○亀田得治君
日本社会党を代表して、両案に反対をいたします。
理由の若干について申し上げたいと思います。
第一は、
官行造林を廃止しなければならない、そういう積極的な
理由というものが、審議の過程からしても発見されないという点であります。発見されないだけではなく、反対に、ぜひ
官行造林を続けてもらいたい、こういう要求を、私たちはたくさんの
市町村から受けておるわけであります。そういう要求を退けてまで
官行造林をやめていく、こういう
理由はどうしても納得ができないわけであります。提案者の
説明では、今後対象地が小さくなったり、あるいは分散する、こういったようなことも言われるわけですけど、そのこと自体が
官行造林を廃止しなければならないということに直ちには結びつかない。むしろ、そういう所はなかなか仕事のしにくい
水源林であろうと私たち想像するわけですが、そういうむずかしい所にこそ、今まで地元から非常に喜ばれ信用されておるこの国の技術、これを生かしてやっていくべきものではないかと、逆にむしろ考えることもできるわけです。
第二は、
公団側の受け入れの態勢、これもいろいろな角度から詳細な
質疑があったわけですが、私たちは非常な不安を持つわけであります。
公団の方にあっては、こういう
造林ということについては、全く経験がない。従って、たとえば
水源林造成についての
契約を結ぶ、こういう段階においてすら、地方の府県の職員の援助を事実上求めていく、そうしなければ実際上
契約すら結べない。どこがどうなっておるかわからぬわけですから、当然私は
公団がやろうとすればそういうことになろうと思う。あるいはきょうも積雪地帯などについての質問が
清澤委員からありましたが、そういう特殊なところについては、営林署の技術者などの援助も求めるというような回答もあるわけですが、そういうふうにして府県なりあるいは
林野庁の技術を一部借りなければできない、こういう頼りない態勢にあるものであれば、何も
公団に特にやらす必要はない。それらの技術を現に持っておるその
林野庁自体がむしろやっていくのが筋合いだ。いやしくも今までともかく
林野庁が仕事をやっていて、それを切りかえるのだという以上は、その事業の主体が今までよりももっと信用があるもの、そういうものでなければいなけいと思います。そういう面は審議の過程においても、
公団側から私は感じ取っておらないわけであります。これが反対の第二の
理由であります。
それから第三点はこの法案の出し方といいますか、こういう点に私たちは大きな不満を持っております。この法案が
関係者の十分な納得もいかないままに突如と出てきた感じを与えておる。それからまた、法案の施行の期日ですが、今年四月一日からとこういうふうになっておる。既
契約分については
影響がないように法案ではなっておりますが、しかし、実際の
行政指導としては法案成立前に既
契約分についてもこの四月一日以降
公団に
行政指導で切りかえさしていく、こういうふうな動きがあったこともこれは事実なんです。私は長年
一つの型を持ってずっとやられてきた事業を、どうしても切りかえなければならぬという合理的な根拠が出てきたとしても、それを切りかえるためには、今回おとりになったようなやり方は、はなはだ私は軽率であると思います。もっとそこに一定の猶予期間を置くなり、そういう措置がなければ、非常な無理、混乱というものが起こると思う。幸い衆参両院で法案が慎重に審議された結果といたしまして、事実上そういう点についての無理というものが多少訂正された点は、私は非常にけっこうであろうかと思うのですが、ともかく当初のそういう計画というものは、そういう点で非常に無理があったということを申し上げておかなければいけないと思います。
それから第四点は、この法案を出すにあたりまして、当然
市町村の財産なり、そういう点に
関係がありますから、農林省と自治省との折衝があったわけでございますが、その結果例の
了解事項というものが両者の間でできております。これはどう考えても法案を、何とか自治省の了解を得たいという気持があるために、大事な問題について非常に不明朗な形で農林省側としての約束を与えておる、こういう感じがするわけであります。これもたびたび審議された点でありますが、
基本問題調査会の
答申なり、あるいは部落有林野対策協議会の
答申、こういうものが部落有林等について出ているわけです。政府としてはこれらの
答申に拘束されるものではないでしょうが、しかし、みずから作った調査会、それがいろいろ勉強されて出している、これは正規の
答申であるわけです。その
答申の中で
指摘されている
問題点についての最終的な政府としての
検討なり、結論が出ておらない。そういう際には、少なくともそういう
答申の線とは矛盾しないようなことでなければ、事前に他省との間で了解を与えたり約束をするということは、やはり問題があろうと思う。農林大臣は決して心配は要らない、ケース・バイ・ケースでやっていけば、決して矛盾は起こらないのだ、こういうふうなことで逃げておりますが、これはだれが考えても、これは法案を通したいあまりに、そういう
答申案の精神というものを若干無視しながら目をつぶってそうして自治省側とそういう約束をした、こういうふうな印象を与えているわけです。こういうことははなはだ遺憾であると私は思うのです。やはりそういう問題もあるわけですから、
林業の基本的な問題をさらに
検討して、全体としての政策が確立してくるその一環、その中でやはり
官行造林の問題についても結論を出していけば、そういう不自然なものは出てこなかったであろうと考える。そういう点もはなはだ遺憾であります。
まあ、いろいろ反対の論拠を申し上げたい点はたくさんあるわけですが、以上四点だけを申し上げまして討論といたします。