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国務大臣(
周東英雄君)
お答えをいたします。
東委員の御心配の点、まことに感謝をいたす次第であります。私
どもも従来からの
日ソ漁業の
交渉というものは、とかくどうも筋を通さないで、力によって年々不利な形に追い込まれていくような
格好は、何とかしてこれをはねのけて筋を通していく
交渉にしたい、こういうことで今年は
交渉に臨むに先立って、
関係委員等とも打ち合わせたしたわけであります。ことに、
ソ連が従来から
主張しておりますことは、
資源論、
サケ、
マスの
資源の
状態を見て、その
資源を減らさないようにお互いに気をつけて取ろう、その
資源の上に立脚して
漁獲数量等をきめていきたいというような
考え方を述べておりますので、これは私
ども賛成だ。しかもそれに関しては、今までの
調査というようなものが不完全でありますので、今後においての
調査方法、あるいは
調査時期等、いろいろな具体的な
調査に関して共同に
一つ立案して、そうしてその
方向に進もう、こういうことまでも言っておったわけであります。
しかも、今年は
漁業交渉は、いつかもお話し申し上げましたように、一月二十三日から始まる予定でありましたが、
モイセーエフ団長が病気で一月近く
日本へ来るのがおくれまして、その間にじんぜん日を空費しないように
科学技術委員会を召集して、その
委員会において
サケ、
マスの
資源を論争をしたわけでありますが、その
委員会の同意いたしました結論というのは、御
指摘のように、本年は
豊漁年である、もちろん一昨年の
豊漁年に比べるとやや悪いけれ
ども、昨年の不漁に比べるとよろしい、こういうことが一致したわけであります。しかも、これを本
会議において確認をいたしております。従って、そういう
状態から見ますると、去年よりも
漁獲数量等において減るというのはおかしい。これも
一つの筋であるということで考えておったわけであります。
しかも、御
承知のように
漁業交渉については常に問題となるのは、
皆さん御
指摘のように、いわゆる
規制区域、それは
日本の
母船式鮭鱒漁業の入る
ところでありまして、その他の
区域は
ソ連カムチャッカ沿岸及びその領海においてとる
サケ、川に上る
サケ、これを取るのは
ソ連の
漁業計面によって自由にきめられる。また、
母船漁業の行なわれる以外の
区域、すなわち、四十五度
以南の太平洋及び
日本海等における
サケ、
マス漁業は、これは
日本の
政府が自治的に
繁殖方法を考えて、規制しながら自由に
出漁を認められる
区域であります。従って、
漁業交渉が問題になるのは、常に
母船式漁業でありまする四十五度
以北、東経四十五度以西、それと
陸等によって囲まれた地域ということであります。オホーツク海はもちろん
禁漁区でありますから別でありますが、その
範囲に限られておるわけであります。
ところが、ことしはどうした
関係でありますか、初めから四十五度
以南の
日本政府が自由にきめることができる
区域も
規制区域の中に入れて、
漁業交渉の中で
数量等をきめる、こういう問題にしたいという希望が出て参りましたが、これは筋が違うということで、いろいろと談合いたしておりました間に、四十五度
以南の
流し網、
はえなわが出る時期が切迫し、おくれましたので、御
承知のようにこれの
出漁を許可したのです。これを世間に往々
強行出漁と申しますが、
強行でも何でもない、
日本の
政府の自主権の
範囲内であります。これを出した。これがなかなか、自後における
交渉に多少感情的になっているのじゃないかと思いますが、これは私は筋が違うのじゃないかと思うのであります。それを出しました。
それから、その間に、カ二の
漁業につきましても非常にぐずついておりましたけれ
ども、これも昨年
通り、カ二の
繁殖上減っておらぬという
委員会の決定に基づいて、ことしおくれましたが、これは昨年
通り日本の船を出しました。ただ
漁場が多少変わりまして、従来
ソ連の
漁場であったのが
日本に、
日本の
漁場であったものが
ソ連の
漁業になった、こういうふうに交換したのですが、なかなかおもしろいことに、かえって
日本の
漁場が今度やっぱり
漁獲はいいようであります。こういうふうな
状況で、四十五度
以南の
流し網、
はえなわによる
サケ、
マス漁業もきまり、
出漁し、
カニ漁業も出ておるわけであります。
残された問題が、今の
母船の
区域でありまする四十五度
以北の
海面であります。これにつきましては、昨年は御
承知の
通り六万七千五百トン
日本が取っております。
ところが、ことしはそれを五万トンしか許さんというのでして、どうも私
どもは
納得がいかん。おまけにこの
海面におきましていわゆる
制限区域といいますか、
禁止区域ではありませんが、
制限区域を新たに追加して参りました。これも私
どもは困る。こういうことで折衝いたし、幸いにして、この新しく設けられる
制限区域が三つありましたが、二つはこちらの
主張をいれて取ってしまいました。
あと一つ南が残っております。これが今の
段階であります。
ところがどうも
漁業の方は、いろいろやっておりましたが、
向こうが五万トンを一歩も出ません。私
どもの方もそれでもまだ日が何しますので、涙をのんでと申しますか、筋は少し通らぬけれ
ども、いろいろな
事情で急ぐこともありますので、昨年よりも五千トン増の七万二千五百トンというものを出して要求を出しました
ところ、向うでは五万トンを五千トン上げて五万五千トンにし、最近さらに二千五百トンを増加して五万七千五百トン、ただいま五万七千五百トンと七万一千五百トンが対立している
格好であります。
私
どもはこの
関係は、もう
日本がもっと減らせとこういうことでありますが、私
どもはあくまでも今日までは、ことしの
繁殖状況なり
資源状況が悪くないのだから、それに先ほど御
指摘のように
ソ連の方は
漁業計画において、
自分の方は七万トンを一万トンふやして八万トンにしておりますから、
日本が五千トン去年よりふやすということは
最小限度の行き方であって、これを譲ることはできぬと、こういうことでただいま話を進めておりますが、しかし一面に、昨年は十八日にきまって十九日に出ておるという
格好で、それから申しますと非常に追い詰められた
格好になっております。そこら
向こうはなかなかむずかしいような
主張をいたしておりまして、あくまでもいろいろ考えてもっとふやすつもりであったけれ
ども、四十五度
以南の
区域をこっちの言うように中に入れないから、もう今は御破算であるというようなことで
主張しているようであります。
幸いにして
あとに御
質問になりましたように、もっと
世論とともに言ったらどうかという点は、ことしはかなり
新聞、
世論というものは私
どもの行き方を支持してくれまして、
日本の
主張が筋が通っておるということで支持してくれております。私
どもが十二日に、にもかかわらず七万二千五百トン出したら
新聞からだいぶたたかれました。筋を通すと言いながら、また陰で妥協しているではないかということで責められたのでありますが、これも
現実にやむを得ざる
事情でございまするが、そういう形でございますので、私
どもとしては、
日本としてはいろいろにやっていまして、なかなかきめ手がないのですが、あくまでこれは
世論というものと一緒に進めていくということがよいと存じます。今後とも御
指摘のような
日ソ漁業のごとき対外的な問題については、一番
世論を代表する国会の
皆様方に相当ある程度話を申し上げまして、御
援助をいただくことがよかろうかとかように考えております。
ただいまさような
状況でありまして、少し
つばぜり合いになっております。どうもやはり業界の方がいろいろ弱いことを言うので、私も困っておりますが、もうここ数日の間激しい
つばぜり合いが続くと思います。