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1961-04-03 第38回国会 参議院 農林水産委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年四月三日(月曜日)    午前十時五十二分開会   —————————————   委員異動 四月一日委員後藤義隆君、小柳牧衞君 及び大泉寛三君辞任につき、その補欠 として重政庸徳君、河野謙三君及び仲 原善一君を議長において指名した。 本日委員吉田法晴君及び戸叶武辞任 につき、その補欠として阿部竹松君及 び清澤俊英君を議長において指名し た。   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            櫻井 志郎君            亀田 得治君            東   隆君            森 八三一君    委員            石谷 憲男君            河野 謙三君            重政 庸徳君            高橋  衛君            堀本 宜実君            北村  暢君            清澤 俊英君            小林 孝平君            千田  正君   国務大臣    農 林 大 臣 周東 英雄君    運 輸 大 臣 木暮武太夫君    国 務 大 臣 迫水 久常君   政府委員    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    運輸省鉄道監督    局長      岡本  悟君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 廣瀬 眞一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    日本国有鉄道副    総裁      吾孫子 豊君    日本国有鉄道営    業局長     遠藤 鉄二君   —————————————   本日の会議に付した案件 ○農林水産政策に関する調査  (農林畜水産関係物資国鉄貨物運  賃に関する件)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。四月一日、小柳牧衞君、大泉寛三君及び後藤義隆君が委員辞任、その補欠として河野謙三君、仲原善一君、及び重政庸徳君が委員に選任されました。また、本日、吉田法晴君が委員辞任、その補欠として阿部竹松君が委員に選任されました。   —————————————
  3. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 農林畜水産関係物資国鉄貨物運賃に関する件を議題といたします。  本件について質疑の御要求があります。順次御発言を願います。  なお、ただいま本件について関係当局からの御出席は、農林大臣周東英雄君、運輸大臣木暮武太夫君、農林省経済局長坂村吉正君、運輸省鉄道監督局長岡本悟君、日本国有鉄道総裁吾孫子豊君、日本国有鉄道営業局長遠藤鉄二君であります。それでは御質疑を願います。
  4. 亀田得治

    亀田得治君 時間がきわめてわずかでございますので、一日の連合審査と重複しないように、私は二つの問題だけをこの際確かめておきたいと思います。  その第一点は、今回の運賃改訂は、国有鉄道運賃法の第一条第二項のどの条項によっておやりになったのかお伺いをしたい。
  5. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 御指摘のように、今回運賃改訂をお願いしておるのでございますが、この改訂につきましては、国有鉄道運賃法の第一条第二項に従いまして改正案を作成したわけでございます。で、どの条項と、ころいうお話でございますが、われわれといたしましては、第二項にございますように、「運賃及び料金は、左の原則によってこれを定める。」こうございまして、一、二、三、四と四つございますが、それを総合的に勘案いたしまして、今回の改正案を作成いたしたような次第でございます。
  6. 亀田得治

    亀田得治君 私は、時間がないから、もう端的に大臣見解を確かめますが、この運賃法第一条第二項には、運賃をきめる原則というものを四項目にわたって書いております。そのうちの第一点は「公正妥当なものであること。」これは私はどんな場合だって、公正妥当でなければならないのであって、こんなものは具体的な原則にはならない。問題は二、三、四であります。二の場合は「原価を償うものであること。」三の場合は「産業の発達に資すること。」四は「賃金及び物価の安定に寄与すること。」こういうふうにきわめて具体的に明記されております。この中で、三項は、これはたとえば農産物等についての公共割引、こういう考え方がこの中から出てくるものである。それから第四項も、賃金物価の安定と、物価にあまり悪い影響を与えないように、こういうことですから、どうもやはり運賃を押える方に働く考え方なんです。これはこの国有鉄道運賃法が制定された当時のいきさつ等考えてもそういうことになる。問題は第二項だけなんです。「原価を償うものであること。」こう書いてある。ところが今回の運賃改訂というものは、第二次五カ年計画、これによる増収は、あげて輸送力増強にぶち込むのだ、ころなっておる。これは将来の設備の問題です。第二項に書いてある「原価を償う」といろ概念は、現在ある設備、それに対する原価を償っていく、考え方でしょう。だから、こういう設備投資等、将来のものについての費用をまかなうために運賃値上げする、それによって処理していく、こういうことは、この運賃法の第一条というものを私は曲げておるのだと思う。運輸大臣見解を率直にお聞きしておきたい。運輸大臣答弁、なかなか長いようですが、それも全部時間に入りますから、できるだけ簡単に、端的に一つお願いしたい。
  7. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま鉄道監督局長から御説明いたしましたように、国鉄運賃改訂にあたりましては、ただいま御指摘の四項目を基本といたしまして、種々勘案いたしまして、決定いたしたものでございます。今回の国鉄運賃改訂が御指摘のようなこの「原価を償うもの」というものももちろん入っておるのでございまして、これは御承知通り国鉄企業体として独立採算制を維持する上から申しまして、その独立採算制を維持して国鉄の全体として運賃が総括的に原価を償いまして、そういうことの国鉄経営が黒字を出すことによって、一方では農林水産物等運賃割引をするという公共負担に耐えるように国鉄経理内容を健全にいたすと、こういう立場から原価を償うということに一つの目標を置いておるわけでございまして、現在におきまして国鉄貨物輸送においても十分の力がない、旅客輸送におきましても御承知のようないろいろ非難がありますような混雑をいたしておりますので、こういうことを打開するために国鉄輸送力整備増強するということのためには、今回の運賃改訂整備増強のごく一部ではございますが、一部の投資として国鉄が捻出すべきものとして、ここに運賃改訂をお願いをしておるわけでございます。
  8. 亀田得治

    亀田得治君 そういう事実上の関係説明などは長くしてもらわぬようにしてほしいと思う、時間を取るだけですから。私の申し上げておるのは原価を償うという概念からするならば、今運賃値上げされる、値上げされたら、旅客なり荷主の諸君は、まだできておらぬ設備負担をこの改訂によって負わされるわけなんです。このことは私たちの普通の原価を償うという概念からいくと多少問題があるではないか、私のもっと言いたいことは、第一条の第二項がそういうふうになっておるのでありますから、もしそういう設備投資のためのこの運賃値上げども認めるのであれば、第一条の第二項自身も、まず同時に改訂しなかったならば法律精神と曲がった方向でやられることになるではないかということを指摘しておるわけなんです。
  9. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答えを申し上げますが、運賃法におきまして今御指摘の「原価」という考え方についての御質問でございまするが、御承知通り国鉄運賃というものは国鉄がサービスと申しまするか、運送給付を提供いたしまして、利用者からこれに対して適正なる反対給付と申しまするか、対価を受け取るということであるのでありまして、これは単に柳通会社や何かの会計理論上の経費または原価という範囲にとどまりませんで、国鉄がその財政を健全に維持しつつ国民輸送需要に応ずるために必要なその輸送力増強整備を行なうところの所要資金の一部を運賃収入に求めるということ、言葉をかえて申しますると、工事資金の一部を運賃決定上の原価に含めるということは、私どもといたしましては、国鉄原価考え方といたしましては不当ではない、こういうことに考えておるからでございまして、なおこの点につきましては、昭和三十一年の一月の日本国有鉄道経営調査会というものがございます、有澤廣巳さんが会長で経営を健全にするための調査をいたすのがございます、ここで国鉄などにおいて何をもって原価とすべきかということについていろいろ御議論がありまして、今のような工事費の一部を運賃決定の上の原価に含める、見込むべきものであるということのこの委員会においては答申が出ておりますもんですから、私どもといたしましては、こういう工事資金の一部を原価として国有鉄道運賃決定の場合に考えるということは不当ではない、こういうふうに考えるわけでございます。
  10. 亀田得治

    亀田得治君 その委員会でどういう結論が出ておりましても、法律自体文意並びに法律が制定された当時の文意というものを私はもっと尊重してもらわなければならないと思う。そこで従って、今回のようなやり方を一度認めますと、今後ともやはりこういうことが前例になる、それでは私は国鉄経営自体というものが正常な形に乗らないと思うんですね。で今回のようなそういう輸送力増強のための資金をまかなう、これは私は国鉄の性格からいっても、やはり出資金をもっとふやすとか、または適当な借入金をもっと考えるとか、出資金が第一少な過ぎますわね、国有鉄道全体の財産に比較したって。だからそういう正常な経営体としてのあり方というものをもっと検討すべきなんです。そういうところを検討しませんもんですから、法律精神を無視してまで運賃値上げというものによって、本来は消極的に解すべき「原価」というものを無理やりに拡張解釈して、そうして値上げしてゆく、私はこれは非常にやはり問題だと思うんです。これはどうせ私は皆さんの方ではもう五カ年間は運賃は上げない、こういうことを言っておりまするけれども運賃値上げでそういう将来の設備をもまかなってゆくんだ、そういう考え方が消えない以上、私はこれはくずれてくると思う。五カ年先の土地の値上がりの問題とか、そんなものは私は今国鉄皆さんが予想している以上のものに必ずなると思う。そうすれば、運賃をあのときは五年間上げないつもりだったけれどもどうも工事を実際やってみると、こういう隘路があるのでと、またそこへ戻ってくることになる、私はやはりこれは大へん間違いをさらに拡大してゆくことになると思うんですね。そういう意味でこの際確めたわけですが、答弁はありましたけれどもよく私としては納得できませんが、御検討をこれは願いたいと思う。こういう点はちゃんと筋を正しておきませんと、企業体としての筋道というものがやはり曲がってゆく。  それからもう一つ、別な問題をお伺いしたいのは、私鉄運賃値上げですね、これは公共料金ストップという関係から押えられておりますが、これはずっと押えてゆきますか、これは運輸大臣の所管だと思いますから。
  11. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 閣議決定で、当分公共料金を抑制したいということを決定してございますので、当分の間は、運輸省といたしましても、公共料金値上げ申請のありましたものにつきましては、これを行政措置におきまして、しばらくの間はがまんをしてもらうような方法行政措置としてとりたいと、こう考えております。
  12. 亀田得治

    亀田得治君 しばらくの間といいますと、そのうち値上げムードに対するいろいろな批判が今は非常に盛んですね。だから、こういう空気が多少おさまったら、私鉄運賃値上げする、こういうふうにもとれるわけなんですが、そこら辺をもう少し明確に答えてほしいと思います。
  13. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 当分とか、しばらくとかいうことでございますが、これはまあ常識上、先日も連合審査会でも私が北村先生の御質問お答え申し上げまして、大体御了承を得ておるのでございますが、ただいま御指摘のように、その原因はどこにあるかはわかりませんけれども世間一般物価値上げムードというようなものが、これは一つ空気というようなふうにあるらしいようなときに、公共料金などを一斉に値上げをするというようなことは、値上げムードに拍車をかけて、その勢いを激成するようなことになりますから、これは行政措置で、こういうものはがまんをして、当分の間は上げないように了解をしてもらうことがよいと思っておるのでございます。しかしながら、私鉄にいたしましても、バスにいたしましても、みな会社ごとにその内容を異にしておりますもので、そういうものにつきまして、かりに、ただいまは国鉄運賃改訂するからといって、別に私鉄運賃改訂を請求しておるものはございませんけれども、将来において、その私鉄個々別々につきまして、経理内容等から見て、私鉄運賃改訂を必要とするような申請がございますれば、運輸省といたしましては、公務員の立場として、これを取り上げまして、ケース・バイ・ケースに、この会社ははたしてどうであるか、あの会社はこの程度でいいとか、あるいは申請通り運賃改訂をいたさなくてもいいというような、具体的なことを検討いたすことに相なるわけでございます。ここ当分は、ただいま申し上げましたような理由によりまして、申請がございましても、遠慮してもらうということが、これは物価政策行政措置としてとるべきことであると政府考えておる次第でございます。
  14. 亀田得治

    亀田得治君 もう少し簡単にお答え願いたいのですが、私のお聞きしたい要点は、今度国鉄が上がる、そうすると、私鉄との並行線が各地に相当あるわけですね。同じ場所へ行くのに、国鉄の方が相当高くつくわけであります。当然これは乗客が減ることになる。この減少をどの程度国鉄当局はお考えになっておるのか、その結論だけをちょっと言って下さい。
  15. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) これは場所によってはいろいろ問題があると思いますが、たとえば、今一番端的な例で、中央線が問題でございますから、中央線のことをちょっと申し上げたいと思いますが、中央線の中野から東京駅までの定期一カ月は現在七百十円でございます。それに対して、新しくできました営団の地下鉄の一カ月の定期は千八十円でございます。現在三百七十円開いております。これが、今回運賃改訂をいたしますと、七百十円が八百十円になります。八百十円になりますが、まだ国鉄の方が二百七十円安いのでございます。従いまして、安い方を選ぶお客さんは、依然として国鉄にお乗りになるだろうというふうに考えます。それから、そのほかの私鉄と並行しております、あるいは同じ地点をつないでおります国鉄運賃と比較いたしますと、今回値上げをいたしましても、まだ私鉄の方が高いところがほとんど大部分であると思います。
  16. 亀田得治

    亀田得治君 そういう質問をしていないことを答えるから、時間がかかる。国鉄運賃値上げしてもなお従来の私鉄料金よりも安いところを聞いておるわけではないのです。今度の改訂によって、明らかに逆に国鉄運賃私鉄よりも高くなる場所が相当できておるわけなんです。今一々そんなことを申し上げる時間がありませんが、これはあなたの方がわかっておるはずです。そのところは、これは当然お客さんが減るわけなんです。そうでしょう。それから、国鉄私鉄となるほど国鉄の方が安くても、差が縮まった場合には、やはり乗客数影響というものがあるわけなんです。国鉄の高いところでは、相当やはり高い場所もできておるわけです。そうなりますと、私鉄側事情ではなしに、国鉄側事情からしても、私鉄運賃値上げを認めてやりたい。皆さんの方は、この運賃収入が予定通り入ってこなければ計画影響するわけでしょう。そういう矛盾に逢着するのではないか。そういう立場から、私鉄運賃値上げというものが、なるほど閣議決定によって公共料金ストップという方針は出ておりますが、これは当分と言っておりますが、非常に早い時期に具体化してくることを私たちは心配しておる。そういう意味でお聞きしておるわけでして、これはまあ、運輸大臣と同時に、経済企画庁長官も、全体の物価政策との関連もあると思いますので、見解をこの際承っておきたいと思うのです。
  17. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 先刻経済企画庁長官出席されました。
  18. 吾孫子豊

    説明員吾孫子豊君) 私から簡単に申し上げますが、お言葉のように、全体として見ました場合に、ある程度影響があるということは、今回の運賃改訂案の際にも想定いたしております。そのために、旅客運賃収入は、賃率の上がった分だけそのまま増収になるとは考えておりませんで、約二十億程度利用減があるであろうということは、全体として見ておる次第でございます。
  19. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 仰せのように、従来国鉄私鉄が競合しております際には、この運賃政策から申しますと、つまり双方とも英大固定投資をしておりますから、なるべくなら両方とも片寄らないように運賃政策によって調整するということは、従来やってきておりまして、でございますので、運輸省といたしましては、相なるべくならば両方片寄らないように調整はしたいという気持はございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、当分の間かりにそういう必要はあっても、これを見送るというような閣議の申し合わせもございますので、将来はともかくといたしまして、現在のところは考えていないような次第でございます。
  20. 亀田得治

    亀田得治君 そういう大事な答弁ですから、私長官なり大臣答弁を求めておるわけなんです。大臣、はっきり答えていただきたいと思います。先ほどの説明によります、約乗客減少ということを二十億程度見ておる、そういう計算済みだと、こういうふうなお答えのようですから、その点はまあ一応計画としては了解できます。しかし、計画通りいくかどうかもわからない。だから、ともかくそういうことになっておるから、私鉄運賃というものは閣議決定通り国鉄運賃に引きずられて上げることはしないと、並行線などの場所においてもそういうことをはっきりここで言明できるかどうか。できるはずですね。二十億というものが計画の中にもう減として見込まれておるというなら、なお一そうはっきりこれは断定して私はいいと思う。そこをこれは責任者からはっきりお聞きしておきたい。
  21. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいま申し上げましたような閣議決定の線に沿いまして、当分と申しますか、しばらくと申しますか、その線に沿うて、そういうようなものにつきましても、今直ちにその要求を入れるとなく、われわれの行政指導に協力してもらうようにいたします。しかしながら、いろいろ事情を調べてみまして、必要ならばよく企画庁と相談をいたしまして、消費者の利益を害しないという点に着眼をいたしまして、こういうものも改訂を認可するというようなこともあり得ると思うのでございます。
  22. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 国鉄運賃が上がりまして、そして当然私鉄もそれに誘惑されるだろうというようなことをみんな心配もし、そういう空気もありまして、案外この私鉄運賃を安易に上げてもらえるんじゃないかというような錯覚を持っているというと非常に因るし、それが物価全体に及ぼす影響考えなきゃならぬと思ったものですから、公共料金というものは当分認可しない方針だという政府の明らかな方針をきめていただきました。運輸大臣も常々便乗的な値上げは絶対にこれは認めない方針だということを言っておられたものですから、それを政府の公式な見解として閣議決定によって、公共料金は当分上げない方針をとるんだ。従って私鉄なんかも運賃を上げるということによって経理の状態なんかを改善しようと考えないで、そのほかの方法一つ考えてもらいたいという立場で、公共料金は当分上げないということをきめていただきました。もちろん、中の私鉄によりましては、どうしても上げなきゃ会社が持っていかない、運輸全体に悪影響を及ぼす、こわしてしまうような場合がないとは言えません。ことにまた、いなかのごく小さな村の経営している、バスが二、三台しかないようなところで、もうちょっと料金を上げなければ、村の財政それ自身にも影響があるというところが現にあるようでございます。そういうようなものにつきましては、時宜に応じて認可する場合も、それがないとは絶対に言えませんけれども原則としては認可してもらいたくないと考えております。そうして今の国鉄並行線を、国鉄お客さんが減るだろうから、私鉄をむしろ上げてもらうということを考えるのは、全くそれは違うのじゃないかと思っております。その並行線の問題から私鉄値上げをするということはないと考えております。
  23. 千田正

    千田正君 同僚委員からも、これからまた御質問があると思います。先般も同僚北村委員から農林関係の問題をだいぶお開きになっておりますので、私は端的に重要な二点だけをお尋ねしたいのであります。一つは、新線建設に関し、一つ農林水産の中の水産立場からの運賃についてお尋ねいたします。  まず第一に、今度運賃改訂の基礎になるべき一つの問題として、ただいまも御質問がありましたが、工場建設設費等がその計算の一部をなすということから考えて、新線建設という問題がしばしば問題になります。この問題は、国有鉄道がいわゆる公共福祉のための立場考えますれば、たといそれは十分に採算がとれなくても、国民福祉のためには、ある一応の施設をしなければならない。しかし、それを今までは十分な予算もないのにやって、そうして赤字運営を継続しなければならない、そういう苦しみをまた一方においてはかかえている。こういう点からいいまして、私は、これは長い間問題になって、しょっちゅう予算委員会などでも申し上げましたけれども、そういう遠隔の地であるとか、なかなか容易ならない赤字であろうと思われるところの建設は、国の予算でこれはみてやって、そうして管理通常国鉄にまかすべきではないか。そうして初めて、いわゆる新線というような問題についても解決の道があるのじゃないか、私はそう思うのでありますが、運輸大臣はこの点についてはどういうふうにお考えでありますか。
  24. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 新線建設というものが国鉄経理のしから見ますると、赤字線になりまして、国鉄経営健全性を害するという意味から、ただいまのような新線建設は国の一般会計から金を出してやるべしという御議論は、従来からありましたのでございます。また、最近におきましては、鉄道建設審議会におきましても、新線建設借り入れ金によらずに国費をもって支弁してやるべしというような御意見も出たことがございます。しかしながら、政府といたしましては、従来、国鉄特別会計政府直営事業でありましたときも、一般会計からは補助をいたしませなんで、借り入れ金とそれから利用者負担によるところの運賃という二本建でやって参りました沿革にかんがみまして、特に戦後は公共という名前を冠しましたけれども一つ企業体でございますので、この企業体に対して、道路であるとか港湾のように、国民の税金を主体といたしまする一般歳入からこれを補助するということについては、いろいろ意見もあることでございますので、今までやっておりませんで、やはり今まで通り、主として借入金によって建設仕事をやる、また自己資金によりまして、旧廃施設の改良であるとか、あるいは複線工事であるとかというような。採算に乗らない仕事はやっていくという国鉄方針をそのまま認めてきておるのでございますが、ただいま御指摘になりました新線建設につきましては、いろいろ御論議もあることであるので、昭和三十六年度からは新線建設借入金の利子の補給といたしまして、わずかではございますが、三億数百万円というものを一般会計から援助するということにいたしましたような現状でございまして、ただいま政府といたしましては、国鉄が総体的に、赤字線は一部ありますけれども国鉄全体は黒字が出て、それによって国鉄本来の使命である公共負担をまだやり得る力があるという現状におきましては、直ちに今御指摘のような、国民の多くの人の税金を主とする一般会計の方から補助するということにはまだ乗り出しておりません。ただ、今の新線建設借入金の利子補給と、それから戦傷病者の無賃乗車に対する補助金というものを、従来よりは、三十六年度におきましては大いに増したというようなことだけをいたしておりますようなわけでございまして、御意見のありますことは、方々でも御意見のあることでございますので、今後政府としても十分検討して参りたいと考える次第でございます。
  25. 千田正

    千田正君 その問題をいろいろ議論しておりますと時間を取りますから、それでは、水産立場から考えましての運賃についてお尋ねいたすのでありますが、たとえばこのたびの運賃改訂にあたりまして、国鉄側のおっしゃることを聞いておりますというと、基準の運賃は一五%上がる。これはまあ一般すべてのものに適用されるのでありますが、ところが、水産の方面に関係しますというと、これにプラス冷蔵車の割増し一〇%、それから列車指定の割増し、が二〇%、こういうふうに割増しがついておる。さらに二百四十キロから千四百キロまでの間には最高二%、十キロ計算六%をプラスしますというと、二重、三重のいわゆる割増しがついて、一五%どころじゃない、相当のこれは運賃になってしまう。この点の問題は不合理ではないかというふうにわれわれは考えるのでありまして、これは農林大臣並びに運輸大臣から、どういうふうに、これを合理的にやっておるんだと、こうおっしゃるのであれば、私はさらに反論をしなければなりませんので、一応伺っておきます。
  26. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 私から大体の考え方を申し上げまして、いろいろこまかいことにつきましては、国鉄総裁、または国鉄の側、あるいは政府委員の方から御答弁をすることにいたそうと考える次第でございます。私どもは、農林水産物というものの運賃を、決してほかのものと同格に取り扱っておるというような考えは、従来から毛頭持っておらないのでございまして、農林水産物資等に関しましてはできるだけ、それらの品物が国民の生活に影響することの多いことをよく考えまして、国鉄におきまして運賃の等級表を作りまして、運賃の体系を作ります際におきまして、農林水産物資につきましては、きわめて低い等級をつけておるのでございます。一般から見ますと、特別に級の低い等級を農林水産物につけておりますばかりではございません。これに加えまして、各方面の御要望がありましたのにかんがみまして、今日暫定割引というものをいたして一おるのでございまして、二重に割引をいたすように、農林水産物に対しましては、国鉄といたしまして処置をいたしておるのでございます。暫定割引というものも、本年の三月三十一日をもって終わりますが、これは当分据え置くことが、今回の運賃改訂にあたりまして各方面に及ぼす影響を勘案いたしますると、当然だろうということで、三月三十一日に期限が来ました割引も、据え置きをいたしておるような次第でございますから、原則といたしましては、農林水産物資というものを、ほかの品物に比較して、その持つ重要性を勘案いたしまして、できるだけ低く運賃がかかるようにという考え方をもってやっておりますことだけを申し上げまして、詳細は、ただいま数字で御質問がございました等の点につきましては、国鉄等から一つ説明をさせたいと思います。
  27. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ただいま御質問のございました中に、列車指定割増し、冷蔵車割増し、その他の件についてお答え申し上げます。水産物につきましては、一般の運賃以外に、冷蔵車割増しがついております。冷蔵車を御使用になる場合には、冷蔵車割増しがつくわけでございます。これは原価が、一般の貨車で輸送する場合よりは、非常に高いわけでございます。原価をはじきます、相当大きな割増しをつけなければならないような計算になるのでございますけれども、ただいまは一割ということにとどめてあるわけでございます。これは今回もそのまま一割として、制度を改正しないで、継続する予定でございます。それから列車指定でございますが、列車指定と申しますのは、旅客でいえば実質上急行にあたるようなものでございますが、ある列車につけまして、操車場に入りまして、水産物は、特に急送しなければなりませんので、複雑な、ほかの貨車を追い越すような作業をいたすわけでございまして、これも手間が相当にかかるわけでございます。従いまして、これに対して割増しをいただいておるのでございますが、これは戦後五割であり、三割であり、ただいま二割でございまするけれども、これも今回は継続いたしたいと思っておるのでございます。それからもう一つ今回行ないます制度改正の中に、最短経路でもって計算しておりました運賃計算方を一部、原則は変えませんけれども、その適用を一部変えまして、線路がないようなところを実は計算をしておった場合もございまするし、それから二つの線路がありましても、片方は山線でございまして、全然そこを通過する貨物は通らないというようなところを、運賃計算のキロ程として採用しておりましたようなものを、実際に通過するところのキロによって計算するように変えたわけでございます。それは例を申し上げますと、東京から大阪へ参りますのに、貨物列車は全部東海道線を経由いたすのでありますけれども運賃しの計算は、名古屋から亀山に入りまして亀山から草津に出ていく。草津から京都に至るというこれが、まあキロが短いのでそちらをとっておりましたのですが、こういう列車はないわけであります。そういう貨物輸送は実際に行なわれておりません。従いまして、今回は、この差は九キロございますが、この場合には実際に通る経路によって計算する。ただ北海道から東京へ参りますような場合には、東北本線を通る場合もありますし、常磐線を通る場合もございます。あるいは上越線を通る場合もございますが、これはそのときの輸送情勢によりまして、輸送力のある方へ貨車を振り向けるのでありまして、鉄道の都合でどこを通るかわかりませんから、これは最短経路の東北本線経由として今後も計算いたします。そういうようないろいろな問題が加わりまして一五%が一五%ぴったりでないところがたくさん出てくるわけでございます。特に水産物についてということではございませんけれども水産物の場合には、よその貨物より多少そういう今回の制度改正にぶつかる例が多いのではないかと思うのでございますが、まあそういうようなことで一五ちょうどではないわけでございます。
  28. 千田正

    千田正君 今のお話しから見ますというと、特に私は目立って考えますのは、たとえば十キロ加算する地域に至ってわずか三十四キロ程度のもので実例を示せば、全部ではありませんけれども、下関−名古屋間においては三三・九%、一車当たりの増額は四千五百六十円、長崎−大阪間は二二%二九、四千四百八十円、こういう値上がりになっておる。で、特に私はこの水産物の問題について、さらに農林大臣等にお願いしたいのは、今のお話しによりますというと、三陸沿岸等におけるところの水産物の輸送考えますと、ほとんどその九〇%というものが、今の列車指定で運ばなければ荷物はここまで来ない。で、盛鉄の管理内において今度の改訂によりますというと、年間四億の収入になるわけであります。そうしますというと、だから私は生産と消費の間のほとんど大部分は運賃に食われてしまう。たとえば八戸で一貫目サンマが三十円、こう称せられる非常に大漁の場合においては、東京においては市価はどのくらいの値段になるかというと、一匹三十円。大部分というものはほとんどこの貨車運賃に吸い取られて、実質上においては生産者も消費者もそのあおりを食っておるという結論に私はなると思う。で、この大衆魚のようなものに対しては、国民一つのいわゆる栄養源でもありまするので、これは十分考慮する必要があるのではないか。三陸沿岸から運ぶ九〇%という大部分のものがこの列車指定で運ばなければいわゆる消費者の口に入らない、十分な入り方はしない。こういう点から考えまして、農林大臣、これはある程度運輸大臣と相談する必要があるのではないか、あるいは国鉄当局と相談する必要があるのではないかと、私はそう思いますが、この点はどうでありますか。
  29. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 水産物に関し、特に下級魚と申しましては当たらぬ場合もありますが大衆魚、こういうものの輸送に関しまして運賃の上がることはお話しのように、ときによっては生産者の方が痛められ、また、消費者影響を受けるということになりますので、私どもはこれらの影響を最小限度にとどめるよう運賃改訂についてもお話し合いをしてきたわけであります。ただ、先ほどから運輸大臣からお話がありましたように、従来とても常に農林水産物というものの方は、平均額より非常によく割引をして、低く見積ってもらってきております。この点は、運輸当局が常に農林水産物という大衆に密接な関係のあるものについて、お話し合いしてきた点だと思います。このたび、いろいろ議論はありますけれども、やはりある程度独立採算制からくる考え方から、将来の輸送力強化のために拡充するについて、一部を消費者負担願うということで改訂されることになりまして、その際におきましても、公共割引の据置をしてもらったし、また、ただいまお話しのあったように、最も必要な冷蔵庫の指定また冷蔵庫の特別な割引率もそのままにしてもらったわけでありまして、相当な考慮はしてありますが、ただお話しのように、こういうものは指定の割引率は同じになっても、基礎が上がらぬということから、おのずから額が上がってくるということになるわけであります、割引率の据置ということが直もに運賃に及ぼさぬということになりませんので、しかし、今日はその程度はやむを得ぬとして私どもは認めたのですが、今後実施の暁の状況を見て、また運輸当局ともよく相談をいたしたいと考えております。
  30. 千田正

    千田正君 お話はよくわかりましたが 問題は、これはいつかこの前の、おとといの委員会でありましたか、物価運賃に対しては全然関係がないのだと企画庁長官が話しておられましたけれども物価の問題よりも生産の部門を担当している農林水産の面から見まするというと、物価がかりに関係がないのだ、別の問題だとそう言われましても、運賃が上がることによって物価が当然上がってくるということから、そういうことはないと言いましても、生産の方が逆に、逆算していくと生産がおそらく圧迫されてくる、生産の方が圧迫されてくる、そういうふうにわれわれは考えざるを得ないのでありまして、たとえば百円のサンマというものが、東京で一貫目百円だとすれば、それを逆算していきますと、それが七〇%運賃に払ったとすれば、やつはり生産費は三十円にしかならないのだ。これより上がらない。諸物価が上がっていって、漁師の手取りというものが三十円しかないとするならば、これは非常に零細漁民に対する圧迫ということになりますので、生産というものに対するところの一つの制限が必然的にやってくるというおそれがありますので、その点を、生産の部門を担当する農林大臣は十分考えられて、今後、この運賃の問題に対しては、もう一度慎重に国鉄側と相談していただきたい。以上申し上げまして私の質問を終わりたいと思います。
  31. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) ただいまも申しましたように、御指摘のようなことが往々起こりがちであります。価格を押えようとすると、市場等におきまして運賃のしわ寄せが生産者に来る場合が多々あります。そういう意味合いにおきまして、私ども実行にあたりまして、市場における運用というようなものも考えなければならぬ、できるだけ運賃値上げが生産者に悪い影響の及ばぬようにいろいろ考えたいと思いまするし、だからといって、今度は消費者はどうなってもいいということになりませんので、そういう点は実行した暁におきまして、十分運輸当局とも御相談をいたしたいと思います。
  32. 森八三一

    ○森八三一君 端的にお伺いいたしますので、一つお答えも、時間がありませんからイエスかノーかでお答えいただきます。先刻来質問のありました公共割引の当分の間とは、六月三十日までと了解いたしますが、よろしいかどうか。
  33. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) お答え申し上げますが、一昨日お答え申し上げましたように、この必要性を感じておりますので、当分据え置くつもりでございます。
  34. 森八三一

    ○森八三一君 当分ということは、六月三十日までと了解いたしますが、イエスかノーか。当分の間とは、六月三十日まで一応延期するということと了解いたします。もしノーとおっしゃるなら、二月二十二日、国鉄運賃改訂に関する閣議決定前の、その前日の委員会における質疑の速記録を持っておりますので、申し上げなければならぬ。そういうことがあってはならぬはずです。当分の間ということは、いろいろ法律上の手続から、とりあえずということもあろうけれども、実質的には運賃改訂の済んだあとで、もう一ぺん告示をし直して六月三十日、こういう措置をすると、こういうことと了解しておりますが、よろしいかどうか。イエスかノーか言ってもらえばいいんです。
  35. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) これは御承知通り法律上から申しますと、国鉄総裁の権限になっておりますのですが、これは事がきわめて重大でありますので、関係閣僚でいろいろ相談しまして、国鉄の方へ申し入れておりますわけでございまして、当分の間、というふうに、一昨日もお答えをしたのでございますが、当分ということは、先ほどもお話がございましたが、まあ何日から何日までという意味でなく、当分ということを申し上げたわけでございまして、今お話しのように、当分を六月三十日までと了解するかと言えば、それは当分というわれわれの常識の考えからいっても、その程度のことと御了解下さればそれでけっこうだと思いますが。
  36. 森八三一

    ○森八三一君 非常にうんちくのあるお答えですけれども、これは運輸大臣、今年の二月二十三日に、運輸、企画、農林、三政務次官御出席委員会において確かめて、そこで私が、「まことに頭脳明晰な皆様は、六月三十日までお延ばしになって、その間にゆっくり返答しようということに御措置を願った」という発言をしておるのですが、それに対して反論は一つもなさっておらぬ。それから予算の最終のときに、そういういきさつがありましたので、運輸大臣は、当分という告示を三月三十一日出されましたが、これはいきさつからいって六月三十日までというように了解したが、それでよろしいかということに対して、農林大臣は、そういうように考えておる、という趣旨の御説明があったのです。だからそういう言葉にきぬを着せないで、取引のことですから、明日からばんとやったら大へんな問題が起こるのです。割り引いてもらえると、取引が進行しておるのです。それをきょうからばっとやったら大きな問題が起こる。予告の期間がなければならぬ。だから六月三十日と了解します。今御答弁では、そういうふうに了解なさればそれでもよろしいというお答えですから、ここは狐に馬乗せたような議論をしておってもいけませんから、これは大体運輸大臣のお気持は、私の申し上げておることを了解しておるからあまり心配するな、こういうことと、了解いたしますが、それでよろしいかどうか。
  37. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまお答えしました通り、六月三十日というのが当分というふうに御了解下さればけっこうだと思います。
  38. 森八三一

    ○森八三一君 それでわかりました。それから六月三十日になって、それまで十分企画庁が中心で御研究になりまして、それを続けるかやめるか、当委員会としては考究すべしと、こう要求しておる。これは要求ですから、御研究の結果、これを変えようとする場合には、農林大臣にお伺いいたしますが、昨年の八月十日、政務次官の御出席をいただきまして質疑をしたときに、非常に重要なんだから、今後これを改訂しようとする場合には、農林、運輸、企画、御研究の結果、変更するということになる場合には、その事情等を逐一当委員会に報告した上で善処をいただきたいという発言をいたしましたのに対して、さような取り扱いをする、こうはっきり政務次官は言明されております。これは速記録がございますから読んでもいいんですが、読む必要はない。そういう手続を農林大臣はおやりになる義務があると思いますが、そう承知してよろしゅうございますか。
  39. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) 私ども皆さんの御心配になっておる点を最もよく解決するために、さような手続をとることはやぶさかでございません。
  40. 森八三一

    ○森八三一君 そうしますると、長く問題になっておりました公共政策割引の問題につきましては、大体六月三十日まで延期をすると、同町にまた、その間に企画庁を中心に御研究になりまして、もしこれを廃止しようとする場合、あるいは百十二品目かございましたが、その一部についても改訂しようとする場合には、その折衝の経過なり、あるいは措置せんとする方向なりについて、農林大臣委員会の方に御報告をいただきまするということに了解いたしましたので、その点はかなり明確になりました。これ以上はもう申し上げません。  それから第二にお伺いいたしたいことは、一昨日の連合審査のときに、運輸大臣の御説明では、提案理由の説明には貨物運賃についてでありますが、賃率をおおむね一五%引き上げることにいたしました、こう説明されておる。ところが一昨日の連合審査のときには、農林物資は一五・八%になる、こういう御答弁がございました。そこでやむを得ない、運賃値上げについては私どもも了承しなければならぬと思いますが、ただ考えなければならぬことは、しばしば企画庁長官からもお話がありまするように、できるだけこの運賃値上げというものは生産性の向上によって吸収をして物価に反映させないという措置をとる、当然私はそれを期待いたします。ところが、農林物資というのは生産性の向上をして運賃値上げ部分というものを卸売段階で吸収するということはむずかしいんです。これは企画庁長官もお認めになると思う。ほかのものよりは鉱工業生産品のように生産性の向上によって運貸の増嵩というものを生産者段階で吸収するというのは、農林物資についてはむずかしいということは常識であって、これはよく御了解願えると思うのです。ところが、平均運賃値上率が一五%のときに農林物資は一五・八%ということは、これはいかにも筋が通らぬと思うのです。これはどういうことになるんですか。平均が一五%のときに農林だけが一五・八%、吸収の非常に弱いところにしわ寄せがくるということは納得できないんです。企画庁長官、こういうことをお認めになったのは、物価問題をお取り扱いになっている、また経済成長の中心の主管大臣としてちょっとおかしいと思うのですがどうでしょうか。
  41. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 一五・八%という数字が出てきましたのは、これは農林物資だけに特別にそういうことをしたのじゃなくて、結局比較的農林物資は距離が長い輸送があるから、計算するとそうなるということになるのじゃないかと思います。もし、農林物資だけに特別にそういうようなことをするという約束はないのですから、まさかそういうことはしていないだろうと私は思っておりますけれども
  42. 森八三一

    ○森八三一君 私は、これは一昨日の連合審査のときの、速記しておるのですけれども、これは速記録を調べればいいんですが、運輸大臣説明は、おおむね一五%の引き上げになることにいたしました。こう説明されておって、質問の過程で、農林物資は一五・八%になります。こういう答弁なんです。そこで計算の結果がそういうことになると思うのです。そこでそういう結果が生まれて参りますることは、今までしばしば質問のあったように、遠距離逓減率を適用したり、運賃キロについていろいろの操作が行なわれておったり、あるいは冷蔵車や列車指定等の場合には特別のことがあった。そういうものが今度は撤廃されるという結果、運賃率としては一五でいきましても、そういう特典が今度の改訂に従って全廃されることとか、あるいは上がったものに過去のその率を掛けていくから結果的にそうなる。私はそう思う。そのことは計算上の間違いではありません。ありませんが、農林物資の持っている特異事情から考えますると、そういう結果の生まれるようなことは、これは回避すべきじゃないかと思うのです。そういう措置がとれないかというと、私はとれると思う。と申し上げまするのは、今申し上げましたような遠距離逓減率を結果的には現状程度にとどめるとか、あるいはキロ程につきましても、計算方法はどう変えようとも、結果的に現状の負担程度にとどめるというような措置をすることによって運賃の私は減少部分が、正確なものではござ・いませんが、三十億程度違ってくると思うのですが、つまり一五・八%になる八を今申し上げたような点で切り捨てるといいますが、従前と同じ措置にすると三十億違ってくると思うのです。その違ってくるのは、今度のその運賃改訂の中に利用度の減による減収というものを六十三億七千百万円、運輸省では計算しているのでしょう。だから、この高度経済成長のときに、一部はそれは当然あろうと思いますが、そういうような運賃減少を見込むということは一つおやめになったらどうだ。そうするというと、今生産性の向上によって吸収し得ないという部分のものについて、運賃値上げいたしましても特別に措置されておるキロ程の問題とか、いろいろなことについては、従来の実質負担制度にとどめておくと減少が出る。その減収は、利用率の減少などということは今考えるべきものじゃないですから、それを取っぱずせばむしろ増加になる。その計算は出るのです、そろばんは。そういうことも一つ考えていただきたいと思うのです。いかがでしょうか。これはそうむずかしい相談じゃないですよ。今申し上げましたのは、冷蔵庫については、今まで一割幾ら取った。旧運賃の一割幾ら取るの、ですから、これは例として、かりに一軍に千円なら千円取っておった。改訂後も冷蔵庫は千円取る。こうすれば、このような改訂後の運賃に一割掛けるから上がってしまうので、千円取る、こういう措置をとれば、減収を、利用率の低減という部分をそんなに大幅に見ないでも大体のそろばんはとれるのですから、その辺のことを農林物資に考えてやるという親切がなければ、農林大臣も総理大臣も、今の政府は農林政策については最重点でやっていくのだとおっしゃっていることとどうも矛盾が出るので、それくらい一つ考えになってもいいと思うのですが、どうでしょうか。やめろというのじゃあないですよ。
  43. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 実は大臣からしばしば御答弁申し上げておりますように、今回の運賃改訂は全品目一律に上げました次第でございます。それで、従いまして、農水物資につきましては一五・八%ということになっておりますが、農水物資だけが特にそういう扱いになったわけじゃございません。先ほど来申し上げておりますように、遠距離逓減の一部是正という制度改正、それから運賃計算キロ程におきまして最短距離の原則を実際に運送いたしておりますところの経路に切りかえたものが部分的にあると、この制度改正の二つが、賃率の一様な改正に加わりますとそういうものが出てくるわけでございます。農水物資だけに限ってその現象が出てくるわけではないのでございます。一律に上げました次第でございますので、これもしばしば申し上げておりますように、農水物資に対する従来の特別の配慮というものは、そのままやはり存続していくと、こういうわけでございますので何とぞ御了承いただきたいと存じます。
  44. 森八三一

    ○森八三一君 私も了承するとか了承せんというのじゃなしに、農業生産の現状、農民の所得が非常に低いという現状ですね。それから、運賃改訂を農業生産では吸収する余地というものが非常に少ないということですから、一律におやりになるということについて再考の余地はないかという御相談を申し上げておるのですよ。そこで、その平均増嵩が一五%ということであれば、生産性の非常に低い、吸収率の少ないところは、その程度にとどめてやるという親切があっていいじゃないかと、そのためには、冷蔵貨車の使用料をやめちまえなんていう乱暴を言っているのじゃないのです。今まで十トンならば十トンは千円というものであれば、千円という絶対額でお押えになったらどうか、それくらいのことはやってしかるべきだと思うのです。そう窮屈なことを言っているわけではないので、そこでその財源ができなくて新五カ年計画もできぬというならば私も問題になると思うのです。私は新計画やってもらわなきゃならぬ。賛成なんですよ。ところが、その利用率の低減ということを見られて六十三億七上千百万円というものを計算しておるのでしょう。だから、その六十三億というものを、利用率が減って減収になるのだという、それちょっとそろばんを変えれば、見込みなんですから、われわれも努力しますよ、なるべく鉄道を利用するように、皆さんもやるでしょう。そうすると、何も農林物資その他で六十三億も減ってくるなんていうやぼやっちゃいかぬですよ。民間の貨物、トラックに取られてしまうなんて、そんなこと指くわえて見ていちゃいかんので、その点はお互いに一生懸命やればこれは防げる。防げば、今言ったように吸収率の少ないところのものはとどめておく。それは今ここでそうしますということは、これは言えぬと思うのです。が、それくらいのことは、これは一つ考えていただきたい。鉄道いじめるわけじゃないのです。何もこれは運輸大臣一つ考慮をする、研究するぐらいのこと蓄えませんか。むちゃ言っているのじゃないのですよ、何も。どうでしょう、財源まで与えているのですからね。利用減説明なんて、これ幾らでもできるのだから、そんなことを聞くのじゃないのですよ。これは過去の経験によって昭和三十二年の運賃改訂の結果、どれくらい利用率が減ったとかいう数字からやっていらっしゃいますので、私、これを否定するのじゃないのですよ。何も別にでたらめな数字をここに出していらっしゃるとも思いません。思いませんが、今回の改訂の結果、過去に見た例のごとくに減少しないように鉄道当局も努力をし、私どもも一生懸命にそういう方向にいけば、過去の実績とは違ったものが出てこなければならんはずなんです。そういうことを期待すれば、今申し上げましたようなことは可能なんです。そのことが政治なんですよ。吸収率の少ないところをめんどうを見てやるということが政治なんですよ。それくらいのことを機械的に考えないで、もう少しあたたか味のある政治をやってもらいたいと思うのですよ。これは運輸大臣はなかなかうんと言えぬと思いますが、企画庁長官どうですか、研究いたしましょうというようなことは言えませんか。
  45. 迫水久常

    国務大臣迫水久常君) 少し乱暴な答弁かもしれませんが、実は輸送減が立つか立たないかということで、そのとき大議論実はいたしまして、私は減が森さんのおっしゃると同じように、なかなか経済成長のときはあまり立たないのじゃないかということを主張しまして、それで十二%という実収率で上げるのをもう少し下げて、パーセンテージを一二%以下にしたいと思って非常に努力をいたしましたけれども、結局利用減というものがいろいろ実情について、過去の経験について数字の根拠によって説明を受けますというと、やはり数字を中心にものを考えていく私たちとしては、それを一々納得せざるを得ない立場になりまして、利用減というものが出てきたわけでございます。従いまして今まで利用減というものを基礎として、これがもう多分ないだろうという腰だめで、利用減というものをある程度削減して、それを農林水産物資の方に回すということをここできめることができるかできないか、私はやはりできないのじゃないかと思うのですけれども、気持としては、運輸大臣なり運輸省ともう一ぺん私も相談をしてみたいような気持もいたしますけれども結論がそうなるかならないか、なかなかこれは数字でやられますと、答えがはっきり出てくるものですから、そういうような気持でおります。
  46. 森八三一

    ○森八三一君 非常にうんちくのある御説明でよくわかりましたが、これは非常に頭脳明晰な経済企画庁長官としては少しどうかと思うのです。これは政府の、国鉄要求運賃改訂率というものを、経済成長その他を御勘案になって企画庁の方で切り下げたんでしょう、要求を切り下げたんです。切り下げたということは、運賃の上がる率が減ったわけですね。ですから前の要求のときに考えておった逓減率よりは運賃が下がり、上がる率が減るのですから、利用者は少しふえると見るのが筋だと思うのですよ、そういうことをなぜお考えにならないのか、これはちょっと抜かりがありますよ。百下げるところならばこれだけ減りますよ。そうするとあなた方の方では、これはいかぬというので五十にしたでしょう。五十にすれば減る方はちょっと上がってくるのじゃないですか、スロー・ダウンは当然ですよ、これは経済の原則ですから、これもそろばんはじくと私の言った額の数字は出てくる、そこは研究しようということですから、きょうはここでそれ以上申し上げませんので、その辺のことは頭脳明晰な企画庁長官考えにならないならばおかしいですよ。これはぜひ一つ運輸当局ともお話になって、少なくても農林物資については、吸収が不可能な存在ですから、平均の一五というならば、機械的な計算ではなくて、農林物資の方も一五の平均程度に押えろということを考えていただきたい。その場合に措置する要点は、遠距離逓減率の一律改訂というところを一つ修正する。それから、運賃キロ程のやり方については、一律でなしに特別一つ操作をして、それから冷蔵車とか、貨車指定とか、そういうものは、その割増額を、絶対額を押えることではなしに、そういたしますれば、それで大体私は二十億かそこら減ると思うのです。減る部分はさっき申し上げたように、ちゃんとそろばんが出るでしょう。私は五カ年計画を否定するものではないのです。この点御考慮いただきたい。時間が参りましたので、これでやめますが、大体きょう申し上げました公共、サービス、割引については、ありがたい御答弁をいただきましたし、今後改訂しようとする場合には、御相談が願えるということですから、ほんとうに安心いたしました。それから農林物資についての特例については、ただいまもう一ぺん運輸当局と企画庁長官御相談をしようという誠意のある御答弁をいただきましたので、どうか私の希望が達せられますように、そろばんをはじいていただきたいという御注文を申し上げまして、私の質問を終わります。
  47. 東隆

    ○東隆君 私は先ほど運輸大臣農林水産物を同格には扱っていない、他の物資と同格に扱っていない、こういうお話でありました。しかし、私は同格に扱っているものですから、それで今度の運賃改訂にあたって、一番量の多い農林水産物、あるいは地下資源、こういうようなものを含めると、これは相当の部分になると思うのです。そっち方面にやはり計算の基礎を置かれているから、従って運賃改訂、こういうようなことになったろうと思う。私は輸送されている物資の大部分は、ラジオの私は何ですかじゃないですが、動物か、植物か、あるいは何ですか、鉱物、これの加工物にきまっているのでありまして、そのうちの大宗を占めているのは、私はやはり農林水産物、生き物の中ではこれがもう大部分を占めているわけです。そういうふうに考えてくると、重点を、基礎をどこに置くかという問題、これは基本を農林水産物を基本に置いて計算をしてもらいたい。そうして、それ以外の加工物であるとか、その他のものは一つ、それでもって赤字が出るならば、そっちの方の計算でもって赤字にならないようにされるのが、これが正しいやり方だと、こういうふうに考えるのですが、これは、今お考えになっているのは、量の多いものに実のところこういうしわ寄せをして、そっちの方で計算をされるという考え方から出発をしているので、これは他の物資と同格に扱っているから、そういうようなことになったの、だろう、こう考えるわけです。私は言葉尻をとらえるようでありますけれども運輸大臣の物の考え方は、そういうふうにしか取れませんが、その点はどうですか。
  48. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 農林水産物資につきましての国鉄の、特別にこれを取扱う考え方は、さっき私が申し上げた通りでございまして、具体的にこまかい点につきましては、国鉄または鉄管局長から御説明をさしていただきたいと思います。
  49. 東隆

    ○東隆君 いや、私は特別に農林水産物資について考えているというのではなくて、私は基本的な考え方は、農林水産物を基準にして、そうして、その上にほかのものを上げるならば上げて、そうして国鉄運賃の、貨物運賃の赤を埋め合わせるべきではないか、それがほんとうの独立採算制計算の仕方じゃないですか、こういう考え方なんです。だから同格に考えて、それを基準にして、そうして考えるのが、これが当然の考え方ではないか、それを平均、公平な扱いのような形でもってやることによって、非常に大きな量を占めている農林水産物の方に大きな影響一五・八%、ほかのものよりも八%ふえるような、そんなような形が出てくることが、これが不公平である、こう思いますが。
  50. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) そういう御意見もあると思いますが、従来から国鉄運賃の立て方は、現在ありまするようなやり方でやっておりますわけでございまして、それを今日は御承知通り、すべての品目につきまして、今の農林水産物資は特別の低い程度に置くことをそのままにしておいて、すべての品物について一律に賃率を上げる、こういうことをまあいたしましたので、どういう結果が出たわけでございます。それですから、今のお話しのように、農林水産物資をそのままにしておいて、ほかのものを上げるようにというようなお話もございましたが、従来やっておりまする運賃の体系の中で、農林水産物資は、先ほど来申し上げましたように、特別に低い等級に置きまするものですから、そこで今度はすべての品目について賃率を上げましたわけで、農林水産物資も、ほかのものと同じようにその賃率改訂によりまして運賃が上がりましたわけでございますが、その上にさっきの割引ということは据え置きをしておくということでございます。
  51. 東隆

    ○東隆君 いや、私は運輸大臣農林水産物資は他の物資と同格に扱っていないというから、そこでそれならば農林水産物を基準に置いて、そうしてほかのものを上げて、赤字を埋め合せる。そういうふうにするのならば、これは同格に扱っていないということが出てくるけれども、ほかのものもみんな上げてしまって、同じに上げて、そうしてしかも計算をすると平均は一五%だというのに、農林水産物資は一五・八%になるなんていうことは、同格ということで特別に扱っておるという言葉尻を取ったようでありますけれども、しかし、おかしな考え方でないですか。しかも私は申しますが、農林水産物は主として食糧あるいは原料なんですからね。だからその安い原料を供給したり、そうしてそれを加工するところの工業方面、あるいは消費者の方面の受ける利費者の方面の受ける利益というのは非常に大きいのですから、従ってこの第二次的利益というのは非常に大きいのですから、従ってこの第二次的生産物の通貨については変えていく、こういうことは当然考えてしかるべきものなんです。だから、同格に扱っていないと言いながら、実は同格に扱って、そうして運賃を上げているわけです。これは間違いです。基本から考えてみてもそうじゃないですか。だから安いものを消費者に与える、そういう、面から考えてきたら、農林水産物のような、あるいは地下資源のようなものは基本になるところのものです。そいつを上げないで、加工されたりなんかしたものに、今度は高い率のものを等級を上げて、そっちの方面から総体の運賃の赤をなくする。これがほんとうの考え方です。まるで物価値上げするやり方を一生懸命におやりになっているようなことになるのじゃないですか。私はそういうふうに考える。ことに影響するところは、今度は農家の所得培増だとか、較差解消との関係になってくると、これは大きな較差になってくる。これは較差を大きくすることに役立つだけの話で、これは全く変な話です。だから同格に扱っていないと言いながら、今の考え方は同格に扱っているから、これは間違いなんです。これは議論になりますから、あまり申しませんけれども、その点もう一度お答えを願いたい。
  52. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 実は、この貨物の等級制度が、もともと先ほど大臣が申し上げましたように、農林水産物資につきましては、おおむね特別等級制度というものを適用しておりまして、御承知のように、非常に低い賃率になっておるわけでございます。従いまして貨物全体の原価構成の上から見ますと、つまりそういう安い農水物資をほかの物資がカバーしているという格好になっております、等級制度そのものが。ですから、元来そういう農水物資を特別に優遇するための赤字をほかの貨物がカバーしているという、そういう現在のシステムをそのまま一律一五%に上げる、こういうことでございますので、その点を申し上げておるのです。それで、先生のおっしゃいますのは、今度の運賃改訂でも今度はやはりその考え方をもっと徹底すべきじゃないか。そうするとしますと、等級の組みかえになるわけですね。だから、これは大問題だと思うのです。ですから、そのつど等級を変えていくということは、これは等級制度というのは、御承知のように、非常にバランスの上に立っておりますから、そういう等級制度をいじるというのは、大へんな影響があるわけです。ですから、元来そういうようなシステムで組み立っております等級制度というものを一率に一五%上げる、これに遠距離逓減で操作いたしましたのと、運賃計算キロ程の一部変更をいたしますので、中には一五・八%というものが出て参ります。物資によって、距離によっていろいろ違って参ります。そういうことでございます。
  53. 東隆

    ○東隆君 遠距離輸送の逓減の利益を受けるのは一体だれなんですか。遠距離輸送の利益を受ける人は一体だれなんですか。荷物を送る人ですか、それとも消費者なんですか、工場の経営者なんですか、どっちが受けるんですか。
  54. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) これは、私は一がいに言えないと思いますが、総合的に遠距離の逓減の利益は皆受けると思います。
  55. 東隆

    ○東隆君 国民大衆がその利益を受けているんです。そうすると、国鉄独立採算制というのは、一体どういうところなんですか。独立採算制というのは……。
  56. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 全体としてペイしておればいい、こういうのが独立採算制であって、個々の品目とか、あるいは個々の線区についての個別的な考え方ではないと存じます。
  57. 東隆

    ○東隆君 それならば、平均に上げたり何かしないで、そうしてはっきりとし、そうしてこういうような際には等級別に直せばいいじゃないんですか。
  58. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 先ほども申し上げましたように、もともと現在の等級制度というものが特に国民の日常生活について非常に大きな関連を持っております農水物資につきましてはきわめて安い賃率でありますところの等級制度を適用しているわけでございますね。従いまして、その面におきましては、当然原価割れは非常に大きいわけでございます。その原価割れしたもののカバーを等級品目に負担してもらっているというような格好で、現在の貨物の等級制度というものは体系ができているわけです。それをそのまま一五%上げたということでございますが、先生のようにおっしゃいますと、運賃改訂のつど、そのつど等級制度を再検討しろ、こういうふうな御意見かと思いますが、これは大作業でございまして、やはりこの等級制度というものは、各品目相互間にきわめてデリケートなバランスを保ってでき上がっておりますから、これはそのつどじゃなくて、やはり五年とか、十年なりいろいろな経済情勢の変化とか、あるいは社会情勢の変化をよく考えまして、しかも各方面の権威者の意見を聞いて慎重にやるべきものと考えます。現在のところでは、今度の運賃改訂におきましては、そういう等級制度のバランスは一応保たれている、こういうふうに考えて、それを基礎にして一率に改訂をする、こういう考え方に立っているわけでございます。
  59. 東隆

    ○東隆君 私は、非常にそのイージーな方法で等級の改訂をおやりになっていると思う。等級の改訂運賃改訂なんかをやる場合に、もっと基本的なものを直して、そうしてやるのがほんとうだろう。バランスがとれているといったって、輸送の状況はどんどん変わってきているんです。そうでしょう。貨物輸送関係国鉄でもってやっておったかもしれない。それだけれども、近距離輸送だの何だのほとんど全部トラックに変わってきているじゃないですか。そういうような情勢になってきているときに、非常に等級の関係は変わってきていると思う。遠距離の輸送の中心になっているのは農水産物です。そういうものが長距離輸送になっている。そういうような点考えていくと、私はもっとお考えになる必要がある。だから少ない品物で値段の高いようなもの、そういうようなものも割合をもっと高くしてもいいんじゃないですか、そういうようなものは。だから等級の中から基本的に直していくと同時に、それから国鉄でもって収入を上げることができなくなった部面ですね、そういうような部面は、トラックだの何だのもぐんぐんふやしていって埋め合わせをするのは、どうせ雲助稼業の進化したものが私は国鉄だろうと思う。それは昔は非常に狭い範囲で、独立採算制をとるにしても、小さい範囲でやっておったけれども、それがだんだん大きくなって、そうして国全体でもって独立採算制をとる範囲になってきているのですから、その場合に考えたときに、当然他の輸送機関もみな入れて、そうして貨物考え方を変えていかなければいかぬ。等級なんかはまさに一番先に考えて、そうして計算をちゃんと割り出していかなければならぬ。それはめんどうくさいからそっちの方はバランスがとれているのだと、こういう表現でございますけれども、バランスがとれていない、だから運賃改訂が行なわれておる。運賃改訂が行なわれないようにするためには、等級をいじくって直すのが、これが正しいのじゃないですか。それを農林水産物は何もかも、全部一律に上げてやるのは、これはきわあてイージーなやり方で、そうして一番数量の多い部面を占めておるところに一番大きくしわ寄せになって、そっちの方からたくさん上げていくということですよ。だからそういう点を考えていくと、基本的に改訂の面は、根本から間違いを起こしておるのじゃないかと、こういうふうに思っておるわけです。  それから今独立採算制の問題に関連して、もう時間がないと思うのですけれども、例の以前考えられた国鉄自体が収入を上げ得る面は、ぐんぐん上げてさしつかえないと思うのです、公共事業だといったって、収益事業なんですから。従って関連産業に投資をする。これは、国鉄の方でこの前改訂案を出したやつはこわれておりますけれども、しかしそういう面を考えて、そうしてぐんぐんおやりになった方がいいと思う。これはどういうようにお考えですか。
  60. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 実は今国会におきましても、各委員会でそういう御意見をだいぶ拝聴いたしました次第でございますが、ただ過去の経緯を振り返ってみますと、先般国有鉄道法の一部を改正いたしまして、関連事業に投資し得る道を開いていただきたいということでお願いいたしましたけれども、例の鉄道会館事件以来、特に国鉄投資はしておりませんけれども、いわゆる息がかかっておるという意味での外郭団体の問題が中心になりまして、非常にやかましくなりまして、そういう空気から、国鉄輸送力の維持あるいは整備増強一本やりにいくべきだという空気の方が、むしろ支配的でございまして、その関係から、一部改正もごく限定的にその投資が認められたような経緯がございまして、あるいは過去におきましても、ホテル経営などをいたし、あるいは炭鉱の経営もいたしておりましたが、そういうものは全部切り捨てて、輸送一本にしぼるべきだ、こういう御意見が、過去においても支配的であったかと存じます。ただ先生の御指摘のような点は、これは一般的な世論になれば、やはり政府当局としても考えなければならぬだろうと思いますが、現段階においては、むしろ限定的な考え方の方が支配的ではないかというふうに私どもはみております。
  61. 東隆

    ○東隆君 今の問題は、世間が鉄道会館を中心にして、あのときに関連産業に投資をするという面が問題になって、そうしてだめになりましたけれども、しかし、あれは国鉄会館そのものが不明朗なものであって、そうしてそれによってどうだこうだというような問題じゃなくて、国鉄はああいうようなものに、その関連産業に投資するという意味じゃなくて、あれは非常に違った形でもって国の財産をああいうふうにしたから間違いを起こしたので、そうじゃなくて、国鉄自身が観光の事業のためにならば、いろいろなこともやれるでしょう。そういうようなこともできるし、それから私鉄に対して出資をしてやることもできるし、いろいろなことができるのでしょう。今、補助金政策だのなんだのでもってやるよりは、私は関連産業としての国鉄運輸事業、そういうようなものに投資をして、そうして半官半民のような形でもってやっていく、そういうようなことも考えられるし、いろんな面がある。そういう面をみなふさいでしまって、そうして輸送だけでもってやる、大企業が輸送オンリーでもってやるから、コストがかかり過ぎるのでしょう。私鉄は税金を払って、そうして株の配当をして、そうしてやっておるのですよ。それだのに、国鉄は税金も払わぬし、それから株の配当もやっていないのです。そうしてやれないというところに問題があるのですから、私はもっとぐんぐんやる面があると思うのです。それをやらないで、世論がどうだとか、そういうのは、国鉄はやはりPRをもう少しやって、そうしてせっかく出したものがこわれたのだけれども、再びそういう改訂をやるのだ、こういう意気込みを示してやらなければならぬと思う。私はそう考えますが、これは運輸大臣どうですか。
  62. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) ただいまの国鉄は、輸送一本でなくて、多角経営的の経営に乗り出すべきではないか、具体的に言えば、私鉄はまずデパートを経営したり、いろいろの土地会社経営したりなんかして、利益を得ているということを御指摘に相なることと存ずるのでございますが、これは、国鉄は御承知通り輸送一本で、公共福祉の増進を目的としてできました公共企業体でございますので、ただいまのところ輸送に中心を置いてやっておりますので、ただ投資をいたすとしましても、地下鉄に投資をしておるくらいのことでございます。しかし、この問題は、あなたの御意見のようなのも、最近は方々で聞くのでございますが、一方では、大きな資本を持っておる国鉄が、いろいろ多角経営的の経営に乗り出すということは、いわゆる民業圧迫というような面から、なすべからざることであるという御意見もあるように考えられまするものですから、かれこれ、それらをよく考え合わせまして、こういう問題については十分慎重に検討すべきものであるように考えます。ただいまの御意見は貴重なる御意見として、よく検討を加えたい、こう考えておりますが、今にわかに国鉄が、それでは輸送一本でなく、多角経営的の経営に乗り出すべきものであるということを私がここで御返事申し上げることも、きわめて不適当に考える次第でございます。
  63. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 時間がないようでございまするから、ごく簡単に御質問をいたしますので、簡潔に御答弁をお願いします。この法律案が通過いたしまして、新しい賃率表が適用されまするというと、農林水産物につきましておおむね一五%の引き上げ率にとどまるものは、一品もございません。大体一六、七%ないし、高いものは二四、五%、どういうことに相なりますることは、この長い議論の過程で明らかになっておるわけでございます。そこで過ぐる三月十六日に当委員会におきまして、このような状況に対しまして、何らか特別の措置を講ずべきであるように考えられるが、一体運輸省当局としてはその対策いかん、こういう質問がされましたのに対しまして、御出席運輸政務次官から、高い角度から政府として検討すべき点があるならば、当然政治的な話し合い、あるいは高度の配慮をもって措置することもあり得るという御答弁があったわけでございます。また三月二十三日、衆議院の運輸委員会連合審査会の席上におきまして、運輸大臣は調整措置について、将来の問題として話し合いがあるならば、これに応じてもよいという御答弁もなさっておるようでございます。そこで、こういつた特別措置が必要であるということは、これは議論の余地はないところでございまするし、大臣並びに政務次官はこれに対して用意ありと言わぬばかりの答弁がはっきりここに出ておるわけでございますが、とのことは、一体法案が通ると同時にされませんというと、これはいかぬことじゃないかと私どもはかように考えるけでございます。少なくともこの措置を講ぜられる用意があるのかどうか、一つこの機会に大臣に確言をしていただきたいと、かように存じますので、明確な御答弁を簡潔にお願いいたします。
  64. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 将来のことですから、今ここでいつ幾日ということは申し上げられませんけれども、この前も御答弁申し上げましたように、閣内におきまして、十分、国務大臣として御相談がありますれば、私はお話に乗っていろいろ研究してみたい、こういうことを申し上げたわけでございますが、お話がなければ、これはまたそのままになりますけれども、お話がありますれば、すぐ話し合いによって相談をするわけでございますから、私の方は用意とか何とかという問題ではないのでございまして、元来、たとえば石炭などにつきまして、いわゆる石炭の合理化の問題は、これは通産省の所管でございますから、われわれが何とも言う問題ではございません。また農林の問題は、これは農林省の所管でございますから、その政策については、われわれがくちばしを入れるわけではございませんけれども、そういう問題について閣内において話し合いがありまする場合には、私はそれに応じていろいろ研究をして話し合いに応ずるということを、この前申し上げたわけでございまして、お前はその話し合いにすみやかに応ずる用意があるかどうかという、これは話し合いが始まれば話し合いをするわけでございますから、すみやかにもおそくも、そういう点は御心配下さらぬでいいと思います。
  65. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 よくわかりましたが、しかしながら、当委員会の審議を十分に御承知であるならば、当然そのような話し合いが関係当局から行なわれるということにつきましては、もうこれは自明のことだと思うのであります。そこで当然すみやかに行なわれますから、それに対する十分な御用意をお願いしたいと、こういうことを申し上げておるわけでございます。  そこで、農林大臣に申し上げますが、そういうことのようでございますから、一刻もすみやかに、でき得まするならば、この法案実施と同時にそういった特別措置につきまして、具体的な話し合いを行なっていただきますように、特にお願いを申し上げたいと存じます。まあ申し上げるるまでもないわけでございますが、特にこの農林水産物の中で、木材のようなものにつきましては、近来異常な価格高騰の事実にかんがみまして、政府におかれましても相当緊急な措置が行なわれようとしておるような状況に聞いておるわけでございますが、運賃改訂が行なわれるということだけで、すでに産地の木材価格は相当に値上がっておるという事実がここにあるわけでございます。特別な御配慮を特にこの機会に御折衝いただきまするようにお願い申し上げます。  もう一点、これは国鉄にお伺いをした方がいいと思いまするが、ただいま森委員の御質疑によりまして、一応公共政策割引の暫定据置期間は、ひとまず六月末日までというようなふうに了解していいような御答弁大臣からあったようであります。過ぐる三十一日に国有鉄道公示第百十一号というものが出ておりまして、三月三十一日までを当分の間に改める。こういうふうに書いて、当分の間とは、三十八国会に提出された国有鉄道運賃法の一部を改正する法律が成立し、同法律が施行される日の前日までを言うという註書きが書いてあるわけでございまするが、これを文字通り読みまするというと、あの暫定政策割引というものは、一応この新しい運賃が実施される前日まで有効だ。こういうふうに読めるわけです。ただいまの御答弁で、まあ暫定期間とは、とりあえず六月末日までに承知をしていいというようなことと、この間になんらか一つはっきりしていただかんというと、混同を生ずるような実は感じもいたすわけでございまするが、このいわゆる国有鉄道の公示というものは、どういうことを意味するものであるか。一つこの機会にはっきりさせていただきたい。
  66. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ただいまお尋ねの暫定割引の延期の公示でございますが、これは現在といいまするか、三月三十一日までとなっておったわけです。それで私ども四月一日から新運賃を実施するということで、四月一日からまた延期になるような計画になっておったわけでございまするが、運賃法の施行の日がおくれる模様でございましたので、現在の運賃体系においての暫定割引を、この新法律が施行せられる前日までやって、そうして新法律が施行せられた日からは内容は変わりませんけれども、それを新しく継続するというような段取りにしておるわけでございます。
  67. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そうすると新法律が実施されると同時に、さらに同じような内容の告示が出ると、こういうふうに了解していいわけですね。
  68. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) さようでございます。
  69. 河野謙三

    河野謙三君 価格の中に占める運賃の割合という表をもらいましたがね、これはこの表自体が私は間違っておるとは申しませんけれども、私は運輸当局に非常にこれは誤解があると思うのですがね。この表の中の価格とは、大体言いますとこれは消費者価格だと思うのです。そうでしょう。消費者価格の中に占める運賃の割合というものが出ておるんでしょう。そうでしょう。いや、そうのようですからね、私は時間がないから申し上げませんが、農林大臣は御承知のように消費者価格と生産者価格の間に農産物くらい開きのあるものはありません。特に生鮮食料品のごときは、消費者価格は三倍くらいですよ。ですからそのパーセンテージというものはこういう価格で押えて出した場合と、農家の生産費の中に運賃が幾ら占めるというのを出した場合と非常に違うのです。それは運賃というものは生産者、流通段階、消費者それぞれが持つべきものである。こういうことには言えるかもしれませんけれども、長年にわたっての経過でわかるように、農産物というものは、大体において買い手市場ですよ。一部時期的に按分ではありますけれども。でありますから、買手市場の農産物を生産している農民というものは、運賃というものは大体農民の負担ですよ。形式はいろいろありまして、庭先渡しでいろいろするけれども、いわゆる牛乳にいたしましても、それは森永、明治が牛乳を持って行ってくれる。しかしその運賃たるや、もともと原価の中に、庭先渡しの価格に織り込んである。でありますから農産物の中に占める運賃の割合というものは、こういう価格を抑えてやったんでは、ほんとうの価格の割合は出てこないわけですよ、運賃の割合が。そうしますと、私は、これよりも数段多い運賃割合というものが出てくるのが妥当であると思います。そういう認識のもとにこの運賃問題をお考え願わないと、ただこういう他の物資と同じような、売手市場になったり買手市場になったり、交互に売手、買手が繰り返されておるこういう物資のような場合には、消費者価格によって運賃の割合を出すのも一つ方法かもしれないけれども、そこらのところに非常に私は、運輸省が、農産物の運賃割引を特別に割引をしていると、いかにも恩典を与えているのだと。今の農村はどうなっているか。農村も悪いかもしれぬが、政治も悪いのですよ。とにかく農村の生活というものはもうどん底までいっている。こういう段階において、今までのような、終戦後一時食糧が非常に高くて、農産物が非常に売手市場になったという時代と全く違うので、今後、私は永久的に農産物というものは買手市場だと思うのです。そういう場合に、根本の認識を改めてもらわなければ、ほんとうのものは出てきませんよと私は思うのですがね。この資料について私の申し上げておることは間違いでしょうか。これは、私は、運輸大臣じゃなくて、農林大臣にまず伺いたい。  それからもう一つ。この間連合審査会のときに、大運送が上がると小運搬が上がると申した。ところが、今は大運送と小運搬という言葉は使わぬようだが、そのときに、監督局長は、小運搬とは通運料金のことですかと言われましたが、もちろん通運料金もそうですが、一般の港湾の荷役その他トラック運賃、こういうものは昔は小運搬と言ったでしょう。こういうものは、この聞の通運料金は一年間上げないといったが、上げない、それはこれでいいでしょうか。ここに問題がある。大運送に対して小運搬賃の問題です。これはしっかり押えてもらいたい。これには影響は及びませんか。一年間か、一年間とは申しませんが、少なくとも一年間は影響ありませんね。この点伺っておきます。
  70. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) それでは、お配りいたしました資料は、農林省で作りましたものですから、私からお答え申し上げたいと思いますが、実は、この価格は、消費地の着駅のオン・レールの価格をとっておりまして、これは、農産物の性格から言いますと、河野委員のおっしゃるように、実際の農民に対する影響というものは、このままの表ですぐ判断するわけにはいかぬと思います。ただ実際問題といたしまして、そういう資料が即座に間に合いませんものでございましたものですから、こういう資料をとりましたわけでございます。御了承いただきたいと思います。今後一つ検討して、もう少し農民の面から見た正確な資料の整備をいたしたいと思います。
  71. 河野謙三

    河野謙三君 農林省自体がそのような点をよく実情を反映するような表を作ってもらわぬで、こういう表を運輸省に出すから、運輸省は、大したことはないじゃないかと、こういうことになる。全く農産物の割引の実情は合わないことになっている。農林省自体が運輸省をあやまたせることになる。運輸省は、どうもこの間から聞いていると、農民には何だかえらい恩典を与えておるように言われるけれども、これは一つぜひ改めて、そういう点は私は一々御答弁いただきませんから、運輸省の方に、私が申し上げた事柄も一つ資料を出していただきたいと思います。
  72. 周東英雄

    国務大臣周東英雄君) その点はよく心得ておりますので、河野さんいらっしゃいませんときでしたけれども、私この席から、運賃値上げは、消費者価格が上がるだけじゃなくて、多くの場合そのしわ寄せが生産者に来て、手取りが少なくなる。そういう面からものを考えていかなければならぬということを先ほど答弁いたしております。ただ、今表を作る場合において、生産者が出荷した場合における手取り価格というものの中に、運賃がどういう割合を占めるかというのが、ちょっと統計がとりにくいものだから、一応経済学者によって調製しておりますから、私はその点は一般に認識していただきたい。これは、きょうの委員の方の御意見を伺っておっても、かなり値上がりがするだろうということで一応見ますけれども、値が上らぬ場合においては、消費者価格の方をたたいて市場の取引をされる。そこで私は、そういう問題につきまして十分考えて、市場取引に関する問題も考えていかなければならぬということを申し上げたわけです。
  73. 河野謙三

    河野謙三君 運輸大臣から小運搬の一つ……。
  74. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) 仰せの通り、小運搬と申しますのは、通常の場合は、われわれといたしましては通運料金というふうに解釈いたしておりますが、確かにトラック運賃であるとか、あるいはその他軽車両による通貨も含まれるわけでございましょう。通運料金につきましては、昨年改訂いたしましたので、当分の間、ここ一、二年くらいは改訂すべき必要がないと存じます、こう申し上げましたが、港湾の荷役料金につきましてもごく最近改訂になりましたので、これは当分の間もちろん必要ないかと存じます。ただ、トラック運賃につきましては、大臣がしばしば申し上げておりますように、私鉄とかバスとかトラックとか、そういった運賃は、この間の公共料金ストップに関します申し合わせに従いまして処置すると、こういうふうにお答え申し上げるよりほかないと存じます。
  75. 河野謙三

    河野謙三君 大臣、当分の間です  か、それはトラック運賃その他のものについては、当分の間上げないという  ことですか。
  76. 岡本悟

    政府委員岡本悟君) この前の閣議の申し合わせで、御承知のようなことになっておりますので、そういうことに従いたいということを、大臣はしばしば言明を申しております。
  77. 河野謙三

    河野謙三君 今度ガソリン税が上がった、ガソリンが上がると、そうするとまたトラック運賃も上げなきゃいかぬ、いろいろそういう問題が起こってくると思うのですが、そういう場合にも、ガソリン税の値上げの問題と、トラック運賃値上げというものはどこまでも切り離して、大臣としては当分の間、ということを私は相当長く見ているのですが、上げないということですね。
  78. 木暮武太夫

    国務大臣木暮武太夫君) 御心配下さる点は、しごくごもっともな点があると思うのですが、私は、ほかの委員会でもそういう御質問がございましたときにお答え申し上げたんですが、ガソリン税とか、地方道路税でありますとか、軽油引取税とかいうようなものが今回上がりましたことは、トラックとかバスとかいうものの運賃を引き上げる原価高を来たすものになることは、論を待たないと思いますが、私は一方から考えますると、ガソリン税やあるいは地方道路税や軽油引取税の上がりますことによって、道路がよくなることや、舗装されたことなどによりまして、一方では原価を上げるどころではなく、原価を引き下げる要因も私は出てくると思う。で、現に方々に近ごろは有料道路ができまして、そこを通るトラックとかあるいはバスとかいうものから料金を取るわけでございますが、普通の考えからすると、有料道路を通るトラックとかバスとかいうものは料金を取られるんですから、それだけはバスやトラックの値段を上げて消費者負担するものが当然のように考えられますけれども、それを調べてみますると、その運貸の引き上げをやっておらないところが多いのでございます。それは河野さん御存じの通りに、道がよくなれば燃料の消費量は少なくなるし、また車台の破損は非常に少なくなる。タイヤの摩損量なども非常に少なくなる。これは自動車を経営している人がお考えになればすぐわかるので、プラスの面も非常に多いものですから、有料道路などのできた場合には、多くはその料金を上げそうなものであるけれども上げないのがあるのでございまして、こういうようなことも考えられまするので、ガソリン税を上げた、軽油引取税が上がったから、すぐこれに便乗してバス代を一割も上げるんだというような声をよく聞きますけれども、どうもそういうようなことにすぐ賛成するというのはどうであるかというふうに私ども考えておるのでございます。従いまして、閣議の、御承知通り申し合わせなどもございますので、当分の間は、そういうことについてもよく検討を加えて、なるべく国鉄運賃改訂に便乗して一斉にそういう小運送の上がらないように行政措置をいたしたい、こういうふうに考えておるわけでございます。ただ、先ほども鉄道監督局長から申し上げたと思いますが、非常に地方のパスであるとか、トラックであるとかいうようなもので、経理経営内容などが悪いものにつきましては、これは申請がありました場合には、これは検討せざるを得ないようなことになると思いますが、まあ当分は、あの閣議の話し合いもございますので、行政措置で引き上げのことのないように私どもはいたしていきたいと、こう考えておる次第でございます。
  79. 河野謙三

    河野謙三君 これでやめます。運輸大臣のお考え、私は正しいと思う。私も実はトラック屋をやっておるのです。とにかく今お話しのように、ガソリン税を取ったり、いろいろ税金を上げても、それによって道路がよくなり、施設がよくなれば、たとえば横浜と東京の間を現在トラックで二往復しかできないものを、よくなれば三往復も四往復もできるわけです。ガソリン税の一割や二割問題じゃない、そんなこと。ただ、そこに問題があるのは、ガソリン税はきょうから上がるけれども、道路がよくなるのは二年先だというところに、そこに問題があるわけです。だから、そこの間で、当分の間しんぼうしていただければ、道路ができればこれは値上げしてもいい時期がくると思う。そうすると、ずっと上げなくてもいいということになれば、大臣、御親切な答弁をいただいたけれども、私も全く同感であります。そういうわけで、当分の間というのは、道路がよくなる間、当分上げない、上げないでも、それは道路がよくなれば上げてもいい、こういうことになりますから、それを一応、これは一番しまいのそのただし書きで、経営の悪いもの云々というのは、私は気に入りませんけれども、それはまあ了承します。
  80. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 以上で質疑の御要求のお方の発言は、全部終わりました。
  81. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) この際委員異動について報告いたします。戸叶武君が辞任、その補欠として清澤俊英君が選任されました。  ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  82. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記つけて。  本件については、本日はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後一時二分散会