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政府委員(斎藤誠君) 今回
提案いたしておりまする果樹
農業振興特別
措置法につきまして補足的の御
説明を申し上げたいと存じます。
特別
措置法案の
提案理由につきましては、
さきに御
説明したところでございますが、その
提案理由にも述べております
通り、近年における果樹
農業の急速な伸展が見られ、また、今後成長農産物として
わが国農業におきます重要な役割を果たすものと考えられるわけでございます。そのような意味から、果樹
農業の健全な
発展をはかることが現在強く要請されておると考えるのであります。
農林省におきましても、これに
関連いたしまする
施策といたしまして、関係予算を計上し、昨年におきましては果樹行政機構の整備強化をはかりまして、
振興局に園芸課を設けることにいたしたのでございますが、果樹
全般につきまして、今後
生産、流通、加工の各分野にわたって総合的な
施策を講じて、健全な果樹
農業の
発展を期することが必要であろうと考えるのでございます。
このような果樹
農業振興の一環として、御承知のように、昨年の第三十四国会におきまして果樹艇業
振興特別
措置法案を
政府案として上程いたしたのでございますが、この
法案は周知の
通り審議未了のために不成立に終わっております。
政府といたしましては、この旧
法案をもとにいたしまして、三十六
年度予算の
内容等をも勘案いたしまして、あらためて今回
果樹農業振興特別措置法案を提出することに相なったわけでございます。
法案の主要な
内容といたしましては、第一に、果樹についての長期見通しを立てこれを公表すること。第二に、合理的な果樹園経営の確立をはかるため、指導、融資等の
措置を講ずることといたしております。第三に、流通、加工の合理化等、果樹
農業振興のための方途及び
都道府県の援助
措置を
規定いたしております。第四に、果樹
農業振興審議会を設置することといたしております。
以上の四点が
法案の主要な
内容でございます。以下、主要な点につきまして先般
提案された
法案と比較しながら申し上げたいと存じます。その第一は、果樹についての長期見通しでございます。
第二条に、果樹の植裁等についての長期見通しを
規定いたしたわけでございます。言うまでもなく果樹の永年作物としての特性にかんがみまして、今後果実
生産の安定的拡大をはかるためには、果実の長期的需給の動向に即応した果樹の植栽と、果実の
生産を誘導する必要があるわけでございます。このため今回の
法案におきましては新たに長期の見通しに関する
規定を設けることにいたしまして、果実の
需要及び
生産の長期の見通しに即応いたしまして主要な果実の種類ごとに植栽、それから果実の
生産についての見通しを立ててこれを公表することといたしております。
大体の
考え方といたしましては、植栽の見通しにつきましては、
政令で五年後、その他の果実の
生産につきましては、五年後または五年ごと、十年後を目標に立てることにいたしたい、かように考えておるわけでございます。それから二項におきまして、果樹につきましては御承知のように特に立地
条件によってそれぞれ特性を有するのでございまして、国や
都道府県は果樹
農業振興対策を講ずるにあたっては、右の長期
計画の見通しのほか、さらに地区ごとの特性を十分考慮して
施策を行なうという宣言的
規定を設けたわけでございます。
それから第二は、第三条以下の合理的な果樹園経営
計画の確立のための
措置でございます。これは第三条から第五条にかかわるものでございます。果樹園経営の合理化をはかるためには、果樹
農業者の集団または果樹
農業者が構成員となっている法人は、果樹園経営
計画を作成することができるということにいたしまして、これについては国及び
都道府県は、その作成について適切な助言、指導を行なうことにいたしたのでございます。従来この点に関しましては、公庫から融資を受けます場合に、果樹園経営
計画を提出いたしまして、そしてそれの認定を受けて融資を、受けるということにいたしましたのでございますが、今回、果樹園経営
計画の適否のみを府県に申請して認定を受けて、受ければそれに対して知事に認定をする義務を与える、こういう制度を設けたわけでございます。従来とも果樹園経営
計画につきましては、事実上、県なり試験場なりの指導を受けておったわけでございますけれども、今後の事態に即応いたしまして、果樹園経営
計画を作って、そして
一定の集団的な樹園地を作り、さらにどういう品種をどういう
計画で作ったらよろしいかといったような、
計画自身の認定を知事に求める、こういう道を開いたのでございます。で、その結果
一定の
条件に該当いたすもの、つまり第四条に
規定いたしております
条件に該当いたすものにつきましては、知事はこれに対して認定をいたすことにいたしまして、その中でさらにこの経営
計画を達成するために必要な資金の貸付を希望するというようなものにつきましては、特に第五条以下におきまして公庫から資金の貸付を行なう、こういうことにいたしたのでございます。経営認定を受けた者が、あるいは近代化資金の融通を受けるということになる場合もあると思います。しかし、ここでは特に公庫から金の融通を受けるものだけにつきましては、第五条に資金の貸付の
規定を設けたわけでございます。この経営
計画の作成、指導につきましては、予算といたしまして三十六年には六百四十六万円を計上いたしております。
それから第三条におきまして、果樹は
政令で定める果樹に限ると
規定いたしておりまするが、現在柑橘、リンゴ、ブドウ、ナシ、桃、桜桃、ビワ、カキ、及びクリの九種類を予定いたしております。
それから申請の資格者につきましては、果樹
農業者二人以上共同して樹園地における果樹の栽培を
計画的かつ合理的に行なおうとする場合、
当該果樹
農業者とそれから果樹
農業者が構成員となっている法人ということにいたしておりますが、いわゆる
農業生産法人につきましても、果樹園経営
計画作成の主体として本
法案の
対象とすることに考えておりまして、これにつきましては別途
農地法の一部
改正法案の附則で諸要の
措置を講ずることといたしております。
次に、公庫資金の貸付
条件でございますが、
法律上は七分以内ということにいたしておりますが、実行上におきましては据置
期間を十年以内とし、その
期間中は年六分、償還
期間は十五年以内としてその間は七分とする予定でございます、なお、これに
関連いたします三十六
年度の資金
ワクといたしましては、公庫に十億円を予定いたしております。
それから第四条の
都道府県知事の認定
条件でございますが、その第一は樹園地の面積を掲げておりますが、これにつきましては今後の果樹園経営における
生産性の向上をはかるためには、樹園地の集団化が基礎
条件でありますので、また特に商品
生産の色彩のきわめて強いという点で、
一定量以上の出荷単位が要求されるというようなことを考えまして、
計画対象の樹園地の目標といたしましては、おおむね十町歩以上集団して所在しているということを
条件としております。また立地
条件につきましては、
農林省令で定めることにいたしておりますが、気象
条件等の最低の限界
条件に適合することを要するということに
規定いたしたいと考えております。なおまた、右の十町歩という面積が集団する度合いを
規定いたしております。この十町歩の、面積は、現在すでに樹園地化されているということを必ずしも要するものではございませんが、将来植栽されるものをも含めて一画目標の達成のときまでに、おおむね十町歩以上集団化した果樹園が形成されればよいという
趣旨でございまして、この点については弾力的な
運用をはかっていく考えでございます。なおまた、今申し上げました集団の度合いにつきましても、統一的な果樹園作業によって運営される
範囲の樹園地の集団を意味しておりまして、必ずしも連続し接続しているということを要件として考えてないという点でございます。
それから次は、第六条ないし八条に移りまして、ここでは流通、加工の合理化等果樹
農業振興のための岡及び
都道府県の援助
措置を
規定いたしたものでございます。今後の果樹
農業の健全な
発展を期するためには、
生産面での
施策とともに、果実の流通、加工の合理化のための
施策が必要であり、このために新たに第六条を設けまして、国及び
都道府県は果実及び果実製品の
生産、集荷、貯蔵、
販売、
価格等の状況について
調査を行なうとともに、市況放送とか中央、地方の協議会の開催等によりましてこれらの情報を提供するように努めることといたしておるのであります。
生産面に対応する流通、加工の部面におきましては、行政部面としては今後の拡充に待つべきものが多多あるわけでございますけれども、何をおきましても、現状におきましてはいろいろの制約を受けておりますので、われわれといたしましては、今申し上げましたような
生産、集荷、貯蔵、
販売等の状況につきまして、適時名団体あるいは各県に
調査をし、その結果を適時的確に流していく、そうしてこれを協議会という形式で定例的に協議会を設けまして、そこで今後
計画出荷なり、出荷
調整なりの参考に資するように指導をして参りたい、こういうふうに考えておるわけでございます。これに
関連いたしまして第八条に報告の徴収の
規定を設けまして、
一定の報告をも法令上とり得るという
措置を講ずることにいたした次第でございます。
それから第七条は、第六条以外の援助
措置につきまして
規定いたしておるわけでございますが、特に果樹につきましては、今後果樹の新柏、改植に応じまして、種苗の的確なる供給の確保と、さらに優良な種苗の供給が必要でございまするので、特にそれらの点につきましては予算も計上いたしまして援助の
措置を講じて参りたいという意味で、第七条にはその旨を
規定した次第でございます。
以上の
施策に
関連いたしまする三十六
年度の予算といたしましては、第六条の
調査とかあるいは情報提供、協議会等の関係
経費としまして二千三百六十一万三千円、それから苗木対策関係として八百四十万六千円、これらを含めて果樹
農業振興関係の
経費としては六千四百六十万円を計上いたしておりますが、このほかに試験研究あるいは卸売市場、輸出
振興等についても、
農林省の各部局において別途計上いたしておる次第でございます。
第四は、果樹
農業振興審議会の設置についての
規定でございまして、第九条から第十三条まで
規定いたしております。果樹
農業の健全な
発展をはかりまするためには、今後
生産から流通、加工、消費にわたる各般の
施策をさらに強化拡充していく必要があると考えるのでございますが、本
法案におきましては、そのための
一つの
措置といたしまして、
農林省の付属機関として果樹
農業振興審議会を設置いたしまして、これに果樹
農業全般にわたる
重要事項を
調査審議せしめる、こういうことにいたしております。
委員の数は十二人以内となっておりますが、
生産、流通、加工、金融等にわたる学識経験者を選定していきたいと、かように考えておる次第でございます。
以上が本
法案の補足的
説明でございます。