○
政府委員(
齋藤誠君)
お話しの
通り、今後
果樹が伸びます場合におきまして、相当新、
改植が行なわれるわけでございます。その際、
山林あるいは
原野等にふえてくるであろうということは御
指摘の
通りでございまして、過去の、今までの経緯から見ましても、最近の五カ年間におきまする
果樹の
植栽面積の中で、
山林原野から
果樹の
作付に
転換をしたものが大体三五、六%の
ウエイトを占めておるわけでございます。今後の
予測におきましても、この
数字はおそらくもっと
ウエイトは高まってくるのではなかろうかと
考えておるわけでございます。特に今回の
措置の
一つの特色として重点を置いております点は、従来の
果樹の
栽培形態がとかく
散在樹の形できたけれども、今後の市場の
条件に適応するためには、やはりある程度集団化された
経営形態というものが望ましい、こういう
考え方で、原則として十
町歩程度の集団化された
地帯を
予測して
果樹の
経営計画を立てるようにと、こういうことを
指導のねらいにいたしておるわけでございます。
融資もそのような誘導の
措置の
一つと
考えておるわけでございます。そういう
意味におきましては、
林野の利用ということについては、当然
予測するところでございますが、まあ、現実にもすでに三五%を占めておるわけでございますので、今後、
果樹が
成長農産物であるというようなことになってきます場合におきましては、やはり
山持ち自身が
果樹に
一つ転換してやろうと、こういう気運も出ておることも、やはり今申し上げた
数字でも明らかであるわけでございます。この
経営の
形態におきましては、二人以上が共同でやるというふうな場合、それから
農協がそういう
計画を立てて
指導するという場合と、それから、この
法律には書いておりませんけれども、
農地法の一部改正で、いわゆる
農業生産法人の形において
果樹園経営計画を作る場合においても
融資の対象にするというふうな
考え方をとっておるわけでございます。これはなかなか強制というわけには参りませんけれども、今申し上げましたような、組合が
計画を立てていく、あるいは
生産法人のような形でやっていくというふうなことを出しておるゆえんのものは、
林野の
転換等につきましてもある程度の
指導が出てくるのではないだろうか、こういう
考え方をとっておるわけでございまして、今後この面においてさらに何らかの
措置をとるというようなことが現実問題として起こりますならば、われわれも
研究して参らねばならない一課題であると
考えております。ちょうど
畜産における
草地改良と同じような問題があるわけでございます。
それから第二の、
加工部面につきましての
お話しでございますが、全く今後の
果樹振興上、
加工部面の
ウエイトを高めるべきであるということについては御説の
通りでございまして、例をとりますならば、
日本ではまだ
加工用に向けられる
果実の割合は一割以下である。しかしアメリカではこれが五割も占めておるという
状況でございまして、だんだんにやはり
生食用の
果実という既往の形から、どうしても
加工の
部面に今後持っていくということが必要であろうと思うのであります。それは
ひとり需要の
開拓という面から必要であるばかりでなしに、そういうふうに伸ばすこと
自身が、先ほど先生の御
指摘になりましたように、やはりこういう
青果につきましては、ある程度の
加工部面によって出回り数量が調整されるということによって、
価格の安定も結果において期せられるということが、非常な
意味を持つものであろうと思うのであります。たとえば、
柑橘等につきましても、
農協がこれを
出荷する際に、いわば、
余剰輸入に該当するような超過の
供給量を、果汁の
加工場を設けて、これで処理するというような
形態をとっておるところも現にあるわけでございます。そういう
意味におきまして、
加工部面における今後の強化、
拡充をはかっていくということについては、お説の
通りのように
考えております。ただ、この
部面におきまする
行政といたしましては、すでに
民間企業の方がどんどん進んでおるという
状況でございまして、いろいろの問題があると思うのであります。
出荷面におきましては、やはり
加工原料に最も適合するような
品種の
育成ということも一番先に
考えなければならないでありましょう。たとえばこの面におきましては、御
承知のように、桃につきましては、
加工用の
桃肉等の
育成ということにつきましては、すでに国の
試験場におきましても、そういう
品種を作って助成までして
導入をしたというふうなこともございますけれども、今後その面における
加工原料用の
品種の
育成ということについても十分
研究し、強化していく必要があろうかと思うのであります。さらにまた、
取引の
段階におきましては、安定的な
取引の
形態ということが第二に必要であろうと思うのであります。現在までのところ、いわゆる
出荷団体、
農協系統の
出荷団体で扱っておる量というものは、おそらく三分の一にもいかないと思うのでありますが、その中で、特に
原料用の
取引については、ほとんど仲買人あるいはその他の
買出人の手を経て
原料が集荷されるという状態であるわけでございます。従って、この面は、
ひとり生産者の利益のためというばかりでなしに、
加工業を安定した基礎に置くという
意味におきましても、この
部面における安定した
原料の
供給、こういうことに対する
態勢が必要であろうと思うのでございます。本年度の
予算におきましても、こういう
加工部面だけではございませんけれども、
青果につきまして全体の
出荷事情あるいは
加工の
現状、あるいは
作付の
見通し、
出荷の
見通しといったようなことを、それぞれの
団体に委託いたしまして、定例的に調査いたし、これを情報として
生産者団体に流しまして、そうしてこれを定例的に、また
協議会等の開催によりまして、
計画出荷、
出荷調整というようなことを今後
指導して参りたいと思っておりますが、当然その一環には、今申し上げた
加工部面における
取引の問題も
考えていかなければならないと思っておるわけでございます。いろいろ問題としてはあるわけでございますが、
加工部面における
需要の
開拓、
輸出振興、そのための
品質規格の
統一、こういったような問題についても、
行政面としてはいろいろやっておるわけでございますけれども、今後ともそういう
部面についてもやって参らなければならぬ、かように
考えております。