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国務大臣(
周東英雄君) どうも私は
亀田さんの言われること、あまり社会党の
考えに大いに引っぱろうという
考えもあるから。いいことは大いに賛成しますがね。しかし、二町五反じゃ少ないから早う目標を大きく上げてと言われるけれ
ども、それはその国の国情だと思うのですよ。私も全部ヨーロッパを見ておらぬが、デンマーク、スイス、西ドイツ——ドイツあたりも戦前ですが見ておりますが、やはり
農民の数というのは国民総数に比して少ないのですね。比較的少ない農業者がある程度大きな
規模の農業をやっておる。機械化した農業をやっておるということが
一つの強味ですね。ところが、そこにおいて
日本というのは、どうしたってこれだけの狭い国土の中で約三割八分が農業
人口であって、それが農業によって養われておるというところに
一つの零細性があるということは今さら言うまでもない。これを一体どういう程度までやっていくかというところに、また
日本の社会政策
状況から見て、大きいほどこれに越したことはないのですが、それはやはり全部の
農家がべらぼうに大きなものをとって、
土地を持って生産するものがはたして需要にマッチして売れるのやら売れぬのやらわからない。そこにも農産物の消費面における、需要面における問題がある。不幸にしてそこに多数の
農家がある。こういう面の中でやはり漸進的には
一つの
土地の面積からいえば二町五反というものをやってみておるけれ
ども、これはおしかりを受けるかもしれませんけれ
ども、私は
一つの目標であると思う。しかも、たびたび申し上げますように、二町五反でも少ないし、八
反歩ぐらいで二人の農業ですでに百五十万円、あの所得倍増になった粗収入百万でなく、粗収入百五十万円になっておるということもそれがあるわけです。それは営農形態が非常に違った形態で営農しておるのです。私は
一つの目標として二町五反
考えておるけれ
ども、それは
日本のどこの地域でも全地域そういうふうにやらなければならないのではなくて、この間東畑博士が衆議院の
農林水産委員会でもおっしゃいましたが、
土地面積にこだわる必要はない。むしろ
土地をふやしていっていいという場合と、
土地の面積は変わらなくても
経営形態の変化によって大きく収入が上がって粗収入が百万、百五十万あがるということもある。こういうことでございますから、私はそういう面を今後の
実態に即してやっていきたいし、
実態に即して必要な面においては
土地の行政をやっていきたい、基盤の増加をやっていきたい、こう思うのです。その場合に、問題は
家族経営か協業かという問題ですが、協業については、先ほどから
亀田さんの
お話を聞いていると、自民党及び政府は協業は一切反対だというようにおかしいから、むしろそのことを徹底するなら、その部分、
家族経営の面積をもっとふやせとおっしゃる。それがむずかしいから全部法人に入れろ、こうおっしゃるのですが、そこにも私は割り切れない、わからない点があるのですよ。私らの方は
家族経営は進めるけれ
ども、さらに必要な場合に
家族経営でやっている人が自己の
経営ということを放棄せずに、協同組織、協業組織によって機械の利用ということによって生産性を上げ、拡大生産をしていくということはできていくし、今そのことが各
地方の
農民においては叫ばれておるわけです。まだ第一段階です。それをちっとも自民党及び政府は否定しておらないのです。ところが、全部
土地を出し合ってというのは所有権を法人に移すのですね。そう徹底した共同
経営というか、協業
経営の姿までいくということは、むしろ農業者にじっくり話しますと全部が賛成でないわけです。また、それをやる場合においては、先ほどちょうどあなたがお触れになりましたように、一体
土地を出資した場合にどういうふうに分配するかということです。これはそこに問題があるのです。そこで出資の形態を何ぼに見積もるかということです。もし
土地を持っているものがみな集まってきた一応の形態からいえば、これは先ほど部長から申し上げましたように、これは分配の基準なんです。ですから、みなが同じスタンドに、格好のシェアーに出すなら出資が時価によって見立てられ、おのおの基準が同じなら、それなら分配は一向に差しつかえない。一方において
固定資産税の標準
価格で見積もろうといえばそれでもよかろう。みな同じ負担なら分配の基準は同じだというのです。そこが問題なんです。それは法人に合わしただけで
農民一人当たりの分配所得というものをよけい上げるということであれば、ある程度あなたの言うようにみな
土地を取り上げてもふやさなければならない、こういうことになりますよ。そのときに
土地をふやすだけで生産したものが売れるのか売れないのか、こういう需給の面に立ってやらなければ、
土地をふやすのでなければ、これは私は問題でない、こういうふうに思っております。決して、繰り返して申しますけれ
ども、協業は否定でも何でもなくて、まず中心を
家族経営に置き、その
家族経営をやっている人が機械利用その他によって、協業組織によってやるものは大いにやるべし、さらに進んで自分の所有権を失ってもやるのはおのおのの希望に沿って助長していくということで、全然われわれは否定もしていなければ、今後の進展に伴い、それに応じた措置をつけていきたいと、かように
考えておるわけです。