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政府委員(
坂村吉正君) お答えいたします。第一点の
肥料の
マル公の問題でございますが、これは昨年の七月の
肥料審議会におきまして、三十五
肥料年度の
マル公をきめる案を、
政府案を
提出をいたしまして、これは
基準価格といたしまして四十キロ一俵
当たり七百五十七円五十四銭という
基準価格でありましたが、この案を
提出いたしまして御
審議をいただいたわけでございますけれども、現在先ほどの
清澤先生の
お話にもございましたように、
輸出の
関係等で
輸出会社に
相当赤字がたまっている、だから
合理化計画もなかなか十分に進んでいない。こういうようないろいろの問題がありまして、
政府といたしましてこの今までの
輸出赤字の
対策をどうするか、今後の
合理化計画をどうするか。そういう点が必ずしも十分でないから
肥料審議会としては
マル公についての、
公定価格については
答申を、
価格の適否を判断することはできないと、こういう
答申をいただいておるのでございまして、そこで
政府といたしましては、その場合におきましても
合理化計画は
肥料審議会の御
趣旨の線に沿いまして
十分至急にきちんとした
合理化計画を
一つ策定をしようということと、それから
輸出会社の
赤字の
対策につきましても同時に
政府として
対策を考えようと、こういうことでその後いろいろ
検討を進めて参っておるのでございます。しかし、
価格の問題は、そういう
状態でありましてもほうっておくわけには参りませんので、
政府の
責任におきまして、
肥料審議会の
答申は出ておりませんが、
政府の
責任においてまあいわゆる
暫定価格といいまするか、そういうような意味におきまして
マル公をきめて参っておるのでございます。そういうようなことでございまするので、この七百五十七円五十四銭という
基準価格を限月に直しまして
月ごとに
マル公はきめて参っております。ですから、従いまして今後も
合理化計画等がきちんとでき上がりません場合におきましても、これは
マル公についてはそういう
心配はない、
肥料の
価格については
農民に
心配をかけるという
情勢ではございません。毎月
マル公はこの
基準価格を直しまして限月きめていく、こういう
考え方できめております。
一方、
合理化計画とそれから
輸出赤字の
対策でございまするが、これにつきましては
輸出会社に積もっておりました
赤字が三十五年の七月末で百十五億になっておるのでございまして、それを何とか
処理をしなければ
硫安工業の負担が非常に大きいものでございますから、だからそれの
処理について税法上の
措置をもってこれを
処理しようということで、先ほどの
お話のように
租税特別措置法によって今まで払い過ぎました税金を戻すと、こういう処置を講じていただきましたわけでございます。まあそれにいたしましても、それで救済されまする分は全部とはいえませんので、まだ今後の
赤字の問題についての
処理は今
検討中でございまするが、残った分については今後の問題としてこれは
検討して片づけていくと、こういうつもりで
検討いたしているわけでございます。
一方、
肥料工業——硫安工業合理化の問題は、これは今まで第一次
合理化計画、第二次
合理化計画というようなことで
確めて参っておるのでございまして、初めは
トン当たり六十ドル前後のものが最近におきましては五十二、三ドルまで大体下がってきておるのでございまするけれども、まだまだ
外国との
輸出競争等を考えてみますると、こういうような
状態で
競争はなかなかできないという
状態でございまするので、今後
合理化計画を徹底いたしまして、
外国と
競争をいたしましても
硫安工業が成り立っていくような
状態にまで
合理化を進めていかなければいかぬと、こういう
情勢にありますわけでございます。ですから、従いまして今の第二次
合理化計画の
最終年度は
昭和三十八
肥料年度でございまするけれども、それまでの間に、三十八年度までに徹底した
合理化を完成しようと、こういう目標で
合理化計画を現在
策定をいたしておりまする
段階でございます。
で、従来、非常に
合理化計画そのものについても
通産省でいろいろやっておりました問題につきましても、いろいろなかなかむずかしい問題もございましたので、思い切って
一つ合理化を、低
コスト優先主義で
合理化を徹底しようじゃないか、こういう
考え方で通産、
農林両省とも今各メーカーの工場の
能力等も洗っておりまして、そういうものを
基礎にいたしまして徹底した
合理化計画を立てようと、こういうことで考えておるわけでございます。それをもとにいたしまして今後の
価格というようなものもできるだけ下げていく方向に
策定をしていくというつもりで考えておるわけでございます。
御承知のように、現在の
硫安の
マル公につきましては、
臨時肥料需給安定法の十三条で「
販売価格につき、その
最高額を定めることができる。」と、こういうことになっておりまして、「前項の
販売価格の
最高額は、
政令の定めるところにより、
生産費又は
輸入価格を
基準とし、
農産物価格、
肥料の
国際価格その他の
経済事情を参しゃくして定める。」ということになっておるのでございまして、その
政令におきましては「法第十三条第一項の
生産業者の
販売価格の
最高額は、
硫酸アンモニアについては、附録の算式により算出される
合成硫酸アンモニアの
生産費の額を
基準とし、
農産物価格、
硫酸アンモニアの
国際価格その他の
経済事情を参しゃくして定める。」こういう
法律と
政令になっておるのでございます。個々の
生産費の定め方、
生産費のはじき方がいわゆる
バルク・
ライン方式というようにいわれておるわけでございます。現在までもこの
法律によって
公定価格をきめて参っておるのでございまして、これはできる限り
硫安工業の
合理化を進めるとともに、
農民に対する
肥料の供給の
価格をできるだけ下げていこう、こういう
主義でやっておるわけでございますので、この
法律の精神は堅持いたしまして今後の
硫安工業の
合理化と、それから
価格の
決定の問題につきましては対処していきたいというふうに考えております。
それから第二点でございまするが、第二点の御
質問の
趣旨はあまりまことに申しわけございませんがはっきりいたさないのでございまするけれども、たとえば
赤外線というようなものを何か
肥料に使うというようなことがございましたようで、これを
昭和二十三年に
販売禁止をした、
販売を停止したという
お話のようでございます。これは
肥料の
定義から申し上げますると、大体、
肥料というのは
植物に
栄養を与えるということと、それから今までの
観念は、
土壌に化学的な変化をもたらして、そうして
植物に
栄養を与える、こういう
観念で大体
肥料というものを扱ってきておるのでございます。ですから、そういうような
関係で申し上げますると、たとえば
赤外線だとか放射能だとかいいまするようなものは、直接
植物のいわゆる
栄養といいまするか、
同化作用あるいは光合成というような、そういうようなものとの
関連が直接主体になって動くというようなものではなくて、あるいは私もよくわかりませんけれどももおそらく触媒的な
機能とか、あるいは人間でいえば
ホルモンというような、そういうような感じのそういう
機能を持っているようなものじゃあるまいかというふうに考えておるのでございます。従いまして、そういうようなものは、現在のところ
肥料の
対象としては考えておりませんので、
肥料の
取り締まりの
対象にしているわけではございません。その当時
販売を停止したという
事情は、あまり現在、まだよく精細な
調査がございませんけれども、おそらくその当時は、
間接肥料販売制限規則というのがございまして、ですからこの
規則によって、
土壌に施す
肥料以外のものは、許可をされたものでなかったら市販ができない、こういう
規則がございましたので、あるいはその
関係から
販売停止というような処分があったのじゃないかというふうな、想像でございますが、まだその
調査が届いておりませんので、その程度しかお答え申し上げられないのでございまするが、そういう
事情ではないかというふうに考えております。
今後の問題といたしましては、
異物混入という、今度の
法律改正で、
異物を混入しても
公定規格に従って
肥効の増進になるとかその他の目的のために
異物が入った場合でもこれは許す、いいんだというふうに今度は
法律を直してもらう、こういう
工合に考えておるわけでございます。今考えておりますのは、この前御
説明申し上げましたように、
農薬であるとか、大谷石であるとか、ベントナイトであるとか、そういうようなものを考えておるのでございまするけれども、今後の問題といたしまして、たとえば、先ほど言いました
植物の
ホルモン的な
機能をいたしまするところの
成長を調整するものであるとか、というようなものが今いろいろ出始めておるようなわけでございます。まだほんとに普及されて市販されて、堂々と使われているという
段階じゃございませんけれども、そういうような問題がだんだん起こりつつあるのでございます。たとえば、例を申し上げますると、ジベレリンというようなものがございますし、アルファ・
ナフタリン酢酸、それから
インドール酢酸というようなものがございまして、こういうようなものは、大体内容を見てみますと、
成長促進といいますか、
発育促進といいますか、
ホルモン的な
機能を持っているものじゃないかというふうに思うのでございますが、こういうふうなものを今後の問題として
異物混入というような
観念から言って混入させていいかどうかという問題は、現在まだ
検討いたしておりませんけれども、今後の問題としては、
製造や何かの
状況によってどういう
工合に扱いますか、
一つ検討いたしたいというふうに考えております。
それから、第三番目の問題は、
畜産局が参りましたので、
畜産局から……。