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1961-03-16 第38回国会 参議院 農林水産委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和三十六年三月十六日(木曜日)    午前十時四十四分開会   —————————————  出席者は左の通り。    委員長     藤野 繁雄君    理事            秋山俊一郎君            櫻井 志郎君            亀田 得治君            森 八三一君    委員            青田源太郎君            石谷 憲男君            植垣弥一郎君            岡村文四郎君            河野 謙三君            重政 庸徳君            田中 啓一君            高橋  衛君            仲原 善一君            堀本 宜実君            阿部 竹松君            大河原一次君            戸叶  武君            安田 敏雄君            棚橋 小虎君            千田  正君   政府委員    農林政務次官  井原 岸高君    農林省農林経済    局長      坂村 吉正君    農林省振興局長 斎藤  誠君    運輸政務次官  福家 俊一君    運輸省鉄道監督    局国有鉄道部長 広瀬 真一君   事務局側    常任委員会専門    員       安楽城敏男君   説明員    農林省振興局園    芸課長     石井 一雄君    通商産業省軽工    業局化学肥料部    長       久宗  高君    日本国有鉄道営    業局長     遠藤 鉄二君   —————————————農林水産政策に関する調査  (肥料等国鉄貨物運賃に関する  件) ○果樹農業振興特別措置法案(内閣送  付、予備審査)   —————————————
  2. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ただいまから農林水産委員会を開会いたします。  肥料等国鉄貨物運賃に関する件を議題といたします。本件についての質疑の要求があります。これを許します。  なお、本件についての関係当局の御出席の方は、農林政務次官井原君、農林省農林経済局長坂村君、運輸省国有鉄道部長広瀬君、日本国有鉄道営業局長遠藤君、通産省軽工業局化学肥料部長久宗君、経済企画庁調整局交通課長岩渕君であります。河野君。
  3. 河野謙三

    河野謙三君 御出席のどなたでもいいのですが、この場合は運輸省当局から御答弁を願うことがいいと思いますが、四月以降運賃値上げが、かりに確定した場合に、農林物資、すなわち農産物並びに農業資材に及ぼす影響はどのくらいあるか、数字をもって御計算ができておると思いますから、まずお聞きいたしたいと思います。
  4. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ただいまお尋ねのございました今回の運賃改訂によりまする農林関係運賃値上がり額は、概算六十二億円見当かと考えております。
  5. 河野謙三

    河野謙三君 その六十二億円を農林資材、すなわち農村が買うものと農村が売るところの農産物と、この二つに分けた数字一つ教えていただきたいと思います。
  6. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ただいま申し上げました六十二億円といいますのは、農林関係で生産されまして送り出される貨物運賃額でございまして、農林関係の方が使用される資材につきましては、そういう計算はまだやっておりませんのでお答え申し上げかねるわけでございます。
  7. 河野謙三

    河野謙三君 私はこれは非常に驚いたことですが、御承知のように今回の国会農政国会とも言われるときでありまして、その際にかりに担当の農林省でなくても、運賃値上げをしようという運輸省の側において、この値上げ農民に及ぼす影響というようなものは、当然計算されているものと私は承知しておった。ところが、単に農産物についてのみの計算はできているけれども、より以上農民に大きく影響のあるところのえさとか、肥料とかその他農業用資材につきましてどのくらいの影響があるかということがないはずは私はないと思う。もし運輸省にして答弁ができなければ、農林省なり通産省の方で一つ答弁をいただきたいと思います。
  8. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ただいま御説明を間違えましたので恐縮でございます。農林関係と申し上げました中には、肥料飼料等は入っております。ただその他の農林生産に必要な資材は入っていないということで、肥料飼料等はこれに含んでおります。
  9. 河野謙三

    河野謙三君 それではやむを得ませんから、その補足を一つ農林省の方から数字をあげて御説明願いたい。
  10. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 今回の運賃値上げが非常に農産物にも、それから農業用資材にも影響のありますことは、大体見当がつくところでございますが、農業用資材といいましてもいろいろございまするので、一応私どもで大ざっぱに大事なものを取り上げましてはじいてみますると、大体無機質肥料対象にして取り上げますると、私ども計算では、大体五、六億前後というような値上げになるというふうに見当をつけておるのでございます。それからえさの場合には、大体四千万円程度ではないかというふうな見当でございますが、もう少し精細なこれは計算をしてみませんと、正確な数字は申し上げられませんかと思いますが、一応大体その程度見当考えております。
  11. 河野謙三

    河野謙三君 私が最初から農産物農村資材二つに分けまして、これに及ぼす運賃影響を伺っておるのは、政府がかねがね国会を通じ、もしくは新聞、ラジオを通じまして、今度の国鉄運賃値上げ物価値上げにならぬように、それぞれの生産者において吸収させる、こういう政府方針のようでございますから、それならば農村資材は、その資材を生産するメーカー負担においてその資材値上がりにならぬように、またそれと同じ理屈でいけば、米、麦のような別の法律をもって規制されているものは別でありますけれども一般農産物を出産する農家において運賃値上がりが及ぼす影響というものは、農村負担において農村が吸収する側に立たなきゃならぬと、こういうことになると思いますが、そういう政府方針に間違いございませんか。運輸省当局からどうぞ、もしくは経済企画庁
  12. 広瀬真一

    政府委員広瀬真一君) 全般的に申しまして、ただいまお尋ねがございましたような方針でやっております。
  13. 河野謙三

    河野謙三君 かねがね私もそういうふうに聞いておりましたが、それならば、特に二次産業、三次産業との較差がますます出てきて、これに対処しなければいかぬというときに、農村側負担になるところの農産物運賃値上げが及ぼす影響というものは、この際伺っておかなければいかないじゃないですか。運賃値上げ物価影響させない、どこまでも生産者負担において合理化その他によって吸収させると、こういうことでしょう。農業もやはり農民生産者ですよ。大きな生産者ですよ。その農産物を生産する農家に、今回の運賃値上げ農産物価格影響させないように、農業の経営の合理化その他農民負担において吸収させるというなら、その吸収させる額はどのくらいかということは、これは企画庁はもちろんのこと、運輸省なり農林省なり、その他が知ってないはずはないと思う。そういう基礎的な数字がなくて、運賃値上げを論議決定するなんというのは、私は大体大胆不敵だと思うのです。どのくらい農民に今度の運賃値上げによって影響があるかということを、あらためてもう  一度私は御答弁願いたいと思います。
  14. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 先ほど国鉄当局の方で、一応今度の運賃改訂による農林生産物及び農業用資材の値が上りといいますか、まあ機械的な値上がりというふうに申しておりましたが、その額が六十億前後という御答弁がございましたが、大体全体の金額といたしましては、その程度見当ではないかと思うのでございます。しかし、実際問題といたしまして、その中にはものによっては、ほんとうに物価にはね返りまして物価値上がりになるものもございます。それから青果物とか、魚とかいいまするように、ああいうようなものは、どちらかと申しますると物価にはね返るといいまするよりも、農民負担になるという面が非常に大きいのじゃないかと思うのでございます。おそらく消費地に参りました場合にも、御承知通りせり売り等で値段がきめられる性質のものでございまするから、ある程度影響消費価格にもあるかもしれませんが、大部分生産者しわ寄せになってくる、こういうものが多いのじゃないかと思うのでございます。これは品目別整理をしてみますると、どの程度物価にはね返り、どの程度生産者しわ寄せになるかというところが出てくると思うのでございまするが、今おもな品目については一応計算がございまするが、一応合計したものを持ち合わせておりませんので、大体内容はそういうことになろうかというふうに考えております。
  15. 河野謙三

    河野謙三君 数字をもって御説明をいただけないことは、はなはだ残念ですが、今の御答弁によりましても、とにかく農産物の中で農民自体運賃を吸収しなければならぬ分も相当考えられるという御答弁であれば、一体農民は、どうして運賃値上がり生産段階において吸収できるのですか。私は非常にきょうの御答弁は不満足ですが、一応次の問題に入りますが、もし、そのまま準備不十分のうちに四月以降運賃を上げるとした場合に、何か農林物資について特例でもお考えになっておりますか。一般物資と同じように平面的にお考えになって、四月以降は運賃値上げするという方針が現段階政府の御方針でございますか、これをまず伺います。
  16. 広瀬真一

    政府委員広瀬真一君) 今回の貨物運賃改訂は一律のアップ考えておりますので、特に農林物資について特別な配慮をするということは考えておりませんが、しかし、国民生活に密接な関係がございまして、特に考慮をしなくちゃいかぬということで従来行なっておりますが、これは農水関係だけではございませんが、主として農水関係対象といたしておりまする貨物暫定割引につきましては、今回急激な変化は避けるという意味から、そのまま据え置くということは考えております。
  17. 河野謙三

    河野謙三君 運賃値上げをそれぞれの生産者に吸収させるという方針が大方針のようでありますが、米等統制物資は別ですが、流通の自由なものについてですね、運賃値上げ分をそれぞれ生産段階で吸収させるというならば、何か法的なり、その他法律以外の具体的な指導方針はございますか。強制するわけにいかぬでしょう。何か法的根拠、もしくは具体的な行政指導の対策がなければ、ただ気持の上でメーカーに吸収させるんだといってみたところで、こういうたださえ物価値上がりのムードの起こっておるときに、非常に困難だと思う。ただ政府メーカーに吸収させるんだと、そういう気持だというだけでは、われわれは引き下がるわけにはいかない。具体的に何かお持ちになっておりますか。
  18. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 運賃値上がり部分生産者に吸収させると、こういいましても、なかなか実際問題として急激に、たとえば一五%なり何%なりというものが農林水産業者にはね返る、しわ寄せになるといいますることは、非常にまあ問題としても考えなければならぬ問題だと思うのでございまして、ですから、そこで、先ほど運輸省当局からお話がありましたように、公共政策割引暫定割引ということで、主として農林水産物について割引を行なって参りましたものにつきましては、当分これは据え置くと、こういうことで考えておるわけでございます。そのほか、特に農林水産物で、今度の運賃改訂によって影響が非常に大きいというようなもので、生産者がこれを急にしょい込めといっても、なかなか大へんじゃないかというものにつきましては、私ども実際問題といたしましては、やはり今回の基本方針を変えるということではなくて、今回の基本方針に沿いつつ、実際問題として何とかこれを具体的な措置として解決する方法はあるまいかというようなことで、いろいろ運輸省あるいは国鉄当局とも実際問題について今検討し、また、お願いをしておるというような段階でございます。
  19. 河野謙三

    河野謙三君 私は政務次官に伺いたいんですが、少なくとも今までの政府言明によりますと、国鉄運賃がすぐに物価値上がりにならぬように、それぞれの生産者において合理化その他の方途によって運賃値上げ分を吸収させる、これが政府の大方針である、こういうふうに承知しておりますが、それで間違いございませんか。今の経済局長なり、運輸省の方の御答弁によると、われわれが従来承知しておった政府の大方針と少しズレがあるようですが、どうなんですか。
  20. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) 毎回の委員会での各委員の御発言にもありますように、今日の所得倍増の中で一番困っております農業、この倍増のためにこそ、今の倍増の問題を考えておる農業の状態の中で、また生産者運賃がはね返ってくるというようなことは、各委員の御発言通りでございまして、われわれも納得がいきかねるわけでございます。従来とも大臣を通じましていろいろ折衝いたしたわけでございますが、しかし、御承知のような大勢でございまして、やむを得ずただいま提案されておるような値上げの状況になったわけでございますが、なおかつ農林省といたしましても、運営の面で、でき得る限り生産物またその他資材等についての運賃負担が軽減されるようなふうに、具体的にいろいろ話をいたしまして、運営の面で軽減されるような努力をしたいということで目下検討いたしておるわけでございます。今後引き続いて御意思に沿うようなふうに、法の建前はああいうふうに出ておりますけれども運営の面で努力いたしたいと存じます。
  21. 河野謙三

    河野謙三君 私のほうがきめたのじゃなくて、政府自体運賃値上げ分メーカーに吸収させるという政府方針をきめられて、われわれ一般国民に示されたんです。われわれはそれを信じてもおります。が、今の答弁を聞くと、どうもまだ政府の従来の国民に発表した方針と幾らかズレがあるようですから私は伺った。私は一つ運輸省に伺いたいんですが先ほど、特殊の物資農林物資等につきましては、特例考えておるというんですが、もちろん、これはまあ最終決定じゃないでしょうけれども、たとえば農林物資関係でどういうものに特例をどういう方法でするということをお示しいただけますか。
  22. 広瀬真一

    政府委員広瀬真一君) 先ほども申し上げましたように、現在考えておりますことは、現在行なっております総額約二十億円に上ります、現行運賃ベース計算いたしまして約二十億円に上ります百十品目の、これは主として農水関係でございますが、貨物暫定割引を行なっております。これはまあ貨物運賃体系から申しますと、やや体系をはずれておるものでございますから、ゆくゆくは、これは整理をしていきたいということで、昨年来企画庁中心といたしまして、農林省ともいろいろ御協議を申し上げておったわけでございますが、今回は運賃値上げによります急激な変化ということを避ける必要がございますので、私どものほうといたしましては、当分の間はこの現行暫定割引制度というものは存続をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  23. 河野謙三

    河野謙三君 それでは、農林資材の中で具体的に私は肥料の問題で伺いたい。肥料運賃は四月以降は上がるんですか。
  24. 広瀬真一

    政府委員広瀬真一君) 肥料運賃につきましては、先ほども申し上げましたように、今回の貨物運賃改訂というものは一律のアップ考えておりますので、ほかの物資と同じように上がるということになります。なお、肥料運賃は、貨物等級の査定上では、日常生活に不可欠な物資に準ずるということで、一般等級よりも低い特別の等級四級に格づけしておりますが、これを上げるということにいたしております。
  25. 河野謙三

    河野謙三君 それでは、運輸省方針がわかりましたから、通産省なり農林省のほうから伺いたいんですが、四月という月は春肥最盛期ですね。まだ春肥が約半ばにしかいかないときです。そのときに四月から五月、六月の運賃を上げられると、これは農林省は当然御承知でしょう、通産省も御承知でしょうが、一体農村にはどういう影響があるか。私からまず私の見方を申しますと、春肥最盛期運賃が大幅に上がるということになりますと、三月までに春肥手当した人は安い肥料を買って、四月以降手当する人は高い肥料を買う。もっとこれを具体的に言うと、農村でも比較的余裕のある農家は、三月までに早手回しに安い肥料を買って、農協におきましても比較的運営の良好な農協は早く手当をして、経営困難な農協は、みすみす運賃値上がりを前にながめながら手当ができないということになると思うのですね、なると思うのでなくてなるんですよ。また、これを地区別に見ますと、東北なり北陸なり早場所農村は、三月末に春肥の大部分手当が完了するでしょう。しかし政務次官がおられる四国とか、九州とか、近畿とか、中国とか、こういう方面のおそ場所の農村におきましては、春肥は半ばにも手当が済んでいないということになる。地区別に非常に不公平になり、またもっと大きな問題は、貧農が高い肥料を買わされて、富める農家早手回しに安い肥料を買う。理屈の上からいえばそうなりますが、こういう関係について農林省通産省運輸省とよく御協議なすったことでございますか。
  26. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) 河野委員のおっしゃる通りに、肥料のようなものは非常に農業資材としても大事なものでございまして、特に四月というものは春肥の最需要期でございます。そういうときに肥料、特に硫安中心といたしまして、大体価格は、硫安につきましては、正式に審議会決定はいただいておりませんが、政府マル公をきめておる。暫定価格ではございますけれどもマル公をきめておることでもございまするし、それを中心にいたしまして尿素とかあるいはその他のアンモニアの肥料の大体そういう指導的な価格できめられておるのでございます。こういうものが急に値段が動きますることは、非常に、何といいますか、肥料に対する需要思惑需要というものが起こるということも考えられます。それから、そのためにいろいろな困難を来たすことは当然予想されることだろうと思います。  それからもう一面から申しますと、全購連が相当部分を扱っておるわけでございます。全購連は御承知のように共同計算というのをやっておりまして、県の経済連あるいは単協との間で共同計算をやっている。そういう関係で一年を一本にしてあとでいろいろ精算をするというような形でやっておりますので、こういうようなものが実際の操作上非常に困難を来たしてむずかしい問題が起こるんじゃないかというふうに考えておるのでございます。  そういうことでございまするので、私どもといたしましては、国鉄あるいは運輸省当局とも十分この肥料の問題につきましては今までもいろいろ話し合いをいたしまして、何とかそういう困難を避けなければいかぬということで考えてきておるのでございまするが、まだこれは政府の内部で、今ここで一緒に並んでおりまして、いろいろ違うようなことを申し上げるとまことに申しわけないのでございまするけれども、そういう考え方で今後及び現在の折衝といいますか、話し合いをしている段階でございます。何とかそういう影響は避けたいと、こういうつもりでおるのでございます。
  27. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  28. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記を始めて。
  29. 河野謙三

    河野謙三君 もちろん質問はあるのですが、冒頭から、資料としてでなく、いろいろ御答弁の中に説明を求めておるのですが、それさえもないのですから、私の質問は今回限りでは済みませんから、あらためて私近い機会に、一つ委員長において、国鉄運賃農林物資関係について審議をする機会を与えていただけば、私は必ずしもきょう運輸政務次官がこの席におられなくてもけっこうです。  そこで私は伺いたいのですが、四月一日から運賃を上げるというのに、きょうは三月十六日でしょう。   〔委員長退席理事櫻井志郎君着席〕 しかも四月一日だから三月三十一日までにきめればいいという性質のものではなくて、一般国民には四月一日から運賃値上げになるということは既定の事実になっておるわけです。従って今経済局長も言われたように、運賃値上げを全体にして思惑需要が起こり、その他流通混乱に入らんとしておる時期なんです。一日も早くおきめにならなければ、政治にならぬじゃないですか。農村経済影響がないということならば、期日一ぱい政府方針をきめられてもいいけれども、現に政府方針が不確実のままに推移しているところに混乱が起こっているというこの事実に基づいて、早急にきめていただきたい。何も早急にきめることはそんなにめんどうなことではないと思う。今私が申し上げた肥料の例で言うならば、過去において国鉄運賃値上げをしたときが二回もある。そのときに肥料に関しては、いつも四月一日からであるということでございましたけれども、時たまたま春肥最盛期であるから四月一日からの値上げは不適当である。少なくとも春肥の終了する七月までは、肥料の方で言うならば、肥料年度末までは従来の運賃をそのまま適用するという特例は、過去の運賃値上げの際にいつでも肥料には適用されているわけなんです。私は今肥料のことだけ申し上げておりますが、その他の農林物資におきましても、同様にお考えにならなければならぬことは当然でありますけれども、特に肥料につきましては、運輸省自体が過去の運賃値上げの際に特例を設けてこれを実施しておられる。前例のないことじゃない。それをなぜ早くおきめにならぬか。おきめにならぬところに、われわれはいろいろな疑問が起こってくる。運輸政務次官、少なくとも前例を尊重して、また肥料の事情をよく考慮されて、ここで直ちに肥料運賃につきましては、先のことは先のこととして、少なくとも本肥料年度の七月末までは、現在の運賃をそのまま据え置くということは、御言明になっても少しも私は差しつかえないじゃないかと思うのですが、どうです。
  30. 福家俊一

    政府委員福家俊一君) お答え申し上げます。河野委員から一日も早く国鉄運賃値上げ決定すべし、国民は四月一日から実現されることを既定事実と考えておられるということでありますが、私どもといたしましては、この問題を国会に提出前に農林省及び経済企画庁とも十分合議の結果、政府として決定し、国会にただいま上程中でございます。衆参両院協賛を得て四月一日から実施の一日も早くできることを念願しているものでございます。ただ、今河野委員肥料の点だけをおあげ下さいましたけれども、この問題は非常に影響が重大でございまして、率直に申し上げますならば、石炭硫化鉱、あるいは文部省関係で言うならば教科書あるいは新聞、雑誌、また農林省関係で申し上げますならば木材というように、あらゆるものが専門的立場からこれは押えろ、これは特別措置をせい、こういうことになりまして、国鉄独立採算制立場から考えまして、非常に運賃値上げの本質すら撤回しなければならないような重大な関係すらございますので、一応運輸省といたしましては、ただいま政府当局から国会に提出いたしておりまする原案の御協賛を、一日も早くいただくように全力を傾注いたしておる次第でございます。しかし、これが両院を通過した後におきまして、高い角度から政府として検討すべき点があるならば当然政治的な話し合い、あるいは高度な配慮をもって措置することもあり得ると存じます。現在の段階におきましては、そういう立場でございます。
  31. 河野謙三

    河野謙三君 私は非常に異なことを伺ったのですが、影響するところが大きいという御説明の中に、石炭とか、図書とか、その他の業種をあげられましたが、もちろん石炭好況的産業でないことはわかっておりますけれども、しかし農業というものと他の産業というものを同じレベルにおいて判断の基礎にすることは、私は根本的に違うと思う。その一番いい例が、本国会農業基本法も出し抜本的に農業政策を変えようとしておる。農村には一分の弾力性もない。これは私だけでなくて国民全体が理解し、認めるところだと私は思う。それを他の産業農業というものを一つにして影響するところが大きいということは、私はこれは受け取れないのですがね。そういうことであるならば、今の農政を、国会をあげて論議する必要も何にもない。特に先ほども申しましたように、そういうような事情から、過去におきましても運賃値上げの際に運輸省特例を設けておるということなんです。前にやった特例が間違いであって、今度は特例を設けない方がいいんだという現在の段階ではお考えのようですが、そうじゃないですか。
  32. 福家俊一

    政府委員福家俊一君) 河野委員は、私の言葉が足りなかったせいかも存じませんけれども、趣旨をよくおくみ取りいただけなかったと思うのですが、私も農業立場、特殊性はよく存じております。ただ今日起きておる問題を率直に申し上げたのでございまして、特に当局といたしましては、衆参両院の通過に目下全力を傾倒しておる。その後におきましては、高い角度から政府の政治的配慮において考慮し得ることもあり得ると申し上げたのであります。この点において当然国鉄といたしましては、今度の運賃値上げにつきましても、農水産物だけについては暫定を認めておるような立場でございまするので、その際の段階において配慮し得ることもあり得ると、こういうことを申し上げたのでございまして、決してこういうものと対等に考えて処理しておるという趣旨ではございませんで、その点御了承願いたいと思います。
  33. 河野謙三

    河野謙三君 運輸省のお立場において政務次官の御答弁というものは、いろいろ制約を受けるでしょうからまあその程度と思いますが、農林政務次官は一体どうお考えになりますか。先ほど私が申し上げましたように、農村には運賃値上がりを吸収する力もない。非常に弾力性の乏しいというよりは、むしろ弾力性のない農業経営の中に、これだけ大きな運賃値上げの問題が起こってきたときに、特に今私が一つの例として申し上げた肥料のように、貧しい農家運賃値上げ影響を全部かぶる。比較的富める農家は早取りをして安いところ手当してしまう。これは大きな農村におけるところの社会問題ですよ。でありまするから前例もあるわけなんです。前に運賃値上げをしたときにはそういう特例を設けたけれども、今度の運賃値上げに際しては、農村が非常に景気がいいから、またその他の事情によってその特例考える必要はない、こういうような要素は何にもないと私は思う。むしろ前回特例を設けたときより以上に、農村には大きな問題が起こっておる。そういう際に、しかも法律が通ったあとでゆっくり考えるというようなことは、先ほどから繰り返し申し上げますように、運賃値上げを前提にして流通段階混乱に入ろうとしておる際に、私は一日もゆるがせにできないと思う。この認識に立って政務次官もおられると思う。そうであるならば、私と同じ立場において一日も早く片づけて、しかもそれは最小限度春肥の終わる七月までは、現在の運賃肥料においては据え置くということ以外には答えはないと思うのですが、政務次官はどうお考えになりますか。
  34. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) さいぜんも御答弁申し上げましたように、今国会はあげて農業基本法の御審議を願って、今日非常に低所得のために苦難な道を歩んでおりまする農業経営者、農業従事者のために、われわれはこうした大問題と取っ組んでいるさなかでもございます。また、私は初めてでございますが、今のように特例を設けて肥料年度まで運賃値上げを中止したという前例もあるようでございます。十二分に大臣とも相談をいたしまして、それぞれ党の政調あるいはその他と折衝いたしまして、ただいま河野委員の仰せごもっともでございますので、さような方向へ押し進めるべく努力いたしたいと存じます。
  35. 河野謙三

    河野謙三君 他の委員の方も御質問があると思いますから、私は最後に角度を変えて通産省一つ伺いたい。私は要するに運賃値上げは、かりにあっても、農民のふところに影響がなければ私はいいんです。というのは、農民だけが国民じゃございませんけれども、一番貧しい農民のことを第一に考えなければいかぬということは、私は政治の要諦だと思う。そういう意味から通産省に伺いますが、この運賃値上げメーカーの方で吸収する、吸収させる方途はお考えになっておりますか。またそういう余地はございませんか。かりに運賃が上がりましても、その分を肥料の場合でいえば肥料メーカーが吸収できる、また通産省はできる、できないは別問題として、力をもって吸収させるという方法があるなら、それも私は一つ方法、だと思う。そういう方途について何かお考えになったことがあったらお示しをいただきたい。
  36. 久宗高

    説明員(久宗高君) メーカーが吸収できるかどうかというお尋ねでございますが、肥料価格のきめ方につきましては、先刻御承知通りのことでございまして、原価計算その他から出て参りますので、そのまま取り上げるような経緯になっておるわけでございます。従いまして、今日まで御承知通り毎年度価格合理化の進展によりまして下がっておりますので、それによって吸収されたというふうにお考えいただくこともあるいは可能かと思います。計算の内容から申しますと、やはり具体的に運賃が上がりますと、それが計算の基礎に入らざるを得ない。つまりメーカーによって実質的にそれを負担するということはおそらく困難であろうというふうに考えております。
  37. 河野謙三

    河野謙三君 そうすると、これからよく御検討を政府部内においてされるようでありますけれども、かりにメーカーの方では、通産省の今のお話によって吸収する余地がない、運輸省においては他に影響するところがあるから値上げをやるのだ、結局農民負担というところに落ちつくわけですね、運輸省なり通産省のお話を伺っておると。農林省はそれには何らか善処をしたいという希望を唱えておられる。一体ふろ代が上ったとか、床屋が上ったとかいうことで、すぐに都会では大騒ぎやりますけれども、それの個々の家庭に及ぼす影響よりも、農村において一番支出の大きい肥料、その運賃が大幅に上がるということによって農民に及ぼす影響というのは、これは計算されたこともあるでしょうが、そんな程度のものじゃない。これだけ大きな問題をいまだに政府が見解が一致していない。しかも、あと半月たてば運賃値上げになるのだというこのことは、どう考えても、私は政府の怠慢だと思うのです。少なくとも、私は農林省にあえて申しますが、農林省の積極性がないと思います。この問題を最後に私は御答弁いただいて質問終わりますが、一体いつまでに解決されますか。二十日までにやりますか、二十一日までにやられますか、二十二日までにやられますか。そこらの一つ見当を私は教えていただきたいと、こう思うのです。
  38. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) 御答弁申し上げます。四月一日から実施をするというような方向で御審議を願っておるわけでございます。それ以前にできる限り、さっき申しましたようにこれを見越しての買いだめと申しますか、そういうようなこともあり得ると思います。早急に話し合いを進めていくように、またそれによって決定するような方向に向けたいと思っています。
  39. 河野謙三

    河野謙三君 私は委員長にお願いしますが、今後この国鉄運賃値上げ農林物資との関係、これは政府部内において現在見解が統一してないようですが、その折衝の過程において、また折衝の結果決定した結論、こういうものは逐次私は委員会に御報告を願いたいと、かように思いますので、委員長においてそのようにお取り計らいを願いたいと、かように思います。なおその経過の報告も、今申し上げましたように、四月一日にやるから三月一ぱいにきめればいいのだというようなことでなしに、私は早急に御決定いただくように、委員長から政府に強く御要求願いたいと、こう思います。
  40. 福家俊一

    政府委員福家俊一君) ただいま河野委員から政府の見解不統一とおっしゃいましたけれども、閣議決定いたしまして、国会に提出いたしておりますので、私ども立場から申し上げますならば、見解不統一ではないと思います。ただいろいろ希望的な、あるいはそういう要望は十二分に承わっておるわけでございます。願わくば鳴かしてみせようホトトギスでなく、鳴くまで待とうホトトギスで、お互い政府部内でございますから、そういう高度な配慮を待っていただきたい。私どもも決して何もかも一切聞く耳持たないという気持ではございません。十二分運輸大臣にも相談いたしまして、先ほどのお言葉もございましたが、前例もあるかのように承わっておりますし、そういう点も十分検討に検討を加えまして、政治的配慮をする場合もあり得ると思いますが、目下のところ、閣議決定の後両院に提出いたし、目下衆議院で審議中の方途に従って運輸省としては全力を上げている次第でございます。
  41. 河野謙三

    河野謙三君 私はわが党の政府が閣議決定した運賃値上げというものを前提にして御質問申し上げておる。運賃値上げを否定した私は質問をしておるのではない。ただその運賃値上げという大原則の中に、過去においても特例があるじゃないか。過去において特例があり、その特例が今なお特例として残さなければならぬような農村事情のもとにおいて、そういうものは運賃値上げ決定の大方針とともに並行して今まで論議されるのは、当然じゃないかということを私は申し上げているのです。運賃値上げの大方針には私は否定した立場で御質問申し上げておるのではない。しかも、まあゆっくり運賃値上げ決定したらやろうとおっしゃるけれども、現に運賃値上げというものを前提にして流通段階がいろいろ混乱に入りつつあるという段階においては、この混乱を防ぐために、政府が当然積極的に善処するのは当たりまえじゃないか。そういう意味で特に農林省においては積極的にこれを善処したらいいじゃないか。磯間的にもう少しものを考えたらいいじゃないかということを申し上げておるのでありますから、大きな方針について政務次官と私は何にも意見の食い違いはない。私もおっしゃるように政治家でございますから、大所高所からもう少こしものをお考えになって、ただ運輸省運輸省立場だけでものを考える、農林省農林省立場だけで考えるということでなしに、もっと大きな立場、もっと大きな農村という立場において一つ考えいただきたい、こういうふうに私は要望しているのです。
  42. 森八三一

    ○森八三一君 河野委員の要求といいますか、御発言に対しまして、いずれこの問題は、進行の状況を委員長の手元で逐次当委員会に報告の措置をとられると思いますが、なおただいまは主として肥料の問題について御発言がありましたが、その他の広範な農林物資についての問題もありますので、他日この問題を取り上げる機会をお作りになるということでございますから、私はきょうはこの問題を質問しようとは思いませんが、その際に私の頭を整理しておきまする関係上、一つだけお伺いいたしたいのです。  それは先回のこの委員会で三政務次官が御列席、運輸省監督局長国鉄の営業局長が御出席になりましてだんだん論議した結果、三十四年度の国鉄の営業収支というものは黒字で推移している。三十五年度はまだ進行過程にありまするから、数字的には明確でない。がしかし、経済の成長きわめて急激なものがありますので、国鉄の輸送量というものもかなり増大をしているであろう。それらを考えますると、職員の皆様に対する給与改訂等が行なわれるにいたしましても、おおむね営業収益というものはふえるのじゃないか。そういたしますると、昭和三十六年度に新たに建設に投資いたしまする二千百億円というものが、黒になるか赤になるかということを見きわめいたしますれば、運賃をいかに扱うかという結論が出てくるのじゃないかというようなことでだんだんお伺いをいたしまして、明日は閣議で決定をされるはずであるので、その際に私の申し上げましたことに御納得がいきまするなれば、そういう趣旨で政府部内で整理をしていただきたい。御納得が願えぬことであるなれば私の主張が間違っているのですから、その間違いの点について御批評いただきたいという御発言を申し上げました。それに対して修正とか、御批評いただくというような御発言はなかったものですから、だから私の申し上げたことは一応三政務次官は御了承になったものと私は理解をいたします。といたしますれば、当然閣議決定前にそういうような措置がとられておらなければならぬと思います。  そこでお伺いいたしたいことは、先回のこの委員会でこの問題を扱いましたあと、閣議決定に至りまするまでの間にどういうようなお運びをいただきましたのか、その実情だけを伺っておきたい。これはこの委員会でも今後扱われましょうし、ただいま本院では予算の審議中でありますので、予算委員会等においても当然この問題は登場してくるので、その際にどういうお運びを願ったのに、政府はかくかくの閣議決定をせられたということを承知いたしておりませんと、今後問題をきわめていく際に食い違いを生じますので、お運びをいただきました実情、それが閣議では聞き入れられなかったというならそれでよろしいのです。どういうお運びをされたか、実情を知っておきたい。
  43. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) たしか二十三日の委員会であったと思いますが、森委員の強い御発言もございまして、閣議において大臣もその立場から相当強い発言をいたしたようでありますが、大勢はやむを得ざる結果、ただいまのような運賃値上げ法律案が出たわけであります。その決定をいたしまするまでに省議を開きまして、具体的に閣議だけでなしに、運輸省当局へもそれぞれ要望いたした事項等もございますので、経済局長から一部の内容を御説明申し上げて御了解を得たいと思います。
  44. 坂村吉正

    政府委員坂村吉正君) この前の委員会でも申し上げましたように、いろいろ閣議決定までの段階では、国鉄当局あるいは運輸省当局とも、運輸省と話といいまするか、折衝をいたして参っておったのでございます。この前委員会でいろいろ御要望といいまするか、御趣旨もございまして、そういう趣旨の点につきまして農林省といたしましては、企画庁の方で、いろいろこういう問題についての今後の物価に対する影響とか、あるいは生産者に対する影響とか、そういうようなものも当然検討すべきであるというようなことで、企画庁でも取り上げて、企画庁でその検討は進めておるという段階でございまするが、その過程で全体の方針としての運賃値上げというのは一応閣議できまって提案になっておるわけでございまするけれども先ほどから申し上げましたように、実際の運用面で、実際の影響がどれだけ起こるか、それに対して運用面でどういう具体的なことを考えたらいいかというような問題は、やはり政府全体として検討しなければならぬ問題でもございまするので、企画庁の方にも消費物価値上げを抑制するというようなための協議会等もできておるのでございまして、その協議会等におきましても、いろいろ検討をいたしておるような次第でございます。
  45. 森八三一

    ○森八三一君 まあきょうは詳しくいたしませんが、この前払が申し上げましたのは、二千百億円の投資をする。それが黒字になるか、赤字になるか、だんだん数字的にきわめていくと、最後は四百億円くらいのものが赤字投資になるという結論になった。だとすれば、四百億円というものを年次償還に考えていけば四百八十六億という膨大な赤字をせんでも、経済成長に見合う輸送力の拡充はできるんじゃないかということを申し上げた。それが間違っておるならばお教えをいただきたい。こう申し上げたのに対して、三政務次官とも御発言はなかったのですから、だとすればあなた方は御納得になったんじゃないか。そうすればそういう趣旨で十分一つ閣内で整理をしていただきたい、こう申し上げた。そのことがどう運ばれたかということを聞いておるので、運賃値上げ方針がどういうふうに反映するとかあるいは農民にどういうふうな影響があるとか、こういうこまかい問題でなくて、もっと基本的な問題について申し上げたので、その運び方はどうなったか。ただここで聞き放しで何もしなかったということならそれでよろしい。こうしたということならこうしたという具体的なことを聞きたい。こういうことで、こまかいことを聞いておるのじゃない。
  46. 遠藤鉄二

    説明員遠藤鉄二君) ただいまお尋ねのございました件につきましては、運輸省から御答弁申し上げるべきたと思いますけれども、ちょうど不在でございますので、私が存じている範囲内で申し上げたいと思います。お尋ねの趣旨は、借り入れ金をふやせば経営ができるじゃないかという、簡単広いえばそういうお考えかと思うのでございますが、これは政府におきましてはそうなれば結果はどうなる。今回のような利子のつかない金を運賃によってこれだけ上げていけば、将来の経営はどうなるというこまかい作業をいたしまして、国鉄のプランを作り、それを運輸省、大蔵省その他企画庁等におきまして十分検討されまして、今回閣議を通りましたような法案に到達したわけでございまして、その内容は運賃法の説明でございます。ただいま衆議院の運輸委員会審議がされておる最中だと思います。そういうこと、だと思います。
  47. 森八三一

    ○森八三一君 これでやめますが、そういうことで計算をされて案を出したことは、私も本会議でも説明を聞いておりますので、わかっております。わかっておりますが、お話しの通りに、経済的に収支のとれる仕事であれば、今値上げということが、非常に各般に影響をもってくる危険なときですから、避くべきじゃないか。借入金で措置をしておいて、不日黒字でそれを償却をしていくということを考えるのは、この際の政治としては一番正しい道じゃないかということを聞いたわけです。その借入金ではできないということになったのかどうか。そういういきさつで案が組まれたことは知っております。知っておりますが、そういう質疑をした結果としてさらに要求されたのか、されぬのか。私のここで言ったことは、あの場限り抹殺をして既定方針通りで何もしなかったというならそれでよろしいのですよ。あとでまた質疑を展開しますから、よろしゅうございますが、どういう措置をとったのか。先月の二十三日のあとの、取り運びですよ、何もしなかったというならそれでよろしいのですよ。
  48. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) 大臣また事務当局が、それぞれこまかく、その森先化の御主張ごもっともだと考えて、こまかい折衝をされておるので、私政務次賞の段階においては、最後まで運輸当局としては、もし運質値上げをやらないというようなことでこの金額を起債に求めるというようなことになりますというと、将来計画を遂行するためには、一兆億に近い建設資金を借り入れなければならない。そうなると、一カ年に七百億程度の金利を払わなければなら・ないようなことになるので、これだけの運賃値上げは最小限度やむを得ないことだからというようなことを主張いたしまして、最後までその点について、残念ながら私自身としては下がらざるを得なかったわけでございますが、それはそれといたしまして、   〔理事櫻井志郎君退席、委員長着席〕 運営の面で局長から御答弁申し上げておりまするようなふうに、農産物資に対しまして軽減ができるようにというようなことで努力をいたすことに方針がえをいたしたわけでございます。
  49. 亀田得治

    ○亀田得治君 私はあとから来て、よく河野さんの質問の中がわからなかったのですが、運輸省は帰ってしまっておるのですか……。さっきのあの質疑を聞いておりますと、一応値上げ法案は閣議決定通り通して、ただし農産物関係肥料等の問題等について何かこの考慮する、研究するというふうなこともおっしゃったわけなんですがね、しかし、そこですよ問題は。ほんとうに考慮するのかどうか。ただ、そういうあいまいな言葉でともかくお茶を満して、いつの間にかずっと引きずって行ってしまう、そこら辺のところがはっきりしないから、河野さんのおっしゃるような意思統一ができておらない、こういうことなんです。それは私もはたで聞いていて、確かにこれは意思統一ができておるかのごとく、できておらぬかのごとく、きわめてそれはあいまいですよ。だからほんとうに考慮するならば、これほどの問題なんですから、ちゃんと四月一日以前にこういうふうに考慮するということが明確にならなければ、考慮しないならばしない、はっきりおっしゃってもらったらいい、きわめて歓迎しない御答弁だけれども。するかのごとく、せぬかのごとく、ああいうのは意思統一がされておらぬと言われても仕方がないですよ、それは。だからもう一度どうもあいまいですから、関係者三者とも出て来てもらって、はっきりしてほしいと思うのですね、私たちの方は。
  50. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記をとめて。   〔速記中止
  51. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記を始めて。
  52. 亀田得治

    ○亀田得治君 そういう程度ではやはりちょっと了承できないわけでして、そんなに時間がこれは取るものでもありませんので、適当なときにやはりもう一度三者ともそろって出てもらって、どうなのかという点を明確にするように、一つこれは委員長に要望しておきます。
  53. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止
  54. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 速記を始めて。  他に御発言もなければ本件につきましては、本日はこの程度にいたします。  ここでしばらく休憩し、午後一時から再開いたします。    午前十一時五十四分休憩    ————・————    午後一時二十五分開会
  55. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) 委員会を開会いたします。  果樹農業振興特別措置法案(閣法第九九号)予備審査を議題といたします。  本案は、去る三月二日提案理由の説明を、三月十四日補足説明をそれぞれ聴取いたしました。  本日は本案に対する質疑を行ないます。御質疑のおありの方は、順次御発言をお願いします。
  56. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今度の法案についての提案理由の説明を見ますというと、昭和二十五年度に比し、昭和三十四年度はおおむね三倍に近い伸びを示しておる、こういうように説明しておるわけでございますけれども、このような生産の伸びを示していることは、いかなる原因と情勢の推移に基づいてきたものかということを、まずもってお尋ねしたいと思うわけでございますが、それはなぜかと言いますというと、今度この法案に基づいて特に今後の長期計画のもとに新しい計画を作らなければならない、そういう前提に立てば、やはり過去の生産の伸びてきたという原因を明らかにしていただかなければならないだろうと思うのです。そういうことについての一つ御見解をお伺いしたいと思います。
  57. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 最近におきまする果樹の栽培面積あるいは生産量が急速に伸びてきましたことは、先ほど御指摘の通りでございます。最近におきまするやはり果樹の伸びてきた理由、あるいはさらに今後展望をいたしました場合における果樹の進展を見るやはり根本は、需要の増加ということが大きな原因になっておるかと思うのであります。御承知のように最近におきまする一般的な食生活が、だんだん都市化するというようなことで、一般的に消費需要におきまする果樹に対する需要が、総体的に大きくなっておるわけでありまして、国民所得倍増計画等におきまする需要の測定に使いました果樹の需要力といいますか、つまり所得がふえるに応じまして、どれだけ果樹がふえるであろうかと、こういう比率を所得弾性値と言っておりますが、この所得弾性値を最近の資料によって見ますると、一・二であるという数値が出ておるわけでございます。言いかえれば一%所得がふえれば一・二%の果樹の需要がふえる。こういうように数値を表わしたものでございます。農作物というものは、大体において非常に需要の高いものだと一般的に言われておるものでございます。しかして最近における果樹の需要は、ちょうど畜産物における需要と同じような意味をもちまして、一般的な消費需要増大ということが大きな原因になっておる。かように考えております。
  58. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 需要が伸びてきたからという単にその理由のようでございますけれども、実際その過去のまあ私どもブドウ地帯でございますけれども、経験を見て参りますというと、まあ終戦後から昭和二十五年くらいまでは食糧事情が非常に悪かった。特に果樹地帯の人たちは、そういう関係で、米食依存の当時でございますから、全く困っておったというのが実情なんであります。従って、そういう中で、国民生活も漸次好転してきたという中で、何とか果樹地帯の人たちはくだものにたよって、これを換金作物として鋭意努力して作ってきた。そういうことを考えましたときに、やはり単に需要の伸びだということでなくて、そういう、農民の、果樹農業者の芳しい立場というものが、そこに私は織り込まれてこなければならぬだろうと思う。そういうことを十分しんしゃくしなければならぬ。こういうように考えておりますけれども、こういう点については、どういうようにお考えになっておりましょうか。
  59. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話しの通り、戦争中、果樹あるいは桑園といったような永年作物につきまして、食糧増産のために相当転換したところもあるわけでございます。そういうような地帯におきましては、その後、転換の回復を見たところもございますけれども、かような地帯におきましては、果樹のいわゆる特産地なり立地条件から見まして、きわめて適応した地域である場合が多々あったと思われるのであります。で、お話しのような、果樹自身につきましては、一般的に非常に商品性の高い作物でございまして、果樹全体で見ますると、八割以上の、八五、六%という商品化率を一持った作物でございます。そういうことで、立地条件からいっても果樹がよろしいし、のみならず、商品化率から見ましても、比較的に現金収入といいますか、これに依存する部分の多いような部面も多々あるわけでございまして、そういうことも一つの大きな原因になっておることも明らかだと思います。
  60. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そこでお尋ねしますけれども、おな提案理由の説明の中には、果実の需要が大幅に増大したから、これに見合って生産の拡大が見込まれて、その結果として、今後の農業発展に大きな役割を果たすことが期待されると、こういうような工合に説明してあります。これは、簡単に言えば、先ほど説明のように、需要が拡大したから、成長産業として、成長農業として振興笹をはかるかと、こういうことになろうかと思うわけでございますが、私も、その点については、確かに理解いたします。しかし、何か、それだけの理由ではちょっと物足りないではないかと、こういう気がするわけでございますが、かりに将来需要が、いろいろの理由によって、たとえば国民所得が思うように、まあ所得倍増計画を立ったんだが伸びない、あるいはそのために消費があまり拡大しない、こういうような場合も想定せられるし、さらにまた、成長産業、だといって、成長農業だといって、この方の生産が急速に上がっていくというようなことになりますというと、需給のバランスが頭打ちになる、こういう場合も考えられるわけなんです。そういうときに、単に需要の動向だけでこういう振興策を打ち出すということは、一面においては危険性もあると、こういうように考えられるわけでございますけれども、こういう点についてのお考えは、どういうようなことでございましょうか。
  61. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話しのような点が、まさに果樹につきましては、永年作物である性質上、懸念されるわけでございます。そういうこともございまして、従来、最近の傾向から見ますると、果樹の栽培面積が相当ふえて参っておる。年間一万町歩以上もふえたような年もあるわけでございまして、具体的に言いますと、三十三年から三十四年には、二十二万一千町歩の栽培面積から二十三万六千九百というように、約一万五千町歩もふえております。また、三十二年から三十三年には約七千七百町歩もふえております。そういったようなことで、最近の果樹の栽培面積がどんどん伸びておるわけでございますが、今後の健全な、あり得べき姿というものを考えてみますと、やはり今後の行き方といたしましては、先ほども申し上げましたように、非常に商品性の高い作物であり、市場条件によって支配されるところの非常に大きいものでございますから、従って、最も市場の条件に適合するような販売の形態も必要でございましょう。つまり計画出荷、あるいは計画販売ということも必要でありましょう。さらにその前提といたしまして、共同選果をするというような必要もあると思うのでありますが、そういうようなことを考えてみますると、従来の散在樹の形におきまして栽培面積が伸びるような、そういう経営形態に置いておいていいだろうかという点が懸念されるわけでございます。そこで、本法案におきましては、一面におきましてその生産の基盤である経営体におきまして、近代化の基盤におきまして市場の条件に適合するような生産単位というものを作っていった方が合理的ではなかろうかという意味におきまして、この法案におきまする果樹園の経営計画を立てます場合におきましては、樹園地の集団化ということを一つの目標といたしまして、そこで共同防除も行なわれるというようなことになりますれば、それによって生産費も下がって参る。さらに品質の統一であるとか、あるいは共同選果であるとかいうようなことになれば、一そう市場価値が高まって参ると、こういうことで、今後の健全なあり得べき姿としては考えて参らなければならないのではないかと、こういう意味で、この法案の一つの理念を打ち出しておるわけでございます。しかし、同時に永年作物でございますから、逆に、市場の条件にマッチして生産するといっても、数年間を要することも事実でございます。そこである程度の長期の見通しを立って、これを指針として果樹農業者が経営面積を広げるなり、あるいはどういう樹種を選択するなりと、こういうことが一つ指導の指針として必要であろうと考えるのであります。そういう意味におきまして、本法案におきましては、新しく果樹の長期の需要、年産の見通しに即しまして、植栽の面積なり、あるいは生産の見通しなりを立てまして、これを公表して、果樹農業者のよるべき一般的な指針にして参りたい、かようにいたしたわけであります。お説のような問題についての懸念は、これによって、もう完全になくなるというわけではございませんけれども、今申しましたような措置によりまして、そういうことを勘案しながら今後進めて参りたい、こういう考えでございます。
  62. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 ただいまの説明では、将来の需要の動向について対応していくためには、ある程度の危険性は認められると、しかし、そういう中で果樹業者が困らないようにするためには、今度のういう法案を出して集団化するとか、あるいは生産を共同化するとか、販売加工の点についても指導していくとか、こういう振興策を出して、将来における経済動向の変動の中で最小限度被害のないように食いとめていくのだというお話のようでございますが、それは私は果樹農業者がやる役割だけを一応規定していると思うのですよ、この法案は。私の言っているのは、もっと進めて、一体果樹というものが将来国民経済生活の中に、特に食生活であるとか、あるいは健康を保つ上からも、保健上からも、こういうような中に果樹産業のになうべき位置づけというものが必要じゃないか、こういうことを、どこかでかうたわないと少しく物足りないではないかと、こういうように考えているわけなんです。そういう点についてどういう考えを持っておりますか、お尋ねしたいと思います。
  63. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 果樹産業の位置づけをどうするかというお話しでございますが、ちょっと御趣旨の点理解に苦しむのでございますが、要するに今後農業を進めて参ります場合に、従来は農業といえばとかく食糧増産ということに重点が置かれておったのでございますけれども、今後の農業考えていきます場合におきましては、やはり需要の伸びるものについてはこれを伸ばしていく、生産を伸ばしていくというような考え方から、いわゆる選択的な生産の拡大、こういうことを考えておるわけでございます。その選択的拡大の一環といたしまして、果樹につきましては、今後成長農産物として考えられる部類でございますので、これを農家の立地条件に即応いたしまして、選択的な生産の拡大をさせて参りたい。しかし、今のお話しの他面、需要面におきましては、今後日本の生活が一そう都市化するといいますか、生活、消費の構造自身がだんだん高度化して参ります。ということは、言いかえればくだものについて見ますると、新鮮なビタミンなりあるいはミネラルなりを一そう必要とするということに相なるわけでございますので、日本の現在の一人当たり消費量は約十六キログラムでございますが、これを十年後におきましては、国民所得倍増計画によりますと、四十八キログラムまでに引き上げると、こういう一応の目標を立てておるわけでございます。それによってほぼまあ欧州並みの果実の消費量になるわけでございます。そういうことを考え合わせて、今後選択的拡大の一環として果樹農業を伸ばしていきたいと、こういう考えでございます。
  64. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 先ほど私の言ったこと、不徹底だったかもしれませんけれども、とにかく最近食生活の中に、あるいはまた保健上からいっても、果樹というものは絶対必要なものになってきたわけです。こういうところに需要の伸びがあろうかと思うわけなんです。そうしますというと、これはやはり国の政策としては、そういうもう絶対的に必要なものだという考え方に立てば、当然果樹生産業者に将来多少の経済的な変動があっても、これに対してある程度の生産価格の保証、こういうようなものがされなければならぬ。そういうことのためには、この果実というものをやはり国民経済生活の中の部面において、これを何か、私さっきになうべき役割とかって申し上げましたが、そういうような表現が適切であるかどうかしらぬけれども、そういうようなものについて考えましたときには、そういう価格に対する保証要件というようなものが必要ではないか。ただ増産しなさい、援助するから増産しなさいというだけでは、これでは何か振興策としては物足りないような気がするわけなんですけれども、そういう点についてもう一度お尋ねしたいと思います。
  65. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話しの点は、果樹農業を今後育成する場合における生産物価格保証といったようなものが必要ではないだろうかと、こういう御質問であろうかと思うのであります。今後果樹農業に限らず、一般的な成長農産物に対しまして農家が安んじて生産し栽培するような措置が必要であるという、一般論としてはお話しの通りであろうかと思うのであります。ただ、これを果樹について見まする場合に、何と申しましても現段階におきましては九割が生食用のくだものでございまして、蔬菜や果実につきましては、価格の安定を期するということがきわめて困難な部類の一つであることは御承知通りでございます。そこで、やはり商品々々に応じていろいろの措置考えていくということはもちろん必要であろうと思うのでございまして、今回の措置におきましてもそういう意味からやはりできるだけ出荷調整、あるいは計画出荷といったようなことによりまして、できるだけ価格の安定をはかっていくというようなことが一つ措置として必要ではないだろうかという見地に立ちまして、実は法律ではきわめて抽象的に第六条で「(果実等の生産等の状況に関する情報の提供)」という規定を設けたのでございます。これは今の段階におきましては、何といいましても、民間の企業の形で果樹というものはどんどん伸びて参りまして、行政分野といたしましては、むしろそれに追随してきておるというのが現状であるわけでございます。そういうことから、まずもって的確な生産の見通し、的確なる集荷、販売、出荷の状況これらを定例的に調査して、それを情報として出荷団体に流す。あるいは地方の当局に流す。そうしてこの情報に基づいて定例的な協議会を開催いたしまして、そうして出荷の調整なり計画出荷なりというものを進めて参りたい、こういう措置を今回とったのでございます。三十六年度の予算におきまして、これに要する予算を計上いたしたようなわけでございます。従いまして今回の全般的な果樹振興対策につきましては、なお生産から流通消費にわたって行政的なもの、あるいは予算的な方法によりまして、さらに施策を拡充する必要があろうかと存ずるのでございますが、今回は何をおきましても、まず果樹農業者が最も希望いたしておりまする資金融通の措置、あるいはそれに伴いまする今後の見通し、栽培をやっていきます場合の指針、あるいは出荷両におきまする格段の援助措置、これを最小限度規定いたした果樹振興の特別措置ということが、 この法案の性格でございます。従って、今お話しになりましたようなことにつきましては、今後、果樹の実態に即応してなお研究を続けて参りたい、かように考えております。
  66. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) ただいま局長から答弁いたしましたようなふうに、さしあたりこの法案では助成措置を主として考えておるわけであります。しかし、第一条にいっておる、農林大臣は「果実の需要及び生産の長期の見通しに即して、主要な果樹の種類ごとに、植栽及びその果実の化産についての長期見通しをたて、これを公表しなければならない。」公表するということは、当然地方自治団体あるいは関係農業団体との間にいろいろ連絡をいたしまして、調整をやることになろうと思います。ことに基本法でも、御承知のようにうたってありまするようなふうに、農林大臣はその年の状況を報告すると同時に、農産物に対する前年度の需給調整について審議会に諮ってその方針をきめるということになっておるのでございまして、当然政府がそういう見通しを立て、しかも、果樹のようなものは長期にわたってやらなければならないような植栽の仕事でございますので、さっきおっしゃるようなふうに、もしその見通しをあやまつようなことがあれば、当然これは行政者の責任でございますので、結果といたしましてはおっしゃるようなふうに国の予算なり、あるいはその他の行政部面で、そういう産出の超過分については補なわなければならないようになるのではないか、まあ当然そうなるべきだと考えておるわけでございます。
  67. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この点はまた後にお伺いすることにいたしまして、次に、条文の点について少しお伺いいたしたいと思いますが、今、次官からも御説明があったように長期の見通しを立てるということでございますが、少なくともこの法案を提出する以上は、あらかじめまだその公表をしなくと本、主要な果樹の種類ごとにある程度農林省当局の振興局で見通しがあったのではないか、こういうふうに思うわけでございます。たとえば植栽計画だとか、集団化の構想だとか、あるいは共同化の方策だとかいうものは、ある程度用意してないと、この法文を作った意味もなくなるわけです。そういう点についてはどういうものでしょうか。
  68. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話しの通り、今後果樹の植栽及び生産の長期の見通しを作って公表するということになるわけでございますから、これに関する計画を立てることは当然でございます。ただ、前国会に提案した際におきましても、説明があったと思うのでございますが、果樹につきましての実は統計資料というものにつきましては、いまだ必ずしも十分なものがそろっていないのでございます。従って、今後いわば試行錯誤的にだんだんに努めてよくするという努力を積み重ねて参りたいと考えておるわけでございまして、従って、今後この法案が通りました際におきましては、審議会が、設けられることになっておりますので、われわれといたしましてはさっそくその審議会に諮りまして、果樹の長期の見通しについての計画を作成していきたい、かように考えておるわけでございます。それでは全然資料はないのか、こういうことに相なろうかと存ずるのでございますが、一応国民所得倍増計画におきまして、四十五年度までの果樹全体の生産量あるいは需要量なりの見通しを立てておるわけでございます。従って、われわれといたしましては、これも一つの有力な資料といたしまして、さらにその内訳としての果樹の種類別の植栽面積なり、あるいは生産の見通しなりを作って参る必要があろうかと思うのであります。現状におきましては、樹種別の計画の段階までに実は作業が進んでおりません。これに関連するいろいろの資料もございませんので、今申し上げましたように所得倍増計画で構想されております四十五年度における見通しを重要な参考資料といたしまして、さらにこれを樹種別に分けたものを早急にこの審議会でお諮り願って、最終的なものを作って参りたい、かように考えております。
  69. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 長期の見通しというのは、大体もちろんこれは最終的に審議会の結論になるわけでございますが、長期とは一体どのくらいの年限のことをさしておるのでございますか。考えているところでいいと思います、振興局で。
  70. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 果樹によりますれば、非常に長いものは、いわゆる経済樹令に達して、さらにまた盛果期に入ります果樹の樹令からいいますれば、相当長期なものになるわけでございまして、たとえばミカンなどになれば十四年でありますとか、あるいはさらに感果期をとれば、二十五年であるとか、あるいは三十年ということになりますけれども、われわれといたしましては、今考えておりますのは、植栽については大体五年ぐらいの先を考え、生産の見通しにつきましては、五年及び十年ぐらいの二段階に分けた見通しを作ったらどう、だろうか、かように考えております。
  71. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 実はけさ日本果樹農業協同組合連合会から陳情書が来ておったのです。これを見ますというと、農林省振興局の果樹長期生産計画資料によりますと、昭和四十二年度における主要果樹の生産量は、昭和三十二年度に比してみて夏ミカン、リンゴがそれぞれ約四倍、ブドウは約三倍に達する見込みである、こういうことが陳情書に書いてあるわけです。そうしますと、この陳情書を見ますというと、振興局では将来審議会を設立するわけでございますから、最終的な結論は、それに求めるわけでございますが、こういう計画で一応陳情書に書いてあるわけです。それでしたらやはり振興局の長期の見通しの計画でもいいですから、こういう法案を審議するときには、そういうものを参考資料として私は提出することがきわめて親切ではないか、こういうふうに考えているわけですが、もし資料がありましたならば御提出願いたいと思いますが。
  72. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 四十二年の生産計画資料というのがもしお手元にありますとすれば、これは実は各県から四十二年度までに県別にどのくらいの生産の見込みがつくかというものを報告を求めたのです。報告を求めてまとめたものが、生産計画資料として印刷したものがあるわけでございます。おそらく四十二年の数字でありますならば、その資料の一部を摘記されたものであろうと思われるのであります。これもやはり今後考えてみます場合には、県で生産の見通しを立てます際には、やはり樹令別の植栽面積というようなものから生産の見込みを立てておられるようでございまして、これはやはり果樹の長期の見通しを立てる場合におきましては、どうしても樹種別の栽培面校というようなものから生産の見通しを立てていかざるを得ないと思うのであります。従ってこの県から求めた資料は、今後の検討の一つの重要な資料になろうかと思いますけれども、これは単純に各県から今後四十二年までに、どのくらいの樹種別に生産が伸びるだろうか、こういう資料をまとめたものでございます。
  73. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、振興局ではまだそういうような骨子となるべき長期化産計画については、まだできていないということですか。
  74. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 先ほど申し上げましたように、長期所得倍増計画における四十五年の計画と、それから今申し上げましたような各県から出ました計画資料といったようなものが一つの参考になりまして、この法案が通りました場合におきましては、即刻長期の需給見通しの作業に取りかかりたい、かように考えております。
  75. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それでは参考までに各県から集めた集計と申しますか、そういうようなものがあったら、次の機会に資料としてお願いしたいと思います。
  76. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 きょう配付を受けたこの振興局の資料で少しお尋ねしたいのですが、輸入関係の表を見ますと、いろいろな果実及びその加工品で輸入があるのですが、大体において日本で産出の少ないもの、あるいはないものということが中心になっておるようでありますので、ここで私は特に取り立てて申す点はないのですが、ただ一つ果汁、ジュースですね、果汁の欄を見ますと、毎年輸入量がふえてきておる、それから一方輸出の方を見ましてもふえてきておる。昭和三十四年のジュース、ジュースといっていいかどうか知らんが、果汁の輸出が約七千二百万円ですか、それから輸入の方が一億五千三百万、大体そういう数字が出ておる、どういうものが輸出されておるのか。それからもちろんこれは割当制度をとっているのだとは思うけれども、どういう理由によって輸入がふえてきておるか、まずそれを御説明いただきたいと思います。
  77. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 詳細は園芸課長から説明いたすことにいたしまして、ごく一般論として申し上げますと、果汁につきましては、今後われわれといたしましては非常に伸ばすべき部門だと考えておりまして、最近におきます国内の果汁の需要の伸びも相当顕著なものがございます。また果汁の生産量につきましても、ここ数年の間に四倍もふえるというふうなほど量を伸ばしております。そういう関係で果汁に対する需要の増加から、一部輸入が見られておると思われるのでございますが、果汁全般の輸入につきましては、今後の自由化に対応いたしましても、われわれといたしましては国内におけるこの部面こそ伸ばすべき分野であると考えまして、とうてい自由化は困難ではないかという考え方で対処しておるつもりでございます。この内訳の詳細につきましては園芸課長より御説明いたします。
  78. 石井一雄

    説明員(石井一雄君) ただいまの御質問に対します輸入と輸出の関係につきまして内容を御説明申し上げます。まず輸出でございますが、主としてその内容はミカンの果汁でございまして、現実に国内におきましても消費されておりますいわゆるソフト・ドリンクスという名のものに該当するかと思いますが、そういう形のものが、主として中近東の各国に輸出されております。それから輸入でございますが、これはその主体が沖繩からのパイナップルの関係でございまして、これが果汁の原料という形で輸入されております。その他若干ございますが、沖繩が圧倒的に数字は多くなっております。以上であります。
  79. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 ジュースそのものについて私はあとでお尋ねしますが、輸入が毎年ふえてきておる、ふえておるのは、ただ、今主として沖繩のパイナップル、果汁、原料を含んだパイナップルなんだ、こういう御説明ですが、主としてと、こういうお言葉ですが、その割合はどうなっておりますか。それからもう一つは何といいましたかね、オレンジ・ジュース、アメリカなんかの。バヤリースですか、バヤリースのオレンジ・ジュースというものは、主として沖繩から。パイナップル、ジュース及びその原料だと言われるけれども、バヤリース・オレンジというものは相当入っているのではないか。それからまた原料は一体輸入しておるのか、何か日本で加工でもやっておるのか、その関係をもう少し詳細に説明して下さい。
  80. 石井一雄

    説明員(石井一雄君) ただいまの点について御説明申し上げます。輸入の通関統計によりますと、これは昭和三十三年でございますが、果汁におきましては、これは金額で申し上げますが、琉球列島からは六千三百六十五万二千円、それからアメリカでございますが、ここからは二千八百十一万六千円、ハワイから二千十万五千円、その他一千百八十二万一千円、かようなことになっております。そのほかにフルーツ・シラップという名前で四十二万五千円、これがそのほかにございます。  それからバヤリース・オレンジでございますが、これは製品が輸入されるのではございませんので、これは国内産の原料をもちましてバヤリース・オレンジが作られている、かように伺っております。
  81. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 米国からの二千何百万円というのは何ですか。それからハワイからのは何ですか、種類は。
  82. 石井一雄

    説明員(石井一雄君) 現在手元の資料でその内容の詳細なものはございませんので、後日調査いたしまして御報告申し上げたいと思います。
  83. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 果汁の輸出、輸入の種類別、数量でも金額でもようございます、百万単位でけっこうです、種類を調べて御提出願いたい。  それからバヤリースはすべて国内原料を使用しておる。技術は外国のバヤリース特有の技術でしょうが、とにかく原料は一切国内原料を使用しておる、こういうことでありますか。
  84. 石井一雄

    説明員(石井一雄君) 先ほど説明申し上げましたのは、完成品として輸入されているということではないと申し上げたのでございまして、その中に、あるいは輸入された原料の一部が入るという点はあろうかと思います。その関係は確認いたしておりません。私先ほど申し上げましたのは、すでに市販される形、そういう形での完成品として輸入されているのではございません、かように申し上げたのでございます。それから原料の百パーセント、完全百パーセントかどうかは、これは確認いたしておりませんが、大部分のものは国内産オレンジでございますから、国内産のミカンの果汁を使っておるということは確かであろうと存じます。
  85. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 あわせまして、その原料は何がどの程度国内産であるか、どの程度輸入であるかということもあわせまして次回に御報告願います。  そこで果実の需要増進という点からいいますと、将来果汁の需要の増進をはかることが、やはり私は非常に大切なことじゃないかというふうに考えるのですが、私どもが日常接する果汁いわゆる何とかジュースというものは、一体どの程度ほんとうの果汁を含んでおるのか。農林省において、あるいは通産省においてか、どちらか私は知りませんが、果汁という名称を使用するには、ほんとうの果汁を何十%以上含まねばならないとか、そういう規格がございますか。
  86. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 果汁につきまする規格は、御承知のように、農林物資規格法がございまして、いわゆるJASマークをつけることになったものにつきましては一定の規格を設けております。ジュースにつきましても、一〇%以上、あるいは一五%以上、何%以上というように、それぞれ一定の規格を設けてこれを表示するということになっております。ところが、はなはだ遺憾なことには、現在JASマーク自身をつけることは、これは任意の状態に置かれておるというのが実情でございまして、JASマークよりもむしろブランドの方が幅をきかしておるという状況でございます。従ってJASマークをつけたものにつきましては何%という規格が明確になっておるわけでございますが、現状におきましてはこれの利用の状況を見てみますると、原果汁についてはほとんどJASマークが九九%利用されておる。しかしこれを、原果汁をさらにジュースに混合する場合に使いまする、いわゆるジュースの規格につきましては、おそらく利用率は一割以下ではないかと思われるわけでございます。そういうわけで、現在の一般に出ておる果汁につきましては、業界等の観念も、ジュースを果汁と翻訳するよりも、一種のソフト・ドリンクというような考え方で観念しておる向きもありまして、これがどの程度入っておるかということについては、実は明確なものを持ち合わせておらないというのが実情でございます。
  87. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 果樹振興だけ、あるいは広い意味で農業振興という面だけでものを考えることもどうかと私ももちろん思います。がしかし他面、国民保健の立場から見ても、むしろ有害でさえないかと思われるような着色飲料が果汁の名を借りて堂々と市販されておる。こういう、一体、国家というものがよそにあるのだろうか。政府は一体こういう点についてどういう考えを持っておるのであろうか。非常に私は不思議に思うのです。現状については今、斎藤局長から率直にお話があって、私も疑いは持っておったけれども、そこまでひどい、一〇%前後、あるいはそれに足りない程度の果汁しか含んでいないのがずいぶん多いのだという話を聞いて、いささかあぜんたるものがあるのですが、農業振興という立場から見ても、ほんとうに国民保健という立場から見ても、正当な果汁にのみ、何十%か私は知りませんが、諸外国の例もございましょう。少なくとも半分以上とか、七〇%以上とか、八〇%以上とか、何かそうした規格を設けて、やはりそうした規格に合わないものは、ジュースの名称を使用することができないというくらい、国民保健の立場からいって、やるのは当然ではなかろうかと思うのですが、いかがでしょうか。
  88. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話の点につきましては同感する部分が多々あるわけでございます。先ほど一〇%と申しましたのは、JASマークを利用している果汁がおそらく一割以下であろうということでございます。売られている、市販されているジュースに何十%果汁が入っているかということにつきましては、明確な資料はないわけでございます。そこで、問題は、農林規格というものがありまして、それにはジュースはどういう今日率のものはどういう表示をする、こういうことになっておるわけであります。従って問題は、このJASマーク自身がいかに一般に励行されるかどうかということが私は一つの基本ではなかろうかと思うのであります。さらにまた、このような経緯を振り返って考えて見ますると、やはり基本は消費者がこれについての関心を高めて、およそJASマークでたければ買わないとか、あるいはJASマークによって初めて信頼度の高い果汁を購入することができるのだというような、つまり業者側、大衆消費者側における関心と相待って、JASマークの普及がもっと進んで参るということに、どうもこの問題は基本があるのではないだろうかというように考えるわけでございます。しかしそうは言っても、それでは今後の一般的な消費者の啓発、宣伝なり、あるいは業界に対するJASマークの励行方をどうするかということに尽きるというこ  とはないのでございまして、これにつきましては、さらにまた表示の方法について、実際のありのままの姿の果汁  の含有率を表示させるとかいうようなことも、将来の研究課題として検討しなければならない。それによって消費者が、このジュースは一体果汁がどのくらい入っておるのだというようなことを見ながら買っていくというようなことも、一つ方法だろうと思うのであります。ただ現実画といたしましては、先ほど申し上げましたように、どうも日本のジュースというものは、果汁と考えるよりも、むしろソフト・ドリンクだというような消費者の一般的な観念があり、さらにまた果汁業界自身がきわめて零細な中小企業であるというようなところに改善の困難さもあろうかと思うのでございますが、この点は、今御指摘になった点について、多々われわれも同感する点がございますので、今後研究を進めて参りたい、  かように思っております。
  89. 櫻井志郎

    櫻井志郎君 先ほど振興局長説明  で、JASマークを使用しておるものが一〇%という説明であったのを、私  は果汁の含有率というふうに聞き出違えたことは、聞き違いによる発言は私はこの際訂正をいたしておきます。ただ、局長のお話を聞いておると、国民大衆が、果汁というものは、いわゆる果汁であるかないかということは問題にしないのだ、ただ広い意味のソフト・ドリンク、こういうふうに解釈しておるというように説明があったのですが、私はその考え方は少し甘過ぎやしないか。今後の農業開発あるいは国民健康の維持という点から見ても、今のままで、国民大衆はそう理解しておるとか、あるいはそれを改めることが大へんむずかしいことであるとかという言い方で、私はこの問題に軽く、やわらかくさわっていくというお考えであるとすれば、その考え方は、私は反省してもらう必要があるのではなかろうかと思うのです。その理由は、先ほど来、二度三度繰り返して申し上げたから、私はその理由をここで繰り返しませんけれども、どの面から見ても、ほんとうに国民の栄養源として、高度の栄養源として、保健食糧として、果汁というものに対する政府指導方針、あるいは監督というものが、 もっとはっきりした信念のもとに出てもらうのが当然ではなかろうか、そのことがまた翻って農業の発展にもなる、私はそういう意味で、斎藤局長なり、あるいは政務次官から、もう一度所信についてお答えを聞きたい。
  90. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) 櫻井さんの御質問の要旨、ごもっともでございます。しろうとの考え方は、いわゆる濃縮ジュースというのがございまして、濃縮とは、持ち運びをするために、特に果汁を濃くして、それを持ち運んでおるので、普通の濃度にするためにほかの水を混ぜるのだ、従ってジュースと言えばみな果汁だと考えておるわけです。ところが、今販売されておりますほとんどが、おっしゃるようなふうに、需要者から申しますると、ごまかしものでございまして、これがかえって健康の上にもむしろ有害なようなジュースも販売されておるということも多々聞くわけでございます。将来の果樹振興の立場からということだけでなしに、おっしゃるように、国民健康の上からも、当然これは何らかの規制を設けるべきであろうということは、うなずけるわけでございますので、将来農林省といたしましては、関係各省とも連絡をいたしまして、そういう方向に進むべく、皆さんの御協力をいた、だきまして、努力をいたしたいと存じます。
  91. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 今櫻井先生が最後に御質問になりましたので、私のお尋ねしようと思ったことは了承したのでありますが、私もせっかくの御指名でございますので、重ねて要望をいたしておきたいと思うのであります。  アメリカにおきましては、果汁が九五%以上含まれておりまするものをジュースという名称を付してもよろしい、それ以下はジュースという名称を付してはいけないという規則があるやに聞いております。ところが、わが国におきましては、それはとり方は、世間でソフト・ドリンクスだとか、あるいはいろいろなとり方をしましようが、ジュースという名称によってイミテーションが盛んに販売されておることは事実でございます。そういうこと自体が、櫻井委員から御指摘になりましたように、高い栄養源になり得るかどうかという問題にも疑問がございまするし、また衛生の観点から考えましても、大へんな疑問が起こってくるわけです。野放しでございます。そういうことを、われわれは、たとえば一〇%でもよろしい、一五%でもよろしい、農林規格が現にあるわけでありますから、そういうソフト・ドリンクスという意味で農林規格を作るということもけっこうでございましょう。でありまするから、そういうものに天然果汁が混入されて作られているというものをジュースと称するのであるという建前に立って、たとえば例の王冠にそういう名称を付して、何々には使ってもよろしい、こういう内容のものには使ってはいけないのだということをつけ加えて、販売の掛算をするということが、一面果樹の振興に役立つのではないか。すなわち、果樹というものの規格を制定するということでございます。すみやかにそういうことを、——ただいま政務次官のお話で大体了承いたしたのでございますが、私は重ねて要望をしておきたいと思います。
  92. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) 果汁の中にもいろいろございますが、われわれも実際今までよくわからなかったのでございますが、ポートワインというのは、普通はブドウ酒だと考えて、みんなブドウ酒を飲んだつもりなんですが、よく調べてみまするというと、その中の一〇%がブドウ酒であって、あとの九〇%まではほかの飲料物であるということがそこにございます。かようなことは、専門家は別といたしまして、一般需要家は、全く端的に言えばだまされておるということでございまして、まことに迷惑なことだと思うのでございます。将来ブドウ酒等についても、よほどそういう点を考えて、市販される場合、大衆にPRするということも大事でしょうが、やはり農林省たり、あるいは厚生、通産あたりとよく相談いたしまして、将来は、果樹振興だけでなしに、さっき申しましたように、国民の健康上から申しましても重大な問題でございますので、重ねて申し上げておきますが、私どもといたしましては、その方向へ進めるべく、この法案のいかんにかかわりませず、努力いたしたいと存じます。
  93. 仲原善一

    ○仲原善一君 法案について若干お尋ね申し上げたいと思いますが、その第一は、第三条の一項の一号ですか、「政令で定める果樹に限る。」というので、適用の、種類が政令にゆだねられておるわけですけれども、あるいは補足説明のときに説明が済んでいるかもしれませんけれども、あらためて一つどういう果樹が対象になるのかお示しを願いたいと思います。
  94. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 法三条の第一項第一号の政令で定める果樹につきましては、現在柑橘、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃、桜桃、ビワ、カキ、クリの九種類を予定いたしております。
  95. 仲原善一

    ○仲原善一君 そこで、集団的な栽培をやるということになるわけでありますけれども、そこら辺の概念を、どういうふうなものを集団的な栽培というのか。この法の適用を受ける果樹栽培業者の側から見て、この際明らかにしておいた方が便利だと思いますので、この点を明確にしていただきたいと思います。
  96. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) これも補足説明で申し上げたのでありますが、第四条の一号で、樹園地の面積、その集団する度合い及び立地条件を農林省令で基準を定めることになっております。農林省令におきましては、現在考えておりますのは、果樹園の経営計画にかかる樹園地の面積といたしましては、原則として十町歩という単位を考えております。この十町歩という観念は、大体今後果樹園の経営をいたします場合に、スピード・スプレーヤーとかいうような防除施設の導入を考えて参りますとか、あるいはまた出荷する場合における一定の荷口単位といったようなものを考えてみました場合に、やはり集団する一定の、面積といたしましては、十町歩くらいがよかろうと、こういうことで、十町歩というふうに一応考えております。しかし、この点につきましては、ミカンのような急傾斜地帯に栽培するとか、あるいは立地条件によりましても、地形上十町歩が困難、だというような場合もございますので、特別の場合にはこの十町歩を下げてやりたいと、かように現在のところ考えております。この面積は、計画対象面積でございまして、現在が十町歩あるということをもちろん必要といたしておりません。三町歩でも、五町歩でもよろしいと、こういうわけでございます。それから集団の度合いでございますが、これは、今申し上げましたように、今後の経営といたしましては、やはりある程度の作業の合理化と、特に果樹につきましては防除費等が生産率の半分を占めるというような関係もございますので、集団化が必要であると考えておりますが、この度合いにつきましては、樹園地が、病虫害の防除その他の管理作業を共通の計画に基づいて統一的かつ効率的に実施できる程度に集団して所在しておればよろしいと、かように考えております。従いまして、必ずしも樹園地が十町歩なりに連続、接続をしておるという必要も、必ずしも必要としないというように考えております。
  97. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は、二人以上が共同して果樹栽培をやるということになっておりますけれども、その場合に、資金を借りる人は個人でもいいのか、あるいはその共同体でなければならないのか、まあその辺をもう少しはっきり、個人には貸せないのか、あるいは個人にも貸せるのか、その場合に転貸の形で何か公庫から農協を通じて個人に貸せるのか、あるいは公庫が面接、共同して栽培する果樹農家に貸せるのか、その辺はどういうふうにお考えになっておりますか。
  98. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) この二人以上共同してというのも、先ほど申し上げましたように、今後の形といたしましては、散在樹の形でなしに、集団しかつ共同して実行する方が能率的だということで、二人以上というふうにいたしております。その場合に資金を借り受けるわけでございますが、二人以上が任意組合を作っておれば、任意組合で貸付を受けるということになりましょうし、あるいは組合を作らない場合においては、連名で借り受けをすると、こういうことになろうかと考えております。それから貸し付けの経路でございますが、おそらくそういう場合におきましては、農協が経営計画を立てるということになるのが多いのではなかろうかと思います。農協が経営計画を立てて、そして事業はこの果樹農業者が実行するという場合を予想して、実は二号にそういう場合は考えておるわけでございますけれども、その場合には結局総合農協なり、経営計画を立てた主体の組合が公庫から金を借り受けて、そして各個人にさらに転貸すると、こういうことになろうかと、こういうふうに考えております。  それから金融機関といたしましては、公庫がおそらく信連を受託金融機関として融資することになりますので、その際におきましては、任意組合を作り、直接単位農協を通じて信連に借り入れ申請をすると、こういう場合もあろうかと考えております。
  99. 仲原善一

    ○仲原善一君 次は、第五条の問題ですが、ここでまあ公庫の金融の問題になりますが、ワクは大体用意してあるのかどうかですね。果樹振興のための資金の公庫のワクというのは、きちっと別ワクにして用意してあるのかどうか。  それからもう一つは、この近代化資金というので系統資金を集める制度も新しくできるやに聞いておりますけれども、これを果樹の方に向ける場合もあろうかと考えます。そういう場合の調和といいますか、やり方と申しますか、それをどういうふうにお考えになっているのか、お伺いいたしたいと思います。
  100. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 第五条で公庫が貸付をいたしまする植栽資金につきましては、農林漁業金融公庫に初年度十億ということでワクを果樹植栽用の資金として用意いたしております。  それから近代化資金との関係をどう考えるか、こういう御質問でございます。この点については、補足説明でも申し上げたかと存じますが、第四条の経営計画の認定につきましては、これは必ずしも公庫から金を借りるというものだけが、経営計画の認定申請をするという建前には、法律上はなっておらないわけでございます。その中には、当然公庫から金を借りたいという計画をつけて認定の申請をする場合が大部分であろうと思いますが、建前上は一応別にいたしておるわけでございます。従って、この計画が出てきた場合におきまして、自分としては近代化資金でけっこうであると、特に植栽資金以外の部分につきましては、施設資金につきましては、近代化資金でもよろしいと、こういうような場合がありますれば、知事はこの経営計画に基づいてあっせんをするというふうな場合も当然生じてくると思うのであります。しかし、それ以外の一般的な果樹農業者が植栽資金その他の各種資金を借りたいといったような場合におきましては、これは公庫から貸付の対象考えておりませんので、そのような場合には近代化資金からの資金の融通を受ける、かようなことになろうかと考えます。
  101. 仲原善一

    ○仲原善一君 第五条の二項ですが、この利率の問題が年七分以内というふうに書いてありますけれども、この附則の方ですが、一番最後に、「農林漁業金融公庫法の一部を次のように改正する。」という項目の中では、果樹の植栽に必要な資金というので年八分というので改正になるようになっておりますが、この点はどうなっておるか。
  102. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) これは全く法形式からくる体裁でございまして、附則の方におきましては、農林漁業金融公庫から果樹植栽に必要な資金を貸し付けるという実は規定が現在のところないわけです。それを今回の附則の改正によりまして、農林漁業金融公庫から一般的に果樹の植栽に必要な資金を貸し付けることができるということにいたしまして、この附則の規定を入れたわけでございます。その一般的な公庫の貸付資金の能力の中から、この現在提案いたしておりまする特別措置法によりまして、経営計画に従って融資をする場合においては、特殊の金利で貸付をすることができると、こういう特別措置を規定いたしたわけでございます。従って、形式的には植栽資金としては八分で貸し付ける場合もあり得るわけでございますけれども、十億の資金でおそらく公庫資金から第四条の経営計画によって貸付を受けた場合の方が、金利が安いわけでありますから、当然こちらに依存して申請を受ける、こういうことになろうかと思っております。
  103. 仲原善一

    ○仲原善一君 最後に罰則の問題ですけれども、こういう振興特別措置法に、この十四条にあるような罰則の例が従来ありますか。
  104. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) まあ、この特別措置で報告違反に対する、報告徴収の違反に対する罰則につきましては、実はどういう法文があるか詳細には調べておりませんが、酪農振興法にやはり同じようにこういう規定があるようでございます。
  105. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それでは条文についてお伺いしますけれども、第三条の「農林省令で定める手続により、果樹園経営計画を作成し、これを都道府県知事に提出して、」とありますが、まあ果樹園の所在地が市町村にあるわけなんです。そうするというと、都道府県知事に直接にこういう申請をしていくように条文ではなっておるのですけれども、市町村長の、所在地の市町村長のやる役割というのはどういうことをやるのか、この点をちょっとお伺いしておきたいと思います。
  106. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) この「農林省令で定める手続により」の内容といたしましては、設定を受けようとする者の所在地を管轄する市町村を経由して府県に出させる、かように考えております。
  107. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 次に、政令で定める果樹に限るとありますが、この農林統計を見ますというと、梅が入っておらぬようですけれども、梅を省いた理由はどういうところにあるのですか。
  108. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 梅を除きました理由でございますが、大体、ここで政令で予定いたしております果樹につきましては、今後の経営の実態から見まして、やはり先ほど来申し上げておるように、集団化する必要があるじゃないかというような意味で、集団化の可能なる果樹であるとか、あるいは相当の面積を占めるものであるとか、あるいは今後需要の非常に伸びるものであるとかいったようなことを総合勘案いたしまして予定いたしたのでございますが、梅につきましては、これはもちろん集団したところもありましょうが、一般的には農家の家庭樹といいますか、散在樹というような形で経営されているものが大部分でございまして、特にスピード・スプレイヤーを使って共同で防除態勢をしくとかいった部面につきましては、他の果樹と異なるものがあるという意味で梅を落としたわけであります。
  109. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この実収高からいきますと、この農林省統計によりますというと、まあクリは昭和三十年度の三万トンですか、これは三方六百トンですか、これから昭和三十四年度には二方七千トンに減っているわけなんです。梅も同様に五万二千トンから四万二千トンに減っているわけです。しかしクリはこの政令で定める果樹に指定せられておるわけでありますが、生産の面からいきますというと、多少減っても、やはり梅は入れるべきだというふうな考え方が出てくるし、さらにまた、この法文の第二条の二項から見ましても「必要に応じ地域ごとの特性を考慮して」というのですから、その地域に集団的に梅の栽培をやっておるというようなものは、こういう地域的な実情を考慮して入れるべきではないかと、こういうようにも考えられるわけですけれども、この点についてお願いしたいと思いますが……。
  110. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) まあ、いろいろこれについては見方もあろうかと思いますが、一応の考え方といたしまして、たとえば栽培面積が現状一万町歩以上あるとか、あるいは生産額が一定額以上あるとか、あるいは今後の需要の伸びが相当期待されるものであるとか、それから先ほど申し上げましたように、今後の形態といたしまして集団化、共同化といったような生産性向上の効果がきわめて顕著であるとかというようなことを判断いたしまして、梅はそういう意味から言いますと、必ずしも、他の樹種と比べまして性質を異にするものがあるのではないかということで実は梅を落としたわけでございます。
  111. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それでは次にお尋ねいたしますが、第三条の一項一の中ほどにある「栽培しようとする農業者」この栽培しようとする農業者がその次に第二項で「構成員となっている法人」とありますが、これは栽培しようとする農業者というものは、純然たる農民を言っているわけですね。こういうものについてのいろいろの振興策が講ぜられるわけでございますが、補足説明の方を見ますと、「農業生産法人をも果樹園経営計画の作成主体として」云々ということが書いてありますが、この農業生産法人と果樹農業者の構成する法人とはどういうように違うのでしょうか。
  112. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 第三条の一項一号は、これは農業者個人が、二以上が共同してやるという場合を規定いたしているわけでございます。それから二号は、先ほど申し上げたと思いますが、この法人はいわゆる総合農協とかあるいは特殊農協を予定いたしておりまして、果樹農業者が構成員となっているような協同組合が、農業者にかわって経営計画を立ててやろうといった場合には、組合が経営計画作成の主体になり得るという意味で二号を書いたわけでございます。  それから補足説明で申し上げておる点は、これは個人でなしにいわゆる農業生産法人がみずから果樹農業経営を営む場合においてはどうするかということでございます。その点につきましては、本法には実は書いていないのでございますが、今回提案いたしておりまする農地法の一部改正の中で、新しく農業生産法人が一定の要件のあるものについては、農業生産法人を規定いたしておるわけでございます。その農業生産法人も果樹農業振興特別措置法の経営計画の申請者になり得るという分を農地法の一部改正の方でこの特別措置法を改正して挿入しておるわけであります。その場合におきましては、その法人みずからが果樹農業を営む者、こういう場合を予定しておるわけでございます。
  113. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 そうしますと、農業生産法人とは株式会社、合資会社あるいは有限会社、こういうような会社で果樹園を経営していくなんというときには、この果樹振興法が将来適用されるということになるわけですね。そうしますと、こういうようなことだと、やっぱり法文に表わした方がいいのではないかと、こうも考えられるわけですが、その点についてどうですか。
  114. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お尋ね通り、法文に表わすわけです。農地法の一部改正によりまして、この第三条の三号がつけ加わるわけでございます。ただ、農地法の一部改正の規定によりますと、生産協同組合、それから有限会社、合資会社、合名会社で、株式会社は除いておるわけであります。その生産法人の中で、われわれといたしましては特にその中からつまり俗称一戸一法人と言っているようなものは除いて参りたいと、かように考えておるわけであります。
  115. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 この点、またあとでいろいろ御質問いたしますが、次に移ります。この法案は「二以上が共同してその樹園地における果樹栽培を計画」するというわけで、振興策が講じられておるわけでございますが、とにかく成長部門の農業といたしまして、最近はすでに栽培をしておる個人の農業者が、盛んに土地があれば増大しておるわけなんです。こういうような農民の創意といいますか、工夫といいますか、そういうようなものについては全然考慮が払われておらないで、この法律案では除外されておるわけなんです。従って、そういう個人が今後増反する場合についての何か国の援助をする方法はないのかどうか、そういう点についてお尋ねしたいと思います。
  116. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お尋ねは二点あるかと思います。一つは、つまり集団化しない各個人が樹園地を形成する場合に、そのような何らかの助成措置があるかと、こういう御質問であります。これに対しましては、制度といたし、ましては、農林漁業金融公庫から、樹園地の造成をいたします場合に、融資の道が開かれております。これは三分五厘のきわめて低金利の融資措置が講ぜられることになるわけでございます。それから植栽等の資金につきましては、これは先ほど申し上げましたように、近代化資金でも果樹を融資の対象にいたしておりますから、そういう道も開かれておるわけでございます。それから御質問のもう一つの点と申し上げるのは、一番初めにも申し上げたかと思いますが、最近そういう形でどんどん果樹がふえておるのでございますけれども、今後のやはり果樹の経営形態を考えてみた場合におきまして、最も商品性の強い果樹につきましては、やはり市場の条件に適合するような出荷が行なわれ、かつ経営の内容におきましても合理化された形態でいくということが、今後の果樹の経営の形態としてはあり得べき望ましい形態ではないかという意味で、実はそのようなものを規制するわけではございませんけれども、本法におきましては今後新植あるいは改値する場合にできるだけ集団化するような方向で指導して参りたい。その集団化した計画につきましては、こういう特別の融資措置を行ないますと、こういう考え方に立っておるわけでございます。
  117. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 何か今度出ます農業基本法を見ますというと、将来自立経営農家を育成していくのだと、こういうことをうたっておるわけです。そうしますと、この果樹振興方策はそれを是認するとしますならば、当然すでに植栽しておる、栽培しておるところの果樹農業者についても何か別の、こういう形でなくても、何かこの法案中にそういうものについての振興策を与えるべきである、こう考えられるが、全然この法案では除外しきっておるのですよ。そういうところに少しく私ども政府農業基本法を是認しておるわけではないのですが、自立経営農家を作るという前提に立てば、少しくそういう点について矛盾があるのじゃないかと、こう考えられるのですが、その点についてはどうお考えですか。
  118. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) ここで考えております集団化ということと、自立経営という考え方とは全く面が異なるのでございまして、現に農林省といたしましては、今後の果樹園の合理的な経営を行なうという意味におきまして、果樹園経営改善実験集落というものを設けております。予算上は三十五年度は五カ所、三十六年度は七カ所設けるということにいたしております。これは大体少なくとも十町歩以上の集団化された樹園地につきまして、共同防除を行ない得るようにスピード・スプレイヤーも取り入れるという形で、一つのモデルといいますかパイロットといいますか、そういった実験部落に対し助成いたしておるわけでございます。これに加入しておりまする農家の戸数を見ますると、二十戸から四十戸くらいまでは、この集団化の樹園地の中に入っておるわけでございます。集団化といいましても、これ自身が経営主体に必ずしもなるというわけではないのでございまして、その間共同には、いろいろの形態があろうかと思うのであります。従って自立経営農家ということと、果樹団集団化ということは背反するのではなくて、むしろ果樹の場合においてはこういう方法をとることによって、一そうそれが補完され補充される、こういうことになる場合が多いのではなかろうかと、むしろわれわれは、かように考えております。
  119. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 次にお伺いしたいのは、昨年度は果樹園造成については五億円で、ことしは十億円にワクをふやしたわけですね。そうですね。その際大体十億円については、さっきも柑橘、リンゴ、ナシ、ブドウとあるようでございますけれども、計画としてはこういう各種類別に十億円を分けていくわけですね。本年度は、その分けた場合にも、あらかじめの予定する金額はおわかりになっておりますか。考えているのですか。たとえばリンゴには二億とか三億、柑橘類にはやはり四億だとかいうような工合にするものですか。十億円のワクは。
  120. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 将来だんだんと長期の見通しが立ち、植栽計画につきましても種類別に作って参り、それが県別にもある程度できるというような状態になりますれば、いろいろな考慮も必要かと存じますけれども、さしあたり初年度でございますので、われわれといたしましては種類別に幾らこういうふうな資金ワクを設けるということでなしに、果樹全体として考えて参りたい、かように思っております。
  121. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 大体わかりましたが、その融資の最高のワクといいますか、たとえば集団化の計画を出して知事の認定を経て貸し得られるようになったものについての最高のワクは、これはまた計画にもよりますけれども、大体どのくらいを一口にして考えていますか。
  122. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) われわれは植栽資金の中におきましては、肥料費とか諸材料費とか防除費とかいったような経費のほかに、初年度の土壌改良費であるとか、あるいは園地の整備費であるとか、こういったものも含めまして新植の場合は五十八万四千円、改植の場合は四十八万五千円を一応の予定増価といたしておりますので、融資はこれの八割、こういうことになるわけでございますが、そういう考え方で計画を立っております。
  123. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 次にお伺いいたしますが、第六条を見ますと、第六条の法案の提案説明を見ましても、植栽ばかりでなくて、将来果樹産業を育成するためには、流通確保の面までも大へんに心配したということがうたわれているわけです。しかし、実際法案を見ますとしうと、たとえば果実製品については、全然その融資の問題をうたっていないわけなんですよ。果樹製品については、そういうような点についての融資はどういう方法で今後していくのか、お伺いしたい。
  124. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) これも先ほど申し上げたと思いますが、植栽資金に対する長期の融資というものにつきましては、従来何らかの制度的な措置がなかったわけでございます。そういう意味で今回この措置を設けたのでございますが、お話しの加工部面における融資だとか、あるいは集荷面における融資だといったような資金につきましては、たとえば一般の加工企業に対する融資としては、開発銀行とか中小企業金融公庫といったような金融機関から施設資金の融通をすることになっておりまして、農林省としてはそういう計画につきましては、あっせんをする、こういうことで従来とも必要の資金量を計画しまして、関係機関にあっせんを依頼して参ったのであります。系統金融機関あるいは公庫から出します施設資金等につきましても、同様な措置が講じられるわけでございます。
  125. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 先ほど果汁の話が出て、政務次官からはブドウ酒のお話も出たわけでございますが、果汁製品、ブドウ酒みたいのものは、これは果汁の中に含まれるものですか。
  126. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) ブドウ酒はいわゆる果実酒といっておりまして、これは果汁とは別な扱いになっております。農林物資規格法におきましては、果汁まで対象になっておりまして、ブドウ酒は大蔵省の所管で、果汁ではないわけです。
  127. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 それから次にお伺いしたい点でございますが、第七条と第十四条の関係は、先ほど仲原さんから御質問がありましたように、罰則規定でございますが、これは少しく矛盾しているではないかと思うわけなんです。従来の融資を受ける場合、植栽で融資を受ける場合においては、国が指導したり、県が指導したりして、その振興のために必要な援助を行なうように第七条はなっているわけなんです。ですから、第十四条で「虚偽の報告をした者」というように書いてありますが、報告についても、ほんとうに振興策を講ずるというならば、何かの指導をして、誤りのないように指導をすべきだと思うのです。それをしないで、いきなり「一万円以下の過料に処する。」ということになりますと、ちょっと第七条との矛盾があるのではないか、こういうように法文上思いましたが、この点はどうですか。
  128. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) この点は実際の運用面に当たりましては、第六条の調査ということの必要のために場合によりましたら八条の報告徴収をする必要が出てくる場合がありますが、第六条におきまする生産、集荷、貯蔵、販売等の状況調査につきましては、今御指摘のように、われわれといたしましては予算を計上して、調査についての委託費を出して、そして調査を進めていくというふうな運用を考えているわけでございます。しかしたとえば滞貨量がどのくらいあるかとか、需給上どうしても必要な場合がありまして、大体はそういう調査の依頼によってできると思いますけれども、やむを得ない必要から第八条というものを設けたわけでございます。従ってこの運用に当たりましては、まあ報告徴収する場合におきましても、大体は団体が主であろうと思いますし、また発動する場合におきましても、一般的な方法によっては調査がどうしてもできないというような例外的な場合におそらくなるのではなかろうか。かように考えております。
  129. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 まあこの法案によりますと、第六条は、ほかの方から加工業者に対しては、相当の系統関係の方から資金融通がある。その他としてはこの法案では情報を提供するだけだ。それくらいのことであって、そして報告をするときには罰則を適用するというようなことでは、ちょっとこれはきついと思うのですが、この点はあとでまた論議になりますけれども、少し考えていただきたいと思うのですね。やたらにこういう製造メーカーに報告に誤りがあったからというようなことで過料をくっつけるというようなこと、これはおそらくそんなことしたって二万円以下ということだから、しまいには五百円か千円になってしまうのですよ、実際適用するような場合には。一万円適用したら大へんなことになってくる。そうしますと、こういうようなことで少なくとも増産に支障があるということではいけないことなんで、こう思うわけですが、この点まあ要望として申し上げておきます。  それから第九条ですが、この審議会委員の選任ですけれども、従来とかく審議会委員のことが問題になっている矢先でございますけれども、私はやはりこういう審議会委員には、特に産地といわれるようなところから、やはり相当の学識経験者を選ぶべきだろうと思う、実際の実情をよく知っているから。そのように思いますが、こういう点についてお伺いしたいということと、それからもう一つは、いろいろ審議会委員が問題になっておりますが、これの委員の報酬等は大体どのくらい考えておられるかというような点をお伺いしておきたい。
  130. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 審議会委員の構成の問題でございますが、御指摘のようにこの委員の中には生産者代表、あるいは流通、加工段階の代表者、あるいは金融関係の代表者、その他学識経験者をもって構成するということにいたしまして、もともとこれは非常に専門的な果樹についての審議会でございますから、今お話になりましたような審議会のようにならないように十分留意して選定いたしたいと、かように考えております。それから委員手当でございますが、委員手当といたしまして会長が一日千五百円、委員が千二百円というふうに予算で計上いたしております。
  131. 安田敏雄

    ○安田敏雄君 今日はこのくらいに……。
  132. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 一、二点お伺いいたしますが、この法案の提案理由並びにその補足説明に、はっきりと最近の果樹農業というものが、非常にめざましい発展を遂げたという事実は、はっきりうたってあるわけですが、そういうような発展の基本的な動機になった要因というものは、一体どのように理解したらよろしいのですか。
  133. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 先ほども同様な御質問があったのでございますが、一般論といたしましては、やはり将来展望されます需要の見通しがきわめて明るく、かつまた最近におきます果実の消費につきましても、需要が非常に伸びて参ったというようなことが、一つの大きな前提になっておるかと思うのでありますが、なおこれを地域々々について考えますならば、先ほど申し上げましたように、従来とかく食糧増産というようなことで参った関係で、いわゆるもうかる企業、自前の農業というような形で果樹が伸びてきたわけでございますが、今申しましたような前提のもとに、選択的な拡大生産をはかっていく上の一つの成長農産物であるというようなことが、だんだんに浸透しまして、農家一般的な生産意欲が高まってきたというようなことも大きな理由であろうかと思います。
  134. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 なお消費の増大というものが、生産の拡大促進をしていることはもちろんであります。文字通りそのような風潮だと思うのです。さらに将来の方向を見たときに、それが発展的な方向にあるということが、その増産意欲というものを刺激しているということになると思うのですが、そこできょうちょうだいいたしました関係資料の三十ページから三十一ページに掲示されております「欧米における主要国の果実の年間一人当り消費量」というのを見てみますと、これをどういうふうに読んだらいいのか、先進国といわれておる国の最近の一人当たりの消費量というものの姿を見てみると、国である国が必ずしもそうであるという状況でもない。まあこういうことが一つはっきりわかるようです。それからここに掲示されております国についての傾向を見てみると、確かに若干増大をしておる姿というものは見られると思うのですが、その異常に多くなり過ぎておるわけでもない。しかも急速に伸びておるということではないのですね。そこで、果樹といったようなものに対します消費動向というものは、多分にその国の国民の嗜好とか、そういった性癖が大きな要素になるんじゃないかというような感じも実はするのですけれども、そういうふうに考えました場合に、いわゆる日本の国民の果樹に対する消費性向というものは一体どういうふうなものだというふうに御判断になっておりますか。
  135. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) その前に三十ページの資料でございますが、これでごらんになりますれば、一九五七年の各欄の一人当たりの消費量を見ますると、日本の一六・九キログラムというのが所得倍増の基準年次における一人当たりの消費量でございますが、それに比べて見ますると、いずれも飛躍的に大きいということは、これは明らかではなかろうかと思うのであります。四十五年にはこれは四十八キログラムまで伸びるだろう、こういう需要の見通しを立てておりますが、確かに御指摘のように、これだけによって先進国が商いという総体的な結論は、必ずしも出ないと思うのであります。しかしたとえば、アメリカ合衆国の欄を見ていただきますと、戦前六十三キログラムが最近は四十四キログラムになってきたというふうに逆に下がっておるような点はどうだ、こういう疑問もすぐ出て参るわけでございますが、これは果実の生果としての一人当たりの消費量でございまして、アメリカのようなところでは最近非常に果汁が伸びてきておる。日本の場合でありますと、加工原料に回る果実の量は一割にも満たない。ところが、アメリカでは五割くらい加工原料に回っておるというようなことでして、今後日本といたしましても、加工部面の需要の開拓、消費の増大ということは努力もしなければならないと同時に、相当伸びるものでもあろう、というようにも考えられるわけでございます。さらにまた、これらの地域々々の差につきましては、やはりその土地におきまする果樹の生産の特産性といいますか、非常にその地方におきまする特殊の果実については、非常な生産が多いとか少いとかというようなことが影響している部分もあろうかと思うのでありますが、そういう面から見ますると、日本の最近におきまする柑橘の輸出というようなものを考えてみますと、これまたいろいろ問題はありますけれども、着実な伸びを示しておるというようなこともございまして、やはり消費性向といいますか、消費のパターンがだんだん変わってき、高度化してきまする場合におきましては、どうしても新鮮なビタミンであるとか、あるいはミネラルといったものの摂取量はふえてくるのは当然であるわけでございます。そういう意味で、先ほど申し上げましたように一人当たりの所得の伸びに伴う需要の測定値というものは、非常に高い比率を現在までのところは示しておるわけでございます。そういうことから言いますると、少なくとも人口の増に伴なってふえてくることは、これはもう明らかなことだと思うのであります。さらにそれにつけ加えて、今言った所得の増に伴う需要の増というものを考えれば、私は今後の消費性向として果樹については悲観したものでは決してない。かように考えておるわけでございます。
  136. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 そこでこれらの、この三十ページないし三十一ページに掲げてありまする諸国の現在消費量というものと、わが国の一人当たりの現在消費量というものとの間には相当な懸隔がある。そこでまあ当分の間、相当伸びるであろうという程度のことは、これは推察ができるように思うのですが、しからば一体日本の消費水準というものがあまりにも低いということ自体は、何に一体原因するものであるか、そういう点どういうふうにお考えになりますか。
  137. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) これはまあ私の私見という程度にしか、権威のあるお答えはあるいはできないかと思いますけれども、基本問題調査会等におきまする各国の消費のタイプというものを見てみますると、やはり一定の一人当たりの所得のところまでは、どうしても澱粉質の食糧が主体をなしておりまして、それが一定の段階に所得が達しますと、急速に澱粉質の食糧が減ってきて、そうして蛋白質その他の需要が伸びてくるということになっておるようでございます。でその一つの資料といたしまして一人当たり二百七十ドルくらいがちょうどその転換期に当たるというような統計資料もあるようでありますが、それによりますれば、ちょうど日本は本年度が二百六十か七十くらいの一人当たりの国民所得になっておるわけでございますから、いわばそういう消費パターンの転換期に際会して、それが最近における消費構造の高度化というようなことに端的に表われておるのではなかろうかと思うのであります。そういうつまり一定のところまでにおきましては、一人当たりの消費量も絶対的に低い、こういうことでありますが、日本におきましても、たしか戦前の一人当たり消費量は十二、三キログラムではなかったかというように思うのであります。これは正確な数字ではございません。しかしすでに戦後におきましては、十八キログラムまでくらいには上がってきておるわけでございますから、私はまだまだ伸びると、こう推定してもあやまちではなかろう、かように考えております。
  138. 石谷憲男

    ○石谷憲男君 今度の特別措置法によりますと、需要と生産の長期見通しというものを立てられて、しかもこれは主要なる果樹の種類ごとに立てられ、そしてこれを公表する。従ってこれが一つの今後の大きなよりどころになるということになると思うのですがね。そこで、この一体長期見通しというものが妙に狂ってきたりなんかしますと、結局大いに増産はしたけれども価格はがた落ちになってくるとかといったような過去におけるにがい経験をまた繰り返すというようなことがあり得るのじゃないかという点を非常に心配するのですが、そこで、じゃ相当確信のある需要の長期見通しというふうなものが、少なくともこの段階において、まあわが国において作られるかどうか、これを一体よく見てやっていけば、大体農民は間違いないのだというような見通しというものが得られる確信があるかどうかですね。どうですかその点は。
  139. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) なかなか手きびしい御質問でございますが、まあ経済観測でございますので、よくこれは天気予報に比べてどの程度の確率があるかということになると、確たる正確性を持つかどうかにつきましては、いろいろの議論があるところだと思います。しかしながら、われわれといたしましては、永年作物としてどんどん植栽面積が伸びておるという際におきまして、何らかのよるべき指針というものがない場合におきましては、この勢いでできたものについて、将来どのような過剰の状態に遭遇するかというようなことを、やはり指導奨励する場合においては考えておく必要が当然あろうと思うのであります。そういう意味から言いますと、必要は必要であっても、しからばはたしてどの程度にできるかということになりますと、率直に申し上げまして、十分な統計資料さえもないというのが現状でございます。しかし、ある意味におきましては、統計資料がそろえば逆に果樹のような永年作物につきましては、樹令別構成によって、結果面積等も割合に推定しやすいという面もあるわけでございます。そういうことからわれわれといたしましては一たんできたら、それっばなしというような考え方ではなしに、先ほども申し上げましたように、まあ試行錯誤的にだんだんに近いものにして参りたい、こういう努力を重ねて参りたい、かように思っております。
  140. 亀田得治

    ○亀田得治君 果樹に関しての世界的な需給関係というものですね、これは当然長期見通しになどで関係してくるわけでありますけれども、これは何か資料に載っていますか。
  141. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 世界的需給というのはどういう意味なのか、世界的に、ものによってはどのぐらいの生産量があるかというような資料はございます。
  142. 亀田得治

    ○亀田得治君 たとえばミカンとかオレンジとか、個々の品物をとってみると、どこの国でも使うというものはありますがね、そういったようなものについての何か資料ですな、長期見通しといってもそういった点がやはりからんでくるわけでしょう。そこら辺の資料というものはまだそういうものはないのですか。
  143. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 今までのところから言いますと、果樹の樹種別の、各国別の生産状況であるとか、あるいは輸出入の状況であるとかいったような資料はございますけれども、将来どのようなことに需要がなってくるだろうかというようなことにつきましては、実は的確な資料を持っておりません。しかし、いろいろの文献等によりますと、欧州等の主要な諸国におきましては、果樹のやはり長期見通しみたいなものを立ててやはり農政上の指針にしているような例はございます。
  144. 亀田得治

    ○亀田得治君 たとえば例をとって言いますと、アメリカの場合は、どうなんですか。さらに果樹を成長させていこうという政策をとっておりますか、もう現状で大体十分なんだというふうな考え方なんですか。
  145. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) アメリカの果樹についての生産対策についてはまだ勉強いたしておりません。
  146. 亀田得治

    ○亀田得治君 このスイスとかポルトガルとかギリシア、トルコ、こういうところは非常に一人当たりの消費が大きいですね。これは何か特殊な理由といいますか、そういうものなどはあるのですか。そういう研究でも、検討でもされたことがあれば教えてほしい。
  147. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) この深く専門的なことにつきましては、お答えする用意をいたしておりませんが、先ほど申し上げましたように、一人当たりの消費量の中には、その地方におけるやはり果実の特産物として非常に多く生産されておるというように、立地条件に寄与する面もあるのじゃないかと思います。御承知のように、地中海方面におきましては、柑橘の生産地帯でございますから、そういうようなことが一つの理由になっているのじゃなかろうか、かように思います。
  148. 亀田得治

    ○亀田得治君 同じ地中海でも何でしょうね。イタリアの場合だと相当低いでしょうね、それからスイスなどは八三・三ですから、これは地中海に面していない、地中海を若干離れるわけですが、ずいぶん高いわけですね、そこら辺の研究もやっぱりやってみる必要があるのじゃないでしょうかね。今、日本の場合はまだ二〇までいっていないわけですから、それは確かに少ないということは、これははっきり言えると思うのです。どこら辺をめどにするのが正当なのかということになりますと、こういうような点をいろいろやはりもっと検討してみる必要があるような感じがするのですが、どうでしょうか。
  149. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話しの通り、やはり果実につきましては、嗜好性の高いものでございますので、単純に所得がどうであるからどうだというふうなことには参らない点が多々あるわけでございます。つまりその国々の食糧の消費パターンというものがあるわけでございますから、今後われわれといたしましては、この部面につきましては、欧州市場の一つの拡大という見地から、将来の情勢を測定する場合には研究すべき問題であろうかと考えております。
  150. 亀田得治

    ○亀田得治君 それから、資料の十六ページから十七ページに、一日当たり家族労働報酬が書かれておるのですが、果樹の場合には圧倒的に高いのですね。これがやはり結局は農民の収入が高いわけですから、これがやはり果樹に対する農民の意欲というものが、やはり盛り上がっておるわけです。だからやはりここが下がるような状態になると、それは幾ら必要だといったって、需要者は必要だったって、作る方は困るという、やはり限界が出てくるわけでして、従って長期見通しなり、価格の問題というものは、非常にこれは慎重に検討してもらわないと、やはり一まつのそういう不安があると思うのですね。これは一つ研究を要望しておきます。  それからもう一点は、先ほどの御質問の中でおっしゃった果樹の実験集落を、農林省として昨年から始めておる。これはどういうふうなことを事実上やっておるのか、もう少し具体的に御説明してほしい。
  151. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 先ほど申し上げましたように、今後果樹の経営を育成して、最も市場の条件に適合して参るような考え方をとって、生産性の向上をはかっていくことが一つの問題だろうと思うのであります。そういう意味から果樹の標準的な集落を対象といたしまして、それに効果的に病害虫の防除機械施設を同時にさせまして、その共同利用を中核といたしまして、年間諸作業を共同化するように指導して、そうして生産性の向上に及ぼす効果を調査検討して参りたい。その結果、集落の適正規模であるとか、あるいは機械施設の共同利用、共同作業の合理的な方式はどうであるか。それから農業の経営類型等によりまして、共同化の限界等がどのようにできるだろうかといったようなことにつきまして、果樹の実験集落を設け、それを対象に資料を得よう、こういうのがねらいでございます。実験項目といたしましては、二つございまして、一つは機械化に関する実験でございます。スピード・スプレイヤーの散布に適合するような新規の新栽培管理方式、たとえば土壌管理方式であるとか、あるいは整枝方法であるとかいったようなものの検討でございます。それからスピード・スプレイヤーを利用する場合のトラクターにつきまして、この利用による果樹園の管理方式というものを検討をするというようなことでございます。  それから第二は、共同化に関する実験でございまして、共同作業集団の適正規模、合理的な運営方式の検討、それから共同化の農家経営に及ぼす影響の検討といったようなことを内容といたしておるものでございます。予算といたしましては、昨年度は五カ所設けまして、リンゴが二カ所、ミカンが三カ所予算化いたしまして七百万円を計上いたしてございます。それから三十六年度におきましては、今の予定では、リンゴ一カ所、それからナシ、桃、ブドウをおのおの二カ所、七カ所につきまして設置することにいたしておりまして、約一千五十二万円の予算を計上いたしておるような次第でございます。
  152. 亀田得治

    ○亀田得治君 昨年のたとえばリンゴ二カ所のようですが、それはどういう場所ですか。
  153. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 岩手県と長野県でございます。
  154. 亀田得治

    ○亀田得治君 まだ、なんでしょうな、昨年始めたばかりで、こういう点について、こういう結論、見通しといったような、そういうことは出ないでしょう。
  155. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) いろいろ成果につきまして、運営についての打ち合わせ等をやっておりますが、その最終的な調査結果については、まだ報告は出ておりませんです。
  156. 亀田得治

    ○亀田得治君 これはそういう指定した村で果樹園をやっている諸君の協力を求めて、そうしていろいろやってみているのだと思いますが、このいろいろな規模、大きさなども選んでおられると思いますが、何か昨年の五カ所で、今年の七カ所、それに対する計画書があると思うのですが、これを一覧表にして、一つ出してほしいと思うのですが、そう詳しいものでなくてもいいですから。
  157. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 三十六年度につきましては、まだそういう計画書の段階まで至っておりません。ここに三十五年度の計画がございますので、これを申し上げてみますと、岩手、長野がリンゴでございますが、これは構成メンバーが、農家戸数岩手県十六一尺それからその対象樹園地が十町歩、それから施設費が二百四十二万一千円。それから長野の場合は三十六戸で構成して、対象面積が十五町歩、施設費が二百五十七万円、それから愛媛県、構成農家数が六十一戸で、対象面積四十町歩、施設費六百五十三万四千円、それから長崎の場合は構成戸数が十六戸で、対象面積が十二町歩、施設費百六十八万九千円。広島の場合は構成戸数が八十六戸で面積が十三町歩、施設費が百九十万一千円ということになっておりまして、大体はスピード・スプレイヤーを一台二百八十万円でございますが、それを入れるとか、あるいはミカンの場合でありますると定置配管、いわゆるパイピングの施設を導入する。百五十万円くらいのものでございますが、そういった施設に対する三分の二の補助をする。こういう内容でございます。
  158. 亀田得治

    ○亀田得治君 その施設費は全部三分の二ですか。
  159. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) さようでございます。
  160. 亀田得治

    ○亀田得治君 このくらいにしておきましょう。
  161. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 配布された資料の二ページによりますと、「農業総産出額の類別構成比」が出ております。これによりますと、果実は四・九でございます。米の五一・八、これは申すまでもなく特例でございますが、その他見渡しますと、おそらく麦も将来転換等を予想いたしますと、ぐんと下がって参ると思います。そこで去年初めて農林省には課というものができたのであります。これはわれわれ部なり局なりを作れという意見をそのときに要望したのでありますが、しかし課ができました。その課の構成もまだ当初であります関係もありましょうが、貧弱なものでありまして、おそらく農林省はここ一、二年前まで果樹に対しまする指導体系というものが全然なかったと申し上げて差しつかえないと思うのであります。将来はここにありますように繭が三%ございます。三%の繭には局というものがございまして、これはまあ旧家でございますから、局もあるのが当然かと思われるのでありますが、しかし転換期にある農業という、近代的農業という題名から考えますと、当然私は今のような姿ではいけないのではないか。もう少し内容を充実して、部とか局とかいうものが必ず必要だとは思いませんが、私は先ほどからの御質問に答えられておりますことをお聞きいたしましても、ほとんど統計というものはございませんという、まことにあわれな答弁しかできないのでありますが、さような意味合いから考えて、将来これは部なり局なり、局長にこういうことを、あるいは次官に申し上げても始まらぬと思いますが、将来私はその果樹だけの局を作れとは申し上げません。野菜が六・八もあります。工芸作物というのが四・九ございます。これらは主として一応園芸と称せられるものでございまして、これらは畑作振興の上から相関連した形態の産業であるというふうに考えます。そういう場合に、将来の農業の振興というものに真剣に取り組んでいこうという立場に立つのならば、少なくとも私はそういう内容の行政的機関の充実をはかっていくということが、また一面必要ではなかろうか、かように考えます。そういう意味について農林省におきましては、どういう構想を持っておられるか、承わっておきたいと思うのであります。
  162. 井原岸高

    政府委員井原岸高君) 果樹は全く自前農業でございまして、御承知のようなふうに過去の農業は、ほとんど米麦中心農業となってきたのでありますが、時代の進展とともに、ただいま御指摘のようなふうに、果樹につきましては四・九%、約五%に伸びて参ったのでありますが、さっき申しましたような、今までの農林省方針であったが、ようやく皆さんの御協力を得て課を作って、課自体の構成人員もわずかに二十一名でございますが、そういうような貧弱な職員をもって、この仕事をしておるわけでございます。おっしゃるようなふうに野菜にいたしましても、また、工芸作物等、現在のまま集計いたしましても全生産物の二〇%に近い重要な農作物でございます。これを集計いたしまして二〇%ほどということになりますと、大へん比重も重いわけであります。ことに果樹に対しましては、この振興法を基礎にいたしまして、将来大きな期待、畜産にもまさる期待を持っておるわけであります。この点課が生れたばかりでございまして、まだ非常に足らざるところが多いと思いますけれども、これを中心にして部なり、あるいは局というものを作るような方向に進めるようなふうに努力いたしたいと思います。
  163. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 目的の中に、流通及び加工の合理化に資するためにいろいろの措置を定めるというふうに書いてございますが、流通の面でも実にひどいものがございまして、生産者三、中間機関並びに運送等が四、中間荷受け並びに小売りが三、三・四・三の比率でございます。これは生産者は一年じゅう防虫害を行ない、肥料をやって、そうして管理に努める。天然自然の現象と戦って、そうして販売する商品を作るわけであります。それらを占めるものが三であって、他のものが四なり三なりということになりますと、生産者というものが大へん少ない所得に置かれておる。そこで流通面に対しましては、今年は若干の改善があると思います。これはまことに努力の跡を若干認めまして敬意を表するのでございますが、今後は一そう協議会あるいはその他情報の提供等をもって、これらの改善に一段の御努力を払わなければならぬと思うのでありますが、局長の今後これらの果樹の流通面についてのお考えについて伺っておきたいと思います。
  164. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) お話しの通り、果樹につきましては農家の手取りが比較的少ないということは御指摘の通りでございまして、大体生産者の手取りは四割から五割というのが実態のようでございます。従いまして今後流通面に対します合理化をはかることによって価格の安定をはかり、同時にそれによって消費者の需要が伸びるということに特に意を注ぐ必要があろうかと考えるのであります。何せ、先ほど来申し上げましたように、青果物の関係上大部分が一時に出回るというような品物でございます。従ってこの流通部面における統制は、なかなかむずかしい分野の一つでございますが、現状におきましては、これを取り扱う出荷団体は、おそらく業者が七割、協同組合系統が三分の一くらいではないかと思われるのであります。今後このような性格のものを取り上げる場合、何におきましてもやはり出荷の調整、計画出荷ということを主眼に置いて考えていく必要があると思いますので、こういう部面におきましても、経営の合理化、集団化というようなものがだんだんに伸びていきますならば、出荷態勢も、だんだんと協同組合の計画出荷ということになっていくのではなかろうかと思うのであります。そういう意味におきまして、今回三十六年度予算におきましては、作付の見通し、あるいは品物別の出荷見通し、あるいは加工段階における販売処理の状況等を調査いたしまして、これを適時的確に産地に流し、協議会等の定例的な開催によって計画出荷、あるいはさらに進んで出荷調整の段階まで持っていきたい、かような考え方をとっておるわけでございます。なおまた青果物であります関係上、この消費地に流れます場合におきましては、中央卸売市場を経由して流れて参るわけでございますが、やはり中央卸売市場におきましては大鑑取引によりまして、公正な価格の実現ができるということが必要でございます。その意味におきましては三十六年度予算におきまして、中央卸売市場の施設費の拡充について、前年度の三倍の約九千万円の予算を計上することになったのでございますが、今後とも中央卸売市場の施設の拡充と相待ちまして、この取引の合理化を進めて参る必要があろうかと思うのであります。それからさらに、先ほどお話しの中にもありましたように、青果物、果実につきましては出荷費用というものが相当かかっておるわけでございます。その中で運送費を除けば、荷作り費というものが相当大きな費用を占めておるわけでございます。この面におきましても、だんだんに果実自身におきまする規格の設定といったようなことで、標準化をはかっていくような努力を続けて参る必要があるわけでありますが、これにつきましてもさしあたりリンゴ、ミカン等につきましては、規格を設けるべくそれに必要な調査費を予算にも計上いたしておるわけでございます。それに対応いたしまして荷作りの包装等についての規格の統一というようなことがだんだん行なわれていく必要があろうかと思うのであります。最近は木箱からだんだんに段ボールに変わってくるというような傾向も見えますが、さらにこの面におきまする規格の統一ということも必要であろうかと思うのであります。そう考えて参りますると、やはり生産段階におきまする共同出荷、あるいはさらにそのための共同選別といったような体制を整えていくことが必要でございますので、この面に対する融資等の措置によって、整備して参るというようなことにも今後努力して参りたい、かように考えております。
  165. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 ただいま御答弁の中にもありましたように、集団化はできても、販売機構の集団化というものが困難な、しかも不ぞろいなものがございます。これはある県のごときは、生産費の約八〇%まで商人の手に移っております。しかも商人の手に移ります理由は、肥料代を商人から借りて、よくいわゆる青田売りという立場において果実を作って、その肥料代を借りておる人に、全く相場を無視した形で買い坂られるという状況もないではないのであります。そういう関係からこの融資をする新値、改植の、この法案の中にあります融資の面でも、やはりそういうところまで気をつけて、しかも他に近代化資金でありますとか、あるいは公庫等から借りられないことはございません。その方法はございますが、もっと簡便な、これらの資金がそういうものを救済するという形に持っていかれるように将来は改訂すべきではないかというふうに、これは要望をいたしておきます。御答弁は要りません。  次に加工の面について、加工の合理化を進めるというのでありますが、加工というものは、すでに書物におきましても、あるいは権威ある雑誌等におきましても、将来日本の果実は加工して海外に出すことにおいて、日本の農作物の中では、ことにこの日本が原料から作る輸出品については最高を占めるだろう、こういうふうに指摘されておるのであります。それはミカンにおきましても、アメリカにもその他の欧州諸外国においても柑橘類はあるのでありますが、日本のミカンのようにその内容が個々に取り出してカン詰に固形のままなりますものはないのでありまして、これは日本特有の柑橘類のみであるのであります。そういうところから日本のカン詰というものが大へん歓迎を受けるのでございまして、昨年は三百三十万ケースぐらいのものが本年は四百万ケースであります。十年後はおそらく一千万ケースぐらいの輸出が可能になると識者は見ておるようでありますが、それらに対しまして、先刻も話が出ましたようにジュースの問題等もそうですが、おそらく私は今後日本の果実をこのまま日本人の消費をふやすのだということのみに期待しではならないのでございまして、日本の農作物で輸出の可能なものと称せられますものは、おそらく果実であろうと私は思います。従ってこれを加工する指導というものが、私は農林省には全然ない、かように申し上げて過言でないと思うのであります。むしろ生産に至りましても、あるいは加工に至りましても、地方の者がやむにやまれず研究して、権威者といったら地方にのみおると申し上げても、あえて過言ではなかろうかと私は思う。そういう立場に立って今度のこの法案に対しましての加工の合理化をする、加工を進めていくのだという立場に立っておられますが、園芸課に加工の指導者が何人くらいおいでになりますか。
  166. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 加工関係について今後重視すべき点は、御指摘の通りであろうと考えます。加工の直接の担当者といたしましては、実は振興局で三十六年度に例外的に一名増員が認められたのでございますが、この一名とそれ以外の一名を加えまして、四月からは二名をもって園芸課に加工の係を設けたいとかように考えております。
  167. 堀本宜実

    ○堀本宜実君 これは御質問申し上げたり、お答えをいただいたりするのに、まことにお気の毒にたえないのであります。しかも、法案にうたい、農民の期待を持っております、しかも、将来有望だといわれ、需要の伸びのある、しかも二倍、三倍に伸びようとする果実が、しかもその果実の中で何が一番大事なのかといったら加工なんです。先ほど申し上げた通り、いろいろ例はございますが、私はその例を省略いたしますけれども、それの指導が二人というのでは、どう考えてみても情けない。どう欲目で見ても、このぐらい貧弱なことは私はないと思う。これも看板に偽りありとはこのことでございまして、まことに遺憾にたえません。そこで、これは二十数名でございますか、三十名近く農産物加工に必要な人員が確保されていると思うのであります。それは他の局にも配置をされている。これがなわ張りの関係上、もっとも、たくあんをつけることも必要でありましょう、また梅ぼしをつけることも必要でありましょう、私は決して他の局にありまする加工指導者が、無益なものであると申し上げるのではございませんが、しかし少なくとも果実についての日本の取りおくれた、しかも、非常に旧時代的な加工を、進んで新しい世界の加工水準にまで上げていくという立場に立ちますることが、今後の農業振興の重点でなければならぬと私は考えます。そういう意味から、先般農林大臣にもこのことだけを私は要求をいたしておきました。どうか省内においてセクショナリズムなやりとりでなしに、真にその必要な点を痛感されまして、これはお答えは要りません。政務次官もお出でになりますので、協調をはかられまして、なお一そう拡充をされまするようにお願いを申し上げておきたいと思います。  次に、この統計がないということでございますが、これは私の思いつきでございまして、笑いぐさ愚問かもしれませんが、統計がないということにすべてのものが始まっておる。というのは、去年もそうですが、ことしもそうなんですけれども、ミカンを販売いたしますると、大きいものからなまで市場で消費をするわけであります。そしてある一定限度以下のものを加工に回す、ジュースにしぼるとか、あるいはまたカン詰にするとか。ところが、なまで売る大きいものよりも、加工に回すべき小さいものの方が値が高くなっていく。それはお調べになったらわかりますが、去年もなまの方の販売した統計、つまりなまの価格平均より、その後加工に回しますものの方が高くなっておる。これは幾らあるかわからないうちに、なまの間に、じゃんじゃんじゃんじゃん大きないいものから出荷をしていく。あとでこれくらい残るだろうという見通しが、その見通しが欠けちゃって、そしてミカン等におきましては、加工用に回すものの方が価格が高い現象が起こってくるのであります。これは少なくとも従来からの考え方にいたしますと、六分ないし、七分値くらいが大体普通なのであります。それが最初売りましたものよりも高くなってくることは、農家自体にも不注意なものがある。売れさえすれば何ぼでも出していって、あと加工用が足らない。従って値がつり上がって高くなる、こういうことになるのだろうと思うのでありますが、そこでこれらの統計を、確実に生産量を把握いたしまするために、空中写真とかなんかそういうものをして、林野の方では樹令でありますとか造林計画でありますとか、あるいは林地の状況等を見まするために、空中写真を高度に利用されているやに聞くのでございますが、この果樹経営計画、あるいは生産計画の予測等にも、少なくとも私はそういう新しい技術を応用されて、正しい統計を求められることが、今後の長期見通し等においても私は役に立って、少なくとも長期の見通しを発表して、それが大へんな間違いであったということのないことにいたしますためには、罰金等を科しておどして、正しいものをとろうとするよりも、もっと根本的に正しいものをみずから求めるという立場にお立ちになる方が、積極的に理解されやすい、またほんとうの道を行くものだと私は思うのですが、そういう御計画はありませんか。
  168. 斎藤誠

    政府委員(斎藤誠君) 貴重な御意見を拝聴いたしておったわけでございまして、目下のところ、そういう計画をいたしたこともございますけれども、今後の研究課題として検討さしていただきます。
  169. 藤野繁雄

    委員長藤野繁雄君) それでは、さっき亀岡委員からお話しの実験集約農場ですか、これらの資料を、一つ資料として出して下さい、一覧表。  それからこの法律案については、政令及び省令にゆだねてある重要な事項がだいぶあるようですから、政令、省令の草案でもあれば、それを提出してもらいたいと思います。  それからその次には、今果汁の話があったが、最近粉末果汁がだいぶ出ているのですね。粉末果汁の現在の状況の調査されたものがあったら、これを資料として出して下さい。  他に御発言もなければ、本案については本日はこの程度にいたします。  本日はこれをもって散会いたします。    午後四時六分散会