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政府委員(
伊東正義君) お手元に愛知川水公団法の一部を
改正する
法律案提案理由補足説明というものを差し上げております。もう一つ、今の
補足説明の
資料と、
愛知用水公団法の一部を
改正する
法律案関係資料と、二つお手元に差し上げてございます。
提案理由の
補足説明だけさせていただきます。
この
愛知用水公団法の一部
改正につきましては、先般井原政府次官から
提案理由の御
説明がありました
通りでございますが、愛知用水公団の事業が
昭和三十五年度でほぼ完了の見通しがついて参ったわけでございます。
農林省といたしましては、愛知用水公団の過去の経験等から
考えまして、またこのほか木曾川、豊川水系等におきます水の需要の問題等を
考えまして、実はこの
法案を提案をします前には、もう少し幅の広い水資源の開発管理の公団ということも
考えてはいたのでございますが、諸般の情勢上、そういう公団を予算までに間に合わすことができませんでした
関係上、さしあたり、その
考えの構想の中に入っておりました豊川地区につきまして、ここで豊川の総合開発事業をやりまして、現在国営でやっております豊川水利事業の
工事の早期完成、あの地帯は今後かなり農業を初め、いろいろな経済の発展が
考えられますが、そういう
地域の総合開発ということを企図しましたことと、現在の公団の人員あるいは機械というものにつきましてここ五カ年間これを活用して参りましたものを、有効にこの
地域で活用したらどうかというような目的で、この
法案の
改正を御審議願うことにいたしたわけでございます。
まず、これは
法律の目的でございますが、従来は木曾川水系におきまして水資源の総合開発ということだけになっておりましたが、今度今申し上げましたような
関係で、豊川水系も木曾川水系に追加いたしまして、ここで仕事をやるというふうに目的の変更を、目的の
改正を追加といいますか、をいたしております。
それから、順を追って御説叩いたしますと、第二番目は、役員
関係の
規定が第二章に書いてございますが、これは内容が三つございます。総裁、副総裁というな名称を理事長、副理事長という名称に変えましたことと、従来役員の任期が五カ年でございましたものを三カ年に変えました。全部で役員は九人でございましたが、これを六人にしたことと、役員
関係につきまして
改正いたしました点は、三点でございます。理由は、先ほ
ども申し上げましたように、愛知用水公団の事業がほぼ完了いたしますので、豊川水系を入れて参りましても、従来作りました愛知用水公団の
施設の管理のほかに、豊川水系の事業の今後の予想、これは若干今後の基本計画等で調査いたしますれば変わるかもしれませんが、約二百六十億ぐらいの今後の
事業費になっておりますので事業の面からいたしまして、若干縮少してもいいんじゃなかろうかというようなことで、名称変更あるいは人員を減らしまして簡素化いたしたような次第でございます。理事が五人が三人、監事が二人が一人というふうに減っております。
それから任期でございますが、従来は五カ年ということになっておりました。これは愛知用水の事業は
法律で五カ年完成とはなっておりませんでしたが、基本計画なり、事業実施計画で五カ年でこれを完成することを目途するということを
考えておりまして、それに平仄を合わせまして、役員の任期を五カ年としていたわけでございますが、今度の豊川の水系につきましては、こういうことを五カ年とはきめておりませんので、役員の任期につきましては、機械公団でございますとか、あるいは森林開発公団でございますとか、こういうほかの公団の役員の任期と一緒にして差しつかえないんじゃなかろうか。五年ということはまた若干長いような感じもいたしますし、これは三年と直したわけでございます。
次は、業務の範囲でございますが、これは二点修正をいたしております。これは現在の愛知用水の事業は牧尾ダムが長野県にございます。あと木曾川からとりまして岐阜の一部に灌漑をいたし、愛知県の大部分に灌漑をいたすわけでございますが、その
関係上、長野県、岐阜県、愛知県となっておりましたが、豊川水系を入れますことによりまして、静岡の湖西町の一部の約五百町歩ぐらいでございますが、灌漑をしますところが出て参ります。それが従来豊川の事業に入っておりますので、当然その
関係で静岡県を追加したということが一点でございます。
それから、従来は灌漑でございますとか、あるいは開墾でございますとか、そういう事業はございましたが、埋め立て、干拓は実は事業の業務の範囲には入っておりません。今度豊川水系を入れます場合に、あそこには土地灌漑排水事業のほかに、開拓もございますし干拓、埋め立てもございますので、業務の中にそういうことができます
規定を入れているわけでございます。
それから、四ページの途中に書いておりますが、十八条の二という
規定を一条起こしておりますが、これは事業の承継の
規定でございます。現在やっております国営の豊川の事業、それから県営の豊川事業に付帯しました牟呂松原とか、手をつけているところがございますこれは土地改良法の
手続でやっているわけでございますが、今度は
法律を
改正いたしまして、国営につきましてはこれは土地改良法との一応縁を切りまして、従来、事業実施計画を縦覧しまして、異議の申し立て等を聞いて成規の
手続が終わりました告示のあった次の日からこれは公団の事業にするというように、公団法でこの仕事をやるということを
規定いたしております。また、県営につきましては、これは県から公団で一緒にやってもらいたいという申請がございますれば、これは公団の事業といたしまして、やはり先ほどの所定の
手続を経ました後に公団の事業となるというふうに、事業の承継を当然のことといたしまして入れております。そういう
関係で、費用等につきましても、負担金につきましても、従来の土地改良法でなくて、この愛知用水の従来のような公団法の
手続で、公団が負担金を徴収するというような
規定を新しく入れているわけでございます。
それからその次に、事業実施計画、基本計画を従来の公団法でも作っているのでございますが、これは従来は木曾川水系一本でございましたので、分ける必要はないのでございますが、今度は木曾川と豊川と分けることになりましたので、事業の実施計画、基本計画というものもおのおのに作成をいたしまして、負担
関係等を明確にするという、後ほど経理のことでも申し上げますが、区分いたしまして、はっきりして事業をやっていくという
規定を内容に入れております。
それからさらに、先ほど申し上げましたように、業務の中に干拓、埋め立てというものを入れて参りましたので、これはこれをどういうふうに処分するかという
規定が当然要るわけでございます。大体は土地改良法の
規定に準じてはおるのでございますが、若干違うところはございますが、大体は土地改良法の
手続に準じた配分をいたしております。たとえば、土地配分計画は一般の干拓でございますと、農林大臣がきめることになっておりますが、ここでは公団が農林大臣の認可を受けまして土地改良計画を定めて報告をします。あるいはそういうことになりますと希望者が配分申請を公団にいたします。公団はその中から農業に精進していく見込みのある者につきまして配分をしていく。そうして費用の一部も徴収していくというような
規定を入れ一たわけでございます。一般の干拓でございますと、そういう農業者のほかに、いろいろな干拓地で必要な事業をする、例をあげてみますと、かじ屋さんのような場合であるとか、あるいは組合を作るというような場合におきましては、組合の敷地でございますとか、そういうものを配分できるようになっておりますが、ここではそう大きな全国的な問題ではございませんので、土地改良法とは、そういうものには配分をしないというようなことが、若干の違いはございますが、大部分は土地改良の
手続に準じまして、干拓埋立地の配分をするということをいたしております。
それから次には賦課金の
規定でございますが、今申し上げましたように。干拓埋立地が入って参りましたので、その
関係の経費の一部を、賦課金として徴収するということのほかに、先ほどから、国営土地改良につきまして、公団の事業となる日まで、公団の事業として承継をいたしますので、そういう承継をいたしますまでに国が、要しました費用を、公団が徴収できるというような当然の
規定を置いているわけでございます。
それから次に七ページに書いてございますが、これも先ほど申し上げましたように、基本計画それから実施計画は、木曾川、豊川というように、系別に作ることにいたしておりますが、それと同様の
趣旨で、経理もはっきり、区分をして経理する。そしておのおのの水系で、負担金は事業別に幾らということをはっきり算出するというような経理の区分の
規定を置いております。これは実は愛知用水の木曾川水系につきましては世銀借款がございまして、この償還もございますのでその
関係のこともこの経理を区分いたしまして、はっきりしょうというのでございます。
それからさらに従来は、公団は一般的には債券の発行をいたしておらなかったのでございます。現在ありますのは、三十五条にございますのは、公団が世銀との借款契約に基づきまして、世銀の要求で、世銀に債券を引き渡す必要があるという場合だけに、公団債の発行の能力があったのでございますが、今度は一般的に公団債の発行ができる能力
規定を入れているわけでございます。これには国会の議決がございますと、その金額の範囲で政府が保証できるようなことにいたしております。大体は資金運用部資金等を借りることを前提といたしておりますが、万一資金に不足を来たすというような場合には、公団債を発行いたしたいというつもりでございます。ただし三十六年度には、まだ公団債の発行の予定は全然いたしておりません。これは三十七年度以降の問題でございます。
それから次に権利義務の承継の
規定がございます。これは先ほど事業の承継の御
説明をいたしましたが、事業の承継をいたしますと、国営事業につきましては、当然に権利義務の承継をすることにいたしておりますが、ただ県営の事業につきましては、当然ということにはいたましせんで、公団と県と協議をしまして、どの範囲のものは承継させるというようなことを、公団と県で相談をする、協議をした上で定めるというようにいたしております。それで国の、国営事業の権利義務を承継します中で、実は、これは技術的な問題でございますが、豊川が
昭和二十四年から一般会計でやっておりましたときには、農民負担分まで国が実は出しておりました。これは、事業が完成いたしますと農民負担金が入ってくるわけでございますが、この分だけにつきましては、これは
国庫に納付する、国が農民にかわって出しておりました分については、一般会計時代の分については
国庫に納付するという、これは技術的な問題でございますが、
規定を加えております。これが権利義務の承継の大要でございます。
それから
最後に附則でございますが、この中には実は役員に関します
改正規定について、施行期日を約四カ月おくらせております。これは、大部分の
規定は公布と同町に施行されるということでございますが、実は予算上もこの従来の愛知用水公団が豊川を繰り入れまして事業をやります切りかえは、三十六年八月一日ということを予定いたしておるわけでございます。それで現在の役員の人々には、それまで豊川用水の準備をしてもらうことと、愛知用水の、実は六月一ぱい通水期と
考えておりますが、こういうことの始末といいますか、まだ若干残っておることがございますので、そういう仕事と両方やってもらう問題がございます。それで私
どもとしましては、幾らおくれても八月一日が最終と
考えておるわけでございますがそれまでの期間に、公布とともに施行いたしますと、前の役員が数が減ってくるというような問題も出てきますので、彼此にらみ合わせまして、公布後いつに施行したらいいかということをこの
規定だけにつきまして多少余裕を見て
政令で定めたいというような特別の
規定を赴いております。
大体法文の内容、大要につきましては、先般政務次官から
提案理由で御
説明がありましたので、私からは条文につきまして
補足説明いたした次第でございます。
引き続きまして
資料の大要につきまして御説閉山し上げます。ただし、この中の
数字は、実はあとでも申し上げますが、これからこの
法案を御審議いただきますと、基本計画を作り、実施計画を作るわけでございます。それで若干その場合に
数字等も変更があろうと思われますので、その点はあらかじめ御了承をいただきたいと思います。
第一番目の、愛知用水公団事業の予算でございますが、三十六年度国費は、四十一億五千九百八十万となっております。これは、実は豊川
関係とそれから愛知川水
関係と町方になっているわけでございます。便宜上二ページの方を先にごらん願いますと、従来の愛知用水公団
関係の費用でございますが、これが三十億二千百万になっております。これは愛知川水の事業につきましては、御
承知のように債務負担行為を起こしまして、資金運用部資金、それはそれだけは
補助金を出すという債務負担行為をやりまして、その分を資金運用部資金なり見返り資金から借りまして事業を進めているわけでございます。その債務負担行為が百十九億、約百二十億ございます。これを四カ年にわたりまして国から
補助金をもらうということにいたしておりますので、その
補助金が三十億ございます。それと愛知用水公団の
施設を公団が管理するわけでございますが、その中で三十五年度の予算に実は国が作りました土地改良の
施設を国が管理をする、国営管理をするというようなところ、実は三十五年度二カ所、三十六年度には北海道の大夕張のダムが入ってきましたが、全国で、予算で三カ所、実際は二カ所でございましたが、やる予算を取ったことがございます。これと同じ
考えで数府県にわたりまして影響のありますものとしまして、ここの牧尾ダムそれから兼山頭首工それから東郷調整池というところの管理費につきましては、電気、水道からアンケートした管理費を取りました残りのものの二分の一を国で
補助しようということで、二千百万のこれは管理費の
補助金ということで、三十億二千百万が日米の愛知川水の事業
関係の予算でございます。
そのほかがこの第一ページの豊川
関係でございます。豊川は、この表でごらんになりますとおわかりのように、前年度は国費は八億三千九九百万、
事業費で十億三千九百万が三十五年度の事業でございますが、三十六年度は二十五億と、十億一三千九百万が三十五億というふうになっております。
このうち、先ほど申し上げましたように、事業の移り変わりをいたします七月一ぱいの経費としまして、豊川の総合灘排
関係が
事業費を四、五、六、七月分でございますが三億とっておるわけでございます。これは従来の率の
通り国費が二億四千万で、あとは資金運用部資金から六千万借りることになっております。それから、国営豊橋の開拓
関係で一千万の国費を四、五、六、七、これも四カ月で見ておるわけでございます。そのほかの二十一億九千万というのが、これは豊川総合水利でございまして、これは今後、これから基本計画を作るわけでございますが、灌漑、開拓がこれに入ってくるわけでございます。埋め立てはまだ三十六年には
事業費としては入っておりません。その内訳は、まだ
補助率を幾らにするかということははっきりいたしておりませんが、一応、国が六五、地元が三五というものを予算の算出の基礎として立てたわけでございます。しかし、これは、実際、これから実施計画を作りますと、この総合
補助率は、灌漑の面積が幾ら、開拓が幾ら、干拓が幾らといってはっきりしますと、また違って参りますが、積算の基礎に一応用いた
数字でございますので、その点は若干、後に異同があるというふうにお
考えをいただきたいと思います。それで、国費相当分として十四億二千三百、五十万を見ました中で、八割が国費で、借り入れを二割する、これが従来やっておりますよりも施越し分に該当いたします。そのほかに地元の借り入れ分といたしまして、県、それから農民の両方足したものの地元負担分の借り入れが七億六千万ございまして、借り入れの計としましては七億六千万と二億八千万と合わせて十億五千百万円が借り入れで、国費は十一億二千八百万であるというような予算を計上いたしているわけでございます。これは三十六年度の予算そのままでございます。
それから豊川水利事業でございますが、これはページにしまして、四ページに略図が書いてございます。事業の内容は後ほど申し上げますが、これは実は佐久間ダムからも水を取ってきます。天竜、三河総合開発の一部になっておりますが、その若干下流の方に宇連
ため池とございます。これは三千八百万トンの池で、この
ため池はすでに作っております。それから若干下流にいきまして大野頭首工というのがあります。ここももうできております。大野頭首工は三十トンの水でございますから、愛知用水公団の水と同じでございます。あれは三十トンでございます。大野頭首工も三十トンになるのでございます。この水を引いて参りまして、渥美半島の突端の伊良湖の方に持って参ります。これが用水補給、開田、畑灌でございます。
それからもう一つは、蒲郡の方に水路ができておりますが、蒲郡の方に参る水路と幹線は両方ございまして、それから支派線が出てくるという、これは計画になっておりまして、水の量からいきますと、愛知用水公団とまさに同量の水がこの幹線水路を通って流れるということになっております。ただ愛知用水よりも現在のところは、工業用水、上水道の量は少なくなっております。
作文は省略させていただきまして、表のところを、単に申し上げますと、六ページでは、先ほど静岡県も入るということを申し上げましたが、農業、工業、上水道の
関係市町村の名前をここにあげてございます。それから七ページに参りますと、受益面積が大体二万四千三百十五ヘクタールというふうに出ております。しかしこれは用水補給が実は大部分でございまして、そのうちの一万八千が用水補給、開田、ここに有名な豊橋の開拓地がございますが、ここの開田が三千それから畑灌、これも開拓地、渥美がおもでございます。畑灌一万、それから干拓が七百九十四というふうになっております。このほかに無灌水純畑の開墾地が千くらいございまして、合計二万四千ということになっております。これを事業別に見ますと、大部分が土地改良で、三万四千のうち土地改良は一万六千、開墾が五千というような
数字になるわけでございます。
それから八ページの総
事業費でございますが、これはここにございますように三百十三億でございます。そのうちの大部分が農業
関係でございまして、上水道、工業
関係はわずかでございます。この三百十三億のうち三十五年度までに約五十三億の予算を使いまして、先ほ
ども御
説明はいたしましたが、残事業としては二百六十一億でございます。今まで使いましたほとんど大部分は、一番上にある国営農業水利事業でございまして、先ほど申しましたように宇連ダムでございますとか、大野頭首工あるいは幹線の一部というものを今までやったわけでございます。それから開拓事業につきましては、これは地区内の道路とかあるいは開肥作業とかいろいろございますが、水路等につきましては、まだ今後の問題でございまして、道路等を主として今までやったわけでございます。
それから一番
最後を見ていただきますと、
最後のページでございますが、年間の配水量が書いてございます。これは全部で一億五千万トンでございまして、農業水利に一億二千八百万トン、上水道に五百九十万トン、工業用水に千六百万トンというふうになっております。下のカッコは、これは大好取水の最大の三十トンの取水でございます。これは実は今までの計画では、そういうことになっておりますが、工業用水等につきましては、実は豊橋が今後相田、工業用水なり上水道なりの需要があるだろうということで、今調査をいたしておりますが、十トンぐらいほしいというような
数字も実はいわれているわけでございます。それで冒頭にも申し上げましたように、この豊川事業の
数字につきましては、これは前に計画をしましたときの
数字を使っておりますので、今度調査に入りまして、基本計画、実施計画というのを作りまして
関係受益者に縦覧公告をいたします場合には、この
数字は変動があるということをお含みおきを一つお願いいたしたいと思います。
簡単でございますが御
説明にかえます。