉を撤回しない限りは、当委員会の運営そのものについて重大な疑義が出てくる。私は撤回を求めます。委員長からも、この委員会で撤回を当然なさってほしいと思う。当然だと思う。それ以外にないじゃないですか。そういうことを抜きにして世話ばなしをわれわれはやっておるのじゃない。国民の常識だとか何だとか、あんたの主観を聞いているのじゃない。日本の文政について今論じておる。はっきりして下さい。取り消さなければ問題にならぬ。
  140. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) ちょっと言葉が足らなかったかとも思いますが、倫理綱領そのものは別に法律それ自体じゃないという意味で申し上げたので、これを私は証拠として出し、(岩間正男君「速記録そうなっていますよ」と述ぶ)私が倫理綱領の中立性を否定するという趣旨に心得ておるということを申し上げる趣旨は、あくまでも教育は政治から中立でなければならないという教育の基本線から見まして妥当ではない、そういう判断のもとに意思表示をしておるわけであります。
  141. 岩間正男

    ○岩間正男君 法律に立脚してやるのですか、やらないのですか。その辺はっきりして下さい。法律に立脚して、基本法を中心にして、それに根拠を置いて論議を進めるのか進めないのか。あなたのさっきのような考えでは、速記録を見れば明らかなのだけれども、その問題じゃないのだといって話を進めたって何にもならないですよ。われわれとしては、ちゃんとのっとるべき基本法、さらにその一番根源である日本国憲法の建前に立ってわれわれは論議を展開しているのですよ。それ以外に一体何がありますか。あなた自身の立場ありますか、ないわけでしょう。もしそこから逸脱したとしたら、あなた自身は大体憲法上の大臣じゃありません。そういう逸脱は許すことができないのですよ。当委員会の論議をそこに焦点を合わせるなら初めてこれは成り立つ。そういう意味から、さっきの言葉をあなたは撤回されることは絶対必要です。法律的なことを論じないとか言っているけれども、何を根拠にして論じていくか。
  142. 平林剛

    委員長平林剛君) 委員長から申し上げますが、岩間君のお話は、教育基本法は別にして国民的立場から判断をしてというお話があったので、そこを指摘されているわけでありますから、よく言葉を練ってお答え願いたいと思います。
  143. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 先ほど申しましたことそれ自身は少し言葉が足りないかと思いますが、繰り返し申し上げます。倫理綱領そのものは、別に法律ではないわけなんだからということを申し上げたわけです。これは表現のあやでございまして、別に他意はございません。それはあくまでも御指摘の通り、この倫理綱領が教育基本法の趣旨に抵触するおそれありと判断しての結論を申し上げておるのであります。
  144. 米田勲

    ○米田勲君 僕はね、あなたの出したこの資料を、今一気にどこもここも全部洗いざらい何時間もかかってまくし立ててあなたに質問するわけにいかぬのですよ。そういう非常識なことはできない。三時間も五時間もかかって全部論じて、さあ答弁せいということはできないんだ。だから私はまず順序正しく、あなたの出した証拠資料を一つ一つ、それは違うのではないか、それは立場が違うのではないか、見解が違うのではないかと言っていく以外にない。だから、当面して問題になっているところについて、あなた自身は否定している証拠だといってこれを出した限り、これ自体は証拠能力がないと言うか。もしそうでなかったら、それは見解が違うのだ、こういうのです、こういうふうに教育基本法に抵触しているのですということを立証しなければ、否定した個所を出した立場がなくなるのじゃないか、どっちかでなければ。その倫理綱領それ自体は証拠能力はありません、それ自体は。それだったらこれを削除してもらいたい。私はだから言ったんです。削除しないというからには、どうしてもこれは順序正しく追っていくより仕方がない。あなたがおっしゃられるように、これ全部今やります。しかし一足飛びにいくわけにいかない。だからあなたは、私の聞くところを、あなたの立場ではっきり、証拠があるじゃないか、これは証拠となるじゃないかと、こういうことを主張してもらわないと国民は納得しないのですよ、あなたの言うことは。印象的なことや常識的なことを言って人を誹謗しちゃならない。明らかに法律をたてにとってお互いが争うしかないのです、この場所は。そうでなければ納得しないのです、だれも。どうですか、文部大臣
  145. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 何度も申し上げますように、一つ最後までいっていただいて、その上でまたもとに帰っていただくわけには参りませんでしょうか。
  146. 米田勲

    ○米田勲君 どういうことになるのですか。私はあなたと一つ一つの個所で……、証拠能力を十分に認めて出しているのだから、そのつど、証拠能力があるではないかということを主張する義務があるのですよ、あなたは。この全部をいいかげんにしてさらさらとやって、もう一ぺんあとに帰ってなどというそんな審議の仕方がありますか。証拠能力がここにはない、ここにはあるということを一つ一つきめて、順序正しくいかなければむだですよ、そんなことを繰り返し、堂々めぐりばかりやっていては。あなたの一言われる答弁の中には一つも証拠能力がないのですよ。ばく然としている。印象的に何かとこうつなぎ合わせて、そうしてこれを考えていく。それでは証拠能力になりませんよ。それならばこれを削除しなさい。これ自体に証拠能力はありませんということにしてもらわなければならぬ。もう十分しかないが、どうですか。
  147. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) お尋ねの「歴史的課題」という問題がどういうふうに把握されるかということに決着すると思うのです。で、この倫理綱領の中に、「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現は、われわれに課された歴史的課題であり、」、この「歴史的課題」の把握の仕方によると思う。だから、その把握をどういうふうに日教組がしておるかという点については、綱領、以下述べるところの綱領、及び「新しく教師になった人々に」というこの中に「歴史的課題」の解明がされておりますので、ここを論議していただかないと、この文だけで判断するわけには参らないと思います。
  148. 米田勲

    ○米田勲君 おかしいじゃないか。これは前段を受けて、「歴史的課題」であると言っているのですよ。前段の「平和の擁護、民族の独立、搾取と貧乏と失業のない社会の実現」、それが「歴史的課題」だと言っているのですよ。何があるのですか、それ以外に歴史的課題が。
  149. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) われわれが理解しておるのは、あとに出ておりますが、搾取と貧乏と失業を伴う今日のような社会制度は根本から考え直さなければならない。社会構造のかなめを取りかえる社会的措置がとられ、全く新しい立場から考えられた社会体制が生まれてこなければ、こういう貧乏の隔たりは、決して人間の勤勉と態度などの個人的資質に基づくものではなく、いわゆる自由主義経済または資本主義経済機構に真因がある。ですから社会制度、これは一部の莫大なる所得者と、その所得者の出現を許す社会制度に原因があるのだから、ですから、この社会制度を根本的に考え直さなければならないということをまず指摘しているのですね。(「それは長過ぎる」と呼ぶ者あり)もう少し、簡単にやります。
  150. 米田勲

    ○米田勲君 ちょっと。そこまででいいです。僕は二面からあなた方に言っているのですよ。倫理綱領の各文章それ自体について論じていることと、前段に、大会で日教組の組合員が集まってこのことを論じて採択したということは、何も政治的中立性を侵したとか侵さぬとか、否定しているとか否定していないとか、そういうことを言われる筋合いはない、法的に。まずその立場に立っているのですよ、私は。それをお互いに確認したでしょう。あなたの今読まれたのは、大会で別に採択されたものではなくて、大会で採択されないもの。この前も豊瀬君が言ったが、個人がその解説書を書いて、そしてそれを配付をした、こういう性質のものなんです。しかし、そこへいっても私は論じますよ。しかし、そういう歴史的課題、あなた方だいま読んだ程度のものを裏打ちした歴史的課題であっても、これは教育の政治的中立性を侵すのですか。そういうことを組合の大会で判断をし、そういうことを採択した。その解説は採択はしたのではなくて、そういうことをあとになって裏づけをして、この歴史的課題をかりにあなたの言うように意味づけたって、組合の大会でそういうことをきめることは何ら教育基本法と関係ないのですよ。それだったら証拠能力はないのですよ、あなた、これ自体は。
  151. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) そこで、組合の大会でどうおきめになるか御自由ですけれども、それが少なくとも教育基本法第八条に抵触するおそれのある個所があるわけなんです。そのおそれのある個所として歴史的課題の認識の仕方が一つある。その歴史的課題解決のための有能なにない手として教育者がある。これは教育の場に入ってくる。そのために教師は必要な学習を組織し、指導しろ、こういう見解に立って教研集会が組まれ、現場においてもそういう事実が現われておるということが基本法八条に関連する問題であります。
  152. 米田勲

    ○米田勲君 先走りして言わないで下さい。話がごちゃごちゃになってしまう。どうもこういう論争の仕方では非常に不経済な論争になりますよ。あなた方は証拠能力があるといって出しているのだから、何度も言うよ。怒るよ、そんなことを言うなら。出しているものを証拠能力がないかのようにして、ほかのものを持ってこなければ証拠能力は生じないような話は通りませんよ。内藤さんともあろう人がひどいじゃないか。これ自体は証拠能力はありませんと、そういう立場を明確にすれば話はわかるといっておる、さっきから。これ自体に証拠能力があるといって出しているのでしょう。そうでないのですか、あなたは。違うのですか。それならもう一ぺん論じようじゃないか。証拠能力がこれ自体にはないのだ。
  153. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 私の方で出したのは四ページにわたるこれを出したのです。別にこれだけが証拠能力じゃない。これとあと含めて全部読んでいただいて、証拠能力ありと、こう断定しているわけです。
  154. 米田勲

    ○米田勲君 あなたは全部証拠能力があるといって出しているのじゃないですか。それを順次反駁していきますよ。しかし少なくとも倫理綱領第一項、ワクをつけて、傍線までやたらに引いて、教育の政治的中立性を侵す個所はこれだこれだと言っておる限り、どこが一体教育の政治的中立性を侵しているか立証しなくてはいかぬ。今まで言ったことの中にないでしょう、あなた。それにさらに——時間がだんだん長くなりましたから、話はこの次またやることにして、後段の「教師は青少年とともに生活し」というところからあとを、先ほどあなたが確認したように、一行削除しておりますね。この削除した一行は不用意に削除したとは言わせませんよ。なぜかというと、ここに削除された言葉は、「教師は自ら深い反省に立って、勉学し、努力する。」という重大な言葉が抜かれている。そうしてこの言葉を抜かれたために、あたかもこの残された二行はそれ自体で非常に何か一方的なことを強調されているかのように誤解されるのです。この削除した理由を私は聞きたいのです。なぜこの「教師は自ら深い反省に立って、勉学し、努力する。」という重大な言葉を抜いて、証拠能力はこれだと言って出しましたか。
  155. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) この考え方は、歴史的課題ということが一つのポイントなんです。その歴史的課題の把握の仕方については、今後議論されることと思うのです。それから課題解決のための有能なにない手として教育しなければ一そこで教育の中に入ってくる。学校教育の中に入る。そこで、その学校教育の中に入る場合に、それの必要にこたえるような学習を組織し指導する、ここがポイントだということを申し上げたのであって、それ以外に、先ほど御指摘になった日本の青少年が自由と幸福をかちとる道はそれ以外にないのだと断定をしております。いま一つ、今お話しのように、「教師は自ら深い反省に立って、勉学し、努力する。」、これはもちろん全文を出しても一向差しつかえないのですが、とりあえず私どもが問題にしましたのは、歴史的課題、その課題の解決として学校教育の中に持ち込むわけです。その持ち込むこと、ここに問題があるということを指摘したわけです。
  156. 米田勲

    ○米田勲君 内藤局長はそういう一方的な解釈をするかもしれないが、何を学校の中に持ち込んだのです。ここは先ほど来言うように、解説でも明かに——解説には、「もちろんこの課題は、われわれ教師だけのものでなく、日本人全体のものであり、従って、育ちゆく青少年のものでもある。青少年は、将来的には、われわれよりも遙かに有為なこの課題の担い手である。」と書いてある。この解説書でもわかるように、次代の国民に対する一つのわれわれの期待感ではありませんか。それがなぜ学校の中に持ら込んだということになるのです。この歴史的課題解決のための有能な働き手となるように育成されなければならぬというのは、この解説と合わせれば、これから育ってくるすべての国民にそういうことを願望し、期待を持っておるということなのだ。学校の中で何かすることとは話は別なんだ。
  157. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 学校の教師は、あくまでも教育基本法という法律があるし、憲法なり教育基本法なり、学校教育法に目的が定めてある。その目的の範囲内でやっていただくのが建前です。そこで今御指摘のように、倫理綱領の解説の中にも、教師にはまた政治的中立などは求むべくもない、こういうことを否定しておる。「政治的には「なんでもやる」という積極的立場に団結しなければならない。」、これは基本法の……。
  158. 米田勲

    ○米田勲君 先へ走っちゃいかぬよ。そこもだんだんやりますから。
  159. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 違反であると思うのです。
  160. 米田勲

    ○米田勲君 もう十分くらい。(「やめろよ」と呼ぶ者あり)しめくくりをつけるから……。  ここの最後のところ一行抜いたのは、私の立場から言うと、これは非常に大事な言葉を抜かれている。これは文部大臣、あなたじゃない。そしてこのこと、この後段の削除したものをあわせて、この解説の方法をあなたも研究されたろうが、十一ページの十二行目にこう書いてある。特に、「青少年とともに生きる」と書き抜いているのは、教師の運動や戦い——これは組合の運動を指しているのです。「教育者の運動やたたかいが青少年の問題から離れたところからきり出されても、それは、自分も納得することができず、また従って、他のなにびとをも満足させることができないであろう。」と、こう解説しているのです。この解説でも明かなように、この後段の三行というものは教師自身に対するきびしい姿勢なんだ。それをうたっている。それなのに、この「教師は青少年とともに生活し、」という言葉を、そういう解説も読みながら、そういうところは見ないで、これは子供と一緒に生活しているものだから、学校だ、教室だ、こういうふうにあなたら断定して、ある一つ考え方を頭に描いている。この「教師は青少年とともに生活し、」というのは、解説でも明かなように、青少年とともに生きる、生き抜くという気概なんだ。すべての教師の運動、組合の運動が自分の利己的な立場や得手勝手な、そういう立場で戦いが始まってはだめだ。戦いが貫かれてはだめだ。すべて青少年とともに生きるという、そういう信念と気概がその運動に貫かれておらなければ何人をも納得させ得ないし、自分自身も安心できないんだということを自戒している。それは最後の、あなたが削除したその言葉でもさらに最後に強く結んでいる。あなたらの解釈は自分には都合がいいけれども、僕らのような解釈をしたらあなたには奇想天外に聞こえますが。私はもう少しすなおに解説を読んでもらいたい。解説の、自分の都合のいいところはそこだけ強調している。大体この「教師は青少年とともに生活し」というところを学校の場だとあなたは解釈したのですか、あなたらは。文部大臣、どうですか。
  161. 内藤誉三郎

    政府委員内藤誉三郎君) 「青少年とともに生きる」ということは、学校の場もあるでしょうし、学校以外の場もあるでしょう。それから特に私どもが心配しますのは、そういう考え方で「学習を組織し、指導する。」という言葉にも問題があるのです。
  162. 米田勲

    ○米田勲君 内藤さんと文部大臣に特に話をするが、あなた方は日本の労働組合の中で使っている常套語を知らないのですね。日本の労働組合の中で、わが党でも使っております。「学習する」という言葉を使っています。知っていますか、文部大臣。どこの労働組合にでも行ってごらんなさい。運動方針を読んでごらんなさい。「学習する」という言葉を使っている。「学習を組織する」という言葉を使っている。労働組合もわが党でもそうだが、自分の政党活動に対する、組合活動に対する意識を純化するために研究をしたり、お互いに討議をしたりすることを称して「学習する」といっているのです、労働組合では。その学習は、単に一人々々ではだめなので、一人でも多くの組合員、一人でも多くの党員をそのグループ活動の中に集めて、そうしてグループとして学習をしていくということが提唱されている。これは教師自体を拘束し、教師自体にきびしい反省を与え、決意を与えている文章なのだから、この「学習を組織し」ということは、青少年とともに生きるという気概で、一切の問題は利己的な立場ではなくやろうというその信念。そして、そのためには「学習を組織し」ということなんです。仲間自体の話なんです。それをあなた方は「生活し」という言葉を、これも学校の場だ、生徒と一緒になっていると言う。「学習を組織し」というのも、これは生徒に学習活動させている場だと、こう判断をしているところに問題がある。あなた方は、文部大臣を初めとして、日教組の幹部とは会見をしたくない、話し合うのはむだだという。なぜこういうところをあなた方は話し合って疑問を解決しないのですか。君らにだって誤りはあるだろう、判断に。どうここを思いますか。私はもう一度聞きますが、「教師は青少年とともに生活し、この必要にこたえるための」——この「この必要にこたえるための」というのは教師自身のことですよ。「教師は」ということが頭にかぶっているのですからね。わかるでしょう、内藤さん。頭に「教師は」といっているのですよ。だから、「必要にこたえるための学習を組織し」ということは、教師自身の仲間の研さんをいっている。そして、最後のそのあなたが削除したところ、この言葉があって、さらにそれをぴしっときびしく規制をしている。教師はみずから深い反省に立って勉学し努力をする。グループ活動によって学習を組織化して、そしてその中にキャプテンを設けて、そして青少年とともに生きるという信念を貫きながら、教師は深く内省をし、自分たちだけの一人よがりでなく、すべての国民を納得させるような、そういう方向に運動を進めるために勉学し、努力をしなければならぬということをうたっているのです。それなのに、この言葉をもって教育基本法に抵触をする、教育の政治的中立性を否定している証拠書類であり、証拠能力がここにあるといって傍線まで引いて出しているのは、何としても私は理解できない。内藤さんではなく文部大臣に聞く。
  163. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 問題は、さっきも局長から申しましたように、歴史的課題が何だということ、しかもそれを解決するために青少年を有能なる働き手となるように育成せなければならないというおきてのもとに日教組の組合員たる教師が行動することを要請していることだと思いますが、そういう考え方に立って教育の場においても青少年の育成をやるという以上は、そういう心がまえで教壇に立つことはこれは当然と、これから帰納せざるを得ない、そういうことを申した次第であります。
  164. 米田勲

    ○米田勲君 文部大臣、この中には良識を持った人がたくさんあなたと私の話を聞いておりますが、あなたの話は終始一貫支離滅裂であります。あなたは責任を果たしておらない。あなたがこれを出したのは非常に日教組という大きな団体を誹謗していることなんですよ。打撃を与えていることなんですよ。これが証拠だといって出して、自分の言っていることを裏づけている限り、迷惑をこうむっているものはたくさんいるんだ。だからあなたはこの場所で、法的に証拠能力ありとして出したこれを全部僕らが反論していることに対して、自分の法的な主張を貫かなければならぬ。先ほどから長い時間かけて話したことに何一つ納得させることがありますか、あなた。私の言っていることに反論ができないものだから、ほかの方に、ほかの方にと手を伸ばして、このこと自体を論ずることをぼかそうとしている。  委員長に言っておきますが、もう約束の時間が切れましたから、私は次に引き続きまた文部大臣とよく話をしたいと思います。しかし、こういう会議の進め方では、これはもう何十口連続やってもなかなかきまりません。文部大臣はもっとすなおに、自分の責任をもって出したものが、その責任を果たし得ないような段階がきたら、この間のILO発言ではありませんが、それはちょっと言い過ぎた、間違っておったと撤回をするというくらいのすなおな態度があってお互いの話は進むんじゃないのですか。またあなたはそのほかにたくさん証拠を出しているんだから、これを片っぱしからやらなくちゃならぬが、そういう工合に虚心たんかいにやりませんか。そうでなければ、私は何十日でもあなたに食らいつきますよ。このことだけ言って私の質問を終わります。
  165. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) むろん虚心たんかいに申し上げておるつもりでございます。繰り返し申し上げますように、一行々々、一語左右をとらえておっしゃると困る面もございますが、当初から申し上げておりますように、倫理綱領それ自体はきわめて巧みに書かれております。その一種の施行規則ともいうべき注釈書、これをあわせ読まなければ理解が一般的にはできない。従って、そのすべてを総合しまして判断すべき問題と、かように考えて証拠を提出し、御説明も申し上げておる次第であります。
  166. 矢嶋三義

    矢嶋三義君 一つだけ。長い間質疑応答がありましたが、大臣が今の申されたように、倫理綱領並びにこの解説書、それから「新しく教師とたった人々に」というのを全部読んで、そうして総合的に判断した。行政府はこういう解釈をとっておる、だからそれが間違いかどうか。間違いだというなら、君ら気にくわなければ行政府の不信任でも出したらいいじゃないか。われわれ行政府はこういち見解を持っているのだといわぬばかりの態度をとられていますが、事は教育の事柄でありますから、やはり理解がお互い委員の間、それから一般国民、ことに教育者等になされなければ教育の成果はあがらないと思うのです。そこで、私はどうしても無理があるのじゃないかと思うので、それで一つだけ聞くわけですが、政治的中立というのは、内藤さん御記憶があると思うのですが、荒木大臣も国会に議席を持っていたので記憶があると思うのだが、昭和三十一年の地方教育行政の組織及び運営に関する法律というのが国会に提案された時に、昭和三十一年の通常国会でずいぶんもめたことを想起されると思うのです。この法律案の審議において一番議論の中心になったのは政治的中立ということだったんです。で、公聴会までやったわけですが、その政治的中立を論ずる場合に倫理綱領のことは全く出なかった。僕の記憶では、日教組の倫理綱領が政治的中立を侵すおそれのある一つの根拠になっているという論争は全く起こらなかった。公職会でも行なわれなかったし、あなた方からもそういう言葉はなかった。提案理由にもなかった。しかし、政治的中立を守ることが必要だからこの法案云々ということは盛んに言われたわけです。保守内閣が続いて歴代の文部大臣もそういうことを言われることなく、各大臣も日教組と会ってずっと来た。そして荒木さんという文部大臣が出たとたんに、ずっと前の倫理綱領を出してこられた。これがあるから、これを改めない限りは日教組に会わないのだ、政治的中立を侵しているからということを一枚看板に掲げているわけです。そこでその理由はどこかというので質疑が行なわれるわけですが、ここに僕は非常な無理があるのではないかと思う。日本の保守政権というのはずっと続いているわけです。倫理綱領というのは二十六年か七年にできておった、それで三十一年のこの地方教育行政の組織及び運営に関する法律のときには全然出てこなかった。そしてずっと教育行政が行なわれてきたのに、荒木さんという文部大臣が出たとたんに、その倫理綱領を引っ張ってこられて、これを改めない限りは日教組とは会わないのだ、日本の教育は非常に中立性が侵されているのだ、こういうところに非常に僕は保守政権として一貫していない責任もあると思うのです。そこに混乱を起こしている、非常な無理があると思うのです。ある意味においては荒木さんの個性、その個性なるものが、個人的識見が正常でない形であまり強く出されているところに、今の日本の文教行政、また委員会が混乱している原因があるのではないかと思うのです。ここは荒木文部大臣、少しお考え直された方がいいのではないですかね。一つ静かに考えてみていただけませんかね。あなたは、かつては改進党、民主党の議員で、それから今の自由民主党の議員で、保守政党に属する一員であるわけです。また立法府に席を置いて、かつてあなたは幹事長もされておった方です。ずっとやってこられた方です。そして、日本の保守党がどういう立場で日本の文教政策をやって来たかという過去の経緯を考えられた場合、最近あなたが倫理綱領を一つの拠点にして主張をされ、それから荒木文政を進められているところに、今のような経緯からいって非常に矛盾と無理とがありはしないか。それが今の日本の文教政策の混乱と国際舞台にまで出ての論争に発展してきているのではないか。そういうことはやっぱりあなたは考え直す必要があると思うのです。それがない場合には、今後、将来について私は非常に懸念される点があるのですが、きょうの論争を聞いてもそういう感を深くいたします。いかがでしょう。
  167. 荒木萬壽夫

    ○国務大臣荒木萬壽夫君) 常に自分は反省しているつもりでございますが、今の矢嶋委員のお言葉は、御忠告の意味であろうかと思いますが、お気持はありがたくいただいておきます。
  168. 平林剛

    委員長平林剛君) なお御質疑はあると存じますが、他日に譲りまして、本日はこの程度で散会いたします。    午後一時十五分散会    ————・————